(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004510
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20240110BHJP
H04N 25/67 20230101ALI20240110BHJP
H04N 25/616 20230101ALI20240110BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/365
H04N5/357 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020199475
(22)【出願日】2020-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】山本 孝久
(74)【代理人】
【氏名又は名称】吉井 正明
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 ルォンフォン
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX06
5C024CX07
5C024CY27
5C024HX13
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】サンプルホールド時のチャージインジェクションのバラツキを軽減する。
【解決手段】本開示の撮像装置は、画素アレイ部、及び、画素アレイ部の画素列に対応して設けられた複数のサンプルホールド回路を備える。サンプルホールド回路は、画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、並びに、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路を備える。書き込み回路は、入力端子と第1/第2の容量素子との間に接続された第1/第2の充電トランジスタ、リセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、サンプリングトランジスタと第1/第2の容量素子との間に接続された第1/第2の書込トランジスタを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有する、
撮像装置。
【請求項2】
第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、
しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、
サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
撮像装置。
【請求項5】
第1の出力回路及び第2の出力回路において、
書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、
しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする、
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1の出力回路及び第2の出力回路において、
出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする、
請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有し、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
撮像装置。
【請求項8】
第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、
しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える、
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、
サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする、
請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
第1の出力回路及び第2の出力回路において、
書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、
しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする、
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項11】
第1の出力回路及び第2の出力回路において、
出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする、
請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有する、
撮像装置を備える電子機器。
【請求項13】
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
請求項12に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置には、画素から読み出されるアナログの画素信号をデジタル化するアナログ-デジタル変換部が搭載されている。撮像装置に搭載されるアナログ-デジタル変換部は、画素列に対応して配置された複数のアナログ-デジタル変換器から成る、所謂、列並列型のアナログ-デジタル変換部である。
【0003】
アナログ-デジタル変換処理に当たって、画素からの信号読み出し動作とアナログ-デジタル変換動作とをパイプライン処理(パイプライン化)することにより、アナログ-デジタル変換処理を含めた実質的な画素信号の読み出し動作を高速化できるため、フレームレートの向上を図ることができる。信号読み出し動作とアナログ-デジタル変換動作とのパイプライン処理を実現するためには、アナログ-デジタル変換器の前にサンプルホールド回路を搭載する必要がある。
【0004】
ところで、画素から出力される信号は、リセット時に画素から出力されるリセットレベルであるリセット信号(所謂、P相信号)、及び、光電変換時に画素から出力される信号レベルであるデータ信号(所謂、D相信号)を含んでいる。リセット信号及びデータ信号を含む画素信号をサンプルホールドするサンプルホールド回路として、リセット信号をサンプルホールドする経路と、データ信号をサンプルホールドする経路とを別々に備えるサンプルホールド回路がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載のサンプルホールド回路は、リセット信号をサンプルホールドする経路と、データ信号をサンプルホールドする経路とが別々に設けられている。そのため、各経路のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキがサンプリング誤差のバラツキの原因となり、撮像画像上に縦筋として現れ、画質低下の一因となる。
【0007】
本開示は、サンプルホールド回路のサンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキを軽減できるサンプルホールド回路を備える撮像装置、及び、当該撮像装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る撮像装置は、
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有する。
【0009】
上記の目的を達成するための本開示の第2の態様に係る撮像装置は、
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する。
【0010】
上記の目的を達成するための本開示の第3の態様に係る撮像装置は、
光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有し、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する。
【0011】
上記の目的を達成するための本開示の電子機器は、上記の第1の態様に係る撮像装置、第2の態様に係る撮像装置、あるいは、第3の態様に係る撮像装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示に係る技術が適用される撮像装置の一例であるCMOSイメージセンサのシステム構成の概略を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、画素の回路構成の一例を示す回路図である。
【
図3】
図3Aは、平置型のチップ構造を模式的に示す斜視図であり、
図3Bは、積層型の半導体チップ構造を模式的に示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、アナログ-デジタル変換部の構成の一例を模式的に示すブロック図である。
【
図5】
図5Aは、従来技術に係るサンプルホールド回路の構成例を示す回路図であり、
図5Bは、回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【
図6】
図6A及び
図6Bは、チャージインジェクションのバラツキがサンプリング誤差となるメカニズムについて説明する図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係るサンプルホールド回路の基本的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施例1に係る書き込み回路の回路構成例を示す回路図である。
【
図9】
図9は、実施例1に係る書き込み回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【
図10】
図10は、実施例1に係る書き込み回路における信号書き込み時のサンプリング誤差についての説明図である。
【
図11】
図11は、実施例2に係る読み出し回路の回路構成例を示す回路図である。
【
図12】
図12は、実施例2に係る読み出し回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【
図13】
図13A、
図13B、及び
図13Cは、実施例2に係る読み出し回路におけるチャネル電荷読み出し時の出力電圧の誤差についての動作説明図(その1)である。
【
