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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045090
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】身体装着式荷物運搬具
(51)【国際特許分類】
   B65G 7/12 20060101AFI20240326BHJP
   A45C 13/38 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B65G7/12 A
A45C13/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023156546
(22)【出願日】2023-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2022150717
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521244835
【氏名又は名称】株式会社ペーパーストロー
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】藤堂 惠美子
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045CB05
3B045CE07
3B045FA01
3B045GA02
3B045GA04
3B045GB02
3B045GD03
(57)【要約】
【課題】小型ダンボール箱のような小物の群を楽に持ち運びできる運搬具を提供する。
【解決手段】運搬具は、基部1と荷台2とショルダーベルト3と腰ベルト4とを備えている。荷台2は、ストッパー部6によって水平状の姿勢が保持されていると共に、起立姿勢まで跳ね上げできるように基部1に支軸10によって連結されている。ショルダーベルト3は襷掛け方式であって、基部1の左右両端部に接続されている。荷物Wは前抱え式で運搬されるため、複数個を積み重ねたり左右に並べたりしても楽に運搬できる。ショルダーベルト3は襷掛け方式であるため、身体への負担が少ないと共に、不使用時には基部1及び荷台2を身体の後ろ側に回すことができて歩行の邪魔になることを防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立した人の主として腹部に前から重なり得る基部と、前記基部から前向きに突出した荷台と、前記基部に連結されて荷重を支持する襷掛け方式のショルダーベルトと、を備えており、
前記荷台は、前記基部の左右幅と同じ程度かそれよりも大きい左右幅に設定されている、
身体装着式荷物運搬具。
【請求項2】
起立した人の主として腹部に前から重なり得る基部と、前記基部から前向きに突出した荷台と、前記基部の左右2箇所の部位に連結されて荷重を支持するショルダーベルトと、を備えており、
前記荷台は、前記基部の左右幅と同じ程度かそれよりも大きい左右幅であって、水平状姿勢から起立状姿勢に跳ね上げできるように前記基部に連結されている、
身体装着式荷物運搬具。
【請求項3】
更に、前記荷台の下方に、下端は前記基部に連結されて上端は前記荷台に連結されたリンクが配置されており、前記リンクは、前記荷台が水平状姿勢のときには下端から先端に向けて高くなるように傾斜して、前記荷台が起立状姿勢のときには当該リンクも起立状姿勢になるように姿勢が変化する、
請求項2に記載した身体装着式荷物運搬具。
【請求項4】
前記荷台は、板状又は網状の単層構造になっているか、又は、上下に開口したフレーム体に上板が張られた複数構造になっている、
請求項1又は2に記載した身体装着式荷物運搬具。
【請求項5】
前記基部は、直接に又はパッド材を介して使用者の腹部に前から重なるようになっており、使用者の腹部に重なる後面は、人の腹部の曲面に倣うように平面視で後ろ向きに凹むように湾曲している、
請求項1又は2に記載した身体装着式荷物運搬具。
【請求項6】
前記基部に、人の腰部を抱持する腰ベルトが連結されている、
請求項1又は2に記載した身体装着式荷物運搬具。
【請求項7】
前記荷台は、前記基部に連結された本体部と、前記本体部にスライド可能又は回動可能に連結された可動部とを有しており、前記可動部の回動又はスライドによって荷物載置面積を変更可能になっている、
請求項1又は2に記載した身体装着式荷物運搬具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、人の身体に装着して使用する荷物運搬具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダンボール箱等の荷物を人手で運ぶことは、広く行われている。台車を使用しない場合は人が手で持ち運ぶことになるが、複数個の荷物を運ぶ場合は積み重ねて両手で抱えることになるため、両手が塞がって持ち運びが厄介である。
【0003】
