(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044930
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせたグラフェンの集まりを摩擦圧接で接合したグラフェン接合体によって燃料電池用セパレータを作成する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/0213 20160101AFI20240326BHJP
H01M 8/0247 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20240326BHJP
H01M 8/0263 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M8/0213
H01M8/0247
H01M8/0258
H01M8/0263
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150764
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】512150358
【氏名又は名称】小林 博
(72)【発明者】
【氏名】小林 博
【テーマコード(参考)】
5H126
【Fターム(参考)】
5H126AA08
5H126AA12
5H126EE03
5H126EE22
5H126EE24
5H126EE35
5H126GG06
5H126HH02
5H126HH03
5H126HH06
5H126JJ03
5H126JJ08
5H126JJ09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】グラフェンの集まりを用いて、燃料電池用セパレータに類似した厚みが薄い板材に加工し、該板材が、第一に、金属に近い電気抵抗を持ち、第二に、ガスの不透過性を持ち、第三に、酸に対する耐食性を持ち、第四に、十分な衝撃強度を持ち、第五に、ガス流路が形成でき、第六に、著しく軽量で安価な燃料電池用セパレータが製造でき、第七に、片方の面のみならず、両方の面に、ガス流路が容易に形成できる、燃料電池用セパレータを作成する方法を提供する。
【解決手段】金型の一方の面によって、グラフェンの集まりの全体を均等に圧縮し、重なり合った面でグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体になる。この際に、金型の他方の面に形成した突起がグラフェン接合体と接触する部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝を形成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータを作成する方法は、
2枚の平行平板電極からなる一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に敷き詰め、該一方の平行平板電極を、容器に充填したメタノール中に浸漬させ、他方の平行平板電極板を、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記2枚の平行平板電極からなる電極板対を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該電極板対の間隙に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記電極板対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記電極板対の間隙に前記基底面からなるグラフェンの集まりが析出する、この後、前記電極板対の間隙を拡大し、該電極板対を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記容器に左右、前後、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記電極板対の間隙から前記メタノール中に移動させる、この後、前記容器から前記2枚の平行平板電極を取り出し、前記容器内にメタノールに分散したグラフェンの集まりを作成する、
さらに、前記容器内で超音波方式のホモジナイザー装置を稼働させ、前記メタノールを介して前記グラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加え、該グラフェンの集まりを、前記メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離させる、この後、前記容器から前記ホモジナイザー装置を取り出し、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を前記容器内に作成する、
この後、前記懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、形状が立方体である第一の特徴と、大きさが、前記立方体の容器の内側の正方形と同一の大きさの正方形である第二の特徴と、厚みが、前記立方体の容器の深さより厚い第三の特徴と、一方の面が平面である第四の特徴と、他方の面に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝を形成する突起を形成した第五の特徴とを兼備する金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように該金型を懸濁液に被せ、さらに、前記立方体からなる容器を前記メタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
この後、前記金型の一方の面の全体を均等に圧縮する、これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体を形成する、この際に、前記金型の他方の面に形成した突起と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成され、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが前記グラフェン接合体の片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に作成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記立方体からなる容器を、前記燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い複数個所に、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度を同時に加え、前記燃料電池用セパレータを、前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項1に記載した片方の面にガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを形成した燃料電池用セパレータについて、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータを、請求項1に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向になるように、前記2枚の燃料電池用セパレータを、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータの表面に、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の表面全体を、請求項1に記載した金型の一方の面を均等に圧縮する際に加えた圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータの平面同士が摩擦圧接し、該2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記重ね合わせた平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該一体化された燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【請求項3】
請求項1に記載したガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータが、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項1に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、請求項1に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、該第五の特徴が、同一形状からなる細長い直方体の突起の複数個が、金型の他方の面に形成された特徴であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起は、幅が1mmで、長さが前記金型の幅と同じ長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、前記他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して複数個を形成した突起であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起を、前記金型の他方の面に形成した前記第五の特徴を持つ金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように、該金型を懸濁液に被せ、さらに、該容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
さらに、前記金型の一方の面の全体を均等に圧縮する、この際に、最初に、前記他方の面に形成された複数個の突起が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮し、次に、前記他方の面における前記複数個の突起を除く平面部分が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮する、
これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりがグラフェン接合体を形成する、この際に、前記同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起が形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、前記同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起と同一形状からなる複数個の溝が、幅が1mmで、長さが前記金型の幅に相当する長さで、厚みが0.5mmからなる溝として、前記グラフェン接合体の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して複数個が形成される、これによって、前記細長い直方体の溝が、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝となり、該溝の複数個が前記グラフェン接合体に形成され、片方の面にガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が複数個形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に作成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記容器を前記燃料電池用セパレータが密着した前記金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、前記燃料電池用セパレータを前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが、片方の面に形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【請求項4】
請求項3に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項3に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って、片方の面に形成した同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成した燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、該2枚の燃料電池用セパレータを、前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータの表面に、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の表面全体を、請求項3に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士が摩擦圧接し、前記2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【請求項5】
