(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004518
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
H03B5/32 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104105
(22)【出願日】2022-06-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】西岡 草志郎
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA22
5J079EA06
5J079FA05
5J079FA14
5J079FA21
5J079FB03
5J079FB09
5J079FB22
5J079FB23
5J079FB31
5J079GA09
5J079JA06
(57)【要約】
【課題】回路規模を低減しつつ、水晶発振回路の起動時間を短縮することが可能な技術を提供することにある。
【解決手段】半導体装置は、水晶発振回路10と、第1ノイズ印加回路NIC1と、第2ノイズ印加回路NIC2と、を有する。第1ノイズ印加回路NIC1は、水晶発振回路10に接続され、第1外部端子X1および第2外部端子X2に互いに逆相の初期ノイズを選択的に印加して、水晶振動子XTALを駆動するように構成されている。第2ノイズ印加回路NIC2は、外部端子X1の信号を増幅し、外部端子X1に増幅した信号を戻すことにより第2ノイズを外部端子X1に印加して、水晶発振回路10の発振アンプAMPと水晶振動子XTALとを駆動し、水晶発振回路10の起動時間を短縮する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外部端子と、
第2外部端子と、
前記第1外部端子および前記第2外部端子に接続された水晶発振回路と、
前記水晶発振回路に接続された第1ノイズ印加回路と、
前記水晶発振回路に接続された第2ノイズ印加回路と、含み、
前記水晶発振回路は、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された発振アンプと、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された帰還抵抗素子と、前記第1外部端子と外部接地電位線との間に接続された外付けの第1容量素子と、前記第2外部端子と前記外部接地電位線との間に接続された外付けの第2容量素子と、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された外付けの水晶振動子と、を含み、
前記第1ノイズ印加回路は、前記第1外部端子および前記第2外部端子に互いに逆相の初期ノイズを選択的に印加して、前記水晶振動子を駆動するように構成され、
前記第2ノイズ印加回路は、第3スイッチと、第1容量結合回路と、増幅回路と、第2容量結合回路と、を有し、
前記第3スイッチは、前記第1外部端子と前記第1容量結合回路との間に設けられ、
前記増幅回路は、前記第1容量結合回路と前記第2容量結合回路との間に設けられ、
前記第2容量結合回路は、前記第3スイッチを介して、前記第1外部端子に接続され、
前記第1容量結合回路は、前記第1外部端子の直流電圧と前記増幅回路の入力端子の直流電圧とを分離し、前記第1外部端子の上の信号の交流成分を取り込むためにもけられ、
前記第2容量結合回路は、前記増幅回路の出力端子の直流電圧と前記第1外部端子の直流電圧とを分離し、前記増幅回路の交流成分を出力するために設けられ、
前記増幅回路は、前記第1容量結合回路により取り込んだ前記交流成分を増幅してクロック信号に変換し、その変換したクロック信号によって前記第1外部端子を駆動するために設けられ、
前記第3スイッチは、前記水晶発振回路の起動完了後、前記増幅回路を前記第1外部端子から切り離し、前記第1容量結合回路と前記第2容量結合回路の容量値が発振に影響を与えないようにするために設けられ、
前記第2ノイズ印加回路により、前記第1外部端子の信号を増幅し、前記第1外部端子に増幅した信号を戻すことにより第2ノイズを第1外部端子に印加して、前記発振アンプと前記水晶振動子を駆動し、前記水晶発振回路の起動時間を短縮する、半導体装置。
【請求項2】
請求項1の半導体装置において、
前記増幅回路は、電源ノイズによる高調波成分を除去し、信号成分だけを増幅出来るようノイズ除去機能を有する、半導体装置。
【請求項3】
請求項1の半導体装置において、
前記第1ノイズ印加回路は、
発振器と、
前記発振器の出力端子と前記第1外部端子との間に設けられた第1スイッチと、
前記発振器の出力端子と前記第2外部端子との間に設けられたインバータ回路および第2スイッチと、を有し、
前記発振器は、前記初期ノイズを生成し、
前記第1スイッチおよび前記第2スイッチは、前記第1外部端子および前記第2外部端子に前記初期ノイズを印加した後、オフ状態にされる、半導体装置。
