(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045056
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】多平面関節運動及び回転を伴うカテーテルシャフト
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20240326BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/092 510
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023150868
(22)【出願日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】63/408,276
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/457,122
(32)【優先日】2023-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・イー・バン・ニーキルク
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK12
4C160KL03
4C160MM38
4C160NN02
4C160NN03
4C160NN16
4C267AA01
4C267BB02
4C267BB04
4C267BB07
4C267BB10
4C267BB40
4C267BB42
4C267BB52
4C267CC19
4C267DD10
4C267EE03
4C267HH11
4C267HH30
(57)【要約】
【課題】制御ハンドルの操作に応答して偏向、回転及び並進の組合せを可能にするカテーテルを提供すること。
【解決手段】装置は、本体と、カテーテルと、エンドエフェクタと、第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータと、を含む。カテーテルは、本体から遠位に延在し、長手方向軸を規定する。エンドエフェクタは、エンドエフェクタ平面を規定する。第1のアクチュエータは、長手方向軸を中心として第1の角度位置と第2の角度位置との間でエンドエフェクタを回転させるように動作可能である。第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第1の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面と平行な偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能である。第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面からオフセットされた偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
長手方向軸を規定し、内側シャフト及び外側シャフトを含む細長い可撓性カテーテル本体と、
前記外側シャフトの遠位端に固着されたエンドエフェクタと、
前記長手方向軸に沿って延在する第1の引張部材であって、その遠位端が前記内側シャフトの遠位部分に固着されている、第1の引張部材と、
前記カテーテル本体の近位にあり、前記長手方向軸に概ね垂直な軸を中心として継手において枢動するように構成された第1の制御部材を含む制御ハンドルであって、前記第1の引張部材の近位端は、前記第1の制御部材が前記継手を中心として第1の方向に枢動するときに、前記第1の引張部材が前記内側シャフトの遠位部分を前記制御ハンドルの第1の側に向かって偏向させるように、前記継手から横方向にオフセットされた第1の位置において前記第1の制御部材に固着されている、制御ハンドルと、を備えるカテーテル。
【請求項2】
前記長手方向軸に沿って延在し、遠位端が前記内側シャフトの前記遠位部分に固着された第2の引張部材を備え、前記第2の引張部材の近位端は、前記第1の制御部材が前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記継手を中心として枢動するときに、前記第2の引張部材が前記内側シャフトの前記遠位部分を前記第1の側とは反対の前記制御ハンドルの第2の側に向かって偏向させるように、前記継手から横方向にオフセットされ、前記第1の位置とは反対にある第2の位置において、前記第1の制御部材に固着されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記内側シャフトの前記遠位部分の偏向は、前記外側シャフトの遠位部分の偏向を促す、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記外側シャフトは、前記内側シャフトに対して前記長手方向軸を中心として回転するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記外側シャフトは、前記内側シャフトに対して前記長手方向軸に沿って並進するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記外側シャフトに固着され、前記内側シャフトに対する前記外側シャフトの前記長手方向軸を中心とした回転を制御するように構成された追加の制御部材を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記外側シャフトに固着され、前記内側シャフトに対する前記長手方向軸に沿った並進を制御するように構成された追加の制御部材を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記外側シャフトに固着され、前記外側シャフトの前記長手方向軸を中心とした回転及び前記内側シャフトに対する前記外側シャフトの並進を制御するように構成された追加の制御部材を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記外側シャフトの回転位置又は並進位置のインジケータを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記インジケータは触覚インジケータを含む、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記インジケータは視覚インジケータを含む、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記追加の制御部材は、前記第1の制御部材の遠位にある、請求項9に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記内側シャフトは軸外ルーメンを備え、前記第1の引張部材は前記軸外ルーメンを通って延在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記内側シャフトは、少なくとも第1の直径方向に対向するルーメン及び第2の直径方向に対向するルーメンを備え、前記第1の引張部材は、前記第1の直径方向に対向するルーメンを通って延在し、前記第2の引張部材は、前記第2の直径方向に対向するルーメンを通って延在する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項15】
前記第1の引張部材及び前記第2の引張部材のうちの少なくとも1つは、前記内側シャフトと前記外側シャフトとの間に延在する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記エンドエフェクタは、電極のアレイを支持するように構成された平面構造を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記外側シャフトの前記長手方向軸を中心とした前記回転は、約0~360度の範囲に及ぶ、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記内側シャフトに対する前記外側シャフトの前記長手方向軸を中心とした前記回転は、約0~90度の範囲に及ぶ、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記内側シャフトに対する前記外側シャフトの前記長手方向軸に沿った並進を所定の距離に制限するように構成された停止部材を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記停止部材は、雌部材と雄部材とを含み、前記雌部材は、前記長手方向軸と平行な所定の長さを有する並進領域を間に画定する近位停止部及び遠位停止部を備えて構成され、前記雄部材は、前記雌部材に対して前記近位停止部と前記遠位停止部との間の前記並進領域において移動するように構成されている、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項21】
