(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044972
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240326BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H05K1/02 C
H05K3/00 N
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019419
(22)【出願日】2023-02-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-25
(31)【優先権主張番号】202211081608.2
(32)【優先日】2022-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523049177
【氏名又は名称】トライポッド (ウーシー) エレクトロニック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Tripod (WUXI) Electronic Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Tuan-Jie-Zhong Road, Xi-Shan-Kai-Fa-Qu(Industrial Park), WuXi City, Jiang Su Province 214101, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】チェン ミン リュ
(72)【発明者】
【氏名】ハン-チン シィ
(72)【発明者】
【氏名】シュ ツ
(72)【発明者】
【氏名】ウェン-チョ チェン
(72)【発明者】
【氏名】ウ-チアン マ
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA20
5E338BB03
5E338BB14
5E338BB19
5E338BB75
5E338EE32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】信頼性の向上を図った、開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板を提供する。
【解決手段】開蓋開口部C1を有するセミフレックスプリント回路基板100は、コア基板1と、2つの金属バリア構造2と、貼合フィルム5と、コアプレート6と、を含む。コア基板の内側は開蓋開口部を取り囲む。2つの金属バリア構造は、コア基板の側表面に設置され、且つ、コア基板と共に開蓋開口部を取り囲む。貼合フィルムは、コア基板の側表面に貼合され、且つ、一部が開蓋開口部に露出する。コアプレートは、貼合フィルムのコア基板から離れる側表面に設置される。コア基板の開蓋開口部を取り囲む底部の両側には、それぞれ2つのレーザー切断側壁31がある。2つの金属バリア構造の開蓋開口部を取り囲む側壁は、夫々2つのレーザー切断側壁に接続され、且つ、夫々金属バリア側壁21として定義される。金属バリア側壁とレーザー切断側壁との間に鈍角がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板であって、
コア基板であって、内側が開蓋開口部を取り囲み、且つ前記開蓋開口部がコア基板の反対側にある2つの側表面を貫通するコア基板と、
前記コア基板の一方の前記側表面に設置され、且つ前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む2つの金属バリア構造と、
前記コア基板の2つの前記金属バリア構造が設置された前記側表面に貼合され、且つ一部が前記開蓋開口部に露出し、前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む貼合フィルムと、
前記貼合フィルムの前記コア基板から離れる側表面に設置されるコアプレートと、を含み、
前記コア基板の前記開蓋開口部を取り囲む底部の両側にそれぞれ2つのレーザー切断側壁があり、2つの前記金属バリア構造の前記開蓋開口部を取り囲む側壁はそれぞれ2つの前記レーザー切断側壁に接続され、且つそれぞれ金属バリア側壁として定義され、各前記金属バリア側壁及びそれに接続された前記レーザー切断側壁において、前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間に120°~150°の夾角がある、開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項2】
前記夾角は130°~140°である、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項3】
