(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045194
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】試料調製装置
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240326BHJP
G01N 30/00 20060101ALI20240326BHJP
G01N 1/34 20060101ALI20240326BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20240326BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20240326BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALN20240326BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20240326BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALN20240326BHJP
【FI】
C12M1/00 A
G01N30/00 C
G01N1/34
G01N1/28 J
G01N1/28 H
C12M1/26
C12Q1/6844 Z
C12N15/10 112Z
C12Q1/6806 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024001701
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2022106857の分割
【原出願日】2016-10-31
(31)【優先権主張番号】1519565.4
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520474495
【氏名又は名称】アボット・ダイアグノスティックス・スカボロー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ニコラス・ハワース
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ポール・パルマー‐フェルゲート
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単回使用の計量バルブを製造する方法、および等温核酸増幅のための液体試料を調製する装置を提供する。
【解決手段】a.第1の開口部と第2の開口部を有する計量チャンバー211と、チャンバーの内壁に沿って部分的に伸びる圧力放出チャネルとを準備するステップ、b.計量チャンバーを第1の部分20aと第2の部分20bに分けるために前記計量チャンバー内に収まることができる計量部材22を準備するステップ、c.圧力放出チャネルが第1の部分と第2の部分との間に流体連通をもたらさないように、計量チャンバー内に計量部材を位置づけるステップ、及びd.計量チャンバーの前記第2の開口部をシールで密封するステップを含む、単回使用の計量バルブを製造する方法である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手動で作動されるクロマトグラフィー装置であって、液体試料を収容するためのチャンバー、計量バルブ付きポンプ、およびクロマトグラフィー要素を含み、前記ポンプが所定量の液体を前記試料チャンバーから前記クロマトグラフィー要素まで移動させる、装置。
【請求項2】
前記クロマトグラフィー要素がサイズ排除クロマトグラフィー要素である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が第1の部分と、前記第1の部分内に収まることができる分離した第2の部分とを含み、好ましくは、前記ポンプが前記装置の前記第1の部分に作動可能に係合している前記装置の前記第2の部分によって作動される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記計量バルブが前記装置の前記第1の部分に作動可能に係合している前記装置の前記第2の部分によって作動される、請求項3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記ポンプが所定量の液体を前記試料チャンバーから前記サイズ排除クロマトグラフィー要素を介して移動させる、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ポンプが所定量の液体を前記試料チャンバーから前記サイズ排除クロマトグラフィー要素を介して試料収集容器まで移動させる、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記計量バルブが可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーを含む、請求項1~6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記計量チャンバーの前記上部と下部が選択的に流体連通する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記計量バルブが前記計量チャンバーの前記上部と下部との間に流体連通をもたらすための圧力放出チャネルを含む、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記ポンプが空気圧式である、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
流体の前記所定量が約0.1ml~約100ml、好ましくは約0.25ml~約10ml、より好ましくは約0.5ml~約1mlである、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記装置が、前記試料が前記サイズ排除クロマトグラフィー要素に到達する前に前記試料を処理するための溶解物質を含む、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記溶解物質が前記計量チャンバー内に位置している、請求項1~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記溶解物質が界面活性剤または塩基からなる群から選択される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記溶解物質が塩基、好ましくは水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウム、好ましくは水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムの少なくとも1つのペレット、または水酸化カリウムでドープ処理された材料を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記溶解物質がドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、Brij(登録商標)、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよびその組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記クロマトグラフィー要素が分離チャンバーを含む、請求項1~16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記分離チャンバーが約0.1ml~約100ml、好ましくは約0.25ml~約10ml、より好ましくは約0.5ml~約1.5ml、好ましくは約1mlの容積を有する、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記分離チャンバーがサイズ排除クロマトグラフィーゲルを含有する、請求項17または18に記載の装置。
【請求項20】
前記サイズ排除クロマトグラフィーゲルが等温核酸増幅のための緩衝液、好ましくは酢酸マグネシウムを含有する水溶液を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置が前記所定量の液体の後に、所定量の空気を前記クロマトグラフィー要素に移動させる、請求項1~20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
等温核酸増幅のための液体試料を調製する装置であって、第1の部分と、前記第1の部分内に収まることができる分離した第2の部分とを含み、前記第1の部分が前記液体試料を収容するためのチャンバーを含み、および前記第2の部分が核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を前記液体試料から除去するための分離要素を含み、前記第2の部分が前記第1の部分内に収まると、前記第1の部分と第2の部分が作動可能に係合して、液体試料を前記試料チャンバーから前記分離要素まで移動させる、装置。
【請求項23】
前記第1の部分が前記試料チャンバーから試料の所定量を計量するための計量バルブを含む、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記計量バルブが前記装置の前記第1の部分に作動可能に係合している前記装置の前記第2の部分によって作動される、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記装置が所定量の液体を前記試料チャンバーから前記分離要素を介してポンピングする、請求項22~24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記ポンプが所定量の液体を前記試料チャンバーから前記分離要素を介して試料収集容器に移動させる、請求項22~25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記計量バルブが可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーを含む、請求項23~26のいずれか1項に記載の装置。
【請求項28】
前記計量チャンバーの前記上部と下部が選択的に流体連通する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記計量バルブが圧力放出チャネルを含む、請求項27または28に記載の装置。
【請求項30】
前記圧力放出チャネルが前記計量チャンバーの前記上部と下部の間に流体連通をもたらす、請求項29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記流体の所定量が約0.1~約100ml、好ましくは約0.25ml~約10ml、より好ましくは約0.5ml~約1mlである、請求項23~30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記装置が、前記試料が前記分離要素に到達する前に、前記試料を処理するための溶解物質を含む、請求項22~31のいずれか1項に記載の装置。
【請求項33】
