(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045089
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240326BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240326BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240326BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240326BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240326BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20240326BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20240326BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240326BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J7/00 P
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J7/00 302C
B60L53/14
B60L55/00
B60L53/66
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156432
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2022150408
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】515320123
【氏名又は名称】コスモ石油マーケティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 龍夫
(72)【発明者】
【氏名】榎島 英樹
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AC08
5G064CB06
5G064DA01
5G064DA11
5G066AA03
5G066AA09
5G066AE03
5G066AE09
5G066HA13
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC21
5H125BC24
5H125BE01
5H125CC04
5H125DD02
5H125EE27
(57)【要約】
【課題】本開示は、ユーザに、EV等の電動移動体バッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置とEV等との接続を促すことを目的とする。
【解決手段】
本開示は、電力により移動可能な電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置であって、前記バッテリーには、前記電動移動体の移動に使用される電力を充電しておく走行用蓄電容量と、電力網に電力を授受するための共有用蓄電容量とがあり、特定の時間において前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている場合に、前記制御装置は、特定の時間よりも前に前記電動移動体のユーザの通信端末に、特定の時間に前記電動移動体を前記制御装置に接続するか否かを問う通知を行なうサーバに対して、前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている旨を示す接続信号を送信する、制御装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により移動可能な電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置であって、
前記バッテリーには、前記電動移動体の移動に使用される電力を充電しておく走行用蓄電容量と、電力網に電力を授受するための共有用蓄電容量とがあり、
特定の時間において前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている場合に、前記制御装置は、特定の時間よりも前に前記電動移動体のユーザの通信端末に、特定の時間に前記電動移動体を前記制御装置に接続するか否かを問う通知を行なうサーバに対して、前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている旨を示す接続信号を送信する、制御装置。
【請求項2】
