(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045171
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】体表面を治療するためのプラズマ装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20240326BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A61N1/44
H05H1/24
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000239
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2021518995の分割
【原出願日】2019-06-13
(31)【優先権主張番号】102018209735.6
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】518023924
【氏名又は名称】テッラプラズマ ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】520491975
【氏名又は名称】テッラプラズマ メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴンダール,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ウンガー,リコ
(72)【発明者】
【氏名】キルシュ,イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン,ユリア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体表面を治療するためのプラズマ装置を提供する。
【解決手段】プラズマ装置(1)は手持ち可能な基体(3)を備えており、この基体(3)にプラズマ源(5)が配置されており、このプラズマ源(5)は、非熱プラズマを生成するために設けられており、さらにプラズマ装置(1)はスペーサを備えており、これは組み立てられた状態でプラズマ源(5)と治療すべき体表面との間の間隔を規定するように構成されており、スペーサ(7)は、基体(3)および/またはプラズマ源(5)と着脱自在に接続可能であり、プラズマ源(5)は基体(3)と着脱自在に接続可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表面を治療するためのプラズマ装置(1)であって、
- 手持ち可能な基体(3)を備えており、該基体(3)に、
- プラズマ源(5)が配置されており、該プラズマ源(5)は、非熱プラズマを生成するために設けられており、さらに
- スペーサを備えており、該スペーサは、組み立てられた状態で前記プラズマ源(5)と治療すべき体表面との間の間隔を規定するように構成されており、ここで
- 前記スペーサ(7)を、前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)と着脱自在に接続可能であり、さらにここで
- 前記プラズマ源(5)は、前記基体(3)と着脱自在に接続可能である、
体表面を治療するためのプラズマ装置(1)。
【請求項2】
前記スペーサ(7)は、周囲を巡るカラー(11)を有しており、該カラー(11)は、組み立てられた状態で前記プラズマ源(5)および前記基体(3)の一部の領域に覆い被さる、請求項1に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項3】
前記スペーサ(7)は、少なくとも1つの第1の係止部材(33)を有しており、
前記プラズマ源(5)および/または前記基体(3)は、少なくとも1つの第2の係止部材(35、35’)を有しており、
前記第1の係止部材(33)および前記第2の係止部材(33、35’)は、前記スペーサ(7)を前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)において保持するために、前記第1の係止部材(33)と前記第2の係止部材(33、35’)とが共働できるよう、互いに調整されている、請求項1または請求項2に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項4】
前記スペーサ(7)は、周囲を巡る縁部(9)または周囲を巡る前記カラー(11)から出発して延在するタブ(13)を有しており、該タブ(13)は、組み立てられた状態で前記基体(3)の方向に延在しており、前記スペーサ(7)を前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)から取り外すために設けられている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項5】
前記スペーサ(7)は電子識別装置を有しており、該電子識別装置は有利には非接触で読み取り可能であり、該電子識別装置は好ましくはRFIDタグとして形成されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項6】
前記電子識別装置は前記タブ(13)に組み込まれており、および/または前記電子識別装置の主平面は、前記プラズマ源(5)の電極平面(41)に対し垂直に位置している、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項7】
前記プラズマ装置(1)は制御装置(37)を有しており、該制御装置(37)は、前記スペーサ(7)の前記電子識別装置を読み取り、有利には前記スペーサ(7)を識別し、好ましくは同じスペーサ(7)の1回かぎりの使用しか許可しないように構成されている、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項8】
前記スペーサ(7)は遮蔽部材(15)を有しており、該遮蔽部材(15)は、非熱プラズマに対し透過性であり、該遮蔽部材(15)は組み立てられた状態で、治療される前記体表面と前記プラズマ源(5)との接触を阻止するように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項9】
前記プラズマ源(5)は、接続装置(17)を介して前記基体(3)と接続可能であり、該接続装置(17)は、
a)差し込み回転機構を有しており、および/または
b)前記プラズマ源(5)が特定の配向でしか前記基体(3)に固定できないように、非対称に形成されている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項10】
前記プラズマ源(5)は、該プラズマ源(5)の放電平面における周囲空気中で表面波マイクロ放電を生成するために設けられており、該プラズマ源(5)は有利には、
- 第1の平坦な電極(47)と、
- 第2の平坦な電極(49)と、
- 誘電体(51)と
を有しており、該誘電体(51)により、前記第1の電極(47)と前記第2の電極(49)とが互いに離隔されており、
- 両方の電極(47、49)は、前記誘電体(51)と直接に機械的に接触しており、- 前記電極(47、49)のうちの一方に配属された前記放電平面において非熱プラズマを生成するために、前記電極(47、49)に電位差を印加可能である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項11】
前記第1の電極(47)と前記誘電体(51)とは、および/または前記第2の電極(49)と前記誘電体(51)とは、押圧部材(53)により互いに押し付けられている、請求項10に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項12】
前記第1の電極(47)と前記誘電体(51)と前記第2の電極(49)とから成る電極装置(58)、ならびに有利には前記押圧部材(53)は、前記プラズマ源(5)のハウジング(57)内に配置されており、有利には該ハウジング(57)内に注型封止されている、請求項10または請求項11に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項13】
前記プラズマ装置(1)は安全回路(65)を有しており、該安全回路(65)は、前記プラズマ源(5)が前記基体(3)から取り外されているときには、電圧および/または電流が生じないように、前記プラズマ源(5)の電気的接触接続部(67)を切り替え、前記プラズマ源(5)が前記基体(3)に配置されているときにのみ、前記電気的接触接続部(67)に電圧および/または電流を生じさせることができるように、構成されている、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項14】
前記プラズマ装置(1)の制御装置(37)は、第1の電極(47)と誘電体(51)と第2の電極(49)とから成る前記プラズマ装置(1)の電極装置(58)の機能検査を、
- 前記電極装置(58)のプラズマ電力の特性を表す少なくとも1つの電力パラメータを求めるステップ、
- 前記少なくとも1つの電力パラメータを少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値と比較して、比較結果を得るステップ、および
- 該比較結果に基づき、前記電極装置(58)の機能正常性について判定するステップにより実施するように構成されている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電力パラメータは、前記電極装置(58)に対し直列に接続された電子プロキシ構造(104)において検出され、有利には電子プロキシ構造(104)としてキャパシタンス(105)、特にコンデンサ、が使用される、請求項14に記載のプラズマ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体表面を治療するためのプラズマ装置に関する。
【0002】
この種のプラズマ装置は特に、体表面、特に皮膚表面、の滅菌および/または消毒のために、および/または創傷治療のために用いられる。この場合、プラズマ装置により生成される非熱プラズマは、その滅菌作用/消毒作用の特性ゆえに創傷に好ましい効果を及ぼすし、能動的に創傷治癒を促進させる効能も有する。プラズマ装置の具体的な用途に応じて、プラズマ装置のプラズマ源、つまり、プラズマの発生場所と、治療部位、特に皮膚表面および/または創傷、との間において、定められた距離が保たれなければならない。したがってこのためにはプラズマ装置を、治療すべき体表面の上方で垂直方向に正確に位置決めする必要がある。しかも以下のことに留意しなければならない。すなわち、治療される表面との接触に至る可能性のある、または他のことで無菌ではなくなる可能性のある、プラズマ装置の部分は、少なくとも合間にそれ自体が殺菌または消毒されなければ、複数の異なる創傷を治療することはできず、ましてや複数の異なる患者において使用することなどできない。公知のプラズマ装置は、特にそれゆえに改善の余地がある。
【0003】
本発明の根底にある課題は、上述の欠点が生じないようにした、体表面を治療するためのプラズマ装置を提供することである。
【0004】
この課題は、請求項1の特徴を備えたプラズマ装置を提供することで解決される。従属請求項には有利な実施形態が示されている。
【0005】
この課題は特に、体表面を治療するための以下のようなプラズマ装置が提供されることにより解決される。すなわち、このプラズマ装置は手持ち可能な基体を有しており、その際に基体に、非熱プラズマを生成するために設けられたプラズマ源が配置されている。これに加えプラズマ装置はスペーサを有しており、このスペーサは、組み立てられた状態でプラズマ源と治療すべき体表面との間の間隔を規定するように構成されている。この場合、スペーサは、基体および/またはプラズマ源と着脱自在に接続可能であり、有利には接続されている。スペーサを用いることで、特にスペーサがプラズマ源とは反対側のこのスペーサの端部により体表面に載置されるようにして、予め定められておりスペーサにより規定される間隔を、プラズマ源と治療される体表面との間において難なく正確に保持することができる。スペーサは、基体および/またはプラズマ源と着脱自在に接続可能であるため、スペーサを容易に交換することができる。一方、このことによって、それぞれ異なる治療のためにそれぞれ異なるスペーサを使用することができ、したがって特にそれぞれ異なる間隔を使用することもでき、その際にスペーサおよび対応する間隔を、意図する治療にそれぞれ適合させて選択することができる。この場合、ある1つのスペーサを難なく簡単に別のスペーサと取り替えることができる。しかもスペーサを基体および/またはプラズマ源に着脱自在に固定することによって、スペーサを使用後、プラズマ装置のそれ以外の部分とは別個に、洗浄することができ、特に滅菌または消毒することができ、あるいはスペーサを廃棄処理することさえできる。特に好ましくは、スペーサをその際に1回かぎりの使用のための1回かぎりの部品として、すなわち、使い捨て品として、形成することができる。特に好ましくは、スペーサを滅菌しパッケージングして納品することができ、スペーサの使用直前に滅菌パッケージから取り出して、基体および/またはプラズマ源と接続することができ、その後、スペーサはプラズマ源と共に使用され、その際にスペーサはプラズマ治療終了後、基体およびプラズマ源から取り外され、好適な手法で、特に汚染廃棄物として、廃棄処理される。
【0006】
