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特開2024-45055短絡状態を検出するためのゲートドライバシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045055
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】短絡状態を検出するためのゲートドライバシステム
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20240326BHJP
   H03K 17/0812 20060101ALI20240326BHJP
   H03K 17/06 20060101ALI20240326BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240326BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240326BHJP
   H03K 17/567 20060101ALN20240326BHJP
   H03K 17/08 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
H02M1/00 C
H03K17/0812
H03K17/06 063
H02M7/48 M
H02M1/08 A
H03K17/567
H03K17/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150783
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】17/933,615
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516153409
【氏名又は名称】インフィニオン テクノロジーズ オーストリア アーゲー
【氏名又は名称原語表記】Infineon Technologies Austria AG
【住所又は居所原語表記】Siemensstr. 2, A-9500 Villach, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ユーチアン チウ
(72)【発明者】
【氏名】ビン ティアン
【テーマコード(参考)】
5H740
5H770
5J055
【Fターム(参考)】
5H740AA10
5H740BA11
5H740BB09
5H740BB10
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740KK01
5H740MM01
5H740MM11
5H770AA29
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
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5H770GA03
5H770GA04
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5H770LB10
5J055AX34
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5J055DX09
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5J055FX38
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX03
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】短絡状態を検出するためのゲートドライバシステムを提供する。
【解決手段】ドライバシステムは、第1の出力ノードに第1の負荷電流を生成する第1のハーフブリッジと、第2の出力ノードに第2の負荷電流を生成する第2のハーフブリッジと、第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、を含む。ドライバシステムにおける短絡状態を検出する方法は、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出するステップと、第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出するステップと、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動するように構成されたドライバシステムであって、前記ドライバシステムは、
第1のハーフブリッジ回路と、
第2のハーフブリッジ回路と、
第1の電圧充電デバイスと、
第2の電圧充電デバイスと、
診断回路と、
を含み、
前記第1のハーフブリッジ回路は、第1の出力ノードにおいて結合される第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタを含み、前記第1のハイサイドトランジスタおよび前記第1のローサイドトランジスタは、前記モータを駆動するために前記第1の出力ノードにおいて第1の負荷電流を協働して生成するように構成され、
前記第2のハーフブリッジ回路は、第2の出力ノードにおいて結合される第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを含み、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタは、前記モータを駆動するために前記第2の出力ノードにおいて第2の負荷電流を協働して生成するように構成され、
前記第1の電圧充電デバイスは、第1の電源および前記第1の出力ノードに結合され、
前記第2の電圧充電デバイスは、第2の電源および前記第2の出力ノードに結合され、
前記診断回路は、前記第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視し、前記第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出し、前記第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出し、前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するように構成される、
ドライバシステム。
【請求項2】
前記診断回路は、前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の前記時間差が前記時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項3】
前記診断回路は、前記第1の充電時間に対して前記時間差しきい値未満の時間遅延で前記第2の充電時間が発生するという条件で、前記短絡状態を検出するように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項4】
前記診断回路は、前記第1の充電時間に対して前記時間差しきい値以上の時間遅延で前記第2の充電時間が発生するという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、
請求項3に記載のドライバシステム。
【請求項5】
前記ドライバシステムは、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第1のローサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含むそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、
前記診断回路が前記第1の電圧充電デバイスの前記第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの前記第2の充電電圧を監視している間に、前記ドライバ回路は、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、前記第1のローサイドトランジスタを前記オン状態と前記オフ状態との間で駆動するように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項6】
前記診断回路が前記第1の電圧充電デバイスの前記第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの前記第2の充電電圧を監視している間に、前記ドライバ回路は、前記制御信号のうちの1つを可変駆動信号として生成し、前記可変駆動信号を前記第1のローサイドトランジスタの制御端子に供給して前記第1のローサイドトランジスタを前記オン状態と前記オフ状態との間で駆動するように構成される、
請求項5に記載のドライバシステム。
【請求項7】
前記可変駆動信号は、パルス幅変調(PWM)駆動信号である、
請求項6に記載のドライバシステム。
【請求項8】
前記ドライバ回路は、開始時刻において前記可変駆動信号を開始するように構成され、前記第1の電圧充電デバイスの充電および前記第2の電圧充電デバイスの充電は、前記開始時刻において開始する、
請求項6に記載のドライバシステム。
【請求項9】
前記診断回路は、前記第1の充電時間を、前記開始時刻から、前記第1の充電電圧が前記第1のしきい値電圧に充電される第1の後続時刻までの第1の継続時間として決定し、前記第2の充電時間を、前記開始時刻から、前記第2の充電電圧が前記第2のしきい値電圧に充電される第2の後続時刻までの第2の継続時間として決定するように構成される、
請求項8に記載のドライバシステム。
【請求項10】
前記ドライバ回路は、
前記第1のハイサイドトランジスタおよび前記第1のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための前記制御信号を生成するように構成された第1のドライバと、
前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための前記制御信号を生成するように構成された第2のドライバと、
を含む、
請求項5に記載のドライバシステム。
【請求項11】
前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタがオフ状態にある間、ならびに、前記第1のローサイドトランジスタが前記オン状態と前記オフ状態との間で駆動されている間に、第1の電流は、前記第1の電圧充電デバイスから前記第1の出力ノードおよび前記第1のローサイドトランジスタを通って流れるように構成され、第2の電流は、前記第2の電圧充電デバイスから前記第2の出力ノードおよび前記第1のローサイドトランジスタを通って流れるように構成され、
正常動作状態の下では、前記第2の電流は、前記第2の出力ノードから前記モータのモータ巻線を通って前記第1のローサイドトランジスタに流れるように構成され、
前記短絡状態が存在する故障状態の下では、前記第2の電流は、前記第2の出力ノードから短絡を通って前記第1のローサイドトランジスタに流れるように構成される、
請求項5に記載のドライバシステム。
【請求項12】
前記ドライバシステムは、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第1のローサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含むそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、
前記診断回路が前記第1の電圧充電デバイスの前記第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの前記第2の充電電圧を監視している間に、前記ドライバ回路は、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、前記第1のローサイドトランジスタを前記オン状態と前記オフ状態との間で駆動するように構成され、
前記診断回路は、前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の前記時間差が前記時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成され、
前記診断回路が前記正常動作状態を検出したことを条件に、前記診断回路は、前記第1のハイサイドトランジスタおよび前記第2のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを可能にするように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項13】
前記診断回路が前記短絡状態を検出したことを条件に、前記診断回路は、前記第1のハイサイドトランジスタおよび前記第2のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを無効にするように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項14】
前記診断回路は、前記第1の充電電圧を前記第1のしきい値電圧と比較し、第1の比較結果を生成するように構成された第1の比較器と、前記第2の充電電圧を前記第2のしきい値電圧と比較し、第2の比較結果を生成するように構成された第2の比較器と、を含み、前記診断回路は、前記第1の比較結果に基づいて前記第1の充電時間を検出し、前記第2の比較結果に基づいて前記第2の充電時間を検出する、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項15】
前記診断回路は、前記第1の充電時間および前記第2の充電時間に基づいて前記時間差を計算し、前記時間差を前記時間差しきい値と比較して第3の比較結果を生成し、前記第3の比較結果に基づいて前記短絡状態を検出するように構成される、
請求項14に記載のドライバシステム。
【請求項16】
前記ドライバシステムは、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第1のローサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含む、それぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、
前記ドライバ回路は、開始時刻において前記第1の電圧充電デバイスの充電および前記第2の電圧充電デバイスの充電を開始するように構成され、
前記診断回路は、前記開始時刻から延在する所定期間内に前記第1の充電時間および前記第2の充電時間の両方を前記診断回路が検出したことを条件として、前記短絡状態を検出するように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項17】
前記診断回路は、前記第2の充電時間が前記開始時刻から延在する前記所定期間以上の時間に発生したことを前記診断回路が検出したことを条件として、正常動作状態を検出するように構成される、
請求項16に記載のドライバシステム。
【請求項18】
前記第1の電源および前記第2の電源は、同じ電源である、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項19】