前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間の夾角を有する領域はフラッシングスペースとして定義され、剥離可能な印刷インクの残留がなくなるように、開蓋作業中に化学薬液のフラッシングを提供する、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項4】
各前記金属バリア構造の形状は矩形又は台形であり、且つ各前記金属バリア構造は、幅が30ミクロン~600ミクロンであり、高さが15ミクロン~300ミクロンである、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項5】
前記開蓋開口部は上部が広く下部が狭い形状であり、且つ2つの前記金属バリア側壁及び2つの前記レーザー切断側壁は共同で前記開蓋開口部の狭い部分を画定する、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項6】
セミフレックスプリント回路基板の前記開蓋開口部に位置するセグメントはセミフレックスセグメントとして定義され、且つセミフレックスプリント回路基板は前記セミフレックスセグメントから折り曲げることができる、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項7】
セミフレックスプリント回路基板は、前記開蓋開口部内に埋め込まれる電子部品をさらに含み、且つ前記電子部品は抵抗又はコンデンサである、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項8】
前記貼合フィルムは、一方の側表面が前記コア基板の2つの前記金属バリア構造に貼合され、さらに2つの前記金属バリア構造の外側の隙間に落ち込んで、前記コア基板の前記側表面に貼合され、且つ、他方の側表面が前記コアプレートに貼合されて、前記コア基板と前記コアプレートとを貼合する、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項9】
2つの前記金属バリア構造の前記金属バリア側壁は前記開蓋開口部に面しており、前記貼合フィルムによって貼合されておらず、且つ2つの前記金属バリア構造の前記金属バリア側壁は前記貼合フィルムに垂直である、請求項8に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【請求項10】
2つの前記金属バリア構造は金属エッチング作業によって形成され、且つ2つの前記レーザー切断側壁はレーザー切断作業によって形成される、請求項1に記載の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント回路基板に関し、特に開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、回路基板の製造プロセスの開蓋作業後に、その開蓋開口部のエッジに剥離性接着剤がPP接着剤と混合するため、洗浄時に剥離性接着剤が剥がれにくいという問題がある可能性がある。また、従来技術では、開蓋開口部のエッジの角度はレーザーによる影響を受けるため、薬液交換の問題が引き起こされ、剥離性接着剤の剥離時間が長くなり、且つ剥離性接着剤が残留するリスクが存在するため、回路基板完成品の電気的特性に影響を与える可能性がある。すなわち、従来技術では、開蓋開口部を有するプリント回路基板は、接着剤の残留により信頼性を低下させるという問題を有する可能性がある。
【0003】
従って、如何に開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板を提供して、上記欠陥を解消するかは、該プロジェクトが解決しようとする重要な課題の1つとなっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の欠陥に対して開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板を提供することである。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が用いる1つの技術的解決手段としては、開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板を提供し、コア基板であって、内側が開蓋開口部を取り囲み、且つ前記開蓋開口部が前記コア基板の反対側にある2つの側表面を貫通するコア基板と、前記コア基板の一方の前記側表面に設置され、且つ前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む2つの金属バリア構造と、前記コア基板の2つの前記金属バリア構造が設置された前記側表面に貼合され、且つ一部が前記開蓋開口部に露出し、前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む貼合フィルムと、前記貼合フィルムの前記コア基板から離れる側表面に設置されるコアプレートと、を含み、前記コア基板の前記開蓋開口部を取り囲む底部の両側にそれぞれ2つのレーザー切断側壁があり、2つの前記金属バリア構造の前記開蓋開口部を取り囲む側壁はそれぞれ2つの前記レーザー切断側壁に接続され、且つそれぞれ金属バリア側壁として定義され、各前記金属バリア側壁及びそれに接続された前記レーザー切断側壁において、前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間に120°~150°の夾角がある。
