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特開2024-44902ガラスコーティング物品の製造方法および製造装置、撥水性基材
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  • 特開-ガラスコーティング物品の製造方法および製造装置、撥水性基材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044902
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ガラスコーティング物品の製造方法および製造装置、撥水性基材
(51)【国際特許分類】
   B05D 3/10 20060101AFI20240326BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240326BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20240326BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240326BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20240326BHJP
   C09D 183/00 20060101ALI20240326BHJP
   C09D 185/00 20060101ALI20240326BHJP
   C08J 7/048 20200101ALI20240326BHJP
【FI】
B05D3/10 K
B05D7/24 303E
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302Z
C09D7/61
C09D7/63
C09D183/04
C09D183/00
C09D185/00
C08J7/048 CES
C08J7/048 CEW
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150725
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】721002554
【氏名又は名称】つばさ真空理研株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】512300012
【氏名又は名称】福原真空技術株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522374663
【氏名又は名称】八角 克夫
(72)【発明者】
【氏名】石川道夫
(72)【発明者】
【氏名】福原淳司
(72)【発明者】
【氏名】八角克夫
【テーマコード(参考)】
4D075
4F006
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA06
4D075AA55
4D075AA71
4D075AA76
4D075AC57
4D075AC84
4D075AE19
4D075AE24
4D075BB13X
4D075BB16X
4D075BB21X
4D075BB24Z
4D075BB33Z
4D075BB35X
4D075BB35Z
4D075BB37Z
4D075BB49X
4D075BB56X
4D075BB56Z
4D075BB60X
4D075BB60Z
4D075BB61X
4D075BB64Z
4D075BB79Z
4D075BB85Y
4D075CA13
4D075CA36
4D075CA38
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4D075CA44
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA04
4D075DA06
4D075DB01
4D075DB04
4D075DB13
4D075DB16
4D075DB18
4D075DB21
4D075DB31
4D075DB35
4D075DB36
4D075DB37
4D075DB39
4D075DB43
4D075DC30
4D075DC38
4D075EA05
4D075EB43
4D075EB47
4D075EB51
4D075EC03
4D075EC08
4D075EC51
4F006AA04
4F006AA12
4F006AA15
4F006AA22
4F006AB39
4F006AB76
4F006BA05
4F006EA01
4F006EA03
4F006EA05
4J038DL031
4J038DL081
4J038DM021
4J038HA096
4J038HA176
4J038HA336
4J038HA356
4J038HA376
4J038JA35
4J038JB01
4J038JC32
4J038JC39
4J038KA04
4J038KA07
4J038MA09
4J038NA04
4J038NA07
4J038NA08
4J038PA06
4J038PA07
4J038PA17
4J038PA18
4J038PA19
4J038PB02
4J038PB04
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC07
4J038PC08
4J038PC10
(57)【要約】
【課題】耐水性、防湿性、撥水性を向上したガラスコーティング物品の製造方法であって、特に高い耐水性、防湿性、撥水性を付与できる。さらに本発明は耐アルコール性も有している。また本発明は低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品および食品容器等への適用が可能な技術に関する。
【解決手段】本発明は基材と、該基材の表面に、ケイ素化合物又はチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたガラス層とを含むコーティング物品の製造方法であって、(1)表面処理剤を基材表面に塗布工程、(2)水を用いて基材表面で化学反応させる工程および
(3)乾燥工程において移動しながら行うコーティング物品の製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、メチル基を含むケイ素化合物および有機チタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたガラス層とを含むコーティング物品の製造方法であって、
(1)表面処理剤を基材表面に塗布する工程、次いで
(2)H2Оを含む反応促進剤を用いて基材表面で化学反応させる工程、次いで
(3)乾燥工程
において基材をコーティングする製造方法。
【請求項2】
該(1)表面処理剤を基材の表面に塗布する前に、該基材を調湿する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
該(1)表面処理剤を基材の表面に塗布する前に、前記基材表面を大気圧低温プラズマ処理、真空中プラズマ処理、コロナ処理、水蒸気又は化学試薬で前処理を行う事を特徴とする請求項1~2のいずれかに記載の製造方法。
【請求項4】
該塗布する工程は、刷毛塗、スプレーコーティング、真空蒸着法、加熱蒸発、および超音波で作成したミストの噴霧塗布方法から選択される方法であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
該乾燥工程において、乾燥操作が赤外線乾燥、熱風乾燥、自然乾燥、真空乾燥または、マイクロ波照射による乾燥方法を用いることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
該塗布工程において、移動式搬送トレイ上で該基材の塗布を行うことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項7】
該基材が金属、ガラス、プラスチックス、熱硬化性樹脂、紙類、ゴム、木材、耐薬品性樹脂および生分解性樹脂であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項8】
該耐薬品性樹脂がポリオレフィンまたはフッ素系樹脂またはフッ素樹脂であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項9】
該塗布工程において、移動式搬送トレイ上で該基材の塗布を行う場合に表裏同時に塗布する方法、片面毎に塗布する方法から選択されることを特徴とする請求項1~8に記載のコーティング物品の製造方法。
【請求項10】
基材へのガラス層を形成する表面処理剤が、メチル基を含むシラン化合物およびアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物。
【請求項11】
基材へのガラス層を形成する表面処理剤の調製に水および有機溶媒を用いないで攪拌混合されていることを特徴とする請求項10に記載の表面処理剤。
【請求項12】
該メチル基を含むシラン化合物がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基のいずれかを含み、さらに該アルコキシチタン化合物の20℃での粘度が0.1~200mPa・sかつ沸点が150~300℃であることを特徴とする請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
該表面処理剤が更に無機酸、アルカリ性化合物、有機錫、チタン系化合物、ランタノイド系化合物、ジルコニウム化合物またはシランカップリング剤を含むことを特徴とする請求項10~12のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
該塗布工程で用いる塗布装置では該表面処理剤は基材以外に付着しにくい構造とし、塗布または噴霧した表面処理剤を回収できることを特徴とする装置による製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月22日付で出願された日本出願2021-154928号の利益及び優先権を主張するものであり、上記出願それぞれの全体を参照により本記載に矛盾しない範囲で本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、吸水性のある基材に対して耐水性、防湿性を向上したガラスコーティング物品の製造方法であって、特に水蒸気等に対する極めて高い耐水性、防湿性を付与でき、かつ低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術である。
【背景技術】
【0003】
従来、飲食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨品、その他等の種々の物品をコーティングするために、種々のコーティング材料が開発され、提案されている。その一つとして、アルミニウム箔又は蒸着層を積層した金属蒸着、ダイアモンドライクカーボンの蒸着などがある。
【0004】
金属蒸着は優れたバリア性被覆技術であるが、金属箔又は金属蒸着層のため透明性が劣ること、更に、焼却適性に劣り、使用後の廃棄物処理が容易でないなど環境対応に劣ること等の問題点があった。
又真空成膜を用いた成膜は立体形状に均一に成膜できないという欠点がある。
【0005】
そこで、バリア性材料において、高いバリア性を有し、透明性、環境対応の性能をも向上させるものとして、プラスチックの表面に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物の蒸着膜を設けた構成からなる透明バリア性材料が開発され、提案されてきた(特許文献1、2)。
【0006】
その際、プラスチック基材の上に酸化ケイ素や酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜を被覆したバリア性シートが好ましいと考えられた。このような構成の透明バリア性材料等においてもなお、基材と無機酸化物の薄膜との密着性の低下や、屈曲によりクラックが生じやすく、バリア性が低下するなどの問題があった。また、バリア性の面でも基材としての単体のプラスチックと比較してバリア性は格段に向上するものの、上記のアルミニウム箔のそれには程遠く、要求されるバリア性の高まりに十分に応えられるより一層高いバリア性が求められるようになってきている。
【0007】
そこで、バリア性に関する要求に応えるために、「基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上のアルコキシド及び/又はその加水分解物又は(b)塩化すずの少なくともいずれか1つを含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルム」(特許文献3)が提案されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3は、無機酸化物の蒸着層の上にバリア性被膜を積層することを開示するものであり、バリア性層の多層化によりバリア性が向上するものの、バリア性塗膜の緻密性において必ずしも十分なものとはいえず、高温多湿下においてバリア性が低下してしまい、耐水性、防湿性も必ずしも満足できるものとはいえないものであった。
【0009】
そこで、優れたバリア性を得るためには、バリア性層の多層化において、バリア性塗膜を緻密な膜構造に作製することが不可欠であると考え、ゾル-ゲル法を用いてバリア性塗膜を形成するした試みがなされている。緻密な塗膜を形成するためには、バリア性塗膜を形成する際に、マイクロ波照射を施す提案がされている。(特許文献4)
【0010】
