IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日置電機株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045032
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】検出システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/54 20200101AFI20240326BHJP
【FI】
G01R31/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143973
(22)【出願日】2023-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2022149275
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺島 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄太
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA13
2G014AB55
2G014AB61
(57)【要約】
【課題】巻回型電池の電極タブの接続良否を精度よく検出することができる検出システム及び検出方法を提供する。
【解決手段】検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システム1であって、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間に電流を供給する給電部22と、巻回型電池Aへの電流供給による磁界を検出する検出部4と、磁界の大きさに基づいて接続部分の接続良否を判定する処理部24と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システムであって、
前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の給電又は放電を行う給電部又は放電部と、
前記巻回型電池への給電又は前記巻回型電池からの放電による磁界関連パラメータを検出する検出部と、
検出された前記磁界関連パラメータに基づいて前記接続部分の接続良否を判定する処理部と、を備える、
検出システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、前記磁界関連パラメータの絶対値が所定の閾値以下である場合に、前記接続部分の接続を良好と判定し、前記磁界関連パラメータの絶対値が所定の閾値よりも大きい場合に、前記接続部分の接続を不良と判定する、
検出システム。
【請求項3】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記給電部は、前記巻回型電池の前記正極タブと前記巻回型電池の前記負極タブとの間に直流電流を供給し、
前記検出部は、
前記巻回型電池に近接して設けられるとともに磁界を検出する第1検出部と、
前記第1検出部よりも前記巻回型電池から離間して設けられるとともに外部磁界を検出する第2検出部と、を有し、
前記処理部は、検出された前記磁界及び前記外部磁界に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する、
検出システム。
【請求項4】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記給電部又は前記放電部と前記正極タブ又は前記負極タブとを接続させた、4端子対測定構造配線、ツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された電流配線をさらに備える、
検出システム。
【請求項5】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出部と前記処理部とを接続させた4端子対測定構造配線、ツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された検出配線をさらに備える、
検出システム。
【請求項6】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出部は、前記巻回型電池の巻回方向に電流が流れることにより発生した磁界を検出する、
検出システム。
【請求項7】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間に前記給電部が接続されている場合に、
前記給電部は、前記巻回型電池の前記正極タブと前記巻回型電池の前記負極タブとの間に交流電流を供給し、
前記検出部は、前記交流電流に同じ周波数成分の磁界を検出し、
前記処理部は、前記周波数成分の前記磁界に基づいて、前記接続部分の接続良否を判定する、
検出システム。
【請求項8】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池は、ケースに封止され、
前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間に前記給電部が接続されている場合に、
前記給電部は、前記巻回型電池の前記正極タブと前記巻回型電池の前記負極タブとの間に交流電流を供給し、
前記交流電流の周波数は、10kHz以下である、
検出システム。
【請求項9】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記磁界関連パラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、前記磁界関連パラメータが大きいほど、接続不良の前記電極タブが前記外部電極寄りであることを特定する、
検出システム。
【請求項10】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記磁界関連パラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、前記磁界関連パラメータの向きに基づいて、接続不良の前記電極タブの正負を特定する、
検出システム。
【請求項11】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記処理部は、検出された前記磁界関連パラメータの大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、前記磁界関連パラメータの大きさ及び前記磁界関連パラメータの向きに基づいて、接続不良の前記電極タブを特定する、
検出システム。
【請求項12】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記給電部と前記処理部とは、一体形成されている、
検出システム。
【請求項13】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池に振動又は衝撃を印加する印加機構をさらに備え、
前記検出部は、前記巻回型電池に振動又は衝撃が印加されていない状態における前記磁界関連パラメータとしての第1磁界関連パラメータと、前記巻回型電池に振動又は衝撃が印加された状態における前記磁界関連パラメータとしての第2磁界関連パラメータと、を検出し、
前記処理部は、検出された前記第1磁界関連パラメータ及び前記第2磁界関連パラメータに基づいて前記接続部分の接続良否を判定する、
検出システム。
【請求項14】
請求項13に記載の検出システムであって、
前記処理部は、
前記第2磁界関連パラメータに基づいて磁界変動波形を取得し、前記磁界変動波形と正常波形との相関量を算出し、
前記磁界関連パラメータの絶対値が第1閾値以下であり、かつ、前記相関量が第2閾値以上である場合に、前記接続部分の接続を良好と判定し、
前記第1磁界関連パラメータの絶対値が第1閾値よりも大きい場合、又は、前記相関量が第2閾値よりも小さい場合に、前記接続部分の接続を不良と判定する、
検出システム。
【請求項15】
請求項13に記載の検出システムであって、
前記印加機構は、周波数が可変な振動を前記巻回型電池に印加し、
前記処理部は、
前記第2磁界関連パラメータに基づいて磁界変動パラメータを周波数ごとに取得し、前記磁界変動パラメータと正常パラメータとの相関量を周波数ごとに算出し、
前記第1磁界関連パラメータの絶対値が第1閾値以下であり、かつ、すべての周波数において前記相関量が第2閾値以上である場合に、前記接続部分の接続を良好と判定する、
検出システム。
【請求項16】
請求項15に記載の検出システムであって、
前記巻回型電池に印加された振動の周波数を検出する周波数検出部をさらに備え、
前記検出部は、前記第2磁界関連パラメータを検出された周波数ごとに検出する、
検出システム。
【請求項17】
請求項1に記載の検出システムであって、
前記検出部は、前記磁界関連パラメータを複数の検出箇所で検出し、
