(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045113
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】化合物及びフマル酸の結晶形態、医薬組成物及びコロナウイルス誘発性疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
C07D 403/14 20060101AFI20240326BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240326BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240326BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
A61P31/14
A61K9/20
A61K31/53
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023216987
(22)【出願日】2023-12-22
(62)【分割の表示】P 2022172288の分割
【原出願日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202210500296.8
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202210644417.6
(32)【優先日】2022-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211119888.1
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522421978
【氏名又は名称】北京遠大九和薬業有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522421989
【氏名又は名称】南京済群医薬科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】魏偉業
(72)【発明者】
【氏名】楊建楠
(72)【発明者】
【氏名】呉小涛
(72)【発明者】
【氏名】趙涛涛
(72)【発明者】
【氏名】王浩
(72)【発明者】
【氏名】李超
(72)【発明者】
【氏名】曲蕾
(72)【発明者】
【氏名】王斌
(57)【要約】 (修正有)
【課題】化合物およびフマル酸の結晶形態、活性医薬成分およびそれを含む医薬組成物、ならびにそれを用いたコロナウイルス誘発性疾患を治療する方法を提供する。
【解決手段】本発明の結晶形は、式(I)の化合物とフマル酸とを含み、特定のX線粉末回折パターンを有する。本発明の結晶形は、純度が高く、安定性が良好であり、高融点である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物とフマル酸と、を含み、
Cu-Kα線を用いて得られる結晶形のX線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ及び24.66°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むことを特徴とする結晶形。
【請求項2】
前記X線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ、24.66°±0.2°2θ、9.5°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ、23.8°±0.2°2θ、7.81°±0.2°2θ、10.14°±0.2°2θ、11.50°±0.2°2θ、11.93°±0.2°2θ、12.31°±0.2°2θ、14.73°±0.2°2θ、20.87°±0.2°2θ、21.49°±0.2°2θ、21.97°±0.2°2θ及び25.39°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも9個のピークを含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
前記X線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ、24.66°±0.2°2θ、9.5°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ及び23.8°±0.2°2θのピークを含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶形。
【請求項4】
前記結晶形において、前記フマル酸に対する前記式(I)の化合物のモル比が約1:1であることを特徴とする請求項1に記載の結晶形。
【請求項5】
前記結晶形態は、純度が98%以上であるか、または、前記結晶形態における単一の不純物の最大含有量が0.1%を超えないことを特徴とする請求項1に記載の結晶形。
【請求項6】
前記結晶形は、前記式(I)の化合物とフマル酸との共結晶、又は前記式(I)の化合物のフマル酸塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の結晶形。
【請求項7】
請求項1に記載の結晶形を含有し、
前記活性医薬成分が、下記の条件の少なくとも1つを満たす:
(1)前記活性医薬成分の粒径D90は、約5μm-約60μmの範囲であり、
(2)前記活性医薬成分の粒径D50が約30μmを超えない、
ことを特徴とする活性医薬成分。
【請求項8】
活性医薬成分の粒径D90が約10μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の活性医薬成分。
【請求項9】
活性医薬成分の粒径D50が約5μm以上であることを特徴とする請求項7に記載の活性医薬成分。
【請求項10】
活性成分と、
生理学的又は薬学的に許容される賦形剤と、
を含み
前記活性成分が、請求項1に記載の結晶形であるか、または、前記式(I)の化合物と前記フマル酸との結晶形と非晶質形態との混合物であり、
前記生理学的又は薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、又は滑沢剤からなる群から選択される1種以上を含む、
ことを特徴とする医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、医薬組成物の総重量に基づいて、15重量%-60重量%の活性成分を含むことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記充填剤は、ラクトース、無水炭酸水素カルシウム、糖アルコール、セルロース、及びデンプンからなる群から選択される1種以上を含み、
前記崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム、トウモロコシデンプン、及び馬鈴薯澱粉からなる群から選択される1種以上を含み、
前記潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、及びフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1種以上を含み、
結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される1種以上を含み、
及び/又は、
前記滑沢剤は、コロイダルシリカ及び/又はタルクを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記充填剤は、微結晶セルロースとD-マンニトールとの混合物、または微結晶セルロースとアルファ化デンプンとの混合物であり、
前記結合剤はヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムであり、
前記滑沢剤はコロイダルシリカであり、
潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである、
ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、
30重量%~70重量%の充填剤と、
1重量%~5重量%の崩壊剤と、
0.5重量%~4重量%の潤滑剤と、
1重量%~5重量%の結合剤と、
0.5重量%~4重量%の滑沢剤と、を含む
ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物が、前記医薬組成物の総重量に基づいて、
15~60重量%の活性成分と、
30重量%~70重量%の充填剤と、
1重量%~5重量%の崩壊剤と、
0.5重量%~4重量%の潤滑剤と、
1重量%~5重量%の結合剤と、
0.5重量%~4重量%の滑沢剤と、を含む。
ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記医薬組成物の総重量に基づいて、
30重量%~70重量%の充填剤と、
1重量%~5重量%の崩壊剤と、
0.5重量%~4重量%の潤滑剤と、
1重量%~5重量%の結合剤と、
0.5重量%~4重量%の滑沢剤と、を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記医薬組成物が、単位用量の形態の経口製剤であり、
前記医薬組成物が、単位用量当たり1mg~500mgの活性成分を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物は、単位用量の経口製剤であり、前記医薬組成物は単位用量当たり50mg~200mgの活性成分を含むか、または、単位用量当たり40mg~170mgの活性成分の遊離塩基形態を含む、
ことを特徴とする請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記医薬組成物が錠剤の形態であり、各錠剤が152.4mgの前記活性成分を含むか、または125mgの前記活性成分の遊離塩基形態を含む、
ことを特徴とする請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
請求項10に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、
ことを特徴とするコロナウイルス誘発性疾患を治療する方法。
【請求項21】
前記コロナウイルスが2019-nCoVである、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、医療分野に関し、具体的には、特定の化合物及びフマル酸の結晶形、活性医薬成分及びそれを有する医薬組成物、及び/又はそれを用いたコロナウイルス誘発性疾患の治療方法に関する。
【0002】
[背景技術]
[0002]2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)及び2012年の中東呼吸器症候群(MERS)の発生に起因して、コロナウイルスは、ウイルス学分野の研究のホットスポットとなる。コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、SARS-CoV-2(2019-nCoVとしても知られている)によって引き起こされる新規な急性呼吸器感染症であり、2019年12月の発生以来、2億回以上の感染を引き起こし、4百万人を超える死者を出しており、現在は世界的に重大な公衆衛生イベントとなり、全世界の社会と経済に大きな影響を与えている。現在、疫病の過酷な状況に鑑みて、実用的かつ効果的な治療方法が緊急に必要とされる。
【0003】
[0003]コロナウイルス(特に2019-nCoV)に起因する疾患の治療可能性を有する化合物のいくつかは、当技術分野で発明されている。しかしながら、現在の段階では、臨床治療の切実なニーズを満たすために、コロナウイルス(特に2019-nCoV)に起因する疾患の治療のための医薬組成物が必要とされている。
【0004】
発明の概要
[0004]上記課題を解決するために、本発明は、上記課題を解決するための技術的解決策を提供する。
本発明の第1の態様では、式(I)の化合物とフマル酸との結晶形が提供される。すなわち、本発明の第1の態様は、式(I)の化合物とフマル酸とを含む結晶形を提供し、Cu-Kα線を用いて得られる結晶形のX線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ及び24.66°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むことを特徴とする。
【0005】
[0006]本発明の第2の態様において、本発明は、以下の少なくとも1つの条件を満たす第1の態様の結晶形態を含む活性医薬成分を提供する:(1)前記活性医薬成分の粒径D90が約5μm~約60μmであり、(2)前記活性医薬成分の粒径D50が約30μmを超えないことを特徴とする。
【0006】
[0007]本発明の第3の態様において、本発明は、第1の態様の結晶形態、式(I)の化合物及びフマル酸の結晶形態及び非晶質形態の混合物、又は第2の態様の活性医薬成分、である活性成分と、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、及び滑沢剤からなる群から選択される1種以上を含む生理学的又は薬学的に許容される賦形剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
[0008]本発明の第4の態様において、本発明は、第3の態様の医薬組成物を対象に投与することを含む、コロナウイルス誘発性疾患の治療方法を提供する。
【0008】
[0009]本発明の式(I)およびフマル酸の化合物の結晶形は、高い純度(>98面積%HPLC)と良好な安定性(光照射条件下での安定性、高温高湿下での安定性、および加速安定性試験における安定性を含む)と、高い融点を有する。したがって、本発明の結晶形態を含む活性医薬成分は、室温での保存及び品質管理に有利であり、それを含む薬物の保存寿命を効果的に延長することができ、製造、処理、輸送、および保存の医薬品要件を満たすことができる。
【0009】
