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特開2024-45166球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法
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  • 特開-球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法 図I
  • 特開-球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法 図II
  • 特開-球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法 図III
  • 特開-球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法 図IV
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045166
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】球状タンタル粉末、それを含有する製品、及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 1/04 20230101AFI20240326BHJP
   B22F 1/065 20220101ALI20240326BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240326BHJP
   B22F 1/052 20220101ALI20240326BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240326BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20240326BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240326BHJP
   C22C 27/02 20060101ALI20240326BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240326BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240326BHJP
【FI】
C22C1/04 E
B22F1/065
B22F1/00 R
B22F1/052
B22F10/28
B22F10/25
B22F10/36
C22C27/02 103
B33Y10/00
B33Y70/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000134
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2020546438の分割
【原出願日】2019-02-27
(31)【優先権主張番号】62/638,328
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/793,418
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512189233
【氏名又は名称】グローバル アドバンスト メタルズ ユー.エス.エー.,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】スンガイ,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】アビッド,アーミル
【テーマコード(参考)】
4K018
【Fターム(参考)】
4K018AA40
4K018BA20
4K018BB03
4K018BB04
4K018BD09
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】タンタル粉末を利用した積層造形による物品を形成する方法を提供する。
【解決手段】物品を形成する方法であって、タンタル粉末を利用して、前記物品又はその部品の形状を形成することによって、前記物品を積層造形することを含み、前記粉末が少なくとも以下の特性:a.前記粉末が1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状;b.ガス不純物を除く前記粉末中に存在するタンタルの全重量に対して、少なくとも99.99重量%Taのタンタル純度;c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;d.約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度;e.16 g/cc~16.6 g/ccの真密度;及びf.20秒以下のホールフローレート、を有する、前記方法とする。
【選択図】図I
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を形成する方法であって、タンタル粉末を利用して、前記物品又はその部品の形状を形成することによって、前記物品を積層造形することを含み、前記粉末が少なくとも以下の特性:
a.前記粉末が1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状;
b.ガス不純物を除く前記粉末中に存在するタンタルの全重量に対して、少なくとも99.99重量%Taのタンタル純度;
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;
d.約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度;
e.16 g/cc~16.6 g/ccの真密度;及び
f.20秒以下のホールフローレート、を有し
かつ、前記物品の形成において以下の特性:a)最大引張強度(UTS)が同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%大きく、b)前記UTSが50 KSI超であり、c)降伏応力が同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%大きく、d)前記降伏応力が35 KSI超であり、e)伸びが約1%~約50%である、の1つ以上が達成される、方法。
【請求項2】
前記平均粒径が、約0.5ミクロン~約10ミクロン、約5ミクロン~約25ミクロン、約15ミクロン~約45ミクロン、約35ミクロン~約75ミクロン、約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンタル粉末が、以下の特性:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径;
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径、の少なくとも1つを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記積層造形が、レーザー粉末床溶融、電子ビーム粉末床溶融、指向性エネルギー堆積、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディング、材料噴射、シート積層、又は液槽光重合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記粉末が、100 ppm未満の酸素レベルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物品が、医療用インプラント又は歯科用インプラントである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記物品が、手、足首、肩、臀部、膝、骨、関節全再建(関節形成)、頭部顔面再建、若しくは脊椎の置換のための整形外科用インプラント、下顎若しくは上顎である顔面再建のための歯科用インプラント、医療用マーカー、手術道具若しくはその部品、増強材、又は航空宇宙部品である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記積層造形が、レーザー金属蒸着(LMD)、ガスメタルアーク溶接、プラズマ溶接、コールドスプレー、金属射出成形、プラズマ積層造形、溶射、電子ビーム溶融、又は真空中で電子ビームを使用した粉末床溶融プロセスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記積層造形が、以下の設定:150 W~約175 Wのレーザー出力;約100 mm/s~約500 mm/sの走査速度;約30ミクロン~約100ミクロンのハッチ間隔;約10ミクロン~約50ミクロンの層厚さ;及び/又は約3 J/mm2~約20 J/mm2のエネルギー密度、の1つ以上を有する装置を利用する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
特性a)~d)の全てが達成される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記粉末が、約20 ppm~約200 ppmの酸素含量、約2000~約4000のBET(m2/g)に対する酸素(ppm)の割合、約1 ppm~約100 ppmの炭素含量、約5 ppm~約5000 ppmの窒素含量、約1 ppm~約1000 ppmの水素含量、約1 ppm~約50 ppmの鉄含量、約1 ppm~約150 ppmのニッケル含量、約1 ppm~約100 ppmのクロム含量、約0.1 ppm~約50 ppmのナトリウム含量、約0.1 ppm~約100 ppmのカリウム含量、約1 ppm~約50 ppmのマグネシウム含量、約1 ppm~約500 ppmのリン(P)含量、及び約1 ppm~約500 ppmのフッ化物(F)含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
物品を形成する方法であって、タンタル合金粉末を利用して、前記物品又はその部品の形状を形成することによって、前記物品を積層造形することを含み、前記粉末が少なくとも以下の特性:
a.前記粉末が1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状;
b.ガス不純物を除く前記粉末中に存在するタンタルの全重量に対して、少なくとも99.99重量%Taのタンタル純度;
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;
d.約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度;及び
e.20秒以下のホールフローレート、を有する、方法。
【請求項13】
前記タンタル合金粉末が、a)少なくともタンタル金属と、b)i)1種以上の他の金属及び/又はii)非金属元素及び/又はiii)半金属元素とを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1種以上の他の金属が、Ti、Nb、Si、W、Mo、Re、Rh、Ta、V、Th、Zr、Hf、Cr、Mn、Sc、Y、C、B、Ni、Fe、Co、Al、Sn、Au、Th、U、Pu、及び/又は希土類元素(複数の場合もある)である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記タンタル合金粉末が、Ta-Ti合金若しくはTa-Si合金若しくはTa-W合金若しくはTa-Mo合金若しくはTa-Nb合金であり、又は
タンタルが、前記タンタル合金粉末の重量に対して最も高い割合で存在する金属である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記積層造形が、ベースプレートを利用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記物品を徐冷することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月5日に出願された先行する米国仮特許出願第62/638,328号及び2019年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/793,418号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、この出願の全体は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明は、金属、特にタンタルに関し、また、タンタルから作製された製品、並びにタンタルを作製する方法及び処理する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンタル粉末等の弁金属粉末は、その多くの用途の中でも、コンデンサ電極を製造するのに広く用いられているが、この産業以外でも、スパッタリングターゲット産業、軍需領域、宇宙産業等において他の用途があり、その性質に鑑みると、タンタルは医療用インプラント領域及び歯科用インプラント領域において有望である。
【0004】
現在、例えば、タンタル粉末は、2つの方法、すなわち、機械的プロセス又は化学的プロセスのうちの1つによって製造されるのが一般的である。機械的プロセスは、タンタルを電子ビーム溶融して、インゴットを形成する工程、該インゴットを水素化する工程、水素化物をミリングする工程、並びに、次いで、脱水素化、破砕、及び熱処理する工程を含む。通常、このプロセスによって、高純度の粉末が製造される。
【0005】
一般的に利用されているもう1つのタンタル粉末製造プロセスは、化学的プロセスである。タンタル粉末を製造する幾つかの化学的方法が、当該技術分野において知られている。Vartanianによる米国特許第4,067,736号及びReratによる米国特許第4,149,876号は、フッ化タンタル酸カリウム(K2TaF7)のナトリウム還元を含む化学的製造プロセスに関するものである。典型的な技術の説明が、Bergmanらによる米国特許第4,684,399号及びChangによる米国特許第5,234,491号の背景部分にも記載されている。これら全ての特許及び文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0006】