前記雌部材及び前記雄部材の一方は、前記外側シャフトの前記内側表面及び前記内側シャフトの前記外側表面の一方に配設され、前記雌部材及び前記雄部材の他方は、前記外側シャフトの前記内側表面及び前記内側シャフトの前記外側表面の他方に配設されている、請求項19に記載のカテーテル。
【請求項22】
前記雌部材及び前記雄部材のうちの少なくとも一方は、前記外側シャフトの前記内側表面及び前記内側シャフトの前記外側表面のうちの一方の上で円周方向に延在する、請求項21に記載のカテーテル。
【請求項23】
前記雌部材及び前記雄部材の他方は、前記外側シャフトの前記内側表面及び前記内側シャフトの前記外側表面の他方から延在する、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項24】
前記雌部材及び前記雄部材の他方は、前記外側シャフトの前記内側表面及び前記内側シャフトの前記外側表面の他方の上で円周方向に延在する、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項25】
前記雌部材及び前記雄部材の他方は、ある半径方向寸法を有する物体として構成されている、請求項22に記載のカテーテル。
【請求項26】
前記所定の距離は、約0mm~25.4mm(約0インチ~1.0インチ)の範囲に及ぶ、請求項19に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年9月20日に出願された米国特許仮出願第63/408,276号の優先権及び利益を主張するものであり、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、偏向可能なシャフトを有するカテーテルに関し、特に、偏向可能なシャフトを操作するための制御ハンドルアクチュエータを有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。電気エネルギー、アブレーション液、又は他の様式のアブレーションを印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能であり得る。アブレーション用の電気的エネルギーには、無線周波数(AC型)の電気的エネルギー、パルス場(DC型)の電気的エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気的エネルギーが含まれ得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の通信を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0004】
一部の処置では、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いで前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気のエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。一部の他の場合において、単極電極を、接地パッドと連携して、又は患者と接触している他の参照電極と連携して使用することができる。灌注を使用して、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き出し、アブレーション部位付近に血栓が形成されるのを防ぐことができる。
【0005】
アブレーションカテーテルの例は、2013年1月31日に公開された「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」と題する米国特許出願公開第2013/0030426号(その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、第2017/0312022号、発明の名称「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」、2017年11月2日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2018年3月15日に公開された「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」と題する米国特許出願公開第2018/0071017号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、2015年2月17日に発行された「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」と題する米国特許第8,956,353号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2017年10月31日に発行された「Electrocardiogram Noise Reduction」と題する米国特許第9,801,585号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0006】
一部のカテーテルアブレーション処置は、電気生理学的(electrophysiology、EP)マッピングを使用してアブレーションの標的とすべき組織領域を特定した後に実行されてもよい。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実行するために使用される同じカテーテル、又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、1998年4月14日に発行された「Cardiac Electromechanics」と題する米国特許第5,738,096号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、2018年3月6日に発行された「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」と題する米国特許第9,907,480号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、米国特許第10,130,422号、発明の名称「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」、2018年11月20日発行(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる);及び米国特許出願公開第2018/0056038号、発明の名称「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」、2018年3月1日公開(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0007】
一部のカテーテル処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実施されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することが可能になり得る。Irvine,CaliforniaのBiosense Webster,Inc.によるCARTO 3(登録商標)システムを含む一部のシステムは、EPマッピング機能とIGS機能との組み合わせを提供することができる。IGSシステムと共に使用するように構成されているカテーテルの例は、2016年11月1日に発行された「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題する米国特許第9,480,416号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び本明細書で引用されている様々な他の参考文献に開示されている。
【0008】
心臓を含む器官の診断又は治療の対象となる組織は、大きく異なり得る。組織表面は、平坦であるか、あるいは空洞を伴って波状であり得、間接的アプローチが、組織に到達するために必要とされ得る。マッピング又はアブレーションのために装備され得るエンドエフェクタの構成により、カテーテルシャフトは、首尾よい診断又は処置のための組織接触を達成するために、偏向、回転、及び並進の組み合わせを必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、出願人は、制御ハンドルの操作に応答して偏向、回転及び並進の組合せを可能にするカテーテルを提供する必要があることを認識した。いくつかのカテーテルシステム及び方法が実施及び使用されてきたが、本発明者ら以前の誰も、本明細書に記載され、例示され、かつ特許請求される本発明を実施又は使用していないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、細長い可撓性カテーテル本体と、エンドエフェクタと、第1の引張部材と、制御ハンドルと、を備える。カテーテル本体は、長手方向軸を規定し、内側シャフト及び外側シャフトを含む。エンドエフェクタは、外側シャフトの遠位端に固着される。第1の引張部材は長手方向軸に沿って延在し、その遠位端は内側シャフトの遠位部分に固着される。制御ハンドルは、カテーテル本体の近位にあり、長手方向軸にほぼ垂直な軸を中心として継手において枢動するように構成された第1の制御部材を含む。第1の引張部材の近位端は、第1の制御部材が第1の方向に継手を中心として枢動するとき、第1の引張部材が内側シャフトの遠位部分を制御ハンドルの第1の側に向かって偏向させるように、継手から横方向にオフセットされた第1の位置において第1の制御部材に固着される。