前記処理部は、
複数の前記検出箇所の位置情報と、複数の前記検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の前記磁界関連パラメータとに基づいて、検出特性パラメータを生成し、前記検出特性パラメータと理想特性パラメータとの一致度を算出し、
前記一致度に基づいて前記接続部分の接続良否を判定する、
検出システム。
【請求項18】
請求項17に記載の検出システムであって、
前記処理部は、前記一致度が一致度閾値以上である場合に前記接続部分の接続を良好と判定し、前記一致度が一致度閾値よりも小さい場合に前記接続部分の接続を不良と判定する、
検出システム。
【請求項19】
巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、
前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の給電又は放電を行う給電又は放電ステップと、
前記巻回型電池への給電又は前記巻回型電池からの放電による磁界関連パラメータを検出する検出ステップと、
検出された前記磁界関連パラメータに基づいて前記接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻回型電池の電極タブの接続良否を検出する検出システム及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状の集電体上に電極活性物質を形成した正極電極と負極電極とをセパレータを介して積層したものを巻回した巻回型電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-008709号公報
【0004】
そして、特許文献1に記載の発明では、複数の電極タブ(具体的には、正極タブ及び負極タブ)を外部電極へ接続させる際に、接続不良が発生しやすい。
【0005】
従来、このような接続不良を検出する方法として、巻回型電池の内部抵抗を検出し、検出された内部抵抗によって接続良否が判定されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の検出方法では、巻回型電池の内部抵抗のうち電極の接触抵抗が占める割合は、極めて小さいため、接続不良を精度よく検出することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、巻回型電池の電極タブの接続良否を精度よく検出することができる検出システム及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある一つの態様によれば、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システムであって、前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の給電又は放電を行う給電部又は放電部と、前記巻回型電池への給電又は前記巻回型電池からの放電による磁界関連パラメータを検出する検出部と、検出された前記磁界関連パラメータに基づいて前記接続部分の接続良否を判定する処理部と、を備える検出システムが提供される。
【0009】
本発明の他の態様によれば、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、前記巻回型電池の正極タブと前記巻回型電池の負極タブとの間の給電又は放電を行う給電又は放電ステップと、前記巻回型電池への給電又は前記巻回型電池からの放電による磁界関連パラメータを検出する検出ステップと、検出された前記磁界関連パラメータに基づいて前記接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、巻回型電池の複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る巻回型電池の構成を示す概略断面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る検出システムの各構成を示す概略説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る検出システムを構成する検出装置の各構成を示すブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る検出システムによる検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
図5A図5Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図5B図5Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図6A図6Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図6B図6Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図7A図7Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図7B図7Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図8A図8Aは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図8B図8Bは、巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図9図9は、変形例に係る検出システムの各構成を示す概略説明図である。
図10A図10Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図10B図10Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図11A図11Aは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略展開図である。
図11B図11Bは、変形例の巻回型電池における複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブの接続不良を示す概略斜視図である。
図12図12は、第2実施形態に係る検出システムの各構成を示す概略説明図である。
図13図13は、第2実施形態に係る検出システムによる検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
図14図14は、第2実施形態の変形例に係る検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
図15図15は、第3実施形態に係る検出システムの各構成を示す概略説明図である。
図16図16は、第3実施形態に係る複数の検出箇所の一例を示す概略説明図である。
図17図17は、第3実施形態に係る検出システムによる検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
図18図18は、理想特性グラフ、良好品特性グラフ及び不良品特性グラフの三者を示す比較グラフである。
図19図19は、一致度の算出の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0013】
[第1実施形態]
以下、図1から図11Bを参照しながら第1実施形態に係る巻回型電池A、検出システム1及び検出方法について説明する。
【0014】
[巻回型電池の構成]
まず、図1を参照しながら第1実施形態に係る検出対象としての巻回型電池Aの構成について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態に係る巻回型電池Aの構成を示す概略断面図である。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態に係る巻回型電池Aは、シート状の正極層Bとシート状の負極層Cとを絶縁体としてのセパレータ(図示を省略する)を介して積層して巻回したリチウムイオン電池である。巻回型電池Aは、ケース(図示しない)に封止されて使用される。なお、セパレータは、正極層Bと負極層Cとの間の短絡を阻止するものの、正極層Bと負極層Cとの間の電子移動を許容している。
【0017】
巻回型電池Aは、一端に設けられた正極タブ群B1と、正極タブ群B1と干渉しない(すなわち、正極タブ群B1から離間する)ように一端に設けられた負極タブ群C1と、を備える。正極タブ群B1は、巻回された各正極層Bの一端から突出するとともに巻回型電池Aの肉厚方向に沿って整列されるように設けられた複数の正極タブB11を接合(具体的には、溶接)して構成されている。また、同様に、負極タブ群C1は、巻回された各負極層の一端から突出するとともに巻回型電池Aの肉厚方向に沿って整列されるように設けられた複数の負極タブC11を接合(具体的には、溶接)して構成されている。
