(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044939
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】リボン状連続超薄切片を基板上に回収する用具
(51)【国際特許分類】
G01N 1/06 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
G01N1/06 F
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022161944
(22)【出願日】2022-09-20
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】501038090
【氏名又は名称】北 重夫
(72)【発明者】
【氏名】北 重夫
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AD12
2G052AD32
2G052AD52
2G052BA02
2G052BA16
2G052EC03
2G052EC22
2G052GA34
2G052GA35
2G052JA07
2G052JA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の透過電子顕微鏡用のダイヤモンドナイフで作製したリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具に関するものである。
【解決手段】リボン状連続超薄切片を切削する前に用具をダイヤモンドナイフに取りつけて切削後にリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具であって、本体の支持台部の底盤に柱5を設け、その柱5の付け根に基板を着けて、ナイフボート縁の上側に重ねて留め具2で固定して、柱に型枠を係留する。留め具2は略箱形で、その一側壁を取り除いて入口を設け、両側壁2の上部から内側に軒状の天井14を設け、下側には奥壁から側壁に平行に板バネを設け、型枠3は、基板と同じ幅、同じ長さの平らな極薄い略コの字形状枠に、閉鎖側を柱5に通す孔12の部分を開放側に対辺する両端に攝子で掴む部分11を外向きに突出するように設けている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドナイフのナイフボートに浮いているリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具であって、本体(1)と本体(1)の柱(5)に係留する型枠(3)と本体(1)をダイヤモノドナイフに固定する留め具(2)からなり、支持台部(4)と取り付け部(6)を側壁1(15)によって連結させた本体(1)で、支持台部(4)は角型樋状の形状であり、底盤(16)と向かいあう側壁1(15)からなり、
底盤(16)の端部、中央に柱(5)を設け、
それぞれの側壁1(15)の上端には底盤(16)へ向かう傾斜b(18)を設け、
底盤(16)の柱(5)を設けた近傍に切り込み部(9)を設け、
取り付け部(6)は略コの字形状となり、
取り付け部(6)は支持台部(4)の側壁1(15)よりも高い位置で連結部(19)により連結され、
取り付け部(6)の内側全周には傾斜a(17)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側の下面に、当て止め部(7)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側辺の側面に貫通孔(20)を設け、
貫通孔(20)に排水管(8)を挿し通し切り込み部(9)によって固定し、
排水管(8)は貫通孔(20)よりも、突出するように設け、
留め具(2)は略箱形で、その一側壁を取り除いて入口を設け、
両側壁2(21)の上部から内側に軒(14)状の天井を設け、下側には奥壁(13)両端下部から入口まで、側壁2(21)に平行に沿った細長い板バネ(10)をそれぞれ設け、