前記第1の電圧充電デバイスは、第1のブートストラップキャパシタであり、
前記第2の電圧充電デバイスは、第2のブートストラップキャパシタである、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項20】
前記第1の充電電圧は、前記第1のブートストラップキャパシタの両端の電圧を表し、
前記第2の充電電圧は、前記第2のブートストラップキャパシタの両端の電圧を表す、
請求項19に記載のドライバシステム。
【請求項21】
前記ドライバシステムは、
前記第1のハイサイドトランジスタおよび前記第1のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するように構成された第1のドライバと、
前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第2のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するように構成された第2のドライバと、
をさらに含み、
前記第1の充電電圧は、前記第1のドライバの第1のハイサイド浮遊電源電圧であり、
前記第2の充電電圧は、前記第2のドライバの第2のハイサイド浮遊電源電圧である、
請求項19に記載のドライバシステム。
【請求項22】
前記ドライバシステムは、
第3のハーフブリッジ回路と、
第3の電圧充電デバイスと、
をさらに含み、
前記第3のハーフブリッジ回路は、第3の出力ノードにおいて結合される第3のハイサイドトランジスタおよび第3のローサイドトランジスタを含み、前記第3のハイサイドトランジスタおよび前記第3のローサイドトランジスタは、前記モータを駆動するために前記第3の出力ノードにおいて第3の負荷電流を協働して生成するように構成され、
前記第3の電圧充電デバイスは、第3の電源および前記第3の出力ノードに結合され、
前記診断回路は、前記第1の電圧充電デバイスの前記第1の充電電圧、前記第2の電圧充電デバイスの前記第2の充電電圧および前記第3の電圧充電デバイスの第3の充電電圧を監視し、前記第1の充電電圧が前記第1のしきい値電圧に充電される前記第1の充電時間を検出し、前記第2の充電電圧が前記第2のしきい値電圧に充電される前記第2の充電時間を検出し、前記第3の充電電圧が第3のしきい値電圧に充電される第3の充電時間を検出し、前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の第1の時間差が前記時間差しきい値未満であるという条件で、または、前記第1の充電時間と前記第3の充電時間との間の第2の時間差が前記時間差しきい値未満であるという条件で、前記短絡状態を検出するように構成される、
請求項1に記載のドライバシステム。
【請求項23】
前記診断回路は、前記第1の時間差および前記第2の時間差の両方が前記時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、
請求項22に記載のドライバシステム。
【請求項24】
前記ドライバシステムは、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第1のローサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタ、前記第2のローサイドトランジスタ、前記第3のハイサイドトランジスタおよび前記第3のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含むそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、
前記診断回路が、前記第1の電圧充電デバイスの前記第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの前記第2の充電電圧を監視している間に、前記ドライバ回路は、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタ、前記第3のハイサイドトランジスタ、前記第2のローサイドトランジスタおよび前記第3のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、前記第1のローサイドトランジスタを前記オン状態と前記オフ状態との間で駆動するように構成され、
前記診断回路が前記正常動作状態を検出したことを条件に、前記診断回路は、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第3のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを可能にするように構成される、
請求項23に記載のドライバシステム。
【請求項25】
前記診断回路が前記短絡状態を検出したことを条件に、前記診断回路は、前記第1のハイサイドトランジスタ、前記第2のハイサイドトランジスタおよび前記第3のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを無効にするように構成される、
請求項24に記載のドライバシステム。
【請求項26】
前記第1の電源、前記第2の電源および前記第3の電源は、同じ電源である、
請求項22に記載のドライバシステム。
【請求項27】
前記診断回路が前記短絡状態を検出したことを条件に、前記診断回路は、前記短絡状態の故障位置を示す短絡故障信号を生成するように構成される、
請求項22に記載のドライバシステム。
【請求項28】
第1の出力ノードに第1の負荷電流を生成するように構成された第1のハーフブリッジ回路と、第2の出力ノードに第2の負荷電流を生成するように構成された第2のハーフブリッジ回路と、第1の電源および前記第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の電源および前記第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、を含むドライバシステムにおける短絡状態を検出する方法であって、前記方法は、
前記第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および前記第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視するステップと、
前記第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出するステップと、
前記第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出するステップと、
前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、前記短絡状態を検出するステップと、
を含む方法。
【請求項29】
前記方法は、前記第1の充電時間と前記第2の充電時間との間の時間差が前記時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するステップをさらに含む、
請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短絡状態を検出するためのゲートドライバシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気モータまたは電気機械の駆動など、自動車、消費者および産業用途における現代の装置の多くの機能は、パワー半導体デバイスに依存している。例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)およびダイオードは、いくつか例を挙げると、電源および電力コンバータ内のスイッチを含むがこれらに限定されないさまざまな用途に使用されている。
【0003】
通常、電力インバータは、各モータ相に対して2つの相補的なトランジスタ(例えば、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタ)によって構成され、2つの相補的なトランジスタは、モータ巻線に接続された出力パッドを駆動するためのハーフブリッジを形成する。2つの相補型トランジスタを駆動するために使用されるゲートドライバには、正電源レールによって固定の正電圧が供給され、負供給レールによって固定の負電圧が供給される。正電源レールは、負荷電流をモータ巻線に供給するために2つの相補的なトランジスタのハイサイドトランジスタを介して出力パッドに接続され、負電源レールは、負荷電流をモータ巻線から取り込むために2つの相補的なトランジスタのローサイドトランジスタを介して出力パッドに接続される。2つの相補型トランジスタは、交差伝導を回避するために相補的にオンおよびオフにされる。
【0004】
負荷電流は、モータ相電流とも呼ばれ、ゲート電極と呼ばれることもある制御電極によって制御することができる。例えば、ゲートドライバから対応する制御信号を受信すると、制御電極は、そのトランジスタを導通状態または遮断状態の一方に設定することができる。各トランジスタの制御信号の振幅を変化させて、2つの相補的なトランジスタをスイッチング状態間で駆動することができる。これにより、モータが駆動される。例えば、MOSFETのゲート-ソース電圧Vgsは、典型的には、MOSFETをオフにするために約0まで駆動され、典型的には、MOSFETを完全にオンにするために最大値まで駆動される。このため、ゲート-ソース電圧Vgsを制御電圧ということがある。
【0005】
運転動作中、モータは、モータ制御アルゴリズムに従って駆動されて、制御信号の電気周波数に対応する所望のモータ速度を達成することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つまたは複数の実施態様は、モータを駆動するように構成されたドライバシステムを提供する。ドライバシステムは、第1の出力ノードにおいて結合される第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタを含む第1のハーフブリッジ回路であって、第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタが、モータを駆動するために第1の出力ノードにおいて第1の負荷電流を協働して生成するように構成される、第1のハーフブリッジ回路と、第2の出力ノードにおいて結合される第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを含む第2のハーフブリッジ回路であって、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタが、モータを駆動するために第2の出力ノードにおいて第2の負荷電流を協働して生成するように構成される、第2のハーフブリッジ回路と、第1の電源および第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の電源および第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視し、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出し、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出し、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するように構成された診断回路と、を含む。
【0007】
1つまたは複数の実施態様は、第1の出力ノードに第1の負荷電流を生成するように構成された第1のハーフブリッジ回路と、第2の出力ノードに第2の負荷電流を生成するように構成された第2のハーフブリッジ回路と、第1の電源および第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の電源および第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、を含むドライバシステムにおける短絡状態を検出する方法を提供する。本方法は、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視するステップと、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出するステップと、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出するステップと、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するステップと、を含む。
【0008】
本明細書では、添付の図面を参照して実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つまたは複数の実施態様によるモータ制御システムを示す概略ブロック図である。
図2】1つまたは複数の実施態様によるゲートドライバシステムの概略ブロック図である。
図3A】1つまたは複数の実施態様による多相ゲートドライバシステムの概略図である。
図3B】短絡状態が存在しない、図3Aに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。
図3C】一例による、短絡状態が存在する、図3Aに示す多相ゲートドライバシステムの概略図である。
図3D】短絡状態が存在する、図3Cに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。
図4】1つまたは複数の実施態様による診断回路の概略図である。
図5A】短絡状態が存在しない、図3Aに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。
図5B】短絡状態が存在する、図3Cに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。
図6】1つまたは複数の実施態様による、モータ始動前の多相ゲートドライバシステムにおける短絡状態を検出するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、例示的な実施態様のより完全な説明を提供するために詳細を説明する。しかしながら、これらの具体的な詳細なしでこれらの実施態様を実施できることは当業者には明らかであろう。他の例では、実施態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造および装置が詳細ではなくブロック図形式または概略図で示されている。さらに、以下に説明する異なる実施態様の特徴は、特に明記しない限り、互いに組み合わせることができる。
【0011】
さらに、同等または同様の要素、または同等または同様の機能を有する要素は、以下の説明では同等または同様の符号で示される。なお、図中、同一または機能的に等価な要素には同一の符号を付しているので、同一の符号を付した要素についての重複する説明は省略する場合がある。したがって、同じまたは同様の参照符号を有する要素について提供される説明は、相互に交換可能である。
【0012】