溶解物質が前記計量チャンバー内に位置している、請求項23~31に従属する場合の請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記溶解物質が水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウム、好ましくは水酸化カリウムでドープ処理された物質、または水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムの少なくとも1つのペレットを含む、請求項32または請求項33のいずれかに記載の装置。
【請求項35】
前記分離要素が分離チャンバーを含む、請求項22~34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記分離チャンバーが約0.1ml~約100ml、好ましくは約0.25~約10ml、より好ましくは約0.5~約1.5ml、好ましくは約1mlの容積を有する、請求項22~35のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
前記分離チャンバーがサイズ排除クロマトグラフィーゲルを含有する、請求項35または36に記載の装置。
【請求項38】
前記サイズ排除クロマトグラフィーゲルが等温核酸増幅のための緩衝液、好ましくは酢酸マグネシウムを含有する水溶液を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記装置が前記所定量の液体の後に、所定量の空気を前記分離要素に移動させる、請求項22~38のいずれか1項に記載の装置。
【請求項40】
液体試料上で等温核酸増幅を行うためのキットであって、
a.増幅のために核酸を除去することなく、液体試料から核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去することができる分離要素を有する試料調製装置、
b.調製した試料を収容するための試料リザーバー、
c.等温核酸増幅のための試薬を含有する反応チャンバー、
d.調製試料を試料リザーバーから前記反応チャンバーまで移動させるための、好ましくはピペットチップとプランジャーアセンブリとを有するハウジングを含む液体移動デバイス
を含む、キット。
【請求項41】
前記試料調製装置が、前記分離要素がライセートから核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去する前に、前記液体試料を溶解物質に曝す、請求項40に記載のキット。
【請求項42】
前記装置が請求項1~39もしくは78もしくは79のいずれか1項に請求される、請求項40または41に記載のキット。
【請求項43】
40~42のいずれか1項に記載のキットおよび試料処理装置を含む、等温核酸増幅を行うためのシステム。
【請求項44】
等温核酸増幅を行うための方法であって、
a.検査のために生液体試料を準備すること、
b.核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去するために前記生液体試料を処理すること、
c.前記処理された試料上で等温核酸増幅を行うこと、および
d.増幅した核酸をモニターすること
を含む、方法。
【請求項45】
前記処理ステップがサイズ排除クロマトグラフィーを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ライセート上でサイズ排除クロマトグラフィーを行う前に、前記処理ステップが前記生試料を溶解物質に曝すことを含む、請求項44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記処理ステップが前記核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去する前、除去中または除去した後、好ましくは除去中に、前記生試料を緩衝することを含む、請求項44~46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記処理ステップが請求項1~39もしくは77もしくは78のいずれか1項に記載の装置で行われる、請求項44~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記生液体試料が尿、血液、血漿、血清、唾液、脳脊髄液、涙液からなる群から選択され、または膣スワブ、鼻スワブ、喉スワブ、陰茎スワブ、肛門スワブもしくは皮膚スワブから抽出される、請求項44~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
ポンプのための計量バルブであって、乾燥した溶解物質を含有する計量チャンバーを含む、計量バルブ。
【請求項51】
前記溶解物質が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである、請求項50に記載の計量バルブ。
【請求項52】
前記水酸化カリウムが、前記計量チャンバーの内側を覆う物質、すなわちメッシュまたは連続気泡フォーム上に提供される、請求項51に記載の計量バルブ。
【請求項53】
ポンプのための計量バルブであって、
可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバー、および
圧力放出チャネルを含み、
前記計量部材が上部を下部から分ける初期位置から、前記圧力放出チャネルが前記計量チャンバーの下部と前記計量チャンバーの上部との間に流体連動をもたらす以降の位置まで移動できるように、前記計量部材および圧力放出チャネルが配置される、計量バルブ。
【請求項54】
前記計量部材がその初期位置からその以降の位置に向かって移動するとき、前記計量チャンバーの下部内の圧力が最初は上昇する、請求項53に記載の計量バルブ。
【請求項55】
前記上部と下部が一旦流体連通されると、空気が圧力下で前記圧力放出チャネルに沿って移動し、前記計量チャンバーの上部内に流体、通常液体、を移動させる、請求項53または55に記載の計量バルブ。
【請求項56】
流体出口チャネルをさらに含み、使用中、前記流体が前記出口チャネルに沿って移動し、それによって前記計量バルブを出る、請求項53~56のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項57】
前記計量バルブが可動アクチュエータをさらに含み、および流体出口チャネルが前記可動アクチュエータ内に位置している、請求項53~56のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項58】
前記アクチュエータが移動することで前記出口チャネルからの流体の所定量が計量されるように、前記可動アクチュエータが前記計量部材と作動可能に係合する、請求項57に記載の計量バルブ。
【請求項59】
前記計量部材が前記計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する、請求項53~58のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項60】
前記計量チャンバーの内壁および前記計量部材の外壁がマッチする断面、一般的にはD形の断面を有する、請求項53~59のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項61】
前記計量部材がカップである、請求項53~60のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項62】
前記可動アクチュエータが前記カップの内部床に作動可能に係合する、請求項57~61のいずれか1項に記載の計量バルブ。
【請求項63】
請求項51~62のいずれか1項に記載の計量バルブを含む、ポンプ。
【請求項64】
単回使用の計量バルブを製造する方法であって、
a.第1の開口部と第2の開口部を有する計量チャンバーと、前記チャンバーの内壁に沿って部分的に伸びる圧力放出チャネルとを準備するステップ、
b.前記計量チャンバーを第1の部分と第2の部分に分けるために前記計量チャンバー内に収まることができる計量部材を準備するステップ、
c.前記圧力放出チャネルが前記第1の部分と第2の部分との間に流体連通をもたらさないように、前記計量チャンバー内に前記計量部材を位置づけるステップ、および
d.前記計量チャンバーの開口部をシールで密封するステップ
を含む、方法。
【請求項65】
前記計量部材が前記計量部材内で移動できる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
密封される開口部を介して前記計量部材が位置にスライドする、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の開口部が密封される、請求項64~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記計量部材が前記第1の開口部を通って移動しないように、好ましくはアバットメントによって、より好ましくは環状アバットメントによって前記第1の開口部で防止される、請求項64~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記計量部材が前記第2の開口部を通って前記計量チャンバーに入り、前記計量部材がアバットメントと係合するまで、前記計量チャンバーに沿って進む、請求項64~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記計量部材が前記計量チャンバーとともに締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する、請求項64~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記計量部材がカップである、請求項64~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
第1の部分と、前記第1の部分内に作動可能に収まることができる第2の部分とを含む手動で作動するポンプであって、前記第1の部分が液体試料を収容するための計量チャンバーを備える計量バルブ、可動計量部材および圧力放出チャネルを含み、前記第2の部分が、前記第2の部分が前記第1の部分内に収まると、前記計量部材と作動可能に係合するように配置されたアクチュエータを含み、前記第2の部分が前記第1の部分に作動可能に係合すると、所定量の流体が出口チャネルを通って前記ポンプを出る、ポンプ。
【請求項73】
前記出口チャネルが前記第2の部分、好ましくは前記アクチュエータ内に設けられている、請求項72に記載のポンプ。
【請求項74】
前記計量部材が、前記計量チャンバーの上部が前記計量チャンバーの下部から分けられている初期位置から、前記圧力放出チャネルが前記計量チャンバーの下部と前記計量チャンバーの上部との間に流体連通をもたらす以降の位置まで移動できるように、前記計量部材および圧力放出チャネルが配置されている、請求項72~73のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項75】
前記ポンプが単回使用である、請求項72~74のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項76】
流体を計量するためのポンプであって、
試料チャンバーおよび計量チャンバーを含む容器と、
アクチュエータの遠位部分に開口部を有する流体出口チャネルを含有する前記アクチュエータとを含み、