[0010]また、本願明細書に記載の医薬組成物は、コロナウイルス、特に2019-nCoVを阻害する機能を有し、2019-nCoVに起因する疾患の治療において、潜在的な治療効果を有することを、本発明者は創造的な研究により見出した。さらに、本発明の医薬化合物は、高い溶解性、高い溶解速度、及び/又は高い安定性を有する。また、本発明の医薬組成物は、経口製剤、特に錠剤などの経口固形製剤を調製するのに適しており、工業化大規模生産に適しており、得られた製品は安定した信頼性のある品質を有し、かつ良好な臨床応用値を有する。
[0011]本発明の追加の態様および利点は、以下の説明から部分的に説明され、部分的には、以下の説明から明らかになり、または本発明の実施によって学習される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】[0012]
図1は、式(I)の化合物およびフマル酸の結晶形Aの示差走査熱量測定(DSC)スペクトルおよび熱重量分析(TGA)スペクトルを示す。
【
図2】[0013]
図2は、式(I)の化合物およびフマル酸の結晶形Aの動的水蒸気吸着(DVS)スペクトルを示す。
【
図3】[0014]
図3は、DVS実験前後の式(I)の化合物とフマル酸との化合物のX線粉末回折(XRPD)パターンの比較図である。
【
図4】[0015]
図4は、本発明の一例で調製された式(I)とフマル酸との化合物の結晶を含む活性医薬成分(API)6の偏光顕微鏡(PLM)像を示す。
【
図5】[0016]
図5は、D
50が18.6μm、D
90が34.2μmである本発明の実施例で調製された式(I)の化合物とフマル酸との化合物の結晶形Aを含む活性医薬成分(API)5の粒度分布図である。
【
図6】[0017]
図6は、実施例VI-16の製剤処方の打錠処理時に発生する粉体付着現象を示す。
【
図7】[0018]
図7は、実施例VI-18の製剤処方の打錠処理中に発生する錠剤キャッピング現象を示す。
【0011】
発明を実施するための形態
[0019]本発明の実施形態における技術的解決策について、本発明の実施例における添付図面を参照して、明確かつ完全に説明する。記載された実施形態は、本発明の限定的なものと見なされるべきではなく、創造的な作業がない当業者によって得られた他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲内に入る。
【0012】
[0020]特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本発明の実施形態を説明するためにのみであり、本発明を限定することは意図していない。本発明の実施形態の更なる詳細な説明の前に、本発明の実施形態に含まれる名詞及び用語について説明する。以下の説明は、本発明の実施形態に含まれる名詞及び用語について適用する。
【0013】
[0021]特に明記しない限り、本明細書全体にわたる数値範囲は、その中の任意のサブ範囲と、その中に与えられた値の最小サブ単位によって増加される任意の数値とを含む。特に明記しない限り、本明細書全体にわたる数値は、与えられた値からのわずかな偏差を含み、ほぼ列挙された値を有し、かつ列挙された正確な値を有する実施形態の範囲の近似寸法又は制限を表す。詳細な説明の最後に提供される例を除き、本明細書(添付の特許請求の範囲を含む)におけるパラメータ(例えば、量または条件)のすべての数値は、「約」という用語が値の前に実際に存在するかどうかにかかわらず、用語「約」によって修正されるものとして理解されるべきである。「約」は、規定された値が何らかの不正確性を許容することを意味する(値内のいくつかの近似;近似的または合理的にその値に近い)ことを意味する。用語「約」によって提供される不正確性が当技術分野におけるこの通常の意味として理解されない場合、本明細書で使用される「約」は、これらのパラメータを測定および使用するための通常の方法によって製造され得る少なくとも変化を表す。例えば、「約」という用語は、一般に、記載された値の+/-10%、例えば、記載された値の+/-5%、+/-4%、+/-3%、+/-2%、+/-1%、または、+/-0.5%で表される。
【0014】
[0022]本発明における相対湿度はRHで表され、同一温度で同一空気中の飽和水蒸気(飽和水蒸気圧)の水蒸気量に対する気体(通常空気)中の水蒸気量(水蒸気分圧)の割合を意味する。
【0015】
[0023]本明細書で使用される「生理学的または薬学的に許容される賦形剤」という用語は、生物に有意な刺激を与えず、本発明の化合物およびフマル酸の結晶形態などの投与された活性成分の生物学的活性および特性を阻害しない賦形剤を指す。
【0016】
[0024]薬学的組成物を形成するように本発明の化合物およびフマル酸の結晶形と混合し、生理学的に許容されるまたは薬学的に許容される賦形剤は、医薬組成物の予期の投与経路に依存し得る。
【0017】
[0025]本発明の化合物およびフマル酸の結晶形態は、全身および/または局所活性を有し得る。この目的のために、例えば、経口、非経口、肺、鼻、舌、舌、頬、直腸、膣、真皮、経皮、結膜、または耳介経路、またはインプラントまたはステントなどによって、適切な方法で投与され得る。
【0018】
[0026]これらの投与経路において、本発明の化合物およびフマル酸の結晶形態を適切な投与形態で投与することができる。
【0019】
[0027]例えば、経口投与に対して、本発明の化合物およびフマル酸の結晶形は、迅速及び/又は徐放投与のための、当技術分野で知られている剤形を調製することができ、例えば、錠剤(例えば、遅延溶解または溶解性を有する腸溶性または制御された放出コーティングを有するコーティングされていないまたはコーティングされた錠剤)、口腔内崩壊錠、ウェハ、凍結乾燥物、カプセル(例えば、硬質または軟ゼラチンカプセル)、糖被覆錠剤、顆粒、ピル、粉末、エマルジョン、懸濁液、エアロゾル、または溶液などである。本発明の実施形態によれば、本発明の化合物およびフマル酸の結晶形は、結晶形および/または結晶形態と非晶質形態との混合物および/または溶解形態で剤形に組み込まれてもよい。
【0020】
[0028]本発明の実施形態によれば、非経口投与は、吸収回避ステップ(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、髄腔内、または腰椎内投与)、または吸収含有ステップ(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮、または腹腔内投与)によって達成され得る。非経口投与に適した投与形態は、溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥物、または無菌粉末の形態の注射および注入調製物である。
【0021】
[0029]本明細書で使用される用語「対象」とは、霊長類(例えば、人)、猿、牛、豚、羊、山羊、馬、犬、猫、兎、ラット、またはマウスを含むがこれらに限定されない動物を指す。具体的には、被験者は、0歳以上、1歳以上、2歳以上、4歳以上、5歳以上、10歳以上、12歳以上、13歳以上、15歳以上、16歳以上、18歳以上、20歳以上、25歳以上、30歳以上、35歳以上、40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上、90歳以上、95歳以上、100歳以上、又は105歳以上である。
【0022】
[0030]本発明で使用される「コロナウイルス」という用語は、コロナウイルス科のコロナウイルス属に属する。コロナウイルスの変異体は、SARSを引き起こす病原体である。コロナウイルスは、2019新型コロナウイルス(新型コロナウイルス肺炎COVID-19を引き起こした2019-nCoVまたはSARS-CoV-2)、HCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、重症急性呼吸器症候群を引き起こしたSARS-CoV、および中東呼吸器症候群を引き起こしたMERS-CoVを含むがこれらに限定されない。コロナウイルスに起因する疾患は、主として呼吸器感染であり、重症急性呼吸器症候群(SARS)を含む。
【0023】
[0031]本発明において、「2019-nCoV」とは、2020年2月に国際ウイルス分類委員会により発表されたSARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)を指す。本開示では、SARS-CoV-2は2019-nCoVと同義であり、特に、例えばWHOに指定されたアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、イータ、イオタ、カッパ、又はラムダ変異株のような強い感染性、病原性または免疫逃避を有する重要な変異株、およびその後に指定される重要な変異株を含む、NCBIまたはGISAID(鳥インフルエンザ情報共有の国際推進機構(Global Initiative for Sharing Influenza Data))に含まれる全ての変異株のような2019-nCoVの全ての変異株も含む。
【0024】
[0032]本発明における「活性成分の遊離塩基形態」とは、本発明で説明した式(I)の化合物を意味する。
本発明において、式(I)の化合物は、以下の構造を有する化合物であり、
即ち、(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-[(2,4,5-トリフルオロフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンである。
【0025】
[0034]本発明の化合物は、その構造に応じて、例えば立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)のような異性体の形式に存在してもよい。したがって、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマー並びにそれらの各混合物に関する。立体異性的に純粋な成分は、このようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から既知の方法で分離することができる。
【0026】
[0035]本発明の化合物が光学異性体として存在する場合、本明細書で提供される医薬組成物は、概して、実質的に純粋な形態の光学異性体を含む。
[0036]本発明は、化合物の全ての互変異性形態をカバーする。
【0027】
[0037]また、本発明の化合物は、例えば、遊離塩基または遊離酸または両性イオンのような遊離の形態で存在するか、または塩の形態として存在してもよい。塩は、薬学的に一般的に使用される任意の塩、有機または無機の付加塩、特に任意の生理学的に許容される有機または無機の付加塩であり得る。
【0028】
[0038]本発明の目的のため、用語「溶媒和物」とは、固体状または液体状で配位により溶媒分子と形成された化合物の複合体の形態を指す。水和物は、化合物が水と配位する特別な形態の溶媒和物である。本発明の範囲内では、水和物は溶媒和物が好ましい。
【0029】
[0039]本発明はまた、本発明の化合物のすべての好適な同位体の変形も含む。本発明の化合物の同位体の変形は、同一の原子番号を有するが通常または主に自然界で見出される原子質量とは異なる原子質量を有する原子、により少なくとも1つの原子が置換された化合物として定義される。本発明の化合物に組み込むことができる同位体としては、例えば、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素の同位体、例えば2H(重水素)、3H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、32P、33P、33S、34S、35S、36S、18F、36Cl、82Br、123I、124I、129Iおよび131Iが挙げられる。本発明の化合物の特定の同位体の変形(例えば、3Hまたは14Cなどの1つ以上の放射性同位体を組み込んだもの)は、薬物および/またはマトリックス組織分布の研究に有用である。トリチウム標識および炭素-14(すなわち、14C)同位体は、調製および検出性の容易さがあるため特に好ましい。さらに、重水素などの同位体との置換は、生体内半減期の増加または用量要求の現象など、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療上の利点を提供しているので、特定の状況において好ましい。本発明に記載される化合物の同位体の変形は、一般に、適切な試薬の適切な同位体の変形を使用して、当業者に知られている従来の手順によって調製することができる。
【0030】
結晶形
[0040]特に規定のない限り、本発明では、式(I)の化合物とフマル酸とからなる結晶形を、「式(I)の化合物とフマル酸の結晶形A」又は「式(I)の化合物とフマル酸の結晶形」とも呼ぶ。なお、本明細書で用いられる「式(I)の化合物及びフマル酸を含む」の表現は、式(I)の化合物及びフマル酸の存在形態を何ら制限するものではない。式(I)の化合物およびフマル酸は、例えば、イオン結合、ファンデルワールス力、またはπ-πスタッキング相互作用などの非共有結合の形態で、または例えば水素結合などの結合力を介して共有結合の形態で結合することができる。
[0041]本発明の第1の態様では、本発明は、以下の実施形態及びこれらの任意の組み合わせを提供する。
【0031】
[0042]本発明の一実施形態によれば、式(I) の化合物およびフマル酸の結晶形は、無水和物または水和物(例えば、結晶化の1つまたは2つの水分子を有してもよい)であってもよい。
【0032】
[0043] Cu-Kα線を用いて得られた式(I)の化合物とフマル酸の結晶形のX線粉末回折パターン(2θ値±0.2°で表される)は、10.94、19.06、23.50および24.66からなる群から選択されるいずれか3つの特徴的な回折ピークを含む。本発明の一実施形態によれば、Cu-Kα線を用いて得られた式(I)の化合物とフマル酸の結晶形のX線粉末回折パターン(2θ値±0.2°で表される)は、9.5、13.81、18.61、22.59および23.8からなる群から選択されるいずれか1つ以上の特徴的な回折ピークをさらに含み、好ましくは、7.81、10.14、11.50、11.93および12.31からなる群から選択されるいずれか1つ又は複数の特徴的な回折ピークをさらに含み、好ましくは、14.73、20.87、21.49、21.97および25.39からなる群から選択されるいずれかの1つまたは複数の特徴的な回折ピークをさらに含み、さらに好ましくは、10.94、19.06、23.50、24.66、9.5、13.81、18.61、22.59および23.8に特徴的な回折ピークを含む。
