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特開2024-45186アポエクオリンおよびビタミンD含有組成物およびそれらの使用方法
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  • 特開-アポエクオリンおよびビタミンD含有組成物およびそれらの使用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045186
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】アポエクオリンおよびビタミンD含有組成物およびそれらの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20240326BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 3/14 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 5/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240326BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20240326BHJP
   A23L 33/155 20160101ALI20240326BHJP
【FI】
A61K38/16
A61K31/593
A61P3/02 102
A61P3/14
A61P25/20
A61P25/00
A61P25/02
A61P29/00
A61P25/28
A61P21/00
A61P43/00 105
A61P43/00 121
A61P5/00
A61P19/08
A61P9/10
A61P25/04
A23L33/17
A23L33/155
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001111
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2019515902の分割
【原出願日】2017-09-25
(31)【優先権主張番号】62/398,669
(32)【優先日】2016-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.Pluronic
(71)【出願人】
【識別番号】506422227
【氏名又は名称】クインシー バイオサイエンス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】アンダーウッド マーク ワイ.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する疾患または症状予防および/または軽減に有用な組成物ならびに方法を提供する。
【解決手段】カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症の少なくとも1つに関連する症状または障害を治療するための組成物であって、(A)有効量のアポエクオリン;(B)有効量のビタミンD;および(C)許容される担体、を含む組成物とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症の少なくとも1つに関連する症状または障害を治療するための組成物であって、(A)有効量のアポエクオリン;(B)有効量のビタミンD;および(C)許容される担体、を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、前記有効量のアポエクオリンおよびビタミンDを含有する単回投与量の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)単回投与量中のアポエクオリンの有効量が約10mg~約50mgであり、かつ(b)単回投与量中のビタミンDの有効量が約25mcg~約75mcgである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)単回投与量中のアポエクオリンの有効量が約20mgであり、かつ(b)単回投与量中のビタミンDの有効量が約50mcgである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ビタミンDがD3コレカルシフェロールの形態である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記単回投与量がカプセル剤である、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が栄養補助食品組成物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症の少なくとも1つに関連する症状または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量の請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項9】
