(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045069
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】化粧シートおよび樹脂含浸化粧板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/10 20060101AFI20240326BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240326BHJP
B32B 27/04 20060101ALI20240326BHJP
E04F 13/07 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B27/00 E
B32B27/04 A
E04F13/07 C
E04F13/07 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152079
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022149092
(32)【優先日】2022-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】西根(飯原) 美幸
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AA08B
4F100AA21A
4F100AA21B
4F100AJ08B
4F100AJ08C
4F100AK01B
4F100AK01D
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK33E
4F100AK36A
4F100BA04
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA13B
4F100CA13C
4F100DG10A
4F100DG10E
4F100DJ00A
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4F100GB08
4F100GB81
4F100HB00C
4F100HB31B
4F100JL10B
4F100JL14D
4F100JN21
4F100JN26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を安定的に発現可能な樹脂含浸化粧板を得ることができる化粧シートを提供する。
【解決手段】樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シート10であって、上記化粧シートは、多孔質基材1と、上記多孔質基材の一方の面の全面に配置され白色顔料を含有する白色ベタ層2と、上記白色ベタ層の上記多孔質基材とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層3と、上記絵柄層の上記白色ベタ層とは反対側の面に配置されパターン形状を有する離型層4と、を有し、上記白色ベタ層は、上記絵柄層に被覆されていない白地領域を有し、上記白地領域におけるL
*値が93.0以上であり、上記化粧シートに含まれる灰分が、20.0質量%以上、40.0質量%以下である、化粧シートを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シートであって、
前記化粧シートは、
多孔質基材と、
前記多孔質基材の一方の面の全面に配置され、白色顔料を含有する白色ベタ層と、
前記白色ベタ層の前記多孔質基材とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層と、
前記絵柄層の前記白色ベタ層とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する離型層と、を有し、
前記白色ベタ層は、前記絵柄層に被覆されていない白地領域を有し、
前記白地領域におけるL*値が93.0以上であり、
前記化粧シートに含まれる灰分が、20.0質量%以上、40.0質量%以下である、化粧シート。
【請求項2】
前記白色顔料が、酸化チタンおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記白色ベタ層の厚さが、1μm以上、8μm以下である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記多孔質基材が、チタン紙を有する、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記化粧シートに含まれる灰分が、22.0質量%以上、30.0質量%以下である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記化粧シートは、前記白地領域のb*値が、4.50以下である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記化粧シートは、前記白地領域の75°グロス値が、6.0以上である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記化粧シートは、厚さ方向から見て、前記離型層から露出する領域の純水接触角が、80.0°以下である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記化粧シートは、厚さ方向から見て、前記離型層から露出する領域の濡れ性が、50mN/m以上である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項10】
前記白色ベタ層は、樹脂成分を更に含有し、前記樹脂成分として極性基を有する樹脂を含む、請求項9に記載の化粧シート。
【請求項11】
前記白色ベタ層に含まれる前記樹脂成分に対する、前記極性基を有する樹脂の割合は、20質量%以上、100質量%以下である、請求項10に記載の化粧シート。
【請求項12】
前記樹脂含浸化粧板は、メラミン化粧板である、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項13】
前記離型層は、硬化性樹脂Xの硬化物を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
【請求項14】
前記硬化性樹脂Xは、電離放射線硬化性樹脂である、請求項13に記載の化粧シート。
【請求項15】
前記電離放射線硬化性樹脂は、電子線硬化性樹脂である、請求項14に記載の化粧シート。
【請求項16】
樹脂含浸化粧板であって、
請求項1から請求項15までのいずれかの請求項に記載の化粧シートと、
前記化粧シートにおける前記多孔質基材と対向するように配置されたコア基材と、
前記白地領域に配置され、かつ、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層と、
を備え、
前記コア基材および前記多孔質基材は、前記硬化性樹脂Yの硬化物を含み、
前記白地領域におけるL*値を、前記硬化樹脂層を介して測定した場合に、前記L*値が88.0以上である、樹脂含浸化粧板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シートおよび樹脂含浸化粧板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多孔質基材にメラミン樹脂等の前駆体(未硬化樹脂)を含浸させた後、樹脂の前駆体を硬化させることにより得られる樹脂含浸化粧板が知られている。樹脂含浸化粧板は、住居や店舗、公共施設などの壁面、家具、床面などに用いられている。特に、大理石のような白基調の意匠は需要が高く、白色の意匠を表現する際には白色の基材を使うことが一般的である。
【0003】
グロスマット調の意匠感を表現したメラミン化粧板が知られている。例えば、特許文献1には、多孔質基材の表面の一部の領域に離型層を有し、上記離型層を有しない、上記多孔質基材の表面の残部の領域には、熱硬化性樹脂層を有すると共に上記多孔質基材中に熱硬化性樹脂が含浸され硬化されており、上記多孔質基材は、繊維質基材であり、上記熱硬化性樹脂層と上記離型層との高低差は、5μm以上である化粧板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、熱硬化性樹脂層がグロスの意匠感を示し、離型層がマットの意匠感を示すか、又は、熱硬化性樹脂層がマットの意匠感を示し、離型層がグロスの意匠感を示すことにより、化粧板表面が鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができることが記載されている。この方法を、白色の多孔質基材に適応することで、従来品では表現できなかったグロスマット意匠を有する白色の樹脂含浸化粧板を提供することが期待される。
【0006】
しかしながら、チタン紙等の白色の多孔質基材は、一般的に、酸化チタンなどの白色顔料を含むため、紙間の隙間が多く、グロスマット意匠の発現を担う離型層のインキが多孔質基材に浸透してしまい、グロスマット意匠を発現しにくい。一方、離型層の機能が十分に発揮できる多孔質基材では、白色顔料の含有量が不十分であり、白色の意匠を表現することができない。そのため、従来の樹脂含浸化粧板製造用化粧シートでは、白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を安定的に発現可能な樹脂含浸化粧板を得ることが困難であった。
【0007】