前記アクチュエータの遠位端が前記試料チャンバー内に位置している第1の位置から、前記流体出口チャネルの前記開口部が前記計量チャンバー内に位置している第2の位置まで、前記アクチュエータが移動でき、および前記アクチュエータが第1の位置にあるとき、前記試料チャンバーが計量チャンバーと流体連通しており、および前記アクチュエータが第2の位置にあるとき、前記試料チャンバーが前記計量チャンバーから分離されており、
前記計量チャンバーが可動計量部材によって上部と下部に分けられており、および前記計量チャンバーが圧力放出チャネルをさらに含み、および
前記アクチュエータがその第1の位置からその第2の位置に移動されると、前記計量部材が、前記計量部材が上部を下部から分ける初期位置から、前記圧力放出チャネルが前記計量チャンバーの下部と前記計量チャンバーの上部との間に流体連通をもたらす以降の位置まで、前記計量部材が移動するように、前記計量部材、前記圧力放出チャネルおよび前記アクチュエータが配置されている、ポンプ。
【請求項77】
前記アクチュエータが前記第2の位置にあるとき、環状シールが前記アクチュエータの外壁と係合して前記計量チャンバーから前記試料チャンバーを分ける、請求項76に記載のポンプ。
【請求項78】
等温核酸増幅のための液体試料を調製する装置であって、請求項63もしくは72~77のいずれか1項に記載のポンプと、核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去するための分離要素とを含む、装置。
【請求項79】
前記分離要素がサイズ排除クロマトグラフィーゲルを含む分離チャンバーを含有する、請求項78に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、等温核酸増幅のための試料の調製に関する。特に、手動操作クロマトグラフィー装置、それに関する有用な組成物、等温核酸増幅のための試料を調製するための装置、等温核酸増幅を行うためのキット、および等温核酸増幅を行うための方法に関する。本発明は、それに関する有用なポンプおよび計量バルブも提供する。
【背景技術】
【0002】
生物学的反応に関与する多くの診断検査は、熟練した技術者および/または複雑な装置によって検査室で行われる必要がある。そのような検査室は、政府規制の対象であり得る。そのような規則を遵守するコストは、患者およびヘルスケア支払機関への診断検査のコストを増加させ、ポイントオブケア施設からそのような検査を排除することがあり得る。
【0003】
国際公開第2013/041713号は、等温核酸増幅を行う際に有用なポイントオブケアシステムを開示する。
【0004】
しかし、既知の核酸増幅アッセイにおいて、特定の状況では、特定の体液、例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、脳脊髄液、涙液および汗を検査するために、または膣スワブ、鼻スワブ、喉スワブ、陰茎スワブ、肛門スワブもしくは皮膚スワブから抽出するために、生試料は、それらの検査前に、いくつかの調製ステップを経る必要があり得ることが分かった。
【0005】
したがって、等温核酸増幅および他の検査のための試料のポイントオブケア調製を可能にする装置、方法およびキットは依然として必要とされている。そのような装置は、使い易く、かつ安価に製造できることが必要である。
【0006】
本発明は、従来技術でこれらおよび他の課題を対処する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、第1の態様において、本発明は、クロマトグラフィー装置を提供する。装置は、好ましくは手動で作動される。装置は、液体試料を収容するためのチャンバー、計量バルブ付きのポンプおよびクロマトグラフィー要素を含む。好ましくは、装置はサイズ排除クロマトグラフィー装置であり、クロマトグラフィー要素はサイズ排除クロマトグラフィー要素であり、ゲル濾過クロマトグラフ要素が特に好ましい。使用中、ポンプは所定量の液体を試料チャンバーからクロマトグラフィー要素まで移動させる。一般的に、ポンプは所定量の液体を試料チャンバーからクロマトグラフィー要素を通って移動させる。好ましくは、ポンプは所定量の液体を試料チャンバーからクロマトグラフィー要素を通って試料収集容器まで移動させる。好ましくは、装置は単回使用である。
【0008】
代替の固定相クロマトグラフィー要素も、本発明の装置で使用されてもよい。好適な代替の固定相クロマトグラフィー要素としては、陽イオン/陰イオン交換クロマトグラフィー要素を含むイオン交換クロマトグラフィー要素、逆相クロマトグラフィー要素およびアフィニティークロマトグラフィー要素が挙げられるが、これに限定されるものではない。したがって、本発明の装置は、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーで使用することができる。
【0009】
好ましくは、装置は一挙動で、一般的には一押しまたは一回転で作動可能である。
【0010】
一般的には、使用中、ポンプおよび/またはポンピングは空気圧式である。これは、装置の分離性能が装置を作動させる力および速度から実質的に独立していることを意味するので、有利である。基本的には、液体試料がクロマトグラフィー要素を通過する速度は、ユーザによって加えられる力から実質的に独立している。
【0011】
好ましくは、液体試料の処理は、少なくとも約30秒、少なくとも約1分、少なくとも約2分、少なくとも約3分、少なくとも約4分、少なくとも約5分、少なくとも約6分、少なくとも約7分、少なくとも約8分、少なくとも約9分、少なくとも約10分の所定時間内に完了する。好ましくは約10分未満、好ましくは約8分未満、好ましくは約7分未満、好ましくは約6分未満、好ましくは5分未満、好ましくは4分未満に完了する。液体試料の処理は、約1分から約5分の所定時間内に完了するのが好ましく、特に約1分から約3分までが好ましい。
【0012】
実施形態において、流体の所定量は、約0.1から約100mlであり、好ましくは、約0.25mlから約10ml、より好ましくは約0.5mlから約1mlまである。好ましくは、流体の所定量は、少なくとも約100μL、少なくとも約200μL、少なくとも約300μL、少なくとも約400μL、少なくとも約500μL、少なくとも約600μL、少なくとも約700μL、少なくとも約800μL、少なくとも約900μL、少なくとも約1mL、少なくとも約2mL、少なくとも約3mL、少なくとも約4mL、少なくとも約5mLである。
【0013】
本発明のすべての態様において、検査される試料、すなわち液体試料または生試料は、一般的に生体液、例えば、尿、血液、血漿、血清、唾液、脳脊髄液、涙液であり、または、膣スワブ、鼻スワブ、喉スワブ、陰茎スワブ、肛門スワブもしくは皮膚スワブから抽出する。
【0014】
上記に示したものなどの特定の流体の生試料が、一部の状況では、アッセイの実行に負に影響する物質、具体的には、等温核酸増幅アッセイの実行に負に干渉する物質を含み得ることが分かった。負の干渉は、核酸増幅それ自体および/または蛍光を発する物質を阻害する形をとることがあり、その結果増幅が確実に検出することができない。これらのアッセイ干渉物質が標的核酸よりも低い分子量を有する傾向があり、したがってサイズ排除クロマトグラフィーによって除去し得ることが分かった。本発明は、ポイントオブケア環境にあっては、サイズ排除クロマトグラフィーが単純な単一ステップ処理で行われることを可能にする。それによって、検査がより速く行われ、必要ないかなる処理もより迅速に実行されることを可能にし、患者とヘルスケア専門家共に利点をもたらす。すべてのアッセイ/核酸干渉物質が除去されるというわけではないが、しかし十分な量を除去して、核酸増幅が実行され、測定されることを可能にすることが認識される。一般的には、実質的にすべての核酸増幅干渉物質は除去される。一般的には、核酸増幅干渉物質は塩および低分子量分子、例えば、液体試料中に存在する、通常約5000kDa未満の分子量のタンパク質または脂質である。一般的に、サイズ排除クロマトグラフィー要素は、分子量が約5000kDa未満の分子を除去する。当業者は、分子量カットオフが異なるクロマトグラフィー樹脂を選択することによって増加または減少し得ることを理解する。
【0015】
本発明を用いて行うことができる等温核酸増幅アッセイとしては、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)、ニッキングおよび伸長増幅反応(NEAR)、鎖置換増幅法およびループ介在等温増幅法が挙げられる。
【0016】
ニッキングおよび伸長増幅反応法は、国際公開第2009/012246号に詳細に論じられており、これを参考によって本明細書に取り込む。
【0017】
リコンビナーゼポリメラーゼ増幅反応は、国際公開第2003/072805号、同第2005/118853号、同第2010/141940号、同第2008/035205号、同第2007/096702号、同第2011/038197号および同第2012/138989号に詳細に論じられており、その内容は参照によって本明細書に取り込まれる。
【0018】
等温核酸増幅アッセイと同様に、本発明を用いて、イムノアッセイ、質量分光光度アッセイおよびポリメラーゼ連鎖反応アッセイのための液体試料を調製することもできる。
【0019】
本発明の実施形態において、装置は第1の部分と、好ましくは第1の部分内に収まることができる分離した、第2の部分とを含む。一般的に、第1の部分および第2の部分は、作動可能に係合して、所定量の流体を試料チャンバーからクロマトグラフィー要素まで移動させる。ポンプは、装置の第1の部分に作動可能に係合している装置の第2の部分によって作動されることができる。
【0020】
一般的に、計量バルブは、可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーを含む。したがって、計量チャンバーの上部および下部は、容積が可変である。一般的に、計量部材と計量チャンバーは、マッチする非対称の断面を有する。一般的に、計量チャンバーの内壁は、D形の断面を有する。同様に、計量部材の外壁は、通常、計量チャンバー内に収まることができる、D形の断面を有する。一般的に、計量部材は、計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを形成する。好ましくは、計量部材はカップである。
【0021】
実施形態において、計量チャンバーの上部および下部は、選択的に流体連通する。すなわち、上部と下部が流体連通する配置、および両部が流体連通しない他の配置にすることができる。計量バルブは、例えば、計量チャンバーの上部と下部の間に流体連通をもたらすために、流体バイパスまたは圧力放出チャネルを含むことができる。流体バイパスチャネルと関連して計量部材の動きは、計量チャンバーの上部と下部の間の選択的流体連通を可能にし得る。計量部材が流体バイパスチャネルの上にある場合、計量チャンバーの上部と下部との間に流体連通はない。しかし、計量部材は、流体バイパスチャネルが露出するまで下げることができる。一般的に、流体バイパスチャネルは、圧力放出チャネルである。一般的に、流体バイパスチャネルは、計量の下部からチャンバーの上部に圧力下の空気を放出する。
【0022】