請求項1に記載したガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータが、細長い直方体の複数個の溝が連続して繋がった溝が、燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、該連続して繋がった溝が始まる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面から形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの入り口部を形成し、該連続して繋がった溝が終わる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面まで形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの出口部を形成し、これら3つの特徴を持つ燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項1に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、請求項1に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、該第五の特徴が、細長い直方体の複数個の突起が、連続して繋がった構造からなる突起が金型の他方の面に形成された特徴であり、該細長い直方体の複数個の突起が連続して繋がった構造からなる突起は、幅が1mmで、長さが前記金型の幅の90%に相当する長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、同一形状からなる複数個の直方体の突起として、2mmの等間隔で並行して前記金型の他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に複数個を形成するとともに、該細長い直方体の突起の端部が、隣り合う細長い直方体の突起の端部と、曲部の突起を介して双方の細長い直方体の突起同士が繋がる該曲部の突起を、前記細長い直方体の突起の双方の端部に形成し、前記細長い直方体の複数個の突起を、連続して繋がった構造からなる突起とし、さらに、前記連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が始まる突起とし、さらに、前記連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部まで該細長い直方体の突起が形成される突起とし、該連続して繋がった構造からなる突起を、前記金型の他方の面に形成した前記第五の特徴を持つ金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように、該金型を懸濁液に被せ、該容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
さらに、前記金型の一方の面の表面全体を均等に圧縮する、この際に、最初に、前記他方の面に形成された前記突起が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮し、次に、前記他方の面に形成された前記突起を除く平面部分が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮する、
これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりがグラフェン接合体を形成する、この際に、前記連続して繋がった構造からなる突起として形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝が等間隔に並行して形成されるとともに、該細長い直方体の溝の端部が、隣り合う細長い直方体の溝の端部で、曲部の溝を介して双方の細長い直方体の溝同士が繋がる該曲部の溝が、前記細長い直方体の溝の双方の端部に形成され、前記細長い直方体の複数個の溝が、前記曲部の溝を介して連続して繋がった溝となり、該溝が燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、前記連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部を構成する溝が形成され、前記連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部まで形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの出口部を構成する溝が形成される、これによって、ガス流路とガスの入り口部とガスの出口部とが片方の面に形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に作成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記容器を前記燃料電池用セパレータが密着した前記金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、前記燃料電池用セパレータを前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、細長い直方体の複数個の溝が連続して繋がった溝が、燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、該連続して繋がった溝が始まる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面から形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの入り口部を形成し、該連続して繋がった溝が終わる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面まで形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの出口部を形成し、これら3つの特徴を持つ燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【請求項6】
請求項5に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを形成し、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項5に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが、片方の面に形成された燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向になるように、該2枚の燃料電池用セパレータを、前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータに、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の全体を、請求項5に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータの前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士が摩擦圧接し、該2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成されたグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記重ね合わせた平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該一体化された燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフェン同士を重なり合わせたグラフェンの集まりを、摩擦圧接で接合したグラフェン接合体によって燃料電池用セパレータを作成する方法に関わる。
最初に、メタノール中で黒鉛粒子における黒鉛結晶の層間結合を同時に破壊させ、グラフェンの集まりをメタノール中に析出させ、さらに、メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を作成する。次に、予め決めた重量の懸濁液を、深さが浅い立方体の容器に注入し、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、面を上にしたグラフェンの集まりを懸濁液中で並ばせる。さらに、金型の大きさが前記容器の内側の正方形と同一の大きさで、金型の厚みが前記容器の深さより厚い立方体からなり、一方の面が平面である金型に対し、他方の面に、燃料電池用セパレータのガスの入り口とガス流路とガスの出口とを構成する溝を形成する突起を形成する。金型の他方の面を、容器内の懸濁液に被せ、容器をメタノールの沸点に昇温し、懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる。さらに、金型の一方の面の全体を均等に圧縮し、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体を作成する。この際に、燃料電池用セパレータのガスの入り口とガス流路とガスの出口とを構成する溝を形成する突起と接触するグラフェン接合体の部位に、ガスの入り口とガス流路とガスの出口とを構成する溝が形成され、厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが、容器の底面に形成される。この後、金型の側面に衝撃加速度を加え、容器を燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がす。さらに、金型の側面に前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度を加え、燃料電池用セパレータを金型から剥がし、燃料電池用セパレータを取り出す。
なお、本発明者は、有機化合物の粘性を利用して、カーボンブラックのアグリゲートを合成樹脂のペレットに繰り返し吸着させ、該合成樹脂のペレットの集まりを用い、成形体を成形し、該合成樹脂の成形体からなる燃料電池用セパレータを作成する方法に係る先行出願を、特願2021-035897として出願している。
本発明は、グラフェン接合体によって燃料電池用セパレータを作成する点で、先行出願と異なる。
【背景技術】
【0002】
燃料電池には、固体高分子型、リン酸型、溶融炭酸型、固体酸化物型の4種類がある。燃料電池は、電気自動車の発電装置、家庭用のコジェネシステム、パソコン等の携帯機器などの電源として用いることが検討されている。燃料電池は、大きな起電力を得るため、ユニットセルを積層して直列配列させる。このユニットセルを仕切る板としてセパレータを用いる。セパレータは、多くの場合は、複数の溝からなるガス流路が形成された板状体である。例えば、1台の電気自動車には400枚にも及ぶセパレータが必要となる。従って、セパレータは燃料電池の重量とコストとの大半を占める。このため、燃料電池を普及させるには、セパレータの大幅なコスト低減と大幅な重量の低減との双方が必須になる。
いっぽう、セパレータには、通電性、ガス不透過性、耐食性、強度、ガス供給性の機能が求められる。
第一に、セパレータの電気抵抗が、燃料電池の発電ロスになるとともに発熱の要因になる。発熱は電池の寿命を短くするため、電池の冷却能力を高める必要性がある。冷却器を付加することで、電池の重量と製造コストとがさらに増える。ちなみに、アメリカのエネルギー省が求めているセパレータの電気抵抗は、20Ωcm以下である。しかし、自動車の燃料電池は、90kW程度の発電能力が求められる。例えば、300ボルト、300アンペアの燃料電池において、20Ωcmの電気抵抗を有する材料を用い、A-4の面積で、厚みが2mmからなる400枚のセパレータに電流が流れる際の抵抗は、僅かに0.0026Ωである。しかし、このセパレータに、300アンペアの電流が流れると、0.8ボルトの電圧ロスが発生し、240ワットの内部損失となって発熱する。このため、冷却器によって、電池の冷却能力を高める必要性が発生する。しかし、冷却器を採用することで、燃料電池の重量の増大とコストの上昇とがもたらされる。従って、セパレータの電気抵抗は、低ければ低いほど良い。
第二に、セパレータに、水素ガスと空気とが流れ、水素ガスと空気とが混ざり合うと、爆発の危険性と燃料のロスとをもたらす。このため、セパレータに、大気圧におけるガス不透過性が求められる。ちなみに、アメリカのエネルギー省が求めているセパレータのガス不透過性は、2×10―6cm3/cm2/秒である。
第三に、燃料電池における発電の原理は、プロトン(H+)が燃料極から酸素極に移動することである。このため、強い酸化の環境で発電が行われ、セパレータに高い耐食性が求められる。この環境下で使用できる金属は、腐食電位の大きさから、金と白金に限られる。従って、セパレータに用いる金属は、金メッキが必須になり、セパレータの製造コストが増大する。また、金属イオンが、電池内に溶出すると、溶出した金属イオンが、高分子膜の発電能力を低下させる。このため、セパレータに用いる金属は、金メッキが必須になる。
第四に、自動車における燃料電池は、衝突時における衝撃で破壊しないことが求められる。このため、セパレータに衝撃強度が必要になる。いっぽう、セパレータの強度を増大するために、セパレータの板厚を厚くすると、セパレータの重量が増える。
第五に、セパレータには、ガス流路が設けられ、燃料となる水素ガスないしは酸素ガスをガス流路から導入し、燃料極ないしは酸素極に供給する。多くの場合、セパレータに溝を形成し、ガスを供給する通路として用いている。
第六に、電気自動車が普及するキー技術は、燃料電池の大幅な製造コストの低減である。このため、電気自動車を普及させるには、現在開発されているセパレータのコストを大幅に引き下げる必要がある。従って、現在開発されているセパレータの構成と構造とが全く異なる新たな材料からなるセパレータの開発が必要とされている。
ところで、現在開発されているセパレータの材質は、金属系とカーボン系とに大別される。セパレータの軽量化、製造コストの低減、耐食性を確保する観点から、合成樹脂の基板に、カーボン系の材料によって導電性をもたらす構成からなるセパレータが、他の材質で構成したセパレータより優位である。すなわち、汎用的な合成樹脂の密度は0.9-1.6g/cm3で、アルミニウムの密度の2.7g/cm3より低い。また、合成樹脂によってセパレータを成形する費用は、金属によってセパレータを加工する費用より安価である。さらに、カーボンブラックや黒鉛粒子などの汎用的なカーボン材料は、金属粒子より安価である。また、カーボン材料は、耐食性が金属粒子より優れる。
【0003】
合成樹脂の基板に、カーボン系の材料によって導電性をもたらす従来例として、例えば、以下の従来技術がある。
特許文献1には、様々な合成樹脂からなる基板の表面の凹凸に、導電性組成物をスプレーコーティングしたセパレータが記載されている。なお、導電性組成物は、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂およびアクリル樹脂などの樹脂をバインダーとして用い、このバインダーに、導電性炭素粉末またはAg、Cu、Niなどの金属粉末を分散した導電性組成物として用いている。