【0006】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明が提供する開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板は、「コア基板であって、内側が開蓋開口部を取り囲み、且つ前記開蓋開口部が前記コア基板の反対側にある2つの側表面を貫通するコア基板と、前記コア基板の一方の前記側表面に設置され、且つ前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む2つの金属バリア構造と、前記コア基板の2つの前記金属バリア構造が設置された前記側表面に貼合され、且つ一部が前記開蓋開口部に露出し、前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む貼合フィルムと、前記貼合フィルムの前記コア基板から離れる側表面に設置されるコアプレートと、を含み、前記コア基板の前記開蓋開口部を取り囲む底部の両側にそれぞれ2つのレーザー切断側壁があり、2つの前記金属バリア構造の前記開蓋開口部を取り囲む側壁はそれぞれ2つの前記レーザー切断側壁に接続され、且つそれぞれ金属バリア側壁として定義され、各前記金属バリア側壁及びそれに接続された前記レーザー切断側壁において、前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間に120°~150°の夾角がある」という技術的解決手段により、剥離可能な印刷インクが剥がれにくいという問題を解決し、剥離可能な印刷インクが残留する可能性を小さくし、それによりプリント回路基板の信頼性を向上させる。
【0007】
本発明の特徴及び技術内容をさらに理解できるために、以下の本発明に関する詳細な説明及び図面を参照するが、提供される図面は参照及び説明を提供するためのものに過ぎず、本発明を制限するためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るセミフレックスプリント回路基板の模式図である。
【
図3】
図3は
図1におけるセミフレックスプリント回路基板のセミフレックス状態の模式図である。
【
図4】
図4は
図1におけるセミフレックスプリント回路基板に電子部品が埋め込まれたことを示す模式図である。
【
図5A】
図5Aは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS110の模式図である。
【
図5B】
図5Bは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS120の模式図である。
【
図5C】
図5Cは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS130の模式図である。
【
図5D】
図5Dは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS140の模式図である。
【
図5E】
図5Eは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS150の模式図である。
【
図5F】
図5Fは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS160の模式図である。
【
図5G】
図5Gは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS170の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、特定の具体的な実施例により本発明に開示されている実施形態を説明し、当業者は本明細書に開示されている内容から本発明の利点及び効果を理解することができる。本発明は他の異なる具体的な実施例を通じて実施又は応用することができ、本明細書における様々な詳細に対しては、異なる観点及び応用に応じて、本発明の発想から逸脱することなく様々な修正や変更を行うことができる。また、予め説明し、本発明の図面は模式的なものに過ぎず、実際のサイズで描かれるものではない。以下の実施形態は本発明の関連する技術内容をさらに詳細に説明するが、開示されている内容は本発明の保護範囲を制限するためのものではない。
