(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045272
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】病原体からの免疫原性抗原同定および臨床的有効性との相関
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20240326BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240326BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20240326BHJP
C12N 15/86 20060101ALN20240326BHJP
【FI】
C12Q1/06
C12N5/0783
C12P21/08
C12N15/86 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024006928
(22)【出願日】2024-01-19
(62)【分割の表示】P 2021139714の分割
【原出願日】2016-09-19
(31)【優先権主張番号】62/220,884
(32)【優先日】2015-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リーン、アン、マリー
(72)【発明者】
【氏名】アグアヨ-ヒラルド、ペールベル
(72)【発明者】
【氏名】ツァンノウ、イフィゲネイア
(72)【発明者】
【氏名】ヴェラ、ジュアン、エフ.、ヴァルデス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定の病原体からの抗原が免疫原性であるか否かを、それらの免疫原性の順序を含めて、同定する方法を提供する。
【解決手段】病原体又はがんの抗原の免疫原性を判定するために使用することができる情報を得る方法であって、複数の個体から細胞を得るステップ、前記細胞を、病原体又はがんからの1つより多くの抗原に、前記抗原を認識する細胞の量的な増殖を可能ならしめる条件下、in vitroで曝露するステップ、増殖した細胞の培養物を別々に分けたものに前記抗原の1つを添加するステップ、判定された生物学的活性の大きさを閾値と比較して、前記抗原が、レスポンダーであるのか、又は、ノンレスポンダーであるのかを判定するステップ、及び、前記生物学的活性が前記閾値を超えた場合、前記抗原をレスポンダーと同定するステップを含む方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書又は図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月18日に出願した米国仮特許出願第62/220,884号
の優先権を主張するものであり、前記仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み入
れられる。
【0002】
本開示の実施形態は、少なくとも細胞生物学、分子生物学、免疫学および医学の分野に
関する。
【背景技術】
【0003】
造血幹細胞移植(HSCT)は、様々な悪性および非悪性障害に対して選択される処置
である。しかし、移植後の移植片対宿主病(GVHD)、原疾患再発およびウイルス感染
症は、いまだ罹患率および死亡率の主原因である。ウイルス感染症は、同種移植レシピエ
ントの大多数において検出される。抗ウイルス薬は、一部のウイルスには利用できるが、
常に有効であるとは限らず、それ故、新規治療法の必要性が強調される。これらのウイル
ス感染症を処置するための1つの戦略は、例えば、ドナー由来のウイルス特異的T細胞(
VST)の注入を少なくとも含む、養子T細胞移植を用いる戦略である。VSTアプロー
チを用いて、例えば、ドナーから細胞を抽出し、ウイルス特異的集団をex vivoで
増殖させ、そして最後にT細胞産物を幹細胞移植レシピエントに注入することができる。
【0004】
Adv、EBV、CMV、BK、HHV6を標的にする、in vitroで増殖され
たドナー由来および第3者VSTは、ウイルス感染症を有する幹細胞移植患者に養子移入
されたとき安全であることが示されている。Adv、EBV、CMV、BKおよびHHV6に対するVSTの
再構成抗ウイルス免疫は、疾患の除去に有効であり、in vivoでかなりの増殖を示
した。in vitroで増殖され養子移入された自家がん特異的T細胞が患者に養子移
入されたとき、安全であり、臨床的利点を伴うことも証明されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の実施形態は、ある一定の病原体およびがん抗原に対する治療法を提供すること
により、ならびにまたどの抗原が免疫原性であり、臨床的に効果があるのかを明らかにす
ることにより、当技術分野における長年にわたる切実な要求を満たすものである。
【0006】
本開示の実施形態は、ヒトまたはイヌなどの哺乳動物個体のための1つ以上の免疫療法
において臨床的に効果があるであろう1つ以上の抗原を同定するためのものを含む、免疫
療法を作り出すための方法、組成物および/またはシステムに関する。前記方法の実施形
態は、病原体またはがん細胞由来のどの抗原が、哺乳動物における1つ以上の治療応用へ
の利用に好適な免疫原性のものであるかを判定することに関する。ある一定の実施形態で
は、病原体は、例えば、ウイルス、細菌、または真菌である。
【0007】
