(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004498
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品、スイッチ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/64 20060101AFI20240110BHJP
A61B 5/318 20210101ALN20240110BHJP
【FI】
H01H13/64
A61B5/04 310A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020182523
(22)【出願日】2020-10-30
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寛人
【テーマコード(参考)】
4C127
5G206
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
5G206AS11K
5G206AS11P
5G206ES14P
5G206FS12P
5G206FS32K
5G206FU03
5G206GS04
5G206GS06
5G206KS15
5G206KS38
5G206KS40
5G206KS56
5G206KS57
5G206PS02
5G206PS08
(57)【要約】
【課題】スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路が形成可能で、また小型でクリック感が良い電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、上面が押下されることに応じて導通する第1接点21及び第2接点22、並びに上面に露出した第3接点23a及び23bを有するスイッチ10と、平板形状の押下面41を有し、スイッチの上方に配置される導電性の押下部材17と、スイッチ10と押下部材17との間に配置され、下端が第3接点23a及び23bに接すると共に押下部材17を支持し、押下面41が押下されることに応じて押下部材17をスイッチ10の上面に向けて移動する導電性の弾性部材16とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに前記上面に露出した第3接点を有するスイッチと、
平板形状の押下面を有し、前記スイッチの上方に配置される導電性の押下部材と、
前記スイッチと前記押下部材との間に配置され、下端が前記第3接点に接すると共に前記押下部材を支持し、前記押下面が押下されることに応じて前記押下部材を前記スイッチの上面に向けて移動する導電性の弾性部材と、
を有する、ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記弾性部材は、
前記押下部材の延伸方向に延伸する一対の支持部と、
前記押下部材に向けて凸状の形状を有し、前記一対の支持部の間に配置されると共に前記一対の支持部の双方に接続された弾性部と、
前記弾性部の両端に配置され、前記第3接点に接触する一対の接触部と、
を有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記一対の支持部は、前記押下部材の長手方向に平行に延伸する、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記弾性部は、前記一対の支持部の双方に頂部で接続される、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記押下面は、四角に切欠きが形成された矩形状の平面形状を有し、
前記弾性部材は、一対の支持部のそれぞれの両端に配置され、前記切欠きに篏合する篏合部を更に有する、請求項2~4の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
前記スイッチは、
前記第1接点、前記第2接点及び前記第3接点が形成されたスイッチ基板と、
凸型のドーム形状を有し、端部が前記第2接点に接するように前記スイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が前記第1接点と接触する可動接点と、
前記スイッチ基板に配置され、前記第1接点、前記第2接点及び前記可動接点を囲む第1貫通孔、並びに前記第3接点を囲む第2貫通孔が形成されたケース部材と、
前記第1貫通孔を封止し、且つ前記第2貫通孔を封止しない封止シートと、
を更に有する、請求項1~5の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに前記上面に露出した第3接点が表面に形成され、前記第1接点に接続された第1裏面電極、前記第2接点に接続された第2裏面電極、及び前記第3接点に接続された第3裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、
凸型のドーム形状を有し、端部が前記第2接点に接するように前記スイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が前記第1接点と接触する可動接点と、
前記スイッチ基板に配置され、前記第1接点、前記第2接点及び前記可動接点を囲む第1貫通孔、並びに前記第3接点を囲む第2貫通孔が形成されたケース部材と、
前記第1貫通孔を封止し、且つ前記第2貫通孔を封止しない封止シートと、
を有する、ことを特徴とするスイッチ。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、
