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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045007
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】飼料噴出装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/80 20170101AFI20240326BHJP
【FI】
A01K61/80
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023116086
(22)【出願日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】111135698
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】513259609
【氏名又は名称】向陽農業生技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunny Rich Agric.& Biotech CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】12F.,NO.99,SEC.2,DUN-HUA S.RD.,TAIPEI CITY TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 貴光
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA17
2B104CA01
2B104CF12
2B104CF15
2B104CF21
2B104CF24
(57)【要約】
【課題】養殖池の全方位に投餌でき、優れた設置性、ユーザービリティを有する飼料噴出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、供給ユニット1と、輸送ホース2と、飼料噴出ユニット3とを含む飼料噴出装置である。供給ユニットは養殖池4の周辺位置に設けられ、供給ホース13を備え、空気圧により飼料10を供給ホース内に導入する。輸送ホース2の一端は供給ホースに接続され、他端が養殖池位置まで延びて、端部21を有する。飼料噴出ユニットは載置部31、回転マウント32、及び、少なくとも1つの飼料噴出管33を備える。載置部は輸送ホースの端部に結合する。回転マウントは輸送ホースの端部に接続され、輸送ホースの端部に対して回転し、輸送ホースに連通された収容室321、及び、収容室に連通された少なくとも1つの出口322が設けられる。飼料噴出管は接続部位331及び曲がり部位332を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖池の全方位に飼料を噴出可能な飼料噴出装置であって、
養殖池の周辺位置に設けられ、供給ホースを備え、空気圧により飼料を前記供給ホース内に導入する供給ユニットと、
一端が前記供給ホースに接続され、他端が養殖池位置まで延びて、端部を有する輸送ホースと、
載置部、回転マウント、及び、少なくとも1つの飼料噴出管を備える飼料噴出ユニットと、
を含み、
前記載置部は、前記輸送ホースの端部に結合し、養殖池の設定位置に固定され、
前記回転マウントは、養殖池の水面に対して垂直方向に配置され、前記輸送ホースの端部に接続され、前記輸送ホースの端部に対して回転でき、前記輸送ホースに連通された収容室、及び、前記収容室に連通された少なくとも1つの出口が設けられ、
前記飼料噴出管は、接続部位、及び、曲がり部位を備え、前記接続部位の一端は前記回転マウントの出口と接続して、前記接続部位は前記回転マウントから半径方向に延在し、前記曲がり部位は前記接続部位の他端に位置し、前記接続部位に対して水平方向及び垂直方向に曲がる飼料噴出装置。
【請求項2】
前記飼料噴出管の前記曲がり部位と前記接続部位は、水平方向に第1曲がり角度を有し、前記第1曲がり角度を変更して前記回転マウントの回転速度を調整することができる請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項3】
複数の前記飼料噴出管を備える請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項4】
前記飼料噴出管の前記曲がり部位と前記接続部位は、垂直方向に第2曲がり角度を有し、各前記飼料噴出管の第2曲がり角度が異なる請求項3に記載の飼料噴出装置。
【請求項5】
