(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024044983
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電子装置、及び、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法
(51)【国際特許分類】
H02H 9/04 20060101AFI20240326BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20240326BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H02H9/04 C
H02H7/20
H02J1/00 301D
H02J1/00 309H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023055397
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/408,111
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/163,300
(32)【優先日】2023-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522194566
【氏名又は名称】竹北動力股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Bamboo Dynamics Corporation., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.146, Sec.1, Tung-Hsing Rd., Jubei, Hsinchu 302058,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】▲チェン▼ 元成
(72)【発明者】
【氏名】莊 ▲チー▼明
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5G013AA02
5G013AA09
5G013BA02
5G013CB30
5G013DA12
5G053AA10
5G053BA04
5G053CA05
5G053EC03
5G165BB01
5G165LA01
5G165MA10
5G165NA02
5G165NA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機器を電圧サージによる損傷から保護するための電子装置及び方法を提供する。
【解決手段】電子装置100における方法は、単方向性パス回路の入力端を第1の機器10に電気接続し、単方向性パス回路の出力端を第2の機器20に電気接続することと、過電圧チェック回路を出力端と抵抗を含む回生抵抗回路に電気接続することと、過電圧チェック回路により出力端の電圧を検出することと、電圧が閾値電圧よりも高いことに応じて過電圧チェック回路により出力端を抵抗に電気接続することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を電圧サージによる損傷から保護するための電子装置であって、
第1の機器に電気接続された入力端と、第2の機器に電気接続された出力端とを含む単方向性パス回路と、
抵抗を含む回生抵抗回路と、
前記出力端と前記回生抵抗回路とに電気接続された過電圧チェック回路と
を含み、
前記過電圧チェック回路が前記出力端の電圧を検出し、前記電圧が電圧閾値よりも高いことに応じて前記出力端を前記抵抗に電気接続する、
電子装置。
【請求項2】
前記回生抵抗回路が、前記過電圧チェック回路、前記出力端、及び前記抵抗に接続されたスイッチを更に含み、
前記過電圧チェック回路が、前記スイッチをオンにすることにより前記出力端を前記抵抗に電気接続する、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記スイッチが金属酸化物半導体電界効果トランジスタを含む、
請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記過電圧チェック回路に電気接続されたサーマルプロテクタ回路
を更に含み、
前記サーマルプロテクタ回路が前記抵抗の温度を検出し、
前記過電圧チェック回路が、前記温度が温度閾値よりも低いことに応じて前記出力端を前記抵抗に電気接続する、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記過電圧チェック回路に電気接続されたクランプ電圧選択回路
を更に含み、
前記過電圧チェック回路が、前記クランプ電圧選択回路からの命令に基づき前記電圧閾値を設定する、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項6】
前記第1の機器が電源を含み、前記第2の機器がモータを含む、
請求項1に記載の電子装置。
【請求項7】
機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法であって、
単方向性パス回路の入力端を第1の機器に電気接続し、前記単方向性パス回路の出力端を第2の機器に電気接続することと、
過電圧チェック回路を前記出力端と回生抵抗回路に電気接続することであって、前記回生抵抗回路が抵抗を含むことと、
前記過電圧チェック回路により前記出力端の電圧を検出することと、
前記電圧が閾値電圧よりも高いことに応じて前記過電圧チェック回路により前記出力端を前記抵抗に電気接続することと
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、電子装置、及び、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法に関するものである。
【0002】