化学的方法によって製造されるタンタル粉末は、通常、機械的方法により製造される粉末よりも表面積が大きいため、例えば、コンデンサでの使用によく適している。化学的方法は、通常、還元剤によってタンタル化合物を化学的に還元することを含む。典型的な還元剤としては、水素、並びに、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム等の活性金属が挙げられる。典型的なタンタル化合物としては、フッ化タンタル酸カリウム(K2TaF7)、フッ化タンタル酸ナトリウム(Na2TaF7)、五塩化タンタル(TaCl5)、五フッ化タンタル(TaF5)、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。最も広く使用されている化学的プロセスは、液体ナトリウムによるK2TaF7の還元である。
【0007】
タンタル粉末等の弁金属粉末の化学的な還元では、フッ化タンタル酸カリウムを、回収し、溶融し、ナトリウム還元により金属タンタル粉末へと還元する。次いで、乾燥したタンタル粉末を回収し、任意で、真空下で熱によって凝集させてタンタルの酸化を回避し、破砕することができる。弁金属材料の酸素濃度は、コンデンサの製造において重要となり得るため、次いで、典型的には、顆粒状の粉末を、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)等の、弁金属よりも酸素に対する親和性の高いゲッター材料の存在下で、(例えば、約1000℃以上まで)昇温して脱酸素化する。材料を更に処理する前に、脱酸素化の後プロセスである標準大気条件下(例えば、約760 mm Hg)での酸浸出を、例えば、硫酸又は硝酸を含む鉱酸溶液を用いて行って、金属汚染物及び耐火性酸化物汚染物(例えば、マグネシウム汚染物及び酸化マグネシウム汚染物)を溶解させることができる。酸浸出した粉末を、洗浄及び乾燥し、次いで、常法により圧縮、焼結、及び陽極酸化して、コンデンサ用の陽極等の焼結多孔質体を作製することができる。
【0008】
タンタル粉末の開発に向けた努力のほとんどは、コンデンサ陽極産業において行われており、そこでは、この特定用途のみのために粉末が作製されてきた。しかしながら、コンデンサ産業において使用するためのタンタル粉末の性質の1つ以上は、積層造形等の他の産業においては望まれないことが多い。このような「コンデンサグレード」タンタル粉末は、このような積層造形には合わないか、あまり適さない場合もある。したがって、積層造形及び/又は他の産業において有用となり得るタンタル粉末を開発することに対する要求と希望がある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、積層造形、すなわち、3D印刷において非常に有用となり得るタンタル粉末を提供することを特徴とする。
【0010】
本発明は、使用がより容易なタンタル粉末を使用した積層造形、すなわち、3D印刷により物品、製品、及び/又は部品を提供すること、及び/又は、そのようなプロセスにおいて1つ以上の性質を向上させることを他の特徴とする。
【0011】
本発明は、タンタル粉末を作製するプロセス、及び該タンタル粉末を含有する物品、製品、及び/又は部品を作製するプロセスを提供することを更なる特徴とする。
【0012】
本発明の更なる特徴及び利点は、以下の明細書で一部説明され、本明細書から一部明らかとなるか、又は本発明の実施により認識することができる。本発明の目的及び他の利点は、本明細書及び添付の特許請求の範囲において具体的に指摘された要素及び組み合わせを用いて実現及び達成される。
【0013】
これらの利点及び他の利点を達成するために、並びに本発明の目的に従って、本明細書中で具体化され、かつ概説されるように、本発明は、タンタル粉末に関する。このタンタル粉末は、1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、ガス不純物を除くタンタル粉末の全重量に対して、少なくとも99.9重量%Taのタンタル純度を有し、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、16 g/cc~16.6 g/ccの真密度を有し、約4 g/cc~約12.6 g/ccの見掛け密度を有し、かつ、20秒以下のホールフローレートを有する。上記タンタル粉末は、プラズマ熱処理されていてもよく、プラズマ熱処理されていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は、本発明のタンタル粉末から作製されるか又は形成される、物品又は製品(又は、その部分若しくはその部品)に関する。この物品又はその部分若しくはその部品としては、物理蒸着プロセス用のコイルセットのボス、連続気泡構造と中実構造とを含むボス、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品、整形外科用インプラント又はその部品、歯科用インプラント又はその部品、及び他の医療用インプラント又はその部分を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
さらに、本発明は、本発明のタンタル粉末を作製する方法に関する。この方法は、不活性雰囲気中で、出発タンタル粉末をプラズマ熱処理して、該出発タンタル粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル粉末を得ることと、不活性雰囲気中で、熱処理済タンタル粉末を冷却して、タンタル粉末を得ることとを含む。出発タンタル粉末は、ナトリウム還元タンタル粉末、又は他の塩によって還元されたタンタル粉末、又は電解還元、水素還元等の他のプロセス及び技術によって還元されたタンタル粉末とすることができる。出発タンタル粉末は、基本ロットタンタル粉末とすることができる。
【0016】
また、本発明は、物品を形成する方法であって、本発明のタンタル粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、積層造形して物品を形成する工程を含む、方法に関する。上記積層造形には、レーザー粉末床溶融、電子ビーム粉末床溶融、指向性エネルギー堆積、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディング、材料噴射、シート積層、及び/又は、液槽光重合が含まれ得る。
【0017】
上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が例示的及び説明的なものに過ぎず、請求項に記載の本発明を更に説明することを意図すると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図I図1A:実施例1で使用した出発基本ロットタンタル粉末のSEM画像である。図1B:実施例1のプラズマ処理後の完成タンタル粉末のSEM画像である。図2A:実施例2で使用した(破砕及び篩分け後の)出発基本ロットタンタル粉末のSEM画像である。図2B:実施例2のプラズマ処理後の完成タンタル粉末のSEM画像である。
図II図3図8は、本発明の球状タンタル粉末から作製した引張バーの微細構造を示すSEM画像である。図3は、本発明の球状タンタル粉末をプレス及び焼結することにより作製した焼結粉末冶金バーの微細構造を示すSEM画像である。図4図8は、本発明の球状タンタル粉末を積層造形することにより作製した種々の引張バーサンプルの微細構造を示すSEM画像である。焼結バーの微細構造と比べると、全ての印刷部品は、99%超の密度を有しており、レーザー粉末及び他の印刷パラメータは、供給粉末を完全に溶融させるのに十分に最適化されていた。
図III図9図10は、本発明の球状タンタル粉末から作製した引張バーの微細構造を示すSEM画像である。図9図10は、本発明の球状タンタル粉末を積層造形することにより作製した種々の引張バーサンプルの微細構造を示すSEM画像である。焼結バーの微細構造と比べると、全ての印刷部品は、99%超の密度を有しており、レーザー粉末及び他の印刷パラメータは、供給粉末を完全に溶融させるのに十分に最適化されていた。
図IV図11:円筒形のバー又はロッドの図であり、このバー/ロッドのz方向、x方向、及びy方向の3D印刷の方向及び配向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、新規なタンタル粉末、及び本発明のタンタル粉末から形成される物品(又はその部分)に関する。さらに、本発明は、新規なタンタル粉末を作製する方法、及び積層造形技術及びプロセスを利用して物品(又はその部分)を形成する方法に関する。
【0020】
他の球状化技術と異なり、プラズマ球状化では、タンタルを迅速に溶融するのに必要なエネルギーが提供され、高純度、及び/又は低酸素、及び/又は最小ガス封入、及び/又は制御された粒度分布(PSD)を有する真球状粉末が作り出される。
【0021】
より詳細には、本発明のタンタル粉末は、1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状;ガス不純物を除くタンタル粉末の全重量に対して、少なくとも99.9重量%Taのタンタル純度;約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径;16 g/cc~16.6 g/ccの真密度;約4 g/cc~約12.6 g/ccの見掛け密度;及び、20秒以下のホールフローレートを含むか(comprises)、本質的にこれらからなるか(consists essentiallyof)、これらからなるか(consists of)、又はこれらを含む(includes)。
【0022】
球状形状、純度、平均粒径、密度、及びホールフローレートに関してタンタル粉末について上述した性質を除いては、本明細書において記載される本発明の積層造形法で使用することのできるタンタル粉末の種類について重大な他の制約はないと理解される。
【0023】
本発明のタンタル粉末は、ナトリウム還元タンタル粉末であると考えられるもの、若しくは還元タンタル粉末とすることができ、又は気相還元タンタル、若しくはインゴット誘導タンタル粉末とすることができる。
【0024】
上述したように、本開示のタンタル粉末は、球状形状を有する。その形状は、平均アスペクト比によって定義される。本明細書において、タンタル粉末の平均アスペクト比、すなわち、アスペクト比は、50個の粒子若しくは100個の粒子をランダムに測定するか、又は粉末バッチの約1重量%~約2重量%をランダムに測定することに基づいて、粒子(すなわち、タンタル粉末)の最大直線寸法の、同粒子(すなわち、タンタル粉末)の最小直線寸法に対する比率であると定義される。タンタル粒子の測定は、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を用いて行う。真球状粒子は、1.0のアスペクト比を有する。本発明の目的のため、タンタル粉末は、1.0~1.25、又は1.0~1.2、又は1.0~1.15、又は1.0~1.1、又は1.0~1.05、又は約1.05~約1.25、又は1.05~約1.2、又は1.05~約1.1、又は約1.0の平均アスペクト比を有していれば球状であると考える。
【0025】
本発明のタンタル粉末は、高純度タンタル粉末を有しており、これは、タンタル粉末が、ガス不純物を除くタンタル粉末の全重量に対して、少なくとも99.9重量%Taの純度を有することを意味する。純度レベルは、X線蛍光法、誘導結合プラズマ原子発光分析法(ICP-AES)、すなわち、ICP原子発光分析法、又は誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、すなわち、ICP質量分析法、又はグロー放電質量分析法(GDMS)、スパーク源質量分析法(SSMS)、又はこれらの任意の組み合わせによって測定することができる。タンタル純度は、少なくとも99.95重量%Ta、少なくとも99.99重量%Ta、少なくとも99.995重量%Ta、又は約99.9重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は約99.95重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は約99.99重量%Ta~99.9995重量%Ta、又は他の純度値若しくは範囲とすることができる。
【0026】
タンタル粉末は、約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有する。この平均粒径は、HORIBA LA-960レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA LA-300レーザー粒径分布測定装置、又はHORIBA SZ-100ナノ粒子解析装置、又はHORIBA Camsizer動的画像解析装置、又はHORIBA Camsizer X2動的画像解析装置等のレーザー回折技術、又は動的光散乱技術、又は動的画像解析技術を用いて、50個の粒子をランダムに測定することによって求める。平均粒径は、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0027】
タンタル粉末は、約4 g/cc~約12.6 g/cc、例えば、約4.5 g/cc~約12 g/cc、又は約5 g/cc~約10 g/cc、又は約6g/cc~約12.5 g/cc、又はこれらの範囲内の他の見掛け密度数値とすることができる。見掛け密度は、ASTM B212規格に従って測定する。
【0028】
タンタル粉末は、20秒以下のホールフローレートを有する。ホールフロー試験は、ASTM B213規格に従って行い、この規格では、タンタル粉末がホールフローメーターの漏斗口を通って流れる時間を測定する。本発明のタンタル粉末のホールフローレートは、19秒以下、15秒以下、10秒以下、又は4秒~20秒、又は5秒~20秒、又は6秒~20秒、又は4秒~15秒、又は4秒~12秒、又は5秒~15秒、又はこれらの範囲内の他の値とすることができる。
【0029】
タンタル粉末は、プラズマ熱処理されていてもよく、プラズマ熱処理されていることが好ましい。
【0030】
タンタル粉末は、様々な酸素レベルを有することができる。例えば、タンタル粉末は、2500 ppm以下、又は1000 ppm以下、又は500 ppm未満、又は400 ppm未満、又は300 ppm未満、又は250 ppm未満、又は200 ppm未満、又は100 ppm未満、又は50 ppm未満、例えば、約20 ppm~500 ppm、約40 ppm~400ppm、約50 ppm~300 ppm、約100 ppm~495 ppm、又は約150ppm~約400 ppmの酸素レベルを有することができる。