【請求項4】
請求項3の半導体装置において、
前記発振器は、電圧制御発振器を含み、
前記電圧制御発振器の周波数をゆっくりと上昇させ、前記水晶振動子の共振周波数と前記電圧制御発振器の周波数を交差させる、半導体装置。
【請求項5】
請求項1の半導体装置において、
前記第2容量結合回路は、
1つの容量素子と1つのスイッチ素子との組の複数が並列に接続された構成とされ、
前記増幅回路の出力クロックをカウントするカウンタ回路を含み、
前記カウンタ回路は、決められた時間ごとに前記複数の組の内の複数のスイッチ素子を順番にオンさせることで、前記増幅回路の出力端子と前記第1外部端子の間の容量値を、時間と共に大きくする、半導体装置。
【請求項6】
請求項5の半導体装置において、
前記複数のスイッチ素子および前記第3スイッチは、前記水晶発振回路の起動完了後、オフ状態にされる、半導体装置。
【請求項7】
請求項5の半導体装置において、
前記増幅回路の入力端子を所定のバイアス電位に設定するバイアス設定回路を含み、
前記カウンタ回路が生成する制御信号は、一定の時間の経過の後、前記増幅回路および前記バイアス設定回路の動作を停止させる、半導体装置。
【請求項8】
請求項1の半導体装置において、
前記第2容量結合回路は、
前記増幅回路の出力クロックをカウントするカウンタ回路と、
前記増幅回路の入力端子を所定のバイアス電位に設定するバイアス設定回路と、を含む、半導体装置。
【請求項9】
請求項8の半導体装置において、
前記カウンタ回路が生成する制御信号は、一定の時間の経過の後、前記増幅回路および前記バイアス設定回路の動作を停止させる、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関し、特に水晶振動子と結合して、発振を行う発振回路を有する半導体装置に適用して有効な技術である。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に利用される発振回路として、水晶振動子と、インバータ等の1段のアンプと、帰還抵抗と、2つの外付け負荷容量とから構成される水晶発振回路がある。この水晶発振回路は、周波数精度が良いが、起動時間が長い。水晶発振回路の起動時間を短縮する技術の提案として、非特許文献1および非特許文献2がある。
【0003】
非特許文献1は、VCO(電圧制御発振器)の出力CLKを初期ノイズとして水晶振動子に印加し、水晶発振回路の起動時間を短縮するChirp Injection方式である。非特許文献2は、ノイズを2段階に分けて水晶振動子に印加し、起動時間を短縮する方式である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Shunta Iguchi, “92% Start-up Time Reduction by Variation-Tolerant Chirp Injection (CI) and Negative Resistance Booster (NRB) in 39MHz Crystal Oscillator”, IEEE Symposium. VLSI Circuits Digest of Technical Papers, Jun. 2014, pp.236-237
【非特許文献2】Karim M. Megawer, “A 54MHz Crystal Oscillator with 30× Start-Up TimeReduction Using 2-Step Injection in 65nm CMOS”, IEEE International Solid-State Circuits Conference(ISSCC) , Feb. 2019, pp.302-304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1は、VCOによるノイズ印加だけでは、VCOの周波数と水晶の共振周波数の交差が一回のみのため、起動時間短縮の効果が小さいと考えられる。
【0006】
非特許文献2は、2段階目に水晶周波数とほぼ同じノイズ周波数を印加しているため、起動時間の短縮効果が大きいが、PLL(位相ロックドループ回路)と高精度にトリミングされた内蔵オシレータ(DCRO)とが必要である。非特許文献2は、また、内蔵オシレータは1段階目のノイズ印加時に、0.5%の周波数精度が必要だが、これを達成することは技術的に難易度が高く、必然的に回路規模が大きくなると考えられる。つまり、非特許文献2は、起動時間の短縮の効果は大きいが、回路規模が大きいので、半導体装置の量産製品への適用は難しいと考えられる。
【0007】
本開示の課題は、回路規模を低減しつつ、水晶発振回路の起動時間を短縮することが可能な技術を提供することにある。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
一実施の形態によれば、半導体装置は、
第1外部端子と、