型枠(3)は、基板と同じ幅、同じ長さの平らな極薄い略コの字形状枠に、閉鎖側を柱(5)に通す孔(12)の部分を、開放側に対辺する両端には攝子で掴む部分(11)を外向きに突出するように設けたことを特徴とするリボン状連続超薄切片を基板上に回収する用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は従来から透過形電子顕微鏡「TEM」用に使用しているダイヤモンドナイフで作製したリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、走査形電子顕微鏡「SEM」とその検出器の性能が向上し、透過形電子顕微鏡「TEM」に近い像を取得することができるようになったため、SEM連続断面法は微細構造の3D解析する研究者が多くなっている。連続断層像から3D構造を再構築する手法は3種類ほどに分類されています。その中に連続切片SEM法(Array Tomography法)がある。
連続切片SEM法(Array Tomography法)はウルトラミクロト-ムで製作したリボン状の連続超薄切片を走査電子顕微鏡用観察試料台(シリコンウエハーなどの基板)上に回収して、SEMで観察する方法である。
Leica社は新機能を持つ新型ウルトラミクロトームARTOS 3Dと新型のダイヤモンドナイフを市販している。その機能は両々相まってリボン状の連続超薄切片を基板に回収作業に手技を必要としない機能となっている。
その機能とは、用具で基板の端を掴みナイフボートの底に置き、掴んだ反対側の基板の端をダイヤモンド刃先の手前近に置き、水を刃先の高さに注ぎ入れる。新型ウルトラミクロトームARTOS 3Dで、基板のサイズに合わせた長さのリボン状連続超薄切片を切削して刃先に付着した状態で置く、ナイフステージを横に移動して、リボン状連続超薄切片作製を作製して、ナイフステージを移動して数列を作製する。そして、自動で最初に切削して刃先に付着しているリボン状連続超薄切片の位置に戻り、刃先に付着のリボン状連続超薄切片の列に次々に厚めの切片を切削してつぎ足す。刃先と基板の隙間の距離を厚めの切片で刃先に付いているリボン状連続超薄切片を刃先から押出す。そして、ダイヤモンドナイフボートの排水コックを開き排水する方法で回収するので回収作業に手技が不要である。
しかし、従来から使用されているウルトラミクロト-ムとダイヤモンドナイフで作製したリボン状連続超薄切片を基板上に回収する方法は従来から透過電子顕微鏡試料作製に用いられた引上げ法やループ法で行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Koike,T.Saito,A.Yamada,H.J.Electron Microscopy Technology Med.Biol.32(1):26(2019)
【非特許文献2】甲賀大輔 Hitachi High-Technologies Corporation All rights reserved.2015[5008]
【非特許文献3】岩崎広英 The Japanese Society of Microscopy Vol.49,No.3(2014)
【非特許文献4】Leica社製新型ウルトラミクロトームARTOS 3D ライカマイクロシステムズ株式会社、ARTOS 3D ウルトラミクロトーム、onlin、令和4年9月14日検索、<https://www.leica-microsystems.com.jp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から使用されているウルトラミクロトームとダイヤモンドナイフは、透過電子顕微鏡観察用試料用に使用されていて、走査電子顕微鏡用3D解析用に超薄切片の様に一枚一枚を繋げたリボン状連続超薄切片を基板上に回収する機能が付いていないので、透過形電子顕微鏡観察用試料作製法に用いているループ法や引き上げ法などで行われていて不便で非効率的である。
本発明は、以上のような不便さを迅速で効率よい作業にするためになされたのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、請求項1に記載の発明はダイヤモンドナイフのナイフボート水面の型枠内のリボン状連続超薄切片の回収用具であって、該回収用具はナイフボートの水面に浮いているリボン状連続超薄切片を囲む型枠(3)を水面に係留する柱(5)を備える底盤(16)と側壁1(15)を有する本体(1)で、
本体(1)と本体(1)の柱(5)に係留する型枠をダイヤモンドナイフに固定する留め具(2)からなり、
支持台部(4)と取り付け部(6)を側壁1(15)によって連結させた本体(1)で、支持台部(4)は角型樋状の形状であり、底盤(16)と向かいあう側壁1(15)からなり、
底盤(16)の端部、中央に柱(5)を設け、
それぞれの側壁1(15)の上端には底盤(16)へ向かう傾斜b(18)を設け、