【0010】
本明細書では「第1」、「第2」、「第3」等の用語を使用して様々な部品や信号を説明する可能性があるが、これらの部品や信号はこれらの用語によって制限されるべきではないと理解すべきである。これらの用語は主に1つの部品と他の部品、又は1つの信号と他の信号とを区別するためのものである。また、本明細書に使用される用語「又は」は、実際の状況に応じて、関連するリスト項目のいずれか1つ又は複数の組み合わせを含む可能性があるべきである。
【0011】
図1~
図4に示すように、本発明の実施例は、コア基板1と、2つの金属バリア構造2と、金属回路パターン4と、貼合フィルム5と、コアプレート6とを含み、開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板100を提供する。
【0012】
前記コア基板1の内側は開蓋開口部C1を取り囲み、且つ前記開蓋開口部C1はコア基板1の反対側にある2つの側表面(例えば、
図1におけるコア基板1の上表面及び下表面)を貫通する。前記2つの金属バリア構造2及び金属回路パターン4はコア基板1の一方の側表面(例えば、
図1におけるコア基板1の下表面)に形成され、且つ前記2つの金属バリア構造2はコア基板1と共に前記開蓋開口部C1を取り囲む。本実施例では、前記金属回路パターン4は2つの金属バリア構造2の外側に位置し、且つ前記金属回路パターン4と金属バリア構造2との間に隙間があるが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
前記貼合フィルム5はコア基板1の2つの金属バリア構造2及び金属回路パターン4が設置された前記側表面に貼合され、前記貼合フィルム5の2つの金属バリア構造2の内側に位置する部分は開蓋開口部C1に露出し、前記コア基板1と共に前記開蓋開口部C1を取り囲む。すなわち、前記コア基板1の内側、2つの金属バリア構造2、及び貼合フィルム5の開蓋開口部C1から露出される部分は共同で前記開蓋開口部C1を取り囲んで画定する。
【0014】
前記コアプレート6は貼合フィルム5のコア基板1から離れる側表面(例えば、
図1における貼合フィルム5の下表面)に設置される。
【0015】
本実施例では、前記コア基板1の開蓋開口部C1を取り囲む底部の両側にそれぞれ2つのレーザー切断側壁31があり、且つ前記2つの金属バリア構造2の開蓋開口部C1を取り囲む側壁はそれぞれ2つのレーザー切断側壁31に接続され、且つそれぞれ金属バリア側壁21として定義される。
【0016】
図2に示すように、前記各金属バリア側壁21及びそれに接続されたレーザー切断側壁31において、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間に120°~150°の夾角αがあり、好ましくは130°~140°である。
【0017】
図2に示すように、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間の夾角αを有する領域はフラッシングスペースとして定義され、前記フラッシングスペースは、前記フラッシングスペース内に剥離可能な印刷インクの残留がなくなるように、開蓋作業中に化学薬液のフラッシングを提供することができる。
【0018】
すなわち、従来技術では、回路基板の製造プロセスの開蓋作業後に、剥離性接着剤がPP接着剤と混合する可能性があるため、その開蓋開口部のエッジに洗浄時に剥離性接着剤が剥がれにくいという問題、及び薬液交換が困難で接着剤が残留するという問題が、効果的に解決でき、それによりプリント回路基板の信頼性が向上する。
【0019】
前記各金属バリア構造2の形状は略矩形(例えば、
図2を参照)又は台形(図示せず)であり、且つ前記各金属バリア構造2の幅Wは30ミクロン~600ミクロンであり、高さHは15ミクロン~300ミクロンである(
図5Bを併せて参照)。
【0020】
引き続き
図1を参照し、前記開蓋開口部C1は略上部が広く下部が狭い形状(例えば、上部が広く下部が狭い逆凸字形)であり、且つ前記2つの金属バリア側壁21及び2つのレーザー切断側壁31は共同で開蓋開口部C1の狭い部分を画定する。
【0021】
図3に示すように、本発明の1つの実施例では、前記プリント回路基板100の開蓋開口部C1に位置するセグメントはセミフレックスセグメントBとして定義され、且つ前記プリント回路基板100はセミフレックスセグメントBから折り曲げることができる。
【0022】
図4に示すように、本発明の1つの実施例では、前記プリント回路基板100は電子部品Eをさらに含み、前記電子部品Eは開蓋開口部C1内に埋め込まれ、且つ前記電子部品Eは例えば抵抗又はコンデンサであってもよい。
【0023】
引き続き