【0011】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、長手方向軸に沿って延在する第2の引張部材を備え、遠位端は、内側シャフトの遠位部分に固着される。第2の引張部材の近位端は、第1の制御部材が第1の方向と反対の第2の方向に継手を中心に枢動するとき、第2の引張部材が内側シャフトの遠位部分を第1の側と反対の制御ハンドルの第2の側に向かって偏向させるように、継手から横方向にオフセットされ、第1の位置と反対にある第2の位置において第1の制御部材に固着される。
【0012】
いくつかの実施形態では、内側シャフトの遠位部分の偏向は、外側シャフトの遠位部分の偏向をもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態では、外側シャフトは、内側シャフトに対して長手方向軸を中心に回転するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、外側シャフトは、内側シャフトに対して長手方向軸に沿って並進するように構成されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、外側シャフトに固着され、内側シャフトに対する外側シャフトの長手方向軸を中心とした回転を制御するように構成された追加の制御部材を備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、外側シャフトに固着され、内側シャフトに対する長手方向軸に沿った並進を制御するように構成された追加の制御部材を備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、外側シャフトに固着され、外側シャフトの長手方向軸を中心とした回転及び内側シャフトに対する外側シャフトの並進を制御するように構成された追加の制御部材を更に備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、追加の制御部材は、外側シャフトの回転位置又は並進位置のインジケータを更に含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、インジケータは触覚インジケータを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、インジケータは視覚インジケータを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、追加の制御部材は、第1の制御部材の遠位にある。
【0022】
いくつかの実施形態では、内側シャフトは、軸外ルーメンを備え、第1の引張部材は、軸外ルーメンを通して延在する。
【0023】
いくつかの実施形態では、内側シャフトは、少なくとも第1の直径方向に対向するルーメン及び第2の直径方向に対向するルーメンを備え、第1の引張部材は、第1の直径方向に対向するルーメンを通って延在し、第2の引張部材は、第2の直径方向に対向するルーメンを通って延在する。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の引張部材及び第2の引張部材のうちの少なくとも1つは、内側シャフトと外側シャフトとの間に延在する。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の引張部材及び第2の引張部材のうちの少なくとも1つは、内側シャフトの側壁に埋め込まれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、電極のアレイを支持するように構成された平面構造を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、外側シャフトの長手方向軸を中心とする回転は、約0~360度の範囲に及ぶ。
【0028】
いくつかの実施形態では、内側シャフトに対する外側シャフトの長手方向軸を中心とする回転は、約0~90度の範囲に及ぶ。
【0029】
いくつかの実施形態では、カテーテルシャフトは、内側シャフトに対する外側シャフトの長手方向軸に沿った並進を所定の距離範囲に制限するように構成された停止部材を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、停止部材は、雌部材及び雄部材を含み、雌部材は、長手方向軸と平行な所定の長さを有する並進領域をその間に画定する近位停止部及び遠位停止部を備えて構成され、雄部材は、近位停止部と遠位停止部との間の並進領域において並進するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、雌部材及び雄部材の一方は、外側シャフトの内側表面及び内側シャフトの外側表面の一方に配設され、雌部材及び雄部材の他方は、外側シャフトの内側表面及び内側シャフトの外側表面の他方に配設されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、雌部材及び雄部材のうちの少なくとも一方は、外側シャフトの内側表面及び内側シャフトの外側表面のうちの一方の上で円周方向に延在する。
【0033】
いくつかの実施形態では、雌部材及び雄部材のうちの他方は、外側シャフトの内側表面及び内側シャフトの外側表面のうちの他方から半径方向に延在する。
【0034】
いくつかの実施形態では、雌部材及び雄部材のうちの他方は、他のシャフトの内側表面及び内側シャフトの他の表面のうちの他方の上で円周方向に延在する。
【0035】
いくつかの実施形態では、雌部材及び雄部材のうちの他方は、ある半径方向寸法を有する物体として構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、長手方向軸に沿った並進移動領域の所定の長さは、約0~1.0インチの範囲に及ぶ。
【0037】
いくつかの実施形態では、装置は、本体と、カテーテルと、エンドエフェクタと、第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータと、を備える。カテーテルは、本体から遠位に延在し、長手方向軸を規定する。エンドエフェクタは、カテーテルの遠位端にあり、エンドエフェクタ平面を規定する。第1のアクチュエータは、長手方向軸の周りの第1の角度位置と第2の角度位置との間でエンドエフェクタを回転させ、それによって第1の角度位置と第2の角度位置との間でエンドエフェクタ平面を再配向させるように動作可能である。第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第1の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面と平行な偏向平面に沿ってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させ、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面からオフセットされた偏向平面に沿ってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能である。
【0038】
いくつかの実施形態では、本体は、ユーザーによって把持されるように構成されたグリップ部分を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータは、本体と回転可能に結合される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータはノブを含み、ノブは、長手方向軸を中心として本体に対して回転可能である。
【0041】
いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータは、本体と回転可能に結合される。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータはノブを含み、ノブは、長手方向軸に垂直な回転軸を中心として本体に対して回転可能である。
【0043】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、内側シャフト及び外側シャフトを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、外側シャフトに固定される。
【0045】
いくつかの実施形態では、外側シャフトは、長手方向軸を中心として内側シャフトに対して回転可能である。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータは、外側シャフトの近位端に固定される。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータは、長手方向軸から離れる内側シャフトの遠位部分の偏向を駆動するように動作可能であり、内側シャフトは、第2のアクチュエータの作動に応答して、長手方向軸から離れる外側シャフト及びエンドエフェクタの偏向を駆動するように動作可能である。