本開示は、上記問題に鑑みてなされたものであり、白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を安定的に発現可能な樹脂含浸化粧板を得ることができる化粧シートを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示においては、樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シートであって、上記化粧シートは、多孔質基材と、上記多孔質基材の一方の面の全面に配置され、白色顔料を含有する白色ベタ層と、上記白色ベタ層の上記多孔質基材とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層と、上記絵柄層の上記白色ベタ層とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する離型層と、を有し、上記白色ベタ層は、上記絵柄層に被覆されていない白地領域を有し、上記白地領域におけるL*値が93.0以上であり、上記化粧シートに含まれる灰分が、20.0質量%以上、40.0質量%以下である、化粧シートを提供する。
【0009】
また、本開示においては、樹脂含浸化粧板であって、上述の化粧シートと、上記化粧シートにおける上記多孔質基材と対向するように配置されたコア基材と、上記白地領域に配置され、かつ、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層と、を備え、上記コア基材および上記多孔質基材は、上記硬化性樹脂Yの硬化物を含み、上記白地領域におけるL*値を、上記硬化樹脂層を介して測定した場合に、上記L*値が88.0以上である、樹脂含浸化粧板を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示においては、白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を安定的に発現可能な樹脂含浸化粧板を得ることが可能な化粧シートを提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示における化粧シートを例示する概略断面図である。
【
図2】本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
【
図3】本開示における化粧シートを用いた、樹脂含浸化粧板の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図4】実施例における含浸性評価で用いる容器および蓋の概略図である。
【
図5】実施例における含浸性評価方法を説明する図である。
【
図6】本開示における白色ベタ層を例示する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記に、図面等を参照しながら、実施の形態を説明する。ただし、本開示は、多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表す場合があるが、これはあくまで一例であり、限定して解釈されない。
【0013】
本明細書において、ある部材に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。また、本明細書において、ある部材の面に、他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限り、ある部材に接するように、直上あるいは直下に、他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合と、の両方を含む。
【0014】
A.化粧シート
以下、本開示における化粧シートについて、詳細に説明する。
図1は、本開示における化粧シートを例示する概略断面図である。
図1に示す化粧シート10は、多孔質基材1と、多孔質基材1の一方の面の全面に配置され、白色顔料を含有する白色ベタ層2と、白色ベタ層2の多孔質基材1とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層3と、絵柄層3の白色ベタ層2とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する離型層4と、を有する。本開示においては、白色ベタ層2が、絵柄層3に被覆されていない白地領域Xを有し、白地領域XにおけるL
*値が93.0以上である。また、化粧シート10に含まれる灰分が、20.0質量%以上、40.0質量%以下である。
【0015】
上述したように、従来の樹脂含浸化粧板製造用化粧シートでは、白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を発現可能な樹脂含浸化粧板を得ることが困難であった。本願の発明者らは、樹脂含浸化粧板を目視観察した場合に、L*a*b*表色系におけるL*値が所定の値以上であれば、白色感が得られることを知見した。また、化粧シートに含浸させる硬化性樹脂(メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ポリエステル系樹脂など)は、着色しているもの、半透明なものが多く、化粧シートの白さを阻害する場合がある。そのため、化粧板で十分な白色意匠性を確保するためには、化粧シートは、それ以上の白色意匠性(L*値)を確保する必要があることを知見した。
【0016】
一般的な化粧紙であれば、白色意匠を得るために基材の全面に白インキをベタ塗工する方法も考えられるが、樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シートは、多孔質基材の樹脂含浸性を担保する為に、全面にインキをベタ塗工することは行わないことが一般的である。
【0017】
本開示における化粧シートは、多孔質基材の樹脂含浸性が得られる範囲で多孔質基材の一方の面の全面に白色ベタ層を有し、灰分が所定の割合以上である化粧シートとすることにより、白色ベタ層2の絵柄層3に被覆されていない白地領域XのL*値を所定の値以上とすることできる。そのため、本開示における化粧シートを用いることで、白色の意匠が表現された樹脂含浸化粧板を得ることができる。
【0018】
さらに、本開示における化粧シートは、灰分が所定の割合以下であることにより、グロスマット意匠の発現を担う離型層のインキの多孔質基材への浸透を抑制することができるため、グロスマット意匠を安定的に発現することができる。
【0019】
1.化粧シートの構成
(1)L*値
本開示における化粧シートは、白色ベタ層が絵柄層に被覆されていない白地領域を有し、白地領域におけるL*a*b*表色系のL*値が93.0以上である。このような化粧シートであれば、後述するように、白色の意匠を表現可能な樹脂含浸化粧板を製造することができる。上記L*値は、94.5以上であることがより好ましく、95.0以上であることが特に好ましい。このような化粧シートであれば、樹脂含浸化粧板の製造過程においてL*値が下がる場合においても、白色の意匠を表現可能な樹脂含浸化粧板を製造することができる。一方、上記L*値は、例えば、97.0以下であり、96.0以下であってもよい。
【0020】
「L*a*b*表色系」は、CIE(国際照明委員会)で規格化され、JIS Z 8781-4:2013で採用されている表色系を意味する。なお、L*a*b*表色系において、明度はL*値で表され、色相及び彩度を示す色度はa*値、b*値で表される。L*値は実質的に白色度を表し、100に近づくほど白色度が高く、0に近づくほど白色度が低い。
【0021】
白地領域のL*a*b*表色系のL*値は、コニカミノルタ製 CM-3700Aを使用し、白地領域の表面で5箇所測定した値の平均値である。また、1回の測色領域は、直径25.4mmの円状(面積506.71mm2)である。
【0022】
図1に示すように、白地領域Xとは、白色ベタ層2の絵柄層3に被覆されていない領域であり、より具体的には、絵柄層3および離型層4に被覆されていない領域である。なお、厚さ方向から見て、離型層4の一部が、絵柄層3が配置されている領域からはみ出す場合も想定される。この場合、無色透明な離型層4に被覆され、かつ、絵柄層3に被覆されていない領域も白地領域と言える。
【0023】
(2)灰分
本開示においては、化粧シートに含まれる灰分が、20.0質量%以上であり、22.0質量%以上が好ましい。上記灰分の割合は、化粧シート、主には多孔質基材に占める無機物、例えば白色顔料の含有率に近似する。灰分が少なすぎると、白色顔料を含有する白色ベタ層が配置されている場合であっても、白色意匠を発現することができない。一方、上記灰分は、40.0質量%以下であり、30.0質量%以下が好ましい。灰分が多すぎると、グロスマット意匠を安定的に発現することができない。
【0024】
本開示における灰分は、以下の測定方法および測定条件により測定される値である。
【0025】
<測定方法>
化粧シートから、約5mgの測定試料を切り出す。以下の熱重量/示差熱同時分析装置を用いて、以下の条件で、昇温速度10℃/分で室温から30℃まで昇温し、30℃で15分間保持する。その後、昇温速度10℃/分で120℃まで昇温し、120℃で30分間保持する。その後、昇温速度10℃/分で600℃まで昇温し、600℃で30分間保持する。これにより測定試料を灰化する。
【0026】
<測定機器及び機械条件>
・装置:DTG-60A(TG-DTA)
・雰囲気ガス:空気
・ガス流量:175[ml/min]
・初期質量:約5mg(化粧シートを切り出し)
・昇温プログラム
室温→昇温(10℃/min)→30℃、15min保持→昇温(10℃/min)→120℃、30min保持→昇温(10℃/min)→600℃、30min保持→終了
【0027】