図1を参照し、前記貼合フィルム5は、一方の側表面がコア基板1の2つの金属バリア構造2及び金属回路パターン4に貼合され、さらに前記2つの金属バリア構造2の外側と金属回路パターン4との間の隙間に落ち込んで、前記コア基板1の前記側表面に貼合され、且つ前記貼合フィルム5の他方の側表面がコアプレート6に貼合されて、前記コア基板1とコアプレート6とを貼合する。
【0024】
さらに、前記2つの金属バリア構造2の金属バリア側壁21は開蓋開口部C1に面しており、前記貼合フィルム5によって貼合されておらず(すなわち、前記金属バリア側壁21は貼合フィルム5と直接接触しない)、且つ前記2つの金属バリア構造2の金属バリア側壁21は貼合フィルム5に略垂直である。例えば、前記金属バリア側壁21と貼合フィルム5との間に80°~100°の夾角がある。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、前記2つの金属バリア構造2は金属エッチング作業によって形成され、且つ前記2つのレーザー切断側壁31はレーザー切断作業によって形成されるが、本発明はこれに限定されない。
【0026】
以上は、本発明の実施例の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板の構造特徴についての説明であるが、以下では、本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の開蓋方法及び関連する材料の特徴について説明する。
【0027】
図5A~
図5Gに示すように、本発明の実施例は、ステップS110と、ステップS120と、ステップS130と、ステップS140と、ステップS150と、ステップS160と、ステップS170とを含み、セミフレックスプリント回路基板の開蓋方法(cover-opening method of semi-flex printed circuit board)を提供する。説明されるように、本実施例に記載される各ステップの順序及び実際の操作方式はニーズに応じて調整することができ、本実施例に記載されるものに限定されない。
【0028】
本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の開蓋方法は各ステップの前、その途中、又はその後に追加の操作を提供することができ、且つ説明されるいくつかの操作は、方法の追加の実施形態を実現するために、置き換え、削除、又は再設定されてもよい。以下、
図1~
図5Gを参照してセミフレックスプリント回路基板の開蓋方法について説明する。
【0029】
図5Aは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS110の模式図である。前記ステップS110には、コア基板1(コアボードとも呼ばれ、core)を提供し、且つ前記コア基板1の2つの側表面にいずれも金属被覆層M(例えば、金属銅箔)を敷設することを含む。
【0030】
図5Bは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS120の模式図である。前記ステップS120は、金属エッチング作業を実施し、前記コア基板1の側表面に、突出した2つの金属バリア構造2(metal dam structure)及び金属回路パターン4を形成し、且つレーザー切断作業を実施し、前記コア基板1に前記側表面から凹んだ2つのレーザー切断凹溝3(laser cut groove)を形成することを含む。
【0031】
前記2つの金属バリア構造2の内側はコア基板1上に印刷領域Rを取り囲んで形成する。前記2つのレーザー切断凹溝3はコア基板1の該側表面から凹んで形成され、前記2つのレーザー切断凹溝3の位置は印刷領域Rに対応し、且つそれぞれ2つの金属バリア構造2の内側に近接して形成される。すなわち、前記コア基板1には、各金属バリア構造2の内側にそれに近接して設置されたレーザー切断凹溝3が形成される。ただし、
図5Bにおける2つの金属バリア構造2及び2つのレーザー切断凹溝3は、回路基板構造の横断面で見られるものである。
【0032】
回路基板構造の上面図から見ると、前記金属バリア構造2は例えば、前記印刷領域Rを取り囲んで形成するための2つの長尺状のダムであってもよいが、本発明はこれに限定されず、前記金属バリア構造2は例えば、前記印刷領域Rを取り囲んで形成するための連続した環状構造(図示せず)であってもよい。前記金属バリア構造2の構造設計が前記印刷領域Rを取り囲んで形成できる限り、それは本発明の保護精神に適合し、本発明の保護範囲に属する。
【0033】
より具体的には、前記金属エッチング作業は、コア基板1の金属被覆層Mをエッチング(例えば、ウェットエッチング又はドライエッチング)し、前記金属被覆層Mの一部を除去して、前記コア基板1上に前記2つの突出した金属バリア構造2を形成することである。
【0034】