そこで、運搬を容易にするための身体装着式運搬具が提案されている。その例として特許文献1には、人の腰ベルトに吊り懸けするL形の補助金具が開示されている。この補助金具は、人の腰部に重なる吊り金具と荷物が載る補助板とでL形に形成されており、吊り金具に、人の首に掛けるベルトが付設されている。
【0004】
また、補助板は、起立姿勢に跳ね上げできるようにヒンジを介して吊り金具に連結されている。特許文献1の運搬具は更に、平面視で内側に曲がった一対の緩衝板を備えており、人の腰の側部に運搬具を配置した状態の図面(第3図)から推測すると、一対の緩衝板は、運搬具を人の腰の側部に当てた状態に保持するものと思われる。従って、特許文献1の運搬具は、「荷物を小脇に抱える」ことを補助するものと思われる。
【0005】
他方、特許文献2に記載されている運搬具は、四角形のプレート状に形成された本体の上端に肩掛け帯を連結して、本体の下端には荷物が載る爪を設けている。特許文献2には運搬具の使用方法を明記していないが、重い物品の運搬に使用するという目的に照らすと、床や地面に置いた荷物の底に爪を差し込んで持ち上げるものと推測される。従って、肩掛け帯は、肩掛けの文言が付いているものの、首に掛けるものと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平3-78420号公のマイクロフィルム
【特許文献2】特開2014-73347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には運搬具の使用方法が明確に記載されていないが、荷物の荷重が人の腰ベルトで受けられると、腰ベルトの損傷が激しいのみならず、腰の一部に負荷が集中するため、身体の負担軽減効果が必ずしも十分でないという問題がある。
【0008】
また、特許文献1において荷物の荷重を首に掛けたベルトで受けることも可能と思われるが、特許文献1の運搬具は小脇抱え方式であるため、首に掛けたベルトで荷物の荷重を受けると、身体には横に倒すような力が作用して負担が大きくなると思われる。また、人の腰の側部の狭い部位に負荷が集中することは避けられないため、この面でも身体の負担軽減効果が不十分であると解される。
【0009】
更に、特許文献1は、ベルトは吊り金具の1カ所のみに連結されているため、吊り金具の姿勢安定性が悪い、小脇抱え方式であって吊り金具と身体との接触部の前後幅をあまり大きくできない、小脇抱え方式であるため人の歩行に際して荷物が前又は後ろに落ちやすい、といった問題があって改善の余地が大きい。小脇抱え方式であると、補助板(荷台)の前後幅をあまり大きくできないため、使用できる荷物の大きさに限度がある点も問題であった。
【0010】
他方、特許文献2は重い荷物の運搬を目的にしており、左右の爪を必須の構成にしているため、例えば小型のダンボール箱を積み重ねて運搬するといった用途には使用できず、従って、汎用性が劣るといえる。
【0011】
本願発明はこのような現状を背景に成されたものであり、人の負担を軽減しつつ複数の荷物を重ねて楽に運搬できる運搬具(或いは運搬補助具、荷物載置具)を開示せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は様々な構成を含んでおり、その典型例を各請求項で例示している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、
「起立した人の主として腹部に前から重なり得る基部と、前記基部から前向きに突出した荷台と、前記基部に連結されて荷重を支持する襷掛け方式のショルダーベルトと、を備えており、
前記荷台は、前記基部の左右幅と同じ程度かそれよりも大きい左右幅に設定されている」
という構成になっている。なお、左右の方向は使用者から見た方向としている。前後の方向も同様である。
【0013】
請求項2の発明も上位概念を成すもので、
「起立した人の主として腹部に前から重なり得る基部と、前記基部から前向きに突出した荷台と、前記基部の左右2箇所の部位に連結されて荷重を支持するショルダーベルトと、を備えており、
前記荷台は、前記基部の左右幅と同じ程度かそれよりも大きい左右幅であって、水平状姿勢から起立状姿勢に跳ね上げできるように前記基部に連結されている」
という構成になっている。
【0014】
本願両発明において、荷台は荷物を安定的に載せることができればその要件を満たしている。従って、板状や網状、櫛葉状、籠状などの態様が含まれる。可撓性の布や網で袋状に作られたものも含んでいる。また、本願発明において、ショルダーベルトの「ベルト」には紐も含まれている。請求項6の腰ベルトも同様である。
【0015】
請求項3の発明は請求項2の展開例であり、
「更に、前記荷台の下方に、下端は前記基部に連結されて上端は前記荷台に連結されたリンクが配置されており、前記リンクは、前記荷台が水平状姿勢のときには下端から先端に向けて高くなるように傾斜して、前記荷台が起立状姿勢のときには当該リンクも起立状姿勢になるように姿勢が変化する」
という構成になっている。
【0016】