特定の実施形態において、本開示の方法は、問題の病原体および/またはがん細胞から
の複数の抗原に対する免疫原性の判定に関し、ならびに好適な生物学的判定に基づく免疫
原性の順序付けに関する。それらの免疫原性に基づく抗原の階層の決定は、病原体または
癌を有する、病原体および/または癌からの曝露および/または疾患に感受性があるか、ま
たはその危険性がある個体に好適な免疫原性療法を検討する際に用いることができる。特
定の実施形態において、好適な免疫原性療法は、特定の病原体またはがんに対する抗原の
免疫優性に基づく最も好適な免疫原性療法を含む。
【0008】
様々な実施形態において、病原体またはがんからの少なくとも2つの抗原を同定し、そ
れらの免疫原性レベルが定量される。次いで、それらの抗原をそれらの免疫原性レベルに
基づいた順序でランク付けすることができ、その結果、どの抗原を免疫療法の標的として
使用すべきであるかについての決定を下すことができる。
【0009】
抗原の階層の決定に基づいて設計される免疫原性療法は、いかなる種類のものであって
もよいが、特定の実施形態における免疫原性療法は、ワクチン、養子細胞療法、モノクロ
ーナル抗体、二重特異性抗体(BITES)、腫瘍溶解性ウイルス、またはこれらの組み
合わせを含む。免疫療法は、養子T細胞療法(ネイティブT細胞受容体(TCR)、改変
TCR、またはCAR T細胞)を含み得るが、NK細胞、NK T細胞、間葉系間質細
胞(MSC)および樹状細胞(DC)をはじめとする他の型の免疫細胞を用いてもよい。
免疫療法は、免疫細胞の産生および使用に依存することがあり、ネイティブであるかまた
は改変されているT細胞受容体に依存するもの、ならびにNK細胞、NKT細胞、間葉系
間質細胞(MSC)および樹状細胞(DC)に依存するものを含む。例えば、病原体また
はがんの最も免疫原性が高い抗原のうちの少なくとも2つを、それぞれの病原性細胞また
はがん細胞を破壊する意図をもって攻撃する、T細胞療法を設計することができる。その
ような療法は、病原体またはがんからの最も免疫展性の高い抗原標的のうちの少なくとも
2つを認識することができるT細胞を生成する、T細胞製造プロセスを含むことがあり得
る。代替実施形態において、T細胞療法は、病原体または癌由来の1つだけの抗原を標的
にする。
【0010】
ある一定の実施形態では、病原体に曝露された個体(病原体により直接もしくは間接的
に引き起こされる疾患に罹患した個体を含む)、または病原体に曝露される可能性がある
個体、またはがんを有する、もしくはがんを発症するリスクがある個体、または病原体に
曝露された結果としてがんを発症するリスクがある個体に対する治療に用いることになる
1つ以上の抗原の検討に使用するために、病原体またはがんからの1つより多くの抗原の
免疫原性を判定し、順序付けして階層にする。
【0011】
特定の実施形態では、評価を行って、所与の抗原の免疫原性レベルに値を割り当てるた
めに使用することができる情報ベースを構築する。この情報ベースは、次のように確立さ
れる:a)病原体に曝露された個体またはがん患者から採取した末梢血単核細胞(PBM
C)を、前記病原体由来の2つ以上の抗原または前記がんからの2つ以上の抗原に、好ま
しくはTh-1極性化サイトカインの存在下で、前記PBMCを曝露するin vitr
o培養プロセスに付すステップ;b)一定の期間、前記抗原を認識するT細胞の量を倍増
させるステップ;c)その培養物を分割して、ステップaに存在した抗原の数と同数の別
個の培養物にし、前記抗原の1つだけを各培養物に添加するステップであって、その結果
、各培養物が、元の抗原の1つを含み、かつ各培養物が、他の培養物とは異なる抗原を含
むことになる、ステップ;d)生物学的活性を測定するステップ(これを生物学的測定と
呼ぶこともある);e)並行して、または異なる時点で、ことによると経時的な参照によ
り、生物学的活性の閾値を、ステップcのものと同じ薬剤(複数可)にin vitro
で逐次的に曝露も並行して曝露もされていないPBMCにおいて生じる生物学的活性のi
n vitroでの評定によって確立するステップ;f)ステップcの培養物の各々につ
いての生物学的活性を前記閾値と比較し、前記閾値を超える生物学的活性を有するものを
レスポンダーとして分類し、前記閾値を超える生物学的活性を有さないものをノンレスポ
ンダーとして分類するステップ;およびg)ステップa~fの結果として、評価した個体
数に対するレスポンダーおよびノンレスポンダーの出現頻度が分かり、ならびに前記閾値
に対する、およびゼロに対する、レスポンダーの生物学的活性の大きさが分かるステップ
。
【0012】
特定の態様では、閾値が生物学的活性の測定プロセスにおけるノイズであることは、当
業者には理解される。閾値を確立するための方法は、1つより多くある。例えば、上で説
明したように、PBMCを前記プロセスで使用した各抗原に曝露することができ、その後
の生物学的活性を測定して閾値を確立することができる。あるいは、例えば、ステップc
の培養物をステップaに含まれない抗原で抗原処理することもできる。両方のアプローチ
によってノイズが検出されることになり、その結果、目的の抗原に曝露される培養物がレ
スポンダーとして分類されるために超える必要がある閾値が確立されることになる。
【0013】
ある一定の実施形態には、病原体またはがんの免疫原性抗原を特徴づける方法があり、
この方法は、多様な複数のT細胞を用意するまたは生成するステップであって、前記複数
のT細胞各々が、前記病原体またはがんからの1つの抗原に特異的なものであるステップ
