(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045010
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】大腸がん血清バイオマーカーとしての成長ホルモンの使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/574 20060101AFI20240326BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01N33/574 A
G01N33/53 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023122867
(22)【出願日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210898777.9
(32)【優先日】2022-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522081152
【氏名又は名称】温州医科大学附属第二医院、温州医科大学附属育英儿童医院
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】孫 維建
(72)【発明者】
【氏名】李 丕宏
(72)【発明者】
【氏名】陳 健
(72)【発明者】
【氏名】兪 耀軍
(72)【発明者】
【氏名】林 李▲びょう▼
(72)【発明者】
【氏名】呉 昊
(57)【要約】 (修正有)
【課題】大腸がん血清バイオマーカーキットおよび検出方法を提供する。
【解決手段】非診断目的の大腸がん判定に用いる大腸がん血清バイオマーカーとして成長ホルモン(GH)を使用する。
【効果】大腸がん血清スクリーニングの感度および特異度(特異性)を向上できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長ホルモンであって、大腸がん判定において大腸がん血清バイオマーカーとして使用される、成長ホルモン。
【請求項2】
成長ホルモンを含む、ことを特徴とする大腸がん血清バイオマーカー。
【請求項3】
前記成長ホルモンがヒト成長ホルモンである、ことを特徴とする請求項2に記載の大腸がん血清バイオマーカー。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の大腸がん血清バイオマーカーを検出するための大腸がん血清バイオマーカーキットであって、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を含む、ことを特徴とする大腸がん血清バイオマーカーキット。
【請求項5】
定量チップ、サンプル希釈液、20倍希釈された第1洗浄液、20倍希釈された第2洗浄液、標準混合物、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体、Cy3-ストレプトアビジン、スライドグラス洗浄乾燥器およびシールを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の大腸がん血清バイオマーカーキット。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の大腸がん血清バイオマーカーを検出する方法であって、
血清サンプルを取得するステップaと、血清サンプルを検査するステップbと、を含み、
前記ステップbは、定量チップを乾燥するステップb1と、標準品を調製するステップb2と、定量チップを操作するステップb3と、を含み、
前記ステップb3は、
定量チップの各ウェルに100μLのサンプル希釈液を添加し、室温で1時間インキュベートしてから定量チップを封止するステップb31と、
各ウェルからサンプル希釈液を吸引し、ステップb2で調製された標準品から80μLの標準液を採取し、血清サンプルとともに各ウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートするステップb32と、
定量チップを洗浄するステップb33であって、まず、希釈されていない第1洗浄液を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら10回洗浄してから脱イオン水で第1洗浄液を20倍希釈し、続いて、希釈されていない第2洗浄液を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら6回洗浄してから脱イオン水で第2洗浄液を20倍希釈するステップb33と、
成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体をインキュベートするステップb34であって、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を充填したチューブレットを遠心分離してから、1.4mlのサンプル希釈液を添加し、均一に混合した後、再度遠心分離し、続いて、各ウェルに成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を80μL添加し、室温でシェーカーにおいて2時間インキュベートするステップb34と、
