(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000452
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】泡ポンプディスペンサ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20231225BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231225BHJP
B05B 11/06 20060101ALI20231225BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20231225BHJP
F04B 9/14 20060101ALI20231225BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D83/00 K
B05B11/06 J
B05B11/00 101J
F04B9/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099230
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】519249723
【氏名又は名称】多田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(72)【発明者】
【氏名】多田 篤
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
3H075
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PD11
3E014PE02
3E014PE04
3E014PE06
3E014PE08
3E014PE10
3E014PF10
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084GA04
3E084GB04
3E084KA05
3E084KB05
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC40
3H075DA30
3H075DB14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より緻密な泡体を吐出することができる泡ポンプディスペンサを提供すること。
【解決手段】本発明は、シリンダ部1と、チャンバー部6と、上下方向に摺動可能な第1摺動部、及び、該第1摺動部から下方に延びチャンバー部6の内壁に摺接された下側流路部、を有する第1ピストン部2と、上下方向に摺動可能な第2摺動部、及び、上側流路部、を有する第2ピストン部3と、ノズルヘッド部4と、チャンバー部6に配置された入口弁V1と、を備え、下側流路部の下側混合室には下側空気用弁が設けられ、第2ピストン部が単独で下降する第1下降と、第1ピストン部と第2ピストン部とが一体となって下降する第2下降とを有するものであり、第2下降において、下側流路部とシリンダ部との間の下側空気室が圧縮され、下側空気用弁から下側混合室内に空気が導入される泡ポンプディスペンサ100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルヘッド部を下方に押圧することにより、容器内に貯留された液体を、空気と混合させた泡体として吐出することができる泡ポンプディスペンサであって、
中空円筒状のシリンダ部と、
該シリンダ部の下端のチャンバー部と、
前記シリンダ部の内壁に沿って上下方向に摺動可能な第1摺動部、及び、該第1摺動部から下方に延び、その下端が前記チャンバー部の内壁に摺接された下側流路部、を有する第1ピストン部と、
前記第1摺動部の内壁に沿って上下方向に摺動可能な第2摺動部、及び、該第2摺動部から上方に延びる上側流路部、を有する第2ピストン部と、
前記上側流路部の上端に設けられた前記泡体を吐出するための前記ノズルヘッド部と、
前記チャンバー部に配置された入口弁と、
を備え、
前記第1ピストン部及び前記第2ピストン部が前記シリンダ部に収納され、
前記チャンバー部、前記第1ピストン部、前記第2ピストン部及び前記ノズルヘッド部の内部に流路が形成されており、
前記下側流路部の下側混合室には下側空気用弁が設けられ、
前記下側混合室の上端には前記液体と前記空気との混合液を濾過するための下側メッシュスクリーンが設けられ、
前記第1摺動部には、前記第2摺動部を当接させるための底部が設けられ、
前記ノズルヘッド部を下方に押圧した場合、前記第2ピストン部が単独で下降する第1下降と、前記第1ピストン部と前記第2ピストン部とが一体となって下降する第2下降とを有するものであり、
前記第2下降において、前記下側流路部と前記シリンダ部との間の下側空気室が圧縮され、前記下側空気用弁から前記下側混合室内に空気が導入される泡ポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記下側流路部内に配置された下側流路弁を更に備え、
前記下側混合室が、前記下側流路弁の直上に位置している請求項1記載の泡ポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記第2ピストン部が、前記上側流路部に設けられ、前記シリンダ部の内壁に摺接されたピストンシール部を更に有し、
前記上側流路部の上側混合室には上側空気用弁が設けられ、
前記上側混合室の上端には前記混合液を濾過するための上側メッシュスクリーンが設けられ、
前記第1下降において、前記上側流路部と前記シリンダ部との間の上側空気室が圧縮され、前記上側空気用弁から前記上側混合室内に空気が導入される請求項1又は2に記載の泡ポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記シリンダ部には、前記第1摺動部の摺動に応じて前記下側空気室内の圧力を調整するための圧調整溝と、その上側に位置する空気取込み溝とが設けられている請求項3記載の泡ポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記ノズルヘッド部内に配置された出口弁と、
