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特開2024-45040定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045040
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/06 20060101AFI20240326BHJP
   A01M 7/00 20060101ALI20240326BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20240326BHJP
   A01N 53/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A01N25/06
A01M7/00 S
A01N53/08 110
A01N53/06 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148574
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022149915
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100171310
【弁理士】
【氏名又は名称】日東 伸二
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠耶
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋子
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121CB24
2B121CB61
2B121CB65
2B121EA01
2B121EA21
4H011AC01
4H011AC04
4H011BB15
4H011BC01
4H011BC03
4H011DA13
4H011DB05
4H011DE16
4H011DF06
(57)【要約】
【課題】使用終期まで安定して噴射することができる定量噴射エアゾール製品を提供する。
【解決手段】エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品であって、
前記エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されている定量噴射エアゾール製品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品であって、
前記エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されている定量噴射エアゾール製品。
【請求項2】
前記式(I)において、
B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018である請求項1に記載の定量噴射エアゾール製品。
【請求項3】
前記式(I)において、
0.1≦A≦2.0である請求項2に記載の定量噴射エアゾール製品。
【請求項4】
前記エアゾール容器の直径は、52mm以下である請求項1~3の何れか一項に記載の定量噴射エアゾール製品。
【請求項5】
エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品を用いて、エアゾール組成物を一定量噴射する定量噴射エアゾール製品の噴射方法であって、
前記エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されている定量噴射エアゾール製品の噴射方法。
【請求項6】
前記式(I)において、
B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018である請求項5に記載の定量噴射エアゾール製品の噴射方法。
【請求項7】
前記式(I)において、
0.1≦A≦2.0である請求項6に記載の定量噴射エアゾール製品の噴射方法。
【請求項8】
前記エアゾール容器の直径は、52mm以下である請求項5~7の何れか一項に記載の定量噴射エアゾール製品の噴射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1回の噴射によって一定量の薬剤を噴霧することができる定量噴射エアゾール製品は、局所的に隙間等に処理する局所処理用定量噴射エアゾール製品、対象物に直接噴射処理する直撃処理用定量噴射エアゾール製品、及び空間に薬剤が拡がる空間処理用定量噴射エアゾール製品等に分類される。本明細書では、先行技術文献として、局所処理用定量噴射エアゾール製品に関する特許文献1、及び空間処理用定量噴射エアゾール製品に関する特許文献2を例示する。定量噴射エアゾール製品は、簡便に使用できるものであり、通常のエアゾール製品と比較して操作が分かりやすいため、薬剤の過剰使用を防ぐことができるというメリットがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-104830号公報
【特許文献2】特開2011-63576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
定量噴射エアゾール製品は、上記のメリットがある反面、噴射不良等が起こり想定されている量の薬剤が噴射されなかった場合、再度噴射操作を行ったとしても、薬剤の処理量を用法用量どおりに調整することができなくなる。そのため、定量噴射エアゾール製品において、使用終期まで安定して噴射できることが求められている。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、使用終期まで安定して噴射することができる定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る定量噴射エアゾール製品の特徴構成は、
エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品であって、
前記エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されていることにある。
【0007】
本構成の定量噴射エアゾール製品によれば、エアゾール組成物の充填量Vが上記式(I)で示される量に調整されていることにより、何れかの噴射時に不意な噴射量の変動が生じたとしても、その変動、及びそれに起因するそれ以降の変動を補填し得る量(不足分を見越した量)のエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されたものとなる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品は、使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0008】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品において、
前記式(I)において、
B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018であることが好ましい。
【0009】