前記ステップb33と同様な洗浄を行うステップb35と、
Cy3-ストレプトアビジンをインキュベートするステップb36であって、Cy3-ストレプトアビジンを充填したチューブレットを遠心分離してから1.4mlのサンプル希釈液を添加し、均一に混合した後、再度遠心分離し、続いて、Cy3-ストレプトアビジン80μLを各ウェルに添加し、定量チップをアルミ箔紙で包み込み、光を避けて室温でシェーカーにおいて1時間インキュベートするステップb36と、
前記ステップb33と同様な洗浄を行うステップb37と、
蛍光検出するステップb38であって、レーザースキャナーで信号をスキャンし、Cy3またはグリーンチャンネルを使用するステップb38と、
QAH-CUSTのデータ解析ソフトウェアを用いてデータ解析を行い、各血清サンプル中のGHの含量を求めるステップb39と、
を含む、ことを特徴とする大腸がん血清バイオマーカーの検出方法。
【請求項7】
前記ステップb1は、定量チップを箱から取り出し、室温で20~30分放置した後、包装袋を開けてシールを外してから、定量チップを乾燥器または室温で1~2時間乾燥させることを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の大腸がん血清バイオマーカーの検出方法。
【請求項8】
前記ステップb2は、
500μLのサンプル希釈液を標準混合物のチューブレットに添加し、標準混合物を再溶解し、続いて、チューブレットを開く前に、最初に迅速に遠心分離し、溶解粉末を上下に軽く吹き、当該チューブレットをStd1とマークするステップb21と、
6つのきれいな遠心管をそれぞれStd2、Std3、Std4、Std5、Std6、Std7とマークし、各遠心管に200μLのサンプル希釈液を添加するステップb22と、
Std1とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd2とマークした遠心管に軽く混合し、続いて、Std2とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd3とマークした遠心管に添加し、順次類推し、このようにStd7とマークした遠心管まで勾配希釈し、標準液を得るステップb23と、
Std7とマークした遠心管から100μLの標準液を他の新しい遠心管に抽出して標準品とするステップb24と、
を含む、ことを特徴とする請求項6に記載の大腸がん血清バイオマーカーの検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腸がん血清バイオマーカーとしての成長ホルモンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大腸がん診断のゴールドスタンダードは大腸内視鏡検査である。しかしながら、大腸内視鏡検査は腸管の前処置が必要で侵襲的であり、腸管穿孔を起こしやすく、被験者にとって苦痛が大きく、コンプライアンスが悪く、繰り返し検査や集団調査に適していない。また、大腸がんやその前悪性病変のスクリーニング方法として、便潜血検査、便DNA検査、画像検査などもあるが、偽陽性率が高く感度も低いため、さらなる研究が必要である。
【0003】
バイオマーカーとは、疾患診断、リスク評価および予後判断に用いられる生体分子のことである。異なるタイプのがん患者の血漿/血清および尿のプロテオーム解析を通じて、腫瘍の発生や進展に関連する一連のタンパク質マーカーが発見され、これらのマーカーは、がんのスクリーニング、診断、予後のモニターリングに利用できるようになった。大腸がん診断のための臨床バイオマーカーは不足しており、特に非侵襲的バイオマーカーが発見された意義は重大である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、大腸がん血清バイオマーカーとしての成長ホルモン(GHとも称する、以下同じ。)の使用を提供することを目的とする。
【0005】
上記本発明の目的は、以下に示される技術的解決手段によって実現される。
成長ホルモンであって、非診断目的の大腸がん判定において大腸がん血清バイオマーカーとして使用される。
【0006】
大腸がん血清バイオマーカーであって、成長ホルモンを含む。
【0007】
上記成長ホルモンは、ヒト成長ホルモンである。
【0008】
上記のいずれか1つに記載の大腸がん血清バイオマーカーを検出するための大腸がん血清バイオマーカーキットであって、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を含む。
【0009】
上記大腸がん血清バイオマーカーキットであって、定量チップ、サンプル希釈液、20倍希釈された第1洗浄液(20×洗浄液I)、20倍希釈された第2洗浄液(20×洗浄液II)、標準混合物、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体、Cy3-ストレプトアビジン、スライドグラス洗浄乾燥器およびシールを含む。
【0010】
上記大腸がん血清バイオマーカーを検出する方法であって、
血清サンプルを取得するステップaと、血清サンプルを検査するステップbと、を含み、
前記ステップbは、定量チップを乾燥するステップb1と、標準品を調製するステップb2と、定量チップを操作するステップb3と、を含み、