本発明によればさらに、プラズマ源が基体と着脱自在に接続されているように構成されている。プラズマ源は体表面のプラズマ治療によって場合によっては汚染されている可能性があるが、これによって簡単な手法でプラズマ源の洗浄が可能となる。そのような場合には、プラズマ源を基体から取り外して、基体とは別個に、特に超音波槽内で、洗浄、消毒および/または滅菌することができる。その際には、プラズマ源自体が電子コンポーネントを有する必要がなく、このため、たとえば制御装置、電気蓄積装置、特に蓄電池またはバッテリ等のような好ましくは電子コンポーネントを有する基体については損傷せずには適用不可能であろう条件の下であっても、プラズマ源を消毒または滅菌することができると、有利である。
【0007】
特にプラズマ源は、制御装置による接触接続のために外部に向けて案内される接点のみを備えた、完全にカプセル化された構造を有することができ、したがって化学物質、水蒸気、超音波および/またはオートクレーブを用いた処理のいずれによるにせよ、プラズマ源をそのまま比較的侵蝕性の強い洗浄法、滅菌法または消毒法にも晒すことができる。
【0008】
さらにプラズマ源と基体との着脱自在の接続により、プラズマ源が損傷したときにもそのために基体を廃棄処理する必要なく、プラズマ源を簡単な手法で交換することができる。ただしこの逆に、基体に故障が発生したならば、基体を交換することもでき、この場合であればプラズマ源を別の基体と共に引き続き使用することができる。
【0009】
したがって一方では着脱自在のスペーサにより、他方では着脱自在のプラズマ源により、特にこれらが互いに組み合わせられて以下のことが実現される。すなわち、治療される表面との接触に至る、または他のことで無菌ではなくなる可能性がある、プラズマ装置の部分は、特に別の患者において引き続き使用される前に、少なくとも洗浄され、さらに滅菌または消毒され、このことは好ましくは特にプラズマ源について当てはまり、あるいはプラズマ装置の上述の部分が使い捨て部品として形成されている場合には1回だけしか使用されず、このことは特にスペーサについて当てはまる。よって、着脱自在のスペーサと着脱自在のプラズマ源とが互いに組み合わせられて、プラズマ装置を簡単にかつ経済的な手法で、特に衛生的かつ確実に動作させることができるようになる。
【0010】
その際に特に、スペーサとプラズマ源とが互いに分離可能であるように構成されており、したがってたとえばスペーサを廃棄処理することができる一方で、プラズマ源を洗浄、消毒および/または滅菌し、次いで引き続き使用することができる。つまり、全体としてプラズマ装置は、少なくとも3つの部分、すなわち、基体とプラズマ源とスペーサとを含み、これらを一方では互いに分離することができ、他方では、プラズマ源と基体とを接続することにより、さらにスペーサとプラズマ源および/または基体とを接続することにより、プラズマ装置を組み立てることができる。
【0011】
プラズマ装置は手持ち可能に形成されている、ということが意味するのは特に、プラズマ装置をユーザが持ち運び可能であり、治療中、特に片手で保持可能である、ということである。その際にプラズマ装置は、そのサイズの点から特にたとえば受話器、シャワーヘッド等に相応し、したがって軽量であり片手だけで難なく保持し操作することができる物体に相応する。
【0012】
プラズマ装置は好ましくは、他の装置とは無関係に操作可能な独立した機器として形成されており、その際にプラズマ装置は特にコードレスで、有利にはバッテリ駆動型または蓄電池駆動型で形成されており、したがってプラズマ装置は他の機器または他の装置とは持続的には接続されていない。
【0013】
ただしプラズマ装置には有利には充電ステーションが配属されており、一方ではプラズマ装置を保管するために、他方では有利には基体に組み込まれた電気蓄積装置、特に蓄電池またはバッテリ、を充電するために、この充電ステーションに基体を配置することができる。
【0014】
プラズマ源は特に、プラズマを周囲空気中で生成するように構成されているので、特にプラズマ源へのガス供給は不要であり、したがって基体もそれゆえに他の何らかの装置からは独立して移動させ操作することができる。
【0015】
非熱プラズマとは、特に以下のようなプラズマのことであると解される。すなわち、このプラズマの場合には、電子温度とも称される、プラズマの電子の運動エネルギーの分布を表す温度が、イオン温度とも称される、プラズマにより含まれるイオン、特に原子イオンまたは分子イオン、の運動エネルギーの分布を表す温度とは一致しておらず、特にこの温度よりも著しく高い。この場合、電子温度はイオン温度よりも著しく高く、その際にイオン温度は好ましくは25℃~最高100℃の範囲内で選択される。この種のプラズマは、イオン温度が比較的低いことから低温プラズマとも称される。
【0016】
本明細書では、正および負の電荷によって帯電した微粒子が気相で隣り合って存在しており、特定の体積にわたる平均で見て、着目するその体積に関して中性の電荷となる物質状態を、特にプラズマと称する。しかもプラズマは有利には、電子的に振動および/または回転するように励起された状態で存在する非帯電の原子および/または分子を含み、これらは励起微粒子とも称され、および/または遊離基、つまり、全体として特に非帯電の反応性の原子および/または分子を含み、これらは反応性微粒子または反応種とも称される。
【0017】
スペーサは有利には、周囲を巡る縁部、特に周囲を巡って閉じた縁部を有しており、この縁部は、体表面を治療するためにプラズマ装置を使用する場合に体表面およびプラズマ源と共に、治療すべきボリュームを、特に液密にまたは空隙を残して、包囲する。このようにすれば一方では、閉じたまたはほぼ閉じたボリュームの内部において周囲の影響に妨害されずに、特に隙間風の影響を受けることなく、プラズマ化学作用を進行させることができ、他方、プラズマ装置のユーザおよびプラズマ装置の使用対象である患者は、場合によっては特に、閉じたボリューム内で発生する毒性物質を吸入してしまうことがないよう保護される。特にオゾンの吸入が回避される。
【0018】
本発明の1つの発展形態によれば、スペーサは周囲を巡るカラーを有するように構成されており、これは組み立てられた状態でプラズマ源および基体の一部の領域に覆い被さる。これによりスペーサが、基体およびプラズマ源にしっかりと保持される。基体およびプラズマ源が、少なくとも、周囲を巡るカラーによりその周囲が包囲されている領域において、非円形の幾何学的形状を有する場合、プラズマ源および基体の幾何学的形状に対し有利には相補的に形成されておりかつその上に密接して載置されているカラーによって、プラズマ源および基体に対し相対的に誤って捻じれてしまわないよう、スペーサが固定される。プラズマ源自体は、基体に対し着脱自在に配置されている。この場合、周囲を巡るスペーサのカラーは、組み立てられた状態で同時にプラズマ源および基体の一部の領域に覆い被さるが、このカラーによってさらに、基体から誤って外れてしまわないよう、プラズマ源も固定される。
【0019】
スペーサは特に、中央領域から出発し、治療状態において治療される体表面に対し垂直に位置する仮想軸線に沿って、第1の方向で周囲を巡る縁部を有しており、この縁部は特に遠位方向で、つまり、治療すべき体表面に向かって延在しており、他方、周囲を巡るカラーを第2の方向で有しており、このカラーは、中央領域から出発して近位方向で、つまり、プラズマ源および基体に向かい、治療すべき体表面から離れるように、延在している。縁部およびカラーが周囲を巡るように形成されている、ということが意味するのは特に、それらが仮想軸線の周囲を1つの閉じられた線に沿って包囲している、ということである。
【0020】
本発明の1つの発展形態によれば、スペーサは少なくとも1つの第1の係止部材を有するように構成されており、その際にプラズマ源および/または基体は、少なくとも1つの第2の係止部材を有しており、その際に第1の係止部材および第2の係止部材は、スペーサを基体および/またはプラズマ源において保持するために、第1の係止部材と第2の係止部材とが共働できるよう、互いに調整されている。このようにすれば、スペーサを基体および/またはプラズマ源に簡単かつ着脱自在な手法で係止させることができ、したがってスペーサは特に治療中、確実にしっかりと基体およびプラズマ源に保持される。ここで可能であるのは、スペーサならびに相応に基体および/またはプラズマ源が、2つ以上の第1の係止部材およびこれに対応して配属された2つ以上の第2の係止部材を有する、ということである。特に可能であるのは、スペーサが、仮想軸線に対し垂直に互いに対向する2つの側に、それぞれ1つの第1の係止部材を有しており、その際に相応に基体および/またはプラズマ源が、仮想軸線に対し垂直に見て、互いに対向する2つの側に配置された2つの第2の係止部材を有する、ということである。このようにすれば、スペーサを基体および/またはプラズマ源に保持する目的で、複数の第1の係止部材が、それらに配属された複数の第2の係止部材と共働することができる。
【0021】
少なくとも1つの第1の係止部材は、好ましくは突出部として、特にアンダーカットの形状で、またはスロットとして、形成されており、その際に第2の係止部材は相補的な態様でスロットとして、または突出部、特にアンダーカット部として、形成されており、この場合、スペーサを基体および/またはプラズマ源に係止する目的で、これらの係止部材は、スロットと係合する突出部という形式に従って共働することができる。特に好ましくは、スペーサには突出部またはアンダーカット部が第1の係止部材として形成されており、この場合、プラズマ源または基体には、特に好ましくはプラズマ源には、スロットが第2の係止部材として形成されている。ただしこれとは逆の形態も可能である。
【0022】
本発明の1つの発展形態によれば、スペーサは、周囲を巡る縁部または周囲を巡るカラーから出発して延在するタブを有するように構成されており、これは組み立てられた状態で基体の方向に延在しており、スペーサを基体および/またはプラズマ源から、特に手動で取り外すために設けられている。その際にこのタブは、特に仮想軸線に沿って見て近位方向に延在している。このタブは、スペーサをプラズマ源および/または基体から取り外すために、特に1本の指または親指により、これに背面から触れることができるように形成されており、この場合、タブに背面から触れることにより簡単な手法で、特に片手だけで、スペーサを基体および/またはプラズマ源から取り去ることができる。特に好ましくはこのタブは、基体を保持するオペレータの手により、特に親指または他の1本の指により、タブに背面から触れることができるように、配向および/または整列されており、このようにしたならば、スペーサを1本の指で、たとえば親指または他の1本の指で、プラズマ源および基体から取り外して廃棄処理に出すことができる。このことによって、特に衛生的に、しかも簡単に、スペーサを取り除くことができ、オペレータの他方の手が触れることなく、むしろ操作している手の簡単な指の運動で、スペーサを廃棄処理容器内に送り込むことができる。
【0023】
本発明の1つの発展形態によれば、スペーサは電子識別装置を有するように構成されている。この電子識別装置を、スペーサが1回だけしか使用されないことのみを保証するように、特に簡単な形態で構成することができる。このことを、以下でさらに詳しく説明するように、スペーサの一義的な識別によって達成することができるが、以下のようにすることも可能である。すなわち、識別装置が少なくとも1つの切り替え可能なビットを有しており、このビットは第1の切り替え状態において、スペーサがまだ使用されていなかったことを示し、その際に切り替え可能なビットは、第1の切り替え状態とは異なる第2の切り替え状態において、スペーサがすでに1回使用されたことを示す。この場合であればプラズマ装置は、特にプラズマ装置の制御装置は、好ましくは、電子識別装置の少なくとも1つの切り替え可能なビットを、スペーサの使用前、使用中または使用後に、第1の切り替え状態から第2の切り替え状態へ切り替えるように構成されている。切り替え可能なビットは有利には、プラズマ装置の使用前に問い合わせられ、その際に切り替え可能なビットが第1の切り替え状態でセットされている場合のみ、つまり、スペーサがまだ使用されていなかったことを示す場合のみ、好ましくはプラズマ装置の使用が許可される。
【0024】
予め定められたデッドタイムが設けられているようにすることができる。プラズマ装置の使用が終了してからの時間が検出され、予め定められたデッドタイムと比較される。プラズマ装置の次の使用までに検出された時間が予め定められたデッドタイムを超過していたならば、同じスペーサを用いて引き続き使用することが阻止され、つまり、この場合には、スペーサの交換後に初めてプラズマ装置を新たに使用することができる。同じスペーサを用いてプラズマ装置を新たに使用することは、予め定められたデッドタイム以内でしか可能ではない。この時間の検出は、好ましくは、プラズマ装置の個々の使用が終了するたびに、新たにスタートする。これにより特に、予め定められたデッドタイムが経過する前に相前後して続く、相前後した使用を、同一のスペーサを用いて実施することができ、このことによって他方ではたとえば、処理すべき表面の比較的広い平面領域を、スペーサを交換することなくプラズマ装置によって連続して治療することが可能となる。つまり、一般的には、別の患者への移行のためには、および/または治療すべき表面上のつながっていない別の部位への移行のためには、たとえば患者の体部における別の創傷への移行のためには、つながった平面領域の、したがって特にスペーサの交換が不要な同じ創傷の、単純な連続する治療よりも、長い期間が必要とされる。
【0025】