【0033】
[0044]すなわち、Cu-Kα線を用いて得られる結晶形のX線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θおよび24.66°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つの特徴的な回折ピークを含む。本発明の一実施形態によれば、X線粉末回折パターンは、9.5°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ、および23.8°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも1つの特徴的な回折ピークをさらに含む。本発明の一実施形態によれば、X線粉末回折パターンは、7.81°±0.2°2θ、10.14°±0.2°2θ、11.50°±0.2°2θ、11.93°±0.2°2θ、および12.31°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも1つの特徴的な回折ピークをさらに含む。本発明の一実施形態によれば、結晶形のX線粉末回折パターンは、14.73°±0.2°2θ、20.87°±0.2°2θ、21.49°±0.2°2θ、21.97°±0.2°2θ、および25.39°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも1つの特徴的な回折ピークをさらに含む。本発明の一実施形態によれば、X線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ、24.66°±0.2°2θ、9.5°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ、23.8°±0.2°2θ、7.81°±0.2°2θ、10.14°±0.2°2θ、11.50°±0.2°2θ、11.93°±0.2°2θ、12.31°±0.2°2θ、14.73°±0.2°2θ、20.87°±0.2°2θ、21.49°±0.2°2θ、21.97°±0.2°2θおよび25.39°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも9個の特徴的な回折ピークを含む。本発明の一実施形態によれば、X線粉末回折パターンは以下の特徴的な回折ピークを含む:10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ、24.66°±0.2°2θ、9.5°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ、および23.8°±0.2°2θ。本発明の一実施形態によれば、X線粉末回折パターンは、以下の特徴的な回折ピークを含む:5.98°±0.2°2θ、7.81°±0.2°2θ、9.50°±0.2°2θ、10.14°±0.2°2θ、10.94°±0.2°2θ、11.50°±0.2°2θ、11.93°±0.2°2θ、12.31°±0.2°2θ、13.35°±0.2°2θ、13.81°±0.2°2θ、14.73°±0.2°2θ、15.13°±0.2°2θ、15.59°±0.2°2θ、16.35°±0.2°2θ、17.09°±0.2°2θ、17.57°±0.2°2θ、17.94°±0.2°2θ、18.07°±0.2°2θ、18.61°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、19.49°±0.2°2θ、19.82°±0.2°2θ、20.33°±0.2°2θ、20.87°±0.2°2θ、21.49°±0.2°2θ、21.71°±0.2°2θ、21.97°±0.2°2θ、22.59°±0.2°2θ、23.01°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ、23.80°±0.2°2θ、24.66°±0.2°2θ、25.39°±0.2°2θおよび25.70°±0.2°2θ。
【0034】
[0045]本発明の1つ以上の実施形態によれば、式(I) の化合物とフマル酸との結晶形は、2θ走査角度が3°から45°であり、走査ステップが0.013°であり、試験時間が5分8秒であり、試験中の光電管の電圧および電流がそれぞれ45kVおよび40mAであり、サンプルパンがゼロバックグラウンドサンプルパンであった。具体的には、Cu-Kα線を照射し、2θ値±0.2°で表されるX線粉末回折パターンの特性ピークを以下の表に示す。
【0035】
[0046]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのXRPD回折ピークデータ
【0036】
[0047]本発明の一実施形態によれば、式(I)の化合物とフマル酸との結晶形の示差走査熱量測定スペクトルは、274℃±2℃の吸熱ピークを有する。より好ましくは、示差走査熱量測定スペクトルは、
図1に示されるようなものである。式(I)の化合物とフマル酸との結晶形の熱重量分析スペクトルは、150°C±2°Cに加熱される過程で、結晶形が基本的に重量未減少または0.5%未満の重量減少を有しており、かつ結晶形が240°C±2°Cで分解することを示している。より好ましくは、熱重量分析スペクトルは、
図1に示す通りである。
【0037】
[0048]本発明の一実施形態によれば、結晶形において、フマル酸に対する式(I)の化合物のモル比は、約1:1である。
【0038】
[0049]本発明の一実施形態によれば、本発明の式(I) の化合物とフマル酸の結晶形のHPLC純度は98%以上、好ましくは98.5%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.95%以上、さらに好ましくは99.95%以上であり、この結晶形態における単一の不純物の最大含有量は0.1%を超えない。特に規定がない限り、本明細書で用いられる用語「純度」又は「不純物含有量」とは、高速液体クロマトグラフィーによる試験サンプルの分析結果を用いたピーク面積正規化によって算出されたメインピーク又は不純物ピークの純度率を指す。
【0039】
[0050]本発明の一実施形態によれば、結晶形態において、式(I)の化合物とフマル酸とは、両者の共結晶の形態で存在してもよいし、2つの塩の形態で存在してもよい。すなわち、式(I)の化合物とフマル酸との共結晶であってもよいし、式(I)の化合物のフマル酸塩であってもよい。
活性医薬成分
【0040】
[0051]本発明の第2の態様において、本発明は、以下の実施形態及び/又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0041】
[0052]本発明の第2の態様において、第1の態様で説明した結晶形、すなわち、式(I) の化合物とフマル酸との結晶形を含む活性医薬成分(API)を提供する。
【0042】
[0053]「活性医薬成分」とは、様々な製剤の調製に使用される原料薬物であって、製剤中の活性成分であり医薬用途の化学合成やバイオテクノロジー技術により調製された粉末、結晶等の形態であるが、被検者が直接摂取することができない物質である。
【0043】
[0054]本発明の一実施形態によれば、APIは以下のような条件の少なくとも1つを満たす:(1)APIの粒径D90が約5μm~約60μmであるか、または(2)APIの粒径D50が約30μmを超えない。本発明の特定の実施形態では、APIの粒径D90は、約5μm~約60μm(例えば、10μm~40μm)であり、APIの粒径D50は、約30μm以下(例えば、約20μm以下)である。
【0044】
[0055]本発明の一実施形態によれば、APIの粒径D90は約10μm以上である。
【0045】
[0056]本発明の一実施形態によれば、APIの粒径D 90は、約10μm~40μmの範囲である。
【0046】
[0057]本発明の一実施形態によれば、APIの粒径D50は約5μm以上である。
【0047】
[0058]本発明の一実施形態によれば、APIの粒径D50は約20μm以下である。
【0048】
[0059]発明者は、創造的な研究により、特定の粒度(例えばD50及び/又はD90)の範囲内の本発明のAPIが、そのAPIを含む医薬組成物をより高い溶解速度及びより高い溶解度を有することを見出した。さらに、本発明の医薬組成物が錠剤形態であり、賦形剤が同じときに、特定の粒径(例えばD50及び/又はD90)の範囲内にある本発明のAPIは、錠剤が許容可能な脆性を有することを可能にし、錠剤の製造中(例えば、打錠)に顕著なスティッキング又はピッキング現象を起こさないようにすることができる。
【0049】
医薬組成物
[0060]本発明の第3の態様では、本発明は、以下の実施形態及び/又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0050】
[0061]本発明の第3の態様において、本発明は、第1の態様の結晶形態 (すなわち式(I) の化合物及びフマル酸の結晶形A)又は式(I) の化合物及びフマル酸の結晶形と非晶質との混合物である活性成分、又は第2の態様の活性医薬成分(API)、である活性成分;及び生理学的又は薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0051】
[0062]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物は、活性成分(例えば、第1の態様の結晶形態又は第2の態様のAPI)と、生理学的又は薬学的に許容される賦形剤とからなる。
【0052】
[0063]本発明の一実施形態によれば、生理学的又は薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、及び滑沢剤からなる群から選択される1種以上を含む。
【0053】
[0064]本発明の医薬組成物は、固形製剤であることが好ましい。
【0054】
[0065]本発明の医薬組成物は、経口、吸入、局所、鼻噴、直腸、経皮、または注射投与に適した形態で配合することができる。
【0055】
[0066]本発明の医薬組成物を経口投与することができる
【0056】
[0067]本発明の医薬組成物は、経口剤の剤形に調製されることが好ましい。経口製剤の形状は、特に限定されず、円、小カプセル、ドーナツ、矩形等のいずれであってもよい。
【0057】
[0068]固形製剤としては、例えば、錠剤、カプセル、粉体、顆粒剤、菱形等が挙げられる
【0058】
[0069]固形製剤は、コーティング剤でコーティングされてもよく、識別用のラベルおよび文字を有してもよく、分割のための破線を有してもよい。コーティングは、当業者によく知られている従来のコーティング媒体及び被膜形成剤(一般的にコーティング材料と総称される)を添加して行われる。コーティングは、例えば、糖衣基材、水溶性フィルムコーティング基材、腸溶性フィルムコーティング基材、徐放性フィルムコーティング基材などを用いて行うことができる。糖衣基材としては、蔗糖と、タルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アカシア、アミロペクチン、カルナバワックス等からなる群から選択される1種以上の物質との組み合わせを用いることができる。水溶性フィルムコーティング基材としては、例えば、以下のようなものを用いることができる:ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系重合体を用いることができ;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレート共重合体E[EudragitE(商品名)]、ポリビニルピロリドン等の合成高分子を用いることができ;アミロペクチン等の多糖類を用いることができる。腸溶性フィルムコーティング基材としては、例えば、以下のようなものを用いることができる:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸セルロースフタレート等のセルロース系重合体を用いることができ;メタクリル酸共重合体L[EudragitL(商品名)]、メタクリル酸共重合体LD[EudragitL-30D55(商品名)]、メタクリル酸共重合体S[EudragitS(商品名)]等のアクリル系重合体を用いることができ;シェラック等の天然物を用いることができる。徐放性フィルムコーティング基材としては、例えば、以下のようなものを用いることができる:エチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系重合体を用いることができ;アミノアルキルメタクリレート共重合体RS[EudragitRS(商品名)]、アクリル酸エチル-メタクリル酸メチル共重合体懸濁液[EudragitNE(商品名)]等のアクリル系重合体等を用いることができる。2種以上の上記コーティング基材を適切な割合で混合して使用することができる。さらに、コーティングにコーティング添加剤を使用することもできる。コーティング添加剤としては、例えば、以下のようなものを用いることができる:酸化チタン、タルク、酸化鉄などの光マスキング剤および/または着色剤を用いることができ;例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ヒマシ油、ポリソルベートなどの可塑剤を用いることができ;例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸などの有機酸などを用いることができる。
【0059】
[0070]即放性及び/又は放出調節のために固形製剤を配合することができる。放出調節の例は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出、およびプログラムされた放出を含む。
【0060】