実施形態において、装置は、試料がクロマトグラフィー要素に到達する前に試料を処理するための溶解物質を含む。試料を溶解物質に曝すことにより、液体試料中に存在するいかなる細胞も迅速に溶解させ、検査のための細胞内核酸を放出させる。一般的に、溶解物質は計量チャンバー内に位置している。溶解物質は、好ましくは界面活性剤または塩基からなる群から選択される。好ましい塩基としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。一般的に、メッシュによって所定の位置に保持されている少なくとも1つのペレットの水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムが特に好ましい。好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、Brij(登録商標)、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよびその組み合わせからなる群から選択されることができる。一般的に、溶解物質は乾燥している。
【0023】
クロマトグラフィーより先に液体試料の内容物を溶解することは有利であり、したがって細胞溶解の間に生成される等温核酸増幅阻害物質も除去される。
【0024】
一般的に、クロマトグラフィー要素は、クロマトグラフィー基質を含有する分離チャンバーを含む。好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー要素は、サイズ排除クロマトグラフィーゲル懸濁液を含有する分離チャンバーを含む。好ましくは、クロマトグラフィー要素、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィー要素は、アッセイのため、好ましくは等温核酸増幅のための緩衝液、好ましくは酢酸マグネシウムを含有する溶液を含む。好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー要素は、その中の懸濁されているゲル濾過クロマトグラフィー粒子とともに、等温核酸増幅のための緩衝液を含有する溶液を含む。
【0025】
サイズ排除クロマトグラフィー要素中の緩衝剤の濃度は、処理された試料中の緩衝液の濃度が所望のレベルになるように、選択される。サイズ排除クロマトグラフィー要素における緩衝液の一般的な濃度は、約10mM~約200mMである。好ましくは、処理された試料のpHは、約pH6~約pH9である。これらの好ましいpH値および濃度は、本発明のすべての態様に適用される。選択される特定の濃度およびpHは、適用、例えばRPAまたはNEARによって決まる。
【0026】
次いで、収集容器に収集された処理試料は直ちに検査ができ、処理においていくつかのステップが減るので、そのような準備は有利である。
【0027】
本発明のすべての態様において有用な好ましいゲル濾過粒子は、約10μm~約100μm、より好ましくは約15μm~約88μmの粒子径範囲を有し、および、好ましくは、ペプチドと球状タンパク質について1000~5000Daの分画範囲を有する。好ましくは、粒子はエピクロロヒドリンで架橋されたデキストランを含む。代替のクロマトグラフィーゲルは、試料から除去される必要がある物質の特性に応じ当業者が選択することができる。
【0028】
別の態様において、本発明は、アッセイのため、好ましくは等温核酸増幅のための試料を調製するため、第1の部分と、第1の部分内に収まることができる分離した第2の部分とを含み、第1の部分が試料を収容するための容器を含み、および第2の部分がアッセイを干渉する物質、好ましくは核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を試料から除去するための分離要素を含む、装置を提供する。第2の部分が第1の部分内に収まると、第1と第2の部分が作動可能に係合して、試料を試料チャンバーから分離要素まで移動させる。好ましくは、装置は単回使用である。好ましくは、装置は手動で作動し、好ましくは、装置は単一ユーザによって適用される押し、または回転によって作動可能である。
【0029】
一般的に、第1の部分は試料チャンバーからの所定量の試料を計量するための計量バルブを含み、装置の第1の部分に係合している装置の第2の部分によって作動されることができる。
【0030】
使用中、装置は通常、所定量の流体を試料チャンバーから分離要素を通ってポンピングする。好ましくは、ポンプは、所定量の流体を試料チャンバーから分離要素を通って試料収集容器まで移動させる。好ましくは、流体の所定量は、約0.1~約100ml、好ましくは約0.25~約10ml、より好ましくは、約0.5~約1mlである。好ましくは、ポンプは空気圧式である。
【0031】
計量バルブは通常、可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーを含む。
【0032】
一般的に、計量バルブは可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーを含む。したがって、計量チャンバーの上部および下部は、大きさが可変である。一般的に、計量チャンバーの内壁は、D形の断面を有する。同様に、計量部材の外壁は、通常、計量チャンバー内に収まることができる、D形の断面を有する。一般的に、計量部材は、計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する。好ましくは、計量部材はカップである。
【0033】
実施形態において、計量チャンバーの上部および下部は、選択的に流体連通する。すなわち、選択的に流体連通する。すなわち、上部と下部が流体連通する配置、および両部が流体連通しない他の配置にすることができる。計量バルブは、例えば、計量チャンバーの上部と下部の間に流体連通をもたらすために、流体バイパスチャネルを含み得る。流体バイパスチャネルと関連して計量部材の動きは、計量チャンバーの上部と下部の間に選択的な流体連通を可能にし得る。一般的に、流体バイパスチャネルは、圧力放出チャネルである。
【0034】
さらなる実施形態において、装置は、試料が分離要素に移動される前に、試料を処理するための溶解物質を含む。一般的に、溶解物質は計量チャンバー内に位置している。溶解物質は、好ましくは界面活性剤または塩基からなる群から選択される。好ましい塩基としては、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムが挙げられる。水酸化カリウムでドープ処理された材料メッシュの使用、または好ましくはメッシュによって所定の位置に保持されている少なくとも1つのペレットの水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムが特に好ましい。好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、Brij(登録商標)、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよびその組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0035】
既に述べたように、溶解中に生成されるアッセイ干渉物質も除去され得るので、分離より先に溶解を行うことは有利である。
【0036】
分離要素は、通常、サイズ排除クロマトグラフィー懸濁液を含む。好ましくは、分離要素は、等温核酸増幅のための緩衝液、好ましくは酢酸マグネシウム、トリスまたはリン酸緩衝液を含有する溶液を含む。
【0037】
他の実施形態において、分離要素は、陽イオン/陰イオン交換クロマトグラフィー要素を含むイオン交換クロマトグラフィー要素、逆相クロマトグラフィー要素およびアフィニティークロマトグラフィー要素から選択される濾過または好適な固定相クロマトグラフィー要素を含むことができる。したがって、本発明の装置は、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーおよびアフィニティークロマトグラフィーのために使用することができる。
【0038】
さらなる態様において、本発明は、ライセートから核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去するための溶解要素および分離要素を含む、等温核酸増幅のための試料を調製する装置を提供する。
【0039】
一般的に、溶解要素は、溶解物質を含む。溶解物質は、好ましくは、界面活性剤または塩基からなる群から選択される。好ましい塩基としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。水酸化カリウムでドープ処理された材料メッシュは、特に好ましく、一般的にメッシュによって所定の位置に保持されている少なくとも1つのペレットの水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムがより好ましい。好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、Brij(登録商標)、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよびその組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0040】
本発明は、乾燥した溶解物質を含む計量チャンバーを含有する計量バルブも可能とみなす。
【0041】
溶解物質は、好ましくは、界面活性剤または塩基からなる群から選択される。好ましい塩基としては、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムが挙げられる。水酸化カリウムでドープ処理された材料メッシュは、特に好ましく、一般的にメッシュによって所定の位置に保持されている少なくとも1つのペレットの水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの使用がより好ましい。好ましい界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、Triton(登録商標)、Tween(登録商標)、Brij(登録商標)、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよびその組み合わせからなる群から選択されることができる。
【0042】
本発明のさらなる態様において、キットは試料上で等温核酸増幅を実行するために提供される。キットは、通常、好ましくは、ピペットチップとプランジャーアセンブリを備えるハウジング;等温核酸増幅反応のための試薬を含有する反応チャンバー;試料リザーバーを含む液体移動デバイスと、等温核酸増幅を実行する前に試料から核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去することができる分離要素を備える試料調製装置とを含む。
【0043】
キットの実施形態において、反応器は、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)のための試薬、例えばリコンビナーゼ、一本鎖結合タンパク質およびポリメラーゼを含有する。リコンビナーゼは、T4 UvsX、T6 UvsXまたはRecAから選択されることができる。DNAポリメラーゼは、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIKlenowフラグメント、好熱性細菌(バチルス・ステアロサーモフィラス)ポリメラーゼ(Bst)、枯草菌(バチルス・スブチリス)Phi-29ポリメラーゼ、枯草菌(バチルス・スブチリス)ポリメラーゼI(Bsu)からなる群から選択されることができる。一本鎖結合タンパク質は、一般的にgp32である。