物流自動化は、コンベアシステムの異なるモータが異なる時間に停止又は始動する正確な処理である。モータが突然停止すると、電力線の電気がサージして電力線又はモータコントローラに損傷を引き起こす可能性がある。モータ用の専用電源には、電圧サージが機器に逆流することを防止するための内蔵された保護機能があり、モータコントローラへの電圧サージはより緩やかな停止を形成することで回避できる。しかし、保護機能が内蔵されていない既存の電源を使用する場合や、緊急のモータ制動が必要な場合など、これらの調整機能が実用的でないことがある。このため、電力サージに対する別途の保護装置が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、電子装置、及び、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法を対象とする。本発明は、電圧検出結果に応じて機器を電圧サージから保護することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、機器を電圧サージによる損傷から保護するための電子装置を対象とし、電子装置は、単方向性パス回路と、回生抵抗回路と、過電圧チェック回路とを含む。単方向性パス回路は、第1の機器に電気接続された入力端と、第2の機器に電気接続された出力端とを含む。回生抵抗回路は抵抗を含む。過電圧チェック回路は、出力端と回生抵抗回路とに電気接続され、過電圧チェック回路は出力端の電圧を検出し、電圧が電圧閾値よりも高いことに応じて出力端を抵抗に電気接続する。
【0005】
本発明の1つの実施形態において、回生抵抗回路は、過電圧チェック回路、出力端、及び抵抗に接続されたスイッチを更に含み、過電圧チェック回路はスイッチをオンにすることにより出力端を抵抗に電気接続する。
【0006】
本発明の1つの実施形態において、スイッチは金属酸化物半導体電界効果トランジスタを含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態において、電子装置は、過電圧チェック回路に電気接続されたサーマルプロテクタ回路を更に含み、サーマルプロテクタ回路は抵抗の温度を検出し、過電圧チェック回路は温度が温度閾値よりも低いことに応じて出力端を抵抗に電気接続する。
【0008】
本発明の1つの実施形態において、電子装置は、過電圧チェック回路に電気接続されたクランプ電圧選択回路を更に含み、過電圧チェック回路はクランプ電圧選択回路からの命令に基づき電圧閾値を設定する。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、第1の機器は電源を含み、第2の機器はモータを含む。
【0010】
本発明は、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法を対象とし、該方法は、単方向性パス回路の入力端を第1の機器に電気接続し、単方向性パス回路の出力端を第2の機器に電気接続することと、過電圧チェック回路を出力端と回生抵抗回路に電気接続することであって、回生抵抗回路が抵抗を含むことと、過電圧チェック回路により出力端の電圧を検出することと、電圧が閾値電圧よりも高いことに応じて過電圧チェック回路により出力端を抵抗に電気接続することとを含む。
【発明の効果】
【0011】
上記に基づき、本発明は、単純に電源と被保護機器との間に電子装置を構成することにより、機器を電圧サージから保護することができる。
【0012】
上記をより理解し易くするため、添付図面と併せていくつかの実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の更なる理解を提供するために添付図面が含まれ、本明細書に包含されてその一部を構成する。図面は本発明の例示的な実施形態を表し、明細書と併せて本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0014】
【
図1】本発明の1つの実施形態による、機器を電圧サージによる損傷から保護するための電子装置の概略図を表す。
【0015】
【
図2】本発明の1つの実施形態による、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法のフロー図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明をより理解し易くするため、本発明の実施の例としていくつかの実施形態を以下に説明する。更に、同一の参照符号を有する構成要素/部品/ステップは、適切な場合に、図面及び実施形態において同一又は類似の部分を表すために用いられる。
【0017】
図1は、本発明の1つの実施形態による、機器を電圧サージによる損傷から保護するための電子装置100の概略図を表す。電子装置100は、機器10と機器20との間に構成されてよく、機器10は電源を含んでよく、機器20はモータ制御カードといった電気負荷を含んでよい。電子装置100は、機器20を停止させることにより、機器10を電圧サージによる損傷から保護することができる。
【0018】
電子装置100は、単方向性パス回路110と、過電圧チェック回路120と、回生抵抗回路130と、クランプ電子選択回路140と、サーマルプロテクタ回路150とを含んでよい。単方向性パス回路110の入力端は機器10に電気接続されてよく、単方向性パス回路110の出力端は機器20に電気接続されてよい。単方向性パス回路110は信号(例えば、電流又は電圧)の方向を制限することができ、信号は機器10から機器20に伝送することのみ可能である。機器20からの信号が単方向性パス回路110を介して機器10に伝送されることはない。通電された機器20に電圧サージが起こったとき、電力サージは単方向性パス回路110を通過することはできない。1つの実施形態において、単方向性パス回路110はO-Ringダイオードにより実装されてよい。
【0019】