前記症状または障害が睡眠に関連しており、前記対象への組成物の投与が前記対象における睡眠の質を改善する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記症状または障害が気力に関連しており、前記対象への前記組成物の投与が前記対象における気力の質を改善する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記症状または障害が気分に関連しており、前記対象への前記組成物の投与が前記対象における気分の質を改善する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記症状または障害が痛みに関連しており、前記対象への前記組成物の投与が前記対象における痛みを軽減する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記症状または障害が記憶に関連しており、前記対象への前記組成物の投与が前記対象における記憶の質を改善する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記症状または障害が神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨石灰化、または虚血後の細胞死に関連する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記栄養補助食品組成物を投与された対象における、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症の少なくとも1つに関連する症状または障害を治療するための栄養補助食品組成物の製造のためのアポエクオリンおよびビタミンDの使用。
【請求項16】
前記栄養補助食品組成物を投与された対象における、睡眠、気力、気分、痛みまたは記憶に関連する症状または障害を治療するための栄養補助食品組成物の製造のための、アポエクオリンおよびビタミンDの使用。
【請求項17】
対象におけるカルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症の少なくとも1つに関連する症状または障害の治療に使用するための、アポエクオリンおよびビタミンD。
【請求項18】
前記栄養補助食品組成物を投与された対象における、睡眠、気力、気分、痛みまたは記憶に関連する症状または障害の治療に使用するための、アポエクオリンおよびビタミンD。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/398,669号の利益を主張するものであり、これはあらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援研究に関する声明
適用なし。
【背景技術】
【0003】
本発明は一般にカルシウム恒常性の維持に有用な組成物に関する。特に、本発明は、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する疾患または症状予防および/または軽減に有用なアポエクオリンおよびビタミンD含有組成物に関する。
【0004】
カルシウムは人体内で5番目に豊富に存在する元素であり、主に骨中に存在する。体内のカルシウムの99%以上が骨格に蓄えられており、それは体液や血液等の軟組織に溶け込んでいる残りの1%と、常にその供給を交換している。この交換の制御は、血漿中のイオン化カルシウムの濃度を感知し、この重要なバランスを維持するようにカルシウム交換を指示する内分泌系によって大きく左右される。間質液および軟部組織中のカルシウムの1%のごく一部が、イオン化され可溶性である。体液および組織中の残りのカルシウムはタンパク質、特にカルシウム結合タンパク質(CaBP)に結合している。CaBPはカルシウム恒常性の維持において機能することが知られている。
【0005】
身体が必要な生理学的プロセスを実行するために特定の濃度のカルシウムイオンを必要とするので、カルシウム恒常性の維持は身体の健康にとって極めて重要である。血漿および体液中の適切なイオン性カルシウム濃度は、これらに限定されないが、神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌および骨石灰化等の身体機能において重要であると医学界で理解されている。カルシウム恒常性の破壊、すなわちカルシウム不均衡は、これらに限定されないが、癌、心臓病および神経変性疾患等の多くの疾患、症候群および症状に関連している。
【0006】
これまで、細胞内部と間質液との間のカルシウムの流れを遮断するカルシウムチャネル拮抗薬は、高血圧、狭心症、喘息、片頭痛および神経変性を含むカルシウム関連障害の予防に有用な医薬品として広く処方されてきた。例えば、ニミドピンは、神経の悪化を引き起こすカルシウム不均衡を軽減することによって、認知症における臨床症状および認知機能を改善することが見出されている。しかしながら、これらのカルシウムチャネル拮抗薬の多くは、これらに限定されないが、倦怠感、体液貯留、胸やけ、不安定な心拍数、めまい、胃のむかつき、そしてまれに失神、発熱および過剰出血等の望ましくない副作用を有する。
【0007】
この様な進歩にもかかわらず、カルシウム不均衡を軽減または予防する新規かつ代替の治療薬が、依然として必要とされている。特に、従来の薬剤と比較して副作用が低減された、医薬組成物または栄養補助食品組成物が望まれており、これらが発見されれば医学界および栄養健康学界において長い間望まれていたニーズ満たすことになるだろう。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する、症状または障害の軽
減、および/または予防に有利な組成物を提供する。そのような組成物は、様々な経路による対象への投与のために許容される担体と組み合わせた、アポエクオリンおよびビタミンDを含む。
【0009】
したがって、本発明は、有効量のアポエクオリンおよびビタミンDを許容される担体と組み合わせた組成物に関する。特定の実施形態において、本発明は、有効量のアポイクオリンおよびビタミンDを、許容される担体と組み合わせた栄養補助食品組成物に関する。特定の実施形態において、栄養補助食品組成物は、アポイクオリンおよびビタミンDに加えて、例えば、免疫増強剤、抗炎症剤、抗酸化剤、抗ウイルス剤、またはそれらの混合物等の栄養補助的利益をもたらすと認められる少なくとも1つの他の成分を含む。特定の実施形態におけるアポエクオリンおよびビタミンD組成物は、錠剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、飲料剤、経口または眼科用製剤または注射剤から選択される単回投与量で提供される。
【0010】
別の態様において、本発明は、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する症状または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする対象に、有効量のアポエクオリンおよびビタミンDを投与することを含む方法に関する。