前記操作部材の他端に押下面が接するように前記筐体の内部に配置された電子部品と、
前記筐体の内部に配置され、前記操作部材の操作に応じた信号が前記電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、
前記電子部品は、
上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに前記上面に露出した第3接点を有するスイッチと、
平板形状の押下面を有し、前記スイッチの上方に配置される導電性の押下部材と、
前記スイッチと前記押下部材との間に配置され、下端が前記第3接点に接すると共に前記押下部材を支持し、前記押下面が押下されることに応じて前記押下部材を前記スイッチの上面に向けて移動する導電性の弾性部材と、
を有する、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、スイッチ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチに種々の機能を付加した電子部品が知られている。例えば、特許文献1には、上面を覆う防水シートに導電性樹脂を印刷することにより形成された導電層を、基板に形成されたアース用パターンに導通させた電子部品が記載される。特許文献1に記載される電子部品は、防水シートに形成された導電層をアース用パターンに通させることにより、帯電防止用のアース電極を防水シートの上部に容易に形成することができる。
【0003】
また、携帯機器に搭載され、スイッチング機能を有する電子部品は、スイッチング機能以外の種々の機能を搭載すると共に、小型化が望まれている。例えば、特許文献2に記載される入力装置では、指の接触に応じた静電容量の変化、及び指による押下動作の双方を検出可能な検出回路にスイッチが接続されることで、押下動作の検出に加えて、指がスイッチに接触したことを検出することができる。特許文献2に記載される入力装置は、スイッチの固定接点及び可動接点を静電容量検出用コンデンサの電極として用いることで、スイッチの大きさを変更することなく、押下動作に加えて指がスイッチに接触したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-226995号公報
【特許文献2】特開2010-123367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、スイッチを介して人体から電流を取得して、心電図(electrocardiogram、ECG)等の生体情報を取得する機能を実現するウエアラブルデバイス等の携帯端末が検討されている。特許文献1に記載される電子部品を携帯端末に搭載することで、特許文献1に記載される電子部品の防水シートに形成された導電層を介して人体から電流を取得することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される電子部品では、導電層は、防止シートに形成されるために、長年に亘って押下動作が繰り返されることで、防水シートから剥離して脱落するおそれがある。導電層が防水シートから脱落すると、人体から供給される電流が流れる経路が遮断され、携帯端末は、生体情報を取得できなくなる。また、導電層に導電性樹脂を使うとき、印刷された導電性樹脂は、電気的な抵抗値が金属より高くなることから、生体情報の検出精度が落ちる恐れがあった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路が形成可能な、また小型でクリック感が良い電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子部品は、上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに上面に露出した第3接点を有するスイッチと、平板形状の押下面を有し、スイッチの上方に配置される導電性の押下部材と、スイッチと押下部材との間に配置され、下端が第3接点に接すると共に押下部材を支持し、押下面が押下されることに応じて押下部材をスイッチの上面に向けて移動する導電性の弾性部材とを有する。
【0009】
さらに、本発明に係る電子部品では、弾性部材は、押下部材の延伸方向に延伸する一対の支持部と、押下部材に向けて凸状の形状を有し、一対の支持部の間に配置されると共に一対の支持部の双方に接続された弾性部と、弾性部の両端に配置され、第3接点に接触する一対の接触部とを有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る電子部品では、一対の支持部は、押下部材の長手方向に平行に延伸することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る電子部品では、弾性部は、一対の支持部の双方に頂部で接続されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る電子部品では、押下面は、四角に切欠きが形成された矩形状の平面形状を有し、弾性部材は、一対の支持部のそれぞれの両端に配置され、切欠きに篏合する篏合部を更に有することが好ましい。本発明に係る電子部品では、弾性部材の篏合部が押下面の切欠きに篏合することで、組立時及び操作時に位置ずれが発生するおそれが低くなる。
【0013】