【0031】
本発明のタンタル粉末は、任意で、合金とすることができる。合金は、a)少なくとも金属タンタルと、b)i)1種以上の他の金属、及び/又は、ii)非金属元素、及び/又は、iii)半金属元素とを含有する。
【0032】
タンタル又はタンタル合金は、更に任意で、ドープされていてもよく、又は金属若しくは合金の一部として存在するか、及び/又は、金属及び/又は合金の表面に存在する1種以上のガス状元素を有することができる。合金は、単相でもよく、2相以上を有してもよい。
【0033】
以下の1種以上の金属は、タンタル合金粉末の一部となり得るため、本発明のタンタル合金粉末となり得る:Ti、Nb、Si、W、Mo、Re、Rh、Ta、V、Th、Zr、Hf、Cr、Mn、Sc、Y、C、B、Ni、Fe、Co、Al、Sn、Au、Th、U、Pu、及び/又は希土類元素(複数の場合もある)。例えば、タンタル粉末は、Ta-Ti合金、又はTa-Si合金、又はTa-W合金、又はTa-Mo合金、又はTa-Nb合金、又は他のTa-金属合金とすることができる。合金での割合は、合金の全重量に対して、Taが30重量%~99.9重量%とすることができ、合金中の金属又は非金属等の他の非Ta元素では、その重量%は、0.1重量%~70重量%とすることができる。Ta-金属合金は、他の金属が1種、2種、又は3種以上存在する(但し、不純物としてではない)タンタルとすることができる。Ta-金属合金におけるタンタルは、優位金属(例えば、タンタルが、合金の重量に対して、最も高い割合で存在する金属である)であってもよい。タンタル合金は、不純物としては存在しない他の金属若しくは元素を1種、2種、又は3種以上備えたタンタルとすることができる。
【0034】
本発明のタンタル粉末は、以下から選ばれる他の性質のうち1つ以上を有することができる:
約5ミクロン~約25ミクロンのD10径、
約20ミクロン~約80ミクロンのD90径、及び/又は、
(粉末の重量に対して)約20 ppm~約1000 ppm、例えば、約100 ppm~約1000 ppm、又は100ppm~約250 ppmの酸素含量。
【0035】
本発明のタンタル粉末は、非強凝集(non-aggregated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非強凝集粉末に対するものである。
【0036】
本発明のタンタル粉末は、非弱凝集(non-agglomerated)粉末とすることができ、ここで、本明細書において記載される性質/パラメータは非弱凝集粉末に対するものである。
【0037】
タンタル粉末は、任意で、リンでドープされていてもよい。例えば、リンドープレベルは、少なくとも10 ppm、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約50 ppm~約500 ppm等とすることができる。リンの形態としては、リン酸又はヘキサフルオロリン酸アンモニウム等が提案される。
【0038】
タンタル粉末は、任意で、イットリウム、シリカ等の他の元素、又はガスドーパント及び/又は金属ドーパント等の1種以上の他のドーパントでドープすることができる。ドープレベルは、少なくとも5 ppm、少なくとも10 ppm、少なくとも25 ppm、少なくとも50 ppm、又は少なくとも100 ppm、又は、例えば、約5 ppm~約500 ppm等とすることができる。粉末、又は粉末から作製される物品の粒子安定性のため、及び/又は他の性質を高めるために、1種以上のドーパントを使用することができる。
【0039】
本発明のタンタル粉末は、物品又はその部分若しくはその部品を形成するのに使用することができる。
【0040】
例えば、物品は、整形外科用インプラント、又は他の医療用インプラント、又は歯科用インプラントとすることができる。整形外科用インプラントは、手、足首、肩、臀部、膝、骨、関節全再建(関節形成)、頭部顔面再建、又は脊椎、又は人間の体若しくは動物の体の他の部分の代わりになるものとすることができる。歯科用インプラントは、顔面再建のためのものとすることができ、顔面再建には、下顎又は上顎が含まれるが、これらに限定されるものではない。医療用インプラント又は歯科用インプラントは、ヒト、並びに、イヌ、ネコ、及び他の動物等の他の動物において、有用である。
【0041】
物品は、トレーサー、又は医療用マーカー、例えば放射線Taマーカー等のマーカーとすることができる。
【0042】
物品は、手術道具又はその部品とすることができる。物品は、増強材とすることができる。
【0043】
物品は、航空宇宙部品とすることができる。
【0044】
物品は、物理蒸着プロセスにおいて使用されるコイルセットのボス等のボスとすることができる。ボスは、連続気泡構造と、中実構造とを含むことができる。
【0045】
物品は、金属蒸着プロセスにおいて使用する、スパッタリングターゲット、又はその部分、又はスパッタリングターゲット等を保持するのに使用する構造体等の任意の物品とすることができる。例えば、物品は、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品とすることができる。
【0046】
本発明のタンタル粉末は、物品又は表面を被覆及び/又は修復するためのタンタルの噴霧(例えば、コールドスプレー)において使用することができる。
【0047】
本発明のタンタル粉末は、金属射出成形用途及びプロセスにおいて使用することができる。
【0048】
本発明のタンタル粉末は、プラズマ熱処理プロセスを使用して、作製することができる。例えば、本発明のタンタル粉末を作製するプロセスは、以下の工程を含むか、本質的に以下の工程からなるか、以下の工程からなるか、又は以下の工程を含むことができる:不活性雰囲気中で、出発タンタル粉末をプラズマ熱処理して、出発タンタル粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル粉末を得る工程a、及びそれに次ぐ、不活性雰囲気中で、熱処理済タンタル粉末を冷却して、タンタル粉末を得る工程b。出発タンタル粉末は、プラズマ処理によって(例えば、プラズマ反応器のプラズマトーチ領域において)、完全に溶融することもできるし、少なくとも90重量%溶融することもできる。
【0049】
このプロセスにおいて、出発タンタル粉末は、ナトリウム還元タンタル粉末、又は他の還元タンタル粉末であってもよく、本明細書において記載される他の任意のタンタル粉末源であってもよい。このプロセスにおいて、出発タンタル粉末は、基本ロットタンタル粉末とすることができる。
【0050】
出発タンタル粉末は、フッ化タンタル酸カリウム(K2TaF7)を溶融還元することにより得ることができるか、又は気相においてタンタルをナトリウム還元(「タンタルの気相還元二次粒子」とも言う)することにより得ることができる。よって、出発タンタル粉末は、タンタル塩還元により製造することができる。
【0051】
タンタルの溶融還元粒子は、溶融塩中でナトリウム(又は、他の還元剤)によってフッ化タンタル酸カリウム(K2TaF7)を還元して、一次粒子の凝集体で有り得るタンタル粒子を生成し、次いで、任意で、これらの粒子を水洗浄、酸洗浄、及び乾燥することを含むプロセスによって得ることができる。
【0052】
タンタルの気相還元粒子は、気化塩化タンタルを気化ナトリウムと接触させ、反応させることによって得ることができる。これらのタンタルの気相還元粒子は、塩化タンタルとナトリウムとの反応により形成され、この反応により生成した塩化ナトリウムによって被覆されたタンタルの多数の一次粒子から構成され得る。
【0053】
本発明のタンタル粉末を作製するために、このプロセスで使用する出発タンタル粉末は、基本ロットタンタル等の基本ロット粉末であると考えられるものとすることができる。使用できる出発タンタル粉末は、プラズマ処理済タンタル粉末の二次粒子であると考えられるものとすることができる。
【0054】
このプロセスにおいて、出発タンタル粉末は、インゴット誘導タンタルとすることができる。このプロセスにおいて、出発タンタル粉末は、粉末冶金(powder-met)誘導タンタル粉末とすることができる。
【0055】
出発タンタル粉末は、任意で、非水素化であってもよく、プラズマ処理に導入する前に水素化してもよい。
【0056】
タンタル粉末を作製するプロセスにおいて、工程aに先立って、第1のタンタル粉末を焼結して焼結粉末(圧粉体ログ又は他の形状品等の焼結塊の形態であってもよい)を得て、次いで、焼結粉末、又は焼結塊を電子ビーム溶融してインゴットを得て、次いで、インゴットを出発タンタル粉末へと粉末化することにより、出発タンタル粉末を形成することができる。焼結は、従来のタンタル粉末用焼結温度で行うことができる。例えば、単なる一例として、タンタル粉末を、約700℃~約1450℃(又は約800℃~約1400℃、又は約900℃~約1300℃)の温度で焼結することができる。焼結時間は、1分~数時間、例えば、約10分~4時間、又は10分~3時間、又は約15分~約2時間、又は約20分~約1時間、又は他の時間とすることができる。任意で、熱処理又は焼結を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。焼結は、アルゴン雰囲気等の不活性雰囲気中で行うことができる。焼結は、金属粉末の焼結に使用される従来の炉内で行うことができる。
【0057】
次いで粉末へと粉末化されるタンタルインゴットを形成する選択肢として、タンタルインゴットは、任意の体積、又は直径、又は形状を有するか、又は任意の体積、又は直径、又は形状とすることができる。電子ビーム処理は、約1×10-3 Torr~約1×10-6Torrの真空下、20000ボルト~28000ボルト及び15アンペア~40アンペアで、1時間当たり、約300 lbs.~約800 lbs.の溶融速度で行うことができる。溶融速度は、約1×10-4 Torr~1×10-5 Torrの真空下、24000ボルト~26000ボルト及び17アンペア~36アンペアで、1時間当たり、約400 lbs.~約600lbs.であることがより好ましい。VAR処理に関して、溶融速度は、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、25ボルト~45ボルト及び12000アンペア~22000アンペアで、1時間当たり、500lbs.~2000 lbs.であることが好ましく、2×10-2 Torr~1×10-4 Torrの真空下、30ボルト~60ボルト及び16000アンペア~18000アンペアで、1時間当たり、800 lbs.~1200lbs.であることがより好ましい。
【0058】
タンタルインゴットは、少なくとも4インチ、又は少なくとも8インチの直径を有することができ、又は少なくとも9.5インチ、少なくとも11インチ、少なくとも12インチ以上の直径を有することができる。例えば、タンタルインゴットは、約10インチ~約20インチ、又は約9.5インチ~約13インチ、又は10インチ~15インチ、又は9.5インチ~15インチ、又は11インチ~15インチの直径を有することができる。インゴットの高さ、すなわち、長さは、少なくとも5インチ、又は少なくとも10インチ、又は少なくとも20インチ、少なくとも30インチ、少なくとも40インチ、少なくとも45インチ等の任意の大きさとすることができる。例えば、インゴットの長さ、すなわち、高さは、約20インチ~約120インチ、又は約30インチ~約45インチとすることができる。インゴットは、円筒形状を有することができるが、他の形状も使用することができる。インゴットの形成後、従来技術を用いて、インゴットを任意で機械洗浄することができる。例えば、(表面の)機械洗浄によって、インゴットの直径を減少することができ、例えば、約1%~約10%の直径減少が達成される。具体例としては、インゴットは、12インチの鋳放し呼び径を有することができ、機械洗浄により、機械洗浄後には10.75インチ~11.75インチの直径を有することができる。
【0059】
インゴットを脆くし、次いで、インゴットを破砕するか、又はインゴットに、ミリング、ジョークラッシャー破砕、ロールクラッシャー破砕、クロスビート等の粒子粉末化工程を行うことによって、タンタルインゴットを出発タンタル粉末へと粉末化することができる。インゴットを脆くするために、インゴットを、水素雰囲気の炉内へと投入する等により、水素化することができる。
【0060】