第2外部端子と、
前記第1外部端子および前記第2外部端子に接続された水晶発振回路と、
前記水晶発振回路に接続された第1ノイズ印加回路と、
前記水晶発振回路に接続された第2ノイズ印加回路と、含み、
前記水晶発振回路は、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された発振アンプと、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された帰還抵抗素子と、前記第1外部端子と外部接地電位線との間に接続された外付けの第1容量素子と、前記第2外部端子と前記外部接地電位線との間に接続された外付けの第2容量素子と、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された外付けの水晶振動子と、を含み、
前記第1ノイズ印加回路は、前記第1外部端子および前記第2外部端子に互いに逆相の初期ノイズを選択的に印加して、前記水晶振動子を駆動するように構成され、
前記第2ノイズ印加回路は、第3スイッチと、第1容量結合回路と、増幅回路と、第2容量結合回路と、を有し、
前記第3スイッチは、前記第1外部端子と前記第1容量結合回路との間に設けられ、
前記増幅回路は、前記第1容量結合回路と前記第2容量結合回路との間に設けられ、
前記第2容量結合回路は、前記第3スイッチを介して、前記第1外部端子に接続され、
前記第1容量結合回路は、前記第1外部端子の直流電圧と前記増幅回路の入力端子の直流電圧とを分離し、前記第1外部端子の上の信号の交流成分を取り込むためにもけられ、
前記第2容量結合回路は、前記増幅回路の出力端子の直流電圧と前記第1外部端子の直流電圧とを分離し、前記増幅回路の交流成分を出力するために設けられ、
前記増幅回路は、前記第1容量結合回路により取り込んだ前記交流成分を増幅してクロック信号に変換し、その変換したクロック信号によって前記第1外部端子を駆動するために設けられ、
前記第3スイッチは、前記水晶発振回路の起動完了後、前記増幅回路を前記第1外部端子から切り離し、前記第1容量結合回路と前記第2容量結合回路の容量値が発振に影響を与えないようにするために設けられ、
前記第2ノイズ印加回路により、前記第1外部端子の信号を増幅し、前記第1外部端子に増幅した信号を戻すことにより第2ノイズを第1外部端子に印加して、前記発振アンプと前記水晶振動子を駆動し、前記水晶発振回路の起動時間を短縮する。
【発明の効果】
【0011】
上記一実施の形態に係る半導体装置によれば、回路規模を低減しつつ、水晶発振回路の起動時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施例1に係る水晶発振回路を含む半導体装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1の第1ノイズ印加回路NIC1の動作を説明する波形図である。
【
図3】
図3は、発振開始直後、振幅が小さいときの水晶発振回路10の動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、発振安定後、振幅が大きい時の水晶発振回路10の動作を説明する図である。
【
図5】
図5は、ノイズ印加回路NIC2の動作波形を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施例1の発振回路OSCの等価回路図である。
【
図7】
図7は、実施例1の発振回路OSCの動作を説明する波形図である。
【
図8】
図8は、実施例2に係る水晶発振回路を含む半導体装置の概略構成図である。
【
図9】
図9は、
図8のノイズ印加回路NIC2の動作波形を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【実施例0014】
図1は、実施例1に係る水晶発振回路を含む半導体装置の概略構成図である。
【0015】
図1に示すように、半導体装置1は、半導体チップICに形成された発振回路OSCを有する。発振回路OSCから生成されたクロック号GCLKが、半導体チップICに形成された処理装置11へ動作クロックとして供給されるように構成されている。処理装置11は、例えば、中央処理装置CPU等のデータ処理装置、USB(ユニバーサルシリアルバス:Universal Serial Bus)通信装置、BLE(Bluetooth Low Energy)通信用のBluetooth通信装置とすることができる。
【0016】
発振回路OSCは、水晶発振回路10と、第1段目のノイズ印加回路(第1ノイズ印加回路ともいう)NIC1と、第2段目のノイズ印加回路(第2ノイズ印加回路ともいう)NIC2と、を有する。第1ノイズ印加回路NIC1と第2ノイズ印加回路NIC2とは、水晶発振回路10に接続されている。
【0017】
水晶発振回路10は、外付け水晶振動子XTALと、第1外付け負荷容量素子(第1容量素子)Cx1と、第2外付け負荷容量素子(第2容量素子)Cx2と、インバータ等の1段の発振アンプAMPと、帰還抵抗素子RFと、を有する。
