(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004512
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品、スイッチ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/64 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H01H13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055718
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】西室 敏也
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寛人
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS11K
5G206CS11J
5G206CS11P
5G206FS18J
5G206GS04
5G206GS06
5G206HS17
5G206HW45
5G206HW53
5G206KS15
5G206KS42
5G206KS51
5G206KS56
5G206KS57
(57)【要約】
【課題】スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路が形成可能で、また小型でクリック感が良い電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、基板11上に形成され、且つ、押圧部15bが押下されることに応じて導通する第1接点21及び第2接点22を有するスイッチと、基板11上に形成された第3接点23a及び23bと、第3接点23a及び23bと接続され、且つ、押圧部15bの上方又は周辺に配置される導電性の支持部材16と、押下部17a、及び、押下部17aと支持部材16とを接続する1又は複数の脚部17bを含み、且つ、押下部17aが押下されることに応じて押下部17aを押圧部15bに向けて移動する導電性の弾性部材17とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、
前記基板上に形成された第3接点と、
前記第3接点と接続され、且つ、前記押圧部の上方又は周辺に配置される導電性の支持部材と、
押下部、及び、前記押下部と前記支持部材とを接続する1又は複数の脚部を含み、且つ、前記押下部が押下されることに応じて前記押下部を前記押圧部に向けて移動する導電性の弾性部材と、
を有することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記複数の脚部は、第1の脚部と第2の脚部を含み、前記第1の脚部と前記第2の脚部は、前記押下部を基準として点対称の形状をそれぞれが有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記複数の脚部は、第1の脚部と第2の脚部を含み、前記第1の脚部と前記第2の脚部は、前記押下部を基準として線対称の形状をそれぞれが有する、請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
前記支持部材は、前記押圧部の周囲を囲むロ字状の形状を有する基部、前記基部の両端に接続され、前記基部を支持すると共に前記第3接点に接続される第1支持部及び第2支持部を有する、請求項1~3の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項5】
前記支持部材と前記弾性部材は、一体成形される、請求項1~4の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項6】
上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに前記上面に露出した第3接点が表面に形成され、前記第1接点に接続された第1裏面電極、前記第2接点に接続された第2裏面電極、及び前記第3接点に接続された第3裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、
凸型のドーム形状を有し、端部が前記第2接点に接するように前記スイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が前記第1接点と接触する可動接点と、
前記スイッチ基板に配置され、前記第1接点、前記第2接点及び前記可動接点を囲む貫通孔が形成されたケース部材と、
前記貫通孔を封止し、且つ前記第3接点を封止しない封止シートと、
を有する、ことを特徴とするスイッチ。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、
前記操作部材の他端に押下面が接するように前記筐体の内部に配置された電子部品と、
前記筐体の内部に配置され、前記操作部材の操作に応じた信号が前記電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、
前記電子部品は、
基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、
前記基板上に形成された第3接点と、
前記第3接点と接続され、且つ、前記押圧部の上方又は周辺に配置される導電性の支持部材と、
押下部、及び、前記押下部と前記支持部材とを接続する1又は複数の脚部を含み、且つ、前記押下部が押下されることに応じて前記押下部を前記押圧部に向けて移動する導電性の弾性部材と、
を有する、ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、スイッチ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチに種々の機能を付加した電子部品が知られている。例えば、特許文献1には、上面を覆う防水シートに導電性樹脂を印刷することにより形成された導電層を、基板に形成されたアース用パターンに導通させた電子部品が記載される。特許文献1に記載される電子部品は、防水シートに形成された導電層をアース用パターンに通すことにより、帯電防止用のアース電極を防水シートの上部に容易に形成することができる。
