(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004501
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】車両の荷箱固定構造
(51)【国際特許分類】
B62D 24/00 20060101AFI20240110BHJP
B62D 21/09 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B62D24/00
B62D21/09 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020193314
(22)【出願日】2020-11-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】古橋 美重
(72)【発明者】
【氏名】秋本 康雄
(72)【発明者】
【氏名】末廣 渉
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA12
3D203AA15
3D203BA03
3D203BA06
3D203BA07
3D203BC28
3D203CA57
3D203CB03
3D203CB09
3D203CB19
3D203CB24
3D203DA15
3D203DA73
3D203DA86
3D203DA88
(57)【要約】
【課題】マウントブラケットとフレームとの溶接部における応力集中を抑制する車両の荷箱固定構造を提供する。
【解決手段】車両の前後方向に延びるサイドフレーム6の外側壁24に固定され、マウントブラケット3を介して荷箱4をサイドフレーム6に固定する車両の荷箱固定構造であって、マウントブラケット3は、サイドフレーム6の外側壁24から車幅方向外方に延びて荷箱4を固定する上壁30と、外側壁24に溶接によって固定され上壁30を支持する支持側壁31、32とを備え、支持側壁31、32と外側壁24との溶接部は、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びるフレームの車幅方向の側壁に固定されたマウントブラケットを介して、荷箱を前記フレームに固定する車両の荷箱固定構造であって、
前記マウントブラケットは、前記フレームの前記側壁から車幅方向外方に延びて前記荷箱を固定する第1の壁部と、前記側壁に溶接によって固定されるとともに前記第1の壁部を支持する第2の壁部とを備え、
前記第2の壁部と前記側壁との溶接部は、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びることを特徴とする車両の荷箱固定構造。
【請求項2】
前記第2の壁部は、前記側壁側の端部が屈曲して前記側壁と面接する第1のフランジ部を有し、当該第1のフランジ部の端部が前記側壁に溶接され、
前記第2の壁部は上下方向に延び、前記第1のフランジ部は車両前後方向となる幅が上下位置で異なることを特徴とする請求項1に記載の車両の荷箱固定構造。
任意
【請求項3】
前記第2の壁部は、前記側壁側の端部が屈曲して前記側壁と面接する第1のフランジ部を有し、当該第1のフランジ部の端部が前記側壁に溶接され、
前記第2の壁部は、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延び、前記第1のフランジ部は車両前後方向となる幅が上下位置で同一であることを特徴とする請求項1に記載の車両の荷箱固定構造。
【請求項4】
前記第2の壁部は、前記第1の壁部の車両前後方向両端部から夫々下方に延びて、車両前後方向に互いに間隔をおいて2個設けられ、
2個の前記第2の壁部の間に、前記第1の壁部から屈曲して下方に延び前記側壁に溶接される第2のフランジ部を有し、
前記第2のフランジ部と前記側壁との溶接部は、前記第2の壁部と前記側壁との溶接部の上端より下方に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の荷箱固定構造。
【請求項5】
前記第2の壁部は、前記第1の壁部の両端部から夫々下方に延びて、車両前後方向に互いに間隔をおいて2個設けられ、
2個の前記第2の壁部のうち、一方の前記第2の壁部のみ前記側壁との溶接部が、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両の荷箱固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフレームに荷箱を固定する荷箱固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物を運搬するための荷箱を有する車両の多くでは、荷箱は車両のフレームにマウントブラケットを介して固定される。例えば特許文献1に示すように、車両前後方向に延びる一対のフレームの夫々に前後方向に間隔をおいて複数のマウントブラケットを配置し、当該複数のマウントブラケットと、荷箱に設けられた複数のマウントブラケットとを、ボルトによって夫々締結することで、フレームと荷箱とを固定する構造になっている。
【0003】
フレームに設けられたマウントブラケットは、例えば上下方向の断面がコの字型に形成されており、上壁にボルト穴が設けられ、両側壁(支持側壁)がフレームの車幅方向外側の側壁に溶接されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、フレームの車幅方向外側の側壁に固定されているマウントブラケットは、例えば車両旋回走行中に、荷箱の車幅方向の傾きを抑えるようにマウントブラケットが支持するため、特に旋回方向側のマウントブラケットの上部がフレームから引き剥がされるような荷重を受ける。これにより、マウントブラケットの溶接部のうち、両側壁の上部に応力集中を招いてしまう。したがって、マウントブラケットの溶接部の過度な応力集中を回避するために、マウントブラケットの設置個数を増加させたり、マウントブラケットを大きくしたりする必要があり、部品個数、重量及び溶接作業等の組立工数の増加を招いてしまうといった問題点があった。