本開示における灰分は、下記計算式で示されるように、上記昇温プログラムにおいて、120℃、30分間保持後のサンプル質量に対する、600℃、30分間保持後のサンプル質量を百分率で表した値である。
<計算式>
灰分(%)=(600℃、30分間保持後のサンプル質量[mg]/120℃、30分間保持後のサンプル質量[mg])×100
【0028】
2.化粧シートの部材
本開示における化粧シートは、多孔質基材、白色ベタ層、絵柄層および離型層を少なくとも有する。
【0029】
(1)離型層
本開示における離型層は、少なくとも一部が絵柄層の白色ベタ層とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する。離型層は、後述する樹脂含浸化粧板の製造工程において、離型層およびリリースフィルムの間に位置する硬化樹脂層に対して、離型性を有する。このような離型性を有することにより、例えば、本開示における化粧シートを用いて製造された
図3(e)に示す樹脂含浸化粧板100では、硬化樹脂層32がグロス調の意匠感を与え、離型層4がマット調の意匠感を与えることにより、鮮明なグロスマット調の意匠感を表現することができる。
【0030】
また、離型層は、絵柄層の柄と同調するように配置されていることが好ましい。「同調」とは、対象となる2つのパターンの形状および位置が概ね一致することをいう。具体的には、離型層のパターンと、絵柄層の絵柄を構成する少なくとも一部のパターンとの、形状および位置が、リアル感および高級感を損ねない程度に一致することをいう。離型層のパターンを、絵柄層の柄と同調させるように配置することで、高い質感が得られる。
【0031】
離型層は、樹脂成分を含有する。樹脂成分は、典型的には、硬化性樹脂の硬化物(架橋構造体)である。なお、本開示では、離型層における硬化性樹脂を、硬化性樹脂Xと称する場合がある。一方、樹脂成分は、熱可塑性樹脂であってもよい。中でも、離型層は、硬化性樹脂の硬化物を含有することが好ましい。耐摩耗性が良好な離型層が得られるからである。また、離型層が、硬化性樹脂の硬化物を含有することで、硬化樹脂層に対する離型性が良好になる。
【0032】
硬化性樹脂Xとしては、例えば、電離放射線硬化性樹脂および熱硬化性樹脂が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電子線硬化性樹脂および紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂(電離放射線硬化性化合物)は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する材料であれば限定されない。電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合またはエポキシ基を分子中に有する、プレポリマー、オリゴマーおよびモノマーが挙げられる。本開示においては、電離放射線硬化性樹脂を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。中でも、電離放射線硬化性樹脂をとして、多官能モノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を用いることが好ましい。
【0034】
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系樹脂;シロキサン等のケイ素系樹脂;エステル系樹脂;エポキシ系樹脂が挙げられる。(メタ)アクリレート系樹脂とは、アクリレート系樹脂またはメタクリレート系樹脂をいう。
【0035】
電離放射線硬化性樹脂の重量平均分子量は、例えば、500以上、80,000以下であり、1,000以上、50,000以下であってもよい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレンを標準物質に用いて測定される値である。
【0036】
電離放射線硬化性樹脂として、重量平均分子量が500以上である、多官能モノマーまたはオリゴマーを少なくとも含有することが好ましい。このような多官能モノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系樹脂が挙げられる。
【0037】
一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和エステル系樹脂、ウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、メラミン系樹脂、グアナミン系樹脂、メラミン尿素共縮合系樹脂、珪素系樹脂、シロキサン系樹脂が挙げられる。
【0038】
離型層は、マット化剤を含有していてもよい。マット化剤としては、例えば、無機粒子、合成樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリンが挙げられる。合成樹脂粒子としては、例えば、アクリルビーズ、ウレタンビーズ、ナイロンビーズ、シリコーンビーズ、シリコーンゴムビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス)が挙げられる。
【0039】
マット化剤の平均粒径は、例えば、0.3μm以上、10μm以下であり、0.5μm以上、7μm以下であってもよく、1μm以上、5μm以下であってもよい。平均粒径は、レーザー回折散乱法により測定される、体積基準粒度分布によるD50である。マット化剤の含有量は、離型層の樹脂成分100質量部に対して、例えば、5質量部以上、40質量部以下であり、10質量部以上、35質量部以下であってもよい。
【0040】
離型層は、離型剤を含有していてもよい。離型剤を添加することで、離型性が向上する。離型剤としては、例えば、シリコーンオイル等のシリコーン系離型剤、ポリオレフィンワックス等のワックス系離型剤、フッ素系離型剤が挙げられる。シリコーンオイルとしては、例えば、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイルが挙げられる。
【0041】
反応性シリコーンオイルとは、側鎖又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーンオイルとして、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。これらの反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
非反応性シリコーンオイルは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有しないシリコーンオイルであれば特に制限はない。非反応性シリコーンオイルとして、例えば、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのほか、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの非反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0043】
離型剤の含有量は、離型層の樹脂成分100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、50質量部以下であり、0.5質量部以上、20質量部以下であってもよく、3質量部以上、20質量部以下であってもよく、3質量部以上、10質量部以下であってもよい。
【0044】
また、離型層は、無色であってもよく、着色されていてもよい。後者の場合、離型層は、着色剤を含有することが好ましい。着色剤については、後述する絵柄層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
【0045】
離型層は、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等の添加剤を含有していてもよい。離型層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、20μm以下である。
【0046】
離型層は、例えば、硬化性樹脂Xを含有する離型層形成用インキを、絵柄層の白色ベタ層とは反対側の面に塗工し、硬化させることにより、得られる。塗工法としては、例えば、印刷法が挙げられる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法が挙げられる。
【0047】
離型層形成用インキが、電子線硬化性樹脂を含有する場合、通常、電子線を照射することで、電子線硬化性樹脂の硬化物を得る。電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。電子線のエネルギーとしては、例えば、100kV以上、1000kV以下であり、100kV以上、300kV以下であってもよい。電子線の照射量は、例えば、2Mrad以上、15Mrad以下である。
【0048】
離型層形成用インキが、紫外線硬化性樹脂を含有する場合、通常、紫外線を照射することで、紫外線硬化性樹脂の硬化物を得る。紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯が挙げられる。紫外線の波長としては、例えば、190nm以上、380nm以下である。
【0049】
離型層形成用インキが、熱硬化性樹脂を含有する場合、通常、加熱することで、熱硬化性樹脂の硬化物を得る。加熱温度は、熱硬化性樹脂の種類に応じて、適宜設定される。離型層形成用インキは、熱硬化性樹脂とともに、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を含有していてもよい。硬化剤としては、例えば、イソシアネート、有機スルホン酸塩、有機アミン、過酸化物(例えばメチルエチルケトンパーオキサイド)、ラジカル開始剤(アゾイソブチルニトリル)が挙げられる。
