(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004513
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子部品、スイッチ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 13/64 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H01H13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021055779
(22)【出願日】2021-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】西室 敏也
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寛人
【テーマコード(参考)】
5G206
【Fターム(参考)】
5G206AS11K
5G206CS01J
5G206CS01P
5G206FS12J
5G206GS04
5G206GS06
5G206HS17
5G206HW45
5G206HW53
5G206KS15
5G206KS42
5G206KS51
5G206KS56
5G206KS57
(57)【要約】
【課題】スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路が形成可能で、また小型でクリック感が良い電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1は、基板11上に形成され、且つ、押圧部15bが押下されることに応じて導通する第1接点21及び第2接点22を有するスイッチ10と、基板11上に形成された接触部23a及び23bと、押下面16aを有し、且つ、押圧部15bの上方に配置される導電性の押下部材16と、押下部材16と接続され、弾性及び導電性を有し、且つ、押下面16aが押下されることに応じて押下部材16を押圧部15bに向けて移動する脚部材17a及び17bとを有し、脚部材17a及び17bは、押圧部15b側から基板11の端部側に向かって延伸する第1延伸部31、及び基板11の端部側から押圧部15b側に向かって延伸する第2延伸部32を含み且つ第2延伸部32が接触部に接触する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、
基板上に形成された接触部と、
押下面を有し、且つ、前記押圧部の上方に配置される導電性の押下部材と、
前記押下部材と接続され、弾性及び導電性を有し、且つ、前記押下面が押下されることに応じて前記押下部材を前記押圧部に向けて移動する脚部材と、を有し、
前記脚部材は、前記押圧部側から前記基板の端部側に向かって延伸する第1延伸部、及び、前記基板の前記端部側から前記押圧部側に向かって延伸する第2延伸部を含み、且つ、前記第2延伸部が前記接触部に接触する、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記基板は矩形形状を有し、前記基板の前記端部は、前記押圧部から最も離れた1つの辺である、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記脚部材は、前記1つの辺に沿って延伸し、前記第1延伸部と前記第2延伸部とを接続する第3延伸部を更に有する、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第3延伸部は、前記基板の前記端部に重畳するように配置される、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記第3延伸部は、前記第2延伸部と共に逆S字型の平面形状を形成する、請求項3又は4に記載の電子部品。
【請求項6】
前記接触部は、前記第2延伸部に電気的に接続される第3接点である、請求項1~5の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第2延伸部は、前記接合部に接触するように配置される凹部を有し、
前記接触部は、前記凹部の底面に接合される、請求項1~4の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第2延伸部は、先端に電極を更に有する、請求項7に記載の電子部品。
【請求項9】
前記電子部品は前記脚部材を複数有し、前記複数の脚部材は、前記押下面を基準として点対称の形状をそれぞれが有する、請求項1~8の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項10】
前記電子部品は前記脚部材を複数有し、前記複数の脚部材は、前記押下面を基準として線対称の形状をそれぞれが有する、請求項1~8の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項11】
前記押下部材と前記脚部材は、一体的に形成されている、請求項1~10の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項12】
上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに前記上面に露出した接触部が表面に形成され、前記第1接点に接続された第1裏面電極、及び前記第2接点に接続された第2裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、
凸型のドーム形状を有し、端部が前記第2接点に接するように前記スイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が前記第1接点と接触する可動接点と、
前記スイッチ基板に配置され、前記第1接点、前記第2接点及び前記可動接点を囲む第1貫通孔、並びに前記接触部を囲む切欠き及び第2貫通孔に何れか一方が形成されたケース部材と、
前記第1貫通孔を封止し、且つ前記切欠き及び第2貫通孔に何れか一方を封止しない封止シートと、
を有する、ことを特徴とするスイッチ。
【請求項13】
筐体と、
前記筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、
前記操作部材の他端に押下面が接するように前記筐体の内部に配置された電子部品と、
前記筐体の内部に配置され、前記操作部材の操作に応じた信号が前記電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、