【0011】
本発明に係る方法は、これらに限定されないが、睡眠の質、気力の質、気分の質、痛み、記憶の質等のカルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する多種多様な症状または障害の治療に有用である。特定の実施形態において、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症は、神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨石灰化、または虚血後の細胞死に生理学的に関連している。そのような方法では、アポエクオリンおよびビタミンDは、栄養補助食品組成物の形態で対象に投与されるのが好ましい。
【0012】
さらに別の実施形態において、本発明は、栄養補助食品組成物を投与された対象における、カルシウム不均衡およびビタミンD欠乏症に関連する症状または障害を治療するための栄養補助食品組成物の製造のためのアポエクオリンおよびビタミンDの使用を包含する。このような組成物によって治療される症状または障害として、睡眠、気力、気分、痛み、または記憶に関連する症状または障害が例示される。
【0013】
したがって、本発明はさらに、例えば対象の睡眠、気力、気分、痛み、または記憶に関連する症状または障害を含む、対象におけるカルシウム不均衡およびビタミンD欠乏に関連する症状または障害の治療に使用するアポエクオリンおよびビタミンDに関する。
【0014】
本発明は、対象の精神的健康および身体的健康の全般的な改善をもたらすという点で、従来の組成物や方法以上の様々な利点を提供する。
【0015】
本発明の他の目的、特徴および利点は、明細書および特許請求の範囲を検討した後に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、0から90日目に対する、全体的な睡眠の質、気力、気分、痛み、および健康全般の領域におけるスコアのベースラインからの変化率を示すグラフである。
図2図2は、参加者56人がアポエクオリン(10mg)を毎日摂取したデータを表すグラフを示す。参加者を8日目から30日目まで評価した。記憶の調査は、30日後に記憶において統計的に有意な改善を示した(hp<0.05)。参加者の57%が記憶全般において、51%が情報の保持において、84%が道順を覚えることにおいて、そして66%が単語再生において改善が見られた。N=56;女性66%、男性34%、平均年齢=56歳;範囲は20~78歳であった。
図3図3は、0から90日目に対する、標準化された認知に関するバッテリーアンケートより得られたスコアのベースラインからの変化率を示すグラフである。
図4図4は、ラット海馬脳切片におけるAQ(アポエクオリン)およびビタミンDによる神経保護を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
I.一般論
本発明の材料および方法を説明する前に、本発明は特定の方法論および説明された材料に限定されないことを理解されたい。これらは変化し得るからである。また、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含むことに留意されたい。同様に、用語「a」(または「an」)、「1つまたは複数の」、および「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用することができる。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は互換的に使用できることにも留意されたい。
【0019】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここに記載する。本明細書に具体的に記載されたすべての刊行物および特許は、あらゆる目的のために参照により組み込まれる。
【0020】
II.本発明
エクオリンは、もともと発光性のクラゲおよび他の海洋生物から単離された光タンパク質である。エクオリン複合体は、22,285ダルトンのアポエクオリンタンパク質、分子状酸素および発光団セレンテラジンを含む。3つのCaイオンがこの錯体に結合すると、セレンテラジンはセレンテルミドに酸化され、同時に二酸化炭素および青色光が放出される。エクオリンは細胞から排出または分泌されず、細胞内に区画化または隔離されない。したがって、エクオリン測定は、比較的長期間にわたって起こるCa変化を検出するために使用されてきた。いくつかの実験系において、エクオリンの発光は、細胞負荷後数時間から数日間検出可能であった。さらに、エクオリンも細胞機能や胚発生を破壊しないことが知られている。
【0021】
エクオリン複合体は、そのCa依存性発光のために、細胞内Ca指示薬として広く使用されてきた。オワンクラゲのエクオリン(Aequorea victoria aequorin)は特に以下の目的で使用されている。(1)ニコチン性コリン作動薬に対する単一副腎クロム親和性細胞の分泌反応を分析する。(2)心筋損傷におけるCa放出の役割を明確にする。(3)受精中のCaの大量放出を証明する。(4)発達中のニワトリ筋芽細胞における筋小胞体Caポンプ発現の調節を研究する。(5)わずか3ピコリットルの注入量でマイクロピペットを調整する。
【0022】
アポエクオリンは、およそ22kDaの分子量を有する。アポエクオリンは、アポエクオリン中のジスルフィド結合を還元することによってエクオリンを再生するために使用することができる。カルシウム負荷アポエクオリンは、結合基質を含む未反応発光タンパク質と同じコンパクトな足場および全体的な折り畳みパターンを保持している。
【0023】