【0044】
一般的に、クラウディング剤、ATP(アデノシン三リン酸)もしくはATP類似体、dNTP、またはT4バクテリオファージUvsYも含む、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅のための試薬。好ましいクラウディング剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストラン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)またはFicollを含む(好ましくは、からなる)群から選択されることができる。
【0045】
存在する場合、PEGは好ましくはPEG1450、PEG3000、PEG8000またはPEG10000である。PEGは、好ましくは約15000と約20000との間の分子量を有する。
【0046】
存在する場合、好ましくは、dNTPはdATP、dGTP、dCTPおよびdTTPからなる群から選択される。
【0047】
存在する場合、ATPまたはATP類似体は、通常、ATP、ATP-γ-S、ATB-β-S、ddATPまたはその組み合わせから選択される。
【0048】
あるいは、反応器は、ニッキングおよび伸長増幅反応(NEAR)のための試薬を含有することができる。NEAR試薬は、通常、ニッキング酵素、順方向の鋳型核酸、逆方向の鋳型核酸およびポリメラーゼを含む。
【0049】
試薬は通常、乾燥型または凍結乾燥型であるが、液体状もあり得る。
【0050】
キットは、患者の収集容器と、試料調製装置まで患者の収集容器から流体を移動させるためのパスツールピペットとをさらに含み得る。
【0051】
好ましくは、試料調製装置は、分離要素が核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質をライセートから除去する前に、試料が曝される溶解物質を含有する。一般的にメッシュによって所定の位置に保持されている少なくとも1つのペレットの水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの使用が特に好ましい。
【0052】
一般的に、分離要素は、サイズ排除クロマトグラフィーゲル懸濁液を含有する分離チャンバーを含む。好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー要素は、等温核酸増幅のための緩衝液、好ましくは酢酸マグネシウムを含有する溶液を含む。好ましくは、サイズ排除クロマトグラフィー要素は、等温核酸増幅のための緩衝液と、ゲル濾過クロマトグラフィー粒子の懸濁液とを含有する溶液を含む。
【0053】
他の実施形態において、分離要素は、フィルタを含み得る。
【0054】
試料調製装置は、本発明の前述の態様のいずれかによる装置であり得る。
【0055】
具体的に、試料調製装置は、手動で作動するサイズ排除クロマトグラフィー装置であり得る。装置は、液体試料を収容するためのチャンバー、計量バルブ付きのポンプおよびサイズ排除クロマトグラフィー要素を含む。使用中、ポンプは、所定量の液体を試料チャンバーからサイズ排除クロマトグラフィー要素まで移動させる。一般的に、ポンプは、所定量の流体を試料チャンバーからサイズ排除クロマトグラフィー要素を通って移動させる。好ましくは、ポンプは、所定量の流体を試料チャンバーからサイズ排除クロマトグラフィー要素を通って試料収集容器まで移動させる。好ましくは、装置は単回使用である。好ましくは、装置は、1回押し下げる、または回転させることによって作動可能になる。一般的に、ポンプは空気圧式である。
【0056】
あるいは、試料調製装置は、第1の部分と、第1の部分内に収まることができる分離した第2の部分とで構成され、第1の部分が試料を収容するための容器を含み、および第2の部分が核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を試料から除去するための分離要素を含み、第2の部分が第1の部分内に収まると、第1の部分と第2の部分が作動可能に係合して、試料チャンバーから試料を分離要素まで移動させる、等温核酸増幅のための試料を調製する装置であり得る。
【0057】
あるいは、試料調製装置は、溶解要素と、核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質をライセートから除去するための分離要素とを含み得る。
【0058】
実施形態において、液体移動デバイスのハウジングは、反応チャンバーと密封可能に係合するように構成されている。一部の実施形態において、液体移動デバイスのハウジングは、反応チャンバーと密封可能に係合するように構成される密封成分を含むことができる。一部の実施形態において、反応チャンバーは、液体移動デバイスと密封可能に係合するように構成される密封成分を含むことができる。本システムは流体リザーバーをさらに含むことができ、および反応チャンバーは流体リザーバーと係止可能に係合するように任意選択で構成され得る。
【0059】
好ましくは、試料調製装置は、流体リザーバーと取り外し可能に係合され得る。好ましくは、試料調製装置は、流体リザーバー内に配置されている間、好ましくは、流体リザーバーに向かって該装置を押すことによって作動する。一般的に、調製された試料は、流体リザーバーに収集される。
【0060】
液体移動デバイスは、例えば、液体試料を分配することなく、分配する前に、および/または分配した後に、係止可能に反応チャンバーと係合するように構成され得る。一部の実施形態において、反応チャンバーは生物学的反応物の1つまたは複数の成分を含む。
【0061】
液体移動デバイスは、ピペットチップを備えているハウジングと、該ハウジングおよびピペットチップ内に配置されたプランジャーアセンブリとを含むことができ、プランジャーアセンブリが流体リザーバーに対して静止状態を保ち、ハウジングがプランジャーアセンブリに対して移動するように、プランジャーアセンブリの一部は流体リザーバーを係合するように構成される。
【0062】
一般的に、プランジャーアセンブリに対するハウジングの動きにより、ピペットチップ内が真空になり、および任意選択でプランジャーアセンブリは、真空をもたらす位置に係止するように構成され得る。ハウジングを流体リザーバー上に押下げることによって、ハウジングはプランジャーアセンブリに対して移動するように構成され得る。該デバイスは、さらに、プランジャーアセンブリが真空をもたらす位置にあることを聴覚表示および/または視覚表示で示すように構成され得る。
【0063】
キットは、液体移動デバイス、1つまたは複数の流体リザーバーおよび反応チャンバーを含み得る。液体移動デバイスおよび反応チャンバーが連結されると、反応チャンバーは、プランジャーアセンブリのロックを解除するように構成されることができる。
【0064】
液体移動デバイスは、液体移動デバイス、および反応チャンバーと流体リザーバーのいずれか1つまたは両方を含むシステムおよびリザーバーに向かって装置を押すことによって流体リザーバーから試料を引き出すように構成され得る。
【0065】
上記のシステムにおいて、液体移動デバイス、反応チャンバー、試料調製装置および流体リザーバーの4つのすべては、適合する非対称の断面を有し得る。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、等温核酸増幅を行うための本発明の前述の態様によるキットと、検出装置とを含むシステムを提供する。
【0067】
検出装置は、一般的に、試料収集チャンバーを確実に保持するように適応した第1のステーションと、反応チャンバーを確実に保持するように適応した第2のステーションとを含む。使用中に、試料調製装置は試料収集チャンバー内に配置される。一般的に、装置の第1の部分は、試料収集チャンバー内に置かれる。次いで、生試料は装置の計量チャンバー内に置かれる。次いで、装置の第2の部分は、装置の第1の部分に挿入される。次いで、装置の第2の部分は、第1の部分に、通常、可聴または可視シグナルが発せられるまで、押し込まれ、次いで調製された試料は試料収集容器に収集される。次いで、試料調製装置は取り外されて、廃棄される。
【0068】
移動デバイスは、第1のステーションの収集チャンバーと、第2のステーションの反応チャンバーとの間で移動できる。
【0069】
検出装置は、検出装置が作動中のとき、または保存のため閉じることができる蓋を含む。
【0070】
タッチスクリーンのユーザインタフェースは、アッセイに関するデータを入力し、情報を表示するためにあってよい。第2のステーションは、増幅チャンバー上に存在するバーコードまたは類似のコードを自動的に検出するためのバーコドリーダまたは類似の装置を含み得る。第1および第2のステーションは、試料収集チャンバーおよび反応チャンバーの内容物を加熱または冷却するように適応し得る。また、第2のステーションは、光学、蛍光または他のモニタリングおよび/またはマイクロチューブの撹拌を行うように適応し得る。
【0071】
一部の実施形態において、本明細書に開示される液体移動デバイまたはピペットチップは、1μlと5mlの間(例えば、1μl、2μl、5μl、10μl、20μl、50μl、100μl、200μl、500μl、1ml、2mlおよび5mlのうちの2つの間)の量を収集し、分配するように構成されることができる。
【0072】
さらなる態様において、本発明は、等温核酸増幅を実行する方法を提供する。本方法は、検査用の生液体試料を提供するステップ、核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去するために生液体試料を処理するステップ、処理された試料上で等温核酸増幅を行うステップ、および増幅核酸をモニターするステップを含む。
【0073】
本発明のさらなる態様において、本発明は、ゲル濾過クロマトグラフィーで使用するための等温核酸増幅緩衝液と、分散したゲル濾過クロマトグラフィー粒子とを含有する水溶液を含む組成物を提供する。一般的に、緩衝液は酢酸マグネシウムまたは酢酸トリスからなる群から選択され、好ましくは酢酸マグネシウムである。
【0074】
好ましいゲル濾過粒子は、約10μm~約100μm、より好ましくは約15μm~約88μmの粒子径範囲、およびペプチドと球状タンパク質について約1000~約5000Daの分画範囲を有する。好ましくは、粒子はエピクロロヒドリンで架橋されたデキストランを含む。当業者は、サイズ排除クロマトグラフィーゲルを代替物として選択することができる。
【0075】
本発明は、等温核酸増幅のための試料調製において、そのような組成物の使用も可能とみなす。
【0076】
本発明は、ポンプのための計量バルブをさらに提供する。計量バルブは、通常、可動計量部材によって分けられた上部と下部を有する計量チャンバーと、圧力放出チャネルとを含む。好ましくは、計量部材が上部を下部から分ける初期位置から、圧力放出チャネルが計量チャンバーの下部と計量チャンバーの上部との間に流体連動をもたらす以降の位置まで計量部材が移動できるように、計量部材および圧力放出チャネルは配置される。
【0077】