前記ステップb1は、定量チップを箱から取り出し、室温で20~30分放置した後、包装袋を開けてシールを外してから、定量チップを乾燥器または室温で1~2時間乾燥させることを含み、
前記ステップb2は、
500μLのサンプル希釈液を標準混合物のチューブレットに添加し、標準混合物を再溶解し、続いて、チューブレットを開く前に、最初に迅速に遠心分離し、溶解粉末を上下に軽く吹き、当該チューブレットをStd1とマークするステップb21と、
6つのきれいな遠心管をそれぞれStd2、Std3、Std4、Std5、Std6、Std7とマークし、各遠心管に200μLのサンプル希釈液を添加するステップb22と、
Std1とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd2とマークした遠心管に軽く混合し、続いて、Std2とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd3とマークした遠心管に添加し、順次類推し、このようにStd7とマークした遠心管まで勾配希釈し、標準液を得るステップb23と、
Std7とマークした遠心管から100μLの標準液を他の新しい遠心管に抽出して標準品とするステップb24と、
を含み、
前記ステップb3は、
定量チップの各ウェルに100μLのサンプル希釈液を添加し、室温で1時間インキュベートしてから定量チップを封止するステップb31と、
各ウェルからサンプル希釈液を吸引し、ステップb2で調製された標準品から80μLの標準液を採取し、血清サンプルとともに各ウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートするステップb32と、
定量チップを洗浄するステップb33であって、まず、希釈されていない第1洗浄液を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら10回洗浄してから脱イオン水で第1洗浄液を20倍希釈し、続いて、希釈されていない第2洗浄液を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら6回洗浄してから脱イオン水で第2洗浄液を20倍希釈するステップb33と、
成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体をインキュベートするステップb34であって、成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を充填したチューブレットを遠心分離してから、1.4mlのサンプル希釈液を添加し、均一に混合した後、再度遠心分離し、続いて、各ウェルに成長ホルモンの免疫グロブリンG抗体を80μL添加し、室温でシェーカーにおいて2時間インキュベートするステップb34と、
前記ステップb33と同様な洗浄を行うステップb35と、
Cy3-ストレプトアビジンをインキュベートするステップb36であって、Cy3-ストレプトアビジンを充填したチューブレットを遠心分離してから1.4mlのサンプル希釈液を添加し、均一に混合した後、再度遠心分離し、続いて、Cy3-ストレプトアビジン80μLを各ウェルに添加し、定量チップをアルミ箔紙で包み込み、光を避けて室温でシェーカーにおいて1時間インキュベートするステップb36と、
前記ステップb33と同様な洗浄を行うステップb37と、
蛍光検出するステップb38であって、レーザースキャナーで信号をスキャンし、Cy3またはグリーンチャンネルを使用するステップb38と、
QAH-CUSTのデータ解析ソフトウェアを用いてデータ解析を行い、各血清サンプル中のGHの含量を求めるステップb39と、
を含む。
【0011】
本発明における選択可能な技術的解決手段は、単独で実施されても組み合わせて実施されてもよく、また、本発明のいずれかの技術的解決手段に係る構成は、他の技術的解決手段においても使用できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、非診断目的の大腸がん判定に用いる大腸がん血清バイオマーカーとしてGHを使用することによって、大腸がん血清スクリーニングの感度および特異度(特異性)を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係る各種サンプル中のGH含量および変動性を示す図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る健常者-大腸がん患者GHのROC曲線を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明において、「ROC曲線(receiver operating characteristic curve)」または「ROCプロット」は、判別閾値に応じる二項分類器システムの性能変化を示すグラフ曲線である。この曲線は、個々の閾値の設定で偽陽性率に対する真陽性率のグラフをプロットことによって作成される。真陽性率は、感度とも称する。偽陽性率は、1-特異度として計算される。したがって、ROC曲線は、カットオフ値の範囲における真陽性率対偽陽性率(感度 VS 1-特異度)のグラフ表示であり、臨床的に使用する最適なカットオフ値(切捨値)を選択する方法である。精度をROC曲線下面積(AUC)として表すと、検査性能の比較するための有用なパラメータが提供される。AUCが1に近いことは、当該検査が高感度かつ高特異度を有することを示し、AUCが0.5に近いことは、当該検査が感度も特異度もないことを示す。
