(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045106
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】製剤および調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 49/00 20060101AFI20240326BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240326BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240326BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240326BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240326BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20240326BHJP
C07K 7/08 20060101ALN20240326BHJP
C12Q 1/04 20060101ALN20240326BHJP
G01N 33/533 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
A61K49/00 ZNA
A61K9/19
A61K47/04
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/64
C07K7/08
C12Q1/04
G01N33/533
【審査請求】有
【請求項の数】56
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215576
(22)【出願日】2023-12-21
(62)【分割の表示】P 2020551822の分割
【原出願日】2019-03-26
(31)【優先権主張番号】1804835.5
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】396019387
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】マリト スワード ノルドゥモ キセルド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヒトcMetに対して高い親和性を有する水溶性26-アミノ酸環状ペプチドを含み、貯蔵寿命が長く、静脈内注射に適したイメージング用製剤を提供する。
【解決手段】医薬品有効成分(API)と、緩衝剤と、凍結乾燥保護剤とを有する凍結乾燥製剤であって、APIは、哺乳動物の身体をin vivoで光学的にイメージングするのに適したシアニン染料などをコンジュゲートさせた製剤とする。この製剤または医薬組成物を、がんなどの症状の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法などにおいて使用するイメージング方法も提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)医薬品有効成分(API)と;
(ii)緩衝剤と;
(iii)凍結乾燥保護剤と
を含む凍結乾燥製剤であって、前記APIが、哺乳動物の身体を光学的にイメージングす
るのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング剤である、凍
結乾燥製剤。
【請求項2】
前記イメージング剤が、緑色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用する
イメージングに適した少なくとも1種の光学レポーターを含む、請求項1に記載の凍結乾
燥製剤。
【請求項3】
イメージング剤が式Iの化合物を含む、請求項1または2に記載の凍結乾燥製剤:
【化1】
(式中、
Z
1は、cMBPのN末端に結合しており、HまたはM
IGである;
Z
2は、cMBPのC末端に結合しており、OH、NH
2、OB
c(B
cは生体適合性カ
チオンである)またはM
IGである;
cMBPは、17~30個のアミノ酸のcMet結合環状ペプチドであり、下記のアミノ
酸配列(配列番号1)を含む:
Cys
a-Xaa
1-Cys
c-Xaa
2-Gly-Pro-Pro-Xaa
3-Phe
-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6
(Xaa
1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa
2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa
3は、ThrまたはArgである;
Xaa
4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa
5は、SerまたはThrである;
Xaa
6は、AspまたはGluである;
Cys
a-dはそれぞれシステイン残基であって、残基aとbと、ならびに残基c
とdとが環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している);
M
IGは代謝阻害基であって、前記ペプチドのin vivo代謝を阻害または抑制する
生体適合性基である;
Lは、式-(A)m-の合成リンカー基である
(各Aは、独立して、-CR
2-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR
2CO
2
-、-CO
2CR
2-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR
(C=S)NR-、-SO
2NR-、-NRSO
2-、CR
2OCR
2-、-CR
2SC
R
2-、CR
2NRCR
2-、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアル
キレン基、C
5-12アリーレン基、C
3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖また
は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである;
各Rは、独立して、H、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキ
ニル、C
1-4アルコキシアルキルまたはC
1-4ヒドロキシアルキルから選択される;
mは、値1~20の整数である);
nは、値0または1の整数である;
IMは、紫色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用して哺乳動物の身体を
イメージングするのに適した光学レポーターイメージング部位である)。
【請求項4】
配列番号1に加えて、前記cMBPがさらに、C-またはN-cMBPペプチド末端の
いずれかの4個のアミノ酸残基内に、AspもしくはGlu残基、またはそれらの類似体
を含み、-(L)nIMがアミン基で官能化されており、このアミン基が前記Aspもし
くはGlu残基、またはそれらの類似体のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド
結合を与えている、請求項3に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項5】
配列番号1に加えて、前記cMBPが、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれ
かの4個のアミノ酸残基内に、Lys残基、またはその類似体を含み、-(L)nIMが
カルボキシル基で官能化されており、このカルボキシル基が前記Lys残基、またはその
類似体のε-アミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている、請求項3または
4に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項6】
cMBPが、下記の配列番号2または配列番号3のいずれかのアミノ酸配列を含む、請
求項3~5のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤:
Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3
-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa
6(配列番号2);
Ala-Gly-Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-
Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-
Xaa5-Xaa6-Gly-Thr(配列番号3)。
【請求項7】
Xaa3がArgである、請求項3~6のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項8】
配列番号1、配列番号2または配列番号3に加えて、cMBPがさらに、そのN-また
はC-末端のいずれかに、-Gly-Gly-Gly-Lys(配列番号4)、-Gly
-Ser-Gly-Lys-(配列番号5)および-Gly-Ser-Gly-Ser-
Lys(配列番号6)から選択されるリンカーペプチドを含む、請求項3~7のいずれか
一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項9】
cMBPが、下記のアミノ酸配列(配列番号7)を含む、請求項3~8のいずれか一項
に記載の凍結乾燥製剤:
Ala-Gly-Ser-Cysa-Tyr-Cysc-Ser-Gly-Pro-Pr
o-Arg-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Glu-Thr-
Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys。
【請求項10】
Z1およびZ2の両方が、独立してMIGである、請求項3~9のいずれか一項に記載
の凍結乾燥製剤。
【請求項11】
Z1がアセチルであり、Z2が第一級アミドである、請求項3~10のいずれか一項に
記載の凍結乾燥製剤。
【請求項12】
nが0である、請求項3~11のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項13】
IMが、600~1,000nmの範囲の最大吸光度を有する染料である、請求項3~
12のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項14】
IMがシアニン染料である、請求項13に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項15】
前記シアニン染料が式IIIを有する、請求項14に記載の凍結乾燥製剤:
【化2】
(式中、
R
1およびR
2は、独立して、HまたはSO
3M
1であり、R
1およびR
2のうちの少な
くとも1つはSO
3M
1(M
1はHまたはB
cである)である;
R
3およびR
4は、独立して、C
1-4アルキルまたはC
1-6カルボキシアルキルであ
る;
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立してR
a基である(R
aは、C
1-4アルキル、C
1-6カルボキシアルキルまたは-(CH
2)
kSO
3M
1(kは、値3または4の整数
である)である);
ただし、前記シアニン染料は、前記R
1、R
2およびR
a基に合計1~4個のSO
3M
1
置換基を有することを条件とする)。
【請求項16】
復元したときに、約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.3~約pH9の
間、任意選択で約pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.8~約pH8.
2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~約pH8の間の
pHを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項17】
復元したときに、前記緩衝剤が、約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.
3~約pH9の間、任意選択で約pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.
8~約pH8.2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~
約pH8の間のpHを有する溶液を提供する量で存在する、請求項1~16のいずれか一
項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項18】
API:緩衝剤のモル比が、API約1モル:緩衝剤約17~約47モル、任意選択で
API約1モル:緩衝剤約27~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約30
~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約34~約47モル、任意選択でAP
I約1モル:緩衝剤約27~約38モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約30~約
38モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約34~約38モルである、請求項1~1
7のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項19】
API:凍結乾燥保護剤のモル比が、API約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約2
16モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約163モル、任意選
択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約154モル、任意選択でAPI約1モ
ル:凍結乾燥保護剤約105~約145モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護
剤約105~約141モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約1
32モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約129モル、任意選
択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約216モル、任意選択でAPI約1モ
ル:凍結乾燥保護剤約129~約163モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護
剤約129~約154モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約1
45モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約141モル、任意選
択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約132モルである、請求項1~18の
いずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項20】
前記製剤が、APIを約4~約12重量%、任意選択でAPIを約8~約10重量%、
任意選択でAPIを約9重量%含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の凍結乾燥製
剤。
【請求項21】
前記製剤が、緩衝剤を約3~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約7~約35重量%、
任意選択で緩衝剤を約12~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約15~約35重量%、
任意選択で緩衝剤を約18~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約25~約35重量%、
任意選択で緩衝剤を約32~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約32%含む、請求項1
~20のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項22】
前記製剤が、凍結乾燥保護剤を約56~約91重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約
56~約82重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約77重量%、任意選択で凍
結乾燥保護剤を約56~約75重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約72重量
%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約66重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約
56~約58重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約58重量%を含む、請求項1~21
のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項23】
前記緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびアルカノールアミン緩衝剤のうちの少なくとも1つ
である、請求項1~22のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項24】
前記リン酸緩衝剤がリン酸水素およびリン酸二水素を含み、任意選択で前記リン酸緩衝
剤が水和している、請求項23に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項25】
前記アルカノールアミン緩衝剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである、請
求項23または24に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項26】
前記凍結乾燥保護剤が、スクロースおよびマンニトール、ならびにそれらの誘導体のう
ちの少なくとも1つである、請求項1~25のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項27】
前記凍結乾燥保護剤がマンニトールまたはその誘導体である、請求項1~26のいずれ
か一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項28】
前記製剤がさらに張度調節剤を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の凍結乾燥
製剤。
【請求項29】
前記凍結乾燥保護剤が張度調節剤としても作用する、請求項1~28のいずれか一項に
記載の凍結乾燥製剤。
【請求項30】
凍結乾燥製剤の調製方法であって、
a)医薬品有効成分(API)、緩衝剤、および凍結乾燥保護剤を凍結乾燥容器に供給す
る工程と;
b)第1水分除去ステップを実行する工程と;
c)第2水分除去ステップを実行する工程と
を含み、前記凍結乾燥を行う前に、前記凍結乾燥保護剤および前記緩衝剤を添加する、方
法。
【請求項31】
第1水分除去ステップを、約-30℃以下、任意選択で約-35℃以下、任意選択で約
-38℃以下の温度で行う、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第2水分除去ステップを、約10℃以上、任意選択で約15℃以上、任意選択で約20
℃以上の温度で行う、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
第1および第2水分除去ステップのうちの少なくとも1つを、50μbar以下の圧力
で行う、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
第1および第2水分除去ステップの両方を、50μbar以下の圧力で行う、請求項3
0~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記凍結乾燥製剤が、請求項1~29のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤である、請
求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
請求項30~34のいずれか一項に記載の方法によって調製された凍結乾燥製剤。
【請求項37】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤と生体適合性担体とを、哺乳動物への投与
に適した形態で含む医薬組成物。
【請求項38】
約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約
pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.8~約pH8.2の間、任意選択
で約pH7~約pH8の間のpHを有する、請求項37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
請求項37または38に記載の医薬組成物を調製するためのキットであって、請求項1
~29のいずれか一項に記載の製剤を無菌固体形態で含み、請求項37または38に記載
の生体適合性担体の無菌供給物で復元させると、溶解が起こり、前記所望の医薬組成物が
得られるような、キット。
【請求項40】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤および請求項37または38に記載の医薬
組成物のうちの少なくとも1つを使用することを含む、前記哺乳動物の身体のイメージン
グ方法。
【請求項41】
前記イメージングがin vivoである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記イメージングが光学イメージングである、請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
前記イメージングが、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を得るためのもの
である、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤または請求項37もしくは38に記載の医
薬組成物を、前記哺乳動物の身体に前もって投与している、請求項40~43のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項45】
請求項40~44のいずれか一項に記載の方法であって、
a)対象の組織表面を励起光で照らす工程と;
b)前記イメージング剤の励起により発生した前記イメージング剤からの蛍光を検出する
工程と;
c)任意選択で、蛍光検出器によって検出した前記光をフィルタリングして蛍光成分を分
離する工程と;
d)工程(b)または(c)の蛍光から前記対象の組織表面の画像を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項46】
工程(a)の励起光が、本質的に連続波(CW)である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項40~44のいずれか一項に記載の方法であって、
a)前記哺乳動物の身体の不均一組成を有する光散乱生体組織を、所定の経時変化する強
度の光源からの光にさらして前記イメージング剤を励起させる工程であって、前記組織が
前記励起光を多重散乱させる工程と;
b)前記露光に応答した前記組織からの多重散乱発光を検出する工程と;
c)プロセッサを用いて複数の値を確立することにより、前記発光から前記組織全体の蛍
光特性を定量化する工程であって、前記値が、前記組織内の異なる位置における前記蛍光
特性のレベルにそれぞれ対応しており、前記蛍光特性のレベルが、前記組織の不均一組成
によって変化するものである工程と;
d)工程(c)の値に従って前記組織の不均一組成をマッピングすることにより、前記組
織の画像を生成する工程と
を含む、方法。
【請求項48】
前記光学イメージング方法が、蛍光イメージング、任意選択で蛍光内視鏡検査を含む、
請求項40~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法を補
助するために使用される、請求項40~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道が
ん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺
がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療
、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法を補助するために使用される、請求項40
~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
請求項40~50のいずれか一項に記載のイメージング方法を含んでなる、検出、診断
、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法の方法。
【請求項52】
前記哺乳動物の身体のイメージングにおけるイメージング剤として使用するための、請
求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、または請求項37もしくは38に記載の医薬
組成物。
【請求項53】
薬剤として使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、または請求
項37もしくは38に記載の医薬組成物。
【請求項54】
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法にお
いて使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、または請求項37も
しくは38に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道が
ん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺
がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療
、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において使用するための、請求項1~29
のいずれか一項に記載の製剤、または請求項37もしくは38に記載の医薬組成物。
【請求項56】
cMetの過剰発現部位または局在部位の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の
監視、疾患進行の監視または監視療法において使用するための、請求項1~29のいずれ
か一項に記載の製剤、または請求項37もしくは38に記載の医薬組成物。
【請求項57】
cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任意選択でin vivoで得るた
めに使用される、請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、または請求項37もしく
は38に記載の医薬組成物。
【請求項58】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、検出、診断、手術、病期分類、治療、治療
の監視、疾患進行の監視または監視療法の方法。
