IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジーテクトの特許一覧

特開2024-44979衝撃吸収部材、自動車の衝撃吸収部材の製造方法およびサイドシルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044979
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】衝撃吸収部材、自動車の衝撃吸収部材の製造方法およびサイドシルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20240326BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B62D21/15 B
B62D25/20 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047883
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2022149908の分割
【原出願日】2022-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】591214527
【氏名又は名称】株式会社ジーテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】宮堀 和也
(72)【発明者】
【氏名】久保 貴
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203AA31
3D203BB12
3D203BB22
3D203BB54
3D203BB55
3D203CA25
3D203CA37
3D203CA52
3D203CA57
3D203CA67
3D203CA73
3D203CA74
3D203CB04
(57)【要約】
【課題】鋼板を材料とする安価な衝撃吸収部材を生産性よく製造する。
【解決手段】鋼板のブランクを帽子部と一対のつば部を有する断面ハット状にプレス成形して閉断面構成半部を形成する閉断面構成半部形成ステップS1を有する。少なくとも二つの閉断面構成半部を帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の閉断面構成半部の帽子部の頂部と他方の閉断面構成半部のつば部とを重ねて接合し、閉断面構成体を形成する閉断面構成体形成ステップS2とを有する。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板のブランクを帽子部と一対のつば部を有する断面ハット状にプレス成形して閉断面構成半部を形成する閉断面構成半部形成ステップと、
少なくとも二つの前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、閉断面構成体を形成する閉断面構成体形成ステップと、
によって衝撃吸収部材を形成することを特徴とする衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項2】
前記閉断面構成体に閉断面構成半部を追加して隣接する帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、第2の閉断面構成体を形成して断面方向からみて略ハの字の中空構造を有する請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項3】
前記閉断面構成半部は複数の帽子部とつば部共通で連続して形成する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項4】
閉断面構成半部の一方または双方の帽子部又はつば部の縦横の寸法または板厚、材質などを前記閉断面構成半部毎に異ならせて閉断面構成体を形成する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項5】
前記閉断面構成半部を、前記帽子部を衝撃吸収部材の長手方向に複数並べ、つば部で連続する上側および・または下側の衝撃吸収部を第1の中間部品として形成する第1中間部品形成ステップと、
前記上下の衝撃吸収部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、閉断面構成体を形成して互いに接合して長尺状の衝撃吸収部材を形成する衝撃吸収部材形成ステップとを有する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項6】
複数の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部を他方の前記閉断面構成半部の前記つば部と重ねて接合し、少なくとも2つ以上の第2の中間部品を形成する第2中間部品形成ステップと、
前記少なくとも2つ以上の第2の中間部品を一方の第2の中間部品の前記帽子部の頂部と他方の前記第2の中間部品の前記つば部とを重ねて接合し、長尺状の衝撃吸収部材を形成する衝撃吸収部材形成ステップとを有する請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項7】
前記閉断面構成体形成ステップにおいて、衝撃吸収部材の構成する前記閉断面構成半部を、前記閉断面構成半部同士が接合されていない状態で、隣接する帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、
前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部を、反対姿勢で隣接する前記閉断面構成半部の前記つば部と重ねて接合することを特徴とする請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項8】
前記つば部の少なくとも一方、または双方に、帽子部に隣接する、または隣接しない、少なくとも1以上の溝を形成して左右方向に延びる角稜を中空構造に沿って閉断面構成体に追加する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項9】
前記溝にステップ形状、さらに小さな溝、2以上の小さな第2の溝、隆起部の何れか一つ以上を追加する、請求項8の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項10】
前記衝撃吸収部材の前記閉断面から外側に突出する固定部材を有する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか一つの衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルアウターに接合するステップと、
前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルアウターとサイドシルインナーとを接合するステップとを有することを特徴とするサイドシルの製造方法。
【請求項12】
請求項1~請求項10のいずれか一つの衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルインナーに接合するステップと、