近年、カーボンニュートラル等の観点から基材として使われてきたプラスチックスの使用からバイオマス原料の基材への使用が要求されつつあるため、前述の技術を踏襲しつつも、基材を紙等に代える使用方法の提案がなされている。例えば、ケイ素化合物を使った紙類へのコーティングにおいて、ケイ素原子の4個の置換基の内、1個は加水分解が不可能でなものを用いることで、紙などの繊維素材にコートして適度な強度と良好な光透過性、撥水性、柔軟性、さらには耐摩耗性等を付与したとする報告がある。(特許文献5)
しかしながら基材の乾燥時間が長く、量産化をする場合には乾燥が律速になるなどの問題も残っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭53-12953号公報
【特許文献2】特開昭62-179935号公報
【特許文献3】特許第2790054号公報
【特許文献4】特開2010-000447号公報
【特許文献5】WО2020/149413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来から耐水性、防湿性を付与するコーティングは多く行われているが、溶液に機材を浸漬して取り出し乾燥するものが主流である。又は自動車の様に塗布するものが主であった。しかし日用品に応用するためには色々な形状の基材に塗布し尚且つ大量に処理しなければならない。特に立体物(凹形状)の場合には液が溜まってしまい均一な成膜が出来ないなども問題がある。本発明は、前記の課題を解決することを目的としてなされた。特に、撥水性、耐水性、防湿性を向上したガラスコーティング物品の製造方法であって、水蒸気等に対する極めて高い耐水性、防湿性を付与でき、かつ低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術を提供することにある。さらに、本発明のコーティング剤は、アルコールがパルプ製基材等への浸透性を防ぐ、耐アルコール性も有している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
基材の表面に、メチル基を含むケイ素化合物および有機チタン化合物(特にアルコキシチタン化合物)を含んでなる表面処理剤により形成されたガラス層とを含むコーティング物品の製造方法であって、
(1)表面処理剤を基材表面に塗布する工程、次いで
(2)H2Оを含む反応促進剤を用いて基材表面で化学反応させる工程、次いで
(3)乾燥工程
において基材をコーティングする製造方法に関する。
【0014】
該(1)表面処理剤を基材の表面に塗布する前に、該基材を調湿する工程を含むことを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0015】
該(1)表面処理剤を基材の表面に塗布する前に、前記基材表面を大気圧低温プラズマ処理、真空中プラズマ処理、コロナ処理、水蒸気又は化学試薬で前処理を行う事を特徴とする前記の製造方法に関する。
【0016】
該塗布する工程は、刷毛塗、スプレーコーティング、真空蒸着法、加熱蒸発、および超音波で作成したミストの噴霧塗布方法から選択される方法であることを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0017】
該乾燥工程において、乾燥操作が赤外線乾燥、熱風乾燥、自然乾燥、真空乾燥または、マイクロ波照射による乾燥方法を用いることを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0018】
該塗布工程において、移動式搬送トレイ上で該基材の塗布を行うことを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0019】
該基材が金属、ガラス、プラスチックス、熱硬化性樹脂、紙類、ゴム、木材、耐薬品性樹脂および生分解性樹脂であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0020】
該耐薬品性樹脂がポリオレフィンまたはフッ素系樹脂またはフッ素樹脂であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0021】
該塗布工程において、移動式搬送トレイ上で該基材の塗布を行う場合に表裏同時に塗布する方法、片面毎に塗布する方法から選択されることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0022】
基材へのガラス層を形成する表面処理剤が、メチル基を含むシラン化合物およびアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物に関する。
【0023】
基材へのガラス層を形成する表面処理剤が、メチル基を含むシラン化合物およびアルコキシチタン化合物を含むことを特徴とする化合物に関する。
【0024】
基材へのガラス層を形成する表面処理剤の調製に水および有機溶媒を用いないで攪拌混合されていることを特徴とする前記の表面処理剤に関する。
【0025】
該メチル基を含むシラン化合物がメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基のいずれかを含み、さらに該アルコキシチタン化合物の20℃での粘度が0.1~200mPa・sかつ沸点が150~300℃であることを特徴とする前記の化合物に関する。
【0026】
該表面処理剤が更に無機酸、アルカリ性化合物、有機錫、チタン系化合物、ランタノイド系化合物、ジルコニウム化合物またはシランカップリング剤を含むことを特徴とする前記の化合物に関する。
【0027】
該塗布工程で用いる塗布装置では該表面処理剤は基材以外に付着しにくい構造とし、塗布または噴霧した表面処理剤を回収できることを特徴とする装置に関する。
【0028】
非接触三次元測定装置を用いて得られた塗布前の表面のRa測定値が100~5μmであるパルプ系基材の表面を該表面処理剤でガラスコーティングした前記のガラスコーティングパルプ系製品に関する。
【0029】
非接触三次元測定装置を用いて得られた塗布前の表面のRa測定値が80~2μmである織布または不織布の表面を該表面処理剤でガラスコーティングした前記のガラスコーティング繊維製品に関する。
【0030】
非接触三次元測定装置を用いて得られた塗布前の表面のRa測定値が50~0.1μmである金属、電子材料、プラスチックスまたは合成樹脂の表面を該表面処理剤でガラスコーティングした前記のガラスコーティング日用および工業製品に関する。
【0031】
更に、本発明は、以下の方法でも製造することができる。
基材と、該基材の表面に、シラン化合物又はチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたガラス層とを含むコーティング物品の製造方法であって、
(1)基材表面を前処理する工程、次いで
(2)該表面処理剤を基材表面に塗布工程、
(3)不要な処理剤を吹き飛ばす工程、
(4)基材表面で化学反応させる工程(反応促進剤(主としてH2О))および
(5)乾燥工程
(1)~(5)の全工程において耐薬品性樹脂上で移動しながら連続的に行うコーティング物品の製造方法に関する。
【0032】
ここで基材表面を前処理する工程とは、該(2)表面処理剤を基材の表面に塗布工程する前に、該基材を調湿する工程および/または前記基材表面を大気圧低温プラズマ処理、真空中プラズマ処理、コロナ処理、水蒸気又は化学試薬で前処理を行う事を言う。
【0033】
基材と、該基材の表面に、シラン化合物又はチタン化合物を含んでなる表面処理剤により形成されたガラス層とを含むコーティング物品の製造方法であって、更に該(2)~(5)の工程を多数回連続して行う事を含む製造方法に関する。
【0034】
表面処理剤を基材の表面に塗布する前に、前記基材表面を大気圧プラズマ処理、真空プラズマ、高温水蒸気又は化学試薬で前処理することを特徴とする前記の製造方法に関する。
【0035】
該塗布工程は、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、真空蒸着法および超音波によるミスト噴霧塗布方法から選択される方法であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0036】
該塗布工程において、移動式搬送装置上で該基材の塗布を行うことを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0037】
該基材が金属、プラスチックス、熱硬化性樹脂、紙類、ゴム、木材、および生分解性樹脂など表面に水酸基が存在しうる物質であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0038】
該耐薬品性樹脂がポリオレフィンまたはフッ素系樹脂であることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0039】
該塗布工程において、移動式搬送トレイ上で該基材の塗布を行う場合に表裏同時に塗布する方法、片面毎に塗布する方法から選択されることを特徴とする前記のコーティング物品の製造方法に関する。
【0040】
レーザプローブ式非接触三次元測定装置を用いて得られた表面のRa測定値が50~1μmである日用雑貨の表面を該表面処理剤でガラスコーティングした前記の撥水性日用雑貨基材に関する。
【発明の効果】
【0041】
本発明において、表面に水酸基を有する、あるいは付与できる材料であれば、原則、表面上に化学結合したガラス(シラン化合物又はチタン化合物による)コーティング膜を生成することが可能である。その結果、耐水性、防湿性および撥水性を向上した材料を製造することができる。更に、本発明においてはコーティング工程による基材の反りや歪みが生じにくく、優れた寸法安定性のコーティング基材を製造することが可能である。
【0042】
また、本発明による製造プロセスは量産化に適しているだけでなく、低コストかつ食品等に対する安全性の高さから工業用品以外にも日用品および食品容器等への適用が可能な技術であり、臭いや変色の心配もない。
【0043】
さらに、本発明のコーティングは基材表面や内部に微細空洞やクラックがある場合であっても、浸透性の良さから隙間に入り込み、空隙を埋めることで、耐水性や耐アルコール性さらには補修効果があることが分かっている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明で用いる一般的な製造プロセス概要
図2】空気液体除去を伴う製造プロセス概要
図3】製造装置の一例の概略図
図4】超音波によるミスト発生器概略図
図5】超音波周波数と水との大きさ
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に実施例1の製造プロセスの概要を示す。フッ素樹脂メッシュでできた金網上コンベアの上に基材が搭載され矢印の方向に移動していく。初めに表面処理剤のスプレーを上下から噴霧する。次に余分な表面処理剤を空気で吹き飛ばし、次に水蒸気を噴霧する。高温空気で乾燥させる。フッ素樹脂メッシュをコンベアに使うことで表面処理剤が着かず高温空気で乾燥後着膜がなくきれいな状態で連続して使用できる。
【0046】
図2に空気液体除去を伴う製造プロセスの概要を示す。フッ素樹脂あるいはポリオレフィン(ポリエチレンあるいはポリプロピレン) 被覆金網でできたコンベアの上に基材が搭載され矢印の方向に移動していく。初めに表面処理剤のスプレーを上下から噴霧する。次に余分な表面処理剤を空気で吹き飛ばし、次に水蒸気を噴霧する。高温空気で乾燥させる。フッ素樹脂メッシュをコンベアに使うことで表面処理剤が付着せず、高温空気で乾燥後着膜がなくきれいな状態で連続して使用できる。
【0047】
図3に製造装置の一例の概略図を示す。 製造装置の一例としては基材搭載位置、表面処理室、薬液除去室、反応室、乾燥室、基材取外位置から構成され、各々の部屋は相互拡散防止室でつながっている。フッ素樹脂メッシュ性のコンベアは図3に示すように搬送ローラーで回転駆動させられ連続的に動いている。基材搭載位置において成膜される基材がコンベア上に設置される。図示していないがコンベアには基材が動かないように多少の凹凸が施してある。
【0048】
設置された基材は相互拡散防止室を通り表面処理室に入り基材に均一に表面処理剤が上下からスプレー噴霧される。ここではシャワーフ゜レートと表記しているが、スプレーの場合はマルチノズルになる。ミストの場合はミストノズルと供給方法、材料により形態は自由に付け替えることが可能である。コンベアに微振動を与える事でメッシュによる影になるところを作らない工夫がれている。相互拡散防止室は基材の厚さに合わせて最小限コンダクタンスになるように設計され下部から排気をしている。
【0049】
表面処理室はアルミニウムの金属で出来ており内面はフッ素樹脂コートされている。また表面処理剤が吸着しないように処理室の壁面はヒーターで加熱されている。下部には流れ落ちた表面処理剤を集めて収集する設備が具備されている。その後基材は薬液除去室に入り余分たまった薬剤を吹き飛ばして適量のみのコーティング状態にする。薬液除去室にも表面処理室同様下部には流れ落ちた表面処理剤を集めて収集する設備が具備されている。薬液は出来るだけ回収して再利用行うことでコスト低減ト環境への汚染防止になる。
【0050】
次に反応室では水蒸気を上下から噴霧して反応させる。水蒸気温度は室温から100℃で任意に管理される。使用する薬剤によってはさらに高い温度にすることも可能である。反応室の壁面温度は100℃~110℃に保たれ水が吸着しないようにしてある。下部には水の収集設備が具備されている。ここで十分に反応したのち乾燥室で余計な水分を除去して、その後基材の取り出し位置でロボットにて基材が取り出される。基材の大きさ、形状によってはロボットでなくそのまま先においてある箱(図示していない)に落ちて回収する場合もある。
【0051】