【請求項59】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、哺乳動物の身体のイメージング方法。
【請求項60】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、前がん症状およびがんのうちの1つもしく
は複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部が
ん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしく
は複数の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療
法の方法。
【請求項61】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、cMetの過剰発現部位または局在部位の
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法の方法
。
【請求項62】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つを使用して、cMetの過剰発現部位または局在部位の
画像を、任意選択でin vivoで得る方法。
【請求項63】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つの使用。
【請求項64】
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法にお
ける、請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載
の医薬組成物の少なくとも1つの使用。
【請求項65】
請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医
薬組成物のうちの少なくとも1つの、イメージング剤としての使用。
【請求項66】
前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道が
ん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺
がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療
、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法における、請求項1~29のいずれか一項
に記載の製剤、および請求項37または38に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つ
の使用。
【請求項67】
cMetの過剰発現部位または局在部位の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の
監視、疾患進行の監視または監視療法における、請求項1~29のいずれか一項に記載の
製剤、および請求項37または38に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用。
【請求項68】
cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任意選択でin vivoで得る際
の、請求項1~29のいずれか一項に記載の製剤、および請求項37または38に記載の
医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物に投与するための製剤およびその調製方法に関する。特に、
本発明は、より安定な医薬製剤、例えば静脈内投与用のものなど、およびそれらの調製方
法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2008/139207号(参照により本明細書に組み込まれる)は、in
vivoでの光学イメージングに適した標識cMet結合ペプチドを記載している。こ
のペプチドは、赤色~近赤外領域でのイメージングに適した光学レポーター基で標識され
ている。また、静脈内投与用の光学分子イメージングcMet結合ペプチド、例えば結腸
直腸がん(CRC)の早期診断に使用することができるものなども記載されている。
【0003】
より詳細には、国際公開第2008/139207号は、ヒトcMetに対して高い親
和性を有する水溶性26-アミノ酸環状ペプチドを記載しており、このペプチドは、哺乳
動物の身体をin vivoでイメージングするのに適した蛍光光学レポーターイメージ
ング部位を含む。この部位は、653nmでの励起ピークと675nmでの発光ピークと
を伴う強い蛍光シグナルを示し、これは、表在性病変のイメージングに最適な波長領域と
考えられている。
【0004】
しかしながら、本発明者らは、その記載されているイメージング剤は、溶液中での貯蔵
寿命が短く、したがって静脈内注射前のイメージング剤の貯蔵および分解が問題となり得
ることを確認している。さらに、静脈内使用では、イメージング剤は、静脈内投与に適切
なpHおよび張度であることが有益である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、イメージング剤、特に光学イメージング剤、より具体的
には国際公開第2008/139207号に記載のようなペプチドを含む光学イメージン
グ剤のためのより安定な製剤を提供することである。本発明のさらなる目的は、イメージ
ング剤、特に光学イメージング剤、より具体的には国際公開第2008/139207号
に記載のようなペプチドを含む光学イメージング剤のための製剤であって、より良好な復
元を、特に静脈内使用に適したpHおよび/または張度で示す製剤を提供することである
。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、
(i)医薬品有効成分(API)と;
(ii)緩衝剤と;
(iii)凍結乾燥保護剤と
を含む凍結乾燥製剤であって、APIが、哺乳動物の身体をin vivoで光学的にイ
メージングするのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング
剤である凍結乾燥製剤が提供される。
【0007】
哺乳動物の身体の光学イメージングは、in vivoであり得る。
【0008】
用語「緩衝剤」は、pH調整剤を意味する。緩衝剤は、溶解して緩衝液を形成する化合
物または組成物(例えば、塩)であり得る。緩衝剤は、脱水緩衝塩であり得る。緩衝剤は
、下記のもののうちの少なくとも1つであり得る:酸(典型的には弱酸)およびそれらの
塩のうちの1つ、ならびに塩基(典型的には弱塩基)およびそれらの塩のうちの1つ。
【0009】
用語が本発明の分野でしばしば交換可能に使用されることを考慮すると、「凍結乾燥保
護剤」への言及は「凍結保護剤」を含み、逆もまた同様である。
【0010】
イメージング剤は、紫色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用してイメ
ージングするのに適した少なくとも1つの光学レポーターを含み得る。
【0011】
イメージング剤は、式Iの化合物を含み得る:
【化1】
(式中、
Z
1は、cMBPのN末端に結合しており、HまたはM
IGである;
Z
2は、cMBPのC末端に結合しており、OH、NH
2、OB
c(B
cは生体適合性カ
チオンである)またはM
IGである;
cMBPは、17~30個のアミノ酸のcMet結合環状ペプチドであり、下記のアミノ
酸配列(配列番号1)を含む:
Cys
a-Xaa
1-Cys
c-Xaa
2-Gly-Pro-Pro-Xaa
3-Phe
-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6
(Xaa
1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa
2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa
3は、ThrまたはArgである;
Xaa
4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa
5は、SerまたはThrである;
Xaa
6は、AspまたはGluである;
Cys
a-dはそれぞれシステイン残基であって、残基aとbと、ならびに残基c
とdとが環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している);
M
IGは代謝阻害基であって、ペプチドのin vivo代謝を阻害または抑制する生体
適合性基である;
Lは、式-(A)m-の合成リンカー基である
(各Aは、独立して、-CR
2-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR
2CO
2
-、-CO
2CR
2-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR
(C=S)NR-、-SO
2NR-、-NRSO
2-、CR
2OCR
2-、-CR
2SC
R
2-、CR
2NRCR
2-、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアル
キレン基、C
5-12アリーレン基、C
3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖また
は単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである;
各Rは、独立して、H、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキ
ニル、C
1-4アルコキシアルキルまたはC
1-4ヒドロキシアルキルから選択される;
mは、値1~20の整数である);
nは、値0または1の整数である;
IMは、緑色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用して哺乳動物の身体を
イメージングするのに適した光学レポーターイメージング部位である)。
【0012】
用語「イメージング剤」は、in vivoまたはex vivoで哺乳動物の身体を
イメージングするのに適した化合物を意味する。Ex vivoイメージングは、依然と
して哺乳動物の身体への投与を必要とするが、組織試料などを取り出し、その試料を体外
でイメージングすることも伴い得る。そのような例では、製剤は、哺乳動物の身体に投与
される限りにおいてin vivoで使用され、イメージングが哺乳動物の身体の外部で
行われる限りにおいてex vivoで使用される。哺乳動物は、ヒト被験体であり得る
。イメージングは、侵襲的(例えば、手術中もしくは内視鏡的)または非侵襲的であり得
る。イメージング方法は、内視鏡検査であり得る。式Iの化合物は、in vivoイメ
ージングに適しているが、in vitro用途(例えば、生体試料中のcMetを定量
するアッセイまたは組織試料中のcMetの可視化)もあり得る。本イメージング剤は、
in vivoイメージングに使用され得る。
【0013】
Z1基は、最後のアミノ酸残基のアミン基を置換する。したがって、Z1がHの場合、
cMBPのアミノ末端は、最後のアミノ酸残基の遊離NH2基で終端する。Z2基は、最
後のアミノ酸残基のカルボニル基を置換する。したがって、Z2がOHの場合、cMBP
のカルボキシ末端は最後のアミノ酸残基の遊離CO2H基で終端し、Z2がOBcの場合
、その末端カルボキシ基はCO2Bc基としてイオン化されている。
【0014】
用語「代謝阻害基」(MIG)は、アミノ末端(Z1)またはカルボキシ末端(Z2)
のいずれかにおいて、cMBPペプチドのin vivo代謝を阻害または抑制する生体
適合性基を意味する。そのような基は、当業者によく知られており、適切には、ペプチド
のアミン末端では、N-アシル化基-NH(C=O)RG(式中、アシル基-(C=O)
RGは、C1-6アルキル、C3-10アリール基から選択されるRGを有するか、ポリ
エチレングリコール(PEG)ビルディングブロックを含む)から選択される。適切なP
EG基は、下記のリンカー基(L)で記載している。そのようなPEG基は、式IAまた
はIBの生体修飾基であり得る。そのようなアミノ末端MIG基は、アセチル、ベンジル
オキシカルボニルまたはトリフルオロアセチル、典型的にはアセチルであり得る。
【0015】
ペプチドのカルボキシル末端に適した代謝阻害基には、カルボキサミド、tert-ブ
チルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコールまたはポ
リエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックが挙げられる。cMBPペプチド
のカルボキシ末端アミノ酸残基に適したM基は、アミノ酸残基の末端アミンをC1-4ア
ルキル基、任意にメチル基でN-アルキル化したものである。そのようなMIG基は、カ
ルボキサミドまたはPEGであり得、カルボキサミドであり得る。
【0016】
式Iは、-(L)n[IM]部位が、Z1、Z2またはcMBPの任意の適当な位置に
結合していてもよいことを示す。Z1またはZ2については、Z1/Z2のいずれかがM
IGであるとき、-(L)n[IM]部位は、どちらのMIG基にも結合し得る。Z1が
Hであるか、Z2がOHであるとき、Z1またはZ2の位置に-(L)n[IM]部位が
結合すると、それぞれ式[IM]-(L)n-[cMBP]-Z2またはZ1-[cMB
P]-(L)n-[IM]の化合物を与える。いずれかのペプチド末端でのcMBPの代
謝の阻害は、このように-(L)n-[IM]部位の結合によっても達成され得るが、-
(L)n-[IM]は、本明細書中のMIGの定義の範囲外である。
【0017】
式Iの-(L)n-部位は、IMの任意の適当な位置に結合し得る。この-(L)n-
部位は、IMの既存の置換基の代わりになるか、IMの既存の置換基に共有結合している
。この-(L)n-部位は、任意選択で、IMのカルボキシアルキル置換基を介して結合
している。
【0018】
用語「cMet結合環状ペプチド」(cMBP)は、cMet(c-Metまたは肝細
胞増殖因子受容体)としても知られる肝細胞増殖因子(HGF)高親和性受容体に結合す
るペプチドを意味する。適切なcMBPペプチドでは、cMet/HGF複合体のcMe
tに対する見かけのKdは約2μM未満である。cMBPペプチドはプロリン残基を含み
、かかる残基は、主鎖アミド結合のシス/トランス異性化を示し得ることが知られている
。本明細書に記載のcMBPペプチドには、任意のそのような異性体が含まれる。
【0019】
用語「生体適合性カチオン」(Bc)は、イオン化して負に荷電した基と塩を形成する
正に荷電した対イオンを意味し、前記正に荷電した対イオンはさらに、非毒性であり、そ
れ故に哺乳動物の身体、特に人体への投与に適したものである。適切な生体適合性カチオ
ンの例としては、アルカリ金属であるナトリウムまたはカリウム;アルカリ土類金属であ
るカルシウムおよびマグネシウム;ならびにアンモニウムイオンが挙げられる。典型的な
生体適合性カチオンは、ナトリウムおよびカリウムであり、典型的にはナトリウムである
。
【0020】
用語「アミノ酸」は、L-もしくはD-アミノ酸、アミノ酸類似体(例えば、ナフチル
アラニン)またはアミノ酸模倣体を意味し、天然のものでも、純粋な合成品であってもよ
く、光学的に純粋なもの、すなわち単一のエナンチオマーであり、したがってキラルであ
ってもよく、またはエナンチオマーの混合物であってもよい。本明細書では、アミノ酸に
ついて慣用の3文字または1文字の略語を使用している。使用するアミノ酸は、光学的に
純粋であり得る。用語「アミノ酸模倣体」は、アイソスターである天然アミノ酸の合成類
似体、すなわち天然化合物の立体構造および電子構造を模倣するように設計されたものを
意味する。そのようなアイソスターは、当業者によく知られており、デプシペプチド、レ
トロインベルソペプチド、チオアミド、シクロアルカンまたは1,5-二置換テトラゾー
ルが挙げられるが、これらに限定されない[M. Goodman, Biopolym
ers, 24, 137, (1985)を参照]。
【0021】
用語「ペプチド」は、上記で定義したように、ペプチド結合(すなわち、あるアミノ酸
のアミンと別のアミノ酸のカルボキシルとを連結するアミド結合)によって連結された2
個以上のアミノ酸を含む化合物を意味する。用語「ペプチド模倣体」または「模倣体」は
、ペプチドまたはタンパク質の生物活性を模倣するが、化学的性質がもはやペプチドでは
ない生物活性化合物を指し、すなわち、それらはもはやペプチド結合(すなわち、アミノ
酸間のアミド結合)を含まない。ここでは、ペプチド模倣体という用語はより広い意味で
使用され、性質がもはや完全にはペプチドではない分子、例えば擬似ペプチド、半ペプチ
ドおよびペプトイドなどを含む。
【0022】
用語「光学レポーターイメージング部位」(IM)は、緑色~近赤外波長(400~1
,200nm、任意選択で600~1,000nm)の光を使用する光学イメージング手
順において、直接的もしくは間接的に検出することが可能な蛍光染料または発色団を意味
する。IMは、蛍光特性を有し得る。
【0023】
式Iのリンカー基-(A)m-の役割の1つは、IMをcMBPペプチドの活性部位か
ら遠ざけることであり得る。これは、イメージング部位が比較的かさ高い場合、酵素との
相互作用が損なわれないように、特に重要である。これは、かさ高い基が活性部位から離
れた位置に自らを位置付ける自由度を有するような柔軟性(例えば、単純アルキル鎖)お
よび/またはIMを活性部位から離れた位置に配向させるシクロアルキルもしくはアリー
ルスペーサーなどの硬直性を組み合わせることで達成され得る。リンカー基の性質は、イ
メージング剤の生体内分布を調整するためにも使用することができる。したがって、例え
ば、リンカー中にエーテル基を導入することは、血漿タンパク質の結合を調整するのに役
立つ。-(A)m-がポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックまたは1
~10個のアミノ酸残基のペプチド鎖を含む場合、リンカー基は、in vivoでイメ
ージング剤の薬物動態および血中クリアランス速度を調整するように機能し得る。そのよ
うな「バイオモディファイア」リンカー基は、筋肉もしくは肝臓などのバックグラウンド
組織、および/または血液からのイメージング剤のクリアランスを加速させ、バックグラ
ウンド干渉を減少させることで、より良好な診断画像を与え得る。バイオモディファイア
リンカー基を使用して、特定の排泄経路、例えば、肝臓経由ではなく腎臓経由を有利にす
ることもできる。
【0024】
用語「糖」は、単糖、二糖または三糖を意味する。適切な糖には、グルコース、ガラク
トース、マルトース、マンノース、およびラクトースが挙げられる。任意選択で、糖は、
アミノ酸への容易なカップリングを可能にするように官能化されていてもよい。したがっ
て、例えば、アミノ酸のグルコサミン誘導体は、ペプチド結合を介して他のアミノ酸にコ
ンジュゲートすることができる。アスパラギンのグルコサミン誘導体(NovaBioc
hemから市販されている)は、その一例である:
【化2】
【0025】
イメージング剤の分子量は、適切には最大8,000ダルトンである。任意選択で、分
子量は2,800~6,000ダルトンの範囲であり、典型的には3,000~4,50
0ダルトンであり、3,200~4,000ダルトンが最も典型的である。
【0026】
本発明のイメージング剤は、ペプチド末端の両方がMIG基によって保護され得、すな
わち、任意選択でZ1およびZ2の両方がMIGであり、これらは通常異なっている。上
述したように、Z1/Z2のいずれかが、任意選択で-(L)n[IM]に相当し得る。
このようにペプチド末端の両方が保護されていることは、in vivoイメージング用
途にとって重要であり、その理由は、そうでなければ急速な代謝が起こり、cMetに対
する選択的結合親和性の喪失という結果を生じると予想されるためである。Z1およびZ
2の両方がMIGである場合、任意選択でZ1はアセチルであり、Z2は第一級アミドで
ある。Z1はアセチルであり得、Z2は第一級アミドであり得、-(L)n[IM]部位
は、cMBPのリシン残基のε-アミン側鎖に結合し得る。
【0027】
本発明のcMBPペプチドは、cMet/HGF複合体に対するcMetの結合につい
てのKDが約10nM未満(蛍光偏光アッセイ測定に基づく)であり得、最も典型的には
1~5nMの範囲であり、3nM未満が理想的である。
【0028】
式IのcMBPの下記ペプチド配列(配列番号1)は、17量体ペプチド配列であり、
主にcMetへの選択的結合に関与する:
Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3-Phe
-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa6
(配列番号1)。
本発明のcMBPペプチドが17個を超えるアミノ酸残基を含むとき、残りのアミノ酸は
、システイン以外の任意のアミノ酸であり得る。追加の無保護システイン残基は、定義し
たCysa-CysbおよびCysc-Cysdジスルフィド架橋の不要なスクランブリ
ングを引き起こす可能性がある。追加のペプチドは、好ましくは、-(L)n[IM]部
位の容易なコンジュゲーションに適した側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸残基を含
む。そのような適切な残基としては、アミン官能化-(L)n[IM]基とのコンジュゲ
ーション用のAspもしくはGIu残基、またはカルボキシ官能化もしくは活性エステル
官能化-(L)n[IM]基とのコンジュゲーション用のLys残基が挙げられる。-(
L)n[IM]のコンジュゲーション用のアミノ酸残基は、適切には、cMBPペプチド
の17量体結合領域(配列番号1)から離れて位置しており、任意選択で、C-末端また
はN-末端に位置している。任意選択で、コンジュゲーション用のアミノ酸残基はLys
残基である。
【0029】
配列番号1のトリプトファン残基の置換を、既知アミノ酸置換体であるフェニルアラニ
ンおよびナフチルアラニンで評価した。しかし、cMet親和性の喪失が見出され、これ
はトリプトファン残基が活性にとって重要であることを示唆している。任意選択で、cM
BPペプチドはさらにN末端セリン残基を含み、下記の18量体(配列番号2)を与える
:
Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3
-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa
6。
(配列番号2)
【0030】
配列番号1、または配列番号2に加えて、cMBPは、下記のいずれかをさらに含み得
る:
(i)cMBPペプチドのC-またはN-ペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残基
内にあるAspもしくはGlu残基、またはそれらの類似体(-(L)n[IM]はアミ
ン基で官能化されており、このアミン基は前記AspもしくはGlu残基、またはそれら
の類似体のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている);
(ii)cMBPペプチドのC-またはN-ペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残
基内にあるLys残基、またはその類似体(-(L)n[IM]はカルボキシル基で官能
化されており、このカルボキシル基は前記Lys残基、またはその類似体のε-アミン側
鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている)。
【0031】
Aspおよび/またはGluの類似体には、2-アミノブタン二酸、2-アミノヘキサ
ン二酸、2-アミノヘプタン二酸、2-アミノオクタン二酸、2-アミノノナン二酸、2
-アミノデカン二酸、2-アミノウンデカン二酸、および2-アミノドデカン二酸のうち
の1種または複数種が挙げられ得る。
【0032】
Lysの類似体には、2,3-ジアミノプロパン酸、2,4-ジアミノブタン酸、2,
5-ジアミノペンタン酸、2,7-ジアミノヘプタン酸、2,8-ジアミノオクタン酸、
2,9-ジアミノノナン酸、2,10-ジアミノデカン酸、2,11-ジアミノウンデカ
ン酸、2,12-ジアミノドデカン酸のうちの1種または複数種が挙げられ得る。
【0033】
cMBPペプチドは、下記の22量体アミノ酸配列(配列番号3)を含み得る:
Ala-Gly-Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-
Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-
Xaa5-Xaa6-Gly-Thr。
(配列番号3)
【0034】
cMBPペプチドは、Xaa3がArgに等しいものであり得る。
【0035】
cMBPペプチドは、配列番号1、配列番号2または配列番号3に加えて、N-または
C-末端のいずれかにおいて、-Gly-Gly-Gly-Lys-(配列番号4)、-
Gly-Ser-Gly-Lys-(配列番号5)または-Gly-Ser-Gly-S
er-Lys-(配列番号6)から選択されるリンカーペプチドをさらに含み得る。
【0036】
リンカーペプチドのLys残基は、-(L)n[IM]部位のコンジュゲーションの典
型的な位置である。いくつかのcMBPペプチドは、配列番号4のリンカーペプチドとと
もに配列番号3を含み、下記の26量体アミノ酸配列(配列番号7)を有している:
Ala-Gly-Ser-Cysa-Tyr-Cysc-Ser-Gly-Pro-Pr
o-Arg-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Glu-Thr-
Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys。
(配列番号7)
【0037】
配列番号1、配列番号2、配列番号3および配列番号7のcMBPペプチドでは、Z1
=Z2=MIGであり得、Z1=アセチルおよびZ2=第一級アミドであり得る。
【0038】
適切には、-(L)n[IM]部位は、Z1もしくはZ2基のいずれか、または配列番
号1のcMet結合配列とは異なるcMBPペプチドのアミノ酸残基に結合している。可
能なアミノ酸残基およびコンジュゲーション部位は、上述した通りである。-(L)n[
IM]部位がZ1またはZ2に結合するとき、それはN-もしくはC-末端へのコンジュ
ゲーションによってZ1またはZ2に取って代わり、そのようにしてin vivo代謝
を阻止することができる。
【0039】
典型的なIM基は、広範な非局在化電子系を有し、例えば シアニン類、メロシアニン
類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類
、ポルフィリン類、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、スクアリリウム染料、クロコ
ニウム染料、アズレニウム染料、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム染料、ベ
ンゾチアフェノチアジニウム染料、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類
、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ染料、分子内および分子間電荷
移動染料および染料錯体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(
ベンゼン-ジチオレート)錯体、ヨードアニリン染料、ビス(S,O-ジチオレン)錯体
が挙げられる。緑色蛍光タンパク質(GFP)などの蛍光タンパク質、および異なる吸収
/発光特性を有するGFPの修飾物も有用である。特定の希土類金属(例えば、ユーロピ
ウム、サマリウム、テルビウムまたはジスプロシウム)の錯体は、蛍光ナノ結晶(量子ド
ット)と同様に、特定の状況で使用される。
【0040】
使用され得る発色団の例には、下記のものが挙げられる:Atto 647、CF64
0R、Atto 647N、SiR650、CF633、Sulfo Cy5、T700
-H、T700-F、CF647 SE、Quasar 670、Chromeo 64
2、Oyster 645、Oyster 647、Oyster 650、Iris