ただし、これよりも複雑な形態によれば、電子識別装置は、少なくとも1つの切り替え可能なビットに加えて、またはその代わりに、たとえば英数字コード等を用いることによって、スペーサの特に一義的な識別を実現することができる。有利には付加的にまたは択一的に、スペーサによりプラズマ源と治療すべき表面との間で規定される距離も、電子識別装置内に格納されている。このようにすればスペーサを簡単に、特に自動的に識別することができ、その際に一方では、選択された治療形式のために、使用されるべき適正な距離を有する適正なスペーサが使用される、ということを保証することができ、および/または他方では、スペーサが1回しか使用されず、または治療すべき1つの部位においてのみ複数回使用され、または予め決められた回数だけしか使用されない、ということを保証することができる。その結果としてプラズマ装置の使用の安全性が高められ、その際、適正なスペーサの選択にあたりオペレータ自身を支援することができ、スペーサを誤って何度も使用してしまうことを阻止することができる。このようにすればオペレータは、全面的に本来の治療に集中することができる。
【0026】
電子識別装置内に有利には、プラズマ生成のための、すなわち、特にプラズマ装置を動作させるための、少なくとも1つのパラメータが格納されている。この少なくとも1つのパラメータは有利には、電子識別装置を有するスペーサが想定している使用に関して特有のものであり、および/またはこの少なくとも1つのパラメータは、個々のスペーサの形態に合わせて固有に調整されている。特に、この種のパラメータとして、スペーサを有するプラズマ装置を用いた表面の治療のための治療時間を格納しておくことができ、ここで治療時間は、スペーサおよび特に周囲を巡るその縁部により包囲されるボリュームに特に左右される。
【0027】
プラズマ装置、特にプラズマ装置の制御装置は、有利には、プラズマ源および/または基体にスペーサが存在していることが特に電子識別装置により確認されて初めて、プラズマ源を起動するように、すなわち、そのときに初めてプラズマ生成をスタートさせるように、構成されている。それ以外のときは、つまり、スペーサを識別できない場合には、プラズマ生成は有利には阻止されており、すなわち、好ましくはスペーサがプラズマ源および/または基体に配置されていなければ、プラズマ源を起動または動作させることはできない。
【0028】
電子識別装置に記憶されているデータ、パラメータ等は、特にスペーサの以前の使用を確認するための既述の少なくとも1つの切り替え可能なビットもまた、電子識別装置内に好ましくは暗号化されて格納されている。プラズマ装置の制御装置は有利には復号装置を有しており、この復号装置は、電子識別装置から読み出された暗号化データを復号するために設けられている。よって、電子識別装置に格納されているデータを復号することのできるプラズマ装置だけが、スペーサを使用することができる。これとは逆に、スペーサもしくはスペーサの電子識別装置からダウンロードまたは読み出されたデータを、プラズマ装置の制御装置が復号できなければ、この制御装置はスペーサがないことを識別し、したがって好ましくはプラズマ源の動作が阻止される。
【0029】
電子識別装置は有利には非接触で読み取り可能であり、したがってそのために基体および/またはプラズマ源によるスペーサの接触接続は不要である。特に電子識別装置は好ましくはRFIDタグ(RFID-Tag)として形成されており、このことは、電子識別装置を簡単にかつ低コストで製造できる可能性を表している。
【0030】
本発明の1つの発展形態によれば、電子識別装置は好ましくはタブに組み込まれており、このことによって、取り付けスペースもとらず非接触での読み取りにも適した電子識別装置の配置がもたらされる。
【0031】
択一的にまたは付加的に好ましくは、電子識別装置の主平面がプラズマ源の電極平面に対し垂直に位置するように構成されている。このようにすれば、プラズマ源により動作中に生成される電磁界が、電子識別装置の非接触の読み取りを妨害するのを阻止することができ、その理由は、読み取りに使用される電磁界は、プラズマ源が生成する電磁界に対し相応に垂直に配向されているからである。ここで電子識別装置の主平面とは特に、電子識別装置の振動回路のうちインダクタンス部分が配置されている平面のことであると解され、特に、RFIDタグの螺旋状に巻回されたコイル部分が配置されている平面のことであると解される。プラズマ源の電極平面は特にプラズマ生成平面であり、つまり、非熱プラズマが特に表面波マイクロ放電の形態で生成される平面である。
【0032】
本発明の1つの発展形態によれば、プラズマ装置は、すでに何度も言及したように、制御装置を有するように構成されており、この制御装置は、スペーサの電子識別装置の読み取りおよび/または書き込みを行うように構成されており、有利にはスペーサを識別し、好ましくはスペーサの1回かぎりの使用のみを、または局部的にのみ複数回の使用を許可するように構成されている。このようにすれば特に、いずれのスペーサも1回だけしか使用されず、またはせいぜい局部的に複数回使用される、ということを保証することができる。
【0033】
このために好ましくは、少なくとも1つの切り替え可能なビットが電子識別装置において使用されることとなり、このビットは既述のように、プラズマ治療中、好ましくはスペーサの使用前、使用時または使用後、制御装置により切り替えられる。このようにすれば、スペーサがすでに使用されたか否かの情報を、スペーサ自体に、特に電子識別装置に、格納することができる。
【0034】
ただし以下のようにすることも可能である。すなわち、制御装置は、特にすでに使用されたスペーサの識別データを少なくとも所定の時間にわたり記憶し、スペーサのそれぞれ目下読み出された識別データを、記憶されている識別データと比較することができる。実際上は、使用されたスペーサの識別データを長時間保持しておく必要はなく、その理由は、数日後、数週間後、数ヶ月後、またはそれどころか数年後でもなお、すでに使用されたスペーサが再度使用されることはあり得ないからである。むしろこれよりも頻繁に起こるうっかりとした誤りはおそらく、ある患者において使用した後にスペーサを誤って取り外さず、次いで他の患者において引き続き使用してしまうことになる、ということであろう。いずれにせよプラズマ装置のユーザへの指示によって、スペーサは1回または場合によっては局部的に複数回使用した直後に廃棄処理する、ということを予め定めておくのが望ましい。よって、直前に使用されたスペーサの識別データのみを制御装置が記憶していれば、理論的には十分であるかもしれない。とはいえ、最後に使用されたスペーサについてもっと多くの個数の識別データを記憶すれば、安全性を高めることができる。この場合、たとえばリングメモリを使用することができ、これによれば新たな識別データが入力されて記憶されると、常に最も古い識別データが消去される。ただし、予め定められた時間の経過後に識別データが記憶装置から消去される、ということも可能である。とはいえ記憶装置のために十分に大きい記憶装置を利用できるのであれば、場合によってはプラズマ装置の耐用期間にわたりそもそも識別データの消去が必要とされない。
【0035】
したがって制御装置は好ましくは、目下読み出されたスペーサの識別データを記憶されている識別データと比較し、そのスペーサの識別データが記憶されている識別データのうちの1つと一致したならば、目下取り付けられているスペーサの使用を拒否するように構成されている。このことが当てはまるならば、たとえばアラームまたはエラーメッセージを、特に光信号、音響信号、および/またはプラズマ装置がディスプレイを有するならば、テキストメッセージの形態で、出力することができる。択一的または付加的に制御装置は、新たなスペーサが取り付けられるまで、プラズマ装置の動作を阻止することができる。
【0036】
スペーサの使用を許可するための識別データの評価についても、特にスペーサの局部的な複数回の使用を許可する目的で、上述の記載ですでに述べた予め定められたデッドタイムを使用することができる。ここで局部的な複数回の使用とは、ある1つの面積単位、すなわち、特に1つの表面領域たとえば1つの創傷を治療する目的で、プラズマ装置が複数回当てがわれて起動される、ということであると解され、この場合、その面積単位は、スペーサもしくはプラズマ源よりも広い平面的拡がりを有しているため、その面積単位全体を治療するために何度も当てがう必要がある。よって、識別データのいわば阻止リスト内への目下の識別データの記憶は、好ましくは予め定められたデッドタイムの経過後に初めて行われる。
【0037】
制御装置は有利には基体に組み込まれている。特に好ましくは、制御装置は、プラズマ源を動作させるために、プラズマ源と作用可能に接続されている。つまり、制御装置は特に、プラズマ源を制御するためにも、特に給電するためにも、用いられる。その際に制御装置自体は高電圧源を有することができ、または制御装置を高電圧源として形成することができる。ただし制御装置を、プラズマ源の給電のために高電圧源を制御する目的で、高電圧源と作用可能に接続することもできる。
【0038】
本発明の1つの発展形態によれば、スペーサは遮蔽部材を有するように構成されており、この遮蔽部材は、非熱プラズマに対し透過性であり、ただし同時にこの遮蔽部材は組み立てられた状態で、治療される体表面とプラズマ源との接触を阻止するように構成されている。この遮蔽部材は有利にはスペーサにおいて内側に配置されており、特に、有利には周囲を巡る縁部と周囲を巡るカラーとの間に位置する中央領域に配置されている。1つの好ましい形態によれば、遮蔽部材は格子として形成されている。遮蔽部材によって、プラズマ装置を扱う際の電気的安全性が高められる。これによって特に、プラズマ源の動作中にプラズマ源にうっかりと触ってしまうことが回避され、つまり、プラズマ源を不潔にすることまたは汚染させてしまうことも回避される。
【0039】
それゆえに好ましいのは、実際にまだ使用されていないスペーサがプラズマ源および/または基体に配置されているときだけしか、制御装置がプラズマ源の動作を許可しないことであり、その際にこのことは好ましくは電子識別装置に基づき識別される。
【0040】
プラズマ源は好ましくは、接続装置を介して基体と接続可能であり、その際にこの接続装置は、有利にはバヨネット継手の形式による、差し込み回転機構を有する。これにより、プラズマ源を基体に簡単かつ安全に固定することができる。
【0041】
択一的または付加的に接続装置は、プラズマ源が特定の配向でしか基体に固定できないよう、非対称に形成されている。この場合、用語「配向」はここでは特に、仮想軸線を中心にした特定の回転位置または角度位置に関係し、この仮想軸線は同時に好ましくは、差し込み回転機構として形成された接続装置の差し込み軸線であり、この場合であれば仮想軸線は同時に有利には、差し込み回転機構の回転軸線も成している。差し込み回転機構は好ましくは以下のように形成されている。すなわち、最初に仮想軸線に沿って見て基体へのプラズマ源の差し込みがロック解除ポジションにおいて行われ、次いでプラズマ源が仮想軸線を中心にロックポジションへと回転させられる。非対称に構成された接続装置によって有利な手法で、プラズマ源を常に適正な配向で基体に固定することができ、このことによって特に、プラズマ源の一義的かつ安全な接触接続が可能となる。
【0042】
特にプラズマ源は好ましくは2つの電極を有しており、それらの電極のうち常に同じ電極を高電圧に接続しなければならず、その際に他方の電極をアースに接続しなければならない。非対称の接続装置を用いることで、電極の誤った接触接続を回避することができ、その結果、たとえば本来はアースに接続すべき電極に誤って高電圧が印加されないようになる。これによりプラズマ装置の電気的安全性がさらに高められる。
【0043】
接続装置は、この装置が非対称の接続手段を有することで、好ましくは非対称に構成されている。たとえば以下のようにすることができる。すなわち、プラズマ源の差し込みを予め定められたポジションでしか行うことができないように、差し込み回転機構が、非対称に形成された差し込み収容部と非対称に形成された差し込み部材とを有する。択一的にまたは付加的に好ましくは、少なくとも1つの非対称の、および/または偏心的に、すなわち、仮想軸線から半径方向で離隔されて、配置された突出部が、特にスナップフックの形態で、プラズマ源および/または基体に設けられており、その際に他方の部材は、基体およびプラズマ源から選択されて、偏心的に配置された、および/または非対称の対応する凹入部を有する。プラズマ源と基体との接続を形成することができるのは、好ましくは、偏心的に配置された突出部が偏心的に配置された凹入部と係合した場合のみ、および/または非対称に形成された突出部が相応に非対称に形成された凹入部と係合した場合のみである。これに対し誤った角度位置では、好ましくは突出部と凹入部とが互いにオーバラップしておらず、またはいずれにせよ、凹入部への突出部の挿入を可能にするオーバラップ状態ではなく、したがってプラズマ源と基体との間に間隔または空隙が残ってしまい、よってプラズマ源と基体とをしっかりと固定することはできない。
【0044】
ただし、少なくとも1つのこの種の非対称な、および/または偏心的に配置された突出部を、対応する凹入部と組み合わせることで、これまで説明してきた配向機能に対し付加的にまたは択一的に、プラズマ源が確実にしっかりと保持されるように、基体においてプラズマ源の予荷重を生じさせるために用いることもできる。この目的で好ましくは、少なくとも1つの突出部が弾性に形成されており、したがってこの突出部は、特に仮想軸線に沿って弾性の予荷重をもたらすように構成されている。この場合には対応する凹入部は好ましくは、この凹入部が弾性の突出部を、少なくともプラズマ源の取り付けられたポジションで、弾性に予荷重が加えられる機能位置へと押しやるように形成されている。凹入部を特に、周方向で見て深さが変化する円弧状の溝として形成することができ、したがって弾性の突出部は有利には、最初にプラズマ源が基体に差し込まれたときには、無荷重で溝と係合することができ、この場合、プラズマ源をその組み立てポジションへと回転運動させていく間に、突出部はこの方向で深さが減少する溝の底面によって、予荷重が加えられた位置へと押しやられる。
