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▶ リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045019
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】配合された活物質を含む電極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/136 20100101AFI20240326BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M4/136
H01M4/58
H01M4/36 D
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132764
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】17/950032
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】タレビースファンダラーニ,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユミ
(72)【発明者】
【氏名】スン,リュアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スーキョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,スー
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ギョン
(72)【発明者】
【氏名】パーク,キ テイ
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA02
5H050AA06
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050FA17
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高エネルギー密度、高固体、高レート性能、高電力密度、及び/又は低温性能などの特定の性能特性を達成するように編成された活物質配合物を含む電極を提供する。
【解決手段】第1の複数の活物質粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の活物質粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含むリチウムイオン電池用の電極が提供され、第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方が、LiMPOであり、式中、Mが鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、第1のリチウム金属ホスファート物質が、第2のリチウム金属ホスファート物質と1:1より大きい重量比で配合されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムイオン電池用の電極であって、
第1の複数の活物質粒子を含む、第1のリチウム金属ホスファート物質と、
第2の複数の活物質粒子を含む、第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含み、
前記第1のリチウム金属ホスファート物質及び前記第2のリチウム金属ホスファート物質の両方が、LiMPOであり、式中、Mが、鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、
前記第1のリチウム金属ホスファート物質が、1:1を超える重量比で、前記第2のリチウム金属ホスファート物質と配合されている、電極。
【請求項2】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の前記活物質粒子のD50が、前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記第2の複数の活物質粒子の前記活物質粒子のD50未満である、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記第1の複数の活物質粒子が、一次活物質粒子を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記第2の複数の活物質粒子が、一次活物質粒子及び二次活物質粒子を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記二次活物質粒子が、一次活物質粒子の凝集体を含む、請求項4に記載の電極。
【請求項6】
前記第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質が、同じLiMPOである、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子の前記D50が、150ナノメートル~2マイクロメートルである、請求項2に記載の電極。
【請求項8】
前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記第2の複数の活物質粒子の二次活物質粒子の前記D50が、1~20マイクロメートルである、請求項2に記載の電極。
【請求項9】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質及び前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記配合物が、0.5~3重量%の炭素を含む、請求項1に記載の電極。
【請求項10】
600ohm-cm以下の抵抗率を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項11】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質及び前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記配合物0.8g/cc以上のタップ密度、請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質が、3:2を超える重量比で、前記第2のリチウム金属ホスファート物質と配合されている、請求項1に記載の電極。
【請求項13】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質が、3:1を超える重量比で前記第2のリチウム金属ホスファート物質と配合されている、請求項1に記載の電極。
【請求項14】
1.8~2.8g/ccの電極プレス密度を有する、請求項1に記載の電極。
【請求項15】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子の前記D50が、150ナノメートル以上であり、前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の前記一次活物質粒子の表面積が、15m/g以下である、請求項2に記載の電極。
【請求項16】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子又は前記第2のリチウム金属ホスファート物質の前記第2の複数の活物質粒子の一次活物質粒子のうちの少なくとも1つの前記D50が、350ナノメートル以下である、請求項2に記載の電極。
【請求項17】
前記第1のリチウム金属ホスファート物質の前記第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子の前記D50が、350ナノメートル以下である、請求項2に記載の電極。
【請求項18】
再充電可能なリチウムイオン電池であって、
電極であって、
第1の複数の活物質粒子を含む、第1のリチウム金属ホスファート物質と、
第2の複数の活物質粒子を含む、第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含み、
前記第1のリチウム金属ホスファート物質及び前記第2のリチウム金属ホスファート物質の両方が、LiMPOであり、式中、Mが、鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、
前記第1のリチウム金属ホスファート物質が、1:1を超える重量比で、前記第2のリチウム金属ホスファート物質と配合されている、電極、を備える、再充電可能なリチウムイオン電池。
【請求項19】
請求項18に記載の再充電可能なリチウムイオン電池を備える、電気車両システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、カソード活物質に関し、より具体的には、リチウムイオン電池用のカソード活物質を配合することに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
活物質配合物、配合された活物質を含むカソード、配合された活物質を含むカソードを有するリチウムイオン電池、及び配合された活物質を含むカソードを有するリチウムイオン電池を備える電気車両が提供される。具体的には、説明される実施形態は、第1の複数の粒子を含む第1のリチウムホスファート物質と、第2の複数の粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質とを1:1を超える重量比で配合することを含む。いくつかの実施形態では、第2の複数の粒子は、一次粒子の凝集体を含む二次粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質は、二次粒子及び一次粒子の両方を含む。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方は、一次粒子のみを含む。
【0003】
第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方は、式LiMPOを有し、式中、Mは、マンガン(Mn)又は鉄(Fe)のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリチウム金属物質は、異なる化学式を有し得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質の化学式は、同じであり得る。