5、CyAL 5、IRDye 650、NIR4、AOI987、BODIPY(登録
商標)650/665、DyLight 633、DyLight 650、DDAO(
7-ヒドロキシ-9H-(1,3-ジクロロ-9,9-ジメチルアクリジン-2-オン)
、Chromis 645 C、Chromis 645 Z、Chromis 645
A、HiLyte 647、PromoFluor 647P、Dy-630、Dy-
631、Dy-632、Dy-633、Dy-636、Dy-650、Dy-651、D
y-652、Dy-654、Tracy 645、Tracy 652、Fluores
cent red NIR 782、Atto 655、Atto 680、CF660
C、CF660 R、Quasar 705、CF680、IRDye680RD、N
IR2、IRDye680LT、HiLyte 680、IRDye700DX、Oys
ter 680、Iris 5.5、HROMIS LSS 670Z、CHROMIS
LSS 690Z、DyLight 680(Pierce)、マグネシウムフタロシ
アニン、Oxazin 750、SeTa-665、SeTa-667、SeTa-67
0、PromoFluor 670(Promo Kine)、Dy-682、Prom
oFluor 680、PromoFluor 700P、Methylene Blu
e、Fluorescent Red NIR 730 Reactive、Fluor
escent Red NIR 781 Reactive、BM104、BM105(
BM104のNHSエステル)、SiR720、Atto 740、CF750、Sul
fo Cy7、IRDye750、NIR3、DyLight 755、DY-732、
DY-734、DY-752、PromoFluor 750 P、HiLyte 75
0、DY-776、NIR1、IRDye800RS、PromoFluor 770
P、DY-778、CHROMIS 770 C、ZW800-1、ZW800-3、I
RIS 7G-WS、IR 780、ESNF31、CF770、Vivotag 80
0、IRDye800CW、Alexa Fluor 790、CF790、Oyste
r 800、CHROMIS 770 A、CHROMIS 800 C、CHROMI
S 800 A、CHROMIS 830 C、CHROMIS 830 A、DyLi
ght 800、DY-777、DY-782、DY-800、PromoFluor
780 P、NIR-797、PromoFluor 840 P、フルオレセイン、ス
ルフォルホダミン101(テキサスレッド)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミ
ン19、インドシアニングリーン、Cy2、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5
、Cy7、Cy7.5、Marina Blue、Pacific Blue、Oreg
on Green 488、Oregon Green 514、TAMRA(テトラメ
チルローダミン)、TMR、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor
430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Ale
xa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor
594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Ale
xa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor
700、およびAlexa Fluor 750。典型的には、シアニン染料ならびに
それらの誘導体および類似体が使用され得る。
【0041】
使用され得る発色団の特定の例には、下記のものが挙げられる:Cy5、Cy5.5、
Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 64
7、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa
Fluor 700、およびAlexa Fluor 750、Atto 647、CF
640R、Atto 647N、SiR650、CF633、Sulfo Cy5、T7
00-H、T700-F、CF647 SE、Quasar 670、Chromeo
642、Oyster 645、Oyster 647、Oyster 650、Iri
s 5、CyAL 5、IRDye 650、NIR4、AOI987、BODIPY(
登録商標)650/665、DyLight 633、DyLight 650、DDA
O(7-ヒドロキシ-9H-(1,3-ジクロロ-9,9-ジメチルアクリジン-2-オ
ン)、Chromis 645 C、Chromis 645 Z、Chromis 6
45 A、HiLyte 647、PromoFluor 647P、Dy-630、D
y-631、Dy-632、Dy-633、Dy-636、Dy-650、Dy-651
、Dy-652、Dy-654、Tracy 645、Tracy 652、Fluor
escent red NIR 782、Atto 655、Atto 680、CF6
60 C、CF660 R、Quasar 705、CF680、IRDye680RD
、NIR2、IRDye680LT、HiLyte 680、IRDye700DX、O
yster 680、Iris 5.5、HROMIS LSS 670Z、CHROM
IS LSS 690Z、DyLight 680(Pierce)、マグネシウムフタ
ロシアニン、Oxazin 750、SeTa-665、SeTa-667、SeTa-
670、PromoFluor 670(Promo Kine)、Dy-682、Pr
omoFluor 680、PromoFluor 700P、Methylene B
lue、Fluorescent Red NIR 730 Reactive、Flu
orescent Red NIR 781 Reactive、BM104、BM10
5(BM104のNHSエステル)、SiR720、Atto 740、CF750、S
ulfo Cy7、IRDye750、NIR3、DyLight 755、DY-73
2、DY-734、DY-752、PromoFluor 750 P、HiLyte
750、DY-776、NIR1、IRDye800RS、PromoFluor 77
0 P、DY-778、CHROMIS 770 C、ZW800-1、ZW800-3
、IRIS 7G-WS、IR 780、ESNF31、CF770、Vivotag
800、IRDye800CW、Alexa Fluor 790、CF790、Oys
ter 800、CHROMIS 770 A、CHROMIS 800 C、CHRO
MIS 800 A、CHROMIS 830 C、CHROMIS 830 A、Dy
Light 800、DY-777、DY-782、DY-800、PromoFluo
r 780 P、NIR-797、PromoFluor 840 Pおよびインドシア
ニングリーン。Lichaらは、in vivo光学イメージングのための染料および染
料コンジュゲートをレビューしている[Topics Curr.Chem., 222
, 1-29 (2002); Adv.Drug Deliv.Rev., 57,
1087-1108 (2005)]。
【0042】
使用され得る発色団のさらに特定の例には、下記のものが挙げられる:Cy5、Cy5
**、Alexa Fluor 647、BODIPY(登録商標) 630、Atto
647、Oyster 647、IRDye650、BODIPY(登録商標) 65
0、DY631、DY632、Cy5.5、IRDye 680RD、Alexa Fl
uor 660、およびAlexa Fluor 680。
【0043】
シアニン染料は、式IIのフルオロフォアであり得る:
【化3】
(式中、
各X’は、独立して、-C(CH
3)
2-、-S-、-O-または
-C[(CH
2)
aCH
3][(CH
2)
bM]-から選択される(aは値0~5の整数
であり、bは値1~5の整数であり、MはG基であるか、SO
3M
1またはHから選択さ
れる);
各Y’は、独立して、H、-CH
2NH
2、-SO
3M
1、-CH
2COOM
1、-NC
SおよびFからなる群より選択される1~4個の基を表し、Y’基は、芳香環の任意の位
置に位置している;
Q’は、独立して、H、SO
3M
1、NH
2、COOM
1、アンモニウム、エステル基、
ベンジルおよびG基からなる群より選択される;
M
1は、HまたはB
cである;
Iは1~3の整数である;
mは1~5の整数である;
X’、Y’およびQ’のうちの少なくとも1つは、G基を含む;
Gは、cMBPペプチドに結合するのに適した反応性または官能性基である)。
【0044】
G基は、cMBPペプチドの相補的な基と反応して、シアニン染料フルオロフォアとc
MBPペプチドとの間に共有結合を形成する。Gは、ペプチドの相補的な官能基と反応し
得る反応基であり得るか、あるいは、cMBPペプチドの反応基と反応し得る官能基を含
み得る。反応基および官能基の例には、活性エステル;イソチオシアネート;マレイミド
;ハロアセトアミド;酸ハロゲン化物;ヒドラジド;ビニルスルホン;ジクロロトリアジ
ン;ホスホラミダイト;ヒドロキシル;アミノ;スルフヒドリル;カルボニル;カルボン
酸およびチオホスフェートが挙げられる。Gは、活性エステルであり得る。
【0045】
用語「活性化エステル」または「活性エステル」は、良好な離脱基を含み、したがって
アミンなどの求核剤と一層容易に反応するように設計された、関連するカルボン酸のエス
テル誘導体を意味する。適切な活性エステルの例は、N-ヒドロキシスクシンイミド(N
HS)、スルホスクシンイミジルエステル、ペンタフルオロフェノール、ペンタフルオロ
チオフェノール、パラニトロフェノール、ヒドロキシベンゾトリアゾールおよびPyBO
P(すなわち、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサ
フルオロホスフェート)である。活性エステルは、N-ヒドロキシスクシンイミドまたは
ペンタフルオロフェノールエステルであり得、特にN-ヒドロキシスクシンイミドエステ
ルであり得る。
【0046】
式IIの一実施形態:
各X’は、-C(CH3)2-および-C(CH3)[(CH2)4M]-(Mは、G基
または-SO3M1である)からなる群より選択される;
各Y’は、SO3M1、Hまたは1~4個のF原子を表す;
各Q’は、G基およびSO3M1から選択される;
1は好ましくは2であり、mは好ましくは3、4または5である;
X’またはQ’のいずれかがG基であるとき、それはスクシンイミジルエステルであり得
る。
【0047】
シアニン染料は、式IIIのものであり得る:
【化4】
(式中、
R
1およびR
2は、独立して、HまたはSO
3M
1であり、R
1およびR
2のうちの少な
くとも1つはSO
3M
1(M
1はHまたはB
cである)である;
R
3およびR
4は、独立して、C
1-4アルキルまたはC
1-6カルボキシアルキルであ
る;
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立してR
a基である(R
aは、C
1-4アルキル、C
1-6カルボキシアルキルまたは-(CH
2)
kSO
3M
1(kは、値3または4の整数
である)である);
ただし、シアニン染料は、R
1、R
2およびR
a基に合計1~4個のSO
3M
1置換基を
有することを条件とする)。
【0048】
式IIIの染料は、cMBPへのコンジュゲーションを容易にするために、少なくとも
1つのC1-6カルボキシアルキル基が存在するように選択され得る。
【0049】
可能な式IIIの個々の染料を、表1に要約する:
【表1】
【0050】
典型的に使用される式IIの染料は、Cy5**およびAlexa647であり、Cy
5**が最も典型的である。
【0051】
合成リンカー基(L)が存在するとき、それは、[IM]およびZ
1-[cMBP]-
Z
2へのコンジュゲーションを容易にする末端官能基を含み得る。Lが1~10個のアミ
ノ酸残基のペプチド鎖を含むとき、アミノ酸残基は、グリシン、リシン、アルギニン、ア
スパラギン酸、グルタミン酸またはセリンから選択され得る。LがPEG部位を含むとき
、それは、下記の式IA(17-アミノ-5-オキソ-6-アザ-3,9,12,15-
テトラオキサヘプタデカン酸)またはIBの単分散PEG様構造のオリゴマー化に由来す
る単位を含み得る:
【化5】
(式中、pは1~10の整数である)。あるいは、式IBのプロピオン酸誘導体に基づく
PEG様構造を使用することもできる:
【化6】
(式中、pは式IAに関して定義した通りであり、qは3~15の整数である。式IBに
おいて、pは1または2であり得、qは5~12であり得る。
【0052】
リンカー基がPEGまたはペプチド鎖を含まないとき、L基は、2~10個の原子、最
も好ましくは2~5個の原子からなり、2~3個の原子であることが特に好ましい-(A
)m-部位を構成する連結原子の主鎖を有し得る。最小リンカー基主鎖が2原子であると
、イメージング部位が十分に離れているため、望ましくない相互作用が最小限に抑えられ
るという利点が得られる。
【0053】
式Iにおいて、nは0または1であり得、典型的には0であり、すなわちリンカー基は
存在しない。
【0054】
本明細書に記載されるようなイメージング剤は、式IV(配列番号7を含む)のもので
あり得る。
【化7】
(式中、(L)
n[IM]基は、Lys残基のε-アミノ基に結合している。式IVのイ
メージング剤は、M(N末端Ala)がアセチルに等しく、M
IG(C末端Lys)が第
一級アミドに等しいものであり得る。式IVにおいて、nはゼロであり得、IMはシアニ
ン染料、典型的には式IIのシアニン染料であり得る。IM=Cy5**またはAlex
a647、最も典型的にはCy5**を有する式IVのイメージング剤が使用され得る。
【0055】
式Z1-[cMBP]-Z2のペプチドは、下記工程を含む調製方法によって得ること
ができる:
(i)所望のcMBPペプチドと同じペプチド配列を有し、CysaおよびCysbが保
護されておらず、CyscおよびCysd残基がチオール保護基を有する直鎖ペプチドの
固相ペプチド合成を行う工程と;
(ii)固体支持体からの開裂および工程(i)のペプチドを溶液中の水性塩基で処理し
、CysaおよびCysbを連結する第1ジスルフィド結合を有する単環ペプチドを得る
工程と;
(iii)CyscおよびCysdチオール保護基を除去して環化し、CyscおよびC
ysdを連結する第2ジスルフィド結合を形成したものが、所望の二環式ペプチド生成物
Z1-[cMBP]-Z2となる工程。
【0056】
用語「保護基」は、望ましくない化学反応を阻害または抑制する基を意味するが、それ
は、分子の残りの部分を変質させない程度に温和な条件下で、問題の官能基から開裂させ
ることができるほど十分に反応性があるように設計されている。脱保護後、所望の生成物
が得られる。アミン保護基は、当業者にはよく知られており、適切には下記のものから選
択される:Boc(Bocはtert-ブチルオキシカルボニルである)、Fmoc(F
mocはフルオレニルメトキシカルボニルである)、トリフルオロアセチル、アリルオキ
シカルボニル、Dde[すなわち、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘ
キシリデン)エチル]またはNpys(すなわち、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニ
ル)。適切なチオール保護基は、Trt(トリチル)、Acm(アセトアミドメチル)、
t-Bu(tert-ブチル)、tert-ブチルチオ、メトキシベンジル、メチルベン
ジルまたはNpys(3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル)である。さらなる保護基
の使用は、’Protective Groups in Organic Synth
esis’, Theorodora W. Greene and Peter G.
M. Wuts, (John Wiley & Sons, 1991)に記載され
ている。典型的なアミン保護基は、BocおよびFmocであり、最も典型的にはBoc
である。他の典型的なチオール保護基は、TrtおよびAcmである。
【0057】
実施例1および2は、さらに具体的な詳細を提供する。固相ペプチド合成のさらなる詳
細は、P. Lloyd-Williams, F. Albericio and E
. Girald; Chemical Approaches to the Syn
thesis of Peptides and Proteins, CRC Pre
ss, 1997に記載されている。cMBPペプチドは、不活性雰囲気下で貯蔵し、冷
凍庫で保存するのが最適である。溶液中で使用するとき、ジスルフィド架橋のスクランブ
リングのリスクがあるため、7より高いpHを避けるのが最善であり、ペプチドの凝集を
誘発するため、低pHを避けるのが最善である。
【0058】
第1の態様のイメージング剤の一般的な調製方法は、工程(i)~(iv)のうちの1
つを含む:
(i)式Z1-[cMBP]-Z2のcMBPペプチド(式中、Z1はHであり、Z2は
MIGである)と式Y1-(L)n-[IM]の化合物とを反応させて、Z1の位置に[
IM]がコンジュゲートしている式Iのイメージング剤を得る工程;
(ii)式Z1-[cMBP]-Z2のcMBPペプチド(式中、Z1=Z2=MIGで
あり、cMBPは、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残
基内にAspもしくはGlu残基を含み、cMBPペプチドの他の全てのAsp/Glu
残基は保護されている)と式Y2-(L)n-[IM]の化合物とを反応させて、[IM
]がcMBPペプチドの前記AspまたはGIu残基にコンジュゲートしている式Iのイ
メージング剤を得る工程;
(iii)式Z1-[cMBP]-Z3のcMBPペプチド(式中、Z1はMIGであり
、Z3はZ2基または活性化エステルであり、cMBPペプチドの他の全てのAsp/G
lu残基は保護されている)と式Y2-(L)n-[IM]の化合物とを反応させて、[
IM]がZ2の位置でコンジュゲートしている式Iのイメージング剤を得る工程;
(iv)式Z1-[cMBP]-Z2のcMBPペプチド(式中、Z1=Z2=MIGで
あり、cMBPは、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残
基内にLysを含む)と式Y1-(L)n-[IM]の化合物とを反応させて、[IM]
がcMBPペプチドのLys残基にコンジュゲートしている式Iのイメージング剤を得る
工程
(Z、cMBP、Z、M、L、nおよびIMは上記で定義した通りであり、Z3はZ2基
または活性化エステルである;
Y1は、カルボン酸、活性化エステル、イソチオシアネートまたはチオシアネート基であ
る;
Y2はアミン基である)。
【0059】
用語「活性化エステル」または「活性エステル」およびそれらの実施形態は、上述した
通りである。Y2は、任意選択で第一級アミン基または第二級アミン基であり、典型的に
は第一級アミン基である。
【0060】
化合物Z1-[cMBP]-Z2は、Z1およびZ2の両方がMIGに等しいものであ
り得る。典型的なcMBPペプチドおよびZ1/Z2基は、上述した通りである。特に、
上述の典型的なcMBPペプチドについて記載したようにコンジュゲーションを容易にす
るために、cMBPペプチドがAsp、GIuまたはLys残基を含むことが典型的であ
る。工程(iv)に記載したように、cMBPペプチドがLys残基を含むことが最も典
型的である。
【0061】
Z1-[cMBP]-Z2の調製は、上述した通りである。Z3が活性エステルである
Z1-[cMBP]-Z3ペプチドは、Z2がOHまたは生体適合性カチオン(Bc)で
あるZ1-[cMBP]-Z2から、従来方法によって調製することができる。
【0062】
ペプチドへのコンジュゲーションに適するように官能化された光学レポーター染料(I
M)は、GE Healthcare Limited、Atto-Tec、Dyomi
cs、Molecular Probesなどから市販されている。そのような染料のほ
とんどは、NHSエステルとして入手可能である。
【0063】
適切な光学レポーター(IM)、特に染料をアミノ酸およびペプチドにコンジュゲート
させる方法は、Licha(上記参照)、ならびにFlanagan et al [B
ioconj.Chem., 8, 751-756 (1997)];Lin et
al, [ibid, 13, 605-610 (2002)]およびZaheer
[Mol.Imaging, 1(4), 354-364 (2002)]によって記
載されている。リンカー基(L)をcMBPペプチドにコンジュゲートさせる方法は、染
料単独の場合(上記参照)と類似の化学作用を使用するものであり、当技術分野で知られ
ている。
【0064】
配列番号1に加えて、cMBPはさらに、C-またはN-cMBPペプチド末端のいず
れかの4個のアミノ酸残基内にAspまたはGlu残基を含んでいてもよく、-(L)n
IMはアミン基で官能化されていてもよく、このアミン基が前記AspまたはGlu残基
のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている。
【0065】
配列番号1に加えて、cMBPは、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれかの
4個のアミノ酸残基内にLys残基を含んでいてもよく、-(L)nIMはカルボキシル
基で官能化されていてもよく、このカルボキシル基が前記Lys残基のε-アミン側鎖に
コンジュゲートしてアミド結合を与えている。
【0066】
cMBPは、下記の配列番号2または配列番号3のいずれかのアミノ酸配列を含み得る
:
Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3
-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa
6(配列番号2);
Ala-Gly-Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-
Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-
Xaa5-Xaa6-Gly-Thr(配列番号3)。
【0067】
Xaa3はArgであり得る。
【0068】
配列番号1、配列番号2または配列番号3に加えて、cMBPはさらに、そのN-また
はC-末端のいずれかに、-Gly-Gly-Gly-Lys(配列番号4)、-Gly
-Ser-Gly-Lys-(配列番号5)および-Gly-Ser-Gly-Ser-
Lys(配列番号6)から選択されるリンカーペプチドを含み得る。
【0069】
cMBPは、下記のアミノ酸配列(配列番号7)を含み得る:
Ala-Gly-Ser-Cysa-Tyr-Cysc-Ser-Gly-Pro-Pr
o-Arg-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Glu-Thr-
Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys。
【0070】
Z1およびZ2の両方とも、独立してMIGであり得る。
【0071】
Z1はアセチルであり得、Z2は第一級アミドであり得る。
【0072】
nは0であり得る。
【0073】
IMは、600~1,000nmの範囲の最大吸光度を有する染料であり得る。
【0074】
IMはシアニン染料であり得る。
【0075】
シアニン染料は、式IIIを有し得る:
【化8】
(式中、
R
1およびR
2は、独立して、HまたはSO
3M
1であり、R
1およびR
2のうちの少な
くとも1つはSO
3M
1(M
1はHまたはB
cである)である;
R
3およびR
4は、独立して、C
1-4アルキルまたはC
1-6カルボキシアルキルであ
る;
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立してR
a基である(R
aは、C
1-4アルキル、C
1-6カルボキシアルキルまたは-(CH
2)
kSO
3M
1(kは、値3または4の整数
である)である);
ただし、シアニン染料は、R
1、R
2およびR
a基に合計1~4個のSO
3M
1置換基を
有することを条件とする)。
【0076】
cMBPは、下記のアミノ酸配列(配列番号7)を有し得る:
Ala-Gly-Ser-Cys
a-Tyr-Cys
c-Ser-Gly-Pro-Pr
o-Arg-Phe-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Glu-Thr-
Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys;
Z
1はアセチルであり得、Z
2は第一級アミドであり得る;
IMは、600~1,000nmの範囲の最大吸光度を有する染料であり得、任意選択で
シアニン染料であり、任意選択で式IIを有するシアニン染料であり得る:
【化9】
(式中、
R
1およびR
2は、独立して、HまたはSO
3M
1であり、R
1およびR
2のうちの少な
くとも1つはSO
3M
1(M
1はHまたはB
cである)である;
R
3およびR
4は、独立して、C
1-4アルキルまたはC
1-6カルボキシアルキルであ
る;
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立してR
a基である(R
aは、C
1-4アルキル、C
1-6カルボキシアルキルまたは-(CH
2)
kSO
3M
1(kは、値3または4の整数
である)である);
ただし、シアニン染料は、R
1、R
2およびR
a基に合計1~4個のSO
3M
1置換基を
有することを条件とする)。
【0077】
復元したときに、製剤は、約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.3~約
pH9の間、任意選択で約pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.8~約
pH8.2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~約pH
8の間のpHを有し得る。
【0078】
復元したときに、緩衝剤は、約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.3~
約pH9の間、任意選択で約pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.8~
約pH8.2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~約p
H8の間のpHを有する溶液を提供する量で存在し得る。
【0079】
API:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約17~約47モルであり得る。
API:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約27~約47モルであり得る。A
PI:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約30~約47モルであり得る。AP
I:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約34~約47モルであり得る。
【0080】
API:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約27~約38モルであり得る。
API:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約30~約38モルであり得る。A
PI:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約34~約38モルであり得る。
【0081】
API:緩衝剤のモル比は、API約1モル:緩衝剤約38モルであり得る。
【0082】
API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約2
16モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保