前記通知に対して、前記通信端末から前記特定の時間に前記電動移動体を前記制御装置に接続すると回答し、かつ、前記特定の時間の間中に前記電動移動体が前記制御装置に接続されている場合に、前記制御装置は前記サーバに完了信号を出力する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以上である場合に、前記サーバに、前記バッテリーから電力網に放電可能である旨を示す放電可能信号を出力する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている場合に、前記バッテリーの残容量のデータを前記サーバに出力する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記サーバに対して、前記特定の時間よりも前に前記バッテリーの残容量のデータを送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記特定の時間に、前記バッテリーから前記電力網に対して放電させる、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記サーバと、
を有する制御システム。
【請求項8】
電力により移動可能な電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置が実行する制御方法であって、
前記バッテリーには、前記電動移動体の移動に使用される電力を充電しておく走行用蓄電容量と、電力網に電力を授受するための共有用蓄電容量とがあり、
前記制御装置は、特定の時間において前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている場合に、前記制御装置は、特定の時間よりも前に前記電動移動体のユーザの通信端末に、特定の時間に前記電動移動体を前記制御装置に接続するか否かを問う通知を行なうサーバに対して、前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている旨を示す接続信号を送信する、制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、制御システム、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車(EVともいう)に蓄電された電力を電力網に供給(売電)することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようにEVのバッテリーに蓄電された電力を電力網(電力系統)に供給できることは、EVのユーザだけでなく電力網を管理する事業者側にもメリットがある。EVのユーザは、余剰な電力を電力網に供給することで金銭的な恩恵を受けられる。事業者は、電力が不足しているときにユーザから電力の供給を受けることで、他の事業者から購買する電力量を抑制できる。
【0005】
ところで、EVから電力網への電力の供給は、EVと電力網とが電気的に接続されているときにのみに行われる。事業者側は確保可能な電力量を事前に把握しておきたい。しかしながら、EVのユーザが電力網に接続するタイミングはまちまちのため、確保可能な電力量の把握が難しかった。
【0006】
本開示は、ユーザに、EV等の電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置とEV等との接続を促すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、電力により移動可能な電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置であって、前記バッテリーには、前記電動移動体の移動に使用される電力を充電しておく走行用蓄電容量と、電力網に電力を授受するための共有用蓄電容量とがあり、特定の時間において前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている場合に、前記制御装置は、特定の時間よりも前に前記電動移動体のユーザの通信端末に、特定の時間に前記電動移動体を前記制御装置に接続するか否かを問う通知を行なうサーバに対して、前記電動移動体と前記制御装置とが充放電可能に接続されている旨を示す接続信号を送信する、制御装置である。
【0008】
本開示によれば、特定の時間よりも前において、ユーザに、EV等の電動移動体のバッテリーに対して充放電の制御を行なう制御装置と電動移動体との接続を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る電力供給システムの概略図である。
【
図2】
図2は、本実施形態におけるサーバ及び各データベースを示す図である。
【
図3】
図3は、料金スケジュールの一例を示した図である。
【
図4】
図4は、本実施形態において高価格時間前にサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態において高価格時間中にサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態において高価格時間中に制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態において高価格時間以後にサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態において高価格時間以後に制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、変形例1において高価格時間中にサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例1において高価格時間中に制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、変形例2において高価格時間以前にサーバが行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1は、本実施形態に係る電力供給システム1の概略図である。