コンベアはそのままローラーで下に向かい更に角度を変えて戻ってくる。このように回転式コンベアにすることで異なる大きさ、形状の基材を同時に混ぜて成膜処理する事が可能である。当然であるが各々の部屋は必要な時間だけ基材が滞在できるように個々に長さを設計してある。薬液除去室と反応室に間の相互拡散防止室は水蒸気と表面処理剤が混ざらないように、長くしてしかも排気も複数個所から行っている(図示していない)。多層にする場合は表面処理室から乾燥室を1セットとして層数の数だけセットを連続して設置する。
【0052】
図3は1層の場合を例にして説明した。また表面処理剤によっては反応室が水蒸気でない場合もある。適切な反応雰囲気を作る事になる。又脱有機溶媒反応は起きる場合は排気の後ろに処理室をもける事で対処する。工程によっては長時間の反応時間を必要とする場合がある。この場合は図3乾燥室を分離して別のコンベアに乗せて長時間の乾燥室滞在を可能にすることができる。図3に示す装置形態はあくまで連続処理の一例であり、必ずしも1個のコンベアに拘るものではない。
【0053】
本発明の製造方法により製造されたコーティング材料は、メチル基を含む有機ケイ素化合物あるいは有機チタン化合物を原料としており、ゾル-ゲル法でもゾル-ゲル法に拠らない方法でもコーティングガラス層を形成することができる。さらに、優れた撥水性、耐水性能と防湿性能を発揮するものである。
【0054】
[ケイ素化合物]
ケイ素化合物としては、主に金属アルコキシシラン化合物が用いられる。
本発明に用いる有機ケイ素化合物の例としては、ケイ素原子にメチル基が1個以上結合した構造を有する有機ケイ素化合物である。このような有機ケイ素化合物は、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
SiXn(CH3)4-n ・・・(1)
【0055】
式(1)中、Xは独立して有機基を表し、(CH3)はメチル基を表し、nは1、2又は3である。好ましくはnが1または2であることがより好ましい。すなわち、1分子中に1乃至2個のメチル基を有することが好ましい。
有機基Xは、本発明において特段限定されず、具体的にはアルコキシ基、アシロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、水素原子及びハロゲン等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基及びハロゲンが好ましい。アルコキシ基である場合には、n=1~4のアルコキシ基が好ましい。このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。また、1分子中の複数のXは、同一の基であっても異なる基であってもよい。
【0056】
本発明に用いる有機ケイ素化合物の例としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、トリメチルぺントキシシラン、ジメチルジペントキシシラン、メチルトリペントキシシラン、ジメチルジフェニルシラン、メチルジフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、メチルジフェニル(エチニル)シラン、フルオロ(メチル)ジフェニルシラン、[トリス(ジメチルメトキシシシリル)メチル]ジフェニルシラン、エトキシ(メチル)ジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメチルスタニルメチルジフェニルシラン、クロロ-N,N-ジメチルジフェニルシランアミン、アジド(メチル)ジフェニルシラン、N,N,N',N'-テトラメチルジフェニルシランジアミン、ジメチルジフェニルシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジアニリノジメチルジフェニルシラン、(1-フルオロビニル)メチルジフェニルシラン、メチルトリフェニルシランなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
この中でも特にアルコキシシランが好ましく、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシランがより好ましい。
【0057】
(金属アルコキシドシラン化合物)
本発明における金属アルコキシドシラン化合物としては、下記式(式2)で表されるものを指す。
(R1)xM(OR2)y (2)
式中、R1は、水素原子、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、アリール基(フェニル基、トリル基など)、炭素-炭素二重結合含有有機基(アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基など)、ハロゲン含有基(クロロプロピル基、フルオロメチル基などのハロゲン化アルキル基など)などを表す。R2は、炭素数1以上6以下、好ましくは炭素数1以上4以下の低級アルキル基を表す。xおよびyは、x+y=4かつ、xは2以下となる整数を表す。Mは、前記金属酸化物を構成する金属であり、それらの中でもケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウムなどが好ましく用いられ、それらを組み合わせて使ってもよい。なかでもケイ素化合物は、比較的安価で入手しやすく、反応が緩やかに進行するため、工業的な利用価値が高い。
【0058】
具体例を挙げると、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、これらに対応するアルコキシアルミニウム、アルコキシジルコニウム、アルコキシチタンが挙げられる。
中でもメチル基、ビニル基あるいはフッ素原子を持つ化合物は、撥水性、耐湿性および耐水性の観点から望ましい。これらの化合物は単独でも複合化させて用いても良い。
【0059】
(有機チタン化合物)
有機チタン化合物は、アルコキシチタンの使用が望ましい。ガラスコーティングの骨格として取り込まれる以外、残留した有機チタン化合物は、反応後に無害な酸化チタンへの変化が認められるため安全性の観点からも使用が望ましい。
さらに、溶液を基材にスプレーでコーティングする際、塗工性や反応試薬としての取り扱い性の観点から20℃での粘度が0.1~200mPa・sかつ沸点が150~300℃であることが望ましい。
【0060】
該アルコキシチタンの20℃での粘度が0.1~200mPa・sが望ましく、1~150mPa・sがより望ましく、2~100mPa・sが特に望ましい。
更に、沸点は150~300℃が望ましく、180~280℃がより望ましく、190~250℃が特に望ましい。
これらの範囲にあるアルコキシチタンは取り扱い性の観点、特に溶媒を用いないで反応溶液を作る際に都合が良い。
具体的にはチタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシシラン、テトラキス(2-エチルヘキシルオキシ)チタン、(2-プロポキシ)(2-エチルヘキサン-1,3-ジオラト)チタンなどが挙げられる。
【0061】
さらに、これらの金属アルコキシドに加えて、後述するようにガスバリア性やハードコート性を向上させる目的で添加される水溶性高分子と金属酸化物との相溶性や水素結合、イオン結合、共有結合等の相互作用を導入するために、以下
(1)~(4)に示すような(式2)のR1に各種官能基をもつ金属アルコキシドを使用することもできる。
【0062】
(1)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、
3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-アミノエチルアミノメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、2-(2-アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、p-アミノフェニルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物
(2)3-グリシドキシプロピルプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のグリシジル基とアルコキシシリル基とを有する化合物
(3)3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のチオール基とアルコキシシリル基とを有する化合物
(4)3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン等のウレイド基とアルコキシシリル基とを有する化合物がある。
これらの化合物は単独でも複合化させて用いても良い。
【0063】
本発明に用いる他の有機ケイ素化合物の例としては、ケイ素原子にフェニル基が1個以上結合した構造を有する有機ケイ素化合物である。このような有機ケイ素化合物は、下記一般式(式3)で表される化合物が挙げられる。
SiXnPh4-n ・・・(式3)
【0064】
(式3)中、Xは独立して有機基を表し、Phはフェニル基を表し、nは0、1、2又は3である。好ましくはnが1または2であり、nが2であることがより好ましい。すなわち、1分子中に2個のフェニル基を有することが好ましい。
有機基Xは、本発明の有機ケイ素化合物がゲル化する限り特段限定されず、具体的にはアルコキシ基、アシロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、水素原子及びハロゲン等が挙げられる。これらのうち、アルコキシ基及びハロゲンが好ましい。アルコキシ基である場合には、炭素数1~4のアルコキシ基が好ましい。このようなアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、2-メトキシエトキシ基等が挙げられる。また、1分子中の複数のXは、同一の基であっても異なる基であってもよいが、加水分解反応が進行する速度が均一であり、加水分解反応の制御が容易であることから、同一の基であることが好ましい。
ただし、(式3)の化合物は単独で用いることは無く、(式1)のケイ素化合物と併用する。
【0065】
本発明に用いる有機ケイ素化合物の例としては、ジフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、エチルジフェニルシラン、メチルジフェニルシラン、ジエチルジフェニルシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジフェノキシジフェニルシラン、メチルジフェニル(エチニル)シラン、フルオロ(メチル)ジフェニルシラン、[トリス(ジメチルメトキシシシリル)メチル]ジフェニルシラン、ジヒドロキシジフェニルシラン、ジアジドジフェニルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、エテニルエトキシジフェニルシラン、エトキシ(メチル)ジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、アリル(tert-ブチル)ジフェニルシラン、トリメチルスタニルメチルジフェニルシラン、ビス(1,1'-ビフェニル-4-イル)ジフェニルシラン、クロロ-N,N-ジメチルジフェニルシランアミン、アジド(メチル)ジフェニルシラン、(クロロジフェニルシリル)エテン、N,N,N',N'-テトラメチルジフェニルシランジアミン、ジフェニルジフルオロシラン、ジメチルジフェニルシラン、ジエチルジフェニルシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルシランジオール、tert-ブチルジフェニル(2-メチル-2-プロペニル)シラン、ジアニリノジメチルジフェニルシラン、クロロジフェニルシラン、ジアリルジフェニルシラン、tert-ブチルジフェニルクロロシラン、(1-フルオロビニル)メチルジフェニルシラン、tert-ブトキシジフェニルクロロシラン、ジクロロジフェニルシラン、トリフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、エチルトリフェニルシランなどがあげられるが、これに限定されるものではない。
【0066】
更にコーティング膜として、ガスバリア性を向上させるという観点からは、金属アルコキシドは連続したマトリックス構造体となるため、ゾルゲル反応により用いられる。
【0067】
(シロキサン化合物)
本発明に用いることができるシロキサン化合物の例としては、具体的には1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサン、ジエトキシポリジメチルシロキサン、3,3‐ジエトキシ‐1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルペンタントリシロキサンなどである。
【0068】
また、本発明に用いる他のシロキサン化合物の例としては、オルガノポリシロキサンなどがあげられる。例えば、(式3)に示す化合物があげられる。
(R3O)aR43-aSiO-(SiR5R6O)m-Si(R7O)bR83-b (式4)
【0069】
ここで、R3及びR7はそれぞれ独立して炭素数が1~3のアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれ独立して炭素数が1~6のアルキル基、ハロアルキル基、アリル基から選ばれる官能基であり、R5及びR6はそれぞれ独立して置換基を有しても良い炭素数が1~4のアルキル基、または置換基を有しても良いフェニル基であり、a,bはそれぞれ独立して1~3の整数、好ましくは2または3であり、mは10~1500の整数を表す。当該(式3)成分の調製方法として例えば、重合度あるいは平均分子量が公知の、HO-(SiR5R6O)m-Hで示される両末端ヒドロキシ変性オルガノポリシロキサン(シリコーンオイル)に対し、R3O及びR7Oに対応する加水分解性基を2~4個と、R4及びR8に対応するアルキル基を0~3個有し、当該加水分解性基とアルキル基の合計が4となるアルキルアルコキシシラン化合物を、加水分解縮合反応させることにより得ることができる。ここで前記アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を2個、アルキル基を2個有する化合物である場合には、得られる(式4)成分のaの値は1となり、アルキルアルコキシシラン化合物が加水分解性基を4個有する化合物である場合には、同(式4)成分のaの値は3となる。