護剤約105~約163モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約
1モル:凍結乾燥保護剤約105~約154モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤の
モル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約145モルであり得る。API
:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約141モル
であり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約1
05~約132モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:
凍結乾燥保護剤約105~約129モルであり得る。
【0083】
API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約2
16モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保
護剤約129~約163モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約
1モル:凍結乾燥保護剤約129~約154モルであり得る。API:凍結乾燥保護剤の
モル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約145モルであり得る。API
:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約141モル
であり得る。API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約1
29~約132モルであり得る。
【0084】
API:凍結乾燥保護剤のモル比は、API約1モル:凍結乾燥保護剤約129モルで
あり得る。
【0085】
製剤は、APIを約4~約12重量%、任意選択でAPIを約8~約10重量%、任意
選択でAPIを約9重量%含み得る。
【0086】
製剤は、緩衝剤を約3~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約7~約35重量%、任意
選択で緩衝剤を約12~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約15~約35重量%、任意
選択で緩衝剤を約18~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約25~約35重量%、任意
選択で緩衝剤を約32~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約32%含み得る。
【0087】
製剤は、凍結乾燥保護剤を約56~約91重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56
~約82重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約77重量%、任意選択で凍結乾
燥保護剤を約56~約75重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約72重量%、
任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約66重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56
~約58重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約58重量%含み得る。
【0088】
製剤の成分は、総量が100重量%となるように選択されることが理解されよう。
【0089】
製剤は、緩衝剤を少なくとも40mM含み得る。
【0090】
緩衝剤は、リン酸緩衝剤およびアルカノールアミン緩衝剤のうちの少なくとも1つであ
り得る。リン酸緩衝剤は、リン酸水素およびリン酸二水素を含み得る。リン酸緩衝剤は、
水和したものであり得る。
【0091】
アルカノールアミン緩衝剤は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含み得る。
アルカノールアミン緩衝剤は、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3
-ジオールを含み得る。
【0092】
凍結乾燥保護剤は、糖、アルコールおよび糖アルコール、ならびにそれらの誘導体のう
ちの少なくとも1つであり得る。任意選択で、凍結乾燥保護剤は、糖および糖アルコール
、ならびにそれらの誘導体のうちの少なくとも1つである。任意選択で、凍結乾燥保護剤
は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、およびそれらの誘導体のうちの少なくとも1つである
。凍結乾燥保護剤は、スクロースおよびマンニトール、ならびにそれらの誘導体のうちの
少なくとも1つであり得る。凍結乾燥保護剤は、マンニトール、またはその誘導体であり
得る。
【0093】
製剤はさらに張度調節剤を含み得る。
【0094】
凍結乾燥保護剤は張度調節剤としても作用することがあり、その場合、それは、凍結乾
燥保護剤と張度調節剤との組み合わせである。
【0095】
本発明の第2の態様によれば、凍結乾燥製剤の調製方法が提供され、本方法は、
a)医薬品有効成分(API)、緩衝剤、および凍結乾燥保護剤を凍結乾燥容器に供給す
る工程と;
b)第1水分除去ステップを実行する工程と;
c)第2水分除去ステップを実行する工程と
を含み、凍結乾燥を行う前に、凍結乾燥保護剤を添加する。
【0096】
第1水分除去ステップは、約-30℃以下、任意選択で約-35℃以下、任意選択で約
-38℃以下の温度で行うことができる。
【0097】
第2水分除去ステップは、約10℃以上、任意選択で約15℃以上、任意選択で約20
℃以上の温度で行うことができる。
【0098】
第1および第2水分除去ステップのうちの少なくとも1つは、50μbar以下の圧力
で行うことができる。任意選択で、第1および第2水分除去ステップの両方を、50μb
ar以下の圧力で行うことができる。
【0099】
凍結乾燥製剤は、本発明の第1の態様の凍結乾燥製剤であり得る。
【0100】
本発明の一態様によれば、本発明の第2の態様により調製された凍結乾燥製剤が提供さ
れる。
【0101】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様の製剤と生体適合性担体とを、哺乳
動物への投与に適した形態で含む医薬組成物が提供される。
【0102】
生体適合性担体は溶媒であり得、典型的には水性溶媒、典型的には水であり得る。溶媒
は、流体であり得る。
【0103】
「生体適合性担体」は、組成物が生理学的に許容可能であるように、すなわち、毒性ま
たは過度の不快感なしに哺乳動物の身体に投与することができるように、イメージング剤
を懸濁または溶解させることができる流体、特に液体であり得る。生体適合性担体は、適
切には、下記のものなどの注射可能な担体液である:無菌のパイロジェンフリー注射用水
;生理食塩水などの水溶液(これは、注射用の最終生成物が等張になるように、有利に平
衡させることができる);1種以上の張度調節物質(例えば、血漿カチオンの生体適合性
対イオンとの塩)、糖類(例えば、グルコースもしくはスクロース)、糖アルコール(例
えば、ソルビトールもしくはマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)、ま
たは他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリ
コールなど)の水溶液。生体適合性担体は、パイロジェンフリー注射用水または等張生理
食塩水であり得る。イメージング剤および生体適合性担体はそれぞれ、無菌完全性および
/または放射能安全性の維持を可能にする密閉容器を備え、任意選択で不活性ヘッドスペ
ースガス(例えば、窒素またはアルゴン)が加えられており、一方でシリンジまたはカニ
ューレによる溶液の添加および抜き取りを可能にする適切なバイアルまたは容器に供給さ
れる。そのような容器として好ましいのは、セプタム封止バイアルであり、気密性の高い
クロージャは、オーバーシール(典型的にはアルミニウム製)でクリンプされている。ク
ロージャは、無菌完全性を維持しながら、皮下注射針で単回または複数回穿刺するのに適
したもの(例えば、クリンプオンセプタムシールクロージャ)である。そのような容器は
、クロージャが、所望の場合(例えば、ヘッドスペースガスの変更または溶液のガス脱き
のため)に真空に耐えることができ、酸素または水蒸気などの外部大気ガスの侵入を許す
ことなく、減圧などの圧力変化に耐えることができるという付加的利点を有する。
【0104】
医薬組成物は、一人の患者に適した投与量であり得、適切なシリンジまたは容器に入れ
て供給され得る。
【0105】
複数回投与容器は、複数の患者投与量を含有する単一のバルクバイアル(例えば、容積
10~30cm3)を含み、それにより、製剤の有効期間中、様々な時間間隔で、単一の
患者投与量を臨床グレードのシリンジに抜き取ることが可能となり、臨床状況に合わせる
ことができる。事前に充填されたシリンジは、単一のヒト用量、すなわち「単位用量」を
含有するように設計されており、したがって、好ましくは、使い捨てシリンジまたは臨床
使用に適した他のシリンジである。本発明の医薬組成物は、一人の患者に適した投与量で
あり得、上述のように、適切なシリンジまたは容器に入れて供給され得る。
【0106】
医薬組成物は、約pH6.3~約pH9の間、任意選択で約pH6.3~約pH9の間
、任意選択で約pH6.5~約pH8.5の間、任意選択で約pH6.8~約pH8.2
の間、任意選択で約pH7~約pH8の間のpHを有し得る。
【0107】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様の医薬組成物を調製するためのキッ
トが提供され、このキットは、本発明の第1の態様の製剤を無菌固体形態で含み、本発明
の第3の態様の生体適合性担体の無菌供給物で復元させると、溶解が起こり、所望の医薬
組成物が得られるようなキットである。
【0108】
無菌固体形態は、凍結乾燥固体であり得る。
【0109】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の
医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用することを含む、哺乳動物の身体のイメージン
グ方法が提供される。
【0110】
In vivoで使用するために、例えば、生体適合性担体で復元させると、製剤は、
哺乳動物の投与に適した形態になることが理解されよう。
【0111】
イメージングは、in vivoであり得る。
【0112】
イメージングは、光学イメージングであり得る。
【0113】
用語「光学イメージング」は、赤色~近赤外領域(波長400~1,200nm)の光
との相互作用に基づいて、疾患の検出、病期分類または診断、疾患進行のフォローアップ
または疾患治療のフォローアップのための画像を形成する任意の方法を意味する。光学イ
メージングはさらに、いかなるデバイスも使用しない直接可視化、ならびに様々なスコー
プ、カテーテルおよび光学イメージング装置、例えば、断層撮影画像表示用コンピュータ
支援ハードウェアなどのデバイスの使用を伴う直接可視化のあらゆる方法を包含する。モ
ダリティおよび測定技法には、下記のものが含まれるが、これらに限定されない:蛍光イ
メージング、発光イメージング;内視鏡検査;蛍光内視鏡検査;光コヒーレンス断層撮影
;透過率イメージング;時間分解透過率イメージング;共焦点イメージング;非線形顕微
鏡検査;光音響イメージング;音響光学イメージング;分光法;反射分光法;干渉分光法
;コヒーレンス干渉分光法;拡散光断層撮影および蛍光媒介拡散光断層撮影(連続波、時
間領域および周波数領域システム)、および光散乱、吸収、偏光、発光、蛍光寿命、量子
収率、および消光の測定。これらの技法のさらなる詳細は、以下に示されている:(Tu
an Vo-Dinh (editor): "Biomedical Photoni
cs Handbook" (2003), CRC Press LCC; Myce
k & Pogue (editors): "Handbook of Biomed
ical Fluorescence" (2003), Marcel Dekker
, Inc.; Splinter & Hopper: "An Introduct
ion to Biomedical Optics" (2007), CRC Pr
ess LCC。
【0114】
イメージングは、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を得るためのものであ
り得る。
【0115】
本発明の第1の態様の製剤または本発明の第3の態様の医薬組成物を、哺乳動物の身体
に前もって投与していてもよい。
【0116】
光学イメージング方法は、蛍光反射イメージング(FRI)を使用してもよい。FRI
では、本発明のイメージング剤を診断される被験体に投与し、その後、被験体の組織表面
を、励起光で、通常は連続波(CW)励起で照らす。この光はレポーター分子(IM)を
励起する。励起により発生したイメージング剤からの蛍光を、蛍光検出器を使用して検出
する。戻り光を濾光し、蛍光成分を(単独または部分的に)分離する。蛍光から画像を形
成する。通常、最小限の処理が行われ(寿命、量子収量などの光学パラメータを計算する
ためのプロセッサは不要)、画像は蛍光強度をマッピングする。イメージング剤は、疾患
領域に集中して高い蛍光強度を生成するように設計されている。したがって、疾患領域は
、蛍光強度画像において正のコントラストを生成する。画像は、リアルタイムイメージン
グが可能なように、CCDカメラまたはチップを使用して得ることもできる。
【0117】
励起波長は、使用する染料の種類に応じて変化する。励起光発生用の装置は、レーザー
(例えば、イオンレーザー、染料レーザー、半導体レーザー);ハロゲン光源またはキセ
ノン光源などの従来の励起光源であればよい。最適な励起波長を得るために、様々な光学
フィルターを任意選択で使用することができる。
【0118】
本方法は、
a)対象の組織表面を励起光で照らす工程と;
b)イメージング剤の励起により発生したイメージング剤からの蛍光を検出する工程と;
c)任意選択で、蛍光検出器によって検出した光をフィルタリングして蛍光成分を分離す
る工程と;
d)工程(b)または(c)の蛍光から対象の組織表面の画像を形成する工程と
を含む。
【0119】
工程(a)の励起光は、本質的に連続波(CW)であり得る。
【0120】
工程(a)は、哺乳動物の身体内で行われ得る。
【0121】
代替的なイメージング方法は、FDPM(周波数領域光子移動)を使用する。これは、
組織内のIMをより深い位置で検出することが重要である連続波(CW)法に比べて、利
点がある[Sevick-Muraca et al, Curr.Opin.Chem
.Biol., 6, 642-650 (2002)]。そのような周波数/時間領域
のイメージングは、イメージングされる病変の組織の深さと、使用する装置のタイプとに
応じて変調させることができる蛍光特性をIMが有する場合に有利である。
【0122】
本方法は、
a)前記哺乳動物の身体の不均一組成を有する光散乱生体組織を、所定の経時変化する強
度の光源からの光にさらしてイメージング剤を励起させる工程であって、組織が励起光を
多重散乱させる工程と;
b)前記露光に応答した組織からの多重散乱発光を検出する工程と;
c)プロセッサを用いて複数の値を確立することにより、発光から組織全体の蛍光特性を
定量化する工程であって、それら値が、組織内の異なる位置における蛍光特性のレベルに
それぞれ対応しており、蛍光特性のレベルが、組織の不均一組成によって変化するもので
ある工程と;
d)工程(c)の値に従って組織の不均一組成をマッピングすることにより、組織の画像
を生成する工程と
を含む。
【0123】
光学イメージング方法は、蛍光イメージング、任意選択で蛍光内視鏡検査を含み得る。
【0124】
本方法は、検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監
視療法を補助するために使用され得る。
【0125】
本方法は、がん、任意選択で結腸直腸がんの検出、診断、手術、病期分類、治療、治療
の監視、疾患進行の監視または監視療法を補助するために使用され得る。
【0126】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第5の態様のイメージング方法を含んでなる
、検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法の方
法が提供される。
【0127】
本発明のさらなる態様によれば、哺乳動物の身体のイメージングにおけるイメージング
剤として使用するための、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の医薬組
成物のうちの少なくとも1つが提供される。
【0128】
本発明のさらなる態様によれば、薬剤として使用するための、本発明の第1の態様の製
剤および本発明の第3の態様の医薬組成物のうちの少なくとも1つが提供される。
【0129】
本発明のさらなる態様によれば、検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾
患進行の監視または監視療法において使用するための、本発明の第1の態様の製剤および
本発明の第3の態様の医薬組成物のうちの少なくとも1つが提供される。
【0130】
本発明のさらなる態様によれば、前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、
任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣が
ん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検
出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において
使用するための、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の医薬組成物のう
ちの少なくとも1つが提供される。
【0131】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位または局在部位の検出、診断
、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において使用する
ための、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の医薬組成物のうちの少な
くとも1つが提供される。
【0132】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任
意選択でin vivoで得るために使用される、本発明の第1の態様の製剤および本発
明の第3の態様の医薬組成物のうちの少なくとも1つが提供される。
【0133】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、検出、診断、手術、病期分類、治療、
治療の監視、疾患進行の監視または監視療法の方法が提供される。
【0134】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、哺乳動物の身体のイメージング方法が
提供される。
【0135】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、前がん症状およびがんのうちの1つも
しくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸
部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つも
しくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監
視療法の方法が提供される。
【0136】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、cMetの過剰発現部位または局在部
位の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法の
方法が提供される。
【0137】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用して、cMetの過剰発現部位または局在部
位の画像を、任意選択でin vivoで得る方法が提供される。
【0138】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用が提供される。
【0139】
本発明のさらなる態様によれば、検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾
患進行の監視または監視療法における、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の
態様の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用が提供される。
【0140】
本発明のさらなる態様によれば、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様
の医薬組成物のうちの少なくとも1つの、イメージング剤としての使用が提供される。
【0141】
本発明のさらなる態様によれば、前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、
任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣が
ん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検
出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法における
、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の医薬組成物のうちの少なくとも
1つの使用が提供される。
【0142】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位または局在部位の検出、診断
、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法における、本発明
の第1の態様の製剤および本発明の第3の態様の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使
用が提供される。
【0143】
本発明のさらなる態様によれば、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任
意選択でin vivoで得る際の、本発明の第1の態様の製剤および本発明の第3の態
様の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用が提供される。
【0144】
説明した代替の特徴および様々な実施形態は、必要な変更を加えて、どの態様およびど
の実施形態にも適用される。
次に、本発明の実施形態を、例として、以下の図面を参照して説明する:
【図面の簡単な説明】
【0145】
【発明を実施するための形態】
【0146】
国際公開第2008/139207号に記載のような光学イメージング剤を使用して一
連の実験を行い、より良好な復元を、特に静脈内使用に適したpHおよび/または張度で
示す、より安定な製剤を見つけた。使用した化合物は、
図1に示すように、EMI-13
7であった。
【0147】
後述する実験では、EMI-137の酢酸塩を使用したが、全ての重量および計算は、
遊離イオンを使用して行った。
【0148】
復元後、静脈内製剤は等張溶液であり、静脈内投与に適した生理的pHである必要があ
る。また、均一であり、凝集体を形成することなく可溶化する必要がある。しかし、水に
溶解した場合、EMI-137のpHは4.6であり、大きな構造体または凝集体の形成
が顕著に見られる。この凝集は、溶液のpHを上げても一部しか可逆的ではないため、静
脈内投与には不向きである。そのため、復元時に静脈内投与に適したpHになり、実質的
に均一で、凝集体または粒子を実質的に含まない製剤が必要とされている。さらに、EM
I-137の貯蔵寿命はかなり短いため、実用性および安全性の目的で、単離された形態
ではあまり使用することができない。したがって、EMI-137の安定性および貯蔵寿
命を延長する製剤が必要とされている。
【0149】
(EMI-137の調製およびEMI-137を使用したイメージング)
実施例1は、cMBPペプチド(化合物1(配列番号7を含む))の合成を提供する。
実施例2は、化合物1のペプチド配列をスクランブリングして、下記のペプチド配列を有
する化合物2を与える、陰性対照としての関連ペプチドの合成を提供する:
Thr-Gly-Glu-Cys-Thr-Cys-Pro-Tyr-Trp-Glu-
Phe-Arg-Pro-Cys-Glu-Cys-Gly-Ser-Tyr-Ser-
Gly-Ala-Gly-Gly-Gly-Lys
(配列番号8)。
【0150】
実施例3は、シアニン染料Cy5**の合成を提供する。実施例4は、Cy5**の活
性エステルの合成を提供する。実施例5は、ペプチド(cMBPペプチドおよび対照)に
対するシアニン染料のコンジュゲーションを提供する。化合物3(配列番号7を含む)、
4(配列番号8を含む)、5(配列番号7を含む)、6(配列番号7を含む)および7(
配列番号8を含む)を、このようにして比較した。実施例6は、in vitroでのc
Metに対するペプチドの親和性を判定する方法を提供する。それらの結合は、光学レポ
ーターイメージング部位(シアニン染料)が結合していても、選択的であることが結果と
して示されている。実施例7は、がんの動物モデルにおける化合物5および7のin v
ivo試験に関するデータを提供する。化合物5では、腫瘍:バックグラウンド比が優れ
ていることがわかったが、化合物7(陰性対照)では、腫瘍とバックグラウンドとの区別
がつかなかった。
【0151】
化合物の構造を下記の表2に示す。
【表2-1】
【表2-2】
【0152】
(実施例1:化合物1の合成)
(工程(a):保護された前駆体直鎖ペプチドの合成)
前駆体直鎖ペプチドは、下記の構造を有する:
Ac-Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys(Acm)-Ser-Gly-
Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys(Acm)-Trp-Cys-Tyr
-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys-NH2
(配列番号7を含む)。
【0153】
ペプチジル樹脂H-Ala-Gly-Ser(tBu)-Cys(Trt)-Tyr(
tBu)-Cys(Acm)-Ser(tBu)-Gly-Pro-Arg(Pbf)-
Phe-Glu(OtBu)-Cys(Acm)-Trp(Boc)-Cys(Trt)
-Tyr(tBu)-Glu(OtBu)-Thr(ΨMe,Mepro)-Glu(O
tBu)-Gly-Thr(tBu)-Gly-Gly-Lys(Boc)-ポリマー(
配列番号7を含む)を、Applied Biosystems 433Aペプチド合成
装置上で、0.1mmolのRink Amide Novagel樹脂から開始するF
moc化学を用いて組み立てた。カップリングステップでは、(HBTUを使用して)予
備活性化した過剰量の1mmolアミノ酸を適用した。Glu-Thr疑似プロリン(N
ovabiochem05-20-1122)を配列に組み込んだ。樹脂を窒素バブラー
装置に移し、無水酢酸(1mmol)およびNMM(1mmol)をDCM(5mL)に
溶解した溶液で60分間処理した。無水溶液を濾過によって除去し、樹脂をDCMで洗浄
し、窒素流下で乾燥させた。
【0154】
側鎖保護基の除去および樹脂からのペプチドの開裂を同時に、2.5%のTIS、2.