【0004】
本明細書に記載の活物質配合物は、高エネルギー密度、高固体、高レート性能、高電力密度、及び/又は低温性能などの特定の性能特性を達成するように編成される。これらの活物質配合物は、円筒形、角柱形、及び/又はパウチ構造を有するリチウムイオン電池内で使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の配合された活物質は、電気車両において使用するための再充電可能なリチウムイオン電池用のカソードを作製するために使用され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の複数の活物質粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の活物質粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含むリチウムイオン電池用の電極が提供され、第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方がLiMPOであり、式中、Mが鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、第1のリチウム金属ホスファート物質が、第2のリチウム金属ホスファート物質と1:1より大きい重量比で配合される。
【0006】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の活物質粒子のD50は、第2のリチウム金属ホスファート物質の第2の複数の活物質粒子の活物質粒子のD50未満である。
【0007】
電極のいくつかの実施形態では、第1の複数の活物質粒子は、一次活物質粒子を含む。
【0008】
電極のいくつかの実施形態では、第2の複数の活物質粒子は、一次活物質粒子及び二次活物質粒子を含む。
【0009】
電極のいくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の二次活物質粒子は、一次活物質粒子の凝集体を含む。
【0010】
電極のいくつかの実施形態では、第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質は、同じLiMPOである。
【0011】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子のD50は、150ナノメートル~2マイクロメートルである。
【0012】
電極のいくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の第2の複数の活物質粒子の二次活物質粒子のD50は、1~20マイクロメートルである。
【0013】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2のリチウム金属ホスファート物質との配合物は、0.5~3重量%の炭素を含む。
【0014】
電極のいくつかの実施形態では、電極は、600ohm-cm以下の抵抗率を有する。
【0015】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2のリチウム金属ホスファート物質との配合物0.8g/cc以上のタップ密度。
【0016】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質は、3:2を超える重量比で、第2のリチウム金属ホスファート物質と配合される。
【0017】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質は、3:1を超える重量比で、第2のリチウム金属ホスファート物質と配合される。
【0018】
電極のいくつかの実施形態では、電極は、1.8~2.8g/ccの電極プレス密度を有する。
【0019】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子のD50は、150ナノメートル以上であり、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子の表面積は、15m/g以下である。
【0020】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子又は第2のリチウム金属ホスファート物質の第2の複数の活物質粒子の一次活物質粒子のうちの少なくとも1つのD50は、350ナノメートル以下である。
【0021】
電極のいくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の活物質粒子の一次活物質粒子のD50は、350ナノメートル以下である。
【0022】
いくつかの実施形態では、再充電可能なリチウムイオン電池が提供され、電池は、第1の複数の活物質粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の活物質粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含む電極を備え、第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方がLiMPOであり、Mは鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、第1のリチウム金属ホスファート物質は、第2のリチウム金属ホスファート物質と1:1より大きい重量比で配合される。
【0023】
いくつかの実施形態では、電気車両システムが提供され、電気車両システムは、第1の複数の活物質粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の活物質粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含む電極を備える、再充電可能なリチウムイオン電池を備え、第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方は、LiMPOであり、Mは鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上であり、第1のリチウム金属ホスファート物質は、第2のリチウム金属ホスファート物質と、1:1より大きい重量比で配合される。
【0024】
上記で開示された実施形態は、例であり、本開示の範囲は、これらに限定されない。特定の実施形態は、上記で開示された実施形態の構成要素、要素、特徴、機能、作動、又は工程の全て、いくつかを含んでもよいか、又はいずれも含まなくてもよい。添付の特許請求の範囲における従属関係又は後方参照は、形式的な理由でのみ選択される。しかしながら、請求項及びそれらの特徴の任意の組み合わせが、開示され、かつ添付の特許請求の範囲において選択された従属性に関わらず特許請求され得るように、任意の先行請求項に対する意図的な後方参照(特に、多項従属関係)から生じる任意の主題も、同様に特許請求され得る。特許請求され得る主題は、添付の特許請求の範囲に記載される特徴の組み合わせだけでなく、特許請求の範囲における特徴の任意の他の組み合わせも含み、特許請求の範囲において言及される各特徴は、特許請求の範囲における任意の他の特徴、又は他の特徴の組み合わせと組み合わせることができる。更に、本明細書で説明又は描写される実施形態及び特徴のいずれも、別個の請求項において、及び/又は本明細書で説明又は描写される任意の実施形態若しくは特徴との、若しくは添付の特許請求の範囲の特徴のうちのいずれかとの任意の組み合わせにおいて、特許請求され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。
図1B図1Bは、いくつかの実施形態による、一次粒子から作製された二次球状粒子を含む活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。
図1C図1Cは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む第1の活物質と、二次球状粒子を含む第2の活物質と、を含む配合された活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。
図2A図2Aは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む活物質を含む、---コーティング層を示す。
図2B図2Bは、いくつかの実施形態による、二次粒子を含む活物質を含むコーティング層を示す。
図2C図2Cは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む第1の活物質と、二次粒子を含む第2の活物質との配合物を含むコーティング層を示す。
図3A図3Aは、いくつかの実施形態による、より高いタップ及び/又は電極密度をもたらす、小さい一次粒子及び大きい二次粒子を含む電極の図を示す。
図3B図3Bは、いくつかの実施形態による、より高い多孔率をもたらす、図3Aの粒子に対する二次粒子又はより大きい一次粒子を含む電極の図を示す。
図4A図4Aは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する、スラリー中の固体含有量とカソード活物質の表面積との間の関係を示すグラフである。
図4B図4Bは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する、タップ密度と炭素含有量との間の関係を示すグラフである。
図4C図4Cは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する、電気抵抗率と炭素含有量との間の関係を示すグラフである。
図5図5は、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、金属リチウムアノードを有するコインハーフセルを使用する4つの異なるリチウムイオン電池の室温電気化学的性能を示すグラフである。
図6図6は、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、低温(-10℃)及び高Cレート(2C)でのグラファイトアノードを有するフルセルを使用する、4つの異なるリチウムイオン電池に関する放電曲線を示すグラフである。