前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルインナーとサイドシルアウターとを接合するステップとを有することを特徴とするサイドシルの製造方法。
【請求項13】
帽子部と一対のつば部を有する断面ハット状の閉断面構成半部を複数用意し、
少なくとも二つの前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、中空体と接続片を有する閉断面構成体を形成し、前記閉断面構成体は中空体の上面または下面と並ぶ接続片を有し、前記上面と接続片、および下面と接続片は上下にオフセット状態でサイドシルインナーに沿って長手方向に配置する、
ことを特徴とする、衝撃吸収部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の車体に側方から加えられた衝撃を吸収する衝撃吸収部材、自動車の衝撃吸収部材の製造方法およびサイドシルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体の側部を補強する補強部材としては、例えば特許文献1に記載されているものがある。この公報に開示された補強部材は、車体のサイドシルの内部に設けられており、車体の前後方向から見て閉断面形状となる複数の中空部を有している。複数の中空部は、アルミニウム合金を材料として押出成形によって形成されており、車幅方向に一列に並ぶ状態で車体の前後方向に延びている。この補強部材は、車体の側部に車体内側に向けて加えられた衝撃を中空部が潰れることで吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-90021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された補強部材では、アルミニウム合金が鋼板に較べて高価であることと、押出成形を行う設備の費用が嵩むために、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、鋼板を材料とする安価な衝撃吸収部材を生産性よく製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る自動車の衝撃吸収部材の製造方法は、鋼板のブランクを帽子部と一対のつば部を有する断面ハット状にプレス成形して閉断面構成半部を形成する閉断面構成半部形成ステップと、少なくとも二つの前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、閉断面構成体を形成する閉断面構成体形成ステップとを有する。
【0007】
また、本発明は、前記閉断面構成体に閉断面構成半部を追加して隣接する帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、第2の閉断面構成体を形成して断面方向からみて略ハの字の中空構造を有してもよい。
【0008】
また、本発明は、前記閉断面構成半部は複数の帽子部とつば部共通で連続して形成してもよい。
【0009】
また、本発明は、閉断面構成半部の一方または双方の帽子部又はつば部の縦横の寸法または板厚、材質などを前記閉断面構成半部毎に異ならせて閉断面構成体を形成してもよい。
【0010】
また、本発明は、前記閉断面構成半部を、前記帽子部を衝撃吸収部材の長手方向に複数並べ、つば部で連続する上側および・または下側の衝撃吸収部を第1の中間部品として形成する第1中間部品形成ステップと、前記上下の衝撃吸収部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、閉断面構成体を形成して互いに接合して長尺状の衝撃吸収部材を形成する衝撃吸収部材形成ステップとを有してもよい。
【0011】
また、本発明は、複数の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部を他方の前記閉断面構成半部の前記つば部と重ねて接合し、少なくとも2つ以上の第2の中間部品を形成する第2中間部品形成ステップと、前記少なくとも2つ以上の第2の中間部品を一方の第2の中間部品の前記帽子部の頂部と他方の前記第2の中間部品の前記つば部とを重ねて接合し、長尺状の衝撃吸収部材を形成する衝撃吸収部材形成ステップとを有してもよい。
【0012】
また、本発明は、前記閉断面構成体形成ステップにおいて、衝撃吸収部材の構成する前記閉断面構成半部を、前記閉断面構半部同士が接合されていない状態で、隣接する帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、
前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部を、反対姿勢で隣接する前記閉断面構成半部の前記つば部と重ねて接合してもよい。
【0013】
また、本発明は、前記つば部の少なくとも一方、または双方に、帽子部に隣接する、または隣接しない、少なくとも1以上の溝を形成して左右方向に延びる角稜を中空構造に沿って閉断面構成体に追加してもよい。
【0014】
また、本発明は、前記溝にステップ形状、さらに小さな溝、2以上の小さな第2の溝、隆起部の何れか一つ以上を追加してもよい。
【0015】
また、本発明は、前記衝撃吸収部材の前記閉断面から外側に突出する固定部材を有してもよい。
【0016】
また、本発明は、前記衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルアウターに接合するステップと、前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルアウターとサイドシルインナーとを接合するステップとを有してもよい。
【0017】
また、本発明は、前記衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルインナーに接合するステップと、前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルインナーとサイドシルアウターとを接合するステップとを有してもよい。
【0018】
本発明に係る衝撃吸収部材は、帽子部と一対のつば部を有する断面ハット状の閉断面構成半部を複数用意し、少なくとも二つの前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、中空体と接続片を有する閉断面構成体を形成し、前記閉断面構成体は中空体の上面または下面と並ぶ接続片を有し、前記上面と接続片、および下面と接続片は上下にオフセット状態でサイドシルインナーに沿って長手方向に配置するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、中空体の半部(帽子部)と接続片(つば部)とが折り曲げプレス加工によって形成された鋼板を少なくとも2組作り、これらの鋼板どうしを組み合わせることによって衝撃吸収部材を形成することができる。
このため、アルミニウム合金より安価な鋼板に単純な曲げプレス加工と溶接(またはリベット、他結合手段)とを施すことによって衝撃吸収部材を製造することができる。したがって、鋼板を材料とする安価な衝撃吸収部材を提供することができる。
