(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044935
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ダンパ
(51)【国際特許分類】
F16F 9/34 20060101AFI20240326BHJP
F16F 9/19 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
F16F9/34
F16F9/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022150769
(22)【出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】作田 敦
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
【テーマコード(参考)】
3J069
【Fターム(参考)】
3J069AA54
3J069CC13
3J069CC18
3J069DD21
3J069EE05
3J069EE10
(57)【要約】
【課題】高速で作動する際に減衰力が過剰となるのを防止できるダンパの提供を目的としている。
【解決手段】本発明のダンパDは、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に移動可能に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに仕切るピストン3と、タンク4と、伸側室R1、圧側室R2およびタンク4のいずれか二つを連通する複数のリリーフ通路5,6と、リリーフ通路5,6にそれぞれ液体の流れに対して同じ向きになるように設けられる複数のリリーフ弁7,8とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、
前記シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、
前記シリンダ内に移動可能に挿入されて前記ピストンロッドに連結されるとともに前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに仕切るピストンと、
タンクと、
前記伸側室、前記圧側室および前記タンクのいずれか二つを連通する複数のリリーフ通路と、
前記リリーフ通路にそれぞれ液体の流れに対して同じ向きになるように設けられる複数のリリーフ弁とを備えた
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
前記リリーフ弁の開弁圧は、それぞれ異なっている
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパは、たとえば、鉄道車両の車体と台車との間に介装されて車体の台車に対するヨー方向の振動を抑制する等、設置対象における振動を抑制するために利用されている。
【0003】
このようなダンパは、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されるとともにシリンダ内を作動油が充填される伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に軸方向へ移動可能に挿入されてピストンに連結されるピストンロッドと、作動油を貯留するタンクとを備えるとともに、シリンダに対してピストンロッドがピストンとともに軸方向へ移動する際に減衰力を発生するための減衰弁を備えている。
【0004】
たとえば、ダンパの収縮作動時に減衰力を発生させる場合、減衰弁は、圧側室とタンクとを連通する通路に設けられており、圧側室からタンクへ移動する作動油の流れに抵抗を与えて圧側室内の圧力を高め、ダンパにピストンロッドのシリンダ内への侵入を抑制する減衰力を発生させる(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
よって、このように構成されたダンパは、収縮作動時において、減衰弁によって圧側室の圧力を高めるが、圧側室内の圧力が過剰となるとダンパが発揮する減衰力が大きくなって台車の振動が車体へ伝達されやすくなって鉄道車両における乗心地を損なってしまう場合がある。そのため、圧側室の圧力が予め設定される所定圧以上にならないように、ダンパは、圧側室と伸側室とを連通するリリーフ通路と、当該リリーフ通路の途中に設けられて圧側室の圧力が伸側室の圧力を上回って両者の差圧が所定圧になると開弁するリリーフ弁とを備える場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したリリーフ弁は、開弁圧に達すると開弁して圧側室を伸側室へ連通して圧側室内の圧力のそれ以上の上昇を抑制するが、通過する作動油の流量が増えると圧力損失が増加する圧力オーバーライド特性を備えている。
【0008】
よって、ダンパの収縮速度が高速になってリリーフ弁を通過する作動油量が多くなると、リリーフ弁での圧力損失が大きくなって圧側室の圧力が高くなってダンパが発生する減衰力が過剰となって鉄道車両における乗心地が損なわれる場合がある。
【0009】
このように、従来のダンパは、圧側室内の圧力が過剰とならないようにリリーフ弁を備えて減衰力が過剰にならないように配慮しているのであるが、前述したように従来のダンパには収縮速度が高速になると減衰力が過剰となる問題がある。
【0010】