前記電子部品は、
基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、
前記基板上に形成された接触部と、
押下面を有し、且つ、前記押圧部の上方に配置される導電性の押下部材と、
前記押下部材と接続され、弾性及び導電性を有し、且つ、前記押下面が押下されることに応じて前記押下部材を前記押圧部に向けて移動する脚部材と、を有し、
前記脚部材は、前記押圧部側から前記基板の端部側に向かって延伸する第1延伸部、及び、前記基板の前記端部側から前記押圧部側に向かって延伸する第2延伸部を含み、且つ、前記第2延伸部が前記接触部に接触する、
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、スイッチ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチに種々の機能を付加した電子部品が知られている。例えば、特許文献1には、上面を覆う防水シートに導電性樹脂を印刷することにより形成された導電層を、基板に形成されたアース用パターンに導通させた電子部品が記載される。特許文献1に記載される電子部品は、防水シートに形成された導電層をアース用パターンに通すことにより、帯電防止用のアース電極を防水シートの上部に容易に形成することができる。
【0003】
また、携帯機器に搭載され、スイッチング機能を有する電子部品は、スイッチング機能以外の種々の機能を搭載すると共に、小型化が望まれている。例えば、特許文献2に記載される入力装置では、指の接触に応じた静電容量の変化、及び指による押下動作の双方を検出可能な検出回路にスイッチが接続されることで、押下動作の検出に加えて、指がスイッチに接触したことを検出することができる。特許文献2に記載される入力装置は、スイッチの固定接点及び可動接点を静電容量検出用コンデンサの電極として用いることで、スイッチの大きさを変更することなく、押下動作に加えて指がスイッチに接触したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-226995号公報
【特許文献2】特開2010-123367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、スイッチを介して人体から電流を取得して、心電図(electrocardiogram、ECG)等の生体情報を取得する機能を実現するウエアラブルデバイス等の携帯端末が検討されている。特許文献1に記載される電子部品を携帯端末に搭載することで、特許文献1に記載される電子部品の防水シートに形成された導電層を介して人体から電流を取得することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される電子部品では、導電層は、防止シートに形成されるために、長年に亘って押下動作が繰り返されることで、防水シートから剥離して脱落するおそれがある。導電層が防水シートから脱落すると、人体から供給される電流が流れる経路が遮断され、携帯端末は、生体情報を取得できなくなる。また、導電層に導電性樹脂を使うとき、印刷された導電性樹脂は、電気的な抵抗値が金属より高くなることから、生体情報の検出精度が落ちるおそれがあった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するものであり、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路が形成可能な、また小型でクリック感が良い電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子部品は、基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、基板上に形成された接触部と、押下面を有し、且つ、押圧部の上方に配置される導電性の押下部材と、押下部材と接続され、弾性及び導電性を有し、且つ、押下面が押下されることに応じて押下部材を押圧部に向けて移動する脚部材とを有し、脚部材は、押圧部側から基板の端部側に向かって延伸する第1延伸部、及び、基板の端部側から押圧部側に向かって延伸する第2延伸部を含み、且つ、第2延伸部が接触部に接触する。
【0009】
さらに、本発明に係る電子部品では、基板は矩形形状を有し、基板の端部は、押圧部から最も離れた1つの辺であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る電子部品では、脚部材は、1つの辺に沿って延伸し、第1延伸部と第2延伸部とを接続する第3延伸部を更に有することが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係る電子部品では、第3延伸部は、基板の端部に重畳するように配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係る電子部品では、第3延伸部は、第2延伸部と共に逆S字型の平面形状を形成することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係る電子部品では、接触部は、第2延伸部に電気的に接続される第3接点であることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係る電子部品では、第2延伸部は、接合部に接触するように配置される凹部を有し、
接触部は、凹部の底面に接合されることが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係る電子部品では、第2延伸部は、先端に電極を更に有することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係る電子部品では、電子部品は脚部材を複数有し、複数の脚部材は、押下面を基準として点対称の形状をそれぞれが有することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係る電子部品では、電子部品は脚部材を複数有し、複数の脚部材は、押下面を基準として線対称の形状をそれぞれが有することが好ましい。
【0018】