【0070】
当該(式4)成分においてより望ましくは、分子鎖両末端のR3及びR7それぞれが独立してメチル基、エチル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R4及びR8はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基から選ばれるいずれかのアルキル基であり、R5及びR6はそれぞれが独立してメチル基、エチル基、フェニル基から選ばれるいずれかの炭化水素基であり、a及びbがそれぞれ独立して2、3いずれかの整数であり、mが25~1250の範囲にある構造の化合物である。またその粘度は100~100,000mPa・sの範囲にあるものであり、より好適には250~50,000mPa・s、さらに好適には500~30,000mPa・sの範囲にあることが望ましい。当該粘度が100mPa・s未満であると、コーティング層の撥水性が低下する。一方で100,000mPa・sを超過すると、コーティング層形成時の作業性が低下し、また滑水性も低下する虞がある。なおここでいう粘度とは、JIS Z 8803(EHD型粘度計、25℃1分間、東機産業社製品)に準拠した測定方法により測定した値を表す。
【0071】
本発明に用いられるシロキサン化合物は、25℃での蒸気圧が800Pa以下である混合物であることが好ましい。さらに、好ましくは、25℃での蒸気圧が600Pa以下、
特に好ましくは、25℃での蒸気圧が300Pa以下である。本発明における塗布や噴霧のし易さなどの観点から前記範囲が好まれる。
【0072】
本発明に用いられるシロキサン化合物は、沸点が40~300℃である物が好ましく、沸点が50~250℃であるものがより好ましく、沸点が60~220℃であるものが特に好ましい。加熱反応のしやすさなど、塗布や噴霧などの観点からも好ましい。
【0073】
(環状シロキサン化合物)
本発明では、環状のシロキサン化合物も使用することができる。環状シロキサンは、ケイ素原子上に2つのメチル基を持つケイ素原子(Si)が酸素(O)原子と結合したジメチルシロキサン単位 (CH3)2Si-О-を有する環状構造をもったシロキサンで、シリコーン製品の製造原料として使われています。中でも環状シロキサンとして一般的なものがD4、D5及びD6である。
D4として一般的に知られているオクタメチルシクロテトラシロキサンは、ジメチルシロキサン単位 (CH3)2Si-О-を4つ有する環状構造をもったシロキサンである。
D5として一般的に知られているデカメチルシクロペンタシロキサンは、ジメチルシロキサン単位(CH3)2Si-О-を5つ有する環状構造をもったシロキサンである。
D6として一般的に知られているドデカメチルシクロヘキサシロキサンは、ジメチルシロキサン単位(CH3)2Si-О-を6つ有する環状構造をもったシロキサンである。
これらのシロキサン化合物は単独で使用することも混合して使用することもできるが、最も一般的な使用法としては、アルコキシシランと共に複合化して用いることが好適である。
食品容器などに用いる場合は、D5を用いるのが好ましい。
【0074】
さらに、環状シロキサンはクラン化合物に比べて蒸気圧が低く、かつ沸点も高い。そのため常温で液体になっている場合が多く、ゾル-ゲル法で一般に用いられるアルコール溶媒に溶解したゾルのアルコール溶液の調製の必要が無い場合がある。そのため直接、基材表面へ塗布することが可能であるため、製造時における有機溶媒処理の必要がないなどの特徴を有する。
基材表面への塗布後に、触媒を用いた熱水処理でガラスコーティングを可能とする。
【0075】
[ゾル-ゲル法]
本発明は、上記説明した有機ケイ素化合物を用いて、ゾル-ゲル法により基材表面にシリカ被覆層を形成するものである。本発明に用いるゾル-ゲル法は、金属の有機化合物又は無機化合物の溶液を用いてガラス層を作製する方法の一つであり、溶液の触媒反応や熟成を利用してコロイドが分散したゾルを作製した後に、反応を促進させ形成したゲルを加熱処理することによって、乾燥する方法である。
また、ゾル-ゲル法は、溶液を用いた方法であるため、被被覆体の形状に依存することなく、ガラス層を形成することができる方法である。
【0076】
本反応で用いる反応促進剤は主として加水分解反応を促進させるためのものであり、主なものとしてはH2Оであるが、そのほかプロトン性溶媒であればH2Оの代替として使用することができる。プロトン性溶媒は水素結合を有し、酸性水素を持ち、塩を溶解し、孤立電子対によるカチオンや水素結合によるアニオンを有するものである。
具体例としては、H2О、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール、ギ酸、フッ化水素及びアンモニアが挙げられる。また、これらを混合して使うこともできる。
【0077】
一般的なゾル-ゲル法による基材表面へのコーティング方法は、以下のような方法であるが、本発明はこの方法も採用することができるものの、それ以外の方法に拠るものでもコーティングすることが可能である。
(1)有機ケイ素化合物を単独で使用する場合
まず、有機ケイ素化合物、アルコール、及び水を混合することで水溶液を調製し、該水溶液中に、pH調整剤を添加することで基材表面に被膜を形成する。
そして、被膜形成工程で得られた基材を、例えば50℃以上、200℃以下で乾燥する。この場合、熱風乾燥することが望ましい。このような工程を経ることで、基材の表面にシリカ被覆層を形成することができる。
【0078】
また、乾燥時間は特段限定されないが、通常1時間以上、24時間以下であるが、高速・量産化の観点から1時間程度であることが望ましい。 本発明の有機ケイ素化合物により形成されたシリカ被覆層は、大気中の水分と基材を遮断する働きを有しており、長期間使用した場合であっても基材への浸水を抑制することができる。また、本発明のシリカ被覆層は、温度が上昇しても黄変・着色が発生しにくく、長期間にわたって安定している。
【0079】
本発明の基材の製造方法にはpH調整剤を用いることも可能である。pH調整剤を用いる場合、pHを調整できる限り特段限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、クエン酸、乳酸等の公知のpH調整剤の中から、適宜選択して使用すればよい。これらは触媒としても機能する。
【0080】
このうち、水酸化アンモニウムやアンモニアを用いた場合、シリカ被膜層形成時において塩基触媒としての役割を果たす。この時、形成される酸化ケイ素化合物結晶同士は3次元的な結合を取りやすくなる。
pH調整の目安としては、酸側、アルカリ側のどちらに調整しても良いが、アルカリ側の方が緻密な膜を作りやすいため好ましく、pH7以上に調整することが好ましく、より好ましくはpH8以上、更に好ましくはpH9以上である。pH調整剤の含有量は、有機ケイ素化合物1モルに対し、0.02モル以上であることが好ましい。一方上限値は、0.14モル以下であることが好ましい。
一方、塩酸、硝酸、硫酸などの酸触媒を用いた場合は、形成される酸化ケイ素化合物結晶同士は2次元的な結合を取りやすくなる。
【0081】
本発明の基材表面へのガラスコーティング製造方法に用いるアルコールは、溶媒として有機ケイ素化合物を溶解し得るものであれば特段限定されるものではなく、有機ケイ素化合物の種類に応じて適宜選択することができる。有機ケイ素化合物の溶解性の観点から低級アルコールを用いることが好ましく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの炭素数1~4の低級アルコールを用いることがより好ましい。特に、毒性などの観点からエタノールの使用が好ましい。
上記アルコールは、有機ケイ素化合物1モルに対し、5モル以上であることが好ましい。一方上限値は、30モル以下であることが好ましい。上記範囲である場合には、より高い被覆性能を有するシリカ被覆層を形成することができるため、好ましい。
【0082】
本発明のガラスコーティング製造方法に用いる水は、有機ケイ素化合物1モルに対し、10モル以上であることが好ましく、30モル以上であることがより好ましい。一方上限値は、75モル以下であることが好ましく、50モル以下であることがより好ましい。上記範囲である場合には、より高い被覆性能を有するシリカ被覆層を形成することができるため、好ましい。
【0083】
(2)複合化した有機ケイ素化合物を使用する場合
ゾル-ゲル法を用いた基材への撥水加工使用する有機ケイ素化合物は、二種以上のアルコキシシランを使用することができる。例えばテトラエトキシシラン(TEOS)は、撥水性を付与するフッ化炭素鎖を側鎖に有するTriethoxy-1H,1H,2H,2H-tri-Decafluoro-n-octylsilane(Fluowet(登録商標)FS600)の架橋剤として用いられる。
【0084】
また、パーフルオロアルキルシランは加熱加工の過程でコーティング表面に移行し凝集することがわかっている。このことから、フッ化炭素鎖を支えるようにして基材表面にシリカの網目構造を形成していることが推測される。そして、基材との間では、表面に親水基を有した基材とシラン化合物のSi-OH基が加熱加工によって縮合反応を起こし、固定化される。
【0085】
特にゾル-ゲル法を用いた方法においては、従来に比べてより機能化させたガラスコーティング処理が求められており、複合化してシラン化合物を用いることで相乗効果を創出している。
すなわち、前述した数多くのシラン化合物は組み合わせて使用することは有効である。
【0086】
そのほか、(ゾルA)と(ゾルB)を別々に調製しておき、これらを混合してコーティング液を製造することも可能である。
具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4:TEOS〕とイソプロパノール(i-PrOH)の混合溶液に,H2O/TEOS=1~8(mol 比)となるように0.01規定の塩酸水溶液を加え,40~80℃ で1時間以上還流してゾルA を得る。
【0087】
同様に、メチルトリエトキシシラン〔CH3Si(OC2H5)3:MTES〕と i-PrOH の混合溶液に,H2O/TEOS=1~8(mol比)となるように酢酸水溶液(pH3)を加え,,40~80℃ で1時間以上還流してゾルBを得る。
次に,ゾルA とゾルB とi-PrOH を混合し,50℃ で1時間以上撹拌してコーティング液を得る。
コーティング液中を表面が親水状態となっている基材に成膜した。
次いで、熱処理を行い,膜厚が約100nm のSiO2 膜を得た。
【0088】
(光二元架橋反応によるアクリル/シリカ有機無機ハイブリッド)
多官能アクリレートモノマーであるペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)やトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)とテトラエトシシラン(TEOS)に BT を添加して光硬化を行い,シリカ含量の高いアクリル/シリカ有機-無機ハイブリッドを作製することもできる。
光ラジカル開始剤(ベンゾインエチルエーテル)と光酸発生剤(ジアリールヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート)を PETA/TEOS(50/50)系に別々に加え,光架橋を行うことで、より優れた撥水性を付与する反応溶液を製造することが可能である。
【0089】
(シラン/シロキサン含侵剤によるゾル-ゲル法によるコーティング)
シラン化合物としてアルコキシシラン、シロキサン化合物として常温液体のものを使用することで、前述のアルコール溶媒を一般に使用するゾル-ゲル法ではない方法を本発明では採用することができる。
具体的にはアルコキシシランにエトキシ基を有するものを使用し、シロキサン化合物としてもエトキシ基を有するものを使用する。
【0090】
特にシロキサン化合物は25℃での蒸気圧が200Paよりも低いものを使用することが望ましく、150Paよりも低いものがより好ましく、50Paよりも低いものが特に好ましい。さらに常温で液体であることが望ましく、液体のシロキサン化合物にアルコキシシランを混ぜることで、アルコールなどの溶媒をできるだけ少なく使用することができる。
またこの場合、最初にコーティング基材にシロキサン化合物を塗布し、その後、水を用いて加水分解を進行させる方法を採用することができる。この方法により、基材への水に拠る反りや歪などのダメージを軽減することが可能となる。
【0091】
アルコキシシランとしては、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、へキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどが使用されるが、メチルトリエトキシシランなどのようにメチルやフェニルなどのような炭化水素基を含むアルコキシシランが好ましい。
【0092】
シロキサン化合物としては、ケイ素が3以上持つものが好ましく、具体的には1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサン、ジエトキシポリジメチルシロキサン、3,3‐ジエトキシ‐1,1,1,5,5,5-ヘキサメチルペンタントリシロキサンや環状シロキサン、特にデカメチルシクロペンタシロキサンが好ましい。
これらは単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