[0071]固形製剤が錠剤である場合、一般に固形製剤の製造に用いられる任意の薬学的に許容される賦形剤を用いることができる。錠剤は、1以上の生理学的または薬学的に許容される賦形剤を任意選択で用いて、圧縮または成形によって調製することができる。圧縮された錠剤はまた、自由流動の形態(例えば、粉末またはカプセル)で活性成分を圧縮することによって調製することができ、当該活性成分は任意選択的に結合剤、潤滑剤、充填剤、可溶化剤、または崩壊剤と混合される。成形された錠剤は、湿潤された粉末状化合物の混合物を不活性液体分散媒とともに適切な機械で成形することによって調製することができる。錠剤は、任意選択でコーティングまたはスコア付けされてもよく、その中で活性成分の持続放出または制御放出を提供するように製剤化されてもよい。錠剤処方は、H.LiebermanおよびL.Lachman、Marcel Dekker, NY, 1980によって、「製薬投薬形態:錠剤、Vol1(Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Vol. 1)」に詳細に記載されている。
【0061】
[0072]固形製剤がカプセルである場合、例えば、ハードゼラチンカプセル内の上記担体を用いるなど、任意の従来のカプセル化が適切である。組成物がソフトゼラチンカプセルの形態である場合、分散液または懸濁液の調製において一般的に使用される任意の生理学的または薬学的に許容される賦形剤を考慮し、生理学的または薬学的に許容される賦形剤がソフトゼラチンカプセルに組み込まれることができる。
【0062】
[0073]製剤は、単位用量の形態で簡便に提示することができ、薬学分野でよく知られている方法のいずれかによって調製することができるので、単位用量を対象に投与することができる。好ましくは、医薬組成物は、単位用量の形態であり、例えば、単位用量の形態の固体製剤(例えば、錠剤、粉末、乾燥懸濁液、顆粒、またはカプセル)である。
【0063】
[0074]用語「デンプン」は、一般に、実験式(C6H10O5)n(nは300-1000の範囲)及び50,000-160,000の分子量を有する物質であり、かつα-グルコース単位に基づく多糖類であるアミロース及びアミロペクチンからなる。デンプンは、植物材料に由来し、典型的には、核の周囲に形成されたデンプン分子の層状層からなる非常に小さな粒子(直径5μm-25μm)の形態で存在する。デンプン粒子は、円形、楕円形または角型であり得、2つの無水D-グルコースポリマー(アミロースおよびアミロペクチン)の放射性結晶集合体からなる。アミロースは、α-1,4グリコシド結合によって結合された数百のグルコース単位の線状ポリマーである。アミロペクチンは、分岐部位でα-1,6グリコシド結合を有し、線形領域でα-1,4結合を有する数千のグルコース単位の分岐ポリマーである。ある分岐は、20-30個のグルコース残基を有することができる。具体的には、デンプンは、アミロース含量が10-40重量%のデンプンから選択される。典型的な例は、トウモロコシデンプン、馬鈴薯澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、及び小麦澱粉である
【0064】
[0075]用語「アルファ化デンプン」は、水の存在下で粒子の全部または一部を分解し、その後乾燥させる化学的および/または機械的に処理されたデンプンを定義することを意図している。アルファ化デンプンのいくつかのタイプは、改善された圧縮性および流動性の特徴を有するように修飾され得る。典型的なアルファ化デンプンは、5%の遊離アミロース、15%の遊離アミロペクチン、および80%の非修飾デンプンを含む。アルファ化デンプンは、上述のように化学的および/または機械的に処理されたトウモロコシデンプンであり得る。米または馬鈴薯澱粉などのトウモロコシデンプンよりも他のタイプのデンプンは、アルファ化することができる。
【0065】
[0076]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物の総重量に基づいて、医薬組成物は、15重量%~60重量%(例えば、25重量%~45重量%)または2重量%~45重量%(例えば、5重量%~29重量%または30重量%~44重量%)の活性成分を含む。具体的には、医薬組成物中の活性成分の重量百分率は、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、40.64%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%であってもよい。
【0066】
[0077]本発明の一実施形態によれば、生理学的または薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、および滑沢剤からなる群から選択される1つ以上を含む。具体的には、生理学的または薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、および滑沢剤からなる群から選択される1つ以上である。より具体的には、生理学的または薬学的に許容される賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、結合剤、および滑沢剤からなる。
【0067】
[0078]本発明の一実施形態によれば、充填剤に対する活性成分の重量比は、1:5~1:1の範囲(例えば、1:2~1:1の範囲)、又は1:3~3:1の範囲(例えば、1:2~2:1の範囲、具体的には1:1~1:1.5の範囲)である)。
【0068】
[0079]本発明の一実施形態によれば、潤滑剤に対する崩壊剤の重量比は、1:4~4:1の範囲、具体的には、1:2~2:1の範囲、より具体的には、1:1~2:1の範囲、より具体的には、1:0.8~1:0.7の範囲である。
【0069】
[0080]本発明の一実施形態によれば、潤滑剤に対する滑沢剤の重量比は、1:3~3:1の範囲(例えば、1:2~2:1の範囲、具体的には、1:1~2:1の範囲、より具体的には、1:1~1.5:1の範囲、より具体的には、1:0.8~1:0.7の範囲である。
【0070】
[0081]本発明の一実施形態によれば、潤滑剤に対する結合剤の重量比は、1:3~3:1の範囲、具体的には1:2~2:1の範囲、具体的には1:1である。
【0071】
[0082]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物中の充填剤の重量百分率は、10%~80%、さらに30%~70%、好ましくは30%~65%、または40%~60%の範囲であり、例えば、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、または80%である。
【0072】
[0083]または、医薬組成物(例えば、単位用量形態の医薬組成物)中の充填剤の含有量は、110mg-265mg、好ましくは130mg-245mgの範囲であり、例えば110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、175mg、180mg、185mg、190mg、195mg、200mg、205mg、210mg、215mg、220mg、225mg、230mg、235mg、240mg、245mg、250mg、260mg、または265mgである
【0073】
[0084]本発明の一実施形態によれば、前記充填剤は、ラクトース、無水炭酸水素カルシウム、糖アルコール、セルロース、又はデンプンからなる群から選択される1種以上を含む。充填剤としての糖アルコールは、例えば、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトールからなる群から選択される1種以上を含む。充填剤としてのセルロースは、例えば、微結晶セルロース、粉末セルロース及びケイ化微結晶セルロースからなる群から選択される1種以上を含む。例えば、充填剤としての澱粉は、トウモロコシデンプン、馬鈴薯澱粉、サツマイモ澱粉、及びアルファ化デンプンのうちの1種以上を含み、好ましくはアルファ化デンプンである
【0074】
[0085]具体的には、充填剤は、ラクトース、無水炭酸水素カルシウム、糖アルコール、セルロース、及びデンプンからなる群より選択される1種以上である。充填剤としての糖アルコールは、例えば、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビトール、およびキシリトールからなる群から選択される1種以上であり、好ましくはマンニトールである。充填剤としてのセルロースは、例えば、微結晶セルロース、粉末セルロース及びケイ化微結晶セルロースからなる群から選択される1種以上であり、微結晶セルロース及び/又は微結晶セルロースであることが好ましい。充填剤としてのデンプンは、例えば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯澱粉、サツマイモ澱粉、及びアルファ化デンプンからなる群より選択される1種以上であり、好ましくはアルファ化デンプンである。
【0075】
[0086]本発明の一実施形態によれば、充填剤は、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、ラクトース、マンニトール(D-マンニトールなど)、または2つ以上の混合物(例えば、微結晶セルロースとアルファ化デンプンの混合物、または微結晶セルロースとマンニトール(D-マンニトールなど)の混合物)である。充填剤が微結晶セルロースとアルファ化デンプンの混合物である場合、2つの重量比は、1.5:1~3.5:1の範囲であり、例えば1.9:1、2:1、2.1:1、2.3:1、2.4:1、2.5:1、2.8:1、2.9:1、3:1、または3.1:1であり;充填剤が微結晶セルロースとマンニトール(例えば、D-マンニトール)との混合物である場合には、両者の重量比は1:5~5:1の範囲であり、例えば1:3.5~3.5:1の範囲、3.1:1又は3.2:1である。本発明の医薬組成物において、上記の2種の充填剤(例えば、微結晶セルロースとアルファ化デンプンとの混合物、又は微結晶セルロースとマンニトール(D-マンニトール等)との混合物中)の重量比が上記範囲未満であるか、または上記範囲超であると、医薬組成物の調製(打錠等)の過程において、医薬要件を満たさないキャッピング現象が存在する。
【0076】
[0087]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物中の崩壊剤の重量百分率は、1%~10%、具体的には1%~5%の範囲であり、例えば2%、3%、又は4%である。本発明の医薬組成物において、崩壊剤の量は、少なすぎるか又は多すぎるべきではない。崩壊剤の量が少なすぎると(例えば、医薬組成物中のその重量百分率が1%未満である)、活性成分の溶解速度が低すぎるため、60分以内(まだ60%に達していない場合)の溶解は、医薬品要件を満たすことができない;量が多すぎると(例えば、医薬組成物中のその重量百分率が5%を超える)、活性成分の溶解速度が高すぎて、ほぼ全ての活性成分が短時間(例えば5分~10分間)に分解されて溶解され(溶解は80%より、さらに90%よりも大きい)、これは製薬上の要件を満たさない。
【0077】
[0088]または、医薬組成物(例えば、単位用量形態の医薬組成物)中の崩壊剤の含有量は、3.5mg~19mgの範囲であり、例えば3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、12.5mg、13mg、13.5mg、14mg、14.5mg、15mg、15.5mg、16mg、16.5mg、17mg、17.5mg、18mg、18.5mg、または19mgであってもよい。
【0078】
[0089]本発明の一実施形態によれば、崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム、トウモロコシデンプン、及び馬鈴薯澱粉からなる群から選択される1種以上を含む。具体的には、崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプンナトリウム、トウモロコシデンプン、及び馬鈴薯澱粉からなる群より選択される1種以上である。崩壊剤は、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及びカルボキシメチルデンプンナトリウムからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
[0090]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物中の潤滑剤の重量百分率は、0.5%~5%、さらに0.5%~4%、特に0.5%~3%、さらに特に1%~2%の範囲であり、例えば、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、4%または5%である。本発明の医薬組成物において、潤滑剤の量は、少なすぎるかまたは多すぎるべきではない。潤滑剤の量が少なすぎるもしくは多すぎる(例えば、医薬組成物中のその重量百分率が0.5%未満または4%超)場合、医薬組成物の調製(打錠など)の間に、粉末の付着、スティッキング、またはピッキングの現象が発生し、製薬上の要件を満たさない。
【0079】
[0091]あるいは、医薬組成物(例えば、単位用量形態の医薬組成物)中の滑沢剤の含有量は1.5 mg~15 mgの範囲であり、例えば、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、13mg、または14mgであってもよい。
【0080】
[0092]本発明の一実施形態によれば、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸及びフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1種以上を含む。具体的には、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、水素化植物油、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸、およびフマル酸ステアリルナトリウムからなる群から選択される1種以上であり、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリルおよびフマル酸ステアリルナトリウムからなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムであることが好ましく、ステアリン酸マグネシウムとフマル酸ステアリルナトリウムとの組み合わせであることが好ましい