さらに、本発明に係る電子部品では、押下部材と脚部材は、一体的に形成されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係るスイッチは、上面が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点、並びに上面に露出した第3接点が表面に形成され、第1接点に接続された第1裏面電極、第2接点に接続された第2裏面電極、及び第3接点に接続された第3裏面電極が裏面に形成されたスイッチ基板と、凸型のドーム形状を有し、端部が第2接点に接するようにスイッチ基板の上面に配置され、押下されたときに中央部が第1接点と接触する可動接点と、スイッチ基板に配置され、第1接点、第2接点及び可動接点を囲む第1貫通孔、並びに第3接点を囲む切欠き及び第2貫通孔に何れか一方が形成されたケース部材と、第1貫通孔を封止し、且つ切欠き及び第2貫通孔に何れか一方を封止しない封止シートとを有する。
【0020】
また、本発明に係る電子機器は、筐体と、筐体から一端が突出した導電性の操作部材と、操作部材の他端に押下面が接するように筐体の内部に配置された電子部品と、筐体の内部に配置され、操作部材の操作に応じた信号が電子部品を介して入力される制御装置と、を有し、電子部品は、基板上に形成され、且つ、押圧部が押下されることに応じて導通する第1接点及び第2接点を有するスイッチと、基板上に形成された第3接点と、押下面を有し、且つ、押圧部の上方に配置される導電性の押下部材と、押下部材と接続され、弾性及び導電性を有し、且つ、押下面が押下されることに応じて押下部材を押圧部に向けて移動する脚部材とを有し、脚部材は、押圧部側から基板の端部側に向かって延伸する第1延伸部、及び、基板の端部側から押圧部側に向かって延伸する第2延伸部を含み、且つ、第2延伸部が第3接点と接続する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子部品は、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低く、検出精度の高い電流経路を形成することができ、また小型でクリック感を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は第1実施形態に係る電子部品を有する電子機器の正面図であり、(b)は(a)に示す電子機器の背面図である。
【
図2】は
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図である。
【
図3】(a)は
図1(a)に示す電子部品の斜視図であり、(b)は(a)のB-B線に沿う断面図である。
【
図4】
図1(a)に示す電子機器の分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図4(a)に示すスイッチ基板の平面図であり、(b)は
図4(a)に示すスイッチ基板の底面図である。
【
図7】(a)は
図3(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の平面図であり、(b)は
図3(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の正面図であり、(c)は
図3(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の側面図である。
【
図8】操作者の左手首に装着された電子機器を示す図である。
【
図9】操作者の左手首に装着された電子機器の操作部材に操作者の右手の人差し指が接触することにより形成される電流回路の回路図である。
【
図10】(a)は第2実施形態に係る電子部品の斜視図であり、(b)は(a)のC-C線に沿う断面図である。
【
図11】
図10(a)に示すに示す電子機器の分解斜視図である。
【
図12】(a)は
図11(a)に示すスイッチ基板の平面図であり、(b)は
図11(a)に示すスイッチ基板の底面図である。
【
図13】(a)は
図10(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の平面図であり、(b)は
図10(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の正面図であり、(c)は
図10(a)に示す押下部材及び一対の脚部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子部品、スイッチ及び電子機器について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0024】
(実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図1(a)は第1実施形態に係る電子部品が搭載される電子機器の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)に示す電子機器の背面図である。
【0025】
電子機器100は、筐体101と、操作部材102と、タッチパネル103と、裏面電極104と、制御装置110と、電子部品1とを有するスマートウォッチであり、電子機器100を操作する操作者の手首にベルト120によって装着される。
【0026】
筐体101は、ポリカーボネート等の合成樹脂及びセラミックス等の高硬度且つ腐食性が低い素材で形成され、操作部材102、制御装置110及び電子部品1等の電子機器100の部品を収容する。操作部材102は、高硬度の鋼材で形成され、一端が筐体101の外側に突出し、他端が電子部品1に接するように配置され、操作者によって接触及び押下される。
【0027】
タッチパネル103は、筐体101の表面に形成された略矩形状の開口部に配置される。タッチパネル103は、サファイヤガラス及びミネラルガラス等の高硬度且つ透明な材料で形成された風防によって保護される。タッチパネル103は、操作者の操作に応じた入力情報を制御装置110に出力すると共に、制御装置110から出力された出力情報に対応する画像を表示する。
【0028】
裏面電極104は、金属等の導電性部材で形成され、筐体101の表面に形成された円形状の開口部に配置される。裏面電極104は、制御装置110に電気的に接続され、操作者が電子機器100を手首に装着したときに制御装置110と操作者の手首との間の電流経路を形成する。
【0029】
制御装置110は、例えば中央演算装置(Central Processing Unit、CPU)等の半導体回路であり、筐体101の内部に配置される。制御装置110は、操作部材102及びタッチパネル103から入力される入力情報を演算処理して、タッチパネル103に表示される画像に対応する出力情報を生成し、生成した出力情報をタッチパネル103に出力する。操作部材102から入力される入力情報は、電子部品1を介して制御装置110に入力される。
【0030】