【0020】
特に、一の帽子部とつば部をプレス成形する金型が一つあれば、複数の帽子部を長手方向につば部を介して飛び石状に繋げることで任意の長さの衝撃吸収部材を安価に得ることができる。つば部に溝を追加するだけで、中空構造の角稜を増加させて衝撃エネルギー吸収量を増加できる。この中空構造が側方からの荷重により角稜が先端から基端に順次座屈することで衝撃エネルギーを吸収するからである。
【0021】
また、本発明によれば、サイドシルアウターに衝撃吸収部材を固定部材により組み付けてこれらを一体化した状態でサイドシルアウターをサイドシルインナーに組み付けることができるから、鋼板によって形成された衝撃吸収部材を使って自動車のサイドシルを生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、サイドシルを分解して示す自動車用車体フレームの一部の斜視図である。
図2図2は、サイドシルの断面図である。
図3図3は、衝撃吸収部材の斜視図と車体則方から見た正面図である。
図4図4は、閉断面構成半部の斜視図と閉断面構成体の断面図である。
図5図5は、シルアウター固定部材を有する閉断面構成半部の斜視図である。
図6図6は、シルアウター固定部材の形成例を示す衝撃吸収部材の一部の正面図である。
図7図7は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図8図8は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するための正面図である。
図9図9は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図11図11は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図13図13は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、衝撃吸収部材の製造方法の一例を説明するための正面図である。
図15図15は、サイドシルの製造方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、サイドシルの製造方法の一例を説明するための断面図である。
図17図17は、サイドシルの製造方法の変形例を説明するためのフローチャートである。
図18図18は、衝撃吸収部材の構成を説明するための模式図である。
図19図19は、サイドシルの構成を説明するための模式図である。
図20図20は、衝撃吸収部材の衝撃吸収原理を説明するための断面図である。
図21図21は、衝撃吸収部材の衝撃吸収原理を説明するための断面図である。
図22図22は、閉断面構成半部の他の実施の形態を示す斜視図である。
図23図23は、衝撃吸収部材の他の実施の形態を示す斜視図である。
図24図24は、角部を有する閉断面の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係る衝撃吸収部材、衝撃吸収部材の製造方法およびサイドシルの製造方法の一実施の形態を図1図21を参照して詳細に説明する。
図1に示す自動車用車体フレーム1は、電動自動車(図示せず)に用いることができるもので、車幅方向の両端部にフロントピラーインナー2と、センターピラーインナー3と、サイドシル4とを備えている(フロントピラーアウターと、センタピラーアウターは図略)。図1はサイドシル4を分解した状態で描いてある。
【0024】
(サイドシルの説明)
この実施の形態によるサイドシル4は、二つの部品を組み合わせて車体前後方向に延びる筒状に形成されている。このサイドシル4の内部には、サイドシル4と協働して本発明でいうサイドシル構造5を構成する衝撃吸収部材6が収容されている。衝撃吸収部材6の詳細な説明は後述する。
サイドシル4を構成する二つの部品とは、車体内側で車体の前後方向に延びるサイドシルインナー7と、車体外側で車体の前後方向に延びるサイドシルアウター8である。サイドシルインナー7とサイドシルアウター8は、図2に示すように、それぞれ断面形状がコ字状となる本体7a,8aと、本体7a,8aの端部に一体に形成された溶接用の上部フランジ7b,8bおよび下部フランジ7c,8cとを有している。
【0025】
サイドシルインナー7は、コ字状の本体7aの開放部分が車体外側を指向する姿勢で車体フレーム1のフロアパネル(図示せず)とクロスメンバー11に溶接されている。
サイドシルアウター8は、コ字状の本体8aの開放部分が車体内側を指向する状態でサイドシルインナー7に溶接されている。
サイドシルインナー7とサイドシルアウター8の上部フランジ7b,8bは、車載状態にある本体7a,8aの上端から上方に突出している。下部フランジ7c,8cは、車載状態にある本体7a,8aの下端から下方に突出している。これらの上部フランジ7b,8bと下部フランジ7c,8cは、サイドシルインナー7およびサイドシルアウター8の前端部から後端部まで延びている。サイドシルインナー7とサイドシルアウター8の溶接は、サイドシルインナー7とサイドシルアウター8の上部フランジ7b,8bどうしを互いに重ね合わせてこれらにスポット溶接を施すとともに、下部フランジ7c,8cどうしを互いに重ね合わせてこれらにスポット溶接を施すことによって行っている。
【0026】
衝撃吸収部材6は、車体側方からサイドシル4に加えられた衝撃を吸収するためのもので、本実施例ではサイドシル4内の前端部から後端部まで延びているが、衝撃吸収部材6の長さは側面衝突テストに応じた場所と長さに設定することでコスト低減できる。
衝撃吸収部材6の下端部には、衝撃吸収部材6をサイドシル4内で支えるための保持部材12が溶接され、衝撃吸収部材6の上端部には、センターピラーインナー3の下端に結合するセンターピラーインナー結合片13が溶接されている。なお、センターピラーインナー3は、図示してはいないが、センタピラーアウターを備え上下に延びる閉断面を形成している。
衝撃吸収部材6から下方に延びる保持部材12は、下部フランジ7c,8cどうしの間に挟み込まれた状態でこれらの下部フランジ7c,8cにスポット溶接によって固定されている。また、衝撃吸収部材6から上方に延びるセンターピラーインナー結合片13は、上部フランジ7b,8bどうしの間に挟み込まれた状態でこれらの上部フランジ7b,8bにスポット溶接によって固定されて、衝撃吸収部材6を介しセンターピラーインナー3の下部を確実に固定している。
【0027】
(衝撃吸収部材の説明)
衝撃吸収部材6は、図3(A),(B)に示すように、車体前後方向{図3(A),(B)}においては左側から右側に向かう方向}に所定の間隔をおいて並べられた複数の中空体14と、これらの中空体14どうしを接続する複数の接続片15とを備えている。図3(A)は衝撃吸収部材6の斜視図、図3(B)は衝撃吸収部材6の一部の車体側方から見た正面図である。
【0028】
中空体14は、自動車の車体側方から見て閉断面16が形成される形状であって、車幅方向に延びる筒状に形成されている。この実施の形態による中空体14は、閉断面16の形状が平行四辺形となる角筒状に形成されている。ここでは、複数の中空体14を特定するために、便宜上、図3(A)において車体前側から後側に向けて順番に第1の中空体14A、第2の中空体14B、第3の中空体14C、第4の中空体14D、第5の中空体14E、第6の中空体14Fという。