前述したところでは、ダンパの収縮作動時の減衰力が過剰となる問題を指摘しているが、ダンパの伸長作動時では伸側室内の圧力が過剰となって減衰力が過剰となる場合がある。よって、伸側室と圧側室或いはタンクとを連通する通路にリリーフ弁を備えたダンパもあるが、このようなダンパでもリリーフ弁の圧力オーバーライド特性によって伸長作動時の減衰力が過剰となる場合がある。
【0011】
そこで、本発明は、高速で作動する際に減衰力が過剰となるのを防止できるダンパの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のダンパは、シリンダと、シリンダ内に移動可能に挿入されるピストンロッドと、シリンダ内に移動可能に挿入されてピストンロッドに連結されるとともにシリンダ内を伸側室と圧側室とに仕切るピストンと、タンクと、伸側室、圧側室およびタンクのいずれか二つを連通する複数のリリーフ通路と、リリーフ通路にそれぞれ液体の流れに対して同じ向きになるように設けられる複数のリリーフ弁とを備えている。
【0013】
このように構成されたダンパでは、作動油が移動する際に複数のリリーフ弁を通過できるので、各リリーフ弁を通過する作動油量を少なくして、各リリーフ弁で生じる圧力オーバーライドを小さくできる。
【0014】
また、ダンパにおけるリリーフ弁の開弁圧がそれぞれ異なっていてもよく、このように構成されダンパによれば、各リリーフ弁のハンチングが発生する速度領域がダンパの実用使用域よりも高速となるように各リリーフ弁の開弁圧の差を設定することで、各リリーフ弁におけるハンチングによる異音の発生および各リリーフ弁の摩耗を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のダンパによれば、高速で作動する際に減衰力が過剰となるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】一実施の形態におけるダンパの回路構成を示した図である。
【
図2】一実施の形態におけるダンパの収縮作動時の速度に対する減衰力の特性を示した図である。
【
図3】(a)は、具体的な第1リリーフ弁と第2リリーフ弁の第1例を示した図である。(b)は、具体的な第1リリーフ弁と第2リリーフ弁の第2例を示した図である。(c)は、具体的な第1リリーフ弁と第2リリーフ弁の第3例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図示した実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態におけるダンパDは、
図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に移動可能に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに仕切るピストン3と、タンク4と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する2つのリリーフ通路としての第1リリーフ通路5および第2リリーフ通路6と、リリーフ通路5,6にそれぞれ液体の流れに対して同じ向きになるように設けられる2つのリリーフ弁としての第1リリーフ弁7および第2リリーフ弁8とを備えて構成されている。このダンパDは、図示はしないが、たとえば、設置対象として鉄道車両の車体と台車との間に介装されて、台車に対する車体のヨー方向の振動を抑制するヨーダンパとして利用される。なお、ダンパDは、車体と台車の水平横方向の振動を抑制するダンパとして利用されてもよい。また、ダンパDの設置対象は、鉄道車両以外にも各種機器、構造物や建築物に設置されて使用されてもよい。
【0018】
また、伸側室R1と圧側室R2には液体として作動油が充填されるとともに、タンク4には、作動油のほかに気体が充填されている。液体は、作動油以外にも、水や水溶液を使用することも可能である。なお、タンク4内は、特に、気体を圧縮して充填することによって加圧状態とする必要は無いが、加圧状態としてもよい。
【0019】
以下、ダンパDの各部について詳細に説明する。シリンダ1は、筒状であって、
図1中右端が蓋19によって閉塞され、
図1中左端に環状のロッドガイド20が取り付けられている。ピストンロッド2は、ロッドガイド20の内周を介してシリンダ1内に軸方向へ移動可能に挿入されており、
図1中左端をシリンダ1の外方へ突出させている。
【0020】
また、このダンパDは、シリンダ1の外周を覆う外筒21を備えている。外筒21の
図1中左端と右端は、シリンダ1と同様に、蓋19およびロッドガイド20とで閉塞されており、外筒21とシリンダ1との間の環状隙間でタンク4が形成されている。
【0021】
そして、ピストンロッド2の
図1中右端である先端は、シリンダ1内に挿入されたピストン3に連結され、ピストンロッド2の
図1中左端である基端は、ロッドガイド20の内周を介してシリンダ1外へ突出している。また、ピストンロッド2の
図1中左端である他端と、シリンダ1の右端を閉塞する蓋19には、図示はしないが、このダンパDを車体と台車との間の設置箇所へ取り付けることができるようにブラケットが設けられる。
【0022】