【0050】
離型層形成用インキは、必要に応じて、溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、例えば、水;トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシドが挙げられる。
【0051】
(2)絵柄層
本開示における絵柄層は、白色ベタ層の多孔質基材とは反対側の面に部分的(特にパターン状)に配置される。絵柄層における絵柄(模様)としては、例えば、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、木目模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様が挙げられる。
【0052】
絵柄層は、例えば、着色剤および樹脂成分(バインダー樹脂)を含有する。着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料が挙げられる。着色剤として、染料を用いてもよい。
【0053】
樹脂成分としては、例えば、エステルウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、エチレンオキシド系樹脂、N-ビニルピロリドン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂、アミノ系樹脂、フェノール系樹脂、天然高分子(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類)、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。樹脂成分は、水溶性であってもよく、脂溶性であってもよい。
【0054】
絵柄層は、樹脂成分として、極性基を有する樹脂を含有することが好ましい。多孔質基材への樹脂含浸性が良好となるためである。極性基としては、水酸基(-OH)、アミノ基(-NH2)、カルボキシル基(-COOH)などが挙げられる。上記極性基は、例えば、溶媒および他の官能基の影響により、イオン化され安定化している場合がある。そのため、上記「ヒドロキシ基(-OH)」は、イオン化された状態である「-O-」を含む概念であり、上記「アミノ基(-NH2)」は、イオン化された状態である「-NH3
+」を含む概念であり、「カルボキシ基(-COOH)」は、イオン化された状態である「-COO-」を含む概念である。
【0055】
極性基を有する樹脂は、水、メタノールまたはエタノールに溶解または分散する樹脂であることが好ましい。親水性を有するメラミン樹脂等の未硬化樹脂の含浸性が良好になるからである。ここで、「水、メタノールまたはエタノールに溶解または分散する」とは、以下の試験を行い、特定の基準を満たすことをいう。すなわち、JIS K8001:2017 3.2項に参考にして、以下の操作を行う。
1)溶媒として、水、メタノールまたはエタノールをそれぞれ100ml用意する。
2)20℃±5℃の条件で、各樹脂0.1g(液体の場合は0.1ml)を上記の各溶媒中に加える。
3)5分毎に30秒間強く振り混ぜる。
4)30分後に30秒間強く振り混ぜた後、1分間静置した際に、以下の現象が目視で確認できない場合、「溶解または分散する」と判断する。
・容器の底に固形物の沈殿がある。
・溶媒上面、溶媒中または容器底に、溶媒および樹脂の相分離(油滴)が発生する。
【0056】
極性基を有する樹脂としては、カゼイン等の水性タンパク質、セルロース、アセチルセルロース、硝化綿、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等に代表されるセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアルコール誘導体、メラミン樹脂等のアミノ系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、フェノール樹脂、アクリルポリオール、天然高分子(例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類)などが挙げられる。
【0057】
本開示における絵柄層は、極性基を有する樹脂として、カゼイン、メラミン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体のいずれか1以上を含むことが好ましく、カゼインを含むことがより好ましい。カゼインとしては、α-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼイン又はそれらの混合物を使用することができる。また、カゼインとして、カゼインナトリウム、カゼインアンモニウムに代表される誘導体を、単独または組み合わせて使用することもできる。
【0058】
絵柄層は、必要に応じて、フィラー(例えばシリカ)、体質顔料(例えば有機ビーズ)、中和剤、界面活性剤等の添加剤を含有していてもよい。絵柄層の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上、20μm以下である。
【0059】
絵柄層の形成方法としては、例えば、着色剤、バインダー樹脂および溶媒(または分散媒)を含有する絵柄層形成用インキを用いた塗工法が挙げられる。例えば、絵柄層形成用インキを、白色ベタ層の多孔質基材とは反対側の面に塗工し、乾燥することで、絵柄層が得られる。
【0060】
上記溶剤(または分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤が挙げられる。
【0061】
上記塗工法としては、例えば、印刷法が挙げられる。印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法が挙げられる。
【0062】
(3)白色ベタ層
本開示における白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置される。多孔質基材の一方の面の全面とは、多孔質基材の一方の面のうち化粧シートとして機能している部分を基準として、その90%以上の領域をいう。白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面のうち化粧シートとして機能している部分を基準として、その95%以上を覆うように配置されていてもよく、その100%を覆うように配置されていてもよい。
【0063】
「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」について、幾つかの例示を用いて、より具体的に説明する。
図6(a)に示すように、厚さ方向から見て、多孔質基材1を、白色ベタ層2が完全に覆っている場合、白色ベタ層2は、多孔質基材1の全面(化粧シートとして機能している部分の100%)を覆うように配置されている。また、
図6(b)に示すように、厚さ方向から見て、多孔質基材1の両端が白色ベタ層2から露出する場合、その両端は、化粧シートとして機能していない。そのため、化粧シートとして機能していない領域を除いて、多孔質基材1の全面が定義される。
図6(b)において、白色ベタ層2は、多孔質基材1の全面(化粧シートとして機能している部分の100%)を覆うように配置されている。同様に、
図6(c)に示すように、厚さ方向から見て、多孔質基材1の外縁が、全周にわたって、白色ベタ層2の外縁より外側に位置する場合、白色ベタ層2から露出した多孔質基材1の領域は、化粧シートとして機能していない。そのため、化粧シートとして機能していない領域を除いて、多孔質基材1の全面が定義される。
図6(c)において、白色ベタ層2は、多孔質基材1の全面(化粧シートとして機能している部分の100%)を覆うように配置されている。
【0064】
一方、
図6(d)において、厚さ方向から見て、多孔質基材1の面は、全て化粧シートとして機能している。一方、白色ベタ層2の外縁より内側に、白色ベタ層2が形成されていない領域α(例えば、意匠表現を目的として作製した未塗工部)が存在している。この場合、領域αの面積の合計が、多孔質基材1の面(化粧シートとして機能している部分)に対して10%未満である場合、「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」といえる。また、
図6(e)において、厚さ方向から見て、多孔質基材1の面は、全て化粧シートとして機能している。一方、白色ベタ層2を分断するように、白色ベタ層2が形成されていない領域α(例えば、意匠表現を目的として作製した未塗工部)が存在している。この場合、領域αの面積の合計が、多孔質基材1の面(化粧シートとして機能している部分)に対して10%未満である場合、「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」といえる。同様に、
図6(f)において、厚さ方向から見て、多孔質基材1の面は、全て化粧シートとして機能している。一方、白色ベタ層2が形成されていない領域αが存在している。この場合、領域αの面積の合計が、多孔質基材1の面(化粧シートとして機能している部分)に対して10%未満である場合、「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」といえる。
【0065】
また、
図6(g)に示すように、厚さ方向から見て、多孔質基材1の両端が白色ベタ層2から露出する場合、その両端は、化粧シートとして機能していない。そのため、化粧シートとして機能していない領域を除いて、多孔質基材1の全面が定義される。