図7A図7Aは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、低温(-10℃)及び低Cレート(0.1C、10時間放電)におけるグラファイトアノードを有するフルセルを使用する、4つの異なるリチウムイオン電池に関する様々な放電レート性能を示すグラフである。
図7B図7Bは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、低温(-10℃)及び通常作動Cレート(0.33C、3時間放電)におけるグラファイトアノードを有するフルセルを使用する、4つの異なるリチウムイオン電池に関する様々な放電レート性能を示すグラフである。
図7C図7Cは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、低温(-10℃)及びより高いCレート(1C、1時間放電)におけるグラファイトアノードを有するフルセルを使用する、4つの異なるリチウムイオン電池に関する様々な放電レート性能を示すグラフである。
図7D図7Dは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、低温(-10℃)及びより高いCレート(2C、30分放電)におけるグラファイトアノードを有するフルセルを使用する、4つの異なるリチウムイオン電池に関する様々な放電レート性能を示すグラフである。
図8図8は、いくつかの実施形態による、典型的な電池セル製造プロセスのためのフローチャートを例解する。
図9図9は、いくつかの実施形態による、円筒形電池セルの断面図の例示的な例を描写する。
図10図10は、いくつかの実施形態による、角柱形電池セルの断面図の例示的な例を描写する。
図11図11は、いくつかの実施形態による、パウチ電池セルの断面図の例示的な例を描写する。
図12図12は、いくつかの実施形態による、電池モジュール及びパックを形成するためにフレームに挿入されている円筒形電池セルを例解する。
図13図13は、いくつかの実施形態による、電池モジュール及びパックを形成するためにフレームに挿入されている角柱形電池セルを例解する。
図14図14は、いくつかの実施形態による、電池モジュール及びパックを形成するためにフレームに挿入されているパウチ電池セルを例解する。
図15図15は、いくつかの実施形態による、少なくとも1つの電池パックを含む、電気車両の断面図の一例を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書において提供されるのは、活物質の配合物、活物質の配合物を含むカソード、配合された活物質を含むカソードを有するリチウムイオン電池、配合された活物質を含むカソードを有するリチウムイオン電池を備える電気車両、及びカソード活物質を配合するための方法である。
【0027】
ほとんどの電気車両は、主な電力源として再充電可能なリチウムイオン電池に依存する。再充電可能なリチウムイオン電池のカソード、より具体的には、再充電可能なリチウムイオン電池の電気化学は、電池の性能(例えば、エネルギー密度、サイクル寿命)に影響を及ぼし得る。例えば、再充電可能なリチウムイオン電池のための1つの一般的に使用されるカソード物質は、リチウム金属ホスファート物質(LiMPO)であり、式中、Mは、鉄(Fe)若しくはマンガン(Mn)、又はFe及びMnの両方の混合物であり得る。
【0028】
概して、異なるグレードのリチウム金属ホスファート物質は、特定の目標電池特性を達成するために使用される。例えば、高電力用途に関して、より小さい粒子を有するリチウム金属ホスファート物質が、概して、利用される。高エネルギー密度用途に関して、より大きい粒子を有するリチウム金属ホスファート物質が、概して、利用される。しかしながら、好適な出力及び好適なエネルギー密度の両方を有する電池を達成するために、例えば、電極は、本明細書において説明されるような、2つ以上のリチウム金属ホスファート物質の配合物を使用して製造され得る。
【0029】
リチウムイオン電池(及びかかるリチウムイオン電池によって電力供給された電気車両)の性能特性は、本明細書において説明されるような特定の比に従って、カソード活物質を配合することによって最適化され得ることが判定された。
【0030】
いくつかの実施形態では、配合された活物質は、第1の複数の粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質の第1の複数の粒子は、150ナノメートル(nm)~2マイクロメートル(μm)のD50を有する。いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の第2の複数の粒子は、1~20μmのD50を有する。いくつかの実施形態では、第2の複数の粒子は、一次粒子の凝集体であり、噴霧乾燥によって形成され得る。いくつかの実施形態では、二次粒子のD50は、一次粒子のD50よりも大きい。本明細書において使用される際、「D50」は、粒子サイズ分析器(particle size analyzer、PSA)から測定された中央粒子サイズ、又は累積分布中50%における粒子サイズ(直径)を指す。一次粒子は、特にナノサイズの粉末において、互いに凝集する傾向があるので、PSA測定値(例えば、D10、D50、D90、D100)は、必ずしも単結晶粒子のサイズを表すとは限らない。更に、本明細書において使用される際、「D10」とは、累積分布における10%の粒子サイズ(直径)を指し、「D90」とは、累積分布における90%の粒子サイズ(直径)を指す。
【0031】
第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2の金属ホスファート物質の両方は、化学式LiMPOを有し、式中、Mは、鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質の両方は、同じ化学式を有し得る。いくつかの実施形態では、第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質は、異なる化学式を有し得る。
【0032】
カソードにおいて使用するために配合された活物質を形成するために、第1のリチウム金属ホスファート物質は、1:1を超える重量比で第2のリチウム金属ホスファート物質と配合される(すなわち、第1の複数の粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質の総重量は、第2の複数の粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質の総重量よりも大きい)。正確な配合比は、以下で更に詳細に説明するように、目標性能特性に基づいて、決定することができる。
【0033】
図1Aは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。図1Aに描写されるこの物質は、本明細書において説明されるような「第1のリチウム金属ホスファート物質」及び/又は「第2のリチウム金属ホスファート物質」であり得る。図1Aの物質はまた、LiMPO物質であり得、式中、Mは鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上である。
【0034】
いくつかの実施形態では、一次粒子は、形状がほぼ球状である。図に提供されるスケールによって示されるように、図1Aにおいて描写される物質の一次粒子は、ナノメートルで測定される(すなわち、描写されるように、1マイクロメートルより著しく小さい)。しかしながら、図1Aにおいて描写される粒子のサイズは、好適な粒子サイズの単なる一例である。本明細書に記載の配合された活物質の異なる実施形態は、図に描写されるものとは異なるサイズの一次粒子を含む、リチウム金属ホスファート物質を含み得る。例えば、本明細書において説明されるような、配合された活物質用のリチウム金属ホスファート物質の一次粒子のD50は、300ナノメートル(nm)~2マイクロメートル(μm)、又は150nm~1μmであり得る。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子のD50は、2μm、1μm、750nm、500nm、又は250nm以下であり得る。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子のD50は、150nm、250nm、500nm、750nm、又は1μm以上であり得る。「D50」は、粒子サイズ分析器(PSA)から測定された中央粒子サイズを指し、したがって、D10は、D50以下であり得る。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質は、一次粒子のみを含み、二次粒子を含まない。より小さい一次粒子は、充電及び放電プロセス中のリチウムイオン拡散のためのより短い経路を有し、これは、より小さい一次粒子が、典型的には、高Cレート充電/放電プロセスのためにより良好であることを意味する。また、低温作動では、リチウム拡散が、妨げられる。したがって、より小さい一次粒子は、低温作動中により多くのリチウムを吸蔵/放出するためのより高い機会を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子は、20ナノメートル(nm)~100マイクロメートル(μm)の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子は、100μm、50μm、1μm、750nm、500nm、250nm、又は100nm以下の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子は、20nm、100nm、250nm、500nm、750、1μm、又は50μm以上の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。
【0036】
いくつかの実施形態では、図1Aの物質は、良好なタブ(tab)及び充填密度を達成するために最適でない場合がある。これは、サイズが類似している相対的に小さい粒子間において、相対的に大きい量の空隙空間を有するためである。より大きい粒子サイズ分布を有することは、より良好なタブ及び充填密度を達成するのに役立つ。いくつかの実施形態では、この物質は、特に一次粒子サイズが大きすぎる場合、低温性能に対してあまり最適でない場合がある。
【0037】