これに関して、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「下方に(below)」、「上方に(above)」、「前方に(front)」、「後方に(behind)」、「後部(back)」、「前(leading)」、「後(trailing)」などの方向を示す用語が、説明されている図の向きを参照して使用され得る。本明細書で説明される実施態様の一部は、いくつかの異なる向きに配置することができるため、方向の用語は、例示の目的で使用され、決して限定するものではない。特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、他の実施態様を利用することができ、構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
ある要素が別の要素に「接続」または「結合」されていると言及される場合、それは他の要素に直接接続または結合されてもよく、または介在要素が存在してもよいことが理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される」または「直接結合される」と言及される場合、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語も同様に解釈されるべきである(例えば、「間に」対「直接間に」、「隣接する」対「直接隣接する」などである)。
【0014】
本明細書に記載されているか、または図面に示されている実施態様では、例えば、特定の種類の信号を送信するか、または特定の種類の情報を送信するための接続または結合の汎用目的が本質的に維持されている限り、任意の直接的な電気的接続または結合、例えば、追加の介在要素のない任意の接続または結合は、間接的な接続または結合、例えば、1つまたは複数の追加の介在要素との接続または結合、またはその逆によって実装されてもよい。異なる実施態様からの特徴を組み合わせて、さらなる実施態様を形成することができる。例えば、実施態様の1つに関して説明した変形または修正は、そうではないと指摘されていない限り、他の実施態様にも適用可能であり得る。
【0015】
「実質的に」および「およそ」という用語は、本明細書に記載の実施態様の態様から逸脱することなく、業界で許容されると考えられる小さな製造公差(例えば、5%以内)を説明するために本明細書で使用され得る。例えば、近似的な抵抗値を有する抵抗器は、実際には、その近似的な抵抗値の5%以内の抵抗を有することができる。
【0016】
本開示では、「第1」、「第2」などの序数を含む表現は、さまざまな要素を修正することができる。ただし、これらの要素は上記の式に限定されない。例えば、上記の表現は、要素の順序および/または重要性を限定しない。上記の表現は、単にある要素を他の要素と区別する目的で使用される。例えば、第1のボックスおよび第2のボックスは異なるボックスを示すが、両方ともボックスである。さらなる例として、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。
【0017】
パワースイッチまたはトランジスタスイッチとも呼ばれるパワートランジスタは、負荷電流を駆動するために使用され得るパワー半導体デバイスである。パワートランジスタは、第1の負荷端子(例えば、ソースまたはエミッタ)および第2の負荷端子(例えば、ドレインまたはコレクタ)を含む。さらに、パワートランジスタの負荷電流経路は、パワートランジスタの制御端子に接続された、ゲートと呼ばれることもある制御電極によって制御されてもよい。パワートランジスタの負荷電流経路は、パワートランジスタの制御電極に印加される制御電圧によって導電性が制御されるゲート制御導電チャネルである。例えば、パワートランジスタは、その制御電極を活性化および非活性化することによって「オン」または「オフ」にすることができる。例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)のゲートとソースとの間に正の電圧を印加すると、MOSFETはその「オン」状態を維持するが、MOSFETのゲートとソースとの間に約0またはわずかに負の電圧を印加すると、MOSFETは「オフ」になる。
【0018】
トランジスタのオンとオフを切り替えるためのターンオン過程とターンオフ過程がある。nチャネルトランジスタのターンオン過程中、nチャネルトランジスタをオンにするのに十分な電圧までゲート電圧を充電するために、ゲートドライバを使用してnチャネルトランジスタのゲートにゲート電流(例えば、オン電流)を提供する(ソースする)ことができる。これに対して、nチャネル型トランジスタのターンオフ過程では、nチャネル型トランジスタをオフさせるのに十分なゲート電圧を放電させるために、ゲートドライバを用いてnチャネル型トランジスタのゲートからゲート電流(例えば、オフ電流)を引き込む(シンクする)。電圧パルスは、パルス幅変調(PWM)方式に従って制御信号としてゲートドライバから出力され得る。したがって、制御信号は、nチャネルトランジスタを制御するためのPWMサイクル中にオン電圧レベルとオフ電圧レベルとの間で切り替えられてもよい。これにより、ゲート電圧が充放電されて、nチャネル型トランジスタがオンおよびオフする。
【0019】
逆は、pチャネル型トランジスタについても同様である。ゲートドライバは、pチャネルトランジスタをオンにするのに十分な電圧までゲート電圧を放電するために、pチャネルトランジスタのゲートからゲート電流(例えば、オン電流)を引き込む(シンクする)ために使用されてもよい。対照的に、pチャネルトランジスタのターンオフ過程中、ゲートドライバは、pチャネルトランジスタをオフにするのに十分にpチャネルトランジスタのゲート電圧を充電するために、pチャネルトランジスタのゲートにゲート電流(例えば、オフ電流)を提供する(ソースする)ために使用される。pチャネルトランジスタのゲートに印加される制御信号は、pチャネルトランジスタを制御するためのPWMサイクル中にオン電圧レベルとオフ電圧レベルとの間で切り替えられてもよい。これにより、ゲート電圧が充電および放電されて、pチャネルトランジスタがそれぞれオンおよびオフする。
【0020】
nチャネルおよびpチャネルトランジスタの両方について、nチャネルおよびpチャネルトランジスタは、ゲート-ソース電圧Vgsがほぼ0値またはしきい値電圧未満であるときにオフであり、nチャネルおよびpチャネルトランジスタは、ゲート-ソース電圧Vgsがしきい値電圧以上であるときにオンである。
【0021】
このように負荷を駆動するために、典型的には、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとの2つのトランジスタがハーフブリッジ構成で配置される。ハイサイドトランジスタは、ハイサイド電源電位に接続されたpチャネル型トランジスタであり、ローサイドトランジスタは、ローサイド電源電位に接続されたnチャネル型トランジスタであってもよい。いくつかの実施態様では、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタは、同じトランジスタタイプ(例えば、nチャネル型の両方またはpチャネル型の両方)であってもよい。
【0022】
負荷電流は、負荷電流がハーフブリッジから負荷に向かって流れているときに正の負荷電流であると言われ、負荷電流が負荷からハーフブリッジに向かって流れているときに負の負荷電流であると言われる。ハイサイドトランジスタは、オンのとき、負荷電流を負荷に供給するために正の負荷電流を導通させる役割を担い、その相補的なローサイドトランジスタはオフになる(例えば、ローサイドトランジスタは、阻止モードまたは高インピーダンスモードにある)。負荷から負荷電流を取り込むために、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタの役割を逆にする。ここで、ローサイドトランジスタは、オンのとき、その相補的なハイサイドトランジスタがオフにされている間に負荷から負荷電流を取り込むために負の負荷電流を伝導する役割を担う(例えば、ハイサイドトランジスタは、阻止モードまたは高インピーダンスモードにある)。2つの相補型トランジスタは、典型的には、両方が同時にオンにならないように切り替えられる。
【0023】
トランジスタは、他の例の中でも、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)および金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)(例えば、Si MOSFETまたはSiC MOSFET)を含むことができる。1つのタイプのトランジスタが別のタイプのトランジスタの代わりに使用されてもよいことが理解されよう。これに関連して、IGBTをMOSFETに置き換える場合、本明細書に記載の例のいずれか1つにおいて、MOSFETのドレインをIGBTのコレクタに置き換えることができ、MOSFETのソースをIGBTのエミッタに置き換えることができ、MOSFETのドレイン-ソース電圧VdsをIGBTのコレクタ-エミッタ電圧Vceに置き換えることができ、MOSFETのゲート-ソース電圧VgsをIGBTのゲート-エミッタ電圧Vgeに置き換えることができ、またはその逆も可能である。
【0024】
本開示に記載されたいくつかの実施態様は、限定されるものではないが、電気モータを駆動するために使用されるハーフブリッジに関する。例えば、電力インバータの一種である多相インバータは、多相負荷(例えば、三相モータ)を供給することによって多相電力を供給するように構成される。例えば、三相電力は、互いに120電気度位相がずれている3つの対称的な正弦波を含む。対称型三相電源システムでは、3つの導体は各々、共通基準に対して同じ周波数および電圧振幅であるが、駆動サイクルの1/3の位相差を有する交流(AC)を搬送する。位相差により、3つの導体のいずれかの電圧は、駆動サイクルの1/3でその電圧ピークに到達し、3つの導体の電圧ピークは、駆動サイクル内で実質的に等しい位相遅延で互いに分布している。この位相遅延は、平衡線形負荷に一定の電力伝送を与える。それはまた、電気モータ内に回転磁場を生成することを可能にする。
【0025】
三相インバータは、三相ごとに1つずつ、3つのインバータレグを含み、各インバータレグは、互いに並列に直流(DC)電圧源に接続される。各インバータレグは、上述したように、相負荷を駆動するために、DCをACに変換するためのハーフブリッジ構成で配置された一対のトランジスタを含む。しかしながら、多相インバータは、3相に限定されず、2相または3相を超える相を含んでもよく、各相のインバータレグを有する。場合によっては、2つのハーフブリッジは、Hブリッジ回路として接続され、負荷(例えば、モータ)は、単相負荷として2つのハーフブリッジ間のクロスバーとして接続されてもよい。
【0026】
相短絡とも呼ばれる短絡は、第1のハーフブリッジのハイサイドトランジスタおよび第2のハーフブリッジのローサイドトランジスタがオンになるときに、2つのハーフブリッジを伴って発生し得る。例えば、第1および第2のハーフブリッジの出力パッドが(例えば、直接接続によって)低インダクタンスで互いに接続されると、モータのモータハウジングの内部または外部の短絡が発生する可能性がある。ここで、「低インダクタンス」とは、第1および第2のハーフブリッジの出力パッドがモータのそれぞれのモータ巻線によって接続されていないことを意味する。これにより、短絡した第1のハーフブリッジのハイサイドトランジスタと第2のハーフブリッジのローサイドトランジスタに大電流が流れることがある。
【0027】
このような短絡状態を検出するために、1つの可能な手法は、電力インバータのローサイドパワートランジスタと負電源レールとの間に接続されたシャント抵抗器の電圧を監視することである。電力インバータが複数のハーフブリッジを含む場合、それぞれの負荷電流がシャント抵抗器を通って流れるように、各ローサイドパワートランジスタをシャント抵抗器によって負電源レールに接続することができる。短絡が発生すると、短絡電流によってシャント抵抗器に高いピーク電圧が生じる。しかしながら、この方法では、一方のハイサイドトランジスタが負荷電流を導通している間に短絡が発生した後にのみ短絡状態が検出される。その結果、この方法では、短絡発生時にオンとなるハイサイドトランジスタやローサイドトランジスタを十分に保護することができない。何らかの介在動作(例えば、緊急停止)を実行する前にハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタがそのような高電流を伝導することを可能にすることは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタへの損傷を防止するには遅すぎる可能性があり、またはそのような高電流を伝導することは、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタの寿命に全体的に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0028】
したがって、本明細書に開示するいくつかの実施態様は、短絡状態を診断し、短絡の発生を防止することができ、それによって電力インバータのトランジスタの損傷を回避することができるゲートドライバシステムに関する。
【0029】
1つまたは複数の実施態様は、モータを駆動するように構成されたドライバシステムに関する。ドライバシステムは、第1のハーフブリッジ回路と、第2のハーフブリッジ回路と、第1の電圧充電デバイスと、第2の電圧充電デバイスと、診断回路と、を含む。第1のハーフブリッジ回路は、第1の出力ノードに結合された第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタを含み、第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタは、モータを駆動するために第1の出力ノードに第1の負荷電流を協働して生成するように構成される。第2のハーフブリッジ回路は、第2の出力ノードに結合された第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを含み、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタは、モータを駆動するために第2の出力ノードに第2の負荷電流を協働して生成するように構成される。第1の電圧充電デバイスは、第1の電源および第1の出力ノードに結合されている。第2の電圧充電デバイスは、第2の電源および第2の出力ノードに結合されている。診断回路は、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視し、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出し、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出し、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するように構成される。
【0030】