電子部品1は、筐体101の内部に配置され、制御装置110に電気的に接続され、操作者の操作に応じた信号を制御装置110に出力する。電子部品1は、操作者が指で操作部材102に接触したときに、制御装置110と操作者の指との間の電流経路を形成し、ECG等の生体情報を示す生体信号が入力され、入力された生体信号を制御装置110に出力する。また、電子部品1は、操作者が指で操作部材102を押下したときに、操作部材102が押下されたことを示すオン信号を制御装置110に出力する。
【0031】
図2は、
図1(a)において一点鎖線Aで示す部分の分解斜視図である。
【0032】
電子機器100は、バネ部材105と、収容部材106と、座金107と、基板108とを更に有する。バネ部材105及び収容部材106は、操作部材102と共に開口部109の近傍に移動可能に配置される。操作部材102は、リューズ121と、巻真122とを有する。リューズ121は、略円柱状の形状を有し、操作者に操作可能なように上面が筐体101の外部に突出して配置される。巻真122は、径がリューズ121の径より短く且つ高さがリューズ121の高さよりも長い略円形状の形状を有し、リューズ121の下面から下方に延伸する。
【0033】
バネ部材105は、つる巻きバネ及びコイルバネとも称される弾性部材であり、一端がリューズ121の下面に接し且つ他端が収容部材106に接するように収容部材106に収容される。また、バネ部材105は、巻真122が貫通する。バネ部材105は、操作者によってリューズ121の上面が押下されることに応じて圧縮され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0034】
収容部材106は、エポキシ樹脂等の合成樹脂により形成され、操作部材102及びバネ部材105を収容する。収容部材106は、巻真122が貫通する貫通孔が形成されると共に、リューズ121を保持する底面及びリューズ121を保持する底面と貫通孔との間に配置され、バネ部材105を保持する底面を有する。
【0035】
座金107は、バネ座金であり、収容部材106と電子部品1との間に配置されると共に、巻真122が貫通する。座金107は、操作者がよってリューズ121の上面が押下されることに応じて変形され、操作者がリューズ121の上面の押下を終了すると復元される。
【0036】
基板108は、フレキシブルプリント回路基板(Flexible printed circuits、FPC)であり、第1基板電極181と、第2基板電極182と、第3基板電極183と、第4基板電極184とを有し、電子部品1と制御装置110との間を電気的に接続する。第1基板電極181、第2基板電極182、第3基板電極183及び第4基板電極184は、電子部品1の外縁に形成される接続電極に半田付けすることによって接続される。
【0037】
(第1実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図3(a)は電子部品1の斜視図であり、
図3(b)は
図3(a)のB-B線に沿う断面図であり、
図4は電子部品1の分解斜視図である。
【0038】
電子部品1は、スイッチ10と、一体成形される押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bとを有し、操作者による操作部材102の押下に応じてオンする。また、電子部品1は、操作者が操作部材102に接触することに応じて、操作者から電流を取得して、ECG等の生体情報を取得する。
【0039】
スイッチ10は、スイッチ基板11と、枠材12と、可動接点13と、押し子14と、封止シート15とを有し、上面が押下されることに応じて可動接点13が反転動作してオンし、上面が押下されなくなるとオフする。
【0040】
図5(a)はスイッチ基板11の平面図であり、
図5(b)はスイッチ基板11の底面図である。
【0041】
スイッチ基板11は、基材20と、第1接点21と、第2接点22と、第3接点23a及び23bと、第1裏面電極24と、第2裏面電極25と、第3裏面電極26a及び26bとを有する。基材20は、エポキシ樹脂等の合成樹脂で形成され、略矩形の平面形状を有し、一対の短辺の端部の近傍に半円状の平面形状を有する凹部27a、27b、27c及び27dが形成される。基材20の表面20aには、第1接点21、第2接点22並びに第3接点23a及び23bが配置され、基材20の裏面20bには、第1裏面電極24、第2裏面電極25及び第3裏面電極26a及び26bが配置される。
【0042】
第1接点21は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の中央部に配置される導体である。第2接点22は、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面に第1接点21を囲むように配置される略U字状の平面形状を有する導体である。第2接点22は可動接点13の外縁が接するように配置され、第1接点21は可動接点13が反転動作したときに可動接点13の頂部が接する。
【0043】
第3接点23a及び23bは、銅等の金属箔で形成され、基材20の表面の長手方向の端部の近傍に配置される基材20の短手方向に延伸する矩形状の一対の導体である。第3接点23a及び23bは、一対の脚部材17a及び17bのそれぞれの下端に半田、溶接、及び熱圧着等により接続可能なように配置される。
【0044】
第1裏面電極24は、貫通孔28aに充填された導体を介して第1接点21と電気的に接続される。第1裏面電極24は、凹部27aの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0045】
第2裏面電極25は、貫通孔28bに充填された導体を介して第2接点22と電気的に接続される。第2裏面電極25は、凹部27bの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0046】
第3裏面電極26a及び26bは、貫通孔28c及び28dに充填された導体を介して第3接点23a及び23bと電気的に接続される。第3裏面電極26a及び26bは、凹部27c及び27dの内壁に形成され、基板108に電子部品1が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0047】