ピストン3は、シリンダ1内に軸方向へ移動可能に挿入されており、外周をシリンダ1の内周に摺接させてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画している。ピストン3には、圧側室R2と伸側室R1とを連通する第1リリーフ通路5と第2リリーフ通路6との2つのリリーフ通路と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側減衰通路9と、リリーフ通路5,6にそれぞれ同じ向きに設けられる2つのリリーフ弁7,8と、伸側減衰通路9に設置される伸側減衰弁10とが設けられている。
【0023】
第1リリーフ通路5と第2リリーフ通路6は、互いに並列して圧側室R2と伸側室R1とを連通している。第1リリーフ通路5には、圧側室R2を上流とする向きに第1リリーフ弁7が設置されている。第1リリーフ弁7は、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力より高く、圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第1圧力以上になると開弁して第1リリーフ通路5を開放し、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の通過を許容する。第1リリーフ弁7は、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力よりも高くても圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第1圧力未満の場合、および圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力以下の場合には、閉弁して第1リリーフ通路5を遮断して作動油の通過を阻止する。このように、第1リリーフ弁7が開弁する際の圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差(開弁圧)は、第1圧力となっている。
【0024】
第2リリーフ通路6には、第1リリーフ通路5と同様に、圧側室R2を上流とする向きに第2リリーフ弁8が設置されている。第2リリーフ弁8は、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力より高く、圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第1圧力よりも高い圧力値に設定される第2圧力以上になると開弁して第2リリーフ通路6を開放し、圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の通過を許容する。第2リリーフ弁8は、圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力よりも高くても圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第2圧力未満の場合、および圧側室R2の圧力が伸側室R1の圧力以下の場合には、閉弁して第2リリーフ通路6を遮断して作動油の通過を阻止する。
【0025】
よって、第2リリーフ弁8が開弁する際の圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差(開弁圧)は、第2圧力となっており、第2リリーフ弁8の開弁圧は、第1リリーフ弁7の開弁圧よりも高くなるように設定されている。第1リリーフ弁7および第2リリーフ弁8は、ともに、開弁圧になると開弁し、開弁後の通過流量の増加量に対する圧力損失の増加量が小さい流量圧力特性、つまり、圧力オーバーライドが小さい流量圧力特性を有している。よって、第1リリーフ弁7および第2リリーフ弁8は、調圧弁のような開弁後に通過流量の増加とともに圧力損失を増加させて専らダンパDに減衰力を発生させるための弁とは異なり、通過流量が増えても上流側の圧力が開弁圧に対して極力大きくならないような流量圧力特性を備えている。
【0026】
このように、リリーフ通路5,6にそれぞれリリーフ弁7,8が液体の流れに対して同じ向きになるように設けられるとは、リリーフ弁7,8がともに液体の通過を許容する方向を同じするようにリリーフ通路5,6に設けられて、リリーフ弁7,8の上流と下流とがともに一致するように設けられることを意味している。したがって、本実施の形態では、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁と8の上流を圧側室R2とし、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との下流がともに伸側室R1として、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とがそれぞれリリーフ通路5,6に対して液体の通過方向が同じになるように設けられている。
【0027】
伸側減衰通路9は、伸側室R1と圧側室R2とを連通しており、途中には、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容し、かつ、作動油の流れに抵抗を与える伸側減衰弁10が設けられている。この伸側減衰弁10によって伸側減衰通路9は、伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、伸側減衰弁10は、本実施の形態では、上流側である伸側室R1の圧力が下流側である圧側室R2の圧力より高く、両者の差が開弁圧に達すると開弁して伸側減衰通路9を開放して伸側室R1を圧側室R2に連通させる調圧弁とされている。調圧弁である伸側減衰弁10は、開弁圧に達すると開弁して、開弁後の通過流量の増加に伴って前述した各リリーフ弁7,8に比較して高い割合で圧力損失が増加する流量圧力特性を備えており、流量の増加に応じて上流側の圧力を上昇させて減衰力を大きくする。