オワンクラゲからのエクオリンの従来の精製は、面倒な抽出手順を必要とし、そして時には実質的に不均一であるかまたは研究中の生物に対して毒性がある調製物を生じる。通常、2トンのクラゲから約125mgの精製発光タンパク質が得られる。対照的に、組換えエクオリンは、好ましくは、遺伝子操作されたEsclierichia coliからアポエクオリンを精製し、続いてエクオリン複合体をインビトロで純粋なセレンテラジンと再構成することによって製造される。本発明において有用なアポエクオリンは記述されており、そして当業者に公知の精製スキームおよび/または合成によって、商業的に入手可能である。S.Inouye, S.Zenno, Y.Sakaki, and F.Tsuji. High level expression and Purification of apoaequorin. (1991) Protein Expression and Purification2, 122-126.
【0024】
ビタミンDは、カルシウム、鉄、マグネシウム、リン酸塩、および亜鉛の腸管吸収を増加させる原因となる脂溶性セコステロイドの一群である。ビタミンDは、皮膚が日光からの紫外線にさらされるのに反応して体内で生成される。それはまた、魚、魚肝油、卵黄等の天然に存在する食品、ならびに強化された乳製品および穀物製品にも見られる。栄養サプリメントにおいて、ビタミンDの2つの最も一般的な化合物の形はビタミンD3(コレカルシフェロール)およびビタミンD2(エルゴカルシフェロール)である。
【0025】
ビタミンDは、生物学的に不活性であり、活性化のために体内で2回のヒドロキシル化を受けなければならない脂溶性ビタミンである。1つ目は肝臓で起こり、ビタミンDをカルシフェジオールとしても知られる25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]に変換する。2つ目は主に腎臓で起こり、カルシトリオールとしても知られている生理活性1,25-ジヒドロキシビタミンD[1,25(OH)2D]を形成する。活性型のビタミンD、カルシトリオールは血中のホルモンとして循環し、血流中のカルシウムとリン酸の濃度を調整し、骨の健康的な成長とリモデリングを促進する。
【0026】
ビタミンDはカルシウム吸収を促進し、および骨の正常な石灰化を可能にして低カルシウム血症テタニーの予防に十分な血清カルシウムおよびリン酸塩濃度を維持する。それは骨芽細胞および破骨細胞による骨成長および骨リモデリングにも使用される。それはまた、細胞増殖、神経筋および免疫機能の調節、ならびに炎症の減少において役割を果たすことが示されている。
【0027】
本発明は、対象におけるカルシウムバランスおよびビタミンDレベルを補正または維持するための、対象へのアポエクオリンおよびビタミンD含有組成物の投与に関する。ビタミンD欠乏症はカルシウム不均衡の一因となり得る。血漿および体液中のイオン性カルシウム濃度の維持は、神経興奮性、筋肉収縮、膜透過性、細胞分裂、ホルモン分泌、骨石灰化、または虚血後の細胞死の予防を含むがこれらに限定されない多種多様な身体機能にとって重要であると理解される。カルシウム恒常性の破壊、すなわちカルシウム不均衡は、多くの疾患、症候群および状態を引き起こし、および/またはそれと相関すると理解されている。そのような疾患、症候群および状態には、睡眠の質、気力の質、気分の質、ならびに記憶の質および疼痛知覚に関連するものが含まれる。CaBPの研究は、適切なイオン性カルシウムレベルの維持に作用する保護因子としてのそれらの認識をもたらした。
【0028】
ビタミンDレベルの維持は、カルシウム吸収、細胞増殖の調節、神経筋および免疫機能、ならびに炎症の減少に重要であると理解されている。ビタミンD欠乏症は骨組織が適切に石灰化されず軟骨および骨格奇形を引き起こす疾患である、くる病に最も関連している。医学研究所のガイドラインでは、骨の健康を最適化するために、ビタミンDの推奨食事許容量(RDA)は1~70歳の成人では600国際単位(IU)、70歳以上の成人では800IUであると規定している。
【0029】
特定の実施形態において、本発明の方法は、カルシウム不均衡を治療するため、カルシウム不均衡の進行を遅らせるため、カルシウム不均衡の発症を予防するため、カルシウム不均衡の再発を予防および/または治療するため、およびビタミンD欠乏症の治療のために、アポエクオリンをビタミンDと組み合わせて投与することを含む。他の実施形態において、本発明は、既知の治療的または栄養学的価値を有する1つまたは複数の追加の薬剤と組み合わせてアポエクオリンおよびビタミンDを投与することを含む方法を提供する。アポエクオリンおよびビタミンDの特に好ましい用途は、睡眠の質、気力、気分、記憶および疼痛知覚に関連する1つまたは複数の症状および障害を治療することにある。
【0030】
本明細書において、用語「治療(treating)」は、予防的ならびに障害の再発治療を含む。本明細書中で使用される場合、用語「減少(reducing)」、「軽減(alleviating)」、「抑制(suppressing)」および「阻害(inhibiting)」は、少なくする、または減少するというそれらの一般に理解されている意味を有する。本明細書において、「進行(progression)」という用語は、範囲または重症度の増加、進行、成長または悪化することを意味する。本明細書において、用語「再発(recurrence)」は、寛解後の疾患の再発を意味する。
【0031】
本明細書において、用語「投与(administering)」は、患者、組織、器官または細胞をアポエクオリンおよびビタミンDと接触させることを指す。本明細書において、投与はインビトロ、すなわち試験管内で、またはインビボ、すなわちヒト等の生物の細胞または組織で達成され得る。好ましい形態において、本発明は、本発明において有用な組成物を患者または対象に投与することを包含する。本明細書で同等に使用される「患者」または「対象」は、以下のいずれかである哺乳動物、好ましくはヒトを指す。(1)アポエクオリンおよびビタミンDの投与により治療可能または治療可能なカルシウム不均衡関連障害および/またはビタミンD欠乏症を有する。または(2)アポエクオリンおよびビタミンDを投与することによって予防可能なカルシウム不均衡関連障害および/またはビタミンD欠乏症にかかりやすい。
【0032】