5%の4-チオクレゾールおよび2.5%の水を含有するTFA(10mL)中で2時間
30分行った。濾過により樹脂を除去し、TFAを真空除去し、残渣にジエチルエーテル
を加えた。形成された沈殿物をジエチルエーテルで洗浄し、風乾させ、クルードペプチド
264mgを得た。
【0155】
分取HPLCによるクルードペプチドの精製(グラジエント:20-30%Bを40分
間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA)、流量:10mL
/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)50x21.20
mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:30分)から、純粋な化合物1の直鎖前
駆体100mgを得た。この純粋な生成物を、分析HPLCで分析した(グラジエント:
10-40%Bを10分間、A=H2CVO.1%TFAおよびB=ACN/0.1%T
FA、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ C18
(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)。さらなる
生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行った(MH2
2+計算
値:1464.6、MH2
2+実測値:1465.1)。
【0156】
(工程(b):単環式Cys4-16ジスルフィド架橋の形成)
Cys4-16;Ac-Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys(Acm)
-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys(Acm)-Tr
p-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gl
y-Lys-NH2(配列番号7を含む)。
【0157】
工程(a)の直鎖前駆体(100mg)を5%DMSO/水(200mL)に溶解し、
アンモニアを用いて溶液をpH6に調整した。反応混合液を5日間撹拌した。次いで、溶
液をTFAを用いてpH2に調整し、溶媒の大部分を真空蒸発させて除去した。残渣(4
0mL)を分取HPLCカラムに分注し、精製した。
【0158】
分取HPLCによる残渣の精製(グラジエント:0%Bを10分間、その後0-40%
Bを40分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA、流量:
10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x
21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:44分)から、純粋な化合物
1の単環式前駆体72mgを得た。この純粋な生成物(異性体P1~P3の混合物として
)を、分析HPLCで分析した(グラジエント:10-40%Bを10分間、A=H2O
/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA、流量:0.3mL/分、カラム:
Phenomenex Luna 3μ C18(2)50x2mm、検出:UV214
nm、生成物保持時間:5.37分(P1);5.61分(P2);6.05分(P3)
)。さらなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行った(M
H2
2+計算値:1463.6、MH2
2+実測値:1464.1(P1);1464.
4(P2);1464.3(P3))。
【0159】
(工程(c):第2Cys6-14ジスルフィド架橋の形成(化合物1))
工程(b)からの単環式前駆体(72mg)を、窒素ブランケット下で75%AcOH
/水(72mL)に溶解した。1M HCl(7.2mL)およびAcOH中の0.05
M I2(4.8mL)をその順序で添加し、混合液を45分間撹拌した。1Mアスコル
ビン酸(1mL)を加え、無色混合液を得た。溶媒の大部分を真空蒸発させ、残渣(18
mL)を水/0.1%TFA(4mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を精製し
た。
【0160】
分取HPLCによる残渣の精製(グラジエント:0%Bを10分間、その後20-30
%Bを40分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA、流量
:10mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250
x21.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:43~53分)から、52
mgの純粋な化合物1を得た。この純粋な生成物を、分析用HPLCで分析した(グラジ
エント:10-40%Bを10分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0
.1%TFA、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ
C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)。
さらなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行った(MH2
2+計算値:1391.5、MH2
2+実測値:1392.5)。
【0161】
(実施例2:化合物2の合成)
Ac-Thr-Gly-Glu-Cys-Thr-Cys(Acm)-Pro-Tyr
-Trp-Glu-Phe-Arg-Pro-Cys(Acm)-Glu-Cys-Gl
y-Ser-Tyr-Ser-Gly-Ala-Gly-Gly-Gly-Lys-NH
2
化合物2(配列番号8を含む)は、化合物1のペプチド配列をスクランブリングした陰性
対照である。
【0162】
(工程(a):保護された前駆体直鎖ペプチドの合成)
ペプチジル樹脂H-Thr(tBu)-Gly-Glu(OtBu)-Cys(Trt
)-Thr(tBu)-Cys(Acm)-Pro-Tyr(tBu)-Trp(Boc
)-Glu(OtBu)-Phe-Arg(Pbf)-Pro-Cys(Acm)-Gl
u(OtBu)-Cys(Trt)-Gly-Ser(tBu)-Tyr(tBu)-S
er(ΨMe,Mepro)-Gly-Ala-Gly-Gly-Gly-Lys(Bo
c)-ポリマー(配列番号8を含む)を、Applied Biosystems 43
3Aペプチド合成装置上で、0.1mmolのRink Amide Novagel樹
脂から開始するFmoc化学を用いて組み立てた。カップリングステップでは、(HBT
Uを使用して)予備活性化した過剰量の1mmolアミノ酸を適用した。Tyr-Ser
疑似プロリン(Novabiochem05-20-1014)を配列に組み込んだ。樹
脂を窒素バブラー装置に移し、無水酢酸(1mmol)およびNMM(1mmol)をD
CM(5mL)に溶解した溶液で60分間処理した。無水溶液を濾過によって除去し、樹
脂をDCMで洗浄し、窒素流下で乾燥させた。
【0163】
側鎖保護基の除去および樹脂からのペプチドの開裂を同時に、2.5%のTIS、2.
5%の4-チオクレゾールおよび2.5%の水を含有するTFA(10mL)中で2時間
10分行った。濾過により樹脂を除去し、TFAを真空除去し、残渣にジエチルエーテル
を加えた。形成された沈殿物をジエチルエーテルで洗浄し、風乾させ、クルードペプチド
216mgを得た。
【0164】
分取HPLCによるクルードペプチドの精製(グラジエント:20-30%Bを40分
間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA、流量:50mL/
分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x50mm、
検出:UV214nm、生成物保持時間:34.1分)から、200mLのACN/水に
溶解した純粋なDX-1662陰性対照直鎖前駆体を得た。この純粋な生成物を、分析H
PLCで分析した(グラジエント:10-40%Bを5分間、A=H2O/0.1%TF
AおよびB=ACN/0.1%TFA、流量:0.6mL/分、カラム:Phenome
nex Luna 3μ C18(2)20x2mm、検出:UV214nm、生成物保
持時間:3.52分)。さらなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を
使用して行った(MH2
2+計算値:1464.6、MH2
2+実測値:1464.9)
。
【0165】
(工程(b):単環式Cvs4-16ジスルフィド架橋の形成)
Cys4-16;Ac-Thr-Gly-Glu-Cys-Thr-Cys(Acm)
-Pro-Tyr-Trp-Glu-Phe-Arg-Pro-Cys(Acm)-Gl
u-Cys-Gly-Ser-Tyr-Ser-Gly-Ala-Gly-Gly-Gl
y-Lys-NH2(配列番号8を含む)。
【0166】
工程(a)の陰性対照直鎖前駆体溶液(200mL、4.3.1を参照)にDMSO(
10mL)を加え、アンモニアを用いて溶液をpH7に調整した。反応混合液を40℃で
18時間加熱した後、60℃で60分間加熱した。溶液をTFAを用いてpH2に調整し
、ACNを真空蒸発させて除去した。残渣を分取HPLC精製にかけた。
【0167】
分取HPLCによる残渣の精製(グラジエント:0%Bを5分間、その後20-30%
Bを60分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TFA、流量:
50mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x
50mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:29.6分)から、ACN/水10
0mL中の純粋な陰性対照単環式前駆体を得た。この純粋な生成物を、分析HPLCで分
析した(グラジエント:10-40%Bを5分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB
=ACN/0.1%TFA、流量:0.6mL/分、カラム:Phenomenex L
una 3μ C18(2)20x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:3
.46分)。さらなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行
った(MH2
2+計算値:1463.6、MH2
2+実測値:1463.7)。
【0168】
(工程(c):第2Cvs6-14ジスルフィド架橋の形成(化合物2))
Cys4-16,6-14;Ac-Thr-Gly-Glu-Cys-Thr-Cys
-Pro-Tyr-Trp-Glu-Phe-Arg-Pro-Cys-Glu-Cys
-Gly-Ser-Tyr-Ser-Gly-Ala-Gly-Gly-Gly-Lys
-NH2(配列番号8を含む)。
【0169】
工程(b)からの陰性対照単環式前駆体溶液(100mL)を、AcOH(100mL
)で希釈した。1M HCl(5mL)およびAcOH中の0.05M I2(7mL)
をその順序でアルゴンブランケット下で添加し、混合液を20分間撹拌した。1Mアスコ
ルビン酸(1mL)を加え、無色混合液を得た。溶媒の大部分を真空蒸発させ、残渣(3
0mL)を水/0.1%TFA(100mL)で希釈し、分取HPLCを用いて生成物を
精製した。分取HPLCによる残渣の精製(グラジエント:0%Bを10分間、その後2
0-30%Bを60分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.1%TF
A、流量:50mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2
)250x50mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:32.8分)から、30
mgの純粋な化合物2を得た。この純粋な生成物を、分析HPLCで分析した(グラジエ
ント:10-40%Bを10分間、A=H2O/0.1%TFAおよびB=ACN/0.