【0093】
シロキサン化合物溶液にアルコキシシランを溶かし込み、さらに所定量の触媒を入れ室温で1時間攪拌させてゾル溶液を作る。それに水を加えてゲル化させた後、基材に塗布する。その後、100℃にて加熱・乾燥することでガラスコーティングを行う。
【0094】
使用する触媒は酸、 アミン、有機金属などを用いることができ、有機金属の場合は有機錫化合物またはチタン系キレート化合物であるが、毒性の問題からチタン触媒が好ましい。
具体的にはジイソプロポキシチタ ンビス(アセチルアセトナート)、チタンテトラ(アセチルアセトナート)、ジオクタノキシ チタンジオクタネート、ジイソプロポキ シチタンビス(エチルアセトアセテート)である。
また、場合によってはシランカップリング剤を使用することも可能である。具体的にはN-β(アミノ エチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル メチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などがあげられる。
これら触媒やカップリング剤は混合して使用しても良いし、単独でも複数組み合わせて使用しても良い。
【0095】
さらに、前記反応系に高分散性のフュームドシリカ(旭化成ワッカーシリコーン社製HDK(R))を添加して用いることができる。フュームドシリカは四塩化珪素の燃焼加水分解によって製造され、一般的に乾式シリカ、高分散シリカと言われ、燃焼法によって得られた二酸化珪素は、空気中で真球状の粒子(直径10-30nm)を形成し、複数の粒子が数珠状に凝集、融着し、嵩高い凝集体(粒径100-400nm)を形成する。
この凝集体が、粒子としての最小単位となり、より優れた撥水性を発現するのに寄与する。
【0096】
また、本発明はゾル-ゲル法を用いない方法でもガラスコーティングが可能である。その際使用される触媒としては以下のものである。
[触媒]
ガラスコーティング用組成物は、金属アルコキシドの加水分解・重縮合反応における反応を促進させる目的で、以下に示すような加水分解・重縮合反応の触媒となりうるものを含んでいてもよい。
具体的には、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ触媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類などが挙げられる。
【0097】
その他にも、有機スズ化合物、チタニウムテトライソプロポキシド、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトナート、チタンイソプロポキシド、 チタン-n-ブトキシド、 チタン-2-エチルへキソキシド、チタン-tert-ブトキシド、
チタンステアリルアルコキシドジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウム-n-プロポキシド、ジルコニウム-n-ブトキシド、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトナート、トリメトキシボラン、ランタニウムトリイソプロポキシド 、プラセオジニウムトリイソプロポキシド 、サマリウムイソプロポキシド 、ガドリニウムイソプロポキシド 、イットリビウムイソプロポキシド 、イットリウムイソプロポキシド、バナジウムアルコキシドなどの金属アルコキシド等を使用することができる。
この中でも、チタン系アルコキシドの使用は、ガラスコーティング生成反応後に酸化チタンへ分解するなど、無害な物質になるために使用が好ましい。
さらに触媒活性の観点からチタンイソプロポキシド、 チタン-n-ブトキシド、 チタン-2-エチルへキソキシド、チタン-tert-ブトキシドの使用が好ましい。
これら触媒は、単独で使用しても組み合わせて使用しても良い。
【0098】
反応性の観点から、比較的穏やかに反応が進行する塩酸、硝酸等、酸触媒を使用することが好ましい。好ましい触媒の使用量は、金属アルコキシド1モルに対して0.001モル以上0.05モル以下、好ましくは0.001モル以上0.04モル以下、さらに好ましくは0.001モル以上0.03モル以下の程度である。
【0099】
[ゾル-ゲル法を用いない方法]
ゾル-ゲル法を用いないコーティング剤の調製方法では、図1に示す方法でのコーティング方法が最適である。
【0100】
[表面処理剤]
表面処理剤の調整方法は水を含まない状態で調製し、該処理剤を基材にコーティングした後、水を含む反応促進剤を噴霧することで反応を進行させる。ここでの反応処理剤はメチル基を含むケイ素化合物であり、かつ有機チタン化合物を含む。それらは、前記の(式1)~(式3)で示したケイ素化合物、シロキサン化合物、環状シロキサン化合物および触媒からの化合物の組み合わせで調整する。
【0101】
ただし、必須なのはメチル基を有するケイ素化合物と有機チタン化合物である。メチル基を有するケイ素化合物は、安価で反応性も高く、かつ撥水性を創出できる。さらに有機チタン化合物は触媒成分としても機能し、かつ反応後に酸化チタンへ変化してコーティング層に取り込まれるため安全性が高いため、好適である。
前記2種類(メチル基を有するケイ素化合物と有機チタン化合物)を含んでいれば、他の化合物を目的とする性能発現に合わせて自由に追加、組み合わせることが可能である。
【0102】
[反応促進剤]
メチル基を含むケイ素化合物を反応させる目的で、水を含む反応促進剤を添加する。反応促進剤に含有する水の量は、メチル基を含むケイ素化合物の部分加水分解重縮合物に含まれる総アルコキシ基に対して、10モル当量以下であり、好ましくは4モル当量以下であり、より好ましくは3モル当量以下である。ただし、水以外の成分としてはアルコール類あるいは水に対する溶解度が100/mМ(25℃)以上のものであれば、炭化水素溶液を使用した場合使用することが可能である。水の溶解度が低すぎると相分離を起こしやすく、スプレーによる噴霧をする際に支障をきたすからである。
【0103】
金属アルコキシド類の加水分解重縮合時の好ましい反応温度は1℃以上100℃以下であり、より好ましくは20℃以上60℃以下であり、反応時間は1分以上72時間以下であり、より好ましくは5分間以上48時間以下、特に好ましくは10分間以上24時間以下である。
【0104】
[溶媒]
基材にガラスコーティングした場合、溶媒は残存していないことが肝要ある。特に食品等の容器に使用される場合には特に注意が必要となる。ゆえに使用できる溶媒は微量残存していたとしても実質無害なものが求められる。具体的には厚生労働省が指定するポジティブリストに掲載される化合物が望ましい。それ以外であっても、実質人体に無害なものであればよい。
【0105】
より具体的には、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが挙げられる。これらの溶媒は単一で用いてもまた混合溶媒として用いてもよい。
用いる溶媒の量は、ガラスコーティングとして問題なく使用できるものであれば特に制限はない。
【0106】
また、使用するコーティング剤の原料や触媒すべてが常温で液体の場合、無溶媒でコーティング剤を調製することが可能である。
この場合、極めて反応性の高いコーティング剤を調製することができるが、外部から水分が入り込むと反応が進行しやすくなるため、反応促進剤に含まれる水分と反応する前までは、湿度の調製が重要である。
【0107】
(基材)
本発明において、ガラスコーティングの対象となる基材としては、基材表面に水酸基があれば特に限定されない。例えば、織物、編み物、不織布、紙などの布帛、プラスチックフィルムやシート、さらにはゴム、パルプ、金属、金属酸化物さらには生分解性ポリマーなどがあげられる。
【0108】
具体的には、ポリアミド繊維やポリエステル繊維、レーヨン繊維、綿、パルプなどからなる布帛類やフィルムのほか、和紙、コピー紙、タイペック(デュポン社製のポリエチレン製不織布)、壁紙、襖紙、障子紙、天井紙、テーブルクロス、カーテン、マット、ゴムシートなどが挙げられる。また、上記紙等以外に、基材として、樹木、木製品、建築物を挙げることができる。
【0109】
さらに、シロキサン結合は、無機物にも可能なので、基材としては、金属、コンクリート、炭素化合物、ガラスやそれらの製品も例示することができる。特に本発明のコーティングでは、コンクリート、セラミックス、ガラス、ポリマー樹脂、繊維、パルプ製品、金属箔(金箔、銀箔、銅箔)などにおいてもしっかりとコーティングできており、撥水性、耐水性、耐湿性さらには耐アルコール性もあることが実証されている。
【0110】
(生分解ポリマー)
基材に生分解性ポリマーを使用する場合、澱粉ポリエステル、ポリ乳酸、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-コ-3-ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ乳酸/ポリカプロラクトン共重合体、ポリグリコール酸、ポリ乳酸/ポリエーテル共重合体、ブタンジオール/長鎖ジカルボン酸共重合体、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート・コ・テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペートおよびポリビニルアルコールなどがあげられる。
これらの樹脂を単独であるいは組み合わせて用いても良い。
【0111】
(フィルム加工)
また、基材としての形態はフィルム状として使用する場合は、押出成形加工に拠る方法を採用することができる。さらに、フィルム厚みの調整やフィルム強度増強の観点から二軸延伸や一軸延伸なども使用することが可能である。特に二軸延伸の場合は、MD(Machine Direction)方向とTD(Transverse Direction)方向の双方の強度バランスを取ることができることから望ましい。更に、二軸延伸に関しては逐次二軸延伸や同時二軸延伸などの方法を使用することも可能である。
そのほかのフイルム成形では、ブロー成形やキャスト成形などがあげられる。
【0112】
(フィルム以外の加工)
さらに、形状に凹凸が生ずる成形品を製造する成形方法としては射出成形や圧縮成形などの方法も採用することができる。
生分解性ポリマーを本発明に使用する場合、基材の生分解を促進させるという観点から、環境に優しい方法ということができる。
【0113】
基材への添加剤としては、生分解性の観点からはデンプン、キチンおよびキトサンなどを使用することが可能である。この場合、単独で使用しても良いし、2つ以上組み合わせて使用しても良い。
【0114】
(コーティング方法)
基材へのコーティングには、刷毛塗り、スプレー、ディッピング、ロールコート、スピンコート、印刷などの塗装手段を用いることができる。1回塗りで目的とする乾燥膜厚の塗膜を形成することができ、さらに2~5回程度塗り重ねることもできる。また、重ね塗りの場合、1回毎に加熱・乾燥処理を行ってもよい。
更に、本発明の場合は高速量産化を目的とした場合、図2に示すような連続処理を基本として表面処理剤としては出来るだけ細かなスプレー式を採用することが好ましく、両面を同時に噴霧するという特徴を有している。また、片面毎に固定した成膜の方法を採用しても良い。
【0115】
基材へのコーティングに至る順序としては、はじめに基材に反応促進剤としての水分を付与した後にシラン化合物等によるコーティング処理を行うと塗膜は形成されるが、撥水性や耐水性に劣るコーティングとなる。よって、はじめに基材へシラン化合物等によるコーティング処理を行った後に、反応促進剤としての水分による付与を行うことが望ましい。
【0116】
(基材の反り)
基材へのコーティング後、反りが大きい場合、すなわち寸法安定性が悪くなると製品の使用状態で不具合が生ずるため好ましくない。
特にコーティングでは、水分や乾燥工程などを経るため、基材が紙やパルプなど水に影響を受けやすい場合は、特に注意が必要である。
反りの値としては、基材100mmに対して、1.0mm(1.0 %)以下が望ましい。
【0117】
そのため、コーティング前の基材の調湿、反応処理剤、反応促進剤の塗布、乾燥工程は特に温度や塗布量、湿度管理などの必要がある。
基材が紙やパルプなど水に影響を受けやすい場合は、コーティング前の基材の湿度が60~10パーセントにし、より好ましくは50~15パーセント、特に好ましくは45~20パーセントに保つと良い。特に、水分はガラスコーティングの反応促進効果があるため、水分調節の管理は重要となってくる。
【0118】
また、反応促進剤の量も反りに影響を与えるため、反応処理剤との体積比(反応促進剤の体積/反応処理剤の体積)として、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.5以下がより好ましく、0.3以下が特に好ましい。
さらにまた、乾燥条件も制御が必要で、急激な加熱熱風による乾燥は好ましくない。そのため、自然乾燥、真空乾燥、赤外線による乾燥さらにはマイクロ波照射による乾燥が好ましい。特に、短時間で効率的乾燥の観点から、マイクロ波照射による乾燥が特に好ましい。本発明では、図1図2で示した乾燥工程および前処理工程(表面処理剤スプレー前の調湿)においてもマイクロ波による乾燥を導入することができる。
【0119】
更に本発明の場合は、高速量産化に加えて基材への均一コーティングを達成する目的で、図4に示すような超音波による塗布方法も推奨する。
この方法では、ゾル溶液をボックス内において超音波振動子を用いてゾル溶液をミスト化して薬液処理室にミストを導入して、噴霧したゾルが基材の表面に均一に付着する。通常の家庭用超音波式加湿器は超音波振動子が1個だが複数置くことでミスト化の量を増加することが可能である。図4では2個の例を示す。当然であるが液面が一定になるようにゾル溶剤は自動的に供給される機構を有している。また超音波振動子の設置角度もミスト化効率に大きく影響する事が解っている。