【0018】
正極タブ群B1及び負極タブ群C1は、接合(具体的には、溶接)によりそれぞれ外部電極としてのシート状の第1外部電極D1及び外部電極としてのシート状の第2外部電極D2と接続されている。第1実施形態では、第1外部電極D1の片面としての上面及び第2外部電極D2の片面としての上面は、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も外周側に位置する負極タブC11の下面と接続されている。
【0019】
そして、巻回型電池Aにおける複数の電極タブ(具体的には、正極タブB11及び負極タブC11)と外部電極(具体的には、第1外部電極D1及び第2外部電極D2)とが接合(例えば、溶接)により接続された接続部分には、接続不良が発生しやすい。そこで、発明者が鋭意研究した結果、このような接続部分の接続良否を精度よく検出することができる検出システム1(図2参照)及び検出システム1による検出方法が発明された。なお、検出システム1及び検出方法の詳細については後述する。
【0020】
[検出システムの構成]
次に、図2及び図3を参照しながら第1実施形態に係る検出システム1について説明する。
【0021】
図2は、第1実施形態に係る検出システム1の各構成を示す概略説明図である。図3は、第1実施形態に係る検出システム1を構成する検出装置2の各構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、第1実施形態に係る検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブ(具体的には、正極タブB11及び負極タブC11)と外部電極(具体的には、第1外部電極D1及び第2外部電極D2)とが接続された接続部分の接続良否を検出するシステムである。検出システム1は、検出装置2、電流配線3、検出部4及び検出配線5を備える。
【0023】
図3に示すように、検出装置2は、入力インタフェース21、給電部22、記憶部23、処理部24及び報知部としての表示部25を有する。第1実施形態では、給電部22、記憶部23、処理部24及び表示部25は、検出装置2に内蔵されるように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ別体に形成されてもよい。そして、給電部22、記憶部23、処理部24及び表示部25が検出装置2に内蔵された場合に、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0024】
入力インタフェース21には、検出部4により検出された検出結果が入力される。入力インタフェース21は、検出部4からの検出結果を処理部24に出力する。
【0025】
給電部22は、第1外部電極D1及び第2外部電極D2を介して、電流(具体的には、あらかじめ記憶部23に記憶された所定の直流電流)を巻回型電池Aの正極タブ群B1(すなわち、複数の正極タブB11)と巻回型電池Aの負極タブ群C1(すなわち、複数の負極タブC11)との間に供給する。
【0026】
記憶部23は、処理部24において実行される処理プログラム及びアルゴリズムプログラムを記憶している。また、記憶部23は、入力インタフェース21を介して検出部4により検出された検出結果を一時的に記憶する。第1実施形態では、記憶部23は、処理部24とは別体に設けられているが、これに限定されるものではなく、処理部24に内蔵されてもよい。
【0027】
さらに、記憶部23は、巻回型電池Aの正極タブ群B1と巻回型電池Aの負極タブ群C1との間に供給される所定の直流電流と、処理部24による接続良否の判定処理に用いられる所定の閾値と、接続不良の電極タブの特定処理に用いられるテーブルと、を記憶している。なお、当該テーブルは、複数の磁界の大きさ範囲、複数の磁界の大きさ範囲に対応する磁界の向き(正又は負)及び両者に対応する複数の接続不良の電極タブから構成されている。
【0028】
処理部24は、検出部4からの検出結果に基づいて接続部分(具体的には、電極タブ)の接続良否を判定し、その判定結果を表示部25に出力する。そして、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定した場合に、接続不良の電極タブを特定し、その特定結果を表示部25に出力する。また、第1実施形態では、処理部24は、コンピュータとしてのCPUにより構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、例えば、複数のマイクロコンピュータにより構成されてもよい。なお、処理部24の詳細については後述する。
【0029】
表示部25は、処理部24から出力された判定結果を報知させる手段又は判定結果を表示させるディスプレイである。第1実施形態では、報知部は、表示部25から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、スピーカから構成されてもよい。
【0030】
図2に戻ると、電流配線3は、検出装置2の給電部22と正極タブ群B1(すなわち、複数の正極タブB11)とを接続させた第1電流配線31と、給電部22と負極タブ群C1(すなわち、複数の負極タブC11)とを接続させた第2電流配線32と、を有する。
【0031】
第1電流配線31は、一端が給電部22の一端に接続されるとともに他端が第1外部電極D1を介して正極タブ群B1に接続されている。同様に、第2電流配線32は、一端が給電部22の他端に接続されるとともに他端が第2外部電極D2を介して負極タブ群C1に接続されている。
【0032】
外部磁界の発生を抑制する観点から、第1電流配線31及び第2電流配線32は、磁気シールド配線から構成されることが好ましい。この場合に、他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。一方、第1電流配線31及び第2電流配線32は、磁気シールド配線ではなく、4端子対測定構造配線、ツイスト配線、又は同軸配線から構成されてもよい。
【0033】
検出部4は、巻回型電池Aへの電流供給による磁界関連パラメータとしての磁界を検出する。検出部4は、巻回型電池Aに近接して設けられるとともに磁界(具体的には、外部磁界を含む磁界)としての第1磁界を検出する第1検出部としての第1検出センサ41と、第1検出センサ41よりも巻回型電池Aから離間して設けられるとともに外部磁界としての第2磁界を検出する第2検出部としての第2検出センサ42と、を有する。
【0034】
第1検出センサ41は、巻回型電池Aの軸線方向における第1磁界を検出するセンサであり、第2検出センサ42は、巻回型電池Aの軸線方向における第2磁界を検出するセンサである。これにより、外部磁界等によるノイズの発生を抑制するとともに検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0035】
また、第1検出センサ41及び第2検出センサ42は、いずれも巻回型電池Aの一端側又は他端側に設けられている。これにより、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による第1磁界及び第2磁界を精度よく検出することができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。第1実施形態では、第1検出センサ41及び第2検出センサ42は、それぞれ巻回型電池Aの一端側(すなわち、電極タブが設けられた側)及び巻回型電池Aの他端側(すなわち、電極タブが設けられていない側)に設けられている。
【0036】
検出配線5は、検出部4と処理部24とを接続させた配線である。具体的には、検出配線5は、第1検出センサ41と処理部24とを接続させた第1検出配線51と、第2検出センサ42と処理部24とを接続させた第2検出配線52と、を有する。
【0037】
外部からの磁界を拾いづらい観点から、第1検出配線51及び第2検出配線52は、磁気シールド配線から構成されることが好ましい。の場合に、他の磁気シールド手段を別途設ける必要がなく、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。一方、第1検出配線51及び第2検出配線52は、磁気シールド配線ではなく、4端子対測定構造配線、ツイスト配線、又は同軸配線から構成されてもよい。
【0038】
[検出システムによる検出方法]
次に、図4から図8Bを参照しながら、第1実施形態に係る検出方法について説明する。
【0039】