定量噴射エアゾール製品においては、噴射回数が小さい程、噴射時における噴射量の変動がエアゾール組成物の不足に及ぼす影響が比較的大きく、一方、噴射回数が大きい程、噴射時における噴射量の変動がエアゾール組成物の不足に及ぼす影響が比較的小さくなる傾向にある。本構成の定量噴射エアゾール製品によれば、噴射可能回数Bが80以下と比較的小さい場合には、充填係数Cを比較的大きく設定し、一方、噴射可能回数Bが80を超える比較的大きい場合には、充填係数Cを比較的小さく設定している。このように、噴射可能回数Bに応じて充填係数Cを設定することにより、エアゾール組成物の充填量Vが、より確実に上記噴射量の変動を補填し得る量となる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品は、より確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0010】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品において、
前記式(I)において、
0.1≦A≦2.0であることが好ましい。
【0011】
本構成の定量噴射エアゾール製品によれば、定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aを上記範囲とすることにより、1回あたりに適量のエアゾール原液及び噴射剤を噴射できるため、当該定量噴射エアゾール製品は、さらに確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0012】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品において、
前記エアゾール容器の直径は、52mm以下であることが好ましい。
【0013】
本構成の定量噴射エアゾール製品によれば、エアゾール容器の直径が上記範囲であることにより、当該定量噴射エアゾール製品は、一層確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係る定量噴射エアゾール製品の噴射方法の特徴構成は、
エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品を用いて、エアゾール組成物を一定量噴射する定量噴射エアゾール製品の噴射方法であって、
前記エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されていることにある。
【0015】
本構成の定量噴射エアゾール製品の噴射方法によれば、上述と同様、エアゾール組成物の充填量Vが上記式(I)で示される量に調整されていることにより、使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0016】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品の噴射方法において、
前記式(I)において、
B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018であることが好ましい。
【0017】
本構成の定量噴射エアゾール製品の噴射方法によれば、上述と同様、噴射可能回数Bに応じて充填係数Cを設定することにより、エアゾール組成物の充填量Vが、より確実に上記噴射量の変動を補填し得る量となる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、より確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0018】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品の噴射方法において、
前記式(I)において、
0.1≦A≦2.0であることが好ましい。
【0019】
本構成の定量噴射エアゾール製品の噴射方法によれば、上述と同様、定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aを上記範囲とすることにより、1回あたりに適量のエアゾール原液及び噴射剤を噴射できるため、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、さらに確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0020】
本発明に係る定量噴射エアゾール製品の噴射方法において、
前記エアゾール容器の直径は、52mm以下であることが好ましい。
【0021】
本構成の定量噴射エアゾール製品の噴射方法によれば、エアゾール容器の直径が上記範囲であることにより、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、一層確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明者らは、定量噴射エアゾール製品について、消費者が購入直後から廃棄直前まで安定して使用できることを目的として、鋭意検討を行った結果、エアゾール組成物の充填量Vを、1回あたりの噴射容量A、噴射可能回数B、及び充填係数Cを用いて特定の範囲に調整することで、使用終期まで安定して噴射することができる定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、充填係数Cについては、後に詳細に説明する。
【0023】
以下、本発明の定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法の実施形態について説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態や実施例に限定されることを意図しない。なお、本明細書において数値範囲を示す表記「~」がある場合、その数値範囲には、「~」を挟む各数値が上限値及び下限値として含まれることを意味し、また、各上限値及び各下限値を適宜組み合わせて数値範囲としてもよい。また、本明細書において、含有量の単位「w/v%」は、「g/100mL」と同義である。
【0024】
[定量噴射エアゾール製品]
本実施形態に係る定量噴射エアゾール製品は、エアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を、定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる。
【0025】
<エアゾール容器>
エアゾール容器は、エアゾール組成物を加圧充填するための耐圧容器であり、定量噴射バルブが設けられている。エアゾール容器は、内部にエアゾール組成物が充填される空間が形成された略筒状(円筒形状、略円筒形状等)の容器である。エアゾール容器の上部には開口が設けられており、開口は、定量噴射バルブによって密封される。定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aは、例えば後述するように適宜設定することができる。
【0026】
エアゾール容器の満注容積は、特に限定されないが、20~500mLが好ましく、20~250mLがより好ましい。また、エアゾール容器の直径は、52mm以下が好ましく、30~52mmがより好ましく、35~48mmがさらに好ましい。エアゾール容器の直径が上記範囲であることにより、当該定量噴射エアゾール製品は、一層確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。本明細書において、エアゾール容器の「直径」とは、エアゾール容器の外径を意味する。エアゾール容器の厚み(肉厚)は、一般的に、0.1~0.4mm程度である。
【0027】