【0018】
水晶振動子XTALは、半導体チップICの外部において、半導体装置1の第1外部端子X1と第2外部端子X2との間に接続される。負荷容量素子Cx1は外部端子X1と半導体チップICの外部に設けられた接地電位線(外部接地電位線)LGNDとの間に接続される。同様に、負荷容量素子Cx2は外部端子X2と接地電位線LGNDとの間に接続される。
【0019】
発振アンプAMPと帰還抵抗素子RFとは、半導体チップICの内部において、第1外部端子X1と第2外部端子X2との間に接続される。発振アンプAMPは、一段の反転増幅器とすることができる。帰還抵抗素子RFは、発振アンプAMPのDC(直流)動作点を決定するために発振アンプAMPに並列に接続されている。発振アンプAMPと帰還抵抗素子RFによって、外付け容量素子Cx1とCx2及び外付け水晶振動子XTALを駆動することで、水晶振動子XTALを発振させる。水晶発振回路10の生成するクロック号GCLKは、第2外部端子X2側に接続されている発振アンプAMPの出力端子から出力されて、処理装置11へ供給される。
【0020】
第1ノイズ印加回路NIC1は、水晶発振回路10に接続され、第1外部端子X1および第2外部端子X2に互いに逆相の初期ノイズを選択的に印加して、水晶振動子XTALを駆動するように構成されている。第1ノイズ印加回路NIC1は、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、インバータ回路IV1、電圧制御発振器VCOと、第1カウンタ(第1カウンタ回路)CNT1と、容量素子Ccntと、定電流回路CSCと、電流スイッチCSWと、NAND回路NA1と、を有する。
【0021】
電圧制御発振器VCOの出力端子は、第1スイッチSW1を介して第1外部端子X1に接続された第1配線LX1に接続され、電圧制御発振器VCOの出力クロックが第1外部端子X1に接続された第1配線LX1へ供給されるように構成されている。また、電圧制御発振器VCOの出力端子は、インバータ回路IV1および第2スイッチSW2を介して、第2外部端子X2に接続された第2配線LX2に接続され、電圧制御発振器VCOの出力クロックは、インバータ回路IV1によって反転されて、第2外部端子X2に接続された第2配線LX2へ供給されるように構成されている。第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は、第1イネーブル信号EN1が供給され、イネーブル信号EN1のハイレベルに基づいて、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は選択的にオン状態とされ、イネーブル信号EN1のロウレベルに基づいて第1スイッチSW1および第2スイッチSW2は選択的にオフ状態とされるように構成されている。
【0022】
電圧制御発振器VCOの入力端子は、容量素子Ccntに接続され、容量素子Ccntに蓄積された電圧Vcntに基づく周波数で発振するクロック信号を電圧制御発振器VCOの出力から生成する。クロック信号は、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および、カウンタCNT1に供給される。
【0023】
カウンタCNT1は、電圧制御発振器VCOの出力するクロック信号をカウントする。カウンタCNT1はクロック信号の数をカウントする。カウント数が所定の数に達すると、カウンタCNT1の出力信号はハイレベルからロウレベルへ変化するように構成されている。
【0024】
NAND回路NA1は、カウンタCNT1の出ロ信号を受ける第1入力と、イネーブル信号EN1を受ける第2入力と、を有する。NAND回路NA1の出力からは、第2イネーブル信号EN2が出力されるように構成されている。
【0025】
定電流回路CSCは、一対のPチャネル型MOSFETM1,M2と、第1抵抗素子Rcntと、インバータ形態の電流スイッチCSWと、を有する。MOSFETM1のソースドレイン経路と、抵抗素子Rcntとは、半導体装置ICの第1参照電位とされる電源電位VDDが供給される電源配線と第1参照電位より小さい第2参照電位とされる接地電位GNDが供給される接地配線との間に、直列に接続されている。MOSFETM1のゲートは、MOSFETM2のゲートおよびMOSFETM1のドレインに接続されて、MOSFETM2のソースは電源電位VDDが供給される電源配線に接続される。つまり、一対のMOSFETM1,M2は、カレントミラ形態に接続されており、MOSFETM1,M2のミラー比(ソース領域の面積比)は、M:1とされている。MOSFETM2のドレインから出力される電流Iは、電流スイッチCSWに供給される。なお、抵抗素子Rcntは、電流源へ変更されてもよい。
【0026】