リンクを荷台及び基部に対して軸で連結可能であり、従って、リンクと荷台と基部とに連結穴が空いているが、リンクの姿勢変化を許容する手段としては、荷台の連結穴又はリンクの連結穴若しくは基部の連結穴を長穴に設定したらよい。リンクを摺動自在に嵌まりあった2つの部材で構成することも可能である。
【0017】
請求項4の発明は請求項1又は2の展開例であり、
「前記荷台は、板状又は網状の単層構造になっているか、又は、上下に開口したフレーム体に上板が張られた複数構造になっている」
という構成になっている。
【0018】
請求項5の発明は請求項1又は2の展開例であり、
「前記基部は、直接に又はパッド材を介して使用者の腹部に前から重なるようになっており、使用者の腹部に重なる後面は、人の腹部の曲面に倣うように平面視で後ろ向きに凹むように湾曲している」
という構成になっている。
【0019】
請求項6の発明も請求項1又は2の展開例であり、
「前記基部に、人の腰部を抱持する腰ベルトが連結されている」
という構成になっている。
【0020】
請求項7の発明も請求項1又は2の展開例であり、
「前記荷台は、前記基部に連結された本体部と、前記本体部にスライド可能又は回動可能に連結された可動部とを有しており、前記可動部の回動又はスライドによって荷物載置面積を変更可能になっている」
という構成になっている。
【0021】
本願発明において、基部や荷台の素材としては、鉄やアルミ等の金属線材、鋼板やステンレス板等の金属板、合成樹脂、木材などを使用できる。複数種の材料を複合させた構造も採用可能である。
【発明の効果】
【0022】
荷物をフラットな荷台に載せた状態で人が歩行すると荷物は前後方向に揺れる傾向を呈するが、本願発明の運搬具は基部が主として人の腹部に重なる前抱え方式であるため、人は荷物を胴体で後ろから支えた状態で歩行することができる。
【0023】
従って、大きな荷物であったり複数の荷物を積み重ねた状態であったりしても、例えば、荷物を両手で左右から押さえたり抱え込んだりすることにより、安定的に運搬できる。左右の二の腕で荷物を挟んだ状態で、左右の手首をフリーの状態にして歩行することも可能であり、従って、伝票などを持ちつつ複数の荷物を積み重ねた状態で安定よく運ぶこともできる。
【0024】
また、人の胴体は前後幅に比べて左右幅が大きいのが普通であるため、特許文献1のような小脇抱え方式に比べて荷台の左右幅を大きくすることが可能であり、このため、大きな荷物も安定的に運搬できる。
【0025】
また、特許文献1の小脇抱え方式では、荷物は片手でしか押さえることができないため、荷物を前後に並べて運ぶことはできないが、本願発明の運搬具は前抱え方式であることから、複数の荷物を左右に並べた状態でも左右両側から手で押さえたり抱えたりすることによって安定的に保持できるため、非常に便利である。
【0026】
更に、特許文献1,2のようにベルトが首掛け方式であると、荷物の荷重が首を曲げるように作用するため人に負担が掛かる問題があるが、本願請求項1のショルダーベルトは襷掛け方式であるため、荷物(及び運搬具自体)の荷重を体全体でしっかりと支えることができる。従って、身体の特定箇所に負荷が集中することを防止して、人の身体的負担を著しく軽減できる。
【0027】
更に、本願請求項1のショルダーベルトは襷掛け方式であるため、不使用時には基部及び荷台を胴体の後ろに回しておくことにより、運搬具が存在しないのと同様の状態で歩行したり他の作業を行ったりすることができる。すなわち、運搬具を身体に装着した状態のままで、使用状態と不使用状態とに切り替えできる。従って、使い勝手がよい。この点も本願発明の特筆すべき利点である。
【0028】
請求項2の発明では、基部は左右2カ所にベルトが連結されているため、荷台の支持安定性に優れている。従って、積み重ねた状態の荷物でも安定的に支持できる。また、荷物の安定性が高いことによって両手の自由性が高くなるため、例えば、伝票を持ちながら荷物を運ぶといったことも容易に行える。従って、実用性に優れている。また、荷台は跳ね上げ方式であるため、不使用時には上向きに跳ね上げ回動させておくことにより、荷台に邪魔されることなく歩行や他の作業を行える。
【0029】
請求項2のように荷台を跳ね上げ方式に構成すると、不使用時に荷台が邪魔にならない。従って、使い勝手を更に向上できる。特に、荷台を起立姿勢に跳ね上げて身体の後ろに回しておくと、荷台が無いのと同様の状態で歩行や他の作業を行えるため、ユーザーフレンドリー性が更に高くなる。
【0030】
また、請求項2のようにショルダーベルトを基部の左右端部に連結すると、基部及び荷台の安定性が高くなるため、荷物の安定性を向上できる利点がある。複数の小物を左右に並べたり積み重ねたりして運搬する場合、特に好適である。
【0031】
荷台を跳ね上げ方式に構成するにおいて、請求項3のようにリンクを採用すると、全体としてコンパクトに折り畳みできるが、リンクは荷台に対してつっかい棒(補強部材)の役割を果たすため、高い支持強度を確保できる。従って、高い支持強度を確保しつつコンパクトに折り畳みできる。運搬や保管に便宜である。
【0032】