図1に示すように、電力供給システム1は、電力網(電力系統)2を備えている。電力網2は、例えば本電力供給システム1を利用した事業を行う事業者によって運営されている。電力網2は、発電設備3等で発電された電気を、住宅4aや給電スタンド4b等に供給したり、あるいは後述する電気自動車(以下、EV5と呼称する)のユーザから、EV5の移動用バッテリー(以下、「バッテリー」と示す)に蓄電された電力を受け取ったりする。住宅4aおよび給電スタンド4bには、EV5のバッテリーに対して充放電を制御する制御装置6が設けられている。制御装置6には、EV5を電気的に接続するための電力ポートが設けられている。ユーザが制御装置6の電力ポート6aにEV5を接続すると、EV5は充電されたり、あるいはEV5から電力網2に放電して、上記事業者等によって報酬を受けたりできる。制御装置6には、後述するサーバ7と通信するための通信機6bが設けられている。なお、制御装置6の通信機6b及びサーバ7によって、制御システムが構築されている。
【0012】
EV5は、EV5のバッテリーに蓄電された電力を動力に変換して走行する。電力供給システム1において契約を交わしたユーザのEV5のバッテリーは、走行用蓄電容量と共有用蓄電容量とを備えている。走行用蓄電容量(移動用蓄積容量の一例)に蓄電された電力は、EV5の走行のために使用される。共有用蓄電容量に蓄電された電力は、通常はEV5の走行のためには使用されず、事業者がより多量の電力を確保したい時間帯(特定の時間の一例)に、ユーザがEV5と制御装置6を接続することで、制御装置6を介して電力網2に送られる。このとき、制御装置6からは、EV5の識別情報等を含んだ接続情報がサーバ7に送られる。なお、接続情報は、制御装置6に対してEV5が、放電又は充電が可能な状態に電気的に接続されている旨を示す。
【0013】
走行用蓄電容量と共有用蓄電容量とは、それぞれで別体のバッテリーを構成していてもよいし、1つのバッテリーにおいて割合で決められたものであってもよい。また、EV5の走行中に、走行用蓄電容量内の電力が不足しそうな場合は共有用バッテリー内の電力を使用してもよい。共有用蓄電容量は、車種や契約によって異なっていてもよく、また、車種等に依らず一様の共有用蓄電容量であってもよい。
【0014】
電力供給システム1は、サーバ7を備える。サーバ7は制御装置6と通信可能に接続されている。サーバ7は制御装置6に対して、EV5への充電及びEV5からの放電を指示する信号を出力できる。
【0015】
図2は、本実施形態におけるサーバ及び各データベースを示す図である。
図2に示すように、サーバ7は料金スケジュールデータベース11と接続されている。これにより、サーバ7は、卸電力市場における時間帯によって変化する将来の電気料金を取得することができる。
【0016】
サーバ7はEV識別データベース12と接続されている。サーバ7は、制御装置6から、制御装置6に接続されているEV5に関する識別情報を受信すると、EV5に関する識別情報をEV識別データベース12とを照合できる。なお、EVに関する識別情報は、EV5自体を識別するための情報、又はEV5のバッテリーを識別するための情報である。
【0017】
サーバ7は接続情報データベース14と接続されている。サーバ7は後述する高価格時間(特定の時間の一例)においてEV5と制御装置6とが接続されている場合に、接続情報を接続情報データベース14に記録する。
【0018】
図3は、料金スケジュールの一例を示した図である。なお、
図3における破線は、後述する高価格時間を決定するための閾値を示している。
図3に示すように、電力料金は時間帯によって変化している。電力料金が閾値を超えている時間帯(
図3の両矢印で示す時間帯)を高価格時間と呼ぶ。本実施形態では、高価格時間は特定の時間の一例である。
【0019】
なお、特定の時間は、高価格時間である必要はない。特定の時間は、例えば、需要が高まっている時間帯でもよく、あるいは事業者Aの都合によって定められた全く異なる時間であってもよい。
【0020】
一般に、例えば、ユーザの出勤前の朝やユーザの帰宅後の夕方等の、電気を消費する需要が高まる時間帯では、電力料金は高くなる傾向がある。逆に、例えば日中のユーザが出かけている時間帯や深夜のユーザが就寝している時間帯等の、電力の需要が低い時間帯では、電力料金は低くなる傾向がある。
【0021】
事業者は、最も高い電力の需要に応えられるだけの発電設備を用意することが考えられるが、朝や夕方の特定の時間の電力需要の高まりだけに応えるために発電設備を設けたり他の(電力)事業者から電力を購入したりすることは、合理的ではない。そこで、本実施形態では、電力需要が高まっている時間に、EV5に蓄電された電力が使用される。またこのとき、事業者はEV5からどれくらいの量の電力を受けることができそうか、事前に把握しておくことが望ましい。
【0022】
しかしながら、EVのユーザにとって、高価格時間は、活発に活動をする時間帯でもあるので、高価格時間に必ずしもEVを制御装置に接続するとは限らない。そこで、本実施形態では、高価格時間にわざわざユーザにEV5を制御装置6につないでおいてもらうために、ユーザに相応の動機を与える。
【0023】