このように、計量部材が下がると、それによって計量チャンバーの下部の容積が縮小し、計量チャンバーの下部内の圧力が上昇する。計量部材が所定の距離を進んだ後、圧力放出チャネルは、計量チャンバーの下部と上部の間に流体連通をもたらすことができる。一旦流体連通になると、計量チャンバーの下部からの空気は圧力放出チャネルに沿って移動し、計量チャンバーの上部内に流体を移動させる。
【0078】
一般的に、流体出口チャネルは設けられている。好ましくは、流体は出口チャネルに沿って移動し、それによって計量バルブを出る。好適な実施形態において、流体出口チャネルは、計量バルブのために可動アクチュエータ内に位置する。そのような実施形態において、可動アクチュエータは計量部材に作動可能に係合し、その結果、アクチュエータの動きは、所定量の試料を計量し、次いで所定量を出口チャネルからポンピングする。
【0079】
一般的に、計量部材は、計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する。計量チャンバーの内壁は、非対称断面で、好ましくはD形の断面を有し得る。同様に、計量部材の外壁は、非対称断面で、計量チャンバーの断面にマッチする一般的にはD形の断面を有し得る。好ましくは、計量部材はカップである。一般的に、可動アクチュエータは、カップの内部床に作動可能に係合する。
【0080】
一般的に、計量チャンバーは、計量される液体試料を収容する単一の開口部と、可動アクチュエータとを有する。一般的に、計量チャンバーの開口部の周辺部は、可動アクチュエータが開口部内に収まると、該アクチュエータの外壁と締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを形成する。
【0081】
本発明のさらなる態様において、単回使用の計量バルブを製造する方法が提供される。本方法は、第1の開口部と第2の開口部を有する計量チャンバーと、該チャンバーの内壁に沿って、一部分は通常は軸方向に伸びている圧力放出チャネルとを準備するステップ、計量チャンバーを第1の部分と第2の部分に分けるために、計量チャンバー内に収めることができる計量部材を準備するステップ、圧力放出チャネルが第1の部分と第2の部分の間に流体連通をもたらさないように、計量チャンバー内に計量部材を位置づけるステップ、および計量チャンバーの開口部をシールで密封するステップを含む。一般的に、計量部材は計量チャンバー内で移動できる。好ましくは、計量部材は、密封される開口部を介して位置にスライドし、好ましくは、他の開口部は密封されない。
【0082】
本方法の実施形態において、計量部材は、第1の開口部を通って移動しないように、好ましくはアバットメントによって、好ましくは環状アバットメントによって、より好ましくは第1の開口部で環状アバットメントによって妨げられる。
【0083】
一般的に、計量部材は、第2の開口部を通って計量チャンバーに入り、計量部材がアバットメント、通常は、環状アバットメントと係合するまで、計量チャンバーに沿って進む。
【0084】
好ましくは、計量部材は、計量チャンバーによって締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを形成する。好ましくは、計量部材はカップである。
【0085】
本発明は、さらに、第1の部分と、該第1の部分内に作動可能に収まることができる分離した第2の部分とを含む、手動で作動されるポンプを提供する。一般的に、第1の部分と第2の部分は係合して、計量バルブを形成し、好ましくは、第1の部分は、液体試料を収納するための計量チャンバー、可動計量部材および圧力放出チャネルを含み、第2の部分は、該第2の部分が第1の部分内に収まると、計量部材と作動可能に係合するように配置されたアクチュエータを含む。使用中、第2の部分は第1の部分内に進み、および所定量の流体は出口チャネルを通ってポンプを出る。前記所定量の流体は通常、所定量の液体試料および所定量の空気を含む。一般的に、出口チャネルは第2の部分内に設けられている。好適な実施形態において、流体出口チャネルは、アクチュエータ内に位置する。ポンプは、一般的に単回使用である。
【0086】
一般的に、計量チャンバーは、計量される液体試料を収容するための単一の開口部と、アクチュエータとを有する。一般的に、計量チャンバーの開口部の周辺部は、アクチュエータが開口部内に収まると、該アクチュエータの外壁と締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを形成する。
【0087】
一般的に、計量部材は、計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する。計量部材はそれによって計量チャンバーを上部と下部に分ける。計量チャンバーの内壁は、非対称断面、好ましくはD形の断面を有し得る。同様に、計量部材の外壁は、非対称の断面で、計量チャンバーの断面にマッチする一般的にはD形の断面を有し得る。好ましくは、計量部材はカップである。一般的に、可動アクチュエータは、カップの内部床に作動可能に係合する。
【0088】
使用中、計量チャンバー中を進むアクチュエータによって移動される流体の量、一般的には空気の量は、計量チャンバーの上部内の圧力の上昇をもたらし、およびそれによって所定量の流体が出口チャネルを通って移動される。適切な量の変位を選択することは、当業者の受容能力の範囲内にある。
【0089】
圧力放出チャネルは、計量チャンバーの上部と下部の間に選択的な流体連通をもたらす。計量部材がその初期位置にあるとき、計量チャンバーの上部と下部は分かれている、すなわち、流体連通してない。計量部材がアクチュエータによって計量チャンバーに沿って移動されると、圧力放出チャネルが露出し、計量チャンバーの上部と下部の間が流体連通になる。好適な実施形態において、圧力放出チャネルは、計量チャンバーの壁に位置する。圧力放出チャネルは、開口溝または密閉された導管の形であり得る。一般的に、圧力放出チャネルは、計量チャンバーの底部から、もしくは底部近くから、その初期位置における計量部材の上部の下の位置に達する。
【0090】
好ましくは、計量チャンバーは溶解物質を含む。好適な溶解物質は、本開示にて前に論じられている。
【0091】
本発明のさらなる態様は、液体の所定量を計量するためのポンプ、好ましくは手動で作動するポンプを提供し、該ポンプは、試料チャンバーおよび計量チャンバーを含む容器と、アクチュエータの遠位部分に開口部を有する流体出口チャネルを含有する前記アクチュエータとを含み、アクチュエータの遠位端が試料チャンバー内に位置している第1の位置から、流体出口チャネルの開口部が計量チャンバー内に位置している第2の位置までアクチュエータが移動でき、およびアクチュエータが第1の位置にあるとき、試料チャンバーが計量チャンバーと流体連通しており、アクチュエータが第2の位置にあるとき、試料チャンバーが計量チャンバーから分離されており;計量チャンバーが可動計量部材によって上部と下部に分けられており、計量チャンバーがさらに圧力放出チャネルを含み;およびアクチュエータがその第1の位置からその第2の位置に移動されると、計量部材が上部を下部から分ける初期位置から、圧力放出チャネルが計量チャンバーの下部と計量チャンバーの上部との間に流体連動をもたらす以降の位置まで計量部材が移動するように、計量部材、圧力放出チャネルおよびアクチュエータが配置されている。
【0092】
一般的に、計量部材は、計量チャンバーの内壁とともに、締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する。計量部材は、それによって計量チャンバーを上部と下部に分ける。計量チャンバーの内壁は、非対称の断面、好ましくはD形の断面を有し得る。同様に、計量部材の外壁は、非対称の断面で、計量チャンバーの断面にマッチする一般的にはD形の断面を有し得る。好ましくは、計量部材はカップである。一般的に、可動アクチュエータは、カップの内部床に作動可能に係合する。
【0093】
使用中、計量チャンバー中を進むアクチュエータによって移動される流体の量、一般的には空気の量は、計量チャンバーの上部内の圧力の上昇をもたらし、およびそれによって所定量の流体が流体出口チャネルを通って移動される。計量部材がアクチュエータによって完全に移動されると、計量チャンバーの上部内のすべての液体試料が計量チャンバーから押しだされるように、アクチュエータによって移動される計量チャンバーの上部の容積は、好ましくは、移動される液体試料の量より大きくする必要がある。滴下を防止し、用量を確実に均一にするために、過剰量により、一定量の空気も装置の第2の部分を通過することを確実にする。アクチュエータによって移動される計量チャンバーの適切な容積を選択することは、当業者の受容能力の範囲内にある。
【0094】
好適な実施形態において、圧力放出チャネルは、計量チャンバーの壁内に位置している。圧力放出チャネルは、開口溝または密閉された導管の形であり得る。一般的に、圧力放出チャネルは、計量チャンバーの底部から、もしくは底部近くから、その初期位置における計量部材の上部の下の位置に達する。
【0095】
好ましくは、計量チャンバーおよび/または試料チャンバーは溶解物質を含む。好適な溶解物質は、本開示にて前に開示されている。
【0096】
ポンプは、通常、単回使用である。本発明の目的で、単回使用とは、通常の使用において、ポンプがリセットされ、再利用されることができないことを意味する。
【0097】
本発明のこれらの態様によるポンプおよび計量バルブは、具体的には、本発明の前述の態様による装置での使用が考えられる。
【0098】
本発明の目的で、手動で作動されることとは、その通常の意味を有する。すなわち、装置、ポンプおよび計量バルブは、手で作動可能である、本発明の装置、ポンプおよび計量バルブのすべては、手動で作動することができるが、しかしながら本発明の特定の態様および実施形態が代替手段によっても作動することができると考えられる。
【0099】
本発明の1または複数の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載する。本発明の他の特徴、目的および利点は、説明と図面から、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【
図4】試料チャンバーのカバーを取り外した、装置の例示的な第1の部分を示す。
【
図6】第1の部分に係合し、および生試料の量を計量する第2の部分を示す。
【
図9】等温核酸増幅を行って、モニターするための装置内のin-situの例示的な装置を示す。
【
図10】等温核酸増幅を行って、モニターするための装置内のin-situの例示的な装置を示す。
【
図11】等温核酸増幅を行って、モニターするための装置内のin-situの例示的な装置を示す。
【
図12】反応チャンバーに移動される、調製された試料を示す。
【発明を実施するための形態】
【0101】
本発明は、アッセイで用いる試料の調製、特に、等温核酸増幅で用いる試料の調製に関する。特に、手動操作クロマトグラフィー装置、それに関する有用な組成物、等温核酸増幅のための試料を調製する装置、等温核酸増幅を行うためのキット、および等温核酸増幅を行うための方法に関する。本発明は、ポンプおよび計量バルブも提供する。
【0102】
図1は、
図13に図示されるシステムの使用に適している反応器(200)、試料収集リザーバー(300)および液体移動デバイス(100)を表す。各部分組立品はD形または他の非対称の断面(105、205、305)を有することができ、他の2つの部分組立品と適合する。したがって、部分組立品は一つの向きでのみ互いに係合することができる。