図1は、1つまたは複数の実施態様によるモータ制御システム100を示す概略ブロック図を示す。特に、モータ制御システム100は、電力インバータ102と、コントローラ104と、ゲートドライバシステム106と、を含む。コントローラ104およびゲートドライバシステム106は、モータ制御ユニットとして共に動作する。いくつかの実施態様では、モータ制御ユニットは、コントローラ104およびゲートドライバシステム106が単一のIC上に配置されているモノリシック集積回路(IC)であってもよい。いくつかの実施態様では、モータ制御ユニットは、例えば、コントローラ104が第1のIC上に配置され、ゲートドライバシステム106が1つまたは複数の第2のIC上に配置されるように、2つ以上のICに分割されてもよい。本明細書に記載の実施態様はモータを駆動することを対象としているが、本明細書に記載の概念は他のタイプの誘導負荷に拡張することができ、モータに限定されないことが理解されよう。
【0031】
モータ制御システム100は、三相U、VおよびWを含むモータM(例えば、交流モータの一種である永久磁石同期モータ(PMSM))にさらに結合される。この例における電力インバータ102は、モータMを駆動するために三相電圧を供給することによって三相電力を提供するように構成された三相電圧発生器である。
【0032】
大きさおよび位相の両方の偏差は、モータMの電力およびトルクの損失を引き起こす可能性がある。したがって、コントローラ104は、フィードバック制御ループに基づいて適切な電流バランスが維持されることを確実にするために、モータMに供給される電圧の大きさおよび位相をリアルタイムで監視および制御するように構成され得る。
【0033】
モータM用の電力インバータ102は、相補対に配置された6つのトランジスタ108u,108v,108w,109u,109v,109wのスイッチングアレイを含む。各相補対はハーフブリッジ回路を形成し、モータMに相電圧を供給する1つのインバータレグを構成する。したがって、各インバータレグは、ハイサイドトランジスタ108u、108v、または108wと、ローサイドトランジスタ109u、109v、または109wと、を含む。さらに、各トランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wは、対応する還流ダイオードD1~D6に逆並列に接続されてもよい。還流ダイオードD1~D6は、高電圧ピークおよび損失を防止するために、それぞれのトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wのターンオフ中に負荷電流のための代替的な電流経路を提供する。例えば、還流ダイオードD1は、ハイサイドトランジスタ108uのターンオフ時に、ハイサイドトランジスタ108uに対して代替的な電流経路を提供する。同様に、還流ダイオードD2は、ローサイドトランジスタ109uのターンオフ中にローサイドトランジスタ109uに対して代替的な電流経路を提供する。
【0034】
負荷電流経路U、VおよびWは、相補型トランジスタの間に位置する各インバータレグ(例えば、各ハーフブリッジ回路の出力)の出力パッドUout、VoutまたはWoutから延在し、モータMなどの負荷に結合されるように構成される。各負荷電流経路U、VおよびWは、対応する相電流Iu、IvおよびIwを搬送する。各相電流Iu、IvおよびIwは、モータMの実際のモータ速度に直接対応するAC電気周波数を有する。
【0035】
電力インバータ102は、DC電源(例えば、バッテリまたはダイオードブリッジ整流器)およびゲートドライバシステム106に結合される。
【0036】
コントローラ104は、マイクロコントローラまたは別のハードウェアベースのコントローラであってもよく、リアルタイム(またはほぼリアルタイム)でモータ制御システム100のモータ制御機能を実行し、ゲートドライバシステム106にPWM制御信号を送信する。コントローラ104は、各トランジスタの状態、ひいてはそれぞれの負荷電流経路U,V,Wに供給される各相電流を制御するためにPWM方式を採用してもよい。ゲートドライバシステム106は、トランジスタ108u,108v,108w,109u,109v,109wのスイッチング状態(例えば、オン状態およびオフ状態)を制御するためのPWM制御信号に基づいてドライバ信号を生成する。したがって、負荷電流経路U、VおよびWは、トランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wの制御電極(例えば、ゲート電極)を制御することによって、コントローラ104およびゲートドライバシステム106によって制御することができる。例えば、コントローラ104からPWM制御信号を受信すると、ゲートドライバシステム106は、対応するトランジスタ108u、108v、108w、109u、109v、または109wを導通状態(例えば、オン状態)または遮断状態(例えば、オフ状態)の一方に設定することができる。
【0037】
ゲートドライバシステム106は、スイッチング状態間でトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wを駆動するための1つまたは複数のゲートドライバを含むことができる。例えば、ゲートドライバシステム106は、各ハーフブリッジ回路のためのゲートドライバを含むことができる。ゲートドライバシステム106は、コントローラ104からPWM制御信号を含む命令を受信し、受信した命令および制御信号に従ってトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wをそれぞれオンおよびオフするように構成されてもよい。例えば、トランジスタ108u、108v、108w、109u、109v、または109wのターンオン過程中に、ゲートドライバシステム106を使用して、ゲートを充電するためにトランジスタ108u、108v、108w、109u、109v、または109wのゲートにゲート電流を供給(ソース)することができる。対照的に、ターンオフ過程中、ゲートドライバシステム106を使用して、トランジスタ108u、108v、108w、109u、109v、または109wのゲートからゲート電流を引き込んで(流して)ゲートを放電することができる。
【0038】
さらに、電力インバータ102のトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wは、同じインバータレグ内のハイサイドおよびローサイドトランジスタの両方が決してオンにならず、そうでなければDC電源が短絡されるように制御される。この要件は、モータ制御アルゴリズムに従ってインバータレグ内のトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wの相補的動作によって満たされ得る。同じインバータレグのハイサイドおよびローサイドトランジスタの両方が同時にオフにされるデッドタイムがコントローラ104によって課され得る。
【0039】
正常動作中、モータMは、モータ制御アルゴリズムに従って駆動されて、制御信号の電気周波数に対応する所望のモータ速度を達成することができる。一方のハーフブリッジのハイサイドトランジスタ108u,108v,108wの一方と、他方のハーフブリッジのローサイドトランジスタ109u,109v,109wの一方とがオンすると、2つのハーフブリッジを介して短絡が生じることがある。例えば、2つのハーフブリッジの出力パッドWout、Vout、またはUoutが低インダクタンスで接続されている場合、モータMのモータハウジングの内側または外側で位相が短くなる可能性がある。これにより、ショートした2つのハーフブリッジのうち、ハイサイドトランジスタ108u,108v,108wおよびローサイドトランジスタ109u,109v,109wに大電流を流すことができる。例えば、ハイサイドトランジスタ108uとローサイドトランジスタ109vとがオンして出力パッドUoutおよびVoutが短絡すると短絡するおそれがある。ハイサイドトランジスタ108uおよびローサイドトランジスタ109vがオンになっている間に、出力パッドUoutおよびVout間に直接接続などの低インダクタンスの接続が存在すると、ハイサイドトランジスタ108uおよびローサイドトランジスタ109vを流れる電流がスパイクを発生し、ハイサイドトランジスタ108uおよびローサイドトランジスタ109vに損傷を与える可能性がある。
【0040】
したがって、本明細書に記載のいくつかの実施態様は、短絡が実際に発生する前にこの短絡状態を検出し、短絡故障を通知することに関する。短絡状態は、短絡の発生を防止するためにコントローラ104が適切な措置を講じることができるように、コントローラ104に検出および通知されるべき故障状態である。短絡故障が通知されると、コントローラ104は、(例えば、ハイサイドトランジスタ108u、108vおよび108wのスイッチングを無効にすることによって)ハイサイドトランジスタ108u、108vおよび108wがオンになるのを防止することができ、これにより短絡が発生するのを防止する。ハイサイドトランジスタ108u,108v,108wのいずれかがオンした場合にのみ短絡が起こり得る。これによっても、モータMの始動が阻止される。短絡状態が検出されると、短絡状態を診断し、場合によっては修復することができ、それによって、ハイサイドおよびローサイドトランジスタ108u、108v、108w、109u、109vおよび109wのうちの1つまたは複数への損傷を防止する。
【0041】
上述したように、図1は単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図1に関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、いくつかのモータ相が異なっていてもよく、または2つのハーフブリッジがHブリッジ回路として接続されてもよい。いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく、追加の回路構成要素を追加することができる。
【0042】
図2は、1つまたは複数の実施態様によるゲートドライバシステム200の概略ブロック図を示す。ゲートドライバシステム200は、図1のゲートドライバシステム106に対応することができる。図2に示すように、ゲートドライバシステム200は、単相モータ駆動段201(例えば、インバータレグまたはハーフブリッジ回路)と、単相モータ駆動段201に電気的に結合されたゲートドライバ206とを含む。ゲートドライバシステム200は、ゲートドライバシステム200内の各インバータレグについて複製することができる。
【0043】
単相モータ駆動段201は、モータMに負荷電流ILOADを供給するために制御されるハイサイドトランジスタ208uおよびローサイドトランジスタ209uを含む。言い換えれば、この例の単相モータ駆動段201は、図1で説明したモータMのU相インバータレグに相当する。しかしながら、単相モータ駆動段201は、モータ制御システム100内の任意のインバータレグに対応することができる。
【0044】
ゲートドライバ206は、ローサイドトランジスタ209uを駆動するためのローサイドゲートドライバ210と、ハイサイドトランジスタ208uを駆動するためのハイサイドゲートドライバ220とを含むモノリシックゲートドライバである。ローサイドゲートドライバ210およびハイサイドゲートドライバ220は、コントローラ104等のコントローラから受信したPWM制御信号LINおよびHINに基づいて、それぞれのローサイドトランジスタ209uおよびハイサイドトランジスタ208uをゲート駆動する。
【0045】
PWM制御信号は、ゲートドライバ206のPWM論理ユニット225においてコントローラ104から受信される。PWM論理ユニット225は、コントローラ104からPWM制御信号LINおよびHIN信号を受信し、ハイサイドトランジスタ208uおよびローサイドトランジスタ209uの両方が同時にオフにされる最小デッドタイムが実装されることを保証する。最終的に、ローサイドゲートドライバ210およびハイサイドゲートドライバ220のそれぞれにPWM制御信号LINおよびHINが与えられる。いくつかの実施態様では、ハイサイドゲートドライバ220に提供されるPWM制御信号HINは、レベルシフタ230を通過することができる。レベルシフタ230は、PWM制御信号HINを変換(例えば、レベルシフト)し、したがって制御情報をゲートドライバ206の低電圧電力ドメインから高電圧電力ドメインに転送するために使用される。この後に、ローサイドゲートドライバ210およびハイサイドゲートドライバ220がゲート駆動を行う。
【0046】
ローサイドゲートドライバ210およびハイサイドゲートドライバ220の両方は、別々のプリドライバ回路240および250ならびにバッファ245および255をそれぞれ含む。プリドライバ回路240および250は、PWM制御信号LINおよびHIN信号を受信し、それに基づいて、電流Io+を生成するために使用されるソース電界効果トランジスタ(FET)などのそれぞれの第1の電流源のオン/オフ状態を制御するように構成される。さらに、プリドライバ回路240および250は、PWM制御信号LINおよびHIN信号を受信し、それに基づいて、電流Io-を生成するために使用されるシンクFETなどのそれぞれの第2の電流源のオン/オフ状態を制御するように構成される。各電流源は、バッファ245,255に設けられている。したがって、バッファ245および255はそれぞれ、ローサイドトランジスタ209uおよびハイサイドトランジスタ208uのそれぞれに対するターンオン電流Io+およびターンオフ電流Io-を生成するために使用される一対の相補型FETを含むことができる。
【0047】
プリドライバ回路240および250の各々は、バッファ245および255内の電流源の制御を介してオン電流Io+およびオフ電流Io-の振幅を制御するように構成されたレギュレータをさらに含むことができる。言い換えれば、各レギュレータは、特定の電流能力を使用するようにそれぞれのバッファ245および255に命令する。
【0048】
ゲートドライバ206は、コントローラ104からPWM制御信号を受信し、受信したPWM制御信号に従ってそれぞれのハイサイドおよびローサイドトランジスタ208uおよび209uをオンまたはオフするように構成することができる。例えば、ハイサイドトランジスタ208uおよびローサイドトランジスタ209uのターンオン処理中に、ゲートドライバ206を使用して、ハイサイドトランジスタ208uまたはローサイドトランジスタ209uの一方のゲートにゲート電流Io+を供給して(ソースして)ゲートを充電することができる。これに対して、ターンオフ過程において、ゲートドライバ206を用いて、ハイサイドトランジスタ208uまたはローサイドトランジスタ209uの一方のゲートからゲート電流Io-を引き込んで(シンクして)放電してもよい。
【0049】
したがって、コントローラ104は、それらの間で情報および制御信号を送信するためにゲートドライバ206に電気的に結合され、ゲートドライバ206は、ハイサイドトランジスタ208uおよびローサイドトランジスタ209uを駆動するための単相モータ駆動段201に電気的に結合される。
【0050】
ゲートドライバシステム200は、電圧充電デバイス270を充電するためのブートストラップダイオード260をさらに含む。この場合、電圧充電デバイス270は、ブートストラップキャパシタである。しかしながら、電圧充電デバイス270は、充電可能なバッテリまたは他の種類の電圧充電デバイスであってもよい。
【0051】