図4は、第1実施形態に係る検出システム1による検出方法の各ステップを示すフローチャートである。図5Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブB11_6の接続不良を示す概略展開図である。図5Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する単一の正極タブB11_1の接続不良を示す概略斜視図である。図6Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略展開図である。図6Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6の接続不良を示す概略斜視図である。図7Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブC11_1の接続不良を示す概略展開図である。図7Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する単一の負極タブC11_1の接続不良を示す概略斜視図である。図8Aは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3の接続不良を示す概略展開図である。図8Bは、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3の接続不良を示す概略斜視図である。なお、図5A図6A図7A及び図8Aに示すように、一例として、接続部分の接続良否が検出される巻回型電池Aは、それぞれ内周側から外周側へ向かって順に6つの正極タブB11_1~B11_6及び6つの負極タブC11_1~C11_6を有する。また、図5A図6A図7A及び図8Aに示すように、正極層B及び負極層Cに描かれた矢印は、電子の向きを示している。
【0040】
検出装置2のスイッチがユーザによりオフからオンに切り替えられると、検出システム1による検出方法の各ステップが実行される。
【0041】
図4に示すように、まず、ステップS1において、給電部22は、所定の直流電流を電流配線3を介して巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11の間に供給し、ステップS2に進む。すると、接続部分(具体的には、電極タブ)の接続不良が発生した場合には、巻回型電池Aの巻回方向に電流が流れているため(図5B図6B図7B及び図8B参照)、その周囲に磁界が発生している。一方、接続部分(具体的には、電極タブ)の接続不良が発生していない場合には、巻回型電池Aの巻回方向に電流が流れることはないか、或いは、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流は、微弱であるため、その周囲に磁界が発生していない。
【0042】
次に、ステップS2において、第1検出センサ41及び第2検出センサ42は、それぞれ巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による第1磁界及び第2磁界を検出する。そして、第1検出センサ41及び第2検出センサ42は、検出した第1磁界及び第2磁界を入力インタフェース21を介して処理部24に出力し、ステップS3に進む。
【0043】
次に、ステップS3において、処理部24は、第1検出センサ41及び第2検出センサからそれぞれ出力された第1磁界及び第2磁界に基づいて外部磁界を除去し、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流のみによる磁界としての第3磁界を算出し、ステップS4に進む。
【0044】
第1実施形態では、ステップS3において、処理部24は、第1磁界と第2磁界との差分に基づいて外部磁界を除去し、第3磁界を算出する。これにより、外部磁界による接続良否の判定への影響を除去することができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。しかしながら、ステップS3において、処理部24は、これに限定されるものではなく、例えば、第1検出センサ41及び第2検出センサ42がそれぞれ巻回型電池Aの一端側及び巻回型電池Aの他端側に設けられた場合に、第1磁界及び第2磁界の加算に基づいて、外部磁界を除去し、第3磁界を算出してもよい。
【0045】
次に、ステップS4において、処理部24は、算出した第3磁界に基づいて接続部分(具体的には、複数の正極タブB11及び複数の負極タブC11)の接続良否を判定する。
【0046】
具体的には、ステップS4において、処理部24は、第3磁界の大きさ(絶対値)とあらかじめ記憶部23に記憶された所定の閾値(ゼロより大きい値)とに基づいて接続部分の接触良否を判定する。そして、第3磁界の大きさが所定の閾値よりも大きい場合(Yesの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS5に進む。一方、第3磁界の大きさが所定の閾値以下である場合(Noの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を良好と判定し、判定した接続部分の良好を表示部25に通知し、ステップS7に進む。これにより、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流のみによる磁界を接続部分の接続良否の判定に用いることで、巻回型電池Aの抵抗値の測定によらず、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0047】
次に、ステップS5において、処理部24は、第3磁界の大きさ及び第3磁界の向きに基づいて、接続不良の電極タブを特定する。そして、処理部24は、特定した接続不良の電極タブを表示部25に出力し、ステップS6に進む。
【0048】
具体的には、ステップS5において、処理部24は、第3磁界の大きさ、第3磁界の向き(正又は負)及びあらかじめ記憶部23に記憶されたテーブルに基づいて、接続不良の電極タブを特定する。より具体的には、ステップS5において、処理部24は、第3磁界の大きさ、第3磁界の向き及びテーブルに基づいて、第3磁界の大きさ及び第3磁界の向きの両方と合致する接続不良の電極タブをテーブルから特定する。これにより、接続不良の電極タブを容易に特定することができる。
【0049】
図5A及び図5Bに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極と外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する正極タブB11_6に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aの時計回り(内巻回方向)に流れる比較的小さい電流I1が発生するとともに、当該電流I1による巻回型電池Aの軸線正方向の比較的小さい磁束φ1(すなわち、第3磁界)が発生している。なお、ここでは、軸線正方向とは、巻回型電池Aの一端側から巻回型電池Aの他端側へ向かう方向であり、単に正方向ともいう。
【0050】
一方、図6A及び図6Bに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の正極タブB11_4~B11_6に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aの時計回り(内巻回方向)に流れる電流I1よりも大きい電流I2が発生するとともに、当該電流I2による巻回型電池Aの軸線正方向の磁束φ1よりも大きい磁束φ2(すなわち、第3磁界)が発生している。
【0051】
また、図7A及び図7Bに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も内周側に位置する負極タブC11_1に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aの時計回り(内巻回方向)に流れる比較的小さい電流I3が発生するとともに、当該電流I3による巻回型電池Aの正方向の比較的小さい磁束φ3(すなわち、第3磁界)が発生している。
【0052】
一方、図8A及び図8Bに示すように、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の内周側に位置する複数の負極タブC11_1~C11_3に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aの時計回り(内巻回方向)に流れる電流I3よりも大きい電流I4が発生するとともに、当該電流I4による巻回型電池Aの正方向の磁束φ3よりも大きい磁束φ4(すなわち、第3磁界)が発生している。
【0053】
そして、図5Aから図6B又は図7Aから図8Bに示すように、処理部24は、第3磁界が大きいほど、接続不良の電極タブを外部電極寄りであることを特定する。これにより、整列された複数の電極タブのうち接続不良の電極タブの位置を概ね特定することができる。
【0054】
また、図5Aから図8Bに示すように、処理部24は、第3磁界の向きに基づいて、接続不良の電極タブの正負を特定する。これにより、接続不良の電極タブの正負を容易に特定することができる。
【0055】
次に、ステップS6において、表示部25は、処理部24から出力された接続不良の電極タブを表示し、本処理を終了させる。これにより、ユーザは、接続不良の発生及び接続不良の電極タブを容易に把握することができる。