【0015】
試験サンプルと対照サンプルまたは参照サンプルとの間の差異に言及する場合の「統計的に差異」または「統計的に有意」という用語は、適切な統計的分析を用いた場合の各群が同じである確率が5%未満(たとえば、p<0.05)である状況に対応する。言い換えれば、完全無作為のもとで同じ結果が得られる確率は、100回の試行のうち5回未満である。いわゆる当業者であれば、適切な統計分析を選択する方法を知っている。通常、適切な統計解析は、調査対象の変数が正規分布を有するか否か(たとえば、コルモゴロフ・スミルノフ(Kolmogorov Smirnov)検定を使用する)および分散均一性が存在するか否か(たとえば、ルビーン(Levene)検定を使用する)に基づいて決定される。好ましくは,正規分布と分散均一性が存在する場合,たとえばt検定またはANOVA検定のようなパラメトリックモデルが使用される。また、これら2つの要件の少なくとも1つが満たされない場合、通常、たとえばマンホイットニー(MannWhitney)のU検定またはクラスカルウォリス(Kruskal Wallis)の検定のようなノンパラメトリックモデルが使用される。
【0016】
本発明において、成長ホルモン(GH)は、ヒト成長ホルモン(human Growth Hormone:hGH)であって、ヒトの下垂体前葉から分泌される191個のアミノ酸からなるペプチドホルモンであり、骨、内臓および全身の成長を促進し、タンパク質の合成を促進し、脂肪およびミネラルの代謝に影響を与え、ヒトの成長および発育に重要な役割を果たす。ヒトGH遺伝子は17番染色体の長腕(17q22-24)に位置し、相同性の高い5つの遺伝子からなり、5つのエクソンと4つのイントロンとを含み、全長は約66kbである。循環血液におけるGHの分子形態は非均一で、様々な形態のモノマー、ホモポリマーまたはヘテロポリマー、分子断片、モノマーとその結合タンパク質との複合体などを含む。主な形態は、分子量22kD、等電点5.1のGHモノマーで、4つのシステインを含む191個のアミノ酸残基からなる。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。いわゆる当業者が本発明の実施形態をよりよく理解できるようにするため、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を説明するためにのみ用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。また、実施形態において具体的な条件が示されていない実験方法は、通常、従来の条件またはメーカーが推奨する条件に従う。
【0018】
(実施形態1)
一、血清サンプルの取得
募集により合計70人の被験者からの血清サンプルを取得し、このうち、39人が健常者、31人が大腸がん患者からのものである。
【0019】
二、血清サンプルの検査
本実施形態では、QAH-CUSTキットを用いて各被験者からの血清サンプルを検査することにより、各血清サンプル中のGH含量を求める。QAH-CUSTキットは、定量チップ(Quantibody Arxax Glass Chip)、サンプル希釈液、20倍希釈された第1洗浄液(20× Wash Buffer I)、20倍希釈された第2洗浄液(20× Wash Buffer II)、標準混合物(凍結乾燥サイトカイン標準ミックス*(Lyophilized cytokine standard mix *))、GHに対する免疫グロブリンG抗体(Detection antibody)、CCy3-ストレプトアビジン(Cy3equivalent dye-conjugated Streptavidin)、スライドグラス洗浄乾燥器(Slide washer Dryer)およびシールを含む。具体的に検査方法は、以下に示されるステップを含む。
【0020】
ステップS1、定量チップの乾燥
定量チップを箱から取り出し、室温で20~30分放置した後、包装袋を開けてシールを外してから、定量チップを乾燥器または室温で1~2時間乾燥させる。
【0021】
ステップS2、標準品の調製
ステップS21、500μLのサンプル希釈液を標準混合物のチューブレットに添加し、標準混合物を再溶解した。チューブレットを開く前に、最初に迅速に遠心分離し、溶解粉末を上下に軽く吹き、このチューブレットをStd1とマークする。
【0022】
ステップS22、6つのきれいな遠心管をそれぞれStd2、Std3、Std4、Std5、Std6、Std7とマークし、各遠心管に200μLのサンプル希釈液を添加する。
【0023】
ステップS23、Std1とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd2とマークした遠心管に軽く混合し、続いて、Std2とマークした遠心管から抽出した100μLのサンプル希釈液をStd3とマークした遠心管に添加し、順次類推し、このようにStd7とマークした遠心管まで勾配希釈し、標準液を得る。
【0024】
ステップS24、Std7とマークした遠心管から100μLの標準液を他の新しい遠心管に抽出し、CNTRLとマークし陰性対照とした。