請求項4において、荷台を単層構造に構成すると、それだけ部材点数を抑制できる。他方、請求項4のうち荷台が複層になっている構造に構成すると、フレーム体を強度上等の要請に基づいて自由に設計しつつ、荷物を安定的に載置できる。美感に優れている利点も有する。フレーム体と上板とが補強しあって堅牢性を向上できる利点もある。
【0033】
請求項5の構成を採用すると、基部を人の腹部にフィットさせて基部及び荷台の安定性を向上できるのみならず、腹部が圧迫される現象を防止して人の負担を著しく低減できる。特に、基部の後面にパッド材を取り付けておくと、身体の当たりが柔らかくなる利点や、衣服が擦られて劣化することを防止できる利点がある。
【0034】
請求項6のように腰ベルトを設けると、基部及び荷台が左右方向に倒れることを防止できるため、荷台を水平状の姿勢に保持して荷物の安定性を格段に向上できる。また、腰ベルトは人の胴体を巻いているだけであるため、基部及び荷台を胴体の後ろに回し移動させる障害にはならない。
【0035】
荷物の大きさや一度に運びたい数はまちまちであり、運搬具に求める要望がユーザーによって相違することは有り得るが、請求項7のように荷台の載置面積を可変できる構成を採用すると、荷物の大きさや数量等に対応して荷台の広さを変更できるため、荷台が広すぎたり狭過ぎたりする現象を無くして、ユーザーの要望に適切に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は模式的な斜視図、(B)は要部の一部分離斜視図である。
図2】(A)は第1実施形態の斜視図、(B)~(D)はベルトの配置の別例を示す図である。
図3】(A)はフックを省略した状態での第1実施形態の平面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)はフックで荷台を起立姿勢にした状態での平断面図、(D)(E)は荷台の変形例を示す平面図である。
図4】第2実施形態を示す図で、(A)は荷台を倒した状態の斜視図、(B)は荷台を起こした状態を下方から見た斜視図である。
図5】(A)は第3実施形態の平面図、(B)は(A)のB-B視断面図、(C)は(A)のC-C視断面図、(D)は第4実施形態の平面図、(E)は(D)のE-E視断面図である。
図6】(A)は第5実施形態の分離斜視図、(B)は第6実施形態の部分斜視図である。
図7】(A)は第7実施形態の斜視図、(B)は第8実施形態の斜視図である。
図8】(A)は第9実施形態の概略斜視図、(B)は第10実施形態の部分断面図、(C)は第11実施形態の概略斜視図である。
図9】第11実施形態を示す図で、(A)は荷台を倒した状態での縦断側面図、(B)は荷台を起こした状態での縦断側面図、(C)は(B)のC-C視断面図である。
図10】第12実施形態の分離斜視図である。
図11】第12実施形態の荷台を倒した状態での縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(1).第1,2実施形態の基本構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1~3に示す第1実施形態及び図4に示す第2実施形態を説明する。図1(B)から明瞭に理解できるように、運搬具は、人の腹部に前から重なる基部1と、基部1の上下中途高さ部位から前向きに突出した荷台2と、基部1の上端に連結したショルダーベルト3と、基部1の左右側端に連結した腰ベルト4とを備えている。
【0038】
基部1及び荷台2は、平均的な体格の一般成人の腹部の左右幅よりもやや小さい横幅になっている。従って、運搬具は、正面視で人の腹部に納まっている。基部1は、鋼又はアルミよりなる金属棒材(金属線材)を材料にして製造されており、左右長手のアッパメンバー5aの左右両端から上部サイドメンバー5bが垂下した下向き開口コ字形の上サポート部5と、上部サイドメンバー5bと一体に連続した水平状のストッパー部6と、上サポート部5の左右両端に溶接された下サポート部7とを有している。
【0039】
ストッパー部6は、前後長手の左右のサイド部6aと、左右サイド部6aの前端に一体に連続した左右長手のフロントメンバー6bとを有して平面視コ字形になっており、上サポート部5とストッパー部6とで側面視略L形の形態を成している。下サポート部7は、左右の下部サイドメンバー7aとその下端に連続した左右長手のロアメンバー7bとを有しており、上向き開口コ字形になっている。
【0040】
実施形態では、ストッパー部6を上サポート部5に曲げ形成したが、上サポート部5と下サポート部7とを1本の線材で一体に形成して、ストッパー部6をこれに溶接で固定してもよい。更に、下サポート部7を備えない態様や、逆に上サポート部5を備えない態様も採用可能である。上サポート部5のアッパメンバー5aと下サポート部7のロアメンバー7bとは、人の腹部の曲面に倣うように、平面視で後ろ向きに凹むように緩く湾曲している(弓なりに反っている。)。
【0041】
荷台2は、金属棒材よりなるフレーム体8に樹脂製のプレート(上板)9を装着した複層構造になっている。フレーム体8は、左右のサイド部8aとその両端を繋ぐフロント部8bとでコ字形に形成されており、サイド部8aの後端に軸受け部8cを曲げ形成して、軸受け部8cに挿通した左右長手の支軸10が、上サポート部5とストッパー部6との連接角部(内角部)に溶接されている。