【0120】
図5に超音波振動子の周波数とミストの大きさの関係を示す。ゾル溶液としては純粋、水道水(鎌倉市)と環状シロキサンを用いた。この結果から超音波の周波数としては500kHz以上、好ましくは1000kHz,さらに好ましくは1500kHz以上が良い。ミストを小さくすることで均一に基材に隙間まで成膜可能となる。しかしゾル総益の粘度が高くなるとミスト化し難くなるのでゾル溶液の選定には粘度、沸点も重要になる。
さらに真空中で直接噴霧法を使用することもできる。この方法の適用により、高温によるクラッキングを防止することができる。
【0121】
また、ほかのミスト化の方法としては。加熱による蒸発を使うこともできる。
ゾル溶液を加熱することで蒸発させ薬液処理室に導入することで均一に成膜可能である。
ただし加熱蒸発の場合は沸点の異なる混合溶液には不向きであるが、逆に機構が単純な為各々のゾル溶液を別々に蒸発させて成分調節を行うことも可能である。
加熱ミスト化した場合には薬液処理室は分子の平均自由工程を考慮すると半導体→液晶ディスプレー製造に使われフ゜ラス゛マCVD(化学的気相成膜装置)の実績から100Pa以下とする事で空気の影響をなくして成膜することが好ましい。分子の運動エネルギーが大きいため大気との反応を防ぐ事が目的である。
【0122】
さらに、乾燥空気や乾燥窒素ガスなどでガス噴霧したスプレー噴霧によるミスト化も適用することが可能である。
【0123】
[前処理]
本発明において、基材としては表面が疎水化されている場合もあることから、ガラスコーティングの際に前処理をする場合がある。
基材は、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガスや水素ガス等を用いた大気圧低温プラズマ処理、真空室に入れて水素雰囲気、Ar雰囲気におけるプラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品、高温水蒸気などの物理的又は化学的な処理や、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の前処理を施して、密着性を改善させることもできる。また、アルコールに拠る表面洗浄にて親水性を創出することも可能である。
【0124】
(運搬形態)
本発明での基材へのガラスコーティングの際、高速・量産化も目的としていることから、表裏両面を同時に噴霧する方式を取る際に基材用コンベア式のキャリアとして図1に示すような網目状のキャリアを採用することが望ましい。
網目の大きさは基材の運搬とコーティングにムラが無ければ特に制限はない。ただし、キャリア上では網目の部分に非コーティング部分が出ないよう、キャリアに微振動を与えることでムラを防ぐ。
振動のさせ方としては超音波振動などがあげられる。
【0125】
網目の形状としては特に制限はなく、丸型、矩形や六角形などの多角形が使用される。コーティングのムラの出ない方法としては六角形などの多角形が望ましい。さらに基材が落ちないように基材に合わせた凹凸を有することが好ましい。
網目の材質としては、乾燥時の高温度に耐えうるものが望ましく、かつ有機化学薬品を成分とすることからも耐薬品性の有るものが望ましい。
【0126】
材質が無機化合物の場合は、金属、セラミックス、炭素繊維などがあげられる。
特に金属の場合は鋼、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銅、鉛、亜鉛、ニッケル、クロム、タングステン、金、銀、白金さらには合金類も使用することができる。
【0127】
材質が高分子の場合はポリエチレン、ポリプロピレンやフッ素樹脂である。耐熱性の観点からはフッ素樹脂が望ましく、コストの観点からはポリプロピレンが望ましい。
具体的にはポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートや含フッ素化合物(フッ素系樹脂)であるポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、PCTFE, CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)があげられる。
これらの樹脂で網目の形状の材料を製造する場合、前記金属製の材料に被覆した方法で使用しても良い。
【0128】
(基材の回収方法)
ガラスコーティングを終えた後、基材がフィルムやシート状の場合は、Roll to Rollのドラム式巻き取りを使用することができる。
【0129】
(基材のその他回収方法)
また、基材が非可撓性基材は鬼巻き簀(キャタピラ)を用いた巻き取り方法を使用することができる。
【0130】
(噴霧形態)
本発明での基材へのガラスコーティングの際、高速・量産化も目的としていることから、表裏両面を同時に噴霧する方式を取る際に基材用コンベア式のキャリアとして網目状のキャリアを採用することが望ましい。
網目の大きさは基材の運搬とコーティングにムラが無ければ特に制限はない。ただし、キャリア上では網目の部分に非コーティング部分が出ないよう、キャリアに微振動を与えることでムラを防ぐ。
振動のさせ方としては超音波振動などがあげられる。
【0131】
振動のさせ方は、メカニカルにコンベアあるいは基材に軽微な衝撃を間欠的に与えても良く、原料ガス、キャリアガス、補助ガスの一部を間欠的に基材裏面に当てることでも良い。基材に直接ガスを吹き付ける場合には、基材と原料供給ノズル、シャワープレート、処理チャンバー天井との距離が基材短辺よりも長いと、基材が風圧でひっくり返ったり、極端に移動しないよう、処理室内に基板を押さえるためのガイド、ガード、ストッパーを設けることが望ましい。
ガイド、ガード、ストッパーと基材の間は、強い風圧が生じ無い限り接触しないよう隙間があることが望ましい。
【0132】
網目の形状としては特に制限はなく、丸型、矩形や六角形などの多角形が使用される。コーティングのムラの出ない方法としては六角形などの多角形が望ましい。
網目の材質としては、乾燥時の高温度に耐えうるものが望ましく、かつ有機化学薬品を成分とすることからも耐薬品性の有るものが望ましい。
具体的にはポリエチレン、ポリプロピレンやフッ素樹脂である。耐熱性の観点からはフッ素樹脂が望ましく、コストの観点からはポリプロピレンが望ましい。
【0133】
具体的にはポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートや含フッ素化合物(フッ素系樹脂)であるポリテトラフルオロエチレン(四フッ素化樹脂、PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(三フッ素化樹脂、PCTFE, CTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)があげられる。
耐熱性の観点からはフッ素樹脂が望ましく、コストの観点からはポリプロピレンなどのポリオレフィン類が望ましい。
これらの樹脂で網目の形状の材料を製造する場合、金属製の材料に被覆した方法で使用しても良い。
【0134】
[シャワープレート]
スプレー供給およびミスト噴霧で材料供給する際に、基材(シート状あるいは立体形状のワーク)が大面積であったり、量産化のために多数同時成膜する場合には、ノズルからの距離によってコンベアの中央部と端部で原料供給に起因する膜厚の均一性が課題となる。
【0135】
この課題に対して
(1)パイプに多数の細孔を開けたエアシャワー型ノズルを金網状コンベアの走行方向に対して角度をつけて配置する。
(2)基材に対して平行に配置された多数の細孔を有するシャワープレートを配置する。
(3)コンベア中央と端部のガス分布を均一化するバッフル、スリット、シャッターなどの補正部材を設ける。
(4)コーティング室(チャンバー)内のノズルと基材の間にファン(撹拌羽)を設けてコンベア中央と端部のガス分布を均一化する。
といったガス分布均一化手段が有効となる。
【0136】
両面成膜の場合は基材の両面に(1)~(4)のガス分布均一化手段を設けるが、チャンバー内のガス滞留時間および網状コンベア上の基材間の配置状態によって材料ガスが基材裏面に回り込む場合は(1)~(4)のガス分布均一化手段は片側のみに設けても良い。
また、(1)多数の細孔を開けたエアシャワー型ノズルのパイプは、コンベア端部に効率的に原料ガスが供給すれば良いので、直管に限らず、曲管にしても良い。
(1)と同様の理由で(2)シャワープレートは平面型に限らず、曲面にしても良い。
【0137】
[ヒンジおよび接合部への重点成膜]
基材が平面および平坦物でなく、立体形状でヒンジ、接合部など、折り曲げや摺動などの負荷がかかる箇所がある場合には、平坦部と比較して膜厚を厚くする必要がある。
この場合は、コンベアの中央部と端部におけるコーティング面内分布の均一性とは別に、ヒンジや接合部に対しては重点的にコーティングすることになる。
(1)前述のエアシャワー型ノズルやシャワープレートとは別に、成膜材料供給のノズルを重点箇所に向けて配置する。
(2)エアシャワー型ノズルやシャワープレートの単位面積当たりの開孔率を調整する。
(3)バッフル、スリット、シャッターなどの補正部材の形状を調整する。
といった補正が有効となる。
【0138】
[ピラーによる片面供給の裏面成膜]
金網上コンベアの金網と基材が接触している箇所はマスキングされるためコーティングが不充分となる。
先にキャリアに微振動を与える方式を開示したが、基材と接触する金網上コンベアを面接触でなく点接触とすることで成膜ムラは改善される。
点接触をピラー(細い支柱)とすることで、原料蒸気(ミスト)がピラーの隙間から基材裏面に回り込むので、コーティング室(チャンバー)内での原料ミスト濃度分布が一様で滞留時間が長ければ原料ノズルはコンベアの片側のみに配置しても良い。
ピラー(細い支柱)の長さは基材の面積、金網状コンベアの隙間、ミスト粒径、キャリアガス、処理室内の圧力で適宜求められる。
ピラー(細い支柱)の長さは長い方が好ましいが、コンベアの制約から基材短辺の1/2~1/10で実施するのが良い。
ミスト粒径は小さい方が滞留時間が長くなるので裏面成膜には望ましい。
【0139】
[プロセス間隔壁]
コンベアなど移動式搬送による連続する各プロセスの処理空間は隔壁で区切られるが、基材(厚みのあるワーク、シート、フィルム状)が通過する隙間があるので隔壁は完全な気密隔壁である必要はない。そのため、Oリングやメタルガスケットなどを不要とするが、各プロセス間のガスが混じり合わないよう隙間は基材の厚みに近い程良い。
【0140】
[気密性のある隔壁]
連続するプロセスのうち、処理時間が他のプロセスと比較して長いプロセスがある場合は、コンベアなどの移動式搬送装置を区切り、可動式隔壁にして処理室(チャンバー)の気密性を保つことが望ましい。この場合も隣の他のプロセスと差圧が少なければ、Oリングシールやガスケットシールは必要としない。
【0141】
[減圧および真空処理]
乾燥、脱気、脱水(エステル反応)などのプロセスは、温度や圧力が反応時間に影響するため、減圧などの真空プロセスが有効となる場合があるが、隣接する他のプロセスと差圧が生じないよう連続搬送を間欠搬送に替えて気密性の高い処理室(チャンバー)で見做しバッチ処理することもできる。特に、加熱処理の場合は、気密性が高いと隣接する他のプロセスへの影響が少ない利点がある。
【0142】
[コンベアの走行速度]
各プロセスにおける処理時間が異なる場合は
(1)コンベアなどの移動式搬送装置は一体で、処理室(チャンバー)の長さで処理時間を調整
(2)コンベアなどの移動式搬送装置を各プロセスで区切り、コンベアの走行速度を調整
(3)コンベアなどの移動式搬送装置を各プロセスで区切り、コンベアは定速でなく間欠走行し、各プロセスは個別に一定時間処理される見做しバッチ処理
から選択される。
【0143】
[メンテナンス用気密性隔壁]
定期的にメンテナンスが必要なプロセスがある場合の可動式隔壁は、Oリング、ガスケット等の気密性シールで封止する構造が望ましい。
【0144】
[排気機構を有する二重隔壁]
各プロセス間のガス状、ミスト状の成膜原料が混じり合わないよう、隔壁は真空ポンプなどの排気機構を有する二重隔壁が望ましく、原料ガスによってはミストトラップ、スクラバー、吸着塔などの廃ガスで処理される。
また、真空ポンプによる減圧により、各プロセス室(チャンバー)間に差圧が生じないよう、二重隔壁内に設けた吸引口と真空ポンプの間に圧力計と連動するコンダクタンスバルブ、バタフライバルブ、ゲートバルブを設けることが望ましい。
【0145】
[隔壁におけるエアカーテン]
各プロセス間の原料が混ざらないと同時に、原料ミストの滞在時間を延ばすために、窒素、アルゴンなど不活性の補助ガスを隔壁の排気口に向けて乱流を生じさせないようにすることが望ましい。少ない補助ガス流量で隔壁の開口部に層流を作るために微細な吹き出し孔を並べたエアカーテンが望ましい。
【0146】
[ミスト粒径制御]
基材の表面粗さが大きい、あるいはパルプなど繊維状素材に対して、原料を霧吹きのようなスプレーで塗布すると素材の微細な孔径よりも霧粒径の方が大きいため、コーティングが不充分となってしまうため、超音波などによるミスト発生器で粒径が繊維の隙間よりも小さいミストにして原料供給する必要がある。また、ミスト粒径が小さいと、処理室(チャンバー)内におけるミスト滞留時間が長くなるので、未反応原料が少なくなり、成膜効率が高くなる利点もある。
逆に、粒径が大きいと基材表面で液滴となり、反応に不都合を生じるため、ミスト粒径は小さく、かつ、揃っていることが望ましい。
大気圧では、粒径が大きいと空間に滞留せず、重力による自由落下しやすい性質を利用して、超音波ミスト生成器と基材との間にS字管、U字管、あるいはスパイラル管のミストトラップを設けると粒径の大きいミストを除去できる。
S字管、U字管、あるいはスパイラル管のミストトラップは、パスツールの「白鳥の首フラスコ実験」のような形状の液溜を設けていれば、粒径の大きいミストを除去できるのみならず、原料を回収して再利用も可能という副次効果もある。
