(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045022
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】高圧ケーブル付属品損傷認識方法、システム、コンピュータ機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240326BHJP
G10L 25/30 20130101ALI20240326BHJP
G10L 25/18 20130101ALI20240326BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G10L25/30
G10L25/18
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134100
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】202211143486.5
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】520360121
【氏名又は名称】グアンジョウ パワー サプライ ビューロー オブ グァンドン パワー グリッド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】リ ハンル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ゴンビン
(72)【発明者】
【氏名】シ インシア
(72)【発明者】
【氏名】ハン ジュオジャン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ タオ
(72)【発明者】
【氏名】ラン チエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ウジエ
(72)【発明者】
【氏名】ルワン ヤオシュアン
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AD31
2G024BA17
2G024BA22
2G024CA13
2G024FA04
2G024FA06
2G024FA15
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】高圧ケーブル付属品損傷認識方法は、データセットを取得するステップであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含むステップと、ターゲット検出ネットワークモデルを構築するステップと、データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得するステップと、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップと、を含む。
【効果】超音波導波信号を取得して、当該超音波導波信号の時間周波数特性によって、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの訓練を完成し、さらに、高圧ケーブル付属品損傷の認識を実現し、高圧ケーブル付属品の正確な検出及び適時なメンテナンスに寄与する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ケーブル付属品損傷認識方法であって、
データセットを取得するステップであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含むステップと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築するステップと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得するステップと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する前、
認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号を取得するステップと、
前記第2超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行って、前記第2超音波導波信号時間周波数図を得到するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行うステップは具体的に、
一定の窓関数内で、高速フーリエ変換に基づいて、前記第2超音波導波信号の局所信号周波数成分を取得するステップと、
時間軸に沿って前記窓関数を移動させて、前記局所信号周波数成分の異なる時間帯での変化を取得するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップは具体的に、
前記第2超音波導波信号時間周波数図をS×Sグリッドに区画するステップであって、前記グリッドはS×S個のグリッドユニットを含むステップと、
各グリッドユニットをトラバースして、認識対象となる高圧ケーブル付属品の中心がグリッドユニットに位置するかどうかを判定して、第1判定結果を出力するステップと、
第1判定結果がYESであれば、複数の情報境界ボックスを出力するとともに、グリッドユニットがC類に属する確率を出力するステップであって、前記C類は腐食類、割れ目類、孔類及び押出変形類のうちの1つを含むステップと、
S×S個のグリッドユニットの認識が完了したかどうかを判定して、第2判定結果を出力するステップと、
第2判定結果がYESであれば、各グリッドユニットの予測結果を出力するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ターゲット検出ネットワークモデルはバックボーンネットワーク、ネック構造及びヘッド構造を含み、
前記バックボーンネットワークはCSPDarknet53であり、前記CSPDarknet53は少なくとも1つのCBMコンポーネント及び少なくとも5つのCSPモジュールを含み、
前記ネック構造はCBLコンポーネント、SPPモジュール及びFPN+PAN層を含み、
前記ヘッド構造はCBLコンポーネント及びConv活性化関数を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記CBMコンポーネントはConv活性化関数、Bn活性化関数及びMish活性化関数を含み、