図14】
図14A、
図14B、及び、
図14Cは、実施例2に係る読み出し回路におけるチャネ電荷読み出し時の出力電圧の誤差についての動作説明図(その2)である。
【
図15】
図15は、実施例3に係るサンプルホールド回路の回路構成例を示す回路図である。
【
図16】
図16は、実施例3に係るサンプルホールド回路の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。
【
図18】
図18は、本開示に係る技術の適用例を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例の概略を示すブロック図である。
【
図20】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、移動体制御システムにおける撮像部の設置位置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る技術を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。本開示に係る技術は実施形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。尚、説明は以下の順序で行う。
1.本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明
2.本開示に係る技術が適用される撮像装置
2-1.CMOSイメージセンサの構成例
2-2.画素の回路構成例
2-3.半導体チップ構造
2-3-1.平置型の半導体チップ構造
2-3-2.積層型の半導体チップ構造
2-4.アナログ-デジタル変換部の構成例
2-5.パイプライン処理について
2-6.サンプルホールド回路の従来技術について
3.本開示の実施形態
3-1.実施例1(書き込み回路の作用により、固定パターンノイズを抑制する例)
3-1-1.回路構成例
3-1-2.回路動作例
3-1-3.書き込み時のサンプリング誤差について
3-2.実施例2(読み出し回路の作用により、固定パターンノイズを抑制する例)
3-2-1.回路構成例
3-2-2.回路動作例
3-2-3.P相読み出し時の出力電圧の誤差について
3-3.実施例3(書き込み回路及び読み出し回路により、固定パターンノイズを抑制する例)
3-3-1.回路構成例
3-3-2.回路動作例
3-3-3.P相のサンプル/ホールド動作の様子
4.変形例
5.応用例
6.本開示に係る技術の適用例
6-1.本開示の電子機器(撮像装置の例)
6-2.移動体への応用例
7.本開示がとることができる構成
【0014】
<本開示の撮像装置及び電子機器、全般に関する説明>
本開示の第1の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える構成とすることができる。
【0015】
上述した好ましい構成を含む本開示の第1の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする構成とすることができる。
【0016】
本開示の第2の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の出力回路及び第2の出力回路において、書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする構成とすることができる。
【0017】
上述した好ましい構成を含む本開示の第2の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の出力回路及び第2の出力回路において、出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする構成とすることができる。
【0018】
本開示の第3の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える構成とすることができる。
【0019】
上述した好ましい構成を含む本開示の第3の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする構成とすることができる。
【0020】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の第3の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の出力回路及び第2の出力回路において、書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする構成とすることができる。
【0021】
また、上述した好ましい構成を含む本開示の第3の態様に係る撮像装置及び電子機器にあっては、第1の出力回路及び第2の出力回路において、出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする構成とすることができる。
【0022】
<本開示に係る技術が適用される撮像装置>
本開示に係る技術が適用される撮像装置として、X-Yアドレス方式の撮像装置の一種であるCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを例に挙げて説明する。CMOSイメージセンサは、CMOSプロセスを応用して、又は、部分的に使用して作製されたイメージセンサである。
【0023】
[CMOSイメージセンサの構成例]
図1は、本開示に係る技術が適用される撮像装置の一例であるCMOSイメージセンサのシステム構成の概略を模式的に示すブロック図である。
【0024】
本適用例に係るCMOSイメージセンサ1は、画素アレイ部11及び当該画素アレイ部11の周辺回路部を有する構成となっている。画素アレイ部11は、光電変換部(光電変換素子/受光素子)を含む画素(画素回路)20が行方向及び列方向に、即ち、行列状に2次元配置された構成となっている。ここで、行方向とは、画素行の画素20の配列方向を言い、列方向とは、画素列の画素20の配列方向を言う。画素20は、光電変換を行うことにより、受光した光量に応じた光電荷を生成し、蓄積する。
【0025】
画素アレイ部11の周辺回路部は、例えば、行選択部12、負荷MOS部13、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、メモリ部16、データ処理部17、出力部18、及び、タイミング制御部19等によって構成されている。
【0026】
画素アレイ部11において、行列状の画素配列に対し、画素行毎に画素駆動線31(31
1~31
m)が行方向に沿って配線され、画素列毎に垂直信号線32(32
1~32
n)が列方向に沿って配線されている。画素駆動線31は、画素20から信号を読み出す際の駆動を行うための駆動信号を伝送する。
図1では、画素駆動線31について1本の配線として図示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線31の一端は、行選択部12の各行に対応した出力端に接続されている。
【0027】
以下に、画素アレイ部11の周辺回路部の各回路部、即ち、行選択部12、負荷MOS部13、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、メモリ部16、データ処理部17、出力部18、及び、タイミング制御部19について説明する。
【0028】
行選択部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素20の選択に際して、画素行の走査や画素行のアドレスを制御する。この行選択部12は、その具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読み出し走査系と掃き出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0029】
読み出し走査系は、画素20から画素信号を読み出すために、画素アレイ部11の画素20を行単位で順に選択走査する。画素20から読み出される画素信号はアナログ信号である。掃き出し走査系は、読み出し走査系によって読み出し走査が行われる読み出し行に対して、その読み出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃き出し走査を行う。
【0030】
この掃き出し走査系による掃き出し走査により、読み出し行の画素20の光電変換部から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換部がリセットされる。そして、この掃き出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂、電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0031】
読み出し走査系による読み出し動作によって読み出される信号は、その直前の読み出し動作又は電子シャッタ動作以降に受光した光量に対応するものである。そして、直前の読み出し動作による読み出しタイミング又は電子シャッタ動作による掃き出しタイミングから、今回の読み出し動作による読み出しタイミングまでの期間が、画素20における光電荷の露光期間となる。
【0032】
負荷MOS部13は、画素列毎に垂直信号線32(32
1~32
n)の各々に接続されたMOSトランジスタから成る電流源Iの集合から成り(
図2参照)、行選択部12によって選択走査された画素行の各画素20に対し、垂直信号線32の各々を通してバイアス電流を供給する。
【0033】
サンプルホールド部14は、垂直信号線32(321~32n)を通して供給される画素信号をサンプリングし、保持(サンプルホールド)する。このサンプルホールド部14に対して本開示に係る技術が適用される。本開示に係る技術が適用されるサンプルホールド部14の詳細については後述する。
【0034】
アナログ-デジタル(A/D)変換部15は、垂直信号線32(321~32n)に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器の集合から成り、サンプルホールド部14から画素列毎に出力されるアナログの画素信号をデジタル信号に変換する。アナログ-デジタル変換器は、周知のアナログ-デジタル変換器とすることができる。具体的には、アナログ-デジタル変換器として、シングルスロープ型アナログ-デジタル変換器、逐次比較型アナログ-デジタル変換器、又は、デルタ-シグマ型(ΔΣ型)アナログ-デジタル変換器を例示することができる。但し、アナログ-デジタル変換器は、これらに限定されるものではない。