【0048】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、カテーテルに沿って延在する1つ以上の関節運動駆動要素を更に備え、1つ以上の関節運動駆動要素は、第2のアクチュエータを内側シャフトの遠位部分と結合する。
【0049】
いくつかの実施形態では、1つ以上の関節運動駆動要素は、1つ以上の駆動ケーブルを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、1つ以上の電極を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、電気生理学(EP)マッピングを実行するように構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、圧潰状態と拡張状態との間で遷移するように動作可能である。
【0053】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、三次元空間におけるエンドエフェクタの位置を示す信号を生成するように構成された1つ以上の位置センサを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタは、長手方向軸に沿って本体に対して並進するように更に動作可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータは、長手方向軸に沿った本体に対するエンドエフェクタの並進を駆動するように動作可能である。
【0056】
いくつかの実施形態では、第1の角度位置及び第2の角度位置は、90度だけ互いに角度オフセットされ、第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面に垂直な偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能である。
【0057】
いくつかの実施形態では、装置は、本体と、カテーテルと、エンドエフェクタと、第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータと、を備える。カテーテルは、本体から遠位に延在し、長手方向軸を規定し、内側シャフトと、外側シャフトと、を含み、外側シャフトは、本体及び内側シャフトに対して、長手方向軸を中心として回転可能である。エンドエフェクタは、外側シャフトの遠位端に固定され、長手方向軸を中心として、本体及び内側シャフトに対して外側シャフトと共に回転可能である。第1のアクチュエータは、長手方向軸を中心として外側シャフトを本体に対して回転させ、それによって長手方向軸を中心としてエンドエフェクタを本体に対して回転させるように動作可能である。第2のアクチュエータは、内側シャフトの遠位部分を長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能であり、内側シャフトの遠位部分は、外側シャフトの遠位部分を長手方向軸から離れるように駆動し、それによってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能である。
【0058】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタはエンドエフェクタ平面を規定し、エンドエフェクタ平面は、エンドエフェクタが長手方向軸を中心として本体に対して回転されるときにエンドエフェクタ平面が長手方向軸を中心として回転するように規定される。
【0059】
いくつかの実施形態では、第1のアクチュエータは、第1の角度位置と第2の角度位置との間で長手方向軸を中心としてエンドエフェクタを回転させるように動作可能であり、第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第1の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面と平行な偏向平面に沿ってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能であり、第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるとき、エンドエフェクタ平面からオフセットされた偏向平面に沿ってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能である。
【0060】
いくつかの実施形態では、外側シャフトは、長手方向軸に沿って、本体及び内側シャフトに対して長手方向に並進するように動作可能であり、エンドエフェクタは、長手方向軸に沿って、本体及び内側シャフトに対して外側シャフトと共に長手方向に並進するように動作可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、装置は、本体と、カテーテルと、エンドエフェクタと、第1のアクチュエータと、第2のアクチュエータと、を備える。カテーテルは、本体から遠位に延在し、長手方向軸を規定し、内側シャフトと、外側シャフトと、を含み、外側シャフトは、長手方向軸に沿って、本体及び内側シャフトに対して長手方向に並進するように動作可能である。エフェクタは、外側シャフトの遠位端に固定され、長手方向軸に沿って、本体及び内側シャフトに対して外側シャフトと共に並進するように動作可能である。第1のアクチュエータは、長手方向軸に沿って外側シャフトを本体に対して並進させ、それによって長手方向軸に沿ってエンドエフェクタを本体に対して並進させるように動作可能である。第2のアクチュエータは、内側シャフトの遠位部分を長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能であり、内側シャフトの遠位部分は、外側シャフトの遠位部分を長手方向軸から離れるように駆動し、それによってエンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能である。
【0062】
いくつかの実施形態では、外側シャフトは、長手方向軸を中心として本体及び内側シャフトに対して回転可能であり、エンドエフェクタは、長手方向軸を中心として、本体及び内側シャフトに対して外側シャフトと共に回転可能である。
【0063】
いくつかの実施形態では、エンドエフェクタはエンドエフェクタ平面を規定し、第1のアクチュエータは、第1の角度位置と第2の角度位置との間で長手方向軸を中心としてエンドエフェクタを回転させ、それによって第1の角度位置と第2の角度位置との間で長手方向軸を中心としてエンドエフェクタ平面を回転させるように動作可能であり、第2のアクチュエータは、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第1の角度位置にあるときに、エンドエフェクタ平面と平行な偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能であり、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるときに、エンドエフェクタ平面からオフセットされた偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。特定の図面では、ある選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために示されていないということを理解されたい。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を示す。
【
図2A】第1の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの近位部分の概略図を示す。
【
図2B】第1の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの遠位部分を部分断面で示す概略図を示す。
【
図3A】第2の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの近位部分の概略図を示す。
【
図3B】第2の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの遠位部分を部分断面で示す概略図を示す。
【
図4A】第3の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの近位部分の概略図を示す。
【
図4B】第3の動作状態にある、
図1のカテーテルアセンブリの遠位部分を部分断面で示す概略図を示す。
【
図5】第1の実施形態による、内側シャフト、外側シャフト、並びに第1の引張部材及び第2の引張部材を含む、
図1のカテーテル本体の、線A-Aに沿った端部断面図を示す。
【