【0081】
[0093]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物中の滑沢剤の重量百分率は、0.5%~5%、さらには0.5%~4%、特に0.5%~3%、さらに特に2%~3%の範囲であり、例えば、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、または4%である。本発明の医薬組成物において、滑沢剤の量は、少なすぎるか、または多すぎるべきではない。使用量が少なすぎるか、または多すぎる場合(例えば、医薬組成物中の重量百分率が0.5%未満または4%超)であると、医薬組成物の錠剤を調製する際に、得られる錠剤の錠剤重量が不安定になることがあり、医薬品要件を満たさない。
【0082】
[0094]あるいは、医薬組成物(例えば、単位用量形態の医薬組成物)中の滑沢剤の含有量は、1.5mg~15mgの範囲であり、例えば1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、8.5mg、9mg、9.5mg、10mg、10.5mg、11mg、11.5mg、12mg、13mg、または14mgであってもよい。
【0083】
[0095]本発明の一実施形態によれば、滑沢剤は、コロイダルシリカ及び/又はタルクを含む。具体的には、滑沢剤は、コロイダルシリカ及び/又はタルクから選択され、例えば、滑沢剤はコロイダルシリカである。
【0084】
[0096]本明細書で使用される「コロイダルシリカ」という用語は、「軽質無水ケイ酸」とも呼ばれる。
【0085】
[0097]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物中の結合剤の重量百分率は、0~10%、さらには1%~5%、特に1%~3%の範囲であり、例えば1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3%、3.5%、4%、4.5%、または5%である。本発明の医薬組成物において、結合剤の量は、少なすぎるか、または多すぎるべきではない。結合剤の量が少なすぎるか、または多すぎると(例えば、医薬組成物中のその重量百分率が1%未満または5%超)、得られる錠剤の硬度が低すぎる(例えば、40N未満)または高すぎる(例えば、80N超)現象が医薬組成物の錠剤の調製中に生じ、医薬品要件を満たさない。
【0086】
[0098]あるいは、医薬組成物(例えば、単位用量形態の医薬組成物)中の結合剤の含有量は、1mg~15mg、より好ましくは5mg~8mgの範囲であり、例えば1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、5.5mg、6mg、6.5mg、7mg、7.5mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、または14mgであり得る。
【0087】
[0099]具体的には、結合剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コポビドン及びポリビニルピロリドンからなる群から選択される1種以上であり、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース及び/又はコポビドンであることが好ましい。
【0088】
[0100]本発明の一実施形態によれば、生理学的又は薬学的に許容される賦形剤は、懸濁剤及び/又は香味剤を更に含む。
【0089】
[0101]具体的には、懸濁剤は、低分子懸濁剤、高分子量懸濁剤、ケイ酸塩、チキソトロープ剤、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。具体的には、低分子懸濁化剤は、グリセリン、シロップ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ;高分子量懸濁剤は、ツリーガム(例えば、アカシア、トラガント、桃ガム、またはそれらの任意の組み合わせなど)、植物粘液および多糖類(例えば、アルギン酸ナトリウム、寒天、デンプン、ペクチン、カラギーナン、キトサン、またはそれらの任意の組み合わせなど)、セルロース誘導体(メチルセルロースまたはその塩、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、ヒドロキシプロピルセルロースまたはその塩、ヒドロキシエチルセルロースまたはその塩、またはそれらの任意の組み合わせなど)、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ;ケイ酸塩は、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸アルミニウム、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができ;及び/又はチキソトロープ剤は、クエン酸塩、クエン酸水素塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、リン酸塩、AlCl3、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択することができる。好ましくは、前記懸濁剤は、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、蔗糖、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、キサンタンガム、トラガント、ポリアクリル酸架橋ポリマー、ポリビニルピロリドン、微結晶セルロースからなる群から選択される1種以上である。
【0090】
[0102]具体的には、医薬組成物中の懸濁剤の重量割合は、0~30%、好ましくは1~20%の範囲である
[0103]具体的には、香味剤は、アスコルビン酸、アスパラギン酸、アスパルテーム、スクラロース、サッカリン、D-ソルビトール、ステビア、アセスルファムカリウム、ソウマチン、アドバンテーム、グリシン、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩酸、希塩酸、クエン酸及びその塩、無水クエン酸、L-グルタミン酸及びその塩、コハク酸及びその塩、酢酸、酒石酸及びその塩、炭酸水素ナトリウム、フマル酸及びそれらの塩、リンゴ酸及びその塩、氷酢酸、イノシン酸二ナトリウム、蜂蜜、還元麦芽糖シロップ(マルチトール)、甘草、キシリトール等から選択され;アスコルビン酸が好ましい。
【0091】
[0104]具体的には、医薬組成物中の香料の重量百分率は、0.01%~10%、好ましくは0.05%~7.5%、より好ましくは1%~5%の範囲である。
【0092】
[0105]特定の実施形態において、充填剤は微結晶セルロースとD-マンニトールとの混合物(例えば、2つの重量比は本発明で定義される通り)であり、結合剤はヒドロキシプロピルセルロースであり、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり、滑沢剤はコロイダルシリカであり、および/または潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。特に、上記の特定の生理学的または薬学的に許容される賦形剤(微結晶セルロース、D-マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイダルシリカおよび/またはステアリン酸マグネシウムなど)の重量パーセントまたは含有量は、上記で定義した通りである。
【0093】
[0106]特定の実施形態において、充填剤は微結晶セルロースとアルファ化デンプンとの混合物(例えば、2つの重量比は本発明で定義される通り)であり、結合剤はヒドロキシプロピルセルロースであり、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり、滑沢剤はコロイダルシリカであり、および/または潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。特に、医薬組成物中の上記の特定の生理学的または薬学的に許容される賦形剤(微結晶セルロース、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイダルシリカおよび/またはステアリン酸マグネシウムなど)の重量パーセントまたは重量比は、上記で定義された通りである。
[0107]本発明の一実施形態によれば、医薬組成物は、経口製剤、好ましくは経口固形製剤(例えば、錠剤、粉末、乾燥懸濁液、顆粒、又はカプセル)である。
【0094】
[0108]本発明の実施形態において、医薬組成物は、単位用量(例えば、錠剤、粉末、乾燥懸濁液、顆粒、またはカプセル)の形態の固形製剤などの単位用量の形態である。
【0095】
[0109]好ましくは、本発明の経口固形製剤が錠剤である場合、錠剤は、嚥下しやすい錠剤のためのフィルムコーティングを有していてもよいし、フィルムコーティングを有していないものであってもよい。
【0096】
[0110]タブレットの「硬度」は、タブレットを破壊するのに必要な力としてN(ニュートン)で測定される。本発明の一実施形態によれば、本発明のタブレットは、30N-90Nの範囲、例えば40N-80Nの範囲、例えば70Nの硬度を有する。タブレットのサイズ及び形状に応じて適切な硬度範囲を規定することは、当業者に周知である
【0097】
[0111]本発明の一実施形態によれば、本発明の医薬組成物が単位用量の形態(例えば、単位用量の形態の、錠剤、粉末、乾燥懸濁物、顆粒、又はカプセルのような固形製剤)である場合、医薬組成物は、1mg~500mg、好ましくは10mg~300mg、より好ましくは50mg~200mg、最も好ましくは120mg~155mg、例えば1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mg、120mg、125mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、151mg、152mg、200mg、または250mgの活性成分(例えば、第1の態様の結晶形または第2の態様のAPI)を、単位用量当たりに含む。あるいは、本発明の医薬組成物が単位用量の形態(例えば、単位用量の形態の、錠剤、粉末、乾燥懸濁液、顆粒剤、カプセル剤などの固形製剤)である場合、医薬組成物は、40mg~170mg、好ましくは95mg~130mgの単位用量当たりの活性成分の遊離塩基形態を含む。例えば、医薬組成物は、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、62.1mg、62.2mg、62.3mg、62.4mg、62.5mg、62.6mg、62.7mg、62.8mg、62.9mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mg、101mg、102mg、103mg、104mg、105mg、106mg、107mg、108mg、109mg、110mg、111mg、112mg、113mg、114mg、115mg、116mg、117mg、118mg、119mg、120mg、121mg、122mg、123mg、124mg、125mg、126mg、127mg、128mg、129mg、130mg、135mg、140mg、145mg、150mg、155mg、160mg、165mg、または170mgの単位用量当たりの活性成分の遊離塩基形態を含む。
【0098】
[0112]本発明の医薬組成物が経口製剤(例えば錠剤、粉末、乾燥懸濁液、顆粒剤、カプセル)である場合、被検者への投与に便利であり、又は被検者(特に子供、高齢者、嚥下障害患者)の使用のコンプライアンスが改善され、注射薬の過剰投与のリスクを回避することができる。
【0099】
[0113]本発明者は、式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含む医薬組成物(例えば、錠剤)のインビトロ溶解などの調製パラメータも調査した。結果は、同じ溶解媒体では、結晶形Aを含む医薬組成物(具体的には、錠剤)は、溶解速度がより高く、かつインビトロ溶解がより高く、溶解要件を満たすことができることを示した
【0100】
[0114]本発明の一実施形態によれば、被験者は人間であり、好ましくは子供、大人、または高齢者であり、例えば、0~18歳(例えば、0~12歳)の子供、19~59歳の大人、または60歳以上の高齢者である。具体的には、本発明の医薬組成物が顆粒又は乾燥懸濁液である場合、被験者は子供(例えば、0~12歳の子供)であることが好ましく;本発明の医薬組成物が錠剤又はカプセルである場合、被験者は、大人又は高齢者、例えば、19~59歳の大人又は60歳以上の高齢者であることが好ましく;本発明の医薬組成物が経口液剤である場合、被験者は、子供(0~12歳の子供)、高齢者(60歳以上の高齢者)、又は嚥下障害患者であることが好ましい。
【0101】
[0115]本発明の医薬組成物を、加速安定性試験(例えば40°C±2°C及び75%±5%RH等)の条件で1ヶ月又は3ヶ月間に置いた後、単一の不純物の最大含有量が0.2%以下(例えば0.1%以下)及び/又は全不純物含有量が1%以下(例えば0.25%以下)である。
【0102】
[0116]また、本発明の医薬組成物は、高い溶解性、高い溶解速度及び/又は高い安定性を有する。また、本発明の医薬組成物は、経口製剤、特に錠剤(錠剤圧縮性が良好な)等の経口固形製剤への配合に適しており、大規模な工業生産に適しており、得られる製品の品質が安定して信頼性が高く、臨床応用価値が良好である。
【0103】