;複数各々からの細胞からの、それらのそれぞれの抗原による抗原処理に基づく、定量可
能な生物学的応答をアッセイするステップであって、前記生物学的応答の定量された出力
を閾値量と比較して、複数各々からの応答の有効性および大きさを決定し、前記有効性が
、前記閾値量を超える生物学的応答を有する集団内の個体の百分率である、ステップ;お
よび複数各々からの前記応答の有効性と応答の大きさの間の数学的関係に基づいて各抗原
の免疫原性を順序付けるステップを含む。
【0014】
他の実施形態では、レスポンダーの百分率およびノンレスポンダーの百分率ならびに生
物学的応答の大きさをはじめとする変数を使用して抗原に値を割り当てる式であって、前
記値が高いほど特定の抗原に割り当てられる免疫原性レベルが高い、式を確立する。
【0015】
他の実施形態では、レスポンダーの百分率およびノンレスポンダーの百分率ならびに生
物学的応答の大きさをはじめとする変数を使用して抗原に値を割り当てる式であって、前
記値が高いほど特定の抗原に割り当てられる免疫原性レベルが高い、式を確立する。
【0016】
例示的なウイルスX、細菌Y、腫瘍Zの、ならびにまた例示的だが具体的なウイルス、
例えば、パラインフルエンザIII型(PIV3)およびヒトメタニューモウイルス(h
MPV)の、免疫プロファイリング方法の例を本明細書において提供する。特定の実施形
態では、PIV3およびhMPVの多数の抗原の免疫原性をそれぞれ判定し、治療に用い
る。
【0017】
特定の実施形態において、本開示の方法および組成物は、感染症、例えば、HSCT後
の感染症を予防または処置するための、養子T細胞療法に関する。特定の事例では、本開
示は、例えば、PIV(少なくともPIV3を含む)、hMPV、サイトメガロウイルス
、BKウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、アデノウイルス、エプスタイン・バーウイル
ス、BKウイルス、RSV、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ボカウイルス、コロ
ナウイルス、LCMV、流行性耳下腺炎、麻疹、メタニューモウイルス、パルボウイルス
B、ロタウイルス、ウエストナイルウイルス、JC、またはHHV7による感染症を少な
くとも含む、ウイルス感染症の予防または処置のための治療法を含む。以下のファミリー
の1つからのもの含む、任意のウイルス感染症からのウイルスが処置され得る:アデノウ
イルス科(Adenoviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviri
dae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヘパドナウイルス科(
Hepadnaviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、レ
トロウイルス科(Retroviridae)、オルトミクソウイルス科(Orthom
yxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、
パポーバウイルス科(Papovaviridae)、ポリオーマウイルス科(Poly
omavirus)、ラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、またはトガウ
イルス科(Togaviridae)。
【0018】
目的の病原体を含み得る細菌には、少なくとも次のものが含まれる:例えば、炭疽菌(
Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereu
s)、ヘレンセラ菌(Bartonella henselae)、塹壕熱菌(Bart
onella Quintana)、百日咳菌(Bordetella pertuss
is)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、
ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Bor
relia afzelii)、回帰熱ボレリア(Borrelia recurren
tis)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、イヌ流産菌(Bruce
lla canis)、ヤギ流産菌(Brucella melitensis)、ブタ
流産菌(Brucella suis)、ジェジュニ菌(Campylobacter
jejuni)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、トラ
コーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)、オウム病クラミジ
ア(Chlamydophila psittaci)、ボツリヌス菌(Clostri
dium botulinum)、ディフィシル菌(Clostridium diff
icile)、ウルシュ菌(Clostridium perfringens)、破傷
風菌(Clostridium tetani)、ジフテリア菌(Corynebact
erium diphtheria)、エンテロコッカス・フェカリス(Enteroc
occus faecalis)、フェシウム菌(Enterococcus faec
ium)、大腸菌(Escherichia coli)、野兎病菌(Francise
lla tularensis)、インフルエンザ菌(Haemophilus inf