【0103】
反応チャンバー200は、反応器本体の底の開口内に保持されるマイクロチューブ220を含む。
【0104】
図1は、1つのピペットチップ120と1つのマイクロチューブ220を備える、上述の移動デバイス100および反応器200を表す。しかし、移動デバイスは、2つ以上のピペットチップを備えることができ、反応器は2つ以上のマイクロチューブを備えることができる。
【0105】
そのようなアセンブリは、国際公開第2013/041713号に詳述されており、該公開は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0106】
図2は本発明による装置(20)の分解立体図である。装置は、第1の部分(20a)と第2の部分(20b)を含む。第2の部分(20b)は、第1の部分(20a)内に収まることができる。試料リザーバー(210)も、表す。第1の部分(20a)は、試料収集リザーバー(210)内に収まることができる。
【0107】
第1の部分(20a)は、本体(21)を含む。本体(21)は、試料チャンバー(図示せず)と計量チャンバー(211)を含む。計量チャンバー(211)と試料チャンバーは流体連通している。計量部材(22)は、D形の断面を有するカップ状部材の形をしている。計量チャンバー(211)もD形の断面を有する。計量部材(22)は、通常、乾燥した溶解物質を含有する。一般的に、少なくとも1つのペレットの溶解物質(221)、通常、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムは、ガーゼ(222)によって所定位置に保持される。水酸化カリウム/水酸化ナトリウムは、試料流体中の細胞形成成分の急速な溶解を引き起こし、それによって等温核酸増幅によって検出されることになる細胞内核酸を放出するために存在する。
【0108】
計量部材(22)は計量チャンバー(211)内に可動して収まることができる。使用中、計量部材(22)は、計量チャンバーを上部と下部に分ける。計量部材(22)は、計量チャンバー(211)の内壁とともに、液密な締まりばめを形成する。気密膜(23)は、計量チャンバーの端を閉じる。製造において、計量部材(22)は、計量チャンバー(211)の底部に挿入され、試料を収容するチャンバーから計量チャンバーを分けている環状シール(不図示)の直下に位置するまで、上向きに押される。次いで、気密膜(23)は、計量チャンバー(211)の底部上で加熱密封される。
【0109】
第2の部分(20b)は、第1の部分(20a)の試料チャンバー内に収まることができるアクチュエータ(25)を備える本体(24)を含む。使用中、アクチュエータ(25)は計量部材(22)と作動可能に係合する。アクチュエータ(25)は、遠位端(215)と近端部(216)を有する。開口(214)は、アクチュエータ(25)の遠位端に位置している。開口(214)は、等温核酸増幅緩衝液と分散したゲル濾過クロマトグラフィー粒子を含む水溶液を含有する分離チャンバー(図示せず)と流体連通している。好適なゲル濾過粒子は、Sephadex G-25 Superfineの商標名でGE Healthcareによって販売されており、他の好適なクロマトグラフィー基質は、当業者に既知である。マイクロ流体チャネル(図示せず)は、分離チャンバーと、リターンレグ(26)の遠位端の出口開口(217)との間に流体連通をもたらす。挿入部分(27)は、リターンレグ(26)に挿入され、分離チャンバーを閉じる。アクチュエータ(25)の外壁は、第1の部分を係合するためのショルダー部(213)を含む。チャネル(212)は、ショルダー部(213)内に存在する。使用中、チャネル(213)は、計量チャンバーが密封される前に、過剰な液体を流出させることができる。
【0110】
剥離可能なシール(223、224)は、第1の部分および第2の部分の上に備えられる。
【0111】
図3は、使用前の装置(32)の第1の部分を表す。剥離可能なシール(31)は、試料チャンバー(図示せず)を覆う。剥離可能なシール(31)は、使用前に、第1の部分(32)の内容物を汚染から保護し、乾燥した溶解物質を湿気から保護する。また、損なわれていない剥離可能なシール(31)は、装置が以前に使用されていなかったことをユーザに知らせる。装置(32)の第1の部分は、試料リザーバー(33)と係合される。
【0112】
図4は、剥離可能なシールが除去されている装置(42)の第1の部分を表す。これで、試料チャンバー(41)はアクセス可能である。再び、装置(42)の第1の部分は、試料リザーバー(43)と係合される。
【0113】
図5は、装置(60)の第2の部分を表す。装置(60)の第2の部分は、第1のアクチュエータレグ(63)と、第2のリターンレグ(62)とを含む。ストッパー(61)は所定位置に固定されている。アクチュエータ内の流体の汚染および/または漏出を防止するために、剥離可能なシール(64)は、アクチュエータレグおよびリターンレグの遠位端に位置している開口を覆う。
【0114】
使用中に、剥離可能なシール(64)は、第2の部分が第1の部分と係合される前に除去される。剥離可能なシール(64)は、汚染と漏出を防止する。また、損なわれていない剥離可能なシール(64)は、装置が以前に使用されていなかったことをユーザに知らせる。
【0115】
マイクロ流体経路(不図示)は、アクチュエータレグ(63)の上部から、リタ-ンレグ(62)の内部まで下降する。使用中、この中を処理された液体が流れる。
【0116】
装置(60)の第2の部分は、射出成形によって、外壁(65)と挿入部分(66)の2部分で作られている。挿入部分は大部分のリターンレグ(62)を満たし、第2の部分(60)の表面の上部に見える円形部分(66)を含む。リターンレグ(62)に挿入されると、密閉チャネルを形成する挿入部分のリターンレグ部分(図示せず)に溝がある。
図2によりよく示すように、アクチュエータレグ(25)内の挿入部分(27)は、上部フリット(218)をマトリックス(219)と底部フリット(220)上まで押縮め、および処理された流体がリターンレグ(26)に移動することを可能にする開口部と溝(図示せず)を含む。
【0117】
図6aは、第1の部分(72)内に挿入された第2の部分(71)を含む本発明の装置を示す。ここでも、装置の第1の部分(72)は、試料収集リザーバー(73)と係合する。
【0118】
図6bは、装置の第1の部分(72)と第2の部分(71)および
図7aに示す試料リザーバー(73)の断面を示す。
【0119】
図6bの断面図は、サイズ排除クロマトグラフィーマトリックス(75)を含有する分離チャンバー(76)を示す。マトリックスを含有するチャンバー(76)は、マトリックス(75)を所定の位置に保持するために、上部フリット(77)と底部フリット(78)を備えている。流体が広がり、分離チャンバー(75)に入ることを可能にする成形プラスチックのカットアウト形状構成(十字形状)もある。
【0120】
使用中、ユーザは第2の部分(71)を第1の部分(72)内に導入するように指示される。アクチュエータレグ(79)が、生試料が加えられるチャンバー(711)に導入されるものであることが明らかになるように装置は形づくられている。
【0121】
その元の位置にあるとき、十分な液体試料が計量チャンバーの上部(712)を満たすように加えられ、および好ましくは液体が、試料チャンバー(711)から計量チャンバーを分けている環状シール(713)の上に位置する場合には、処理された試料は所望の量に達する。
【0122】
第2の部分(71)が挿入されると、アクチュエータレグの狭い部分は最初に環状シール(713)を通り、次いで計量チャンバー(714)に押しだされる。アクチュエータレグの直径は、最初は、環状シール(713)の直径よりも小さく、したがってアクチュエータ(79)が計量チャンバー(712)の上部から液体を移動させると、液体は、アクチュエータレグ(79)の縁の周りから試料チャンバー(711)に流出することができる。
【0123】
図6aおよび6bでは、ショルダー部(715)が試料チャンバー(711)と計量チャンバー(714)の間に配置されている輪状シール(713)と係合するように、第2の部分(71)は、手動で第1の部分(72)に押し込まれた。この位置で、ショルダー部(715)の溝(図示せず)は、計量チャンバー(714)と試料チャンバー(711)との間に流体連通をもたらす。アクチュエータの遠位端(718)は、計量部材(717)とここで係合した。アクチュエータを囲んでいる計量チャンバーの上部の容積は、サイズ排除クロマトグラフィーゲル(75)を通過する生試料の量を定める。サイズ排除クロマトグラフィーゲル(75)は、等温核酸増幅に適した緩衝液、一般的には酢酸マグネシウム、を含む溶液に懸濁されている。分離チャンバー(76)内の緩衝液の濃度は、処理された試料中で適切な濃度で存在するような濃度である。
【0124】
図6bに示す位置では、計量部材(717)は、圧力放出チャネル(719)の上端の上にある。これは、圧力放出チャネル(719)が計量チャンバー(714)の上部(712)と下部(720)との間に流体連通をもたらさないことを意味する。したがって、アクチュエータがさらに下がると、計量部材(717)を前進させ、下部チャンバー(720)内の空気圧が上昇する。
【0125】
図7aおよび7bは、第1の部分(82)にさらに押し込まれた第2の部分(81)を有する装置を示す。この位置では、アクチュエータショルダー(84)は、今やアクチュエータの外壁(86)と係合している環状シール(85)の下に下がり、それによって試料チャンバー(88)から計量チャンバー(87)を密封する。圧力放出チャネル(810)の上端が今や計量部材(89)の上に露出され、したがってアクチュエータ(86)は、計量部材(89)を低い位置まで押し下げている。圧力放出チャネル(810)は、計量チャンバー(87)の下部(811)と、計量チャンバー(87)の上部(812)との間に流体連通をもたらし、および圧力がチャンバーの上部(812)よりもチャンバーの下部(811)においてより高いので、空気は、圧力放出チャネル(810)に沿ってチャンバーの下部(811)からチャンバーの上部(812)へ移動し、その中に存在するアクチュエータ(86)によって引き起こされる上部(812)内部容積が縮小した結果、液体試料を含有するカップ形の計量部材(89)の上に高圧力の領域が形成される。次に、液体試料は、処理のため、アクチュエータ(86)の遠位端のオリフィス(814)を通ってサイズ排除クロマトグラフィー/分離チャンバー(815)に押しだされる。
【0126】
生試料の一部は試料チャンバー(88)内に密封状態で残存する。これは、装置で処分することができる。
【0127】
装置の第2の部分(81)がさらに第1の部分(82)に押し込まれると、アクチュエータ(86)は計量部材(89)を計量チャンバー(87)内にさらに押し下げ、圧力放出チャネル(810)に沿って下部(811)から上部(812)へ空気を移動させ、それによって試料は、分離チャンバー(815)内のサイズ排除クロマトグラフィーゲルを通り、装置の第2の部分(81)の水平上部内のマイクロ流体チャネル(図示せず)に沿って、次いで第2の部分(81)のリターンレグ(817)内のチャネルに沿って進み、その後第2の部分(81)から出て、試料収集リザーバー(818)内に滴下する。
【0128】