[0117]本発明の一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、活性成分(第2の態様で説明した活性医薬成分)が特定の粒径(D50≦30μm及び/又はD90が5μm~60μmの範囲)である錠剤であり;充填剤は微結晶セルロースとD-マンニトールの混合物(例えば、2つの重量比は本発明で定義される通りである)、または微結晶セルロースとアルファ化デンプンの混合物(例えば、2つの重量比は本発明で定義される通りである)であり;結合剤はヒドロキシプロピルセルロースであり;崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムであり;滑沢剤はコロイダルシリカであり;および/または潤滑剤はステアリン酸マグネシウムである。特に、上記の特定の生理学的または薬学的に許容される賦形剤(微結晶セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイダルシリカおよび/またはステアリン酸マグネシウムなど)の重量パーセントまたは含有量は、上記で定義した通りである。この医薬組成物は、高い溶解速度、高い溶解性、および許容可能な脆性を有し、錠剤調製プロセス(打錠プロセスなど)の間に顕著なスティッキングまたはピッキング現象がない。
【0104】
その他
[0118]本発明の第4の態様において、本発明は、以下の実施形態及び/又はそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0105】
[0119]本発明の第4の態様では、本発明は、本発明の第3の態様の医薬組成物を対象に投与することを含む、コロナウイルスに起因する疾患の治療方法を提供する。
【0106】
[0120]本発明の一実施形態によれば、コロナウイルスは2019-nCoVである。
[0121]本発明の一実施形態によれば、被験者は、人間であり、好ましくは子供、大人、または高齢者であり、例えば0~18歳(例えば、0~12歳)の子供、19~59歳の大人、または60歳以上の高齢者である。具体的には、本発明の医薬組成物が顆粒又は乾燥懸濁液である場合、被験者は子供(例えば、0~12歳の子供)であることが好ましく;本発明の医薬組成物が錠剤またはカプセルである場合、被験者は、大人または高齢者、例えば、19~59歳の大人または60歳以上の高齢者、であることが好ましく;本発明の医薬組成物が経口液剤である場合、被験者は、子供(例えば、0~12歳の子供)、高齢者(例えば、60歳以上の高齢者)、または嚥下障害患者であることが好ましい。
【0107】
[0122]本発明の第5の態様において、本発明は、以下の実施形態及びそれらの任意の組み合わせを提供する。
【0108】
[0123]本発明の第5の態様において、予混合、造粒、及び/又は混合を含む医薬組成物の製造方法も提供し;好ましくは、この方法は、以下のステップを含む:(i)予混合:生理学的または薬学的に許容される賦形剤(上記の1つ以上の生理学的または薬学的に許容される賦形剤、例えば、上記の1つの充填剤など)と活性成分とを混合すること;(ii)造粒:工程(i)で得られた混合物(乾式造粒又は湿式造粒等)を造粒した後、篩い分けること;(iii)混合:工程(ii)で得られた粒子と、工程(i)で説明した生理学的又は薬学的に許容される賦形剤を除く1種以上の他の生理学的又は薬学的に許容される賦形剤とを混合すること。
【0109】
[0124]本発明の医薬組成物の製造方法において、工程(i)は、活性成分(例えば、第1の態様の結晶形態または第2の態様のAPI)を、充填剤、崩壊剤、任意選択的な結合剤、任意選択的な可溶化剤、及び滑沢剤と順に混合する操作により達成される。具体的には、工程(i)は、まず、活性成分と充填剤とを混合した後、崩壊剤、任意選択的な結合剤、任意選択的な可溶化剤、及び滑沢剤を添加して混合する操作により達成される。好ましくは、工程(i)は、まず、活性成分と第1の充填剤とを混合し、次いで、第2の充填剤、崩壊剤、任意選択的な結合剤、任意選択的な可溶化剤、及び滑沢剤を添加して混合する操作によって達成される。特に、第1の充填剤と第2の充填剤は、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは、第1の充填剤は、本発明の充填剤としてのセルロースであり、第2の充填剤は、本発明の充填剤としてのデンプンである。好ましくは、混合は攪拌、好ましくは手攪拌、またはホッパーミキサーなどの混合装置内での攪拌によって達成される。
【0110】
[0125]本発明の医薬組成物の製造方法において、工程(ii)は、工程(i)で得られた混合物を湿式造粒又は乾式造粒した後、篩い分けする操作により達成される。具体的には、湿式造粒又は乾式造粒は、配合要件に応じて当業者が行うことができる。好ましくは、湿式造粒は、工程(i)で得られた混合物と水とを混合し、湿式造粒機で造粒を行うことである。好ましくは、乾式造粒は、工程(i)で得られた混合物を乾式造粒機を介して造粒することである。好ましくは、篩は、20~80メッシュの篩(例えば、40~60メッシュの篩)を介して達成される。
【0111】
[0126]本発明の医薬組成物の製造方法において、工程(iii)は、工程(ii)で得られた粒子と潤滑剤とを混合する操作により達成される。好ましくは、混合は攪拌、好ましくは手攪拌、またはホッパーミキサーなどの混合装置内での攪拌によって達成される。
【0112】
[0127]本発明の医薬組成物の製造方法は、(iv)工程(iii)で得られた混合物を打錠する工程をさらに含む。
【0113】
[0128]具体的には、医薬組成物において、活性成分、生理学的又は薬学的に許容される賦形剤、及びそれぞれの量は、本発明で定義した通りである。
【0114】
[0129]具体的には、本発明の医薬組成物の製造方法において、予混合工程としての工程(i)は、活性成分を、充填剤、崩壊剤、結合剤、および滑沢剤と順に(均一に)混合する操作により実現される。より具体的には、予混合工程としての工程(i)は、まず、活性成分と第1の充填剤とを(均一に)混合した後、第2の充填剤と、崩壊剤と、結合剤と、滑沢剤とを添加して(均一に)混合する操作により実現される。特に、第1の充填剤と第2の充填剤とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは、第1の充填剤が、本発明の充填剤としてのセルロース(微結晶セルロースなど)である場合、第2の充填剤は、本発明の充填剤としてのデンプン(アルファ化デンプンなど)である。あるいは、本発明の充填剤として、第1の充填剤が糖アルコール(例えば、D-マンニトールなど)である場合、第2の充填剤は、本発明の充填剤としてのセルロース(微結晶セルロースなど)である。あるいは、第1の充填剤が本発明の充填剤としてのセルロース(微結晶セルロースなど)である場合、第2の充填剤は、本発明の充填剤としての糖アルコール(例えば、D-マンニトールなど)である。あるいは、本発明の充填剤として、第1の充填剤がデンプン(アルファ化デンプン等)である場合、第2の充填剤は、本発明の充填剤としてのセルロース(微結晶セルロース等)である。好ましくは、混合は攪拌、好ましくは手攪拌、またはホッパーミキサーなどの混合装置内での攪拌によって達成される。
【0115】
[0130]具体的には、造粒工程としての工程(ii)は、工程(i)で得られた混合物を湿式造粒又は乾式造粒した後、篩い分けを行う操作により実現される。具体的には、湿式造粒又は乾式造粒は、配合要件に応じて当業者が行うことができる。好ましくは、湿式造粒は、1回、2回またはそれ以上行うことができる。好ましくは、湿式造粒は、工程(i)で得られた混合物を溶媒(水など)と混合した後、湿式造粒機または流動床を介して造粒し、篩い分けし、乾燥(40℃~80℃などで)し、および任意選択的に二次篩分けする。好ましくは、乾式造粒は、工程(i)で得られた混合物を乾式造粒機を介して造粒するか、又は工程(i)で得られた混合物を大シートに圧縮した後、粉砕および篩い分けして造粒する。好ましくは、篩い分け又は二次篩分けは、20~80メッシュの篩(例えば、40~60メッシュの篩)を介して達成される。好ましくは、乾燥はオーブンまたは流動床によって達成される。
【0116】
[0131]具体的には、結合剤は以下のようなステップにより添加され得る:1)工程(i)又は工程(ii)において、結合剤は乾燥粉末の形態で添加され;2)工程(ii)では、結合剤は溶液(好ましくは水溶液、例えば、2~10重量%の濃度の結合剤を含む水溶液)として添加され;3)工程(ii)では、結合剤の一部は乾燥粉末の形態で添加され、結合剤の他の一部は水溶液(好ましくは水溶液、例えば、2~15重量%の濃度の結合剤を含む水溶液)の形態で添加される。
【0117】
[0132]具体的には、活性成分は、溶液中の結合剤の一部を溶液中(好ましくは水溶液、例えば、2~10重量%の濃度の結合剤を含む水溶液) で混合した後、造粒、篩分け(例えば、20~80メッシュの篩)、乾燥(例えば、40℃~80℃の範囲の温度での乾燥)、任意選択の二次篩分け(例えば、20~80メッシュの篩)、次いで、第1の充填剤、第2の充填剤、崩壊剤、結合剤の残りの部分、及び滑沢剤(均一に)と混合される。
【0118】
[0133]具体的には、工程(ii)で得られた粒子と潤滑剤とを(均一に)混合することにより、混合工程としての工程(iii)が実現される。特に、混合は攪拌、好ましくは手攪拌、またはホッパーミキサーなどの混合装置内での攪拌によって達成される。
【0119】
[0134]具体的には、前記製造方法は、打錠工程をさらに含む。特に、打錠工程は、工程(iii)で得られた混合物を打錠する工程であり、及び/又は打錠工程は、打錠機(例えば、シングルパンチ打錠機)によって行われる)。
【0120】
[0135]本明細書に記載の異なるレベルの実施形態及び技術的解決策は、特に規定がない限り、任意に組み合わせることができる。
【0121】
[0136]以下の実施例は、本発明を例示するものであるが、本発明の主題の範囲は以下の例に限定されるものではない。本発明の上記の内容に基づいて実現される全ての技術は、本発明の範囲に属する。以下の実施例で使用される化合物または試薬は、商業的に購入することができ、または当業者に公知の従来の方法によって調製することができる。使用される実験器具は、商業的に購入することができる。本発明において、実施例における含有量(%)とは、医薬組成物(すなわち、各例で得られた錠剤)における各成分の重量百分率であり、各例に記載された量(g)をバッチ量(すなわち、錠剤数)で除して得られた値は、医薬組成物(例えば、各例で得られた錠剤)中の各成分の特定の含有量(例えば、mgまたはg)である
【0122】
結晶形の製造およびパターン決定
[0137]I. 結晶形の製造
[0138]製造例1
[0139](6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンフマル酸の固体形態(15.2mg)を1.0mLのアセトンに加えて懸濁液を形成し、室温で7日間撹拌した後分離し、固体を得た。得られた固体を真空乾燥して結晶形Aを白色固体として得た。
【0123】
[0140]製造例2
[0141](6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル] -1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンフマル酸の固体形態(15.2mg)をテトラヒドロフラン1.0mLに加えて懸濁液を形成し、室温で7日間撹拌した後分離し、固体を得た。得られた固体を真空乾燥して結晶形Aを白色固体として得た。
【0124】
[0142]II. 結晶形のパターン決定及びデータ
[0143]1. XRPDパターン判定条件及び回折ピークデータ
[0144]結晶形Aの試料をX線粉末回折装置PANalytical Empyrean(PANaly, NL)で分析した。2θスキャン角度は3度から45度であり、スキャンステップは0.013度であり、テスト時間は5分8秒である。サンプルを試験するための光電管の電圧及び電流は、それぞれ45kV及び40mAであり、サンプルパンはゼロバックグラウンドサンプルパンである。
【0125】
[0145]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのXRPD回折ピークデータ
【0126】
[0146]前記XRPD回折ピークデータから、結晶形Aの主な特徴的な回折ピークが、10.94、19.06、23.50および24.66からなる群から選択されるいずれかの3つの特徴的な回折ピークを含み、9.5、13.81、18.61、22.59および23.8からなる群から選択されるいずれか1つ以上の特徴的な回折ピークをさらに含んでいてもよいし、7.81、10.14、11.50、11.93および12.31からなる群から選択されるいずれか1つ以上の特徴的な回折ピークをさらに含んでいてもよいし、14.73、20.87、21.49、21.97および25.39からなる群から選択されるいずれか1つ以上の特徴的な回折ピークをさらに含んでいてもよいし、結晶形Aの主な特徴的な回折ピークが、10.94、19.06、23.50、24.66、9.5、13.81、18.61、22.59および23.8であってもよい。
【0127】
[0147]2. 示差走査熱量測定(DSC)スペクトル決定条件及びデータ
[0148]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのDSCスペクトルを以下のようにして得た:
[0149]示差走査熱量計TA Discovery 2500(TA,US)を用いた。1mg~2mgの試料を正確に秤量し、穿孔DSC Tzeroサンプルパンに入れ、炉内で50mL/分の窒素パージ率で10℃/分の速度で最終温度まで加熱した。
[0150]結果:式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのDSCスペクトルは
図1に示すように、結晶形Aの融点である、融解吸熱ピークは274℃付近にあることから、結晶形Aの融点が高く、熱力学的安定性が良好であることがわかる。
【0128】
[0151]3. 熱重量分析(TGA)スペクトル決定条件及びデータ
[0152]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのTGAスペクトルは以下のようにして得た。
[0153]熱重量分析器TA Discovery 55(TA,US)を用いた。2mg~5mgの試料を平衡開放アルミニウムサンプルパンに入れ、TGAオーブンで自動計量した。サンプルを10℃/分の速度で最終温度まで10℃/分の速度で加熱し、サンプルで60mL/min、バランスで40mL/minで試料を加熱した。
[0154]結果:式(I)の化合物とフマル酸との結晶形AのTGAスペクトルは