本実施形態の電力供給システム1において、特定の時間においてEV5と制御装置6の電力ポート6aとが接続されている場合に、制御装置6の通信機6bはサーバ7に、接続信号を出力するように構成されている。この接続信号には、EV5に関する識別情報が含まれているため、、特定の時間において電気自動車(EV5)と電力網2とが電気的に接続していた、EV5のユーザを特定できる。また、事業者は、接続情報に基づいてユーザに、商品又はサービスの提供を受けるためのポイント等の報酬を与えることが可能となる。
【0024】
事業者にとっては、高価格時間においてユーザに、EV5を制御装置6の電力ポート6aに接続してもらう動機を与えることができるので、新たな発電設備3の投資や電力の購入に係る費用を抑制できる。また、事業者は、接続情報に基づいて、確保可能な電力を概算することができるので、電力網2によって供給できる電力量を予見しやすくなる。ユーザにとっては、報酬を得ることができる他、事業者の発電設備3の投資や電力の購入に係る費用が抑制されることで、電気料金の値上がりが抑制されることを期待できる。
【0025】
次に、電力供給システム1の具体的な運用について説明する。
【0026】
(1)高価格時間以前の流れ
図4は、本実施形態において高価格時間前にサーバ7側が行う処理を示すフローチャートである。サーバ7は料金スケジュールデータベース11から、料金スケジュールを受信する(ステップS1)。料金スケジュールを受信すると、サーバ7は、電力料金が閾値を超えている時間帯があるかどうかを判断して、閾値を超えている場合に、電力料金が閾値を超えている時間帯を電力の高価格時間であると特定する(ステップS2)。なお、ステップS1は、電力料金が閾値を超え始めるだろう時間よりも数時間前に実施することが好ましい。例えばステップS1は、深夜0時に実施される。
【0027】
次に、サーバ7は現在時刻が高価格時間開始まで所定時間以上かどうかを判断する(ステップS3)。所定時間は、事業者やユーザの都合により適宜設定されてよい。本実施形態においては所定時間が3時間である場合を例示する。現在時刻が高価格時間の開始よりも3時間以上前である場合(ステップS3においてNo)、サーバ7は現在時刻が高価格時間開始の3時間以内となるまでステップS3を繰り返す。
【0028】
現在時刻が高価格時間開始の3時間以内であると判断されると(ステップS3においてYes)、サーバ7はユーザの通信端末に対して、高価格時間の開始時刻および終了時刻を伝えるとともに、高価格時間中、EV5を制御装置6に放受電可能に接続することを要請する通知(要請通知)を送信する(ステップS4)。例えば、サーバ7は、ユーザの通信端末に、上記通知を送信する。通知を受信したユーザは、通信端末等から通知の要請に対して応じるか否かを回答できる。通信端末は、スマートフォン、スマートウオッチ、携帯電話等である。
【0029】
サーバ7が通知を行ってから所定時間(例えば30分~2時間30分)の経過後、サーバ7はユーザそれぞれについて、通知に対する回答を受信したか否かを判断する(ステップS5)。ユーザからの回答は、サーバ7と接続されている通知回答データベース13(
図2参照)に記録される。サーバ7がユーザからの回答を得られなかった場合(ステップS5においてNo)、サーバ7は、未回答であった旨を示す未回答情報を、通知回答データベース13に記録する(ステップS6)。
【0030】
ユーザからの回答が得られた場合(ステップS5においてYes)、サーバ7は、ユーザが高価格時間においてEV5を制御装置6の電力ポート6aに放充電可能に接続することに同意したか否かを判断する(ステップS7)。ユーザが通知に対して同意した場合(ステップS7においてYes)、サーバ7は同意情報を通知回答データベース13に記録する(ステップS8)。ユーザが通知に対して拒否した場合(ステップS7においてNo)、サーバ7は拒否情報を通知回答データベース13に記録する(ステップS9)。
【0031】
なお、放充電可能に接続することに同意することは、EV5からの放電に同意した扱いがなされる。また、放充電可能に接続することに同意しないことは、EV5からの放電に同意しない扱いがなされる。また、サーバ7は、接続することを要請する通知とは別に、放電することを要請する通知を送信することで、ユーザが放電に同意したか否か判断しても良い。
【0032】
通知回答データベース13に記録が終わると、サーバ7はEV識別データベース12と通知回答データベース13とから、高価格時間において各制御装置6の電力ポート6aに接続されているであろう全EV5の総共有用蓄電容量を算出する(ステップS10)。サーバ7が総共有用蓄電容量を算出する時間は、例えば高価格時間開始の30分前である。例えば、サーバ7は、同意情報を記録したEV5のみについて、共有用蓄電容量の総和を算出する。また、同意したユーザが回答通り高価格時間においてEV5を制御装置6の電力ポート6aに接続している割合、未回答情報を記録したユーザが高価格時間においてEV5を制御装置6に接続している割合がわかっている場合は、サーバ7は該割合を総共有用蓄電容量の算出に使用してもよい。
【0033】
このように、高価格時間よりも前の時間において、サーバ7が事前に通知を行うことで、EV5のユーザに対して特定の時間にEV5と電力網2とを充放電可能(放電又は充電が可能)に接続することを促しやすくなる。また、事業者にとっては、高価格時間にEV5から電力の供給を受けられる電力量をより予測しやすくなる。
【0034】
(2)高価格時間中の流れ
図5は高価格時間中における、サーバ7が行う処理を示すフローチャートである。