1%TFA、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ
C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:6.54分)。さ
らなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行った(MH2
2
+計算値:1391.5、MH2
2+実測値:1392.5)。
【0170】
(実施例3:シアニン染料2-{(1E,3E,5E)-5-[1-(5-カルボキシペ
ンチル)-3,3-ジメチル-5-スルホ-1,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-
イリデン]ペンタ-1,3-ジエニル}-3-メチル-1,3-ビス(4-スルホブチル
)-3H-インドリウム-5-スルホン酸塩(Cy5**)の合成
【化10】
【0171】
((3a)5-メチル-6-オキソヘプタン-1-スルホン酸)
【化11】
DMF(25ml)中の2-メチルアセト酢酸エチル(50g)を、DMF(100m
l)中の水素化ナトリウム(鉱物油中の60%NaH12.0g)の懸濁液に、氷浴冷却
しながら1時間かけて滴加した(内部温度0~4℃)。この混合液を、撹拌しながら45
分間かけて周囲温度まで暖め、再冷却した。次に、DMF(25ml)中の1,4-ブタ
ンスルトン(45g)の溶液を15分かけて滴加した。最終混合液を60℃で18時間加
熱した。溶媒を回転蒸発により除去し、残渣を水およびジエチルエーテル間で分配した。
水層を回収し、新しいジエチルエーテルで洗浄し、回転蒸発させて粘着性の泡を得た。こ
の中間体を水(100ml)に溶解し、水酸化ナトリウム(17.8g)を撹拌しながら
15分かけて添加した。この混合液を90℃で18時間加熱した。冷却した反応混合液を
、濃塩酸(~40ml)の添加により~pH2に調整した。溶液を回転蒸発させ、真空乾
燥させた。黄色固体を、2%塩酸を含むエタノール洗浄した(3×150ml)で。エタ
ノール溶液を濾過し、回転蒸発させ、真空乾燥させ、黄色固体を得た。収量70g。
【0172】
((3b)2,3-ジメチル-3-(4-スルホブチル)-3H-インドール-5-スル
ホン酸、二カリウム塩)
【化12】
4-ヒドラジノベンゼンスルホン酸(40g)、5-メチル-6-オキソヘプタン-1
-スルホン酸(3aから;60g)および酢酸(500ml)を混合し、還流下で6時間
加熱した。溶媒を濾過し、回転蒸発させ、真空乾燥させた。固体をメタノール(1L)に
溶解した。これに2Mメタノール水酸化カリウム(300ml)を加えた。混合液を3時
間撹拌した後、回転蒸発を使用して溶媒の量を50%減少させた。得られた沈殿物を濾過
し、メタノールで洗浄し、真空乾燥させた。収量60g。MS(LCMS):MH
+36
2。Acc. Mass:実測値、362.0729。MH
+=C
14H
2ONO
6S
2
は、m/z 362.0732(-0.8ppm)を必要とする。
【0173】
((3c)2,3-ジメチル-13-ビス(4-スルホブチル)-3H-インドリウム-
5-スルホン酸、二カリウム塩)
【化13】
2,3-ジメチル-3-(4-スルホブチル)-3H-インドール-5-スルホン酸(
3bから;60g)を、1,4ブタンスルトン(180g)およびテトラメチレンスルホ
ン(146ml)とともに140℃で16時間加熱した。得られた赤色固体をジエチルエ
ーテルで洗浄し、粉砕して粉末にし、真空乾燥させた。収量60g。
【0174】
((3d)Cv5**、TFA塩として)
1-(5’-カルボキシペンチル)-2,3,3-トリメチル-インドレニウムブロミ
ド-5-スルホン酸、K+塩(2.7g)、マロンアルデヒドビス(フェニルイミン)一
塩酸塩(960mg)、無水酢酸(36ml)および酢酸(18ml)を120℃で1時
間加熱し、暗褐色-赤色溶液を得た。反応混合液を周囲温度まで冷却した。2,3-ジメ
チル-1,3-ビス(4-スルホブチル)-3H-インドリウム-5-スルホネート(3
cから;8.1g)および酢酸カリウム(4.5g)を混合液に添加し、これを周囲温度
で18時間撹拌した。得られた青色溶液を酢酸エチルを用いて沈殿させ、真空乾燥させた
。クルード染料を、液体クロマトグラフィーにより精製した(RPC18.水+0.1%
TFA/MeCN+0.1%TFAグラジエント)。主な染料ピークを含む画分を回収し
てプールし、真空蒸発させ、表題の染料2gを得た。UV/Vis(水+0.1%TFA
):650nm。MS(MALDI-TOF):MH+887。MH+=C38H50N
2O14S4は、m/z 887.1を必要とする。
【0175】
(実施例4:2-[(1E,3E,5E)-5-(1-{6-[2,5-ジオキソピロリ
ジン-1-イル)オキシ]-6-オキソヘキシル}-3,3-ジメチル-5-スルホ-1
,3-ジヒドロ-2H-インドール-2-イリデン]ペンタ-1,3-ジエニル]-3-
メチル-1,3-ビス(4-スルホブチル)-3H-インドリウム-5-スルホン酸、ジ
イソプロピルエチルアミン塩の合成(Cy5
**のNHSエステル))
【化14】
Cy5
**(実施例3;10mg)を無水DMSO(3ml)に溶解した;これにHS
PyU(20mg)およびN,N’-ジイソプロピルエチルアミン(80μl)を加えた
。得られた溶液を3時間混合すると、TLC(RPC
18.水/MeCN)は完全な反応
を示した。酢酸エチル/ジエチルエーテル中での沈殿により染料を単離し、濾過し、酢酸
エチルで洗浄し、真空乾燥させた。UV/Vis(水)650nm。MS(MALDI-
TOF)MH
+ 983.MH
+=C
42H
53N
3O
16S
4は、m/z 984.1
6を必要とする。
【0176】
(実施例5:染料のコンジュゲーション、化合物3~7の合成)
Cys4-16、6-14;Ac-Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys
-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys
-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
(Cy5)-NH2(化合物3)(配列番号7を含む)。
【0177】
化合物1(10mg)、NMM(4μL)およびCy5 NHSエステル(5.7mg
;GE Healthcare PAl 5104)をNMP(1mL)に溶解し、反応
混合液を7時間撹拌した。反応混合液を5%ACN/水(8mL)で希釈し、生成物を分
取HPLCで精製した。
【0178】
分取HPLCによるクルードペプチドの精製(グラジエント:5-50%Bを40分間
、A=H2O/0.1%HCOOHおよびB=ACN/0.1%HCOOH、流量:10
mL/分、カラム:Phenomenex Luna 5μ C18(2)250x21
.20mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:35.5分)から、8.1mgの
純粋な化合物3を得た。この純粋な生成物を、分析HPLCで分析した(グラジエント:
5-50%Bを10分間、A=H2O/0.1%HCOOHおよびB=ACN/0.1%
HCOOH、流量:0.3mL/分、カラム:Phenomenex Luna 3μ
C18(2)50x2mm、検出:UV214nm、生成物保持時間:8.15分)。さ
らなる生成物の特性評価を、エレクトロスプレー質量分析法を使用して行った(MH2
2
+計算値:1710.6、MH2
2+実測値:1711.0)。
【0179】
化合物4を、同様の方法で調製した - エレクトロスプレー質量分析法(MH2
2+
計算値:1710.6、MH2
2+実測値:1710.9)。
【0180】
他の染料-ペプチドコンジュゲート(化合物5~7)も、同様の方法で調製した。Al
exa647は、Molecular Probes(A20106)から購入した。
化合物5(MH2
2+計算値:1825.7、MH2
2+実測値:1825.9)、
化合物6(MH2
2+計算値:1811.7、MH2
2+実測値:1812.0)、
化合物7(MH2
2+計算値:1825.7、MH2
2+実測値:1826.2)。
【0181】
(実施例6:In vitro蛍光偏光アッセイ)
蛍光偏光法の原理を簡単に説明すると、以下のようになり得る:
単色光が水平偏光フィルターを通過し、試料中の蛍光分子を励起する。垂直偏光面で適切
に配向した分子のみが光を吸収し、励起され、次いで発光する。放出された光を水平面お
よび垂直面の両方で測定する。異方性値(A)は、下記の式に従う光強度の比である:
A=(水平偏光子での強度-垂直偏光子での強度)/(水平偏光子での強度+2*垂直偏
光子での強度)。
【0182】
蛍光異方性の測定は、384ウェルマイクロプレートにおいて10μLの容量で、結合
緩衝液(PBS、0.01%Tween-20、pH 7.5)中、Tecan Saf
ire蛍光偏光プレートリーダー(Tecan、米国)を使用して、ex646/em6
78nmで実施した。染料標識ペプチドの濃度を一定(20nM)に保ち、ヒトまたはマ
ウスのcMet/Fcキメラ(R&D Systems)またはSemaphorin
6A(R&D Systems)の濃度を0~150nMの間で変化させた。結合混合液
をマイクロプレート中で10分間30℃で平衡させた。観察された異方性の変化を、下記
の方程式に当てはめた:
【数1】
(式中、r
obsは観測された異方性であり、r
freeは遊離ペプチドの異方性であり
、r
boundは結合ペプチドの異方性であり、K
Dは解離定数であり、cMetは全c
Met濃度であり、Pは全染料標識ペプチド濃度である)。この方程式は、合成ペプチド
および受容体が、溶液中で1:1の化学量論で可逆的な複合体を形成することを前提とし
ている。GraphPad Prismソフトウェアを使用して非線形回帰によりデータ
フィッティングを行い、K
D値(一部位結合)を得た。
【0183】
化合物3および4を、ヒトおよびマウスのcMet(Fcキメラ)への結合について試
験した。結果は、化合物3のヒトc-Metへの結合についてのKDが3±1nMである
ことを示した。化合物4のヒトcMetへの結合は認められなかった。さらに、化合物3
および4は、試験範囲ではマウスcMetへの結合を示さなかった。
【0184】
同じ方法を用いて、化合物5では、ヒトcMetに対するKDが1.1nmであること
がわかった。
【0185】
(実施例7:化合物5および7のin vivo試験)
((a)動物モデル)
雌のBALB c/Aヌード(Bom)マウス54匹を、試験に使用した。動物の使用
は、地方倫理委員会によって承認された。BALB c/Aヌードは、他のヌードマウス
系統と比較して、ヒト腫瘍の取り込み率が高い近交系免疫不全マウス系統である。マウス
は、到着時に4週齢で、試験開始時の体重は約20グラムであった。動物を、HEPAフ
ィルターで濾過された空気の個別換気ケージ(IVC、Scanbur BK)に収容し
た。動物は、"Rat and Mouse nr. 3 Breeding"飼料(Sc
anbur BK)と、1mMのモル濃度までHClを添加して酸性化した水道水(pH
3.0)とを自由に摂取していた。
【0186】
結腸がん細胞HCT-15はヒト結腸がん由来であり、Zengら[Clin. Ex
p. Metastasis, 21, 409-417. (2004)]によると、
cMetを発現することが報告されている。この細胞株は、ヌードマウスに皮下接種した
際に、腫瘍を形成することが証明された[Flatmark et al, Eur.
J. Cancer 40,1593-1598 (2004)]。
【0187】
HCT-15細胞を、10%血清およびペニシリン/ストレプトマイシンを含むRPM
I(Sigmaカタログ番号R0883)中で増殖させ、皮下接種用に調製した。継代数
4(P4)でストックを作製し、5%DMSOを含む培地中、3×107細胞/バイアル
で液体窒素中に貯蔵するために凍結した。移植当日、細胞を37℃の水浴中で急速に解凍
し(約2分間)、洗浄し、PBS/2%血清中に再懸濁させた(1200rpmで10分
間遠心分離)。細胞を投与用シリンジに吸引するたびに、確実にバイアル内の細胞を完全
に混合するようにした。動物が軽いガス麻酔下にある間、0.1mlの量の細胞懸濁液を
、細口径針(25G)を使用して肩と背中に皮下注射した。その後、動物をケージに戻し
、腫瘍を13~17日間増殖させた。動物には、接種処置の前に、少なくとも5日間の順
化期間を与えた。
【0188】
((b)処置)
全ての試験物質を、凍結乾燥粉末からPBSで復元した。白色プリンター用紙の小さな
堆積物をイメージングし、照明の不均一性を補正するために使用するフラットフィールド
画像を得た。試験物質を物理的固定時に側尾静脈内に静脈内注射した。注射量は0.1m
lであり、これは動物1匹あたり1nmolの試験物質の用量に相当する。注射後、動物
をケージに戻した。動物は、イメージングの直前に、頸椎脱臼により屠殺した。各試験物
質の最適なイメージング時点は、限られた数(n=1~6)の動物の皮膚および筋肉組織
におけるウォッシュアウト速度の比較に基づいて推定した。化合物3および4のイメージ
ング時点は、注射後120分であった。各動物について、皮下増殖した腫瘍を死後に切除
した。厚さ約1.6mm、直径約3~4mmの薄いスライスを、1つの腫瘍の端から切り
取った。腫瘍のスライスを、その後、同じ動物の正常な結腸の領域に対してイメージング
した。
【0189】
((c)イメージング)
イメージングは、レポーターを励起するための光源と、蛍光成分を抽出するためのフィ
ルタリングシステムとを使用するように適合させた臨床腹腔鏡を介して実行した。レポー
ター分子の励起には635nmレーザーを使用した。検出器にはHamamatsu O
RCA ERG CCDカメラを使用した。カメラは、ゲイン0の2x2ビニングモード
で動作させた。結腸イメージングの標準露光時間は10秒であった。システム較正の測定
では、動物イメージングシステムでの10秒の露光時間は、臨床的に意味のある光源、視
野、および組織表面までの距離での40ミリ秒の露光に対応することを示している。画像
の強度分布を、システム較正データにより、照明の不均一性について補正した。標的およ
びバックグラウンド比は、腫瘍上にある関心領域、および正常な結腸のバックグラウンド
から計算した。画像は、受信機動作特性解析に採用されている標準スコアリングシステム
を使用して、視覚的にスコアリングした。
【0190】
((d)結果)
化合物5は腫瘍対正常比が1.46:1であり、同じ染料を持つ対応するスクランブリ
ング対照ペプチド(化合物7)は、比が1.04:1であった。化合物5は容易に識別可
能な腫瘍を有していたが、化合物7ではバックグラウンドに対して識別可能なものは何も
なかった。
【0191】
(凍結乾燥EMI-137製剤の調製)
製剤は、安定した均一固体を提供するために、効果的に(例えば、衝突または崩壊する
ことなく)凍結乾燥させる必要がある。前述のように、水中でのEMI-137のpHは
約4.6であり、これは静脈内投与には適していない。したがって、製剤のさらなる要件
は、復元時に静脈内投与に適したpHであることである。さらに、復元時の製剤の張度は
、静脈内投与に適していなければならない。さらなる利点は、製剤が冷蔵保存も可能であ
るが、室温で保存可能であることであろう。
【0192】
初期の製剤試験では、pHが約6.8未満の製剤は凝集する傾向があることが示された
。したがって、pHが約6.8未満である製剤は許容できないと考えられた。さらに、約
pH8を超える(場合によっては最大約pH9の)pHでは、ジスルフィド架橋(EMI
-137には2つある)の分解のリスクがあることが知られている。したがって、復元時
に、凝集を避けるのに十分高いpHでありながら、ジスルフィド架橋の分解のリスクを軽
減するのに十分低いpHを提供する製剤に達することが有益であろう。
【0193】
したがって、復元時にEMI-137溶液のpHを許容範囲内に維持するためには、凍
結乾燥の前に緩衝剤を含める必要がある。研究によると、EMI-137溶液の粘度は、
塩化カリウムに富むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)の存在下で上昇し、実質的なゲル形
成が発生することが示されている。このゲル化効果は、EMI-137をpH7.4のリ
ン酸ナトリウム緩衝液に溶解した場合には観察されなかった。したがって、NaClおよ
びKClの使用は、(ゲル化の問題のために)考慮から外した。
【0194】
表3で取り上げているように、凍結乾燥プロセスを実施した。
【表3】
【0195】
凍結乾燥を、以下の通りに行った。
【0196】
下記の表4A~4Fで取り上げているような製剤の構成成分を、適切な凍結乾燥容器に
添加した。記載の全ての成分(緩衝液を含む)を、凍結乾燥の前に添加したことに留意す
ること。
【0197】
積載段階は、約-40℃で行われる。その後、温度を約-55℃まで下げる。冷却速度
は、毎分約1.5℃とすることができる。次いで、混合物を、定常凍結条件で少なくとも
2時間置いておく。次いで、圧力を約45分かけて50μBarまで低下させる。次いで
、温度を約-38℃まで上昇させて一次乾燥段階を行う。加熱速度は、毎分約1℃とする
ことができる。次いで、混合物は、約9日間、定常凍結条件で置いておく。次いで、1時
間あたり約6.8℃の速度で、少なくとも10時間にわたって、混合物を約30℃まで加
熱する(一次乾燥から二次乾燥への移行段階、すなわち「立ち上げ段階」)。次いで、混
合物を、定常二次乾燥条件で約6時間置いておく。次いで、混合物を毎分約1℃の速度で
約20℃にまで冷却してから、ヘッドスペースガス(すなわち、アルゴンまたは窒素など
の不活性ガス)を添加して、凍結乾燥容器内の真空を解放する。その後、製品を、5℃で
荷下ろし/貯蔵する。
【0198】
一次乾燥ステップ、立ち上げ段階および二次乾燥ステップは全て、混合物を約50μb
arの真空下に置くことで実施される。この圧力を一次乾燥段階で導入し、その後貯蔵/
荷下ろし段階まで維持してもよい。
【0199】
リン酸ナトリウムなどの緩衝剤を使用すると、凍結中にpHが低pHに移行することが
知られており、したがって、凍結濃縮物のガラス転移温度が低いであろうことから、本製
剤を崩壊させずに凍結乾燥することは困難であると予想されていた。そのため、本発明は
、張度調節剤と凍結乾燥保護剤とを組み合わせたものを含む。マンニトールは、凍結乾燥
で最も広く使用され、文書化されている増量剤の1つであるが、いくつかの熱的問題およ
び結晶化の併発が報告されており、これは潜在的に生産および製品の安定性に影響を与え
る可能性がある。このように、マンニトール単独での使用は、通常、凍結乾燥に有利であ
るとは考えられず、いくつかの問題を生じさせることが知られている。
【0200】
本発明の緩衝剤と凍結乾燥保護剤との組み合わせは、凍結乾燥ケーキの崩壊を経ずに凍
結乾燥することが困難であったため、調整された凍結乾燥サイクルが必要であった。凍結
乾燥サイクルは、低い氷温を達成するために十分に低い真空および棚温度を有し、凍結乾
燥ケーキのこのメルトバック/崩壊を防ぐように選択した。凍結乾燥ケーキの崩壊は、凍
結乾燥プロセスの乾燥ステップ中にEMI-137が大きな構造体/凝集体を形成するの
を防ぐために、避けなければならない(これはpH6.8未満で起こることが判明してお
り、完全に可逆的ではない)。
【0201】
いくつかの初期製剤試験の後、および上記を考慮して、さらなる試験のために以下の変
数を選択した:
・緩衝液:リン酸ナトリウムまたはトリスHCl(25、40および55mM);
・凍結乾燥保護剤:スクロースまたはマンニトール。
【0202】
(凍結乾燥製剤の例)
表4A~4Fに示すように、4つの変数と混合レベルデザインとを組み合わせた要因計
画を使用して、製剤候補を調査した。デザインは、4つの変数(試料1~8)、4つの中
心点(試料10~13)についての画分的に2つのレベルデザイン、ならびに医薬品有効
成分(API)の3つのレベルと、緩衝剤のタイプおよび凍結乾燥保護剤のタイプのカテ
ゴリー変数の2つのレベルとについての混合レベルデザイン(試料14~21)から構成
した。さらに、様々な参照試料を含めた(試料22~24)。追加試料2つ(試料25お
よび26)も調査した。試料25は、1mLの水中で凍結乾燥する前の溶液の組成物を指
し、試料26は、前の試料の結果に基づいて調製したさらなる典型的な製剤を指している
。
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
上記表4A~4Fの(1)、(2)、(3)および(4)の参照は、以下の通りである
:
(1)0.25mg/mL無水NaH2PO4+3.25mg/mL無水Na2HPO4
(2)0.56mg/mL無水NaH2PO4+7.14mg/mL無水Na2HPO4
(3)0.41mg/mL無水NaH2PO4+5.19mg/mL無水Na2HPO4
(4)0.50877mg/mL無水NaH2PO4+6.49467mg/mL無水N
a2HPO4
【0210】
使用した無水および水和リン酸ナトリウムの量を、下記の表5に示す。
【表5】
【0211】
製剤に使用したモル質量は、以下の通りであった:
・リン酸二水素ナトリウム(無水物)=119.98g/mol
・リン酸水素二ナトリウム(無水物)=141.96g/mol
・トリスHCl=121.14g/mol
・マンニトール=182.17g/mol
・スクロース=342.29g/mol
・EMI-137=3,650.3g/mol
【0212】
上記から、リン酸ナトリウム緩衝液の範囲=凍結乾燥前に4.26~18.26%w/
w、凍結乾燥後に9.78~35.22%w/w、それに対してトリスHCL緩衝液の範
囲=凍結乾燥前に3.27~12.63%w/w、凍結乾燥後に3.27~12.63%
w/wであることがわかる。
【0213】
製剤に使用した材料を、下記の表6に示す。
【表6】
【0214】
スクリーニング試験に続いて、4週間の予備安定性試験を25℃および40℃で実施し
た。一連の実験を、選択した緩衝剤と凍結乾燥保護剤の両方のスクリーニングを達成し、
生産に関わるAPI濃度(標的4.8mg/ml)付近での頑健性を試験するようにデザ
インした。目標濃度±10%の範囲で試験を行った。このデザインは、EMI-137、
緩衝剤および凍結乾燥保護剤間の潜在的な相互作用を明らかにするものでもある。全ての
試料を等張にしたため、緩衝剤濃度および凍結乾燥保護剤濃度は共変量であった。試験パ
ラメータを表7に示す。凍結乾燥前のバルク溶液の工程内試験に加えて、潜在的な不安定
性が凍結または乾燥のプロセスに起因するかどうかを明らかにするために、凍結ステップ
からの試料も試験に含めた。
【0215】
【0216】
(凍結乾燥製剤の結果)
2~8℃で102ヶ月、30℃で61ヶ月および40℃で6ヶ月の安定性データを、そ
れぞれ表8A~8C、9A~9C、および10に示す(以下のキーワード/略語を使用す
る:Amb=周囲湿度、調整なし;NMT=以下;ND=不検出;---:不実施;*2
4ヶ月試料採取時点は、夏季休暇のため延期;**追加のサンプリング時点)。
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
試験パラメータは、上記の通りである(表7)。純度は、650nmでのUV/可視検
出を備えたHPLCにより試験し、%面積単位で表した。凝集は、光子相関分光法(PC
S)によって測定された散乱強度として表した。凍結乾燥後の復元および外観の評価では
、凍結乾燥ケーキの様々な特性を記述するために開発された評価システムに従った。
【0225】
(凍結乾燥後の外観)
一般的に、マンニトールの良好な増量特性は、全てのマンニトール含有製剤に非常に良
好な構造を与えた。マンニトール-リン酸塩含有ケーキは、マンニトール-トリス-HC
l製剤とは対照的に、バイアル壁に不均一な青/白っぽい色を呈しているように見えた。
原薬は濃い青色をしているため、これらの色のグラデーションが非常に顕著になった。不
均一な外観は、部分的にはもともとランダムな凍結の性質に、部分的には製剤の特性に起
因するものと予想された。水で復元すると、製品は均一溶液となった。その他の分析結果
は、初期および予備安定期間の両方で、不均一な外観が純粋に表面的な問題であると考え
られることを示した。トリスHClと組み合わせたスクロースは、凍結乾燥中に様々な程
度で崩壊/溶融する傾向があった。バッチの50%で、凍結乾燥ケーキに明らかな崩壊が
なかったように、バイアル間でかなりのばらつきが見られた。40℃で貯蔵すると、プラ
グの部分的な崩壊は、徐々に材料の完全な崩壊へと発展し、7日後にはすでに観察されて
いた。これは、崩壊した材料の水分濃度が上昇したためと考えられる。貯蔵中に見られた
大きな崩壊は、純度、復元および凝集体の形成傾向に悪影響を及ぼした。
【0226】
(凍結乾燥後の復元)
凍結乾燥保護剤を含む緩衝製剤は全て、数秒間非常に穏やかにかき混ぜることで容易に
復元された。結果は、4週間の貯蔵(25℃および40℃)後、崩壊のない試料および中
程度に崩壊したプラグを有する試料については、変化しなかった。大きく崩壊した凍結乾
燥プラグは、復元するのが非常に困難であった。これらの製品は純度も低く、凝集体を含
んでいた。凍結乾燥保護剤のない製剤(試料22~24)は、復元するためにより多く混
合するが必要であったが、それでも許容範囲内と見なされた。
【0227】
(pH)
リン酸ナトリウム緩衝製剤では、pHは凍結乾燥中に安定していたが、40℃での4週
間の貯蔵中に低下した。トリスHCl緩衝製剤では凍結乾燥中にpHが低下したが、40
℃での貯蔵中はほとんどの場合より安定していた。pHの結果は解釈が難しく、ケモメト
リックス分析では明確な理解が得られなかった。マンニトールまたはスクロースに起因す
る傾向は見られなかった。しかし、リン酸緩衝剤の濃度を上げると、貯蔵中のpH低下が
緩和されることは明らかであった。緩衝液濃度が低い場合、EMI-137濃度が高くな
ると、pH低下は激しくなる。トリスHCl製剤は、EMI-137原薬濃度の増加に対
してさらに敏感であった。このことは、試験範囲上限の緩衝液濃度を選択する必要がある
ことを示している。
【0228】
(凝集体(PCS))
各製剤を、凍結乾燥の前後、および4週間の予備安定期間の終了時に、大きな構造体/
凝集体の存在についてPCSで試験した。中心点製剤(試料10~13)についても、1
週間後と2週間後に試験を行った。約20ks/秒未満の値をバックグラウンドとみなし
、凝集体とは判定しなかった。凍結乾燥前のバルク溶液では、いずれも凝集体は検出され
なかった。凍結乾燥後、全ての凍結乾燥保護剤含有製剤に大きな構造体/凝集体はないと
判定した。40℃で4週間貯蔵した後でも、大きく崩壊した試料(試料17)およびEM
I-137を水中に含む非緩衝試料24を除いて、全ての試料に凝集体4は含まれていな
かった。後者の製剤は、pHが4.2であった。低pHでの凝集は、以前の初期の所見と
一致していた。しかし、凍結乾燥保護剤(スクロースまたはマンニトール)を含まないリ
ン酸緩衝剤製剤は、凍結乾燥後に凝集体を含んでいた(試料23)。復元された試料の分
析では、約100nmの大きな構造体の存在が示された。凍結後に取り出された試料には
凝集体は見られなかったため、凝集体は、凍結ステップ中ではなく、乾燥プロセス中に形
成されたものである。リン酸ナトリウム緩衝液は、リン酸塩の溶解度の違いおよび結晶化
により、凍結中にpH勾配を形成し、pHを低い値に移行することが知られている。3.