【0042】
従って、荷台2は、支軸10を支点にして起立姿勢に跳ね上げることができる。また、荷台2は、フレーム体8の左右のサイド部8aがストッパー部6のフロントメンバー6bに載ることにより、水平状の姿勢が保持されている。
【0043】
図3(B)に示すように、荷台2を構成するプレート9は、フレーム体8を構成するサイド部8a及びフロント部8bに内側から嵌合している。プレート9は、フレーム体8に接着剤で固定してもよいし、ビスで固定してもよい。或いは、接着剤やビス類を使用せずに強制嵌合によって固定することも可能である。プレート9は、鋼板やアルミ板のような金属板、或いは木材で作ることも可能である。
【0044】
基部1の後面に、人の腹部への当たりを緩和するための手段として、樹脂等の背面板を配置したりクッション材(パッド材)を配置したりすることも可能である。基部1の後面に、クッション材付きの背面板を取り付けることも可能である。
【0045】
また、基部1の左右側部(例えば下サポート部7の左右側部)が人の左右腰骨で支持されるように設定するのも好ましい。この場合、下サポート部7のような基部1の下部の後面に左右一対のパッドを設けて、左右のパッドが人の腰骨で支持されるように設定しておくと、人の腹部に対する圧迫感を防止できて好適である。基部1を、左右の腰骨と胸との三点支持の状態で支持されるように設定すると、腹部の圧迫を解消できる。
【0046】
(2).ベルト連結構造
基部1を構成するアッパメンバー5aの左右側部に、ショルダーベルト3を接続するための左右横長のアッパホルダー11が溶接されている。アッパホルダー11はアッパメンバー4aの下面に溶接しているが、アッパメンバー4aの上面に溶接してもよい。
【0047】
更に、基部1を構成する左右の上部サイドメンバー5bに、腰ベルト4を連結するための上下長手のサイドホルダー12が溶接されている。サイドホルダー12はサイドメンバー5bの外面に溶接しているが、サイドメンバー5bの内面に溶接してもよい。サイドホルダー12は、平面視で上部サイドメンバー5bの斜め後ろ方向に向いている。
【0048】
ショルダーベルト3の一端(右端)はループ状に形成されており、右のアッパホルダー11に連結されている(正確には、上サポート部5のアッパメンバー5aにも連結されている。)。また、ショルダーベルト3の他端(左端)には調節具13が連結されており、ショルダーベルト3の中途部が左のアッパホルダー11に通し掛けされている。ショルダーベルト3は、人Mの肩に襷掛けされる。
【0049】
図2に明示するように、腰ベルト4の一端部には調節具13を介して雌型コネクタ14が連結されている。他方、腰ベルト4の他端寄り部位は、雄型コネクタ15を備えた調節具16に通し掛けされている。雄型コネクタ15は、その弾性に抗して変形させることによって雌型コネクタ14に係脱できる。また、腰ベルト4は、基部1の後ろを通って左右のサイドホルダー12に挿通されている。
【0050】
図示の例では、腰ベルト4は左右のサイドホルダー12を通っているだけであるが、コネクタで連結される一対のベルトを左右のサイドホルダー12に連結することも可能である(この場合は、腰ベルト4は左右のサイドホルダー12の間には通らない。)。
【0051】
更に、他の例として、腰ベルト4を車両用シートベルトのように一端にコネクタが接続された形態と成して、腰ベルト4の他端は基部1の左側部又は右側部のうち一方に接続して、基部1の左側部又は右側部のうち他方に、コネクタが係脱する受け部を設けることも可能である(この場合も、腰ベルト4には長さ調節具を設けている。)。
【0052】
(3).荷台の起立姿勢保持構造
図1(B)及び図3(C)に示すように、上サポート部5における右の上部サイドメンバー5bの上端部に、荷台2を起立姿勢に保持するフック17が水平回動自在に装着されている。フック17は合成樹脂製であり、上部サイドメンバー5bの外径よりも間隔が小さいくびれ部を有する係合溝穴17aを設けることにより、上部サイドメンバー5bに対して強制的に嵌め込んでいる。
【0053】
荷台2を起立姿勢にしてフック17を内側に水平回動させると、フック17が右の上部サイドメンバー5bに係合して、荷台2は起立姿勢に保持される。上部サイドメンバー5bへのフック17の係合を許容するため、プレート9と基部1との間に間隔を空けて、サイドメンバー5bのうち回動軸心側のある程度の範囲を露出させている。
【0054】
上部サイドメンバー5bにフック17を係合させるための措置としては、図3(D)に変形例として示すように、プレート9でフレーム体8を全体的に覆いつつ、フック17に対応した部位に切欠き部18を形成することにより、上部サイドメンバー5bを部分的に露出させることが可能である。
【0055】
