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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044963
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】フレキシブル回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240326BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240326BHJP
   H05K 3/28 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K1/09 C
H05K1/02 D
H05K3/28 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023001676
(22)【出願日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】111135809
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】311005208
【氏名又は名称】▲き▼邦科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 東昇
(72)【発明者】
【氏名】謝 依凌
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 秋鴻
(72)【発明者】
【氏名】郭 庭宜
(72)【発明者】
【氏名】李 佩螢
【テーマコード(参考)】
4E351
5E314
5E338
【Fターム(参考)】
4E351AA04
4E351BB33
4E351BB35
4E351BB38
4E351DD04
4E351DD24
4E351GG02
4E351GG03
5E314AA24
5E314BB01
5E314BB11
5E314CC01
5E314FF06
5E314FF17
5E314GG26
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB17
5E338CD05
5E338EE26
(57)【要約】
【課題】フレキシブル回路基板を提供する。
【解決手段】フレキシブル回路基板は、フレキシブル基板と、回路層と、ソルダーマスクと、を含んで構成される。フレキシブル基板は能動的な面を有する。回路層は能動的な面に設置される。ソルダーマスクは、回路層に設置され、且つ能動的な面及び回路層の伝導部を被覆している。伝導部は2つの第一側面及び1つの第一上面を有する。第一はんだ層は2つの第一側面を被覆する。ソルダーマスクは第一はんだ層を被覆する。且つ第一はんだ層は第一側面とソルダーマスクとの間に位置する。第一上面はソルダーマスクに直接接触している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動的な面を有しているフレキシブル基板と、
前記能動的な面に設置されている回路層と、
前記回路層に設置され、且つ前記能動的な面及び前記回路層の伝導部を被覆しているソルダーマスクであって、前記伝導部は2つの第一側面及び1つの第一上面を有し、第一はんだ層は2つの前記第一側面を被覆し、前記第一はんだ層を被覆し、前記第一上面は直接接触している前記ソルダーマスクと、を備え、
前記第一はんだ層は前記第一側面と前記ソルダーマスクとの間に位置していることを特徴とするフレキシブル回路基板。
【請求項2】
前記ソルダーマスクは露出開口部を有し、前記露出開口部は前記回路層の内接続部を露出し、前記内接続部は2つの第二側面及び1つの第二上面を有し、第二はんだ層は2つの前記第二側面及び1つの前記第二上面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項3】
前記回路層は外接続部を有し、前記外接続部は前記ソルダーマスクの外に露出し、前記外接続部は2つの第三側面及び1つの第三上面を有し、第三はんだ層は2つの前記第三側面及び1つの前記第三上面を被覆していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項4】
前記第一はんだ層は表面及び複数の切欠き部を有し、前記切欠き部は前記表面に凹設され、且つ各前記切欠き部は前記第一側面を露出していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項5】
前記第一はんだ層は表面及び複数の溝を有し、前記溝は前記表面に凹設され、前記第一はんだ層は厚さを有し、各前記溝は深さを有し、前記深さは前記厚さより小さいことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項6】
前記伝導部は前記第一上面に凹設されている複数の凹部を有していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項7】
前記伝導部は前記第一上面に凹設されている複数の凹部を有していることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項8】
前記伝導部は前記第一上面に凹設されている複数の凹部を有していることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブル回路基板。
【請求項9】
各前記伝導部の前記第一側面は底部部分を有し、前記底部部分は前記能動的な面に連結され、且つ前記底部部分の距離は前記第一側面の長さの60%以下を占め、前記第一はんだ層は2つの前記第一側面の前記底部部分のみを被覆していることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に関し、より詳しくは、フレキシブル回路基板の回路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル回路基板は可撓性を有し、フレキシブル回路基板で製造されたドライバーICはパネル背面まで湾曲することができ、制御回路基板をパネル背面に設置可能にし、パネル正面のサイズを減少させてモバイル装置及び表示装置に広く使用可能にしている。フレキシブル回路基板の一端はパネルに接続され、他端は制御回路基板に接続され、内部回路はチップに接続されている。このため、フレキシブル回路基板の回路表面にははんだ層をめっきする必要があり、例えば、錫または錫合金によりフレキシブル回路基板の回路とパネル、制御回路基板及びチップとを相互に接合する。また、銅イオンのイオン移動度は錫イオンより大きいため、銅回路にはんだ層を被覆して回路の銅イオン移動を防止する効果を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現在モバイル装置及び表示装置の厚さは薄型化する傾向にあり、フレキシブル回路基板の湾曲角度が大きくなっている。このため、フレキシブル回路基板の回路は湾曲箇所にはんだ層の応力が集中して断裂し易く、回路の損傷につながる。但し、回路にはんだ層をめっきせずに曲げ強さを高めると、銅イオン移動により容易に効果を失う。