5という低いpHが報告されている。このpHでは、EMI-137溶液中に凝集体が形
成されることになる。凍結していても、凍結乾燥中にこのpHで長時間放置すると、凝集
体が形成される可能性がある。マンニトールおよびスクロースがこれを防ぐと考えられた
。(トリス-HCl製剤では、凍結乾燥保護剤は必要なかった。トリスHClは、凍結中
にpHを高pH(>9)に移行させる)。著しいメルトバック/崩壊は製剤の凝集レベル
に影響を与えるため、避けるべきであると結論づけられた。低pHでは凝集体が形成され
ることが確認された。凍結乾燥中にリン酸緩衝液を成分として使用したとき、凍結乾燥プ
ロセスの乾燥ステップ中にEMI-137が大きな構造/凝集体を形成するのを防ぐため
に、凍結乾燥保護剤が必要であった。
【0229】
(示差走査熱量測定(DSC))
製剤設計の中心点を表す製剤を、凍結濃縮試料としてDSCで分析した。約20μlの
試料を密閉アルミニウム製るつぼに入れ、Perkin Elmer Diamond
DSC装置を使用して分析した。試料を5℃/分で-80℃に冷却し、-80℃で10分
間置いた後、窒素雰囲気下で5℃/分で24℃に加熱した。全ての計算は、加熱時に収集
したデータに基づいて行った。
【0230】
(マンニトール製剤)
トリスHCl-マンニトール製剤のサーモグラムは複雑であり、3つの異なるガラス転
移と2つの結晶化ピークを示した。-60℃未満でガラス転移が1回発生したにもかかわ
らず、凍結乾燥ケーキの視覚的な崩壊は観察されなかった。これは、結晶化したマンニト
ールの増量特性によるものと思われる。リン酸塩-マンニトール製剤のサーモグラムは、
2つのガラス転移と1つの結晶化ピークを示した。ガラス転移の1つは-50℃~-60
℃の間に発生したが、これは通常の凍結乾燥機の実用的な動作温度よりも著しく低い温度
であった。もう1つのガラス転移は-41℃付近で発生したが、これは凍結乾燥サイクル
を設計する際の動作限界に近い温度である。凍結乾燥ケーキのわずかな収縮を除いて、リ
ン酸塩-マンニトール製剤の巨視的なメルトバック/崩壊はなかった。マンニトールは部
分的に結晶化しており、マンニトールの結晶化部分は凍結乾燥品に機械的安定性を与える
のに十分であると予想された。製剤の加熱時に、マンニトールのTg’(-33℃~-2
7℃)をわずかに上回って再結晶が起こり得るため、-27.6℃で観察された発熱結晶
化ピーク(T結晶化開始)は、マンニトールの可能性のある失透温度に対応している。
【0231】
(スクロース製剤)
スクロース含有製剤のサーモグラムは、-50℃をはるかに下回るガラス転移と、約-
35℃~-37℃のガラス転移とそれぞれ一致する2つの熱事象を示した。結晶化または
共晶融解ピークは、どのスクロース含有製剤でも観察されず、スクロースの含有量と一致
していた。しかし、非常に小さな結晶化反応からの熱流は、水の吸熱溶融の低温側からの
はるかに高い熱流と重なる場合、見分けがつかないであろう。著しい視覚的崩壊は、トリ
スHCl-スクロース含有バイアルのいくつかで見られたが、リン酸塩-スクロース含有
製剤では見られなかった。DSCデータは、リン酸塩-スクロース含有製剤(試料13)
に有利に解釈できたが、リン酸塩-スクロース製剤で類似の問題が発生することが予想さ
れるかどうかを判断するには、わずか12本のバイアルのバッチサイズは小さすぎると結
論づけられた。
【0232】
(近赤外分析(NIR))
マンニトールは、冷却中および再加熱中の両方において、凍結水溶液から結晶化する傾
向が強いことがよく知られており、また、凍結乾燥プロセスで、部分的に非晶質で部分的
に結晶化した材料を生成する可能性があるため、凍結乾燥後も結晶化し続けることが観察
されている。凍結乾燥中の結晶化は、異なる無水多形(α、β、δ)およびそれらの混合
物をもたらすことができ、これは、貯蔵中の多形転移の余地を残す。
【0233】
主成分分析(PCA)と組み合わせた予備的NIR試験では、バイアル間の構造的な差
異が存在し、これが様々な程度の結晶化に起因していることが示された。
【0234】
(HPLC純度)
HPLC純度プロファイルから、純粋なEMI-137と比較して、リン酸塩およびト
リス-HClの両方の製剤の純度プロファイルが非常に類似しており、分解パターンも類
似していることが示された。また、スクロースおよびマンニトール含有製剤の純度プロフ
ァイルも類似していた。いくつかのピーク間には、いくつかの小さな比率の違いが見られ
た。EMI-137原薬と比較したとき、いずれの製剤においても新たなピークは見られ
なかった。緩衝液濃度は、影響を与えないようであった。しかし、視覚的外観分析中に、
一部のバイアルの外観が完全であったのに対し、他のバイアルでは凍結乾燥ケーキが著し
く崩壊していたように、トリス-HClと組み合わせたスクロースは、崩壊したバイアル
に関して、バイアル間のばらつきを生じさせることが観察された。トリスHClとリン酸
ナトリウムはどちらもTg’が低い物質であるため、リン酸塩スクロース含有製剤の可能
性のある類似の問題を明らかにするには、12本のバイアルのバッチサイズは小さすぎる
と判断された。
【0235】
(ケモメトリックス分析の概要)
ケモメトリックスモデリングは、様々な凍結乾燥製剤に応じたHPLC純度の、40℃
で最大4週間にわたる変化、分解した凍結乾燥バイアルと分解していない凍結乾燥バイア
ルにおける有意な変化を識別するためのNIRスペクトルの化学変化、およびPCSで測
定された凝集体の変化に焦点を当てた。ケモメトリックスモデリングにより、トリス-H
Clを含有する全ての製剤が、リン酸緩衝製剤と比較してより分解することが示されたが
、これはHPLC純度データの視覚的比較からは容易には検出できなかった。ケモメトリ
ックス分析の応答曲面は、トリスHCl濃度の増加が分解と化学的相互作用との増加につ
ながることを示している。一般的に、トリスHCl含有製剤は、リン酸塩よりも化学的分
解に関して予測しにくいと結論づけられた。これは、試料10~12(スクリーニング試
験の中心点を表す)から得られたNIRスペクトルの主成分分析(PCA)、およびNI
RとHPLC純度との相関によって支持された。
【0236】
リン酸ナトリウムを含有する製剤を用いて作成されたケモメトリックスモデルは、正確
で信頼性の高いものであった。スクロースとの組み合わせでは、リン酸緩衝剤はほとんど
分解が起こらず、試験した製剤空間内では化学的に非常に安定していた。しかし、凍結乾
燥中の崩壊が潜在的な問題にならないことを確認するためには、より多くの試験が必要で
あった。マンニトールと組み合わせたリン酸ナトリウムは、分析された全てのパラメータ
から判断して、適切な製剤を提供すると結論づけられた。
【0237】
(頑健性/デザインスペース)
HPLCトレースでは、緩衝液濃度は分解プロファイルに重要な影響を与えないと思わ
れることが示されたが、ケモメトリックス分析では、マンニトールを含む製剤の場合、リ
ン酸塩濃度を上げることで、より化学的に安定した製品が得られると期待できることが示
された。応答曲面は、緩衝液濃度が40mMを超えると特に安定な領域を示し、分解はE
MI-137濃度の影響をあまり受けなかった。EMI-137の目標濃度付近±10%
のデザインスペースが試験された。これは、原薬の含有量の通常の仕様範囲をカバーして
いる。この範囲内でのEMI-137濃度の変動は、より高い緩衝液濃度では純度にほと
んど影響を与えず、製造中の製剤に十分な頑健性を与えることがわかった。pH変化の応
答曲面からは,リン酸ナトリウム緩衝液濃度を上げることで、貯蔵中のpH変化が緩和す
ることが示された。また、緩衝液濃度が低すぎると、EMI-137濃度の変化に対して
製剤が頑健にならないことも確認された。緩衝液濃度が40mMを超えると、EMI-1
37濃度が目標濃度(4.8mg/ml)から±10%変動した場合、pH変化は0.2
pH単位未満であった。50mMを超えると、貯蔵中の予測pH変化は小さく、EMI
-137濃度と緩衝液濃度の両方の変動に対して安定しており、製造中の製剤に良好な頑
健性を与えた。多変量解析では、4.3~5.3mg/mlの間で変動する原薬濃度で、
医薬品の品質に影響を与えることなく、緩衝液濃度を40~55mMの間で変動させるこ
とが可能であると示された。
【0238】
(cMet受容体親和性in vitro試験)
試料11を、c-Met受容体に対する親和性について試験し、純粋なEMI-137
原薬と同等の結合データを示した。マンニトール-40mMリン酸塩製剤は、ペプチドの
標的受容体への結合に悪影響を及ぼさないと結論づけられた。
【0239】
(凍結乾燥製剤の結果の検討)
上の表に示すように、EMI-137は、高温下でも長期間(102ヶ月)にわたって
安定しており、貯蔵寿命が長くなっている。測定期間にわたって製品の分解傾向が見られ
ないことも注目に値し、これは優れた安定性の証拠である。測定期間中に関連物質(すな
わち、不純物)が実質的に形成されていないこと、つまり、これらの形成傾向がないこと
も驚くべきことである。さらに、復元すると、製剤は静脈内投与に適したpH(約pH7
.5)を有し、凝集することなく可溶化する。さらに、乾燥した凍結乾燥固体は、不均一
な青色の外観を保持している。復元した製剤は、復元後24時間まで安定しており、関連
物質を実質的に含まないことも注目に値する。したがって、EMI-137製剤は、乾燥
(凍結乾燥)および復元形態の両方で非常に安定していることが示された。
【0240】
分析結果およびケモメトリックス分析に基づいて、下記の結論が導き出された。
【0241】
中性pHを維持し、凝集を避けるためには、製剤の調製時および凍結乾燥時に緩衝剤を
添加する必要がある。全ての結果のケモメトリックス分析に基づいて、リン酸ナトリウム
緩衝剤は、トリスHCl製剤よりも頑健であると判断された。リン酸緩衝剤の最小濃度は
40mMである必要がある。リン酸緩衝剤を凍結乾燥するためには、乾燥プロセス中の凝
集体形成を防止するために、凍結乾燥保護剤が必要であった。マンニトールは、良好な凍
結乾燥保護剤活性を有することが示された。大きく崩壊した凍結乾燥ケーキは、復元が難
しく、純度が低く、凝集体を形成する傾向があった。これは、中程度ではあるが明らかに
メルトバック/崩壊が見られるバイアルでは見られなかった。リン酸ナトリウム-スクロ
ース含有製剤は、化学的に最も頑健な製剤と考えられていたが、凍結乾燥の観点から見る
と、それほど頑健ではなかった可能性がある。凍結乾燥したリン酸ナトリウム-マンニト
ール製剤は、外観が不均一であり、凍結乾燥ケーキに色のグラデーションが現れるため、
トリスHCl-マンニトール製剤よりも「薬理学的に洗練されて」はなかった。これは凍
結段階に起因するものと予想され、製品は復元時に均一溶液を形成したため、許容範囲内
であると結論づけられた。トリスHCl含有製剤は一般的に予測データが少なく、ケモメ
トリックス分析に基づいて、これらの製剤は潜在的にリスクの高い(それでも有効ではあ
るが)選択であると考えられた。本試験の全体的な結論は、リン酸ナトリウム-マンニト
ール含有製剤は、利用可能な限られた予備安定性データ、分析データのケモメトリックス
分析、および頑健性の考慮に基づいて、リスク、予測可能性および受容性の十分なバラン
スを提供すると考えられるが、トリスHClおよびスクロースも、独立して代替品として
使用される可能性があるというものであった。
【0242】
(要約)
本発明は、APIの十分な安定性を得るためには、凍結乾燥製剤が必要であることを教
示している。復元後の医薬品は、等張溶液であり、静脈内投与に適した生理的pHを有す
ることが必要である。水中のEMI-137はpHが4.6であり、大きな構造体または
凝集体の形成が顕著に見られる。この凝集は、溶液のpHを上げても一部しか可逆的では
ないため、静脈内投与には不向きである。そのため、pHは6.8より大きく9未満(ま
たはそれより低い可能性がある)が有利であり、その理由はこのpH範囲では凝集体の形
成が観察されないためである。このpH範囲は常に維持する必要があり、バルク医薬品溶
液の製造時にも適用する必要がある。したがって、EMI-137溶液のpHを許容可能
な範囲内に維持するために、凍結乾燥の前に緩衝剤を溶液に含めることが有益である。ま
た、凍結乾燥中にEMI-137が分解しないようにするための凍結乾燥保護剤と、復元
された製剤が等張および/または静脈内投与に適しているようにするための張度調節剤(
これは、凍結乾燥保護剤と同じ材料であり得る)とを含めることも有益である。
【0243】
上記のような緩衝剤および凍結乾燥保護剤/張度調節剤を使用すると、安定で、復元時
に静脈内投与に適したpHおよび張度である均一固体が得られる。さらに、記載されてい
る製剤は、凍結乾燥中に十分なpHを保持し、凝集が起こるのを防ぎ、EMI-137の
ジスルフィド架橋を破壊させることはない。さらに、この製剤は、顕著な分解を伴わずに
長期間室温で保存可能であり、復元時および復元後も安定したままである。
【0244】
上述のように、復元時にEMI-137溶液のpHを許容可能な範囲内に維持するため
には、凍結乾燥の前に緩衝剤を含めることが必要である。
【0245】
本発明の記載された実施形態に対する様々な修正および変形は、本発明の範囲および趣
旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の実施形態に関連
して記載してきたが、クレームされる発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定さ
れるべきではないことを理解されたい。実際、当業者にとって自明な本発明を実施するた
めの記載されたモードの様々な修正は、本発明によってカバーされることが意図されてい
る。
【0246】
(略語)
従来の1文字または3文字のアミノ酸の略語が使用されている。
Acm:アセトアミドメチル
ACN(またはMeCN):アセトニトリル
Boc:tert-ブチルオキシカルボニル
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド DMSO:ジメチルスルホキシド
Fmoc:9-フルオレニルメトキシカルボニル
HBTU:O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロ
ニウムヘキサフルオロリン酸塩
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
HSPyU:O-(N-スクシンイミジル)-N,N,N’,N’-テトラメチレンウロ
ニウムヘキサフルオロリン酸塩
NHS:N-ヒドロキシスクシンイミド
NMM:N-メチルモルホリン
NMP:1-メチル-2-ピロリジノン
Pbf:2,2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
tBu:t-ブチル
TFA:トリフルオロ酢酸
TIS:トリイソプロピルシラン
Trt:トリチル
トリスHCl:2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール塩酸
塩
【0247】
(配列表フリーテキスト)
配列番号1
Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3-Phe
-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa6
Xaa1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa3は、ThrまたはArgである;
Xaa4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa5は、SerまたはThrである;
Xaa6は、AspまたはGluである。
17量体cMET結合ペプチド
配列番号2
Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3
-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa
6
Xaa1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa3は、ThrまたはArgである;
Xaa4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa5は、SerまたはThrである;
Xaa6は、AspまたはGluである。
18量体cMET結合ペプチド
配列番号3
Ala-Gly-Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-
Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-
Xaa5-Xaa6-Gly-Thr
Xaa1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa3は、ThrまたはArgである;
Xaa4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa5は、SerまたはThrである;
Xaa6は、AspまたはGluである。
22量体cMET結合ペプチド。
配列番号4
Gly-Gly-Gly-Lys
cMET結合ペプチドの一部であるテトラペプチド配列。
配列番号5
Gly-Ser-Gly-Lys
cMET結合ペプチドの一部であるテトラペプチド配列。
配列番号6
Gly-Ser-Gly-Ser-Lys
cMET結合ペプチドの一部である5ペプチド配列。
配列番号7
Ala-Gly-Ser-Cys-Tyr-Cys-Ser-Gly-Pro-Pro-
Arg-Phe-Glu-Cys-Trp-Cys-Tyr-Glu-Thr-Glu-
Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
26量体cMET結合ペプチド
配列番号8
Thr-Gly-Glu-Cys-Thr-Cys-Pro-Tyr-Trp-Glu-
Phe-Arg-Pro-Cys-Glu-Cys-Gly-Ser-Tyr-Ser-
Gly-Ala-Gly-Gly-Gly-Lys
26量体のスクランブリングされたcMET結合ペプチド(陰性対照)。
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)医薬品有効成分(API)と;
(ii)緩衝剤と;
(iii)凍結乾燥保護剤と
を含む凍結乾燥製剤であって、前記APIが、哺乳動物の身体を光学的にイメージングするのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング剤である、凍結乾燥製剤。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)医薬品有効成分(API)と;
(ii)緩衝剤と;
(iii)凍結乾燥保護剤と
を含む凍結乾燥製剤であって、前記APIが、哺乳動物の身体を光学的にイメージングするのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング剤であり、前記イメージング剤が式Iの化合物を含み:
【化1】
(式中、
Z
1は、cMBPのN末端に結合しており、HまたはM
IGである;
Z
2は、cMBPのC末端に結合しており、OH、NH
2、OB
c(B
cは生体適合性カチオンである)またはM
IGである;
cMBPは、17~30個のアミノ酸のcMet結合環状ペプチドであり、下記のアミノ酸配列(配列番号1)を含む:
Cys
a-Xaa
1-Cys
c-Xaa
2-Gly-Pro-Pro-Xaa
3-Phe-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6
(Xaa
1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa
2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa
3は、ThrまたはArgである;
Xaa
4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa
5は、SerまたはThrである;
Xaa
6は、AspまたはGluである;
Cys
a-dはそれぞれシステイン残基であって、残基aとbと、ならびに残基cとdとが環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している);
M
IGは代謝阻害基であって、前記ペプチドのin vivo代謝を阻害または抑制する生体適合性基である;
ここで、N末端のM
IG
は、アセチル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、または-(C=O)R
G
から選択され;R
G
は、C
1-6
アルキル、C
3-10
アリール基、またはポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックから選択され;C末端のM
IG
はカルボキサミド、tert-ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコールまたはポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックから選択され;Lは、式-(A)m-の合成リンカー基である
(各Aは、独立して、-CR
2-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR
2CO
2-、-CO
2CR
2-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SO
2NR-、-NRSO
2-、CR
2OCR
2-、-CR
2SCR
2-、CR
2NRCR
2-、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアルキレン基、C
5-12アリーレン基、C
3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖または単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである;
各Rは、独立して、H、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-4アルコキシアルキルまたはC
1-4ヒドロキシアルキルから選択される;
mは、値1~20の整数である);
nは、値0または1の整数である;
IMは、紫色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用して哺乳動物の身体をイメージングするのに適した光学レポーターイメージング部位である);
APIを約4~約12重量%、緩衝剤を約3~約35重量%、凍結乾燥保護剤を約56~約91重量%含み
、ここで、前記緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびアルカノールアミン緩衝剤のうちの少なくとも1つであり、前記凍結乾燥保護剤が、スクロースおよびマンニトールのうちの少なくとも1つである;復元したときに、約pH6.8~約pH9の間のpHを有する、凍結乾燥製剤。
【請求項2】
配列番号1に加えて、前記cMBPがさらに、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残基内に、AspもしくはGlu残基を含み、-(L)nIMがアミン基で官能化されており、このアミン基が前記AspもしくはGlu残基のカルボキシル側鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項3】
配列番号1に加えて、前記cMBPが、C-またはN-cMBPペプチド末端のいずれかの4個のアミノ酸残基内に、Lys残基を含み、-(L)nIMがカルボキシル基で官能化されており、このカルボキシル基が前記Lys残基のε-アミン側鎖にコンジュゲートしてアミド結合を与えている、請求項1または2に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項4】
cMBPが、下記の配列番号2または配列番号3のいずれかのアミノ酸配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤:
Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa6(配列番号2);