回生抵抗回路130は、スイッチ131と、スイッチ131に電気接続された抵抗132とを含んでよい。抵抗132はグランドに接続されてよい。スイッチ131は、単方向性パス回路110の出力端と過電圧チェック回路120に電気接続されてよい。スイッチ131は、単方向性パス回路110の出力端を抵抗132に電気接続するため、又は、単方向性パス回路110の出力端を抵抗132から切断するため、過電圧チェック回路120により制御されてよい。
【0020】
1つの実施形態において、スイッチ131は金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を含んでよい。MOSFETのソースは単方向性パス回路110の出力端と抵抗132のうちの一方に接続されてよく、MOSFETのドレインは単方向性パス回路110の出力端と抵抗132のうちの他方に接続されてよい。例えば、MOSFETのドレインが抵抗132に接続された場合、MOSFETのソースは単方向性パス回路110の出力端に接続されてよい。MOSFETのゲートは過電圧チェック回路120に接続されてよい。過電圧チェック回路120は、MOSFETをオンにすることにより単方向性パス回路110の出力端を抵抗132に電気接続させ、MOSFETをオフにすることにより単方向性パス回路110の出力端を抵抗132から切断する。
【0021】
過電圧チェック回路120は、単方向性パス回路110の出力端の電圧を検出してよい。電圧が電圧閾値よりも高い場合、過電圧チェック回路120は単方向性パス回路110の出力端を抵抗132に電気接続するためスイッチ131をオンにしてよい。従って、過電圧電力は抵抗132により消費されることができる。電圧が電圧閾値以下の場合、過電圧チェック回路120は単方向性パス回路110の出力端を抵抗132から切断するためスイッチ131をオフにしてよい。
【0022】
クランプ電圧選択回路140は、過電圧チェック回路120に電気接続されてよい。1つの実施形態において、クランプ電圧選択回路140はディップスイッチを含んでよい。クランプ電圧選択回路140は使用者により操作され、過電圧チェック回路120へ命令を伝送することができる。過電圧チェック回路120は、クランプ電圧選択回路140からの命令に基づき電圧閾値を設定してよい。
【0023】
サーマルプロテクタ回路150は、過電圧チェック回路120に電気接続されてよい。サーマルプロテクタ回路150は、抵抗132の温度を検出してよい。抵抗132の温度が温度閾値未満である場合、サーマルプロテクタ回路150は、出力端の電圧が電圧閾値よりも高いとき、過電圧チェック回路120により単方向性パス回路110の出力端を抵抗132に電気接続するために過電圧チェック回路120に命令を伝送することにより、過電圧チェック回路120がスイッチ131を制御することを可能にする。つまり、抵抗132が過熱していない場合に、単方向性パス回路110の出力端は抵抗132に電気接続される。逆に、抵抗132の温度が温度閾値以上である場合、サーマルプロテクタ回路150は、単方向性パス回路110の出力端を抵抗132から切断するため、過電圧チェック回路120にスイッチ131をオフにするよう命令してよい。従って、抵抗132は過熱することがない。
【0024】
過電圧チェック回路120は、単方向性パス回路110の出力端の電圧及び抵抗132の温度の両方に基づきスイッチ131をオン又はオフにしてよい。1つの実施形態において、機器10を過電圧から保護することは、抵抗132を過熱から保護することよりも優先されることがある。従って、過電圧チェック回路120は、単方向性パス回路110の出力端の電圧が電圧閾値以下である場合に限り、抵抗132の温度が温度閾値よりも高いことに応じてスイッチ131をオフにするよう決定してよい。もう1つの実施形態において、抵抗132を過熱から保護することは、機器10を過電圧から保護することよりも優先される場合がある。従って、過電圧チェック回路120は、抵抗132の温度が温度閾値未満である場合に限り、単方向性パス回路110の出力端の電圧が電圧閾値よりも高いことに応じてスイッチ131をオンにするよう決定してよい。
【0025】
図2は、本発明の1つの実施形態による、機器を電圧サージによる損傷から保護するための方法のフロー図を表し、該方法は
図1に示した電子装置100により実装されてよい。ステップS201において、単方向性パス回路の入力端を第1の機器に電気接続し、単方向性パス回路の出力端を第2の機器に電気接続する。ステップS202において、過電圧チェック回路を出力端及び回生抵抗回路に電気接続し、回生抵抗回路は抵抗を含む。ステップS203において、過電圧チェック回路により、出力端の電圧を検出する。ステップS204において、電圧が電圧閾値よりも高いことに応じて、過電圧チェック回路により、出力端を抵抗に電気接続する。
【0026】
まとめると、本発明の電子装置は、被保護機器と電源との間に単方向性パス回路を構成することができる。電子装置は、単方向性パス回路の出力端の電圧を検出し、検出された電圧が電圧閾値よりも高い場合に、出力端を抵抗に電気接続することができる。従って、電圧サージは機器ではなくグランドに向けられる。電力サージをグランドへ導く抵抗は、サーマルプロテクタ回路により焼損から保護されることができる。
【0027】
当業者にとって、本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、開示した実施形態に様々な改変及び変形を行うことが可能であることは明白である。上記を鑑み、本発明は、後述の特許請求の範囲内に入る改変及び変形、及びそれらの均等物をカバーすることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の機器を電圧サージから保護するための電子装置は、モータコントローラといった機器の電力供給に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10、20:機器
100:電子装置
110:単方向性パス回路
120:過電圧チェック回路
130:回生抵抗回路
131:スイッチ
132:抵抗
140:クランプ電圧選択回路
150:サーマルプロテクタ回路
S201、S202、S203、S204:ステップ
【外国語明細書】