【0004】
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に至った。
【0005】
本発明は、上述に鑑みてなされたものであり、その目的は、はんだ層により回路層の側面のみを被覆して回路の銅イオン移動を回避し、回路層の上面にはんだ層を被覆せず、その曲げ強さを十分高めるフレキシブル回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様によると、フレキシブル回路基板が提供される。フレキシブル基板と、回路層と、ソルダーマスクと、を含んで構成される。前記フレキシブル基板は能動的な面を有する。前記回路層は前記能動的な面に設置される。前記ソルダーマスクは前記回路層に設置される。且つ前記ソルダーマスクは前記能動的な面及び前記回路層の伝導部を被覆している。前記伝導部は2つの第一側面及び1つの第一上面を有する。第一はんだ層は前記2つの第一側面を被覆する。前記ソルダーマスクは前記第一はんだ層を被覆する。且つ前記第一はんだ層は前記第一側面と前記ソルダーマスクとの間に位置する。前記第一上面は前記ソルダーマスクに直接接触している。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上述に説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
本発明によると、伝導部の第一上面がはんだ層に被覆されておらず、応力が集中するのを回避して伝導部の曲げ強さを高めている。また、伝導部の第一側面をはんだ層で被覆することで、伝導部に銅イオン移動が発生しないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例に係るフレキシブル回路基板を示す平面図である。
図2】本発明の第1実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施例に係るフレキシブル回路基板の内接続部を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施例に係るフレキシブル回路基板の外接続部を示す断面図である。
図5】本発明の第2実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図6】本発明の第3実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図7】本発明の第4実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図8】本発明の第5実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図9】本発明の第6実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
図10】本発明の第7実施例に係るフレキシブル回路基板の伝導部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態によるフレキシブル回路基板を図面に基づき説明する。以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
次に、図1から図10を参照しながら、本発明のフレキシブル回路基板100について説明する。
(第1実施例)
【0011】
図1は本発明の第1実施例に係るフレキシブル回路基板100を示す平面図である。フレキシブル回路基板100はフレキシブル基板110を有する。フレキシブル基板110は能動的な面111を有する。フレキシブル基板110はポリイミドフィルム(Polyimide、PI)またはポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)から選択されているが、フレキシブル基板110を製造する材料について本発明はこれに限定されるものではない。
【0012】
フレキシブル回路基板100の回路層120は能動的な面111に設置され、回路層120は能動的な面111に電気めっきされる銅層にパターン化エッチングが施されることで形成される微細な回路であり、本実施例では、回路層120は伝導部121と、内接続部122と、外接続部123と、を有して構成されている。内接続部122は能動的な面111の中心領域に位置し、チップ(図示省略)のバンプに接続するために用いられている。外接続部123は能動的な面111の上下の辺縁に隣接し、制御回路基板及びパネルにそれぞれ接続するために用いられている。伝導部121は内接続部122と外接続部123との間に位置し、内接続部122と外接続部123との間を電気的に接続するために用いられ、内接続部122と外接続部123との間で信号を伝送させている。
【0013】
図1を参照すると、フレキシブル回路基板100のソルダーマスク130は回路層120に設置され、且つソルダーマスク130は能動的な面111及び回路層120の伝導部121を被覆している。図1の例では、能動的な面111の内部の実線で囲む領域はソルダーマスク130により被覆される領域である。内接続部122及び外接続部123はソルダーマスク130の外に露出し、チップ及びパネルまたは制御回路基板にそれぞれ接続されている。ソルダーマスク130はシルクスクリーンにより能動的な面111に設定されている領域に塗布した後、ベークし乾燥することで形成し、フレキシブル回路基板100と他の電子素子とを接続する際に、プロセス中の高温により伝導部121を被覆しているはんだ層が溶融するのを回避している。
【0014】