前記第1ピストン部を上方に付勢するための下側バネ部と、
前記第2ピストン部を上方に付勢するための上側バネ部と、
を更に備える請求項4記載の泡ポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記ノズルヘッド部内に配置された出口弁と、
前記第1ピストン部を上方に付勢するための下側バネ部と、
前記第2ピストン部を上方に付勢するための上側バネ部と、
を更に備え、
前記シリンダ部には、前記第1摺動部の摺動に応じて前記下側空気室内の圧力を調整するための圧調整溝と、その上側に位置する空気取込み溝とが設けられている請求項1又は2に記載の泡ポンプディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡ポンプディスペンサに関し、更に詳しくは、容器内に貯留された液体を、空気と混合させた泡体として吐出することができる泡ポンプディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
容器に取り付け、ノズルヘッド部を押圧することにより、当該容器に貯留された液体を吸い上げて吐出する、いわゆるプッシュタイプのポンプディスペンサが知られている。
かかるプッシュタイプのポンプディスペンサは、ワンプッシュで一定量を吐出することができるため、様々な分野で汎用的に使用されている。
【0003】
ところで、例えば、洗浄剤等においては、液体よりも、液体に空気を混合させた泡体のほうが少ない量で広い面積を洗浄することができ、且つ、傾斜面に付与したとしても流れ落ち難いため、洗浄し易いという利点がある。
このように、泡体として利用したい分野においては、ポンプディスペンサの中でも、泡体を吐出できる泡ポンプディスペンサが求められている。
【0004】
泡体を吐出できるポンプディスペンサの具体例としては、例えば、シリンダ体とピストン体とにより液室と空気室とが画成されるポンプディスペンサにより、ピストン体と連動して上下動が可能なノズル体を上下動させることで、容器内に収納された内容液を液室に吸い上げ、また、外部の空気を空気室に吸い込んで、液室に吸い上げた内容液と空気室に吸い込んだ空気とを泡状に混合してから、この泡をノズル体の吐出口から吐出させるようなポンプ式泡吐出容器(泡ポンプディスペンサ)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、容器に収容された液体を、導入流路を介して吸い上げ且つ吐出流路を介して液体を外部に吐出するための液体ポンプ手段と、容器外部のエアを取り込み、このエアを吐出流路に送り込むためのエアポンプ手段と、を有する泡吐出式ポンプディスペンサ(泡ポンプディスペンサ)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、上部にキャップが被せられた液体受容容器と、キャップの上部で上昇可能に組立てられ、一側に泡吐出孔を備えたノズルヘッドと、ノズルヘッドの内部に取り付けられる泡濾過メッシュと、ノズルヘッドの下部に固定されて上部に気液混合室と下部の底面にエア開閉通路とを備えたピストンカバー部材と、液体受容容器の内部に取り付けられて、側面にはエア流入孔が穿孔され、下部には液体流入口を備える液体シリンダーを有するエアチェンバーと、エアチェンバー内に取り付けられて、外側にはエア圧縮ピストンと、内側にはエア開閉鍔及びエア流通孔と、中央には液体圧送通路と、上部の内面に液体開閉面と、下部には液体圧縮ピストンとが一体に構成されるピストン部材と、液体圧送通路の内部に装置されて、上段部に液体開閉拡大部と、下段部にボールバルブサポート掛け鍔を有するボールバルブサポート離脱防止拡大部とを備えたバルブシャフトと、バルブシャフトの下段に装置されるボールバルブサポートと、液体流入口の間に装置されるボールバルブと、ピストン部材とエアチェンバーとの間に装置されるリターンバネと、ピストンカバー部材の気液混合室の下部に装置されて、前記ピストン部材の上段に被せられて固定されるエアバルブ部材と、ピストンカバー部材の中間部の内面に嵌め込まれて固定されるエアバルブガイド部材と、ピストンカバー部材と前記ピストン部材との間に装置される涙液防止バネと、を備える泡吐出ポンプディスペンサー(泡ポンプディスペンサ)が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-312474号公報
【特許文献2】特開2007-137497号公報
【特許文献3】特開2008-265877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1~3に記載の泡ポンプディスペンサにおいては、泡体を吐出することが可能であるものの、泡体の品質が優れるとはいえない。
すなわち、十分に緻密な泡体(きめの細かい泡体)が吐出できるとはいえない。
ちなみに、泡体が緻密でないと、洗浄効果が低下することになる。