【0035】
メモリ部16は、データ処理部17による処理の下に、アナログ-デジタル変換部15でのアナログ-デジタル変換結果を記憶する。
【0036】
データ処理部17は、アナログ-デジタル変換部15から出力されるデジタル信号を処理するデジタル信号処理部であり、アナログ-デジタル変換結果をメモリ部16に対する書き込み/読み出しの処理を行ったり、当該アナログ-デジタル変換結果に対して種々の処理を行ったりする。
【0037】
出力部18は、データ処理部17での処理後の信号を出力する。タイミング制御部19は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これら生成した信号を基に、行選択部12、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、及び、データ処理部17等の駆動制御を行う。
【0038】
[画素の回路構成例]
図2は、画素20の回路構成の一例を示す回路図である。画素20は、光電変換部(光電変換素子)として、例えば、フォトダイオード21を有している。画素20は、フォトダイオード21の他に、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25を有する画素構成となっている。
【0039】
尚、ここでは、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25の4つのトランジスタとしては、例えばNチャネルのMOS型電界効果トランジスタを用いている。但し、ここで例示した4つのトランジスタ22~25の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0040】
この画素20に対して、先述した画素駆動線31(311~31m)として、複数の画素駆動線が同一画素行の各画素20に対して共通に配線されている。これら複数の画素駆動線は、行選択部12の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されている。行選択部12は、複数の画素駆動線に対して転送信号TRG、リセット信号RST、及び、選択信号SELを適宜出力する。
【0041】
フォトダイオード21は、アノード電極が低電位側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード21のカソード電極は、転送トランジスタ22を介して増幅トランジスタ24のゲート電極と電気的に接続されている。ここで、増幅トランジスタ24のゲート電極が電気的に繋がった領域は、フローティングディフュージョン(浮遊拡散領域/不純物拡散領域)FDである。フローティングディフュージョンFDは、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0042】
転送トランジスタ22のゲート電極には、高レベル(例えば、VDDレベル)がアクティブとなる転送信号TRGが行選択部12から与えられる。転送トランジスタ22は、転送信号TRGに応答して導通状態となることで、フォトダイオード21で光電変換され、当該フォトダイオード21に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0043】
リセットトランジスタ23は、高電位側電源VDDのノードとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ23のゲート電極には、高レベルがアクティブとなるリセット信号RSTが行選択部12から与えられる。リセットトランジスタ23は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷を電圧VDDのノードに捨てることによってフローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0044】
増幅トランジスタ24は、ゲート電極がフローティングディフュージョンFDに、ドレイン電極が高電位側電源VDDのノードにそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ24は、フォトダイオード21での光電変換によって得られる信号を読み出すソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ24は、ソース電極が選択トランジスタ25を介して垂直信号線32に接続される。そして、増幅トランジスタ24と、垂直信号線32の一端に接続される電流源Iとは、フローティングディフュージョンFDの電圧を垂直信号線32の電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0045】
選択トランジスタ25は、例えば、ドレイン電極が増幅トランジスタ24のソース電極に、ソース電極が垂直信号線32にそれぞれ接続されている。選択トランジスタ25のゲート電極には、高レベルがアクティブとなる選択信号SELが行選択部12から与えられる。選択トランジスタ25は、選択信号SELに応答して導通状態となることで、画素20を選択状態として増幅トランジスタ24から出力される信号を垂直信号線32に伝達する。
【0046】
尚、上記の回路例では、画素20として、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25から成る、即ち、4つのトランジスタ(Tr)から成る4Tr構成を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ25を省略し、増幅トランジスタ24に選択トランジスタ25の機能を持たせる3Tr構成とすることもできるし、必要に応じて、トランジスタの数を増やした5Tr以上の構成とすることもできる。
【0047】
上記の回路構成例の画素20からは、リセットトランジスタ23によるフローティングディフュージョンFDのリセット時のリセットレベルであるリセット信号(所謂、P相信号)と、フォトダイオード21での光電変換に基づく信号レベルであるデータ信号(所謂、D相信号)とが順に出力される。すなわち、画素20から出力される画素信号は、リセット時のリセット信号、及び、フォトダイオード21での光電変換時のデータ信号を含んでいる。
【0048】
[半導体チップ構造]
上記の構成のCMOSイメージセンサ1の半導体チップ構造としては、平置型の半導体チップ構造及び積層型の半導体チップ構造を例示することができる。また、画素構造については、配線層が形成される側の基板面を表面(正面)とするとき、その反対側の裏面側から照射される光を取り込む裏面照射型の画素構造とすることもできるし、表面側から照射される光を取り込む表面照射型の画素構造とすることもできる。
【0049】
以下に、平置型の半導体チップ構造及び積層型の半導体チップ構造の概略について説明する。
【0050】
(平置型の半導体チップ構造)
図3Aは、CMOSイメージセンサ1の平置型のチップ構造を模式的に示す斜視図である。
図3Aに示すように、平置型の半導体チップ構造は、画素20が行列状に配置されて成る画素アレイ部11と同じ半導体基板41上に、画素アレイ部11の周辺回路部の各構成要素を形成した構造となっている。具体的には、画素アレイ部11と同じ半導体基板41上に、行選択部12、負荷MOS部13、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、メモリ部16、データ処理部17、及び、タイミング制御部19等が形成されている。1層目の半導体チップ41の例えば左右両端部には、外部接続用や電源用のパッド42が設けられている。
【0051】
(積層型の半導体チップ構造)
図3Bは、CMOSイメージセンサ1の積層型の半導体チップ構造を模式的に示す分解斜視図である。
図3Bに示すように、積層型の半導体チップ構造は、1層目の半導体チップ43及び2層目の半導体チップ44の少なくとも2つの半導体チップが積層された構造となっている。
【0052】
この積層型の半導体チップ構造において、1層目の半導体チップ43は、光電変換素子(例えば、フォトダイオード21)を含む画素20が行列状に2次元配置されて成る画素アレイ部11が形成された画素チップである。1層目の半導体チップ43の例えば左右両端部には、外部接続用や電源用のパッド42が設けられている。
【0053】
2層目の半導体チップ44は、画素アレイ部11の周辺回路部、即ち、行選択部12、負荷MOS部13、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、メモリ部16、データ処理部17、及び、タイミング制御部19等が形成された回路チップである。尚、行選択部12、負荷MOS部13、サンプルホールド部14、アナログ-デジタル変換部15、メモリ部16、データ処理部17、及び、タイミング制御部19等の配置については、一例であって、この配置例に限られるものではない。
【0054】
1層目の半導体チップ43上の画素アレイ部11と、2層目の半導体チップ44上の周辺回路部とは、Cu-Cu接合を含む金属-金属接合、シリコン貫通電極(Through Silicon Via:TSV)、マイクロバンプ等から成る接合部(図示を省略)を介して電気的に接続される。
【0055】
上述した積層型の半導体チップ構造によれば、1層目の半導体チップ43には画素アレイ部11の作製に適したプロセスを適用でき、2層目の半導体チップ44には回路部分の作製に適したプロセスを適用できる。これにより、CMOSイメージセンサ1の製造に当たって、プロセスの最適化を図ることができる。特に、回路部分の作製に当たっては、先端プロセスの適用が可能になる。
【0056】
[アナログ-デジタル変換部の構成例]
続いて、アナログ-デジタル変換部15の構成の一例について説明する。アナログ-デジタル変換部15の構成の一例を
図4に示す。
【0057】
CMOSイメージセンサ1において、アナログ-デジタル変換部15は、画素アレイ部11の各画素列に対応して設けられた複数のアナログ-デジタル変換器の集合から成る。ここでは、アナログ-デジタル変換器として、シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器を例示する。但し、アナログ-デジタル変換器としては、シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器に限られるものではない。
【0058】