【0003】
また、携帯機器に搭載され、スイッチング機能を有する電子部品は、スイッチング機能以外の種々の機能を搭載すると共に、小型化が望まれている。例えば、特許文献2に記載される入力装置では、指の接触に応じた静電容量の変化、及び指による押下動作の双方を検出可能な検出回路にスイッチが接続されることで、押下動作の検出に加えて、指がスイッチに接触したことを検出することができる。特許文献2に記載される入力装置は、スイッチの固定接点及び可動接点を静電容量検出用コンデンサの電極として用いることで、スイッチの大きさを変更することなく、押下動作に加えて指がスイッチに接触したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-226995号公報
【特許文献2】特開2010-123367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、スイッチを介して人体から電流を取得して、心電図(electrocardiogram、ECG)等の生体情報を取得する機能を実現するウエアラブルデバイス等の携帯端末が検討されている。特許文献1に記載される電子部品を携帯端末に搭載することで、特許文献1に記載される電子部品の防水シートに形成された導電層を介して人体から電流を取得することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される電子部品では、導電層は、防止シートに形成されるために、長年に亘って押下動作が繰り返されることで、防水シートから剥離して脱落するおそれがある。導電層が防水シートから脱落すると、人体から供給される電流が流れる経路が遮断され、携帯端末は、生体情報を取得できなくなる。また、導電層に導電性樹脂を使うとき、印刷された導電性樹脂は、電気的な抵抗値が金属より高くなることから、生体情報の検出精度が落ちるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路が形成可能な、また小型でクリック感が良い電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子部品は、基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、基板上に形成された第3接点と、第3接点と接続され、且つ、押圧部の上方又は周辺に配置される導電性の支持部材と、押下部、及び、押下部と支持部材とを接続する1又は複数の脚部を含み、且つ、押下部が押下されることに応じて押下部を押圧部に向けて移動する導電性の弾性部材とを有する。
【0009】
さらに、本発明に係る電子部品では、複数の脚部は、第1の脚部と第2の脚部を含み、第1の脚部と第2の脚部は、押下部を基準として点対称の形状をそれぞれが有することが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る電子部品では、複数の脚部は、第1の脚部と第2の脚部を含み、第1の脚部と第2の脚部は、押下部を基準として線対称の形状をそれぞれが有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る電子部品では、支持部材は、押圧部の周囲を囲むロ字状の形状を有する基部、基部の両端に接続され、基部を支持すると共に第3接点に接続される第1支持部及び第2支持部を有することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る電子部品では、支持部材と弾性部材は、一体成形されることが好ましい。
【0013】
また、本発明に係るスイッチは、上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに上面に露出した第3接点が表面に形成され、第1接点に接続された第1裏面電極、第2接点に接続された第2裏面電極、及び第3接点に接続された第3裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、凸型のドーム形状を有し、端部が第2接点に接するようにスイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が第1接点と接触する可動接点と、スイッチ基板に配置され、第1接点、第2接点及び可動接点を囲む貫通孔が形成されたケース部材と、貫通孔を封止し、且つ第3接点を封止しない封止シートとを有する。
【0014】
また、本発明に係る電子機器は、筐体と、筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、操作部材の他端に押下面が接するように筐体の内部に配置された電子部品と、筐体の内部に配置され、操作部材の操作に応じた信号が電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、電子部品は、基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、基板上に形成された第3接点と、第3接点と接続され、且つ、押圧部の上方又は周辺に配置される導電性の支持部材と、押下部、及び、押下部と支持部材とを接続する1又は複数の脚部を含み、且つ、押下部が押下されることに応じて押下部を押圧部に向けて移動する導電性の弾性部材とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子部品は、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路を形成することができ、また小型でクリック感を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る電子部品を有する電子機器の正面図であり、(b)は(a)に示す電子機器の背面図である。