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より緻密な泡体を吐出することができる泡ポンプディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、少なくとも、第1ピストン部に下側空気用弁を設けると共に、ノズルヘッド部の下降を、第2ピストン部単独での下降と、第1ピストン部及び第2ピストン部の下降とで行うものとすることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、ノズルヘッド部を下方に押圧することにより、容器内に貯留された液体を、空気と混合させた泡体として吐出することができる泡ポンプディスペンサであって、中空円筒状のシリンダ部と、該シリンダ部の下端のチャンバー部と、シリンダ部の内壁に沿って上下方向に摺動可能な第1摺動部、及び、該第1摺動部から下方に延び、その下端がチャンバー部の内壁に摺接された下側流路部、を有する第1ピストン部と、第1摺動部の内壁に沿って上下方向に摺動可能な第2摺動部、及び、該第2摺動部から上方に延びる上側流路部、を有する第2ピストン部と、上側流路部の上端に設けられた泡体を吐出するためのノズルヘッド部と、チャンバー部に配置された入口弁と、を備え、第1ピストン部及び第2ピストン部がシリンダ部に収納され、チャンバー部、第1ピストン部、第2ピストン部及びノズルヘッド部の内部に流路が形成されており、下側流路部の下側混合室には下側空気用弁が設けられ、下側混合室の上端には液体と空気とが混合された泡体を濾過するための下側メッシュスクリーンが設けられ、第1摺動部には、第2摺動部を当接させるための底部が設けられ、ノズルヘッド部を下方に押圧した場合、第2ピストン部が単独で下降する第1下降と、第1ピストン部と第2ピストン部とが一体となって下降する第2下降とを有するものであり、第2下降おいて、下側流路部とシリンダ部との間の下側空気室が圧縮され、下側空気用弁から下側混合室内に空気が導入される泡ポンプディスペンサである。
【0010】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、下側流路部内に配置された下側流路弁を更に備え、下側混合室が、下側流路弁の直上に位置していることが好ましい。
【0011】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、第2ピストン部が、上側流路部に設けられ、シリンダ部の内壁に摺接されたピストンシール部を更に有し、上側流路部の上側混合室には上側空気用弁が設けられ、上側混合室の上端には泡体を濾過するための上側メッシュスクリーンが設けられ、第1下降において、上側流路部とシリンダ部との間の上側空気室が圧縮され、上側空気用弁から上側混合室内に空気が導入されるものであることが好ましい。
【0012】
本発明の泡ポンプディスペンサは、シリンダ部には、第1摺動部の摺動に応じて下側空気室内の圧力を調整するための圧調整溝と、その上側に位置する空気取込み溝とが設けられていることが好ましい。
【0013】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、ノズルヘッド部内に配置された出口弁と、第1ピストン部を上方に付勢するための下側バネ部と、第2ピストン部を上方に付勢するための上側バネ部と、更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、液体が貯留された容器に取り付け、ノズルヘッド部を下方に押圧することにより、容器内に貯留された液体を、泡体として吐出することができる。
すなわち、泡ポンプディスペンサにおいては、第1ピストン部に、下側空気用弁が設けられているので、第1ピストン部を下降させることにより(第2下降)、下側空気室内が圧縮されて下側空気用弁が開き、第1ピストン部の内部の流路に空気を導入することが可能となる。これにより、第1ピストン部内の流路を流通する液体は、空気と混合された混合液(泡体)となり、ノズルヘッド部から吐出されることになる。
【0015】
また、上記泡ポンプディスペンサにおいては、ノズルヘッド部の下降を、第1下降と、第2下降との2段階で行うものとすることにより、泡体をより緻密なものとすることができる。
【0016】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、下側空気用弁が設けられた下側混合室が、第1ピストン部内に配置された下側流路弁の直上に位置している場合、下側混合室で、液体と空気とが混合され、下側流路弁により、得られる泡体の逆流が防止される。
その結果、泡ポンプディスペンサにおいては、液体を、より緻密な泡体とすることが可能となる。
【0017】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、第2ピストン部がピストンシール部を有し、且つ、上側空気用弁が設けられている場合、ピストンシール部(第2ピストン部)を下降させることにより(第1下降)、上側空気室内が圧縮されて上側空気用弁が開き、第2ピストン部の内部の流路に空気を導入することが可能となる。これにより、第2ピストン部内の流路を流通する泡体を、更に空気と混合された、更に緻密な泡体とすることができる。
【0018】
本発明の泡ポンプディスペンサにおいては、シリンダ部に、圧調整溝及び空気取込み溝を設けることにより、下側空気室内の圧力を調整することができる。これにより、第1ピストン部が上下移動し難くなることを抑制することができる。
すなわち、泡ポンプディスペンサにおいては、空気を流路に導入した結果、下側空気室内及び上側空気室内の空気が不足することで、第1ピストン部及び第2ピストン部の上昇の際に負圧となり、第1ピストン部及び第2ピストン部が復帰上昇しやすくなることを抑制することができる。
【0019】
また、泡ポンプディスペンサは、出口弁を更に備えることにより、泡体の吐出時に液だれが生じることを抑制することができる。
また、泡ポンプディスペンサは、下側バネ部と、上側バネ部とを更に備えることにより、ノズルヘッド部の上昇移動をよりスムーズにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明に係る泡ポンプディスペンサの一実施形態を示す斜視断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す泡ポンプディスペンサのシリンダ部及びチャンバー部を示す斜視断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す泡ポンプディスペンサのピストン部及びノズルヘッド部を示す斜視断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る泡ポンプディスペンサの作用を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係る泡ポンプディスペンサを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0022】