図1Bは、二次球状粒子を含む活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。特に、図に示される二次粒子は、より小さい一次粒子を含む。図1Bに描写されるこの物質は、本明細書において説明されるような、「第2のリチウム金属ホスファート物質」であり得る。図1Bの物質はまた、LiMPO物質であり得、式中、Mは鉄(Fe)又はマンガン(Mn)のうちの1つ以上である。
【0038】
図1Bに描写される物質は、内部に埋め込まれた一次粒子104を有する二次球状粒子102である。一次粒子は、概して、単結晶であるが、一方で二次粒子は、噴霧乾燥技術を使用して意図的に形成された一次(単結晶)粒子の凝集体である。図1Bに描写された実施形態では、図1A及び図1Bの両方において、二次粒子は、概して、一次粒子よりも大きい。しかしながら、これは常に当てはまるわけではない。更に、図1Bの一次粒子は、(例えば、化学式、結晶構造などに基づいて)図1Aのものと必ずしも同一ではない。一次粒子は、より高い熱処理温度で、及び/又はより大きい前駆体を使用して、著しく大きいサイズ(すなわち、最大10~25マイクロメートル程度)に製造することができる。いくつかの実施形態では、二次粒子は、1マイクロメートル程度の小ささで噴霧乾燥され得る。
【0039】
図1Bに描写される一次粒子及び二次粒子の両方のサイズは、好適な粒子サイズの単なる一例である。本明細書に記載の配合された活物質の異なる実施形態は、図において描写されるものとは異なる粒子サイズ分布を有する一次粒子又は二次粒子を含む、リチウム金属ホスファート物質を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された活物質のためのリチウム金属ホスファート物質の二次粒子のD50は、1~100又は1~50マイクロメートル(μm)であり得る。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の二次粒子のD50は、100、50、40、30、20、10、又は5μm以下であり得る。いくつかの実施形態では、二次リチウム金属ホスファート物質の二次粒子のD50は、1、5、10、20、30、40、又は50μm以上であり得る。より広い範囲の二次粒子サイズを含むリチウム金属ホスファート物質は、物質のプレス密度を改善することができ、順にエネルギー密度を増加させる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された活物質のためのリチウム金属ホスファート物質の二次粒子は、1~100マイクロメートル(μm)の粒子サイズ(D10~D90)を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された活物質のためのリチウム金属ホスファート物質の二次粒子は、100、75、50、又は25μm以下の粒子サイズ(D10~D90)を有し得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された活物質のためのリチウム金属ホスファート物質の二次粒子は、1、25、50、又は75μm以上の粒子サイズ(D10~D90)を有し得る。
【0041】
図1Bに示される一次粒子のD50は、300ナノメートル(nm)~2マイクロメートル(μm)、又は150nm~1μmであり得る。いくつかの実施形態では、一次粒子のD50は、2μm、1μm、750nm、500nm、又は250nm以下であり得る。いくつかの実施形態では、一次粒子のD50は、150nm、250nm、500nm、750nm、又は1μm以上であり得る。いくつかの実施形態では、一次粒子は、20ナノメートル(nm)~100マイクロメートル(μm)の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。いくつかの実施形態では、一次粒子は、100μm、50μm、1μm、750nm、500nm、250nm、又は100nm以下の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。いくつかの実施形態では、リチウム金属ホスファート物質の一次粒子は、20nm、100nm、250nm、500nm、750、1μm、又は50μm以上の粒子サイズ(D10~D90を含む)を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50は、第1のリチウム金属ホスファート金属物質のD50よりも大きい。いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50は、第1のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50よりも1.1~350倍大きい。いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50は、第1のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50よりも350、300、250、200、150、100、75、50、25、10、又は5倍以下で大きい。いくつかの実施形態では、第2のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50は、第1のリチウム金属ホスファート物質の粒子のD50よりも1.1、5、10、25、50、75、100、150、200、250、又は300倍以上大きい。
【0043】
いくつかの実施形態では、図1Bの物質は、具体的に、二次粒子内の一次粒子が非常に小さい(200nm未満)場合、レート性能及び低温性能に関して最適であり得る。二次粒子サイズが互いに類似している場合、この物質は、類似サイズの二次粒子間に調製された電極をプレスするとき、空隙空間が存在するためエネルギー密度に関してあまり最適ではない可能性がある。しかしながら、これは、異なる二次粒子サイズ分布が存在し、同様に空隙空間を低減させる場合、最適化され得る。
【0044】
図1Cは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む第1の活物質(例えば、図1Aに描写されるもの)と、二次粒子を含む第2の活物質(例えば、図1Bに描写されるもの)と、を含む配合された活物質の走査型電子顕微鏡画像を示す。図に示されるように、配合された物質は、第1のリチウム金属ホスファート物質又は第2のリチウム金属ホスファート物質だけのものよりも幅広い種類の粒子及び粒子サイズを含む。
【0045】
以下は、3つの物質間の特性の例示的な差を示す表である。「大きい二次」の列は、第2のリチウム金属ホスファート物質(例えば、図1Bの物質)を表し得、「小さい粒子」の列は、第1のリチウム金属ホスファート物質(例えば、図1Aの物質)を表し得、「配合」の列は、第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2のリチウム金属ホスファート物質(例えば、図1Cの物質)との配合物を含む配合された活物質を表してもよい。
【0046】
【表1】
【0047】
第1のリチウム金属ホスファート物質と第2のリチウム金属ホスファート物質との特定の配合比は、活物質及び/又は配合された活物質を用いて製造された電極を含む電池の目標特性に基づいて、選択され得る。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2の金属ホスファート物質と間の重量比は、1:1より大きい(すなわち、第1のリチウム金属ホスファート物質の総重量は、第2のリチウム金属ホスファート物質の総重量より大きい)。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2の金属ホスファート物質との間の重量比は、1:1~9.5:1、3:2~9:1、又は2:1~4:1からのものである。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2の金属ホスファート物質との間の重量比は、3:2、2:1、7:3、3:1、4:1、9:1、又は9.5:1より大きい。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2の金属ホスファート物質との間の重量比は、9.5:1、9:1、4:1、3:1、7:3、2:1、又は3:2以下である。概して、高エネルギー密度を必要とする電気車両用途に関して、500nm~1μmに近いD50を有するより大きいリチウム金属ホスファート一次粒子が、より高いエネルギー負荷目標を達成するために最も有益である。しかしながら、より大きい粒子は、低減されたレート及び低温性能を有する。非常に小さい一次粒子(すなわち、300nm未満)は、一次粒子として、又は二次粒子内のいずれかで、レート及び低温性能を改善するのに有益である。
【0048】
図2Aは、いくつかの実施形態による、一次粒子のみを含む活物質を含む--Hegmanゲージ試験を示す。示されるように、小さい一次粒子は、グラインドメーターゲージ(単位:μm)の右側にあまりに多くの凝集体を示すことなく、清浄で滑らかなコーティングを提供することができる。図2Bは、いくつかの実施形態による、二次粒子を含む活物質を含む--Hegmanゲージ試験を示す。この物質のより大きい凝集体粒子は、コーティング層に不整合又は欠陥を引き起こす可能性があり、大きい凝集体は、「引きずり線」を引き起こすか、又は「スポット」として示される可能性がある。しかしながら、図2Cは、いくつかの実施形態による、第1の活物質と第2の活物質との配合物を含むHegmanゲージ試験を示す。この配合された物質は、許容可能な物理的特性(例えば、「引きずり線」が30μmスケールバーで現れ、大量生産スケールにおいて追加の濾過工程でコーティングされ得る図2Bのものと比較して、より少ない不一致又は不完全性)を有する--Hegmanゲージ試験を有する物質を形成することができる。
【0049】
図3Aは、いくつかの実施形態による、より高いタップ及び/又は電極密度をもたらす小さい一次粒子及び大きい二次粒子を含む電極の図を示し、図3Bは、いくつかの実施形態による、より高い多孔率をもたらす図3Aの粒子と比較して、二次粒子又はより大きい一次粒子を含む電極の図を示す。図3Aに示されるように、より小さい一次粒子は、より大きい二次粒子によって形成された隙間を埋めることができる可能性がある。このため、より小さいナノメートルサイズの粒子(例えば、より小さい一次粒子)及びわずかに大きい(サブ)マイクロメートルサイズの粒子の両方を含む電極は、(より均一な粒子サイズを有する物質が一次粒子及び/又は二次粒子を含むかどうかにかかわらず)より均一な粒子サイズを有する物質の充填密度より大きい充填密度を有することになる。