図6は、高価格時間中における、制御装置6の電力ポート6aが行う処理を示すフローチャートである。高価格時間中においては、サーバ7と制御装置6の通信機6bとは、適宜通信を行っている。
【0035】
高価格時間が開始すると、制御装置6の通信機6bは、放充電可能に接続されているEV5からEV5に関する識別情報を取得して、この識別情報を接続情報と共にサーバ7に送信する(ステップS21)。なお、制御装置6の通信機6bではなく、制御装置6の電力ポート6aが、放充電可能に接続されているEV5からEV5に関するの識別情報を取得してもよい。サーバ7は、制御装置6の通信機6bからEV5の識別情報を受信すると(ステップS11)、通知回答データベース13を参照して、通知に対して同意情報を送ったユーザのEV5であるかどうかを判断する(ステップS12)。サーバ7は、同意情報を送信済みのユーザのEV5であると判断すると、当該EV5が高価格時間中に制御装置6と接続されたことを、接続情報データベース14に記録する(ステップS13)。
【0036】
次に、サーバ7は、EV識別データベース12を参照して、当該EV5の共有用蓄電容量を特定する(ステップS14)。当該EV5の共有用蓄電容量が特定されると、サーバ7は当該EV5についての共有用蓄電容量に関する情報を制御装置6の通信機6bに送信する(ステップS15)。これにより、
図6に示すように、制御装置6の電力ポート6aは、当該EV5についての共有用蓄電容量に関する情報を受信すると(ステップS22)、EV5から当該EV5のバッテリー残容量のデータを取得し、バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上であるかを判断する(ステップS23)。
【0037】
バッテリー残容量が共有用蓄電容量以下であった場合(ステップS23においてNo)、制御装置6の通信機6bはサーバ7に対して放電不可信号を送信する(ステップS27)。サーバ7は、放電不可信号を受信すると(ステップS18)、当該EV5について非完了情報を接続情報データベース14に記録する(ステップS19)。
【0038】
バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上であった場合、(ステップS23においてYes)、制御装置6の通信機6bはサーバ7に対して放電可能信号を送信する(ステップS24)。サーバ7が放電可能信号を受信すると(ステップS16)、EV5から電力網2への放電が必要な場合、制御装置6の通信機6bに受電信号を送信する(ステップS17)。制御装置6の通信機6bが受電信号を受信すると(ステップS25)、制御装置6の電力ポート6aは、通信機6bからの受電信号に基づいて、EV5から受電(放電)し、電力網2に供給するように制御する(ステップS26)。
【0039】
このように、制御装置6の電力ポート6aは、電力を受電する前に、バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以上であるかどうかを判断し、バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以上である場合には、通信機6bが電力ポート6aの判断結果に基づいて、サーバ7に放電可能信号を送信する。なお、制御装置6の電力ポート6aではなく、通信機6bが、バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以上であるかどうかを判断してもよい。ユーザがEV5を制御装置6の電力ポート6aに接続している場合であっても、バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以下の場合、事業者が事前に予測していたEV5から供給を受けられる電力量と実際に供給を受けられる電力量とが異なるので、望ましくない。サーバ7は、バッテリーの残容量が共有用蓄電容量以上であることを促すことで、事業者はEV5から供給を受けられる電力量を予測しやすくなる。
【0040】
また、本実施形態のように、高価格時間(特定の時間の一例)において、EV5から電力網2に対して放電させるので、例えば電力の需要が高まっている時間帯などの事業者にとっての都合の良い時間にEV5から電力供給を受けやすくなる。例えば、高価格時間にEV5から電力供給を受ける場合、事業者側にとっては、設備投資や他社からの電力の買電に係る費用を抑制でき、ユーザにとっては、事業者の費用増大に伴う電気料金の値上げを抑制するとともに、電力を売電できる。
【0041】
(3)高価格時間終了後の流れ
図7は高価格時間終了後における、サーバ7が行うフローチャートである。
図8は、高価格時間終了後における、制御装置6が行うフローチャートである。高価格時間終了後においても、サーバ7と制御装置6の通信機6bとは通信を行っている。
【0042】
高価格時間が終了すると、制御装置6の電力ポート6aは、EV5が高価格時間中、常に制御装置6に接続されていたかを判断する(ステップS41)。EV5が高価格時間中、常に制御装置6の電力ポート6aに接続されていた場合(ステップS41においてYes)、制御装置6の通信機6bはサーバ7に完了信号を送信する(ステップS42)。EV5が高価格時間中において制御装置6の電力ポート6aに接続されていない時間があった場合(ステップS41においてNo)、制御装置6の通信機6bはサーバ7に非完了信号を送信する(ステップS43)。
【0043】