図6(g)において、白色ベタ層2の外縁より内側に、白色ベタ層2が形成されていない領域α(例えば、意匠表現を目的として作製した未塗工部)が存在している。この場合、領域αの面積の合計が、多孔質基材1の面のうち化粧シートとして機能している部分に対して10%未満である場合、「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」といえる。また、
図6(h)に示すように、厚さ方向から見て、多孔質基材1の外縁が、全周にわたって、白色ベタ層2の外縁O
1より外側に位置する場合、外縁O
1より外側において白色ベタ層2から露出した多孔質基材1の領域は、化粧シートとして機能していない。そのため、化粧シートとして機能していない領域を除いて、多孔質基材1の全面が定義される。
図6(h)に示すように、白色ベタ層2の外縁O
2が複雑な形状を有する場合、白色ベタ層2の面積が最大となるように、四角形の外縁O
1が設定される。また、
図6(h)においては、白色ベタ層2が形成されていない領域αが存在している。この場合、領域αの面積の合計が、多孔質基材1の面のうち化粧シートとして機能している部分に対して10%未満である場合、「白色ベタ層は、多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置されている」といえる。
【0066】
白色ベタ層は、白色顔料を含有する。白色顔料としては、特に限定されないが、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。中でも、酸化チタンおよび炭酸カルシウムが好ましい。本開示においては、白色性および隠蔽性が良好なことから、酸化チタンが特に好ましい。白色ベタ層における白色顔料の割合は、例えば、50質量%以上であり、60質量%以上であることが好ましい。一方、白色顔料の割合は、例えば、95質量%以下であり、90質量%以下であることが好ましい。
【0067】
白色ベタ層は、白色顔料の他に、例えば、樹脂成分、添加剤および溶媒(または分散媒)を含む。樹脂成分、添加剤および溶媒(または分散媒)としては、上述した絵柄層で例示した樹脂成分、添加剤および溶媒(または分散媒)と同様のものが挙げられる。
【0068】
また、白色ベタ層は、樹脂成分として、極性基を有する樹脂を含有することが好ましい。多孔質基材への樹脂含浸性が良好となるためである。極性基を有する樹脂としては、上述した絵柄層で例示した極性基を有する樹脂と同様のものが挙げられる。
【0069】
本開示における白色ベタ層は、極性基を有する樹脂として、カゼイン、メラミン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、セルロースおよびセルロース誘導体のいずれか1以上を含むことが好ましく、カゼインを含むことがより好ましい。カゼインとしては、α-カゼイン、β-カゼイン、γ-カゼイン又はそれらの混合物を使用することができる。また、カゼインとして、カゼインナトリウム、カゼインアンモニウムに代表される誘導体を、単独または組み合わせて使用することもできる。
【0070】
また、厚さ方向から化粧シートを見て、白色ベタ層の全面積S1に対する、白色ベタ層における白地領域(絵柄層に被覆されていない領域)の面積S2の割合(S2/S1)は、例えば5%以上であり、10%以上であってもよい。上記割合(S2/S1)が上記範囲であることにより、白地領域による意匠効果が十分に得られる。一方、上記割合(S2/S1)は、例えば95%以下であり、80%以下であってもよく、70%以下であってもよい。
【0071】
厚さ方向から見て、離型層から露出する領域において、純水接触角は低いことが好ましい。厚さ方向から見て、離型層から露出する領域とは、白ベタ層が形成され、かつ、離型層が形成されていない領域である。離型層から露出する領域の表面は、白ベタ層の表面であってもよく、絵柄層の表面であってもよい。親水性を有するメラミン樹脂等の未硬化樹脂の含浸性が良好になるからである。純水接触角は、以下の方法により求められる。すなわち、化粧シートを、離型層側が上面となるように、水平面に静置する。次に、水平面に対して、垂直方向から、水滴(純水、2.0μL)を白色ベタ層上に滴下する。この際、水滴を、例えば、白色ベタ層および離型層の境目等に滴下せず、水滴の全てが離型層から露出する領域と接するように滴下する。水滴の滴下後、1秒間待機し、接触角計(全自動接触角計DMo-702、協和界面科学株式会社製)を用いて、白色ベタ層と純水との接触角度を測定する。上記測定を、任意の10箇所において行い、その平均値を、純水接触角とする。純水接触角は、80.0°以下であってもよく、70.0°以下であってもよく、60.0°以下であってもよい。一方、純水接触角は、0°であってもよい。すなわち、純水が、化粧シートに完全に浸透してもよい。
【0072】
本開示においては、上述した離型層から露出する領域において、濡れ性は、高いことが好ましい。親水性を有するメラミン樹脂等の未硬化樹脂の含浸性が良好になるからである。濡れ性は、以下の方法により求められる。
1)ダイン数が40mN/m、46mN/m、50mN/m、54mN/m、60mN/m、67mN/m、70mN/mであるテンションチェッカー(有限会社パシフィック化学製)をそれぞれ用意する。
2)化粧シート表面に、テンションチェッカーで30cm以上線を引く。この時、離型層上のみで線を引かず、引いた線部が、上述した離型層から露出する領域を含むようにする。
3)線を引いた後に2秒間静置し、表面を乾いた布で拭き取る。その後、白地領域にテンションチェッカーによるインキ跡または変色があるかを目視で確認する。この操作を1つのダイン数で3回実施する。
4)上記2)および)3)の操作を、用意した各ダイン数でそれぞれ実施する。
5)上記4)の結果、インキ跡または変色が見られたダイン数(3回中1回でもインキ跡または変色が見られた場合を含む)のうち、最も数値が大きいものを、化粧シートの濡れ性として判断する。
上記濡れ性は、例えば、50mN/m以上であり、54mN/m以上であってもよく、60mN/m以上であってもよい。一方、上記濡れ性は、例えば、70mN/m以下である。
【0073】
白色ベタ層に含まれる樹脂成分に対する、上述した極性基を有する樹脂の割合は、例えば20質量%以上であり、30質量%以上であってもよく、40質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよい。一方、極性基を有する樹脂の上記割合は、例えば100質量%以下であり、90質量%以下であってもよい。極性基を有する樹脂の含有量が上記範囲内であれば、多孔質基材に対する未硬化樹脂の浸透を阻害することなく、離型層のインキの多孔質基材への浸透を更に抑制することができる。
【0074】
また、白色ベタ層は、樹脂成分として、上述した極性基を有する樹脂に加え、他の樹脂を有していても良い。他の樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、エステルウレタン系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エチレンオキシド系樹脂、N-ビニルピロリドン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系樹脂、ウレタン(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
【0075】
白色ベタ層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1μm以上であり、2μm以上が好ましく、3μm以上であってもよい。白色ベタ層の厚さが上記範囲であれば、優れた白色度を有する。一方、8μm以下が好ましく、6μm以下であってもよい。白色ベタ層の厚さが上記範囲であれば、多孔質基材への樹脂含浸性が良好となる。白色ベタ層の厚さは、化粧シートを厚さ方向に切断して得られた断面を光学顕微鏡にて観察し、10箇所で測定した厚さの平均値である。
【0076】
白色ベタ層の塗布量(坪量)は、特に限定されないが、例えば、1.0g/m2以上であり、2.0g/m2以上が好ましく、3.0g/m2以上であってもよい。白色ベタ層の塗布量が上記値以上であれば、優れた白色度を有する白色ベタ層が得られる。一方、白色ベタ層の塗布量(坪量)は、例えば、10g/m2以下が好ましく、8g/m2以下であってもよい。白色ベタ層の塗布量が上記値以下であれば、多孔質基材への樹脂含浸性が良好となる。
【0077】
本開示においては、白色ベタ層の白地領域(絵柄層に被覆されていない領域)の75°グロス値が、例えば、6.0以上であり、8.0以上であることが好ましく、10.0以上であることがより好ましい。白色ベタ層の白地領域の75°グロス値が上記範囲であると、白色の意匠を表現可能な樹脂含浸化粧板が得られやすい。一方、75°グロス値は、例えば、25.0以下であり、20.0以下であることが好ましい。白色ベタ層の白地領域の75°グロス値が上記範囲であると、白ベタ層によるメラミン含浸性の阻害を防ぎ、加工性を良好に保つことができる。
【0078】
本開示において、白色ベタ層の白地領域の75°グロス値とは、JIS Z 8741:1997の方法2に準拠して測定した75°鏡面光沢度のことであり、以下の方法により測定された値である。
化粧シートを離型層側が上になるように置き、離型層側から、グロスメーターを用いて、JIS Z 8741:1997の方法2に準拠して75°鏡面光沢度を測定する。
【0079】
色ベタ層の白地領域の75°グロス値は、白地領域(絵柄層に被覆されていない領域)の任意の10箇所における測定値の平均値である。各測定箇所においては、色ベタ層の白地領域がグロスメーターの測定領域の中心にあり、この白地領域の面積の割合が測定領域の面積の50%以上であることを確認して測定を行う。
