(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044943
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】堆肥化装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C05F 9/02 20060101AFI20240326BHJP
B09B 3/60 20220101ALI20240326BHJP
B09B 101/70 20220101ALN20240326BHJP
【FI】
C05F9/02 D
B09B3/60 ZAB
B09B101:70
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022162791
(22)【出願日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000250731
【氏名又は名称】龍野コルク工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】片岡 孝次
【テーマコード(参考)】
4D004
4H061
【Fターム(参考)】
4D004AA03
4D004BA04
4D004CA15
4D004CA19
4D004CB03
4D004CB43
4H061AA03
4H061AA10
4H061CC55
4H061GG41
4H061GG43
4H061GG49
4H061HH42
(57)【要約】
【課題】 本発明は、低炭素社会の実現に不可欠な、電気も燃料も使用しない好気性微生物の力で生ごみを分解する、屋外設置方式の家庭用堆肥化装置及びその使用用法である。
【解決手段】 本願発明の堆肥化装置は、ビーズ法発泡プラスチック製の堆肥化容器であって、該容器の背面下部に好気性微生物に酸素を供給するための吸気口が設けられ、前記容器の背面上部に生ごみに含まれる水分が水蒸気として排出される排気口が設けられ、前記容器の上面に太陽光の輻射熱を取り込む透明窓を設けた左右にスライドし着脱可能な蓋部が設けられ、前記容器内部には、通気性及び排水性が良い団粒構造を有する培地の空間容積を調節する直方体が着脱自在に設けられている堆肥化装置と、その使用方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーズ法発泡プラスチック製の堆肥化容器であって、該容器の背面下部に好気性微生物に酸素を供給するための吸気口が設けられ、前記容器の背面上部に生ごみに含まれる水分が水蒸気として排出される排気口が設けられ、前記容器の上面に太陽光の輻射熱を取り込む透明窓を設けた左右にスライドし着脱可能な蓋部が設けられ、前記容器内部には、通気性及び排水性が良い団粒構造を有する培地の空間容積を調節する直方体が着脱自在に設けられている、ことを特徴とする堆肥化装置。
【請求項2】
前記容器の内部壁面と前記直方体の外周側面の間には隙間が設けられており、該隙間に前記団粒構造を有する培地又は発泡粒が配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の堆肥化装置。
【請求項3】
前記団粒構造を有する培地又は発泡粒が、吸気口から侵入し排気口から排出される外気流に対する吸気抵抗の抵抗体となっている、ことを特徴とする請求項2に記載の堆肥化装置。
【請求項4】
前記発泡粒が、ビーズ法発泡プラスチック製の中実体又は中空体である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の堆肥化装置。
【請求項5】