図1に示すように、結晶形Aを150℃に加熱する過程では基本的には重量減少がなく、240℃より高い温度で分解することから、結晶形Aが無水結晶形態であることを示すか、もしくは溶媒が吸収されていないことを示す。
【0129】
[0155]4. 動的水蒸気吸着(DVS)分析
[0156]DVS Intrinsic(SMS,UK)を用いて動的水蒸気吸着解析を行った。勾配モードを採用した場合、湿度変化は順に50%、95%、0%および50%であり、0%~90%の範囲の各勾配の湿度変化は10%であり、勾配の終点はdm/dt法により求められた。勾配の終点は、dm/dtが0.002%未満であり、10分間維持されたことに応答して決定された。
[0157]結果:DVS結果が
図2に示され、0%RHでの重量減少が0.02%であり、80%RHで重量利得が0.06%であり、試料は吸湿性がほとんどない。DVS実験前後の結晶形AのXRPDパターン間の比較は、
図3に示すように、結晶形Aが非常に安定であり、結晶変換しにくく、吸湿しにくいことを示している。
[0158]また、本発明者は、影響因子実験や加速安定実験の条件下での結晶形Aの安定性についても調べた結果、以下の通りである:
[0159]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aは、高温、高湿、光照射の条件下で安定であり、30日以内に安定した外観および純度を維持した。
【0130】
[0160]式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aは、40℃、相対湿度75%で安定であり、2ヶ月以内に解離または結晶変換しない安定な外観および純度を維持した。これは、結晶形Aが非常に良好な安定性を有することを示し、薬物の製造、輸送、および保存に寄与し、薬物使用の有効性および安全性を保証することを示す。
【0131】
[0161]本発明者は、活性医薬品成分(API)の粒度パラメータをさらに検討し、それを含む製剤の効果に対する活性医薬品成分の粒径の影響を調査した。
【0132】
API生産、API含有準備、及び効果の例
[0162]III. APIの製造例
[0163](6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル] -1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオンフマル酸の固体形態(45g)をアセトン450mLに加えて懸濁液を形成した。以下の表に示す条件によれば、懸濁液を55℃-70℃の範囲の温度に還流下で加熱した後、撹拌しながら20℃-30℃の範囲の温度に冷却した。最後に、懸濁液を分離して固体を得た。得られた固体を真空乾燥して、一連の白色固体、すなわち化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI1-17(42.8g-43.7g)、を得たが、これらのAPIは以下の表に示す粒径を有する。
【0133】
[0164]特定の反応温度、撹拌条件、及び得られたAPIの粒径(D
50及び/又はD
90)
【0134】
[0165]本発明の実施例で作成したAPI(例えばAPI6)を少量とり、スライドガラス上に載置することにより、これらのAPIの形態を偏光顕微鏡(NikonCi-POL、Nikon、JP)を介して観察した。API6の偏光顕微鏡(PLM)画像を
図4に示す。
【0135】
[0166]本発明の実施例で作成されたAPIの粒度分布は、レーザー粒子サイズアナライザMastersizer 3000(Malvern Panalytical、UK)を用いて決定された。具体的には、本発明の実施例で準備した約20mgのAPI(例えば、API5)を、8mLのn-ヘプタンに分散させ、10秒間超音波処理し、シェーディング度が10%-20%の範囲になるまでサンプル分散部に加えて測定した。分散室の攪拌速度は2000rpm、継続時間を10sとした。API5の粒度分布図が
図5に示される。
【0136】
[0167]本発明者らは、特定の粒度範囲内のAPIを取得したことに基づいて、さらにそのAPI及びその効果を含む製剤を検討した。
【0137】
[0168]IV.調製例
[0169]調製例では、以下に説明する方法及びパラメータに従って、調製物1~17が得られた。
【0138】
【0139】
[0171]製造方法:
[0172](1)API(活性成分、すなわち式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI1、2、3、又は16)を微結晶セルロースと均一に混合した;
[0173](2)ラクトース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、およびコロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に加えて均一に混合した;
[0174](3)工程(2)で得られた混合物を、純水34.9874gで湿式造粒し、循環させ、40-60メッシュの篩で篩い分け、60℃で2時間乾燥させた;
[0175](4)工程(3)で得られた粒子をステアリン酸マグネシウムと均一に混合した;
[0176](5)工程(4)で得られた混合物を丸パンチ9.5mm、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N-80Nの範囲で打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0140】
【0141】
[0178]製造方法:
[0179](1)API(活性成分、すなわち式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI4、5、6又は17)を微結晶セルロースと均一に混合した;
[0180](2)アルファ化デンプン、コポビドン、クロスカルメロースナトリウム、およびコロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に加えて均一に混合した;
[0181](3)工程(2)で得られた混合物を乾式造粒機で造粒し、循環させ、40~60メッシュの篩で篩分けした;
[0182](4)工程(3)で得られた粒子にステアリン酸マグネシウムを混合した;
[0183](5)工程(4)で得られた混合物を丸パンチ9.5mm、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N-80Nの範囲で打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0142】
【0143】
[0185]製造方法:
[0186](1)API(活性成分、すなわち式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI7、8、および9)をラクトースと均一に混合した;
[0187](2)工程(1)で得られた混合物に微結晶セルロース及びドデシル硫酸ナトリウムを加えて均一に混合した;
[0188](3)工程(2)で得られた混合物を粉砕して微粉末とした;
[0189](4)工程(3)で得られた微粉末を100~120メッシュの篩で篩い分け、包材(小袋等)に充填し、1袋あたり375mgの重量の粉体又は乾燥懸濁液を得た。
【0144】
【0145】
[0191]製造方法:
[0192](1)API(活性成分、すなわち式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI10、11、および12)をラクトースと均一に混合した;
[0193](2)工程(1)で得られた混合物に微結晶セルロース及びドデシル硫酸ナトリウムを加えて均一に混合した;
[0194](3)工程(2)で得られた混合物を粉砕して微粉末とした;
[0195](4)工程(3)で得られた微粉末を100-120メッシュの篩で篩い分け、包材(小袋等)に充填し、1袋あたり375mgの重量の粉体又は乾燥懸濁液を得た。
【0146】
【0147】
[0197]製造方法:
[0198](1)API(活性成分、すなわち式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含むAPI13、14、および15)をマンニトールで均一に混合した;
[0199](2)工程(1)で得られた混合物に微結晶セルロース及びドデシル硫酸ナトリウムを加えて均一に混合した;
[0200](3)工程(2)で得られた混合物を粉砕して微粉末とした;
[0201](4)工程(3)で得られた微粉末を100~120メッシュの篩で篩い分け、包材(小袋等)に充填し、1袋あたり375mgの重量の粉体又は乾燥懸濁液を得た。
【0148】
[0202]調製物の効果の例
[0203]1. インビトロ溶解実験
[0204]実験方法は、パドル装置法を用い、回転速度を75rpm、溶解媒体900mlを用いた。溶解媒体、すなわち精製水pH1.2+0.2%Tween80、中の本発明の調製物1~6、16、17の溶解曲線をそれぞれ測定した。5分、10分、15分、30分、45分、60分で、適切な量の溶解液を採取し、濾過し、その後の濾液を試験液とし、invitro溶解を判定した。
【0149】
【0150】
[0206]結論:精製水pH1.2+0.2%Tween80の溶解媒体中、本発明の調製物1~6は、溶解速度が高く、インビトロでの溶解度が高い一方、製剤16、17は、溶解速度が低く、インビトロでの溶解度が相対的に低い。
【0151】
[0207]2. 錠剤の主要なパラメータの調査
[0208]本発明の調製物1~6、16、17の打錠処理中に発生したスティッキング、又はピッキング現象を調査することに着目し、錠剤の摩損度を検討した。具体的には、同様の打錠の条件(打錠時の温度、湿度等を含む)の下で、打錠工程中に発生したスティッキング又はピッキング現象が肉眼で観察されたか否かを判定し、それぞれの調製例について、調製例1及び2に従って調製された18個の錠剤を採取し、錠剤摩損度試験機(CS-3摩損度試験機、Tianjin TuoPu Instrument Co.,Ltdから購入)で試験して、摩損度パラメータ(すなわち、パーセント重量減少)を測定し、2020年版中国薬局方(パート4、錠剤摩損度試験方法)(2020 edition of the Chinese Pharmacopoeia (Part Four, Tablet friability test method))にしたがって規定した。
【0152】
【0153】
[0210]スティッキング現象:
[0211]--は、基本的にはスティッキングや粉体の付着がないことを示す;
[0212]+は、付着した微量の粉体を示し、有意なスティッキングや渋味はない;
[0213]++は打抜面への有意な付着を示す;
[0214]+++は、有意なスティッキング又は渋味を示す。
【0154】
[0215]結論:本発明の調製物1~6は、錠剤のスティッキングに関しては、打錠処理の際に基本的にスティッキングしていないか、又は有意にスティッキングしていないか、又は、ピッキングしていなかった。錠剤の摩損度の観点から、本発明の調製物1~6の錠剤の摩損度パラメータは、中国薬局方の規定(重量減少率が1%を超えない)と相補的であるが、調製物16および17の錠剤は、中国薬局方の規定に適合しなかった(重量減少率は1%をはるかに超える)。発明者は、特定の粒径範囲(例えば、D50≦30μm及び/又は5μm≦D90≦60μm)内の式(I)の化合物とフマル酸との結晶形Aを含む活性医薬成分は、錠剤に打錠するのに適していたことを見出した。
【0155】
[0216]本発明で説明したAPIの小規模生産に加えて、発明者は、本開示で説明したAPIの大量中試作を探索し、ここで得られたAPIの粒度D90は約10μmから約60μmの範囲内にあり、および/または得られたAPIの粒径D50は、約5μm~約30μmの範囲にある。
【0156】
[0217]本発明者は、調製物に対するAPIの粒度パラメータおよびその効果に加えて、種々の賦形剤の効果、およびそれらの含有量の変化(すなわち、製剤の変化)を製剤上で検討した。
【0157】
最適化された医薬組成物の例及びそれらの効果
[0218]VI. 調製例
[0219]上記のように、本発明の発明者らは、結晶形Aを製造したことに基づいて、結晶形Aの製造をスケールアップし、さらに製剤の配合を探索した。
【0158】
【0159】
[0221]製造方法:
[0222](1)予混合1:API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)を微結晶セルロースと均一に重量百分率で混合した;
[0223](2)予混合2:アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0224](3)造粒:工程(2)で得られた混合物を、造粒率が60メッシュ以上70%になるまで乾式造粒機を用いて造粒した;
[0225](4)混合:工程(3)で得られた粒子にステアリン酸マグネシウムを重量百分率で均一に混合した;
[0226](5)打錠:工程(4)で得られた混合物を、丸パンチ9.5mm、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N~80Nで打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0160】
[0227]実施例VI-2、VI-3、VI-4、VI-5
【0161】
[0228]製造方法:
[0229](1)予混合1:API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)を微結晶セルロースと均一に重量百分率で混合した;
[0230](2)予混合2:アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0231](3)造粒:工程(2)で得られた混合物を圧縮して大シートに圧縮した後、粉砕し、20メッシュの篩で篩分けした;
[0232](4)混合:工程(3)で得られた粒子にステアリン酸マグネシウムを重量百分率で均一に混合した;
[0233](5)打錠:工程(4)で得られた混合物を、丸パンチ9.5mm、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N~80Nで打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0162】