本発明に係る泡ポンプディスペンサは、液体が、貯留された容器に取り付けて用いられる。
泡ポンプディスペンサにおいては、ノズルヘッド部を下方に押圧する操作により、当該容器内に貯留された液体を、空気と混合させた泡体として吐出することが可能となっている。
ここで、容器の形状や材質は、特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。
また、液体としては、発泡性のある液体であれば特に限定されず、公知のものを適宜採用することができる。具体例としては、例えば、石鹸水、界面活性剤(洗浄剤)、これらと他の成分との混合液等が挙げられる。
なお、かかる液体には、多少の泡が含まれていてもよい。
【0023】
図1は、本発明に係る泡ポンプディスペンサの一実施形態を示す斜視断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る泡ポンプディスペンサ100は、シリンダ部1と、シリンダ部1の下端のチャンバー部6と、チャンバー部6に配置された入口弁V1と、シリンダ部1に収納された第1ピストン部2及び第2ピストン部3と、第1ピストン部2内に配置された下側流路弁V2と、第2ピストン部3の上端に設けられた泡体を吐出するためのノズルヘッド部4と、ノズルヘッド部4内に配置された出口弁V3と、第1ピストン部2を上方に付勢するための下側バネ部S1と、第2ピストン部3を上方に付勢するための上側バネ部S2と、容器(図示しない)に螺着するためのキャップ部5とを備える。
【0024】
また、泡ポンプディスペンサ100においては、チャンバー部6、第1ピストン部2、第2ピストン部3及びノズルヘッド部4の内部に流路が形成されている。
すなわち、容器内の液体は、これらの流路を流通し、その過程で泡体となってノズルヘッド部4から吐出されることになる。なお、これらの詳細については後述する。
また、泡ポンプディスペンサ100においては、不使用時に、ノズルヘッド部4が不作為に下降することを防止するための安全枠Wが取り付けられている。かかる安全枠Wは、ノズルヘッド部4と、シリンダ部1との間に嵌合され、着脱自在となっている。
【0025】
図2は、
図1に示す泡ポンプディスペンサのシリンダ部及びチャンバー部を示す斜視断面図である。
図2に示すように、泡ポンプディスペンサ100において、シリンダ部1は、中空円筒状であり、後述するように、第1ピストン部2及び第2ピストン部3が収納されている。
また、シリンダ部1には、泡ポンプディスペンサ100を容器に螺着するためのキャップ部5が取り付けられている。
【0026】
シリンダ部1は、外側シリンダ部10aと、外側シリンダ部10aの内側に位置する内側シリンダ部10bとからなり、内側シリンダ部10bに対して外側シリンダ部10aは圧入されている。
なお、外側シリンダ部10aと内側シリンダ部10bとはこのように別体としたのは、後述するように、キャップ部5を取り付けるためである。
外側シリンダ部10aは、その上面に位置する外側シリンダ蓋部10a1と、外側シリンダ円筒部10a2とを有する有蓋円筒状である。
外側シリンダ部10aにおいては、外側シリンダ蓋部10a1の略中央に蓋部貫通孔が設けられており、当該蓋部貫通孔に第2ピストン部3が上下移動可能となるように嵌挿される。
【0027】
一方、内側シリンダ部10bは、径大円筒部10b1と、当該径大円筒部10b1よりも径が小さい径小円筒部10b2と、径大円筒部10b1及び径小円筒部10b2の連結部分に外側に突出するように設けられた環状突起部10b3とを有する。
また、内側シリンダ部10bは、径大円筒部10b1の上面が開口した円筒状であり、径小円筒部10b2の下面に径小円筒底部10b4を有する有底円筒状である。
そして、内側シリンダ部10bにおいては、径小円筒底部10b4の略中央に底部貫通孔が設けられており、当該底部貫通孔に後述するチャンバー部6が延設されている。
【0028】
シリンダ部1においては、内側シリンダ部10bの径大円筒部10b1に、外側シリンダ部10aを被せるように圧入して、外側シリンダ部10aが径大円筒部10b1に取り付けられる。
こうして、外側シリンダ部10aは、径大円筒部10b1に嵌合される。
これにより、内側シリンダ部10bの径大円筒部10b1の外側面と、外側シリンダ部10aの外側シリンダ円筒部10a2の内側面とが圧接することになり、径大円筒部10bの上面が、外側シリンダ部10aの外側シリンダ蓋部10a1と第2ピストン部3により封止されることになる。
【0029】
上述したように、泡ポンプディスペンサ100においては、シリンダ部1に、キャップ部5が取り付けられる。
具体的には、キャップ部5は、径大円筒部10b1に嵌入され、その後に取り付けられる外側シリンダ部10aの外側シリンダ円筒部10a2の下端と、内側シリンダ部10bの環状突起部10b3の上面との間で、キャップ部5の環状の鍔部分を挟持することにより、取り付けられる。
このため、キャップ部5は、外側シリンダ円筒部10a2及び環状突起部10b3との間で摩擦抵抗を受けるものの、周方向に回動可能となっている。
【0030】
泡ポンプディスペンサ100においては、径小円筒部10b2の上端に、小さい突起部が設けられており、当該突起部に、径大円筒部10b1の内面より内側に膨出した環状ストッパー9が取り付け固定されている。
これにより、上昇する第1ピストン部2は、その上スカート部21aが環状ストッパー9に当接されることにより、第1ピストン部2の上昇が停止される。なお、かかる点の詳細については後述する。
【0031】
泡ポンプディスペンサ100において、内側シリンダ部10bの径大円筒部10b1の上部には、径大円筒部10b1の側壁部の厚みが、他の部分よりも薄肉となった上側空気導入溝8aが設けられている。
かかる上側空気導入溝8aは、図示しない穴を介して、外気と連通している。