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、マウントブラケットとフレームとの溶接部における応力集中を抑制する車両の荷箱固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車両の荷箱固定構造は、車両の前後方向に延びるフレームの車幅方向の側壁に固定されたマウントブラケットを介して、荷箱を前記フレームに固定する車両の荷箱固定構造であって、前記マウントブラケットは、前記フレームの前記側壁から車幅方向外方に延びて前記荷箱を固定する第1の壁部と、前記側壁に溶接によって固定されるとともに前記第1の壁部を支持する第2の壁部とを備え、前記第2の壁部と前記側壁との溶接部は、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びることを特徴とする。
【0008】
これにより、例えば車両旋回走行中に、荷箱からマウントブラケットの上部が側壁に対して引き剥がされるように荷重を受けた場合に、マウントブラケットの第2の壁部とフレームの側壁との溶接部の上端部に応力が集中するが、第2の壁部と側壁との溶接部が上下方向に対して車両前後方向に傾斜しているので、当該溶接部における応力集中を抑制することができる。
【0009】
好ましくは、前記第2の壁部は、前記側壁側の端部が屈曲して前記側壁と面接する第1のフランジ部を有し、当該第1のフランジ部の端部が前記側壁に溶接され、前記第2の壁部は上下方向に延び、前記第1のフランジ部は車両前後方向となる幅が上下位置で異なるとよい。
これにより、第2の壁部が上下方向に延びる一方、第1のフランジ部の端部が上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びるように構成される。したがって、第2の壁部と側壁との溶接部を上下方向に対して車両前後方向に傾斜させ、当該溶接部における応力集中を抑制することができる。
【0010】
好ましくは、前記第2の壁部は、前記側壁側の端部が屈曲して前記側壁と面接する第1のフランジ部を有し、当該第1のフランジ部の端部が前記側壁に溶接され、前記第2の壁部は、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延び、前記第1のフランジ部は車両前後方向となる幅が上下位置で同一であるとよい。
これにより、第2の壁部とともに第1のフランジ部の端部が上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びるように構成される。したがって、第2の壁部と側壁との溶接部を上下方向に対して車両前後方向に傾斜させ、当該溶接部における応力集中を抑制することができる。
【0011】
好ましくは、前記第2の壁部は、前記第1の壁部の車両前後方向両端部から夫々下方に延びて、車両前後方向に互いに間隔をおいて2個設けられ、2個の前記第2の壁部の間に、前記第1の壁部から屈曲して下方に延び前記側壁に溶接される第2のフランジ部を有し、前記第2のフランジ部と前記側壁との溶接部は、前記第2の壁部と前記側壁との溶接部の上端より下方に位置するとよい。
【0012】
これにより、荷箱よりマウントブラケットの上部が側壁に対して引き剥がされるように荷重を受けた場合に、第2のフランジ部と前記側壁との溶接部よりも第2の壁部と前記側壁との溶接部の方が高く応力集中する。したがって、第2の壁部と側壁との溶接部が上下方向に対して車両前後方向に傾斜していることで、マウントブラケットの溶接部における応力集中を効果的に抑制することができる。
【0013】
好ましくは、前記第2の壁部は、前記第1の壁部の両端部から夫々下方に延びて、車両前後方向に互いに間隔をおいて2個設けられ、2個の前記第2の壁部のうち、一方の前記第2の壁部のみ前記側壁との溶接部が、上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びるとよい。
これにより、2個の第2の壁部の側壁との溶接部のうち、応力集中し易い方の溶接部を上下方向に対して車両前後方向に傾斜して延びるように構成することで、マウントブラケットの溶接部における応力集中を効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の車両の荷箱固定構造によれば、車両の旋回走行等によって、荷箱よりマウントブラケットの上部が側壁に対して引き剥がされるように荷重を受けた場合に、マウントブラケットの溶接部の応力集中を抑制することができる。したがって、マウントブラケットの大型化や設置個数を抑制することができ、部品個数や組立工数の低減を図ることができる。
【0015】
また、マウントブラケットとフレームとの溶接長を長く確保することができ、荷箱の固定部の剛性を向上させて車両のNVH性能を向上させることができるとともに、旋回走行時における荷箱の揺れを抑制して、車両の操安性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態の車両の右後部の荷箱固定部の概略構造を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る車両のフレームの概略構造を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係るマウントブラケット及びその周辺の構造を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係るマウントブラケットの形状を示す正面図である。