さらに、本発明に係る電子部品では、スイッチは、第1接点、第2接点及び第3接点が形成されたスイッチ基板と、凸型のドーム形状を有し、端部が第2接点に接するようにスイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が第1接点と接触する可動接点と、スイッチ基板に配置され、第1接点、第2接点及び可動接点を囲む第1貫通孔、並びに第3接点を囲む第2貫通孔が形成されたケース部材と、第1貫通孔を封止し、且つ第2貫通孔を封止しない封止シートとを更に有することが好ましい。
【0014】
また、本発明に係るスイッチは、上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに上面に露出した第3接点が表面に形成され、第1接点に接続された第1裏面電極、第2接点に接続された第2裏面電極、及び第3接点に接続された第3裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、凸型のドーム形状を有し、端部が第2接点に接するようにスイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が第1接点と接触する可動接点と、スイッチ基板に配置され、第1接点、第2接点及び可動接点を囲む第1貫通孔、並びに第3接点を囲む第2貫通孔が形成されたケース部材と、第1貫通孔を封止し、且つ第2貫通孔を封止しない封止シートとを有する。
【0015】
また、本発明に係る電子機器は、筐体と、筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、操作部材の他端に押下面が接するように筐体の内部に配置された電子部品と、筐体の内部に配置され、操作部材の操作に応じた信号が電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、電子部品は、上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに上面に露出した第3接点を有するスイッチと、平板形状の押下面を有し、スイッチの上方に配置される導電性の押下部材と、スイッチと押下部材との間に配置され、下端が第3接点に接すると共に押下部材を支持し、押下面が押下されることに応じて押下部材をスイッチの上面に向けて移動する導電性の弾性部材とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る電子部品は、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路を形成することができ、また小型でクリック感を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)は実施形態に係る電子機器の正面図であり、(b)は(a)に示す電子機器の背面図である。
【
図2】(a)は
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図であり、(b)は
図1(a)に示す操作部材、電子部品、及び電子部品が実装される基板の斜視図である。
【
図3】(a)は
図1(a)に示す電子部品の斜視図であり、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。
【
図5】
図1(a)に示すスイッチの分解斜視図である。
【
図6】(a)は
図5に示すスイッチ基板の斜視図(その1)であり、(b)は
図5に示すスイッチ基板の斜視図(その2)である。
【
図8】
図2(a)に示す弾性部材及び押下部材の斜視図である。
【
図9】
図2(a)に示す弾性部材及び押下部材の分解斜視図である。
【
図10】操作者の左手首に装着された電子機器を示す図である。
【
図11】操作者の左手首に装着された電子機器の操作部材に操作者の右手の人差し指が接触することにより形成される電流回路の回路図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子部品、スイッチ及び電子機器について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
(実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図1(a)は実施形態に係る電子機器の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す電子機器の背面図である。
【0020】
電子機器100は、筐体101と、操作部材102と、タッチパネル103と、裏面電極104と、制御装置110と、電子部品1とを有するスマートウォッチであり、電子機器100を操作する操作者の手首にベルト120によって装着される。
【0021】
筐体101は、ポリカーボネート等の合成樹脂及びセラミックス等の高硬度且つ腐食性が低い素材で形成され、操作部材102、制御装置110及び電子部品1等の電子機器100の部品を収容する。操作部材102は、高硬度の鋼材で形成され、一端が筐体101の外側に突出し、他端が電子部品1に接するように配置され、操作者によって接触及び押下される。
【0022】
タッチパネル103は、筐体101の表面に形成された略矩形状の開口部に配置される。タッチパネル103は、サファイヤガラス及びミネラルガラス等の高硬度且つ透明な材料で形成された風防によって保護される。タッチパネル103は、操作者の操作に応じた入力情報を制御装置110に出力すると共に、制御装置110から出力された出力情報に対応する画像を表示する。
【0023】
裏面電極104は、金属等の導電性部材で形成され、筐体101の表面に形成された円形状の開口部に配置される。裏面電極104は、制御装置110に電気的に接続され、操作者が電子機器100を手首に装着したときに制御装置110と操作者の手首との間の電流経路を形成する。