【0147】
[高周波によるナノサイズミスト生成]
パルプなど繊維状素材の隙間に原料を供給するには、高周波数の超音波ミスト生成器によるナノサイズミストが有効となる。
超音波ミストは、加熱方式による霧化とは異なり、超音波の力で霧化させるので、一般的に中心粒子径4~5μmの超微粒子な霧となるが、周波数によってはさらに粒径を小さくすることができ、投げ込み型振動子による2.4MHzで純水の50nmレベルのナノサイズミスト生成の報告もされている。(非特許文献)
非特許文献:関口和彦 科研費 研究成果報告書 26340057 図9
非特許文献:関口和彦 超音波ミストの粒径分布測定と空気浄化手法への応用 超音波TECHNO,29(6) p.5 (2017)
【実施例0148】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、各実施例及び各比較例は以下に示す方法で測定および評価を行った。
【0149】
(1)初期水滴接触角の測定(撥水性試験)
協和界面科学(株)製のCA-DT型接触角計を用い、大気中(約25℃)で2μLの水滴をサンプルガラスの撥水性膜に滴下して、水滴の静的接触角を測定した。
接触角が90°以下の場合は親水性で×、90°~150°は撥水性で〇および150°以上は超撥水性と判断し、◎とした。
【0150】
2)耐水性試験
コーティング処理した後に基材表面に着色した水滴を垂らし、水滴の染み込み状態および水滴が完全に乾燥等によって消失した後に、濡れた布で染みの部分を軽く3回擦る。擦った後に着色の染みが残っていれば耐水性無し、綺麗に消失すれば耐水性が有ると判断した。
【0151】
(3)耐アルコール性試験
コーティング処理した後に基材表面に着色したアルコールを垂らし、基材の底面に白地のコピー用紙を敷く。消失したアルコールは絶えず補充し続け、24時間後も該コピー用紙に染みが出ていなければ、耐アルコール性が有ると判断した。
【0152】
(4)基材の歪み
コーティング後における基材の歪み影響を測定するため、反りがどの程度出たかをJIS0621-1984に準拠した。
100mmの試験片に対して、反り高さが1.0mm以下であれば合格とした。
【0153】
(5)表面粗さ測定
基材の表面粗さ測定には三鷹光器株式会社製の非接触三次元測定装置NH-3SPを用いた。基材表面の算術平均粗さRaはJIS B 0601に準じて測定することができる。
る。
【0154】
(6)クロスカット試験(碁盤目テープ試験)
基材が金属(箔)、プラスチックスなどの合成樹脂の場合、JIS K5600 塗料一般試験方法に準拠したクロスカット法を採用した。カットの間隔は1mmであって、100升目による剥離個数を調べた。
【0155】
(実施例1-1)
パルプ用基材の表面を予めコロナ放電処理により、表面を活性化させる処理を行った。
次いでTEOSを5g、水20mL、エチルアルコールを50mL、1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサンを1mLおよびテトラプロポキシチタンを0.2g混合して反応液を作製した。この反応液に温度40℃で熱処理を施して熟成を行った。すなわち、40℃で1時間熱処理を行って熟成した。
作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の板上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、室温で水をスプレーコーティングして反応をさせた。
自然乾燥させた後、恒温乾燥機内で熱処理(100℃で1時間)を行って被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
【0156】
得られたサンプルガラスの撥水性膜について、初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行った。その結果、接触角は93°で良好(〇)な撥水性をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは3.5mmであった。耐水性は若干の染みが確認できたためにそれほどなく、耐アルコール性はなかった。
【0157】
(実施例1-2)
アルコキシシラン化合物としてメチルトリエトキシシラン(MeTEOS、CH3Si(OC2H5)3、信越化学工業(株))を用いた以外は、実施例1-1と同様にして行った。
その結果、接触角は105°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは2mmであった。
耐水性は若干の染みが確認できたためにそれほどなく、耐アルコール性はなかった。
【0158】
(実施例1-3)
シロキサン化合物として、25℃での蒸気圧が33.2Pa、沸点が211℃のデカメチルシクロペンタシロキサン100gを使用した以外は、実施例1-1と同様にして行った。
その結果、接触角は105°で撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性は得られたが、耐アルコール性はなかった。
【0159】
実施例1-4)
アルコキシシラン化合物としてメチルトリエトキシシラン(MeTEOS、CH3Si(OC2H5)3、信越化学工業(株))を用いた以外は、実施例1-2と同様にして行った。
その結果、接触角は115°でかなり良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。耐水性が得られたが、耐アルコール性はなかった。
【0160】
(実施例1-5)
更に実施例1-4に、フュームドシリカ(旭化成ワッカーシリコーン社製HDK(R))をゾル溶液に50g添加して反応を行った。
その結果、接触角は117°でかなり良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。耐水性が得られたが、耐アルコール性はなかった。
【0161】
(実施例1-6)
シロキサン化合物として、25℃での蒸気圧が132Pa、沸点が175℃のオクタメチルシクロテトラシロキサン100gおよびシランカップリング剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン1molを使用した以外は、実施例1-1と同様にして行った。
その結果、接触角は112°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは3mmであった。耐水性は無く、耐アルコール性もなかった。
【0162】
(実施例1-7)
シロキサン化合物として、25℃での蒸気圧が4.6Pa、沸点が245℃のドデカメチルシクロヘキサシロキサン100gを使用した以外は、実施例1-1と同様にして行った。
その結果、接触角は112°で撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性は得られたが、耐アルコール性は無かった。
【0163】
(比較例1-1)
実施例1で使用した1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサンの代わりに、メチル基を含まないシラン化合物としてヘキサフェニルシクロトリシロキサンを1mL使用した。
【0164】
得られたサンプルガラスの撥水性膜について、初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行った。その結果、接触角は82°で (×)な撥水性をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは5mmであった。耐水性と耐アルコール性は全くなかった。
【0165】
(比較例1-2)
実施例1で用いたテトラプロポキシチタンの代わりに硝酸溶液(濃度1М)5mLを使用した以外は、同様にして行った。
【0166】
初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行った。
その結果、接触角は65°で親水性(×)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは4mmであった。耐水性と耐アルコール性は全くなかった。
【0167】
(比較例1-3)
前処理は実施例1と同様に行った後、テトラエトキシシラン(TEOS、Si(OCH5)4、関東化学(株)、メチルトリエトキシシラン(MeTEOS、CH3Si(C2H5)3、信越化学工業(株))、メタノール(CH3OH)の混合溶液を室温にて1時間攪拌した。その後、1時間攪拌し塩酸を加え1時間攪拌してゾルを調製した。
作製したゾル液を、ポリプロピレン製網目構造のベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の板上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、不要な溶液を飛ばした後、20℃で乾燥させた後、熱処理(100℃で1時間)を行って被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
【0168】
初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行った。
その結果、接触角は70°で親水性(×)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは5mmであった。耐水性と耐アルコール性は全くなかった。
【0169】
(比較例1-4)
前処理は実施例1と同様に行った後、テトラエトキシシラン(TEOS、Si(OCH5)4、関東化学(株)、室温硬化型メチル/フェニル系レジンKR-112 (信越ポリマー製)をの混合溶液を室温にて1時間攪拌してゾルを調製した。
作製したゾル液を、ポリプロピレン製網目構造のベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の板上に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、不要な溶液を飛ばした後、20℃で乾燥させた後、熱処理(100℃で1時間)を行って被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
【0170】
初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行った。
その結果、接触角は82°で親水性(×)を示した。また、反りは3mmであった。耐水性と耐アルコール性は全くなかった。
【0171】
(比較例1‐5)
パルプ用基材の表面を予めコロナ放電処理により、表面を活性化させる処理を行った。
次いでTEOSを25.25g、エチルアルコールを234mL、水を6.48g、および、2M塩酸水溶液を3mL混合してゾル液を作製した。なお、混合割合はモル比で、TEOS/EtOH/H2O/HCl=0.3/10/0.9/0.015である。このゾル液に熱処理を施して熟成を行った。すなわち、20℃で1週間熱処理を行って熟成が完了したゾル液を得た。
作製したゾル液を、ディップコーティングによる表裏同時塗工した。その後、不要な溶液を飛ばした後、20℃で乾燥させた後、熱処理(100℃で1時間)を行って被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
【0172】
(比較例1‐6)
得られたサンプルガラスの撥水性膜について、初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行い、ウォッシャビリティーテストによるワイパー10回摺動後の水滴接触角の測定を行った。
その結果、接触角は78°で親水(×)領域の撥水性をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。反りは8mmであった。耐水性と耐アルコール性は全くなかった。
【0173】
以上のように、メチル基を含むシラン化合物と有機チタン(特にチタンアルコキシド)の組み合わせがないと、撥水性が発現し難く、かつ反りも大きい。さらに耐アルコール性もない。
【0174】
(比較例1-7)
シロキサン化合物として1,1,3,3-テトラメチル‐1,3‐ジエトキシプロパンジシロキサンを用いずに反応液を生成した以外は、実施例1‐1と同様にして反応液を調製した。その結果、接触角は58°で親水性(×)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは2mmであった。
耐水性は若干の染みが確認できたためにそれほどなく、耐アルコール性はなかった。
【0175】
(実施例3-1)
パルプ用基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてジメチルジメトキシシラン25.25gをシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、溶媒としてエチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラプロポキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は120°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性はあったが、耐アルコール性はなかった。
【0176】
(実施例3-2)