プラズマ熱処理に関して、これは、プラズマ処理(plasma treatment)又はプラズマプロセシング(plasmaprocessing)としても知られている。本発明において、RFプラズマ処理又は誘導プラズマ処理を使用することができる。例えば、カナダのケベック州、シャーブルックにあるTekna社のPL-35LS、又はPL-50、又はTEK-15、又は他のモデル等のRF熱プラズマシステム又は誘導プラズマ反応器を使用することができる。プラズマ用の中心ガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又はヘリウム等の他のガス等とすることができる。中心ガスの供給速度は、約10 L/min~約100 L/min、又は約15 L/min~約60 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。プラズマ用のシースガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。シースガスの供給速度は、約10 L/min~約120 L/min、又は約10 L/min~約100 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発タンタル粉末用のキャリアガスは、アルゴン、又はアルゴンと他のガスとの混合物(例えば、水素を添加してプラズマ強度を高めることができる)、又は他の不活性ガス若しくはヘリウム等の他のガス等とすることができる。キャリアガスの供給速度は、約1 L/min~約15 L/min、又は約2 L/min~約10 L/min、又は他の流速等の好適な流速とすることができる。出発タンタル粉末をプラズマトーチ領域へと供給する速度は、任意の流速とすることができ、例えば、約1 g/min~約120 g/minのタンタル粉末、又は約5 g/min~約80 g/minの出発タンタル粉末である。一般的に、出発タンタル粉末の供給速度が小さい程、出発タンタル粉末を、より均一で、より完全に球状化する処理が確保される。プラズマトーチ領域を出た後、1つ以上の冷却口を介する等して、冷却ガスを任意で使用することができる。冷却ガスは、ヘリウム又はアルゴン等の任意の好適な非反応性ガスとすることができる。冷却ガスを使用する場合は、様々な流速で供給することができる。例えば、冷却ガスの流速は、約25 L/min~300 L/min、又は約50 L/min~約200 L/min、又は他の大きさとすることができる。冷却ガスを使用する代わりに、又は冷却ガスを使用することに加えて、重力及び/又は水冷冷却ジャケットを任意で使用することができる。米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載の設計を使用することができる。粉末を冷却した後、又は粉末を冷却し始めた後、不動態ガスを任意で使用することができる。不動態ガスは、酸素、空気、又は空気と酸素との組み合わせとすることができる。不動態ガスの流速は、約0.1 L/min~約1 L/min、又は他の大きさ等の任意の流速とすることができる。プラズマトーチのチャンバー圧は、約0.05 MPa~約0.15 MPa等の任意の好適な圧力とすることができる。陽極電圧は、約5 kV~約7.5 kVとすることができる。RFプラズマシステムの周波数は、3 MHz、又は他の値とすることができる。陽極電流は、約2.5 A~約4.5 Aとすることができる。電力は、約15 kW~約35 kWとすることができる。プラズマトーチから供給ノズル又はプローブ位置までの距離は、調節又は変化させることができる。この距離は、0 cm、又は約0 cm、又は約0 cm~約8 cmとすることができる。距離が大きくなる程、出発粉末の表面蒸発が少なくなる。よって、出発タンタル粉末が非常に不規則な形状で、2超又は3超のアスペクト比を有する場合は、供給ノズルの距離を0 cmに近づけるという選択肢がある。出発タンタル粉末が約1.3~2のアスペクト比を有する等、より規則的な形状である場合は、供給ノズルの距離を、任意でプラズマトーチからより離すことができる。また、より不規則な形状の出発タンタル粉末を扱うために、より高いプラズマ粉末設定を使用することもできる。
【0061】
プラズマ処理した粉末を、任意で、回収すること、例えば、アルゴンのような不活性ガス等の保護雰囲気下で回収することができる。回収した粉末は、水槽を使用する等して、不動態化することができる。回収した粉末は、水槽に導入する(例えば、水槽に沈める)ことができる。
【0062】
タンタル球のタンタル表面に堆積したナノ材料等の小さい粒子を除去するために(例えば、球上の付随物及び他の遊離材料を除去するために)、回収した粉末に対して、任意で、超音波処理法又は他の粉末振動法を行うことができる。回収したタンタル球は、例えば、アルゴンのような不活性ガス等の保護ガス下で、任意で乾燥することができる。この乾燥は、任意の温度、例えば、50℃~100℃の温度で、10分~24時間、又は1時間~5時間等行うことができる。回収した粉末は、更なる使用のために、アルミニウムで裏打ちした帯電防止バッグ等の密封バッグに入れることができる。
【0063】
本発明で使用するプラズマ処理によって、出発タンタル粉末の粒度分布及び/又は他の形態を作り出す努力を、プラズマプロセスを出る完成タンタル粉末まで遂行することができる。他の方法によると、鋭端を除去するか、及び/又は表面粗さを除去するか、及び/又は出発タンタル粉末を球状にするか、若しくはより球状にすることを除いては、粒子のサイズを実質的に維持することができる。よって、出発タンタル粉末をプラズマ処理へと導入することに先立ち、望ましい粒度分布及び/又は他の粒子特性を達成する1以上の工程を、出発タンタル粉末に対して行うことができる。例えば、出発タンタル粉末の粒度分布は、そのD10及び/又はD90が、出発タンタル粉末のD50の50%以内、又は40%以内、又は30%以内、又は25%以内、又は20%以内、又は15%以内、又は10%以内、又は5%以下になるようなものとすることができる。
【0064】
プラズマ処理に導入する前の出発タンタル粉末に、1以上の篩分け工程又は他の粒子スクリーニング工程を行って、例えば、上述の粒度分布を得たり、又は他の篩分をカットしたりすることができる。他の篩分のカットとしては、例えば、200以下のメッシュカット、225以下のメッシュカット、250以下のメッシュカット、275以下のメッシュカット、300以下のメッシュカット等(メッシュはUSメッシュサイズである)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0065】
プラズマ処理前の出発タンタル粉末は、以下の粒径範囲の1つを有することができる:平均粒径を、約0.5ミクロン~約10ミクロン、又は約5ミクロン~約25ミクロン、又は約15ミクロン~約45ミクロン、又は約35ミクロン~約75ミクロン、又は約55ミクロン~約150ミクロン、又は約105ミクロン~約250ミクロンとすることができる。
【0066】
タンタル粉末を作製するプロセスにおいて、出発タンタル粉末は、第1の粒度分布を有することができ、得られた(すなわち、完成した)タンタル粉末(例えば、プラズマ処理後)は、第2の粒度分布を有することができる。第1の粒度分布と、第2の粒度分布とは、互いに15%以内、互いに10%以内、又は互いに5%以内、又は互いに2.5%以内、又は互いに1%以内である。
【0067】
プラズマ処理に導入する前の出発タンタル粉末を、脱酸素処理して、タンタル粉末から酸素を除去することができる。
【0068】
プラズマ処理前の出発タンタル粉末を、分級又は篩分けして、様々なサイズを除去、例えば、20ミクロン未満、15ミクロン未満、10ミクロン未満、又は5ミクロン未満の粒子を除去することができる。
【0069】
プラズマ処理を出た後は、プラズマ処理済タンタル粉末に対して、1以上の後処理工程を行うことができる。
【0070】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済タンタル粉末を1つ以上の篩に通して、或る特定のサイズのプラズマ処理済タンタル粉末を除去することができる。
【0071】
例えば、1つの後処理工程として、超音波処理又は他の振動技術を用いて、タンタル球から不完全なものを除去することができる。例えば、プラズマ処理で得たタンタル球を、水槽に入れて、超音波処理し、タンタル球上のナノ材料を除去し、次いで、タンタル球を回収することができる。
【0072】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済タンタルに対して、任意で、少なくとも1つの脱酸素化工程、すなわち、「deox」工程を行うことができる。脱酸素化は、プラズマ処理済タンタルを、少なくとも1種の酸素ゲッターの存在下で、約500℃~約1000℃以上の温度にすることを含み得る。例えば、酸素ゲッターは、マグネシウム金属又はマグネシウム化合物とすることができる。マグネシウム金属は、板状、ペレット状、又は粉末状とすることができる。他の酸素ゲッター材料を使用することもできる。
【0073】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済タンタルに対して、任意で、1以上の熱処理工程又は徐冷工程を行うことができる。プラズマ処理済タンタルの熱処理工程に関して、この熱処理は、真空下又は不活性温度下で、従来の炉内で行うことができる。熱処理温度は、通常、少なくとも800℃、又は少なくとも1000℃、又は約800℃~約1450℃、又は約1000℃~約1450℃等である。任意の熱処理時間を用いることができるが、その例としては、少なくとも10分、少なくとも30分、約10分~約2時間以上が挙げられるが、これらに限定されるものではない。任意で、熱処理を1回以上行うことができ、これらは、同じ温度、同じ時間、又は異なる温度、及び/又は異なる熱処理時間であってもよい。熱処理を用いる場合には、熱処理後に、プラズマ処理済タンタルは、熱処理前に達成したホールフローレートを維持するか、又は該ホールフローレートの20%以内、又は10%以内、又は5%以内とすることができる。
【0074】
例えば、1つの後処理工程として、プラズマ処理済タンタルに対して、従来技術又は他の好適な方法を用いる等して、酸浸出を行うことができる。米国特許第6,312,642号及び米国特許第5,993,513号に記載の様々なプロセスは、例えば、本明細書において使用することができ、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。酸浸出は、主な酸として、強鉱酸、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等を含む酸水溶液を用いて行うことができる。また、フッ酸(例えば、HF)を少量(例えば、酸の全重量に対して、10重量%未満、又は5重量%未満、又は1重量%未満)で使用することができる。鉱酸濃度(例えば、HNO3濃度)は、酸溶液中、約20重量%~約75重量%の範囲とすることができる。酸浸出は、例えば、米国特許第6,312,642号に示されるような酸組成物及び技術を用いて、昇温下(室温超~約100℃)又は室温下で行うことができる。酸浸出工程は、典型的に、標準大気条件下(例えば、約760 mm Hg)で行われる。上述のような従来の酸組成物及び圧力条件を使用して行う酸浸出工程により、これらの条件に合わせて、脱酸素化粉末から可溶性金属酸化物を除去することができる。
【0075】
プラズマ処理済タンタルを、任意で窒素ドープすることができる。窒素に関して、該窒素は、気体、液体、又は固体等の任意の状態であってもよい。本発明の粉末は、ドーパントとして存在するか、又は他の形態で存在する窒素を任意の量で有することができる。窒素は、結晶形態及び/又は固溶体形態で、任意の割合で存在することができる。窒素ドープレベルは、5 ppm~5000 ppm以上とすることができる。
【0076】
本発明のプラズマ処理済タンタルは、多くの方法において使用することができる。例えば、プラズマ処理済タンタルは、3D印刷とも呼ばれる積層造形法又は積層造形プロセスに使用して、物品、又は物品の部品を形成することができる。本発明のプラズマ処理済タンタル粉末は、金属粉末を使用できるプロセス又は装置において使用することができる。本発明のプラズマ処理済粉末によって、積層造形の実施が容易となる。それに加えて、又はそれに替えて、本発明のプラズマ処理済粉末によって、積層造形装置に対する粉末の供給が改良され、及び/又は、印刷装置にプログラムされた設計によって、より精密な物品が得られる。
【0077】
本発明のプラズマ処理済タンタル粉末を利用することができる積層造形プロセスとしては、レーザー粉末床溶融、電子ビーム粉末床溶融、指向性エネルギー堆積、粉末若しくはワイヤーを介したレーザークラッディング、材料噴射、シート積層、又は液槽光重合が挙げられる。
【0078】
これらの積層造形プロセスには、レーザー金属溶融、レーザー焼結、金属レーザー溶融、又は直接金属印刷、又は直接金属レーザー焼結と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、高出力のレーザービームを粉末床上に走査して、レーザービームの経路において粉末を必要な形状に焼結する。各層後、粉末床を短い距離だけ降下させ、新しい粉末層を適用する。プロセス全体を、不活性(例えば、アルゴン)又は活性の制御ガス雰囲気を有する密閉チャンバーで行い、材料/製品の性質を微調整する。
【0079】
上記の積層造形プロセスには、レーザー金属蒸着(LMD)又はニアネットシェイプと呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、ロボット又はガントリーシステムに接続した高出力のレーザービームを使用して、粉末又は金属ワイヤーを供給する溶融プールを金属基板上に形成する。LMDにおいては、粉末はキャリアガスに含有されており、レーザービームと同心のノズルを介して基板に向けられる。代替的には、ワイヤーを側面から供給してもよい。粉末又はワイヤーを溶融して溶融池を形成し、この溶融池が基板に接着し、層ごとに成長する。レーザービームと同心の追加のガスジェットによって、更なるシールド又はプロセスガス保護を提供することができる。
【0080】
上記の積層造形プロセスには、金属粉末を溶融して、層ごとに3D形状を形成するガスメタルアーク溶接技術及びプラズマ溶接技術と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、アーク中、電極溶融物として金属ワイヤーを添加し、その液滴が基板上に層を成す。積層造形において使用する大部分の材料の熱感度を考慮すると、制御短絡金属移行等の低入熱のプロセスが好ましい。シールドガスによって、周囲空気から層を保護する。
【0081】
プラズマ積層造形は、レーザー金属蒸着と類似しており、粉末をガス流において基板へと誘導し、プラズマ加熱により溶融させる。
【0082】
上記の積層造形プロセスには、溶射と呼ばれるものがある。このプロセスにおいては、溶融加熱した粉末粒子又は溶融ワイヤーから得た液滴を、ガス流において基板へと加速させ、運動エネルギー及び熱によって局所的な接着を確保する。積層造形において使用する場合、溶射を層ごとに適用し、幾何学的な複雑さのない部品、例えば、チューブ又はレデューサー(reducer)を構築する。プロセスガスは、周囲雰囲気ガスから熱い材料を保護し、材料の性質を微調整するのに役立つ。
【0083】
上記の積層造形プロセスには、電子ビーム溶融、又は真空中で電子ビームを使用した粉末床溶融プロセスと呼ばれるものがある。このプロセスは、レーザー焼結と類似している。
【0084】
物品を形成するのに使用する積層造形装置又はプロセスは、以下の設定の1つ以上を有することができる:150 W~約175 W、又は155 W~165 Wのレーザー出力;約100 mm/s~約500 mm/s、例えば、約300 mm/s~約400 mm/sの走査速度;約30ミクロン~約100ミクロン、例えば、約80ミクロン~約90ミクロンのハッチ間隔;約10ミクロン~約50ミクロン、例えば、約30ミクロン~約40ミクロンの層厚さ;及び/又は、約3 J/mm2~約20 J/mm2、例えば、約4 J/mm2~約6 J/mm2のエネルギー密度。場合により、熱入力を低減する、及び/又は、熱応力を最小限にする、及び/又は、部品変形を最小限にするために、最大レーザー設定よりも低いものを利用してもよい。
【0085】