底盤(16)の柱(5)を設けた近傍に切り込み部(9)を設け、
取り付け部(6)は略コの字形状となり、
取り付け部(6)は支持台部(4)の側壁1(15)よりも高い位置で連結部(19)により連結され、
取り付け部(6)の内側全周には傾斜a(17)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側の下面に、当て止め部(7)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側辺の側面に貫通孔(20)を設け、
貫通孔(20)に排水管(8)を挿し通し切り込み部(9)によって固定し、
排水管(8)は貫通孔(20)よりも、突出するように設け、
留め具(2)は略箱形で、その一側壁を取り除いて入口を設け、
両側壁(21)の上部から内側に軒(14)状の天井を設け、下側には奥壁(13)両端下部から入口まで、側壁2(21)に平行に沿った細長い板バネ(10)をそれぞれ設け、
型枠(3)は、基板と同じ幅、同じ長さの平らな極薄い略コの字形状枠に、閉鎖側を柱(5)に通す孔(12)の部分を、開放側の対辺する両端には攝子で掴む部分(11)を外向きに突出すように設ける。
以上を特徴とする、リボン状連続超薄切片を基板上に回収する用具である。
【発明の効果】
【0006】
本態をダイヤモンドナイフに取りつけたとき支持台部(4)の柱の付け根に着けた基板の一方の端が、ナイフ刃先手前近くに成る所定の位置に精確に設置される。
型枠(3)で囲い込まれた内側でリボン状の連続超薄切片を刃先から外して略コの字形状型枠(3)内に整頓しながら作製する。
即座にナイフボートの水を注射器でゆっくりと抜き取ると水位の降下に伴いって、型枠(3)が、柱に沿って降下して、型枠(3)が、基板の傾斜とナイフボート水面との二面に対応して水面の囲いが破られないで、柱(5)の付け根に着けた基板の上に到着する。
水面の囲いはリボン状の連続超薄切片の囲いだけでなく、水面の囲いが破れたら切削により発生して水面に浮いた疎水性物質が囲いの破れた箇所から拡散する流がリボン状の連続超薄切片を移動させることになるのでこれを含めて囲っている。
型枠(3)に囲い込まれた内側で切削して回収作業が行われるのでループ法や引き上げ方などよりはるかに効率よく安定している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】本発明の本体(1)の下方からの斜視図である。
【
図5】本発明の本体(1)に柱の付け根に基板を着けた斜視図である。
【
図10】本発明の本体(1)の柱の付け根に基板を着けボートに収めた斜視図である。
【
図11】ナイフボートに取り付け留め具の一部を切断した斜視図である。
【
図12】本発明の本体(1)をナイフボートに取り付けた全景の斜視図である。
【
図13】ナイフ刃先の高さに注水した断面にした側面図である。
【
図14】ボート水面の柱に係留した型枠(3)の斜視図である。
【
図15】ナイフボートの水面にリボン状連続超薄切片を作製した斜視図である。
【
図16】リボン状連続超薄切片切削後ナイフボートの水を抜いた斜視図である。
【
図17】本発明の本体(1)をダイヤモンドナイフから取り出した斜視図である。
【
図18】型枠(3)を柱から攝子で取り出す斜視図である。
【
図20】支持台部(4)の基板を攝子で掴んだ斜視図である。
【
図21】支持台部(4)から基板を攝子で取り出した斜視図である。
【
図22】本体(1)、型枠(3)、基板、留め具(2)ナイフの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
リボン状連続超薄切片を切削する前に用具をダイヤモンドナイフに取りつけて切削後にリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具である。以下
図1~22を基に説明する。
図1~
図15に示す通り、
支持台部(4)と取り付け部(6)を側壁1(15)によって連結させた本体(1)である。
支持台部(4)は角型樋状の形状であり、底盤(16)と向かいあう側壁1(15)からなる。
底盤(16)の端部、中央に柱(5)を設ける。
それぞれの側壁(15)の上端には底盤(16)へ向かう傾斜b(18)を設ける。
底盤(16)の柱(5)を設けた近傍に切り込み部(9)を設ける。
取り付け部(6)は略コの字形状となっている。
取り付け部(6)は支持台部(4)の側壁1(15)よりも高い位置で連結部(19)により連結されている。