エアゾール容器の材質は特に限定されず、アルミニウムやブリキ等の金属製、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂製が一般的であるが、ガラス製等であっても良い。また、エアゾール容器の外観は、透明、半透明、又は不透明の何れでも構わない。
【0028】
<エアゾール原液>
エアゾール原液は、噴射剤とともにエアゾール組成物を構成する成分である。エアゾール原液は、エアゾール組成物が調製される際に充填される。エアゾール原液は、薬剤を含む。
【0029】
薬剤は、特に限定されないが、害虫防除成分、抗菌成分、ウイルス防除成分、カビ防除成分、芳香消臭成分等が挙げられる。薬剤は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。例えば、二種以上の殺虫成分を混合して使用したり、一種又は二種以上の殺虫成分と一種又は二種以上のカビ防除成分とを混合して使用したりすることができる。なお、上記薬剤において、不斉炭素に基づく光学異性体や二重結合に基づく幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本実施形態の薬剤に包含される。
【0030】
害虫防除成分としては、特に限定されないが、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、テラレスリン、フラメトリン、モンフルオロトリン、ジメフルトリン、メパフルトリン、ヘプタフルトリン、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、イミプロトリン、エムペントリン、アレスリン、フタルスリン、プラレトリン、レスメトリン、及び天然ピレトリン等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、及びフェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、及びクロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル、インドキサカルブ、メトキサジアゾン、ブロフラニリド、フルベンジアミド、フルキサメタミド、ハッカ油、ラベンダー油、オレンジ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、チョウジ油、テレビン油、ユーカリ油、ヒバ油、ジャスミンオイル、ネロリオイル、ペパーミントオイル、ベルガモットオイル、ブチグレンオイル、レモンオイル、レモングラスオイル、シナモンオイル、シトロネラオイル、ゼラニウムオイル、シトラール、l-メントール、酢酸シトロネリル、シンナミックアルデヒド、テルピネオール、ノニルアルコール、cis-ジャスモン、リモネン、リナロール、1,8-シネオール、ゲラニオール、α-ピネン、p-メンタン-3,8-ジオール、オイゲノール、酢酸メンチル、チモール、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル等が挙げられる。これら害虫防除成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0031】
害虫防除成分は、対象害虫の種類に合わせて適宜選択することができる。対象害虫としては、例えば、蚊、ハエ、ガ、ハチ、カメムシ、ゴキブリ、アリ、クモ、ダンゴムシ、ダニ、シラミ、ムカデ、ケムシ、ヤスデ、クモ、アブ、ブユ、チョウバエ、シロアリ、ユスリカ、ヨコバイ、キクイムシ、ゴミムシ、ハサミムシ、シミ、カミキリムシ、カツオブシムシ、チャタテムシ、イガ、コイガ等が挙げられる。蚊、ハエ、ガ、ハチ、アブ、ブユ、ユスリカ、ヨコバイ、チョウバエ、イガ、コイガ等の飛翔害虫に対しては、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、フタルスリン、プラレトリン、モンフルオロトリン等が好適である。また、ゴキブリ、カメムシ、アリ、クモ、ダンゴムシ、ダニ、シラミ、ムカデ、ケムシ、ヤスデ、クモ、シロアリ、キクイムシ、ゴミムシ、ハサミムシ、シミ等の匍匐害虫に対しては、フタルスリン、プラレトリン、イミプロトリン、シフルトリン、ペルメトリン、フェノトリン、トランスフルトリン、メトフルトリン等が好適である。
【0032】
抗菌成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系抗菌成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系抗菌成分、ビグワナイド系抗菌成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系抗菌成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系抗菌成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系抗菌成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系抗菌成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系抗菌成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系抗菌成分又はそれらの塩、その他、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系抗菌成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩等が挙げられる。これら抗菌成分は一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0033】
ウイルス防除成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系ウイルス防除成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系ウイルス防除成分、ビグワナイド系ウイルス防除成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系ウイルス防除成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系ウイルス防除成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系ウイルス防除成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系ウイルス防除成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系ウイルス防除成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系ウイルス防除成分又はそれらの塩、その他、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系ウイルス防除成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩等が挙げられる。これらウイルス防除成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0034】