【0056】
一方、ステップS7において、表示部25は、処理部24から通知された接続部分の接続良好を表示し、本処理を終了させる。これにより、ユーザは、接続部分の接続良好を容易に把握することができる。
【0057】
[第1実施形態による作用効果]
次に、第1実施形態による主な作用効果について説明する。
【0058】
第1実施形態に係る検出システム1は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出システム1であって、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の給電を行う給電部22と、巻回型電池Aへの給電による磁界を検出する検出部4と、検出された磁界の大きさに基づいて接続部分の接続良否を判定する処理部24と、を備える。
【0059】
第1実施形態に係る検出方法は、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の接続良否を検出する検出方法であって、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間の給電を行う給電ステップと、巻回型電池Aへの給電による磁界を検出する検出ステップと、検出された磁界の大きさに基づいて接続部分の接続良否を判定する判定ステップと、を有する。
【0060】
これらの構成によれば、巻回型電池Aの複数のタブから構成される正極タブB11と巻回型電池Aの複数のタブから構成される負極タブC11との間の給電を行うことにより、巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分に接続不良が発生した場合に、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流を発生させることができる。そして、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による磁界を検出して接続部分の接続良否の判定に用いることで、巻回型電池Aの抵抗値の測定によらず、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、処理部24は、磁界の大きさ(絶対値)が所定の閾値以下である場合に、接続部分の接続を良好と判定し、磁界の大きさ(絶対値)が所定の閾値よりも大きい場合に、接続部分の接続を不良と判定する。
【0062】
この構成によれば、所定の閾値を用いることで、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0063】
また、第1実施形態では、給電部22は、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間に直流電流を供給し、検出部4は、巻回型電池Aに近接して設けられるとともに磁界を検出する第1検出センサ41と、第1検出センサよりも巻回型電池Aから離間して設けられるとともに外部磁界を検出する第2検出センサ42と、を有し、処理部24は、検出された磁界及び外部磁界に基づいて接続部分の接続良否を判定する。
【0064】
この構成によれば、外部磁界による接続良否の判定への影響を除去することができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、検出システム1は、給電部22と正極タブB11又は負極タブC11とを接続させた4端子対測定構造配線、ツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された電流配線3をさらに備える。
【0066】
この構成によれば、外部磁界の発生を抑制することができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、検出システム1は、検出部4と処理部24とを接続させた4端子対測定構造配線、ツイスト配線、同軸配線又は磁気シールド配線から構成された検出配線5をさらに備える。
【0068】
この構成によれば、外部からの磁界を拾いづらくなるので、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、検出部4は、巻回型電池Aの巻回方向に電流が流れることにより発生した磁界を検出する。
【0070】
この構成によれば、外部磁界等によるノイズの発生を抑制するとともに検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、処理部24は、検出された磁界(磁界関連パラメータ)の大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、磁界(磁界関連パラメータ)が大きいほど、接続不良の電極タブを外部電極寄りであることを特定する。
【0072】
この構成によれば、整列された複数の電極タブのうち接続不良の電極タブの位置を概ね特定することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、処理部24は、検出された磁界(磁界関連パラメータ)の大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、磁界(磁界関連パラメータ)の向きに基づいて、接続不良の電極タブの正負を特定する。
【0074】
この構成によれば、接続不良の電極タブの正負を容易に特定することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、処理部24は、検出された磁界(磁界関連パラメータ)の大きさが所定の閾値よりも大きい場合に、磁界(磁界関連パラメータ)の大きさ及び磁界(磁界関連パラメータ)の向きに基づいて、接続不良の前記電極タブを特定する。
【0076】
この構成によれば、接続不良の電極タブを容易に特定することができる。
【0077】
また、第1実施形態では、給電部22と処理部24とは、一体形成されている。
【0078】
この構成によれば、検出システム1全体の簡素化を図ることができる。
【0079】
[第1実施形態の変形例]
次に、図9から図11Bを参照しながら変形例に係る検出システム1について説明する。
【0080】
図9は、変形例に係る検出システム1の各構成を示す概略説明図である。図10Aは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6の接続不良を示す概略展開図である。図10Bは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6の接続不良を示す概略斜視図である。図11Aは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6の接続不良を示す概略展開図である。図11Bは、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6の接続不良を示す概略斜視図である。なお、図10A及び図11Aに示すように、一例として、接続部分の接続良否が検出される巻回型電池Aは、それぞれ内周側から外周側へ向かって順に6つの正極タブB11_1~B11_6及び6つの負極タブC11_1~C11_6を有する。また、図10A及び図11Aに示すように、正極層B及び負極層Cに描かれた矢印は、電子の向きを示している。さらに、変形例では、上述した第1実施形態と同様の点については省略し、主に上述した第1実施形態と相違する点について説明する。
【0081】
上述した第1実施形態では、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間には、電流を供給する給電部22が接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、巻回型電池Aを放電させるための放電部としての抵抗6(図9参照)が接続されてもよい。
【0082】
この場合に、巻回型電池Aを放電させることにより、上述した第1実施形態と同様に、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流を発生させることができる。そして、上述した第1実施形態と同様に、検出部4は、巻回型電池Aの巻回方向に電流が流れることにより発生した磁界を検出することができる。
【0083】
また、上述した第1実施形態では、検出部4は、第1検出センサ41及び第2検出センサ42から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、第1検出センサ41のみから構成されてもよいし、検出センサの代わりにソレノイドコイルから構成されてもよい。
【0084】
また、上述した第1実施形態では、給電部22は、所定の直流電流を巻回型電池Aに供給しているが、これに限定されるものではなく、例えば、交流電流を巻回型電池Aに供給してもよい。この場合に、処理部24は、検出部4が検出した磁界と給電部22による交流電流との比とテーブルとに基づいて、接続部分の接続良否を判定する。この場合に、テーブルは、磁界と交流電流との比の大きさ範囲、磁界の向き及び両者に対応する複数の接続不良の電極タブから構成されている。