【
図2】
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図である。
【
図3】(a)は
図1(a)に示す電子部品の斜視図であり、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。
【
図4】
図1(a)に示す電子機器の分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図4(a)に示すスイッチ基板の平面図であり、(b)は
図4(a)に示すスイッチ基板の底面図である。
【
図7】(a)は
図3(a)に示す支持部材及び弾性部材の平面図であり、(b)は
図3(a)に示す支持部材及び弾性部材の正面図であり、(c)は
図3(a)に示す支持部材及び弾性部材側面図である。
【
図8】操作者の左手首に装着された電子機器を示す図である。
【
図9】操作者の左手首に装着された電子機器の操作部材に操作者の右手の人差し指が接触することにより形成される電流回路の回路図である。
【
図10】(a)は第2実施形態に係る電子部品の斜視図であり、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図である。
【
図11】
図10(a)に示すに示す電子機器の分解斜視図である。
【
図12】(a)は
図10(a)に示す支持部材及び弾性部材の平面図であり、(b)は
図10(a)に示す支持部材及び弾性部材の正面図であり、(c)は
図10(a)に示す支持部材及び弾性部材側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子部品、スイッチ及び電子機器について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0018】
(実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図1(a)は第1実施形態に係る電子部品が搭載される電子機器の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す電子機器の背面図である。
【0019】
電子機器100は、筐体101と、操作部材102と、タッチパネル103と、裏面電極104と、制御装置110と、電子部品1とを有するスマートウォッチであり、電子機器100を操作する操作者の手首にベルト120によって装着される。
【0020】
筐体101は、ポリカーボネート等の合成樹脂及びセラミックス等の高硬度且つ腐食性が低い素材で形成され、操作部材102、制御装置110及び電子部品1等の電子機器100の部品を収容する。操作部材102は、高硬度の鋼材で形成され、一端が筐体101の外側に突出し、他端が電子部品1に接するように配置され、操作者によって接触及び押下される。
【0021】
タッチパネル103は、筐体101の表面に形成された略矩形状の開口部に配置される。タッチパネル103は、サファイヤガラス及びミネラルガラス等の高硬度且つ透明な材料で形成された風防によって保護される。タッチパネル103は、操作者の操作に応じた入力情報を制御装置110に出力すると共に、制御装置110から出力された出力情報に対応する画像を表示する。
【0022】
裏面電極104は、金属等の導電性部材で形成され、筐体101の表面に形成された円形状の開口部に配置される。裏面電極104は、制御装置110に電気的に接続され、操作者が電子機器100を手首に装着したときに制御装置110と操作者の手首との間の電流経路を形成する。
【0023】
制御装置110は、例えば中央演算装置(Central Processing Unit、CPU)等の半導体回路であり、筐体101の内部に配置される。制御装置110は、操作部材102及びタッチパネル103から入力される入力情報を演算処理して、タッチパネル103に表示される画像に対応する出力情報を生成し、生成した出力情報をタッチパネル103に出力する。操作部材102から入力される入力情報は、電子部品1を介して制御装置110に入力される。
【0024】
電子部品1は、筐体101の内部に配置され、制御装置110に電気的に接続され、操作者の操作に応じた信号を制御装置110に出力する。電子部品1は、操作者が指で操作部材102に接触したときに、制御装置110と操作者の指との間の電流経路を形成し、ECG等の生体情報を示す生体信号が入力され、入力された生体信号を制御装置110に出力する。また、電子部品1は、操作者が指で操作部材102を押下したときに、操作部材102が押下されたことを示すオン信号を制御装置110に出力する。
【0025】
図2は、
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図である。
【0026】
電子機器100は、バネ部材105と、収容部材106と、座金107と、基板108とを更に有する。バネ部材105及び収容部材106は、操作部材102と共に開口部109の近傍に移動可能に配置される。操作部材102は、リューズ121と、巻真122とを有する。リューズ121は、略円柱状の形状を有し、操作者に操作可能なように上面が筐体101の外部に突出して配置される。巻真122は、径がリューズ121の径より短く且つ高さがリューズ121の高さよりも長い略円形状の形状を有し、リューズ121の下面から下方に延伸する。
【0027】
バネ部材105は、つる巻きバネ及びコイルバネとも称される弾性部材であり、一端がリューズ121の下面に接し且つ他端が収容部材106に接するように収容部材106に収容される。また、バネ部材105は、巻真122が貫通する。バネ部材105は、操作者によってリューズ121の上面が押下されることに応じて圧縮され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0028】
収容部材106は、エポキシ樹脂等の合成樹脂により形成され、操作部材102及びバネ部材105を収容する。収容部材106は、巻真122が貫通する貫通孔が形成されると共に、リューズ121を保持する底面及びリューズ121を保持する底面と貫通孔との間に配置され、バネ部材105を保持する底面を有する。