ただし、前記金属被覆層Mの一部が除去された後、前記コア基板1上に前記印刷領域R内に位置しない前記金属回路パターン4がさらに形成されるが、本発明はこれに限定されない。前記金属回路パターン4は電子部材を一体に接続し、プリント回路基板に必要な電気的特性を提供することに用いられる。また、ただし、前記金属バリア構造2は単にバリア機能を有する構造であってもよいが、例えば電気的接続機能を同時に有する別の金属回路パターンであってもよい。
【0035】
また、前記各金属バリア構造2では、前記金属バリア構造2の材質は銅金属であり、且つ前記金属バリア構造2の横断面は略矩形(例えば、
図2)又は台形(図示せず)である。前記金属バリア構造2の幅Wは、好ましくは30ミクロン~600ミクロンであり、好ましくは30ミクロン~175ミクロンであり、特に好ましくは50ミクロン~155ミクロンである。前記金属バリア構造2の高さHは、15ミクロン~300ミクロンであり、好ましくは17.5ミクロン~280ミクロンである。
【0036】
前記レーザー切断作業は、レーザー切断機(例えば、PCBレーザー切断機)を用いて、前記コア基板1をレーザー切断して、前記コア基板1の材料の一部を除去することにより、前記コア基板1に2つの凹んだレーザー切断凹溝3を形成させることである。本実施例では、前記各レーザー切断凹溝3の形状はすべて略V字形であるが、本発明はこれに限定されない。また、前記各レーザー切断凹溝3の深さは製品の設計ニーズに応じて調整することができる。
【0037】
図5Cは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS130の模式図である。前記ステップS130は、印刷作業を実施し、剥離可能な印刷インクIを該コア基板1の2つの金属バリア構造2の内側の印刷領域R内に印刷し、且つ前記剥離可能な印刷インクIを印刷中に2つのレーザー切断凹溝3内にさらに充填できることを含む。
【0038】
本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の開蓋方法は、金属バリア構造2及びレーザー切断凹溝3の設計により、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避することができ、且つ剥離可能な印刷インクIの後続の剥離作業における剥離効率及び除去効果を向上させるのを支援できる。
【0039】
より具体的には、前記金属バリア構造2は、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避することができ、且つ前記剥離可能な印刷インクIは、印刷中にレーザー切断凹溝3内に充填されることは、剥離可能な印刷インクIが金属バリア構造2の位置から溢れ出すことを回避するのを支援できる。また、前記レーザー切断凹溝3は、剥離可能な印刷インクIの後続の剥離効率及び除去効果を支援できる。
【0040】
材料の種類について、前記剥離可能な印刷インクIは例えばPCBで一般的に使用される剥離可能なインク、ゴールドフィンガー保護インク、電気めっき防止インク、PI又はPFG等であってもよいが、分離を支援できる材料に限定されない。また、前記ステップS130は、前記剥離可能な印刷インクIを陰干し又は焼付して、前記剥離可能な印刷インクIを硬化状態にさせて、後続の剥離作業を容易にすることをさらに含む。
【0041】
図5Dは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS140の模式図である。前記ステップS140は、圧接作業を実施し、前記コア基板1の金属バリア構造2が設置された側表面上にビルドアッププレート構造を圧接し、且つブラインドルーティング作業を実施し、ブラインドルーティング成形機を用いて、前記コア基板1の他方の側表面に対してブラインドルーティングを行うことを含む。
【0042】
前記ビルドアッププレート構造は貼合フィルム5(例えば、PP接着剤、プリプレグとも呼ばれる)及びコアプレート6(例えば、他層のコアボードcore)を含む。前記貼合フィルム5は該コア基板1とコアプレート6との間に貼合されて、前記コア基板1とコアプレート6とを接着する。
【0043】
より具体的には、前記貼合フィルム5の一方の側表面は剥離可能な印刷インクI、金属バリア構造2、及び金属回路パターン4に貼合され、且つ前記貼合フィルム5は前記金属バリア構造2と金属回路パターン4との間の隙間(印刷領域Rに位置しない部分)に落ち込んで、さらに前記コア基板1に貼合される。また、前記貼合フィルム5の他方の側表面はコアプレート6に貼合される。
【0044】