積層造形においては、タンタルベースプレートを利用することが好ましいが、ステンレス鋼又はステンレス鋼合金等の他のベースプレートを使用することもできる。タンタルベースプレートによって、部品とベースプレートとの熱膨張係数(CTE)の差及び/又は熱伝導率の差を最小限にすることができる。その効果により、部品における残留熱応力を最小限にすることができ、及び/又は、プレートから部品が浮き上がるのを防ぐことができる。
【0086】
本発明のタンタル粉末を用いて、積層造形プロセスを利用することにより、本発明のタンタル粉末から形成された物品が望ましい引張特性を達成できることが発見された。物品を、約800℃~約2000℃の温度等で(例えば、10分~10時間、又は30分~3時間、又は1時間~2時間)徐冷すると、これらの特性の1つ以上を高めることができる。
【0087】
積層造形(AM)物体又は物品の形成において、本発明により以下の性質の1つ以上を達成することができる。最大引張強度(UTS)は、同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%又は少なくとも100%大きいものとすることができる。UTSは、50 KSI超、70 KSI超、80 KSI超、又は90 KSI超、例えば、約50 KSI~約100 KSIとすることができる。降伏応力は、同じ形状を有する加工Taよりも少なくとも50%又は少なくとも100%大きいものとすることができる。降伏応力は、35 KSI超、40 KSI超、50KSI超、又は80 KSI超、例えば、約35 KSI~約90 KSIとすることができる。本発明の徐冷済AM物品は、降伏応力の向上を示した。本発明の徐冷済AM物品は、UTSを損なうことなく、降伏応力の向上を示した。伸びは、約1%~約50%、例えば、約3%~40%、又は5%~35%とすることができる。本発明の徐冷済AM物品は、伸びの向上を示した。本発明によって、許容可能及び/又は良好なUTS、降伏応力、及び伸びのバランスが可能となる。
【0088】
積層造形において利用されるプラズマ処理済タンタル粉末によって、様々な物品が可能となり、その物品の品質及び精度は優れたものとなり得る。例えば、物品は、整形外科用インプラント、又は他の医療用インプラント、又は歯科用インプラントとすることができる。整形外科用インプラントは、手、足首、肩、臀部、膝、骨、関節全再建(関節形成)、頭部顔面再建、又は脊椎、又は人間の体若しくは動物の体の他の部分の代わりになるものとすることができる。歯科用インプラントは、顔面再建のためのものとすることができ、顔面再建には、下顎又は上顎が含まれるが、これらに限定されるものではない。医療用インプラント又は歯科用インプラントは、ヒト、及び、イヌ又はネコ等の他の動物において、有用である。
【0089】
物品は、物理蒸着プロセスにおいて使用されるコイルセットのボス等のボスとすることができる。ボスは、連続気泡構造と、中実構造とを含むことができる。
【0090】
物品は、金属蒸着プロセスにおいて使用する、スパッタリングターゲット、又はその部分、又はスパッタリングターゲット等を保持するのに使用する構造体等の任意の物品とすることができる。例えば、物品は、物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品とすることができる。
【0091】
選択肢として、プラズマ処理済タンタル粉末を更に処理して、コンデンサ電極(例えば、コンデンサ陽極)を形成することができる。これは、例えば、プラズマ処理済粉末を圧縮してプレス体を形成し、プレス体を焼結して多孔質体を形成し、多孔質体を陽極酸化することによって行うことができる。粉末のプレスは、任意の常法、例えば、粉末を金型に入れ、この粉末をプレスにより圧縮することによって、例えば、プレス体、すなわち、圧粉体を形成すること等によって、達成することができる。様々なプレス密度を用いることができ、プレス密度としては、約1.0 g/cm3~約7.5 g/cm3が挙げられるが、これに限定されるものではない。粉末は、任意の常法によって、焼結、陽極酸化、及び/又は電解質を含浸することができる。例えば、米国特許第6,870,727号、米国特許第6,849,292号、米国特許第6,813,140号、米国特許第6,699,767号、米国特許第6,643,121号、米国特許第4,945,452号、米国特許第6,896,782号、米国特許第6,804,109号、米国特許第5,837,121号、米国特許第5,935,408号、米国特許第6,072,694号、米国特許第6,136,176号、米国特許第6,162,345号、及び米国特許第6,191,013号に記載の焼結技術、陽極酸化技術、及び含浸技術を本明細書において使用することができる。これらの特許は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。焼結陽極ペレットは、例えば、粉末に対して上記したのと同様のプロセスで脱酸素化することができる。陽極酸化した多孔質体に、更に硝酸マンガン溶液を含浸させ、焼成して、多孔質体上に酸化マンガン膜を形成することができる。湿式弁金属コンデンサでは、その筐体と併用して陰極として液体電解質を用いることができる。硝酸マンガンを二酸化マンガンに熱分解することにより、陰極プレートが適用され得る。ペレットを、例えば、硝酸マンガン水溶液に浸漬し、次いで、炉中、約250℃又は他の適切な温度で焼成して、二酸化マンガン膜を生成することができる。硝酸塩の比重を変えながらこのプロセスを数回繰り返し、ペレットの全ての内表面及び外表面に薄膜を作り上げることができる。次いで、ペレットを、任意で、黒鉛及び銀に浸漬して、二酸化マンガン陰極プレートとの接続を高めることができる。例えば、陰極の表面に炭素が析出することにより、電気的な接続を達成することができる。次いで、炭素を導電性材料で被覆して、外部陰極端子との接続を容易にすることができる。この点から、コンデンサのパッケージングは常法によって行うことができ、このパッケージングとしては、例えば、チップ製造、樹脂封止、金型成形、リード線等が挙げられる。
【0092】
陽極形成の一部として、例えばカンファー(C10H16O)等のバインダーを、例えば粉末を100重量%として3重量%~5重量%の量で、粉末に添加することができ、混合物を型に投入し、圧縮成形し、圧縮状態のまま、0.3時間~1時間、1000℃~1400℃で加熱することにより焼結することができる。このような成形方法によって、焼結多孔質体からなるペレットを得ることが可能となる。
【0093】
上述の成形プロセスを用いて得たペレットをコンデンサ陽極として採用する場合、粉末を圧縮成形する前に、リード線をペレットと一体化するために、粉末中にリード線を埋め込むことが好ましい。
【0094】
上述のペレットを用いて、コンデンサを製造することができる。陽極を備えたコンデンサは、ペレットの表面、陽極に面する陰極、及び陽極と陰極との間に配置した固体電解質層を酸化することによって得ることができる。
【0095】
陰極に、陰極端子を、半田付け等により接続する。また、陽極と、陰極と、固体電解質層とから構成される部材の周囲に樹脂外殻を形成する。陰極を形成するのに使用する材料の例としては、黒鉛、銀等が挙げられる。固体電解質層を形成するのに使用する材料の例としては、二酸化マンガン、酸化鉛、導電性ポリマー等が挙げられる。
【0096】
ペレットの表面を酸化する場合、例えば、40 mA/g~120 mA/gの電流密度で、20 V~60 Vまで電圧を上げることによって、0.1重量%の濃度を有する硝酸、リン酸等の電解質溶液中で、30℃~90℃の温度で1時間~3時間ペレットを処理することを含む方法を用いることができる。そのような時間で酸化された部分に誘電体酸化膜が形成される。
【0097】
上述のように、本発明のプラズマ処理済タンタルは、コンデンサ陽極(例えば、湿式陽極又は固体陽極)を形成するのに使用することができる。コンデンサ陽極及びコンデンサ(湿式電解コンデンサ、固体コンデンサ等)は、例えば、米国特許第6,870,727号、米国特許第6,813,140号、米国特許第6,699,757号、米国特許第7,190,571号、米国特許第7,172,985号、米国特許第6,804,109号、米国特許第6,788,523号、米国特許第6,527,937号、米国特許第6,462,934号、米国特許第6,420,043号、米国特許第6,375,704号、米国特許第6,338,816号、米国特許第6,322,912号、米国特許第6,616,623号、米国特許第6,051,044号、米国特許第5,580,367号、米国特許第5,448,447号、米国特許第5,412,533号、米国特許第5,306,462号、米国特許第5,245,514号、米国特許第5,217,526号、米国特許第5,211,741号、米国特許第4,805,704号、及び米国特許第4,940,490号(これら全ての文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす)に記載された任意の方法で形成することができ、及び/又は、これらの文献に記載の部材/設計の1つ以上を有することができる。粉末は、通常、圧粉体へと成形し、焼結して焼結体を形成することができ、焼結体を従来技術により陽極酸化することができる。本発明に従って製造した粉末から作製されるコンデンサ陽極は、漏電特性が改良していると考えられる。本発明のコンデンサは、自動車エレクトロニクス、携帯電話、スマートフォン、モニター、マザーボード等のコンピュータ、TV及びCRTを含む家電エレクトロニクス、プリンター/コピー機、電源、モデム、ノート型パソコン、及びディスクドライブ等の様々な最終用途で使用することができる。
【0098】
以下、出発タンタル粉末、プラズマ処理済タンタル粉末、タンタル粉末から形成される構成要素の更なる詳細を説明する。この更なる詳細は、本発明の選択的な態様を更に成す。
【0099】
本発明の方法によると、以下を有することができるタンタル粉末を作製することができる:
a)約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度、
b)約5ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約50ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約100ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.05 m2/g~約20 m2/gのBET表面積。
タンタル粉末は、以下の性質の少なくとも1つを有することができる:
a)約9 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度、
b)約12ミクロン~約25ミクロンのD10粒径、
c)約20ミクロン~約40ミクロンのD50粒径、
d)約30ミクロン~約70ミクロンのD90粒径、及び/又は、
e)約0.1 m2/g~約15 m2/gのBET表面積。
【0100】
本発明の目的のために、これらの性質の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は5つ全ての性質が存在することができる。
【0101】
本発明の少なくとも1つの実施形態においては、プラズマ処理済タンタル粉末(又は出発タンタル粉末)、又は本発明のタンタル粉末によって形成した任意の物品は、以下の特性を有することができるが、この粉末又は物品はこれらの範囲外の特性を有することもできると理解される:
純度レベル:
酸素含量は、約20 ppm~約60000 ppm、又は約100 ppm~約60000 ppm、例えば、約20 ppm~約1000 ppm、又は約40ppm~約500 ppm、又は約50 ppm~約200 ppm、又は約250 ppm~約50000ppm、又は約500 ppm~約30000 ppm、又は約1000 ppm~約20000 ppmである。BET(m2/g)に対する酸素(ppm)の割合は、約2000~約4000、例えば、約2200~約3800、約2400~約3600、約2600~約3400、又は約2800~約3200等とすることができる。
炭素含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約10 ppm~約50 ppm、又は約20ppm~約30 ppmである。
窒素含量は、約5 ppm~約20000 ppm、又は約100ppm~約20000 ppm以上であり、より好ましくは約1000ppm~約5000 ppm、又は約3000 ppm~約4000 ppm、又は約3000 ppm~約3500 ppmである。
水素含量は、約1 ppm~約1000 ppm、約10ppm~約1000 ppmであり、より好ましくは約300ppm~約750 ppm、又は約400 ppm~約600 ppmである。
鉄含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約20 ppmである。
ニッケル含量は、約1 ppm~約150 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約100 ppm、又は約25ppm~約75 ppmである。
クロム含量は、約1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約5ppm~約20 ppmである。
ナトリウム含量は、約0.1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約0.5 ppm~約5 ppmである。
カリウム含量は、約0.1 ppm~約100 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約50 ppm、又は約30ppm~約50 ppmである。
マグネシウム含量は、約1 ppm~約50 ppmであり、より好ましくは約5 ppm~約25 ppmである。
リン(P)含量は、約1 ppm~約500ppm、又は約5 ppm~約500 ppmであり、より好ましくは約100 ppm~約300 ppmである。
フッ化物(F)含量は、約1 ppm~約500ppmであり、より好ましくは約25 ppm~約300 ppm、又は約50 ppm~約300 ppm、又は約100ppm~約300 ppmである。
【0102】
プラズマ処理済粉末(又は出発タンタル粉末)(一次、二次、又は三次)は、メッシュサイズに基づき、以下のような(全体の%に対する)粒度分布を有することができる:
+60#が、約0.0%~約1%、好ましくは約0.0%~約0.5%、より好ましくは0.0%又は約0.0%である。
60/170が、約45%~約70%、好ましくは約55%~約65%、又は約60%~約65%である。