このため、泡ポンプディスペンサ100においては、第2ピストン部3のピストンシール部30cが上死点にある場合、ピストンシール部30cの下側の空間Ra2(以下「上側空気室Ra2」という。)は、上側空気導入溝8aを介して、外気と連通する。
また、ピストンシール部30cが上側空気導入溝8aよりも下側で上下移動し、且つ、上側空気室Ra2が密閉された状態の場合は、第2ピストン部3の摺動に応じて、上側空気室Ra2は、加圧又は減圧されることになる。
【0032】
泡ポンプディスペンサ100において、内側シリンダ部10bの径小円筒部10b2には、径小円筒部10bの壁部を貫通する下側空気導入孔8bが設けられている。
かかる下側空気導入孔8bは、外気と連通している。
このため、泡ポンプディスペンサ100においては、第1ピストン部2の上スカート部21a及び下スカート部21bの間に、下側空気導入孔8bが位置することにより、上スカート部21a及び下スカート部21bの空間は、下側空気導入孔8bを介して、外気と連通する。
なお、上スカート部21a及び下スカート部21bについては、後述する(
図3参照)。
また、上スカート部21aが下側空気導入孔8bを上から下に通過し、且つ、第1摺動部20a(下スカート部21b)の下側の空間Ra1(以下「下側空気室Ra1」という。)が密閉された状態の場合は、第1ピストン部2の第1摺動部20aの摺動に応じて、下側空気室Ra1は、加圧又は減圧されることになる。
【0033】
また、内側シリンダ部10bの径小円筒部10b2には、下側空気導入孔8bよりも下側で、径小円筒部10b2の中腹部やや上方に、径大円筒部10b1の側壁部の厚みが、他の部分よりも薄肉となった空気取込み溝7aが設けられ、径小円筒部10b2の下部に、径大円筒部10b1の側壁部の厚みが、他の部分よりも薄肉となった圧調整溝7bが設けられている。
空気取込み溝7a及び圧調整溝7bは、何れも上下に延びる縦長の溝となっている。
泡ポンプディスペンサ100においては、下スカート部21bが、空気取込み溝7a又は圧調整溝7bを通過することにより、下側空気室Ra1の圧力を調整することが可能となっている。
【0034】
チャンバー部6は、径小円筒部10b2の径小円筒底部10b4から下方に連続するように延設されている。
すなわち、シリンダ部1とチャンバー部6とは一体となっている。
チャンバー部6は、径が径小円筒部10b2よりも小さいチャンバー円筒部6aと、チャンバー円筒部6aの下面に設けられたチャンバー底部6bとを有する有底円筒状である。
そして、チャンバー部6においては、チャンバー底部6bの中央に細径部が形成され、そこに入口弁V1が設けられている。
入口弁V1は、水圧により開閉するものであり、液体の逆流防止機能を有している。
【0035】
チャンバー部6の下端(細径部)には、チューブCが取り付けられている。このため、容器に貯留された液体は、チューブCから、入口弁V1を介して、チャンバー部6に導入される。
したがって、チャンバー部6の内部は液体の流路となっている。
【0036】
図3は、
図1に示す泡ポンプディスペンサのピストン部及びノズルヘッド部を示す斜視断面図である。
図3に示すように、泡ポンプディスペンサ100は、シリンダ部1内を摺動するピストンとして、下側に位置する第1ピストン部2と、上側に位置する第2ピストン部3とを有している。
なお、第1ピストン部2及び第2ピストン部3の内部は流路となっている。
すなわち、チャンバー部6内の液体は、第1ピストン部2及び第2ピストン部3の内部に導入される。
【0037】
第1ピストン部2は、シリンダ部1の径小円筒部10b2の内壁に沿って上下方向に摺動可能な第1摺動部20aと、当該第1摺動部20aから下方に延び、その下端がチャンバー部6の内壁に摺接された下側流路部20bとを有する。
なお、下側流路部20b自体は、径小円筒部10b2には接していない。
したがって、径小円筒部10b2の内側の第1摺動部20aの下側であり、且つ、下側流路部20bの外側が、下側空気室Ra1となる(
図1参照)。
【0038】
第1ピストン部2において、下側流路部20bは、下方に行く程、径が大きくなる中空円錐台状であり、その下端部分がチャンバー部6の内壁に摺接されている。
すなわち、第1ピストン部2が上下移動すると、下側流路部20bの下端部分がチャンバー部6の内壁に沿って摺動する。
なお、下側流路部20bの下端部分以外は、チャンバー部6に接しない。
【0039】
第1ピストン部2において、下側流路部20bには、液体と空気とが混合される下側混合室Rm1が設けられている。なお、かかる下側混合室Rm1は、下側流路部20bの任意の位置に設ければよい。
また、下側混合室Rm1の側壁部には、空気を下側混合室Rm1内に導入するための下側空気用弁Va1が設けられている。
下側空気用弁Va1は、円筒状であり、可撓性を有するものである。
したがって、下側空気用弁Va1は、空気圧により開閉するものであり、空気の逆流防止機能を有している。具体的には、下側空気室Ra1が圧縮され一定の圧力まで加圧されると、下側空気用弁Va1が内方に屈曲(縮形)する。これにより、下側空気用弁Va1と下側混合室Rm1の側壁部との間に隙間が生じ、通路T1を介して、空気が導入されるようになっている。
一方で、下側空気室Ra1の圧力が解消され、一定の圧力以下となると、下側空気用弁Va1は閉栓される。
【0040】
第1ピストン部2において、下側混合室Rm1の上端には液体と空気とが混合された泡体を濾過するための下側メッシュスクリーンF1が設けられている。
下側メッシュスクリーンF1は、網目状のいわゆるフィルターであり、当該下側メッシュスクリーンF1を通過した泡体は、泡が細かく均一化された緻密なものとなる。
【0041】
第1ピストン部2において、下側流路部20bには、下側流路弁V2が設けられている。
下側流路弁V2は、水圧により開閉するものであり、液体の逆流防止機能を有している。
このとき、上述した下側混合室Rm1は、下側流路弁V2の直上に位置している。
これにより、下側混合室Rm1で、液体と空気とが混合された泡体が、下側流路弁V2により、逆流することを防止することができる。