カビ防除成分としては、特に限定されないが、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、カルバクロール、チモール、トリクロサン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、о-クレゾール、m-クレゾール、及びp-クレゾール等のフェノール系カビ防除成分、ベンザルコニウムクロライド、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンザルコニウム有機酸塩等のベンザルコニウム塩、ベンゼトニウムクロライド、ベンゼトニウムメトサルフェート、ベンゼトニウム有機酸塩等のベンゼトニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムメトサルフェート、セチルピリジニウム有機酸塩等のセチルピリジニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジデシルジメチルアンモニウム塩、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジラウリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムメトサルフェート等のジステアリルジメチルアンモニウム塩、及び1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジブロマイド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジクロライド、1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタンジメトサルフェート等の1,4-ビス[3,3´-(1-デシルピリジニウム)メチルオキシ]ブタン塩等のカチオン界面活性剤系カビ防除成分、ビグワナイド系カビ防除成分、テブコナゾール、エニルコナゾール等のアゾール系カビ防除成分、グレープフルーツ種子抽出物、カキ種子抽出物、ブドウ種子抽出物等の果物種子抽出物系カビ防除成分、モノラウリン、モノカプリン、モノカプリリン等のグリセリンモノ脂肪酸エステル系カビ防除成分、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン塩酸塩等のクロルヘキシジン塩やクロルヘキシジン等のクロルヘキシジン系カビ防除成分、オクタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ドデシルジイソプロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、テトラデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ペンタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジメチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、ヘキサデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジエチル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、オクタデシルジ-n-プロピル(3-トリエトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド等のケイ素系カビ防除成分、安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、グリシン、アルキルジエチルアミノグリシン、ポリリジン等のカルボン酸系カビ防除成分又はそれらの塩、その他、デヒドロ酢酸、クロラミン、3-ヨード-2-プロピル-N-ブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、銀ゼオライト等銀系カビ防除成分、ジンクピリチオン、チアミンラウリル硫酸塩、白子たんぱく質、ヒドロキシアルキルキトサン又はその塩、防カビ香料等が挙げられる。これらカビ防除成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0035】
芳香消臭成分としては、特に限定されないが、悪臭をマスキングする成分やハーモナイズド効果により良い香りに変える成分等、例えば、香料や精油等が使用される。これら芳香消臭成分は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。香料の例としては、d-リモネン等のリモネン、α-ピネン、β-ピネン等のピネン、p-シメン等のシメン、インデン、カリオフィレン等の炭化水素系香料、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、l-メントール等のメントール、エチルリナロール、ボルネオール、アニスアルコール、β-フェネチルアルコール、p-メンタン-3,8-ジオール、α-テルピネオール、γ-テルピネオール等のテルピネオール、1-ヘキセノール、シス-3-ヘキセン-1-オール、テトラヒドロゲラニオール、サンタリノール、シンナミルアルコール、セドロール等のアルコール系香料、カラクソリド、β-ナフチルメチルエーテル、1,8-シネオール、アンブロキシド、p-クレジールメチルエーテル等のエーテル系香料、アネトール、オイゲノール、イソオイゲノール、バニリン、エチルバニリン等のフェノール系香料、オクタナール、ノナナール、ウンデシルアルデヒド、ウンデカナール、デシルアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、シトラール、シトロネラール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、アドキサール、アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド等のアルデヒド系香料、ムスクケトン、カルボン、メントン、樟脳、カンファー、アセトフェノン、ブチロフェノン、トナリド、α-イオノン、β-イオノン、α-メチルイオノン、β-メチルイオノン、α-イソメチルイオノン、β-イソメチルイオノン、γ-メチルイオノン、γ-イソメチルイオノン、ダマスコン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、アセチルセドレン、カシュメラン、シスジャスモン、ジヒドロジャスモン等のケトン系香料、γ-ブチルラクトン、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、クマリン、アンブレッドリッド、ジャスモラクトン等のラクトン系香料、ゲラニルフォーメート、オクチルアセテート、ゲラニルアセテート、ベンジルアセテート、シンナミルアセテート、テトラヒドロゲラニルアセテート、酢酸メンチル、酢酸リナリル、プロピオン酸ブチル、酢酸ベンジル、安息香酸メチル、アリルヘキサノエート、アリルヘプタノエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アリルアミルグリコレート、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、ブチルアセテート、エチルブチレート、アセチルオイゲノール、イソアミルサリシレート、アリルカプロエート、エチルカプロエート、エチルプロピオネート、エチルアセトアセテート、メチルサリシレート、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シンナミルアセテート、ステアリルアセテート、ステアリルプロピオネート、セドリルアセテート、ターピニルアセテート等のエステル系香料、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、シトラールジメチルアセタール等のアセタール系香料、インドール、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、アセトアルデヒドフェニルエチルプロピルアセテート、テサロン、オウランチオール、リナロールオキシド等が挙げられる。上記香料は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。これらは、合成香料又は抽出香料等として知られているものである。