さらに、前記ブラインドルーティング作業は、2つのブラインドルーティングミーリングカッターFを用いてそれぞれ2つのレーザー切断凹溝3の位置に位置合わせして、前記コア基板1の他方の側表面からブラインドルーティングを行うことである。前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFはコア基板1の他方の側表面からレーザー切断凹溝3の方向へブラインドルーティングを行い、且つ前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFのブラインドルーティング範囲はレーザー切断凹溝3と部分的に重なり、レーザー切断凹溝3内に部分的に充填された剥離可能な印刷インクIを除去する。
【0045】
また、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFのブラインドルーティング深さはコア基板1の厚さよりも小さく、すなわち、ブラインドルーティング作業が終了した後、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは前記コア基板1を貫通していない。
【0046】
引き続き
図5Dを参照し、本実施例では、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは、それに対応するレーザー切断凹溝3の中心線位置に位置合わせしてブラインドルーティングを行うことではなく、前記各ブラインドルーティングミーリングカッターFは、それに対応するレーザー切断凹溝3の中心線が印刷領域Rからわずかに外れた位置でブラインドルーティングを行って、後続の開蓋作業を容易にするが、本発明はこれに限定されない。
【0047】
図5Eは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS150の模式図である。前記ステップS150は、前記2つのブラインドルーティングミーリングカッターFを取り外して、前記コア基板1に2つのブラインドルーティング開口部F1を形成することを含む。より具体的には、前記2つのブラインドルーティング開口部F1はコア基板1の他方の側表面からそれぞれ2つの金属バリア構造2の方向へ凹んで形成され、且つ形状がブラインドルーティングミーリングカッターと相補的である。前記2つのブラインドルーティング開口部F1のブラインドルーティング範囲はそれぞれ2つのレーザー切断凹溝3と部分的に重なり、レーザー切断凹溝3内に充填された剥離可能な印刷インクIを部分的に除去する。また、前記2つのブラインドルーティング開口部F1のブラインドルーティング範囲は金属バリア構造2をカバーしていない。
【0048】
図5Fは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS160の模式図である。前記ステップS160は、開蓋作業を実施し、前記コア基板1の2つのブラインドルーティング開口部F1の間に位置する開蓋構造Cを取り外して、開蓋開口部C1を形成することを含む。
【0049】
前記開蓋作業中に、前記2つのブラインドルーティング開口部F1の間に位置する開蓋構造Cは2つのレーザー切断凹溝3の位置からビルドアッププレート構造(貼合フィルム5及びコアプレート6を含む)から分離される。前記開蓋構造Cは略上部が広く下部が狭い「逆凸字形」であるが、本発明はこれに限定されない。
【0050】
より具体的には、前記開蓋構造Cはコア基板1材料の一部及び剥離可能な印刷インクI材料の一部を含み、且つ前記開蓋構造Cは、剥離可能な印刷インクIが2つのレーザー切断凹溝3の位置からビルドアッププレート構造から分離されることにより、形状が開蓋構造Cと相補的な開蓋開口部C1を形成する。
【0051】
前記開蓋作業が完了した後、前記開蓋開口部C1の底部の、貼合フィルム5、金属バリア構造2の側壁、及びレーザー切断凹溝3の側壁に位置する部分には、剥離可能な印刷インクIから残留した残留インクI1が存在し、後続のステップでさらに除去する必要がある。
【0052】
図5Gは本発明の実施例に係るプリント回路基板の開蓋方法のステップS170の模式図である。前記ステップS170は、洗浄作業を実施し、開蓋開口部C1の底部に位置する残留インクI1を除去することを含む。
【0053】
前記洗浄作業は、化学薬液を用いて開蓋開口部C1の底部に位置する残留インクI1を洗浄し、前記残留インクI1を除去することである。前記化学薬液は例えば変性アルコールエーテルを含有する化学薬液であってもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0054】
さらに
図2に示すように、前記各金属バリア構造2の開蓋開口部C1に面している側壁は金属バリア側壁21として定義され、且つ前記各レーザー切断凹溝3の開蓋開口部C1に面している側壁はレーザー切断側壁31として定義される。前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間に夾角αがあり、且つ前記夾角αは、好ましくは120°~150°であり、特に好ましくは130°~140°である。例えば、前記夾角αは例えば135°であってもよい。
【0055】