しかしながら、バインダーとしての合成樹脂に、導電性炭素粉末または金属粉末を単純に分散しても、導電性炭素粉末または金属粉末が連続して接合し、電流が流れる通路が形成できなければ、バインダーとしての合成樹脂の電気抵抗が優勢になり、セパレータの導電性が向上しない。いっぽう、セパレータの導電性を高めるために、導電性炭素粉末または金属粉末の充填率を高める必要があるが、これら固体の充填率を高めると、スプレーコーティングが困難になる。また、金属粉末を用いることによって、表面に現れた金属粉末が溶解し、これによって、セパレータの内部腐食が進む。
【0004】
特許文献2には、合成樹脂からなる非炭素質樹脂と、球状の黒鉛、アスペクト比が2.0以下の黒鉛粉末および導電性カーボンブラックからなる導電剤とを複合化した導電性のセパレータが記載されている。
しかしながら、非炭素質樹脂に導電剤を単純に混合して成形体を成形しても、導電剤が連続して接合し、電流が流れる通路を成形体に形成できなければ、非炭素質樹脂の電気抵抗が優勢になり、セパレータの導電性が向上しない。いっぽう、セパレータの導電性を高めるために、導電剤の充填率を高めると、非炭素質樹脂の成形が困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-079536
【特許文献2】WO99/49530
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に説明したように、合成樹脂からなる基板に、カーボン系の材料によって導電性をもたらす燃料電池用セパレータを形成するには、原理的な様々な課題がある。また、電気自動車を普及させるには、現在開発されているセパレータのコストと重量とを、大幅に引き下げる必要がある。
このため、新たな材料によって、燃料電池用セパレータを形成できないかを検討した結果、黒鉛粒子における黒鉛結晶を構成する基底面であるグラフェンに着目した。
2段落で説明したように、燃料電池用セパレータには、通電性、ガス不透過性、耐食性、強度、ガス供給性の機能と、低コスト化と重量の軽減とが求められる。
いっぽう、黒鉛粒子における黒鉛結晶を構成する基底面であるグラフェンは、厚みが0.332nmと極めて薄い。このため、グラフェンの厚み方向の熱伝導率は極めて小さく、面方向に熱が優先して伝わる。また、グラフェンの厚み方向の導電率は極めて小さく、面方向に電子が優先して伝わる。このように、グラフェンは異方性に基づく様々な優れた性質を持つ。すなわち、熱伝導率が1880W/mKで、金属の中で最も熱伝導率が高い銀の熱伝導率の4.5倍に相当する熱伝導率を持つ。体積固有抵抗率は1.3μΩcmで、金属の中で最も体積固有抵抗率が小さい銀の体積固有抵抗率である1.6μΩcmよりさらに小さい。さらに、融点が3000℃を超える単結晶材料で、耐熱温度が3000℃を超える。また、破断強度が42N/mであり、鋼の100倍を超える強度を持ち、ヤング率が1020GPaと極めて大きい強靭な素材である。さらに、酸およびアルカリと反応しない極めて安定した物質である。
ここで、燃料電池用セパレータに求められる前記した5つの機能と、グラフェンの性質とを対比させる。
第一に、グラフェンの体積固有抵抗率が1.3μΩcmで、金属の中で最も体積固有抵抗率が小さい銀の体積固有抵抗率である1.6μΩcmよりさらに小さい。このため、金属より優れた導電率を持つため、導電性については申し分ない導電性を持つ。
第二に、グラフェンは、炭素原子が1.421オングストロームの距離で、六角形の強固な網目構造を2次元的に形成した単結晶材料である。このため、ガス不透過性についても申し分ないガス不透過性を持つ。
第三に、グラフェンは、酸およびアルカリと反応せず、融点が3000℃を超える単結晶材料である。このため、耐食性についても、申し分ない耐食性を持つ。
第四に、グラフェンは、破断強度が42N/mであり、鋼の100倍を超える強度を持ち、ヤング率が1020GPaと極めて大きい強靭な素材である。このため、機械的強度についても、申し分ない機械的強度を持つ。
第五のガス供給性の機能は、グラフェンの集まりをどのように加工して、燃料電池用セパレータにおけるガス流路を形成するかに関わる機能であるため、グラフェン自体の性質とは、直接関りがない。
以上に説明したように、グラフェンは、燃料電池用セパレータを構成する素材として、優れた性質を発揮する可能性を持つ。従って、本発明における課題は、グラフェンの集まりを用いて、燃料電池用セパレータに類似した厚みが薄い板材に加工し、加工した板材が、燃料電池用セパレータに求められる次の6つの機能を兼備することである。
第一に、金属に近い電気抵抗を持つ。第二に、ガスの不透過性を持つ。第三に、酸に対する耐食性を持つ。第四に、衝撃に対する十分な強度を持つ。第五に、ガス流路が形成できる。第六に、従来の燃料電池用セパレータより著しく軽量な燃料電池用セパレータが安価に製造できる。
いっぽう、燃料電池には、バイポーラ型とモノポーラ型とがある。バイポーラ型は、集電体の片側に正極を形成し、反対側に負極を形成した電極板からなる電池構造である。従来のモノポーラ型では、正極と負極とを、それぞれ独立した電極板として電池を構成していた。従って、バイポーラ型の燃料電池では、電極を構成する集電体のみならず、複数のセルを連結する端子、各セルを区分けする筐体などが少なくて済み、燃料電池がコンパクト化できるため、より多くのセルが搭載できる。また、従来のモノポーラ型は、複数のセルを端子で連結しているのに対し、バイポーラ型は、複数のセルが直列に積み重なった構造を採ることができるため、電池の内部抵抗が大きく低減し、電池の出力が増大する。このため、現在では、バイポーラ型が燃料電池の主流になっている。燃料電池用セパレータについては、モノポーラ型の燃料電池では、燃料電池用セパレータの片方の面にガス流路が設けられ、燃料となる水素ガスないしは酸素ガスを溝から導入し、燃料極ないしは酸素極に供給する。いっぽう、バイポーラ型の燃料電池では、燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が設けられ、片方の面のガス流路の溝から水素ガスを導入し、燃料極に供給する。また、他方の面のガス流路の溝から酸素ガスを導入し、酸素極に供給する。従って、燃料電池用セパレータに類似した厚みが薄い板材に、片方の面のみならず、両方の面に、ガス流路が容易に形成できることが、本発明における第七の課題になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
重ね合わせたグラフェン同士を摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータを作成する方法は、
2枚の平行平板電極からなる一方の平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを平坦に敷き詰め、該一方の平行平板電極を、容器に充填したメタノール中に浸漬させ、他方の平行平板電極板を、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりを介して、前記一方の平行平板電極の上に重ね合わせ、前記2枚の平行平板電極からなる電極板対を前記メタノール中に浸漬させる、この後、該電極板対の間隙に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加する、これによって、該電位差の大きさを前記電極板対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、前記鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは前記塊状黒鉛粒子の集まりに印加され、該電界の印加によって、前記鱗片状黒鉛粒子ないしは前記塊状黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊され、前記電極板対の間隙に前記基底面からなるグラフェンの集まりが析出する、この後、前記電極板対の間隙を拡大し、該電極板対を前記メタノール中で傾斜させ、さらに、前記容器に左右、前後、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、前記グラフェンの集まりを、前記電極板対の間隙から前記メタノール中に移動させる、この後、前記容器から前記2枚の平行平板電極を取り出し、前記容器内にメタノールに分散したグラフェンの集まりを作成する、
さらに、前記容器内で超音波方式のホモジナイザー装置を稼働させ、前記メタノールを介して前記グラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加え、該グラフェンの集まりを、前記メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離させる、この後、前記容器から前記ホモジナイザー装置を取り出し、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を前記容器内に作成する、
この後、前記懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、形状が立方体である第一の特徴と、大きさが、前記立方体の容器の内側の正方形と同一の大きさの正方形である第二の特徴と、厚みが、前記立方体の容器の深さより厚い第三の特徴と、一方の面が平面である第四の特徴と、他方の面に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝を形成する突起を形成した第五の特徴とを兼備する金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように該金型を懸濁液に被せ、さらに、前記立方体からなる容器を前記メタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
この後、前記金型の一方の面の全体を均等に圧縮する、これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体を形成する、この際に、前記金型の他方の面に形成した突起と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成され、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが前記グラフェン接合体の片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に形成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記立方体からなる容器を、前記燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い複数個所に、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度を同時に加え、前記燃料電池用セパレータを、前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが形成される、該燃料電池用セパレータの形成方法。
【0008】
本発明は、極めて簡単な次の6つの処理からなる。
第一の処理は、グラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液を作成する。
最初に、2枚の平行平板電極の間隙に敷き詰められた鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりを、絶縁体であるメタノール中に浸漬させ、2枚の平行平板電極間に予め決めた大きさからなる直流の電位差を印加させる。これによって、電位差を2枚の平行平板電極の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりないしは塊状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生する。この電界は、前記した黒鉛粒子の全てに対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与える。これによって、π電子はπ軌道上の拘束から解放され、全てのπ電子がπ軌道から離れて自由電子となる。つまり、π電子に作用するクーロン力が、π軌道の相互作用より大きな力としてπ電子に与えられると、π電子はπ軌道の拘束から解放されて自由電子になる。この結果、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子が、π軌道上に存在しなくなり、黒鉛粒子の全てについて、黒鉛粒子を形成する黒鉛結晶からなる基底面の層間結合の全てが同時に破壊される。これによって、2枚の平行平板電極の間隙に、基底面の集まり、すなわちグラフェンの集まりが瞬時に作成される。作成されたグラフェンは、不純物がなく、黒鉛結晶のみからなる真性な物質である。なお、2枚の平行平板電極がメタノール中に浸漬しているため、2枚の平行平板電極の間隙に析出したグラフェンの集まりは飛散しない。
すなわち、絶縁体であるメタノール中に浸漬した2枚の平行平板電極間に、電位差を印加させると、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する。なお、メタノールは比抵抗が3MΩ・cm以上で、誘電率が33の絶縁体である。また、エタノールも誘電率が24からなる絶縁体である。なお、エタノールの電気導電率は7.5×10-6S/mで、鱗片状黒鉛粒子の電気伝導度が43.9S/mである。従って、エタノールは、導電体である鱗片状黒鉛粒子に比べ、電気導電度が1.7×107倍低い絶縁体である。
なお、黒鉛粒子は、鉱物としての天然の黒鉛結晶を用い、精製した黒鉛粒子に、鱗片状黒鉛粒子、塊状黒鉛粒子(鱗状黒鉛粒子とも言う)、土状黒鉛粒子の3種類が存在する。土状黒鉛粒子は、他の2種類の黒鉛粒子に比べ、黒鉛結晶の結晶性が劣るため、土状黒鉛粒子の層間結合を破壊して得られるグラフェンの量が、他の2種類の黒鉛粒子に比べ少ない。また、鱗片状黒鉛粒子は、塊状黒鉛粒子に比べ、アスペクト比が大きい扁平状の粒子である。このため、鱗片状黒鉛粒子の層間結合を破壊すると、塊状黒鉛粒子よりアスペクト比が大きいグラフェンが得られる。いっぽう、塊状黒鉛粒子は、鱗片状黒鉛粒子に比べ、粒子が大きい。このため、塊状黒鉛粒子の層間結合を破壊することで、鱗片状黒鉛粒子より多くのグラフェンが得られる。この理由から、黒鉛粒子として、鱗片状黒鉛粒子ないしは塊状黒鉛粒子を用いた。