図6】第2の実施形態による、内側シャフト、外側シャフト、並びに第1の引張部材及び第2の引張部材を含む、
図1のカテーテル本体の、線A-Aに沿った端部断面図を示す。
【
図7A】第1の実施形態による、内側シャフト、外側シャフト、及び停止部材を含む、
図1のカテーテル本体の側面断面図を示す。
【
図7B】線B-Bに沿った、
図7Aのカテーテル本体の端部断面図を示す。
【
図8A】第2の実施形態による、内側シャフト、外側シャフト、及び停止部材を含む、
図1のカテーテル本体の側部断面図を示す。
【
図8B】線B-Bに沿った、
図8Aのカテーテル本体の端部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0066】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0067】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載の意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、70%~110%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザー」、及び「対象」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0068】
I.概要
図1は、上に言及した、EPマッピング又は心臓アブレーションを行うために使用できる心臓カテーテルシステムの例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)の(
図2及び
図4に示されているが、
図1には示されていない)カテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内若しくはその近くの組織の電位をマッピングし、かつ/又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。
図2~
図4に示されるように、カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドル(110)と、ハンドル(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(140)と、を含む。以下でより詳細に説明されるように、エンドエフェクタ(140)は、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(140)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(140)の位置を追跡し、かつ/又は灌注流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含み得る。
【0069】
図2~
図4に示されるように、カテーテル(120)は、細長い外側シャフト(122)と、細長い内側シャフト(124)と、を含む。シャフト(122、124)は可撓性である。以下でより詳細に説明されるように、外側シャフト(122)は、内側シャフト(124)に対して回転及び並進するように動作可能である。エンドエフェクタ(140)は、外側シャフト(122)の遠位端に配設される。エンドエフェクタ(140)並びにカテーテル(120)の他の様々な機構及び機能について、以下で更に詳細に説明される。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)と結合されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下方に位置決めされ、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。磁場発生器(20)は任意であり、いくつかの変形形態では省略されてもよい。
【0070】
図1に示されるように、本例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されている。第1のドライバモジュール(14)は、以下により詳細に説明されるように、エンドエフェクタ(140)の電極(146)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。
【0071】
いくつかの変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、エンドエフェクタ(140)の電極(142)に電力を供給し、それによって組織をアブレーションするように更に動作可能であり得る。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)と結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を活性化させて、患者(PA)の心臓(H)の周りに交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0072】
第1のドライバモジュール(14)はまた、エンドエフェクタ(140)内又はその近くの位置センサアセンブリ(148)からの位置指示信号を受信するように動作可能であり得る。コンソール(12)のプロセッサは、位置センサアセンブリ(148)からの位置指示信号を処理し、それによって患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を決定するように動作可能である。エンドエフェクタ(140)に関連するリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術としては、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを挙げることができる。それに代わって、エンドエフェクタ(140)は、位置センサアセンブリ(148)を欠いてもよい。
【0073】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(140)の位置センサアセンブリ(148)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれて、位置センサアセンブリ(148)からの対応する位置データが、コンソール(12)のプロセッサに、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新させ、エンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれて、エンドエフェクタ(140)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を示してもよい。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(140)によるEPマッピングによって検出されるか、あるいは別様に検出される、異常な導電性組織部位の場所を示すようにディスプレイ(18)を駆動してもよい。単なる例として、コンソール(12)のプロセッサは、照明ドット、十字線、又は異常な導電性組織部位のいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0074】
コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば、照明ドット、十字線、エンドエフェクタ(140)のグラフィック表現、又はいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(140)の現在の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内でエンドエフェクタ(140)を移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができ、それによって、エンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供される画像は、エンドエフェクタ(140)を観察するいかなる光学機器(すなわち、カメラ)を必ずしも有することなく、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を追跡するビデオを効果的に提供することができる。同じビューにおいて、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の位置を同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位及び患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関連して、エンドエフェクタ(140)のリアルタイムの位置を観察することができる。