本明細書において、用語「有効量」および「治療有効量」は、毒性、刺激、またはアレルギー反応等の過度の有害な副作用なしに所望の治療反応をもたらすのに十分な活性剤の量を指す。具体的な「有効量」は、明らかに、治療されている特定の状態、患者の体調、治療されている動物の種類、治療期間、併用療法の性質(もしあれば)、および使用される特定の配合物および化合物またはその誘導体の構造等の要因によって変わる。この場合、ある量はそれが以下のうちの1つまたは複数をもたらす場合に、治療上有効であると見なされるであろう。(1)カルシウム不均衡関連障害および/またはビタミンD欠乏症の予防。(2)カルシウム不均衡関連障害および/またはビタミンD欠乏症の回復または安定化。最適な有効量は、日常的な実験を用いて当業者によって容易に決定され得る。
【0033】
対象への経口投与のための特定の組成物において、アポエクオリンは約10~50mg/用量、好ましくはカプセル形態の用量で少なくとも1つの許容される担体と共に処方され、対象に対する推奨用量は約20mg/日である。対象への経口投与のための特定の好ましい組成物において、ビタミンD(D3コレカルシフェロールの形態)は、アポエクオリンと組み合わせて約25~75mcg/用量の用量で処方され、対象に対する推奨用量は約50mcg/日である。
【0034】
本発明の組成物は、液体または凍結乾燥もしくは他の方法で乾燥された製剤を含み、様々な緩衝剤成分(トリス-HCl、アセテート、ホスフェート等)、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防ぐためのアルブミンやゼラチン等の添加剤、洗剤(Tween20、Tween80、PluronicF68、胆汁酸塩等)、可溶化剤(グリセロール、ポリエチレングリセロール等)、抗酸化剤(アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム等)、保存料(チメロサール、ベンジルアルコール、パラベン等)、バルク材料または浸透圧調節剤(ラクトース、マンニトール等)、ポリエチレングリコール等のポリマーとタンパク質との共有結合、金属イオンとの錯体、またはポリ乳酸、ポリグリコール酸、もしくはヒドロゲル等のポリマー化合物の粒状調製物の表面または内部への、またはリポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、層状または多層小胞、赤血球ゴーストまたはスフェロプラスト上への材料の組み込みを含む。そのような組成物は、物理的性状、溶解性、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響し得る。制御放出組成物または持続放出組成物は、親油性デポ剤(脂肪酸、ワックス、油脂等)中の製剤を含む。
【0035】
ポリマー(ポロキサマーまたはポロキサミン等)でコーティングされた粒子状組成物を投与する方法も本発明に包含される。前記組成物の他の実施形態は、非経口、肺、経鼻および経口を含む様々な投与経路のための粒子形態の保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤または透過促進剤を含む。特定の実施態様において、前記組成物は非経口、傍癌(paracancerally)、経粘膜、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内または腫瘍内に投与される。
【0036】
さらに、本明細書において、「薬学的に許容される担体」は当業者に周知であって、これらに限定されないが、0.0141M、好ましくは0.05Mのリン酸緩衝液または0.9%食塩水が挙げられる。さらに、そのような薬学的に許容される担体として、水溶液または非水溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。非水性溶媒としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、およびオレイン酸エチル等の注射用有機エステルが挙げられる。水性担体としては、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液(食塩水および緩衝媒体を含む)が挙げられる。
【0037】
非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液および不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、液体および栄養補助剤、リンゲルデキストロースに基づくもの等の電解質補給剤などが含まれる。さらに、防腐剤および他の添加剤、例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレーティング剤(collating agent)、および不活性ガスなどを含んでもよい。
【0038】
本発明に従って投与される制御放出組成物または持続放出組成物は、親油性デポ剤(脂肪酸、ワックス、油脂等)中の製剤を含む。さらに本発明は、ポリマー(ポロキサマーまたはポロキサミン等)で被覆された粒子状組成物、および、組織特異的受容体、リガンドもしくは抗原に対する抗体に結合されるかまたは組織特異的受容体のリガンドに結合された化合物、を含む。
【0039】
本発明に従って投与される組成物の他の実施形態は、非経口、肺、経鼻、眼内および経口を含む様々な投与経路のための粒子形態、保護コーティング、プロテアーゼ阻害剤または透過促進剤を含む。
【0040】
ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリプロリン等の水溶性ポリマーの共有結合によって修飾された化学物質は、対応する未修飾化合物と比較して、静脈内注射後の血中半減期を実質的な延長を示すことが知られている。そのような修飾はまた、水溶液中の化学物質の溶解度を増大させ、凝集を防止し、化合物の物理的および化学的安定性を増強し、化合物の免疫原性および反応性を大幅に減少することができる。結果として、所望のインビボ生物学的活性は、修飾されていない物質を用いるよりも低頻度または低用量で、そのようなポリマー-物質アブダクト(abducts)を投与することにより達成することができる。