次に、グラフェンの集まりを、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動させる。このため、2枚の平行平板電極の間隙を、メタノール中で拡大させ、さらに、メタノール中で傾斜させ、この後、メタノールが充填された容器に3方向の振動加速度を順番に繰り返し加える。これによって、グラフェンの集まりが、2枚の平行平板電極の間隙からメタノール中に移動する。この後、2枚の平行平板電極を容器から取り出す。この結果、容器内に、グラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液が作成される。
第二の処理は、グラフェンの集まりがメタノールに分散した懸濁液中で、ホモジナイザー装置を稼働させる。つまり、メタノールを介してグラフェンの集まりに衝撃波を繰り返し加える。これによって、グラフェンの集まりが、メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離され、分離されたグラフェンの集まりがメタノールに分散する。つまり、超音波方式のホモジナイザー装置を懸濁液中で稼働させると、グラフェンの扁平面よりさらに1桁以上小さい極微細で莫大な数からなる気泡の発生と消滅とが、超音波の振動周波数の周期に応じてアルコール中で連続して繰り返され(この現象をキャビテーションという)、気泡がはじける際の衝撃波が、殆ど質量を持たないグラフェンの集まりに繰り返し加わり、グラフェンの集まりが、短時間で1枚1枚のグラフェンにメタノール中で分離する。この結果、1枚1枚のグラフェンンに分離されたグラフェンの集まりが、メタノール中に分散する。すなわち、ホモジナイザー装置によって、低粘度で低密度のメタノールに加えた衝撃波は、メタノールの分子振動に消費される割合は少なく、多くの衝撃波が殆ど質量を持たないグラフェンの集まりに加わる。グラフェン同士が重なり合ったグラフェン同士の接合力が極めて小さいため、重なり合ったグラフェンに衝撃波が加わると、メタノール中で短時間に、かつ、確実に、グラフェン同士の重なり合いが解除され、1枚1枚のグラフェンに分離される。この結果、前記懸濁液が、1枚1枚のグラフェンに分離したグラフェンがメタノールで覆われた該グラフェンの集まりが、メタノールに分散した懸濁液となる。
第三の処理は、懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、深さが浅い立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、グラフェンの集まりを、面を上にしてメタノール中でランダムに並ばせる。つまり、メタノールで覆われ、メタノール中で1枚1枚のグラフェンに分離したグラフェンに振動加速度を加えると、殆ど質量を持たないグラフェンが振動方向に移動する。いっぽう、グラフェンは、厚みが0.332nmと極めて薄いため、厚みに対する面積の比率であるアスペクト比が極めて大きい。このため、グラフェンがメタノール中で振動加速度を受けると、面を上にしてメタノール中を移動するのが、グラフェンに最も負荷が加わらない。従って、グラフェンの集まりが3方向の振動加速度を繰り返し受けると、1枚1枚のグラフェンが、メタノール中で面を上にしてランダムに並んで積層する。最後に、上下方向の振動加速度を加え、1枚1枚のグラフェンが、メタノール中で面を上にしてランダムに並んだグラフェンの集まりが確実に形成される。
第四の処理は、形状が立方体である第一の特徴と、大きさが、前記立方体の容器の内側の正方形と同一の大きさの正方形である第二の特徴と、厚みが、前記立方体の容器の深さより厚い第三の特徴と、一方の面が平面である第四の特徴と、他方の面に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝を形成する突起を形成した第五の特徴とを兼備する金型を用意する。次に、金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように該金型を懸濁液に被せ、容器をメタノールの沸点に昇温し、グラフェンの集まりからメタノールを気化させる。これによって、1枚1枚のグラフェンが、メタノール中で面を上にしてランダムに並んで積層したグラフェンの集まりが、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが、容器に形成される。
第五の処理は、金型の一方の面の全体を均等に圧縮する。この際に、グラフェンの集まりにおける面を上にして重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体を形成する。つまり、グラフェンの集まりからメタノールが気化すると、面を上にしてランダムに並んだグラフェンの集まりが、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりになる。このグラフェンの集まりの全体を均等に圧縮すると、全てのグラフェンが面を上にして互いに重なり合っているため、重なり合った面でグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体になる。この際に、金型の他方の面に形成した突起がグラフェン接合体と接触する部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成され、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが前記グラフェン接合体の片方の面に形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが、立方体からなる容器の底面に形成される。
第六の処理は、衝撃加速度を、金型の側面の複数個所に同時に加え、容器を燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がす。さらに、金型の側面の前記複数個所より燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、燃料電池用セパレータを金型から剥がす。この後、燃料電池用セパレータを取り出す。
これら6つの処理を連続して実施することで、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが形成される。
【0009】
ここで、以上に説明した方法で形成したグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの作用効果を説明する。
全てのグラフェン同士が面を上にして重なり合い、重なり合ったグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりで、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータが形成される。このため、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの性質は、グラフェンに近い性質を持つ。つまり、グラフェンの厚みが0.332nmと極めて薄く、グラフェンの厚み方向の熱伝導率は小さく、面方向に熱が優先して伝わる。同様に、グラフェンの厚み方向の導電率は小さく、面方向に電子が優先して伝わる。このように、グラフェンの厚みが極めて薄いため、グラフェンの性質は異方性を持つ。従って、全てのグラフェン同士が面を上にして重なり合い、重なり合ったグラフェン同士が摩擦熱で直接接合したグラフェン接合体は、全てのグラフェンが平面状に並んで接合したため、グラフェンの面の性質、すなわち、グラフェンに近い性質を持つ。また、全てのグラフェンが面同士で直接摩擦圧接し、グラフェン接合体が形成されるため、グラフェン接合体は、グラフェンに近い機械的強度を持つ。このため、グラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータは、6段落に記載したグラフェンに近い性質を持つ。
第一に、金属に近い導電性を持つ。
第二に、ガス不透過性を持つ。
第三に、優れた耐酸性を持つ。
第四に、優れた機械的強度を持つ。
第五に、グラフェン接合体の表面の凹凸は、グラフェンの厚みの0.332nmに過ぎず、完全な平面に近い。このため、燃料電池用セパレータの表面は、接触角が180度に近い超撥水性を示し、この表面は撥水性と防汚性とを兼備する。
第六に、グラフェン接合体に設けた複数の溝がガス流路を構成する。
第七に、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータのガス流路を構成する部位の厚みが、ミクロンレベルであっても、燃料電池用セパレータは、グラフェンに近い機械的強度を持つため、従来の燃料電池用セパレータの重量に比べると、2桁近く重量が軽い。
第八に、重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接する際に、重なり合ったグラフェンの面に短時間であるが、高温の摩擦熱が発生する。これによって、重なり合ったグラフェンの面に存在する不純物が瞬間的に気化し、重なり合ったグラフェンの面が清浄化される。清浄化したグラフェンの面同士が摩擦圧接するため、グラフェン同士の接合力は大きい。また、重なり合ったグラフェンの面の平面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差しかない。このため、平坦度が高い平面を重ね合わせ、平面同士を摩擦圧接させると、平面同士が強固に摩擦圧接する。このため、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータが、大きな衝撃力を受けても、燃料電池用セパレータは破壊しない。
第九に、グラフェン接合体によって燃料電池用セパレータを作成する6つの処理は、いずれも極めて簡単な処理である。また、黒鉛粒子は、汎用的な工業用素材である。従って、従来の燃料電池用セパレータに比べると、極めて安価な費用で燃料電池用セパレータが形成できる。
以上に説明したように、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、画期的な作用効果をもたらす。これによって、6段落に記載した6つの課題が解決される。
【0010】
7段落に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの形成方法は、
7段落に記載した片方の面にガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを形成した燃料電池用セパレータについて、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータを、7段落に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向になるように、前記2枚の燃料電池用セパレータを、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータの表面に、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の表面全体を、7段落に記載した金型の一方の面を均等に圧縮する際に加えた圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータの平面同士が摩擦圧接し、該2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記重ね合わせた平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該一体化された燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【0011】
つまり、7段落に記載した方法に従って、片方の面にガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成された燃料電池用セパレータを2枚作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成されるガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されるガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせる。さらに、燃料電池用セパレータの大きさからなる平板を重ね合わせ、平板の表面全体を、7段落に記載した金型の一方の面を均等に圧縮する際に加えた圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する。これによって、2枚の燃料電池用セパレータの平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が形成され、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成された燃料電池用セパレータが形成される。なお、平板に加える圧縮応力が、7段落に記載した金型の一方の面を均等に圧縮する際に加えた圧縮応力より小さい圧縮応力であるため、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝は破壊されない。この結果、バイポーラ型の燃料電池に適応できる燃料電池用セパレータが極めて容易に作成できる。
なお、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成されていないグラフェン接合体からなる平面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差しかない。このため、ガス流路が形成されていないグラフェン接合体からなる平面の平坦度は、鏡面仕上げの平面より平坦度が高い。こうした同一の大きさからなる平坦度に優れた平面を重ね合わせ、平面同士を摩擦圧接させると、平面同士が強固に摩擦圧接する。また、重なり合った平面同士が摩擦圧接する際に、重なり合った平面に短時間であるが、高温の摩擦熱が発生する。これによって、重なり合った平面に存在する不純物が瞬間的に気化し、重なり合った平面が清浄化される。清浄化した平面同士が摩擦圧接するため、平面同士の接合力は大きい。