【0045】
ただしこれとは逆に、弾性の突出部により挿入時に予荷重が生成され、この場合、プラズマ源が組み立てられた状態では突出部に加わる荷重が少なくとも部分的に軽減されている、というようにすることもできる。この実施形態の場合、プラズマ源を組み立てる際にプラズマ装置のユーザにとってフィードバック感覚が改善される。
【0046】
本発明の1つの発展形態によれば以下のように構成されている。すなわち、プラズマ源は、このプラズマ源の放電平面における周囲空気中に表面波マイクロ放電(SMD-Surface Micro Discharges)を生成するために設けられている。この放電平面は、プラズマ源のプラズマ生成平面であり、そこにおいてプラズマが生成される。このように構成されたプラズマ源は、特別な手法で体部表面を治療するために適している、ということが判明した。特に、体表面自体を電極として用いるかまたは電極として接続する必要なく、プラズマを生成することができる。
【0047】
プラズマ源は好ましくは、第1の平坦な電極と第2の平坦な電極とを有しており、これに加え誘電体も有しており、この誘電体によって第1の電極と第2の電極とが互いに離隔されている。この場合、両方の電極は誘電体と機械的に直接に接触しており、その際にそれらの電極は、有利には、この誘電体に密に当接しているか、または誘電体に埋め込まれている。いずれにせよ第1の電極は、誘電体の第1の側に配置されており、その際に第2の電極は、誘電体の第2の側に配置されており、この場合にさらに、電極と誘電体とから成る積層装置が、治療される体表面の同じ側に形成されている。つまり、体表面は特に、一方の側で誘電体と一方の電極との間に、かつ他方の側で誘電体と他方の電極との間に配置されているのではなく、むしろすべての電極および誘電体は、体表面の同じ側に配置されている。体表面は電極または対向電極としても使用されず、特に電気的に接触接続されない。
【0048】
電極のうちの一方に配属された放電平面において非熱プラズマを生成するために、これらの電極に電位差を特に交流電圧の形態で加えることができる。
【0049】
好ましくは、第1の電極は面全体にわたり形成されており、その際に第2の電極は構造化されて形成されていて、多数のエッジを有しており、それらのエッジのところに最終的に表面波マイクロ放電が発生する。第2の電極を特に格子として、または適切な態様で形成することができる。第1の電極に有利には高電圧が印加され、その際に第2の電極はアースに接続され、または接地される。第2の電極は好ましくは遠位側にあり、すなわち、治療すべき体表面と向き合って配置されており、この場合、第1の電極は近位側にあり、すなわち、治療すべき体表面とは反対側に配置されている。これによりアースに接続されてプラズマが生成される電極が体表面と向き合っており、このことによりプラズマ装置の電気的安全性が付加的に高められる。特に、高電圧が加えられる第1の電極を、プラズマ源内部でカプセル化して配置しておくことができる。
【0050】
本発明の1つの発展形態によれば、第1の電極と誘電体とは、および/または第2の電極と誘電体とは、予荷重部材または押圧部材により互いに押し付けられるように構成されている。したがって第1の電極と誘電体と第2の電極とから成る電極装置を低コストで、しかも最適なプラズマ生成を伴うように提供することができ、その際に電極と誘電体との間には空隙が残らず、または製造に起因してせいぜい僅かな空隙だけしか残らない。有利には、電極装置は同時に予荷重部材または押圧部材により、プラズマ源の壁部に向かって、特に、内部に電極装置が配置されているプラズマ源のハウジングの壁部に向かって押し付けられる。
【0051】
両方の電極が固定されずに誘電体上に載置されており、その際にそれらの電極が予荷重部材または押圧部材により誘電体に向かって押圧されるようにすることができる。ただし、第1の電極が誘電体上にコーティングまたは接着されており、その際に第2の電極だけは固定されずに形成されており、予荷重部材の予荷重力または押圧部材の押圧力により誘電体に向かって押し付けられるようにすることもできる。
【0052】
ただし別の選択肢として、両方の電極が誘電体上にコーティングまたは接着されているようにすることもできる。
【0053】
さらに、第1の電極および第2の電極から選択された少なくとも1つの電極が、誘電体中に埋め込まれているようにすることができ、その際に両方の電極とも誘電体中に互いに反対側で埋め込まれているようにすることができる。
【0054】
第1の電極と誘電体と第2の電極とから成る積層体の積層方向は、特に仮想軸線に沿って延在している。
【0055】
電極装置は、予荷重部材または押圧部材によって特に少なくとも一部の領域でハウジングの壁部に向かって、特に周縁領域において押し付けられ、その際に対応するハウジング壁部は、プラズマを貫通させるために真ん中に中央開口部を有する。有利には第2の電極はこの開口部を介して露出させられており、したがって第2の電極のところで生成されたプラズマは、プラズマ源の対応する壁部を通り抜けることができる。
【0056】
本発明の1つの発展形態によれば、電極装置および有利には予荷重部材または押圧部材は、プラズマ源のハウジング内に配置されており、有利にはハウジング内で注型封止されているように構成されている。これによって特に好適な手法で電極装置のカプセル化を行うことができ、その際にプラズマ源全体を簡単な手法で洗浄することができ、有利には滅菌または消毒することができる。特に、プラズマ源を洗浄または消毒する目的で、プラズマ源全体を超音波槽内に置くことができる。ハウジングは好ましくはその遠位側に、プラズマを貫通させるための中央開口部を備えた壁部を有する一方、ハウジングは好ましくはその近位側、したがって背面側では、カバー部材により封止されており、その際にこのカバー部材は好ましくはハウジングと螺合されており、または他の手法で接続されている。有利にはカバー部材は、プラズマ源を基体と接続するために設けられている接続装置を有する。
【0057】
本発明の1つの発展形態によれば、プラズマ装置は安全回路を有しており、この安全回路は以下のように構成されている。すなわち、この安全回路は、プラズマ源を基体内に配置された高電圧源と電気的に接続するために設けられている電気的接触接続部を、プラズマ源が基体から取り外されているときには、電圧および/または電流が生じないように切り替え、プラズマ源が基体に配置されているときのみ、電気的接触接続部に電圧および/または電流を生じさせることができるように構成されている。これによりユーザにとって、プラズマ装置の電気的安全性が著しく高められる。特に、プラズマ源が基体から分離されているときには、感電のリスクが著しく低減され、有利には排除される。
【0058】
この目的で、安全回路は、好ましくは基体の端面のところに、電気蓄積装置、特に蓄電池またはバッテリ、から高電圧源への電気導線の遮断個所を有しており、この場合、プラズマ源は、基体に取り付けられた状態で端面と向き合った橋絡接点を有しており、この橋絡接点は、このプラズマ源が基体に配置されているときには遮断個所を電気的に橋絡するように構成され配置されている。これに対し、プラズマ源が基体から分離されているときには、高電圧源に向かう電気導線が遮断されており、このため高電圧源には電力が供給されない。したがってこのケースでは、プラズマ源のための電気的接触接続部には電流および/または電圧が生じない。
【0059】
遮断個所は有利には、端面に2つの安全コンタクトピンを有しており、これらは互いに電気的に絶縁されており、空間的に互いに離隔されている。橋絡接点は有利には、プラズマ源が基体に配置されているときに、安全コンタクトピンを電気的に互いに接続するように構成されている。有利には橋絡接点は、コンタクトプレートまたは同等のものとして形成されている。
【0060】
本発明の1つの発展形態によれば以下のように構成されている。すなわち、プラズマ装置の制御装置は電極装置の機能検査を、電極装置のプラズマ電力の特性を表す少なくとも1つの電力パラメータを求めるステップ、少なくとも1つの電力パラメータを少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値と比較するステップ、比較結果を得るステップ、およびこの比較結果に基づき、電極装置の機能正常性について判定するステップにより実施するように構成されている。電力パラメータは特に電極装置の動作中に求められ、これは特に、電極装置が動作している間の電極装置の目下のプラズマ電力の特性を表す。
【0061】
この機能検査を用いることで、特に最初に始動時において、特に電極装置を使用する前に、その機能正常性を確実かつ正確に求めることができ、したがって特に、電極装置の機能正常性が不十分であること、低下していること、または正常には機能していないことに付随して生じるリスクを、プラズマ装置のユーザまたは第三者のために回避することができる。
【0062】
有利には、比較結果に依存して少なくとも1つのアクションが選択される。このようにすることで、比較結果に、ひいては電極装置の確認された機能正常性にも、応答することができ、それに適合されたアクションを選択することができる。
【0063】
電極装置のプラズマ電力とは、電極装置により消費される電力のうち、非熱プラズマの生成に直接使用される成分であって、特にプラズマにより含まれる反応性微粒子の生成速度と直接関係する成分のことであると解される。電力パラメータとして、このプラズマ電力の特性を表すパラメータが検出されるならば、特にいっそう安全かつ信頼性のある手法で、電極装置の機能正常性について推定することができる。それというのも電力パラメータはこのケースでは、電極装置によるプラズマ生成に関する情報を直接もたらすからである。
【0064】
電極装置の機能正常性を判定する、とは特に以下のことであると解される。すなわち、電極装置の機能正常性に関する情報伝達が、特定のアクションの選択による間接的なものであるにせよ、および/または電極装置の機能正常性を記述するまたは表すメッセージの出力による直接的なものであるにせよ、この情報伝達が導き出される、ということであると解される。この場合、機能正常性を単純な2値の確認という趣旨に沿って、つまり、電極装置が正常に機能しているか否かについて判定することができるけれども、特に、目下のプラズマ電力の特定および場合によっては特定された目下のプラズマ電力に応じたアクションの選択を顧慮して、電極装置の機能正常性をもっと複雑な手法で判定することも可能である。
【0065】
好ましくは機能検査の枠内でプラズマ電力が、電力パラメータとしてまたは少なくとも1つの電力パラメータに基づき検出される。
【0066】
本発明の1つの発展形態によれば、アクションは以下のことから成るグループから選択されるように構成されている。すなわち、このグループは、「正常」信号を出力すること、「対処要求」信号を出力すること、「異常」信号を出力すること、特に目下のプラズマ電力を電極装置のオペレータに通知すること、動作時間または治療時間を比較結果に整合させること、電極装置の動作を終了すること、および他に措置を講じることなく、特に信号または通知の出力なく、電極装置の動作を継続すること、から成る。「正常」信号を緑色信号とも称し、「対処要求」信号を以下では黄色警報とも称し、「異常」信号を以下では赤色警報とも称する。この場合、緑色信号は、電極装置が規定どおり動作していることを表す。
【0067】
緑色信号を出力することができるのは、特に、少なくとも1つの電力パラメータが予め定められた目標パラメータ値から、第1の予め定められた限界値よりも僅かにしか、たとえば15%よりも僅かにしか、逸脱していない場合である。黄色警報は以下のことを電極装置のオペレータに通知する。すなわち、電極装置を検査するのが望ましく、その際に、場合によってはさらなるステップ、たとえば電極装置の洗浄、接点の清掃、またはその他のこの種の措置、が必要になるかもしれない、ということを通知する。この種の黄色警報が出力されるのは好ましくは、少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値からの少なくとも1つの電力パラメータの偏差が、第1の予め定められた限界値よりも大きい場合であり、その際に第1の予め定められた限界値は第2の予め定められた限界値よりも小さく、第2の予め定められた限界値は第1の予め定められた限界値よりも大きい。第2の予め定められた限界値を、たとえば、予め定められた目標パラメータ値からの30%の偏差に相応するものとすることができる。少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値からの少なくとも1つの電力パラメータの偏差が、第1の予め定められた限界値と等しい場合にも、黄色警報を出力することができる。赤色警報を出力することができるのは、特に、機能正常性が不十分であることに起因して電極装置を引き続き動作させることがもはや有用ではなく、あるいは電極装置自体にとって、オペレータにとって、または電極装置により治療される人にとって危険である場合である。赤色警報を出力することができるのは特に、少なくとも1つの電力パラメータが少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値から第2の予め定められた限界値だけ、または第2の予め定められた限界値よりも大きく逸脱した場合である。