図3(E)に示す変形例では、荷台2の起立姿勢保持手段としてマグネット19を使用している。すなわち、プレート9をフレーム体8の左右外側に張り出して、プレート9のうち起立姿勢で上部サイドメンバー5bの上部に重なる部位にマグネット19を埋設する一方、上サポート部5は鋼等の磁性体製として、マグネット19を上部サイドメンバー5bに磁着させることによって荷台2の起立姿勢を保持している。
【0056】
マグネット19は、荷物が当たらないように、プレート9の上面からはみ出ない状態に埋設している。上部サイドメンバー5bがアルミのような非磁性体である場合は、上部サイドメンバー5bにもマグネット又は磁性体片を設けたらよい。姿勢保持手段としてフック17を使用する場合、左右の上部サイドメンバー5bに取り付けることも可能である。
【0057】
図4の第2実施形態は第1実施形態と殆ど同じであり、相違点は、ストッパー部6の左右両端に下向きの足部6cを設けて、これを下サポート部7のサイドメンバー7aに溶接している点である。この例では、ストッパー部6の支持強度は高くなっている。
【0058】
(4).第1,2実施形態の纏め
本実施形態の運搬具は以上の構成であり、荷台2に荷物Wを載せて運ぶことができる。しかして、本実施形態の運搬具は荷物Wが腹部の前に配置される前抱え方式であり、身体によって荷物を後ろ倒れしないように保持することができるため、大な荷物Wであっても、積み重ねた荷物Wであっても安定した状態で運搬できる(荷台2を僅かに後傾させておくと、荷物Wが前に落ちることを防止できて好適である。)。
【0059】
また、運搬具は前抱え方式であるため、荷台2小さい荷物Wを左右に並べた状態でも、左右の腕で抱き込むことによって安定した状態で運搬できる。また、荷台2を両手で抱き込むにおいて、荷物Wは単に手で押さえておればよいため、例えば伝票類を持った状態でも荷物Wを安定した状態に保持して運搬できる。
【0060】
ショルダーベルト3は襷掛け方式であるため、荷物の荷重は人の軸心方向に作用する。このため、身体の特定部位に負荷が集中することはなくて、疲労を軽減できる。また、襷掛け方式で基部1及び荷台2を身体の後ろに回すことができるため、不使用時には荷台2を起こした状態で後ろに回すことにより、運搬具を付けていないのと同様の状態で歩行できる。
【0061】
実施形態のように腰ベルト4を設けると、基部1及び荷台2が左右方向に倒れることはないため、荷台2を水平状に保持する機能が向上する。従って、荷物Wの安定性向上に貢献できる。階段を昇り降りするに際しても荷台2の安定性を保持できる。実施形態のように基部1や荷台2を線材で作ると、軽量化しつつ高い強度を保持できる利点がある。デザイン的にも優れているといえる。
【0062】
本実施形態の運搬具は、宅配作業や引っ越し作業、工場や各種施設での物品の運搬作業、各種店舗での商品の補充や回収、イベントでの物品の配布などの様々な作業で使用できる。身体から外したら、小さく纏めて棚に格納したりバッグに収納したりすることができるため、不使用時の取り扱いにも手間が掛からない。
【0063】
図2(B)~(D)では、ショルダーベルト3及び腰ベルト4の別例を表示している。このうち図2(B)に示す例では、左右のショルダーベルト3の後端を腰ベルト4で連結しつつ、左右のショルダーベルト3の前上部を胸ベルト3aで連結している。従って、左右のショルダーベルト3と胸ベルト3aとでH形の形態を成している。この実施形態では、荷重は人の両肩で支持されるため、人が長時間に亙って運搬作業を行う場合でも、身体への負担を軽減できる。
【0064】
図2(C)に8に示す例では、襷掛け式のショルダーベルト3が基部1に2本接続されている。2本のショルダーベルト3は、人の胸のあたりでクロスしている。この例では、姿勢が異なる2本のショルダーベルト3を備えているため、荷物Wの荷重を身体の中心軸に対して作用させることを確実化できる。従って、長時間の作業でも身体への負担を軽減できる。
【0065】
図2(D)に示す例では、左右2本のショルダーベルト3を使用している。ショルダーベルト3はその両端が基部1に接続されており、左右のショルダーベルト3は胸ベルト3aで連結されている。この場合、腰ベルト4を併用可能である。この例でも、荷重は人の両肩に均等に作用するため、人が長時間に亙って運搬作業を行う場合でも、身体への負担を軽減できる。
【0066】
(5).第3,4実施形態
次に、図4以下の他の実施形態を説明する。図4(A)~(C)に示す第3実施形態では、第1実施形態と同じ基本構成において、プレート9は、基部1に近い側に配置された固定プレート(本体部)9aと、固定プレート9aの手前に配置された前後スライド式の可動プレート(可動部)9bとで構成されている。可動プレート9bを後退させきった状態で、当該可動プレート9bの後端と固定プレート9aの前端との間には若干の隙間21が空いている。荷台2を起立姿勢にした状態では、フック(図示せず)は、隙間21の箇所に露出した上部サイドメンバー5bに係合する。
【0067】
可動プレート9bの左右側部下面には、フレーム体8のサイド部8aに内側からスライド自在に嵌合するスライダー22が、ビス止めや接着などの固定手段によって固定されている。スライダー22は、可動プレート9bのうち後ろ側のある程度の範囲に設けており、スライダー22よりも手前の部位では、可動プレート9bはフレーム体8に上から載っているだけであり、従って、フレーム体8に載っているだけの部分は薄くなっている。