【0050】
概して、より狭い粒子分布(すなわち、より均一な粒子サイズ)を有する物質を含む電極は、より低いタップ/充填密度を引き起こすであろう。対照的に、第1の複数の粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2の複数の粒子を有する第2のリチウム金属ホスファート物質を有する、配合された物質の充填密度は、第1の物質と第2の物質との間の粒子サイズ変形が、単一のリチウム金属ホスファート物質の粒子サイズ変形よりも大きいので、より高くなり得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された物質の充填密度は、1.5~3g/ccであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された物質の充填密度は、3、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2、1.9、1.8、1.7、又は1.6g/cc以下であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書において説明されるような、配合された物質の充填密度は、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2,1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3g/cc以上であり得る。より大きい充填密度は、所与の電池セル、モジュール、及びパックの体積エネルギー密度を増加させることができる。
【0051】
第1のリチウム金属ホスファート物質及び第2のリチウム金属ホスファート物質を配合物する方法
いくつかの実施形態では、上で説明された配合された活物質は、第1のリチウム金属ホスファート物質と第2のリチウム金属ホスファート物質とを所定の重量比で配合することによって形成され得る。例えば、第1のリチウム金属ホスファート物質は、4:1の配合重量比で、第2のリチウム金属ホスファート物質と配合することができる。2つの物質をともに適切に配合して、配合された物質を達成するために、第1及び第2のリチウム金属ホスファート物質は、単純な配合、乾式粉砕、又は湿式粉砕によってともに配合され得る。単一配合は、スラリー調製工程中に2つの物質をともに予備混合することを含む。乾式粉砕は、溶媒を用いないボール粉砕プロセスを含む。湿式粉砕は、HOなどの水溶液、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトンなどの溶媒、任意の他の有機溶媒、又はこれらの任意の混合物を用いるボール粉砕プロセスである。
【0052】
他の配合方法は、第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の金属ホスファート物質とを混合するために使用することができる。例えば、好適な方法としては、単一配合、ボール粉砕、又はメカノケミカル混合を挙げることができる。
【実施例0053】
実施例1:スラリー固体含有量及び表面積
図4Aは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する、固体含有量と表面積との間の関係を示すグラフである。より高い表面積を有する試料(例えば、図4AのLFP4)は、概して、より高い炭素含有量及び/又は非常に小さい粒子サイズを有する。概して、より高い炭素含有量(及びより高い表面積)を有することは、LFP粒子が同じサイズであっても、LFP/Cの総表面積を増加させることができる。より高い表面積のLFP/Cは、より多くの溶媒を必要とし、これは、湿潤プロセスが、スロットダイコーターにおいて「コーティング可能」であり得るスラリーの粘度を低下させるために、より多くの溶媒(例えば、n-メチル-2-ピロリドン又はNMP)を必要とするため、固体含有量をより低下させる。例えば、9m/gから15m/gにすると、活物質1グラム当たりの表面積において6mの増加を生成することになる。活性表面積において、10グラムのLFP/Cに関して、増加は、60m、1kgでは、6,000m、及び1トンでは、6,000,000mの増加となるであろう。
【0054】
第1の複数の粒子を含む、第1のリチウム金属ホスファート物質と、第2の複数の粒子を含む、第2のリチウム金属ホスファート物質と、を含む配合された物質に関して、粒子の表面積は、3~30又は5~15m/gであり得る。上述したように、より小さい粒子は、Li拡散を助けるのに良好であるが(より良好なレート、より良好な低温性能)、加工性及びコスト(すなわち、より多くのNMPが必要とされる)に関して、低減された表面積を有する物質を有することがより良好である。例えば、配合されたLFPの最大目標表面積は、加工性の懸念のために18m/gに低減されるべきである。いくつかの実施形態では、第1の複数の粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質、及び第2の粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質を含む、配合された物質の粒子の表面積は、30、25、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5m/g以下であり得る。いくつかの実施形態では、第1の複数の粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質、及び第2の複数の粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質を含む、配合された物質の粒子の表面積は、3、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は25m/g以上であり得る。より高い表面積を有する粒子を含む物質は、より多くの溶媒を必要とする。具体的には、バルク中のMO八面体と比較するとき、表面M-O八面体があまり配位されていない場合(例えば、MO、MOなど)、より高い表面積を有する粒子を伴う電池の電解質による活物質の溶解の可能性も増加する。
【0055】
実施例2:タップ密度及び炭素含有量
図4Bは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する、タップ密度と炭素含有量との間の関係を示すグラフである。4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質は、図4Aに示されるものとは異なることに留意されたい。概して、グラフに示されるように、より高い炭素含有量を有するリチウムイオンホスファート物質は、より低いタップ密度を有する。更に、より高い炭素含有量を有するリチウムイオンホスファート物質はまた、概して、電極充填レベル及びプレス密度が高いとき、アルミニウム集電体に対してより低い接着強度を有する。典型的には、コーティングの強度は、活物質コーティングの表面品質によって判定される。所与の電極において、結合剤は、粒子を、導電剤、並びに集電体と架橋する接着剤として作用する。炭素含有量が増加すると、表面積が増加し、界面における結合剤含有量の被覆率が低減する。これを防止するために、電極と箔との間の界面を変更するCコーティングされた箔(炭素コーティング層に加えて結合剤を含む)を使用しなければならず、これは通常のAl箔よりも高価である。
【0056】
一次粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質、及び二次粒子を有する第2のリチウム金属ホスファート物質を含む配合された物質に関して、炭素含有量は、電極物質の0.5~3重量%又は0.8~1.6重量%であり得る。いくつかの実施形態では、炭素含有量は、電極物質の3、2.5、2、1.5、又は1重量%以下であり得る。いくつかの実施形態では、炭素含有量は、電極物質の0.5、1、1.5、2、又は2.5重量%以上であり得る。リチウム金属ホスファート物質の炭素含有量が増加するにつれて、総BET(Brunauer、Emmett及びTeller)表面積も増加し、概して、望ましくない。より高い炭素含有量はまた、概して、上で説明されたように、タップ密度を低減させる。逆に、炭素含有量が不十分であると、低い導電率、電気化学的性能の低下を引き起こす可能性がある。
【0057】
いくつかの実施形態では、一次粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質及び二次粒子を有する第2のリチウム金属ホスファート物質を含む配合された物質は、0.8~1.5g/ccのタップ密度を有し得る。いくつかの実施形態では、タップ密度は、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、又は1.0g/cc以下であり得る。いくつかの実施形態では、タップ密度は、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2又は1.3g/cc以上であり得る。より高いタップ密度は、電極のより良好な充填に関する。
【0058】
実施例3:抵抗率及び炭素含有量
図4Cは、いくつかの実施形態による、4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質に関する抵抗率と炭素含有量との間の関係を示すグラフである。図4Cの4つの異なるグレードのリチウムイオンホスファート物質は、図4A及び図4Bに示される物質とは異なることに留意されたい。グラフに示されるように、より多くの炭素含有量を有するリチウムイオンホスファート物質は、概して、より低い電気抵抗率を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質を有する配合された活物質は、100~700ohm-cmの抵抗率を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質を有する配合された活物質は、700、600、500、400、300、200、又は100ohm-cm以下の抵抗率を有し得る。いくつかの実施形態では、第1のリチウム金属ホスファート物質を有する配合された活物質は、10、20、30、40、50、60、70、80、又は90ohm-cm以上の抵抗率を有し得る。
【0060】
実施例4:室温性能
図5は、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオンハーフセル電池の室温性能を示すグラフである。試験した各電池の特性は、以下の表に提供される:
【0061】
【表2】
【0062】
更に、試料1は、小~中~大サイズの一次粒子のみを含み、試料2は、非常に小さい一次粒子が内部に埋め込まれている、中~大マイクロメートルサイズの二次粒子を含み、試料3は、小、中、及び大一次粒子のみを含み、試料4は、(試料3と比較するとき)より狭い帯域の一次粒子のみを含んでいた。
【0063】
図5のグラフに示されるように、試料1、2及び3の間に著しい差はない。しかしながら、試料4は、1、2、及び3よりもわずかに低い放電容量をもたらす。試験条件は、Liイオンの大部分がカソード電極に出入りするのに十分な時間を提供するので、試験は低レートにおいて、室温で行われ、あまり大きい変形はない。
【0064】
実施例5:放電
図6は、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオン電池に関する放電曲線を示すグラフである。電池は、同じ電極重量設計(活物質:導電性炭素:結合剤含有量)、同じグラファイトアノード、同じセパレータ、及びカソード物質を除いて同一の条件を使用し、上で説明された。(図6における試料1~4は、図5の試料1~4と同じである。)
【0065】
実施され、図6において描写された試験は全て、高レート、低温での小パウチ充填セル試験であった。Liイオン拡散運動は、この条件では非常に遅いので、電圧プラトーは、(図5と比較して)グラファイトに対して3.2Vで、もはや平坦な線ではないことが示される。図5からのセルデータは、ハーフセル試験構成からのものであるため、Li/Liに対して3.4Vにおいて平坦な線が存在し、これはグラファイトに対して3.2Vに等しいことを理解されたい。
【0066】
実施例6:放電レート
図7Aは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオン電池のための様々な放電レート性能を示すグラフである。具体的には、図7Aに示される試験は、-10℃及び0.1Cで行われた。試料1は、小~中~大サイズの一次粒子を含んでいた。配合の観点から、より大きい粒子は、この試験条件における容量に寄与しないであろう。試料2は、より大きい二次粒子であるが、この試験条件における放電容量に寄与する小さい一次粒子を含む。試料3の場合は、試料1と同様であるが、はるかに小さい粒子を有し、大きい粒子は大きすぎない。中~大の粒子のみを含有する試料4は、この試験条件において、最も低い容量をもたらす。(図7Aにおける試料1~4は、図5及び図6の試料1~4と同じである。)
【0067】
実施例7:放電レート
図7Bは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオン電池のための様々な放電レート性能を示すグラフである。具体的には、図7Bに示される試験は、-10℃及び0.33Cで行われた。図7Aと同様の傾向がここでは示されるが、試験が3時間の放電条件(0.33C)で行われるので、全体的な容量はより小さく、公称電圧はより低い。(図7Bにおける試料1~4は、図5図6、及び図7Aの試料1~4と同じである。)
【0068】
実施例8:放電レート
図7Cは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオン電池のための様々な放電レート性能を示すグラフである。具体的には、図7Cに示される試験は、-10℃及び1Cで行われた。Cレートが高くなるにつれて、公称電圧及び容量の低下がより顕著になる。(図7Cの試料1~4は、図5図6図7A、及び図7Bの試料1~4と同じである。)
【0069】
実施例9:放電レート
図7Dは、いくつかの実施形態による、各々が異なる活物質又は活物質の配合物を含む、4つの異なるリチウムイオン電池のための様々な放電レート性能を示すグラフである。具体的には、図7Dに示される試験は、-10℃及び2Cで行われた。Cレートが高くなるにつれて、公称電圧及び容量の低下がより顕著になる。試料4の場合、(170mAh/gの理論容量のうち)20mAh/gのみが回収される。(図7Dの試料1~4は、図5図6図7A図7B、及び図7Cの試料1~4と同じである。)
【0070】
電池セル、電池モジュール、電池パック、及び電気車両システム
上で説明された配合された活物質、特に、一次粒子を含む第1のリチウム金属ホスファート物質、及び二次粒子を含む第2のリチウム金属ホスファート物質を含む配合された活物質は、電極の製造に使用することができる。より具体的には、本明細書に記載の配合された活物質は、電池セル、電池モジュール、及び/又は電池パックを形成するために使用することができるカソードの製造において使用され得る。次いで、本明細書に記載の配合された活物質を使用して製造されたカソードを含む電池セル、電池モジュール、及び/又は電池パックは、電気車両の電源として使用され得る。これらの実施形態は、以下で詳細に説明される。
【0071】
ここで、電池セル、電池モジュール、電池パックの様々な態様及び変形の実装形態及び実施形態、並びにかかる電池セル、電池モジュール、及び電池パックを作製する方法を参照することになる。電池セル、モジュール、パック、及びそれらを作製する方法のいくつかの例示的な変形が本明細書において説明されるが、電池セル、モジュール、パック、及び方法の他の変形は、説明される態様の全て又はいくつかの組み合わせを有する、任意の好適な様式で組み合わされた、本明細書で説明される電池セル、モジュール、パック、及び方法の態様を含み得る。加えて、本明細書に記載の構成要素、システム、方法、装置、デバイス、組成物などの任意の部分又はいずれかは、電池セル、電池モジュール、電池パック、並びにこれらの電池セル、電池モジュール、及び電池パックを作製する方法に実装することができる。
【0072】
図8は、典型的な電池セル製造プロセス1000のフローチャートを例解する。これらの工程は、網羅的ではなく、他の電池セル製造プロセスは、追加の工程、又はこれらの工程のサブセットのみを含む可能性がある。工程1001において、電極前駆体(例えば、結合剤、活物質、導電性炭素添加剤)が調製され得る。いくつかの実施形態では、この工程は、電極物質(例えば、活物質、より具体的には、本明細書に記載の配合された活物質)を追加の成分(例えば、結合剤、溶媒、導電性添加剤など)と混合して、電極スラリーを形成することを含むことができる。いくつかの実施形態では、この工程は、電極物質自体を合成することを含むことができる。
【0073】
工程1002において、電極が形成され得る。いくつかの実施形態では、この工程は、集電体上に電極スラリー(すなわち、本明細書に記載の実施形態による配合された活物質を含む電極スラリー)をコーティングすることを含むことができる。コーティング後、コーティングされた集電体を、乾燥させて、任意の溶媒を蒸発させることができる。いくつかの実施形態では、この工程は、コーティングされた集電体をカレンダ加工することを含むことができる。カレンダ加工は、電極の物理的特性(例えば、結合、導電性、密度、多孔性など)を調整することができる。いくつかの実施形態では、電極は、次いで、電極を適切なサイズ及び/又は形状に切断するために、スリッティング及び/又はノッチング機械を介してサイズ決定され得る。
【0074】
工程1003において、電池セルを、組み立てることができる。電極、セパレータ、及び/又は電解質が調製された後、電池セルを組み立てる/調製することができる。この工程では、セパレータ及び/又は電解質層をアノード層とカソード層との間に積層して、電池セルの内部構造を形成することができる。これらの層は、丸巻き又は角/平巻きなどの巻取方法、積層方法、又はZ折り方法などにより積層することができる。次いで、組み立てられたセル構造は、セルハウジングに挿入され得、次いで、セルハウジングを部分的に又は完全に封止することができる。加えて、組み立てられた構造は、(溶接プロセスを介して)端子及び/又はセルタブに接続することができる。液体電解質を利用する電池セルの場合、内部に電極構造を有する収容されたセルはまた、電解質で充填され、その後封止され得る。
【0075】
電池セルは、様々な形態因子、形状、又はサイズを有することができる。例えば、電池セル(及びそれらのハウジング/ケーシング)は、とりわけ、円筒形、長方形、正方形、立方体、平坦、又は角柱形の形態因子を有し得る。電池セルには4つの主なタイプ:(1)ボタン又はコインセル、(2)円筒形セル、(3)角柱形セル、及び(4)パウチセルが存在する。電池セルは、例えば、巻線及び/又は積層電極ロール(例えば、ジェリーロール)を電池セルケーシング又はハウジングに挿入することによって組み立てることができる。いくつかの実施形態では、巻取された又は積層された電極ロールは、電解質物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、電解質物質は、電極ロールとは別の電池ケーシング又はハウジング内に挿入することができる。いくつかの実施形態では、電解質物質は、限定されるものではないが、カソードとアノードとの間の電荷の流れ(すなわち、イオン輸送)を可能にすることができる、イオン伝導性流体又は他の物質(例えば、層)を含む。いくつかの実施形態では、電解質物質は、非水性極性溶媒(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、又はこれらの任意の2つ以上の混合物などのカーボネート)を含むことができる。電解質はまた、限定されるものではないが、ビニリデンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチルプロピオネート、メチルプロピオネート、メチルアセテート、エチルアセテート、又はこれらの任意の2つ以上の混合物など、他の添加剤を含み得る。電解質のリチウム塩は、限定されるものではないが、リチウムパークロレート、リチウムヘキサフルオロホスファート、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミド、又はこれらの任意の2つ以上の混合物を含む、リチウム電池構成において使用されるもののうちのいずれかであり得る。加えて、塩は、0M超~約0.5Mで電解質中に存在し得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、固体電解質膜は、固体電解質の少なくとも1つの層を含むことができる。