電流スイッチCSWは、インバータ構成の充電および放電の切り替えスイッチであり、Pチャネル型MOSFETM3とNチャネル型MOSFETM4とを含む。MOSFETM3のソースドレイン経路とMOSFETM4のソースドレイン経路とは、MOSFETM2のドレインと接地電位GNDが供給される接地配線との間に直列に接続されている。MOSFETM3のゲートとNチャネル型MOSFETM4のゲートとは、第2イネーブル信号EN2を受けるように接続される。MOSFETM3のソースドレイン経路とMOSFETM4のソースドレイン経路との接続点は、容量素子Ccntおよび電圧制御発振器VCOの入力に接続されている。電流スイッチCSWは、容量素子Ccntに対する充電および放電を切替えるためのスイッチの機能を有する。
【0027】
第2ノイズ印加回路NIC2は、第1容量結合回路CC1、クロック変換回路CCC、インバータの閾値生成回路IV2、第2抵抗素子Rbias、バッファ回路BAF1、第2容量結合回路CC2、第2カウンタ(第2カウンタ回路)CNT2、第3スイッチSW3を含むように構成されている。
【0028】
第3スイッチSW3は、第1配線LX1と容量結合回路CC2との間に接続されており、カウンタCNT2の出力により、第3スイッチSW3のオン動作およびオフ動作が制御される様に構成されている。
【0029】
容量結合回路CC1の一端は第3スイッチSW3と容量結合回路CC2との間に接続され、容量結合回路CC1の他端はクロック変換回路CCCの入力端子に接続される。
【0030】
閾値生成回路IV2は、インバータの閾値を生成するバイアス設定回路である。バイアス設定回路は、クロック変換回路CCCの入力端子のバイアス電位を設定するために設けられる。閾値生成回路IV2は、インバータを含み、そのインバータの入力端子と出力端子とが接続されている。また、インバータの入力が第2抵抗素子Rbiasを介してクロック変換回路CCCの入力端子に接続されている。第2抵抗素子Rbiasは、閾値生成回路IV2からDC電圧(直流電圧)のみを取り出すための高抵抗素子とされている。閾値生成回路IV2は、クロック変換回路CCCの入力端子を所定のバイアス電位、つまり、高いゲインが得られるようなバイアス電圧に設定し、小振幅の信号を増幅できるようにするために、クロック変換回路CCCの入力端子に接続されている。
【0031】
クロック変換回路CCCは、シュミットトリガ機能(ノイズ除去機能)を有する増幅回路として構成されており、その出力端子がバッファ回路BAF1の入力端子に接続されている。バッファ回路BAF1の出力端子は、容量結合回路CC2に接続され、また、第2カウンタCNT2の入力端子に接続されている。
【0032】
第2カウンタCNT2は、バッファ回路BAF1の出力端子からクロック信号CLK1を受けてクロック信号CLK1のクロック数をカウントする。カウント数が所定の数に達すると、カウンタCNT2の出力信号はハイレベルからロウレベルへ変化するように構成されている。カウンタCNT2の出力信号のハイレベルのより第3スイッチSW3がオン状態とされ、カウンタCNT2の出力信号のロウレベルにより第3スイッチSW3がオフ状態とされる様に構成されている。
【0033】
第1容量結合回路CC1は、水晶発振回路10の外部端子X1のDC(直流)電圧と増幅回路であるクロック変換回路CCCの入力端子のDC電圧とを分離し、外部端子X1(配線Lx1)の上の信号のAC(交流)成分のみを取り込むために設けられている。
【0034】
第2容量結合回路CC2は、クロック変換回路CCCの出力端子のDC(直流)電圧と外部端子X1のDC(直流)電圧とを分離し、クロック変換回路CCCのAC(交流)成分のみを出力するために設けられている。
【0035】
クロック変換回路CCCは、第1容量結合回路CC1により取り込んだAC成分だけを増幅してクロック信号に変換し、その変換したクロック信号によって外部端子X1を駆動するためにもうけられている。変換したクロック信号は、第2容量結合回路CC2を介して外部端子X1に供給されて、外部端子X1を駆動する。クロック変換回路CCCのノイズ除去機能は、電源ノイズによる高調波成分を除去し、信号成分だけを増幅出来るように設けられている。
【0036】
第3スイッチは、水晶発振回路10の起動完了後、クロック変換回路CCCを外部端子X1から切り離し、第1容量結合回路CC1と第2容量結合回路CC2の容量値が発振に影響を与えないようにするために設けられている。第3スイッチSW3を制御する制御信号はクロック変換回路CCCおよびバッファ回路BAF1にも接続され、起動完了後にクロック変換回路CCCおよびバッファ回路BAF1も停止させるように構成されている。
【0037】
第2ノイズ印加回路NIC2により、外部端子X1の信号を増幅し、外部端子X1に増幅した信号を戻すことにより第2ノイズを外部端子X1に印加して、発振アンプAMPと水晶振動子XTALを駆動し、水晶発振回路10の起動時間を短縮する。
【0038】