前記CSPモジュールはCBMコンポーネント及び複数の残差コンポーネントを含み、前記残差コンポーネントは順に接続されている1×1畳み込み層と、3×3畳み込み層と、1×1畳み込み層とを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記CBLコンポーネントはConv活性化関数、Bn活性化関数及びLeaky_relu活性化関数を含み、
前記SPPモジュールは1×1、5×5、9×9、13×13の最大プーリング方式を利用することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
高圧ケーブル付属品損傷検出システムであって、
データセットを取得する取得ユニットであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含む取得ユニットと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築する構築ユニットと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得する訓練ユニットと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する認識ユニットと、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項9】
プロセッサ、及びプロセッサ実行可能プログラムを記憶するメモリを含むコンピュータ機器であって、前記プロセッサはメモリに記憶されるプログラムを実行すると、請求項1~7の何れか1項に記載の方法を実現することを特徴とするコンピュータ機器。
【請求項10】
プログラムが記憶される記憶媒体であって、前記プログラムはプロセッサによって実行されると、請求項1~7の何れか1項に記載の方法を実現することを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧ケーブル付属品損傷認識方法、システム、コンピュータ機器及び記憶媒体に関し、高圧ケーブル付属品非破壊検出の分野に属している。
【背景技術】
【0002】
高圧ケーブル付属品は、電力システムの重要な構成部分であり、尾管、編組線、銅メッシュ及びケーブルアルミシースから構成される。長期にわたって複雑環境に暴露するため、高圧ケーブル付属品は異なるタイプ、異なる状況の損傷が生じて、電力システムに大きな危害を与える。高圧ケーブル付属品は絶縁層に包まれ、慣習的な検出方式でその内部の損傷を検出できないため、超音波導波検出技術を導入して高圧ケーブル付属品損傷を検出する。
【0003】
超音波導波検出において深層学習は大きな実用価値を有し、より効果的、正確的な検出を実現できるが、現在、まだ解決する必要がある問題が存在する。まず、同様な損傷についての異なる環境での超音波導波信号は異なり、深層学習による従来方法の、当該同様な欠陥に対する認識率が低下して、検出漏れ、誤検出の状況を招致し、また、高圧ケーブル付属品には多種の損傷が同時に存在する可能性があり、異なる損傷の間は一部の導波信号を遮蔽する恐れがあり、深層学習ネットワークモデルの損傷認識に対する困難さを増やす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みると、本発明は高圧ケーブル付属品損傷認識方法、システム、コンピュータ機器及び記憶媒体を提供し、実験室で高圧ケーブル付属品損傷サンプルをシミュレーションすることで、超音波導波信号を取得して、当該超音波導波信号の時間周波数特性によって、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの訓練を完成し、さらに、高圧ケーブル付属品損傷の認識を実現し、高圧ケーブル付属品の正確な検出及び適時なメンテナンスに寄与する。
【0005】
本発明は、高圧ケーブル付属品損傷認識方法を提供することを第1の目的とする。
本発明は、高圧ケーブル付属品損傷検出システムを提供することを第2の目的とする。
本発明は、コンピュータ機器を提供することを第3の目的とする。
本発明は、記憶媒体を提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の目的は以下の技術案によって達成でき、
高圧ケーブル付属品損傷認識方法であって、
データセットを取得するステップであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含むステップと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築するステップと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得するステップと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップと、を含む。
【0007】
さらに、前記高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する前、
認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号を取得するステップと、
前記第2超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行って、前記第2超音波導波信号時間周波数図を得到するステップと、をさらに含む。
【0008】
さらに、前記第2超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行うステップは、具体的に、
一定の窓関数内で、高速フーリエ変換に基づいて、前記第2超音波導波信号の局所信号周波数成分を取得するステップと、
時間軸に沿って前記窓関数を移動させて、前記局所信号周波数成分の異なる時間帯での変化を取得するステップと、を含む。
【0009】
さらに、前記高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップは、具体的に、
前記第2超音波導波信号時間周波数図をS×Sグリッドに区画するステップであって、前記グリッドはS×S個のグリッドユニットを含むステップと、
各グリッドユニットをトラバースして、認識対象となる高圧ケーブル付属品の中心がグリッドユニットに位置するかどうかを判定して、第1判定結果を出力するステップと、
第1判定結果がYESであれば、複数の情報境界ボックスを出力するとともに、グリッドユニットがC類に属する確率を出力するステップであって、前記C類は腐食類、割れ目類、孔類及び押出変形類のうちの1つを含むステップと、