【0028】
つづいて、蓋19には、圧側室R2とタンク4とを連通する圧側減衰通路11と吸込通路12と、圧側減衰通路11に設けられた圧側減衰弁13と、吸込通路12に設けられたチェック弁14とが設けられている。
【0029】
圧側減衰通路11は、圧側室R2とタンク4とを連通しており、途中には、圧側室R2からタンク4へ向かう作動油の流れのみを許容し、かつ、作動油の流れに抵抗を与える圧側減衰弁13が設けられている。この圧側減衰弁13によって圧側減衰通路11は、圧側室R2からタンク4へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。なお、圧側減衰弁13は、本実施の形態では、上流側である圧側室R2の圧力が下流側であるタンク4の圧力より高く、両者の差が開弁圧に達すると開弁して圧側減衰通路11を開放して圧側室R2をタンク4に連通させる調圧弁とされている。調圧弁である圧側減衰弁13は、開弁圧に達すると開弁して、開弁後の通過流量の増加に伴って圧力損失も前述した各リリーフ弁7,8に比較して高い割合で増加する流量圧力特性を備えており、流量の増加に応じて上流側の圧力を上昇させて減衰力を大きくする。また、圧側減衰弁13の開弁圧は、第2圧力よりも僅かに大きな圧力値である第3圧力に設定されている。
【0030】
吸込通路12は、圧側室R2とタンク4とを連通しており、その途中には、タンク4から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容するチェック弁14が設けられている。吸込通路12は、このチェック弁14によってタンク4から圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容する一方通行の通路に設定されている。チェック弁14は、殆ど抵抗を与えずに作動油の通過を許容する。
そして、ダンパDが伸長作動する際に作動油が吸込通路12を介してタンク4からシリンダ1内に供給され、ダンパDの伸長作動時における体積補償が行われる。
【0031】
ロッドガイド20には、伸側室R1とタンク4とを連通する伸側リリーフ通路15と、伸側リリーフ通路15に設けられた伸側リリーフ弁16とが設けられている。伸側リリーフ弁16は、伸側室R1の圧力がタンク4の圧力より高く、伸側室R1の圧力とタンク4の圧力との差が所定圧力以上になると開弁して伸側リリーフ通路15を開放し、伸側室R1からタンク4へ向かう作動油の通過を許容する。伸側リリーフ弁16は、伸側室R1の圧力がタンク4の圧力よりも高くても伸側室R1の圧力とタンク4の圧力との差が所定圧力未満の場合、および伸側室R1の圧力がタンク4の圧力以下の場合には、閉弁して伸側リリーフ通路15を遮断して作動油の通過を阻止する。このように、伸側リリーフ弁16は、伸側室R1の圧力とタンク4の圧力との差(開弁圧)が所定圧力以上になると開弁して伸側室R1内の圧力が予め設定される上限値を超えないようにする。
【0032】
以上のように構成されたダンパDの作動について説明する。まず、ダンパDが伸長作動する場合のダンパDの作動を説明する。ダンパDが伸長作動すると、ピストン3がシリンダ1内を
図1中左方へ移動して伸側室R1を圧縮して圧側室R2を拡大させる。圧縮される伸側室R1内の作動油は、伸側減衰弁10を押し開いて伸側減衰通路9を通過して圧側室R2へ移動する。ダンパDの伸長作動時には、シリンダ1内にピストンロッド2が退出するので、圧側室R2内でピストンロッド2がシリンダ1内から退出する体積分の作動油が不足するので、この不足分の作動油は、チェック弁14が開弁して吸込通路12を介してタンク4から圧側室R2に供給される。
【0033】
よって、圧側室R2の圧力は、タンク4の圧力とほぼ等しくなる一方で、伸側室R1の圧力は、伸側減衰弁10によって圧側室R2の圧力よりも高くなる。ピストン3の
図1中で左端面には伸側室R1の高圧が作用するとともに、ピストン3の
図1中で右端面にはタンク圧が作用するので、ダンパDは、ピストン3のシリンダ1に対する
図1中左方への移動を妨げる減衰力、つまり、ダンパDの伸長作動を妨げる減衰力を発生する。ダンパDが非常に高い速度で伸長して、伸側室R1の圧力が伸側リリーフ弁16の開弁圧である所定圧に達すると、伸側リリーフ弁16が開弁して伸側室R1の圧力上昇を抑制し、ダンパDの伸長作動時に発生する減衰力が過剰となるのを防止する。
【0034】
つづいて、ダンパDが収縮作動する場合、ピストン3がシリンダ1内を
図1中右方へ移動して圧側室R2を圧縮して伸側室R1を拡大させる。圧縮される圧側室R2の圧力と拡大される伸側室R1の圧力との差が第1圧力に到達しない状態では、第1リリーフ弁7、第2リリーフ弁8および圧側減衰弁13は閉弁したままとなって、圧縮される圧側室R2の圧力が上昇するとともに、拡大される伸側室R1の圧力が下降する。
【0035】
そして、ダンパDの収縮作動が進んで圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第1圧力以上となり第2圧力未満になると、第1リリーフ弁7が開弁して第1リリーフ通路5を介して圧側室R2内の作動油が伸側室R1内へ移動するようになる。なお、第2リリーフ弁8および圧側減衰弁13は閉弁状態を維持する。
【0036】