【0068】
可動プレート9bは、所定の寸法Lだけ前後にスライドできる。そして、可動プレート9bを前後にスライドさせることによって荷物Wの支持面積を調節できるため、荷物の大小や数に応じて荷台2を適切な広さに設定できる。従って、ユーザーフレンドリーである。
【0069】
図4(D)(E)の第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。この第3実施形態では、第3実施形態のスライド構造を前提にして、固定プレート9aに設けた櫛歯状の突出部23を、可動プレート9bに設けた櫛歯状の段部24に重ね合わせている。
【0070】
第3実施形態では、可動プレート9bを手前にスライドさせると、可動プレート9bと固定プレート9aとの間には上下に開口した空間が左右全長に亙って空くが、第4実施形態では、可動プレート9bを手前にスライドさせても、固定プレート9aと可動プレート9bとが連続した状態が部分的に残る。従って、荷物Wの支持機能に優れている。
【0071】
(6).第5,6実施形態
図6(A)に示す第5実施形態では、基部1は線材製で四角形の枠体に構成されており、その中途高さ部位に固定軸受け筒25が溶接によって固定されている。他方、荷台2は線材によって網状に形成されており、後端に下向きのストッパー部26を設けている。荷台2は、側面視斜め姿勢の線材で補強されている。
【0072】
そして、荷台2は基部1よりも幅広に形成されており、荷台2の後端の左右両側部に、固定軸受け筒25の外側に位置する可動軸受け筒27が溶接によって固定されており、可動軸受け筒27と固定軸受け筒25に支軸28が挿通されている。図示は省略しているが、フック等の起立姿勢保持手段も備えている。基部1は、平面視で直線状に表示しているが、第1実施形態と同様に後ろ向きに凹んだ状態に(弓なり形状に)湾曲させている。
【0073】
図6(B)に示す第6実施形態では、基部1及び荷台2は鋼板やステンレス板等の金属板で作られている。このうち基部1は、基本的には左右長手の四角形に形成されており、上端の左右側部に左右長手のアッパホルダー部29を形成して、左右側部にはサイドホルダー部30を突設している。また、基部1の下半部の左右側部に前向きの側板31を折り曲げ形成している。
【0074】
荷台2は、四周に下向き壁を有する箱状に形成されており、基部1における左右側板31の内側に配置されている。そして、左右側板32の後端寄り部位を幅広部32aに形成して、荷台2における側板32の後端部と基部1における側板31の上端部とが支軸33で連結されている。従って、荷台2は支軸33を支点にして跳ね上げ回動させることができる。
【0075】
更に、荷台2における側板32の幅広部32aに前後長手の長穴34が形成されている一方、基部1における側板31の下端にはリンク35の下端がピン36で連結されており、リンク35の上端は、荷台2における側板32の幅広部32aに形成された長穴にスライドピン37で連結されている。リンク35は荷台2における側板32の内側に配置されている。このため、リンク35の下端と基部1の側板31との間にはカラー(図示せず)を配置している。
【0076】
この実施形態では、荷台2を手前に倒した状態では、荷台2はリンク35によって水平状の姿勢(僅かに後傾した姿勢も含む)が保持される。また、荷台2を跳ね上げ回動させると、リンク35は基部1に近づくように回動しつつ、スライドピン37が長穴34の基部に向けて移動する。見方を変えて述べると、スライドピン37が移動してリンク35が回動することにより、荷台2の跳ね上げが許容されている。
【0077】
図示していないが、運搬具はマグネット等の起立姿勢保持手段を備えている。長穴34の前端は傾斜姿勢の上向き部34aになっている。このため、スライドピン37は安定的に保持されて、荷台2の倒し姿勢が安定する。ピン36にねじりトーションばね等のばねを配置して、いわゆる支点越えを利用して、荷台2の倒し姿勢と起立姿勢とをばねによって選択的に保持することも可能である。
【0078】
一点鎖線で示すように、荷台2の前端に、図示しないヒンジを介して可動部38を連結することも可能である(正確には、荷台2を、実線で示した固定部とその前端にヒンジにて連結された可動部38とで構成することが可能である。)。この場合は、荷物支持面積を倍増できる。この実施形態では、ストッパー部6は不要になるため、荷台2を跳ね上げた折り畳み状態で薄型化できる。また、折り畳んで保管するにおいても、保管スペースを小さくできる利点がある。
【0079】
(7).第7~8実施形態
図7では、基部1と荷台2とを合成樹脂で製造した例を示している。このうち図7(A)に示す第7実施形態では、板状の基部1に板状で固定式の荷台2を一体に形成して、基部1に、ベルト挿通用のアッパホルダー穴41とサイドホルダー穴42とを形成している。荷台2は、跳ね上げ回動できない固定式になっている。
【0080】