前記飼料噴出ユニットの前記載置部は、浮体である請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項6】
位置決めロープをさらに含み、前記載置部は前記位置決めロープに連結され、養殖池の岸辺と結合して固定され、前記輸送ホースの、養殖池の岸辺側位置に屈曲部が設けられる請求項5に記載の飼料噴出装置。
【請求項7】
前記輸送ホースの端部は、前記養殖池の水面に対して垂直であり、軸受を備え、前記回転マウントと前記輸送ホースの端部との間に前記軸受を設けて連結する請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項8】
前記飼料噴出ユニットの前記載置部は、吊下体である請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項9】
前記供給ユニットは、ホッパー、フィード制御弁、及び、吸気装置をさらに含み、前記ホッパーは飼料を収容でき、前記ホッパーの出口が前記フィード制御弁に接続され、前記供給ホースは前記フィード制御弁に接続され、前記吸気装置は前記供給ホースに接続される請求項1に記載の飼料噴出装置。
【請求項10】
前記吸気装置には、吸気制御弁が設けられる請求項9に記載の飼料噴出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料噴出装置に関し、特に、養殖池の全周、すなわち、全方位に飼料を噴出することができ、優れた設置性、ユーザービリティを有する飼料噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乱獲による自然界の魚、エビ、貝類などの水生生物の枯渇に対処するため、現在、人工的な養殖を介して水産物に対する人々の需要を満たしている。この人工的な養殖方法では、一般的に養殖池を設けて水産物が養殖されており、従来、養殖作業員が背中に飼料を背負い、手作業で養殖池に水生生物を給餌していた。しかし、人力による投餌方法では、重い飼料を背負って養殖池の周辺を歩き回る必要があり、体力的な負担が大きく、投餌の偏り又は投餌量の不足或いは過剰な投餌の原因となる場合があった。投餌量が多すぎた場合、養殖物が摂餌するのが遅れて無駄になり、水質汚濁を引き起こしやすくなり、また例えばエビなどの夜行性の生き物は夜間の給餌効果が高いが、人力給餌は不便になっていた。
【0003】
給餌の利便性を向上させるため、養殖池の周辺の異なる位置に複数の投餌機を設けることで、投餌機が養殖池の異なる角度の位置に飼料を投入し、投餌動作の時間を設定することができる。しかし、前述の方法では、均等に飼料を投入するため、より多くの投餌機を養殖池の周辺に配置する必要があり、養殖コストが増加するという欠点がある。
【0004】
特許文献1では、360度投餌可能な投餌機が開示されている。特許文献1にかかる投餌機は、生け簀の周辺に供給機構を設け、かつ生け簀の中央に投餌機構を設け、供給機構と投餌機構との間に輸送機構を設ける。投餌機構にはモータ、飼料投げトレイが設けられ、飼料投げトレイは長さの異なる多数の飼料投げ管に連結されることで、輸送機構は飼料を飼料投げトレイに輸送させることができる。飼料投げトレイはモータによって回転駆動されて、飼料が遠心力により飼料投げ管に沿って生け簀内に投げられることができる。
【0005】
前述の構造により、生け簀に飼料を均一に投入できるが、飼料投げトレイを作動させて回転遠心力を発生させるためにモータを使用する必要があり、コストが増えるほか、生け簀の中央にあるモータ位置まで配線して電力を供給する必要があり、配電に支障が生じ、漏電やショートの危険性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第TWI452965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、全周に投餌でき、優れた設置性、ユーザービリティを有する飼料噴出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる飼料噴出装置は、供給ユニットと、輸送ホースと、飼料噴出ユニットと、を含む。
供給ユニットは、養殖池の周辺位置に設けられ、供給ホースを備え、空気圧により飼料を供給ホース内に導入する。
輸送ホースは、一端が供給ホースに接続され、他端が養殖池位置まで延びて、端部を有する。
飼料噴出ユニットは、載置部、回転マウント、及び、少なくとも1つの飼料噴出管を備える。
載置部は、輸送ホースの端部に結合し、養殖池の設定位置に固定される。