【0085】
また、この場合に、検出部4は、給電部22から供給される交流電流に同じ周波数成分の磁界を検出する。そして、処理部24は、周波数成分の磁界に基づいて、接続部分の接続良否を判定する。例えば、処理部24は、ロックインアンプを含み、具体的には、交流電流に同じ周波数成分の磁界は、ノイズがロックインアンプにより除去される。そして、処理部24は、ノイズが除去された周波数成分の磁界(周波数成分の磁界の大きさ及び周波数成分の磁界の向き)に基づいて、接続部分の接続良否を判定する。
【0086】
この変形例によれば、直流電流の代わりに交流電流を巻回型電池Aに供給することで、直流電流を巻回型電池Aに供給する場合に比べ、外部磁界等(例えば、地磁界)によるノイズの発生を抑制するとともに検出精度を向上させることができるため、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0087】
さらに、給電部22は、ケースに封止された巻回型電池Aに交流電流を供給する場合に、交流電流の周波数は、10kHz以下であることが好ましい。なぜならば、交流電流を高周波数とすると、ケースによる磁気シールド効果で、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による磁界をケースの外部から検出できなくなるおそれがあるからである。
【0088】
また、上述した第1実施形態では、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も外周側に位置する負極タブC11の下面と接続されている。しかしながら、第1外部電極D1及び第2外部電極D2は、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ正極タブ群B1のうちの最も内周側に位置する正極タブB11の下面及び負極タブ群C1のうちの最も内周側に位置する負極タブC11の上面と接続されてもよい(図10Aから図11B参照)。
【0089】
この場合に、図10A及び図10Bに示すように、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極と外部電極とが接続された接続部分の最も外周側に位置する負極タブC11_6に接続不良が発生した場合に、変形例の巻回型電池Aの反時計回り(外巻回方向)に流れる比較的小さい電流I5が発生するとともに、当該電流I5による変形例の巻回型電池Aの軸線負方向の比較的小さい磁束φ5(すなわち、第3磁界)が発生している。ここでは、軸線負方向とは、巻回型電池Aの他端側から巻回型電池Aの一端側へ向かう方向であり、単に負方向ともいう。
【0090】
一方、図11A及び図11Bに示すように、変形例の巻回型電池Aにおける複数の電極タブと外部電極とが接続された接続部分の外周側に位置する複数の負極タブC11_4~C11_6に接続不良が発生した場合に、変形例の巻回型電池Aの反時計回り(外巻回方向)に流れる電流I5よりも大きい電流I6が発生するとともに、当該電流I6による変形例の巻回型電池Aの負方向の磁束φ5よりも大きい磁束φ6(すなわち、第3磁界)が発生している。
【0091】
[第2実施形態]
以下、図12及び図13を参照しながら第2実施形態に係る検出システム1及び検出方法について説明する。なお、第2実施形態では、上述した第1実施形態と一致する点について省略し、主に上述した第1実施形態と相違する点について説明する。
【0092】
[検出システムの構成]
まず、図12を参照しながら第2実施形態に係る検出システム1について説明する。
【0093】
図12は、第2実施形態に係る検出システム1の各構成を示す概略説明図である。
【0094】
上述した第1実施形態では、検出システム1は、検出装置2、電流配線3、検出部4及び検出配線5を備えるのに対し、図12に示すように、第2実施形態では、検出システム1は、検出装置2、電流配線3、検出部4及び検出配線5の他、印加機構としての振動台7をさらに備える。なお、第2実施形態では、印加機構は、振動台7から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、巻回型電池Aに衝撃を印加する機能を有する機構から構成されてもよい。
【0095】
図12に示すように、振動台7には、巻回型電池Aが固定されている。これにより、振動台7は、所定の振幅及び所定の周波数の振動を巻回型電池Aに印加することができる。そして、振動台7と検出装置2とは、電気的に接続されている。これにより、振動台7の動作を検出装置2の処理部24(図3参照)により制御することができる。
【0096】
なお、第2実施形態では、振動台7は、処理部24により制御されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、振動台7に内蔵されたコントローラにより制御されるように構成されてもよい。
【0097】
また、上述した第1実施形態では、検出装置2の記憶部23は、所定の直流電流、所定の閾値及びテーブルを記憶しているのに対し、第2実施形態では、記憶部23は、所定の直流電流、所定の閾値と同じである第1閾値及びテーブルの他、振動台7の動作に用いられる所定の周波数、処理部24による接続良否の判定処理に用いられる正常パラメータとしての正常波形及び第2閾値をさらに記憶している(図3参照)。
【0098】
[検出システムによる検出方法]
次に、図13を参照しながら第2実施形態に係る検出システム1による検出方法について説明する。
【0099】
図13は、第2実施形態に係る検出システム1による検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
【0100】
上述した第1実施形態では、検出システム1による検出方法は、ステップS1からステップS7を含むのに対し、図13に示すように、第2実施形態では、検出方法は、ステップS101からステップS111を含む。なお、第2実施形態におけるステップS101からステップS103及びステップS109からステップS111は、それぞれ、第1実施形態におけるステップS1からステップS3及びステップS5からステップS7とは一致するため、これらの説明を省略する。
【0101】
図13に示すように、ステップS104において、処理部24は、第3磁界の大きさ(絶対値)があらかじめ記憶部23に記憶された第1閾値(ゼロより大きい値)よりも大きいか否かを判定する。そして、第3磁界の大きさが所定の閾値よりも大きい場合(Yesの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS109に進む。一方、第3磁界の大きさが第1閾値以下である場合(Noの場合)に、ステップS105に進む。
【0102】
次に、ステップS105において、振動台7は、所定の周波数を有する振動を巻回型電池Aに印加する。具体的には、ステップS105において、処理部24は、振動台7を振動させるための制御信号を生成して振動台7に出力する。そして、振動台7は、処理部24から出力された制御信号に基づいて、所定の周波数を有する振動を巻回型電池Aに印加し、ステップS106に進む。
【0103】
次に、ステップS106において、第1検出センサ41は、巻回型電池Aに振動が印加された状態における第2磁界関連パラメータとしての振動時磁界を検出する。そして、第1検出センサ41は、検出した振動時磁界を入力インタフェース21を介して処理部24に出力し、ステップS107に進む。
【0104】
次に、ステップS107において、処理部24は、第1検出センサ41から出力された振動時磁界に基づいて磁界変動パラメータとしての磁界変動波形を取得する。そして、処理部24は、取得した磁界変動波形とあらかじめ記憶部23に記憶された正常波形との相関量を算出し、ステップS108に進む。なお、正常波形とは、例えば、振動時に第1検出センサ41により検出された、接続部分の接続が良好な場合の波形である。
【0105】
次に、ステップS108において、処理部24は、相関量に基づいて接続部分(具体的には、複数の正極タブB11及び複数の負極タブC11)の接続良否を判定する。
【0106】
具体的には、ステップS108において、処理部24は、相関量とあらかじめ記憶部23に記憶された第2閾値(ゼロより大きい値)とに基づいて接続部分の接触良否を判定する。そして、相関量が第2閾値よりも小さい場合(Yesの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS109に進む。一方、相関量が第2閾値以上である場合(Noの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を良好と判定し、判定した接続部分の良好を表示部25に通知し、ステップS111に進む。これにより、巻回型電池Aの抵抗値が低い状態であっても、接続部分の接続良否を精度よく検出することができるため、接続部分の接続良否を検出する検出精度をより向上させることができる。