取り付け部(6)の内側全周には傾斜a(17)を設ける。
取り付け部(6)の閉鎖側の下面に、当て止め部(7)を設ける。
取り付け部(6)の閉鎖側辺の側面に貫通孔(20)を設ける。
貫通孔(20)に排水管(8)を挿し通し切り込み部(9)によって固定する。
排水管(8)は貫通孔(20)よりも、突出するように設ける。
留め具(2)は略箱形で、その一側壁を取り除いて入口を設ける。
両側壁(21)の上部から内側に軒(14)状の天井を設け、下側には奥壁(13)両端下部から入口まで、側壁2(21)に平行に沿った細長い板バネ(10)をそれぞれ設ける、
型枠(3)は、基板と同じ幅、同じ長さの平らな極薄い略コの字形状枠に、閉鎖側を柱(5)に通す孔(12)の部分を、開放側に対辺する両端には攝子で掴む部分(11)を外向きに突出するように設ける。
本発明を使用するときは、
1)
図5に示すように、基板を本体(1)の支持台部(4)の柱(5)の付け根に着ける。
2)
図10に示すように、支持台部(4)をナイフの刃先に向けて、当て止め部(7)をナイフボート角に当て止めにして、支持台部(4)をナイフボート内に収め、取り付け部(6)をナイフボート縁の上に重ねる。
3)
図9~
図13、
図22に示すように、留め具(2)の入口の軒天を当て止め部(7)の上にして、下側の板バネ(10)をナイフボートの下側に合わせて、水平に押し込んで奥壁(13)をボートの側壁に当て止めする。
4)
図14に示すように、ナイフボートの刃先の高さまで水を注ぎ、柱(5)に型枠(3)の孔(12)を柱に通して水面に係留する。
5)
図15に示すように、リボン状連続超薄切片作製しながら型枠(3)内にリボン状超薄切片を切削順に睫毛で整理整頓しながら数列切削する。
6)
図16に示すように、ナイフボートの排水管(8)から水を注射器でゆっくりと吸引する。
7)
図16に示すように、型枠(3)は柱(5)に沿って降下して基板に到着し、リボン状連続超薄切片は基板の高い所から付着して下方に付着が進む。
8)
図16~21に示すように、基板にリボン状連続超薄切片が付着したら留め具(2)を手前に水平に引き抜き、本体(1)をナイフボートから取り出して、型枠(3)の掴む部分(12)を攝子で掴み、柱(5)から抜き取りリボン状連続超薄切片を回収した基板を取り出す。
【符号の説明】
【0009】
1 本体
2 留め具
3 型枠
4 支持台部
5 柱
6 取り付け部
7 当て止め部
8 排水管
9 切り込み部
10 板バネ
11 掴む部分
12 孔
13 奥壁
14 軒
15 側壁1
16 底盤
17 傾斜a
18 傾斜b
19 連結部
20 貫通孔
21 側壁2
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤモンドナイフのナイフボートの水面に浮いているリボン状連続超薄切片を基板に回収する用具であって、本体(1)と本体(1)の柱(5)に係留する型枠(3)が水面に係留し、と本体(1)をダイヤモノドナイフに固定する留め具(2)からなり、支持台部(4)と取り付け部(6)を側壁1(15)によって連結させた本体(1)で、支持台部(4)は角型樋状の形状であり、底盤(16)と向かいあう側壁1(15)からなり、
底盤(16)の端部、中央に柱(5)を設け、
それぞれの側壁1(15)の上端には底盤(16)へ向かう傾斜b(18)を設け、
底盤(16)の柱(5)を設けた近傍に切り込み部(9)を設け、
取り付け部(6)は略コの字形状となり、
取り付け部(6)は支持台部(4)の側壁1(15)よりも高い位置で連結部(19)により連結され、
取り付け部(6)の内側全周には傾斜a(17)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側の下面に、当て止め部(7)を設け、
取り付け部(6)の閉鎖側辺の側面に貫通孔(20)を設け、
貫通孔(20)に排水管(8)を挿し通し切り込み部(9)によって固定し、
排水管(8)は貫通孔(20)よりも、突出するように設け、
留め具(2)は略箱形で、その一側壁を取り除いて入口を設け、
両側壁2(21)の上部から内側に軒(14)状の天井を設け、下側には奥壁(13)両端下部から入口まで、側壁2(21)に平行に沿った細長い板バネ(10)をそれぞれ設け、
型枠(3)は、基板と同じ幅、同じ長さの平らな極薄い略コの字形状枠に、閉鎖側を柱(5)に通す孔(12)の部分を、開放側に対辺する両端には攝子で掴む部分(11)を外向きに突出するように設けたことを特徴とするリボン状連続超薄切片を基板上に回収する用具。