(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004511
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】マウスピース
(51)【国際特許分類】
A63B 71/08 20060101AFI20240110BHJP
A61C 7/08 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
A63B71/08 Z
A61C7/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020200402
(22)【出願日】2020-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】518232571
【氏名又は名称】Neutral株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】七海 秀之
(72)【発明者】
【氏名】三浦 絢美
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052AA20
4C052JJ00
(57)【要約】
【課題】従来のマウスピースと比較して、噛み合わせの精度をより高め、かつ装着感を高められるマウスピースを提供する。
【解決手段】マウスピース10は、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯を覆う臼歯被覆部12を備え、臼歯被覆部12は、上顎又は下顎のうちの他方にある臼歯に対応する凹凸26が一方の面に形成された第1層22と、第1層22の他方の面上に設けられ、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯に接触し、第1層22よりも硬質な第2層24とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯を覆う臼歯被覆部を備え、
前記臼歯被覆部は、上顎又は下顎のうちの他方にある臼歯に対応する凹凸が一方の面に形成された第1層と、
前記第1層の他方の面上に設けられ、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯に接触し、前記第1層よりも硬質な第2層とを備えるマウスピース。
【請求項2】
前記第2層には、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯の圧痕に対応する凹凸が形成されている、請求項1に記載のマウスピース。
【請求項3】
前記第1層は、30~95のショアA硬度を有する、請求項1又は2に記載のマウスピース。
【請求項4】
前記第2層は、70~100のショアA硬度を有する、請求項1又は2に記載のマウスピース。
【請求項5】
前記臼歯被覆部の後端部は、後端部以外の部分よりも幅が狭い幅狭形状を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のマウスピース。
【請求項6】
前記臼歯被覆部の後端部は、第1大臼歯の後端よりも後側に向けて延び、第2大臼歯の舌側及び頬側は覆わず噛合面のみを覆う、請求項5に記載のマウスピース。
【請求項7】
前記臼歯被覆部の後端は、歯列の最後側の歯の噛合面の後端よりもさらに後方に対応する位置まで延びる、請求項6に記載のマウスピース。
【請求項8】
前記臼歯被覆部の厚みは、下側よりも上側が薄い、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のマウスピース。
【請求項9】
2つの前記臼歯被覆部と、
前記2つの臼歯被覆部とを繋ぎ、2つの臼歯被覆部の間にある歯を覆う中央被覆部とを備える、請求項1に記載のマウスピース。
【請求項10】
前記中央被覆部は、舌の先端が前記中央被覆部の口蓋側に接触する位置で舌を支持する舌支持部を備える、請求項9項に記載のマウスピース。
【請求項11】
前記中央被覆部の厚みは、唇側よりも口蓋側が薄い、請求項9又は10に記載のマウスピース。
【請求項12】
頬側及び唇側の上端が装着者の歯茎形状に対応する波状形状を有する、請求項1に記載のマウスピース。