【0029】
接続片15は、車体の前後方向と車幅方向とに延びる板状に形成され、互いに隣り合う2つの中空体14どうしを中空体14に対して上下にオフセットする位置、すなわち上下方向に偏る位置で接続している。図3(A),(B)に示すように3つ以上の中空体14が設けられていて車体前後方向において複数の接続片15を有する場合は、接続片15の上下方向の位置が車体前後方向において交互に振り分けられる。すなわち、第1の中空体14Aと第2の中空体14Bとを接続する接続片15は、これらの第1、第2の中空体14A,14Bの上端部どうしを接続しているが、第2の中空体14Bと第3の中空体14Cとを接続する接続片15は、第2、第3の中空体14B,14Cの下端部どうしを接続している。
【0030】
上述した中空体14と接続片15は、図4(A),(B)に示す第1、第2の閉断面構成半部17,18を図4(C)に示すように互いに組み合わせて閉断面構成体19とすることによって形成されている。図4(A)は、第1の閉断面構成半部17を示す斜視図、図4(B)は第2の閉断面構成半部18を示す斜視図、図4(C)は閉断面構成体19の断面図である。
第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18は、それぞれ鋼板にプレス加工を施してハット断面形状に成形されたもので、それぞれ2つの機能部を有している。
【0031】
第1の機能部は、車体の前後方向{図4(A),(B)においては左右方向}の中央部に位置する略コ字状に形成された帽子部17a,18aである。この帽子部17a,18aは、平坦な頂部21と、この調部の前後両端部に接続されて上下方向に延びる一対の傾斜壁22とを有している。頂部21は水平方向に延びるように平坦に形成されている。一対の傾斜壁22は、帽子部17a,18aの側部を構成するもので、頂部21から離れるにしたがって次第に傾斜壁22どうしの間隔が広くなる方向に傾斜しプレス成形を容易にしている。傾斜壁22の先端部分は、後述する第2の機能部に接続するために曲げられて頂部21と平行になるつば部を構成する。図4(A)に示す第1の閉断面構成半部17の傾斜壁22は、頂部21から上方に延びている。図4(B)に示す第2の閉断面構成半部18の傾斜壁22は、頂部21から下方に延びている。
【0032】
傾斜壁22には、図5(A),(B)に示すように、(シルアウター)固定部材23を設けることができる。(シルアウター)固定部材23は、衝撃吸収部材6をサイドシルアウター8またはサイドシルインナーに連結するためのもので、板状に形成されて一方の傾斜壁22から他方の傾斜壁22に向けて(閉断面16の外側に向けて)延びている。
(シルアウター)固定部材23を傾斜壁22に設ける方法は2つある。第1の方法は、図5(A)に示すように傾斜壁22に一体に形成する方法である。第2の方法は、図5(B)に示すように傾斜壁22とは別体に形成して傾斜壁22に溶接する方法である。
【0033】
第2の機能部は、帽子部17a,18aの両端から衝撃吸収部材6の長手方向に突出する一対のつば部17b,18b(図4(A),(B)参照}である。つば部17b,18bは、中空体の上下端と接続片15を構成するもので、水平方向に延びる平板状に形成されており、傾斜壁22の先端(下端または上端)から車体前後方向に突出している。
第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とは、同じ形状でもよいし、異なる形状でもよい。例えば、必要とする衝撃吸収形態に応じて、一方の帽子部の数を他方より多くしたり、頂部21・傾斜壁22の長さ・板厚・強度を大きくしたり、小さくしたり、形状を変えたりできる。勿論、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とは、同じ形状の場合、プレス成形の金型は一つでよく設備コスト削減となる。
【0034】
第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とは、図4(C)に示すように、第1の閉断面構成半部17,第2の閉断面構成半部18の凸になる方向が上下方向に反対となり、かつ1の閉断面構成半部17,第2の閉断面構成半部18の頂部21と一方のつば部17b,18bの先端とが重なる状態で互いに結合されている。図4(C)は、第1の閉断面構成半部17の頂部21と第2の閉断面構成半部18の車体前側のつば部18bの先端とが重なるとともに、第1の閉断面構成半部17の車体後側のつば部17bの先端と第2の閉断面構成半部18の頂部21とが重なる状態を示している。
【0035】
第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18との結合は、上述した2箇所の重ね合わせ部にそれぞれスポット溶接を施すことによって行われている。第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とがこのように結合されることにより、閉断面構成体19が形成され、第1、第2の閉断面構成半部17,18の互いに対向する帽子部17a,18aの傾斜壁22,22と、互いに対向するつば部17b,18bとからなる閉断面16(中空体)が形成される。
【0036】
(衝撃吸収部材の製造方法の説明)
第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とを使用して車体前後方向に延びる衝撃吸収部材6を製造する方法は、下記のように4通りの方法がある。
第1の製造方法は、図7のフローチャートに示すように実施する。先ず、図7のフローチャートのステップS1に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とをそれぞれプレス成形する{図8(A)参照}。シルアウター固定部材23が第1、第2の閉断面構成半部17,18に一体に形成されている場合は、この工程でシルアウター固定部材23を衝撃吸収部材6の長手方向に向けて折り曲げる。
シルアウター固定部材23を第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とに溶接する場合は、この工程で実施する。
【0037】
次に、図8(B)に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とを組み合わせて溶接して閉断面構成体19を形成する(ステップS2)。この閉断面構成体(中空体)19は、衝撃吸収部材6の長さに応じた個数だけ形成する。例えば、図8(D)に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18を帽子部17a,18aがそれぞれ2つ並ぶようにブランクをプレス成形してもよい。そして、図8(C)に示すように、複数の閉断面構成体19を車体前後方向に一列に並べ、互いに隣り合う閉断面構成体19どうしを溶接する。このとき、帽子部17a,18aの頂部21とつば部17b,18bとを重ね、この重ね合わせ部分をスポット溶接によって溶接する(ステップS3)。このように複数の閉断面構成体19が接合されることによって長尺状の衝撃吸収部材6が完成する。
【0038】