【0036】
精油の例としては、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、ネロリ油、ゼラニウム油、プチグレン油、レモングラス油、シナモン油、レモンユーカリ油、タイム油、ペリラ油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スターアニス油、ラバンジン油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、フェンネル油、ガルバナム油、ヒバ油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、アビエス油、アクジョン油、アルモンド油、アンゲリカルート油、ページル油、ミント油、パーチ油、ボアバローズ油、カヤブチ油、ガナンガ油、カプシカム油、キャラウェー油、セロリー油、コニャック油、クミン油、ジル油、エストゴラン油、ガーリック油、ジンジャー油、ホップ油、セージ油等が挙げられる。上記精油は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0037】
当該定量噴射エアゾール製品の薬剤の配合量は、薬剤の効力を十分に発現させることができる含有量であれば、特に限定されず、エアゾール原液中、0.1~100w/v%であることが好ましく、0.5~90w/v%であることがより好ましく、1.0~80w/v%であることがさらに好ましく、3.0~75w/v%であることがとりわけ好ましく、8.0~70w/v%であることが一層好ましく、10.0~70w/v%であることが最も好ましい。
【0038】
上記エアゾール原液には、溶剤が配合されても良い。かかる溶剤としては、エタノール、及びイソプロパノール(IPA)等の炭素数が2~3の低級アルコール、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)等の炭素数が16~20の高級脂肪酸エステル、炭素数3~10のグリコールエーテル系溶剤、ケトン系溶剤、グリセリン、エチレングリコール等が挙げられる。上記溶剤は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0039】
上記エアゾール原液には、上記成分に加え、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、クエン酸、アスコルビン酸等の安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、及び賦形剤等を適宜配合することもできる。
【0040】
当該定量噴射エアゾール製品は、少量噴射であるため、敢えて火気に対する危険性に留意する必要はないが、できる限り火気に対する危険性を低減させる観点から水性化処方を採用することもできる。この場合、エアゾール原液に含まれる水の量は10~50v/v%程度が好適であり、噴射粒子の噴射パターンに影響を与えない範囲で、可溶化助剤として若干量の非イオン系界面活性剤を添加してもよい。非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、及びポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類等のエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、及びポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、並びに脂肪酸のポリアルカノールアミド等が挙げられ、なかでも、エーテル類が好ましい。上記非イオン系界面活性剤は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0041】
上記エアゾール原液の20℃における粘度は、1.0~50.0cPに調整されていることが好ましく、1.1~30.0cPに調整されていることがより好ましく、1.2~20.0cPに調整されていることがさらに好ましく、1.5~15.0cPに調整されていることがとりわけ好ましい。エアゾール原液の粘度は、ビーカーに入れたエアゾール原液を恒温水槽(IWAKI製)で20℃に調整し、B型粘度計(東京計器株式会社製、ローターNo.1)を使用し、上記温度にて、回転数60rpm、測定時間30秒の測定条件で測定した値である。
【0042】
<噴射剤>
当該定量噴射エアゾール製品で用いる噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ノルマルペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル(DME)、及びハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、並びに圧縮空気等が挙げられる。上記噴射剤は、液化ガスからなるものが好ましく、LPGからなるものがより好ましい。上記噴射剤は、一種を単独で使用することができるが、二種以上の混合物として使用することもできる。
【0043】
当該定量噴射エアゾール製品において、エアゾール容器に充填されるエアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)は、特に限定されないが、(a/b)≦60/40が好ましく、1/99≦(a/b)≦60/40がより好ましく、3/99≦(a/b)≦55/45がさらに好ましい。
【0044】
〔アクチュエータ〕
当該定量噴射エアゾール製品のアクチュエータは、エアゾール原液を噴射するための作動部であり、このアクチュエータには、定量噴射バルブに接続され、エアゾール原液がエアゾール容器から外部へ噴出する噴射口が設けられている。噴射口について、その数、形状、サイズは特に限定されない。噴射口の数は、1個であってもよく、2個以上であってもよいが、簡便で低コストで製造できるという観点からすれば、噴射口の数は1個が好ましい。また、アクチュエータには、エアゾール容器を水平面に載置したとき、噴射口が水平面に対して0°~60°の仰角又は俯角となるように噴射口が設けられていることが好ましく、噴射口が水平面に対して10°~60°の仰角又は俯角となるように噴射口が設けられていることがより好ましい。
【0045】
噴射口の形状(断面形状)は、円形、楕円形、多角形等の他、各種不定形であってもよい。噴射口の開口面積は、0.05~8.0mmが好ましく、0.1~4.0mmがより好ましく、0.2~3.0mmがさらに好ましい。例えば、噴射口の数が1個であり、噴射口の形状が円形である場合、噴射口のサイズ(噴口径)は、0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.6mm以上がさらに好ましい。また、噴口径は、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.8mm以下がさらに好ましい。
【0046】