【0107】
一方、ステップS104からステップS109に進む場合、すなわち、巻回型電池Aに振動を印加する前に処理部24が接続部分の接続を不良と判定した場合に、ステップS105からステップS108(すなわち、振動等のステップ)を飛ばすことができるため、検出システム1の検出精度を向上させながら検出システム1の動作の簡易化を図ることができる。
【0108】
[第2実施形態による作用効果]
次に、第2実施形態による主な作用効果について説明する。
【0109】
第2実施形態では、検出システム1は、給電部22、検出部4及び処理部24の他、巻回型電池Aに振動を印加する振動台7をさらに備え、検出部4は、巻回型電池Aに振動が印加されていない状態における磁界(第1磁界関連パラメータ)と、巻回型電池Aに振動が印加された状態における振動時磁界(第2磁界関連パラメータ)と、を検出し、処理部24は、検出された磁界及び振動時磁界に基づいて接続部分の接続良否を判定する。
【0110】
この構成によれば、巻回型電池Aに振動が印加されていない状態における磁界に加え、振動時磁界を接続部分の接続良否の判定に用いるため、巻回型電池Aの抵抗値が低い状態であっても、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。この結果、接続部分の接続良否を検出する検出精度をより向上させることができる。
【0111】
また、第2実施形態では、処理部24は、振動時磁界に基づいて磁界変動波形を取得し、磁界変動波形と正常波形との相関量を算出し、磁界の大きさ(絶対値)が第1閾値以下であり、かつ、相関量が第2閾値以上である場合に、接続部分の接続を良好と判定し、磁界の大きさ(絶対値)が第1閾値よりも大きい場合、又は、相関量が第2閾値よりも小さい場合に、接続部分の接続を不良と判定する。
【0112】
この構成によれば、第1閾値及び第2閾値の両方を用いることで、接続部分の接続良否をより精度よく検出することができる。
【0113】
[第2実施形態の変形例]
次に、図14を参照しながら第2実施形態の変形例に係る検出システム1及び検出方法について説明する。なお、本変形例では、上述した第2実施形態と一致する点について省略し、主に上述した第2実施形態と相違する点について説明する。
【0114】
図14は、第2実施形態の変形例に係る検出方法の各ステップを示すフローチャートである。
【0115】
上述した第2実施形態では、記憶部23は、所定の直流電流、単一の第1閾値、単一の所定の周波数、単一の第2閾値、単一の正常波形及びテーブルを記憶しているのに対し、本変形例では、所定の直流電流、単一の第1閾値、段階的に変化する複数の周波数、複数の第2閾値、複数の正常波形及びテーブルを記憶している。なお、複数の周波数、複数の第2閾値及び複数の正常波形は、それぞれ、関連付けられている。
【0116】
上述した第2実施形態では、検出方法は、ステップS101からステップS111を含むのに対し、本変形例では、ステップS201からステップS212を含む。なお、本変形例におけるステップS201からステップS204及びステップS210からステップS212は、それぞれ、第2実施形態におけるステップS101からステップS104及びステップS109からステップS111とは一致するため、これらの説明を省略する。
【0117】
図14に示すように、ステップS205において、振動台7は、特定された周波数を有する振動を巻回型電池Aに印加する。具体的には、ステップS205において、処理部24は、振動台7の周波数を特定し(例えば、最初、複数の周波数から最も周波数の小さい周波数を特定し、その後、周波数を大きい順で切り替えて特定し)、振動台7を特定した周波数により振動させるための制御信号を生成して振動台7に出力する。そして、振動台7は、処理部24から出力された制御信号に基づいて、特定された周波数を有する振動を巻回型電池Aに印加し、ステップS206に進む。
【0118】
次に、ステップS206において、第1検出センサ41は、周波数を特定した振動が巻回型電池Aに印加された状態における振動時磁界を検出する。そして、第1検出センサ41は、検出した振動時磁界を入力インタフェース21を介して処理部24に出力し、ステップS107に進む。
【0119】
次に、ステップS207において、処理部24は、第1検出センサ41から出力された振動時磁界に基づいて磁界変動波形を取得する。そして、処理部24は、取得した磁界変動波形と、特定された周波数と関連付けられた正常波形との相関量を算出し、ステップS208に進む。
【0120】
次に、ステップS208において、処理部24は、相関量が特定された周波数と関連付けられた第2閾値(ゼロより大きい値)よりも小さいか否かを判定する。そして、相関量が第2閾値よりも小さい場合(Yesの場合)に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS210に進む。一方、相関量が第2閾値以上である場合(Noの場合)に、ステップS209に進む。
【0121】
次に、ステップS209において、処理部24は、まだ特定されていない周波数があるか否かを判定する。そして、特定されていない周波数がある場合(Yesの場合)に、ステップS205に戻る。一方、特定されていない周波数がない場合(Noの場合)に、ステップS212に進む。
【0122】
すなわち、磁界の大きさ(絶対値)が第1閾値以下であり、かつ、すべての周波数において相関量が第2閾値以上である場合に、処理部24は、接続部分の接続を良好と判定する。逆に、複数の周波数のうちのいずれの相関量が第2閾値よりも小さい場合に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定する。これにより、巻回型電池Aを単一の周波数により振動させる場合に比べ、接続部分の接続良否を検出する検出精度をさらに向上させることができる。
【0123】
本変形例では、振動台7は、周波数が可変な振動を巻回型電池Aに印加し、処理部24は、振動時磁界(第2磁界関連パラメータ)に基づいて磁界変動波形を周波数ごとに取得し、磁界変動波形と正常波形との相関量を周波数ごとに算出し、磁界の大きさ(絶対値)が第1閾値以下であり、かつ、すべての周波数において相関量が第2閾値以上である場合に、接続部分の接続を良好と判定する。
【0124】
この構成によれば、巻回型電池Aを単一の周波数により振動させる場合に比べ、接続部分の接続良否を検出する検出精度をさらに向上させることができる。
【0125】
また、上述した第2実施形態では、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間には、電流を供給する給電部22が接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、巻回型電池Aを放電させるための抵抗6(図9参照)が接続されてもよい。
【0126】
また、上述した第2実施形態の変形例では、振動は、複数の周波数を段階的に変化しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ランダムに変化してもよい。この場合に、検出システム1は、巻回型電池Aに印加された振動の周波数を検出する周波数検出部(図示しない)をさらに備える。そして、検出部4は、磁界を検出された周波数ごとに検出する。
【0127】
[第3実施形態]
以下、図15から図19を参照しながら第3実施形態に係る検出システム1及び検出方法について説明する。なお、第3実施形態では、上述した第1実施形態と一致する点について省略し、主に上述した第1実施形態と相違する点について説明する。
【0128】
[検出システムの構成]
まず、図15及び図16を参照しながら第3実施形態に係る検出システム1について説明する。
【0129】
図15は、第3実施形態に係る検出システム1の各構成を示す概略説明図である。図16は、第3実施形態に係る複数の検出箇所の一例を示す概略説明図である。
【0130】
上述した第1実施形態では、検出部4は、第1検出センサ41及び第2検出センサ42から構成されているのに対し、図15に示すように、第3実施形態では、検出部4は、第1検出センサ41のみから構成されている。この場合に、図15の矢印で示すように、例えば、第1検出センサ41を移動させながら磁界を複数の検出箇所で検出する(図16)。
【0131】
なお、第3実施形態では、図16に示すように、複数(i)の検出箇所(具体的には、検出箇所P1,P2,…,Pi-1,Pi)は、それぞれ、複数の正極層Bと負極層Cとの間(真中)に位置するように鉛直方向に沿って所定の間隔(等間隔)を空けて配列されている。しかしながら、複数の検出箇所は、これに限定されるものではなく、例えば、水平方向に沿って間隔を空けて配列されるように構成されてもよいし、水平方向に対し傾斜する方向に沿って間隔を空けて配置されるように構成されてもよい。
【0132】