【0080】
色ベタ層の白地領域の75°グロス値は、例えば、白色ベタ層の厚さを厚くすることによって上げることができ、白色ベタ層の厚さを薄くすることによって下げることができる。
【0081】
白色ベタ層の形成方法としては、例えば、白色顔料、樹脂成分、添加剤および溶媒(または分散媒)を含有する白色ベタ層用インキを用いた塗工法が挙げられる。例えば、白色ベタ層用インキを、多孔質基材の一方の面に塗工し、乾燥することで、白色ベタ層が得られる。
【0082】
上記溶剤(または分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-2-メトキシエチル、酢酸-2-エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤が挙げられる。
【0083】
また、白色ベタ層を形成するための塗工法としては、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。
印刷法としては、例えば、グラビア印刷法が挙げられる。
白色ベタ層は、1回の塗工により多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置してもよく、複数回の塗工により多孔質基材の一方の面の全面を覆うように配置してもよい。後者の場合には、1回の塗工によって形成される層はパターン状を有していてもよい。
【0084】
(4)多孔質基材
本開示における多孔質基材は、樹脂含浸化粧板の製造時に、熱硬化性樹脂等の未硬化樹脂(硬化性樹脂Y)が含浸される基材である。多孔質基材として、例えば、浸透性のある繊維質基材が挙げられる。浸透性のある繊維質基材としては、例えば、紙、合成紙、不織布、織布が挙げられる。上記紙としては、例えば、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙が挙げられる。また、繊維質基材として、ビニル壁紙原反(紙にポリ塩化ビニル樹脂をドライラミネートしたもの)を用いることもできる。また、繊維質基材の他の例としては、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維を含む、不織布または織布が挙げられる。これらの多孔質基材の中でも、熱硬化性樹脂の含浸性の点で、チタン紙、薄葉紙、クラフト紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙および和紙が好ましい。本開示においては、上記L*値を得る観点から、チタン紙が好ましい。さらに、チタン紙は、硬化性樹脂Yの含浸性に優れる。
【0085】
多孔質基材は、着色されていてもよい。例えば、多孔質基材の製造段階で、白色顔料を配合することにより、白色に着色された多孔質基材が得られる。例えば、多孔質基材が紙である場合、抄造段階で二酸化チタン等の白色顔料を配合することにより、白色に着色された紙が得られる。また、白色顔料の配合量は、上記灰分の割合となる量であれば特に限定されない。特に、本開示の化粧シートを構成する多孔質基材に用いられる白色顔料には、多孔質基材の白色度を調整するための機能と、多孔質基材の浸透性を調整するための機能と、が求められる。本開示においては、上記L*値が得られ、かつ、上記灰分が所定の範囲となるように、すなわち、多孔質基材の浸透性を調整するように、白色顔料の種類および配合量を設定する。また、多孔質基材は、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤を含有していてもよい。
【0086】
多孔質基材の坪量は、特に限定されないが、例えば、40g/m2以上、150g/m2以下である。多孔質基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、50μm以上、170μm以下である。例えば、白色ベタ層を形成するインキの密着性を高めるために、多孔質基材の白色ベタ層側の面に、コロナ放電処理が施されていてもよい。
【0087】
3.化粧シート
本開示における化粧シートは、白地領域のL*a*b*表色系におけるb*値が、4.5以下であることが好ましく、4.0以下であることがより好ましい。このような化粧シートであれば、黄色味が抑制された、白色度が高い樹脂含浸化粧板を得ることができる。一方、上記b*値は、例えば、3.0以上である。
【0088】
本開示における化粧シートは、樹脂含浸化粧板の製造に用いられる。樹脂含浸化粧板については後述するため、ここでの説明は省略する。
【0089】
本開示における化粧シートは、メラミン樹脂を用いた含浸性試験を行った場合に、化粧シートのメラミン樹脂の含浸量は、例えば35g/m2以上であり、45g/m2以上であってもよい。一方、化粧シートのメラミン樹脂の含浸量は、例えば80g/m2以下であり、60g/m2以下であってもよい。含浸性試験の詳細については、後述する実施例において説明する。
【0090】
B.樹脂含浸化粧板
以下、本開示における樹脂含浸化粧板について、詳細に説明する。
図2は、本開示における樹脂含浸化粧板を例示する概略断面図である。
図2に示す樹脂含浸化粧板100は、上述した化粧シート10と、化粧シートにおける多孔質基材1と対向するように配置されたコア基材20と、白地領域Xに配置され、かつ、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層32と、を備え、コア基材20および多孔質基材1は、硬化性樹脂Yの硬化物を含む。本開示における樹脂含浸化粧板100は、白地領域XにおけるL
*値を、硬化樹脂層32を介して測定した場合に、L
*値が88.0以上である。
本開示における樹脂含浸化粧板は、上述した化粧シートを備えるため、白色の意匠を表現しつつ、グロスマット意匠を安定的に発現可能なものとなる。
【0091】
1.化粧シート
化粧シートの詳細については、上述した通りである。
【0092】
2.コア基材
本開示における樹脂含浸化粧板は、化粧シート10の多孔質基材1側の面(白色ベタ層2を基準にして多孔質基材1側に位置する、化粧シート10の面)に、多孔質なコア基材20を有する。コア基材20としては、例えば、フェノール樹脂含浸紙が挙げられる。フェノール樹脂含浸紙は、例えば、コア紙であるクラフト紙にフェノール樹脂を含浸し、乾燥させることにより得られる紙である。
【0093】
3.硬化性樹脂の硬化物および硬化樹脂層
本開示におけるコア基材および多孔質基材は、硬化性樹脂Yの硬化物を含む。樹脂含浸化粧板は、白地領域に配置された硬化樹脂層を有する。コア基材および多孔質基材に充填された硬化性樹脂の硬化物と、硬化樹脂層に含まれる硬化性樹脂の硬化物とは、後述するように、同一の硬化性樹脂Yにより形成される。これらの硬化樹脂は、例えば、後述する熱硬化性樹脂の硬化物である。
【0094】
硬化樹脂層の厚さは、特に限定されないが、例えば1μm以上であり、10μm以上であってもよい。一方、例えば、500μm以下であり、300μm以下であってもよい。
【0095】
4.L*値
本開示における樹脂含浸化粧板は、白地領域XにおけるL*値を、硬化樹脂層32を介して測定した場合に、L*値が88.0以上であり、90.0以上であってもよい。一方、上記L*値は、特に限定されないが、例えば、92.0以下であってもよく、91.0以下であってもよい。
【0096】
5.製造方法
図3は、本開示における化粧シートを用いた、樹脂含浸化粧板の製造方法を例示する概略断面図である。
【0097】
まず、
図3(a)および
図3(b)に示すように、上述した化粧シート10の多孔質基材1に、白色ベタ層2を介して熱硬化性樹脂を含浸させつつ、熱硬化性樹脂を含有し、かつ、白色ベタ層2、絵柄層3および離型層4を被覆する熱硬化性樹脂層30´を形成する。熱硬化性樹脂としては、熱硬化型の樹脂を広く使用することができる。熱硬化性樹脂として、メラミン系樹脂(メラミン系樹脂前駆体)、メラミン-尿素共縮合体系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、フェノール系樹脂、尿素系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、グアナミン系樹脂、珪素系樹脂、ポリシロキサン系樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂の含浸方法としては、例えば、熱硬化性樹脂を入れた浴槽に、化粧シート10を浸漬させる方法;キスコーター、コンマコーター等のコーターにより、熱硬化性樹脂を、化粧シート10に塗工する方法;スプレー装置またはシャワー装置により、熱硬化性樹脂を、化粧シート10に吹き付ける方法が挙げられる。
【0098】
また、
図3(c)に示すように、熱硬化性樹脂層30´の白色ベタ層2とは反対の面側に、リリースフィルム40を配置し、化粧シート10の多孔質基材1側の面(白色ベタ層2を基準にして多孔質基材1側に位置する、化粧シート10の面)に、コア基材20を配置し、第1積層体51´を作製する。また、リリースフィルムは、熱硬化性樹脂層と対向させる面に、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む剥離層を有していてもよい。
【0099】
次に、
図3(d)に示すように、第1積層体51´に対して、加熱および加圧を行い、熱硬化性樹脂を硬化させ、熱硬化性樹脂層30´から硬化樹脂層31´を形成し、第2積層体52´を作製する。加熱温度は、例えば、90℃以上、160℃以下である。また、加熱時間は、例えば、30秒間以上、30分間以下である。また、加圧することで、リリースフィルム40の平滑性が、硬化樹脂層31´の表面に反映される。