その結果、泡ポンプディスペンサ100においては、液体を、効率良く、緻密な泡体とすることが可能となる。
【0042】
第1ピストン部2において、第1摺動部20aは、下側流路部20bよりも径が大きい中空円筒状の第1摺動本体部20a1と、第1摺動本体部20a1の下面に設けられた底部(以下「第1摺動底部」ともいう。)20a2とを有する。
そして、第1ピストン部2においては、第1摺動底部20a2の略中央に下側流路部20bが設けられている。
また、後述するように、第1摺動底部20a2は、第2ピストン部3の第2摺動部30aを当接させることにより、第2ピストン部3の下降を停止させる、ストッパーの機能を有する。
なお、第1摺動本体部20a1と下側流通部20bとの内部は、何れも流路であり、連通している。
【0043】
第1ピストン部2において、第1摺動本体部20a1の上部には、上方に行く程、外側に広がる上スカート部21aが形成され、下部には、下方に行く程、外側に広がる下スカート部21bが形成されている。
したがって、第1ピストン部2においては、第1摺動本体部20a1の上スカート部21a及び下スカート部21bが径小円筒部10b2の内壁に摺接されている。
【0044】
泡ポンプディスペンサ100において、下側流路部20b及びチャンバー部6の内部には、下側バネ部S1が配置されている。
具体的には、下側バネ部S1は、上端が、第1ピストン部2に設けられた、下側流路弁V2の弁座部に当接され、下端がチャンバー底部6bに当接されている(
図1参照)。
下側バネ部S1は、下端を起点として、第1ピストン部2を上方に付勢している。
なお、下側バネ部S1は、コイル状のバネとなっている。
【0045】
第2ピストン部3は、第1摺動部20aの内壁に沿って上下方向に摺動可能な第2摺動部30aと、当該第2摺動部30aから上方に延びる上側流路部30bと、上側流路部30bに設けられ、シリンダ部1(径大円筒部10b1)の内壁に摺接されたピストンシール部30cと、を有する。
なお、上側流路部30b自体は、径大円筒部10b1には接していない。
したがって、径大円筒部10b2の内側のピストンシール部30cの下側であり、且つ、上側流路部30bの外側が、上側空気室Ra2となる。
【0046】
第2ピストン部3において、第2摺動部30aは、上側流路部30bよりも径が大きい中空円筒状の第2摺動本体部30a1と、第2摺動本体部30a1の上面に設けられた第2摺動蓋部30a2とを有する。
そして、第2ピストン部3においては、第2摺動蓋部30a2の略中央に上側流路部30bが設けられている。
なお、第2摺動本体部30a1と上側流通部30bとの内部は、何れも流路であり、連通している。
【0047】
第2ピストン部3において、第2摺動本体部30a1の下部には、下方に行く程、外側に広がるスカート部31が形成されている。
したがって、第2ピストン部3においては、第2摺動本体部30a1のスカート部31が第1摺動本体部20a1(第1摺動部)の内壁に摺接されている。
なお、スカート部31が第1摺動底部20a2に当接されることにより、第2ピストン部3の下降が停止される。
【0048】
泡ポンプディスペンサ100において、第1摺動部20a及び第2摺動部30aの内部には、上側バネ部S2が配置されている。
具体的には、上側バネ部S2は、上端が、第2摺動部30aの第2摺動蓋部30a2に当接され、下端が第1摺動部20aの第1摺動底部20a2に当接されている。
上側バネ部S2は、下端を起点として、第2ピストン部3を上方に付勢している。
なお、上側バネ部S2は、コイル状のバネとなっている。
【0049】
ここで、上側バネ部S2のバネ力は、下側バネ部S1のバネ力よりも小さいことが好ましい。
この場合、ノズルヘッド部の下降における、第2ピストン部3単独での下降(第1下降)と、第1ピストン部2及び第2ピストン部3の下降(第2下降)とを段階的にスムーズに行うことができる。
ちなみに、上側バネ部S2のバネ力を、下側バネ部S1のバネ力より強くすることにより、第1下降の途中で第2下降を始めることも可能である。
【0050】
ピストンシール部30cは、上側流路部30bに設けられる。
ピストンシール部30cは、水平方向に広がった環状であり、その周縁に上方に屈曲したリブ部30c1を有している。このため、ピストンシール部30cのリブ部30c1が径大円筒部10b1の内壁に当接されると、第2ピストン部3とシリンダ部1との間の空間が区画され、ピストンシール部30cの下側の上側空気室Ra2と、ピストンシール部30cの上側の空間とで、空気の流通が遮断される。
【0051】
第2ピストン部3において、上側流路部30bには、液体と空気とが混合される上側混合室Rm2が設けられている。
なお、かかる上側混合室Rm2は、上側流路部30bの任意の位置に設ければよい。
また、上側混合室Rm2の側壁部には、空気を上側混合室Rm2内に導入するための上側空気用弁Va2が設けられている。
上側空気用弁Va2は、円筒状であり、可撓性を有するものである。
したがって、上側空気用弁Va2は、空気圧により開閉するものであり、空気の逆流防止機能を有している。具体的には、上側空気室Ra2が圧縮され一定の圧力まで加圧されると、上側空気用弁Va2が内方に屈曲(縮形)する。これにより、上側空気用弁Va2と上側混合室Rm2の側壁部との間に隙間が生じ、通路T2を介して、空気が導入されるようになっている。
一方で、上側空気室Ra2の圧力が解消され、一定の圧力以下となると、上側空気用弁Va2は閉栓される。
【0052】
第2ピストン部3において、上側混合室Rm2の上端には泡体に空気が更に混合された泡体を濾過するための上側メッシュスクリーンF2が設けられている。
上側メッシュスクリーンF2は、網目状のいわゆるフィルターであり、当該上側メッシュスクリーンF2を通過した泡体は、泡がより細かく、より均一化された、より緻密なものとなる。
【0053】
第2ピストン部3において、上側流路部30bは、筒状であり、その上端に後述するノズルヘッド部4が設けられている。