また、図2を参照すると、各伝導部121は2つの第一側面s1及び1つの第一上面t1を有し、第一はんだ層141は2つの第一側面s1を被覆し、ソルダーマスク130は第一はんだ層141を被覆し、且つ第一はんだ層141は第一側面s1とソルダーマスク130との間に位置し、第一上面t1はソルダーマスク130に直接接触している。第一はんだ層141により2つの第一側面s1を被覆することで伝導部121の銅イオン移動を効果的に低下させ、各伝導部121の第一上面t1を第一はんだ層141で被覆しないことで湾曲時に応力が集中するのを回避し、これら伝導部121が好ましい曲げ強さを有する。
【0015】
また、図1図3及び図4を参照すると、本実施例では、ソルダーマスク130が露出開口部131を有し、露出開口部131からは回路層120の内接続部122が露出され、外接続部123もソルダーマスク130の外に露出している。内接続部122及び外接続部123を湾曲する必要がなく、且つ内接続部122及び外接続部123をチップ及び他の電子素子にそれぞれ接続する必要がある。このため、図3に示すように、内接続部122が2つの第二側面s2及び1つの第二上面t2を有し、第二はんだ層142は2つの第二側面s2及び1つの第二上面t2を被覆している。図4に示すように、外接続部123は2つの第三側面s3及び1つの第三上面t3を有し、第三はんだ層143は2つの第三側面s3及び1つの第三上面t3を被覆している。
【0016】
本実施例の伝導部121は第一上面t1がはんだ層に被覆されておらず、曲げ強さが向上している。本実施例の構造は負荷重量を200gとし、湾曲角度を+/-90°とし、速度を60rpmとし、テストする軸心の直径を0.5mmとする湾曲テスト中に600回以上の湾曲回数に達し、従来の三面が全てはんだ層に被覆された回路構造では同じテスト条件下で400回の湾曲回数にしか達せず、本実施例が曲げ強さを約1.5倍以上に向上させていることが分かる。また、本実施例は第一はんだ層141により2つの第一側面s1を被覆して伝導部121の銅イオン移動を低下させ、高加速温度及び湿度応力テスト(HAST)をパスし、第一上面t1がはんだ層に被覆されていないために耐用性が低下することもない。
(第2実施例)
【0017】
図5は本発明の第2実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第2実施例では、第1実施例との相違点について、第一はんだ層141は表面S及び複数の切欠き部Nを有し、切欠き部Nは表面Sに凹設され、且つ各切欠き部Nからは第一側面s1が露出している。本実施例は切欠き部Nを設けることで2つの第一側面s1を被覆する第一はんだ層141の用量を更に減らし、はんだ層が発生させる応力の集中問題を減少させ、曲げ強さを高めている。
(第3実施例)
【0018】
図6は本発明の第3実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第3実施例では、第1実施例との相違点について、第一はんだ層141は表面S及び複数の溝Gを有し、溝Gは表面Sに凹設されている。第一はんだ層141は厚さTを有し、各溝Gは深さDを有し、深さDは厚さTよりも小さい。本実施例は溝Gを設けることで2つの第一側面s1を被覆する第一はんだ層141の用量を更に減らし、はんだ層が発生させる応力の集中問題を減少させ、曲げ強さを高め、且つ溝Gが第一側面s1を露出させていないため、伝導部121の銅イオン移動を回避する効果を有している。
(第4実施例)
【0019】
図7は本発明の第4実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第4実施例では、第1実施例との相違点について、各伝導部121が第一上面t1に凹設されている複数の凹部Uを有し、凹部Uを設けることで、ソルダーマスク130を塗布する際に、ソルダーマスク130が凹部U中に流入し、伝導部121の曲げ強さを更に高めている。
(第5実施例)
【0020】
図8は本発明の第5実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第5実施例では、第2実施例との相違点について、各伝導部121が第一上面t1に凹設されている複数の凹部Uを有し、凹部Uを設けることで、ソルダーマスク130を塗布する際に、ソルダーマスク130が凹部U中に流入し、伝導部121の曲げ強さを更に高めている。
(第6実施例)
【0021】
図9は本発明の第6実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第6実施例では、第3実施例との相違点について、各伝導部121が第一上面t1に凹設されている複数の凹部Uを有し、同様に、凹部Uを設けることで、ソルダーマスク130を塗布する際に、ソルダーマスク130がこれら凹部U中に流入し、伝導部121の曲げ強さを更に高めている。
(第7実施例)
【0022】
図10は本発明の第7実施例に係る伝導部121を示す断面図である。第7実施例では、第1実施例との相違点について、各伝導部121の第一側面s1が能動的な面111に連結されている底部部分bsを有し、且つ底部部分bsの距離は第一側面s1の長さの60%以下を占めている。本実施例の第一はんだ層141は2つの第一側面s1の底部部分bsのみを被覆し、第一はんだ層141が底部部分bsのみを被覆することで各伝導部121の銅イオン移動が最も発生し易い部位を保護し、且つ第一はんだ層141に起因する応力の集中を大幅に減少させ、伝導部121の曲げ強さを高めている。
【0023】
本発明は伝導部121の第一上面t1をはんだ層で被覆しないことで、応力の集中を回避し、伝導部121の曲げ強さを高めている。また、伝導部121の第一側面s1をはんだ層で被覆することで伝導部121に銅イオン移動が発生しないようにしている。
【0024】
以上、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施の形態で実施可能である。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0025】
100 フレキシブル回路基板
110 フレキシブル基板
111 能動的な面
120 回路層
121 伝導部
122 内接続部
123 外接続部
130 ソルダーマスク
131 露出開口部
141 第一はんだ層
142 第二はんだ層
143 第三はんだ層
s1 第一側面
t1 第一上面
s2 第二側面
t2 第二上面
s3 第三側面
t3 第三上面
S 表面
N 切欠き部
T 厚さ
G 溝
D 深さ
U 凹部
bs 底部部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10