【0100】
次に、
図3(e)に示すように、第2積層体52´からリリースフィルム40を剥離すると同時に、離型層4およびリリースフィルム40の間に位置する硬化樹脂層31´も、リリースフィルム40側に剥離する。この際、リリースフィルム40側に剥離されなかった硬化樹脂層31´が、グロス層32となる。これにより、多孔質基材1と、多孔質基材1の一方の面の全面に配置された白色ベタ層2と、白色ベタ2の多孔質基材1とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層3と、絵柄層3の白色ベタ層2とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する離型層(マット層)4と、化粧シートの白地領域に配置された硬化樹脂層(グロス層)32と、を有する樹脂含浸化粧板100が得られる。
【0101】
本開示における樹脂含浸化粧板は、例えば、基体の面に配置されて用いられる。基体としては、例えば、木質部材、樹脂部材、金属部材、窯業部材が挙げられる。木質部材としては、例えば、木材単板、木材合板、パーティクルボード、木質繊維板が挙げられる。木質部材に用いられる木材としては、例えば、杉、檜、松、ラワンが挙げられる。樹脂部材に用いられる樹脂としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、エステル系樹脂、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系共重合体(ABS系樹脂)、フェノール系樹脂、セルロース系樹脂、カーボネート系樹脂、メラミン系樹脂、ゴムが挙げられる。金属部材に用いられる金属としては、例えば、鉄、アルミニウムが挙げられる。窯業部材の材料は、ガラス、陶磁器等のセラミックスであってもよく、石膏等の非セメント窯業系材料であってもよく、ALC(軽量気泡コンクリート)等の非陶磁器窯業系材料であってもよい。
【0102】
本開示における樹脂含浸化粧板の用途としては、例えば、建材、家具が挙げられる。建材は、内装材であってもよく、外装材であってもよい。建材としては、例えば、壁、床、天井、ドア、棚が挙げられる。家具としては、例えば、テーブル、デスク、キャビネットが挙げられる。
【0103】
本開示は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【実施例0104】
[実施例1]
(化粧シートの製造)
多孔質基材として、坪量80g/m2のチタン紙(KJ特殊紙株式会社製、PM-77P)を準備し、下記組成を有する白色ベタ層形成用の印刷インキを用いて、グラビア印刷法により、厚み2μmの白色ベタ層を多孔質基材の一方の面の全面に形成した。さらに、白色ベタ層の多孔質基材とは反対側の面に、下記組成を有する絵柄層形成用の印刷インキを用いて、石目柄状の絵柄層を形成した。
【0105】
<白色ベタ層形成用印刷インキ>
・白色顔料(酸化チタン) 40質量部
・カゼイン/アクリル系樹脂(質量比45:55) 10質量部
・水 40質量部
・ジプロピルグリコール 5質量部
・イソプロピルアルコール 5質量部
【0106】
<絵柄層形成用インキ>
・顔料(アゾ系、キナクリドン系、カーボンブラックなど) 10質量部
・カゼイン/アクリル(質量比45:55) 10質量部
・水 70質量部
・ジプロピルグリコール 5質量部
・イソプロピルアルコール 5質量部
【0107】
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックスM400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X-22-164B)0.6質量部、およびメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型層形成用インキを調製した。
【0108】
さらに、絵柄層上に、離型層形成用インキを絵柄層の石目柄と同調するように塗工し、165kVの加速電圧にて3Mradの電子線照射を行うことにより、パターン形状を有する厚み2μmの離型層を形成した。これにより、多孔質基材と、白色ベタ層と、絵柄層と、パターン形状を有する離型層をこの順に有する化粧シートを製造した。なお、厚さ方向から見て、白色ベタ層の全面積S1に対する、白地領域(絵柄層に被覆されていない領域)の面積S2の割合(S2/S1)は、後述する実施例および比較例を含め、すべて50%以上60%以下に調整した。
【0109】
(リリースフィルムの作製)
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4160)の易接着性面に、電離放射線硬化性モノマー100質量部、反応性シリコーン2質量部、シリカ8質量部、及び酢酸エチル50質量部を含む塗工液を、5g/m2(乾燥時)の量で塗布し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線を照射して硬化させた。これにより、硬化樹脂層を有するリリースフィルムを製造した。
【0110】
(メラミン化粧板の作製)
製造した化粧シートに対し、メラミン樹脂の未硬化物(水溶性メチロールメラミン樹脂、日本カーバイド工業社製ニカレジンS-260)60質量部、水35質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部を含む液状の未硬化メラミン樹脂組成物を、含浸用の含浸装置を用いて未硬化メラミン樹脂組成物が80g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥させて、含浸化粧シートを製造した。
【0111】
含浸化粧シートを、クラフト紙にフェノール樹脂液を含浸させて製造した、坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(コアクラフト紙にフェノール樹脂からなる液体状の未硬化樹脂組成物に含浸させて得られたもの)3枚の上に積層した。更に、含浸化粧シートの離型層側の面に、上記のリリースフィルムを、リリースフィルムの硬化樹脂層が含浸化粧シートの印刷面と接するように積層し、第1積層体を得た。形成された積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、成型体(第2積層体)を作製した。成型体において、離型層と、リリースフィルムとの間には、硬化したメラミン樹脂を含有するメラミン樹脂層が形成されていた。
【0112】
メラミン樹脂の硬化物を含む硬化樹脂層からリリースフィルムを剥離することにより、硬化樹脂層のうち、離型層を被覆する部分を除去した。離型層が設けられていない部分には、剥離されなかった硬化樹脂層がグロス層として残る。これにより、メラミン化粧板を得た。
【0113】
[実施例2]
白色ベタ層の厚さを6μmとした以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0114】
[実施例3]
白色ベタ層の厚さを1μmとした以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0115】
[実施例4]
多孔質基材を、KJ特殊紙株式会社製KW801Pに変更した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0116】
[実施例5]
多孔質基材を、KJ特殊紙株式会社製PM-79Pに変更した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0117】
[比較例1]
白色ベタ層を形成しなかった以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0118】
[比較例2]
白色ベタ層の印刷インキを、透明インキ(酸化チタンを含まない)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0119】
[比較例3]
多孔質基材を、KJ特殊紙株式会社製PM-28Pに変更した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0120】
[比較例4]
多孔質基材を、KJ特殊紙株式会社製 KSH801Pに変更した以外は、実施例1と同様の方法で化粧シートを製造し、メラミン化粧板を得た。
【0121】
[灰分測定]
上記で製造した化粧シートの灰分を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0122】
[評価]
(化粧シートおよびメラミン化粧板のL*値およびb*値)
上記で製造した化粧シートの白地領域のL*a*b*表色系におけるL*値およびb*値、メラミン化粧板の硬化樹脂層を介して測定された白地領域のL*a*b*表色系におけるL*値およびb*値を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0123】
(化粧シートの75°グロス値)
上記で製造した化粧シートの白地領域の75°グロス値を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0124】
(純水接触角)
上記で製造した化粧シートの、離型層から露出する領域における純水接触角を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0125】
[濡れ性の測定]
上記で製造した化粧シートの、離型層から露出する領域における濡れ性を、上述した方法により測定した。結果を表1に示す。
【0126】
(白色意匠性評価)