【
図5】従来技術のマウントブラケットの形状を示す正面図である。
【
図6】他の実施形態のマウントブラケットの形状を示す正面図である。
【
図7】他の実施形態のマウントブラケットの形状を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の車両1の右後部の荷箱固定部の概略構造を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る車両1のフレーム2の概略構造を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係るマウントブラケット3及びその周辺の構造を示す斜視図である。
本発明の荷箱固定構造を採用する車両1は、例えばピックアップトラックのように、車両後部に荷箱4を備えた車両である。
【0018】
図1、2に示すように、車両1には、車幅方向に間隔をおいて車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム5、6を備えている。また、車両1の後輪7の車軸は、リーフスプリング11によるサスペンション装置8によって懸架されている。
荷箱4は、フレーム2上に載置され、サイドフレーム5、6に固定されたマウントブラケット3に図示しないボルト及びナットによって固定されている。
【0019】
マウントブラケット3は、サイドフレーム5、6の車幅方向外側に、車両前後方向に互いに間隔をおいて複数備えられている。複数のマウントブラケット3のうち、車両最後方に配置されたマウントブラケット3は、車幅方向に延びて一対のサイドフレーム5、6を接続する最後方のクロスメンバ10の車両前後位置付近に設けられている。
クロスメンバ10は、後輪7の車軸を懸架するリーフスプリング11の後端部を支持するシャックル12よりも車両前方の近傍に配置されている。シャックル12はサイドフレーム5、6の側壁に設けられた挿入穴13に挿入されて、サイドフレーム5、6に支持され、車幅方向に延びる軸線を中心に回動可能に支持されるとともに、リーフスプリング11の後端部を車幅方向に延びる軸線を中心に回動可能に支持する構造になっている。
【0020】
図1~3に示すように、サイドフレーム5、6は、板金部材をコの字型に屈曲して形成された2個のフレーム部材19、20の両端部を突き合わせて溶接して形成されている。サイドフレーム5、6は、上下断面が箱型断面になっており、上壁21、下壁22、内側壁23、外側壁24(側壁)を有している。上壁21及び下壁22に、フレーム部材19、20の突合せ部である溶接線25を有している。
【0021】
クロスメンバ10は、上下断面が箱型断面になっており、上壁26、下壁27、前壁28、後壁29を有している。
クロスメンバ10の端部は、サイドフレームの車幅方向内側の内側壁23に突き当てられて溶接によって固定されている。
図4は、本実施形態のマウントブラケット3の形状を示す正面図である。
【0022】
図1~4に示すように、マウントブラケット3は、上下断面がコの字型に形成され、上壁30(第1の壁部)と2個の支持側壁31、32(第2の壁部)を有している。マウントブラケット3は、上壁30及び支持側壁31、32がサイドフレーム5、6の外側壁24から車幅方向外方に垂直に延びるように配置される。マウントブラケット3の上壁30は、サイドフレーム5、6の上壁21と略同一の上下高さで、車両1の水平方向に延びるように配置される。2個の支持側壁31、32は、上壁30の車両前後方向両端部から夫々下方に延び、車両前後方向に互いに間隔を置いて並ぶように配置される。したがって、マウントブラケット3の断面コの字型の開口部が下方に向くように配置されている。
【0023】
マウントブラケット3の支持側壁31、32のサイドフレーム5、6側の端部が車両前後方向外方に垂直に屈曲して外側フランジ部35(第1のフランジ部)が夫々設けられている。外側フランジ部35は、サイドフレームの外側壁24に面接されて、その外周端部を溶接によって外側壁24に固定されている(
図4中に示す溶接部36)。
外側フランジ部35の上端は、上壁30よりも、例えば1~2cm程度下方に位置している。外側フランジ部35は、少なくとも側端部とともに上端部も溶接によってサイドフレーム5、6の外側壁24に固定される。
【0024】
マウントブラケット3の上壁30には、ボルト穴37が設けられており、荷箱4の下部の強度部材に設けられたボルト穴、あるいは荷箱4の下部に固定されたマウントブラケットに設けられたボルト穴とともに、ボルトが挿入されて共締めされることで、マウントブラケット3を介して荷箱4とサイドフレーム5、6とが着脱可能に固定される。
図4に示すように、外側フランジ部35は、側端部が傾斜して、車両上下方向の幅が下方に向かって広がるように形成されている。したがって、外側フランジ部35とサイドフレームの外側壁24との溶接部36も下方に向かって車両前後方向に傾斜している。
【0025】
また、マウントブラケット3の上壁30のサイドフレーム5、6側の端部が下方に垂直に屈曲して内側フランジ部40(第2のフランジ部)が設けられている。内側フランジ部40の下端部とサイドフレーム5、6の外側壁24とも溶接によって固定されている。内側フランジ部40の下端は、車両前後方向に略水平に延び、外側フランジ部35の上端よりも下方に位置している。これにより、内側フランジ部40とサイドフレーム5、6の外側壁24との溶接部41は、外側フランジ部35と外側壁24との溶接部36の上端より下方に位置する。