n列目のシングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器150を例に挙げて説明するに、アナログ-デジタル変換器150は、比較器151及びカウンタ152を有する回路構成となっている。シングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器150では、参照信号生成部160で生成される参照信号VRAMPが用いられる。参照信号生成部160は、例えば、デジタル-アナログ変換器(DAC)によって構成され、時間の経過に応じてレベル(電圧)が単調減少する傾斜状波形(所謂、ランプ波)の参照信号VRAMPを生成し、画素列毎に設けられた比較器151に基準信号として与える。
【0059】
比較器151は、画素20から読み出されるアナログの画素信号VVSLを比較入力とし、参照信号生成部160で生成されるランプ波の参照信号VRAMPを基準入力とし、両信号を比較する。そして、比較器151は、例えば、参照信号VRAMPが画素信号VVSLよりも大きいときに出力が第1の状態(例えば、高レベル)になり、参照信号VRAMPが画素信号VVSL以下のときに出力が第2の状態(例えば、低レベル)になる。これにより、比較器151は、画素信号VVSLの信号レベルに応じたパルス幅、具体的には、信号レベルの大きさに対応したパルス幅を持つパルス信号を比較結果として出力する。
【0060】
カウンタ152には、比較器151に対する参照信号VRAMPの供給開始タイミングと同じタイミングで、タイミング制御部19からクロック信号CLKが与えられる。そして、カウンタ152は、クロック信号CLKに同期してカウント動作を行うことによって、比較器151の出力パルスのパルス幅の期間、即ち、比較動作の開始から比較動作の終了までの期間を計測する。カウンタ152のカウント結果(カウント値)は、アナログの画素信号VVSLをデジタル化したデジタル値として、ロジック回路部14へ供給される。
【0061】
カウンタ152としては、例えば、アップ/ダウンカウンタを用いることができる。アップ/ダウンカウンタから成るカウンタ152では、クロック信号CLKに同期してダウン(DOWN)カウント、又は、アップ(UP)カウントが行われる。具体的には、画素20から出力される、フローティングディフュージョンFDのリセット時のリセットレベルであるリセット信号(P相信号)、及び、光電変換に基づく信号レベルであるデータ信号(D相信号)について、例えば、リセット信号に対してはダウンカウントを行い、データ信号に対してはアップカウントを行う。
【0062】
このダウンカウント/アップカウントの動作により、データ信号とリセット信号との差分をとることができる。その結果、アナログ-デジタル変換部15では、アナログ-デジタル変換処理に加えてCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理が行われる。ここで、「CDS処理」とは、光電変換に基づく信号レベルであるデータ信号(D相信号)と、フローティングディフュージョンFDのリセット時のリセットレベルであるリセット信号(P相信号)との差分をとることにより、画素20のリセットノイズや増幅トランジスタ24の閾値ばらつき等の画素固有の固定パターンノイズを除去する処理である。
【0063】
上述したシングルスロープ型のアナログ-デジタル変換器150の集合から成るアナログ-デジタル変換部15によれば、参照信号生成部160で生成されるランプ波の参照信号VRAMPと、画素20から垂直信号線32を通して読み出されるアナログの画素信号VVSLとの大小関係が変化するまでの時間情報からデジタル値を得ることができる。
【0064】
尚、上記の例では、アナログ-デジタル変換部15として、画素アレイ部11の画素列に対して1対1の対応関係でアナログ-デジタル変換器150が配置されて成る構成を例示したが、複数の画素列を単位としてアナログ-デジタル変換器150が配置されて成る構成とすることも可能である。
【0065】
[パイプライン処理について]
以上説明した本開示に係る技術が適用されるCMOSイメージセンサ1、即ち、列並列型のアナログ-デジタル変換部15を搭載したCMOSイメージセンサ1では、アナログ-デジタル変換部15の前段にサンプルホールド部14を備えることで、画素20からの信号読み出し動作とアナログ-デジタル変換動作とのパイプライン処理を実現できる。サンプルホールド部14は、画素アレイ部11の各画素列に対応して設けられた複数のサンプルホールド回路の集合から成る。
【0066】
信号読み出し動作とアナログ-デジタル変換動作とのパイプライン処理(パイプライン化)により、アナログ-デジタル変換処理を含めた実質的な画素信号の読み出し動作を高速化できるため、フレームレートの向上を図ることができる。逆に、フレームレートの向上を図らない場合(即ち、フレームレートを従来と同じとした場合)には、信号読み出し及びアナログ-デジタル変換を行わないブランキング期間を増やすことがてきるため、CMOSイメージセンサ1の消費電力の低減を図ることができる。
【0067】
[サンプルホールド回路の従来技術について]
ここで、信号読み出し動作とアナログ-デジタル変換動作とのパイプライン処理を実現するために必要なサンプルホールド回路の従来技術について説明する。従来技術に係るサンプルホールド回路の構成例を
図5Aに示し、回路動作の説明に供するタイミングチャートを
図5Bに示す。
【0068】
図5Aに示すように、従来技術に係るサンプルホールド回路は、フローティングディフュージョンFDをリセットしたときのリセットレベルであるリセット信号(P相信号)をサンプルホールドするP相の経路60
pと、光電変換に基づく信号レベルであるデータ信号(D相信号)をサンプルホールドするD相の経路60
dとを有する回路構成となっている。
【0069】
P相の経路60pは、リセット信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ61p、サンプリングトランジスタ61pによってサンプリングされたリセット信号をホールドする容量素子62p、及び、出力トランジスタ63pから構成されている。サンプリングトランジスタ61pは、制御信号p_splに基づいて、リセット信号をサンプリングし、容量素子62pに保持させる。出力トランジスタ63pは、容量素子62pに保持されているリセット信号を、制御信号p_outに応じて出力する。
【0070】
D相の経路60dは、データ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ61d、サンプリングトランジスタ61dによってサンプリングされたデータ信号をホールドする容量素子62d、及び、出力トランジスタ63dから構成されている。サンプリングトランジスタ61dは、制御信号d_splに基づいて、データ信号をサンプリングし、容量素子62dに保持させる。出力トランジスタ63dは、容量素子62dに保持されているデータ信号を、制御信号d_outに応じて出力する。
【0071】
上述したように、従来技術に係るサンプルホールド回路は、リセット信号をサンプルホールドするP相の経路60pと、データ信号をサンプルホールドするD相の経路60dとが別々に設けられた構成となっている。そのため、各経路60p,60dにおけるトランジスタの閾値電圧Vthやゲート面積等の製造バラツキにより、サンプリングトランジスタ61p及び出力トランジスタ63pのチャネル電荷がばらつくことがある。このチャージインジェクションのバラツキがサンプリング誤差、即ち、画素列の固定パターンノイズとなり、撮像画像上に縦筋として現れることになる。
【0072】
上記のチャージインジェクションのバラツキがサンプリング誤差となるメカニズムについて、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
図6Aには、説明の都合上、
図5AにおけるP相の経路60
pを取り出して図示しているが、D相の経路60
dについても、P相の経路60
pと同様のことが起きる。
【0073】
P相の経路60pにおいて、容量素子62pの容量値をCpとし、出力トランジスタ63pの出力側につく寄生容量の容量値cxとするとき、一般的に、Cp≫cxである。従って、ノードSのインピーダンス(∝1/Cp)がノードOUTのインピーダンス(∝1/cx)よりも低い。
【0074】
図6Bに示すように、サンプリングトランジスタ61
pにおいて、制御信号p_splが高レベル(Hi)から低レベル(Lo)に遷移するとき、チャネル電荷の大部分が低インピーダンスの入力ノードIN側に吐き出される。このとき、一部のチャネル電荷が中インピーダンスのノードS側に入り、これがサンプリング誤差となる。また、出力トランジスタ63
pにおいて、制御信号p_outが低レベルから高レベルに遷移するとき、チャネル電荷の大部分が中インピーダンスのノードSから供給され、ノードSに溜まっている電荷の一部が消費され、これもサンプリング誤差となる。
【0075】
<本開示の実施形態>
本開示の実施形態に係るサンプルホールド回路は、列並列型のアナログ-デジタル変換部15を備えるCMOSイメージセンサ1において、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキを軽減するためになされたものである。サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキを軽減することで、画素列の固定パターンノイズを抑制することができるため、画素列の固定パターンノイズに起因する縦筋が撮像画像上に現れることがなく、画質の向上を図ることができる。
【0076】
本開示の実施形態(以下、「本実施形態」と略記する)に係るサンプルホールド回路の基本的な構成を
図7に示す。本実施形態に係るサンプルホールド回路50は、入力端子51、書き込み回路52、第1の容量素子53
p、第2の容量素子53
d、読み出し回路54、及び、出力端子55を備えている。
【0077】
入力端子51は、画素アレイ部11の各画素20から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する。リセット信号は、フローティングディフュージョンFDをリセットしたときのリセットレベルであるP相信号である。データ信号は、フォトダイオード21での光電変換に基づく信号レベルであるD相信号である。
【0078】
書き込み回路52は、入力端子51から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングし、書き込む。第1の容量素子53pは、P相用の容量素子であり、書き込み回路52によって書き込まれたリセット信号を保持する。第2の容量素子53dは、D相用の容量素子であり、書き込み回路52によって書き込まれたデータ信号を保持する。読み出し回路54は、第1の容量素子53pに保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子53dに保持されたデータ信号を読み出す。出力端子55は、読み出し回路54によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する。