本発明は、極めて簡単な次の4つの処理からなる。
最初に、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータを、7段落に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って2枚を作成する。
次に、一方の燃料電池用セパレータに形成されるガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されるガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせ、重ね合わせた一方の燃料電池用セパレータの表面に、さらに、燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせる。
この後、平板の全体を均等に圧縮する。
さらに、平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、平板を一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、一体化した燃料電池用セパレータを取り出す。
これによって、2枚の燃料電池用セパレータ同士が、重ね合わせた平面の摩擦圧接によって一体化されるとともに、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に形成されたガス流路が、他方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを重ね合わせた。両方の面に形成された溝が、互いに直交する方向に溝が形成されたため、燃料となる水素ガスを、ガス流路から導入し、燃料極に供給し、また、燃料となる酸素ガスを、ガス流路から導入し、酸素極に供給する際に、水素ガスと酸素ガスとの流路が直交する方向であるため、水素ガスと酸素ガスとが接触することが回避でき、爆発が回避できる。
この結果、安価な費用で、片方の面にガス流路が形成された燃料電池用セパレータの2枚を作成し、安価な費用で、両方の面にガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成できる。これによって、6段落に記載した第七の課題が解決される。
【0012】
7段落に記載したガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータが、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
7段落に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、7段落に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、該第五の特徴が、同一形状からなる細長い直方体の突起の複数個が、金型の他方の面に形成された特徴であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起は、幅が1mmで、長さが前記金型の幅と同じ長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、前記他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して複数個を形成した突起であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起を、前記金型の他方の面に形成した前記第五の特徴を持つ金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように、該金型を懸濁液に被せ、さらに、該容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
さらに、前記金型の一方の面の全体を均等に圧縮する、この際に、最初に、前記他方の面に形成された複数個の突起が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮し、次に、前記他方の面における前記複数個の突起を除く平面部分が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮する、
これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりがグラフェン接合体を形成する、この際に、前記同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起が形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、前記同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起と同一形状からなる複数個の溝が、幅が1mmで、長さが前記金型の幅に相当する長さで、厚みが0.5mmからなる溝として、前記グラフェン接合体の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して複数個が形成される、これによって、前記細長い直方体の溝が、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝となり、該溝の複数個が前記グラフェン接合体に形成され、片方の面にガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が複数個形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に作成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記容器を前記燃料電池用セパレータが密着した前記金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、前記燃料電池用セパレータを前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが、片方の面に形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【0013】
本発明は、次の5つの処理からなる。
第一の処理は、7段落に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる。
第二の処理は、7段落に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、該第五の特徴が、同一形状からなる細長い直方体の突起の複数個が、金型の他方の面に形成された特徴であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起は、幅が1mmで、長さが前記金型の幅と同じ長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、前記他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して複数個を形成した突起であり、該同一形状からなる細長い直方体の複数個の突起を、前記金型の他方の面に形成した前記第五の特徴を持つ金型を用意する。
第三の処理は、金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように、該金型を懸濁液に被せ、該容器をメタノールの沸点に昇温し、懸濁液からメタノールを気化させる。これによって、面を上にしてメタノール中にランダムに並んだグラフェンの集まりが、互いに面同士が重なり合って積層したグラフェンの集まりになる。
第四の処理は、金型の一方の面の全体を均等に圧縮する。この際に、最初に、他方の面に形成された同一形状からなる細長い直方体の複数の突起が、面を上にして重なり合って積層したグラフェンの集まりを圧縮し始め、これによって、同一形状からなる細長い直方体の複数の突起によって形成された空隙に、面を上にして重なり合って積層したグラフェンの集まりの一部が移動する。グラフェンの集まりが空隙を埋め尽くすと、グラフェンの集まりの移動ができなくなり、同一形状からなる細長い直方体の複数の突起が、グラフェンの集まりを圧縮する。次に、他方の面における同一形状からなる細長い直方体の複数の突起を除く部分が、面を上にして重なり合って積層したグラフェンの集まりを圧縮する。これによって、同一形状からなる細長い直方体の複数の突起が形成された前記金型の他方の面の部位と接触するグラフェン接合体の部位に、同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が、幅が1mmで、長さが前記金型の幅に相当する長さで、深さが0.5mmからなる溝として、グラフェン接合体の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に、1mmの等間隔で並行して形成される。該細長い直方体の溝が、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝であり、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝の複数個がグラフェン接合体に形成される。また、同一形状からなる細長い直方体の複数の突起を除く部分も、面を上にして重なり合って積層したグラフェンの集まりが圧縮され、グラフェン接合体が形成される。この結果、燃料電池用セパレータの全体が、グラフェン接合体で構成される。
第四の処理は、金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、容器を燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がす。
第五の処理は、金型の側面の前記複数個所より燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、燃料電池用セパレータを金型から剥がす。この後、燃料電池用セパレータを取り出す。
これら5つの処理を連続して実施することで、厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータの片方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が形成される。
【0014】
ここで、以上に説明した方法で作成した燃料電池用セパレータのガス流路における作用効果を説明する。
燃料電池用セパレータの片方の面に形成された溝は、燃料となる水素ガスないしは酸素ガスを溝から導入し、燃料極ないしは酸素極に供給する。また、発生する廃棄物である水を排出し、反応熱を逃がす役割を担う。いっぽう、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの表面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差が形成されるが、表面は鏡面仕上げより平坦度に優れる。このため、グラフェン接合体からなるガス流路の表面は撥水性を持ち、生成された水を弾き、ガス流路に水が滞留しない。また、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、9段落に記載したように、グラフェンに近い熱伝導率を持ち、金属より優れた熱伝導性を持つ。このため、グラフェン接合体からなるガス流路は、金属より優れた熱伝導性を持ち、反応熱を積極的に逃がす。
以上に説明したように、グラフェン接合体からなるガス流路は、9段落に記載した性質に加え、優れた撥水性と優れた熱伝導性を持つ。
【0015】
12段落に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、さらに、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
12段落に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って、片方の面に形成した同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝によって、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成した燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、該2枚の燃料電池用セパレータを、前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータの表面に、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の表面全体を、12段落に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士が摩擦圧接し、前記2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【0016】
つまり、12段落に記載した方法に従って、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する細長い直方体の溝が、同一形状からなる複数個の溝として、片方の面に形成された燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成する。次に、2枚の燃料電池用セパレータにおいて、一方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせる。さらに、燃料電池用セパレータの大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の表面全体を、12段落に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する。これによって、2枚の燃料電池用セパレータの溝が形成されていない平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガス流路が直交する方向で形成される。この際、平板に加える圧縮応力が、12段落に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さいため、燃料電池用セパレータに形成されたガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とは破壊しない。この結果、バイポーラ型の燃料電池に適応できる燃料電池用セパレータが極めて容易に作成できる。