【0068】
機能検査の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値を1つの目標値とすることができ、その際にこのケースでは電力パラメータが特に正確に1つの目標値と比較され、電極装置の機能正常性が比較結果に基づき判定される。この場合に特に、少なくとも目標値に対し相対的に規定された所定の限界値を超えたときの、上および下へ向かう目標値からの偏差は、電極装置の機能正常性が不十分であることに対する1つの指標である。
【0069】
機能検査の別の実施形態によれば、少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値は最小値である、というようにすることができる。このケースでは、電力パラメータが最小値よりも大きいのか小さいのかをチェックするという手法で、電力パラメータが最小値と比較される。この場合、電力パラメータが最小値以上であるならば、電極装置は正常に機能しており、電力パラメータが最小値よりも小さければ、電極装置は正常には機能していない。この場合、黄色警報に対する範囲を定義することもでき、このようにした場合にはこの範囲は、最小値から出発して予め定められた限界値まで及んでおり、この限界値は、予め定められた絶対値または予め定められた倍数だけ、最小値よりも小さい。この場合であれば赤色警報に対する範囲は、予め定められた限界値から出発してさらに小さい値へと及んでおり、ここで黄色警報に対する範囲は、予め定められた限界値と最小値との間に位置している。緑色信号に対する範囲は、このケースでは最小値よりも上に位置している。
【0070】
機能検査のさらに別の実施形態において、これとは逆にしただけの相応の手法で、目標パラメータ値を最大値として定義しておくことができる。この場合であれば、電力パラメータが最大値を超えた値をとっているならば、電極装置は正常には機能しておらず、電力パラメータが最大値以下の値をとっているならば、電極装置は正常に機能している。この場合には緑色信号の範囲は、いっそう小さい値から、特にゼロから、最大値まで及んでおり、ここで黄色警報の範囲は、最大値から出発して予め定められた限界値まで及んでおり、この限界値は、予め定められた絶対値または予め定められた倍数だけ、予め定められた最大値よりも大きい。この場合であれば赤色警報の範囲は、予め定められた限界値から出発してさらに高い値に及んでいる。
【0071】
機能検査のさらに別の実施形態の場合、少なくとも1つの電力パラメータと比較される2つの予め定められた目標パラメータ値が設けられるようにすることができる。この場合、これら両方の予め定められた目標パラメータ値によって、1つの数値帯域または1つの数値範囲の限界値が定義され、その際にこの数値帯域内または数値範囲内の電極装置は、正常に機能していると判定される。特にこの場合、第1の予め定められた目標パラメータ値は、数値帯域または数値範囲の最小値として定義されており、これよりも大きい第2の目標パラメータ値は、数値帯域または数値範囲の最大値として定義されている。このようにした場合に、黄色警報に対する範囲は、これまで最小値および最大値について説明したような趣旨に沿って、一方では最大値に、他方では最小値にそれぞれ割り当てられている。
【0072】
別の選択肢として、黄色警報に対する範囲が、上述の記載で説明したように、予め定められた目標パラメータ値から出発して赤色警報に対する範囲の方向に及ぶのではなく、むしろその範囲が緑色信号の範囲へと及ぶようにすることもできる。このケースでは、たとえば最小値に割り当てられた予め定められた限界値を最小値よりも大きくすることができ、最大値に割り当てられた予め定められた限界値を最大値よりも小さくすることができる。別の選択肢として、黄色警報範囲が予め定められた目標パラメータ値を包含するように、有利には対称的に含むように、この範囲を定義することもできる。
【0073】
少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値は、有利には電極装置の所望の動作モードに依存して選択され、特に所望のプラズマ化学作用に依存して、特にプラズマ内の特定の活性種の所望の濃度に依存して、選択される。たとえば、一方では生成される非熱プラズマが実質的に酸素種、たとえばオゾン、を含むのが望ましいケース(酸素モード)について、または非熱プラズマが実質的に窒素種、特に窒素酸化物、を含むのが望ましいケース(窒素モード)について、特に1つの許容数値範囲または1つの許容数値帯域の境界を成す、それぞれ異なる目標パラメータ値が予め定められる、というようにすることができる。これらの動作モードの間において中間範囲を選択することもできる。この場合、プラズマ化学作用は選択されたプラズマ電力に大きく左右され、したがってこれによって予め定めることができる。それゆえに電極装置の機能正常性を、選択された動作モードに応じてプラズマ電力に関して検査する必要もある。
【0074】
ここで説明した信号を、たとえば光信号として出力することができる。特に、緑色信号を緑色で発光する光として、黄色警報を黄色で発光する光として、さらに赤色警報を赤色で発光する光として、出力することが可能である。光信号を出力するために、特に発光ダイオードを用いることができる。
【0075】
ただし信号および/または通知を、択一的にまたは付加的に、テキスト形式で特にディスプレイにおいて出力することもでき、音響信号または音響メッセージとして振動により、あるいは他の適切な手法で出力することもできる。
【0076】
特に目下のプラズマ電力をオペレータに通知することによって、オペレータは、特定の治療時間における電極装置の治療成果を見積もることができ、場合によっては治療時間を目下のプラズマ電力に整合させることができる。たとえば電極装置が、公称プラズマ電力に比べて低減された目下のプラズマ電力を有するならば、特定のプラズマ用量を適用するために、オペレータによって治療時間を適切な手法で延長することができる。ただし治療時間のこの種の整合を、特に比較結果に依存して、好ましくは自動的に行うこともできる。有利には、自動的に変更された治療時間がオペレータに通知されるか、またはオペレータが、電極装置をその自主的な動作終了まで動作させるように促され、その場合には変更された治療時間がほぼ自動的に考慮される。この場合、治療時間は好ましくは電極装置の動作時間と一致しており、それというのも電極装置は有利には、実際に実施された治療中だけしかやはり動作させられないからである。この場合には治療は特に、電極装置の始動と共に始まり、電極装置の動作終了と共に終わる。
【0077】
電極装置の機能正常性が低下していないことが確認されたならば、有利にはその動作が継続される。特に機能検査が電極装置の始動時に実施されるならば、特に電極装置の動作継続を緑色信号の出力と同時に行うことができる。機能検査が電極装置の動作進行中に実施される場合には、機能正常性が低下していないことが確認されたときに、他の措置が実施されることなく、特に信号が出力されることなく、動作が好ましくは継続される。
【0078】
本発明の1つの発展形態によれば、機能検査は電極装置の始動直後に実施されるように構成されている。特に、電極装置が始動されるたびにその直後に、常に新たに、機能検査が実施されるようにすることができる。このようにすれば、電極装置を始動時にただちに検査することができ、その際に好ましくは、電極装置が正常に機能しているか否かについて、電極装置のオペレータにフィードバックが出力される。このようにすれば常に、電極装置の本来の使用前に、特に電極装置による体表面または人間の治療前に、電極装置が正常に機能しているか否かについて確認することができ、その際に場合によっては電極装置の本来の使用は行われず、むしろ電極装置が検査され、洗浄され、または修理に出される。このことは一方では以下の利点を有する。すなわち、オペレータに対し早期に電極装置の問題について通知され、その結果、誤った治療、または場合によっては治療が行われていないことに気付かないということが回避され、さらにその際、電極装置の機能正常性を維持または保証するためにただちに措置を講じることができる、ということである。場合によっては作成されるべき治療記録のためにも、電極装置の始動時にただちに、電極装置が正常に機能しているのか否かを、または電極装置が正常に機能していることを、記録に留めておくことができると有利である。
【0079】
機能検査をイベント制御により、たとえば外部からの要求により、特にオペレータによる手動の要求により、初期化することができる。ただし特に好ましくは、機能検査は自動的に開始される。
【0080】
プラズマ電力を、特に様々な手法で求めることができる。
【0081】
1つの好ましい可能性はフーリエ(または電力スペクトル)解析であり、この場合、高周波スペクトル成分における電力だけが求められる。プラズマ放電により多数の小さい「スパイク」が(実質的にデルタ関数のように)生成されるので、プラズマ電力を高周波領域において測定することができる。
【0082】
別の好ましい測定方法において、プラズマ電力がリサージュ図形の平面によって記述され、この平面は、実際に電極装置を介してその動作中に印加される電圧として定義されたプラズマ電圧に対する、プラズマ生成のために高周波電源により電極装置へ印加される電圧として定義された制御電圧の位相空間表現によって生成され、これによれば制御電圧は、プラズマ装置の変調されていない動作電圧であり、プラズマ電圧は、プラズマ放電により変調/変形され、制御電圧に対し相対的に位相シフトされた電圧であり、この電圧は電極装置を介して降下する。ここでは好ましくは、個々のマイクロ放電が電圧推移において考慮されるのではなく、適切な平均が考慮される。位相空間表現によって、囲まれた面積の周囲に閉じた曲線が生成される。この囲まれた面積は、マイクロ放電による制御電圧の変形、ならびに制御電圧とプラズマ電圧との間の位相シフトに関する情報を含み、したがってプラズマ電力に対する尺度を成す。
【0083】
実際上は、この位相空間表現を利用すること、および/または電圧推移を直接測定することは、様々な理由から常に可能というわけではない。この場合に制御電圧とは、印加された高電圧、または波形、位相および振幅の点で印加された高電圧に相応する電圧のことであり、また、プラズマ電圧の代わりに、電極装置と直列に接続された電子プロキシ構造を介して降下するプロキシ電圧が測定され、これは特に「プロキシ測定」とも呼ばれ、その際にプロキシ電圧は、(本来のプラズマ電力を含む)マイクロ放電により引き起こされる2つの作用(変形および位相シフト)を表現する。この「プロキシ測定」の囲まれた面積またはプロキシ電圧それ自体も、プラズマ電力を表す。
【0084】
プラズマ電力を表現するこの種の「プロキシ測定」を実施する様々な可能性が存在する。
【0085】
1.プロキシ電圧に対する制御電圧の位相空間曲線がプロットされ、そのようにしてプロットされた面積の積分が形成される。
【0086】
2.制御電圧の正弦波曲線における予め定められた時点において、プロキシ電圧が測定される。最適には、制御電圧のこの時点のポジショニングは、リサージュ図形の最大の幅および/または高さに該当するように選択されている。このポジションは、最適には、最大時間勾配および/または制御電圧とプロキシ電圧との間の最大位相差の領域内に位置する。
【0087】
この測定のために容易に定義することのできるポイントは、制御電圧のゼロ点通過である。この個所におけるプロキシ電圧は、リサージュ図形の最大の幅または高さに近い。このようにして検出されたプロキシ電圧は、プラズマ電圧を表現する容易に測定可能なパラメータである。このためにはさらに、比例係数の適切な選択も必要とされ、この比例係数を特に、リサージュ図形の囲まれた面積との比較により求めることができる。
【0088】
測定の「離散化」のゆえに、この種の「特異な」測定の場合には、偶然にマイクロ放電と一致するかもしれないし、一致しないかもしれない。よって、プラズマ電力について信頼性のある結果を得るためには、好ましくは十分に多くの測定、好ましくは256回の測定、の平均が行われる。
【0089】
したがって、本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの電力パラメータは、電極装置に対し直列に接続された電子プロキシ構造において、特にプラズマ装置の電子プロキシ構造において、特にプロキシ測定として、検出されるように構成されている。これにより、特に携行可能であり手持ち可能な小型の機器であっても実施可能であり、それにもかかわらず電極装置のプラズマ電力の特性を表す電力パラメータの簡単な測定を実現することができる。
【0090】
電子プロキシ構造とは本明細書では特に、以下のような1つの電子部品、または互いに電気的に間接的または直接的に接続されて互いに共働する以下のような複数の電子部品のことであると解され、すなわち、少なくとも1つの電力パラメータひいてはプラズマ電力を求めるためにそこにおいて代理測定を行うのに特に適した電子部品のことであると解される。
【0091】
本発明の1つの発展形態によれば、電子プロキシ構造としてキャパシタンスが用いられるように構成されている。この場合、キャパシタンスとは一般に、少なくとも容量性の挙動も示す構造、有利には実質的に容量性の挙動を示す構造、有利にはもっぱら容量性の挙動を示す電子構造のことであると解される。特に好ましくは電子プロキシ構造として、少なくとも1つのコンデンサまたはコンデンサ装置が使用され、特に好ましくは正確に1つのコンデンサが使用される。ここで判明したのは、本明細書で提案されている機能検査の枠内でキャパシタンスを電子プロキシ構造として使用することによって、電極装置の実際のプラズマ電力に関して特に信頼性のある情報伝達が可能になる、ということである。