上記アクチュエータは、ノズルを有するものでも、ノズルを有さないものでも構わない。ノズルを有するものである場合、突出したノズル付きのものでも、突出していないノズル付きのものでも構わないが、突出したノズル付きのものが好ましい。ノズル付きアクチュエータである場合、ノズルの長さは、特に限定されないが、2.0~80mmが好ましく、3.0~70mmがより好ましく、4.0~60mmがさらに好ましい。アクチュエータにおける操作ボタンは、プッシュダウンタイプやトリガータイプのボタンを採用することができる。
【0047】
当該定量噴射エアゾール製品の噴射力は、噴射口からの距離が15cmの箇所において0.8~50.0g・fが好ましく、1.0~40.0g・fがより好ましく、2.0~35.0g・fがさらに好ましく、3.0~30.0g・fがとりわけ好ましい。このような噴射力はエアゾール原液の組成、エアゾール容器の内圧、噴口の形状等により適宜調整され得る。上記噴射力は、デジタルフォースゲージ(FGC-0.5、日本電産シンポ株式会社製)によって測定した値である。
【0048】
当該定量噴射エアゾール製品において、噴射部材を作動してエアゾール容器内のエアゾール原液を噴射したときに形成される噴射粒子は、25℃における噴射口から距離30cmにおける体積積算分布での50%粒子径が8~120μm以上に調整されることが好ましく、15~120μmに調整されることがより好ましく、17~120μmに調整されることがさらに好ましく、19~115μmに調整されることがとりわけ好ましく、23~95μmに調整されることが最も好ましい。噴射粒子の体積積算分布での50%粒子径は、エアゾール原液(L)の組成、噴射剤(G)の成分、噴射剤(G)の比率、エアゾール容器の内圧、噴射口の形状やノズル長等により適宜調整することができる。
【0049】
噴射粒子の体積積算分布での50%粒子径は、粒度分布測定装置により測定され、自動演算処理装置により解析された体積平均粒子径(Dv50)を意味する。具体的には、噴射粒子の体積積算分布での50%粒子径は、25℃において、レーザー粒度分布測定装置(SPRAYTEC model STP5321、Malvern社製)を用い、レーザー光の発光部から受光部に照射されるレーザービームと、定量噴射エアゾール製品の噴射口との距離が30cmとなるように、かつ、噴射粒子がレーザービームを垂直に通過するようにエアゾールの位置を調整する。そして、噴口からエアゾール組成物を噴射しながら、エアゾール組成物の噴射中に測定を行い、噴射粒子の粒度分布を自動演算処理装置によって解析することにより、噴射粒子の体積積算分布での50%粒子径を得ることができる。また、噴射粒子の体積積算分布での50%粒子径は、粒度分布測定装置による測定によって得られた、粒子径(μm)と積分(累積)体積(%)との関係を示す体積積分分布曲線において、積分体積50%に対応する粒子径として測定される。
【0050】
当該定量噴射エアゾール製品は、局所処理用であっても、直撃処理用であっても、空間処理用であっても構わないが、空間処理用であることが好ましく、特に正立使用による空間処理用であることが好ましい。空間処理用である場合、屋内空間で空中に向けて噴射処理を行うことにより、気中への薬剤の放出量が0.1~50mg/mとなるように設定されることが好ましく、0.5~50mg/mとなるように設定されることがより好ましい。また、処理対象となる屋内空間の体積は特に限定されないが、4.5~8畳の部屋に相当する容積が18.8~33.3m(面積7.5~13.3m、高さ2.2~3.0m)であることが一般的である。ただし、より容積の大きな屋内空間や、より容積の小さな屋内空間においても、その屋内空間の容積にあわせて、屋内空間の気中に、薬剤の放出量が0.1~50mg/mとなるように噴射回数、噴射容量等を適宜設定することで、屋内空間の体積に関わらず同様の薬剤の効果を得ることができる。
【0051】
<エアゾール組成物の充填量>
当該定量噴射エアゾール製品は、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されている。
【0052】
当該定量噴射エアゾール製品によれば、エアゾール組成物の充填量Vが上記式(I)で示される量に調整されていることにより、何れかの噴射時に不意な噴射量の変動が生じたとしても、その変動、及びそれに起因するそれ以降の変動を補填し得る量(不足分を見越した量)のエアゾール組成物が、エアゾール容器に充填されたものとなる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品は、使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0053】
定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aは、定量噴射バルブの1回プッシュしたときの噴射容量(mL)である。1回あたりの噴射容量Aは、特に限定されず、用途、対象害虫等に応じて適宜設定することができ、例えば0.08~3.0mLが好ましく、0.1~2.0mLがより好ましく、0.2~1.0mLがさらに好ましく、0.4~0.9mLがとりわけ好ましい。また、後述するように、1回あたりの噴射容量は、充填量V、噴射可能回数B、及び充填係数Cとの関係で適宜設定することもできる。
【0054】
定量噴射エアゾール製品の噴射可能回数Bは、一般にエアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている。噴射可能回数Bは、例えば、60回や280回等の回数や、40プッシュや80プッシュ等のプッシュ数として示されている。エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に回数やプッシュ数が直接記載されていない場合には、回数やプッシュ数に換算することが可能な数値から求めることができる。例えば、1日1回使用する製品である場合、総使用可能日数である120日分等の日数が噴射可能回数Bに相当し、1日1回12時間効果持続する製品である場合、総効果持続時間である720時間を1回の効果持続時間で割った数値(720/12=60)が噴射可能回数Bに相当する。なお、約80回等のように「約」と表示されている製品に関しては、噴射可能回数Bは、「約」を除去した数値を意味するものとする。また、ここでは、噴射可能回数の単位は、無次元(-)とする。
【0055】
噴射可能回数Bは、特に限定されないが、5~365回であること(5≦B≦365)が好ましい。噴射可能回数Bが上記範囲であることにより、上記式(I)を用いてエアゾール組成物の充填量Vを調整する際、充填量Vをより適切に調整することができる。
【0056】
エアゾール組成物の充填係数Cは、1回あたりの噴射容量Aと、噴射可能回数Bとを用いてエアゾール組成物の充填量Vを設定する際、何れかの噴射時に不意な噴射量の変動が生じたとしても、その変動、及びそれに起因するそれ以降の変動を補填し得る量(不足分を見越した量)となるように充填量Vを設定するための係数である。上記式(I)が不等式であるため、充填係数Cの値は、充填量Vの最小値に相当する。充填係数Cは、1.015より大きい値であればよく、適宜設定することができる。例えば、充填係数Cは、上記式(I)から明らかなように、充填量が一定、かつ1回あたりの噴射容量Aが一定であれば、噴射可能回数Bに反比例し、充填量が一定、かつ噴射可能回数Bが一定であれば、1回あたりの噴射容量Aに反比例する傾向にある。また、この傾向は、1回あたりの噴射容量Aの大小と、噴射可能回数Bの大小との関係にも影響される。従って、この点を考慮して、充填係数Cを適宜設定することができる。充填係数Cは、1.018~1.500であることが好ましく、1.020~1.040がより好ましい。なお、充填係数Cは、噴射可能回数Bが80回となる場合を境として、下記のように設定されることが好ましい。なお、ここでは、充填係数Cの単位は、無次元(-)とする。