【0041】
本発明の、さらに別の方法では、前記組成物を制御放出システムで送達することができる。例えば、薬剤は、静脈内注入、埋め込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、または他の投与様式を用いて投与することができる。一の実施形態において、ポンプを使用することができる。別の実施形態において、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施形態では、制御放出システムを治療標的、すなわち脳に近接して配置することができ、この場合、全身投与量のほんの一部の用量で足りる。
【0042】
前記組成物は、アポエクオリンおよびビタミンDを含んでもよく、あるいはさらに薬学的に許容される担体を含んでもよく、錠剤、粉末剤、カプセル剤、ペレット剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、シロップ剤、飲料剤、乳剤、ゲル剤、クリーム剤、眼科用製剤、または直腸用および尿道用坐剤を含む坐剤等の固体または液体形態とすることができる。薬学的に許容される担体には、ガム、デンプン、糖、セルロース系材料、およびそれらの混合物も含まれる。アポエクオリンおよびビタミンDを含有する組成物は、例えばペレットの皮下移植によって患者に投与することができる。さらなる実施形態において、ペレットはある期間にわたってアポエクオリンおよび/またはビタミンDの徐放放出を提供する。前記組成物はまた、静脈内、動脈内、筋肉内への液体注射、液体もしくは固体の経口投与、または局所適用によって投与することができる。投与は直腸坐剤または尿道坐剤の使用によっても達成することができる。
【0043】
本発明によって投与可能な組成物は、既知の溶解、混合、造粒または錠剤形成方法によって調製することができる。経口投与のためには、アポエクオリンまたはその塩、エステル、N-オキシド等の生理学的に許容される誘導体、および/またはビタミンDまたはその塩、エステル、N-オキシド等の生理学的に許容される誘導体を、これらの目的のために、例えばビヒクル、安定剤または不活性希釈剤等の慣用の添加剤と混合し、慣用の方法により、錠剤、コーティング錠、硬または軟ゼラチンカプセル、水性、アルコール性または油性溶液のような投与に適した形態に変換する。
【0044】
好ましい不活性ビヒクルの例として、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン等のバインダーと、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸等の崩壊剤と、あるいはステアリン酸やステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤と組み合わせた、ラクトース、スクロース、またはコーンスターチ等の従来の錠剤基剤が挙げられる。
【0045】
適切な油性ビヒクルまたは溶媒の例は、ヒマワリ油または魚肝油等の植物油または動物油である。組成物は、乾燥顆粒および湿潤顆粒のいずれにも調製することができる。非経口投与(皮下、静脈内、動脈内、または筋肉内注射)では、前記化学物質または、例えば塩、エステル、N-オキシド等、その生理学的に許容される誘導体は、所望によりこの目的に慣用かつ適切な物質、例えば可溶化剤または他の助剤を用いて、溶液、懸濁液、または排出剤(expulsion)に変換することができる。
【0046】
例として、界面活性剤および他の薬学的に許容される助剤を添加した、または添加しない、水および油等の無菌液体が挙げられる。油の例としては、石油、動物、植物、または合成油脂、具体的には例えば、落花生油、大豆油または鉱物油が挙げられる。一般に、水、食塩水、水性デキストロースおよび関連する糖溶液、およびプロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等のグリコールは、特に注射用溶液に好ましい液体担体である。
【0047】
活性成分を含有する組成物の調製は当該分野でよく理解されている。そのような組成物は、鼻咽頭に送達されるエアロゾルとして、または液体溶液もしくは懸濁液としての注射
剤として調製し得るが;注射前に液体に溶解または懸濁させるのに適した固体形態も調製することができる。前記組成物は乳化することもできる。活性治療成分は、薬学的に許容されかつ活性成分と適合する賦形剤としばしば混合される。適切な賦形剤としては、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。さらに、前記組成物は、湿潤剤または乳化剤、活性成分の有効性を高めるpH緩衝剤等の少量の補助物質を含有することができる。
【0048】
活性成分は、中和された薬学的に許容される塩の形態として組成物に配合することができる。薬学的に許容される塩としては、例えば、塩酸もしくはリン酸等の無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸等の有機酸と共に形成される酸付加塩が挙げられる。遊離カルボキシル基から形成される塩はまた、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄等の無機塩基、ならびにイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等の有機塩基から誘導することができる。
【0049】
例えば、クリーム、ゲル、ドロップ等を用いた体表面への局所投与のために、アポエクオリンまたはその生理学的に許容される誘導体および/またはビタミンDまたはその生理学的に許容される誘導体は、薬学的担体を用いて、または用いずに、生理学的に許容される希釈剤中の溶液、懸濁液またはエマルジョンとして調製および塗布される。
【0050】