パルプ用基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC2H5)4、関東化学(株))25.25gをシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、溶媒としてエチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラプロポキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その後、基材上に反応液を2度塗り装置を行い、同様に750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は150°で良好な超撥水性(◎)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性はあったが、耐アルコール性が発現したが6時間後に染みが見られた。
【0177】
(実施例3-3)
パルプ用基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(VTMS、C2H3Si(OCH3)3、関東化学(株))25.25gとシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30gを、溶媒としてメチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラブトキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は120°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性と耐アルコール性双方が発現した。
【0178】
(実施例3-4)
パルプ用基材を750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ調湿した。
アルコキシシラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(VTMS、C2H3Si(OCH3)3、関東化学(株))25.25gとシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、有機チタン触媒:テトラブトキシチタン2gを入れ無溶媒にて1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は140°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性と耐アルコール性双方が発現した。
【0179】
(実施例3-5)
パルプ用基材を750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ調湿した。
アルコキシシラン化合物としてビニルトリメトキシシラン(VTMS、C2H3Si(OCH3)3、関東化学(株))25.25gとシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、有機チタン触媒:テトラブトキシチタン2gを入れ、無溶媒にて1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
更にスプレーコーティングによる表裏同時塗工を2度塗りし、その後、750ワットの電子レンジ(マイクロ波)で1分間乾燥させ、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は160°で超撥水性(◎)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
耐水性と耐アルコール性双方が発現した。
【0180】
(実施例4-1)
金箔基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC2H5)4、関東化学(株))25.25gをシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、溶媒としてエチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラプロポキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、20℃で30分乾燥させ、被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は110°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。
クロスカットによる1mm升の剥離は得られておらず、しっかりとした接着性が得られた。
【0181】
(実施例4-2)
金属ステンレス基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC2H5)4、関東化学(株))25.25gをシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、溶媒としてエチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラプロポキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、20℃で30分乾燥させ、被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は108°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。
クロスカットによる1mm升の剥離は得られておらず、しっかりとした接着性が得られた。
【0182】
(実施例4-3)
ABS樹脂基材を予め室温にて湿度25%のデシケータにより、1週間乾燥にて調湿した。
アルコキシシラン化合物としてテトラエトキシシラン(TEOS、Si(OC2H5)4、関東化学(株))25.25gをシロキサン化合物としてデカメチルシクロペンタシロキサン30g、溶媒としてエチルアルコールを234mLおよび有機チタン触媒:テトラプロポキシチタン2gを入れ1時間、室温で攪拌して反応液を生成した。作製した反応液を、ステンレス(SUS304)製網目構造の移動式ベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の基材に、スプレーコーティングによる表裏同時塗工した。その後、20℃で水をスプレーコーティングして反応をさせた。その反応液をスプレーコーティングによる表裏同時塗工した。
その後、20℃で30分乾燥させ、被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
その結果、接触角は102°で良好な撥水性(〇)をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。
クロスカットによる1mm升の剥離は得られておらず、しっかりとした接着性が得られた。
【0183】
(比較例4-1)
金箔基材を予め室温にて湿度100%に調湿した以外は実施例4-1と同様に行った。
その結果、接触角は85°で撥水性(×)をもつガラスコーティングパルプ基材となった。
また、クロスカットによる1mm升の70%の剥離となった。
【0184】
(参考例1)
パルプ用基材の表面を処理せずに実験を行った。
次いでTEOSを25.25g、エチルアルコールを234mL、水を6.48g、および、2M塩酸水溶液を3mL混合してゾル液を作製した。なお、混合割合はモル比で、TEOS/EtOH/H2O/HCl=0.3/10/0.9/0.015である。このゾル液に熱処理を施して熟成を行った。すなわち、20℃で1週間熱処理を行って熟成が完了したゾル液を得た。
作製したゾル液を、ポリプロピレン製網目構造のベルトコンベア上に載せた厚さ1.1mmのパルプ性の板上に、超音波による噴霧塗布方法による表裏同時塗工した。その後、20℃で乾燥させた後、熱処理(100℃で1時間)を行って被膜を形成し、撥水性膜を有するガラスコーティング基材(ガラスコートパルプ基材)を作製した。なお、施工時の基材の温度は20℃であり、施工時のコーティング液の温度は20℃であった。
得られたサンプルガラスの撥水性膜について、目視により初期の仕上り性(透明性)の評価を行った。また、上記測定方法等に基づいて、初期の撥水性の評価として初期水滴接触角の測定を行い、ウォッシャビリティーテストによるワイパー10回摺動後の水滴接触角の測定を行った。その結果、接触角は80°で親水性(×)、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは6mmであった。
【0185】
(参考例2)
パルプ用基材の表面を低温プラズマ処理をして実験を行った。その後の実験方法は参考例1と同じである。
その結果、接触角は75°で親水性(×)、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは4mmであった。
【0186】
(参考例3)
超音波による噴霧塗布方法による片面毎の塗工を行った以外は、参考例2と同様に行った。その結果、接触角は82°で親水性(×)、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは7mmであった。
【0187】
(参考例4)
超音波による噴霧塗布方法による片面毎の塗工を行った以外は、参考例1と同様に行った。その結果、接触角は85°で親水性(×)、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは10mmであった。
【0188】
(参考例5)
実施例3‐3で用いたパルプ基材を生分解性プラスチックのポリ乳酸に変えた以外は同様にして行った。その結果、接触角は105°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは3mmであった。また、基材のRaは25μmであった。
【0189】
(参考例6)
超音波による噴霧塗布方法による片面毎の塗工を行った以外は、参考例5と同様にして行った。その結果、接触角は105°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは4mmであった。
【0190】
(参考例7)
実施例3‐3で用いたパルプ基材を不織布に変えた以外は同様にして行った。その結果、接触角は98°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティング不織布基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
また、基材のRaは20μmであった。
【0191】
(参考例8)
実施例3‐3で用いたパルプ基材を織布に変えた以外は同様にして行った。その結果、接触角は92°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティング織布基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
また、基材のRaは30μmであった。
【0192】
(参考例9)
実施例3‐3で用いたパルプ基材を厚さ0.3mmの銅板に変えた以外は同様にして行った。事前に銅板は低温プラズマ処理を行った。その結果、接触角は103°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティング銅板基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは0mmであった。
また、基材のRaは2μmであった。
【0193】
(参考例10)
実施例3‐3で用いたパルプ基材を厚さ0.5mmのポリエチレンシートに変えた以外は同様にして行った。事前にポリエチレンシートは低温プラズマ処理を行った。その結果、接触角は112°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティング銅板基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。
また、基材のRaは2μmであった。
【0194】
(参考例11)
実施例3-3で用いたパルプ基材を厚さ0.5mmのポリブタジエンゴムシートに変えた以外は同様にして行った。事前にポリブタジエンゴムシートは低温プラズマ処理を行った。その結果、接触角は102°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティング銅板基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは1mmであった。また、基材のRaは1μmであった。
【0195】
(参考例12)
パルプ基材をRaが15μmのバラの花のドライフラワーに置き換え、かつ該ドライフラワーを前処理として低温プラズマ処理を行った。実施例3-2で用いた方法によりコーティング処理を行った。
その結果、接触角は110°で撥水性(〇)が良好で、ガラスコーティングしたドライフラワー基材を短時間の製造で得ることが出来た。また、反りは2mmであった。
また、当該ドライフラワーの1カ月後の保存状況も良く、接触角は108°で撥水性が良好で、保存状態も良く変色が見られなかった。1カ月後のRaは12μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明によれば、基材の形状が複雑なものであっても良好な撥水性をもつガラスコーティングパルプ基材を短時間の製造で得ることが出来る。また、基材の乾燥後の反りや歪もほとんどなく、製品へのダメージも少ない。また、着色や臭いもない。
【符号の説明】
【0197】
1 金網状コンベア
2 基材
3 ミスト発生器
4 ノズル
5 可動隔壁
6 真空排気ポンプ
7 圧力計
8 コンダクタンスバルブ
9 赤外線ヒーター
10 温度調整スリット
11 赤外線温度モニター
12 ヒーター窓パージシャワープレート
13 微振動発生器
14 基材回収整列ソーター
15 ステッピングモーター
16 監視モニター
17 送り出しドラム
18 巻取ドラム
19 生分解性素材可撓フィルム
20 巻き簀状非可撓性基材
図1
図2
図3
図4
図5