堆肥化装置において、該堆肥化装置の内部壁面と、該堆肥化装置内部に配置された直方体の外部側面の間に設けられた隙間に、団粒構造を有する培地又は発泡粒を投入する工程と、前記直方体の上部に形成された空間容積を2分割する空間の1方に団粒構造を有する培地を投入したあと前記培地に生ごみを投入して掻き混ぜる工程と、前記空間の他方に団粒構造を有する培地を投入したあと前記培地に生ごみを投入して掻き混ぜる工程とを、一定期間毎に繰り返す工程により、生ごみを堆肥化する、ことを特徴とする堆肥化装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低炭素社会の実現に不可欠な、電気も燃料も使用せず、好気性微生物の力で生ごみを分解する、屋外設置方式の家庭用堆肥化装置及びその使用方法である。特に、簡便に一年を通して生ごみを分解処理できる家庭用の堆肥化装置及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低炭素社会の実現に向けた取り組みは、次世代に少しでも良い環境を引き渡すために実施すべき喫緊の課題である。現在、使用されている家庭用の生ごみ処理装置としては、屋内用では電気加熱式の生ごみ乾燥装置が開示されている。また、ごみ回収日までの数日間、生ごみの臭いが屋内に拡散しないようにする、生ごみ冷凍保管装置が開示されている。しかしながら、いずれも低炭素社会の実現という価値観で見た場合、使用時間や期間に比例して電気を消費するため、その商品価値は低いと言わざるを得ない。
【0003】
屋外用の堆肥化装置では、EM菌を活用した堆肥化装置があるが、嫌気性微生物を活用したものであるため、生ごみを分解してできる液状体の消化液やメタンガスは、悪臭を放ち、ハエなどの害虫を引き寄せるため、集合住宅や狭小住宅が多い都市部には不向きであり、一般家庭に広く普及しているとは言い難いのが現状である。
【0004】
屋外用の堆肥化装置において、電気も燃料も使用せずに、好気性微生物を用いた堆肥化装置が開示されている(特許文献1および2参照。)。この装置は、熱伝導を考慮した素材を用いて、内部を5~8室に仕切る構成であり、製造コストが高くなっている。また、生ごみの投入空間を日替わりで変更する必要があり、利用者が投入空間を誤るという問題があった。
【0005】
また、装置内に新たに投入する生ごみと好気性微生物を宿す培地を、装置内部で混ぜ合わせることが出来ない構造であるため、装置内の培地を一旦装置外に取り出して、新たに投入する生ごみを撹拌し、その後、装置内部に収納する必要があった。したがって撹拌する場所を新たに確保しなければならず、さらに、撹拌をバラつきなく均質に行うために、たらい等の開口部が広く浅い容器を準備する必要があり、使用者にとって手間の掛かる堆肥化装置であった。
【0006】
一方、機能面においては、装置の内部に納められた5~8個の小格納部と、装置内壁面との間に空隙が生じている。そのため、強風下では低温の外気が吸気口から空隙を通り、好気性微生物の好熱菌が生ごみを分解するのに必要な量以上に吹き込み、装置内部に投入した培地の温度が低下する。これにより、好気性微生物の活動が低下し、装置の堆肥化速度が鈍化する。このため、堆肥化速度の鈍化を避ける手段として、吸気口の開口面積を調節できる機能を付加する必要があり、製造コストが高くなる要因となっていた。
【先行技術文献】
【0007】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003-192478号公報
【特許文献2】特開2005-022911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および2に開示された堆肥化装置の生ごみ投入方法は、あらかじめ装置本体に格納された5~8個の小格納部の1つを本体装置より取り出し、該小格納部に納められた好気性微生物を宿した培地を、たらい等の開口部が広い容器に取り出して、生ごみと撹拌混合したのち、再び小格納部に戻し、該小格納部を装置本体に戻すものである。この場合、培地と生ごみの撹拌に用いた前記容器にハエなどの害虫が群がることを防止するために、水道水などを用いて洗浄することが必要となる。このような作業を行うと、例えば、
消費されるので、環境負荷ゼロとは言えず、この側面からも改良の余地を残していると言わざるを得ない。
【0010】