回転マウントは、養殖池の水面に対して垂直方向に配置され、輸送ホースの端部に接続され、輸送ホースの端部に対して回転でき、輸送ホースに連通された収容室、及び、収容室に連通された少なくとも1つの出口が設けられる。
飼料噴出管は、接続部位、及び、曲がり部位を備え、接続部位の一端は回転マウントの出口と接続して、接続部位は回転マウントから半径方向に延在し、曲がり部位は接続部位の他端に位置し、接続部位に対して水平方向及び垂直方向に曲がる。
【0009】
本発明の一実施形態において、飼料噴出管の曲がり部位と接続部位は、水平方向に第1曲がり角度を有し、第1曲がり角度を変更して回転マウントの回転速度を調整することができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、複数の飼料噴出管を備え、飼料噴出管の曲がり部位と接続部位は垂直方向に第2曲がり角度を有し、各飼料噴出管の第2曲がり角度が異なる。
【0011】
本発明の一実施形態において、飼料噴出ユニットの載置部は、浮体である。
【0012】
本発明の一実施形態において、位置決めロープをさらに含む。載置部は位置決めロープに連結され、養殖池の岸辺と結合して固定され、輸送ホースの、養殖池の岸辺側位置に屈曲部が設けられる。
【0013】
本発明の一実施形態において、輸送ホースの端部は、養殖池の水面に対して垂直であり、軸受を備え、回転マウントと輸送ホースの端部との間に軸受を設けて連結する。
【0014】
本発明の供給ユニットは、ホッパー内の飼料を供給ホースに入れる。飼料は吸気圧力により輸送ホースに入ってから飼料噴出ユニットへ送られ、回転マウントから飼料噴出管までの曲がり部位から養殖池に噴出させることができる。飼料噴出方向は回転マウントの回転の円周方向に対応するため、飼料噴出の反力により回転マウントが輸送ホースの端部に合わせて自動的に回転し、第1曲がり角度を調整して回転速度を調整できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、各飼料噴出管の第2曲がり角度を調整できる。そのため、異なる飼料噴出管の噴射距離を調整することができ、飼料噴出管と協働して自動的に回転して養殖池の全周への均一な飼料噴出作業を実施でき、優れた設置性、ユーザービリティ、安全な効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の飼料噴出装置を側面視した概略図である。
図2】本発明の飼料噴出装置を上面視した概略図である。
図3】本発明の飼料噴出ユニットの飼料噴出動作を示す概略図である。
図4】本発明の飼料噴出動作を示す概略側面図である。
図5】本発明の飼料噴出動作を示す概略上面図である。
図6】本発明の別の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の実施形態において、本発明の同様の構成要素には、同一符号を付している。図1図2を参照すると、本発明は、供給ユニット1と、輸送ホース2と、飼料噴出ユニット3とを含む。供給ユニット1はホッパー11と、フィード制御弁12と、供給ホース13と、吸気装置14とを備える。ホッパー11は飼料10を収容でき、出口がフィード制御弁12に接続され、供給ホース13はフィード制御弁12に接続され、フィード制御弁12により供給ホース13に投入する飼料10の量を制御できる。吸気装置14は供給ホース13に接続され、ブロワ、エアコンプレッサー又はその他の給気可能な装置であり、また吸気制御弁141も設けられ、吸気制御弁141により供給ホース13に入る吸気量及び吸気時間を制御する。供給ユニット1は養殖池4の周辺位置に配置され、飼料10の払い出し量及び払い出し時間を制御できる。
【0018】
輸送ホース2は、主に直線状を呈し、一端が供給ユニット1の供給ホース13に接続され、他端が養殖池4の中央位置近傍まで延び、端部21が養殖池4の水面41に対して垂直となっている。輸送ホース2の養殖池4の岸辺近傍位置に、柔らかく曲げ可能な屈曲部22が設けられる。
【0019】
飼料噴出ユニット3は、載置部31と、回転マウント32と、2本の飼料噴出管33とを含む。載置部31は輸送ホース2の端部21に結合して養殖池4の中央位置に位置決めすることができる。載置部31は、養殖池4の水面41に浮かぶ浮体であり、かつ位置決めロープ311に連結されて養殖池4の岸辺と結合して固定される。
【0020】
回転マウント32は、輸送ホース2の養殖池4に対応する端部21と接続し、輸送ホース2の端部21に対して回転できる。かつ回転マウント32は輸送ホース2に連通される収容室321を備え、収容室321に連通される少なくとも1つの出口322を設け、回転マウント32と輸送ホース2の端部21との間に軸受323を設けて連結している。