枠材12は、ポリイミド等の樹脂材料で形成され、スイッチ基板11の外形と同一の外形を有するケース部材である。枠材12は、貫通孔12a、第1切欠き12b及び第2切欠き12cが形成される。貫通孔12aは、枠材12の中央領域に形成され、第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14が配置される収容部をスイッチ基板11の表面20aと共に形成する。第1切欠き12bは、略U字型の平面形状を有し、枠材12の長手方向の一端の近傍に形成され、第3接点23aを囲むように配置される。第2切欠き12cは、第1切欠き12bと反対方向に開口する略U字型の平面形状を有し、枠材12の長手方向の他端の近傍に形成され、第3接点23bを囲むように配置される。
【0048】
可動接点13は、第1可動接点13aと、第2可動接点13bと、第3可動接点13cと、第4可動接点13dとを有する。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dのそれぞれは、薄くドーム状に形成されたステンレス鋼及び銅等の弾性を有する導電性部材により形成される。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dのそれぞれは、第1接点21と絶縁し、第2接点22と導通するように重畳して配置される。第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dは、対向する辺を有する俵型形状となるように、凸型のドーム状の板バネ部材を切断して形成される。
【0049】
押し子14は、円柱形状のポリイミド等の樹脂材料で形成され、第4可動接点13dの中央部の上方に配置される。押し子14を配置することで、スイッチ10の押下操作の操作性が向上する。
【0050】
封止シート15は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、スイッチ基板11の表面20a及び貫通孔12aによって形成される収容部に収容される第1接点21、第2接点22、可動接点13及び押し子14を保護する。封止シート15は、スイッチ基板11及び枠材12によって形成された収容部を覆うように枠材12の表面に接着されることによって枠材12に固定される。
【0051】
封止シート15は、傾斜部15aと、押圧部15bと、第1長手部15cと、第2長手部15dとを有する。傾斜部15aは貫通孔12aから突出する第1可動接点13a、第2可動接点13b、第3可動接点13c及び第4可動接点13dの外縁を覆うように傾斜する。押圧部15bは、傾斜部15aに囲まれた頂部であり、押し子14を覆うように平面を形成する。第1長手部15cは、枠材12の長手方向に沿って延伸する。第2長手部15dは、枠材12の長手方向に沿って延伸する。封止シート15は、貫通孔12aを封止し、且つ第1切欠き12b及び第2切欠き12cを封止しない。
【0052】
【0053】
スイッチ10は、第1入力端子IN1と、第2入力端子IN2と、第1出力端子OUT1と、第2出力端子OUT2と、第3出力端子OUT3と、第4出力端子OUT4とを有する。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、第3接点23a及び23bに対応する。第1出力端子OUT1及び第2出力端子OUT2は凹部27a及び27bに配置される接続電極に対応し、第3出力端子OUT3及び第4出力端子OUT4は凹部27c及び27dに配置される接続電極に対応する。
【0054】
スイッチ10は、押圧部15bが押下されることに応じて第1接点21に可動接点13が接することに応じてオンして、第1出力端子OUT1と第2出力端子OUT2との間が導通される。第1入力端子IN1及び第2入力端子IN2は、押下部材16の下端が接触するように配置されることで、押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bを介して操作部材102に接触する操作者の指と制御装置110との間の電流回路を形成する。
【0055】
図7(a)は押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bの平面図であり、
図7(b)は押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bの正面図であり、
図7(c)は押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bの側面図である。
【0056】
押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bは、りん青銅などのバネ性の高い材料に、導電性の高い金、銀、パラジウムなどのメッキをかけた部材からなり、一体成形される。押下部材16は、押下面16aを有し、スイッチ10の押圧部15bの上方に配置される。押下部材16は、矩形状の平面形状を有し、一対の対角のそれぞれに一対の脚部材17a及び17bが接続される。
【0057】
脚部材17aは、第1延伸部31と、第2延伸部32と、第3延伸部33とを有し、押下面16aが押下されることに応じて、脚部材17bと共に押下部材16を押圧部15bに向けて移動する。第1延伸部31は、一端が押下部材16に接続され、押圧部15b側からスイッチ基板11の長手方向の端部側に向かって、スイッチ基板11の表面の延伸方向に平行に延伸する。第1延伸部31が延伸する長手方向の端部は、スイッチ基板11の端部と重畳するように配置される。第1延伸部31の内側の面は、基板11の表面の延伸方向と平行に延伸する。一方、第1延伸部31の外側の面は、端部が基板11の表面に近づくように基板11の表面の延伸方向から傾斜して延伸する。
【0058】
第2延伸部32は、スイッチ基板11の端部側から押圧部15b側に向かって湾曲しながら延伸する。第2延伸部32の一端は第3延伸部33の他端に接続され、第2延伸部32の他端は第3接点23aに接触するように配置される。第2延伸部32の先端の底面は、矩形の平面であり、第3接点23aに半田付けにより固定される。第2延伸部32の先端の底面は、第1切欠き12bにより囲まれることにより、移動が制限される。
【0059】
第3延伸部33は、スイッチ基板11の短辺の一方に沿ってスイッチ基板11の表面の延伸方向に沿って延伸する。第3延伸部33は、一端が第1延伸部31に接続され、他端が第2延伸部32に接続されることで、第1延伸部31と第2延伸部32とを端部を円弧状に湾曲させながら接続する。第3延伸部33は、第2延伸部32と共に逆S字型の平面形状を形成する。
【0060】
脚部材17bは、第1延伸部36と、第2延伸部37、第3延伸部38とを有し、押下面16aが押下されることに応じて、脚部材17aと共に押下部材16を押圧部15bに向けて移動する。第1延伸部36は、一端が押下部材16に接続され、押圧部15b側からスイッチ基板11の端部側に向かって、スイッチ基板11の表面の延伸方向に平行に延伸する。第1延伸部36が延伸する長手方向の端部は、スイッチ基板11の端部と重畳するように配置される。第1延伸部36の内側の面は、基板11の表面の延伸方向と平行に延伸する。一方、第1延伸部36の外側の面は、端部が基板11の表面に近づくように基板11の表面の延伸方向から傾斜して延伸する。