【0057】
上記式(I)において、B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018であることが好ましい。
【0058】
定量噴射エアゾール製品においては、噴射回数が小さい程、噴射時における噴射量の変動がエアゾール組成物の不足に及ぼす影響が比較的大きく、一方、噴射回数が大きい程、噴射時における噴射量の変動がエアゾール組成物の不足に及ぼす影響が比較的小さくなる傾向にある。本発明の定量噴射エアゾール製品によれば、噴射可能回数Bが80以下と比較的小さい場合には、充填係数Cを比較的大きく設定し、一方、噴射可能回数Bが80を超える比較的大きい場合には、充填係数Cを比較的小さく設定している。このように、噴射可能回数Bに応じて充填係数Cを設定することにより、エアゾール組成物の充填量Vが、より確実に上記噴射量の変動を補填し得る量となる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品は、より確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0059】
さらに、上記式(I)において、0.1≦A≦2.0であることが好ましい。
【0060】
定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aを上記範囲とすることにより、1回あたりに適量のエアゾール原液及び噴射剤を噴射できるため、当該定量噴射エアゾール製品は、さらに確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0061】
エアゾール組成物の充填量Vの上限は、特に限定されず、用途、エアゾール容器の満注容積等を考慮して適宜設定することができる。例えば、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(II):
A×B×1.600 ≧ V ・・・(II)
で示される量に調整されていることが好ましい。A、及びBは上記式(I)と同義である。
【0062】
[定量噴射エアゾール製品の噴射方法]
本実施形態の定量噴射エアゾール製品の噴射方法は、薬剤を含むエアゾール原液、及び噴射剤からなるエアゾール組成物を定量噴射バルブが設けられたエアゾール容器に充填してなる定量噴射エアゾール製品を用いて、エアゾール組成物を一定量噴射する定量噴射エアゾール製品の噴射方法である。すなわち、上述した本実施形態のエアゾール製品を用いて、エアゾール組成物を一定量噴射する方法である。
【0063】
当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法においては、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(I):
V ≧ A×B×C ・・・(I)
A:定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量(mL)
B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数
C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)
で示される量に調整されている。
【0064】
当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法によれば、上述した本実施形態のエアゾール製品と同様、エアゾール組成物の充填量Vが上記式(I)で示される量に調整されていることにより、使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0065】
上記式(I)において、B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018であることが好ましい。
【0066】
上述した本実施形態のエアゾール製品と同様、このように噴射可能回数Bに応じて充填係数Cを設定することにより、エアゾール組成物の充填量Vが、より確実に上記噴射量の変動を補填し得る量となる。これにより、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、より確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0067】
さらに、上記式(I)において、0.1≦A≦2.0であることが好ましい。
【0068】
上述した本実施形態のエアゾール製品と同様、定量噴射バルブの1回あたりの噴射容量Aを上記範囲とすることにより、1回あたりに適量のエアゾール原液及び噴射剤を噴射できるため、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、さらに確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【0069】
上述した本実施形態のエアゾール製品と同様、エアゾール組成物の充填量Vの上限は、特に限定されず、用途、エアゾール容器の満注容積等を考慮して適宜設定することができる。例えば、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、以下の式(II):
A×B×1.600 ≧ V ・・・(II)
で示される量に調整されていることが好ましい。A、及びBは上記式(I)と同義である。
【0070】
上述した本実施形態のエアゾール製品と同様、エアゾール容器の直径は、52mm以下が好ましく、30~52mmがより好ましく、35~48mmがさらに好ましい。エアゾール容器の直径が上記範囲であることにより、当該定量噴射エアゾール製品の噴射方法を実施すれば、一層確実に使用終期まで安定して噴射することができるものとなる。
【実施例0071】
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
表1の実施例1に示す条件に従い、薬剤として、害虫防除成分であるフェノトリン(44.0w/v%)と、害虫防除成分であるメトフルトリン(0.56w/v%)と、をエタノールに溶解してエアゾール原液を調整した。エアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)が30/70となるように、このエアゾール原液(a)10.8mLと、噴射剤として液化石油ガス(b)25.2mLとを、定量噴射バルブの定量室の容積(1回あたりの噴射容量A)が0.4mLである定量噴射バルブ付きのエアゾール容器(耐圧容器:缶の直径45mm、缶の厚み(肉厚)0.1~0.4mmの範囲内)に加圧充填し、エアゾール容器の定量噴射バルブにアクチュエータを装着し、実施例1の定量噴射エアゾール製品を得た。上記アクチュエータとしては、エアゾール容器を水平面に載置したとき、噴射口が水平面に対して45°の仰角となるように噴射口が設けられているものを使用した。表2に示すように、実施例1の定量噴射エアゾール製品のエアゾール容器に噴射可能回数Bとして80回と表示し、エアゾール組成物の充填量Vは36(mL)=A×B×1.125であった。すなわち、充填係数Cは1.125であった。
【0073】
[実施例2~15、比較例1~2]