【0021】
飼料噴出管33は、接続部位331と、曲がり部位332とを備える。接続部位331は直線状で、一端が回転マウント32の出口322と接続し、接続部位331は回転マウント32から半径方向に延びている。曲がり部位332は、接続部位331の他端に位置し、接続部位331の水平方向及び垂直方向に対して曲がっている。曲がり部位332と接続部位331が水平方向において第1曲がり角度θXを有し、曲がり部位332と接続部位331が垂直方向において第2曲がり角度θYを有する。各飼料噴出管33の第2曲がり角度θYは同一の角度に設定することもできるし、異なる角度(本実施形態では異なる角度)に設定することもできる。各飼料噴出管33は、飼料10の噴出量を制御するため、同じ又は異なる口径に設定することができる。本実施形態では、4本の飼料噴出管33を設け、本発明はニーズに応じて1本、2本、3本、5本又は他の数の飼料噴出管33を設けることができる。
【0022】
本発明は、養殖池4の岸辺に監視装置5を設け、監視装置5は養殖物の摂餌及び成長の状況を監視するため、養殖池4周辺に位置し、飼料噴出装置から投げられる飼料10を載置できる餌台51を備える。
【0023】
図3図5を参照すると、本発明の供給ユニット1は、自動制御装置(図示せず)に接続してフィード制御弁12、吸気装置14を自動制御し、設定された時間にホッパー11内の飼料10を供給ホース13に入れる。飼料10は吸気圧力により輸送ホース2に入って飼料噴出ユニット3まで送られ、回転マウント32により飼料噴出管33の曲がり部位332から養殖池4に噴出することができる。
【0024】
本発明の飼料10の噴出方向は、回転マウント32の回転の円周方向に対応するため、飼料10噴出の反力により回転マウント32は輸送ホース2の端部21に対して自動的に回転できるようにし、図3に示すように、時計回りに回転させることができる。本発明は、第1曲がり角度θXを調整して回転速度を調整でき、第1曲がり角度θXが90°に近づくほど回転速度が速くなり、その逆は回転速度が遅くなる。
【0025】
本発明は、各飼料噴出管33の第2曲がり角度θYを調整することができ、第2曲がり角度θYが90°に近づくほど高い放物線を有して、噴射距離が近くなり、その逆は噴射距離が遠くなるため、異なる飼料噴出管33の飼料噴出距離を調整できる。図に示すように、θY1角度がθY2より小さく、θY1角度に対応する飼料噴出管33の飼料噴出距離は、θY2角度に対応する飼料噴出管33の飼料噴出距離より大きい。本発明は、飼料噴出管33と協働して自動的に回転して養殖池4の全周への均一な飼料噴出作業を実施できる。
【0026】
本発明の飼料噴出ユニット3の載置部31が浮体の場合、位置決めロープ311により固定されて、養殖池4の水面41上で移動しない。また位置決めロープ311を解放して飼料噴出ユニット3を岸辺まで引くこともでき、引く時、輸送ホース2の屈曲部22は対応して屈曲されることができる。使用者は岸辺で各飼料噴出管33の第1曲がり角度θX又は第2曲がり角度θYを調整して養殖物の飼料噴出範囲のニーズを満たすことができ、養殖物の給餌に対処でき、調整に便利な効果を有する。
【0027】
図6は、本発明の別の実施形態を示す。本発明は、養殖池4が屋内池の場合、内部屋根と協働して飼料噴出ユニット3の載置部31を吊下体にして屋根の下に吊り下げ、各飼料噴出管33を回転可能に下方への飼料噴出作業を実施する。本発明は養殖環境に応じて優れた設置性や利便性を有する。
【0028】
要するに、本発明の飼料噴出ユニットは、自動的に回転することができ、並びに回転速度及び飼料噴出範囲を容易に調整して飼料を均一に噴出でき、優れた設置性、ユーザービリティ、漏電を心配することなく安全な効果を有する。前述の実施形態は本発明の例示であり、本発明を限定するものではなく、本発明の精神に基づいて行われる均等な改変も本発明の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0029】
10 飼料
1 供給ユニット
11 ホッパー
12 フィード制御弁
13 供給ホース
14 吸気装置
141 吸気制御弁
2 輸送ホース
21 端部
22 屈曲部
3 飼料噴出ユニット
31 載置部
311 位置決めロープ
32 回転マウント
321 収容室
322 出口
323 軸受
33 飼料噴出管
331 接続部位
332 曲がり部位
4 養殖池
41 水面
5 監視装置
51 餌台
θX 第1曲がり角度
θY 第2曲がり角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6