本発明の、別の方法では、前記活性成分を小胞、特にリポソームとして送達することができる(Langer, Science 249:1527-1533(1990); Treat et al., Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler(eds.), Liss, N.Y., pp.353-365(1989)を参照)。
【0051】
アポエクオリンおよび/またはビタミンDの塩は、好ましくは薬学的に許容される塩である。しかしながら、他の塩も、本発明に係る組成物またはそれらの製薬上許容される塩の調製において使用することができる。薬学的に許容される好適な塩として、例えば、アポエクオリンおよび/またはビタミンDの溶液を、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸等の薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成し得る酸付加塩が挙げられる。
【0052】
さらに、本明細書に記載のアポエクオリンおよびビタミンD含有組成物は、アポエクオリンおよびビタミンDが、様々な有害であるカルシウム不均衡関連障害およびビタミンD欠乏症の発症を予防するか、それらの発症を軽減または安定化させる栄養補助食品組成物の形態で提供することができる。本明細書の目的のための用語「栄養補助食品」または「栄養補助食品組成物」は、疾患の予防および/または治療を含む医療健康上の利益を提供する食品または食品の一部を指す。本発明に係る栄養補助食品組成物は、有効成分としてアポエクオリンおよびビタミンDのみを含有してもよく、あるいは、ビタミン、補酵素、ミネラル、ハーブ、アミノ酸等の総摂取量を増やすことにより食事を補う栄養サプリメントをさらに混合してもよい。
【0053】
したがって、本発明は、アポエクオリンおよびビタミンDを含有する栄養補助食品組成物を患者に投与する工程を含む、栄養補助食品を患者に提供する方法を提供する。そのような組成物は、一般に、本明細書で言及されるように、経口経路に適した前述の医薬上許容される担体を含む経口送達に適した任意の担体である「栄養上許容される担体」を含む。特定の実施形態において、本発明に係る栄養補助食品組成物は、機能的に定義される免疫増強剤、抗炎症剤、抗酸化剤、抗ウイルス剤、またはそれらの混合物を含む栄養サプリメントを含む。
【0054】
免疫増強剤および/または抗ウイルス剤は、創傷治癒を促進し、免疫機能の改善に有用である。そしてそれらは、コーンフラワー、またはエキナセア(Echinacea)属のハーブからの抽出物、サンブカ(Sambuca)属のハーブからの抽出物、およびゴールデンシール抽出物を含む。アストラガルス(Astragalus)属のハーブも、天然でも加工形態でも効果的な免疫増強剤である。アストラガルスは、骨髄およびリンパ組織活性免疫細胞における幹細胞の発生を刺激する。亜鉛、およびグルコン酸亜鉛および酢酸亜鉛等の亜鉛の生物活性塩も、風邪の治療における免疫増強剤として作用する。
【0055】
抗酸化剤は、血液中の抗酸化酵素のレベルを増加させるように作用する天然の硫黄含有アミノ酸アリシンを含む。アリシンを含むニンニクのようなハーブやハーブ抽出物も効果的な抗酸化物質である。カテキン、およびカテキンを含む緑茶等のハーブの抽出物も、効果的な抗酸化物質である。アストラガルス属の抽出物も抗酸化活性を示す。ケルセチン、ヘスペリジン、ルチン、およびそれらの混合物等のバイオフラボノイドも抗酸化剤として有効である。バイオフラボノイドの主な有益である役割は、ビタミンCを体内での酸化から保護することにある。これにより、より多くのビタミンC、またはアスコルビン酸が体内で使用可能になる。
【0056】
ケルセチンのようなバイオフラボノイドもまた有効な抗炎症剤であり、本発明の組成物において使用することができる。抗炎症性ハーブサプリメント、および植物またはハーブ由来の抗炎症性化合物もまた、本発明の組成物中の抗炎症剤として使用することができる。これらには、パイナップルに含まれるタンパク質分解酵素であるブロメライン(bromolain);イラクサの茶および抽出物;ウコン、ウコンの抽出物、またはウコンから単離された黄色の色素であるクルクミンが含まれる。
【0057】
本発明において使用することができる別のサプリメントはショウガであり、ジンジベル(Zingiber)属のハーブに由来する。これは、ジンゲロールおよび関連化合物ショウガオールのような化合物による強心作用を有すること、ならびにめまい、および前庭障害の治療において有効であることが見出されている。ショウガは吐き気や他の胃の病気の治療にも効果的である。
【0058】
軟組織構造の再構築、特に軟骨の再構築を補助するサプリメントは、関節炎および他の関節障害の疼痛を治療するための組成物において有用である。グルコサミン、硫酸グルコサミン、コンドロイチンは、エルクの柔らかい枝角(Elk Velvet Antler)等のさまざまな原料から得られる。海洋脂質複合体、オメガ3脂肪酸複合体、および魚油もまた、関節炎に関連する疼痛を治療するのに有用であることが知られている。
【0059】
片頭痛を治療するのに有用なサプリメントには、ナツシロギクとイチョウ(Gingko biloba)が含まれる。ナツシロギクの主な有効成分はセスキテルペンラクトンパルテノライドであり、これは血管の血管攣縮作用によって痛みを引き起こすプロスタグランジンの分泌を阻害する。ナツシロギクは抗炎症作用も示す。魚油は、その血小板安定化作用および抗鎮静作用により片頭痛を治療するのにも有用であり得る。ハーブであるイチョウはまた、動脈を安定させ血液循環を改善することで片頭痛の治療を促進する。
【0060】
上記に列挙されたいくつかのサプリメントはそれらの薬理学的効果に関して記載されているが、他のサプリメントもまた本発明において利用することができ、そしてそれらの効果は科学文献に十分に文書化されている。
【0061】
本発明は、本発明に関連して使用され得る刊行物に報告されている化学物質、機器、統計分析および方法論を記載および開示している以下の非限定的な実施例を考慮することに