ノズルヘッド部4は、上側流路部30bの上端に設けられる。
ノズルヘッド部4は、その内部が流路となっており、その先端に、泡体を吐出するための開口部40が設けられている。すなわち、第2ピストン部3内の泡体は、ノズルヘッド部4の内部に導入され、開口部40から吐出されることになる。
【0054】
ノズルヘッド部4においては、開口部40近傍の流路に、出口弁V3が配置されている。
出口弁V3は、水圧により開閉するものであり、泡体の逆流防止機能を有している。
また、泡ポンプディスペンサ100においては、ノズルヘッド部4に出口弁V3を配置することにより、液だれが生じることを抑制することができる。
【0055】
図4は、本実施形態に係る泡ポンプディスペンサの作用を説明するための説明図である。なお、
図4において、ピストン部の下降により伸縮したバネ部は、その一部の記載を省略している。
図4に示すように、泡ポンプディスペンサ100においては、ノズルヘッド部4を下方に押圧することで泡体が吐出され、その後、ノズルヘッド部4を上昇させて元の位置に復元させることで液体が容器内から吸い上げられる。
【0056】
まず、ノズルヘッド部4が上死点にある状態P1から、ノズルヘッド部4が中間地点にある状態P2にまで、ノズルヘッド部4を押し込んだ場合、第1ピストン部2は下降せず、第2ピストン部3のみが下降する第1下降が行われる。具体的には、第2ピストン部3は、第2摺動本体部30a1のスカート部31が第1摺動底部20a2に当接されるまでは、単独で下降する。
この場合、上側空気室Ra2においては、密閉された状態となっているので、第2ピストン部3の下降に基づいて、その体積が圧縮され、上側空気室Ra2内が加圧されることになる。
これにより、上側空気用弁Va2が開き、上側混合室Rm2内に空気が導入される。
なお、ピストンシール部30cの上側の空間内は、上側空気導入溝8aを介して、外気に通じており常圧となっている。
【0057】
このとき、上側混合室Rm2に泡体が存在しない初期段階では空気が流入されるのみである。
一方、上側混合室Rm2に泡体が存在する場合は、これと空気とが更に混合される。
そして、混合された泡体は、上側メッシュスクリーンF2を通過し、ノズルヘッド部4の出口弁V3を開栓し、開口部40から吐出される。
なお、入口弁V1、下側流路弁V2及び下側空気用弁Va1は、閉栓されている。
【0058】
次に、ノズルヘッド部4が中間地点にある状態P2から、ノズルヘッド部4が下死点にある状態P3にまで、ノズルヘッド部4を押し込んだ場合、第1ピストン部2及び第2ピストン部3が下降する第2下降が行われる。具体的には、第2摺動本体部30a1のスカート部31が第1摺動底部20a2に当接された後は、第1ピストン部2と第2ピストン部3とが一体となって、下側流路部20bの下端がチャンバー底部6bに当接されるまで下降する。
この場合、上側空気室Ra2内は、第1摺動本体部20a1の上スカート部21aが下側空気導入孔8bを通過することにより、当該下側空気導入孔8bを介して、常圧となる。
また、下側空気室Ra1は、第1摺動本体部20a1の下スカート部21bが下降することにより、空気取込み溝7aを通過し、一旦、下側空気圧Ra1内の圧力が調整されるものの、更に下降することにより、空気取込み溝7aから外れ、下側空気室Ra1が密閉された状態となる。そうすると、下側空気室Ra1においては、第1ピストン部2の下降に基づいて、その体積が圧縮され、下側空気室Ra1内が加圧されることになる。
これにより、下側空気用弁Va1が開き、下側混合室Rm1内に空気が導入される。
【0059】
このとき、下側混合室Rm1に液体が存在しない初期段階では空気が流入されるのみである。
一方、下側混合室Rm1に液体が存在する場合は、これと空気とが混合される。そして、混合された泡体は、下側メッシュスクリーンF1を通過し、上側混合室Rm2、上側メッシュスクリーンF2を通過し、ノズルヘッド部4の出口弁V3を開栓し、開口部40から吐出される。
【0060】
また、第1ピストン部2が下死点に到達すると、第1摺動本体部20a1の下スカート部21bが圧調整溝7bに到達し、下側空気室Ra1の加圧状態が解消される。
すなわち、第1ピストン部2が圧調整溝7bに到達する前の下降の過程では、下側空気室Ra1内の圧力が圧縮され、下死点到達時には、圧調整溝7bに到達して当該圧縮が解消される。
これにより、下側空気用弁Va1が閉栓される。
なお、上側空気室Ra2は、常圧となるので、上側空気用弁Va2は閉栓される。
また、入口弁V1及び下側流路弁V2は、閉栓されている。
【0061】
次に、ノズルヘッド部4が下死点にある状態P3から、ノズルヘッド部4が中間地点にある状態P4にまで、ノズルヘッド部4を押し上げる場合、第1ピストン部2及び第2ピストン部3は、下側バネ部S1により上方に押し戻される。
具体的には、第1ピストン部2及び第2ピストン部3は、下側バネ部S1のバネ力により共に上昇するが、そのうちの第1ピストン部3は、第1摺動本体部20a1の上スカート部21aが環状ストッパー9に当接されるまで上昇する。
この場合、下側混合室Rm1に空気を送り込んだ下側空気室Ra1は、第1ピストン部2の上昇に基づいて負圧になるものの、第1摺動本体部20a1の下スカート部21bが、空気取込み溝7aを通過することにより、圧力が調整される。これにより、第1ピストン部2及び第2ピストン部3が復帰上昇し難くなることを抑制することができる。
また、流路においては、チャンバー部6内が負圧になるので、容器内から液体が吸い上げられると共に、入口弁V1が開栓される。
なお、下側流路弁V2は、閉栓されているので、下側流路弁V2よりも下流側の流路には泡体が残存している。
また、出口弁V3、下側空気用弁Va1及び上側空気用弁Va2は、閉栓されている。
【0062】
次に、ノズルヘッド部4が中間地点にある状態P4から、ノズルヘッド部4が上死点にある状態P5にまで、ノズルヘッド部4を押し上げる場合、第2ピストン部3は、上側バネ部S2により上方に押し戻される。具体的には、第1ピストン部3が環状ストッパー9により上昇が停止されているので、第2ピストン部3のみが、ピストンシール部30cが外側シリンダ蓋部10a1に当接されるまで上昇する。