【請求項13】
前記波状形状は、波長及び振幅が不規則である、請求項12に記載のマウスピース。
【請求項14】
装着者の上唇小帯を収容する小帯収容部を備える、請求項12又は13に記載のマウスピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマウスピースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運動を行うに際して運動を行う者の運動性能を向上させるために歯の噛み合わせを改善する様々な研究がなされている。一般的に、運動者の歯の噛み合わせが改善すると、運動者の姿勢が良くなったり、呼吸機能をより非運動時の正常状態に近い状態で維持できたり、筋力をより発揮し易くなる等の作用があることが知られている。このような作用には様々なプロスポーツ選手やトレーナーが注目しており、実際に運動時にマウスピースを装着する者が増えている。装着者の運動性能を向上させるために用いられるマウスピースとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は従来のマウスピースと比較して、噛み合わせの精度をより高め、かつ装着感を高められるマウスピースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯を覆う臼歯被覆部を備え、臼歯被覆部は、上顎又は下顎のうちの他方にある臼歯に対応する凹凸が一方の面に形成された第1層と、第1層の他方の面上に設けられ、上顎又は下顎のうちの一方にある臼歯に接触し、前記第1層よりも硬質な第2層とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態によるマウスピースを装着した状態を示す概略斜視図である。
【
図10】変形例によるマウスピースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。実施形態では、上顎側に装着するマウスピースを例に挙げて詳細な説明を行うが、本発明は下顎に装着するマウスピースにも適用可能である。また実施形態では、左側第2大臼歯から右側第2大臼歯までの14本の歯を有する者を例に挙げてマウスピースの構成について詳細な説明を行う。装着者が第3大臼歯を有していたり、一部の歯を有していないような場合も想定される。このような場合、特定の歯とマウスピースの関係に関する説明は、その特定の歯に隣接する歯とマウスピースに関する説明として読み替えてもよい。一例として、装着者が第3大臼歯を有している場合、第2大臼歯とマウスピースの関係に関する説明は、第3大臼歯とマウスピースの関係に関する説明として読み替えてもよい。また、以下の説明では必要に応じて番号を特定せずに「大臼歯」の用語を用いることがあるが、大臼歯とは、文脈に応じて第1大臼歯及び第2大臼歯の両方、又は片方のみを意味するものとする。また、以下の説明では「臼歯」の用語を用いる場合があるが、臼歯とは、大臼歯及び小臼歯を含む。また、以下の説明では方向を示す用語として「頬側」、「唇側」、「舌側」及び「口蓋側」を用いることがある。頬側とは、小臼歯及び大臼歯の外表側を示し、唇側とは、犬歯、側切歯、及び中切歯の外表側を示す。舌側とは、小臼歯及び大臼歯の内表側を示し、口蓋側とは、小臼歯及び大臼歯の外表側を示す。
【0008】
図1は、マウスピースの斜視図である。
図1において装着者の歯茎や歯は破線にて示す。マウスピース10は、上顎U側の歯及び歯茎を覆う形状を有する。マウスピース10が歯又は歯茎を覆うとは、少なくともマウスピース10が部分的に歯又は歯茎の表面に接触し、マウスピース10が歯又は歯茎の表面を部分的に覆っていることを意味する。したがって、覆うとは、必ずしもマウスピース10により歯全体が視認できなくなるような態様のみを意味するものではない。装着時にはマウスピース10は上顎U側の歯と下顎L側の歯との間に介在し、両者が直接接触しないようにする。マウスピース10は例えばエチレンビニルアセテート、ピリオレフィンのような比較的軟質な熱可塑性樹脂を一体成形して形成される。マウスピース10は、印象材、3Dスキャナのような公知の手段により装着者の歯形を取得し、プログラミングされた切削装置等の機械的手段又は歯科技工士等の技術者の手作業により製造できる。