第2の製造方法は、図9のフローチャートに示すように実施する。先ず、図9のフローチャートのステップS11に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とをそれぞれ形成する。第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18は、図8(A)に示すように形成される。次に、フローチャートの第1中間部品形成ステップS12および図10に示すように、上側の第1の中間部品31及び下側の第1の中間部品32を形成する。このときは、複数の第1の閉断面構成半部17を車体前後方向に並べ、互いに隣り合う第1の閉断面構成半部17どうしを溶接して中間部品としての上側の第1の中間部品31を形成する。また、複数の第2の閉断面構成半部18を車体前後方向に並べ、互いに隣り合う第2の閉断面構成半部18どうしを溶接して中間部品としての下側の第1の中間部品32を形成する。第1の中間部品31と32は閉断面を有していない。
【0039】
その後、上側の第1の中間部品31と下側の第1の中間部品32を帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合して結合する(衝撃吸収部材形成ステップS13)。このときは、上側の分割体の第1の中間部品31の帽子部17aの頂部21を下側の第1の中間部品32のつば部18bにスポット溶接によって溶接するとともに、上側の第1の中間部品31のつば部17bを下側の第1の中間部品32の帽子部18aの頂部21にスポット溶接によって溶接する。このように中間部品である上側の第1の中間部品31と下側の第1の中間部品32とが互いに接合されることにより長尺状の衝撃吸収部材6が完成する。
【0040】
第3の製造方法は、図11のフローチャートに示すように実施する。先ず、図11のフローチャートのステップS21に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とをそれぞれ形成する。第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18は、図8(A)に示すように形成される。次に、図12に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とを前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部を他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを重ねて接合し、少なくとも2つ以上の第2の中間部品33を形成する(第2中間部品形成ステップS22)。第2の中間部品33は、閉断面を有する。図12には、第2の中間部品33Aと、第2の中間部品33Bとが図示されている。その後、第2の中間部品33Aと第2の中間部品33Bを前後方向に並べて互いに溶接する(衝撃吸収部材形成ステップS23)。このように中間部品である第2の中間部品33Aと第2の中間部品33Bとが互いに接合されることにより長尺状の衝撃吸収部材6が完成する。
【0041】
第4の製造方法は、図13のフローチャートに示すように実施する。先ず、図13のフローチャートのステップS31に示すように、第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とをそれぞれ形成する。第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18は、図8(A)に示すように形成される。次に、フローチャートのステップS32および図14に示すように、衝撃吸収部材6を形成する。このときは、衝撃吸収部材6を構成する閉断面構半部を、閉断面構半部同士が接合されていない状態で、隣接する帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、閉断面構成半部の帽子部の頂部を、この閉断面構成半部とは反対姿勢で隣接する閉断面構成半部のつば部と重ねて接合することにより長尺状の衝撃吸収部材6が完成する。閉断面構成半部の帽子部の頂部は、この閉断面構成半部とは反対姿勢で隣接する両隣の閉断面構成半部のつば部と3枚を重ねて接合してもよい。
【0042】
(サイドシルの製造方法の説明)
長尺状に形成された衝撃吸収部材6を有するサイドシル4を製造するためには、図15のフローチャートに示すように行う。先ず、図16(A)に示すように、衝撃吸収部材6に保持部材12とセンターピラーインナー結合片13とを接合する(ステップS41)。衝撃吸収部材6の第1、第2の閉断面構成半部17,18に(シルアウター)固定部材23を溶接する場合は、この工程で実施する。
【0043】
次に、図16(B)に示すように、衝撃吸収部材6にサイドシルアウター8を接合する(ステップS42)。この接合は、(シルアウター)固定部材23にサイドシルアウター8を溶接して行う。そして、図16(C)に示すように、衝撃吸収部材6が接合されたサイドシルアウター8とサイドシルインナー7とを接合する(ステップS43)。この接合は、サイドシルインナー7の上部フランジ7bおよび下部フランジ7cとサイドシルアウター8の上部フランジ8bおよび下部フランジ8cとを重ね、これらにスポット溶接を施すことによって行う。なお、この接合を行うときには、保持部材12とセンターピラーインナー結合片13をフランジどうしの間に挟み込ませておき、これらの部材も同時にフランジに接合する。サイドシルアウター8がサイドシルインナー7に接合されることによって、サイドシル4が完成する。この際、センターピラーインナー結合片13もサイドシルインナー7の下端に接合される。
【0044】
(サイドシルの別の製造方法の説明)
長尺状に形成された衝撃吸収部材6を有するサイドシル4を製造するためには、図17のフローチャートに示すように行うことができる。このサイドシル4の製造方法は、先ず、ステップS51において、衝撃吸収部材6をサイドシルインナー7に接合する。この場合、衝撃吸収部材6にシルアウター固定部材23と同等のシルインナー固定部材(図示せず)を予め設けておき、ステップS51でシルインナー固定部材をサイドシルインナー7に溶接する。次に、ステップS52でサイドシルインナー7にサイドシルアウター8を溶接する。このステップS52においては、保持部材12とセンターピラーインナー結合片13をサイドシルインナー7の上部フランジ7bおよび下部フランジ7cと、サイドシルアウター8の上部フランジ8bおよび下部フランジ8cとの間に挟み込み、これらの部材に同時にスポット溶接を施す。サイドシルアウター8がサイドシルインナー7に接合されることによって、サイドシル4が完成する。
この製造方法を採り、衝撃吸収部材6をサイドシルインナー7側に接合することで、フロア側の剛性部材(クロスメンバー)への荷重伝達ができるような位置合わせが容易になる。
【0045】
(この実施の形態による効果の説明)