【0024】
制御装置110は、例えば中央演算装置(Central Processing Unit、CPU)等の半導体回路であり、筐体101の内部に配置される。制御装置110は、操作部材102及びタッチパネル103から入力される入力情報を演算処理して、タッチパネル103に表示される画像に対応する出力情報を生成し、生成した出力情報をタッチパネル103に出力する。操作部材102から入力される入力情報は、電子部品1を介して制御装置110に入力される。
【0025】
電子部品1は、筐体101の内部に配置され、制御装置110に電気的に接続され、操作者の操作に応じた信号を制御装置110に出力する。電子部品1は、操作者が指で操作部材102に接触したときに、制御装置110と操作者の指との間の電流経路を形成し、ECG等の生体情報を示す生体信号が入力され、入力された生体信号を制御装置110に出力する。また、電子部品1は、操作者が指で操作部材102を押下したときに、操作部材102が押下されたことを示すオン信号を制御装置110に出力する。
【0026】
図2(a)は
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図であり、
図2(b)は
図1(a)に示す操作部材102、電子部品1、及び電子部品1が実装される基板の斜視図である。
【0027】
電子機器100は、バネ部材105と、収容部材106と、座金107と、基板108とを更に有する。バネ部材105及び収容部材106は、操作部材102と共に開口部109の近傍に移動可能に配置される。操作部材102は、リューズ121と、巻真122とを有する。リューズ121は、略円柱状の形状を有し、操作者に操作可能なように上面が筐体101の外部に突出して配置される。巻真122は、径がリューズ121の径より短く且つ高さがリューズ121の高さよりも長い略円形状の形状を有し、リューズ121の下面から下方に延伸する。
【0028】
バネ部材105は、つる巻きバネ及びコイルバネとも称される弾性部材であり、一端がリューズ121の下面に接し且つ他端が収容部材106に接するように収容部材106に収容される。また、バネ部材105は、巻真122が貫通する。バネ部材105は、操作者によってリューズ121の上面が押下されることに応じて圧縮され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0029】
収容部材106は、エポキシ樹脂等の合成樹脂により形成され、操作部材102及びバネ部材105を収容する。収容部材106は、巻真122が貫通する貫通孔が形成されると共に、リューズ121を保持する底面及びリューズ121を保持する底面と貫通孔との間に配置され、バネ部材105を保持する底面を有する。
【0030】
座金107は、バネ座金であり、収容部材106と電子部品1との間に配置されると共に、巻真122が貫通する。座金107は、操作者がよってリューズ121の上面が押下されることに応じて変形され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0031】
基板108は、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits、FPC)であり、第1基板電極181と、第2基板電極182と、第3基板電極183と、第4基板電極184とを有し、電子部品1と制御装置110との間を電気的に接続する。第1基板電極181、第2基板電極182、第3基板電極183及び第4基板電極184は、電子部品1の外縁に形成される接続電極に半田付けによって接続される。
【0032】
図3(a)は電子部品1の斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0033】
電子部品1は、スイッチ10と、弾性部材16と、押下部材17とを有し、操作者による操作部材102の押下に応じてオンする。また、電子部品1は、操作者が操作部材102に接触することに応じて、操作者から電流を取得して、心電図(electrocardiogram、ECG)等の生体情報を取得する。
【0034】
図4はスイッチ10の斜視図であり、
図5はスイッチ10の分解斜視図である。
【0035】
スイッチ10は、スイッチ基板11と、枠材12と、可動接点13と、押し子14と、封止シート15とを有し、上面が押下されることに応じて可動接点13が反転動作してオンし、上面が押下されなくなるとオフする。
【0036】
図6(a)はスイッチ基板11の斜視図(その1)であり、
図6(b)はスイッチ基板11の斜視図(その2)である。
図6(a)はスイッチ基板11の表面側を示し、
図6(a)はスイッチ基板11の裏面側を示す。
【0037】
スイッチ基板11は、基材20と、第1接点21と、第2接点22と、第3接点23a及び23bと、第1裏面電極24と、第2裏面電極25と、第3裏面電極26とを有する。基材20は、エポキシ樹脂等の合成樹脂で形成され、略矩形の平面形状を有し、一対の長辺の端部の近傍に半円状の平面形状を有する凹部27a、27b、27c及び27dが形成される。基材20の表面20aには、第1接点21、第2接点22並びに第3接点23a及び23bが配置され、基材20の裏面20bには、第1裏面電極24、第2裏面電極25及び第3裏面電極26が配置される。
【0038】