本実施例の発振回路OSCは、1段目のノイズ印加回路NIC1および2段目のノイズ印加回路NIC2により、水晶発振回路10の起動時間を短縮させることができる。以下、ノイズ印加回路NIC1とノイズ印加回路NIC2の動作を説明する。
【0039】
(第1ノイズ印加回路NIC1の説明)
図1および
図2を参照しながら、ノイズ印加回路NIC1の動作を説明する。
図2は、
図1の第1ノイズ印加回路NIC1の動作を説明する波形図である。
図2には、EN1、EN2、電圧Vcnt、カウンタCNT1の出力、および、外部端子X1とX2の波形が示されている。
【0040】
ノイズ印加回路NIC1は、発振アンプAMPと2段目のノイズ印加回路NIC2がOFF(オフ)している状態で使用する。この時、EN1=H(ハイレベル)、SW1=SW2=ON(オン状態)、SW3=OFF(オフ状態)である。スイッチSW1とスイッチSW2はノイズ印加回路NIC1が動作している時は電圧制御発振器VCOの出力を外部端子X1とX2に印加し、ノイズ印加回路NIC1がOFFした時には、電圧制御発振器VCOの出力を外部端子X1とX2から切り離すためのものである。
【0041】
ノイズ印加回路NIC1は、定電流回路CSCと、電流スイッチCSWと、容量素子Ccntと、Vcntの電圧によって出力の周波数を可変できる電圧制御発振器VCOと、その出力が接続されたカウンタCNT1で構成されている。また、電圧制御発振器VCOの出力は発振アンプAMPの入力(配線Lx1側)と出力(配線Lx2側)に接続されており、外部端子X1とX2に印加される電圧制御発振器VCOの出力クロックは互いに位相が反転している。
【0042】
スタンバイ時(EN1=L(ロウレベル))は、電流スイッチCSWにより、電圧VcntはGNDレベル(接地電位レベル)になっている.ノイズ印加回路NIC1が動作し始めると、電圧Vcntは容量素子Ccntと電流Iによる時定数でVDD側にゆっくりと充電され、電圧制御発振器VCOの出力周波数をゆっくりと上昇させ、水晶振動子XTALの共振周波数と電圧制御発振器VCOの周波数を交差させる。
【0043】
電圧制御発振器VCOの出力はカウンタCNT1にも接続されており、その周波数をカウントすることで、ある一定の時間が経過した後、ノイズ印加回路NIC1を自らOFFする役目をしている。
【0044】
(第2ノイズ印加回路NIC2の説明)
ノイズ印加回路NIC2は、ノイズ印加回路NIC1の動作が完了した後、動作を開始する。またこの時、ノイズ印加回路NIC2と発振アンプAMPは同時にON(オン)させ、SW1=SW2=OFF、SW3=ONである。
【0045】
ノイズ印加回路NIC2は、外部端子X1(配線Lx1)に接続されなければならない。ノイズ印加回路NIC2を外部端子X1に接続している理由は、外部端子X1にノイズを印加したほうが水晶発振回路10の起動時間の短縮の効果が大きいためである。また、ノイズ印加回路NIC1の動作後に、外部端子X1とX2には水晶振動子XTALの発振振幅が生じていて、外部端子X2(配線Lx2)側の振幅の方が速く成長する。しかし、その時の外部端子X1とX2の位相は完全な逆相ではなく、180度からさらに90度程度の位相がずれている。そのため、外部端子X2の信号を反転して外部端子X1に戻す、ということはできない(後述する
図3、
図4で説明する。)。これらの理由から、外部端子X1の信号を増幅して、そのまま外部端子X1に戻す必要がある。ここで、起動時間短縮の効果を得るためには、容量結合回路CC1から第3スイッチSW3までの遅延時間は、発振周波数の周期の1/4以下に抑える必要がある(後述する
図5で説明する。)。
【0046】
ノイズ印加回路NIC2が動作を開始すると、外部端子X1(配線Lx1)の発振振幅を容量結合回路CC1を通して取り込み、クロック変換回路CCCとバッファ回路BAF1で増幅してクロックに変換し、容量結合回路CC2を通して外部端子X1(配線Lx1)に戻す動作をする。ノイズ印加回路NIC2の動作開始時は、外部端子X1(配線Lx1)の発振振幅は、
図1に示すように、10mVpp程度と非常に小さく、そのままではクロックに変換することができない。そこで、発振アンプAMPの外部端子X1のDC(直流)電圧とクロック変換回路CCCのDC電圧を容量結合回路CC1により分離する。この時、クロック変換回路CCCのDC電圧の閾値は、インバータの入出力をショートした閾値生成回路IV2と、そこからDC信号のみを取り出すための高抵抗の抵抗素子Rbiasにより設定されている。また、小振幅(10mVpp程度)の外部端子X1の発振振幅には電源ノイズなどのノイズが重畳されるため、このノイズを取り除くために、クロック変換回路CCCにはシュミットトリガ回路(ノイズ除去機能を有する)を持たせる必要がある。シュミットトリガ回路は、ノイズ除去機能を有する帰路の例である。
【0047】
クロック変換回路CCCの出力をさらに増幅し、理想的なクロックに近づけるために、クロック変換回路CCCの出力にはバッファ回路BAF1が接続される。
【0048】