この実施の形態による衝撃吸収部材6は、図18に示すように、閉断面16が車幅方向に延びる形状で車体前後方向に所定の間隔をおいて並べられた少なくとも2つ以上の中空体14と、互いに隣り合う中空体14どうしを中空体14に対して上下方向にオフセットした位置(上下方向に偏る位置)で接続する接続片15(つば部17b,18b、頂部21)とを備えている。車体前後方向において複数の接続片15を有する場合は、接続片15の上下方向の位置が車体前後方向において交互に振り分けられている。この衝撃吸収部材6は、側方から見た中空体14の図心Aに対して、接続片15(つば部17b,18b)が上下方向にオフセットして図心Aから大きく離れる構成が採られている。このため、接続片15が中空体14の図心Aと同じ高さに位置する場合と較べると、断面二次モーメントが増加する。
【0046】
さらに、一対の中空体14,14がハの字となることで更に接続片15の強度を高めることができ、接続片15の偏った位置への衝突荷重をしっかり受け止め、衝撃吸収部材6を外側・先端から潰すことができる。このハの字は前後方向に交互に重なって形成されるため、側突荷重が真横だけでなく上方、下方、前方、後方などいかなる傾斜した入力に対しても衝撃吸収が可能となる。
【0047】
また、中空体14の図心Aに対して接続片15が上下方向にオフセットしているために、図19に示すように接続片15がサイドシルインナー7の上側角部41と下側角部42とに近付くようになる。サイドシルインナー7の上側角部41と下側角部42は、角部であるために、平面部と比べて車幅方向の剛性が他の部分と較べると高い。
したがって、接続片15が上下方向にオフセットしていない場合と較べると、サイドシル4に車体の側方から衝撃荷重が加えられる衝突時、すなわち側突時にサイドシルインナー7の縦面が折れ曲がり難く、図20中に二点鎖線で示すように、変形43が車体外側の端部から順次車体内側に向かって進んで衝撃吸収部材6が潰れるようになる。この結果、衝撃エネルギーの吸収量が増加する。
【0048】
加えて、中空体14の図心Aに対して接続片15が上下方向にオフセットしていることにより、中空体14の上面・下面および上下の接続片15がサイドシルインナー7の上下の角部に近くなる。サイドシルインナー7の上下の角部は剛性・強度が高く、側突荷重も上下に分散するので、側突荷重に対してサイドシルインナー7が踏ん張り衝撃吸収部材6の室内側への移動が抑制され、車体外側の端部から順次車体内側に向かって進んで衝撃吸収部材6が潰れ、衝撃エネルギーの吸収量が増加することを助ける{図21(A)参照、⇒は移動量を表す}。さらに、図を略するが下方のフロアや上方のクロスメンバーにも近づくので一層衝撃吸収部材6の室内側への移動が抑制される。
一方で、図21(B)に示すように接続片15が上下方向にオフセットしていない、中央にある場合には、側突時サイドシルインナー7は面外変形するため、衝撃吸収部材6が室内側へ移動したり、または、衝撃吸収部材6がサイドシル4内で傾き、姿勢が安定せず、車体外側の端部から順次車体内側に向かって進んで潰れていくことができない。
【0049】
この実施の形態による衝撃吸収部材6の中空体14と接続片15は、一対の閉断面構成半部(第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18)を組み合わせて形成されている。閉断面構成半部は、コ字状に形成された帽子部17a,18aと、帽子部17a,18aの両端から帽子部17a,18aとは衝撃吸収部材6の長手方向に突出する一対のつば部17b,18bとから構成されている。一対の閉断面構成半部は、帽子部17a,18aの凸になる方向が上下方向に反対となり、かつ帽子部17a,18aの頂部21と一方のつば部17b,18bとが重なる状態で互いに結合されている。一対の閉断面構成半部の互いに対向する帽子部17a,18aの側部(傾斜壁22)と、互いに対向するつば部17b,18bとによって閉断面16が構成されている。
【0050】
このため、衝撃吸収部材6を製造するにあたってプレス成形を施す最小単位となる部材は、一つの帽子部17a,18aを有する閉断面構成半部17,18となるから、鋼板のプレス成形が容易になる。この理由は、プレス成形を行うにあたって傾斜壁22によってアンダーカット部が生じることがないからである。また、このプレス成形は2つ以上の帽子部、例えば、閉断面構成半部17が二つ車体前後方向に並ぶ形状の部品を最小単位として構成してもよい。また、この実施の形態においては、図3(B)に示すように、複数の閉断面構成半部をつば部17b,18b(接続片15)が車体前後方向において上下に振り分けられるように組み合わせているから、頂部21とつば部17b,18bとでスポット溶接部の鋼板の枚数が3枚となる。このため、スポット溶接の信頼性が高くなる。
【0051】
この実施の形態による自動車のサイドシル構造5は、図6(A)に示すように衝撃吸収部材6の閉断面16から外側に突出するシルアウター固定部材23と、図2に示すように衝撃吸収部材6を車体外側から囲む状態でシルアウター固定部材23に接合されたサイドシルアウター8とを備えている。シルアウター固定部材23が図6(B)に示すように閉断面16の内側に向けて延びている場合は、隣り合うシルアウター固定部材23どうしが互いに干渉し合うようになる。このため、この場合は、シルアウター固定部材23どうしの干渉を避けるために閉断面16を、シルアウター固定部材23同士が干渉しないような大きさまで車体前後方向に拡張しなければならない。これにより衝撃吸収部材6内全体での閉断面16の数が減少し、側突時の衝撃吸収部材6でのエネルギー吸収量が低下する。しかし、この実施の形態によるシルアウター固定部材23は、図6(A)に示すように閉断面16の外に向けて延びているから、側突時の衝撃吸収部材6のエネルギー吸収量低下させることなく、シルアウター固定部材23どうしの干渉を防ぐことができる。
【0052】
この実施の形態による自動車のサイドシル構造5は、図2に示すように衝撃吸収部材6を車体内側から囲むサイドシルインナー7と、衝撃吸収部材6を車体外側から囲むサイドシルアウター8と、衝撃吸収部材6を下方から支える保持部材12とを備えている。このため、衝撃吸収部材6をサイドシル4の中で安定した状態で保持できるから、サイドシル4に車体側方から衝撃が加えられたときに衝撃吸収部材6が傾いたり転んだりすることなく、衝撃吸収部材6の上面と下面が座屈するように変形して衝撃を吸収する。
また、衝撃吸収部材6をサイドシルインナー7に接合することなく保持できるから、製造が容易になる。
したがって、側突に対して強固なサイドシル構造5を簡単に実現することができる。
【0053】
この実施の形態による自動車のサイドシル構造5は、図2に示すように衝撃吸収部材6の上面にセンターピラーインナー3が接合されている。このため、衝突エネルギーを衝撃吸収部材6からセンターピラーインナー3に伝達することができるから、側突に対してより一層強固なサイドシル構造5が得られる。
【0054】
この実施の形態による衝撃吸収部材6は、図示してはいないが、サイドシルインナー7に接合することができる。すなわち、衝撃吸収部材6を接着剤等でサイドシルインナー7に強固に接合することにより、更なる強度向上が図られたサイドシル構造5を実現することができる。
【0055】