【0009】
図2は上面図であり、
図3は同マウスピースの斜視図であり、
図4は同マウスピースの底面図であり、
図5は同マウスピースの正面図であり、
図6は同マウスピースの側面図である。
図7は、
図2のA-A断面における断面図である。
図2乃至
図7に示すように、マウスピース10は平面視において全体としてU字形状を有しており、マウスピース10の両端は、着用者の歯列の両端部にある第2大臼歯を覆う。マウスピースは主として、2つの臼歯被覆部12と、中央被覆部14とを備える。
【0010】
臼歯被覆部12は、上面視において略直線状に延び、第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯、及び第1小臼歯を覆う。臼歯被覆部12の内側には、第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯、及び第1小臼歯の外形に対応する凹凸16が形成されている。2つの臼歯被覆部12が幅方向両側に配置されており、それぞれの臼歯被覆部12が対応する歯を覆う。具体的には臼歯被覆部12は、上向きに開口したU字断面形状を有し、第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯、及び第1小臼歯のそれぞれの舌側面、頬側面、及び底面に接触する。臼歯被覆部12の内側面18及び内側底面20には、第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯及び第1小臼歯の形状に対応する凹凸16が形成されている。臼歯被覆部12の水平に延びる底部は、硬度の異なる材料を積層した二層構造を有している。二層構造は、比較的軟質な第1層22と、比較的硬質な第2層24とを備える。第1層22の硬度は、例えばショアA硬度30~95を有しているのがよい。第2層24の硬度は、第1層22よりも高く、例えばショアA硬度70~100を有しているのがよい。第1層22としては、例えばEVA(Ethylene-Vinyl Acetate)等の軟質熱可塑性樹脂を用いることができる。第2層24としては、例えばSBS(Styrene-Butadiene-Styrene)樹脂等のスチレン系熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0011】
第1層22が下側(対向する歯に近い側)に形成され、第2層24が上側(覆っている歯に近い側)に形成されている。第1層22の下面には、下顎側の第1大臼歯等の噛合面に対応する凹凸形状26が形成されている。なお、噛合面とは、歯同士が接触する面であり、咬合面を含む。凹凸形状26は、装着者が下顎の歯を臼歯被覆部12に接触させた際に、下顎の歯を上顎に対して予め決定された適切な位置に誘導する誘導部として機能する。誘導部としての凹凸形状26を設けることで、マウスピース10を装着した者が口を閉じた際に下顎を上顎に対して適切な位置に位置決めできる。また誘導部の凹凸形状26を下顎の圧痕とすることで、下顎の歯を一様にマウスピース10に接触させ、装着感を向上させられる。
【0012】
印象材により歯形を採取する場合、凹凸形状26は下顎側の臼歯のうち適切な噛み合わせのときに第1層22の下面に接触すべき臼歯を押し当てて第1層22の下面に圧痕を残すことで形成される。マウスピース10を切削加工する場合、接触すべき臼歯の形状及び適切な位置を計算して凹凸が形成される。第2層24は、第1層22の上面に配置されている。第2層24は、上顎の第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯、及び第1小臼歯の噛合面に対応する形状を有している。第2層24の上面には、上顎の第2大臼歯、第1大臼歯、第2小臼歯及び第1小臼歯の噛合面が接触する。
【0013】
第1層22の幅方向厚さは、高さ位置によって異なっている。
図7から分かるように、第1層22の頬側の厚さは、上部22Uにおいて薄く、下部22Lにおいて厚い。第1層22の頬側の上部22Uは歯茎に接触し第1層22の高さの約1/3を占め、下部22Lは歯の頬側に接触し第1層22の高さの約2/3を占める。第1層22の上部22Uを薄くすることで、触覚のある歯茎部分に対する圧迫を低減できる。第1層22の下部22Lを厚くすることで、下部22Lが幅方向に開きにくくなり、歯とマウスピース10の相対的な位置関係をしっかり維持できる。