【0075】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の好適な流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更と結合されている可撓性チューブを含む。いくつかの変形例では、そのような流体は、エンドエフェクタ(140)の開口部(図示せず)を通して排出されてもよい。エンドエフェクタ(140)のいくつかの変形形態は、流体源(42)及び導管(40)がいくつかの変形形態において省略され得るように、そのような開口部を欠いていてもよい。
【0076】
上述されたように、エンドエフェクタ(140)は、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(140)に加えられる外力を追跡し、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を追跡し、灌注流体を放出するように構成された様々な構成要素を含み得る。
図2~
図4に示されるように、本例のエンドエフェクタ(140)は、複数のスパイン(144)を画定する本体(142)を含む。スパイン(144)は、カテーテル(120)の長手方向軸(LA)に平行なそれぞれの軸に沿って延在する。各スパイン(144)は、複数の電極(146)を有する。本例では、電極(146)は、当技術分野で知られているように、患者(PA)の心臓(H)内又はその近くでEPマッピング信号をピックアップするように動作可能である。図示されていないが、外側シャフト(122)のいくつかの変形形態はまた、電極(146)が組織に接触している間にEPマッピング処置中に血液から基準電位をピックアップするために利用され得る1つ以上の基準電極を含んでもよい。そのような参照電位は、当該技術分野で既知であるように、ノイズ又は遠距離場信号を低減するために使用され得る。
【0077】
いくつかの変形形態では、電極(146)(又は1つ以上の追加の電極)は、高周波(AC型)電気エネルギー、パルス場(DC型)電気エネルギー(例えば、不可逆電気穿孔など)、又は何らかの他の形態の電気エネルギーなどの電気エネルギーを印加して組織をアブレーションするように動作可能である。そのようなアブレーション機能は、EPマッピング機能に加えて、あるいはその代わりに提供されてもよい。
【0078】
図2~
図4にも示されているように、本例のエンドエフェクタ(140)は、位置センサアセンブリ(148)を含む。位置センサアセンブリ(148)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能な1つ又はそれ以上のコイル(不図示)を含む。コイルは、磁場発生器(20)によって発生した交流電磁場の存在に応答して、電気信号を生成するように構成されている。いくつかの変形形態では、位置センサアセンブリ(148)は、エンドエフェクタ(140)上にあるいはその中に一体化された1つ以上のフレックス回路の形態をなす。エンドエフェクタ(140)の中又はその上に組み込まれている位置センサアセンブリ(148)に加えて、あるいはそれに代わって、外側シャフト(122)及び/又は内側シャフト(124)は、位置センサアセンブリを含んでもよい。単に更なる例として、代替的な位置感知は、インピーダンス測定に基づく位置感知を含み得る。そのような位置感知の例は、2011年1月11日に発行された「Current-Based Position Sensing」と題する米国特許第7,869,865号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、及び2013年6月4日に発行された「Current Localization Tracker」と題する米国特許第8,456,182号(その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている。代替的に、任意の他の好適な位置感知技術及び技法が使用されてもよい。
【0079】
本例の本体(142)は、
図2に示されるような拡張形状をとるように弾性的に付勢されている。しかしながら、本体(142)はまた、内側に折り畳まれるのに十分な可撓性を有し、それによって拘束ガイドシースに嵌合して、患者進入点から心血管系内の標的位置に向かうエンドエフェクタ(140)の輸送を容易にする。あくまで一例として、本体(142)は、弾性基材、基材に固定された1つ以上の弾性要素(例えば、ニチノール要素など)、及び/又は本体(142)を
図2に示される拡張形状に向かって弾性的に付勢する他の機構を含んでもよい。いくつかの他の変形形態では、エンドエフェクタ(140)は、圧潰状態から拡張状態に遷移するように膨張可能なバルーンを含む。更に別の変形例として、エンドエフェクタ(140)は、エンドエフェクタ(140)を駆動して圧潰状態から拡張状態に遷移させるように動作可能な1つ以上の機械的リンク機構又は他の機構を含んでもよい。本例のエンドエフェクタ(140)は、拡張状態にあるとき、実質的に平坦な平面形状を有する。しかしながら、エンドエフェクタ(140)の他の変形例は、拡張状態にあるときに他の種類の構成を有してもよい。ほんの一例として、そのような代替的な構成は、実質的に球状の形状、球根状の形状、バスケット形状、螺旋形状などを含み得るが、これらに限定されない。
【0080】
上述のように、コンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されており、そのため、本例の第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介して感知電極(146)からのEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)はまた、ケーブル(30)を介して位置センサアセンブリ(148)からの位置指示信号を受信するように動作可能である。エンドエフェクタ(140)が組織に電気エネルギーを印加するように動作可能である変形形態では、そのような電気エネルギーは、ケーブル(30)を介して供給されてもよい。エンドエフェクタ(140)とケーブル(30)との間の電気通信を提供するために、様々な種類の電気通信機構が利用されてもよい。ほんの一例として、1つ以上のワイヤがカテーテル(120)の長さに沿って延在してもよい。いくつかの変形形態では、そのようなワイヤは、外側シャフト(122)の中又はその上に一体化される。いくつかの他の変形形態では、そのようなワイヤは、シャフト(122、124)の間に介挿される。更に他の変形形態では、そのようなワイヤは、内側シャフト(124)の中又はその上に一体化される。別の変形例として、1つ以上のフレックス回路は、ケーブル(30)からエンドエフェクタ(140)への電気通信の経路を提供するために使用されるトレースを備えてもよい。このようなフレックス回路は、ワイヤに関連して上述された位置のいずれかに配置され得る。更に他の変形例は、フレックス回路とワイヤの組み合わせを含んでもよい。
【0081】
II.カテーテルの操縦、回転、及び前進機構の例
エンドエフェクタ(140)は、患者(PA)の心血管系内の様々な場所に位置付けられ得る。あくまで一例として、エンドエフェクタ(140)は、心臓(H)の心腔内、肺静脈内又は心臓(H)内の若しくは心臓(H)に隣接する何らかの他の管状の解剖学的構造内、あるいは他の場所に位置付けられてもよい。カテーテルアセンブリ(100)が、そのような異なる種類の解剖学的構造へのエンドエフェクタ(140)の操作を容易にする機構を含むことが望ましい場合がある。更に、エンドエフェクタ(140)の望ましい種類の運動は、エンドエフェクタ(140)が配設される解剖学的構造の種類に基づいて変化し得る。したがって、カテーテルアセンブリ(100)が、異なる種類の解剖学的構造内でのエンドエフェクタ(140)の異なる種類の運動を容易にする機構を含むことが望ましい場合がある。このような機構の例が以下で更に詳細に説明される。
【0082】
上述のように、カテーテルアセンブリ(100)はハンドル(110)を含む。ハンドル(110)は、近位グリップ(112)と、遠位ノブ(114)と、関節運動ノブ(116)と、を含む。近位グリップ(112)は、医師(PH)の手によって把持されるように構成されているが、カテーテルアセンブリ(100)のいくつかの変形例は、ロボット制御されてもよく、したがって、全ての実装形態が人間の操作者の手によって直接把持されなければならないわけではないことが想到される。遠位ノブ(114)は、長手方向軸(LA)を中心として近位グリップ(112)に対して回転するように動作可能である。遠位ノブ(114)はまた、長手方向軸(LA)に沿って、近位グリップ(112)に対して長手方向に並進するように動作可能である。関節運動ノブ(116)は、継手(118)において近位グリップ(112)と旋回可能に結合される。関節運動ノブ(116)は、長手方向軸(LA)に対して垂直である枢動軸を中心として、継手(118)においてx-y平面に沿って枢動方向(D1)に枢動するように動作可能である。
【0083】