衝撃吸収部材6の製造方法として、図7および図8に示すように複数の閉断面構成半部(第1の閉断面構成半部17および第2の閉断面構成半部18)を形成するステップS1と、閉断面構成体19を形成するステップS2と、複数の閉断面構成体19を組み合わせて長尺状の衝撃吸収部材6を形成するステップS3とを有する方法を採用することにより、複数の最小構成部品である閉断面構成半部を組み合わせて衝撃吸収部材6を製造できるから、様々な形状の衝撃吸収部材6を製造できるし、様々な長さの衝撃吸収部材6を製造することができる。また、不良品発生時に閉断面構成半部毎に交換できるから、不良品発生時の歩留まりが高くなる。さらに、鋼板を所定形状に成型するプレス金型も小型のものでよいから、製造に要する設備の製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0056】
衝撃吸収部材6の製造方法として図9図12に示すように閉断面構成半部を形成するステップS11,S21と、複数の閉断面構成半部を互いに接合して中間部品(上側の第1の中間部品31、下側の第1の中間部品32、第2の中間部品33)を形成する第1中間部品形成ステップS12,第2中間部品形成ステップS22と、複数の中間部品を互いに接合して長尺状の衝撃吸収部材6を形成する衝撃吸収部材形成ステップS13,S23とによって行う場合は、衝撃吸収部材6を製造するにあたって行う溶接が容易になる。すなわち、複数の小部品を必要数だけ並べて衝撃吸収部材6を製造する場合は、小部品毎に位置決め用の治具が必要になって大量の位置決めピンが必要になる。しかし、この実施の形態のように複数の中間部品を互いに溶接して衝撃吸収部材6を製造する場合は、位置決め用の治具、位置決めピンの数が減るから、上述したように溶接が容易になる。
【0057】
衝撃吸収部材6の製造方法として、図13および図14に示すように複数の閉断面構成半部(第1の閉断面構成半部17および第2の閉断面構成半部18)を形成するステップS31と、長尺状の衝撃吸収部材6を形成するステップS32とを有する方法を採用することにより、中間部品の成形ステップを経ることなく、閉断面構成半部を形成した次の工程で長尺状の衝撃吸収部材6を形成することができる。これにより中間部品を形成するための溶接治具等の溶接設備が不要になり低コストで衝撃吸収部材6を製造できる。また、中間部品を成形するステップが省略されているため生産性が向上する。
【0058】
この実施の形態によるサイドシル4の製造方法は、図15に示すように、衝撃吸収部材6にサイドシルアウター8に接合するステップS42と、衝撃吸収部材6が接合されたサイドシルアウター8とサイドシルインナー7とを接合するステップS43とによって実施する方法である。このため、サイドシルインナー7を予め自動車の車体フレーム1に溶接して車体フレーム1に支持させておくことができるから、衝撃吸収部材6とサイドシルアウター8をサイドシルインナー7に溶接する際の位置合わせを簡単に行うことができる。この結果、サイドシル4を車体に装備する作業が容易になる。
【0059】
(第2の実施の形態)
衝撃吸収部材6は図22(A),(B)~図24(A)~(E)に示すように構成することができる。図22(A)は第1の閉断面構成半部17を示す斜視図、図22(B)は第2の閉断面構成半部18を示す斜視図である。図23(A)は衝撃吸収部材の他の実施の形態を示す斜視図、図23(B)は中空体の上下面と接続片の上下方向の位置を示す斜視図である。図24(A)は、閉断面16の上下両辺にそれぞれ2箇所の角部を設ける例を示し、図24(B)~(D)は閉断面16の上下両辺にそれぞれ6箇所の角部を設ける例を示し、図24(E)は閉断面16の上下両辺にそれぞれ5箇所の角部を設ける例を示す。図22図24において、図1図21によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。
【0060】
図22(A),(B)に示す第1、第2の閉断面構成半部17,18は、帽子部17a,18aとつば部17b,18bとの間に2箇所の角部51,51を有する溝52をプレス成形している。角部51を有する溝52は、つば部17b,18bの基端部(帽子部17a,18a側の端部)を帽子部17a,18aの高さが高くなる方向にプレス成形して形成されている。この溝52の両側に位置する角部51は、車幅方向に延びる稜線53を有している。以下においては、稜線53を有する角部51を単に「角稜51」という。
【0061】
この角稜51を有する第1の閉断面構成半部17と第2の閉断面構成半部18とを組み合わせると、図23(A)に示すように、閉断面16の上辺と下辺とにそれぞれ2箇所ずつ角稜51が設けられるようになる。図23(B)に示すように、この実施の形態による閉断面構成体19は、中空体14の上面14aまたは下面14bと並ぶ接続片15を有している。上面14aと接続片15は、上下に寸法Aだけオフセットしている。下面14bと接続片15は、上下に寸法Bだけオフセットしている。これらの上面14a、下面14b、接続片15は、このように上下にオフセットした状態でサイドシルインナー7に沿って長手方向に配置されている。
【0062】
このように角稜51が追加された衝撃吸収部材6は、第1の実施の形態を採るときの衝撃吸収部材6と較べてエネルギー吸収量が多くなる。角稜51は強度が高くなるため、これを座屈させるエネルギーが増加するためである。
なお、図示してはいないが、角稜51は、閉断面16の上辺と下辺とのうちいずれか一方に設けるだけであってもよい。プレス成形時に溝52を形成するだけで衝撃吸収部材6のエネルギー吸収量を増やすことができる。
【0063】
角稜51は図24(A)~(E)に示すように設けることができる。すなわち、角稜51は、図24(A)に示すように、溝52を凹み成形して閉断面16が上下方向に拡大されるように上辺と下辺とを形成することにより閉断面16の上辺および下辺の両端部に設けることができる。また、角稜51は、図24(B)に示すように、溝52を2条プレス成形して閉断面16が上下方向に拡大されるように上辺と下辺とを形成するとともに、上辺と下辺の中央部を断面矩形状に閉断面16の内側に凹ませて上側と下側に6箇所ずつ設けることができる。
図24(C)は、溝52の一方にステップ形状を追加して閉断面16が上下方向に拡大されるように上辺と下辺とを形成するとともに、上辺と下辺を階段状に形成して角稜51を上側と下側に6箇所ずつ設ける例を示す。
【0064】
図24(D)は、溝52の底面に小さな溝をプレス成形して閉断面16が上下方向に拡大されるように上辺と下辺とを形成するとともに、上辺と下辺の中央部を断面矩形状に閉断面16の外側に突出させて上側と下側に角稜51を6箇所ずつ設ける例を示す。
図24(E)は、溝52の底面の中央を隆起させるようにプレス成形して閉断面16が上下方向に拡大されるように上辺と下辺とを形成するとともに、上辺と下辺の中央部を断面V字状に凹ませて上側と下側に角稜51を5箇所ずつ設ける例を示す。
【符号の説明】
【0065】