【0061】
第2延伸部37は、スイッチ基板11の端部側から押圧部15b側に向かって湾曲しながら延伸する。第2延伸部37の一端は第3延伸部38の他端に接続され、第2延伸部37の他端は第3接点23bに接触するように配置される。第2延伸部32の先端の底面は、矩形の平面であり、第3接点23aに半田付けにより固定される。第2延伸部37の先端の底面は、第1切欠き12bにより囲まれることにより、移動が制限される。
【0062】
第3延伸部38は、スイッチ基板11の短辺の一方に沿ってスイッチ基板11の表面の延伸方向に沿って延伸する。第3延伸部38は、一端が第1延伸部36に接続され、他端が第2延伸部37に接続されることで、第1延伸部36と第2延伸部37とを端部を円弧状に湾曲させながら接続する。第3延伸部38は、第2延伸部37と共に逆S字型の平面形状を形成する。
【0063】
一対の脚部材17a及び17bは、押下面16aの中心点を基準として点対称の形状をそれぞれが有する。
【0064】
弾性部材である一対の脚部材17a及び17bが押下部材16を対角で押下部材16を支持することで、押下部材16は、押下面16aが押下されることに応じて、スイッチ10に向けて下降する。
【0065】
電子部品1は、一対の脚部材17a及び17bの第2延伸部32及び37の先端をスイッチ10の第3接点23a及び23bに半田付けすることによって製造される。
【0066】
図8は、操作者の左手首に装着された電子機器100を示す図である。
【0067】
電子機器100は、操作者の左手首200aにベルト120によって装着される。操作者の右手の人差し指200bが操作部材102に接触することによって、操作部材102と電子部品1とが接触し、操作者の人体に流れる電の電流回路が形成される。
【0068】
図9は、操作者の左手首200aに装着された電子機器100の操作部材102に操作者の右手の人差し指200bが接触することにより形成される電流回路の回路図である。
【0069】
電子機器100は、プルアップ抵抗111と、バッファ112と、AD変換回路113とを更に有する。プルアップ抵抗111は、一端に電源電圧Vddが供給され、他端に裏面電極104とバッファ112との間に接続される。プルアップ抵抗111は、形成される電流回路に流れる電流を、操作者200の電位を示す電圧に変換する。バッファ112は、操作者200の電位を示す電圧を増幅してAD変換回路113に出力する。AD変換回路113は、バッファ112から入力される電圧をデジタル信号に変換して制御装置110に出力する。
【0070】
電子機器100が操作者200の左手首200aに装着されることで、操作者200の左手首200aと裏面電極104とが接触して、操作者200の左手首200aは、プルアップ抵抗111及びバッファ112に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作者の右手の人差し指200bは、操作部材102のリューズ121に電気的に接続される。また、操作者の右手の人差し指200bが接触することで、操作部材102の巻真122は、電子部品1の押下部材16に電気的に接続される。
【0071】
(第1実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の押下部材16及び一対の脚部材17a及び17bによって電流経路が形成される。電子部品1は、スイッチ10の上方に配置される導電性の押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bを介して電流回路を形成するので、スイッチングのための押下動作にかかわらず経年劣化するおそれが低い電流経路を形成することができる。
【0072】
また、電子部品1では、一対の脚部材17a及び17bのそれぞれは、押圧部15b側から基板11の端部側に向かって延伸する第1延伸部31及び36と、基板11の端部側から押圧部15b側に向かって延伸する第2延伸部32及び37を有する。電子部品1は、一対の脚部材17a及び17bのそれぞれが基板の中心から端部に向かって往復する延伸部を有することで、基板の面積を大きくすることなく押下面16aの押下距離を長くすることができる。
【0073】
また、電子部品1では、一対の脚部材17a及び17bのそれぞれの延伸部は、スイッチ基板11の端部と重畳する位置まで延伸するので、押下面16aの押下距離を更に長くすることができる。
【0074】
また、電子部品1では、一対の脚部材17a及び17bは、基板11の短辺に沿って延伸する第3延伸部を更に有するので、押下面16aの押下距離を更に長くすることができる。
【0075】
また、電子部品1では、一対の脚部材17a及び17bは、スイッチ基板11の長辺に沿う部分が開放された第1切欠き12b及び第2切欠き12cに配置されるので、第3接点23a及び23bとの半田付け作業が容易である。
【0076】
(第2実施形態に係る電子部品の構成及び機能)
図10(a)は第2実施形態に係る電子部品の斜視図であり、
図10(b)は
図10(a)のC-C線に沿う断面図であり、
図11は
図10(a)に示す電子部品1の分解斜視図である。
【0077】
電子部品2は、スイッチ40と、一体成形される押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bとを有し、電子部品1と同様に電子機器100に搭載可能である。電子機器100操作者による操作部材102の押下に応じてオンすると共に、操作者が操作部材102に接触することに応じて、操作者から電流を取得して、ECG等の生体情報を取得する。
【0078】
スイッチ40は、スイッチ基板41と、枠材42と、可動接点43と、押し子44と、封止シー45とを有し、上面が押下されることに応じて可動接点43が反転動作してオンし、上面が押下されなくなるとオフする。
【0079】
図12(a)はスイッチ基板41の平面図であり、
図12(b)はスイッチ基板41の底面図である。
【0080】
スイッチ基板41は、基材50と、第1接点51と、第2接点52と、接合部53a及び53bと、一対の第1裏面電極54と、一対の第2裏面電極55とを有する。基材50は、エポキシ樹脂等の合成樹脂で形成され、略矩形の平面形状を有し、一対の短辺の端部の近傍に半円状の平面形状を有する凹部57a、57b、57c及び57dが形成される。基材50の表面50aには、第1接点51、第2接点52並びに接合部53a及び53bが配置され、基材50の裏面50bには、第1裏面電極54及び第2裏面電極55が配置される。