Ala-Gly-Ser-Cysa-Xaa1-Cysc-Xaa2-Gly-Pro-Pro-Xaa3-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Gly-Thr(配列番号3)。
【請求項5】
Xaa3がArgである、請求項1~4のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項6】
配列番号1、配列番号2または配列番号3に加えて、cMBPがさらに、そのN-またはC-末端のいずれかに、-Gly-Gly-Gly-Lys(配列番号4)、-Gly-Ser-Gly-Lys-(配列番号5)および-Gly-Ser-Gly-Ser-Lys(配列番号6)から選択されるリンカーペプチドを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項7】
cMBPが、下記のアミノ酸配列(配列番号7)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤:
Ala-Gly-Ser-Cysa-Tyr-Cysc-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cysd-Trp-Cysb-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys。
【請求項8】
Z1およびZ2の両方が、独立してMIGである、請求項1~7のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項9】
Z1がアセチルであり、Z2が第一級アミドである、請求項1~8のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項10】
nが0である、請求項1~9のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項11】
IMが、600~1,000nmの範囲の最大吸光度を有する染料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項12】
IMがシアニン染料である、請求項11に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項13】
前記シアニン染料が式IIIを有する、請求項12に記載の凍結乾燥製剤:
【化2】
(式中、
R
1およびR
2は、独立して、HまたはSO
3M
1であり、R
1およびR
2のうちの少なくとも1つはSO
3M
1(M
1はHまたはB
cである)である;
R
3およびR
4は、独立して、C
1-4アルキルまたはC
1-6カルボキシアルキルである;
R
5、R
6、R
7およびR
8は、独立してR
a基である(R
aは、C
1-4アルキル、C
1-6カルボキシアルキルまたは-(CH
2)
kSO
3M
1(kは、値3または4の整数である)である);
ただし、前記シアニン染料は、前記R
1、R
2およびR
a基に合計1~4個のSO
3M
1置換基を有することを条件とする)。
【請求項14】
復元したときに、約pH6.8~約pH8.2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~約pH8の間のpHを有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項15】
復元したときに、前記緩衝剤が、約pH6.8~約pH8.2の間、任意選択で約pH6.8~約pH8の間、任意選択で約pH7~約pH8の間のpHを有する溶液を提供する量で存在する、請求項1~14のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項16】
API:緩衝剤のモル比が、API約1モル:緩衝剤約17~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約27~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約30~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約34~約47モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約27~約38モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約30~約38モル、任意選択でAPI約1モル:緩衝剤約34~約38モルである、請求項1~15のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項17】
API:凍結乾燥保護剤のモル比が、API約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約216モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約163モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約154モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約145モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約141モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約132モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約105~約129モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約216モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約163モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約154モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約145モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約141モル、任意選択でAPI約1モル:凍結乾燥保護剤約129~約132モルである、請求項1~16のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項18】
前記製剤が、APIを約4~約12重量%、任意選択でAPIを約8~約10重量%、任意選択でAPIを約9重量%含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項19】
前記製剤が、任意選択で緩衝剤を約7~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約12~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約15~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約18~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約25~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約32~約35重量%、任意選択で緩衝剤を約32%含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項20】
前記製剤が、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約82重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約77重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約75重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約72重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約66重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約56~約58重量%、任意選択で凍結乾燥保護剤を約58重量%を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項21】
前記リン酸緩衝剤がリン酸水素およびリン酸二水素を含み、任意選択で前記リン酸緩衝剤が水和している、請求項1に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項22】
前記アルカノールアミン緩衝剤がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである、請求項21に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項23】
前記凍結乾燥保護剤がマンニトールである、請求項1~22のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項24】
前記製剤がさらに張度調節剤を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項25】
前記凍結乾燥保護剤が張度調節剤としても作用する、請求項1~24のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤。
【請求項26】
(i)医薬品有効成分(API)と;
(ii)緩衝剤と;
(iii)凍結乾燥保護剤と
を含む、請求項1~
25のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤であって、前記APIが、哺乳動物の身体を光学的にイメージングするのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング剤であり、前記イメージング剤が式Iの化合物を含み:
【化3】
(式中、
Z
1は、cMBPのN末端に結合しており、アセチルである;
Z
2は、cMBPのC末端に結合しており、第一級アミドである;
cMBPは、cMet結合環状ペプチドであり、下記のアミノ酸配列(配列番号7)を含む:
Ala-Gly-Ser-Cys
a-Tyr-Cys
c-Ser-Gly-Pro-Pro-Arg-Phe-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Glu-Thr-Glu-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Lys
Cys
a-dはそれぞれシステイン残基であって、残基aとbと、ならびに残基cとdとが環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している);
Lは、式-(A)m-の合成リンカー基である
(各Aは、独立して、-CR
2-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR
2CO
2-、-CO
2CR
2-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SO
2NR-、-NRSO
2-、CR
2OCR
2-、-CR
2SCR
2-、CR
2NRCR
2-、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアルキレン基、C
5-12アリーレン基、C
3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖または単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである;
各Rは、独立して、H、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-4アルコキシアルキルまたはC
1-4ヒドロキシアルキルから選択される;
mは、値1~20の整数である);
nは、0である;
IMは、シアニン染料である;
APIを約8~約10重量%、緩衝剤を約7~約35重量%、凍結乾燥保護剤を約56~約82重量%含み、緩衝剤はリン酸緩衝剤であり、凍結乾燥保護剤はマンニトールであり、復元したときに、約pH7~約pH8の間のpHを有する、凍結乾燥製剤。
【請求項27】
凍結乾燥製剤の調製方法であって、
a)医薬品有効成分(API)、緩衝剤、および凍結乾燥保護剤を凍結乾燥容器に供給する工程と;
b)第1水分除去ステップを実行する工程と;
c)第2水分除去ステップを実行する工程と
を含み、前記凍結乾燥を行う前に、前記凍結乾燥保護剤および前記緩衝剤を添加する方法であり、前記APIが、哺乳動物の身体を光学的にイメージングするのに適した、少なくとも1種のcMet結合ペプチドを含むイメージング剤であり、前記イメージング剤が式Iの化合物を含み:
【化4】
(式中、
Z
1は、cMBPのN末端に結合しており、HまたはM
IGである;
Z
2は、cMBPのC末端に結合しており、OH、NH
2、OB
c(B
cは生体適合性カチオンである)またはMIGである;
cMBPは、17~30個のアミノ酸のcMet結合環状ペプチドであり、下記のアミノ酸配列(配列番号1)を含む:
Cys
a-Xaa
1-Cys
c-Xaa
2-Gly-Pro-Pro-Xaa
3-Phe-Glu-Cys
d-Trp-Cys
b-Tyr-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6
(Xaa
1は、Asn、HisまたはTyrである;
Xaa
2は、Gly、Ser、ThrまたはAsnである;
Xaa
3は、ThrまたはArgである;
Xaa
4は、Ala、Asp、Glu、GlyまたはSerである;
Xaa
5は、SerまたはThrである;
Xaa
6は、AspまたはGluである;
Cys
a-dはそれぞれシステイン残基であって、残基aとbと、ならびに残基cとdとが環化して2つの別個のジスルフィド結合を形成している);
M
IGは代謝阻害基であって、前記ペプチドのin vivo代謝を阻害または抑制する生体適合性基である;
ここで、N末端のM
IG
は、アセチル、ベンジルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、または-(C=O)R
G
から選択され;R
G
は、C
1-6
アルキル、C
3-10
アリール基、またはポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックから選択され;C末端のM
IG
はカルボキサミド、tert-ブチルエステル、ベンジルエステル、シクロヘキシルエステル、アミノアルコールまたはポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックから選択され;
Lは、式-(A)m-の合成リンカー基である
(各Aは、独立して、-CR
2-、-CR=CR-、-C≡C-、-CR
2CO
2-、-CO
2CR
2-、-NRCO-、-CONR-、-NR(C=O)NR-、-NR(C=S)NR-、-SO
2NR-、-NRSO
2-、CR
2OCR
2-、-CR
2SCR
2-、CR
2NRCR
2-、C
4-8シクロヘテロアルキレン基、C
4-8シクロアルキレン基、C
5-12アリーレン基、C
3-12ヘテロアリーレン基、アミノ酸、糖または単分散ポリエチレングリコール(PEG)ビルディングブロックである;
各Rは、独立して、H、C
1-4アルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-4アルコキシアルキルまたはC
1-4ヒドロキシアルキルから選択される;
mは、値1~20の整数である);
nは、値0または1の整数である;
IMは、紫色~近赤外波長(400~1,200nm)の光を使用して哺乳動物の身体をイメージングするのに適した光学レポーターイメージング部位である);
前記製剤が、APIを約4~約12重量%、緩衝剤を約3~約35重量%、凍結乾燥保護剤を約56~約91重量%含み
、ここで、前記緩衝剤が、リン酸緩衝剤およびアルカノールアミン緩衝剤のうちの少なくとも1つであり、前記凍結乾燥保護剤が、スクロースおよびマンニトールのうちの少なくとも1つである;前記製剤が、復元したときに、約pH6.
8~約pH9の間のpHを有する、方法。
【請求項28】
第1水分除去ステップを、約-30℃以下、任意選択で約-35℃以下、任意選択で約-38℃以下の温度で行う、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第2水分除去ステップを、約10℃以上、任意選択で約15℃以上、任意選択で約20℃以上の温度で行う、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
第1および第2水分除去ステップのうちの少なくとも1つを、50μbar以下の圧力で行う、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
第1および第2水分除去ステップの両方を、50μbar以下の圧力で行う、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記凍結乾燥製剤が、請求項1~26のいずれか一項に記載の凍結乾燥製剤である、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤と生体適合性担体とを、哺乳動物への投与に適した形態で含む医薬組成物。
【請求項34】
約pH6.8~約pH8.2の間、任意選択で約pH7~約pH8の間のpHを有する、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
請求項33または34に記載の医薬組成物を調製するためのキットであって、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤を無菌固体形態で含み、請求項33または34に記載の生体適合性担体の無菌供給物で復元させると、溶解が起こり、前記所望の医薬組成物が得られるような、キット。
【請求項36】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤および請求項33または34に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用することを含む、前記哺乳動物の身体のイメージング方法。
【請求項37】
前記イメージングがin vivoである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記イメージングが光学イメージングである、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記イメージングが、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を得るためのものである、請求項36~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物を、前記哺乳動物の身体に前もって投与している、請求項36~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
請求項36~40のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)対象の組織表面を励起光で照らす工程と;
(b)前記イメージング剤の励起により発生した前記イメージング剤からの蛍光を検出する工程と;
(c)任意選択で、蛍光検出器によって検出した前記光をフィルタリングして蛍光成分を分離する工程と;
(d)工程(b)または(c)の蛍光から前記対象の組織表面の画像を形成する工程と
を含む、方法。
【請求項42】
工程(a)の励起光が、本質的に連続波(CW)である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
請求項36~40のいずれか一項に記載の方法であって、
(a)前記哺乳動物の身体の不均一組成を有する光散乱生体組織を、所定の経時変化する強度の光源からの光にさらして前記イメージング剤を励起させる工程であって、前記組織が前記励起光を多重散乱させる工程と;
(b)前記露光に応答した前記組織からの多重散乱発光を検出する工程と;
(c)プロセッサを用いて複数の値を確立することにより、前記発光から前記組織全体の蛍光特性を定量化する工程であって、前記値が、前記組織内の異なる位置における前記蛍光特性のレベルにそれぞれ対応しており、前記蛍光特性のレベルが、前記組織の不均一組成によって変化するものである工程と;
(d)工程(c)の値に従って前記組織の不均一組成をマッピングすることにより、前記組織の画像を生成する工程と
を含む、方法。
【請求項44】
前記光学イメージング方法が、蛍光イメージング、任意選択で蛍光内視鏡検査を含む、請求項36~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法を補助するために使用される、請求項36~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法を補助するために使用される、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記哺乳動物の身体のイメージングにおけるイメージング剤として使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項48】
薬剤として使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項49】
検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前がん症状およびがんのうちの1つもしくは複数の、任意選択で結腸直腸がん、食道がん、乳がん、前立腺がん、頭部がん、頸部がん、卵巣がん、直腸がん、膵臓がん、甲状腺がん、胃がんおよび肉腫のうちの1つもしくは複数の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項51】
cMetの過剰発現部位または局在部位の検出、診断、手術、病期分類、治療、治療の監視、疾患進行の監視または監視療法において使用するための、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項52】
cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任意選択でin vivoで得るために使用される、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、または請求項33もしくは34に記載の医薬組成物。
【請求項53】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、および請求項33または34に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用する、哺乳動物の身体のイメージング方法。
【請求項54】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、および請求項33または34に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つを使用して、cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任意選択でin vivoで得る方法。
【請求項55】
請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、および請求項33または34に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つの、イメージング剤としての使用。
【請求項56】
cMetの過剰発現部位または局在部位の画像を、任意選択でin vivoで得る際の、請求項1~26のいずれか一項に記載の製剤、および請求項33または34に記載の医薬組成物のうちの少なくとも1つの使用。
【外国語明細書】