さらに、VBはハイサイド浮遊電源電圧を指し、VSはハイサイド浮遊接地電圧を指し、VCCはローサイド固定電源電圧を指し、VSSはローサイド接地電圧を指し、HOはハイサイド浮遊出力電圧用の出力端子を指し、LOはローサイド出力電圧用の出力端子を指し、DC+はDCリンク正電源を指し、DC-はDCリンク負電源を指し、HINおよびLINはコントローラ104から受信したPWM制御信号(例えば、論理入力電圧)を指す。ローサイド固定電源電圧VCCはまた、固定電源電圧を使用して動作するゲートドライバ206の特定の論理構成要素に電力を供給し、ブートストラップダイオード260が順方向バイアスされているときに電圧充電デバイス270を充電するために使用され得る。
【0052】
通常、VB=VCC-VS-VDであり、VDはブートストラップダイオード260にわたる順方向バイアス電圧降下である。例示的な一実施態様として、ローサイド固定電源電圧VCCが15Vに等しく、ハイサイド浮遊接地電圧VSが0Vに等しく、ブートストラップダイオード260が順方向バイアスされ、VD=0.5Vの順方向バイアス電圧降下を有する場合、VB=15V-0V-0.5V=14.5Vである。すなわち、正常動作中、電圧充電デバイス270がゲートドライバ206のハイサイドに供給することに起因して、ハイサイド浮遊電源電圧VBはハイサイド浮遊接地電圧VSよりも約15V高い。DCリンク正電源DC+を提供する正電源レールは、例えば200~1200Vの範囲内とすることができるが、これに限定されない。これに加えて、ハイサイド浮遊接地電圧VSは、ローサイドトランジスタ209uがオン(かつハイサイドトランジスタ208uがオフ)のとき、DC-(例えば、VSSまたは0V)に等しい。負電源レールは、図示するように、DCリンク負電源DC-を提供し、VSSに短絡され得るが、そうである必要はない。この場合、ハイサイド浮遊電源電圧VBは15V付近であり、電圧充電デバイス270は、ブートストラップダイオード260を介してローサイド固定電源電圧VCCによって充電される。そうでなければ、ハイサイドトランジスタ208uがオンであり(かつローサイドトランジスタ209uがオフである)、ブートストラップダイオード260が逆バイアスされて非導通であるとき、ハイサイド浮遊接地電圧VSはDCリンク正電源DC+に等しい。ブートストラップダイオード260が逆バイアスされている場合、ハイサイド浮遊電源電圧VBはDCリンク正電源DC+よりも15V高く、電圧充電デバイス270は緩やかに放電している。本明細書で使用される特定の回路値およびデバイスパラメータは、多くの可能な実施態様のうちの1つまたは複数の可能な実施態様の例示目的のための例として機能し、明示的に述べられていない限り、決して限定または必要とされるものとして扱われるべきではないことが理解されよう。
【0053】
上述の電圧は、ゲートドライバ206のハイサイド電圧ドメインがゲートドライバ206のローサイド電圧ドメインよりも高い電圧または電力ドメインで動作するように設定される。例えば、DCリンク正電源DC+が1200Vのとき、ローサイド固定電源電圧VCCを15Vに設定し、ハイサイド浮遊電源電圧VBを最大電圧1215Vで動作させてもよい。
【0054】
ゲートドライバ206は、コントローラ104からの命令を受信して、PWM制御信号を使用してハイサイド浮遊接地電圧VSに接続されたモータ相(例えば、単相モータ駆動段201)を駆動するように構成される。PWM制御信号HINおよびLINとして示されているこれらのPWM制御信号は、ゲートドライバ206によって受信され、適切なロジック(例えば、ローサイドゲートドライバ210用のPWM論理ユニット225およびハイサイドゲートドライバ220用のレベルシフタ230)を介してハイサイドゲートドライバ220およびローサイドゲートドライバ210に渡される。ローサイドゲートドライバ210はPWM制御信号LINを受け取るように構成され、ハイサイドゲートドライバ220はPWM制御信号HINを受け取り、ゲートドライバ206の出力端子HOおよびLOを使用してローサイドトランジスタ209uおよびハイサイドトランジスタ208uをそれぞれ駆動するように構成される。
【0055】
上述したように、図2は単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図2に関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、ハイサイドゲートドライバ220は、コントローラ104からPWM制御信号を直接受信することができる。いくつかの実施態様では、ブートストラップダイオード260は、ゲートドライバ206の外部に配置されてもよい。いくつかの実施態様では、ローサイド接地電圧VSSは、接地電位とは異なる供給電位に接続されてもよい。いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく、追加の回路構成要素を追加することができる。
【0056】
図3Aは、1つまたは複数の実施態様による多相ゲートドライバシステム300の概略図を示す。多相ゲートドライバシステム300は、図1のゲートドライバシステム106および/または図2のゲートドライバシステム200に対応してもよい。図3Aに示すように、多相ゲートドライバシステム300は、各々が3つのゲートドライバ306u、306vおよび306wのうちの1つによってそれぞれ駆動される3つの単相モータ駆動段(例えば、インバータレグまたはハーフブリッジ回路)を含む。具体的には、ゲートドライバ306uは、入力端子INで受け取られたPWM制御信号HINおよびLINに基づいて、トランジスタ308u,309uをスイッチング状態間で駆動するためのゲート制御信号を生成し、ゲートドライバ306vは、入力端子INに入力されたPWM制御信号HINおよびLINに基づいて、トランジスタ308v,309vをスイッチング状態間で駆動するためのゲート制御信号を生成し、ゲートドライバ306wは、入力端子INに入力されたPWM制御信号HINおよびLINに基づいて、スイッチング状態間でトランジスタ308w,309wを駆動するためのゲート制御信号を生成する。
【0057】
抵抗器Rは、ゲートドライバ306u、306vおよび306wの各出力端子HOおよびLOを、ゲート制御信号を搬送するためのそれぞれのトランジスタ308u、308v、308w、309u、309vおよび309wのゲートに接続するために使用される。抵抗器Rの抵抗値は、10オームと200オームとの間であってもよいが、これに限定されない。ゲート制御信号は、トランジスタをオンにするために高信号レベルに設定されてもよく、トランジスタをオフにするために低信号レベルに設定されてもよい。結果として、ゲート制御信号は、可変駆動信号と呼ばれる場合がある。例えば、ゲート制御信号は、PWMデューティーサイクルに従って高信号レベルと低信号レベルとを切り替えるPWM駆動信号であってもよい。モータの動作モード中、ゲート制御信号はPWM駆動信号として生成されてもよい。
【0058】
さらに、各ゲートドライバは、ブートストラップダイオードおよび電圧充電デバイスに関連付けられている。ブートストラップダイオード360uおよび電圧充電デバイス370uは、ゲートドライバ306uに対応する。電圧充電デバイス370uは、ブートストラップダイオード360uを介して電源VCCに接続されている。電圧充電デバイス370uの一方の端子は、ゲートドライバ306uのハイサイド浮遊電源電圧VBに結合され、電圧充電デバイス370uの他方の端子は、ゲートドライバ306uのハイサイド浮遊接地電圧VSに結合され、ゲートドライバ306uの出力パッドUoutにも結合される。したがって、電圧充電デバイス370uの両端の電圧は、充電電圧Vbs_Uと呼ぶことができる。電圧充電デバイス370uの充電に伴い、充電電圧Vbs_Uは、最大電圧レベル(例えば、VCC-VD)まで上昇する。電圧充電デバイス370uの放電に伴い、充電電圧Vbs_Uは、最低電圧レベル(例えば、0V)まで低下する。
【0059】
同様に、ブートストラップダイオード360vおよび電圧充電デバイス370vがゲートドライバ306vに相当する。電圧充電デバイス370vは、ブートストラップダイオード360vを介して電源VCCに接続されている。電圧充電デバイス370vの一方の端子はゲートドライバ306vのハイサイド浮遊電源電圧VBに結合され、電圧充電デバイス370vの他方の端子はゲートドライバ306vのハイサイド浮遊接地電圧VSに結合され、ゲートドライバ306vの出力パッドVoutにも結合される。したがって、電圧充電デバイス370vの両端の電圧は、充電電圧Vbs_Vと呼ぶことができる。電圧充電デバイス370vの充電に伴い、充電電圧Vbs_Vは、最大電圧レベル(例えば、VCC-VD)まで上昇する。電圧充電デバイス370vの放電に伴い、充電電圧Vbs_Vは、最低電圧レベル(例えば、0V)まで低下する。
【0060】
同様に、ブートストラップダイオード360wおよび電圧充電デバイス370wがゲートドライバ306wに相当する。電圧充電デバイス370wは、ブートストラップダイオード360wを介して電源VCCに接続されている。電圧充電デバイス370wの一方の端子はゲートドライバ306wのハイサイド浮遊電源電圧VBに結合され、電圧充電デバイス370wの他方の端子はゲートドライバ306wのハイサイド浮遊接地電圧VSに結合され、ゲートドライバ306wの出力パッドUoutにも結合される。したがって、電圧充電デバイス370wの両端の電圧は、充電電圧Vbs_Wと呼ぶことができる。電圧充電デバイス370wの充電に伴い、充電電圧Vbs_Wは、最大電圧レベル(例えば、VCC-VD)まで上昇する。電圧充電デバイス370wの放電に伴い、充電電圧Vbs_Wは、最低電圧レベル(例えば、0V)まで低下する。
【0061】
短絡診断動作時には、ゲートドライバ306u,306v,306wは、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wをオフ状態に維持し、実際の短絡の発生を防止する。また、短絡診断動作時には、ローサイドトランジスタ309u,309v,309wのうちの2つをオフに維持し、ローサイドトランジスタのうちの1つを可変駆動信号(例えば、PWM駆動信号)によりオン/オフする。換言すれば、トランジスタ308u,308v,308w,309u,309v,309wの6個のトランジスタのうちの一方のみがオン/オフされ、トランジスタ308u,308v,308w,309u,309v,309wの残りの5個のトランジスタはオフに維持される。この例では、ローサイドトランジスタ309uのゲートが、ゲート制御信号としてPWM駆動信号を受け取り、その他のトランジスタ308u,308v,308w,309v,309wには、ロー信号レベルに設定されたゲート制御信号が入力される。結果として、電流I1、I2およびI3の電流経路が図示するように確立され、電圧充電デバイス370u、370vおよび370wがそれぞれの最小電圧レベルからそれぞれの最大電圧レベルまで充電されることを可能にする。
【0062】
図3Aは、短絡状態が存在しない(例えば、出力パッドUout、VoutまたはWoutのいずれも互いに直接接続されていない)通常の動作状態を示す。この場合、電圧充電デバイス370uからローサイドトランジスタ309uを介して電流I1が流れ、電圧充電デバイス370vからモータMを介してローサイドトランジスタ309uを介して電流I2が流れ、電圧充電デバイス370wからモータMを介してローサイドトランジスタ309uを介して電流I3が流れる。電圧充電デバイス370uは、電流I1の方が、電流経路が短く、モータMのモータ巻線を通過させる必要がないため、電圧充電デバイス370v,370wよりも速い速度で充電する。すなわち、PWM駆動信号を受け取るローサイドトランジスタ309u,309v,309wに関連付けられた電圧充電デバイス370u,370v,370wは、他の電圧充電デバイス370u,370v,370wよりも速く充電することができる。加えて、短絡状態が存在しない場合、PWM駆動信号を受信するローサイドトランジスタ309u、309v、または309wに関連付けられる電圧充電デバイス370u、370v、または370wの充電時間は、他の電圧充電デバイス370u、370vおよび370wの充電時間よりも少なくとも所定のマージンまたは時間差だけ早く起こり得る。
【0063】
ここで、「充電時間」とは、電圧充電デバイス370u,370v,370wのいずれかが最低電圧レベルからそれぞれのしきい値電圧まで充電するのに要する時間のことである。電圧充電デバイス370u、370vおよび370wのしきい値電圧は、電圧充電デバイス370u、370vおよび370wのキャパシタンスなどのデバイスパラメータに応じて同じであっても異なっていてもよい。しきい値電圧は、例えば、電圧充電デバイス370u、370vおよび370wのそれぞれの最大電圧レベルの所定のパーセンテージ(例えば、70~95%)であってもよい。
【0064】
上述したように、図3Aは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図3Aに関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、ゲートドライバ306u、306vおよび306wは、同じIC上に配置されてもよい。いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく、追加の回路構成要素を追加することができる。
【0065】
図3Bは、短絡状態が存在しない図3Aに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。上段には、ローサイドトランジスタに印加されるPWM駆動信号が309u、309v、309wであることを示している。この例では、ローサイドトランジスタ309uのゲートにPWM駆動信号が印加される。これにより、電圧充電デバイス370uの充電時間は最も速く、短絡状態がない場合には、電圧充電デバイス370vおよび370wの充電時間よりも所定のマージン以上早くなる。短絡診断動作は、PWM駆動信号が初期化された時刻でもある開始時刻Tstartから開始される。PWM駆動信号が初期化されると、電圧充電デバイス370u,370v,370wは、最小電圧レベルから最大電圧レベルまでの充電を開始する。
【0066】
電圧充電デバイス370u、370v、370wの充電電圧Vbs_U、Vbs_V、Vbs_Wをそれぞれ示す。充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wは、それぞれの充電電圧Vbs_U、Vbs_V、またはVbs_Wがそれぞれのしきい値電圧に充電されるとトリガされる。例えば、診断回路は、充電電圧Vbs_Uを監視して、充電電圧Vbs_Uを測定し、充電電圧Vbs_Uを第1のしきい値電圧と比較することによって、電圧充電デバイス370uの第1の充電時間T1を検出することができる。診断回路は、充電電圧Vbs_Uが第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間T1を検出してもよい。充電時間信号Trig_Uは、充電電圧Vbs_Uが第1のしきい値電圧を満たす(例えば、充電電圧Vbs_Uが第1のしきい値電圧に等しくなる)ことに応答して、信号遷移によって示される第1の充電時間T1において第1の信号レベルから第2の信号レベルに切り替えられてもよい。第1の信号レベルから第2の信号レベルへの信号遷移は、例えば、立ち上がりエッジ信号遷移、立ち下がりエッジ信号遷移、または信号パルスとして行われてもよい。
【0067】