このような現状において、毎日発生する生ごみの処理を、近年、需給バランスの不安定が懸念されている水道水や電気を使わず簡便に処理でき、かつ、悪臭を放つこともなく、さらに、外気温度が、好気性微生物の好熱菌の活動が活性する30℃から40℃よりも低い外気温下においても、調節弁などを用いた吸気量の調節を行うことなく、生ごみを安定的に堆肥化できる装置の開発が切望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本願発明の堆肥化装置は、ビーズ法発泡プラスチック製の堆肥化容器であって、該容器の背面下部に好気性微生物に酸素を供給するための吸気口が設けられ、前記容器の背面上部に生ごみに含まれる水分が水蒸気として排出される排気口が設けられ、前記容器の上面には蓋部が設けられており、該蓋部は太陽光の輻射熱を取り込む透明窓が形成されており、左右にスライドすると共に本体より着脱可能である。また、前記容器内部には、通気性及び排水性が良い団粒構造を有する培地の空間容積を調節する直方体(かさ上げブロック、以下同様)が着脱自在に設けられている。
【0012】
本発明は、前記容器の内部壁面と前記直方体の外部側面の間に隙間が設けられており、該隙間に前記団粒構造を有する培地又は発泡粒が配置されている、堆肥化装置である。また、本発明は、前記団粒構造を有する培地又は発泡粒が、吸気口から侵入し排気口から排出される外気流に対する吸気抵抗の抵抗体となっている、堆肥化装置である。
【0013】
本発明は、前記発泡粒が、ビーズ法発泡プラスチック製の中実体又は中空体である、堆肥化装置である。なお、中実体としては、粒状、円柱状、球状等があるが、シート状又は所定形状にカットされたスポンジ等も使用できる。また、中空体としては、内部に中空部を有する球状体であるが、シート状の気泡緩衝材やプチプチ(登録商標)も使用できる。
【0014】
本発明は、堆肥化装置の内部壁面と、該堆肥化装置内部に配置された直方体の外周側面の間に設けられた隙間に、団粒構造を有する培地又は発泡粒を投入する工程と、前記直方体の上部に形成された空間容積を2分割する空間の1方に団粒構造を有する培地を投入したあと前記培地に生ごみを投入して掻き混ぜる工程と、前記空間の他方に団粒構造を有する培地を投入したあと前記培地に生ごみを投入して掻き混ぜる工程とを、一定期間毎に繰り返す工程と、堆肥化された生ごみを取り出す工程からなる、生ごみを堆肥化する堆肥化装置の使用方法である。
【0015】
本願発明の堆肥化装置は、本体の内部壁面と直方体の外部側面の間に隙間が設けられており、該隙間には団粒構造を有する培地又は発泡粒が配置されている。
前記隙間に培地又は発泡粒を配置することにより、前記団粒構造を有する培地又は発泡粒が、吸気口から侵入して排気口から排出される外気流に対する吸気抵抗の抵抗体となり、吸気口から排気口への空気の流れを鈍化させる作用を有している。外気温が低い冬期では吸気口から強風が吹き込むが、前記培地又は発泡粒が、好気性微生物が生ごみを分解するために必要とする量以上の空気の侵入を防止、又は低減する作用がある。これにより、培地の温度低下防止と、好気性微生物が生ごみを分解するときに必要な酸素量を供給できる仕組みとなっている。
【0016】
前記発泡粒は、ビーズ法発泡プラスチック製の中実体又は中空体を用いている。ビーズは粒が小さくなるほど通気性は悪くなる。逆にビーズ粒が大きいとビーズ間の隙間が大きいので、通気性は良くなる。通常、ビーズ自体に通気性はないため、本願発明の堆肥化装置では、最適な粒径を設定することになるが、粒径の異なるビーズを混合して使用することもできる。本発明の堆肥化装置の使用場所は、基本的には屋外用であり、台所から比較的近い場所にあるベランダや、家屋の外壁近傍に載置することができる。なお、家屋内に設置場所があれば、室内に設置することもできる。
【0017】
本願発明の堆肥化装置の正面を南向き、背面を北向きに設置することで、装置の蓋に設けた窓から、装置内部に太陽光の輻射熱を供給することができる。培地に住む好気性微生物は生ごみを分解するときに熱を発する。装置の本体や蓋部、および直方体に用いた発泡プラスチックは、住宅用断熱材にも使用される性能劣化が少ない断熱材であるから、装置外部への熱の漏れ出しを抑制し、寒い冬でも生ごみを分解処理することができる。