容量結合回路CC2は、バッファ回路BAF1の出力のDC電圧と外部端子X1のDCバイアス電圧を分離するための容量である。もし、バッファ回路BAF1により生成したクロックを、容量結合回路CC2を介さずに、外部端子X1に直接入力してしまうと、外部端子X1に繋がる水晶振動子XTALの発振が停止してしまうため、この容量結合回路CC2が必要である。
【0049】
ノイズ印加回路NIC2は、そのままでは動作し続けるため、停止させる必要がある。バッファ回路BAF1の出力をカウンタCNT2でカウントすることにより、ある一定の時間を経過した後、第3スイッチSW3をOFFにし、また、必要に応じてノイズ印加回路NIC2自体もOFFさせる。
【0050】
(外部端子X1とX2の位相の説明)
まず、発振開始直後、振幅が小さい時の水晶発振回路10の動作について、
図3を用いて説明する。
図3は、発振開始直後、振幅が小さいときの水晶発振回路10の動作を説明する図である。
図3において、(A)は水晶発振回路10の構成であり、×印の部分で発振アンプAMPと水晶振動子XTALとで構成されたループをカットして、(B)で示す等価的な回路構成としてシミュレーションを実施して、v1点(X1)、v2点(X2)、v1’点の位相を考える。
図3の(C)は、シミュレーションの結果を示すグラフである。
【0051】
発振開始直後、振幅が小さい時、外部端子X1とX2の位相差は270°である。
図3の(C)に示すように、外部端子X2の振幅は速く成長するため、外部端子X2の振幅をクロック変換したほうが良さそうだが、発振開始直後の小振幅では、外部端子X1とX2の間の位相差が180°ではなく、270°である。そのため、外部端子X2の振幅をクロック(CLKX2)に変換後、反転して反転クロック(/CLKX2)を生成して、遅延差ゼロで外部端子X1に戻しても、発振周波数の周期(T3とする)の1/4周期以内(>(1/4)・T3)という制約が守れないことになる。つまり、外部端子X2(v2点)でクロック生成後(CLKX2)、外部端子X1(v1点)に戻す場合、必ず1/4周期以上ずれることになる。よって、外部端子X1からクロックを生成し、外部端子X1に戻す必要がある。
【0052】
次に、まず、発振安定後、振幅が大きい時の水晶発振回路10の動作について、
図4を用いて説明する。
図4は、発振安定後、振幅が大きい時の水晶発振回路10の動作を説明する図である。
図4において、(A)は水晶発振回路10の等価的な回路構成であり、この回路構成としてシミュレーションを実施して、v1点(X1)、v2点(X2)、v1’点の位相を考える。
図4の(B)は、シミュレーションの結果を示すグラフである。発振安定後、振幅が大きい時、外部端子X1とX2の位相差は180°である。
【0053】
(ノイズ印加回路NIC2の内部の波形の説明)
次に、ノイズ印加回路NIC2の内部の波形の説明について、
図5を用いて説明する。
図5は、ノイズ印加回路NIC2の動作波形を説明する図である。
【0054】
図5において、(A)は、第1容量結合回路CC1の波形を示しており、波形のピーク間の差電位(最高値と最低値との間の差電位)は約10mVppである。(B)は、バッファ回路BAF1の出力の波形を示す。バッファ回路BAF1の出力の波形(B)は、容量結合回路CC1の波形(A)からクロックを生成したものである。(C)は、バッファ回路BAF1と第2容量結合回路CC2通過後の第3スイッチSW3の波形を示す。バッファ回路BAF1の出力と第2容量結合回路CC2により、電荷がチャージされる。容量結合回路CC1とバッファ回路BAF1の出力の遅延時間tdは1/4周期以下とする。(D)は、第3スイッチSW3から容量結合回路CC1へ戻った信号のバッファ回路BAF1の出力の波形を示し、クロックの生成が繰り返えされる。(E)は、バッファ回路BAF1と第2容量結合回路CC2を再度通過した後の第3スイッチSW3の波形を示し、電荷チャージの動作が繰り返される。
【0055】
つぎに、
図6、
図7を用いて本実施例についてまとめる。
図6は、実施例1の発振回路OSCの等価回路図である。
図7は、実施例1の発振回路OSCの動作を説明する波形図である。
【0056】
図6に示すように、実施例1の発振回路OSCは、水晶発振回路10に1段階目のノイズ印加回路NIC1と2段階目のノイズ印加回路NIC2を接続することにより、発振回路OSCの起動時間が短縮されている。
図6では、ノイズ印加回路NIC1は、発振回路(OS)である電圧制御発振器VCOと、電圧制御発振器VCOの発振出力(fvco)を外部端子X1へ選択的に供給する第1スイッチSW1と、電圧制御発振器VCOの発振出力(fvco)を反転させるインバータIV1と、インバータで反転された発振出力を外部端子X2へ選択的に供給するSW2と、を含むように等価的に記載している。ノイズ印加回路NIC2は、増幅回路であるクロック変換回路CCCと、外部端子X1とクロック変換回路CCCの入力端子との間に接続された第1容量結合回路CC1と、クロック変換回路CCCの出力端子と外部端子X1との間に接続された第2容量結合回路CC2と、を有する。