【0014】
臼歯被覆部12の後端部28は、臼歯被覆部12の後端部以外の部分よりも幅が狭い幅狭形状を有する。後端部28は、歯列の端部にある第2大臼歯を覆う。臼歯被覆部12の後端部28以外の部分は、第1大臼歯、第2小臼歯、及び第1小臼歯を覆う。後端部28は、水平面と平行に延びる板状形状を有する。後端部28は、第2大臼歯の噛合面のみに接触し、第2大臼歯の舌側面及び頬側面には接触しない。つまりマウスピース10の舌側面及び頬側面は、第1大臼歯と第2大臼歯の間で終端する。後端部28は、上面視において後端に向かって幅が狭まる形状、後端に向かって幅が広がる形状、又は全長にわたって均一の幅を有する形状を有していてもよい。後端部28は、第2大臼歯の後端面まで伸びても良いし、第2大臼歯の噛合面で終端してもよい。後端部28を第2大臼歯の後端面まで伸ばすと、マウスピース10をよりしっかりと上顎に固定できる。
【0015】
後端部28が第2大臼歯の噛合面のみに接触するようにすることで、マウスピース10は第2大臼歯の頬側面及び舌側面とは接触しない。後端部28の舌側面を無くすことにより、マウスピース10を装着した際の装着者の異常絞扼反射を防止できる。後端部28の頬側面を無くすことにより、マウスピース10が咬筋に接触しにくくなり、装着者が口を動かした際に違和感を与えないようにできる。また、後端部28を幅狭形状とし、後端部28にも下顎側の歯の噛合面に対応する凹凸形状26を設けることにより、後端部28においても下顎と上顎の相対位置を保持できる。これにより、例えば装着者が顎先に何らかの衝撃を受けたときに脳に伝わる振動を減らせる。また、幅狭形状を設けることにより、マウスピース10の審美性、及びオーダメイド感を向上させられる。後端部28は、奥側(遠心側)に向かうにしたがって薄くなる形状を有することが好ましい。この構成により、装着感を増加させられる。
【0016】
中央被覆部14は、上面視においてU字状に延び、2つの臼歯被覆部12の間にある歯を覆う。具体的には中央被覆部14は、左右の第1小臼歯の間にある犬歯、側切歯、及び中切歯を覆う。中央被覆部14の内側には、犬歯、側切歯、及び中中切歯の外形に対応する凹凸が形成されている。中央被覆部14は、犬歯、側切歯、及び中切歯の唇側及び口蓋側に接触するV字形状を有している。
【0017】
図8は
図2のB-B断面における断面図であり、
図9は
図5のC-C断面における断面図である。なお、
図9では、明確化のためにマウスピースの外径のみを示しており、マウスピースの内側にある歯に対応する凹凸形状を省略して示している。
【0018】
図8に示すように、中央被覆部14の唇側面30は、略鉛直に切り立った面として形成され、口蓋側面32は上側、且つ舌の中央に向かって傾斜した面として形成される。中央被覆部14の口蓋側面32は、全体として傾斜した形状を有している。口蓋側面32の上端は、少なくとも歯冠と歯根の境界となる歯頚部まで至る。また口蓋側面32の上端は、歯頚部に沿った形状とすることが好ましい。これにより舌が口蓋側面32の上端に接触したときの舌触りの違和感を減らせる。中央被覆部14の口蓋側面32は、半分にされた裁頭円錐形状を有しているとも言える。中央被覆部14の口蓋側面32を傾斜した形状とすることで、中央被覆部14の後側に舌を収容する舌収容空間を形成できる。舌収容空間については後述する。
【0019】
中央被覆部14は、唇側において厚く、口蓋側において薄く形成される。中央被覆部14の唇側を厚くすることにより中央被覆部14の剛性を確保できる。中央被覆部14の口蓋側はあまり剛性に寄与しないため、口蓋側を薄くすることで装着時に舌の違和感を少なくでき、且つマウスピース全体の軽量化を図れる。
【0020】