【0018】
本願発明の堆肥化装置の本体と蓋部は、ポリスチレンとブタジエンゴムからなるハイブリッド発泡プラスチックを用いることで、亜麻仁油・サラダ油・ごま油やみかん汁等への耐油性を有するので、耐久性に優れた堆肥化装置である。
【0019】
本願発明の堆肥化装置は、好気性微生物に酸素を供給するための吸気口と、生ごみに含まれる水分が水蒸気として排出される排気口と、太陽光の輻射熱を取り込む窓と、立位姿勢や座位姿勢でも生ゴミと培地とを撹拌しやすい位置(高さ)に培地を設けた、ビーズ法発泡プラスチック製の本体と蓋部から形成されている。日本人の平均身長の男性171cm、女性158cmの使用者が立った状態で、または車いす等の利用者が、座位の状態でも、前記堆肥化装置内部の培地に、投入した生ごみと、好気性微生物を宿す培地との撹拌を、小型スコップ等で可能な構造としている。
【0020】
本願発明でいう培地とは、通気性・排水性・保水性を有し、大きな粒子と小さな粒子が団子状に集合した団粒構造を有しているバーク堆肥、鹿沼土、有機肥料などを用いた、小粒状体からなる園芸用培養土をいう。好気性微生物は、生ごみを分解するとき空気を必要とするため、本願発明に用いた団粒構造を有する培地は、通気性に富み、好気性微生物に必要な空気を供給するのに適している。
【0021】
好気性微生物の好熱菌は30℃から40℃で活性するとされる。寒い冬でも好熱菌が活発に生ゴミを分解処理する環境とするために、本願発明の堆肥化装置は、蓋部に窓を設けて、装置の内部に太陽光が差し込む構造とし、外気温が低い冬季でも、太陽光の輻射熱により装置内部の温度が上昇するいわゆる温室のような構造とした。
【0022】
さらに好熱菌が生ごみを分解するときに出す熱を装置の内部に留め、好熱菌が活性する環境とするために、本願発明の堆肥化装置は、本体および蓋部は、金型を用いて様々な形状に加熱成形加工が可能であるため、住宅用の断熱材や食品保冷容器、給湯器の屋外貯湯タンクの保温材にも使用されるビーズ法発泡プラスチックを用いた。
【0023】
さらに、堆肥化装置内に設けた高さ12cm(2コ使いの場合は24cm)の直方体と装置内壁との間に巾1.5cm、高さ12cm(2コ使いの場合24cm)の空隙を設けている。この空隙に団粒構造を有する培地を投入することで、吸気口から、直方体の上面部までの隙間に空気的抵抗が生じる。これにより、直方体の上面に投入された生ごみ及び培地に、生ごみを分解するために必要な空気量よりも過多の空気の流入を防ぐための方策として、吸気口の開口面積を調整する手段を設けなくても、一年を通して好気性微生物の好熱菌が活性した状態を維持できる、堆肥化装置である。
【0024】
本願発明の堆肥化装置は、生ごみを分解するときに大量に酸素を取り込む好気性微生物の活動を利用したものである。そのため堆肥化装置の本体背面下部には吸気口を設け、本体背面上部には換気口を設けている。本願発明に用いたビーズ法の発泡プラスチックは、断熱性能が高くなるとされる30倍から40倍に膨らませたものを使用している。また、堆肥化装置の本体及び蓋部の外面は、屋外暴露による損傷や劣化を防ぐため、建築物の外壁材などに用いられる塗料をコーティングしている。
【0025】
小型スコップを用いた堆肥化装置において、その使用方法の一例としては、次のとおりである。まず、堆肥化装置内部の空間容積に所定量の培地を投入した後、前記空間容積の中央部を境界として、以下の作業を行う。
1.片側半分の培地を掘り下げて、掘り出した培地は反対側に積み上げる。
2.掘り下げた側の培地の上に生ごみを7日間投入する。生ごみを投入するたびに掘り下げた側の培地と生ごみを撹拌し、生ごみの表面に培地を付着させる。
3.7日目の生ごみと培地の撹拌終了後、積み上げておいた反対側の培地を生ごみの上に積み上げ、さらに培地を掘り下げ、掘り出した培地は生ごみの上に積み上げる。
4.上記1に戻る。なお、使用する小型スコップは、培地中央あたりに載置しておくと便利である。
【発明の効果】
【0026】