【0025】
ステップS3、定量チップの操作フロー
ステップS31、定量チップの各ウェルに100μLのサンプル希釈液を添加し、室温でシェーカーにおいて1時間インキュベートしてから、定量チップを封止する。
【0026】
ステップS32、各ウェルからサンプル希釈液を吸引し、CNTRLとマークした遠心管から80μLの標準液を採取し、血清サンプル(サンプル2倍希釈)とともにウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートする。
【0027】
ステップS33、定量チップ(スライドグラス)を洗浄する。本実施形態では、チップウェルウォッシャーとしてセモス・チェンティフィッチ・ヴェルヴァシュヴェーザ(Thermo Scientific Wellwash Versa)を用いて、2段階に分けて行う。まず、1×洗浄液I(希釈されていない洗浄液I)を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら10回洗浄してから脱イオン水で20×洗浄液Iを希釈(洗浄液Iを20倍希釈)する。続いて、1×洗浄液II(希釈されていない洗浄液II)を使用して、1ウェルあたり250μL、各回10秒間高強度振とうしながら6回洗浄してから脱イオン水で20×洗浄液IIを希釈(洗浄液IIを20倍希釈)する。
【0028】
ステップS34、GHの免疫グロブリンG抗体のインキュベート
GHの免疫グロブリンG抗体を充填したチューブレットを遠心分離し、続いて、1.4mlのサンプル希釈液を添加し、均一に混合した後、再度速やかに遠心分離し、続いて、各ウェルにGHの免疫グロブリンG抗体を80μL添加し、室温(RT)でシェーカーにおいて2時間インキュベートする。
【0029】
ステップS35、洗浄
ステップS33と同様な洗浄を行う。
【0030】
ステップS36、Cy3-ストレプトアビジンのインキュベート
Cy3-ストレプトアビジンを充填したチューブレットを遠心分離してからサンプル希釈液1.4mlを添加し、再度速やかに遠心分離し、続いて、Cy3-ストレプトアビジン80μLを各ウェルに添加し、定量チップ(スライドグラス)をアルミ箔紙で包み込み、光を避けて室温(RT)でシェーカーにおいて1時間インキュベートする。
【0031】
ステップS37、洗浄
ステップS33と同様な洗浄を行う。
【0032】
ステップS38、蛍光検出
レーザースキャナーで信号をスキャンし、Cy3またはグリーンチャンネル(励起周波数=532nm)を採用する。
本実施形態では、InnoScan 300、装置型番:InnoScan 300 MicroarrayScanner、メーカー:Innopsys、産地:Parc d’Activites Activestre、31 390 Carbonne - France、スキャンパラメータ: WaveLengh: 532nm、Resolution: 10μm、を採用する。
【0033】
ステップS39、QAH-CUSTのデータ解析ソフトウェアを用いてデータ解析を行い、各血清サンプル中のGHの含量を求める。
【0034】
三、実験結果
Foldchange(FC): 差の倍数を表し、2群の結果の比率を表す。
logFC: 差の倍数を表し、底は2である。
Regulation: アップ アップレギュレーション、Down ダウンレギュレーション。
entrezID、uniprotID: タンパク質番号である。
具体的なデータは表1に示されるとおりである。
【表1】
【0035】
図1に示されるように、大腸がん群ではGH値が上昇し、他の群との統計的に有意である(ここで、
図1の健常群と大腸がん群との「*」は統計的差異p値が0.05未満であることを示す)。さらに、データを解析し、ROC曲線(Receiver operating Characteristic curve、受信者操作特性曲線)は、
図2に示すように、患者のGHのAUC(Area Under roc Curve、AUC値はROC曲線で覆われた領域の面積であり、AUCが大きいほど2群間の識別効果が高い)値は0.618であった。
【0036】
本発明の任意の実施形態は、独立した技術的解決手段としてもよいし、他の実施形態と組み合わせてもよい。本明細書に記載されたすべての特許文献および刊行物は、これらがいわゆる当業者の周知技術であることを示し、本発明において使用できる。ここで引用されるすべての特許文献および刊行物は、それぞれの刊行が具体的に単独で参照されるのと同様に、参照文献に同様に列挙される。本発明は、任意の1つまたは複数の要素が欠けている場合や1つまたは複数の制限がある場合でも実施でき、ここでは特に説明していない。ここで用いられる用語および表現は、それらに限定されるものではなく、記述されたこれらの用語および解釈を示す意図もなく、いかなる同等の特徴も排除されるものではない。しかし、本明細書および特許請求の範囲内で任意の適切な変更または修正が可能であることが分かる。本明細書に記載された実施形態は、いくつかの実施形態におけるいくつかの実施形態および特徴であることが理解される。いわゆる当業者は、本明細書の説明の真髄に従って、変更および変更を行うことができる。これらの変更および変更は、本発明の保護範囲および独立請求項および従属請求項によって制限される範囲内に属するものとみなされる。
【外国語明細書】