【0026】
以上のように、本実施形態において、荷箱4をサイドフレーム5、6に固定するマウントブラケット3は、外側フランジ部35の外側端部、即ちサイドフレーム5、6との溶接部36が、上下方向に対して車両前後方向に斜めに傾斜している。
図5は、従来のマウントブラケット50の形状を示す正面図である。
図5に示すような従来のマウントブラケット50は、上記のマウントブラケット3に対して、支持側壁31、32からの外側フランジ部35の車両前後方向の幅が上下位置で一定で、外側フランジ部35の側端が支持側壁31、32と平行に上下方向に延びるように形成されている点が異なる。
【0027】
ところで、サイドフレーム5、6の外側壁24に、車幅方向外方に向かって上壁30が突き出るように固定されたマウントブラケット3、50は、車両1が旋回走行した場合や車幅方向に振動した場合に、荷箱4から上壁30が下方に押されるように荷重を受ける場合がある。したがって、マウントブラケット3、50の上部がサイドフレーム5、6から引き剥がされるように荷重を受け、
図5に示すような従来のマウントブラケット50では外側フランジ部35の溶接部36の上端部に応力が集中する。
【0028】
これに対し、本実施形態では、外側フランジ部35の溶接部36が斜めに傾斜していることで、マウントブラケット3の上部がサイドフレーム5、6から引き剥がされるように荷重を受けても、溶接部36の傾斜部分で応力を分担し、外側フランジ部35の溶接部36の上端部に応力が集中することを抑制することができる。
したがって、マウントブラケット3の大型化や設置個数を抑制することができ、部品個数や組立工数の低減を図ることができる。
【0029】
また、マウントブラケット3とサイドフレーム5、6との溶接長を長く確保することができ、荷箱4の固定部の剛性を向上させて車両1のNVH性能を向上させることができるとともに、旋回走行時における荷箱4の揺れを抑制して、車両1の操安性能を向上させることができる。
また、マウントブラケット3の上壁30のサイドフレーム5、6側の端部が屈曲して内側フランジ部40が設けられ、この内側フランジ部40がサイドフレーム5、6の外側壁24に溶接によって固定されているので、マウントブラケット3とサイドフレーム5、6とを更に強固に固定できる。
【0030】
更に、内側フランジ部40の下端部がサイドフレーム5、6の外側壁24に溶接され、この内側フランジ部40と外側壁24との溶接部41が、外側フランジ部35と外側壁24との溶接部36の上端よりも下方に位置しているので、マウントブラケット3の上壁30が下方に押されるように荷重を受けた場合に、内側フランジ部40の溶接部41よりも外側フランジ部35の溶接部36の上部の方が応力が高くなる。したがって、外側フランジ部35の溶接部36を斜めに傾斜させることにより、当該溶接部36での応力集中を抑制することで、マウントブラケット3の溶接部の保護を効果的に図ることができる。
【0031】
図6、7は、他の実施形態のマウントブラケット60、70の形状を示す正面図である。
図6に示すように、2個の外側フランジ部35のうち1個のみ、即ち車両前後方向に互いに間隔をおいて配置される外側フランジ部35のうち、一方の外側フランジ部35については上記実施形態のように側端部を上下方向から傾斜させるとともに、他方の外側フランジ部35については従来技術のように側端部が上下方向に延びるような形状にしてもよい。ここで、2個の外側フランジ部35のうち荷重を強く受ける、即ち応力が高くなる方の外側フランジ部35について側端部を傾斜させるとよい。
【0032】
本実施形態では、車両1の最後部のマウントブラケット3において、前方の外側フランジ部35を傾斜させているが、前方及び後方のいずれの外側フランジ部35を傾斜させるかについては、計算あるいは各種測定法等によって応力の高い方の外側フランジ部35を求めて側端部を傾斜した形状にすればよい。
これにより、応力集中する可能性の高い外側フランジ部35のみ傾斜させた形状とし、効果的に溶接部36の保護を図ることができる。
【0033】
また、
図7に示すように、2個の支持側壁31、32のうち、応力の高くなる支持側壁32を、下方に向かうにしたがって車両前側に傾斜させてもよい。外側フランジ部35の外側端は支持側壁32と平行に傾斜し、溶接部36も上記実施形態と同様に上下方向から傾斜することになる。したがって、上記実施形態と同様に溶接部36における応力集中を抑制することができる。
【0034】
本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。
例えば、マウントブラケット3、60、70の詳細な構造については、上記実施形態から適宜変更してもよい。また、荷箱4を固定する複数のマウントブラケット3等のいずれにも本発明を適用することができる。また、サイドフレーム5、6、クロスメンバ10、サスペンション装置8等、上記の実施形態とは詳細な構造が異なる車両にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 車両
3、60、70 マウントブラケット
4 荷箱
5、6 サイドフレーム(フレーム)
24 外側壁(側壁)
30 上壁(第1の壁部)
31、32 支持側壁(第2の壁部)
35 外側フランジ部(第1のフランジ部)
36 溶接部
40 内側フランジ部(第2のフランジ部)
41 溶接部