サーバ7は完了信号または非完了信号を受信すると(ステップS31)、接続情報データベース14にそれぞれ完了情報または非完了情報を記録する(ステップS32)。さらに、高価格時間中にEV5の制御装置6の電力ポート6aへの接続を要請する通知(
図4のステップS4参照)に対してユーザが同意していたものの、完了信号を受信しなかったEV5についても、接続情報データベース14に非完了情報を記録する(ステップS33)。
【0044】
このように、通知に同意し、実際に高価格時間中においてEV5を制御装置6の電力ポート6aに接続していたEV5について、制御装置6の通信機6bはサーバ7に完了信号を送信する。サーバ7は高価格時間においてEV5を制御装置6の電力ポート6aに接続していたユーザを特定できるようになるので、完了信号を活用して、例えばユーザに特典を付ける等、ユーザに還元することが可能となる。これにより、ユーザに対して高価格時間にEV5を電力網2に接続することをより促すことができる。
【0045】
(変形例1)高価格時間中の流れの変形例
図9は、変形例1において高価格時間中にサーバ7が行う処理を示すフローチャートである。
図10は、変形例1において高価格時間中に制御装置6が行う処理を示すフローチャートである。変形例1では、本実施形態と比較して、バッテリー残容量と共有用蓄電容量との比較をサーバ7が行う点が異なっている。
【0046】
高価格時間が開始すると、制御装置6の通信機6bは、制御装置6の通信機6bに接続されているEV5の識別情報だけでなく、バッテリー残容量のデータも取得して、通信機6bがサーバ7に送信する(ステップS61)。サーバ7は、EV5の識別情報とバッテリー残容量のデータとを受信すると(ステップS51)、通知回答データベース13を参照して、要請の通知(
図4のステップS4参照)に対して同意済みのEV5であるかを判断する(ステップS52)。サーバ7は、EV5が通知に対して同意済みのEV5であると判断すると、接続情報データベース14に高価格時間中に当該EV5が接続されたことを記録する(ステップS53)。
【0047】
次に、サーバ7はEV識別データベース12を参照して、当該EV5の共有用蓄電容量を特定する(ステップS54)。続いて、サーバ7は、制御装置6の通信機6bから受信したバッテリー残容量と特定した共有用蓄電容量とを比較して、バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上であるかを判断する(ステップS55)。なお、制御装置6の通信機6bではなく、制御装置6の電力ポート6aが、バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上であるかを判断してもよい。
【0048】
バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上でない場合(ステップS55においてNo)、サーバ7は、接続情報データベース14に当該EV5について非完了情報を記録する(ステップS57)。
【0049】
バッテリー残容量が共有用蓄電容量以上であった場合(ステップS55においてYes)、EV5から電力網2への放電が必要なときには、サーバ7は制御装置6の通信機6bに受電信号を送信する(ステップS56)。制御装置6の通信機6bは、サーバ7から受電信号を受信すると(ステップS62)、電力ポート6aはEV5から電力を受け取って(放電して)、電力網2に供給する(ステップS63)。
【0050】
このように、制御装置6の通信機6bがバッテリー残容量のデータをサーバ7に送信した場合、事業者は供給が受けられる電力量をサーバ7側で把握できる。また、この場合であっても本実施形態と同様に、電力供給システム1はバッテリー残容量と共有用蓄電容量とを比較できる。
【0051】
(変形例2)高価格時間以前の流れの変形例
本実施形態と比較例1とでは、バッテリー残容量を高価格時間が開始してから取得していたが、高価格時間が開始する前に取得できるように電力供給システム1を構成してもよい。
図11は変形例2において高価格時間以前にサーバ7が行うフローチャートである。
【0052】
図11におけるステップS71~S73は、
図4におけるステップS1~S3に相当するため、説明を省略する。
【0053】
図11において、現在時刻が3時間以内であることが確認されると(ステップS73においてYes)、サーバ7は、各制御装置6の各通信機6bを介して各EV5と通信し、EV5の現在のバッテリー残容量のデータを受信する(ステップS74)。サーバ7は受信したバッテリー残容量を、通知回答データベース13に記録する(ステップS75)。
【0054】
次に、サーバ7は、ユーザの通信端末に、高価格時間の開始時刻および終了時刻を伝えるとともに、高価格時間中、EV5を制御装置6の電力ポート6aに接続することを要請する通知を行う(ステップS76)。
【0055】
このとき、通知する対象を選定するために、サーバ7はEV5のバッテリー残容量を用いてもよい。例えば、サーバ7が、制御装置6の通信機6bを介して、EV5のバッテリー残容量を取得した時点で、バッテリー残容量が共有用蓄電容量を下回っていたEV5のユーザの通信端末には、高価格時間開始までにバッテリー残容量が共有用蓄電容量を下回っていると予測して、サーバ7は高価格時間を通知しなくてもよい。
【0056】