固体電解質層の固体電解質物質は、無機固体電解質物質(例えば、オキシド、サルファイド、ホスフィド、セラミック)、固体ポリマー電解質物質、ハイブリッド固体電解質、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、固体電解質層は、ポリアニオン性又はオキシド系電解質物質(例えば、リチウム超イオン伝導体(Lithium Superionic Conductor、LISICON)、ナトリウム超イオン伝導体(Sodium Superionic Conductor、NASICON)、式ABOを有するペロブスカイト(A=Li、Ca、Sr、La、かつB=Al、Ti)、式A(XOを有するガーネット型(A=Ca、Sr、BaかつX=Nb、Ta)、リチウムホスフォラスオキシ-ニトリド(LixPOyNz)を含むことができる。いくつかの実施形態では、固体電解質層は、ガラス状、セラミック及び/又は結晶性のサルファイド系電解質(例えば、LiPS、Li11、LiS-P、LiS-B、SnS-P、LiS-SiS、LiS-P、LiS-GeS、Li10GeP2S12)及び/又はLiPSClなどの、式LiPSX(X=Cl、Br)を有するサルファイド系リチウムアルジロダイト)を含むことができる。更に、固体電解質層は、ポリマー電解質物質(例えば、ハイブリッド又は擬似固体電解質)、例えば、とりわけ、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、PEO)、ポリメチルメタクリレート(polymethyl-methacrylate、PMMA)、及びポリビニリデンフルオリド(polyvinylidene fluoride、PVDF)を含むことができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、アノード活物質は、グラファイト状炭素(例えば、sp混成、人工若しくは天然グラファイト、又は配合物を有する秩序又は無秩序炭素)、Li金属アノード、シリコン系アノード(例えば、シリコン系炭素複合アノード、シリコン金属、オキシド、カーバイド、プレリチウム化)、シリコン系炭素複合アノード、リチウム合金(例えば、Li-Mg、Li-Al、Li-Ag合金)、チタン酸リチウム、又はこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの例では、アノード物質は、集電体物質内に形成することができる。例えば、電極は、セパレータ又は固体電解質に面する集電体の表面上に原位置形成アノード(例えば、Li金属)を有する集電体(例えば、銅箔)を含むことができる。かかる例では、組み立てられたセルは、非充電状態のアノード活物質を含まない。
【0078】
カソード活物質に加えて(又はアノード活物質に関しても)、電極は、導電性添加剤、一般に、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、スーパーPカーボンブラック物質、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、SWCNT、MWCNT、カーボンナノファイバ、グラフェン、及びこれらの組み合わせを含み得る、導電性炭素物質を含むことができる。カソード活物質に加えて(又はアノード活物質についても)、電極は、集電体箔へのカソード(又はアノード)活物質の接着を改善するために結合剤物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合剤は、ポリビニリデンフルオリド(「PVDF」)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、「PVP」)、スチレン-ブタジエン又はスチレン-ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber、「SBR」)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、「PTFE」)などのポリマー物質を含むことができる。様々な実施形態では、追加の成分(例えば、結合剤、溶媒、導電性添加剤など)を有する電極物質(例えば、活物質、より具体的には、本明細書に記載の配合された活物質)は、溶媒と混合されて、電極スラリーを形成することができる。
【0079】
カソード活物質(又はアノード活物質についても)は、炭素コーティングを含むことができる。一般に、リチウム金属ホスファートは、活物質の導電性を改善するための表面炭素コーティングを含む。炭素コーティングプロセスは、リチウム金属ホスファートの生成中又は生成後に実施することができ、例えば、高温でのリチウム金属ホスファート粒子上の有機物質の熱分解は、炭素コーティングを有する活物質を生成することができ、いくつかの場合では、活物質中の二次導電相が形成され得る。
【0080】
カソード活物質は、炭素コーティング、例えば、活物質の0.5~3重量%又は0.8~1.6重量%のCコーティングを含むことができる。例えば、99重量%のリチウム金属ホスファート活物質上の1重量%の炭素コーティング物質である。次いで、この活物質は、電極を調製するために使用される電極スラリー中で炭素導電性添加剤(例えば、97重量%の活物質に対して3重量%の導電性炭素添加剤)と混合され得る。
【0081】
図9は、円筒形電池セル100の断面図の例示的な例を描写する。円筒形電池セルは、アノード層10、セパレータ及び/又は電解質層20、並びにカソード層30の層(例えば、シート状の層)を含むことができる。
【0082】
電池セルは、ハウジング/ケーシングの空洞内に配設することができる、少なくとも1つのアノード層を含むことができる。電池セルはまた、少なくとも1つのカソード層を含むことができる。少なくとも1つのカソード層はまた、ハウジング/ケーシング内に配設することもできる。いくつかの実施形態では、電池セルが放電している(すなわち、電流を提供している)とき、少なくとも1つのアノード層は、イオン(例えば、リチウムイオン)を少なくとも1つのカソード層に放出し、一方の側から他方の側への電子の流れを生成する。逆に、いくつかの実施形態では、電池セルが充電されているとき、少なくとも1つのカソード層は、イオンを放出することができ、少なくとも1つのアノード層は、これらのイオンを受容することができる。
【0083】
これらの層(カソード、アノード、セパレータ/電解質層)は、円筒形状のケーシング40(例えば、金属缶)の空洞に挟持され、巻き上げられ、及び/又は充填され得る。ケーシング/ハウジングは、例えば、金属又は硬質プラスチックから作製されたものなど、剛性であり得る。いくつかの実施形態では、セパレータ層(及び/又は電解質層)20は、アノード層10とカソード層30との間に配置されて、アノード層20とカソード層30とを分離することができる。いくつかの実施形態では、電池セル内の層は、セパレータ層(及び/又は電解質層)がアノード層をカソード層から分離するように交互にすることができる。換言すると、電池電極の層は、(順番に)セパレータ層、アノード/カソード層、セパレータ層、他のアノード/カソード層の反対側などであり得る。セパレータ層(及び/又は電解質層)20は、セル内のイオン(例えばリチウムイオン)輸送を容易にしながら、アノード層とカソード層との間の接触を防止することができる。電池セルはまた、少なくとも1つの端子50を含み得る。少なくとも1つの端子は、負荷又は充電器を電池セルに接続するために使用される電気接点であり得る。例えば、端子は、本明細書で更に考察されるように、電池セルから電気車両の構成要素又はシステムなどの電気負荷に電流を運ぶために、電気伝導性物質から作製され得る。
【0084】
図10は、角柱形電池セル200の断面図の例示的な例を描写する。角柱形電池セルは、アノード層10、セパレータ及び/又は電解質層20、並びにカソード層30の層(例えば、シート状層)を含むことができる。円筒形電池セルと同様に、角柱形電池セルの層は、立方体又は長方形の直方体(例えば、超長方形)形状のケーシング/ハウジング40に嵌合するように、挟持され、巻かれ、及び/又はプレスされ得る。いくつかの実施形態では、層は、ジェリーローリングではなく層積層によって組み立てることができる。いくつかの実施形態では、ケーシング又はハウジングは、金属及び/又は硬質プラスチックから作製されたものなど、剛性であり得る。いくつかの実施形態では、角柱形電池セル200は、2つ以上の端子50を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの端子のうちの一方が正端子であり、他方が負端子であり得る。これらの端子は、負荷又は充電器を、電池セルに接続するために使用することができる。
【0085】
図11は、パウチ電池セル300の断面図の例示的な例を描写する。パウチ電池セルは、剛性エンクロージャを有さず、代わりに、ケーシング/ハウジング40のために可撓性物質を使用する。この可撓性物質は、例えば、封止された可撓性箔であり得る。パウチ電池セルは、アノード層10、セパレータ及び/又は電解質層20、並びにカソード層30の層(例えば、シート状層)を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの層は、ケーシング/ハウジング内で積層される。いくつかの実施形態では、パウチ電池セル200は、2つ以上の端子50を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの端子の一方が、正端子であり、他方が負端子であり得る。これらの端子は、負荷又は充電器を、電池セルに接続するために使用することができる。
【0086】
電池セルのケーシング/ハウジングは、様々な電気伝導率若しくは熱伝導率、又はこれらの組み合わせを有する1つ以上の物質を含むことができる。電池セルのケーシング/ハウジングのための電気伝導性及び熱伝導性物質は、とりわけ、アルミニウム、銅、シリコン、スズ、マグネシウム、マンガン、又は亜鉛を有するアルミニウム合金(例えば、アルミニウム1000、4000、若しくは5000シリーズ)、鉄、鉄-炭素合金(例えば、鋼)、銀、ニッケル、銅、及び銅合金などの金属物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、電池セルのハウジングのための電気伝導性及び熱伝導性物質は、とりわけ、セラミック物質(例えば、シリコンニトリド、シリコンカーバイド、チタンカーバイド、ジルコニウムダイオキシド、ベリリウムオキシドなど)及び/又は熱可塑性物質(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、又はナイロン)を含み得る。
【0087】