170/325が、約20%~約50%、好ましくは約25%~約40%、又は約30%~約35%である。
325/400が、約1.0%~約10%、好ましくは約2.5%~約7.5%、例えば、約4%~約6%である。
-400が、約0.1%~約2.0%、好ましくは約0.5%~約1.5%である。
【0103】
粉末は、焼結温度1150℃で10分間、化成温度60℃及びプレス密度4.5 g/cc及び化成電圧6 Vで、陽極に成形した場合、約20000 CV/g~約800000 CV/g、例えば、約100000 CV/g~約300000 CV/g、又は約150000 CV/g~約400000 CV/gの静電容量を有する。また、リーク電流は20 nA/μFV未満とすることができ、約2.5 nA/μFV~約15 nA/μFV、又は約3.0 nA/μFV~約10 nA/μFVとすることができる。この静電容量及び/又はリーク電流の値又は範囲は、1200℃又は1250℃の焼結温度で10分間、及び/又は、5ボルト~16ボルトの化成電圧であっても得られる。また、静電容量及びリーク電流の範囲内の任意の個々の値を、本発明の目的のために使用することができる。
【0104】
本発明のプラズマ処理済タンタル粉末は、単峰性、又は二峰性等の多峰性であり得る細孔径分布を有することもできる。
【0105】
本発明のプラズマ処理済タンタル粉末は、約0.01 m2/g~約20 m2/g、より好ましくは約0.05 m2/g~約5 m2/g、例えば、約0.1 m2/g~約0.5 m2/gのBET表面積を有することができる。
【0106】
上述したように、出発タンタル粉末は、タンタル粉末を得るのに用いられる様々なプロセスによって得ることができる。上述の通り、プラズマ処理する出発タンタル粉末は、原料タンタル粉末とすることができる。原料タンタル粉末(例えば、基本ロット粉末)は、少なくとも0.1 m2/g、又は少なくとも0.5 m2/gの表面積を有する粉末を提供することのできるプロセスによって得ることができるか、又は製造することができる。この点、任意のタンタル粉末を使用することができる。原料タンタル製造プロセスの具体例としては、ナトリウム/ハロゲン化物フレームカプセル化(sodium/halideflame encapsulation)(SFE)、フッ化タンタル酸カリウムのナトリウム還元プロセス、酸化タンタルのマグネシウム還元プロセス、五塩化タンタルの気相水素還元プロセス、及び金属タンタルの粉砕プロセスが挙げられる。SFEプロセスでは、気相ナトリウムを、ガス状ハロゲン化タンタル等のガス状金属ハロゲン化物と反応させて、エアロゾルコア材料及び塩を製造する。本発明の原料タンタル粉末の調製に適用可能な、SFEプロセスに採用される技術は、米国特許第5,498,446号及び米国特許第7,442,227号に記載されており、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。Barr, J. L.らによる「Processingsalt-encapsulated tantalum nanoparticles for high purity, ultra high surfacearea applications」J. Nanoparticle Res. (2006), 8:11-22も参照のこと。米国特許第5,498,446号のSFEプロセスによる金属粉末の製造に採用される化学構造の例としては、以下のものが挙げられ、式中、「M」はTa等の金属を指す:MClx+XNa+Inert→M+XNaCl+Inert。この化学構造において、反応物質MClxとして使用することができるハロゲン化タンタルの例としては五塩化タンタルが挙げられ、Inertガス及びキャリアガスとしてアルゴンガスを使用することができる。初期には、気相に塩が残ったまま、火炎によってコア粒子(例えば、Ta)が製造され、凝集することによって成長する。熱損失した塩がコア粒子上に凝縮し、塩カプセル化粒子が成長するにつれて、非被覆コア粒子が塩粒子によって捕捉されていく。塩カプセルによって、サイズ及び形態の制御が可能となり、プラズマ処理済タンタル粉末の製造において使用する前の保管及び取り扱いの際に、酸化及び/又は加水分解等からコア粒子を保護することができる。カプセルは、プラズマ処理済タンタル粉末の製造にタンタル粉末を使用する前に、真空昇華及び/又は水洗等の既知の方法で除去することができる。
【0107】
出発タンタル粉末は、代替的に、フッ化タンタル酸ナトリウムの希釈塩等のタンタル塩のナトリウム還元、又は他の化学処理法、又はインゴット処理法によって得ることもできる。
【0108】
原料又は出発タンタル粉末は、1 nm~約500 nm、又は10 nm~300 nm、又は15 nm~175nm、又は20 nm~150 nm、又は25 nm~100 nm、又は30 nm~90 nm、又は他のサイズの範囲の平均粒径を有する一次粒子を含んでもよい。一次粒子の平均粒径及び粒度分布は、調製法に依存し得る。一次粒子は、一次粒子よりも粒径の大きな塊(clusters oragglomerates)を形成する傾向を有し得る。原料又は出発タンタル粉末粒子の形状としては、フレーク状、角状、団塊状、若しくは球状、及びこれらの任意の組み合わせ、又はこれらの変化形を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明を実施するのに使用する原料粉末は、タンタル金属に関して、任意の純度を有することができるが、純度はより高い方が好ましい。例えば、原料又は出発粉末のタンタル純度(例えば、重量%)は、95%Ta以上、又は99%Ta以上、例えば、約99.5%Ta以上、より好ましくは99.95%Ta以上、更に好ましくは99.99%Ta以上、又は99.995%Ta以上、又は99.999%Ta以上とすることができる。
【0109】
本発明のプラズマ処理済タンタル粉末製造プロセスの一部として、プラズマ処理の前後の任意の段階で、空気等の酸素含有ガスを用いて、タンタル粉末を不動態化することができる。不動態化は、典型的には、処理の際、かつ、粉末を使用した焼結体形成の前に、粉末上に安定した酸化物膜を形成するために用いられる。そのため、本発明の粉末製造プロセスは、水素ドープ及び不動態化操作を含み得る。
【0110】
タンタル粉末の不動態化は、任意の好適な方法によるものとすることができる。不動態化は、任意の好適な容器、例えば、レトルト、炉、真空チャンバー、又は真空炉において達成することができる。不動態化は、熱処理、脱酸素化、窒化、脱油化(delubing)、造粒、ミリング、及び/又は焼結等の金属粉末の処理に使用した任意の設備において達成することができる。金属粉末の不動態化は、真空下で達成することができる。不動態化は、特定のガス圧まで、酸素含有ガスで容器を充填すること、及び特定の時間、容器内でガスを保持することを含み得る。粉末の不動態化に用いられるガスの酸素含量レベルは、1重量%~100重量%、又は1重量%~90重量%、又は1重量%~75重量%、又は1重量%~50重量%、又は1重量%~30重量%、又は20重量%~30重量%、又は空気若しくは大気と同じか、それ以上の酸素含量、又は他の含量レベルとすることができる。酸素を、窒素、アルゴン、若しくはこれらの組み合わせ等の不活性ガス、又は他の不活性ガスと組み合わせて使用することができる。不活性ガスは、不動態化プロセスの際に、タンタルと反応しない。窒素ガス及び/又はアルゴンガス等の不活性ガスは、酸素を除く不動態化ガスの残りの部分の全て又は本質的に全て(例えば、98%超)を構成し得ることが好ましい。空気を、不動態化ガスとして使用することができる。空気とは、大気又は乾燥空気を指し得る。乾燥空気の組成は、典型的には、窒素(約75.5重量%)、酸素(約23.2重量%)、アルゴン(約1.3重量%)、及び全量で約0.05%未満の残部である。乾燥空気における水素含量レベルは、約0.00005体積%である。
【0111】
米国特許第7,803,235号に開示された技術から、不動態化プロセスに採用し得る追加的な技術を適用することができる。該文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0112】
タンタル含有塩は、フッ化タンタル酸カリウム等の、タンタルを含有することができる任意の塩とすることができる。反応容器内で塩をタンタル及び第2の塩に還元することができる薬剤に関して、この還元を実行することができる薬剤としては、タンタル含有塩をちょうど金属タンタルと他の成分(例えば、塩(複数の場合もある))とに還元する能力を有する任意の薬剤が挙げられる。他の成分は、例えば、塩を水又は他の水源に溶解させることによって、金属タンタルから分離することができるものである。この薬剤はナトリウムであることが好ましい。他の例としては、リチウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、炭素、一酸化炭素、イオン化水素等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。典型的には、タンタル含有塩の還元中に形成される第2の塩は、フッ化ナトリウムである。本用途を考慮して、本発明に適用することができる還元プロセスの詳細は、Kirk-OthmerのEncyclopedia of ChemicalTechnology, 3rd Edition, Vol 22, pp. 541-564、米国特許第2,950,185号、米国特許第3,829,310号、米国特許第4,149,876号、及び米国特許第3,767,456号に記載されている。タンタル処理の更なる詳細は、米国特許第5,234,491号、米国特許第5,242,481号、及び米国特許第4,684,399号に見ることができる。これら全ての特許及び文献は、その全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0113】
上で説明したプロセスは、タンタル鉱石等の低純度タンタルから始めることのできる多段プロセスに含むことができる。実質的にタンタルと共に存在し得る不純物の1つとして、ニオブが挙げられる。この段階での他の不純物としては、タングステン、シリコン、カルシウム、鉄、マンガン等が挙げられる。より詳細には、タンタルと不純物とを有する低純度タンタルを酸溶液と混合することによって、低純度タンタルを精製することができる。低純度タンタルが鉱石として存在する場合、酸溶液と混合する前に、まず、破砕しなければならない。酸溶液は、特に高温で混合する場合には、タンタルと不純物の全てを実質的に溶解することができなければならない。
【0114】
酸溶液が、タンタルと不純物とを含有する固形物の全てでなくても、実質的に全てを溶解するのに十分な時間が経過したらすぐに、固液分離を行うことができ、固液分離では、通常、未溶解のいかなる不純物も除去する。液液抽出によって、溶液を更に精製する。タンタルに富む溶液に接触させるのに、メチルイソブチルケトン(MIBK)を使用することができ、脱イオン水を添加して、タンタル留分を生成することができる。次いで、液槽を用いて、少なくともタンタルを含有する液体から塩を析出させる。典型的には、この塩は、フッ化タンタル酸カリウム塩である。より好ましくは、この塩はK2TaF7である。次いで、この塩を、1)タンタル、及び2)上述の第2の塩へ還元することのできる薬剤と反応させる。この化合物は、典型的には、純粋ナトリウムであり、その反応は上述の反応容器中で行う。上述のとおり、副生成物である第2の塩は、この塩を水源に溶解し、溶解した塩を洗浄することによって、タンタルから分離することができる。
【0115】
本発明を以下の実施例により更に明らかにするが、これは本発明を純粋に例示するものであることが意図される。
【実施例0116】
実施例1
市販のKTa2F7(KTAF)とナトリウムとを使用して、標準工業プロセスを利用するKTAFのナトリウム還元を用いて、タンタル粉末を得た。副生成塩は、洗浄工程、及び酸浸出工程、及び乾燥工程によって除去した。得られたタンタル粉末は、約0.1 m2/gのBET表面積を有していた。このタンタルは、基本ロットタンタル粉末とした。図1Aに、この出発タンタル粉末のSEM画像を示す。出発タンタル粉末を、3つの粉末ロット、すなわち、ロットA、ロットB、及びロットCに分割し、以下の通り、各々別々に、プラズマ処理した。
【0117】
次いで、基本ロットタンタル粉末をプラズマ処理した。特に、基本ロットタンタル粉末をフィーダーに導入することにより、該基本ロットタンタル粉末を球状化した。フィーダーは、プラズマ球状化反応器(カナダのTekna社のTEK15)へと粉末をエアロゾル散布するアルゴン供給機(5 LPM)を備えていた。粉末の供給速度は、フィーダーを調節することにより、0.75kg/hrに維持した。エアロゾル化した粉末を、プラズマ反応器のプラズマ熱源に導入した。プラズマ反応器は、同心管を用いる米国特許第5,200,595号及び国際公開第92/19086号に記載された設計を使用した誘導プラズマトーチを備えていた。粉末を球状化するのに使用するプラズマエネルギーは、陽極電圧を6.5 V、陽極電流を2.3 A、及び格子電流を0.4 Aに設定した場合に、15 KWであった。キャリアガス流速を5 LPM、シースガス流速を30 LPM、中心ガス流速を10 LPM、及びノズルガス流速を1 LPMに設定して、アルゴンガス流を用いて反応器を不活性化した。水素ガスを(4 LPMの流速を用いて)添加することにより、プラズマ強度を高めた。運転条件を表1にまとめる。プラズマトーチに導入した基本ロットタンタル粉末は、少なくとも部分的に溶融し、次いで球状化した。タンタル液滴は、プラズマトーチから下流へと運ばれ、そこで、プラズマ反応器上の活性水冷ジャケットによって急冷した。この例では、冷却した球状タンタル粉末が、重力によって、プラズマ反応器の底部に落下し、球状粉末をアルゴンガスブランケット下で回収し、水槽内で不動態化した。水に入れてすぐ、スラリーを(150 W/gal.未満のエネルギーで)超音波処理して、球状粉末の表面に堆積している可能性のあるナノ材料を除去した。洗浄後のタンタル球を、次いで、アルゴン下、80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥粉末を、性質を試験するまで、Alで裏打ちした帯電防止バッグに充填した。
【0118】
不純物レベルの結果を表2に、粒度分布及び見掛け密度及びホールフローレートの結果を表3に示す。
【0119】
ロットAのプラズマ処理済粉末のSEM画像を図1Bに示す。
【0120】
ロットA、ロットB、及びロットCの各々において、アスペクト比は約1.0~1.1であった。