【0092】
以下ではプロキシキャパシタンスと称する電子プロキシ構造のキャパシタンスは、以下では装置キャパシタンスと称するプラズマ動作中の電極装置のキャパシタンスに相応するものよりも、好ましくは大きく、特に著しく大きく選定され、有利には少なくとも500~最大で2000倍、有利には少なくとも750~最大で1500倍、有利には1000倍、大きく選定される。
【0093】
プロキシ電圧V
proxyは、プラズマ電圧V
plasmaに対し以下のような挙動を示す。
【数1】
ここでC
pはプロキシキャパシタンスであり、C
aは装置キャパシタンスである。
【0094】
これについて、好ましい実施例を挙げて詳しく説明する。
【0095】
(好ましい実施例の最初)装置キャパシタンスは、有利には、電極装置の構造化された電極の総エッジ長L(すべてのエッジ長の合計)に比例し、それらのエッジにおいてプラズマ生成が行われ、この場合には装置キャパシタンスは比例係数c
Lによって
【数2】
となる。
【0096】
装置キャパシタンスはたとえば109pFとなり、プラズマ電圧は3.5kVpp(ピーク・ツー・ピーク)となる。さらに総エッジ長Lは72cmである。よって、cL=Ca/L=1.51であり、かかる値はSMD電極装置に一般的なものであり、ここでcLは1<cL<2の範囲内に位置する。
【0097】
測定技術的な理由から、プロキシ電圧の値がたとえば3~5V
ppとなるようにしたい。このことからスケーリングが行われる(ここでC
p>>C
a)。
【数3】
【0098】
プラズマ電圧の大きさは、制御電圧に基づき既知であり(一般的には数kV)、所望のプロキシ電圧も同様である。実質的に総エッジ長Lによって予め定められる電極コンフィギュレーションおよび電極構造形式(たとえばSMD、これによりcLが規定される)について、Cpを求めることができる。
【0099】
好ましい電極装置に関して式(3)から、(Vproxy=3.5VppおよびVplasma=3.5kVppにより)プロキシキャパシタンスについてCp=100nFの基準値が得られる。(好ましい実施例の最後)
【0100】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの電力パラメータとして、制御電圧の特定の位相角のところで、特に制御電圧のゼロ点通過時に、プロキシ電圧の少なくとも1つの値が測定されるように構成されている。有利には、少なくとも1つの電力パラメータとして、制御電圧の特定の位相角におけるプロキシ電圧の平均値PMが、制御電圧の複数の周期、特に多数の周期にわたる平均によって、求められる。
【数4】
ここで式(4)中、V
proxy,i(φ)は、周期iにおける制御電圧の一定の位相角φでの、特にゼロ点通過時の、プロキシ電圧の値であり、ここでnは、平均が行われる制御電圧の周期の個数である。この場合、1つの好ましい実施形態によれば、n=256であり、別の好ましい実施形態によれば、nは他の値またはいっそう大きい値をとることができる。n=256の場合、x kHzの制御電圧の周波数について、すべての測定が相次いで順次連続する周期内で行われるのであれば、途切れることなく周期ごとに1回測定されるプロキシ電圧の平均値の計算は、1/(4x)秒ごとに生じることになる。高い周波数の場合には特に、特定の周期内においてのみ測定することも可能であり(たとえば2周期おきまたは3周期おきなど)、あるいは256周期すべてを相前後して測定し、次いで特定の個数の周期を欠落させる。プラズマ用量を求めるためには、当然ながら相応の手順を考慮する必要がある。
【0101】
電極装置を制御するための制御装置内に、有利には、実際のプラズマ電力に対する電力パラメータの対応づけが格納されており、これは有利には簡単な係数として、またはもっと複雑な、好ましくは少なくとも単射の、有利には全単射の関数として格納されており、この関数によって、電力パラメータの測定された1つの値に対し一義的に1つの実際のプラズマ電力が対応づけられる。
【0102】
本発明の1つの発展形態によれば、電力パラメータが第1の上方の目標パラメータ値および第2の下方の目標パラメータ値と比較されるように構成されている。この場合、第1の上方の目標パラメータ値は、第2の下方の目標パラメータ値よりも大きい。電力パラメータ値が、第1の目標パラメータ値と第2の目標パラメータ値とを限界値とする目標パラメータ範囲内に収まっているか否かに応じて、少なくとも1つのアクションが選択される。したがって第1の目標パラメータ値と第2の目標パラメータ値とによって、1つの目標パラメータ範囲が設定されており、この範囲の中に電力パラメータが規定どおりに収まっているのが望ましく、つまり、このことは、電力パラメータがこの目標パラメータ範囲内に収まっていれば、電極装置はきちんと機能している、ということを意味する。これに対し電力パラメータが、第2の下方の目標パラメータ値よりも小さいか、または第1の上方の目標パラメータ値よりも大きければ、電極装置はきちんと機能しておらず、使用不可能であるか、限定的にしか使用できない。この場合、特に、目標パラメータ範囲外の電力パラメータが、第1の上方の目標パラメータ値または第2の下方の目標パラメータ値から、どの程度隔たっているのかに応じても、少なくとも1つのアクションを選択することができる。この場合に特に、黄色警報に対する範囲と赤色警報に対する範囲とを、それ相応のさらなる限界値によって分離することができる。
【0103】
この場合、第1の上方の目標パラメータ値によって、プラズマ生成のための上限電力が考慮されるが、その際にたとえば、電極装置の誘電体の腐食、誘電体上の堆積物、漏れ電流の形成、または電極装置の電力消費を高める他の同様の作用によって、この上限電力が上回られる可能性がある。第2の下方の目標パラメータ値によって、電極装置の下限電力が考慮されるが、たとえば電極装置の電極の導電性構成部分の汚れ、堆積物および/または腐食、あるいは電極装置の電力消費を低下させる他の同様の作用によって、この下限電力が下回られる可能性がある。
【0104】
本発明の1つの発展形態によれば、少なくとも1つの電力パラメータを求める前に、予め定められた時間にわたり電極装置が動作させられるように構成されている。このようにすれば、電極装置の動作に関して一定の動作条件および/または平衡状態が生じているため、電力パラメータが電極装置の連続動作の点でも適性に検出される、ということを保証することができる。
【0105】
好ましくは、少なくとも1つの電力パラメータを最初に求める前に、第1の予め定められた時間にわたり電極装置が動作させられる。その後、少なくとも1つの電力パラメータを最初に求めることにより機能検査が実施される。その結果が肯定であれば、プラズマ装置を使用することができる。その結果が否定であれば、第2の予め定められた時間にわたり電極装置が動作させられる。その後、新たな機能検査が行われる。機能検査により肯定の結果がもたらされるまで、あるいは予め定められた繰り返し限界回数に達するかまたはそれを超えるまで、あるいは予め定められた最大試験時間が経過するまで、この手順を続けることができ、その後、電極装置またはプラズマ装置の機能正常性に関する最終判定が下される。第1の予め定められた時間、第2の予め定められた時間、および場合によってはさらなる予め定められた時間は、同じ値またはそれぞれ異なる値を有することができ、たとえば15秒を有することができる。
【0106】
本発明の1つの発展形態によれば、比較結果および/または少なくとも1つの電力パラメータが、後から呼び出すために電子記憶装置に記録されるように構成されている。電子記憶装置を、電極を制御するための制御装置にそのまま組み込むことができるが、その外部に設けておくこともできる。特に、この記録が外部のサービス提供業者において行われるようにすることができ、このサービス提供業者は、たとえばWLANおよび/またはBluetoothなど有線またはワイヤレスのデータコネクションを介して、電極装置のための制御装置と、作用可能に接続されている。特に好ましくは、比較結果および/または少なくとも1つの電力パラメータが自動的に記録され、および/または特に好ましくは少なくとも1つのメタデータとリンクされ、たとえばタイムスタンプ、電極装置の使用場所に関する記述、電極装置の使用目的または使用形式に関する記述、電極装置の動作の特定のパラメータに関する記述、またはこれに類するものとリンクされる。このようにすることで、プラズマ装置の動作に関するいわばログを作成することができ、したがってその機能正常性および使用準備完了状態について、または全般的にその動作についても、経時的に追跡することができる。
【0107】
有利には、有線またはワイヤレスの作用可能なコネクション、特に無線コネクション、有利にはWLANおよび/またはBluetoothを介して、プラズマ装置を、遠隔監視、読み取り、および/または制御することもでき、このことは特に好ましくはインターネットアクセスおよび/またはスマートフォンアプリを介して行われる。
【0108】
次に、図面を参照しながら本発明について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【
図1】第1の視線から見たプラズマ装置の1つの実施例を示す分解組立図である。
【
図2】第2の視線から見た
図1によるプラズマ装置の実施例を示す分解組立図である。
【
図3】組み立てられた状態での
図1および
図2によるプラズマ装置の実施例を示す断面図である。
【
図4】
図1~
図3によるプラズマ装置の実施例のプラズマ源を示す分解組立図である。
【
図5】プラズマ装置のための安全回路の1つの実施例を示す概略図である。
【
図6】プラズマ装置に対し機能検査を実施するための回路図を示す概略図である。
【0110】
図1には、体表面、特に皮膚表面、特に好ましくは創傷、を治療するためのプラズマ装置1の1つの実施例の分解組立図が示されている。プラズマ装置1は手持ち可能な基体3を有しており、基体3にはプラズマ源5が配置されている。プラズマ源5は基体3と着脱自在に接続可能であり、有利には接続されており、この場合、プラズマ源5は
図1の分解組立図では、基体3から取り外された状態で示されている。
【0111】
プラズマ源5は、非熱プラズマを生成するために設けられている。
【0112】
これに加えプラズマ装置1はスペーサ7を有しており、スペーサ7は、組み立てられた状態でプラズマ源5と図示されていない治療すべき体表面との間の間隔を規定するために設けられている。スペーサ7は、基体3および/またはプラズマ源5と着脱自在に接続可能であり、有利には接続されている。
【0113】
このようにすれば、治療各々のためにプラズマ源5および基体3と共に適切なスペーサ7を用いることができるようになり、様々な治療を行おうとする場合に、複数のスペーサ7を特に相互間で交換することができるようになる。さらに、スペーサ7を、有利には、体表面の1回の治療後に廃棄処理される1回かぎりの部品または使い捨て部品として形成することができる。この場合にはスペーサ7の手間のかかる洗浄、消毒または滅菌が不要となり、プラズマ装置1を極めて衛生的に、しかも簡単に低コストで動作させることができる。
【0114】
スペーサ7は有利には周囲を巡る縁部9を有しており、縁部9は、治療すべき体表面およびプラズマ源5と共に、閉じた治療ボリュームを包囲している。
【0115】
これに加えスペーサ7は周囲を巡るカラー11を有しており、これは組み立てられた状態でプラズマ源5および基体3の一部の領域に覆い被さる。ここで、カラー11は、特にプラズマ源5および基体3がここでは非円形の幾何学的断面形状を有する場合、プラズマ源5の領域においてスペーサ7のための捻じれ防止の機能を提供し、その際にカラー11は、両方の部材に覆い被さることで、基体3に着脱自在に配置されたプラズマ源5が基体3から誤って外れてしまうことも同時に防止する。特に、プラズマ源5が差し込み回転機構によって基体3に固定されている場合には、カラー11が基体3に対し相対的なプラズマ源5の捻じれを阻止することから、プラズマ源5が外れてしまうことがない。
【0116】
スペーサ7は、周囲を巡る縁部9から出発して、または周囲を巡るカラー11から出発して、プラズマ源5および基体3に向かう方向に、したがって近位方向に、延在するタブ13を有しており、タブ13は、スペーサ7を基体3および/またはプラズマ源5から取り外すために設けられている。特に、プラズマ装置1のユーザは、特に基体3も保持している自身の手の1本の指で、タブ13に背面から簡単に触れることができ、これに応じてスペーサ7をプラズマ源5および基体3から簡単に取り外して廃棄処理することができる。この場合、特にプラズマ装置1を両手で掴む必要がなく、特に汚染のリスクを鑑みるとこのことは好適である。
【0117】
スペーサ7は好ましくは、非熱プラズマに対し透過性の遮蔽部材15を有しており、ただし遮蔽部材15は、プラズマ源5および/または基体3に取り付けられた状態で、治療される体表面、または他の体部がプラズマ源5と接触するのを阻止するように、構成されている。遮蔽部材15は、ここに図示されている実施例の場合には、格子として形成されている。別の選択肢として、ネットとして、複数の桁または棒の配列として、あるいは他の適切な態様で、形成することもできる。
【0118】
プラズマ源5は好ましくは、接続装置17を介して基体3と着脱自在に接続可能であり、特に接続されており、その際に
図1においては、基体3に配属された接続装置17の部分しか見て取ることができず、それというのもプラズマ源5に配属された接続装置17の部分は、プラズマ源5によって隠されているからである。
【0119】