さらに、ダンパDの収縮作動が進んで圧側室R2の圧力と伸側室R1の圧力との差が第2圧力以上となり第3圧力未満になると、第1リリーフ弁7に加えて第2リリーフ弁8も開弁して第1リリーフ通路5および第2リリーフ通路6を介して圧側室R2内の作動油が伸側室R1内へ移動するようになる。なお、圧側減衰弁13は閉弁状態を維持する。
【0037】
そしてさらに、ダンパDの収縮作動が進んで圧側室R2の圧力とタンク4の圧力との差が第3圧力以上となると、圧側減衰弁13が開弁して圧側減衰通路11を通じてシリンダ1内に侵入するピストンロッド2の体積に見合う体積の作動油が圧側室R2からタンク4へ排出される。
【0038】
このダンパDの収縮作動の初めから圧側減衰弁13の開弁までに要するシリンダ1に対するピストン3の移動距離は、極僅かであるが、ダンパDの収縮作動時には第1リリーフ弁7が真っ先に開弁し、つづいて第2リリーフ弁8が開弁した後、圧側減衰弁13が開弁する。
【0039】
そして、このようにダンパDの収縮作動時には、作動油が第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを通過して圧側室R2から伸側室R1へ移動するので、圧側室R2から伸側室R1へ移動する作動油量を第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで分担できる。よって、
図2に示すように、1つのリリーフ弁のみを備えた従来のダンパ(
図2中破線で示した特性線)と比較すると、本実施の形態のダンパDの収縮作動時には、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを通過する作動油量を少なくでき、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで発生する圧力オーバーライドを小さくできるので、ダンパDが収縮作動時に発生する減衰力を低減させ得る。
【0040】
以上のように、本実施の形態のダンパDは、シリンダ1と、シリンダ1内に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、シリンダ1内に移動可能に挿入されてピストンロッド2に連結されるとともにシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに仕切るピストン3と、タンク4と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する第1リリーフ通路5および第2リリーフ通路6と、リリーフ通路5,6にそれぞれ液体の流れに対して同じ向きになるように設けられる第1リリーフ弁7および第2リリーフ弁8とを備えている。
【0041】
このように構成されたダンパDでは、作動油が圧側室R2から伸側室R1へ移動する際に第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との双方を通過できるので、圧側室R2から伸側室R1へ移動する作動油量を第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで分担できる。つまり、本実施の形態のダンパDでは、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とをそれぞれ通過する作動油量が従来のダンパと比較して少なくなる。よって、本実施の形態のダンパDによれば、ダンパDが高速で収縮作動した場合であっても、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで生じる圧力オーバーライドを小さくできるので、高速で作動する際に減衰力が過剰となるのを防止できる。
【0042】
また、本実施の形態のダンパDでは、第1リリーフ弁7の開弁圧と第2リリーフ弁8の開弁圧とが異なっており、第1リリーフ弁7の開弁タイミングと第2リリーフ弁8の開弁タイミングがずれる。よって、本実施の形態のダンパDの収縮速度に対する減衰力の特性は、
図2中で実線に示すように、第1リリーフ弁7の開弁に遅れて第2リリーフ弁8が開弁するので、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが同じ開弁圧で開弁する設定の場合における二点鎖線で示す特性と対比すると、減衰力が変化するポイントにて減衰力の急変が緩和される特性となる。
【0043】
第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが同じ開弁圧で開弁するように設定すると、ダンパDの収縮作動時において第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが同時に開弁して圧側室R2の圧力を急激に減少させて当該圧力を両者の開弁圧より低下させ、直ぐに第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが閉弁して、再び、圧側室R2の圧力が開弁圧よりも上昇して第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが開弁するという動作を繰り返して圧側室R2の圧力変動が振動的になってしまう。これに対して本実施の形態のダンパDでは第1リリーフ弁7の開弁圧と第2リリーフ弁8の開弁圧とを異なるように設定しており、ダンパDの収縮作動時において第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが開閉を繰り返すハンチング動作が発生する収縮速度を第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とが同じ開弁圧で開弁するように設定する場合と比較して高速側へシフトさせ得る。