【0029】
座金107は、バネ座金であり、収容部材106と電子部品1との間に配置されると共に、巻真122が貫通する。座金107は、操作者がよってリューズ121の上面が押下されることに応じて変形され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0030】
基板108は、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits、FPC)であり、第1基板電極181と、第2基板電極182と、第3基板電極183と、第4基板電極184とを有し、電子部品1と制御装置110との間を電気的に接続する。第1基板電極181、第2基板電極182、第3基板電極183及び第4基板電極184は、電子部品1の外縁に形成される接続電極に半田付けすることによって接続される。
【0031】
(第1実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図3(a)は電子部品1の斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)のB-B線に沿う断面図であり、
図4は電子部品1の分解斜視図である。
【0032】
電子部品1は、スイッチ10と、一体成形される支持部材16及び弾性部材17とを有し、操作者による操作部材102の押下に応じてオンする。また、電子部品1は、操作者が操作部材102に接触することに応じて、操作者から電流を取得して、ECG等の生体情報を取得する。
【0033】
スイッチ10は、スイッチ基板11と、枠材12と、可動接点13と、押し子14と、封止シート15とを有し、上面が押下されることに応じて可動接点13が反転動作してオンし、上面が押下されなくなるとオフする。
【0034】
図5(a)はスイッチ基板11の平面図であり、
図5(b)はスイッチ基板11の底面図である。
【0035】
スイッチ基板11は、基材20と、第1接点21と、第2接点22と、第3接点23a及び23bと、第1裏面電極24と、第2裏面電極25と、第3裏面電極26a及び26bとを有する。基材20は、エポキシ樹脂等の合成樹脂で形成され、略矩形の平面形状を有し、一対の長辺の端部の近傍に半円状の平面形状を有する凹部27a、27b、27c及び27dが形成される。基材20の表面20aには、第1接点21、第2接点22並びに第3接点23a及び23bが配置され、基材20の裏面20bには、第1裏面電極24、第2裏面電極25及び第3裏面電極26a及び26bが配置される。
【0036】
第1接点21は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の中央部に配置される導体である。第2接点22は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面に第1接点21を囲むように配置される略U字状の平面形状を有する導体である。第2接点22は可動接点13の外縁が接するように配置され、第1接点21は可動接点13が反転動作したときに可動接点13の頂部が接する。
【0037】
第3接点23a及び23bは、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の長手方向の端部の近傍に配置される基材20の矩形状の一対の導体である。第3接点23a及び23bは、弾性部材17の下端に半田により接続可能なように配置される。
【0038】
第1裏面電極24は、貫通孔28aに充填された導体を介して第1接点21と電気的に接続される。第1裏面電極24は、凹部27aの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0039】
第2裏面電極25は、貫通孔28bに充填された導体を介して第2接点22と電気的に接続される。第2裏面電極25は、凹部27bの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0040】
第3裏面電極26a及び26bは、貫通孔28c及び28dに充填された導体を介して第3接点23a及び23bと電気的に接続される。第3裏面電極26a及び26bは、凹部27c及び27dの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0041】
枠材12は、ポリイミド等の樹脂材料で形成され、第2接点22の周囲を囲う枠状の外形を有するケース部材である。枠材12は、貫通孔12aが形成される。貫通孔12aは、第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14が配置される収容部をスイッチ基板11の表面20aと共に形成する。
【0042】
可動接点13は、第1可動接点13aと、第2可動接点13bと、第3可動接点13cと、第4可動接点13dとを有する。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dのそれぞれは、薄くドーム状に形成されたステンレス鋼及び銅等の弾性を有する導電性部材により形成される。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dのそれぞれは、第1接点21と絶縁し、第2接点22と導通するように重畳して配置される。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dは、対向する辺を有する俵型形状となるように、凸型のドーム状の板バネ部材を切断して形成される。
【0043】
押し子14は、円柱形状のポリイミド等の樹脂材料で形成され、第4可動接点13dの中央部の上方に配置される押下部材である。押し子14を配置することで、スイッチ10の押下操作の操作性が向上する。
【0044】