接続装置17は特に、差し込み回転機構を有しており、これは有利にはバヨネット継手の形式で形成されている。この場合、プラズマ源5を有利には仮想軸線Aに沿って、この仮想軸線Aを中心に所定の角度位置で基体3に差し込むことができ、その後、プラズマ源5が基体3に固定されるように、特に係止されるように、仮想軸線Aを中心に回転させることができる。
【0120】
接続装置17はここでは、基体3において2つのフック状の突出部19、19’を有しており、これらの突出部19、19’を、
図2に示す相補的に形成された差し込み回転凹入部21、21’に差し込むことができ、その際にプラズマ源5を続いて仮想軸線Aを中心に回転させることで、基体3と緊締させることができる。この場合、それ自体公知の手法でフック状の突出部19、19’を、軸線Aを中心にプラズマ源5の所定の第1の角度位置で差し込み回転凹入部21、21’に差し込むことができ、その際に、これらの突出部19、19’は、仮想軸線Aを中心にプラズマ源5を回転させた後、異なる第2の角度位置において、これらを差し込み回転凹入部21、21’からもはや引き抜くことができないように、差し込み回転凹入部21、21’に後方から係合する。それどころか、このような引き抜きは、プラズマ源5を再びその第1の角度位置まで仮想軸線Aを中心に回転させて戻したときに初めて、行うことができる。
【0121】
接続装置17は有利には、プラズマ源5が所定の配向でしか、特に仮想軸線Aを中心にした所定の角度位置においてしか、基体3に固定することができないよう、非対称に形成されている。この場合、ここでは特に突出部19、19’および差し込み回転凹入部21、21’が非対称であり、つまり、これらはそれぞれ異なるように、特にそれぞれ異なる大きさで、形成されており、したがって少なくとも、突出部19、19’のうち大きい方は、両方の差し込み回転凹入部21、21’のうち大きい方にしか差し込むことができない。このケースでは特に、突出部19、19’のうち第1の突出部19が、突出部19、19’のうち第2の突出部19’よりも大きく形成されている。これに応じて、第1の差し込み回転凹入部21は、差し込み回転凹入部21、21’のうち第2の差し込み回転凹入部21’よりも大きく形成されている。
【0122】
これに加え、接続装置17はここでは、プラズマ源5において少なくとも1つの弾性の突出部23、ここでは好ましくは弾性的に変位可能な2つの突出部23、23’を有しており、これらの突出部23、23’は組み立てられた状態で、それぞれ相補的に形成されて配置された基体3の凹入部25、25’に係合する。2つよりも多くの弾性の突出部23、23’およびそれらに対応して凹入部25、25’を設けることもできる。突出部23、23’および凹入部25、25’によって、好ましくは、組み立てられたポジションおよび/または差し込み位置で、基体3におけるプラズマ源5に対し予荷重がもたらされる。ただし基本的に、この種の突出部23、23’および凹入部25、25’を付加的にまたは択一的に、基体3におけるプラズマ源5の適正な配向を保証するために使用することもでき、これは特にこれらが非対称に形成および/または配置されている場合である。
【0123】
プラズマ源5が組み立てられた状態で当接する、基体3の端面27には、接続装置17がその基体側の部材と共に配置されているが、
図1ではこの端面27において、さらに2つのコンタクトピン29、29’を見て取ることができ、これらのコンタクトピン29、29’は、プラズマ源5の電気的接触接続のために設けられている。
図2では、プラズマ源5が対応する相補的な接触接続凹入部31、31’を有する、ということを見て取ることができ、プラズマ源5を電気的に接触接続する目的で、組み立てられた状態でコンタクトピン29、29’がこれらの接触接続凹入部31、31’に係合する。接触接続凹入部の代わりに、コンタクト面または同等のものを設けることもできる。
【0124】
図2には、別の視線から見たプラズマ装置1の実施例のさらに別の分解組立図が示されている。同じ部材および機能的に同じ部材には同じ参照符号が付されており、したがってそれらにかぎってはこれまでの説明を参照されたい。
図2から見て取ることができるのは、スペーサ7が少なくとも1つの第1の係止部材を、好ましくは2つの第1の係止部材を有するということであり、これらのうちここでは1つの第1の係止部材33だけしか見て取ることができない。他方の第1の係止部材は、好ましくはプラズマ装置1の中央面に関して見ると、第1の係止部材33とは反対側に配置されており、したがって
図2では隠されている。プラズマ源5はここでは、少なくとも1つの第2の係止部材を、有利には正確に2つの第2の係止部材35、35’を有しており、その際に第1の係止部材33および第2の係止部材35は、スペーサ7をプラズマ源5において保持するために、これら第1の係止部材33と第2の係止部材35とが共働できるよう、互いに調整されている。別の選択肢として、第2の係止部材35、35’を基体3にも設けることもできる。
【0125】
第1の係止部材33は、ここでは突出部またはアンダーカット部として形成されており、この場合、第2の係止部材35、35’はスロットとして形成されており、これらに第1の係止部材33を係止させて係合させることができる。
【0126】
スペーサ7は好ましくは電子識別装置を有しており、好ましくはこの電子識別装置を非接触で読み取ることができる。特に好ましくは、電子識別装置はRFIDタグとして形成されている。このようにすればスペーサ7を、
図3に示されているプラズマ装置1の制御装置37によって識別することができる。
【0127】
電子識別装置は有利にはタブ13に組み込まれており、ここでは特に好ましくはタブ13の収容スロット39に収容されている。これに加え好ましくは、電子識別装置の主平面は、電極平面41に対し垂直に(
図1および
図3参照)、したがって同時に端面27に対しても垂直に、配向されているように構成されている。このようにすることで電子識別装置の非接触読み取りを、たとえプラズマ源5が動作していてもこれに関連する電磁妨害が発生することなく、行うことができる。
【0128】
図3には、
図1および
図2によるプラズマ装置1の実施例の断面概略図が示されている。同じ部材および機能的に同じ部材には同じ参照符号が付されており、したがってそれらにかぎってはこれまでの説明を参照されたい。
図3において特に見て取ることができるのは、組み立てられた状態で、スペーサ7が、カラー11により、プラズマ源5の周囲だけでなく部分的に基体3の周囲も包囲している、ということである。しかも、プラズマ源5が組み立てられた状態で端面27に当接し、その際にコンタクトピン29、29’が接触接続凹入部31、31’と係合し、またはコンタクト面に当接する、ということを見て取ることができる。
【0129】
プラズマ装置1は好ましくは、バッテリ駆動型または蓄電池駆動型として形成されており、それゆえに電気エネルギー蓄積用の電気蓄積装置43を有している。電気蓄積装置43は好ましくは、バッテリまたは蓄電池として形成されている。電気蓄積装置43は、特にコンタクトピン29、29’を介してプラズマ源5に、さらに制御装置37に、電力を供給する役割を特に果たす。制御装置37はこの場合には特に、一方ではプラズマ源5を駆動するように、他方ではスペーサ7の電子識別装置を読み取るように、好ましくはスペーサ7を識別するように、構成されている。好ましくは、制御装置37はさらに、同じスペーサ7の1回かぎりの使用しか許可されないように構成されている。特に以下のようにすることができる。すなわち、スペーサ7が存在していないこと、またはすでに使用されたスペーサ7が新たに使用されようとしていることを、制御装置37が識別したならば、制御装置37はプラズマ源5の動作を遮断または阻止する。
【0130】
このケースでは制御装置37を、エラーメッセージ、アラームまたは他の適切な通知を、プラズマ装置1のユーザへ出力するように構成することもできる。
【0131】
しかもプラズマ装置1は好ましくは、図示されていない充電ステーションを有しており、電気蓄積装置43を充電する目的で、この充電ステーションに基体3を差し込むことができる。特にこのようにした場合には、基体3を他の装置と完全に独立させて、特にコードレスで、移動させることができ、その結果、プラズマ装置1の操作およびプラズマ装置1を用いた体表面の治療が特に容易になる。
【0132】
さらに以下のように基体3に配置された操作部材45を見て取ることができる。すなわち、この操作部材45は、簡単かつ容易にプラズマ装置1のユーザにより操作することができ、特に基体3を保持するユーザの手の親指で操作することができる。操作部材45は好ましくはキー、プッシュボタン、接触センサとして、または他の適切な態様で、形成されている。特に制御装置37において実現されているプラズマ装置1に関する操作コンセプトは、有利にはワンキー操作に従ったものであり、これによれば少なくとも、プラズマ装置1のすべての基本操作を、この1つの操作部材45の操作によって、選択および/または起動および/または操作することができる。ただし当然ながら別の選択肢として、プラズマ装置1が複数の操作部材を有するということも可能である。さらに可能であるのは、プラズマ装置1が表示装置を特に基体3に組み込まれたかたちで有するということであり、この場合、表示装置は特に、プラズマ装置1のパラメータを表示するように、有利には特に種々のメニュー、特にコンテキストメニュー、を表示できるように構成されており、その際に操作部材45は、表示装置に表示されたメニューまたはコンテキストメニューに応じて、その機能を変更することができる。表示装置をタッチスクリーンとして形成することもできる。
【0133】
図4には、
図1~
図3によるプラズマ装置1の実施例のプラズマ源5の分解組立図が示されている。同じ部材および機能的に同じ部材には同じ参照符号が付されており、したがってそれらにかぎってはこれまでの説明を参照されたい。プラズマ源5は好ましくは、電極平面41において周囲空気中に表面波マイクロ放電を生成するために設けられており、しかも電極平面41はプラズマ源5の放電平面であり、つまり、プラズマ生成平面である。プラズマ源5は、第1の平坦な電極47と第2の平坦な電極49とを有しており、これらの電極は一緒に組み立てられた状態で誘電体51により互いに離隔されており、その際に両方の電極47、49は、誘電体51と直接に機械的に接触した状態にあり、ただし同じ誘電体51のそれぞれ異なる側に配置されている。特にこれらの電極は好ましくは、誘電体51に密に当接しているか、または誘電体51中に埋め込まれている。ここに示されている実施例の場合には、好ましくは第1の電極47は誘電体51上にコーティングされており、その際に第2の電極49は誘電体51上に載置されている。
【0134】
コンタクトピン29、29’を介して好ましくは電極47、49に電位差、特に交流電圧、が印加され、これによって電極平面41において、つまり、放電平面において、非熱プラズマが生成される。
【0135】
第1の電極47は面全体にわたり形成されているのに対し、第2の電極49は好ましくは構造化されており、ここでは特に格子電極として形成されている。その際にこの電極は複数のエッジを有しており、それらのエッジにおいて表面波マイクロ放電が点弧され、この場合、第2の電極49のエッジにおいて非熱プラズマも形成される。
【0136】
第1の電極47には好ましくは、プラズマ源5の動作中に高電圧が印加され、その一方で、遠位側に、つまり、治療される体表面と向き合って配置されている第2の電極49は、アースに接続され、または接地される。これによりプラズマ装置1の動作の電気的安全性が高められる。
【0137】
ここに示されている実施例の場合、一方では第1の電極47と誘電体51とが、他方では第2の電極49が、組み立てられた状態で押圧部材53により互いに押し付けられ、同時にプラズマ源5の壁部55に向かって押し付けられる。壁部55は、有利にはプラズマ源5のハウジング57の壁部である。ハウジング57は特に、電極平面41において生成されるプラズマを通過させるための貫通開口部59を有しており、それゆえに特に第2の電極49は壁部55の周縁部に向かって押し付けられる。
【0138】
押圧部材53により、組み立てられた状態で第1の電極47と誘電体51と第2の電極49とが、密接して好ましくは空隙なしで互いに押圧され、これにより第2の電極49において非熱プラズマを高い効率で生成することができる。
【0139】
押圧部材53は好ましくは、周囲を巡る押圧カラーを有しており、この押圧カラーは、誘電体51に対しその外枠に沿って押圧力を加えるように構成され、誘電体51のサイズに合わせて調整されている。これに加え、押圧部材53は好ましくは、内側に位置する、特に中心に配置された、少なくとも1つの押圧ウェブ、または有利には対称に偏心的に配置された複数の押圧ウェブを有しており、これらは第1の電極47と誘電体51とに内側領域において押圧力を加えるように構成されている。少なくとも1つの押圧ウェブを用いることによって、好ましくは特に、一般に脆い誘電体51に縁部側のみで押圧力が引き起こされたとき、場合によっては懸念される誘電体51の損傷を回避することができる。第1の電極47と誘電体51と第2の電極49とから成る電極装置58、ならびに有利には押圧部材53は、組み立てられた状態でハウジング57内に配置されている。好ましくは、少なくとも電極装置58はハウジング57内で注型封止されている。これによって、プラズマ源5が基体3から取り外されているときに、プラズマ源5を特に簡単に洗浄および/または滅菌および/または消毒することができる。特に、プラズマ源5の電気的動作または電気的安全性が損なわれることなく、プラズマ源5を水槽または超音波槽内で洗浄することができる。