S×S個のグリッドユニットの認識が完了したかどうかを判定して、第2判定結果を出力するステップと、
第2判定結果がYESであれば、各グリッドユニットの予測結果を出力するステップと、を含む。
【0010】
さらに、前記ターゲット検出ネットワークモデルはバックボーンネットワーク、ネック構造及びヘッド構造を含み、
前記バックボーンネットワークはCSPDarknet53であり、前記CSPDarknet53は少なくとも1つのCBMコンポーネント及び少なくとも5つのCSPモジュールを含み、
前記ネック構造はCBLコンポーネント、SPPモジュール及びFPN+PAN層を含み、
前記ヘッド構造はCBLコンポーネント及びConv活性化関数を含む。
【0011】
さらに、前記CBMコンポーネントはConv活性化関数、Bn活性化関数及びMish活性化関数を含み、
前記CSPモジュールはCBMコンポーネント及び複数の残差コンポーネントを含み、前記残差コンポーネントは順に接続されている1×1畳み込み層と、3×3畳み込み層と、1×1畳み込み層とを含む。
【0012】
さらに、前記CBLコンポーネントはConv活性化関数、Bn活性化関数及びLeaky_relu活性化関数を含み、
前記SPPモジュールは1×1、5×5、9×9、13×13の最大プーリング方式を利用する。
【0013】
本発明の第2の目的は以下の技術案によって達成でき、
高圧ケーブル付属品損傷検出システムであって、前記システムは、
データセットを取得する取得ユニットであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含む取得ユニットと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築する構築ユニットと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得する訓練ユニットと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する認識ユニットと、を含む。
【0014】
本発明の第3の目的は以下の技術案によって達成でき、
プロセッサ、及びプロセッサ実行可能プログラムを記憶するメモリを含むコンピュータ機器であって、前記プロセッサはメモリに記憶されるプログラムを実行すると、上記の高圧ケーブル付属品損傷認識方法を実現する。
【0015】
本発明の第4の目的は以下の技術案によって達成でき、
プログラムが記憶される記憶媒体であって、前記プログラムはプロセッサによって実行されると、上記の高圧ケーブル付属品損傷認識方法を実現する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に対して本発明は以下の有益な効果を具備し、
本発明において、実験室で高圧ケーブル付属品損傷サンプルをシミュレーションすることで、超音波導波信号を取得して、当該超音波導波信号の時間周波数特性によって、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの訓練を完成し、さらに、高圧ケーブル付属品損傷の認識を実現し、高圧ケーブル付属品の正確な検出及び適時なメンテナンスに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例又は従来技術の技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例又は従来技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性に値する労働をしないことを前提として、これらの図面の構造に基づいて他の図面を取得できる。
【
図1】本発明の実施例1の高圧ケーブル付属品損傷認識方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例1の短時間フーリエ変換のフローチャートである。
【
図3】本発明の実施例1の高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの構造図である。
【
図4】本発明の実施例1の高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの認識フローチャートである。
【
図5】本発明の実施例2の高圧ケーブル付属品損傷認識システムの構造ブロック図である。
【
図6】本発明の実施例3のコンピュータ機器の構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点がより分かりやすくなるために、以下、本発明の実施例の図面を結合して、本発明の実施例の技術案を明らか且つ完全に記載し、明らかに、記載する実施例は全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をしないことを前提として、取得した他の全ての実施例は何れも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
実施例1:
図1に示すように、本実施例は高圧ケーブル付属品損傷認識方法を提供し、当該方法は以下のステップを含み、
S101:データセットを取得し、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含む。
【0020】
ステップS101では、高圧ケーブル付属品損壊サンプルは銅編組線溶接箇所破断サンプル、アルミシース均一腐食サンプル、アルミシース点食サンプル、アルミシース割れ目サンプルのうちの1つを含み、前記第1超音波導波信号は超音波導波検出計によって収集され、前記第1超音波導波信号時間周波数図の取得過程は具体的に、前記第1超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行って、前記第1超音波導波信号時間周波数図を取得する。
【0021】
ここで、本実施例は、実験室で高圧ケーブル付属品損傷サンプルをシミュレーションしている。
【0022】
本実施例において、前記第1超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行うステップは、具体的に、
一定の窓関数内で、高速フーリエ変換に基づいて、前記第1超音波導波信号の局所信号周波数成分を取得するステップと、
時間軸に沿って前記窓関数を移動させて、前記局所信号周波数成分の異なる時間帯での変化を取得するステップと、を含む。
【0023】
より具体的に、前記第1超音波導波信号に対して時間周波数特性抽出を行う主なステップは以下の通りであり、
S201:窓関数(w(u))に基づいて、第1超音波導波信号を遮断して、遮断信号(Xm)を取得する。