サイズ排除クロマトグラフィーゲルは、試料から等温核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去する。このように、試料収集リザーバー(818)に収集される処理された試料は、前述の阻害物質/蛍光物質が十分に除かれており、等温核酸増幅は試料中に存在する核酸上で効率よく行われ、次いで検出が可能になる。さらに、サイズ排除クロマトグラフィーゲルは、等温核酸増幅を行うための緩衝液を含む溶液に懸濁される。試料収集リザーバー(818)に収集された、処理された試料のpHは、等温核酸増幅を行うための適切なpHである。一般的に、pHは約6~約9である。これにより、試料調製ステップをこれ以上必要としない。
【0129】
図8aおよび8bは、第1の部分(92)に完全に挿入された第2の部分(91)を示す。可聴プロンプト、一般的にクリック音は、完全な挿入が達成され、したがって、適切量の試料が処理されることをユーザに知らせる。使用中、クリックが聞こえるまで、ユーザは、通常、指または母指で一押しする。可聴クリックに関与している部材は通常、第1の部分(92)内の第2の部分(91)もロックする、ラッチである。これは、未処理の生試料が処分のために安全に収容されていることも意味する。好ましくは、流体密封を第2の部分(91)の上部と試料チャンバー(94)との間に作成し、それによって過剰な生試料流体(93)が収容され、装置が処分されるとき、生試料の流出を防止する。
【0130】
完全に挿入されると、計量チャンバー(96)の下部(95)からの空気は、計量チャンバー(96)の上部(97)に流入し、上下部の両チャンバー内の圧力が同等になるまで流入が続く。
図8bに示すように、計量チャンバー(96)内には生試料が残存していない。さらに、少量の空気は、装置の第2の部分(91)を通って移動し、リターンレグ(99)の末端のオリフィス(98)を通って出て行く。これにより、チャネル内に存在する液体が外に押しだされ、どのような滴下も防止される。また、装置の試料側の残留するどのような圧縮ガスでも消散させることができる。過剰流体がリターンレグ(99)から滴下し、作業エリアを汚染する可能性を阻止するために、装置が試料収集容器(910)から取り外された後、残留流体がカラムを通って押しだされるのをさらに阻止する。
【0131】
これは、アクチュエータが完全に挿入されたとき、アクチュエータによって移動された計量チャンバーの容積が処理のために計量される生試料の量より大きいことを確実にすることによって達成される。
【0132】
一般的に、可聴クリックと、処理された試料のすべての試料収集リザーバー(910)への到達との間に遅れが生ずる。これは、計量チャンバー(96)の下部(95)内の空気を圧縮することからの減衰効果よって引き起こされ、その圧力は装置から放出される。流体抵抗によって引き起こされる減衰効果は、処理される試料の流速を遅らせ、かつ試料がサイズ排除クロマトグラフィーゲルによって適切に確実に処理されるので、有利である。試料があまりにも急速にゲルを通って移動する場合、核酸増幅阻害物質/蛍光物質が十分に除去されないことが生じ、装置はその所望の機能を達成しないであろう。減衰の適切なレベルを達成することは、当業者の受容能力の範囲内である。
【0133】
図8bに示す位置において、試料収集リザーバー(910)は、等温核酸増幅で使える状態にある処理された試料を含む。処理された試料は、必要なpHで緩衝され、および行われ、検出される増幅のために、核酸増幅阻害物質および蛍光物質が十分に除かれている。液体移動デバイス(図示せず)を用いて、試料収集容器(910)から等温核酸増幅アッセイを行う検査装置へ、処理された試料の一部をピペットで移す。
【0134】
図9~12は、等温核酸増幅を行うための試料処理装置(101)において本発明によるin situでの装置(10)を示す。
図9において、本発明による装置の第1の部分(102)は、試料収集容器(103)内に位置しており、次に、試料処理装置(101)に収まる。好適な試料処理装置は、商標名Alere i.でAlere Inc.から入手可能である。
【0135】
図9aにおいて、反応器(103)はin-situでの試料処理装置である。試料処理装置は、NEARおよび/またはRPA等温核酸増幅を行うために構成された反応器とともに用いることができる。したがって、反応チャンバーは、前記チャンバーに導入される試料上でNEARおよび/またはRPAを行うために必要な試薬を含み得る。好適な反応器(105)は、Alere Inc.から入手可能である。
【0136】
図9において、試料チャンバー(104)を覆っている保護用の剥離可能なフィルムは、除去されている。この位置で、生試料は、パスツールピペットを用いて、試料チャンバーに導入され、通常、1.5mlの生試料が導入される。
【0137】
図10は、装置(111)の第1の部分(112)に部分的に挿入された装置の第2の部分(113)を含む、本発明のシステム(11)を示す。一方で
図11は、装置(121)の第1の部分(122)に完全に押し下げられた装置(121)の第2の部分(123)を含む本発明のシステム(12)を示す。一旦試料が処理され、試料収集リザーバー(124)に収集されると、試料を調製する装置(121)は取り外され、処分されることができる。次いで、液体移動デバイスを用いて、処理した試料の一部を検査のために反応器(125)に移す。
【0138】
図12は、試料処理装置(400)に加えて、液体移動デバイス(100)、反応器(200)および試料収集リザーバー(300)を示す。使用中、スクリーン(440)は、ユーザに指示をステップバイステップで示し、等温核酸増幅検査の結果を表示する。本発明は、反応器(200)、液体移動デバイス(100)、試料収集チャンバー(300)および試料調製装置を含むキット、ならびに該キットおよび試料処理装置(400)を含むシステムを意図する。
【0139】
図12は、例示的な検出装置(400)を含むシステムを示す。検出装置(400)は、確実に試料収集容器(300)を保持するように適応した第1のステーション(410)と、確実に反応チャンバー(200)を保持するように適応した第2のステーション(420)とを含む。使用されている場合、移動デバイス(100)は、第1のステーション(410)の試料収集容器(300)と、第2のステーション(420)の反応チャンバー(200)との間で移動される。検出装置は、検出装置(400)が作動中または保管されている間、閉じることができる蓋(430)を含む。タッチスクリーンユーザインタフェース(440)は、データを入力して、アッセイに関する情報を表示するために存在する。第2のステーション(420)は、反応チャンバー(200)上に存在するバーコードまたは類似のコードを自動的に検出するためのバーコドリーダまたは類似の装置を含み得る。第1のステーション(410)および第2のステーション(420)は、試料収集容器(300)および反応チャンバー(200)の内容物を加熱するまたは冷却することに適応し得る。第2のステーション(420)は、光学、蛍光または他のモニタリングおよび/またはマイクロチューブ(220)の撹拌を行うようにも適応し得る。
【0140】
【0141】
図13aは、第1の部分(141)から分けられた第2の部分(142)を含む使用前の装置を示す。カップ形計量部材(143)は、試料チャンバー(146)を計量チャンバー(144)から分けている輪状シール(145)に当接される計量チャンバー(144)の最上部にある。
【0142】
図13bにおいて、生液体試料(147)は、試料チャンバー(146)および計量チャンバー(144)内のカップ形計量部材(143)に導入されている。好ましくは、液体のレベルは、輪状シール(145)を上回る。
【0143】
図13cにおいて、可動アクチュエータ(148)は試料チャンバー(146)を通って計量チャンバー(144)内に下げられ、したがってその遠位端は計量部材(143)に係合し、可動アクチュエータ(148)のショルダー部(1410)は環状シール(145)とほぼ係合するところである。輪状シール(145)がショルダー部(1410)より遠位のアクチュエータ(148)の外壁(1411)に係合するとき、
図13dに示すようにカップ形計量部材(143)中の液体の量は処理のために計量された液体(1412)の所定量である。
【0144】
図13dにおいて、可動アクチュエータ(148)は、計量チャンバー(144)に沿って計量部材(143)を移動させ、計量チャンバー(144)の下部(1413)の容積を縮小し、上部(1414)の容積を増加させた。計量チャンバー(144)の下部および上部は、計量チャンバーの壁内の圧力放出チャネル(1415)によって流体連通されている。可動アクチュエータ(148)が計量チャンバー(144)に進むと、計量チャンバー(144)の内部容積は縮小し、それによってそれに含有されている空気の圧力が上昇する。これは、計量チャンバー(144)内の空気圧力を上昇さて、次に計量された液体試料(1412)が計量チャンバー(144)から可動アクチュエータ(148)内に位置している出口チャネル(図示せず)を通って押しだされる。
【0145】
図13eに示すように、可動アクチュエータ(148)が完全に押し下げられると、可動アクチュエータ(148)によって移動された計量チャンバー(144)内の空気の量は、計量された液体試料の量を超え、その結果、実質的にすべての液体は計量チャンバー(144)から出口チャネル(図示せず)を通って押しだされる。未処理の生試料(1416)は、安全な処分のために試料チャンバー(146)内に保管される。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単回使用の計量バルブを製造する方法であって、
a.第1の開口部と第2の開口部を有する計量チャンバーと、前記チャンバーの内壁に沿って部分的に伸びる圧力放出チャネルとを準備するステップ、
b.前記計量チャンバーを第1の部分と第2の部分に分けるために前記計量チャンバー内に収まることができる計量部材を準備するステップ、
c.前記圧力放出チャネルが前記第1の部分と第2の部分との間に流体連通をもたらさないように、前記計量チャンバー内に前記計量部材を位置づけるステップ、および
d.前記計量チャンバーの前記第2の開口部をシールで密封するステップ
を含む、方法。
【請求項2】
前記計量部材が前記計量部材内で移動できる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
密封された前記第2の開口部を介して前記計量部材が位置にスライドする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の開口部が密封される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記計量部材が前記計量チャンバーとともに締まりばめ、好ましくは液密な締まりばめを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記計量部材がカップである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
等温核酸増幅のための液体試料を調製する装置であって、ポンプと、核酸増幅阻害物質および/または蛍光物質を除去するための分離要素とを含み、
ポンプは、計量バルブを含み、
計量バルブは、乾燥した溶解物質を含有する計量チャンバーを含み、
前記溶解物質が水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである、装置。
【外国語明細書】