前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間に夾角αがあるため、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間にフラッシングスペースが形成され得る。それにより、前記化学薬液は金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間のフラッシングスペースで十分な薬液交換を行って、前記金属バリア側壁21とレーザー切断側壁31との間の残留インクI1を十分に除去することができる。
【0056】
従来技術では、回路基板の製造プロセスの開蓋作業後に、その開蓋開口部のエッジに剥離性接着剤がPP接着剤と混合するため、洗浄時に剥離性接着剤が剥がれにくいという問題がある可能性がある。本発明の実施例が提供するプリント回路基板の開蓋方法によれば、剥離可能な印刷インクI(すなわち剥離性接着剤)は貼合フィルム5(すなわちPP接着剤)のエッジと接触しなくなり、且つブラインドルーティング開口部F1はレーザー切断凹溝3に直接当接するため、上記剥離性接着剤が剥がれにくいという問題を解決することができる。
【0057】
また、従来技術では、開蓋開口部のエッジの角度はレーザーによる影響を受けるため、薬液交換の問題が引き起こされ、剥離性接着剤の剥離時間が長くなり、且つ剥離性接着剤が残留するリスクが存在するため、回路基板完成品の電気的特性に影響を与える可能性がある。本発明の実施例が提供するプリント回路基板の開蓋方法によれば、剥離可能な印刷インクI(すなわち剥離性接着剤)の側辺が金属バリア構造2(すなわち金属回路)に当接するように変更され、金属銅表面に対して剥離可能な印刷インクIを比較的容易に除去でき、それにより剥離可能な印刷インクIが残留する可能性を小さくする。
【0058】
さらに、本発明の実施例のセミフレックスプリント回路基板の開蓋方法は、金属バリア構造2及びレーザー切断凹溝3の設計により、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避することができ、且つ剥離可能な印刷インクIの後続の剥離作業における剥離効率及び除去効果を向上させるのを支援できる。より具体的には、前記金属バリア構造2は、剥離可能な印刷インクIが印刷中に溢れ出すことを回避することができ、且つ前記剥離可能な印刷インクIは、印刷中にレーザー切断凹溝3内に充填され、剥離可能な印刷インクIが金属バリア構造2の位置から溢れ出すことを回避するのを支援できる。また、前記レーザー切断凹溝3は、剥離可能な印刷インクIの後続の剥離効率及び除去効果を支援できる。
【0059】
本発明は以下の有益な効果を有する。本発明の開蓋開口部を有するセミフレックスプリント回路基板は、「コア基板であって、内側が開蓋開口部を取り囲み、且つ前記開蓋開口部が前記コア基板の反対側にある2つの側表面を貫通するコア基板と、前記コア基板の一方の前記側表面に設置され、且つ前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む2つの金属バリア構造と、前記コア基板の2つの前記金属バリア構造が設置された前記側表面に貼合され、且つ一部が前記開蓋開口部に露出し、前記コア基板と共に前記開蓋開口部を取り囲む貼合フィルムと、前記貼合フィルムの前記コア基板から離れる側表面に設置されるコアプレートと、を含み、前記コア基板の前記開蓋開口部を取り囲む底部の両側にそれぞれ2つのレーザー切断側壁があり、2つの前記金属バリア構造の前記開蓋開口部を取り囲む側壁はそれぞれ2つの前記レーザー切断側壁に接続され、且つそれぞれ金属バリア側壁として定義され、各前記金属バリア側壁及びそれに接続された前記レーザー切断側壁において、前記金属バリア側壁と前記レーザー切断側壁との間に120°~150°の夾角がある」という技術的解決手段により、剥離可能な印刷インクが剥がれにくいという問題を解決し、剥離可能な印刷インクが残留する可能性を小さくし、それによりプリント回路基板の信頼性を向上させる。
【0060】
以上に開示されている内容は本発明の好ましい実現可能な実施例に過ぎず、本発明の特許請求の範囲を制限するものではなく、従って、本発明の明細書及び図面の内容を用いてなされた等価な技術的変化はすべて本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
100:プリント回路基板
1:コア基板
2:金属バリア構造
21:金属バリア側壁
3:レーザー切断凹溝
31:レーザー切断側壁
4:金属回路パターン
5:貼合フィルム
6:コアプレート
M:金属被覆層
R:印刷領域
B:折り曲げ領域(セミフレックスセグメント)
E:電子部品
W:幅
H:高さ
I:剥離可能な印刷インク
I1:残留インク
F:ブラインドルーティングミーリングカッター
F1:ブラインドルーティング開口部
C:開蓋構造
C1:開蓋開口部
α:夾角