封止シート15は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、スイッチ基板11の表面20a及び貫通孔12aによって形成される収容部に収容される第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14を保護する。封止シート15は、スイッチ基板11及び枠材12によって形成された収容部を覆うように枠材12の表面に接着されることによって枠材12に固定される。
【0045】
封止シート15は、傾斜部15aと、押圧部15bと、外縁部15cとを有する。傾斜部15aは貫通孔12aから突出する第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dの外縁を覆うように傾斜する。押圧部15bは、傾斜部15aに囲まれた頂部であり、押し子14を覆うように平面を形成する。外縁部15cは、枠材12の表面に接着される。
【0046】
【0047】
スイッチ10は、第1入力端子IN1と、第2入力端子IN2と、第1出力端子OUT1と、第2出力端子OUT2と、第3出力端子OUT3と、第4出力端子OUT4とを有する。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、第3接点23a及び23bに対応する。第1出力端子OUT1及び第2出力端子OUT2は凹部27a及び27bに配置される接続電極に対応し、第3出力端子OUT3及び第4出力端子OUT4は凹部27c及び27dに配置される接続電極に対応する。
【0048】
スイッチ10は、押圧部15bが押下されることに応じて第1接点21に可動接点13が接することに応じてオンして、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間が導通される。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、支持部材16の下端が接触するように配置されることで、支持部材16及び弾性部材17を介して操作部材102に接触する操作者の指と制御装置110との間の電流回路を形成する。
【0049】
図7(a)は支持部材16及び弾性部材17の平面図であり、
図7(b)は支持部材16及び弾性部材17の正面図であり、
図7(c)は支持部材16及び弾性部材17の側面図である。
【0050】
支持部材16及び弾性部材17は、りん青銅などのバネ性の高い材料に、導電性の高い金、銀、パラジウムなどのメッキをかけた部材からなり、一体成形される。一体成形された支持部材16及び弾性部材17は、押圧部15bの上方を覆うように配置されると共に、第3接点23a及び23bに電気的に接続される。また、支持部材16及び弾性部材17は、押下部17aの中心点を通る支持部材の長手方向に平行な直線を軸とする線対称の形状を有する。
【0051】
支持部材16は、基部16aと、第1支持部16bと、第2支持部16cとを有する。基部16aは、弾性部材17の押圧部15bの周囲を囲む枠状、すなわちロ字状の形状を有し、短辺の一方の内壁に弾性部材17が接続される。第1支持部16b及び第2支持部16cは、基部16aの一対の短辺、すなわち基部16aの両端に接続され、基部16aを支持すると共に第3接点23a及び23bのそれぞれに接続される。第1支持部16b及び第2支持部16cの底面は、中央に凹部が形成される。第1支持部16b及び第2支持部16cの底面の中央に凹部が形成されることで、第1支持部16b及び第2支持部16cを第3電極23a及び23bに半田付けするときに、接合面積が増加して接合強度が高くなる。
【0052】
弾性部材17は、押下部17aと、脚部17bとを有する。押下部17aは、矩形状の平面形状を有し、基部16aに囲まれる開口部の略中央部に配置される。脚部17bは、押下部17aの一辺に一端が接続されると共に、基部16aの短辺の一方に他端が接続される。弾性部材17は、押下部17aが操作部材102によって押下されることに応じて押下部17aを押圧部15bに向けて移動する。なお、脚部17bの幅は、押下部17aの幅よりも狭いが、実施形態に係る電子部品では、脚部の幅は、押下部の幅と同一であってもよい。
【0053】
電子部品1は、支持部材16の第1支持部16b及び第2支持部16cの先端をスイッチ10の第3接点23a及び23bに半田付けすることによって製造される。
【0054】
図8は、操作者の左手首に装着された電子機器100を示す図である。
【0055】
電子機器100は、操作者の左手首200aにベルト120によって装着される。操作者の右手の人差し指200bが操作部材102に接触することによって、操作部材102と電子部品1とが接触し、操作者の人体に流れる電流が流れる電流回路が形成される。
【0056】
図9は、操作者の左手首200aに装着された電子機器100の操作部材102に操作者の右手の人差し指200bが接触することにより形成される電流回路の回路図である。
【0057】
電子機器100は、プルアップ抵抗111と、バッファ112と、AD変換回路113とを更に有する。プルアップ抵抗111は、一端に電源電圧Vddが供給され、他端に裏面電極104とバッファ112との間に接続される。プルアップ抵抗111は、形成される電流回路に流れる電流を、操作者200の電位を示す電圧に変換する。バッファ112は、操作者200の電位を示す電圧を増幅してAD変換回路113に出力する。AD変換回路113は、バッファ112から入力される電圧をデジタル信号に変換して制御装置110に出力する。
【0058】
電子機器100が操作者200の左手首200aに装着されることで、操作者200の左手首200aと裏面電極104とが接触して、操作者200の左手首200aは、プルアップ抵抗111及びバッファ112に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作者の右手の人差し指200bは、操作部材102のリューズ121に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作部材102の巻真122は、電子部品1の支持部材16に電気的に接続される。
【0059】