【0079】
上記の基本的な構成を有する本実施形態に係るサンプルホールド回路50において、書き込み回路52の作用、読み出し回路54の作用、あるいは、書き込み回路52及び読み出し回路54の組み合わせよる作用によって、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションに起因する画素列の固定パターンノイズを抑制する効果を得ることができる。以下に、具体的な実施例について説明する。
【0080】
[実施例1]
実施例1は、書き込み回路52の作用により、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションに起因する固定パターンノイズを抑制する例である。実施例1に係る書き込み回路52の回路構成例を
図8に示す。
【0081】
(回路構成例)
実施例1に係る書き込み回路52は、入力端子51と第1の容量素子53pとの間に接続された第1の充電トランジスタ521p、及び、入力端子51と第2の容量素子53dとの間に接続された第2の充電トランジスタ521dを有している。書き込み回路52は更に、入力端子51から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ522、サンプリングトランジスタ522と第1の容量素子53pとの間に接続された第1の書込トランジスタ523p、及び、サンプリングトランジスタ522と第2の容量素子53dとの間に接続された第2の書込トランジスタ523dを有している。
【0082】
上記の回路構成の書き込み回路52において、第1の充電トランジスタ521p、サンプリングトランジスタ522、第1の書込トランジスタ523p、及び、第1の容量素子53pによって、リセット信号をサンプルホールドするP相の経路が構成されている。また、第2の充電トランジスタ521d、サンプリングトランジスタ522、第2の書込トランジスタ523d、及び、第2の容量素子53dによって、データ信号をサンプルホールドするD相の経路が構成されている。すなわち、実施例1に係る書き込み回路52では、サンプリングトランジスタ522が、P相の経路とD相の経路とで共通化された構成となっている。
【0083】
第1の充電トランジスタ521pは、制御信号p_chargeに応答してオン状態になることで、入力端子51から入力されるリセット信号に基づいて第1の容量素子53pを充電する。第2の充電トランジスタ521dは、制御信号d_chargeに応答してオン状態になることで、入力端子51から入力されるデータ信号に基づいて第2の容量素子53dを充電する。サンプリングトランジスタ522は、制御信号splに基づいて、リセット信号及びデータ信号をサンプリングする。第1の書込トランジスタ523pは、制御信号p_splenに応答してオン状態になることで、サンプリングトランジスタ522によってサンプリングされたリセット信号を第1の容量素子53pに書き込み、保持させる。第2の書込トランジスタ523dは、制御信号d_splenに応答してオン状態になることで、サンプリングトランジスタ522によってサンプリングされたデータ信号を第2の容量素子53dに書き込み、保持させる。
【0084】
(回路動作例)
続いて、実施例1に係る書き込み回路52の回路動作について、
図9のタイミングチャートを用いて説明する。
【0085】
入力端子51からリセット信号が入力される時刻t11で、制御信号p_chargeが低レベルから高レベルに遷移することで、第1の充電トランジスタ521pがオン状態となり、入力端子51から入力されるリセット信号に基づいて第1の容量素子53pを充電させる。
【0086】
次に、時刻t12で、制御信号p_chargeが高レベルから低レベルに遷移することで、第1の充電トランジスタ521pがオフ状態となる。同時に、制御信号spl及び制御信号p_splenが低レベルから高レベルに遷移することで、サンプリングトランジスタ522及び第1の書込トランジスタ523pがオン状態となる。これにより、サンプリングトランジスタ522によってサンプリングされたリセット信号が、第1の書込トランジスタ523pを通して第1の容量素子53pにホールドされる。
【0087】
次に、時刻t13で、制御信号splが高レベルから低レベルに遷移し、サンプリングトランジスタ522がオフ状態となることで、第1の容量素子53pにホールドされる電荷量が確定される。時刻t13から時刻t15までは、第1の容量素子53pは、ホールド状態にある。この時刻t13~時刻t15の期間に、第1の容量素子53pにホールドされた電荷量に応じた電位レベルを、後段の読み出し回路54によって読み出すことができる。
【0088】
D相の経路についても、P相の経路と同様の動作が行われる。すなわち、入力端子51からデータ信号が入力される時刻t14で制御信号d_chargeが低レベルから高レベルに遷移することで、第2の充電トランジスタ521dがオン状態となり、入力端子51から入力されるデータ信号に基づいて第2の容量素子53dを充電させる。
【0089】
次に、時刻t16で、制御信号d_chargeが高レベルから低レベルに遷移することで、第2の充電トランジスタ521dがオフ状態となる。同時に、制御信号spl及び制御信号d_splenが低レベルから高レベルに遷移することで、サンプリングトランジスタ522及び第2の書込トランジスタ523dがオン状態となる。これにより、サンプリングトランジスタ522によってサンプリングされたデータ信号が、第2の書込トランジスタ523dを通して第2の容量素子53dにホールドされる。
【0090】
次に、時刻t17で、制御信号splが高レベルから低レベルに遷移し、サンプリングトランジスタ522がオフ状態となることで、第2の容量素子53dにホールドされる電荷量が確定される。時刻t17から時刻t18までは、第2の容量素子53dは、ホールド状態にある。この時刻t17~時刻t18の期間に、第2の容量素子53dにホールドされた電荷量に応じた電位レベルを、後段の読み出し回路54によって読み出すことができる。
【0091】
上述したように、実施例1に係る書き込み回路52では、時刻t11~時刻t12の期間において、制御信号p_chargeによる制御の下に、第1の充電トランジスタ521pを介して、第1の容量素子53pを入力端子51から入力される信号レベルに充電させておく。これにより、時刻t12~時刻t13の短い期間で、サンプリングトランジスタ522及び第1の書込トランジスタ523pによる経路に高速に切り替えて、第1の容量素子53pのサンプルホールド電圧を確定することができる(D相の経路についても、P相の経路と同じである)。その結果、D相の経路/P相の経路が共通に使うサンプリングトランジスタ522によるサンプリング期間の占有する時間が短いため、時間のオーバーヘッドが少なくて済むことになる。
【0092】
(信号書き込み時のサンプリング誤差について)
こごて、実施例1に係る書き込み回路52における信号書き込み時のサンプリング誤差について、
図10を用いて説明する。
図10には、サンプリングトランジスタ522の制御信号splが高レベルから低レベルに遷移するタイミング(時刻t
13)の直前及び直後のサンプリングトランジスタ522のチャネル電荷について模式的に示している。ここでは、P相の経路について図示しているが、D相の経路についても、P相の経路の場合と同じである。
【0093】
サンプリングトランジスタ522がオン状態からオフ状態に切り替わる際に、サンプリングトランジスタ522のチャネル電荷の一部q
1が、サンプリングトランジスタ522と第1の書込トランジスタ523
pとの接続ノードa(
図8参照)に流れる。ここで、第1の容量素子53
pの容量値をC
pとすると、第1の容量素子53
pへの書き込みの際のサンプリング誤差は、q
1/C
pとなる。また、第2の容量素子53
dの容量値をC
dとすると、第2の容量素子53
dへの書き込みの際のサンプリング誤差は、q
1/C
dとなる。そして、C
p=C
dと仮定すると、相関二重サンプリング(CDS)処理後の書き込み誤差はほぼ0となる。
【0094】
このように、第1の容量素子53p/第2の容量素子53dのサンプリング確定動作後は、いずれもサンプリングトランジスタ522のオン⇒オフ状態で決まる。そして、サンプリングトランジスタ522のフィードスルー/チャージインジェクションによるサンプリング誤差は、第1の容量素子53p/第2の容量素子53dに共通に発生する。従って、第1の容量素子53p/第2の容量素子53dに共通に発生するサンプリング誤差を、例えば、列並列型のアナログ-デジタル変換部15において実行されるCDS処理で除去することができる。
【0095】
[実施例2]
実施例2は、読み出し回路54の作用により、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションに起因する固定パターンノイズを抑制する例である。実施例2に係る読み出し回路54の回路構成例を
図11に示す。
【0096】
(回路構成例)
実施例2に係る読み出し回路54は、第1の容量素子53pと出力端子55との間に接続された第1の出力回路540p、第2の容量素子53dと出力端子55との間に接続された第2の出力回路540d、及び、第1,第2の出力回路540p,540dの各出力ノードNoutの電位をリセットするリセットトランジスタ543を有している。第1,第2の出力回路540p,540dの各出力ノードNoutは、出力端子55に電気的に接続されている。
【0097】
第1の出力回路540pは、P相の出力経路であり、第1の容量素子53pと出力ノードNoutとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ541p及び後段出力トランジスタ542pを有している。第2の出力回路540dは、D相の出力経路であり、第2の容量素子53dと出力ノードNoutとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ541d及び後段出力トランジスタ542dを有している。リセットトランジスタ543は、所定の基準電位Vrefのノードと、出力端子55に繋がる出力ノードNoutとの間に接続されている。
【0098】