図7(A)に一点鎖線で示すように、基部1と荷台2とが連接した内角部に、基部1よりも上にはみ出る大きさの補助板43を起立姿勢に配置することが可能である。補助板43は、その姿勢が固定された状態に設けて、荷物Wの受け板として機能させることもできるし、荷台2よりも大きい面積に設定しておいて、水平姿勢に倒すことによって荷台2として機能させることも可能である。補助板43は網状に表示しているが、平板やパンチングメタルなども使用できる。
【0081】
図7(B)に示す第8実施形態では、荷台2は、跳ね上げできるように支軸44によって基部1の突出部45に連結されている。この実施形態でも、補助板43を固定的又は倒れ回動可能に取り付けることが可能である。補助板43は、着脱式とすることも可能である。
【0082】
(8).第9~12実施形態
図8(A)に示す第9実施形態では、基部1は金属製又は樹脂製の背板になっており、基部1の上下中途高さ位置に左右の軸受け片47を設けて、図示しない軸により、受けフレーム48の後部を軸受け片47に連結している。受けフレーム48は、その後端に設けた垂下部48aと左右の側板48bとを備えている。このため、荷物の支持強度に優れている。アッパホルダー11とサイドホルダー12とは基部1に一体に形成されている。
【0083】
この実施形態では、基部1の後面にパッド材49を取り付けているが、基部1はフラットに形成して、パッド材49の後面を平面視で後ろ向きに凹んだ湾曲面に形成している。パッド材49の前面に樹脂製のプレート49aが接着されており、プレート49aがプッシュ式等のファスナ50で基部1に固定されている。従って、パッド材49には、ファスナ50を逃がすための穴51が空いている。
【0084】
図8(C)~図9に示す第10実施形態は、図6(B)の第6実施形態と同様にリンク35を備えている。そして、荷台を構成するフレーム体52の側板52aと、基部1に設けた下軸受け片54とをリンク35で連結するにおいて、フレーム体52の側板52aに設けた軸受け穴を長穴34に設定している。フレーム体52とリンク35とは上支軸53で連結されており、上支軸53にはブッシュ53aが嵌まっている。ブッシュ53aはフレーム体52に溶接されている。
【0085】
フレーム体52の左右後端は、基部1に設けた上軸受け片47に上ピン55で連結されている。リンク35の下端は、下ピン56で下軸受け片57に連結されている。フレーム体52左右のフランジ52bを有しており、この左右フランジ52bに図示しない上板が固定されている。従って、荷台2は複層構造である。
【0086】
図9(A)では、荷台2を倒した状態を表示して、図9(B)は荷台2を起こした状態を表示している(フレーム体52と基部1との連結構造は省略している。)。荷台2を起こした状態を保持する手段として、分図(C)に示すように、基部1に設けた板ばね製のフック58をリンク35に係止している。このため、リンク35の側板35aに係合穴59を設けている。他方、図8(B)ではばね60を表示しているが、荷台2を起こした状態で、いわゆる支点越えの作用により、ばね60で起こし状態を保持することも可能である。
【0087】
(9).第12~13実施形態
図10及び図11(A)に示す第12実施形態では、リンク35を使用した場合において、リンク35の上端は前ピン61でフレーム体52に連結する一方、リンク35の下端は、基部1に切り起こした下軸受け片62にガイドピン62aで連結しており、下軸受け片62の軸受け穴63を上下長手の長穴に設定している。この状態では、フレーム体52の強度は高くなる。荷台2を倒した状態で、リンク35の下端は基部1のリブ70に突っ張っている。従って、支持強度は高い。
【0088】
フレーム体52の側板52aには前軸受け筒64が固定されていて、リンク35の上端は前軸受け筒64に前ピン61で連結されている。また、フレーム体52の側板52aの後端には後ろ軸受け筒65が固定されていて、後ろ軸受け筒65が、基部1の上軸受け片47にガイドピン66で連結されている。この例では、上軸受け片47は基部1とは別体に構成されており、基部1に設けたスリット67から手前に挿通している。
【0089】
本願発明は、上記の各実施形態の他にも様々に具体化できる。例えば、基部や荷台の形態は必要に応じて適宜変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本願発明は、身体装着式運搬具として具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0091】
W 荷物
M 人
1 基部
2 荷台
3 ショルダーベルト
4 腰ベルト
5 基部を構成する上サポート部
6 ストッパー部
7 基部を構成する下サポート部
8 フレーム体
9 プレート(上板)
9a 固定プレート(本体部)
9b 可動プレート(可動部)
10 支軸
11,12 ベルト用のホルダー部
17 フック
35 リンク
37 スライドピン
43 補助板
49 パッド材
52 フレーム体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11