なお、11段落に記載したように、ガス流路が形成されていないグラフェン接合体からなる平面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差しかない。このため、ガス流路が形成されていないグラフェン接合体からなる平面の平坦度は、鏡面仕上げの平面より平坦度が高い。こうした同一の大きさからなる平面を重ね合わせ、平面同士を摩擦圧接させると、平面同士が強固に摩擦圧接する。また、重なり合った平面同士が摩擦圧接する際に、重なり合った平面に短時間であるが、高温の摩擦熱が発生する。これによって、重なり合った平面に存在する不純物が瞬間的に気化し、重なり合った平面が清浄化される。清浄化した平面同士が摩擦圧接するため、平面同士の接合力は大きい。
本発明は、極めて簡単な次の4つの処理からなる。
最初に、片方の面に同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が形成された燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして、12段落に記載した作成方法に従って2枚を作成する。
次に、一方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせる。重ね合わせた一方の燃料電池用セパレータの表面に、さらに、燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせる。
この後、平板の全体を均等に圧縮する。
さらに、平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、平板を一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、一体化した燃料電池用セパレータを取り出す。
これによって、2枚の燃料電池用セパレータの溝が形成されていない平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガス流路が直交する方向で形成される。この結果、安価な費用で、片方の面に同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が形成された燃料電池用セパレータの2枚を作成し、安価な費用で、両方の面に同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が形成された燃料電池用セパレータが作成できる。これによって、バイポーラ型の燃料電池に適応できる燃料電池用セパレータが極めて容易に作成できる。
なお、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に形成されたガス流路が、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを重ね合わせた。これによって、両方の面に形成された複数の溝が、互いに直交する方向に複数の溝が形成されたため、燃料となる水素ガスをガス流路から導入し、燃料極に供給し、また、燃料となる酸素ガスをガス流路から導入し、酸素極に供給する際に、水素ガスと酸素ガスとの流路が直交する方向であるため、水素ガスと酸素ガスとが接触することが回避でき、爆発が回避できる。
なお、グラフェン接合体からなるガス流路は、14段落に記載したように、表面は撥水性を持ち、生成された水を弾き、ガス流路に水が滞留しない。また、金属より優れた熱伝導性を持ち、反応熱を積極的に逃がす。以上に説明したように、グラフェン接合体からなるガス流路は、9段落に記載した第一から第四の性質に加え、優れた撥水性と優れた熱伝導性を持つ。
【0017】
7段落に記載したガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが片方の面に形成された燃料電池用セパレータが、細長い直方体の複数個の溝が連続して繋がった溝が、燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、該連続して繋がった溝が始まる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面から形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの入り口部を形成し、該連続して繋がった溝が終わる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面まで形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの出口部を形成し、これら3つの特徴を持つ燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
7段落に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる、
さらに、7段落に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、該第五の特徴が、細長い直方体の複数個の突起が、連続して繋がった構造からなる突起が金型の他方の面に形成された特徴であり、該細長い直方体の複数個の突起が連続して繋がった構造からなる突起は、幅が1mmで、長さが前記金型の幅の90%に相当する長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、同一形状からなる複数個の直方体の突起として、2mmの等間隔で並行して前記金型の他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に複数個を形成するとともに、該細長い直方体の突起の端部が、隣り合う細長い直方体の突起の端部と、曲部の突起を介して双方の細長い直方体の突起同士が繋がる該曲部の突起を、前記細長い直方体の突起の双方の端部に形成し、前記細長い直方体の複数個の突起を、連続して繋がった構造からなる突起とし、さらに、前記連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が始まる突起とし、さらに、前記連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部まで該細長い直方体の突起が形成される突起とし、該連続して繋がった構造からなる突起を、前記金型の他方の面に形成した前記第五の特徴を持つ金型を用意する、
この後、前記金型の他方の面が、前記容器内の懸濁液と接触するように、該金型を懸濁液に被せ、該容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させ、面を上にしてグラフェン同士を重ね合わせる、
さらに、前記金型の一方の面の表面全体を均等に圧縮する、この際に、最初に、前記他方の面に形成された前記突起が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮し、次に、前記他方の面に形成された前記突起を除く平面部分が、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮する、
これによって、前記面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりがグラフェン接合体を形成する、この際に、前記連続して繋がった構造からなる突起として形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝が等間隔に並行して形成されるとともに、該細長い直方体の溝の端部が、隣り合う細長い直方体の溝の端部で、曲部の溝を介して双方の細長い直方体の溝同士が繋がる該曲部の溝が、前記細長い直方体の溝の双方の端部に形成され、前記細長い直方体の複数個の溝が、前記曲部の溝を介して連続して繋がった溝となり、該溝が燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、前記連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部を構成する溝が形成され、前記連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する前記細長い直方体の突起を、前記金型の他方の面の端部まで形成された前記金型の他方の面の部位と接触する前記グラフェン接合体の部位に、燃料電池用セパレータのガスの出口部を構成する溝が形成される、これによって、ガス流路とガスの入り口部とガスの出口部とが片方の面に形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、前記立方体からなる容器の底面に作成される、
この後、前記金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、前記容器を前記燃料電池用セパレータが密着した前記金型から剥がし、さらに、該金型の側面の前記複数個所より前記燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、前記燃料電池用セパレータを前記金型から剥がし、この後、該燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、細長い直方体の複数個の溝が連続して繋がった溝が、燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、該連続して繋がった溝が始まる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面から形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの入り口部を形成し、該連続して繋がった溝が終わる部分の溝が、燃料電池用セパレータの端面まで形成されることで、該溝が燃料電池用セパレータの出口部を形成し、これら3つの特徴を持つ燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【0018】
本発明は、次の6つの処理からなる。
第一の処理は、7段落に記載した方法で作成した懸濁液の予め決めた重量からなる懸濁液を、立方体からなる容器に注入し、さらに、該容器に、前後、左右、上下の3方向の振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の振動加速度を加え、前記懸濁液におけるグラフェンの集まりを、面を上にして該懸濁液中でランダムに並ばせる。
第二の処理は、7段落に記載した金型が、前記5つの特徴のうち第五の特徴だけが異なる金型であり、第五の特徴が、細長い直方体の複数個の突起が、連続して繋がった構造からなる突起が金型の他方の面に形成された特徴であり、該細長い直方体の複数個の突起が連続して繋がった構造からなる突起は、幅が1mmで、長さが金型の幅の90%に相当する長さで、厚みが0.5mmからなる細長い直方体の突起を、同一形状からなる複数個の直方体の突起として、2mmの等間隔で並行して金型の他方の面の両方の端部の予め決めた幅からなる領域を除く領域に複数個を形成するとともに、細長い直方体の突起の端部が、隣り合う細長い直方体の突起の端部と、曲部の突起を介して双方の細長い直方体の突起同士が繋がる該曲部の突起を、細長い直方体の突起の双方の端部に形成し、細長い直方体の複数個の突起を、連続して繋がった構造からなる突起とする。さらに、連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する細長い直方体の突起を、金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が始まる突起とする。さらに、連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する細長い直方体の突起を、金型の他方の面の端部まで細長い直方体の突起が形成される突起とする。こうした第五の特徴を持つ連続して繋がった構造からなる突起を、金型の他方の面に形成した金型を用意する。
第三の処理は、金型の他方の面が、容器内の懸濁液と接触するように、金型を懸濁液に被せ、該容器をメタノールの沸点に昇温し、懸濁液からメタノールを気化させる。これによって、面を上にしてメタノール中にランダムに並んだグラフェンの集まりが、互いに重なり合って積層したグラフェンの集まりになる。
第四の処理は、金型の一方の面の表面全体を均等に圧縮する。この際に、最初に、他方の面に形成された突起が、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮し始める。これによって、前記突起が形成された部位を除く空隙が形成された部位に、面を上にして重なり合って積層したグラフェンの集まりの一部が移動する。グラフェンの集まりが空隙を埋め尽くすと、グラフェンの集まりの移動ができなくなり、突起がグラフェンの集まりを圧縮する。次に、突起を除く平面部分が、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりを圧縮する。これによって、面を上にして重なり合ったグラフェンの集まりが圧縮され、該重なり合ったグラフェン同士が摩擦圧接し、該摩擦圧接したグラフェンの集まりがグラフェン接合体を形成する。この際に、細長い直方体の複数の突起が連続して繋がった構造からなる突起が形成された金型の他方の面の部位と接触するグラフェン接合体の部位に、ガス流路を構成する同一形状からなる細長い直方体の複数の溝が等間隔に並行して形成されるとともに、該細長い直方体の溝の端部が、隣り合う細長い直方体の溝の端部で、曲部の溝を介して双方の溝同士が繋がる該曲部の溝を、細長い直方体の溝の端部に形成する。また、連続して繋がった構造からなる突起が開始する部分に相当する細長い直方体の突起を、金型の他方の面の端部から該細長い直方体の突起が形成された金型の他方の面の部位と接触するグラフェン接合体の部位に、ガスの入り口部を構成する溝が形成される。さらに、連続して繋がった構造からなる突起が終了する部分に相当する細長い直方体の突起を、金型の他方の面の端部まで形成された金型の他方の面の部位と接触するグラフェン接合体の部位に、ガスの出口部を構成する溝が形成される。これによって、連続して繋がった細長い直方体の溝が、燃料電池用セパレータのガス流路を構成し、ガスの入り口部を構成する溝が、燃料電池用セパレータのガスの入り口部を形成し、ガスの出口部を構成する溝が、燃料電池用セパレータのガスの出口部を形成する。この結果、ガス流路とガスの入り口部とガスの出口部とが片方の面に形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、立方体からなる容器の底面に作成される。