得られたメラミン化粧板の白色意匠性を目視による観察で評価した。評価は、別途準備した、基準用メラミン化粧板1および基準用メラミン化粧板2を白さの基準として用いた。
基準用メラミン化粧板1は、チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、PM-77P)に、実施例1における(メラミン化粧板の作製)と同様の方法で、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸し、熱プレスすることにより準備した。基準用メラミン化粧板2は、チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW801P)に、実施例1における(メラミン化粧板の作製)と同様の方法で、未硬化メラミン樹脂組成物を含浸し、熱プレスすることにより準備した。
【0127】
観察者は、基準用メラミン化粧板1及び基準用メラミン化粧板2と、実施例及び比較例で作製した化粧板を目視で比較した。用いた基準用化粧板毎に1~5点の5段階(3点は基準と同等、1点が最も白色意匠性が低く、5点が最も白色意匠性が高い)で得点付けした。観察者10名でそれぞれ実施し、全員の平均点を算出し、以下の基準で白色意匠性を評価した。
【0128】
・評価基準
A:基準用メラミン化粧板1,2のどちらを用いた時でも、平均得点がそれぞれ3点以上であった。
B:基準用メラミン化粧板2を用いた時には平均得点が3点未満だが、基準用メラミン化粧板1を用いた時には平均得点が3点以上であった。
C:基準用メラミン化粧板1,2どちらを用いた時でも、平均得点がそれぞれ3点未満であり、赤味や黄味が感じられた。
【0129】
(グロスマット意匠性評価)
得られたメラミン化粧板のグロスマット意匠性を、目視により評価した。具体的には、自然色形蛍光灯演色AA(パナソニック株式会社製、型番:FLR40S・D-SDL/M)の光源下で、得られた化粧板を50cm離れた位置からそれぞれ目視にて観察し、グロスマット意匠性及びマット部(離型層)の状態を確認した。
【0130】
観察者は、グロスマット意匠性を1~5点の5段階(1点が最も悪く、5点が最も高い)で得点付けした。なお、マット部及び近辺に大部分のメラミンの剥離残りや著しい白化が見られ、十分なグロスマット意匠が確認できない場合を1点、マット部のメラミンの剥離残りが確認されず、十分なグロスマット意匠が確認できた場合を5点、として段階的に評価した。観察者10名でそれぞれ実施し、全員の平均点を算出し、以下の基準でグロスマット意匠性を評価した。
・評価基準
A:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が3点以上
B:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が2点以上3点未満
C:グロスマット意匠性を評価した際の平均得点が2点未満
【0131】
(含浸性評価)
製造した化粧シートの含浸性を以下の方法により評価した。
1)化粧シートから半径2cmの円形のサンプルを切り出し、サンプル質量を測定した(試験前のサンプル質量)。
2)
図4(a)は、含浸性評価に用いる容器の概略断面図、
図4(b)、(c)は、容器の蓋の概略断面図および概略斜視図である。
図4に示すように、第1開口部O1を有するポリエチレン製の容器(内容積約300ml)51(
図4(a))、および、容器51と固定可能であり、かつ、第2開口部O
2を有する蓋52(
図4(b)、
図4(c))を準備した。なお、第1開口部の形状は、直径3cmの円形(含浸面積 約0.0007m
2)であった。
図5(a)に示すように、容器51の内部に、メラミン樹脂の未硬化物U(水溶性メチロールメラミン樹脂(日本カーバイド製ニカレジンS-260)60gを純水40gに溶解させたもの)100gを入れた。次に、サンプルSを、第1開口部O1を覆うように配置した。次に、蓋52を用い、容器1および蓋52を固定することで、サンプルSをセットした。この際、サンプルSは、白色ベタ層側の面が容器内部側を向くようにセットした。
3)
図5(b)に示すように、容器51をひっくり返し、サンプルSにメラミン樹脂の未硬化物Uを含浸させた。
4)30秒後、
図5(c)に示すように、容器51を再びひっくり返し、すみやかにサンプルSを取り出した。
5)
図5(d)に示すように、サンプルSの白色ベタ層側の面上に残った未含浸のメラミン樹脂54を金属板53でかき取り除去した。
6)
図5(e)に示すように、サンプルSを、80℃、1分間乾燥した後、質量を再度測定した(試験後のサンプル質量)。
【0132】
以下の式により、化粧シートのメラミン樹脂の含浸量(g/m2)を算出し、以下の評価基準により評価した。結果を表1に示す。
メラミン樹脂の含浸量(g/m2)={試験後のサンプル質量(g)-試験前のサンプル質量(g)}/容器の開口部面積(m2)
【0133】
・評価基準
A:メラミン樹脂の含浸量が45g/m2以上
B:メラミン樹脂の含浸量が35g/m2以上、45g/m2未満
C:メラミン樹脂の含浸量が35g/m2未満
【0134】
【0135】
表1に示すように、実施例1~実施例5の化粧シートは、白色意匠性およびグロスマット意匠性が良好なメラミン化粧板を製造することができた。一方、比較例1のようにベタ層を配置していない化粧シートを用いて製造したメラミン化粧板は、白色意匠性が低かった。比較例2のように白色顔料を含有しない透明ベタ層が配置された化粧シートを用いて製造したメラミン化粧板も、同様に白色意匠性が低かった。比較例3は、白色ベタ層を配置しているものの、化粧シートの灰分が低いために、メラミン化粧板の白色意匠性が低かった。比較例4は、化粧シートの灰分が多く、離型層用のインクが浸透してしまうため、グロスマット意匠性が低かった。
【0136】
このように、本開示においては、例えば、以下の発明が提供される。
【0137】
[1]
樹脂含浸化粧板の製造に用いられる化粧シートであって、
上記化粧シートは、
多孔質基材と、
上記多孔質基材の一方の面の全面に配置され、白色顔料を含有する白色ベタ層と、
上記白色ベタ層の上記多孔質基材とは反対側の面に部分的に配置された絵柄層と、
上記絵柄層の上記白色ベタ層とは反対側の面に配置され、パターン形状を有する離型層と、を有し、
上記白色ベタ層は、上記絵柄層に被覆されていない白地領域を有し、
上記白地領域におけるL*値が93.0以上であり、
上記化粧シートに含まれる灰分が、20.0質量%以上、40.0質量%以下である、化粧シート。
【0138】
[2]
上記白色顔料が、酸化チタンおよび炭酸カルシウムの少なくとも一方を含む、[1]に記載の化粧シート。
【0139】
[3]
上記白色ベタ層の厚さが、1μm以上、8μm以下である、[1]または[2]に記載の化粧シート。
【0140】
[4]
上記多孔質基材が、チタン紙を有する、[1]から[3]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0141】
[5]
上記化粧シートに含まれる灰分が、22.0質量%以上、30.0質量%以下である、[1]から[4]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0142】
[6]
上記化粧シートは、上記白地領域のb*値が、4.50以下である、[1]から[5]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0143】
[7]
前記化粧シートは、前記白地領域の75°グロス値が、6.0以上である、[1]から[6]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0144】
[8]
前記化粧シートは、厚さ方向から見て、前記離型層から露出する領域の純水接触角が、80.0°以下である、[1]から[7]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0145】
[9]
前記化粧シートは、厚さ方向から見て、前記離型層から露出する領域の濡れ性が、50mN/m以上である、[1]から[8]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0146】
[10]
前記白色ベタ層は、樹脂成分を含有し、前記樹脂成分として極性基を有する樹脂を含む、[1]から[9]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0147】
[11]
前記白色ベタ層に含まれる前記樹脂成分に対する、前記極性基を有する樹脂の割合は、20質量%以上、100質量%以下である、[10]に記載の化粧シート。
【0148】
[12]
前記樹脂含浸化粧板は、メラミン化粧板である、[1]から[11]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0149】
[13]
前記離型層は、硬化性樹脂Xの硬化物を含有する、[1]から[12]までのいずれかに記載の化粧シート。
【0150】
[14]
前記硬化性樹脂Xは、電離放射線硬化性樹脂である、[13]に記載の化粧シート。
【0151】
[15]
前記電離放射線硬化性樹脂は、電子線硬化性樹脂である、[14]に記載の化粧シート。
【0152】
[16]
樹脂含浸化粧板であって、
[1]から[15]までのいずれかに記載の化粧シートと、
前記化粧シートにおける前記多孔質基材と対向するように配置されたコア基材と、
前記白地領域に配置され、かつ、硬化性樹脂Yの硬化物を含有する硬化樹脂層と、
を備え、
前記コア基材および前記多孔質基材は、前記硬化性樹脂Yの硬化物を含み、
前記白地領域におけるL*値を、前記硬化樹脂層を介して測定した場合に、前記L*値が88.0以上である、樹脂含浸化粧板。