同様に、診断回路は、充電電圧Vbs_Vを測定し、充電電圧Vbs_Vを第2のしきい値電圧と比較することによって、電圧充電デバイス370vの第2の充電時間T2を検出するために充電電圧Vbs_Vを監視してもよい。いくつかの実施態様では、第1および第2のしきい値電圧は同じであってもよい。いくつかの実施態様では、第1および第2のしきい値電圧は異なっていてもよい。診断回路は、充電電圧Vbs_Vが第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間T2を検出してもよい。充電時間信号Trig_Vは、充電電圧Vbs_Vが第2のしきい値電圧を満たす(例えば、充電電圧Vbs_Vが第2のしきい値電圧に等しくなる)ことに応答して、信号遷移によって示される第2の充電時間T2において第1の信号レベルから第2の信号レベルに切り替えられてもよい。第1の信号レベルから第2の信号レベルへの信号遷移は、例えば、立ち上がりエッジ信号遷移、立ち下がりエッジ信号遷移、または信号パルスとして行われてもよい。
【0068】
同様に、診断回路は、充電電圧Vbs_Wを測定し、充電電圧Vbs_Wを第3のしきい値電圧と比較することによって、電圧充電デバイス370wの第3の充電時間T3を検出するために充電電圧Vbs_Wを監視してもよい。いくつかの実施態様では、第3のしきい値電圧は、第1および第2のしきい値電圧に等しくてもよい。いくつかの実施態様では、第1、第2および第3のしきい値電圧のうちの1つまたは複数は、他のしきい値電圧と異なっていてもよい。診断回路は、充電電圧Vbs_Wが第3のしきい値電圧まで充電される第3の充電時間T3を検出してもよい。充電時間信号Trig_Wは、充電電圧Vbs_Wが第3のしきい値電圧を満たす(例えば、充電電圧Vbs_Wが第3のしきい値電圧に等しくなる)ことに応答して、信号遷移によって示される第2の充電時間T2において第1の信号レベルから第2の信号レベルに切り替えられてもよい。第1の信号レベルから第2の信号レベルへの信号遷移は、例えば、立ち上がりエッジ信号遷移、立ち下がりエッジ信号遷移、または信号パルスとして行われてもよい。
【0069】
電圧充電デバイス370u,370v,370wの充電は、ローサイドトランジスタ309u,309v,309wのいずれかに与えられるPWM駆動信号によって開始時刻Tstartに開始される。したがって、第1の充電時間T1は、開始時刻Tstartから第1の充電電圧Vbs_Uが第1のしきい値電圧に充電されるまでの第1の継続時間として定義される。第2の充電時間T2は、開始時刻Tstartから第2の充電電圧Vbs_Vが第2のしきい値電圧に充電されるまでの第2の継続時間として定義される。第3の充電時間T3は、開始時刻Tstartから第3の充電電圧Vbs_Wが第3のしきい値電圧に充電されるまでの第3の継続時間として定義される。
【0070】
このようにして、第1、第2および第3の充電時間T1、T2およびT3を検出し、比較して、短絡状態が存在するかどうかを判定することができる。例えば、第1および第2の充電時間T1とT2との間の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth(例えば、T2-T1<Tth)未満である場合、または第1および第3の充電時間T1とT3との間の時間差Tdiff2が時間差しきい値Tth(例えば、T3-T1<Tth)未満である場合、短絡状態が存在する。第1および第2の充電時間T1およびT2の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth以上である場合(例えば、T2-T1≧Tth)、または第1および第3の充電時間T1,T3の時間差Tdiff2が時間差しきい値Tth以上である場合(例えば、T3-T1≧Tth)、短絡状態は存在せず、正常動作状態を検出することができる。
【0071】
上述したように、電圧充電デバイス370uは、PWM駆動信号を受け取るローサイドトランジスタ(例えば、ローサイドトランジスタ309u)に関連付けられているため、最も速く充電する。これにより、第1の充電時間T1に対して第2および第3の充電時間T2、T3を比較して短絡状態を診断する。ただし、ローサイドトランジスタ309uにPWM駆動信号を印加した場合の短絡状態を診断するための第2および第3の充電時間T2,T3の比較は行わない。一方、ローサイドトランジスタ309vにPWM駆動信号を印加すると、電圧充電デバイス370vが最も早く充電され、第2の充電時間T2(例えば、T1-T2およびT3-T2)に対して第1、第3の充電時間T1、T3が比較されて短絡状態が診断される。同様に、ローサイドトランジスタ309wにPWM駆動信号を印加すると、電圧充電デバイス370wが最も速く充電し、第3の充電時間T3(例えば、T1-T3およびT2-T3)に対して第1および第2の充電時間T1およびT2が比較され、短絡状態が診断される。
【0072】
上述したように、図3Bは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図3Bに関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、しきい値電圧は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施態様では、第2および第3の充電時間T2およびT3は、異なる時間インスタンスで発生し得る。いくつかの実施態様では、充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wは、それぞれの充電条件(例えば、しきい値条件)のうちの1つが満たされていることを示すために異なる形態を有することができる。いくつかの実施態様では、PWM駆動信号の代わりに異なるタイプの可変駆動信号を使用することができる。
【0073】
図3Cは、一例による、短絡状態が存在する多相ゲートドライバシステム300の概略図を示す。この例では、出力パッドUoutおよびVoutは直接接続されている(すなわち、互いに短絡されている)。電流I2は、もはやモータMのモータ巻線を通って流れない。短絡条件の結果として、電圧充電デバイス370vは、通常の動作条件下よりも迅速に充電する。したがって、電圧充電デバイス370vの充電電圧Vbs_Vは、最小電圧レベルから第2のしきい値電圧までより迅速に上昇し、充電時間信号Trig_Vがより早くトリガされる(例えば、第2の充電時間T2は、開始時刻Tstartに近く、第1の充電時間T1にも近い)。第1の充電時間T1と第2の充電時間T2との間の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth(例えば、T2-T1<Tth)未満である場合、短絡状態を検出し、コントローラ104にシグナリングすることができる。そして、コントローラ104は、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wへのゲート制御信号をローレベルに維持してハイサイドトランジスタ308u,308v,308wをオフ状態に維持することにより、モータMの起動を阻止してもよい。すなわち、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wのPWMスイッチングは開始されない。このようにして、短絡を発生させることができず、完全に防止することができ、それによってトランジスタ308u、308v、308w、309u、309vおよび309wの損傷を防止することができる。一方、診断回路は、正常動作状態を検出したことを条件に、ハイサイドトランジスタ308u、308v、308wをそれぞれのスイッチング状態間でPWMスイッチングしてモータMを起動することができるように構成される。ローサイドトランジスタ309u、309v、309wのPWMスイッチングもモータMを起動することができる。
【0074】
上述したように、図3Cは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図3Cに関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、ゲートドライバ306u、306vおよび306wは、同じIC上に配置されてもよい。いくつかの実施態様では、短絡は、図示した場所とは異なる場所で発生する場合がある。いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく、追加の回路構成要素を追加することができる。
【0075】
図3Dは、短絡状態が存在する、図3Cに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。充電時間信号Trig_U、Trig_V、Trig_Wは、それぞれ第1、第2、第3の充電時間T1、T2、T3を示す。出力パッドUoutとVoutとの間の短絡状態に起因して、電圧充電デバイス370vの充電電圧Vbs_Vが最小電圧レベルから第2のしきい値電圧までより迅速に増大し、充電時間信号Trig_Vがより早くトリガされる(例えば、第2の充電時間T2は、開始時刻Tstartに近く、第1の充電時間T1にも近い)。この場合、診断回路は、第1および第2の充電時間T1,T2の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth未満であり、出力パッドUoutおよびVout間の短絡状態が存在すると判定することができる。また、診断回路は、第1および第3の充電時間T1,T3の時間差Tdiff2が時間差しきい値Tth以上であり、出力パッドUoutおよびWout間の短絡状態がないと判定することができる。
【0076】
したがって、診断回路は、多相ゲートドライバシステム300内の短絡状態の位置を識別することができ、これにより、技術者の診断および修理時間を短縮することができる。短絡状態の検出に応答して、診断回路は、短絡故障をコントローラ104にシグナリングすることができる。診断回路は、どの2つの相が共に短絡されているかを示すことによって短絡故障を通知するときに故障位置を示すことができる。例えば、第1の充電時間T1と第2の充電時間T2との間の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth未満である場合、診断回路は、短絡故障において、短絡状態が出力パッドUoutとVoutとの間に存在することを知らせることができる。
【0077】
そして、コントローラ104は、短絡故障を示す信号を受信したことに応じて、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wへのゲート制御信号をローレベルに維持し、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wをオフ状態に維持することにより、モータMの起動を抑制してもよい。すなわち、ハイサイドトランジスタ308u,308v,308wのPWMスイッチングは開始されない。このようにして、短絡を発生させることができず、完全に防止することができ、それによってトランジスタ308u、308v、308w、309u、309vおよび309wの損傷を防止することができる。一方、診断回路は、正常動作状態を検出したことを条件に、ハイサイドトランジスタ308u、308v、308wをそれぞれのスイッチング状態間でPWMスイッチングしてモータMを起動することができるように構成される。ローサイドトランジスタ309u、309v、309wのPWMスイッチングもモータMを起動することができる。コントローラ104はまた、故障位置を外部装置、例えば修理のために技術者によって使用される外部装置に提供することができる。
【0078】
上述したように、図3Dは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図3Dに関して説明したものとは異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、しきい値電圧は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施態様では、第2および第3の充電時間T2およびT3は両方とも短絡を示すことができる。いくつかの実施態様では、充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wは、それぞれの充電条件(例えば、しきい値条件)のうちの1つが満たされていることを示すために異なる形態を有することができる。いくつかの実施態様では、PWM駆動信号の代わりに異なるタイプの可変駆動信号を使用することができる。
【0079】
図4は、1つまたは複数の実施態様による診断回路400の概略図を示す。コントローラ104は、診断回路400の一部であってもよい。例えば、コントローラ104は、上述のように短絡診断動作中に、ゲートドライバ306u,306v,306wに対して、トランジスタ308u,308v,308w,309u,309v,309wのうちの5つをオフ状態に維持し、ローサイドトランジスタ309u,309v,309wのうちの一方にPWM駆動信号を供給するように指示してもよい。コントローラ104はまた、PWM駆動信号がローサイドトランジスタ309u、309v、または309wのうちの異なるものに提供されるさらなる短絡診断動作を開始することができる。そうすることによって、短絡状態のすべての可能な位置を試験して、多相ゲートドライバシステム(例えば、多相ゲートドライバシステム300)全体が正常に動作しているかどうかを判定することができる。
【0080】
診断回路400は、電圧充電デバイス370uの充電電圧Vbs_Uを測定するために、電圧充電デバイス370uに接続されている。例えば、診断回路400は、充電電圧Vbs_Uを測定するために、端子VBまたはゲートドライバ306uの端子VBおよびVSに接続されてもよい。同様に、診断回路400は、電圧充電デバイス370vの充電電圧Vbs_Vを測定するために、電圧充電デバイス370vに接続されている。例えば、診断回路400は、充電電圧Vbs_Vを測定するために、端子VBまたはゲートドライバ306vの端子VBおよびVSに接続されてもよい。同様に、診断回路400は、電圧充電デバイス370wの充電電圧Vbs_Wを測定するために、電圧充電デバイス370wに接続されている。例えば、診断回路400は、充電電圧Vbs_Wを測定するために、端子VBまたはゲートドライバ306wの端子VBおよびVSに接続されてもよい。これにより、診断回路400は、短絡診断動作中の充電電圧Vbs_U,Vbs_V,およびVbs_Wを監視し、それぞれの充電時間T1,T2,およびT3を検出することができる。
【0081】
診断回路400は、短絡診断動作時の充電電圧Vbs_U,Vbs_V,およびVbs_Wをそれぞれ第1、第2、第3のしきい値電圧Ref1,Ref2,およびRef3と比較することで、充電時間T1,T2,およびT3を検出することができる。診断回路400は、それぞれの充電条件が満たされたときに充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wをトリガする比較器401,402および403を含むことができる。例えば、比較器401は、充電電圧Vbs_Uを第1のしきい値電圧Ref1と比較し、充電電圧Vbs_Uが第1のしきい値電圧Ref1以上であるときに充電時間信号Trig_Uをトリガする。比較器402は、充電電圧Vbs_Vを第2のしきい値電圧Ref2と比較し、充電電圧Vbs_Vが第2のしきい値電圧Ref2以上であるとき、充電時間信号Trig_Vをトリガする。比較器403は、充電電圧Vbs_Wを第3のしきい値電圧Ref3と比較し、充電電圧Vbs_Wが第3のしきい値電圧Ref3以上であるときに充電時間信号Trig_Wをトリガする。そこで、比較器401,402,403の比較結果を用いて、第1、第2、第3の充電時間T1,T2,およびT3をそれぞれ検出する。