第1接点21は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の中央部に配置される略円形の平面形状を有する導体である。第2接点22は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面に第1接点21を囲むように配置される枠状の平面形状を有する導体である。第2接点22は可動接点13の外縁が接するように配置され、第1接点21は可動接点13が反転動作したときに可動接点13の頂部が接する。
【0039】
第3接点23a及び23bは、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の長手方向の端部の近傍に配置される基材20の短手方向に延伸する矩形状の一対の導体である。第3接点23a及び23bは、弾性部材16の下端が接するように配置される。
【0040】
第1裏面電極24は、貫通孔28aに充填された導体を介して第1接点21と電気的に接続される。第1裏面電極24は、凹部27aの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0041】
第2裏面電極25は、貫通孔28bに充填された導体を介して第2接点22と電気的に接続される。第2裏面電極25は、凹部27bの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0042】
第3裏面電極26は、貫通孔28c及び28dに充填された導体を介して第3接点23a及び23bと電気的に接続される。第3裏面電極26は、凹部27c及び27dの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0043】
枠材12は、ポリイミド等の樹脂材料で形成され、スイッチ基板11の外形と同一の外形を有するケース部材である。枠材12は、第1貫通孔12a、第2貫通孔12b及び12cが形成される。第1貫通孔12aは、枠材12の中央領域に形成され、第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14が配置される収容部をスイッチ基板11の表面20aと共に形成する。第2貫通孔12bは、枠材12の長手方向の一端の近傍に形成され、第3接点23aを囲むように配置される。第2貫通孔12cは、枠材12の長手方向の他端の近傍に形成され、第3接点23bを囲むように配置される。
【0044】
可動接点13は、第1可動接点13aと、第2可動接点13bと、第3可動接点13cとを有する。第1可動接点13a、第2可動接点13b及び第3可動接点13cのそれぞれは、薄くドーム状に形成されたステンレス鋼及び銅等の弾性を有する導電性部材により形成され、第1接点21と絶縁し、第2接点22と導通するように重畳して配置される。第1可動接点13a、第2可動接点13b及び第3可動接点13cは、対向する辺を有する俵型形状となるように、凸型のドーム状の板バネ部材を切断して形成される。
【0045】
押し子14は、円柱形状のポリイミド等の樹脂材料で形成され、第3可動接点13cの中央部の上方に配置される押下部材である。押し子14を配置することで、スイッチ10の押下操作の操作性が向上する。
【0046】
封止シート15は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、スイッチ基板11の表面20a及び第1貫通孔12aによって形成される収容部に収容される第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14を保護する。封止シート15は、スイッチ基板11及び枠材12によって形成された収容部を覆うように枠材12の表面に接着されることによって枠材12に固定される。
【0047】
封止シート15は、傾斜部15aと、頂部15bとを有し、第1開口部15c及び第2開口部15dが形成される。傾斜部15aは第1貫通孔12aから突出する第1可動接点13a、第2可動接点13b及び第3可動接点13cの外縁を覆うように傾斜し、頂部15bは押し子14を覆うように平面を形成する。第1開口部15cは、枠材12の長手方向の一端の近傍に形成され、第3接点23aを囲むように配置される。第2開口部15dは、枠材12の長手方向の他端の近傍に形成され、第3接点23bを囲むように配置される。封止シート15は、第1貫通孔12aを封止し、且つ第2貫通孔12b及び12cを封止しない。
【0048】
【0049】
スイッチ10は、第1入力端子IN1と、第2入力端子IN2と、第1出力端子OUT1と、第2出力端子OUT2と、第3出力端子OUT3と、第4出力端子OUT4とを有する。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、第3接点23a及び23bに対応する。第1出力端子OUT1及び第2出力端子OUT2は凹部27a及び27bに配置される接続電極に対応し、第3出力端子OUT3及び第4出力端子OUT4は凹部27c及び27dに配置される接続電極に対応する。
【0050】
スイッチ10は、頂部15bが押下されることに応じて第1接点21に可動接点13が接することに応じてオンして、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間が導通される。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、弾性部材16の下端が接触するように配置されることで、押下部材17を介して操作部材102に接触する操作者の指と制御装置110との間の電流回路を形成する。
【0051】
図8は弾性部材16及び押下部材17の斜視図であり、
図9は弾性部材16及び押下部材17の分解斜視図である。
【0052】