(第1実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の支持部材16及び弾性部材17によって電流経路が形成される。電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の支持部材16及び弾性部材17を介して電流回路を形成するので、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路を形成することができる。
【0060】
また、電子部品1では、弾性部材17は、支持部材16及び弾性部材17は一体成形されるので、部品点数を減らすことで、製造コストを低減することができる。
【0061】
また、電子部品1では、第3接点23a及び23bが枠材12が配置されない領域に配置されるので、支持部材16の第1支持部16b及び第2支持部16cは、スイッチ基板11の第3接点23a及び23bとの半田付け作業が容易である。
【0062】
(第2実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図10(a)は第2実施形態に係る電子部品の斜視図であり、
図10(b)は
図10(a)のC-C線に沿う断面図であり、
図11は
図10(a)に示す電子部品1の分解斜視図である。
【0063】
電子部品2は、スイッチ40と、一体成形される支持部材46及び弾性部材47とを有し、電子部品1と同様に電子機器100に搭載可能である。電子機器100操作者による操作部材102の押下に応じてオンすると共に、操作者が操作部材102に接触することに応じて、操作者から電流を取得して、ECG等の生体情報を取得する。
【0064】
スイッチ40は、スイッチ基板41及び可動接点43をスイッチ基板11及び可動接点13の代わりに有することがスイッチ10と相違する。スイッチ基板41及び可動接点43以外のスイッチ40の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたスイッチ10の構成の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0065】
スイッチ基板41は、第2接点52を第2接点22の代わりに有することがスイッチ基板41と相違する。第2接点52は、平面形状が第2接点22と相違する。第2接点52の平面形状以外のスイッチ基板41の構成及び機能は、スイッチ基板11の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0066】
可動接点43は、第4可動接点13dを有さないことが可動接点13と相違する。第4可動接点13dを有さないこと以外の可動接点43の構成及び機能は、可動接点13の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は書略する。
【0067】
図12(a)は支持部材46及び弾性部材47の平面図であり、
図12(b)は支持部材46及び弾性部材47の正面図であり、
図12(c)は支持部材46及び弾性部材47の側面図である。
【0068】
支持部材46及び弾性部材47は、支持部材16及び弾性部材17と同様に、りん青銅などのバネ性の高い材料に、導電性の高い金、銀、パラジウムなどのメッキをかけた部材からなり、一体成形される。支持部材46及び弾性部材47は、支持部材16及び弾性部材17と同様に、押圧部15bの上方を覆うように配置されると共に、第3接点23a及び23bに電気的に接続される。また、支持部材46及び弾性部材47は、押下部47aの中心点を通る支持部材の短手方向に平行な直線を軸とする線対称の形状を有する。
【0069】
支持部材46は、基部46aと、第1支持部46bと、第2支持部46cとを有する。基部46aは、基部16aと同様に、弾性部材47の押圧部15bの周囲を囲む枠状、すなわちロ字状の形状を有し、長辺の一方の内壁に弾性部材47が接続される。第1支持部46b及び第2支持部46cは、第1支持部16b及び第2支持部16cと同様に、基部16aの両端に接続され、基部46aを支持すると共に第3接点23a及び23bのそれぞれに接続される。
【0070】
弾性部材47は、押下部47aと、第1脚部47bと、第2脚部47cとを有し、略U字型の平面形状を有する。押下部47aは、長辺の両端に第1脚部47b及び第2脚部47cのそれぞれが接続され、基部46aに囲まれる開口部の略中央部に配置される。押下部47aは、第1脚部47b及び第2脚部47cの延伸方向に突出する突出部を有する。第1脚部47b及び第2脚部47cのそれぞれは、基部46aの長辺の一方に他端が接続される。弾性部材47は、押下部47aが操作部材102によって押下されることに応じて押下部47aを押圧部15bに向けて移動する。
【0071】
電子部品2は、支持部材46の第1支持部46b及び第2支持部46cの先端をスイッチ10の第3接点23a及び23bに半田付けすることによって製造される。
【0072】
(実施形態に係る電子部品の変形例)
電子部品1及び2では、支持部材は、押下面の基準とする、すなわち押下面の中心点を通る直線を軸とする線対称の形状を有するが、実施形態に係る電子部品では、支持部材は、押下面の中心点を基準とする点対称の形状を有してもよい。
【0073】
また、電子部品1及び2では、支持部材及び弾性部材は、一体成形されるが、実施形態に係る電子部品では、支持部材及び弾性部材は、別個に形成され、接続部材によって接続されて一体化されてよい。
【0074】
また、電子部品1及び2は、可動接点の頂部に配置される押し子を有するが、実施形態に係る電子部品は、押し子を有さなくてもよい。実施形態に係る電子部品は、押し子を有さないとき、押下部材の押下面の裏面の中央部に凸部が形成される。
【0075】
また、電子部品1及び2では、スイッチは、複数の可動接点を有するが、実施形態に係る電子部品では、スイッチは、単一の可動接点を有してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1、2 電子部品
10、40 スイッチ
16、46 支持部材
17、47 弾性部材
21 第1接点
22 第2接点
23a、23b 第3接点
100 電子機器
102 操作部材
110 制御装置