第1の出力回路540pにおいて、前段出力トランジスタ541pは、制御信号p_out1に応じてオン/オフ動作を行い、後段出力トランジスタ542pは、制御信号p_out2に応じてオン/オフ動作を行う。第2の出力回路540dにおいて、前段出力トランジスタ541dは、制御信号d_out1に応じてオン/オフ動作を行い、後段出力トランジスタ542dは、制御信号d_out2に応じてオン/オフ動作を行う。リセットトランジスタ543は、ノードリセット信号rstに応じてオン/オフ動作を行う。
【0099】
読み出し回路54は、容量値Cpの第1の容量素子53pや容量値Cdの第2の容量素子53dにホールドされた電荷量に応じた電位レベルを、出力端子55を通して後段の列並列型のアナログ-デジタル変換部15に出力させる。出力端子55に繋がる出力ノードNoutには、寄生容量cxが存在する。この寄生容量cxに、以前の読み出しの電位履歴が残る状態で、第1の容量素子53pや第2の容量素子53dからの読み出しを行うと、その読み出す履歴に依存する読み出し誤差が発生してしまう、という不具合が生ずる。
【0100】
そこで、実施例2に係る読み出し回路54では、出力ノードNoutの電位をリセットするリセットトランジスタ543を設けて、第1の容量素子53pや第2の容量素子53dからの読み出しを行う直前に、出力ノードNoutの電位を所定の基準電位Vrefにリセットさせる構成をとっている。この構成をとることにより、上記の不具合を未然に防止することができる。
【0101】
(回路動作例)
続いて、実施例2に係る読み出し回路54の回路動作について、
図12のタイミングチャートを用いて説明する。
【0102】
時刻t21~時刻t22の期間において、容量値Cpの第1の容量素子53pを含むP相の経路において、P相(リセット信号)のサンプリング(書き込み)が行われる。このサンプリング期間中に、第1の出力回路540pの前段出力トランジスタ541pの制御信号p_out1が高レベルの状態にあり、前段出力トランジスタ541pはオン状態となる。
【0103】
次に、時刻t22~時刻t26の期間において、第1の容量素子53pにホールドされた電荷量に応じた電位レベルの読み出しが行われる。具体的には、先ず、時刻t22で制御信号p_out1が高レベルから低レベルに遷移することで、前段出力トランジスタ541pはオフ状態となる。
【0104】
次に、時刻t23で、制御信号p_out2及びノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移することで、後段出力トランジスタ542p及びリセットトランジスタ543が共にオン状態となる。これにより、読み出し回路54の出力ノードNoutの電位が所定の基準電位Vrefにリセットされる。そして、時刻t24で、ノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移し、リセットトランジスタ543がオフ状態となることで、出力ノードNoutのリセット動作が完了する。
【0105】
次に、時刻t25で、制御信号p_out1が低レベルから高レベルに遷移し、前段出力トランジスタ541pが再びオン状態になることで、第1の容量素子53pにホールドされた電荷量に応じた電位レベルが、前段出力トランジスタ541p及び後段出力トランジスタ542pを通して出力端子55に読み出される。そして、制御信号p_out2が高レベルから低レベルに遷移し、後段出力トランジスタ542pがオフ状態になることで、P相(リセット信号)の読み出し動作が完了する。
【0106】
D相の経路についても、P相の経路と同様の動作が行われる。すなわち、時刻t22~時刻t26の期間において、容量値Cdの第2の容量素子53dを含むD相の経路において、D相(データ信号)のサンプリング(書き込み)が行われる。このサンプリング期間中に、第2の出力回路540dの前段出力トランジスタ541dの制御信号d_out1が高レベルの状態にあり、前段出力トランジスタ541dはオン状態となる。
【0107】
次に、時刻t26~時刻t30の期間において、第2の容量素子53dにホールドされた電荷量に応じた電位レベルの読み出しが行われる。具体的には、先ず、時刻t26で制御信号d_out1が高レベルから低レベルに遷移することで、前段出力トランジスタ541dはオフ状態となる。
【0108】
次に、時刻t27で、制御信号d_out2及びノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移することで、後段出力トランジスタ542d及びリセットトランジスタ543が共にオン状態となる。これにより、読み出し回路54の出力ノードNoutの電位が所定の基準電位Vrefにリセットされる。そして、時刻t28で、ノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移し、リセットトランジスタ543がオフ状態となることで、出力ノードNoutのリセットが完了する。
【0109】
次に、時刻t29で、制御信号d_out1が低レベルから高レベルに遷移し、前段出力トランジスタ541dが再びオン状態になることで、第2の容量素子53dにホールドされた電荷量に応じた電位レベルが、前段出力トランジスタ541d及び後段出力トランジスタ542dを通して出力端子55に読み出される。そして、制御信号d_out2が高レベルから低レベルに遷移し、後段出力トランジスタ542dがオフ状態になることで、D相(データ信号)の読み出し動作が完了する。
【0110】
(チャネル電荷読み出し時の出力電圧の誤差について)
こごて、実施例2に係る読み出し回路54におけるチャネル読み出し時の出力電圧の誤差について、
図12のタイミングチャートに基づいて、
図13及び
図14の動作説明図を用いて説明する。
【0111】
・
図13Aは、時刻t
21~時刻t
22間のP相読み出し時の動作説明図である。
図13Aにおいて、q
sは、信号電荷であり、q
cは、制御信号p_out1が印加される前段出力トランジスタ541
pのチャネル電荷である。この点については、後述する動作説明においても同様である。
【0112】
・
図13Bは、時刻t
22で、制御信号p_out1に応じてP相の前段出力トランジスタ541
pがオン状態からオフ状態に切り替わる際のチャネル電荷の移動についての動作説明図である。
図11において、ノードbのインピーダンスがノードcのインピーダンスよりも低いため、P相の前段出力トランジスタ541
pのチャネル電荷q
2のほとんどがノードbに流れ、その一部q
2’がノードcに流れる(q
2≫q
2’)。
【0113】
・
図13Cは、時刻t
23~時刻t
24間の動作説明図である。
【0114】
・
図14Aは、時刻t
24でノードリセット信号rstに応じてリセットトランジスタ543がオン状態からオフ状態に切り替わる際のチャネル電荷の移動についての動作説明図である。リセットトランジスタ543がオフ状態に移行する際、そのチャネル電荷の一部q
3’が出力ノードN
outに流れる。
【0115】
・
図14Bは、時刻t
25~時刻t
26間の動作説明図である。制御信号p_out1に応じてP相の前段出力トランジスタ541
pが再びオン状態になり、そのチャネル電荷q
cがノードb/ノードc/出力ノードN
outから供給される。
【0116】
上述したP相読み出し時の動作において、第1の容量素子53pの容量値をCpとするとき、P相読み出し時の出力電圧の誤差ΔVpは、
ΔVp=(q3’-q2’)/Cp
となる。
【0117】
・
図14Cは、時刻t
26で、制御信号d_out1に応じてD相の前段出力トランジスタ541
dがオン状態からオフ状態に切り替わる際のチャネル電荷の移動についての動作説明図である。
図11において、ノードdのインピーダンスがノードeのインピーダンスよりも低いため、D相の前段出力トランジスタ541
dのチャネル電荷q
4のほとんどがノードdに流れ、その一部q
4’がノードeに流れる(q
4≫q
4’)。
【0118】
以下、P相読み出し時と同様にして、D相の電荷の読み出し動作が行われる。第2の容量素子53dの容量値をCdとするとき、D相読み出し時の出力電圧の誤差ΔVは、
ΔVd=(q3’-q4’)/Cd
となる。
【0119】
そして、Cp=Cd=Cと仮定すると、相関二重サンプリング(CDS)処理後の出力電圧の誤差ΔVは、
ΔV=(q2’-q4’)/C
となる。すなわち、CDS処理でq3’が除去される。q2’,q4’については、前段出力トランジスタ541p,541dのチャネル全電荷に対して小さい割合であるため、そのバラツキの絶対量は小さい。従って、CDS処理後の出力電圧誤差のバラツキを抑制することができる。
【0120】
[実施例3]
実施例3は、書き込み回路52及び読み出し回路54の作用により、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションに起因する固定パターンノイズを抑制する例である。実施例3に係るサンプルホールド回路50の回路構成例を
図15に示す。
【0121】
(回路構成例)
実施例3に係るサンプルホールド回路50は、
図7に示すサンプルホールド回路50の具体的な回路構成例、即ち、
図8に示す書き込み回路52の具体的な回路構成例と、
図11に示す読み出し回路54の具体的な回路構成例の組み合わせから成る回路構成となっている。
【0122】
(回路動作例)
続いて、実施例3に係るサンプルホールド回路50の回路動作について、
図16のタイミングチャートを用いて説明する。
【0123】
・P相のサンプリング動作
時刻t31で制御信号p_chargeが低レベルから高レベルに遷移することで、P相の第1の充電トランジスタ521pがオン状態になる。これにより、入力端子51から入力されるリセット信号に基づいて第1の容量素子53pが充電される。その際、P相の前段出力トランジスタ541pがオン状態にあり、後段出力トランジスタ542pがオフ状態にある。
【0124】
時刻t32で、P相の第1の充電トランジスタ521pがオフ状態になり、同時に、制御信号spl及び制御信号p_splenが低レベルから高レベルに遷移し、サンプリングトランジスタ522及び第1の書込トランジスタ523pがオン状態となることで、充電経路がサンプリングトランジスタ522及び第1の書込トランジスタ523pの経路に切り替えられる。
【0125】
次に、時刻t33で、制御信号splが高レベルから低レベルに遷移することで、サンプリングトランジスタ522がオフ状態となる。これにより、第1の容量素子53pにホールドされる電荷量が確定される。時刻t13から時刻t15までは、第1の容量素子53pは、ホールド状態にある。この時刻t13~時刻t15の期間に、第1の容量素子53pのホールドされた電荷量に応じた電位レベルを、後段の読み出し回路54によって読み出すことができる。
【0126】