そして、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力と第2リリーフ弁8の開弁圧である第2圧力との差を大きくすれば大きくするほど、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8のハンチングが発生する収縮速度をより高速側へシフトすることができる。第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力と第2リリーフ弁8の開弁圧である第2圧力との差を大きくすれば大きくするほど、第1リリーフ弁7の開弁タイミングと第2リリーフ弁8の開弁タイミングとを時間的に長くずらせるから、圧側室R2の圧力の急変がより緩和されるため、第1圧力と第2圧力との差を大きくすれば大きくするほど、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8のハンチングが発生する収縮速度をより高速側へシフトすることができるのである。
【0044】
よって、本実施の形態のダンパDでは、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8のハンチングが発生する収縮速度をダンパDの実用使用域よりも高速となるように、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力と第2リリーフ弁8の開弁圧である第2圧力との差を設定することで、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とのハンチングによる異音の発生および第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8の摩耗を防止できる。
【0045】
なお、本実施の形態のダンパDでは、圧側減衰弁13の開弁圧である第3圧力は、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力および第2リリーフ弁8の開弁圧である第2圧力よりも大きくしてある。よって、本実施の形態のダンパDによれば、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との開弁に時間的に遅れて圧側減衰弁13が開弁するため、圧側室R2からタンク4へ作動油が排出される前に拡大する伸側室R1へ作動油を供給できるから伸側室R1が負圧となって作動油中に気泡が発生するのを防止でき、減衰力発生応答性が悪化するのを防止できる。
【0046】
また、本実施の形態のダンパDでは、リリーフ通路が第1リリーフ通路5と第2リリーフ通路6とされ、リリーフ弁が第1リリーフ通路5に設けられる第1リリーフ弁7と第2リリーフ通路6に設けられる第2リリーフ弁8とされているが、リリーフ通路は3つ以上設けられてもよく、リリーフ弁もリリーフ通路にそれぞれ設けられればよいのでリリーフ通路と同数だけ設けられればよい。
【0047】
さらに、本実施の形態のダンパDでは、収縮作動時の減衰力が過剰になることを防止するために圧側室R2と伸側室R1とを連通するリリーフ通路5,6と、リリーフ通路5,6に圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容する向きにリリーフ弁7,8を設けているが、伸長作動時の減衰力が過剰になることを防止したい場合には、伸側室R1とタンク4とを連通する伸側リリーフ通路15の他にも伸側リリーフ通路を設けて、これら伸側リリーフ通路をリリーフ通路として、各リリーフ通路にそれぞれ伸側室R1からタンク4へ向かう作動油の流れのみを許容する向きにリリーフ弁を設けてもよい。また、収縮作動時の減衰力が過剰になることを防止する場合、圧側室R2とタンク4とを連通する複数のリリーフ通路を設けるとともに、各リリーフ通路にそれぞれ圧側室R2からタンク4へ向かう作動油の流れのみを許容する向きにリリーフ弁を設けてもよい。さらには、ダンパDの回路構成によらず、ダンパDの収縮作動時における減衰力が過剰になることを防止したい場合には圧側室R2を伸側室R1或いはタンク4へ連通するリリーフ通路を複数設けて、各リリーフ通路にそれぞれ圧側室R2の圧力で開弁する向きでリリーフ弁を設置すればよい。同様に、ダンパDの回路構成によらず、ダンパDの伸長作動時における減衰力が過剰になることを防止したい場合には伸側室R1を圧側室R2或いはタンク4へ連通するリリーフ通路を複数設けて、各リリーフ通路にそれぞれ伸側室R1の圧力で開弁する向きでリリーフ弁を設置すればよい。
【0048】
つづいて、リリーフ弁としての第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との開弁圧の設定について、
図3(a)から(c)に示した具体的な第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを例にして説明する。
【0049】
図3(a)から(c)に示した第1リリーフ弁7は、ピストン3に設けた第1リリーフ通路5を形成する弁孔30内に収容され、
図3(a)から(c)に示した第2リリーフ弁8は、ピストン3に設けた第2リリーフ通路6を形成する弁孔31内に収容されている。
【0050】