【0140】
組み立てられた状態で基体3の端面27と向き合う側において、ハウジング57はカバー部材61により封止されており、このカバー部材61は有利にはハウジング57と螺合されている。それゆえに、ねじ孔63とねじ64とがここでは概略的に示されており、これらによってカバー部材61をハウジング57に螺着することができる。
【0141】
カバー部材61および押圧部材53は、ここに示された実施例の場合には、互いに一体的に形成されている。
【0142】
ここで重要であるのは、体表面を治療するときに両方の電極47、49が体表面の同じ側に配置されており、特に体表面がこれらの電極の間には配置されておらず、さらに体表面自体がプラズマ源5のプラズマ電極に対する対向電極を成さない、ということである。このようにすれば、体表面の治療のために、安定した再現可能な非熱プラズマを予め定められた特性で生成することができる。
【0143】
図5には、プラズマ装置1のための安全回路65の1つの実施例の概略図が示されている。
【0144】
この安全回路65は以下のように構成されている。すなわち、プラズマ源5を基体3内に配置された高電圧源69と電気的に接続するために設けられ、ここではコンタクトピン29、29’により実現されている電気的接触接続部67を、プラズマ源5が基体3から取り外されているときには、電圧および/または電流が生じないように切り替え、プラズマ源5が基体3に配置されているときのみ、電気的接触接続部67に電圧および/または電流が生じるように構成されている。高電圧源69は
図3にも示されている。高電圧源69は、制御装置37が高電圧源69を制御できるよう、制御装置37と作用可能に接続されている。
【0145】
安全回路65は、
図1~
図3に示されているように基体3の端面27に、電気蓄積装置43から高電圧源69に向かう電気導線73の遮断個所71を有する。プラズマ源5は、基体3に取り付けられた状態で端面27と向き合う橋絡接点75を有しており、この橋絡接点75は、プラズマ源5が基体3に配置されているときには、遮断個所71を電気的に橋絡するように構成され配置されている。これに対し、プラズマ源5が基体3から分離されているときには、高電圧源69に向かう電気導線73が遮断されており、このため高電圧源69には電力が供給されない。ゆえにこのケースでは、プラズマ源5のための電気的接触接続部67には電流および/または電圧が生じない。
【0146】
遮断個所71は、
図1に示されているように、端面27に特に2つの安全コンタクトピン77、77’を有しており、これらは互いに電気的に絶縁されており、空間的に互いに離隔されている。橋絡接点75は有利には、プラズマ源5が基体3に配置されているときに、安全コンタクトピン77、77’を電気的に互いに接続するように構成されている。有利には橋絡接点75は、コンタクトプレート79または同等のものとして形成されている。
【0147】
つまり、安全回路65の安全機構はここでは、基体3における安全コンタクトピン77、77’の形態の2つの付加的な接点と、橋絡接点75の形態のプラズマ源5における1つの共通の対向接点とによって、機械的に実現される。プラズマ源5が基体3から分離されると、遮断個所71が開き、したがって高電圧源69が電気蓄積装置43から分離される。このときコンタクトピン29、29’には電流および/または電圧が生じず、その結果、ユーザが触れやすい端面27の領域に高電圧が印加されなくなる。つまり、安全機構はここでは、特に機械的な安全スイッチとして形成されている。
【0148】
図6には、プラズマ装置1に対し機能検査を実施するための回路図が概略的に示されている。同じ部材および機能的に同じ部材には同じ参照符号が付されており、したがってそれらにかぎってはこれまでの説明を参照されたい。
【0149】
プラズマ装置1は電子プロキシ構造104を有しており、これは電極装置58と直列に接続可能であり、ここでは直列に接続されている。制御装置37は、電極装置58と直列に接続された電子プロキシ構造104のところで、少なくとも1つの電力パラメータを検出するように構成されている。電子プロキシ構造104は、ここでは特にキャパシタンス105として形成されている。
【0150】
電力パラメータとして、高電圧源69により生成された制御電圧の特定の位相角で電子プロキシ構造104を介して降下する交流電圧V(t)、つまり、プロキシ電圧、の少なくとも1つの値、特に平均値が測定され、これは特に上述の式(4)に従い、特に制御電圧の複数の周期にわたる平均が行われる。その際に好ましくは、プロキシ電圧は電圧測定装置107により時間に依存して検出される。
【0151】
電力パラメータは有利には、第1の上方目標パラメータ値および第2の下方目標パラメータ値と比較され、この場合、少なくとも1つの電力パラメータが、第1の目標パラメータ値と第2の目標パラメータ値とを限界値とする目標パラメータ範囲に収まっているか否かに応じて、少なくとも1つのアクションが選択される。
【0152】
治療のために安全な治療域を突き止める目的で、プラズマ源5を用いて前臨床試験が実施された。
【0153】
最初に有効性検査が実施された。その際に判明したのは、プラズマ源5は細菌(多耐性病原菌も)および真菌類を極めて効果的に不活性化する、ということである。この場合、僅か60秒の治療時間中にすでに4~5桁のオーダで大幅な削減が達成される。
【0154】
さらに別の検査によって判明したのは、細菌性の生体膜も不活性化することができる、ということである。60秒の治療時間内に3桁のオーダで削減が達成された。10分の治療時間後、完全な削減を達成することができた。
【0155】
さらに安全性検査が実施され、特に真核細胞(一次線維芽細胞および角化細胞)における活力検査、変異原性試験、(細胞の増殖を分析するための)創傷治癒効力検定、および生体外皮膚における検査(組織学分析、細胞消滅分析もしくは壊死分析)が実施された。
【0156】
これらの検査により、個々の真核細胞の想定し得る最悪のケースでさえ、3分までの治療時間において損傷には至らない、ということが判明している。変異原性試験によって、(5分までテストされた)いかなるプラズマ治療時間についても変異の誘発は見られず、また、体外皮膚検査によっても、いかなる治療時間についても何らかの損傷は見られなかった。このことによって、治療域がここで挙げたものよりもさらに著しく大きいことを推定することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体表面を治療するためのプラズマ装置(1)であって、
- 手持ち可能な基体(3)を備えており、該基体(3)に、
- プラズマ源(5)が配置されており、該プラズマ源(5)は、非熱プラズマを生成するために設けられており、さらに
- スペーサを備えており、該スペーサは、組み立てられた状態で前記プラズマ源(5)と治療すべき体表面との間の間隔を規定するように構成されており、ここで
- 前記スペーサ(7)を、前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)と着脱自在に接続可能であり、さらにここで
- 前記プラズマ源(5)は、前記基体(3)と着脱自在に接続可能であり、
- 前記スペーサ(7)は、少なくとも1つの第1の係止部材(33)を有しており、前記プラズマ源(5)および/または前記基体(3)は、少なくとも1つの第2の係止部材(35、35’)を有しており、前記第1の係止部材(33)および前記第2の係止部材(35、35’)は、前記スペーサ(7)を前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)において保持するために、前記第1の係止部材(33)と前記第2の係止部材(35、35’)とが共働できるよう、互いに調整され、
前記プラズマ源(5)は、接続装置(17)を介して前記基体(3)と接続可能であり、該接続装置(17)は、差し込み回転機構を有している、体表面を治療するためのプラズマ装置(1)。
【請求項2】
前記基体(3)は、第一の方向に延びるとともに片手で保持可能なように構成される第一の部分と、前記第一の部分から、前記第一の方向と交差する第二の方向に延びる第二の部分と、を有し、
前記プラズマ源(5)及び前記スペーサ(7)は前記第二の部分上に、前記第二方向にこの順で配置され、
前記スペーサ(7)は、周囲を巡る縁部(9)または周囲を巡るカラー(11)から出発して延在するタブ(13)を有しており、該タブ(13)は、組み立てられた状態で前記基体(3)の方向に延在しており、前記基体(3)側から押圧されることによって前記スペーサ(7)を前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)から取り外すために、前記スペーサ(7)から前記第2の方向とは反対方向に突出して設けられている、請求項1に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項3】
前記スペーサ(7)は、周囲を巡るカラー(11)を有しており、該カラー(11)は、組み立てられた状態で前記プラズマ源(5)および前記基体(3)の一部の領域に覆い被さる、請求項1に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項4】
前記スペーサ(7)は、周囲を巡る縁部(9)または周囲を巡る前記カラー(11)から出発して延在するタブ(13)を有しており、該タブ(13)は、組み立てられた状態で前記基体(3)の方向に延在しており、前記スペーサ(7)を前記基体(3)および/または前記プラズマ源(5)から取り外すために設けられている、請求項1または3のいずれかに記載のプラズマ装置(1)。
【請求項5】
前記スペーサ(7)は電子識別装置を有している、請求項1に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項6】
前記電子識別装置は前記タブ(13)に組み込まれており、および/または前記電子識別装置の主平面は、前記プラズマ源(5)の電極平面(41)に対し垂直に位置している、請求項5に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項7】
前記プラズマ装置(1)は制御装置(37)を有しており、該制御装置(37)は、前記スペーサ(7)の前記電子識別装置を読み取るように構成されている、請求項4または請求項5に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項8】
前記スペーサ(7)は遮蔽部材(15)を有しており、該遮蔽部材(15)は、非熱プラズマに対し透過性であり、該遮蔽部材(15)は組み立てられた状態で、治療される前記体表面と前記プラズマ源(5)との接触を阻止するように構成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項9】
前記接続装置(17)は、さらに前記プラズマ源(5)が特定の配向でしか前記基体(3)に固定できないように、非対称に形成されている、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項10】
前記プラズマ源(5)は、該プラズマ源(5)の放電平面における周囲空気中で表面波マイクロ放電を生成するために設けられている、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項11】
前記第1の電極(47)と前記誘電体(51)とは、および/または前記第2の電極(49)と前記誘電体(51)とは、押圧部材(53)により互いに押し付けられている、請求項10に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項12】
前記第1の電極(47)と前記誘電体(51)と前記第2の電極(49)とから成る電極装置(58)、前記プラズマ源(5)のハウジング(57)内に配置されている、請求項10または請求項11に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項13】
前記プラズマ装置(1)は安全回路(65)を有しており、該安全回路(65)は、前記プラズマ源(5)が前記基体(3)から取り外されているときには、電圧および/または電流が生じないように、前記プラズマ源(5)の電気的接触接続部(67)を切り替え、前記プラズマ源(5)が前記基体(3)に配置されているときにのみ、前記電気的接触接続部(67)に電圧および/または電流を生じさせることができるように、構成されている、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項14】
前記プラズマ装置(1)の制御装置(37)は、第1の電極(47)と誘電体(51)と第2の電極(49)とから成る前記プラズマ装置(1)の電極装置(58)の機能検査を、
- 前記電極装置(58)のプラズマ電力の特性を表す少なくとも1つの電力パラメータを求めるステップ、
- 前記少なくとも1つの電力パラメータを少なくとも1つの予め定められた目標パラメータ値と比較して、比較結果を得るステップ、および
- 該比較結果に基づき、前記電極装置(58)の機能正常性について判定するステップにより実施するように構成されている、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のプラズマ装置(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電力パラメータは、前記電極装置(58)に対し直列に接続された電子プロキシ構造(104)において検出される、請求項14に記載のプラズマ装置(1)。