図9に示すよう、マウスピース10の高さ方向中間位置で水平方向に切った断面において舌収容空間34は半円形状を有している。舌収容空間34の左右の後端36L,36Rは、臼歯被覆部12の前端により定められる。舌収容空間34の左右の後端36L,36Rは、舌収容空間34の他の部分と比較して幅狭になっている。装着者が舌Tの先端を中央被覆部14の口蓋側面32の頂点に接触させると、幅狭部分を形成する後端36L,36Rが舌Tを左右から圧迫し、支持する。つまり舌収容空間34の後端36L,36Rは、舌収容空間34にある舌を舌収容空間34内の適切な位置で支持する舌支持部として機能する。舌Tの先端を中切歯の口蓋側に接触させると、舌Tが全体として前側に出るため気道が広がる。また、舌の先端を中切歯の口蓋側に接触させると舌骨の位置が上昇し、猫背が改善される。マウスピース10によれば、舌収容空間34内で舌Tの位置を支持できるため装着者が意識せずに舌Tを適切な位置に保持できる。また、舌Tが舌収容空間34外にあると舌Tが舌収容空間34の後端36L,36Rの幅狭部分と接触して違和感が生じる。したがって舌収容空間34の後端36L,36Rの幅狭部分により舌を舌収容空間34内に誘導できる。また舌収容空間34を形成する口蓋側面32を傾斜させることで、装着者の舌を口蓋側面32に沿って湾曲させるよう促せる。これにより舌が硬口蓋に対して面で接触し、気道をさらに広げられる。つまりマウスピース10を装着することで、姿勢が改善し、軽度の酸欠による心拍数の上昇を抑え、且つ酸素の取り込み量を増やせる。
【0021】
図2乃至
図6に戻り、マウスピース10の上端は、全体として波状形状38を有している。波状形状38は装着者の歯の位置に対応して設けられる。波状形状38の凹部40(上方に対して凹をなす部分)は、装着者の歯根の位置に対応し、波状形状38の凸部42(上方に対して凸をなす部分)は歯根の間の位置に対応する。つまりマウスピース10の上端は、口唇の動きを阻害しないように設計される。つまり、歯根に対応する位置に凹部40を設けることにより、マウスピース10の上端が歯根により前方側に押し出されて唇に当たらないようにできる。人の歯の幅及び間隔は不規則であるため、波状形状もこれに対応して波長及び振幅が不規則であるのがよい。
【0022】
また、波状形状38のうち幅方向中央の凹部40は他の凹部よりも振幅が大きい。中央の凹部40は、装着者の上唇小帯に対応する位置に設けられており、装着者の上唇小帯を収容する小帯収容部44として機能する。小帯収容部44を設けることにより、マウスピース10と上顎との相対的な位置関係をより保持し易くできる。
【0023】
図10は、実施形態の変形例によるマウスピースの底面図である。
図10に示すようにマウスピース50は、物理的に切り離された2つの臼歯被覆部52のみを有し、中央被覆部を有していなくてもよい。このような変形例によっても、上顎と下顎の相対的な位置関係を適切に維持できる。
【0024】
上述の実施形態及び変形例は例示であり、実施形態において説明した複数の特徴は単独でマウスピースに適用できる。したがって、実施形態を一般化すると以下の態様も導き出せる。
【0025】
〔態様1〕
上顎の臼歯を覆う臼歯被覆部を備え、
前記臼歯被覆部は、下顎の臼歯に対応する凹凸が一方の面に形成された第1層と、
前記第1層の他方の面上に設けられ、上顎の臼歯に接触し、前記第1層よりも硬質な第2層とを備えるマウスピース。
【0026】
〔態様2〕
下顎の臼歯を覆う臼歯被覆部を備え、
前記臼歯被覆部は、上顎の臼歯に対応する凹凸が一方の面に形成された第1層と、
前記第1層の他方の面上に設けられ、下顎の臼歯に接触し、前記第1層よりも硬質な第2層とを備えるマウスピース。
【0027】
〔態様3〕
互いに物理的に分離された2つの前記臼歯被覆部を備える、態様1又は態様2に記載のマウスピース。
【0028】
〔態様4〕
臼歯被覆部の後端部が、後端部以外の部分よりも幅が狭い幅狭形状を有する、態様1乃至3のいずれか1項に記載のマウスピース。
【0029】
〔態様5〕
左右のそれぞれの臼歯を覆う2つの臼歯被覆部と、
前記2つの臼歯被覆部とを繋ぎ、2つの臼歯被覆部の間にある歯を覆う中央被覆部とを備え、
前記中央被覆部は、舌の先端が前記中央被覆部の口蓋に接触する位置で舌を支持する舌支持部を備える、マウスピース。
【0030】
〔態様6〕
頬側及び唇側の上端が装着者の歯茎形状に対応する波状形状を有する、態様6に記載のマウスピース。
【符号の説明】
【0031】
10 マウスピース、 12 臼歯被覆部、 14 中央被覆部、 22 第1層、 24 第2層、 28 後端部、 36L 後端、 38 波状形状、 50 マウスピース、 52 臼歯被覆部。