S202:窓関数と遮断信号とに対して点ごとの乗算を行って、ウインドウ変換信号(Xm´)を取得する。
S203:ウインドウ変換信号に対して高速フーリエ変換を行う。
S204:時間軸に沿って窓関数を移動させて、異なる時間帯のウインドウ変換信号の高速フーリエ変換を求める。
【0024】
本実施例において、所定の遮断信号に対して、ウインドウ長さkを選択し、遮断信号のSTFT変換は以下の数1の式の通りである。
【0025】
【0026】
S102:ターゲット検出ネットワークモデルを構築する。
【0027】
ステップS102では、ターゲット検出アルゴリズムに基づいて、ターゲット検出ネットワークモデルを構築し、ターゲット検出ネットワークモデルはバックボーンネットワーク(Backbone)、ネック構造(Neck)及びヘッド構造(Head)を含む。
【0028】
図3に示すように、バックボーンネットワークはCSPDarknet53であり、 CSPDarknet53は1つのCBMコンポーネント及び5つのCSPモジュールを含み、5番目のCSP4モジュールから出力される結果は19×19×1024の特徴マップであり、前記特徴マップを相応的なCBMコンポーネントに伝送して処理し、ネック構造はCBLコンポーネント、SPPモジュール及びFPN+PAN層を含み、ヘッド構造はCBLコンポーネント及びConv活性化関数を含む。
【0029】
具体的に、CBMコンポーネントは、Conv活性化関数、Bn活性化関数及びMish活性化関数を含み、CSPモジュールはCBMコンポーネント及びX個のRes unintモジュールを含み、即ち、残差部材であり、Res unintモジュールはResnetネットワークモデルにおける残差構造から変化して形成され、具体的に、当該残差部材は1×1、3×3、1×1という3つの畳み込み層から順に構成され、1×1畳み込み層はパス数に対して次元拡張又は次元削減の作用を発揮することで、3×3畳み込み層は低い次元の入力で畳み込み演算を行って、コンピューティング効率を向上し、CBLコンポーネントはConv活性化関数、Bn活性化関数及びLeaky_relu活性化関数を含み、SPPモジュールは1×1、5×5、9×9、13×13の最大プーリング方式を採用する。
【0030】
ここで、CBMコンポーネントはターゲット検出ネットワークモデルにおける最小コンポーネントであり、X個のRes unintモジュールはターゲット検出ネットワークモデルの構築を深くし、SPPモジュールはマルチスケール融合を行って、検出対象となる画像においてターゲットサイズの差が大きな状況に適用され、FPN層は上から下へ強いセマンティクス特徴を伝送し、PAN層は底から上へ強い位置決め特徴を伝送し、ネック構造は特徴強化モジュールであり、異なるバックボーン層から異なる検出層に対してパラメータアグリゲーションを行って、異なるスケール特徴の融合を速めにして、特徴抽出能力をさらに向上し、ヘッド構造は、取得した特徴を使用して予測し、復号化過程であり、合計、3つの特徴層を抽出し、3つの特徴層は中間層、中下層及び底層にそれぞれ位置し、19×19×255、38×38×255、76×76×255である。
【0031】
S103:データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得する。
【0032】
S104:高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する。
【0033】
ステップS104の前、認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図について、ステップS101を参照して取得すればよい。
【0034】
本実施例において、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップは以下のステップを含み、
S1041:前記第2超音波導波信号時間周波数図をS×Sグリッドに区画し、前記グリッドはS×S個のグリッドユニットを含む。
S1042:グリッドユニットを選択する。
S1043:認識対象となる高圧ケーブル付属品の中心が選択されたグリッドユニットに位置するかどうかを判定して、第1判定結果を出力する。
S1044:第1判定結果がYESであれば、B個の情報境界ボックス(Bounding box)を出力するとともに、グリッドユニットがC類に属する確率を出力する。
【0035】
具体的に、情報境界ボックスは高圧ケーブル付属品の損壊部分を囲み、当該損壊部分は腐食、割れ目、孔及び押出変形のうちの1つを含み、C類は腐食類、割れ目類、孔類及び押出変形類のうちの1つを含む。
【0036】
S1045:S×S個のグリッドユニットの認識が完了したかどうかを判定して、第2判定結果を出力する。
【0037】
S1046:第2判定結果がYESであれば、各グリッドユニットの予測結果を出力する。
【0038】
当業者であれば理解できるように、プログラムによって関連ハードウェアに命令することで、上記実施例の方法における全て又は一部のステップを実現でき、相応的なプログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶される。
【0039】
ここで、図面は特定の順序で上記実施例の方法操作を記載したが、必ずしも当該特定の順序に従ってこれらの操作を実行しなければならないか、又は、必ずしも示した全ての操作を実行した場合に限り、所望の結果を実現できると要求又は暗示していない。記載したステップはその実行順序を変更できる。または、いくつかのステップを省略して、複数のステップを1つのステップに合併して実行してもよいし、及び/又は1つのステップを複数のステップに分解して実行してもよい。
【0040】
実施例2:
図5に示すように、本実施例は高圧ケーブル付属品損傷認識システムを提供し、当該システムは、
データセットを取得する取得ユニット501であって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含む取得ユニット501と、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築する構築ユニット502と、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得する訓練ユニット503と、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識する認識ユニット504と、を含む。
【0041】
実施例3:
図6に示すように、本実施例はコンピュータ機器を提供し、システムバス601によって接続されているプロセッサ602、メモリ、入力装置603、表示装置604及びネットワークインターフェース605を含む。プロセッサ602はコンピューティング及び制御能力を提供し、メモリは不揮発性記憶媒体606及びメモリ607を含み、当該不揮発性記憶媒体606にはオペレーティングシステム、コンピュータプログラム及びデータベースが記憶され、当該メモリ607は不揮発性記憶媒体606におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムの実行に環境を提供し、コンピュータプログラムはプロセッサ602によって実行されると、上記実施例1の高圧ケーブル付属品損傷認識方法の、
データセットを取得するステップであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含むステップと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築するステップと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得するステップと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップと、を実現する。
【0042】
実施例4:
本実施例は記憶媒体を提供し、当該記憶媒体はコンピュータ可読記憶媒体であり、コンピュータプログラムが記憶され、前記コンピュータプログラムはプロセッサによって実行されると、上記実施例1の高圧ケーブル付属品損傷認識方法の、
データセットを取得するステップであって、前記データセットは複数枚の多種高圧ケーブル付属品損壊サンプルの第1超音波導波信号時間周波数図を含むステップと、
ターゲット検出ネットワークモデルを構築するステップと、
データセットを使用してターゲット検出ネットワークモデルを訓練することで、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを取得するステップと、
高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルを使用して認識対象となる高圧ケーブル付属品の第2超音波導波信号時間周波数図を認識するステップと、を実現する。
【0043】
ここで、本実施例のコンピュータ可読記憶媒体はコンピュータ可読信号媒体、又はコンピュータ可読記憶媒体、或いは上記両者の任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、電気、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、或いは以上の任意の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例示は、1つ又は複数のリード線を有する電気接続、ポータブルコンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、コンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光メモリ、磁気メモリ、又は上記の任意の適切な組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0044】
本実施例において、コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムを含み又は記憶する任意の有形媒体であってもよく、当該プログラムは指令実行システム、装置又はデバイスによって使用され、又はそれと結合して使用される。本実施例において、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンド中又はキャリア一の一部として伝播されるデータ信号を含んでもよく、コンピュータ可読プログラムが搭載される。このように伝播されるデータ信号に対して多種の形態を採用してもよく、電磁信号、光信号又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。コンピュータ可読信号媒体はさらに、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読記憶媒体であってもよく、当該コンピュータ可読信号媒体は指令実行システム、装置又はデバイスによって使用されるか、又はそれと結合して使用されるプログラムを送信、伝播又は伝送できる。コンピュータ可読記憶媒体に含まれるコンピュータプログラムは任意の適切な媒体で伝送でき、ワイヤー、光ケーブル、RF(無線周波数)、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0045】
上記コンピュータ可読記憶媒体は1つ又は複数のプログラム設計言語、或いはその組み合わせで、本実施例を実行するコンピュータプログラムを書き、上記のプログラム設計言語は、オブジェクト指向のプログラム設計言語、例えばJava、Smalltalk、C++、通常の手続き型プログラム設計言語、例えばC言語又は類似のプログラム設計言語を含む。プログラムは全部ユーザーコンピュータで実行されてもよいし、部分的にユーザーコンピュータで実行されてもよいし、個別のパッケージソフトとして実行されてもよいし、一部がユーザーコンピュータで、他の一部がリモートコンピュータで実行されてもよいし、又は全部的にリモートコンピュータ又はサーバーで実行されてもよい。リモートコンピュータに関する場合、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域エリアネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザーコンピュータに接続され、又は外部コンピュータに接続される(例えば、インターネットサービスプロバイダーを使用してインターネットを介して接続される)。
【0046】
以上のように、本発明において、実験室で高圧ケーブル付属品損傷サンプルをシミュレーションすることで、超音波導波信号を取得して、当該超音波導波信号の時間周波数特性によって、高圧ケーブル付属品損傷認識ネットワークモデルの訓練を完成し、さらに、高圧ケーブル付属品損傷の認識を実現し、高圧ケーブル付属品の正確な検出及び適時なメンテナンスに寄与する。
【0047】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本発明に開示された範囲内で、本発明の技術案及びその発明構想に基づいて完成した均等な置換又は変更は、何れも本発明特許の保護範囲に属している。