弾性部材16は、りん青銅などのバネ性の高い材料に、導電性の高い金、銀、パラジウムなどのメッキをかけた部材からなり、一対の脚部31a及び31bと、一対の接触部32a及び32bと、頂部33と、一対の接続部34a及び34bと、一対の支持部35a及び35bと、篏合部36a、36b、36c及び36dとを有する。弾性部材16は、押下部材17の押下面が押下されることに応じて、押下部材17をスイッチ10の上面に向けて移動する。
【0053】
脚部31aは、頂部33から上側に湾曲しながら接触部32aに延伸する。脚部31bは、頂部33から脚部31aの延伸方向と反対の方向に上側に湾曲しながら接触部32bに延伸する。脚部31a及び31bは、頂部33を中心にして押下部材17に向けて凸状の形状を有し、一対の支持部35a及び35bの間に配置されると共に一対の支持部35a及び35bの双方に接続された弾性部を形成する。一対の接触部32a及び32bは、矩形状の平面形状を有し、枠材12の第2貫通孔12b及び12cの内側壁に沿って、弾性部材16の下端に配置される。一対の接触部32a及び32bは、枠材12の第2貫通孔12b及び12cの内側壁があるから、挿入しやすくなる。一対の接触部32a及び32bのそれぞれは、第3接点23a及び23bに半田付けや導電性樹脂での接着などによって接触部32a及び32bがスライドしないように固定接続される。一対の接触部32a及び32bは、枠材12より薄く、外力から保護される。更に、半田や接着剤が一対の接触部32a及び32bの上面に付着しても、他部材などに接触しないので、電気的にショートしない。
【0054】
頂部33は、矩形の平面形状を有し、一対の脚部31a及び31bの間に配置される。一対の接続部34a及び34bは、一対の脚部31a及び31bが接続されていない頂部33の一対の辺に接続される。一対の支持部35a及び35bは、一対の脚部31a及び31bを挟んで平行に延伸する平板状の部材であり、押下部材17の対向する長辺に沿って押下部材17を支持する。
【0055】
篏合部36a及び36bは、支持部35aの両端に配置され、U字型に曲折されることで押下部材17を挟持する。篏合部36c及び36dは、支持部35bの両端に配置され、U字型に曲折されることで押下部材17を挟持する。なお、篏合部36a、36b、36c及び36dは、篏合部36と総称されることがある。嵌合部36は、溶接などの方法で固定されてもよい。
【0056】
押下部材17は、押下面41を有し、4つの角に切欠き42a、42b、42c及び42dが形成された略矩形の平面形状を有するチタンが含有された銅や焼入した鋼などの強度の高い材料に高導電性のメッキをかけた金属等の導体である。切欠き42a、42b、42c及び42dは、弾性部材16の篏合部36a、36b、36c及び36dが篏合することで、押下部材17は、弾性部材16に固定される。なお、切欠き42a、42b、42c及び42dは、切欠き42と総称されることがある。
【0057】
弾性部材16が押下部材17の対向する長辺に沿って押下部材17を支持することで、押下部材17は、押下面41の何れの部分を押下された場合でも、押下面41の延伸方向を押下方向に直交する方向に維持しながらスイッチ10に向けて下降する。押下部材17は弾性部材16より厚いから、操作者が指で操作部材102を押下しても変形しにくい。弾性部材16は押下部材17より薄いから、スイッチ性能を調整しやすく、特にクリック感を向上できる。
【0058】
電子部品1は、押下部材17の切欠き42に篏合部36が篏合されて押下部材17と一体化された弾性部材16の接触部32a及び32bをスイッチ10の第3接点23a及び23bに半田付けによって製造される。
【0059】
図10は、操作者の左手首に装着された電子機器100を示す図である。
【0060】
電子機器100は、操作者の左手首200aにベルト120によって装着される。操作者の右手の人差し指200bが操作部材102に接触することによって、操作部材102と電子部品1とが接触し、操作者の人体に流れる電流が流れる電流回路が形成される。
【0061】
図11は、操作者の左手首200aに装着された電子機器100の操作部材102に操作者の右手の人差し指200bが接触することにより形成される電流回路の回路図を示す図である。
【0062】
電子機器100は、プルアップ抵抗111と、バッファ112と、AD変換回路113とを更に有する。プルアップ抵抗111は、一端に電源電圧Vddが供給され、他端に裏面電極104とバッファ112との間に接続される。プルアップ抵抗111は、形成される電流回路に流れる電流を、操作者200の電位を示す電圧に変換する。バッファ112は、操作者200の電位を示す電圧を増幅してAD変換回路113に出力する。AD変換回路113は、バッファ112から入力される電圧をデジタル信号に変換して制御装置110に出力する。
【0063】
電子機器100が操作者200の左手首200aに装着されることで、操作者200の左手首200aと裏面電極104とが接触して、操作者200の左手首200aは、プルアップ抵抗111及びバッファ112に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作者の右手の人差し指200bは、操作部材102のリューズ121に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作部材102の巻真122は、電子部品1の押下部材17に電気的に接続される。
【0064】