図3(a)から(c)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とは、ともに、弁体7a,8aと、ばね受7b,8bと、弁体7a,8aとばね受7b,8bとの間に介装されるコイルばね7c,8cとを備えている。
【0051】
弁孔30,31は、
図3(a)から(c)に示すように、それぞれピストン3の圧側室R2に臨む図中右端から伸側室R1に臨む図中左端に開口しており、途中で内径が拡径しており、圧側室側の小径部30a,31aと伸側室側の大径部30b,31bとを備えている。
【0052】
弁体7a,8aは、ともに、小径部30a,31a内に摺動自在に挿入されるとともに先端から後端にかけて切欠7a2,8a2が設けられた軸部7a1,8a1と、軸部7a1,8a1に連なるとともに弁孔30,31の小径部30a,31aと大径部30b,31bとの間に形成される段部30c,31cに当接するとともに外径が大径部30b,31bの内径よりも小径な円盤状の弁部7a3,8a3と、弁部7a3,8a3の後端から図中左方へ突出してコイルばね7c,8cの内周に嵌合する円筒状の嵌合部7a4,8a4とを備えている。
【0053】
弁体7aは、弁孔30内に挿入されており、軸部7a1が小径部30a内に摺動自在に挿入されることで弁孔30内での軸方向への移動がガイドされており、弁部7a3を段部30cに着座させると弁孔30で形成される第1リリーフ通路5を遮断する。また、弁体7aは、弁部7a3が段部30cから離間した状態では、切欠7a2を大径部30b内に連通させて第1リリーフ通路5を開放して圧側室R2と伸側室R1とを連通させる。また、弁体7aは、弁部7a3が段部30cから離間すれば離間するほど、軸部7a1における切欠7a2が大径部30b内と対向する度合いを大きくする。このように第1リリーフ弁7は、作動油の通過流量が増えると開弁度合を大きくして圧力オーバーライドが大きくならないように設定されている。
【0054】
弁体8aは、弁孔31内に挿入されており、軸部8a1が小径部31a内に摺動自在に挿入されることで弁孔31内での軸方向への移動がガイドされており、弁部8a3を段部31cに着座させると弁孔31で形成される第2リリーフ通路6を遮断する。また、弁体8aは、弁部8a3が段部31cから離間した状態では、切欠8a2を大径部31b内に連通させて第2リリーフ通路6を開放して圧側室R2と伸側室R1とを連通させる。また、弁体8aは、弁部8a3が段部31cから離間すれば離間するほど、軸部8a1における切欠8a2が大径部31b内と対向する度合いを大きくする。このように第2リリーフ弁8は、作動油の通過流量が増えると開弁度合を大きくして圧力オーバーライドが大きくならないように設定されている。
【0055】
ばね受7b,8bは、弁孔30,31の大径部30b,31bの内周に螺子結合される螺子部7b1,8b1と、螺子部7b1,8b1から図中右方へ突出してコイルばね7c,8cの内周に嵌合する円柱状の嵌合部7b2,8b2とを備えている。コイルばね7c,8cは、弁体7a,8aの弁部7a3とばね受7b,8bとの間で圧縮された状態に介装されており、弁体7a,8aを常時図中右方へ付勢して何ら圧力を受けていない状態において段部30c,31cに着座させる。なお、ばね受7b,8bは、外周が一部切欠かれており、対応する第1リリーフ通路5および第2リリーフ通路6を閉塞しないようになっている。
【0056】
また、弁体7a,8aには上流側の圧側室R2の圧力が開弁方向に作用するとともに、下流側の伸側室R1の圧力が閉弁方向に作用する。よって、第1リリーフ弁7は、上流側の圧側室R2の圧力と下流側の伸側室R1の圧力との差が開弁圧である第1圧力に達するとコイルばね7cが縮んで弁体7aが弁孔30内で図中左方へ後退して開弁して第1リリーフ通路5を開放する。第2リリーフ弁8は、上流側の圧側室R2の圧力と下流側の伸側室R1の圧力との差が開弁圧である第2圧力に達するとコイルばね8cが縮んで弁体8aが弁孔31内で図中左方へ後退して開弁して第2リリーフ通路6を開放する。
【0057】
図3(a)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第1例では、コイルばね7c,8cの自然長およびばね定数を同一にしており、ばね受7bのピストン3の伸側室側の端部からの軸方向距離よりもばね受8bのピストン3の伸側室側の端部からの軸方向距離よりも長くして、ばね受8bをより圧側室R2へ接近した位置に設置してある。つまり、
図3(a)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第1例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cの初期の圧縮量よりも第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cの初期の圧縮量を多くしているため、コイルばね7cが弁体7aを付勢するばね力よりもコイルばね8cが弁体8aを付勢するばね力の方が強くなっている。このように、