第五の処理は、金型の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、容器を燃料電池用セパレータが密着した金型から剥がす。
第六の処理は、金型の側面の前記複数個所より燃料電池用セパレータに近い側面の複数個所に、衝撃加速度を、前記衝撃加速度より大きな衝撃加速度として同時に加え、燃料電池用セパレータを金型から剥がす。この後、燃料電池用セパレータを取り出す。
これら6つの処理を連続して実施することで、ガス流路とガスの入り口部とガスの出口部とが片方の面に形成されたグラフェン接合体からなる厚みが薄い立方体の燃料電池用セパレータが、立方体からなる容器の底面に作成される。
【0019】
ここで、以上に説明した方法で作成した燃料電池用セパレータの作用効果を説明する。
14段落に記載した燃料電池用セパレータの片方の面に形成された溝と同様に、細長い直方体の複数の溝が、連続して繋がった構造からなる溝によって形成されたガス流路は、燃料となる水素ガスないしは酸素ガスを溝から導入し、燃料極ないしは酸素極に供給する。また、発生する廃棄物である水を排出し、反応熱を逃がす役割を担う。いっぽう、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの表面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差が形成されるが、表面は鏡面仕上げより平坦度に優れる。このため、グラフェン接合体からなるガス流路の表面は撥水性を持ち、生成された水を弾き、ガス流路に水が滞留しない。また、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、9段落に記載したように、グラフェンに近い熱伝導率を持ち、金属より優れた熱伝導性を持つ。このため、グラフェン接合体からなるガス流路は、金属より優れた熱伝導性を持ち、反応熱を積極的に逃がす。以上に説明したように、グラフェン接合体からなるガス流路は、9段落に記載した第一から第四の性質に加え、優れた撥水性と優れた熱伝導性を持つ。
【0020】
17段落に記載した燃料電池用セパレータが、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを形成し、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータであり、該燃料電池用セパレータの作成方法は、
請求項5に記載した燃料電池用セパレータの作成方法に従って、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが、片方の面に形成された燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成し、一方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向になるように、該2枚の燃料電池用セパレータを、前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせ、該重ね合わせた燃料電池用セパレータに、さらに、該燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、該平板の全体を、請求項5に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する、
これによって、前記2枚の燃料電池用セパレータの前記ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士が摩擦圧接し、該2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、該一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成されたグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータが作成される、
この後、前記重ね合わせた平板の側面の複数個所に、衝撃加速度を同時に加え、該平板を前記一体化された燃料電池用セパレータから剥がし、この後、該一体化された燃料電池用セパレータを取り出す、
上記した全ての処理を連続して実施することで、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成された前記ガス流路の方向が、他方の面に形成された前記ガス流路の方向と、直交する方向に前記ガス流路が形成された厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータが作成される、該燃料電池用セパレータの作成方法。
【0021】
本発明は、極めて簡単な次の4つの処理からなる。
第一の処理は、17段落に記載した方法に従って、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが、片方の面に形成された燃料電池用セパレータを、同一の構成と同一の形状からなる燃料電池用セパレータとして2枚を作成する。
第二の処理は、一方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向が、他方の燃料電池用セパレータに形成されたガス流路の方向と、直交する方向になるように、2枚の燃料電池用セパレータを、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士で重ね合わせる。
第三の処理は、重ね合わせた燃料電池用セパレータに、さらに、燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせる。
第四の処理は、平板の全体を、17段落に記載した金型の一方の面の全体を圧縮する際の圧縮応力より小さい圧縮応力で、均等に圧縮する。
この結果、2枚の燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていない平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化され、一体化された燃料電池用セパレータの両方の面に、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成され、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成されたグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータが作成される。
これによって、両方の面に形成された複数の溝が、互いに直交する方向に複数の溝が形成されたため、燃料となる水素ガスをガス流路から導入し、燃料極に供給し、また、燃料となる酸素ガスをガス流路から導入し、酸素極に供給する際に、水素ガスと酸素ガスとの流路が直交する方向になり、水素ガスと酸素ガスとが接触することが回避でき、爆発することが回避できる。
この結果、バイポーラ型の燃料電池に適応できる燃料電池用セパレータが極めて容易に作成できる。
なお、ガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とが形成されていないグラフェン接合体からなる平面は、グラフェンの厚みに相当する0.332nmの段差しかない。このため、ガス流路が形成されていないグラフェン接合体からなる平面の平坦度は、鏡面仕上げの平面より平坦度が高い。こうした同一の大きさからなる平坦度に優れた平面を重ね合わせ、平面同士を摩擦圧接させると、平面同士が強固に摩擦圧接する。また、重なり合った平面同士が摩擦圧接する際に、重なり合った平面に短時間であるが、高温の摩擦熱が発生する。これによって、重なり合った平面に存在する不純物が瞬間的に気化し、重なり合った平面が清浄化される。清浄化した平面同士が摩擦圧接するため、平面同士の接合力は大きい。
この結果、安価な費用で、片方の面に、ガス流路となる溝が形成された燃料電池用セパレータの2枚を作成し、安価な費用で、両方の面に、同一の構成で同一形状からなるガス流路となる溝が形成された燃料電池用セパレータが作成できる。
また、グラフェン接合体からなるガス流路は、14段落に記載したように、表面は撥水性を持ち、生成された水を弾き、ガス流路に水が滞留しない。また、金属より優れた熱伝導性を持ち、反応熱を積極的に逃がす。以上に説明したように、グラフェン接合体からなるガス流路は、9段落に記載した第一から第四の性質に加え、優れた撥水性と優れた熱伝導性を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】直方体からなるガス流路が形成された断面を模式的に示す図である。
【
図2】細長い直方体の溝と半円で構成される曲部の溝との接合部を模式的に示す図である。
【
図3】細長い直方体の溝が形成された部分の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施例1
本実施例は、7段落に記載した方法に従って、メタノール中で1枚1枚に分離したグラフェンの集まりからなる懸濁液を容器内に作成する。
最初に、5リットルのメタノールを、2.2m×2.2mの底面をもち、底が浅い容器に充填した。
次に、2枚の平行平板電極の間隙に電界が発生する電極の有効面積が、2m×2mである平行平板電極を用意し、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で重ね合わせ、この間隙に黒鉛粒子を満遍なく引き詰め、メタノール中に浸漬する。なお、黒鉛粒子を粒径が25μmの球と仮定し、2枚の平行平板電極で作られる100μmの間隙に、黒鉛粒子を満遍なく引き詰めた場合、2.6×108個の黒鉛粒子が存在する。この黒鉛粒子の集まりに、10.6キロボルト以上の直流電圧を印加すると、全ての黒鉛粒子の基底面の層間結合が同時に破壊される。この際、7.6×1013個のグラフェンの集まりが得られ、用いる黒鉛粒子の集まりは、僅かに4.72gである。
電界が発生する電極の有効面積が2m×2mである平行平板電極の表面に、鱗片状黒鉛粒子(例えば、伊藤黒鉛工業株式会社のXD100)の50gを重ねて引き詰めた。この平行平板電極を、メタノールが充填された容器に浸漬し、さらに、もう一方の平行平板電極を前記の平行平板電極の上に重ね合わせ、2枚の平行平板電極を100μmの間隙で離間させ、12キロボルトの直流電圧を電極間に加えた。次に、2枚の平行平板電極の間隙を拡大し、さらに、2枚の平行平板電極をメタノール中で傾斜させ、0.2Gからなる3方向の振動加速度を容器に繰り返し加え、この後、容器から2枚の平行平板電極を取り出した。さらに、容器内のメタノールに、超音波ホモジナイザー装置(ヤマト科学株式会社の製品LUH300)によって20kHzの超音波振動を2分間加えた。この後、超音波ホモジナイザー装置を、容器から取り出した。この後、容器内にあるメタノール中に分散したグラフェンの集まりを撹拌した。
次に、作成した試料の一部を取り出し、電子顕微鏡を用いて、試料の観察と分析を行なった。電子顕微鏡は、JFEテクノリサーチ株式会社の極低加速電圧SEMを用いた。この装置は、100ボルトからの極低加速電圧による表面観察が可能で、試料に導電性の被膜を形成せずに直接試料の表面が観察できる特徴を持つ。
試料の表面からの反射電子線の900-1000ボルトの間にある2次電子線を取り出して画像処理を行った。メタノール中に分散した物質は、厚みが極めて薄い扁平な物質であることが確認できた。さらに、特性エックス線のエネルギーとその強度を画像処理した結果、炭素原子のみ存在した。このため、物質は、グラフェンであることが確認できた。
これによって、2枚の平行平板電極の間隙に、鱗片状黒鉛粒子の集まりを引き詰め、電極間に直流の電位差を与え、この電位差を2枚の平行平板電極対の間隙の大きさで割った値に相当する電界が、鱗片状黒鉛粒子の集まりが存在する電極間隙に発生し、この電界によって、全ての黒鉛粒子に対し、黒鉛結晶からなる基底面の層間結合を破壊させるのに十分なクーロン力を、基底面の層間結合の担い手である全てのπ電子に同時に与えられ、この結果、黒鉛結晶の層間結合の全てが同時に破壊され、黒鉛結晶からなる基底面、すなわち、グラフェンの集まりが製造できることが確認された。
【0024】
実施例2
本実施例は、12段落に記載した方法に従って、同一形状からなる細長い直方体の複数個の溝からなるガス流路を、厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータの片方の面に形成する。
実施例1で作成した懸濁液を、容積が10cm×10cm×1cm(深さ)からなる底が浅い立方体からなる容器に、容器の容積の1/2を占める量として注入した。この後、容器に、前後、左右、上下の3方向の0.3Gからなる振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の0.3Gからなる振動加速度を加えた。
次に、10cm×10cm×2cm(厚み)の機械構造用炭素鋼材S45Cからなる金型の一方の面に、両方の端部の1cmの幅からなる領域を除く全体に、幅が1mmで、長さが10cmで、厚みが0.5mmからなる突起を、1mmの等間隔で40個の突起を形成し、焼き入れした。この後、金型をメタノールで洗浄した。