(実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の押下部材17及びスイッチ10と押下部材17との間に配置され、下端が第3接点23a及び23bに接する導電性の弾性部材16によって電流経路が形成する。電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の弾性部材16及び押下部材17を介して電流回路を形成するので、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路を形成することができる。
【0065】
なお、操作部材102とスイッチ10との間の電流経路を、例えば1枚の板バネにより形成するとき、押し子14と接触したときの変形を防止するために、電流経路に配置される板バネは、厚さが厚くなる。電流経路に配置される板バネの厚さが厚くなると、電子部品を操作者が押下するときのクリック感が低下するため、好ましくない。
【0066】
電流経路を形成する1枚の板バネの大きさを大きくすることで、操作者が押下するときのクリック感が低下することを防止することができるが、板バネの大きさが大きくなることで電子部品の大きさが大きくなるため、好ましくない。電子部品1では、操作部材102とスイッチ10との間の電流経路を弾性部材16及び押下部材17の2つの部材によって形成することで、大きさを大きくすることなく、良好なクリック感を実現することができる。なお、一対の接触部32a及び32bと、第3接点23a及び23bの少なくとも一つのみ固定接続してもよい。固定接続していない脚部31a、もしくは31bの応力を緩和することができるから、弾性部材16の操作荷重が低くなり、更に、クリック感が向上する。固定されていない接触部32a、もしくは32bは、スライドしても、第2貫通孔12b及び12cで囲まれ、絶縁性が確保されているから、他部材と接触せず、ショートしない。
【0067】
また、電子部品1では、押下部材17は、脚部31a及び31bを挟むように配置され、押下部材17の延伸方向に延伸する一対の支持部35a及び35bによって支持されるので、押下面41が押下されたときに押下面41を傾斜させることなく押下される。電子部品1は、押下部材17が押下面41を傾斜させることなく押下されるので、押下面41を押下する巻真122と押下面41とが接触する接触面の面積を大きくできる。電子部品1は、巻真122と押下面41とが接触する接触面の面積を大きくできるので、巻真122と押下面41との間の電流経路の抵抗値の変動等に起因するノイズの発生を低減することができる。
【0068】
また、電子部品1では、一対の支持部35a及び35bは、押下部材17の長手方向に平行に延伸するので、押下部材17をより安定して支持することで、巻真122と押下面41とが接触する接触面の面積を大きくしたまま維持できる。
【0069】
また、電子部品1では、脚部31a及び31bは、一対の支持部35a及び35bに頂部33で接続されるので、移動距離が大きくなるので、所望のクリック感を実現するように移動距離を調整することができる。
【0070】
また、電子部品1では、弾性部材16は、押下部材17の切欠き42a、42b、42c及び42dに篏合することで、押下部材を固定するので、押下部材17が水平方向にずれるおそれを低くすることができる。押下部材17は、篏合部36a、36b、36c及び36dが押下面41によって長手方向が固定されると共に、切欠き42a、42b、42c及び42dによって短手方向が固定されることで、組立時及び操作時に位置ずれが発生するおそれが低くなる。
【0071】
(実施形態に係る電子部品の変形例)
電子部品1は、プッシュスイッチであるスイッチ10を有するが、実施形態に係る電子部品は、操作者との間で電流経路が形成可能な第3接点を有していればよく、マイクロスイッチ及びディップスイッチ等のプッシュスイッチ以外のスイッチを有してもよい。
【0072】
また、電子部品1は、一対の支持部35a及び35b及び一対の支持部35a及び35bに挟まれた脚部31a及び31bを有する弾性部材16を有するが、実施形態に係る電子部品は、弾性部材16と異なる形状を有する導電性の弾性部材を有してもよい。例えば、実施形態に係る電子部品は、導電性材料で形成されたコイルバネをスイッチ10と押下部材17との間に配置される弾性部材として有してもよい。
【0073】
また、電子部品1では、弾性部材16の一対の支持部35a及び35bは、押下部材17の長手方向に平行に延伸するように配置されるが、実施形態に係る電子部品では、弾性部材の一対の支持部は、押下部材の延伸方向に延伸していればよい。
【0074】
また、電子部品1では、一対の支持部35a及び35bは、頂部33で接続されるが、実施形態に係る電子部品では、押下部材に向けて凸状の形状を有する弾性部の何れの部分で接続されていればよい。
【0075】
電子部品1では、押下部材17は、四角に切欠きが形成された矩形状の平面形状を有するが、実施形態に係る電子部品では、押下部材は、円形及び三角形等の矩形とは異なる平面形状を有してもよい。また、実施形態に係る電子部品では、押下部材は、角に切欠きが形成されていなくてもよい。
【0076】
また、電子部品1が搭載される電子機器100は、スマートウォッチであるが、実施形態に係る電子機器は、リストバンド型、指輪型及びスピーカ型等の腕時計型であるスマートウォッチ以外のウエアラブルデバイスであってもよい。また、実施形態に係る電子機器は、スマートフォン等のウエアラブルデバイス以外の携帯端末であってもよく、体重計及び血圧計等の据置き型の電子機器であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 電子部品
10 スイッチ
16 弾性部材
17 押下部材
21 第1接点
22 第2接点
23a、23b 第3接点
100 電子機器
102 操作部材
110 制御装置