あるいは、サーバ7がEV5のバッテリー残容量を取得した時点で、バッテリー残容量が共有用蓄電容量を下回っていたとしても、EV5からユーザの自宅等にある制御装置6までの距離が十分近く(例えば、3m以内)、高価格時間までにEV5に充電することが見込まれる場合は、高価格時間の開始までに、サーバ7は、バッテリー残容量が共有用蓄電容量を上回っていると予測して、ユーザの通信端末に高価格時間を通知してもよい。さらに、バッテリー残容量が共有用蓄電容量を上回っていたとしても、EV5からユーザの自宅等にある制御装置6までの距離が離れていて、制御装置6に戻るまでにバッテリー残容量が共有用蓄電容量を下回ると予測できる場合には、サーバ7はユーザの通信端末に高価格時間を通知しなくてもよい。サーバ7は、これらの予測を行うために、制御装置6の通信機6bから、バッテリー残容量の情報とともにEV5の現在地の情報を取得し、あらかじめ記録されたユーザの制御装置6の位置情報と照らし合わせるように構成してもよい。
【0057】
サーバ7は、ユーザの通信端末に、EV5を制御装置6の電力ポート6aに接続することを要請する通知を行った後、ユーザそれぞれについて回答を受信したか否かを判断する(ステップS77)。ユーザからの回答はサーバ7と接続されている通知回答データベース13に記録される。ユーザからの回答を得られなかった場合(ステップS77においてNo)、サーバ7は、未回答であったことを示す未回答情報を、通知回答データベース13に記録する(ステップS78)。
【0058】
ユーザからの回答が得られた場合(ステップS77においてYes)、サーバ7は、ユーザが高価格時間においてEV5を制御装置6の電力ポート6aに接続することに同意したか否かを判断する(ステップS79)。ユーザが通知に対して同意した場合(ステップS79においてYes)、サーバ7は同意情報を通知回答データベース13に記録する(ステップS80)。ユーザが通知に対して拒否した場合(ステップS79においてNo)、サーバ7は拒否情報を通知回答データベース13に記録する(ステップS81)。
【0059】
次に、サーバ7は、通知回答データベース13に記録する同意情報等を基に、通知に対して同意済みの全EV5から放電可能な電力の総計である総共有用蓄電容量を算出する(ステップS82)。サーバ7が総共有用蓄電容量の算出を開始する時間は、例えば高価格時間開始の30分前である。
【0060】
変形例2のように、サーバ7が事前にバッテリー残容量を得ることによって、総蓄電容量を概算することができる。EV5から得られる電力量を予測できるので、事業者は、高価格時間において電力供給システム1を運用しやすくなる。
【0061】
(ハードウェア構成例)
サーバ7は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、サーバ7で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非一時的な)記録媒体に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0062】
図9は、サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図9のサーバとしてのコンピュータは、それぞれバスBSで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。
【0063】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0064】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、当該装置に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワーク等に接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。
【0065】
なお、制御装置6の電力ポート6a及び通信機6bは、サーバ7と同様のハードウェア構成を有しているため、説明を省略する。
【0066】
以上、本実施形態は一例であって、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を開示できるものであれば任意であり、限定されない。
【0067】
例えば、
図2に示す4つのデータベース(11~14)は、サーバ7内に構築されてもよいし、サーバ7の外部の他のサーバ内に構築されてもよい。また、4つのデータベース(11~14)のそれぞれが、サーバ7の外部の異なる他のサーバ内に構築されてもよい。更に、4つのデータベース(11~14)の少なくとも2つが、サーバ7の外部の他の共通のサーバに構築されていてもよい。
【0068】
また、EV5は、バッテリーを搭載し、電力により走行可能な電動車両の一例である。この電動車両には、ハイブリットカー、電動バイク、電動キックボード等も含まれる。また、電動車両は、バッテリーを搭載し、電力により移動可能な電動移動体の一例である。この電動移動体には、ドローン等の電動飛行体も含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 電力供給システム
2 電力網
3 発電設備
4a 住宅
4b 給電スタンド
5 EV(電動移動体の一例)
6 制御装置
6a 電力ポート
6b 通信機(制御システムの一部)
7 サーバ(制御システムの一部)
11 料金スケジュールデータベース
12 EV識別データベース
13 通知回答データベース
14 接続情報データベース