【0082】
診断回路400は、充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wに基づいて第1、第2および第3の充電時間T1、T2およびT3を評価するプロセッサ404をさらに含む。例えば、プロセッサ404は、第1および第2の充電時間T1およびT2の間の時間差Tdiff1を計算し、第1および第3の充電時間T1およびT3の間の時間差Tdiff2を計算し、時間差Tdiff1またはTdiff2のいずれかが時間差しきい値Tth未満であるかどうかを判定することができる。時間差Tdiff1またはTdiff2のいずれかが(例えば、それぞれの比較結果に基づいて)時間差しきい値Tth未満である場合、プロセッサ404は、短絡状態を検出し、短絡故障信号を介して短絡故障をコントローラ104にシグナリングする。言い換えると、プロセッサ404は、第2の充電時間T2または第3の充電時間T3が、第1の充電時間T1に対して時間差しきい値Tth未満の時間遅延で発生することを条件に短絡状態を検出する。プロセッサ404は、第2の充電時間T2および第3の充電時間T3の双方が、第1の充電時間T1に対して時間差しきい値Tth以上のそれぞれの時間遅延で発生することを条件に正常動作状態を検出する。
【0083】
プロセッサ404は、どの2つの相が共に短絡されているかを示すことによって短絡故障を通知するときに故障位置を示すことができる。例えば、第1の充電時間T1と第2の充電時間T2との間の時間差Tdiff1が時間差しきい値Tth未満である場合、プロセッサ404は、出力パッドUoutとVoutとの間に短絡状態が存在するという短絡故障信号に故障情報を含めることができる。
【0084】
あるいは、図5Aおよび図5Bを参照して説明するように、プロセッサ404は、開始時刻Tstartから延在する所定の期間Tjudge内に、プロセッサ404が任意の2つの充電時間T1およびT2、T1およびT3、またはT2およびT3を検出するという条件で、短絡状態を検出するように構成される。充電時間T1、T2およびT3のうちの1つのみが所定の期間Tjudge内に発生した場合、正常動作状態が存在し、プロセッサ404によって検出することができる。
【0085】
上述したように、図4は単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図4に関して説明したものとは異なっていてもよい。例えば、いくつかの実施態様では、異なるタイプの構成要素を使用して、第1、第2および第3のしきい値電圧Ref1、Ref2およびRef3に対する充電電圧Vbs_U、Vbs_VおよびVbs_Wを監視することができる。あるいは、第1、第2、第3のしきい値電圧Ref1、Ref2、Ref3に対する充電電圧Vbs_U、Vbs_V、Vbs_Wの監視は、プロセッサベースであってもよい(例えば、プロセッサ404によって実行される)。いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく、追加の回路構成要素を追加することができる。
【0086】
図5Aは、短絡状態が存在しない図3Aに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。代替的な評価方法を使用して、プロセッサ404は、開始時刻Tstartから開始時刻Tstartよりも所定の継続時間だけ後の時間まで延在する所定の期間Tjudgeに関して充電時間T1、T2およびT3を評価するように構成される。この場合、所定時間Tjudge内には第1の充電時間T1のみが発生し、所定の期間Tjudgeが経過した後に第2および第3の充電時間T2,T3が発生する。このようなシナリオは、第1の充電時間T1に対する第2および第3の充電時間T2およびT3の時間遅延が正常動作に十分であることを示している。このシナリオでは、プロセッサ404は、正常動作状態を検出し、正常動作状態をコントローラ104にシグナリングして、モータMの始動を可能にすることができる。
【0087】
上述したように、図5Aは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図5Aに関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、第2および第3の充電時間T2およびT3は、異なる時間インスタンスで発生し得る。いくつかの実施態様では、充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wは、それぞれの充電条件(例えば、しきい値条件)のうちの1つが満たされていることを示すために異なる形態を有することができる。いくつかの実施態様では、PWM駆動信号の代わりに異なるタイプの可変駆動信号を使用することができる。
【0088】
図5Bは、短絡状態が存在する、図3Cに示す実施態様による、短絡診断動作中に存在するさまざまな信号の信号図である。代替的な評価方法を使用して、プロセッサ404は、開始時刻Tstartから所定の継続時間だけ延在する所定の期間Tjudgeに関して充電時間T1、T2およびT3を評価するように構成される。この場合、所定の期間Tjudge内に2回の充電時間(例えば、第1の充電時間T1および第2の充電時間T2)が発生する。このようなシナリオは、第1の充電時間T1に対する第2および第3の充電時間T2およびT3の時間遅延が正常動作には十分でないことを示している。プロセッサ404は、出力パッドUoutとVoutとの間に短絡状態が存在することを検出することができ、短絡故障をコントローラ104にシグナリングしてモータMの始動を無効にすることができる。
【0089】
上述したように、図5Bは単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図5Bに関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、第2および第3の充電時間T2およびT3は両方とも短絡を示すことができる。いくつかの実施態様では、充電時間信号Trig_U、Trig_VおよびTrig_Wは、それぞれの充電条件(例えば、しきい値条件)のうちの1つが満たされていることを示すために異なる形態を有することができる。いくつかの実施態様では、PWM駆動信号の代わりに異なるタイプの可変駆動信号を使用することができる。
【0090】
図6は、1つまたは複数の実施態様による、モータ始動前の多相ゲートドライバシステムにおいて短絡状態を検出するための方法600の流れ図を示す。動作605において、第1のPWM駆動信号が第1のローサイドトランジスタ(例えば、ローサイドトランジスタ309u、309vおよび309wのうちの一方)に印加される。動作610において、第1のPWM駆動信号が第1のローサイドトランジスタに印加されている間に短絡状態が検出されるか否かが判定される。動作610で短絡状態が検出されると、ハイサイドトランジスタ308u、308vおよび308wのPWMスイッチングが無効にされる(動作615)。動作610において短絡状態が検出されない場合、動作620において、第2のPWM駆動信号が第2のローサイドトランジスタ(例えば、ローサイドトランジスタ309u、309vおよび309wのうちの異なるもの)に印加される。動作625において、第2のPWM駆動信号が第2のローサイドトランジスタに印加されている間に短絡状態が検出されるかどうかが判定される。動作625で短絡状態が検出されると、ハイサイドトランジスタ308u、308vおよび308wのPWMスイッチングが無効にされる(動作630)。動作625において短絡状態が検出されない場合、多相ゲートドライバシステムに短絡が存在しないと判定される(動作635)。動作640において、モータが、すべてのトランジスタ308u、308v、308w、309u、309vおよび309wのPWMスイッチングを有効にすることによって始動される。
【0091】
上述したように、図6は単なる例として提供されている。他の例も可能であり、図6に関して説明したものとは異なり得る。例えば、いくつかの実施態様では、上記で提供された開示から逸脱することなく追加のステップを追加することができる。
【0092】
本明細書に記載のいくつかの態様は、以下のように要約することができる。
【0093】
1.モータを駆動するように構成されたドライバシステムであって、第1の出力ノードにおいて結合される第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタを含む第1のハーフブリッジ回路であって、第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタが、モータを駆動するために第1の出力ノードにおいて第1の負荷電流を協働して生成するように構成される、第1のハーフブリッジ回路と、第2の出力ノードにおいて結合される第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを含む第2のハーフブリッジ回路であって、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタが、モータを駆動するために第2の出力ノードにおいて第2の負荷電流を協働して生成するように構成される、第2のハーフブリッジ回路と、第1の電源および第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の電源および第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視し、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出し、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出し、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するように構成された診断回路と、を含むドライバシステム。
【0094】
2.診断回路が、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0095】
3.診断回路が、第1の充電時間に対して時間差しきい値未満の時間遅延で第2の充電時間が発生するという条件で、短絡状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0096】
4.診断回路が、第1の充電時間に対して時間差しきい値以上の時間遅延で第2の充電時間が発生するという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0097】
5.上記態様のいずれかに記載のドライバシステムであって、
【0098】
第1のハイサイドトランジスタ、第1のローサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含む、それぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するドライバ回路をさらに含み、
【0099】
診断回路が第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視している間に、ドライバ回路が、第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、第1のローサイドトランジスタをオン状態とオフ状態との間で駆動するように構成される。
【0100】
6.上記態様のいずれかに記載のドライバシステムであって、
【0101】
診断回路が第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視している間に、ドライバ回路が、制御信号のうちの1つを可変駆動信号として生成し、可変駆動信号を第1のローサイドトランジスタの制御端子に供給して第1のローサイドトランジスタをオン状態とオフ状態との間で駆動するように構成される。
【0102】
7.可変駆動信号がパルス幅変調(PWM)駆動信号である、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0103】
8.ドライバ回路が、開始時刻において可変駆動信号を開始するように構成され、第1の電圧充電デバイスの充電および第2の電圧充電デバイスの充電が、開始時刻において開始する、態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0104】
9.診断回路が、第1の充電時間を、開始時刻から、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の後続時刻までの第1の継続時間として決定し、第2の充電時間を、開始時刻から、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の後続時刻までの第2の継続時間として決定するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0105】
10.ドライバ回路が、第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成された第1のドライバと、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成された第2のドライバと、を含む、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0106】
11.第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタがオフ状態にある間、ならびに第1のローサイドトランジスタがオン状態とオフ状態との間で駆動されている間に、第1の電圧充電デバイスから第1の出力ノードおよび第1のローサイドトランジスタを通って第1の電流が流れるように構成され、第2の電圧充電デバイスから第2の出力ノードおよび第1のローサイドトランジスタを通って第2の電流が流れるように構成され、正常動作状態の下では、第2の電流が、第2の出力ノードからモータのモータ巻線を通って第1のローサイドトランジスタに流れるように構成され、短絡状態が存在する故障状態の下では、第2の電流が、第2の出力ノードから短絡を通って第1のローサイドトランジスタに流れるように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0107】