さらに、前記金型の40個の突起が形成された他方の面を、前記容器に注入された懸濁液の表面に被せた。さらに、容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させる。なお、気化したメタノールを回収し、再利用する。
この後、前記金型の他方の面に、10kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、10秒後に、全ての重りを金型の面から外した。
さらに、前記金型の側面の4個所に、0.4Gからなる衝撃加速度を同時に加え、前記容器を金型から剥がした。さらに、前記金型の側面のよりグラフェン接合体に近い側面の4個所に、0.5Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を金型から剥がした。
取り出したグラフェン接合体を観察した結果、他方の面に、幅が1mmで、長さが10cmで、深さが0.5mmからなる溝が、1mmの等間隔で40個作成されていた。これらの溝は、燃料電池用セパレータにおけるガス流路として作用する。なお、グラフェン接合体の側面を観察した結果、溝の底面とグラフェン接合体の底面とからなるグラフェン接合体の肉厚は、僅かに1μmであった。
図1に、グラフェン接合体の側面の一部を示す。1は直方体からなるガス流路を構成する溝である。
次に、作成したグラフェン接合体の平面の複数個所の表面抵抗を、表面抵抗計(シムコジャパン株式会社の表面抵抗計ST―4)によって測定した。表面抵抗値は、いずれも1×10
3Ω/□であったため、グラフェン接合体は導電性に優れた金属の表面抵抗と同等である。このため、グラフェン接合体は、燃料電池用セパレータとして、優れた導電性を持つ。
さらに、作成したグラフェン接合体の水素ガスの透過性を、差圧式ガスクロ法によるガス透過率測定装置で測定した結果、大気圧においては水素ガスが透過しないことが分かった。このため、グラフェン接合体は、燃料電池用セパレータとして、優れたガス不透過性を持つ。
次に、作成したグラフェン接合体の表面の摩擦係数を、測定装置(島津製作所の卓上形精密万能試験器オートグラフAGS-Xからなる摩擦係数測定装置)によって、静止摩擦係数と動摩擦係数を繰り返し測定した。静止摩擦係数が0.12±0.02で、動摩擦係数が0.10±0.02であった。いずれの摩擦係数も極めて小さく、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの表面は、撥水性や防汚性を持つ。さらに、グラフェン接合体に形成された溝は、燃料電池用セパレータのガス流路として、優れた撥水性を持つ。
さらに、作成したグラフェン接合体を、2mの高さから自然落下させたが、グラフェン接合体は損傷を受けなかった。さらに、4mの高さから自然落下させたが、グラフェン接合体は損傷を受けなかった。このため、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、優れた衝撃強度を持つ。
なお、作成した燃料電池用セパレータは、実施例1で作成した懸濁液を原料として用い、懸濁液からメタノールを気化させたのちに、グラフェンの集まりを圧縮させてグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータを作成したため、燃料電池用セパレータは、グラフェンの集まりで構成される。このため、燃料電池用セパレータは、グラフェンの性質を持つ。従って、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、優れた耐酸性を持つ。また、グラフェン接合体に形成された溝は、燃料電池用セパレータのガス流路として、優れた熱伝導性を持つ。
さらに、作成した燃料電池用セパレータは、溝の深さが0.5mmで、溝の底面とグラフェン接合体の底面とからなるグラフェン接合体の肉厚は、僅かに1μmであるため、従来の燃料電池用セパレータに比べ、重量が極めて少ない。
【0025】
実施例3
本実施例は、15段落に記載した方法に従って、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガス流路が形成され、他方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成された燃料電池用セパレータを作成する。
このため、実施例2に従って、同一の構成と同一の形状からなるグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータを2枚作製した。さらに、2枚の燃料電池用セパレータを、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向に2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせた。この後、重ね合わせた2枚の燃料電池用セパレータに、さらに、燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、平板の上に、8kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、10秒後に、全ての重りを平板から外した。これによって、2枚の燃料電池用セパレータのガス流路が形成されていない平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化された。さらに、平板の側面の4個所に、0.5Gからなる衝撃加速度を同時に加え、一体化された燃料電池用セパレータを平板から剥がした。これによって、燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が形成され、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成された。
さらに、一体化した燃料電池用セパレータを、2mの高さから自然落下させたが、一体化した燃料電池用セパレータは損傷を受けなかった。さらに、4mの高さから自然落下させたが、一体化した燃料電池用セパレータは損傷を受けなかった。このため、一体化した燃料電池用セパレータは、優れた衝撃強度を持つ。
【0026】
実施例4
本実施例は、17段落に記載した方法に従って、細長い直方体の複数の溝が等間隔に並行して配列し、該細長い直方体の溝の端部が、隣り合う細長い直方体の溝の端部で双方の溝同士が繋がり、該細長い直方体の複数の溝が連続して繋がった溝からなるガス流路を、厚みが薄い立方体からなる燃料電池用セパレータの片方の面に形成する。
実施例1で作成した懸濁液を、容積が10cm×10cm×1cm(深さ)からなる底が浅い立方体からなる容器に、容器の容積の1/2を占める量として注入した。この後、容器に、前後、左右、上下の3方向の0.3Gからなる振動加速度を順番に繰り返し加え、最後に上下方向の0.3Gからなる振動加速度を加えた。
次に、10cm×10cm×2cm(厚み)の機械構造用炭素鋼材S45Cからなる金型の他方の面に、両方の端部の1cmの幅からなる領域を除く全体に、幅が1mmで、長さが9cmで、深さが0.5mmからなる溝を、2mmの等間隔で20個の溝を形成し、さらに、溝の端部が、隣り合う溝の端部で、曲部の溝を介して双方の溝が繋がる曲部の溝を、溝の端部に形成し、この後焼き入れした。なお、曲部の溝は、外側が4mmの直径からなる半円で、内側が2mmの直径からなる半円で構成された曲部の溝である。この後、金型をメタノールで洗浄した。
図2に、溝の端部の形状を図示する。2は細長い直方体からなる部分の溝で、3は曲部からなる部分の溝である。
図3に、細長い直方体からなる部分の溝の断面を示す。
さらに、前記金型の溝が形成された他方の面を、前記容器に注入された懸濁液の表面に被せた。さらに、容器をメタノールの沸点に昇温し、前記懸濁液からメタノールを気化させる。なお、気化したメタノールを回収し、再利用する。
この後、前記金型の他方の面に、10kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、10秒後に、全ての重りを金型の面から外した。これによって、摩擦圧接したグラフェンの集まりからなるグラフェン接合体が、前記金型の他方の面に密着して形成された。
さらに、前記金型の側面の4個所に、0.4Gからなる衝撃加速度を同時に加え、前記容器を金型から剥がした。さらに、前記金型の側面のよりグラフェン接合体に近い側面の4個所に、0.5Gからなる衝撃加速度を同時に加え、グラフェン接合体を金型から剥がした。
取り出したグラフェン接合体を観察した結果、他方の面に、幅が1mmで、長さが10cmで、厚みが0.5mmからなる溝が、2mmの等間隔で20個形成され、さらに、直方体からなる溝の端部に、外側が4mmの直径からなる半円で、内側が2mmの直径からなる半円で構成された曲部の溝が形成されていた。これらの溝は、燃料電池用セパレータにおけるガス流路として作用する。なお、グラフェン接合体の側面を観察した結果、溝の底面とグラフェン接合体の底面とからなるグラフェン接合体の肉厚は、僅かに1μmであった。
次に、実施例2と同様に、作成したグラフェン接合体の平面の複数個所の表面抵抗を、表面抵抗計によって測定した。表面抵抗値は、いずれも1×10
3Ω/□であったため、グラフェン接合体は導電性に優れた金属の表面抵抗と同等である。このため、グラフェン接合体は、燃料電池用セパレータとして、優れた導電性を持つ。
さらに、実施例2と同様に、作成したグラフェン接合体の水素ガスの透過性を、差圧式ガスクロ法によるガス透過率測定装置で測定した結果、大気圧においては水素ガスが透過しないことが分かった。このため、グラフェン接合体は、燃料電池用セパレータとして、優れたガス不透過性を持つ。
次に、実施例2と同様に、作成したグラフェン接合体の表面の摩擦係数を、測定装置によって、静止摩擦係数と動摩擦係数を繰り返し測定した。静止摩擦係数が0.12±0.02で、動摩擦係数が0.10±0.02であった。いずれの摩擦係数も極めて小さく、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータの表面は、撥水性や防汚性を持つ。さらに、グラフェン接合体に形成された溝は、燃料電池用セパレータのガス流路として、優れた撥水性を持つ。
さらに、実施例2と同様に、作成したグラフェン接合体を、2mの高さから自然落下させたが、グラフェン接合体は損傷を受けなかった。さらに、4mの高さから自然落下させたが、グラフェン接合体は損傷を受けなかった。このため、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、優れた衝撃強度を持つ。
なお、作成した燃料電池用セパレータは、実施例1で作成した懸濁液を原料として用い、懸濁液からメタノールを気化させたのちに、グラフェンの集まりを圧縮させてグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータを作成したため、燃料電池用セパレータは、グラフェンの集まりで構成される。このため、燃料電池用セパレータは、グラフェンの性質を持つ。従って、グラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータは、優れた耐酸性を持つ。また、グラフェン接合体に形成された溝は、燃料電池用セパレータのガス流路として、優れた熱伝導性を持つ。
さらに、作成した燃料電池用セパレータは、突起の厚みが0.5mmで、突起の底面とグラフェン接合体の底面とからなるグラフェン接合体の肉厚は、僅かに1μmであるため、従来の燃料電池用セパレータに比べ、重量が極めて少ない。
【0027】
実施例5
本実施例は、20段落に記載した方法に従って、燃料電池用セパレータの両方の面に、ガス流路が形成され、他方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成された燃料電池用セパレータを作成する。
このため、実施例4に従って、同一の構成と同一の形状からなるグラフェン接合体からなる燃料電池用セパレータを2枚作製した。さらに、2枚の燃料電池用セパレータを、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向に2枚の燃料電池用セパレータを、ガス流路が形成されていない平面同士で重ね合わせた。この後、重ね合わせた2枚の燃料電池用セパレータに、さらに、燃料電池用セパレータと同じ大きさからなる平板を重ね合わせ、平板の上に、8kgからなる重りの9個を等間隔に載せ、10秒後に、全ての重りを平板から外した。これによって、2枚の燃料電池用セパレータのガス流路が形成されていない平面同士が摩擦圧接し、2枚の燃料電池用セパレータが一体化された。さらに、平板の側面の4個所に、0.5Gからなる衝撃加速度を同時に加え、一体化された燃料電池用セパレータを平板から剥がした。これによって、燃料電池用セパレータの両方の面にガス流路が形成され、一方の面に形成されたガス流路の方向が、他方の面に形成されたガス流路の方向と、直交する方向にガス流路が形成された燃料電池用セパレータが作成された。
さらに、一体化した燃料電池用セパレータを、2mの高さから自然落下させたが、一体化した燃料電池用セパレータは損傷を受けなかった。さらに、4mの高さから自然落下させたが、一体化した燃料電池用セパレータは損傷を受けなかった。このため、一体化した燃料電池用セパレータは、優れた衝撃強度を持つ。
【0028】
実施例2および実施例4で作成したガス流路は一例に過ぎない。つまり、燃料電池用セパレータのガス流路の形状は、金型の他方の面に形成する突起の形状によって自在に変えられる。このため、作成するガス流路の形状に制約がない。
つまり、金型の一方の面によって、グラフェンの集まりの全体を均等に圧縮すると、全てのグラフェンが面を上にして互いに重なり合っているため、重なり合った面でグラフェン同士が直接摩擦圧接し、摩擦圧接したグラフェンの集まりが、厚みの薄い立方体からなるグラフェン接合体になる。この際に、金型の他方の面に形成した突起がグラフェン接合体と接触する部位に、燃料電池用セパレータのガスの入り口部とガス流路とガスの出口部とを構成する溝が形成される。従って、燃料電池用セパレータのガス流路の形状は、金型の他方の面に形成する突起の形状によって自在に変えられるため、実施例2および実施例4で作成したガス流路は一例に過ぎない。
【符号の説明】
【0029】
1 直方体からなるガス流路を構成する溝 2 細長い直方体からなる部分の溝
3 曲部からなる部分の溝