表1の実施例2~15、及び比較例1~2に示す条件に従い、エアゾール原液を調製し、エアゾール原液と噴射剤を定量噴射バルブ付きのエアゾール容器(耐圧容器:缶の直径35mm、38mm、45mm、52mm、缶の厚み(肉厚)0.1~0.4mmの範囲内)に加圧充填した後、エアゾール容器の定量噴射バルブにアクチュエータを装着し、実施例2~15、及び比較例1~2の定量噴射エアゾール製品を得た。各定量噴射エアゾール製品における1回あたりの噴射容量A、エアゾール容器に表示した噴射可能回数B、エアゾール組成物の充填量V、及び充填係数Cを表2に示す。
【0074】
[噴射安定性試験(終期)]
噴射可能回数が残り22回となるように予め噴射した実施例1~15、及び比較例1~2の各供試品を、水平面に対して噴射口が水平面から斜め上向き45度をなすように、固定し、噴射を繰り返した。噴射回数をカウントする前に2回予備噴射を行い、その後、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数をカウントした。各供試品について試験を4回繰り返して、噴射回数の平均値に応じて、噴射安定性を以下の基準で評価した(試験結果を表2に示す)。なお、上記「正常に噴射できなくなる」とは、前述の「噴射不良」と同義であり、すなわち、薬剤の処理量を用法用量通りに調整することができなくなることであり、具体的には、アクチュエータの操作により実際に噴射される容量が、定量噴射バルブの噴射容量の85%未満となることを意味する。
(評価基準)
A:20回以上 (良好)
B:18回以上20回未満(普通)
C:18回未満 (不良)
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】
噴射安定性試験の結果、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、V≧A×B×C[A:定量噴射バルブの定量室の容積(mL)、B:エアゾール容器及び/又はエアゾール容器の包装材に表示されている噴射可能回数、C:エアゾール組成物の充填係数(但し、C>1.015)]で示される上記式(I)を満たす実施例1~15の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性が何れもA又はB評価であり、優れた効果を奏することが示された。
【0078】
また、上記式(I)において、B≦80のとき、C≧1.037であり、B>80のとき、C≧1.018であるように設定する、すなわち、B≦80のとき、上記式(I)をV≧A×B×1.037と設定し(実施例1~7、13~15)、B>80のとき、上記式(I)をV≧A×B×1.018と設定する(実施例8~12)ことにより、より確実に使用終期まで安定して噴射することができることが示された。
【0079】
さらに、上記式(I)において、0.1≦A≦2.0であることにより、さらに確実に使用終期まで安定して噴射することができることが示された。
【0080】
これに対し、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、V=A×B×1.015(充填係数Cが1.015に相当)であり、それゆえ上記式(I)を満たさない比較例1の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がC評価であり、実施例1~15の定量噴射エアゾール製品よりも遥かに効果が劣るものであることが示された。また、エアゾール組成物の充填量V(mL)が、V=A×B×1.012(充填係数Cが1.012に相当)であり、それゆえ上記式(I)を満たさない比較例2の定量噴射エアゾール製品も、使用終期の噴射安定性がC評価であり、実施例1~15の定量噴射エアゾール製品よりも遥かに効果が劣るものであることが示された。
【0081】
[エアゾール容器の直径が噴射安定性試験(終期)に及ぼす影響]
エアゾール容器の直径が噴射安定性試験(終期)に及ぼす影響を調べた。
【0082】
下記表3及び5に示す条件に従い、エアゾール原液を調製し、エアゾール原液と噴射剤を定量噴射バルブ付きのエアゾール容器(耐圧容器:缶の直径60mm、缶の肉厚0.1~0.4mmの範囲内)に加圧充填した後、エアゾール容器の定量噴射バルブにアクチュエータを装着し、比較例3~4の定量噴射エアゾール製品を得た。各定量噴射エアゾール製品について、上記と同様にして、噴射安定性試験(終期)を行った。各定量噴射エアゾール製品における1回あたりの噴射容量A、エアゾール容器に表示した噴射可能回数B、エアゾール組成物の充填量V、及び充填係数Cを表4及び6に示す。なお、表3~4には、比較のため、表1~2における実施例14、15、2及び13の条件及び結果を転記する。表5~6には、比較のため、表1~2における実施例9の条件及び結果を転記する。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
表3~4に示すように、エアゾール原液の種類及び組成、噴射剤の種類、並びにエアゾール原液と噴射剤との容量比率が同じ(すなわち、エアゾール容器の直径以外は同じ)である実施例14、実施例15、実施例2、実施例13、及び比較例3の定量噴射エアゾール製品で比較すると、缶(エアゾール容器)の直径が小さくなる程、使用終期の噴射安定性が向上する傾向にあることが示された。具体的には、缶の直径が35mmである実施例14の定量噴射エアゾール製品、缶の直径が38mmである実施例15の定量噴射エアゾール製品、及び缶の直径が45mmである実施例2の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がA評価であり、缶の直径が52mmである実施例13の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がB評価であり、缶の直径が60mmである比較例2の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がC評価であることが示された。この結果、缶の直径を52mm以下に設定することにより、使用終期の噴射安定性が良好となることが分かる。
【0088】
表5~6に示すように、エアゾール原液の種類及び組成、噴射剤の種類、並びにエアゾール原液と噴射剤との容量比率が同じ(すなわち、エアゾール容器の直径以外は同じ)である実施例9、及び比較例4の定量噴射エアゾール製品で比較しても、缶の直径が小さくなる程、使用終期の噴射安定性が向上する傾向にあることが示された。具体的には、缶の直径が45mmである実施例9の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がA評価であり、缶の直径が60mmである比較例4の定量噴射エアゾール製品は、使用終期の噴射安定性がC評価であることが示された。この結果、上記と同様に、缶の直径を52mm以下に設定することにより、使用終期の噴射安定性が良好となることが示された。
【0089】
上記表3~6の結果を総合すると、B評価以上の使用終期の噴射安定性が得られ得る点で、缶の直径を52mm以下に設定することが好ましく、30~52mmに設定することがより好ましく、A評価以上の使用終期の噴射安定性が得られ得る点で、缶の直径を35~48mmに設定することがさらに好ましいといえる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の定量噴射エアゾール製品、及びその噴射方法は、害虫防除成分、抗菌成分、ウイルス防除成分、カビ防除成分、芳香消臭成分等の各種薬剤を含むエアゾール原液を用いた各種用途に利用可能である。