[0234]結果:実施例VI-1~VI-5の製剤の製剤については、ピッキング、スティッキング、粉体付着、不安定錠剤重量、打錠時の錠剤硬度、打錠、その他の現象が高すぎたり、低すぎたりすることがなく、良好な圧縮性が得られる。
【0163】
[0235]以下の実施例は、先の実施例VI-2~VI-5と同一または類似の製造方法を採用し、錠剤当たり375mgの錠剤を得るために異なる配合物を使用する。
【0164】
【0165】
[0237]結果:実施例VI-1と比較して、実施例VI-10及びVI-11の配合物の差は、充填剤の1つであるアルファ化デンプンが炭酸カルシウム又は無水リン酸水素カルシウムで置換されたことであった。実施例VI-6およびVI-7の製剤については、打錠プロセス中にピッキング現象があり、比較的低い圧縮性をもたらす。
【0166】
【0167】
[0239]結果:実施例VI-1と比較して、実施例VI-8及びVI-9の配合物の差異は、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースがポリビニルピロリドン又はヒドロキシエチルセルロースに置き換えられたことである。実施例VI-8及びVI-9の調製製剤については、打錠プロセス中にスティッキング現象が発生し、比較的圧縮率が低下してしまう。
【0168】
【0169】
[0241]結果:実施例VI-1と比較して、実施例VI-10及びVI-11の配合物の主な違いは、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロースの含有量がそれぞれ0.7%及び5.3%に調整されたことである。実施例VI-10の配合物が低すぎる錠剤硬度(20N)を有し、実施例VI-11の配合物が打錠プロセス中に高すぎる錠剤硬度(95N)を有し、結果として比較的低い圧縮性を有していたことが判明した。
【0170】
【0171】
[0243]結果:実施例VI-1と比較して、実施例VI-12、VI-13の製剤の主な違いは、崩壊剤としてクロスカルメロースナトリウムの含有量をそれぞれ0.8%、5.5%に調整したことである。その結果、実施例VI-12及びVI-13の製剤については、打錠工程においてピッキング、スティッキング、粉体付着、不安定錠剤重量、高すぎるまたは低すぎる錠剤硬度、錠剤のキャッピング等の現象がなく、良好な圧縮率を得ることができる。それにもかかわらず、実施例VI-12およびVI-13の製剤は、セクション「VII. 調製物の効果の例」に記載される溶解欠陥をもたらす。
【0172】
【0173】
[0245]結果:実施例VI-1と比較して、実施例VI-14及びVI-15の配合物の主な相違点は、滑沢剤としてのコロイダルシリカの含有量がそれぞれ0.3%及び4.5%に調整されたことである。実施例VI-14およびVI-15の製剤については、打錠プロセス中に錠剤重量が不安定になる現象があり、圧縮性が比較的悪い。
【0174】
【0175】
[0247]実施例VI-1と比較して、実施例VI-16及びVI-17の配合物の主な相違点は、潤滑剤としてステアリン酸マグネシウムの含有量がそれぞれ0.4%及び4.2%に調整されたことである。実施例VI-16およびVI-17の製剤については、打錠プロセス中に粉体の付着、スティッキング、およびピッキングの現象があり、比較的低い圧縮性をもたらす。特に、実施例VI-16の配合物として、打錠プロセス中の粉体付着の現象が
図6に示されている。
【0176】
【0177】
[0249]実施例VI-1と比較して、実施例VI-18、VI-19の製剤の主な違いは、充填剤としての微結晶セルロースとアルファ化デンプンとの重量比をそれぞれ1.3:1、4.4:1に調整したことである。実施例VI-18およびVI-19の製剤については、打錠プロセスにおける錠剤キャッピングの現象があり、比較的低い圧縮性をもたらす。特に、実施例VI-18の配合については、打錠プロセス中の錠剤キャッピングの現象が
図7に示された。
【0178】
[0250]上記医薬組成物の製剤は、実施例VI-1~VI-19に示すように、主に乾式造粒法を含む製造方法により得られたものであり、配合パラメータ(すなわち、成分の種類及び/又は含有量)の変化が錠剤の圧縮率に与える影響も乾式造粒に基づいて決定される。本発明者らは、湿式造粒を含む製造方法により製造された錠剤を探索するために、以下の実施例VI-20-VI-29の結果に示すように、錠剤の圧縮率および/または溶解を湿式造粒することにより製造される調製物の配合パラメータの変化の影響についても検討した。
【0179】
【0180】
[0252]製造方法:
[0253]予混合1:API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)を微結晶セルロースと均一に重量百分率で混合した;
[0254](2)予混合2:D-マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0255](3)造粒:工程(2)で得られた混合物を湿式造粒機で精製水を用いて造粒し、20メッシュの篩で篩い分け、60℃で2時間乾燥した;
[0256](4)混合:工程(3)で得られた粒子にステアリン酸マグネシウムを重量百分率で均一に混合した;
[0257](5)打錠:工程(4)で得られた混合物を、丸パンチ9.5mm、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N-80Nで打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0181】
[0258]結果:実施例VI-20の製剤については、打錠時に、ピッキング、スティッキング、粉体付着、不安定な錠剤重量、高すぎるまたは低すぎる錠剤硬度、錠剤のキャッピングなどの現象がなく、良好な圧縮率が得られる。
【0182】
【0183】
[0260]製造方法:
[0261](1)予混合1:API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル]-1-(2,4,5-トリフルオロベンジル)-1,3,5-トリアジナン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)を微結晶セルロースと均一に重量百分率で混合した;
[0262](2)予混合2:D-マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コロイダルシリカを、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0263](3)造粒:工程(2)で得られた混合物を手動により純水で湿式造粒し、20メッシュの篩で篩い分け、60℃で2時間乾燥した;
[0264](4)混合:工程(3)で得られた粒子にステアリン酸マグネシウムを重量百分率で均一に混合した;
[0265](5)打錠:工程(4)で得られた混合物を、9.5mm丸パンチ、制御平均重量差±3%、錠剤硬度70N-80Nで打錠し、錠剤当たり375mgの錠剤を得た。
【0184】
[0266]結果:実施例VI-21~VI-24の製剤については、打錠時のピッキング、スティッキング、粉体付着、不安定錠剤重量、高すぎるまたは低すぎる錠剤硬度等の現象がなく、良好な圧縮率を実現することができる。
【0185】
[0267]以下の実施例VI-25~VI-29は、実施例VI-21~VI-24と実質的に同一の製造方法、および錠剤当たり375mgの錠剤を得るための異なる配合物を採用した。
【0186】
【0187】
[0269]結果:実施例VI-25の配合では、打錠時に、ピッキング、スティッキング、粉体付着、不安定錠剤重量、高すぎるまたは低すぎる錠剤硬度等の現象がなく、良好な圧縮性を実現することができる。
【0188】
[0270]実施例VI-23及びVI-24と比較して、実施例VI-26及びVI-27の配合物の主な相違点は、滑沢剤としてのコロイダルシリカ及び潤滑剤としてのステアリン酸マグネシウムの含有量がそれぞれ調整されたことである。実施例VI-26およびVI-27の製剤については、打錠プロセス中に粉体の付着、ピッキング、またはスティッキングの現象があり、比較的低い圧縮性をもたらす。
【0189】
【0190】
[0272]結果:実施例VI-21と比較して、実施例VI-28及びVI-29の配合物の主な違いは、充填剤としての微結晶セルロース及びD-マンニトールの重量比が、それぞれ5.3:1及び1:5.3に調整されたことである。実施例VI-28およびVI-29の製剤については、打錠プロセス中に錠剤キャッピングの現象があり、比較的低い圧縮性をもたらす。
【0191】
[00273]湿式造粒を伴う実施例に記載の配合物に関して、配合物中の滑沢剤及び/又は滑剤の含有量及び2つの充填剤の重量比(微結晶セルロース及びD-マンニトール)に加えて、本発明者らは、充填剤の種類、結合剤の種類、及び崩壊剤の含有量を含む他の配合パラメータについても検討した。結果は、錠剤の圧縮性および/または溶解を乾式造粒することを含む製造方法によって製造された調製物の配合パラメータの変化の効果と同様である。すなわち、1)充填剤の種類の変化(例えば、D-マンニトール)が錠剤の圧縮率に影響を及ぼす(例えば、打錠工程中にピッキング現象が起きる);2)結合剤(すなわち、ヒドロキシプロピルセルロース)の種類の変化および/または本発明で定義される範囲を超える結合剤の含有量は、錠剤の圧縮率(例えば、打錠プロセス中に錠剤のスティッキングが発生する現象または錠剤の硬度が低すぎるか、または高すぎる現象が生じる)に影響を及ぼす;3)本発明で定義される範囲を超える崩壊剤の含有量は、錠剤の圧縮率に影響を与えず、錠剤の溶解における欠陥を引き起こす。
【0192】
[0274]本発明の発明者らは、子供向けの投与を容易にするために、子供に適した錠形および投与量を、具体的には実施例VI-30およびVI-31において、探索した。
【0193】
【0194】
[0276]製造方法:
[0277](1)API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル] -1-[(2,4,5-トリフルオロフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)とマンニトールを均一に重量百分率で混合した;
[0278](2)蔗糖及びアスコルビン酸を、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0279](3)工程(2)で得られた混合物を粉砕して微粉末とした;
[0280](4)工程(3)で得られた微粉末を120メッシュの篩で篩い分け、包装材(小袋等)に充填して粉体又は乾燥懸濁液を得た。
【0195】
【0196】
[0282]製造方法:
[0283](1)API(活性成分、すなわち(6E)-6-[(6-クロロ-2-メチル-2H-インダゾール-5-イル)イミノ]-3-[(1-メチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)メチル] -1-[(2,4,5-トリフルオロフェニル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4-ジオンとフマル酸との結晶形A)と微結晶セルロースとを均一に重量百分率で混合する;
[0284](2)蔗糖及びアスコルビン酸を、工程(1)で得られた混合物に重量百分率で添加し、均一に混合した;
[0285](3)工程(2)で得られた混合物を粉砕し、60メッシュの篩で篩分けした
[0286](4)工程(3)で得られたアンダーサイズの混合物を包材(ゼラチンカプセル等)に充填してカプセルを得た。
【0197】
[0287]VII.調製物の効果の例
[0288]1. インビトロ溶解実験
[0289]パドル装置法により、回転速度75rpm、溶解媒体900mlで実験を行った。溶解媒体、すなわち精製水+0.1%CTAB、中の実施例VI-1、VI-12、VI-13、及びVI-20で得られた医薬組成物の溶解曲線、をそれぞれ測定した。5分、10分、15分、30分、45分、60分で、適切な量の溶解液を採取し、濾過し、その後の濾液を試験液として使用してインビトロ溶解を判定した。
【0198】
【0199】
[0291]結論:精製水+0.1%CTABの溶解媒体において、実施例VI-1、VI-20で調製した医薬組成物の解溶出度は、30分以内に80%以上、60分以内に90%以上に達した。すなわち溶解速度が高く、インビトロ溶解が高く、溶解要件を満たすことができた。対照的に、実施例VI-12で調製された医薬組成物の溶解は60分以内に60%に達しなかったが、実施例VI-13で調製された医薬組成物は溶解要件を満たしているが、5分以内に80%以上に達し、10分以内に90%以上に達し、溶解速度は高すぎる。したがって、実施例VI-12およびVI-13の製剤は、打錠中に良好な圧縮性を達成するが、溶解の欠陥をもたらす。
【0200】
[0292]安定性実験
[0293]代表的な実施例VI-1及びVI-20によって調製された医薬組成物を選択し、試験のための内側包装として経口高密度ポリ塩化ビニルバッグを使用して包装した。40℃、±2℃、75%±5%RHの条件下で1ヶ月、3ヶ月の安定性試験室でルーチン加速実験を行い、試験された医薬組成物中の関与物質の含有量への影響を調査した。
【0201】
[0294]結果:実施例VI-1およびVI-20で製造された医薬組成物中の関与物質は加速安定性試験条件で顕著な変化がなく、品質標準の要件を満たし、本開示の医薬組成物が安定であることを示している。
【0202】
[0295]以上に説明した具体例には、本発明の目的、技術的解決及び有益な効果がさらに記載されている。上記は、本発明の特定の実施形態のみであり、本発明の保護範囲を限定することは意図していないことを理解されたい。本発明の思想及び本質内で行われる任意の変更、等価交換、置換、改善等は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物とフマル酸と、を含み、
Cu-Kα線を用いて得られる結晶形のX線粉末回折パターンは、10.94°±0.2°2θ、19.06°±0.2°2θ、23.50°±0.2°2θ及び24.66°±0.2°2θからなる群から選択される少なくとも3つのピークを含むことを特徴とする結晶形。
【外国語明細書】