工程1004において、電池セルを完成させることができる。いくつかの実施形態では、この工程は、電池セルのための第1の充電及び放電プロセスが行われる形成プロセスを含む。いくつかの実施形態では、この初期充電及び放電は、電解質と電極との間に固体電解質界面を形成することができる。いくつかの実施形態では、この工程は、セルのうちのいくつかに、電池セルから脱ガスプロセスにおいて除去され得るガスを生成させ得る。いくつかの実施形態では、この工程は、電池セルをエージングすることを含む。エージングは、一定期間にわたってセル特性及び性能を監視することを含むことができる。いくつかの実施形態では、この工程はまた、エンドオブライン(end-of-line、EOL)試験リグにおいてセルを試験することを含むことができる。EOL試験は、電池セルを出荷充電状態まで放電すること、パルス試験、内部抵抗測定値の試験、OCVの試験、漏出に関する試験、及び/又は、任意選択的に、電池セルの欠陥を光学的に検査することを含むことができる。
【0088】
複数の電池セル(100、200、及び/又は300)は、電池モジュール及び/又はパックを形成するために、同じハウジング、フレーム、又はケーシング内でともに組み立てられるか、又はパッケージ化され得る。電池モジュールの電池セルは、ある量の電気エネルギーを生成するために電気的に接続され得る。これらの複数の電池セルは、均一な境界を通して、ハウジング、フレーム、又はケーシングの外側に連結することができる。電池モジュールの電池セルは、電池セルの並列、直列、又は直列-並列の組み合わせであり得る。ハウジング、フレーム、又はケーシングは、様々な危険(例えば、外部要素、熱、振動など)から電池セルを保護することができる。図12は、電池モジュール110を形成するためにフレームに挿入されている円筒形電池セル100を例解する。図13は、電池モジュール110を形成するためにフレームに挿入されている角柱形電池セル200を例解する。図14は、電池モジュール110を形成するためにフレームに挿入されているパウチ電池セル300を例解する。いくつかの実施形態では、電池パックは、モジュールを含まなくてもよい。例えば、電池パックは、「モジュールフリー」又はセルtoパック構成を有することができ、電池セルは、モジュールに組み立てることなく電池パックに直接配置される。
【0089】
図12図14に示されるように、複数の電池モジュール110は、別のハウジング、フレーム、又はケーシング内に配設されて、電池パック120を形成することができる。いくつかの実施形態では、複数の電池セルは、電池パック(図示せず)を形成するために、ハウジング、フレーム、又はケーシング内に組み立てられ、充填され、配設され得る。かかる実施形態では、電池パックは、電池モジュールを含まなくてもよい(例えば、モジュールフリー)。例えば、電池パックは、電池セルを電池モジュールに組み立てることなく電池パックに直接配置することができる、セルtoパック構成を有することができる。いくつかの実施形態では、電池パックの電池セルは、別のシステム(例えば、電気車両)に提供される、ある量の電気エネルギーを生成するように電気的に接続され得る。
【0090】
電池パックの電池モジュールは、別のシステム(例えば、電気車両)に提供される電気エネルギー量を生成するように電気的に接続され得る。電池パックはまた、例えば、電池パック(並びに個々のモジュール及び電池セル)の温度を調節するように構成された熱交換器システム(例えば、冷却システム)、並びに電池パックの電圧を制御するように構成された電池管理システムなどの様々な制御及び/又は保護システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、電池パックハウジング、フレーム、又はケーシングは、電池モジュールを外部要素から保護するために、電池モジュールの底部又は真下にシールドを含むことができる。いくつかの実施形態では、電池パックは、少なくとも1つの熱交換器(例えば、熱/温度制御又は熱交換の一部として、電池パック又は冷却板を通して流体を分配するように構成される冷却ライン)を含むことができる。
【0091】
いくつかの実施形態では、電池モジュールは、電池モジュールを構成する個々の電池セルから電流又は電力を収集することができ、電池パックからの出力として電流又は電力を提供することができる。電池モジュールは、任意の数の電池セルを含むことができ、電池パックは、任意の数の電池モジュールを含むことができる。例えば、電池パックは、ハウジング/フレーム/ケーシング中に配設された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又は他の数の電池モジュールを有することができる。いくつかの実施形態では、電池モジュールは、複数のサブモジュールを含むことができる。いくつかの実施形態では、これらのサブモジュールは、個々の電池モジュールの温度を調節するか又は制御するように構成された熱交換器によって分離され得る。例えば、電池モジュールは、上部電池サブモジュール及び下部電池サブモジュールを含むことができる。これらのサブモジュールは、上部電池サブモジュールと下部電池サブモジュールとの間の冷却板などの熱交換器によって分離することができる。
【0092】
電池パックは、全ての形状及びサイズにすることができる。例えば、図12図14は、3つの異なる形状の電池パック120を例解する。図12図14に示されるように、電池パック120は、電池モジュールを位置決めするための複数の領域、スロット、ホルダ、容器などを含むか、又は画定することができる。電池モジュールは、全ての形状及びサイズで提供することができる。例えば、電池モジュールは、正方形、長方形、円形、三角形、対称形、又は非対称形であり得る。いくつかの例では、単一の電池パック内の電池モジュールは、異なる形状であり得る。同様に、電池モジュールは、複数の電池セルのための複数の領域、スロット、ホルダ、容器などを含むか、又は画定することができる。
【0093】
図15は、少なくとも1つの電池パック120を含む、電気車両705の断面図700の一例を例解する。電気車両は、限定されるものではないが、数ある可能性の中でもとりわけ、電気トラック、電動スポーツユーティリティ車両(electric sport utility vehicle、SUV)、電動配送バン、電気自動車、電気車、電気オートバイ、電気スクータ、電気乗用車両、電気乗用又は商用トラック、ハイブリッド車両、又は海上若しくは航空輸送車両、飛行機、ヘリコプター、潜水艦、ボート、若しくはドローンなどの他の車両を含み得る。電気車両は、完全電動又は部分電動(例えば、プラグインハイブリッド)であり得、更に、電気車両は、完全自律型、部分自律型、又は無人型であり得る。加えて、電気車両はまた、人間が作動させるもの、又は非自律型であり得る。
【0094】
電気車両705は、電気車両に電力を供給するための電池セル(100、200、及び/又は300)を有する電池モジュール110(又は他の実施形態では、モジュールへの配置なし)を含む電池パック120を搭載することができる。電気車両705は、シャーシ725(例えば、フレーム、内部フレーム、又は支持構造)を含むことができる。シャーシ725は、電気車両705の様々な構成要素を支持することができる。いくつかの実施形態では、シャーシ725は、電気車両705の前部分730(例えば、フード又はボンネット部分)、本体部分735、及び後部分740(例えば、トランク、ペイロード、又はブーツ部分)にまたがることができる。電池パック120は、電気車両705内に搭載されるか又は設置されることができる。例えば、電池パック120は、前部分730、本体部分735、又は後部分740のうちの1つ以上の中で、電気車両705のシャーシ725上に搭載されることができる。いくつかの実施形態では、電池パック120は、少なくとも1つのバスバー、例えば、集電体要素を含むか、又はそれと接続することができる。例えば、第1のバスバー745及び第2のバスバー750は、電気車両705の様々なシステム又は構成要素に電力を提供するために、電池パック120(及び/又は電池モジュール110若しくは電池セル100、200、及び/又は300)を電気車両705の他の電気構成要素に接続するか、又は別用に電気的に結合するために電気伝導性物質を含むことができる。いくつかの実施形態では、電池パック120はまた、住宅又は商業ビルなどの建物に電力供給するためのエネルギー貯蔵システムとして使用され得る。
【0095】
本明細書において、「又は」は、明示的に別段の指示がない限り、又は文脈によって別段の指示がない限り、包括的であり、排他的ではない。したがって、本明細書では、「A又はB」は、明示的に別段の指示がない限り、又は文脈によって別段の指示がない限り、「A、B、又は両方」を意味する。更に、「及び」は、明示的に別段の指示がない限り、又は文脈によって別段の指示がない限り、共同及び個々の両方である。したがって、本明細書では、「A及びB」は、明示的に別段の指示がない限り、又は文脈によって別段の指示がない限り、「A及びBが一緒に、又は個別に」を意味する。
【0096】
本開示の範囲は、当業者が理解するであろう、本明細書に説明又は図示される例示的実施形態に対する全ての変更、置換、変形、改変、及び修正を包含する。本開示の範囲は、本明細書で説明又は図示される例示的な実施形態に限定されない。更に、本開示は、特定の構成要素、要素、特徴、機能、作動、又はステップを含むものとして、本明細書でそれぞれの実施形態を説明及び図示しているが、これらの実施形態のいずれも、当業者が理解するであろう、本明細書のいずれかに説明又は図示される構成要素、要素、特徴、機能、作動、又はステップのうちのいずれかの任意の組み合わせ又は順列を含み得る。更に、添付の特許請求の範囲における、特定の機能を実行するように適合され、配置され、能力を有し、構成され、有効化され、作動可能であり、又は作用する装置若しくはシステム、又は装置若しくはシステムの構成要素への言及は、その装置、システム、又は構成要素が、そのように適合され、配置され、能力を有し、構成され、有効化され、作動可能であり、又は作用する限り、その装置、システム、若しくは構成要素、又はその特定の機能がアクティブ化され、オンにされ、又はロック解除されるかどうかにかかわらず、その装置、システム、構成要素を包含する。加えて、本開示は、特定の実施形態を、特定の利点を提供するものとして説明するか、又は例解するが、特定の実施形態は、これらの利点のいずれも提供しなくてもよく、一部又は全てを提供してもよい。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15