luenza)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、在郷軍人病菌
(Legionella pneumophila)、レプトスピラ・インターロガンス
(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(L
eptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Lepto
spira weilii)、レプトスピラ・ノグチイ(Leptospira nog
uchii)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、らい
菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacteriu
m tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobac
terium ulcerans)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pn
eumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌
(Neisseria meningitides)、緑膿菌(Pseudomonas
aeruginosa)、ロッキー山紅斑熱リケッチア(Rickettsia ri
ckettsii)、チフス菌(Salmonella typhi)、ネズミチフス菌
(Salmonella typhimurium)、ソンネ菌(Shigella s
onnei)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮
ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、腐性ブドウ球
菌(Staphylococcus saprophyticus)、ストレプトコッカ
ス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎球菌(
Streptococcus pneumoniae)、化膿性連鎖球菌(Strept
ococcus pyogenes)、梅毒トレポネーマ(Treponema pal
lidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealy
ticum)、コレラ菌(Vibrio cholerae)、ペスト菌(Yersin
ia pestis)、腸炎エルシニア(Yersinia enterocoliti
ca)、または偽結核菌(Yersinia pseudotuberculosis)
。
【0019】
特定の実施形態において、本開示の方法および組成物は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、副腎皮質がん、AIDS関連がん、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ腫、肛門がん、虫垂がん、星細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫および骨肉腫および悪性線維性組織球腫を含む)、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、消化管カルチノイド腫瘍、カルチノイド腫瘍、心(心臓)腫瘍、胚芽腫、胚細胞腫瘍、リンパ腫、子宮頸がん、胆管細胞癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵管がん、骨線維性組織球腫、悪性のもの、および骨肉腫、胆嚢がん、胃(Gastric)(胃(Stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、精巣がん、妊娠性絨毛性疾患、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞がん、ランゲルハンス細胞組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、膵島細胞腫瘍、膵神経内分泌腫瘍、膵がん、カポジ肉腫、喉頭がん、喉頭乳頭腫症、白血病、口唇および口腔がん、肝がん、肺がん、非ホジキンリンパ腫、骨悪性線維性組織球腫、骨肉腫、黒色腫、眼球内黒色腫、メルケル細胞癌、皮膚がん、中皮腫、悪性中皮腫、原発不明転移性扁平上皮性頸部がん、NUT遺伝子が関与する正中線上の癌、口のがん-頭頸部がん、多発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、慢性骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん、口腔内がん、口唇および口腔がん、中咽頭がん、口腔がん、骨肉腫、膵がん、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、結腸直腸がん、腎細胞(腎)がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、唾液腺腫瘍、肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、子宮肉腫、子宮がん、血管腫瘍、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、扁平上皮性頸部がん、胃(Stomach)(胃(Gastric))がん、皮膚T細胞リンパ腫、精巣がん、喉のがん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、甲状腺腫瘍、腎盂および尿管の移行上皮がん、尿道がん、子宮がん、子宮内膜、子宮肉腫、膣がん、血管腫瘍、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症(非ホジキンリンパ腫)ならびにウィルムス腫瘍からなる群から選択されるがんを含む、がんを予防または処置するための養子T細胞療法にも関する。