1…自動車用車体フレーム、3…センターピラーインナー、5…サイドシル構造、6…衝撃吸収部材、7…サイドシルインナー、8…サイドシルアウター、12…保持部材、14…中空体、15…接続片、16…閉断面、17…第1の閉断面構成半部、18…第2の閉断面構成半部、17a,18a…帽子部、17b,18b…つば部、21…頂部、23…(シルアウター)固定部材、51…角部、角稜、52…溝、53…稜線、S1,S11,S21,S31…複数の閉断面構成半部を形成するステップ、S2…閉断面構成体を形成するステップ、S3…長尺状の衝撃吸収部材を形成するステップ、S12,S22…中間部品を形成するステップ、S13,S23…中間部品を互いに接合して長尺状の衝撃吸収部材を形成するステップ、S32…閉断面構成半部同士を結合して衝撃吸収部材を形成するステップ、S42…衝撃吸収部材にサイドシルアウターを接合するステップ、S43…サイドシルアウターとサイドシルインナーとを接合するステップ、S51…サイドシルインナーに衝撃吸収部材を接合するステップ、S52…サイドシルインナーにサイドシルアウターを接合するステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板のブランクを帽子部の頂部と一対の傾斜壁、前記傾斜壁を含む一対の溝およびつば部を有する断面ハット状にプレス成形して閉断面構成半部を形成する閉断面構成半部形成ステップと、
少なくとも三つ以上の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを長手方向に延びるように重ねて接合し、前記帽子部の傾斜壁を含む上下の溝からなり、長手方向にのみ前記つば部と前記頂部を重ねた接続片で連結される複数の閉断面構成体を形成する閉断面構成体形成ステップと、
によって衝撃吸収部材を形成し、
前記閉断面構成体は長手方向に直交する中空体であって、隣接する中空体との間に前記接続片を有し、長手方向に複数配置し、
該中空体は前記上下の溝により閉断面を形成し、該閉断面の上辺と下辺はそれぞれ長手方向に直交する少なくとも2箇所以上の角稜を有する
ことを特徴とする衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項2】
前記溝にステップ形状、さらに小さな溝、2以上の小さな第2の溝、隆起部、断面V字状に凹ませる形状、の何れか一つ以上を追加する、請求項の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材の前記閉断面構成半部の互いに対向する前記帽子部の前記傾斜壁から外側に突出する固定部材を有する、請求項1の衝撃吸収部材の製造方法。
【請求項4】
請求項1~請求項のいずれか一つの衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルアウターに接合するステップと、
前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルアウターとサイドシルインナーとを接合するステップとを有することを特徴とするサイドシルの製造方法。
【請求項5】
請求項1~請求項のいずれか一つの衝撃吸収部材の製造方法によって形成された衝撃吸収部材をサイドシルインナーに接合するステップと、
前記衝撃吸収部材が接合された前記サイドシルインナーとサイドシルアウターとを接合するステップとを有することを特徴とするサイドシルの製造方法。
【請求項6】
帽子部の頂部と一対の傾斜壁、前記傾斜壁を含む一対の溝およびつば部を有する断面ハット状閉断面構成半部を少なくとも三つ以上の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを長手方向に延びるように重ねて接合し、前記帽子部の傾斜壁を含む上下の溝からなり、長手方向にのみ前記つば部と前記頂部を重ねた接続片で連結される複数の閉断面構成体を形成する衝撃吸収部材を形成し、
前記閉断面構成体は長手方向に直交する中空体であって、隣接する中空体との間に前記接続片を有し、長手方向に複数配置し、
該中空体は前記上下の溝により閉断面を形成し、該閉断面の上辺と下辺はそれぞれ長手方向に直交する少なくとも2箇所以上の角稜を有する
ことを特徴とする、衝撃吸収部材。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る自動車の衝撃吸収部材の製造方法は、鋼板のブランクを帽子部の頂部と一対の傾斜壁、前記傾斜壁を含む一対の溝およびつば部を有する断面ハット状にプレス成形して閉断面構成半部を形成する閉断面構成半部形成ステップと、少なくとも三つ以上の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを長手方向に延びるように重ねて接合し、前記帽子部の傾斜壁を含む上下の溝からなり、長手方向にのみ前記つば部と前記頂部を重ねた接続片で連結される複数の閉断面構成体を形成する閉断面構成体形成ステップと、によって衝撃吸収部材を形成し、前記閉断面構成体は長手方向に直交する中空体であって、隣接する中空体との間に前記接続片を有し、長手方向に複数配置し、該中空体は前記上下の溝により閉断面を形成し、該閉断面の上辺と下辺はそれぞれ長手方向に直交する少なくとも2箇所以上の角稜を有する方法である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、本発明は、前記溝にステップ形状、さらに小さな溝、2以上の小さな第2の溝、隆起部、断面V字状に凹ませる形状、の何れか一つ以上を追加してもよい。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、本発明は、前記衝撃吸収部材の前記閉断面構成半部の互いに対向する前記帽子部の前記傾斜壁から外側に突出する固定部材を有してもよい。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明に係る衝撃吸収部材は、帽子部の頂部と一対の傾斜壁、前記傾斜壁を含む一対の溝およびつば部を有する断面ハット状閉断面構成半部を少なくとも三つ以上の前記閉断面構成半部を前記帽子部の凸になる方向が互いに反対になる姿勢として組み合わせ、一方の前記閉断面構成半部の前記帽子部の頂部と他方の前記閉断面構成半部の前記つば部とを長手方向に延びるように重ねて接合し、前記帽子部の傾斜壁を含む上下の溝からなり、長手方向にのみ前記つば部と前記頂部を重ねた接続片で連結される複数の閉断面構成体を形成する衝撃吸収部材を形成し、前記閉断面構成体は長手方向に直交する中空体であって、隣接する中空体との間に前記接続片を有し、長手方向に複数配置し、該中空体は前記上下の溝により閉断面を形成し、該閉断面の上辺と下辺はそれぞれ長手方向に直交する少なくとも2箇所以上の角稜を有するものである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明によれば、中空体の半部(帽子部の傾斜壁/溝)と接続片(帽子部の頂部とつば部)とが折り曲げプレス加工によって形成された鋼板を少なくとも2組作り、これらの鋼板どうしを組み合わせることによって中空体を含む衝撃吸収部材を形成することができる。
このため、アルミニウム合金より安価な鋼板に単純な曲げプレス加工と溶接(またはリベット、他結合手段)とを施すことによって衝撃吸収部材を製造することができる。したがって、鋼板を材料とする安価な衝撃吸収部材を提供することができる。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
特に、一の帽子部・溝とつば部をプレス成形する金型が一つあれば、複数の中空体を長手方向に接続片を介して飛び石状に繋げることで任意の長さの衝撃吸収部材を安価に得ることができる。頂部とつば部の間に溝を追加するだけで、中空体の角稜を増加させて衝撃エネルギー吸収量を増加できる。この中空体が側方からの荷重により角稜が先端から基端に順次座屈することで衝撃エネルギーを吸収するからである。