【0057】
起動時間短縮用のノイズは、1段階目のノイズ印加回路NIC1から発生した第1ノイズと、2段階目のノイズ印加回路NIC2から発生した第2ノイズとに分けて、水晶発振回路10へ印加される。
【0058】
2段階目のノイズ印加回路NIC2のノイズ印加は、水晶振動子XTALの共振周波数(fxtal)と全く同じ周波数の信号を増幅して、水晶振動子XTALに印加することが特徴である。
【0059】
1段階目のノイズ印加回路NIC1がOFFした後、2段階目のノイズ印加回路NIC2と発振アンプAMPとを一緒にONさせて使用する。ノイズ印加回路NIC2において、容量結合回路CC1、増幅回路であるクロック変換回路CCC、容量結合回路CC2により、1段階目のノイズ印可回路NIC1で外部端子X1に発生させた小振幅の水晶発振信号を、増幅して、ノイズ印加回路NIC2自分自身の入力である外部端子X1に戻す。
【0060】
図7に示すように、まず、ノイズ印加回路NIC1がONし(この時、ノイズ印加回路NIC2と発振アンプAMPとはOFFである)する。これにより、電圧制御発振器VCOが電圧Vcntに基づいて発振する。そして、電圧制御発振器VCOの発振出力(fvco)とその反転発振信号とが、第1ノイズとして、外部端子X1とX2へ印加される。
【0061】
次に、ノイズ印加回路NIC1がOFFし、ノイズ印加回路NIC2と発振アンプAMPとがONする。ノイズ印加回路NIC2内でクロック信号CLK1が生成され、クロック信号CLK1が容量結合回路CC2を通過した信号が第2ノイズとして、外部端子X1へ印加される。第2ノイズは、水晶振動子XTALの共振周波数(fxtal)と全く同じ周波数の信号である。これにより、水晶発振回路10が発振を開始し始める。
【0062】
その後、ノイズ印加回路NIC2がOFFし、水晶発振回路10が周波数精度の良い発振を行う(fxtalで発振する状態)。したがって、水晶発振回路10の起動時間Tstartは短くできる。ここで、起動時間Tstartは、ノイズ印加回路NIC1がONしてから水晶発振回路10が周波数精度の良い発振を行うまでの時間である。
【0063】
実施例1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0064】
1)水晶発振回路の起動時間を大幅に短縮できる。実施例1では、16MHzの水晶振動子を用いた場合において、水晶発振回路の起動時間を0.14msから0.38msの範囲に短縮できる。実施例1の以前の水晶発振回路の起動時間は、0.98msから1.40msの範囲であった。
【0065】
2)水晶振動子の周波数精度が必要かつ、低電力が求められる半導体装置のアプリケーションでは、半導体装置の間欠動作により半導体装置の低電力化を行うおこなうことができる。
【0066】
3)水晶発振回路の起動時間が短縮でき、かつ、発振回路OSCの全体的な回路規模が小さくできる。発振回路OSCの全体的な回路規模が小さいので、半導体装置のチップ面積の増加を防ぐことができ、半導体装置の量産製品への適用が容易である。
実施例2の発振回路OSCは、実施例1の発振回路OSCに対して、例として、容量結合回路CC2が5個の容量素子C01-C05と5個のスイッチ素子(容量選択スイッチ素子)SW31-SW35とで構成されている。バッファ回路BAF1の出力端子と第3スイッチSW3(外部端子X1)の間に、5個の容量素子C01-C05の5個のスイッチ素子SW31-SW5が接続されている。つまり、「1つの容量素子と1つのスイッチ素子との組の複数がバッファ回路BAF1の出力端子と第3スイッチSW3の間に、並列に接続されている。容量素子C01-C05のそれぞれの容量値は、例えば、0.2pF,0.2pF、0.4pF,0.6pF、0.6pFの様に重み付けされた容量値に設定されている。第2カウンタ回路CNT2の出力を新に追加したスイッチ素子SW31-SW35に接続する(1つの容量素子に1つのスイッチ素子が設けられている)。スイッチ素子SW31-SW35により、容量結合回路CC2の全体的なの容量値を切り換えることができるように構成されている。カウンタ回路CNT2のカウント数に応じて、時間とともに容量結合回路CC2の全体的な容量値が段階的に増えていくように、スイッチ素子SW31-SW35のオンおよびオフを第2カウンタ回路CNT2の出力によって制御する。つまり、最初に、スイッチ素子SW31がオンし、その後、スイッチ素子SW32がオンし、スイッチ素子SW33がオンし、スイッチ素子SW34がオンし、最後に、スイッチ素子SW35がオンする。それにより、容量結合回路CC2の全体的なの容量値(Ctotal)が、0.2pF->0.4pF->0.8pF->1.4pF->2.0pFへと変化していく。これにより、起動時間短縮の効果が大きくなる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。