本願発明の堆肥化装置は、装置の内部に設けた直方体の上に培地を設けることで、立位姿勢のまま、又は座位姿勢の状態で、生ごみと培地との撹拌ができる。好気性微生物による有機物分解なので、悪臭が広範囲に及ぶこともなく、また液垂れもない。生ごみの投入は、前記堆肥化装置に直接投入できるので、別途、タライ等の容器を準備、洗浄、保管する手間を省くことができる。
【0027】
本願発明の堆肥化装置は、正面を南向き、背面を北向きに設置することで、本体の蓋部に設けた透明窓から、本体内部に太陽光の輻射熱を供給することができる。培地に住む好気性微生物は生ごみを分解するときに熱を発する。本体・蓋部および直方体に用いた発泡プラスチックは住宅用断熱材にも使用される性能劣化が少ない断熱材であり、本体外部への熱の漏れ出しを抑制し、寒い冬季でも生ごみを分解処理することができる。
【0028】
本願発明の堆肥化装置の本体と蓋部は、ポリスチレンとブタジエンゴムからなるハイブリッド発泡プラスチックを用いることで、亜麻仁油・サラダ油・ごま油やみかん汁等に対する耐油性があり、溶けることが無く耐久性に優れいるので耐久性がある。
【0029】
家庭から排出される生ごみは、1年間で1000万トンともいわれている。生ごみの水分量とごみの水分量を重量比85%、生ごみの温度を20℃、灯油1リットルの燃焼熱を8700kcalと仮定し、1000万トンの生ごみを全量、灯油を用いて乾燥すると、1000万×1000kg×85%×((100℃-20℃)×1kcal+540kcal)÷8700kcal=60万キロリットルの灯油が必要となる。
日本の世帯数は約5900万世帯であり、1世帯あたりでは灯油約10リットルを使ったこととなる。本発明の堆肥化装置の製作に用いる発泡プラスチックの重量は約1.5Kgである。したがって、本発明の堆肥化装置は、まさに低炭素社会の実現に貢献する発明と言える。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】 本願発明の実施形態の一例を示す堆肥化装置の図面であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は右側面図、(d)は平面図、(e)は底底面である。なお、左側面図は右側面と対象に現れるので省略している。
【
図2】 本願発明の実施形態の一例を示す堆肥化装置の内部を説明する断面図であり、(a)は蓋を外した本体の平面図、(b)は(a)のA-A断面図、(c)は(a)のB-B断面図、(d)は団粒構造の模式図である。
【
図3】 本願発明の使用法を示す説明図であり、(a)は生ごみを投入する培地の窪み箇所と培地積み上げ箇所を示す分布図であり、(b)は培地の窪み箇所に生ごみを投入した状態を示す図であり、(c)は投入した生ごみと窪みした培地の撹拌を終えた図であり、(d)は7日間の生ごみ投入と培地との撹拌を終えて、翌7日間生ごみを投入するための窪み培地の造形を終えた図であり、(e)は生ごみを投入する位置を示した図でありり、(f)は生ごみを投入し培地と撹拌を終えた図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の堆肥化装置1について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の一例を示す堆肥化装置1の外形図である。
図1において、堆肥化装置1の本体11と蓋部12は、ポリスチレンとブタジエンゴムからなるハイブリッド発泡プラスチックを用いているので、亜麻仁油・サラダ油・ごま油やみかん汁等に対する耐油性があり、溶けることが無く、耐久性に優れたものである。前記堆肥化装置1は、上部が円弧状に開口された本体11と、該開口部分に左右スライド及び着脱自在に装着された蓋部12より構成されている。
【0032】
前記蓋部12は、本体11の上部の円弧状の開口に沿う形状に形成されており、中央部には、透明な樹脂で覆われた採光窓15が形成されている。本体11の背面下部には、好気性微生物に酸素を供給するための吸気口13が設けられ、前記本体11の背面上部には、生ごみ31に含まれる水分が水蒸気として排出される排気口14が設けられている。
【0033】
本体11の内部には、