【0081】
第1接点51は、銅等の金属箔で形成され、基材50の表面の中央部に配置される導体である。第2接点52は、銅等の金属箔で形成され、基材50の表面に第1接点51を囲むように配置される略枠状の平面形状を有する導体である。第2接点52は可動接点43の外縁が接するように配置され、第1接点51は可動接点43が反転動作したときに可動接点43の頂部が接する。
【0082】
接合部53a及び53bは、基材50の表面の長手方向の端部の近傍に配置される基材50の短手方向に延伸する矩形状の平面形状を有し、一対の脚部材47a及び47bのそれぞれを接着剤によって固定可能なように配置される。
【0083】
一対の第1裏面電極54は、基材50の表面から裏面に貫通する貫通孔に充填された導体を介して第1接点51と電気的に接続される。第1裏面電極54は、凹部57a及び57bの内壁に形成され、基板108に電子部品2が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0084】
第2裏面電極55は、基材50の表面から裏面に貫通する貫通孔に充填された導体を介して第2接点52と電気的に接続される。第2裏面電極55は、凹部57c及び57dの内壁に形成され、基板108に電子部品2が実装されるときに半田付けされる接続電極に電気的に接続される。
【0085】
枠材42は、ポリイミド等の樹脂材料で形成され、スイッチ基板41の外形と同一の外形を有するケース部材である。枠材42は、第1貫通孔42a、第2貫通孔42b及び第3貫通孔42cが形成される。第1貫通孔42aは、枠材42の中央領域に形成され、第1接点51、第2接点52、可動接点43及び押し子44が配置される収容部をスイッチ基板41の表面40aと共に形成する。第2貫通孔42bは、略矩形型の平面形状を有し、枠材42の長手方向の一端の近傍に形成され、接合部53aを囲むように配置される。第3貫通孔42cは、第2貫通孔42bと同様に略矩型の平面形状を有し、枠材42の長手方向の他端の近傍に形成され、接合部53bを囲むように配置される。
【0086】
可動接点43は、第1可動接点43aと、第2可動接点43bと、第3可動接点43cとを有する。第1可動接点43a、第2可動接点43b、及び第3可動接点43cのそれぞれは、薄くドーム状に形成されたステンレス鋼及び銅等の弾性を有する導電性部材により形成され、第1接点51と絶縁し、第2接点52と導通するように重畳して配置される。第1可動接点43a、第2可動接点43b及び第3可動接点43cは、対向する辺を有する俵型形状となるように、凸型のドーム状の板バネ部材を切断して形成される。
【0087】
押し子44は、押し子14と同様に、円柱形状のポリイミド等の樹脂材料で形成され、第3可動接点43cの中央部の上方に配置される押下部材である。押し子44を配置することで、スイッチ40の押下操作の操作性が向上する。
【0088】
封止シート45は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、スイッチ基板41の表面40a及び第1貫通孔42aによって形成される収容部に収容される第1接点51、第2接点52、可動接点43及び押し子44を保護する。封止シート45は、スイッチ基板41及び枠材42によって形成された収容部を覆うように枠材42の表面に接着されることによって枠材42に固定される。
【0089】
封止シート45は、傾斜部45aと、押圧部45bと、第1開口部45cと、第2開口部45dとを有する。傾斜部45aは第1貫通孔42aから突出する第1可動接点43a、第2可動接点43b及び第3可動接点43cの外縁を覆うように傾斜する。押圧部45bは、傾斜部45aに囲まれた頂部であり、押し子44を覆うように平面を形成する。第1開口部45cは第2貫通孔42bに対応する形状を有し、第2開口部45dは第3貫通孔42cに対応する形状を有する。封止シート45は、第1貫通孔42aを封止し、且つ第2貫通孔42b及び第3貫通孔42cを封止しない。
【0090】
図13(a)は押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bの平面図であり、
図13(b)は押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bの正面図であり、
図13(c)は押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bの側面図である。
【0091】
押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bは、押下部材16並びに一対の脚部材17a及び17bと同様に、りん青銅などのバネ性の高い材料に、導電性の高い金、銀、パラジウムなどのメッキをかけた部材からなり、一体成形される。押下部材46は、押下面46aを有し、スイッチ40の押圧部45bの上方に配置される。押下部材46は、矩形状の平面形状を有し、一対の対角のそれぞれに一対の脚部材47a及び47bが接続される。
【0092】
脚部材47aは、第1延伸部61と、第2延伸部62と、第3延伸部63とを有し、押下面46aが押下されることに応じて、脚部材47bと共に押下部材46を押圧部45bに向けて移動する。第1延伸部61は、一端が押下部材46に接続され、押圧部45b側からスイッチ基板41の長手方向の端部側に向かって、スイッチ基板41の表面の延伸方向に平行に延伸する。第1延伸部61が延伸する長手方向の端部は、スイッチ基板41の端部と重畳するように配置される。
【0093】
第2延伸部62は、スイッチ基板41の端部側から押圧部45b側に向かって湾曲しながら延伸する。第2延伸部62の一端は第3延伸部63の他端に接続され、第2延伸部62の他端はスイッチ基板41の外側に配置される。第2延伸部62は、接合部53aに接触するように配置される略U字型の凹部62aを有し、凹部62aの底面が接着剤によって接合部53aに接合される。第2延伸部62の先端は、基板108に半田によって電気的に接続される。
【0094】
スイッチ基板11に向かって延伸する凹部62aの脚部の幅は、凹部62aの底面及び第2延伸部62の他の部分の幅よりも狭い。スイッチ基板11に向かって延伸する凹部62aの脚部の幅が狭いので、接合部53aに接合に凹部62aの底面を接合するときに、より多くの接着剤を第2貫通孔42bに充填することができる。
【0095】