図3(a)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第1例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cの付勢力よりも第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cの付勢力を大きくすることで、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力よりも第2にリリーフ弁8の開弁圧である第2圧力を大きくしている。このように第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを構成すると、弁体7a,8a、ばね受7b,8bおよびコイルばね7c,8cを第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで共通する部品とすることができるので、部品の管理が容易で誤組立も防止できる。
【0058】
さらに、
図3(b)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第2例では、第1リリーフ弁7が収容される弁孔30の大径部30bの軸方向長さよりも第2リリーフ弁8が収容される弁孔31の大径部31bの軸方向長さを短くし、コイルばね7c,8cの自然長とばね定数とを同一にし、ばね受7b,8bのピストン3の伸側室側の端部からの軸方向距離を同じにしている。つまり、
図3(b)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第2例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cの初期の圧縮量よりも第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cの初期の圧縮量を多くしているため、コイルばね7cが弁体7aを付勢するばね力よりもコイルばね8cが弁体8aを付勢するばね力の方が強くなっている。このように、
図3(b)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第2例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cの付勢力よりも第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cの付勢力を大きくすることで、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力よりも第2にリリーフ弁8の開弁圧である第2圧力を大きくしている。このように第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを構成すると、弁体7a,8a、ばね受7b,8bおよびコイルばね7c,8cを第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とで共通する部品とすることができるので、部品の管理が容易で誤組立も防止でき、ばね受7b,8bのピストン3への設置位置も同じになるので組立も容易となる。
【0059】
また、
図3(c)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第3例では、コイルばね7c,8cの自然長を同一にしているが、コイルばね7cのばね定数よりもコイルばね8cのばね定数を大きくしている。つまり、
図3(c)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第3例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cと第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cとの初期の圧縮量は同じであるが、コイルばね7cのばね定数よりもコイルばね8cのばね定数が大きいために、コイルばね7cが弁体7aを付勢するばね力よりもコイルばね8cが弁体8aを付勢するばね力の方が強くなっている。このように、
図3(c)に示した第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第3例では、第1リリーフ弁7におけるコイルばね7cの付勢力よりも第2リリーフ弁8におけるコイルばね8cの付勢力を大きくすることで、第1リリーフ弁7の開弁圧である第1圧力よりも第2にリリーフ弁8の開弁圧である第2圧力を大きくしている。このように第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8とを構成すると、ばね受7b,8bのピストン3に対する設置位置を同じにできるので組立が容易となる。
【0060】
なお、第1リリーフ弁7と第2リリーフ弁8との第1例から第3例は、第1リリーフ弁7の開弁圧と第2リリーフ弁8の開弁圧との設定を例示したものであり、他にもコイルばね7cの自然長よりもコイルばね8cの自然長を長くしてコイルばね7cの初期の圧縮量よりもコイルばね8cの初期の圧縮量を多くしてもよいし、弁体7aのコイルばね7cに当接する弁部7a3の軸方向長さよりも弁体8aのコイルばね8cに当接する弁部8a3の軸方向長さを長くしてもよい。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1・・・シリンダ、2・・・ピストンロッド、3・・・ピストン、4・・・タンク、5・・・第1リリーフ通路(リリーフ通路)、6・・・第2リリーフ通路(リリーフ通路)、7・・・第1リリーフ弁(リリーフ弁)、8・・・第2リリーフ弁(リリーフ弁)、D・・・ダンパ、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室