12.第1のハイサイドトランジスタ、第1のローサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含むそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、診断回路が第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視している間に、ドライバ回路が、第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、第1のローサイドトランジスタをオン状態とオフ状態との間で駆動するように構成され、診断回路が、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成され、診断回路が正常動作状態を検出したことを条件に、診断回路が、第1のハイサイドトランジスタおよび第2のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを可能にするように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0108】
13.診断回路が短絡状態を検出したことを条件に、診断回路が、第1のハイサイドトランジスタおよび第2のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを無効にするように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0109】
14.診断回路が、第1の充電電圧を第1のしきい値電圧と比較し、第1の比較結果を生成するように構成された第1の比較器と、第2の充電電圧を第2のしきい値電圧と比較し、第2の比較結果を生成するように構成された第2の比較器と、を含み、診断回路が、第1の比較結果に基づいて第1の充電時間を検出し、第2の比較結果に基づいて第2の充電時間を検出する、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0110】
15.診断回路が、第1の充電時間および第2の充電時間に基づいて時間差を計算し、時間差を時間差しきい値と比較して第3の比較結果を生成し、第3の比較結果に基づいて短絡状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0111】
16.第1のハイサイドトランジスタ、第1のローサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含む、それぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、ドライバ回路が、開始時刻において第1の電圧充電デバイスの充電および第2の電圧充電デバイスの充電を開始するように構成され、診断回路が、開始時刻から延在する所定期間内に第1の充電時間および第2の充電時間の両方を診断回路が検出したことを条件として、短絡状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0112】
17.診断回路が、第2の充電時間が開始時刻から延在する所定期間以上の時間に発生したことを診断回路が検出したことを条件として、正常動作状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0113】
18.第1の電源および第2の電源が同じ電源である、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0114】
19.第1の電圧充電デバイスが第1のブートストラップキャパシタであり、第2の電圧充電デバイスが第2のブートストラップキャパシタである、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0115】
20.第1の充電電圧が第1のブートストラップキャパシタの両端の電圧を表し、第2の充電電圧が第2のブートストラップキャパシタの両端の電圧を表す、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0116】
21.第1のハイサイドトランジスタおよび第1のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するように構成された第1のドライバと、第2のハイサイドトランジスタおよび第2のローサイドトランジスタをそれぞれのスイッチング状態間で駆動するように構成された第2のドライバと、をさらに含み、第1の充電電圧が、第1のドライバの第1のハイサイド浮遊電源電圧であり、第2の充電電圧が、第2のドライバの第2のハイサイド浮遊電源電圧である、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0117】
22.第3の出力ノードにおいて結合される第3のハイサイドトランジスタおよび第3のローサイドトランジスタを含む第3のハーフブリッジ回路であって、第3のハイサイドトランジスタおよび第3のローサイドトランジスタが、モータを駆動するために第3の出力ノードにおいて第3の負荷電流を協働して生成するように構成される、第3のハーフブリッジ回路と、第3の電源および第3の出力ノードに結合された第3の電圧充電デバイスと、をさらに含み、診断回路が、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧、第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧および第3の電圧充電デバイスの第3の充電電圧を監視し、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出し、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出し、第3の充電電圧が第3のしきい値電圧に充電される第3の充電時間を検出し、第1の充電時間と第2の充電時間との間の第1の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、または第1の充電時間と第3の充電時間との間の第2の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0118】
23.診断回路が、第1の時間差および第2の時間差の両方が時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0119】
24.第1のハイサイドトランジスタ、第1のローサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタ、第2のローサイドトランジスタ、第3のハイサイドトランジスタおよび第3のローサイドトランジスタを、少なくともオン状態とオフ状態とを含むそれぞれのスイッチング状態間で駆動するための制御信号を生成するように構成されたドライバ回路をさらに含み、診断回路が、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視している間に、ドライバ回路が、第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタ、第3のハイサイドトランジスタ、第2のローサイドトランジスタおよび第3のローサイドトランジスタをオフ状態に維持し、第1のローサイドトランジスタをオン状態とオフ状態との間で駆動するように構成され、診断回路が正常動作状態を検出したことを条件に、診断回路が、第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第3のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを可能にするように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0120】
25.診断回路が短絡状態を検出したことを条件に、診断回路が、第1のハイサイドトランジスタ、第2のハイサイドトランジスタおよび第3のハイサイドトランジスタのそれぞれのスイッチング状態間でのスイッチングを無効にするように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0121】
26.第1の電源、第2の電源および第3の電源が同じ電源である、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0122】
27.診断回路が短絡状態を検出したことを条件に、診断回路が、短絡状態の故障位置を示す短絡故障信号を生成するように構成される、上記態様のいずれかに記載のドライバシステム。
【0123】
28.第1の出力ノードに第1の負荷電流を生成するように構成された第1のハーフブリッジ回路と、第2の出力ノードに第2の負荷電流を生成するように構成された第2のハーフブリッジ回路と、第1の電源および第1の出力ノードに結合された第1の電圧充電デバイスと、第2の電源および第2の出力ノードに結合された第2の電圧充電デバイスと、を含むドライバシステムにおける短絡状態を検出する方法であって、第1の電圧充電デバイスの第1の充電電圧および第2の電圧充電デバイスの第2の充電電圧を監視するステップと、第1の充電電圧が第1のしきい値電圧に充電される第1の充電時間を検出するステップと、第2の充電電圧が第2のしきい値電圧に充電される第2の充電時間を検出するステップと、第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値未満であるという条件で、短絡状態を検出するステップと、を含む方法。
【0124】
29.第1の充電時間と第2の充電時間との間の時間差が時間差しきい値以上であるという条件で、正常動作状態を検出するステップをさらに含む、態様28に記載の方法。
【0125】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または実施態様を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の開示に照らして変更および変形が可能であり、または実装の実施から取得され得る。
【0126】
本明細書で使用される場合、構成要素という用語は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして広く解釈されることを意図している。
【0127】
いくつかの実施態様は、しきい値に関連して本明細書で説明される。本明細書で使用される場合、しきい値を満たすことは、しきい値よりも大きい、しきい値よりも多い、しきい値よりも高い、しきい値以上、しきい値よりも小さい、しきい値よりも少ない、しきい値よりも低い、しきい値以下、しきい値と等しいなどの値を指すことができる。
【0128】
本明細書に記載のシステムおよび/または方法は、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせの異なる形態で実装されてもよいことは明らかであろう。これらのシステムおよび/または方法を実装するために使用される実際の専用の制御ハードウェアまたはソフトウェアコードは、実装を限定するものではない。したがって、システムおよび/または方法の動作および挙動は、特定のソフトウェアコードを参照することなく本明細書に記載されており、ソフトウェアおよびハードウェアは、本明細書の記載に基づいてシステムおよび/または方法を実装するように設計することができることが理解される。
【0129】
これらの処理構成要素はいずれも、ハードディスクまたは半導体メモリデバイスなどの非一時的なコンピュータ可読記録媒体からソフトウェアプログラムを読み出して実行する中央処理装置(CPU)または他のプロセッサとして実装されてもよい。例えば、命令は、1つまたは複数のCPU、デジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPLA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、または他の同等の集積または個別論理回路などの1つまたは複数のプロセッサによって実行されてもよい。したがって、本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、前述の構造のいずれか、または本明細書に記載の技術の実施に適した任意の他の構造を指す。
【0130】
ハードウェアを含むコントローラはまた、本開示の技法のうちの1つまたは複数を実行することができる。1つまたは複数のプロセッサを含むコントローラは、電気信号およびデジタルアルゴリズムを使用して、補正機能をさらに含み得るその受信、分析および制御機能を実行することができる。そのようなハードウェア、ソフトウェアおよびファームウェアは、本開示に記載されたさまざまな技術をサポートするために、同じデバイス内または別個のデバイス内に実装されてもよい。
【0131】
信号処理回路および/または信号調整回路は、生の測定データの形態の1つまたは複数の構成要素から1つまたは複数の信号(例えば、測定信号)を受信することができ、測定信号からさらなる情報を導出することができる。本明細書で使用される信号調整とは、信号がさらなる処理のための次の段階の要件を満たすようにアナログ信号を操作することを指す。信号調整は、アナログからデジタルへの変換(例えば、アナログ-デジタルコンバータを介して)、増幅、フィルタリング、変換、バイアス、レンジマッチング、分離および調整後の処理に適した信号にするために必要な任意の他のプロセスを含むことができる。
【0132】
特徴の特定の組み合わせが特許請求の範囲に記載されおよび/または本明細書に開示されているが、これらの組み合わせは、可能な実施態様の開示を限定することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されていないおよび/または明細書に開示されていない方法で組み合わされてもよい。以下に列挙される各従属請求項は1つの請求項のみに直接依存し得るが、可能な実施態様の開示は、各従属請求項を請求項セット内の他のすべての請求項と組み合わせて含む。
【0133】
さらに、本明細書または特許請求の範囲に開示した複数の行為または機能の開示は、特定の順序内にあると解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、複数の行為または機能の開示は、そのような行為または機能が技術的な理由で交換可能でない限り、これらを特定の順序に限定しない。さらに、いくつかの実施態様では、単一の動作は、複数のサブ動作を含んでもよく、または複数のサブ動作に分割されてもよい。そのような副行為は、明示的に除外されない限り、この単一の行為の開示の一部に含まれてもよい。
【0134】
本明細書で使用される要素、動作、または命令は、そのように明示的に記載されていない限り、重要または必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書で使用される場合、冠詞「a」および「an」は、1つまたは複数の項目を含むことが意図され、「1つまたは複数」と交換可能に使用され得る。さらに、本明細書で使用される場合、「セット」という用語は、1つまたは複数の項目(例えば、関連項目、無関係な項目、関連項目と無関係な項目との組み合わせなど)を含むことを意図しており、「1つまたは複数」と互換的に使用され得る。1つの項目のみが意図される場合、「1つ」という用語または同様の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」などの用語は、オープンエンド用語であることを意図している。さらに、「基づく」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に、基づく」を意味することを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】