第2延伸部62は、凹部62aから外側に更に延伸して、スイッチ基板11の外側において、スイッチ基板11の方向に向かって延伸する。第2延伸部62は、先端に電極を有し、外側において、電子部品2を搭載する電子機器の基板に実装される。
【0096】
第3延伸部63は、スイッチ基板41の短辺の一方に沿ってスイッチ基410の表面の延伸方向に沿って延伸する。第3延伸部63は、一端が第1延伸部61に接続され、他端が第2延伸部62に接続されることで、第1延伸部61と第2延伸部62とを接続する。第3延伸部63は、第2延伸部62と共に逆S字型の平面形状を形成する。
【0097】
脚部材47bは、第1延伸部66と、第2延伸部67、第3延伸部68とを有し、押下面46aが押下されることに応じて、脚部材47aと共に押下部材46を押圧部45bに向けて移動する。第1延伸部66は、一端が押下部材46に接続され、押圧部45b側からスイッチ基板41の端部側に向かって、スイッチ基板41の表面の延伸方向に平行に延伸する。第1延伸部66が延伸する長手方向の端部は、スイッチ基板41の端部と重畳するように配置される。
【0098】
第2延伸部67は、スイッチ基板41の端部側から押圧部45b側に向かって湾曲しながら延伸する。第2延伸部67の一端は第3延伸部68の他端に接続され、第2延伸部67の他端はスイッチ基板41の外側に配置される。第2延伸部67は、接合部53bに接触するように配置される略U字型の凹部67aを有し、凹部67aの底面が接着剤によって接合部53aに接合される。第2延伸部67の先端は、基板108に半田によって電気的に接続される。
【0099】
スイッチ基板41に向かって延伸する凹部62bの脚部の幅は、凹部62bの底面及び第2延伸部67の他の部分の幅よりも狭い。スイッチ基板41に向かって延伸する凹部62aの脚部の幅が狭いので、接合部53bに接合に凹部62bの底面を接合するときに、より多くの接着剤を第3貫通孔42cに充填することができる。
【0100】
第2延伸部67は、凹部62bから外側に更に延伸して、スイッチ基板41の外側において、スイッチ基板41の方向に向かって延伸する。第2延伸部67は、先端に電極を有し、外側において、電子部品2を搭載する電子機器の基板に実装される。
【0101】
第3延伸部68は、スイッチ基板41の短辺の一方に沿ってスイッチ基板41の表面の延伸方向に沿って延伸する。第3延伸部68は、一端が第1延伸部61に接続され、他端が第2延伸部67に接続されることで、第1延伸部66と第2延伸部67とを接続する。第3延伸部68は、第2延伸部67と共に逆S字型の平面形状を形成する。
【0102】
一対の脚部材47a及び47bは、押下面46aの中心点を基準として点対称の形状をそれぞれが有する。
【0103】
弾性部材である一対の脚部材47a及び47bが押下部材46を対角で押下部材46を支持することで、押下部材46は、押下面46aが押下されることに応じて、スイッチ40に向けて下降する。
【0104】
電子部品2は、一対の脚部材47a及び47bの第2延伸部62及び67の凹部62a及び67aの底面をスイッチ40の接合部53a及び53bに接合することによって製造される。
【0105】
(第2実施形態に係る電子部品の作用効果)
電子部品2では、一対の脚部材47a及び47bのそれぞれは、凹部62a及び67aを接着剤によって接合部53a及び53bに固定されるので、基板108に半田によって電気的に接続される第2延伸部62及び67の先端に印加される応力を低減できる。
【0106】
また、電子部品2では、一対の脚部材47a及び47bのそれぞれは、スイッチ基板41の端部まで延伸すると共に、逆S字型を有することで、長さを可能な限り長くし、押下面46aが押下されることにより発生する応力を分散させることができる。
【0107】
電子部品2では、一対の脚部材47a及び47bは、凹部62a及び67aで接合部53a及び53bに固定されるので、半田付けによって基板に固定される第2延伸部62の先端に印加される応力を低減することができる。
【0108】
(実施形態に係る電子部品の変形例)
電子部品1及び2では、一対の脚部材は、押下面の中心点を基準として点対称の形状を有するが、実施形態に係る電子部品では、一対の脚部材は、押下面の基準とする、すなわち押下面の中心点を通る直線を軸とする線対称の形状を有してもよい。
【0109】
【0110】
電子部品3は、押下部材76並びに一対の脚部材77a及び77bを押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47bの代わりに有することが電子部品2と相違する。押下部材46並びに一対の脚部材47a及び47b以外の電子部品3の構成要素の構成は、同一符号が付された電子部品2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0111】
押下部材76は、押下面76aを有し、スイッチ40の長手方向に沿って延伸する辺の両端のそれぞれに一対の脚部材77a及び77bが接続される。
【0112】
一対の脚部材77a及び77bのそれぞれは、押下面76aの中心点を通る直線を軸とする線対称の形状を有する。一対の脚部材77a及び77bのそれぞれは、押下面の基準とする点対称ではなく線対称であること以外の構成は、一対の脚部材77a及び77bの構成と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0113】
また、電子部品1及び2では、押下部材及び一対の脚部材は、一体成形されるが、実施形態に係る電子部品では、押下部材及び一対の脚部材は、別個に形成され、接続部材によって接続されて一体化されてよい。
【0114】
また、電子部品2及び3では、脚部材の凹部の底面は、接着剤によってスイッチ基板の接合部に接合されるが、実施形態に係る電子部品では、脚部材の凹部の底面は、溶接によって接合部に接合されてもよい。
【0115】
また、電子部品1~3は、可動接点の頂部に配置される押し子を有するが、実施形態に係る電子部品は、押し子を有さなくてもよい。実施形態に係る電子部品は、押し子を有さないとき、押下部材の押下面の裏面の中央部に凸部が形成される。
【0116】
また、電子部品1~3では、スイッチは、複数の可動接点を有するが、実施形態に係る電子部品では、スイッチは、単一の可動接点を有してもよい。
【符号の説明】
【0117】
1~3 電子部品
10、40 スイッチ
16、46、76 押下部材
17a、17b、47a、47b、77a、77b 脚部材
21、51 第1接点
22、52 第2接点
23a、23b 第3接点
53a、53b 接合部
100 電子機器
102 操作部材
110 制御装置