また、第3実施形態では、第1検出センサ41は、複数の検出箇所の間を移動しながら磁界を検出する単一の第1検出センサから構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、それぞれ、あらかじめ複数の検出箇所に設けられ磁界を検出する複数の第1検出センサから構成されてもよい。
【0133】
また、上述した第1実施形態では、検出装置2の記憶部23は、所定の直流電流、所定の閾値及びテーブルを記憶しているのに対し、第3実施形態では、記憶部23は、所定の直流電流の他、処理部24による接続良否の判定処理に用いられる理想特性パラメータとしての理想特性グラフMID(x)及び一致度閾値としての加算閾値をさらに記憶している。ここでは、理想特性グラフMID(x)は、理想状態において、複数(i)の検出箇所の位置情報(すなわち、基準位置と検出箇所との間の距離)と、複数(i)の検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の磁界関連パラメータとしての磁界MID(具体的には、磁束密度)とを示す特性曲線であり(図18参照)、ただし、x=1,2,…,i-1,iである。なお、第3実施形態では、基準位置は、最も下方に位置する検出箇所P1から構成されているが(図16参照)、これに限定されるものではなく、例えば、最も上方に位置する検出箇所Piから構成されてもよい。
【0134】
[検出システムによる検出方法]
次に、図17から図19を参照しながら第3実施形態に係る検出システム1による検出方法について説明する。
【0135】
図17は、第3実施形態に係る検出システム1による検出方法の各ステップを示すフローチャートである。図18は、理想特性グラフMID(x)、良好品特性グラフMOK(x)及び不良品特性グラフMNG(x)の三者を示す比較グラフであり、ただし、x=1,2,…,i-1,iである。なお、図18において、検出箇所の位置情報(mm)及び磁界M(具体的には、磁束密度/μT)をそれぞれ横軸及び縦軸としている。図19は、一致度の算出の一例を示す説明図であり、良好品の良好品特性グラフMOK(x)と理想特性グラフMID(x)との差分の絶対値の加算Σ|MOK(x)-MID(x)|、及び、不良品の不良品特性グラフMNG(x)と理想特性グラフMID(x)との差分の絶対値の加算Σ|MNG(x)-MID(x)|を示し、ただし、x=1,2,…,i-1,iである。なお、図19において、磁界M(具体的には、磁束密度/μT)を縦軸としている。
【0136】
上述した第1実施形態では、検出システム1による検出方法は、ステップS1からステップS7を含むのに対し、図17に示すように、第3実施形態では、検出方法は、ステップS31からステップS37を含む。なお、第3実施形態におけるステップS31及びステップS37は、それぞれ、第1実施形態におけるステップS1及びステップS7とは一致するため、これらの説明を省略する。
【0137】
図17に示すように、ステップS32において、第1検出センサ41は、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による磁界を複数の検出箇所で検出する。そして、第1検出センサ41は、検出した複数の磁界を入力インタフェース21を介して処理部24に出力し、ステップS33に進む。
【0138】
次に、ステップS33において、処理部24は、複数の検出箇所の位置情報と、第1検出センサ41から出力された複数の磁界(具体的には、複数の検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の磁界)とに基づいて検出特性パラメータとしての検出特性グラフを生成し、ステップS34に進む。
【0139】
ここでは、処理部24により生成された検出特性グラフは、図18に示すように、良好品特性グラフMOK(x)及び不良品特性グラフMNG(x)の両者を含む。なお、良好品特性グラフMOK(x)は、接続部分の接続が良好である状態において、複数(i)の検出箇所の位置情報と、複数(i)の検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の磁界MOKとを示す特性曲線である。不良品特性グラフMNG(x)は、接続部分の接続が不良である状態において、複数(i)の検出箇所の位置情報と、複数(i)の検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の磁界MNGとを示す特性曲線である。ただし、x=1,2,…,i-1,iである。
【0140】
次に、ステップS34において、処理部24は、生成した検出特性グラフ及び理想特性グラフMID(i)に基づいて両者の一致度(例えば、検出特性グラフと理想特性グラフMID(i)との差分の絶対値の加算、以下、単に「差分絶対値加算」ともいう)を算出し、ステップS35に進む。
【0141】
ここでは、処理部24により算出された検出特性グラフと理想特性グラフMID(x)との差分の絶対値の加算は、図19に示すように、良好品の良好品特性グラフMOK(x)と理想特性グラフMID(x)との差分の絶対値の加算Σ|MOK(x)-MID(x)|、及び、不良品の不良品特性グラフMNG(x)と理想特性グラフMID(x)との差分の絶対値の加算Σ|MNG(x)-MID(x)|を含み、ただし、x=1,2,…,i-1,iである。
【0142】
次に、ステップS35において、処理部24は、差分絶対値加算とあらかじめ記憶部23に記憶された加算閾値とに基づいて、接続部分の接続良否を判定する。
【0143】
そして、差分絶対値加算が加算閾値よりも大きい場合(Yesの場合)、すなわち、一致度が一致度閾値よりも小さい場合に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS36に進む。一方、差分絶対値加算が加算閾値以下である場合(Noの場合)、すなわち、一致度が一致度閾値以上である場合に、処理部24は、接続部分の接続を不良と判定し、ステップS37に進む。
【0144】
これにより、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による複数の検出箇所の磁界を接続部分の接続良否の判定に用いるため、接続部分の不良で発生する磁界が小さい場合であっても、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。この結果、接続部分の接続良否を検出する検出精度をより向上させることができる。
【0145】
次に、ステップS36において、表示部25は、処理部24から出力された電極タブの接続不良を表示し、本処理を終了させる。
【0146】
また、上述した第3実施形態では、検出特性パラメータと理想特性パラメータとの一致度は、上述した差分絶対値加算から実現されているが、これに限定されるものではなく、他の演算等から実現されてもよい。
【0147】
また、上述した第3実施形態では、巻回型電池Aの正極タブB11と巻回型電池Aの負極タブC11との間には、電流を供給する給電部22が接続されているが、これに限定されるものではなく、例えば、巻回型電池Aを放電させるための抵抗6(図9参照)が接続されてもよい。
【0148】
[第3実施形態による作用効果]
次に、第3実施形態による主な作用効果について説明する。
【0149】
第3実施形態では、検出部4は、磁界を複数の検出箇所で検出し、処理部24は、複数の検出箇所の位置情報と、複数の検出箇所の位置情報のそれぞれと関連付けられた複数の磁界関連パラメータとに基づいて、検出特性グラフを生成し、検出特性グラフと理想特性グラフMID(x)との差分絶対値加算を算出し、差分絶対値加算に基づいて接続部分の接続良否を判定する。
【0150】
この構成によれば、巻回型電池Aの巻回方向に流れる電流による複数の検出箇所の磁界を接続部分の接続良否の判定に用いるため、接続部分の不良で発生する磁界が小さい場合であっても、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。この結果、接続部分の接続良否を検出する検出精度をより向上させることができる。
【0151】
また、第3実施形態では、処理部24は、差分絶対値加算が加算閾値以下である場合に接続部分の接続を良好と判定し、差分絶対値加算が加算閾値より大きい場合に接続部分の接続を不良と判定する。
【0152】
この構成によれば、加算閾値を用いることで、接続部分の接続良否を精度よく検出することができる。
【0153】
以上、各実施形態及び各変形例について説明したが、上記実施形態及び各変形例は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0154】
1 検出システム
3 電流配線
4 検出部
5 検出配線
6 抵抗(放電部)
22 給電部
24 処理部
41 第1検出部
42 第2検出部
A 巻回型電池
B11 正極タブ
C11 負極タブ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19