この例では、一対の関節運動引張部材又はケーブル(130、132)が、関節運動ノブ(116)を内側シャフト(124)と結合する。関節運動ケーブル(130、132)の近位端は、それぞれのアンカー点(134、136)において関節運動ノブ(116)に固定される。アンカー点(134、136)は、枢動点(118)の両側において枢動継手(118)から横方向にオフセットされている。したがって、関節運動ノブ(116)が枢動継手(118)において回転されると、関節運動ノブ(116)及びアンカー点(134、136)のそのような運動は、関節運動ケーブル(130、132)を長手方向に反対方向に同時に並進させることになる。あくまで更なる例として、関節運動ケーブル(130、132)及び関節運動ノブ(116)の結合及び動作可能性は、2020年12月31日公開の米国特許出願公開第2020/0405182号、発明の名称「Catheter Deflection System with Load Limiter」(開示内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って提供されてもよい。
【0084】
関節運動ケーブル(130、132)の遠位端は、内側シャフト(128)の遠位端(128)に固定される。内側シャフト(124)は、遠位端(128)のすぐ近位側にある横方向の屈曲領域(126)を含む。したがって、関節運動ノブ(116)が作動されて関節運動ケーブル(130、132)を駆動して長手方向に反対方向に同時に並進させるとき、関節運動ケーブル(130、132)のそのような運動は、内側シャフト(124)を屈曲領域(126)において長手方向軸(LA)から離れるように、あるいは長手方向軸(LA)に向かうように横方向に偏向させることになる。内側シャフト(124)が、屈曲領域(126)において、長手方向軸線(LA)から離れるように、あるいは長手方向軸線(LA)に向かって横方向に偏向するとき、内側シャフト(124)は、外側シャフト(122)又はその少なくとも一部分を同様に、長手方向軸線(LA)から離れるように、あるいは長手方向軸線(LA)に向かうように横方向に偏向するように付勢する。この例では、エンドエフェクタ(140)は外部シャフト(120)にしっかりと固定されているので、外側シャフト(122)の横方向への偏向運動は、エンドエフェクタ(140)を同様に、長手方向軸(LA)から離れるように、あるいは長手方向軸(LA)に向かうように横方向に偏向させることになる。このような運動が、
図2の異なる偏向方向(D
2、D
3)に示されている。本例では関節運動ケーブル(130、132)が使用されているが、他の変形例が、バンド及び/又は他の種類の機構を使用して、エンドエフェクタ(140)の横方向偏向運動を駆動してもよい。また、関節運動ケーブル(130、132)は、
図5に示されるように、シャフト(122、124)間に介挿されてもよく、
図6に示されるように、内側シャフト(124)内に形成されたそれぞれのルーメン、例えば、直径方向に対向するルーメン131A、131Bに沿って延在してもよく、あるいは別様に位置付けられてもよいことを理解されたい。
【0085】
図2に示される動作状態では、エンドエフェクタ(140)の横方向偏向運動の方向(D
2、D
3)は、x-y平面に沿っている。加えて、
図2に示されるエンドエフェクタ(140)の変形形態は、実質的に平面であり、エンドエフェクタ(140)によって規定される平面もまた、x-y平面に沿っている。したがって、
図2に示される動作状態では、エンドエフェクタ(140)は、関節運動ノブ(116)が作動されると、エンドエフェクタ(140)によって規定される同じ平面に沿って横方向に偏向する。
【0086】
いくつかのシナリオでは、関節運動ノブ(116)が
図2に示されるように作動されるとき、エンドエフェクタ(140)によって規定される同じ平面に沿った、エンドエフェクタ(140)の横方向の偏向を提供することが望ましい場合がある。例えば、このような移動は、標的組織部位におけるエンドエフェクタ(140)の位置付けを容易にし得る。それに加えて、あるいはそれに代わって、そのような運動は、標的部位における電極(146)と組織との間の所望の相互作用を促進し得る。あくまで一例として、カテーテルアセンブリ(100)が、エンドエフェクタ(140)が延在する同じx-y平面に沿ってエンドエフェクタ(140)が関節運動する
図2に示す動作状態にあるとき、エンドエフェクタ(140)は、実質的に平坦な組織(例えば、心臓(H)の心室内)に沿った所望の運動を有し得る。これに関連して、エンドエフェクタ(140)が実質的に平坦な組織に対して(例えば、x-y平面にも沿って延在する組織平面に沿って)配置されるとき、操作者は、関節運動ノブ(116)を前後に繰り返し作動させて、エンドエフェクタ(140)と組織との間の係合平面に沿ってエンドエフェクタ(140)を効果的にワイピングすることができる。これは、電極(146)と実質的な組織の種々の領域との間の接触を増強又は向上させ得る。それに代わって、関節運動ノブ(116)が
図2に示されるように作動されるとき、エンドエフェクタ(140)によって規定される同じ平面に沿った、エンドエフェクタ(140)の横方向の偏向を提供することが望ましい他のシナリオも存在し得る。
【0087】
上述のように、遠位ノブ(114)は、長手方向軸(LA)を中心として近位グリップ(112)に対して回転するように、また、長手方向軸(LA)に沿って近位グリップ(112)に対して長手方向に並進するように動作可能である。外側シャフト(122)の近位端は遠位ノブ(114)に固定され、外側シャフト(122)の遠位端はエンドエフェクタ(140)に固定される。したがって、遠位ノブ(114)が長手方向軸(LA)を中心として近位グリップ(112)に対して回転されると、外側シャフト(122)及びエンドエフェクタ(140)は、長手方向軸(LA)を中心として遠位ノブ(114)と共に回転する。遠位ノブ(114)、外側シャフト(122)、及びエンドエフェクタ(140)のこのような回転運動は、
図3では、回転方向(D
4)に沿ったものとして示されている。
図3は主に、カテーテル(120)の遠位部分が直線構成にある間の、長手方向軸(LA)を中心としたエンドエフェクタ(140)の回転運動を示しているが、エンドエフェクタ(140)はまた、カテーテル(120))が横方向に屈曲又は関節運動された状態にある間に、回転方向(D
4)に回転されてもよい。カテーテル(120)が直線構成にある間及び/又は横方向に屈曲/関節運動された構成にある間、エンドエフェクタ(140)が回転方向(D
4)に回転される否かに関わらず、エンドエフェクタ(140)は、エンドエフェクタ(140)が組織に接触している間に回転方向(D
4)に回転され得る。エンドエフェクタ(140)のこのようなスピン運動は、エンドエフェクタ(140)が管状の解剖学的構造(例えば、肺静脈)内に配設されるシナリオにおいて特に望ましい場合がある。エンドエフェクタ(140)のこのスピン運動は、電極(146)と管状の解剖学的構造内の組織の様々な領域との間の接触を促進又は増強し得る。
【0088】
遠位ノブ(114)はまた、関節運動ノブ(116)によって提供される関節運動モードを効果的に変更するために、長手方向軸(LA)を中心としてエンドエフェクタ(140)を回転させるように作動されてもよい。特に、遠位ノブ(114)が、
図2に示される状態から
図3に示される状態への遷移に示されるように90度回転される場合、エンドエフェクタ(140)の結果として生じる回転は、エンドエフェクタ(140)によって規定される平面を、x-y平面の代わりにx-z平面に沿って配置することになる。エンドエフェクタ(140)がx-z平面に沿って配向されている状態で、関節運動ノブ(116)の作動は、依然として、エンドエフェクタ(140)をx-y平面に沿って関節運動させることになる。したがって、
図3に示される状態では、エンドエフェクタ(140)は、エンドエフェクタ(140)によって規定される平面に沿って関節運動しなくなる。代わりに、エンドエフェクタ(140)は、エンドエフェクタ(140)によって規定される平面(すなわち、x-y平面)に対して垂直な平面(すなわち、x-z平面)に沿って関節運動する。標的部位におけるエンドエフェクタ(140)の位置決めを容易にするため及び/又は他の目的のために、この垂直平面に沿ってエンドエフェクタ(140)を関節運動させることが望ましい場合がある。
【0089】
本例の遠位ノブ(114)は、長手方向軸(LA)を中心とするエンドエフェクタ(140)の角度配向について医師(PH)にフィードバックを提供するように構成された角度配向機構(115)を含む。あくまで一例として、角度配向機構(115)は、長手方向軸(LA)を中心としたエンドエフェクタ(140)の角度配向を示す視覚的及び/又は触覚的フィードバックを提供するストライプ、リブ、又は何らかの他の種類の印を含んでもよい。角度配向機構(115)を含むことに加えて、ハンドル(110)は、長手方向軸(LA)を中心としたエンドエフェクタ(140)の異なる90度回転位置を示すフィードバックを医師(PH)に提供する戻り止め、視覚的印、及び/又は他の機構を含んでもよい。例えば、そのような戻り止め、視覚的印などは、エンドエフェクタ(140)が
図2に示されるような長手方向軸(LA)の周りの角度位置にあるときに(すなわち、エンドエフェクタ(140)が関節運動の同じx-y平面に沿っているときに)、またエンドエフェクタ(140)が、