【0121】
【表A】
【0122】
実施例2
この例では、実施例1と同様の基本ロットタンタル粉末(ナトリウム還元粉末)を使用した。この基本ロットタンタル粉末は、0.1 m2/gのBET表面積を有していた。基本ロットタンタル粉末をプレスし、約1000℃の焼結温度で、1時間、圧粉体ログへと焼結した。圧粉体ログを、電子ビーム炉へと供給し、そこで、坩堝を用いて金属を溶融した。金型を通して溶融物を延伸し、これにより、タンタルが凝固し、インゴットを形成した。水素雰囲気を有する高温炉を用いて、タンタルインゴットを水素化し、水素化後は室温まで冷却した。次いで、水素化したインゴットを(ジョークラッシャー、次いで、ロールクラッシャーを用いて)破砕し、-20 #の篩サイズ(size)にスクリーニングした。破砕後のインゴットを、望ましいサイズカット、すなわち、ロットAでは10ミクロン~25ミクロン(又は、ロットBでは35ミクロン~75ミクロン)にスクリーニングした。次いで、スクリーニング後の各ロット用の粉末を酸浸出した。次いで、粉末を、マグネシウムを用いて脱酸素化し、酸素レベルを500 ppm未満に低減した。この出発タンタル粉末のSEM画像を図2Aに示す。次いで、ロットA及びロットBを、各々別々に、実施例1と同様の方法で、プラズマ処理した。
【0123】
不純物レベルの結果を表4に、粒度分布及び見掛け密度及びホールフローレートの結果を表5に示す。
【0124】
ロットAのプラズマ処理済粉末のSEM画像を図2Bに示す。ロットA及びロットBの各々において、アスペクト比は約1.0~1.1であった。
【0125】
【表B】
【0126】
実施例3
実施例2のタンタル粉末を、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスに用いた。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。使用するベースプレートは、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼とした。
【0127】
この実験では、実施例2の球状化タンタル粉末は、レーザー粉末床溶融(L-PBF)印刷に十分であり、中実形態とメッシュ形態が交互になり、顕著な突出部を有しており、十分緻密な引張バー及び実証部品を製造した。具体的には、標準寸法(ASTM E8)に対して1 mm大きく引張バーを印刷し、このバーを、旋盤で最終寸法へと機械加工した。引張特性は、Instron社の4210引張試験機で測定した。引張バーの微細構造と硬度を分析した。微細構造の分析では、サンプルをエポキシに取り付け、ダイヤモンドソーで切断した。取り付けたサンプルを、研磨して酸でエッチングし、Unition社の金属顕微鏡Versamet 2で粒子の特性評価を行った。微小硬度を、AMH32ソフトウェアを備えたLECO社のLM700-AT試験機を用いて試験した。
【0128】
印刷パラメータ及びレーザーパラメータとしては、上述の好ましいパラメータを用いた。その結果、テスト造形物において、良好な突出部を有する99.5%超の密度が得られた。この実験では、目の粗いメッシュ部と中実部とが交互になったキューブ(25 mm×25 mm×25 mm)も印刷した。この実証部品では、連続気泡構造をうまく印刷する能力を有する高解像度(30 μm)の特徴部が示された。このメッシュ-中実交互構造は、積層造形される軽量の航空宇宙部品及び産業部品において必要とされることが多く、また、医療用インプラントにおいても骨性結合を向上させるのに必要とされる。
【0129】
本発明の引張バーは、加工したタンタルに比べて、降伏強度(YS)が高く、伸びがわずかに小さかった。徐冷後には、YSが低下することなく、伸び性が向上した。
【0130】
実施例4
この例では、実施例1と同様の基本ロットタンタル粉末(ナトリウム還元粉末)を使用した。この基本ロットタンタル粉末は、0.1 m2/gのBET表面積を有していた。基本ロットタンタル粉末をプレスし、2500℃~3000℃の焼結温度で、3時間、圧粉体ログへと焼結した。圧粉体ログを、電子ビーム炉へと供給し、そこで、坩堝を用いて金属を溶融した。金型を通して溶融物を延伸し、これにより、タンタルが凝固し、インゴットを形成した。水素雰囲気を有する高温炉を用いて、タンタルインゴットを水素化し、水素化後は室温まで冷却した。次いで、水素化したインゴットを(ジョークラッシャー、次いで、ロールクラッシャーを用いて)破砕し、-20 #の篩サイズ(size)にスクリーニングした。破砕後のインゴットを、望ましいサイズカット、すなわち、ロットA2及びロットD2では10ミクロン~25ミクロン、又はロットE2及びロットF2では15ミクロン~40ミクロン、又はロットB2、ロットC2では35ミクロン~105ミクロンにスクリーニングした。次いで、スクリーニング後の各ロット用の粉末を酸浸出した。次いで、各ロット用の粉末を、マグネシウムチップを用いて(700℃で2時間)脱酸素化し、酸素レベルを、表6に示すような全て1000 ppm未満の様々なレベルへと低減した。標準酸素不純物粉末(A2、D2)及び低酸素不純物粉末(B2、E2)を製造した。次いで、ロットA2~ロットF2を、各々別々に、実施例1と同様の方法で、プラズマ処理した。ロットC2及びロットF2に対しては、ロットB2及びロットE2において行った初期脱酸素化に加えて、球状化後に追加の脱酸素化(マグネシウムチップ、700℃、2時間)を行って(脱酸素化を2回)、超低酸素不純物粉末(ロットC2、ロットF2)を得た。A2、D2、B2、及びE2において酸素量が異なるのは、表7に示すように、各ロットの粒度分布によるものである。
【0131】
不純物レベルの結果を表6に、粒度分布及び見掛け密度及びホールフローレートの結果を表7に示す。
【0132】
ロットA2~ロットF2の各々において、アスペクト比は約1.0~1.1であった。
【0133】
【表C】
【0134】
実施例5
この例では、円筒形のバー又はロッドの形状を有するタンタル引張バーを数本作製した。これらのバー又はロッドは、その間に円筒形状を有する2つの平らな端面を有している。サンプル5.1は比較例であり、この例では、型内で、タンタル角状粉末(Global Advanced Metals USA, IncのKDELとして市販)を真空アーク溶融することによって加工タンタルバーを作製した。
【0135】
サンプル5.2として、KDELタンタル粉末からタンタル引張バーを形成した。この粉末を、約30000 psi~50000 psiの圧力で圧粉体ログへとプレスし、2500℃~3000℃の温度で3時間焼結して、焼結粉末冶金バーを形成した。その微細構造のSEM画像を図3に示す。
【0136】
また、以下に更に説明するように、タンタル粉末を、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスに使用した。具体的には、タンタル造形を、400Wの最大レーザー出力を有するレーザー粉末床溶融機mmにおいて行った。316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼及びTi合金(Ti-6V-4Al)を含む様々なベースプレートを使用した。
【0137】
この例では、実施例4の球状化タンタル粉末(様々なロット)をレーザー粉末床溶融(L-PBF)印刷に使用して、十分緻密な引張バーを形成した。具体的には、標準寸法(ASTME8)に対して1 mm大きく引張バーを印刷した。ロットA2の粉末を使用して、引張バーT1~引張バーT6を印刷し、ロットE2の粉末を使用して引張バーT13を印刷し、ロットF2の粉末を使用して引張バーT14を印刷した(表6参照)。これらのバーを旋盤で最終寸法へと機械加工した。引張特性は、Instron社の4210引張試験機で測定した。引張バーの微細構造と硬度を分析した。微細構造の分析(図3図10)では、サンプルをエポキシに取り付け、ダイヤモンドソーで切断した。取り付けたサンプルを、研磨して酸でエッチングし、Unition社の金属顕微鏡Versamet 2で粒子の特性評価を行った。微小硬度を、AMH32ソフトウェアを備えたLECO社のLM700-AT試験機を用いて試験した。
【0138】
十分緻密な部品を製造するために最適化した印刷パラメータ及びレーザーパラメータを使用した。その結果、テスト造形物において、良好な突出部を有する99.5%超の密度が得られた。この実験では、目の粗いメッシュ部と中実部とが交互になったキューブ(25 mm×25 mm×25 mm)も印刷した。この実証部品では、連続気泡構造をうまく印刷する能力を有する高解像度(30 μm未満)の特徴部が示された。このメッシュ-中実交互構造は、軽量の航空宇宙部品及び産業部品において必要とされることが多く、また、医療用インプラントにおいても骨性結合を向上させるのに必要とされる。
【0139】
サンプル5.3(表8中のサンプルT1)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。ベースプレートとしては、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼を使用した。サンプル5.3では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した(図11参照)。これは、完成の際に、平坦な1つの端面がサポートプレートのベースとなって、バー又はロッドが直立するように、ベースプレート上に平坦な端面を形成し、円筒体を真っ直ぐ形成することを意味する。サンプル5.3は、印刷後にいかなる熱処理も行わなかった。その微細構造のSEM画像を図4に示す。
【0140】
サンプル5.4(表8中のサンプルT2)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。ベースプレートとしては、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼を使用した。サンプル5.4では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した。サンプル5.4は、印刷後、空気炉において850℃で1時間熱処理(応力緩和)を行った。その微細構造のSEM画像を図5に示す。
【0141】
サンプル5.5(表8中のサンプルT4)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。ベースプレートとしては、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼を使用した。サンプル5.5では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した。サンプル5.5は、印刷後、空気炉において1300℃で1時間熱処理(応力緩和)を行った。その微細構造のSEM画像を図6に示す。
【0142】
サンプル5.6(表8中のサンプルT5)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。ベースプレートとしては、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼を使用した。サンプル5.6では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した。サンプル5.6は、印刷後、空気炉において1700℃で2時間熱処理(応力緩和)を行った。その微細構造のSEM画像を図7に示す。
【0143】
サンプル5.7(表8中のサンプルT6)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、直径100 mm×100 mmの造形容積、及び175 Wの最大レーザー出力で、Trumpf TruPrint 1000において行った。ベースプレートとしては、316型のオーステナイト系クロムニッケルステンレス鋼を使用した。サンプル5.7では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した。サンプル5.7は、印刷後、空気炉において2000℃で2時間熱処理(応力緩和)を行った。その微細構造のSEM画像を図8に示す。
【0144】
サンプル5.8(表8中のサンプルT13)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、250 mm×250 mm×325 mmの造形容積、及び400 Wの最大レーザー出力で、EOS M290において行った。ベースプレートとしては、チタン合金(Ti-6Al-4V)を使用した。サンプル5.8では、円筒形のバー又はロッドをz方向に印刷した。サンプル5.8は、印刷後、いかなる熱処理も行わなかった。その微細構造のSEM画像を図9に示す。
【0145】
サンプル5.9(表8中のサンプルT14)として、3D印刷プロセス、すなわち、積層造形プロセスでタンタル引張バーを形成した。具体的には、タンタル造形を、250 mm×250 mm×325 mmの造形容積、及び400 Wの最大レーザー出力で、EOS M290において行った。ベースプレートとしては、チタン合金(Ti-6Al-4V)を使用した。サンプル5.9では、円筒形のバー又はロッドをx方向に印刷した。サンプル5.9は、印刷後、いかなる熱処理も行わなかった。その微細構造のSEM画像を図10に示す。
【0146】
各サンプルの更なる詳細を以下の表8に示す。さらに、引張特性をInstron社の4210引張試験機で測定した。
【0147】
表8から分かるように、本発明のサンプル5.3~サンプル5.9は、サンプル5.1及びサンプル5.2に比べて、(ビッカース)硬度が著しく高かった。さらに、表8の結果から、3D印刷方向(x方向、又はy方向、又はz方向)、及び/又は、どのようにして熱処理(応力緩和)するか、及び/又は、粉末の酸素含量によって、引張強度、降伏強度、及び伸びがどのように変化し得るかが分かる。
【0148】
本発明の引張バーは、高酸素供給粉末において、加工したタンタル及び焼結バーと比べて(表8)、降伏強度(YS)が高く、伸びがわずかに小さかった。徐冷後には、YSが低下することなく、伸び性が向上した(T4~T6)。酸素不純物を低減することによって(T14)、UTSを実質的に低下させることなく、伸びが著しく向上した。T14の伸びデータは、延性破壊モードに特有のカップコーン破断面を示していた(図10)。
【0149】
【表D】
【0150】
本発明は以下の態様/実施形態/特徴を任意の順序及び/又は任意の組み合わせで包含する。
1.