図2に示すように、通気性及び排水性が良い団粒構造18を有する培地21を収納し、生ごみ31を投入して攪拌することが可能な空間容積を調節するために、発泡プラスチックで形成した直方体(かさ上げブロック)16が着脱自在に装着されている。なお、前記直方体16の厚さは、1種類に限定されるものではなく、数種類の厚さの直方体を準備可能であり、使用時は1個に限定されるものではなく、2段積とすることも可能である。
【0034】
前記本体11の内部の4面の内壁面と前記直方体16の4面の外部側面間には、所定寸法の空隙17を有するように形成されている。この空隙17には、団粒構造18を有する培地21が充填される。前記団粒構造18を有する培地は、本体11の下部の吸気口13から侵入し本体11の上部の排気口14から排出される外気流に対する吸気抵抗の抵抗体となる。この空隙17に培地21を充填することで空気の流れを鈍化させることができる。例えば、外気温が低い冬季には、吸気口13から大量の強風が吹き込むため、好気性微生物が生ごみ31を分解するのに必要とする量以上の空気の侵入を防ぐことで、直方体16の上部に投入した培地21の温度低下防止と、好気性微生物が生ごみ31を分解するときに必要な酸素の適量を供給する仕組みとしている。
【実施例0035】
堆肥化装置1の本体11および蓋部12は、株式会社カネカ製のHS原料を40倍に膨張させたビーズ法発泡プラスチックで成型した。前記本体11及び蓋部12の外側面に水性塗料を塗布し、紫外線及び雨の暴露対策を施した。本体11の内部寸法は、巾48cm、奥行25cmである。巾48cmの面に、本体11の内部壁面と直方体16の側面との配置調整用として、高さ1.5cmの三角柱状体の突起を3箇所設けている。本体内部に設置する培地21の空間調整用の直方体16は、積水化成品工業株式会社製の原料を約100倍に膨張させたものを、長さ46cm、幅22cm高さ12cmに加工したものを、1個ないし2個使用した。蓋部12に設けた透明窓15の開口寸法は横幅27cm、縦幅19cm、厚み0.4mmの透明A-PET製のシートを、ナイロン製の木ねじ4本で固定し、太陽光の輻射熱を本体11の内部に供給する機能と、雨や冷気の本体内への侵入を阻止する。本体11の背面の下部に設けた吸気口13は巾80mm、高さ10mmであり、該吸気口13には網戸用のネット状枠体を取り付けて害虫等の侵入を阻止している。
【0036】
本体11の背面の上部には巾85mm、高さ15mmの排気口14を4か所設け、生ごみ22が分解したときに発生する二酸化炭素と、生ごみ31が分解するときおよび太陽光の輻射熱の供給により、生ごみ31の総重量の8割程を占める大量の水分を水蒸気として排気する。また、吸気口13と同様に、網戸用のネット状枠体を取り付けて害虫等の侵入を阻止している。
【0037】
微生物を宿す培地21は、通気性や排水性を持つ団粒構造を有する粒状体であり、野菜などを育成するための有機物や肥料、土などからなる培養土を用いている。本実施例では株式会社コメリの製品名:培養土20リットルを用いた。堆肥化装置1の本体11内に培地21を投入する際は、まず少量を投入し、本体11の内壁面と直方体16の間にできた4辺の隙間17に満遍なく装填されたことを確認した後に、残りの全量を投入した。
【0038】
前記隙間17に装填した培地21は、本体11の背面下部に設けた吸気口13から侵入する空気を、好気性微生物が生ごみ31分解する際に必要とする量以上の供給を防止するための重要な吸気抵抗の抵抗体となっている。この抵抗体は、堆肥化装置を設置した後、季節や気候変動による外気温度の低下等で、強風が本体11の背面下部に設けた吸気口13に吹き込み、本体11内部の培地21および生ごみ31の温度低下を抑止するものであり、外気温度が低く、吸気口13に向けて強風が吹きつける環境下でも、本体11内部の気温を30℃~40℃に保ち、好気性微生物の好熱菌を活性化させて生ごみ31の分解を維持できる。
本願発明の堆肥化装置は、家庭からでる生ごみを、電気も燃料も使用することなく処理できる屋外設置型の堆肥化装置である。該堆肥化装置は好気性微生物を利用した装置であり、悪臭が立つこともなく1年を通して利用できる。