この場合、上側混合室Rm2に空気を送り込んだ上側空気室Ra2は、一旦、第2ピストン部3の上昇に基づいて負圧になるものの、ピストンシール部30cが上側空気導入溝8aに到達することにより、当該上側空気導入溝8aから上側空気室Ra2に空気が導入される。
これにより、上側空気室Ra2の負圧が解消される。
また、流路においては、第1摺動部20a内が負圧になるので、容器内及びチャンバー部6から液体が吸い上げられると共に、入口弁V1及び下側流路弁V2が開栓される。
なお、下側流路弁V2が開栓されるものの、上側流路部30bには多くの泡体が残存している。
また、出口弁V3、下側空気用弁Va1及び上側空気用弁Va2は、閉栓されている。
【0063】
このように、泡ポンプディスペンサ100においては、ノズルヘッド部4の下降を、第2ピストン部3単独での下降と、第1ピストン部2及び第2ピストン部3の下降との2段階で行うものとすることにより、得られる泡体をより緻密なものとすることができる。
また、液体を流通させることも2段階で行われるので、得られた泡体の緻密さが失われることを防止できる。
これらのことにより、泡ポンプディスペンサ100においては、より緻密な泡体を吐出することが可能となる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
本実施形態に係る泡ポンプディスペンサ100においては、シリンダ部とチャンバー部6とは一体となっているが別体であってもよい。
また、シリンダ部1は、それぞれ別体である、外側シリンダ部10aと、内側シリンダ部10bとからなっているが、外側シリンダ部10aと、内側シリンダ部10bとが一体となっていてもよい。
この場合、キャップ部は別の取付構造となる。
【0066】
本実施形態に係る泡ポンプディスペンサ100においては、径大円筒部10b1に、上側空気導入溝8aが設けられ、径小円筒部10b2に、下側空気導入孔8b、空気取込み溝7a及び圧調整溝7bが設けられているが、これらの位置や構造は、特に限定されない。
図5は、他の実施形態に係る泡ポンプディスペンサを示す断面図である。
図5に示すように、泡ポンプディスペンサ101は、上側空気導入溝8aの代わりに、ピストンシール部31cに上側負圧弁VP1が設けられていてもよい。
この場合、上側空気室Ra2が負圧になることに基づいて、上側負圧弁VP1が開栓し、空気が上側空気室Ra2に導入されるようになっている。
また、空気取込み溝7a及び圧調整溝7bの代わりに、下側空気用弁Va1に下側負圧弁VP2を設けてもよい。この場合、下側空気室Ra1が負圧になることに基づいて、下側負圧弁VP2が開栓し、空気が下側空気室Ra1に導入されるようになっている。
すなわち、下側空気室Ra1が加圧されると下側空気用弁Va1が開栓し、減圧されると下側負圧弁VP2が開栓する。
【0067】
本実施形態に係る泡ポンプディスペンサ100においては、下側バネ部S1がコイル状のバネとなっているが、第1ピストン部2を上方に付勢可能であれば、コイル状に限定されない。
同様に、上側バネ部S2がコイル状のバネとなっているが、第2ピストン部3を上方に付勢可能であれば、コイル状に限定されない。
【0068】
また、下側バネ部S1は、下側流路部20b及びチャンバー部6の内部に配置されているが、配置位置は、これに限定されない。
同様に、上側バネ部S2は、第1摺動部20a及び第2摺動部30aの内部に配置されているが、配置位置は、これに限定されない。
例えば、
図5に示すように、下側バネ部S3が、第1ピストン部2外側の下側空気室Ra1に配置されていてもよく、上側バネ部S4が、第2ピストン部3外側の上側空気室Ra2に配置されていてもよい。
【0069】
本実施形態に係る泡ポンプディスペンサ100においては、下側混合室Rm1が、下側流路弁V2の直上に位置しているが必須ではない。
また、上側混合室Rm2の直下に流路弁を更に有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る泡ポンプディスペンサ100は、容器に取り付け、ノズルヘッド部を押圧することにより、当該容器に貯留された液体を吸い上げ、当該液体を泡体として吐出することが可能な装置として利用できる。
本発明に係る泡ポンプディスペンサによれば、より緻密な泡体を吐出することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
1・・・シリンダ部
10a・・・外側シリンダ部
10a1・・・外側シリンダ蓋部
10a2・・・外側シリンダ円筒部
10b・・・内側シリンダ部
10b1・・・径大円筒部
10b2・・・径小円筒部
10b3・・・環状突起部
10b4・・・径小円筒底部
100・・・泡ポンプディスペンサ
2・・・第1ピストン部
20a・・・第1摺動部
20a1・・・第1摺動本体部
20a2・・・第1摺動底部(底部)
20b・・・下側流路部
21a・・・上スカート部
21b・・・下スカート部
3・・・第2ピストン部
30a・・・第2摺動部
30a1・・・第2摺動本体部
30a2・・・第2摺動蓋部
30b・・・上側流路部
30c・・・ピストンシール部
30c1・・・リブ部
31・・・スカート部
4・・・ノズルヘッド部
40・・・開口部
5・・・キャップ部
6・・・チャンバー部
6a・・・チャンバー円筒部
6b・・・チャンバー底部
7a・・・空気取込み溝
7b・・・圧調整溝
8a・・・上側空気導入溝
8b・・・下側空気導入孔
9・・・環状ストッパー
C・・・チューブ
F1・・・下側メッシュスクリーン
F2・・・上側メッシュスクリーン
Ra1・・・下側空気室
Ra2・・・上側空気室
Rm1・・・下側混合室
Rm2・・・上側混合室
S1,S3・・・下側バネ部
S2,S4・・・上側バネ部
T1,T2・・・通路
V1・・・入口弁
V2・・・下側流路弁
V3・・・出口弁
Va1・・・下側空気用弁
Va2・・・上側空気用弁
W・・・安全枠