a.1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除くタンタル粉末の全重量に対して、少なくとも99.99重量%Taのタンタル純度を有し、
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、
d.16 g/cc~16.6 g/ccの真密度を有し、
e.約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度を有し、かつ、
f.20秒以下のホールフローレートを有する、タンタル粉末。
2. プラズマ熱処理されている、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
3. 400 ppm未満の酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
4. 20 ppm~250 ppmの酸素レベルを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
5. 前記平均アスペクト比が1.0~1.1である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
6. 前記平均アスペクト比が1.0~1.05である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
7. 前記純度が少なくとも99.995重量%Taである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
8. 前記平均粒径が約0.5ミクロン~約10ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
9. 前記平均粒径が約5ミクロン~約25ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
10. 前記平均粒径が約15ミクロン~約45ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
11. 前記平均粒径が約35ミクロン~約75ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
12. 前記平均粒径が約55ミクロン~約150ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
13. 前記平均粒径が約105ミクロン~約250ミクロンである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末。
14. 以下の性質のうち少なくとも1つを有する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径、
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径、及び/又は、
c. 約100 ppm~約1000ppm、例えば約100 ppm~約250 ppmの酸素含量。
15. 任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末を含む物品。
16. 物理蒸着プロセス用のコイルセットのボスである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
17. 前記ボスが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
18. 物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
19. 整形外科用インプラント又はその部品である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
20. 歯科用インプラントである、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の物品。
21. 物品を形成する方法であって、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、物品を積層造形することを含む、方法。
22. 前記積層造形が、レーザー粉末床溶融を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
23. 前記積層造形が、電子ビーム粉末床溶融を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
24. 前記積層造形が、指向性エネルギー堆積を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
25. 前記積層造形が、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディングを含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
26. 前記積層造形が、材料噴射を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
27. 前記積層造形が、シート積層を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
28. 前記積層造形が、液槽光重合を含む、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
29. 任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様のタンタル粉末を作製する方法であって、
a.不活性雰囲気中で、出発タンタル粉末をプラズマ熱処理して、該出発タンタル粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済タンタル粉末を冷却して、タンタル粉末を得ることと、
を含む、方法。
30. 前記出発タンタル粉末がナトリウム還元タンタル粉末である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
31. 前記出発タンタル粉末が基本ロットタンタル粉末である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
32. 前記出発タンタル粉末が第1の粒度分布を有しており、前記タンタル粉末が第2の粒度分布を有しており、前記第1の粒度分布と前記第2の粒度分布とが、互いに10%以内である、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
33. 工程aに先立って、第1のタンタル粉末を焼結して焼結粉末を得て、次いで、該焼結粉末を電子ビーム溶融してインゴットを得て、次いで、該インゴットを出発タンタル粉末へと粉末化することにより、前記出発タンタル粉末を形成する、任意の上記又は下記の実施形態/特徴/態様の方法。
【0151】
本発明は文及び/又は段落に記載される上記及び/又は下記のこれらの様々な特徴又は実施形態の任意の組み合わせを包含し得る。本明細書に開示される特徴の任意の組み合わせが本発明の一部であるとみなされ、組み合わせることができる特徴に関しては何ら限定を意図しない。
【0152】
出願人らはこの開示における全ての引用文献の全内容を具体的に援用する。さらに、量、濃度又は他の値若しくはパラメータが範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値と好ましい下限値とのリストのいずれかとして与えられる場合、これは範囲が別々に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限又は好ましい値と任意の範囲下限又は好ましい値との任意の対からなる全ての範囲を具体的に開示するものと理解される。数値の範囲が本明細書で言及されている場合、特に指定のない限り、範囲はその端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本発明の範囲は、範囲を規定する場合に言及された特定の値に限定されることは意図されない。
【0153】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者にとって明らかであろう。本明細書及び本実施例は単なる例示とみなされ、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲及びその均等物により示されることが意図される。
【符号の説明】
【0154】
図面訳
図1B
SphericalTantalum Powder 球状タンタル粉末

図2A
T-Powder T粉末

図2B
SphericalTantalum Powder 球状タンタル粉末

図11
X-direction X方向
Y-direction Y方向
Z-direction Z方向
【0155】
本発明は、以下を包含する。
1.a.1.0~1.25の平均アスペクト比を有する球状形状を有し、
b.ガス不純物を除くタンタル粉末の全重量に対して、少なくとも99.99重量%Taのタンタル純度を有し、
c.約0.5ミクロン~約250ミクロンの平均粒径を有し、
d.約4 g/cc~約12.3 g/ccの見掛け密度を有し、
e.16 g/cc~16.6 g/ccの真密度を有し、かつ、
f.20秒以下のホールフローレートを有する、タンタル粉末。
2.プラズマ熱処理されている、前項1に記載のタンタル粉末。
3.400 ppm未満の酸素レベルを有する、前項1に記載のタンタル粉末。
4.20 ppm~250 ppmの酸素レベルを有する、前項1に記載のタンタル粉末。
5.前記平均アスペクト比が1.0~1.1である、前項1に記載のタンタル粉末。
6.前記平均アスペクト比が1.0~1.05である、前項1に記載のタンタル粉末。
7.前記純度が少なくとも99.995重量%Taである、前項1に記載のタンタル粉末。
8.前記平均粒径が約0.5ミクロン~約10ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
9.前記平均粒径が約5ミクロン~約25ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
10.前記平均粒径が約15ミクロン~約45ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
11.前記平均粒径が約35ミクロン~約75ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
12.前記平均粒径が約55ミクロン~約150ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
13.前記平均粒径が約105ミクロン~約250ミクロンである、前項1に記載のタンタル粉末。
14.以下の性質のうち少なくとも1つを有する、前項1に記載のタンタル粉末:
a.約5ミクロン~25ミクロンのD10径、
b.約20ミクロン~80ミクロンのD90径、又は、
c. 100 ppm~1000 ppmの酸素含量。
15.前項1に記載のタンタル粉末を含む物品。
16.物理蒸着プロセス用のコイルセットのボスである、前項15に記載の物品。
17.前記ボスが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、前項16に記載の物品。
18.物理蒸着プロセス用のコイルセット又はその部品である、前項15に記載の物品。
19.整形外科用インプラント又はその部品である、前項15に記載の物品。
20.前記整形外科用インプラントが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、前項19に記載の物品。
21.歯科用インプラントである、前項15に記載の物品。
22.前記歯科用インプラントが、連続気泡構造と、中実構造とを含む、前項21に記載の物品。
23.物品を形成する方法であって、前項1に記載のタンタル粉末を利用して、物品又はその部品の形状を形成することによって、物品を積層造形することを含む、方法。
24.前記積層造形が、レーザー粉末床溶融を含む、前項23に記載の方法。
25.前記積層造形が、電子ビーム粉末床溶融を含む、前項23に記載の方法。
26.前記積層造形が、指向性エネルギー堆積を含む、前項23に記載の方法。
27.前記積層造形が、粉末又はワイヤーを介したレーザークラッディングを含む、前項23に記載の方法。
28.前記積層造形が、材料噴射を含む、前項23に記載の方法。
29.前記積層造形が、シート積層を含む、前項23に記載の方法。
30.前記積層造形が、液槽光重合を含む、前項23に記載の方法。
31.前項1に記載のタンタル粉末を作製する方法であって、
a.不活性雰囲気中で、出発タンタル粉末をプラズマ熱処理して、該出発タンタル粉末の少なくとも外表面を少なくとも部分的に溶融し、熱処理済タンタル粉末を得ることと、
b.不活性雰囲気中で、前記熱処理済タンタル粉末を冷却して、タンタル粉末を得ることと、
を含む、方法。
32.前記出発タンタル粉末がナトリウム還元タンタル粉末である、前項31に記載の方法。
33.前記出発タンタル粉末が基本ロットタンタル粉末である、前項31に記載の方法。
34.前記出発タンタル粉末が第1の粒度分布を有しており、前記タンタル粉末が第2の粒度分布を有しており、前記第1の粒度分布と前記第2の粒度分布とが、互いに10%以内である、前項31に記載の方法。
35.工程aに先立って、第1のタンタル粉末を焼結して焼結粉末を得て、次いで、該焼結粉末を電子ビーム溶融してインゴットを得て、次いで、該インゴットを出発タンタル粉末へと粉末化することにより、前記出発タンタル粉末を形成する、前項31に記載の方法。
図I
図II
図III
図IV