図3に示されるような長手方向軸(LA)の周りの角度位置にあるときに(すなわち、エンドエフェクタ(140)が、関節運動のx-y平面に垂直なx-z平面に沿っているときに)、指示するように構成されてもよい。いくつかの変形形態は、遠位ノブ(114)が
図2に示される位置と
図3に示される位置との間でのみ回転し得るように、遠位ノブ(114)が長手方向軸(LA)を中心として90度回転することのみを可能にし得る。他の変形形態は、遠位ノブ(114)が、長手方向軸(LA)を中心として完全に360度、長手方向軸(LA)を中心として360度を超えて(例えば、無限に)、あるいは任意の他の好適な程度まで回転することを可能にし得る。
【0090】
カテーテル(120)の有効長を増加させ、それによってエンドエフェクタ(140)が標的組織部位に到達することを促進することが望ましいシナリオもあり得る。そのために、本例の遠位ノブ(114)は、長手方向軸(LA)に沿って、
図2~
図3に示される位置から
図4に示される位置まで近位グリップ(112)に対して前進するように構成されている。外側シャフト(122)及びエンドエフェクタ(140)は遠位ノブ(114)に固定されているので、外側シャフト(122)及びエンドエフェクタ(140)は、遠位ノブ(114)と共に、近位グリップ(112)に対して長手方向軸(LA)に沿って並進する。結果として生じるエンドエフェクタ(140)の遠位運動は、エンドエフェクタ(140)と近位グリップ(140)との間の距離を増加させ、それによってカテーテル(120)の有効長を増加させる。
図4は、カテーテル(120)の遠位部分が直線構成にある間の、長手方向軸(LA)に沿った、近位グリップ(112)に対するエンドエフェクタ(140)の長手方向移動を示しているが、エンドエフェクタ(140)はまた、カテーテル(120)が横方向に屈曲又は関節運動した状態にある間に、長手方向軸(LA)に沿って、近位グリップ(112)に対して並進されてもよい。いずれのシナリオにおいても、長手方向軸(LA)に沿った、近位グリップ(112)に対するエンドエフェクタのそのような並進は、エンドエフェクタ(140)が標的組織部位に到達するためのアクセスを容易にし得る。更に、医師(PH)は、近位グリップ(112)に対して遠位ノブ(114)を繰り返し往復運動させ、それによって電極(146)を組織に沿って摺動的に往復運動させることができる。遠位ノブ(114)が近位グリップ(112)に対して長手方向にどのように並進されるか又はいつ並進されるかにかかわらず、ハンドル(110)のいくつかの変形形態は、そのような長手方向の運動を特定の運動範囲(例えば、約1インチなど)に制限する1つ以上の機構を含んでもよい。
【0091】
カテーテルアセンブリは、内側シャフト124に対する外側シャフトの長手方向移動を所定の距離範囲Lに制限するために外側シャフト122と内側シャフト124との間に配設される(外側シャフト122のルーメン123を通って延在する)停止部材を含んでもよい。
図7A及び
図7Bの図示される実施形態では、第1の停止部材又は雄停止部材160は、内側シャフト122の外側表面164上に配設され、第2の停止部材又は雌停止部材162は、外側シャフト124の内側表面上に配設される。いくつかの実施形態では、雌部材162は、長手方向軸LAの周りに360°にわたって延在し、距離Lだけ分離された近位停止部162P(例えば、近位リング)と遠位停止部162D(例えば、遠位リング)とを含む環状本体(例えば、円筒部材)を有し、各停止部は、外側シャフト122の内側表面166から内側シャフト124の外側表面164に向かって、外側シャフト122のルーメン123の内側で内向きに延在する半径方向寸法Dを有する。別個の半径方向突出部として構成されると、1つ以上の雄部材160は、近位停止部162Pと遠位停止部162Dとの間に位置する雌部材162に向かって外向きに延在する。
【0092】
外側シャフト122が後退位置又は伸長位置との間で内側シャフト124に対して長手方向に運動するとき、雌部材162は、外側シャフト122のルーメン123内で雄部材160に対して運動するが、その運動は(したがって、同様に外側シャフト122の運動は)、停止部162P、162Dの各々がそれぞれ雄部材160と当接するとき、これらの停止部によってそれぞれ近位及び遠位に制限される。この点に関して、雄部材160は、近位停止部162P及び遠位停止部162Dの半径方向寸法Dに対する半径方向寸法Hを有し、その結果、停止部162P、162Dは、外側シャフト122の並進を雌部材162の長さLに制限する際に雄部材160と当接することができる。D及びHの正確な寸法は重要ではないが、それらの組み合わされた寸法の合計(D+H)は、外側シャフト122の内側表面166と内側シャフト124の外側表面164との間の空間ギャップGを超えるべきであり、その結果、停止部162P、162Dと雄部材160との間に重なりが存在するようになる。
【0093】
内側シャフト124に対する外側シャフト122の回転運動に対応するために、雄部材及び雌部材のうちの少なくとも一方は、そのそれぞれのシャフトの周りで円周方向に360°に及ぶ延長本体を伴って構成されるが、雄部材及び雌部材のうちの他方は、同様に円周方向に及んでもよく、あるいは半径方向突出部又は寸法を伴う別個の本体として構成されてもよいことが理解される。
【0094】
いくつかの実施形態では、雄部材160は、外側シャフト122の内側表面166上に配設されてもよく、雌部材162は、内側シャフト124の外側表面164上に配設されてもよいことが更に理解される。
【0095】
図7A及び
図7Bに示される雌部材162は、停止部162P、162Dの間に延在する中間部分162Mを含むが、いくつかの実施形態では、雌部材162は、
図8A及び
図8Bに示されるように、中間部分162Mを伴わず、半径方向寸法を有する別個の要素として構成されることも理解される。いずれの場合も、雌部材162の近位停止部162Pと遠位停止部162Dとの組み合わせは、外側シャフト122の近位及び遠位への運動を制限する際に雄部材160に当接する双方向停止部として機能する。しかしながら、いくつかの実施形態において、停止部材は、一方の停止部が外側シャフト122の内側表面166上に配設され、他方の停止部が内側シャフト168の外側表面168上に配設される、一対の停止部から成ることも理解される。どの停止部が他方の停止部の遠位にあるかに応じて、一対の停止部は、外側シャフト122の近位又は遠位への運動を制限する際に一方向停止部として働く。
【0096】
上述のように、1つ以上のワイヤ、フレックス回路の導電性トレース、又は他の電気通信導管が、エンドエフェクタ(140)をケーブル(30)と電気的に結合するようにカテーテル(120)に沿って延在してもよい。そのような電気通信機構が外側シャフト(122)上又はその中に完全に位置付けられない変形形態では、上述のように、ハンドル(110)に対するエンドエフェクタ(140)の様々な種類の運動に対応するように、そのような電気通信機構を構成することが望ましい場合がある。ほんの一例として、電気通信導管(図示せず)との電気的連続性を維持しながら、長手方向軸(LA)を中心としたエンドエフェクタ(140)の回転に応答してそのような電気通信導管を拘束することなく、長手方向軸(LA)を中心としたエンドエフェクタ(140)の回転に対応するために、スリップカップリング(150)がエンドエフェクタ(140)の近位端に提供されてもよい。加えて、このような電気通信導管は、長手方向軸(LA)に沿ったエンドエフェクタ(140)のこのような並進中に電気的連続性を維持しながら、長手方向軸(LA)に沿ったエンドエフェクタ(140)の並進に対応する摺動接触機構及び/又はサービスループ機構を含んでもよい。
【0097】
III.組み合わせの例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【実施例0098】
装置であって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するカテーテルであって、長手方向軸を規定するカテーテルと、(c)カテーテルの遠位端にあるエンドエフェクタであって、エンドエフェクタ平面を規定するエンドエフェクタと、(d)第1のアクチュエータであって、第1の角度位置と第2の角度位置との間で長手方向軸を中心としてエンドエフェクタを回転させ、それによって第1の角度位置と第2の角度位置との間でエンドエフェクタ平面を再配向するように動作可能である第1のアクチュエータと、(e)第2のアクチュエータであって、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第1の角度位置にあるときに、エンドエフェクタ平面と平行な偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能であり、エンドエフェクタが長手方向軸の周りの第2の角度位置にあるときに、エンドエフェクタ平面からオフセットされた偏向平面に沿って長手方向軸から離れるようにエンドエフェクタを偏向させるように動作可能である第2のアクチュエータと、を備える装置。