そして、時刻t33から、P相の第1の容量素子53pでのホールド、及び、後段のアナログ-デジタル変換部15への出力動作が行われる。
【0127】
時刻t34では、それまで高レベルにあった制御信号p_out1が高レベルから低レベルに遷移することで、前段出力トランジスタ541pはオフ状態となる。
【0128】
次に、時刻t35では、制御信号p_out2及びノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移する。これにより、後段出力トランジスタ542p及びリセットトランジスタ543が共にオン状態となり、読み出し回路54の出力ノードNoutの電位のリセット動作が行われる。
【0129】
このリセット動作により、前のデータの履歴が消去される。そして、時刻t36で、ノードリセット信号rstが低レベルから高レベルに遷移し、リセットトランジスタ543がオフ状態となることで、出力ノードNoutのリセット動作が完了する。
【0130】
次に、時刻t37では、制御信号p_out1が低レベルから高レベルに遷移することで、前段出力トランジスタ541pはオン状態となる。これにより、第1の容量素子53pにホールドされたP相の信号が、オン状態にある後段出力トランジスタ542pを通して出力端子55に読み出される。
【0131】
以降、出力端子55に接続されるアナログ-デジタル変換部15において、P相の信号のアナログ-デジタル変換が行われる
【0132】
時刻t38で、第1の書込トランジスタ523pの制御信号p_splenが高レベルから低レベルに遷移することで、第1の書込トランジスタ523pがオフ状態となる。この時点でP相の信号のアナログ-デジタル変換は完了する必要がある。そして、時刻t39で、制御信号p_out2が高レベルから低レベルに遷移することで、後段出力トランジスタ542pがオフ状態となる。
【0133】
・D相のサンプリング動作
時刻t34から、D相のサンプリング動作が開始される。D相のサンプリング動作は、P相のサンプリング動作と同様にして行われる。そして、時刻t40から、D相の第2の容量素子53dでのホールド、及び、後段のアナログ-デジタル変換部15への出力動作が、P相の場合と同様にして行われる。
【0134】
(P相のサンプル/ホールド動作の様子)
続いて、実施例3に係るサンプルホールド回路50におけるP相のサンプル/ホールド動作の様子について、
図17の動作説明図を用いて説明する。
【0135】
・
図17Aは、時刻t
33の動作説明図である。サンプリングトランジスタ522がオン状態からオフ状態に切り替わる際に、サンプリングトランジスタ522のチャネル電荷の一部q
1が、サンプリングトランジスタ522と第1の書込トランジスタ523
pとの接続ノードaに流れる。
【0136】
・
図17Bは、時刻t
34の動作説明図である。出力ノードN
outと導通状態にあるノードcのインピーダンスは、ノードbのインピーダンスよりも高いため、P相の前段出力トランジスタ541
pのチャネル電荷q
2のほとんどがノードbに逃げ、その一部q
2’がノードcに流れる(q
2’≪q
2)。
【0137】
・
図17Cは、時刻t
34の後(時刻t
37の前)の動作説明図である。
【0138】
・
図17Dは、時刻t
37の動作説明図である。時刻t
37で制御信号p_out1が低レベルから高レベルに遷移し、前段出力トランジスタ541
pはオン状態となることで、再び前段出力トランジスタ541
pにチャネルが形成される。
【0139】
上述したサンプル/ホールド動作において、第1の容量素子53pの容量値をCpとするとき、P相の出力電圧の誤差ΔVpは、
ΔVp=(q1-q2’)/Cp
となる。同様に、D相の出力電圧の誤差ΔVdは、
ΔVd=(q1-q4’)/Cp
となる。ここで、q4’は、D相の前段出力トランジスタ541dがオフ状態のときに出力ノードNout側に逃げる電荷量である。
【0140】
そして、Cp=Cd=Cと仮定すると、相関二重サンプリング(CDS)処理後の出力電圧の誤差ΔVは、
ΔV=(q2’-q4’)/C
となる。すなわち、CDS処理でq3’が除去される。q2’,q4’については、前段出力トランジスタ541p,541dのチャネル全電荷に対して小さい割合であるため、チャネル電荷がばらついても、CDS処理後の出力電圧誤差を小さく抑えることができる。
【0141】
上述したように、実施例3に係るサンプルホールド回路50によれば、サンプリングトランジスタ522をP相とD相で共通化したことにより、当該サンプリングトランジスタ522のチャージインジェクション成分を後段のCDS処理で除去することができる。また、サンプリングトランジスタ522のサンプリング時と、前段出力トランジスタ541p/541dの状態を同じ(共にオン状態)にすることで、当該サンプリングトランジスタ522のチャージインジェクションの影響を小さく抑えることができる。
【0142】
また、第1の充電トランジスタ521p/第2の充電トランジスタ521d、及び、後段出力トランジスタ542p/後段出力トランジスタ542dのチャージインジェクションは、サンプル/ホールド信号に対して誤差を与えないし、リセットトランジスタ543のチャージインジェクションについてもCDS処理で除去することができる。
【0143】
更に、第1の充電トランジスタ521p/第2の充電トランジスタ521dの充電経路を通してあらかじめ、第1の容量素子53p/第2の容量素子53dを入力INの電圧変化に追従させておくことにより、当該充電経路からP相/D相共通のサンプリングトランジスタ522の充電経路に切り替えても、第1の容量素子53p/第2の容量素子53dや入力INへの電圧変動を引き起こさず済む。これにより、サンプリングトランジスタ522の制御信号splが高レベルの短い期間でP相もしくはD相の信号をサンプリングできる。
【0144】
更に、P相とD相で、第1の書込トランジスタ523p/第2の書込トランジスタ523dを別々設けた回路構成となっているため、所定のタイミング制御によって、P相のサンプル&ホールドとD相のホールド(サンプル)との間での信号干渉を防止することができる。
【0145】
<変形例>
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明した撮像装置の構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0146】
<応用例>
以上説明した本実施形態に係る撮像装置は、例えば
図18に示すように、可視光、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々な装置に使用することができる。様々な装置の具体例について以下に列挙する。
【0147】
・デジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、TVや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供され装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0148】
<本開示に係る技術の適用例>
本開示に係る技術は、様々な製品に適用することができる。以下に、より具体的な適用例について説明する。
【0149】
[本開示の電子機器]
ここでは、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像システムや、携帯電話機などの撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に撮像装置を用いる複写機などの電子機器に適用する場合について説明する。
【0150】
(撮像システムの例)
図19は、本開示の電子機器の一例である撮像システムの構成例を示すブロック図である。
【0151】
図19に示すように、本例に係る撮像システム100は、レンズ群等を含む撮像光学系101、撮像部102、DSP(Digital Signal Processor)回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108等を有している。そして、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、操作系107、及び、電源系108がバスライン109を介して相互に接続された構成となっている。
【0152】
撮像光学系101は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像部102の撮像面上に結像する。撮像部102は、光学系101によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。DSP回路103は、一般的なカメラ信号処理、例えば、ホワイトバランス処理、デモザイク処理、ガンマ補正処理などを行う。
【0153】
フレームメモリ104は、DSP回路103での信号処理の過程で適宜データの格納に用いられる。表示装置105は、液晶表示装置や有機EL(electro luminescence)表示装置等のパネル型表示装置から成り、撮像部102で撮像された動画または静止画を表示する。記録装置106は、撮像部102で撮像された動画または静止画を、可搬型の半導体メモリや、光ディスク、HDD(Hard Disk Drive)等の記録媒体に記録する。
【0154】
操作系107は、ユーザによる操作の下に、本撮像装置100が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源系108は、DSP回路103、フレームメモリ104、表示装置105、記録装置106、及び、操作系107の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0155】
上記の構成の撮像システム100において、撮像部102として、先述した実施形態に係る列並列型アナログ-デジタル変換部を備える撮像装置を用いることができる。当該撮像装置によれば、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキを軽減することで、画素列の固定パターンノイズを抑制することができる。従って、画素列の固定パターンノイズに起因する縦筋が撮像画像上に現れることがないため、高画質の撮像画像を得ることができる。
【0156】
[移動体への応用例]
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される撮像装置として実現されてもよい。
【0157】