より、より十分に理解されよう。本明細書中に引用された全ての参考文献は、当業者の技術水準を示すものとして解釈されるべきである。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明のためにそのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。
【実施例0062】
[実施例1]アポエクオリンの90日間にわたる投与は、試験対象の生活の質を改善する。
90日間にわたる患者32人の本分析、非盲検試験は、全体的な睡眠の質、気力、気分、痛み、健康全般において増加を示す。パフォーマンスの変化は、標準化されたバッテリーを介して測定した。これらには、定性的認知テスト、睡眠指数、頭痛指数および生活の質のアンケート評価を含んでいた。この調査はパフォーマンスの向上を示した。有害な事象のために調査を中止した参加者はいなかった。
【0063】
図1に示される結果は、言及された領域におけるスコアのベースラインからのパーセント変化を示す;他のグラフのために記憶のスコアを除外した。ここでの分析は、グラフ上で、0~90日に対して1、2、3、4、5とマークした。グラフは、全体的な睡眠の質、気力、気分、痛み、および健康全般の向上を示している。ベースラインは試験前段階から判明していた。
【0064】
[実施例2]アポエクオリンの30日間にわたる投与は、試験対象の生活の質を改善する。
本調査は、30日間にわたる参加者56人を対象とした非盲検試験であった。パフォーマンスの変化は、記憶スクリーニングツールを介して測定した。図2に示すように、この調査は8日という早い時期に記憶性能の改善を示したが、30日目には統計的に優れた改善を示した。有害な事象のために調査を中止した参加者はいなかった。
【0065】
[実施例3]アポエクオリンの90日間にわたる投与は、試験対象の認知を改善する。
患者32人を対象とした非盲検試験についての本分析は、認知能力の増加を示す。パフォーマンスの変化は、標準化された認知バッテリーを介して測定された。この調査は8日という早い時期に認知の改善を示したが、60~90日目と同様に30日目には統計学的により優れた改善を示した。有害な事象のために調査を中止した参加者はいなかった。図3に示される結果は、認知能力におけるベースラインからのスコアの有意な増加パーセントを実証する。注:参加者の51%以上が認知能力の増加を示した。
【0066】
[実施例4]アポエクオリンおよびビタミンD含有組成物の投与。
アポエクオリンおよびビタミンD含有組成物は、アポエクオリンおよびビタミンD3の混合物を含有するカプセル形態で患者に投与される。組成物は、50mcgのビタミンD3(D3コレカルシフェロールの形態)および20mgのアポエクオリンを含有する。栄養補助食品組成物は、栄養補助食品として許容される植物性カプセル(植物性セルロース、水)に入れて運ばれる。組成物はさらに微結晶セルロース、糖、および少量のアカシア(アラビアゴム)、カゼインペプトン、コーンスターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム(植物源)、中鎖トリグリセリド(植物油)、塩、大豆ペプトン、DL-α-トコフェロール、リン酸三カルシウムおよび水を含有する。1日1カプセルが推奨用量である。そのような適量はビタミンDの推薦された1日の用量の約250%を含んでいる。本発明での使用に適したビタミンDは、BASFから入手可能であり、「Dry Vitamin D3 100 GFP/HP」として販売されている。また、単回投与量は、10mgまたは40mgのアポエクオリンを含有する単回投与量を含む、他の量のアポエクオリンを含有するように処方してもよい。
【0067】
[実施例5]ラット海馬脳スライスにおけるAQ(アポエクオリン)とビタミンDによる神経保護の評価。
実験データのサブセットからの予備結果は、5分間の酸素グルコース欠乏後(OGD 図4;左上の画像)の有意な細胞死および5分のOGDを受けなかったスライスにおける最小細胞死を示す(図4;右上の画像)。AQの海馬への直接注射は、死細胞および瀕死の細胞(すなわち、青色に染色された細胞)をより少なくする。約10日間ビタミンD(0.0125mg/kg)を補給した食餌を与えたラットも、死細胞や瀕死の細胞が少ないように見える。AQおよびビタミンDの組み合わせはさらに細胞死の量を減少可能である(図4;左下の画像)。対照スライス(OGDを受けていないもの)は、処理された状態の機能からそれほど変化しないように見える。
【0068】
本明細書に記載された実施例および実施形態は例示目的のみのためであり、それを考慮した様々な修正または変更は当業者に示唆されそして本出願の精神および範囲および添付の請求の範囲内に含まれるべきである。本明細書に引用された全ての刊行物、特許、および特許出願は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)有効量のアポイクオリン(apoaequorin)、(b)有効量のビタミンD、および(c)許容される担体を含む、海馬の神経保護のための組成物。
【請求項2】
有効量のアポイクオリン及びビタミンDの単回投与量を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)単回投与量中のアポイクオリンの有効量が10mg~50mgであり、かつ(b)単回投与量中のビタミンDの有効量が25mcg~75mcgである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(a)単回投与量中のアポイクオリンの有効量が20mgであり、かつ(b)単回投与量中のビタミンDの有効量が50mcgである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ビタミンDがDコレカルシフェロールの形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
単回投与量を含む組成物がカプセル剤である、請求項2~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
栄養補助食品組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。