図20は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0158】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図20に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(interface)12053が図示されている。
【0159】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0160】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0161】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0162】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0163】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0164】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0165】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0166】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0167】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図20の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0168】
図21は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0169】
図21では、車両12100は、撮像部12031として、撮像部12101,12102,12103,12104,12105を有する。
【0170】
撮像部12101,12102,12103,12104,12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102,12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。撮像部12101及び12105で取得される前方の画像は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0171】
なお、
図21には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0172】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0173】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0174】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0175】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0176】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、例えば、撮像部12031等に適用され得る。そして、撮像部12031等が列並列型アナログ-デジタル変換部を備える場合に、当該列並列型アナログ-デジタル変換部に本開示に係る技術を適用することにより、サンプルホールド時のスイッチング動作に伴うチャージインジェクションのバラツキを軽減することで、画素列の固定パターンノイズを抑制することができる。従って、画素列の固定パターンノイズに起因する縦筋が撮像画像上に現れることがないため、高画質の撮像画像を得ることができる。
【0177】
<本開示がとることができる構成>
尚、本開示は、以下のような構成をとることもできる。
【0178】
≪A.第1の態様に係る撮像装置≫
[A-01]光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有する、
撮像装置。
[A-02]第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、
しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える、
上記[A-01]に記載の撮像装置。
[A-03]サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、
サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする、
上記[A-02]に記載の撮像装置。
【0179】
≪B.第2の態様に係る撮像装置≫
[B-01]光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
撮像装置。
[B-02]第1の出力回路及び第2の出力回路において、
書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、
しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする、
上記[B-01]に記載の撮像装置。
[B-03]第1の出力回路及び第2の出力回路において、
出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする、
上記[B-02]に記載の撮像装置。
【0180】
≪C.第3の態様に係る撮像装置≫
[C-01]光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有し、
読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
撮像装置。
[C-02]第1の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第1の容量素子を充電し、第1の充電トランジスタをオフ状態にした後、第1の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路に切り替え、
しかる後、第2の充電トランジスタをオン状態にしてリセット信号に基づいて第2の容量素子を充電し、第2の充電トランジスタをオフ状態にした後、第2の容量素子の充電経路を、サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路に切り替える、
上記[C-01]に記載の撮像装置。
[C-03]サンプリングトランジスタ及び第1の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第1の書込トランジスタを介して第1の容量素子にホールドし、
サンプリングトランジスタ及び第2の書込トランジスタの経路において、サンプリングトランジスタによってリセット信号をサンプリングし、第2の書込トランジスタを介して第2の容量素子にホールドする、
上記[C-02]に記載の撮像装置。
[C-04]第1の出力回路及び第2の出力回路において、
書き込み回路によるリセット信号及びデータ信号のサンプルホールド期間中にオン状態にある前段出力トランジスタをオフ状態にし、
しかる後、リセットトランジスタ及び後段出力トランジスタをオン状態にし、出力ノードの電位をリセットする、
上記[C-01]に記載の撮像装置。
[C-05]第1の出力回路及び第2の出力回路において、
出力ノードの電位をリセットした後前段出力トランジスタをオン状態にし、第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出し、しかる後、後段出力トランジスタをオフ状態にする、
上記[C-04]に記載の撮像装置。
【0181】
≪D.電子機器≫
[D-01]光電変換部を含む複数の画素が行列状に配置された画素アレイ部、及び、
画素アレイ部の画素列に対応して設けられ、信号線を通して画素から出力される画素信号をサンプルホールドする複数のサンプルホールド回路を備え、
サンプルホールド回路は、
画素から出力されるリセット信号及びデータ信号を入力する入力端子、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号を書き込む書き込み回路、
書き込み回路によって書き込まれたリセット信号を保持する第1の容量素子、
書き込み回路によって書き込まれたデータ信号を保持する第2の容量素子、
第1の容量素子に保持されたリセット信号、及び、第2の容量素子に保持されたデータ信号を読み出す読み出し回路、並びに、
読み出し回路によって読み出されたリセット信号及びデータ信号を出力する出力端子を備え、
書き込み回路は、
入力端子と第1の容量素子との間に接続された第1の充電トランジスタ、
入力端子と第2の容量素子との間に接続された第2の充電トランジスタ、
入力端子から入力されるリセット信号及びデータ信号をサンプリングするサンプリングトランジスタ、
サンプリングトランジスタと第1の容量素子との間に接続された第1の書込トランジスタ、並びに、
サンプリングトランジスタと第2の容量素子との間に接続された第2の書込トランジスタを有する、
撮像装置を備える電子機器。
[D-02]読み出し回路は、
第1の容量素子と出力端子との間に接続された第1の出力回路、
第2の容量素子と出力端子との間に接続された第2の出力回路、並びに、
第1の出力回路及び第2の出力回路の各出力ノードの電位をリセットするリセットトランジスタを有し、
第1の出力回路及び第2の出力回路はそれぞれ、第1の容量素子と出力ノードとの間、及び、第2の容量素子と出力ノードとの間に直列に接続された前段出力トランジスタ及び後段出力トランジスタを有する、
上記[D-01]に記載の電子機器。
【符号の説明】
【0182】
1・・・CMOSイメージセンサ(撮像装置)、20・・・画素(画素回路)、11・・・画素アレイ部、12・・・行選択部、13・・・負荷MOS部、14・・・サンプルホールド部、15・・・アナログ-デジタル変換部、16・・・メモリ部、17・・・データ処理部、18・・・出力部、19・・・タイミング制御部、21・・・フォトダイオード(光電変換部)、22・・・転送トランジスタ、23・・・リセットトランジスタ、24・・・増幅トランジスタ、25・・・選択トランジスタ、31(311~31m)・・・画素駆動線、32(321~32n)・・・垂直信号線、50・・・サンプルホールド回路、51・・・入力端子、52・・・書き込み回路、53p・・・第1の容量素子、53d・・・第2の容量素子、54・・・読み出し回路、55・・・出力端子