また、本発明は以下の態様を含む。
[1]
病原体またはがんの抗原の免疫原性を判定するために使用することができる情報を得る方法であって、
複数の個体から細胞を得るステップ、
前記細胞を、病原体またはがんからの1つより多くの抗原に、前記抗原を認識する細胞の量的な増殖を可能ならしめる条件下、in vitroで曝露するステップ、
増殖した細胞の培養物を別々に分けたものに前記抗原の1つを添加するステップ、
判定された生物学的活性の大きさを閾値と比較して、前記抗原が、レスポンダーであるのか、またはノンレスポンダーであるのかを判定するステップ、および
前記生物学的活性が前記閾値を超えた場合、前記抗原をレスポンダーと同定するステップを含む方法。
[2]
前記病原体が、ウイルス、真菌または細菌である、[1]に記載の方法。
[3]
前記生物学的活性が、IFN縺AIL2、グランザイムB、GM-CSF、および/またはTNF痰フ産生を含む、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
前記閾値を決定するステップをさらに含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
数式が、
である、[1]~[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記ウイルスが、呼吸器ウイルスである、[2]に記載の方法。
[7]
前記呼吸器ウイルスが、パラインフルエンザウイルスまたはメタニューモウイルスである、[6]に記載の方法。
[8]
前記パラインフルエンザウイルスが、III型である、[7]に記載の方法。
[9]
前記メタニューモウイルスが、ヒトメタニューモウイルスである、[7]に記載の方法。
[10]
前記情報が、前記病原体に曝露された、前記病原体に曝露されるリスクがある、前記病原体に罹患しやすい、前記病原体からの疾患を有する、前記がんのリスクがある、または前記がんを有する個体に対する免疫療法の決定に用いられる、[1]~[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記免疫療法が、ワクチン、免疫原性組成物、モノクローナル抗体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、腫瘍溶解性ウイルス、養子T細胞移植、またはこれらの組み合わせを含む、[10]に記載の方法。
[12]
前記免疫療法が、同じ細胞上の1つより多くの抗原を標的にする、[10]に記載の方法。
[13]
T細胞培養物を産生する方法であって、
複数の個体からのPBMCおよび/またはT細胞を病原体もしくは腫瘍の一部または完全病原体もしくは腫瘍に少なくとも48時間曝露するステップ、その後、
前記細胞を同じ病原体または腫瘍の個々の抗原で再処理するステップを含む方法。
[14]
前記培養物中の前記細胞および/または前記培養物からの培地の1つ以上の変化に関係する1つ以上の生物学的測定値(Tbio)がアッセイされる、[13]に記載の方法。
[15]
1つ以上の生物学的測定値が、前記細胞からの1つ以上の可溶性産物を測定するものである、[14]に記載の方法。
[16]
前記1つ以上の可溶性産物が、1つ以上のサイトカインである、[15]に記載の方法。
[17]
前記1つ以上のサイトカインが、IL1瘁AIL1竅AIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-10、IL-12(p35+p40)、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17a、IL-17B、IL-17F、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23(p90+p43)、IL-25、IL-26、IL-27(p28+EBI3)、IL-28A/B/IL29A、IL-30(IL-27のp28サブユニット)、IL-31、IL-32、IL-33、IL-35(p35+EBI3)、TNF瘁ALT瘁ALT竅ALIGHT、OX40L、CD40L、FASL、CD27L、CD30L、4-1BBL、TRAIL、RANKリガンド、GM-CSF、IFN縺ALIF、MIF、TGF竄P、TGF竄Q、TGF竄R、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、
[16]に記載の方法。
[18]
1つ以上の生物学的測定値が、前記培養物における細胞内でまたは細胞の表面で同定される1つ以上の表現型変化を含む、[13]に記載の方法。
[19]
細胞表面表現型変化が、CD11a、CD11c、CD16、CD25、CD27、CD28、CD31、CD38、CD40L、CD43、CD44、CD45、CD49d、CD62L、CD69、CD95、CD107、CD122、CD127、CXCR3、CCR5、CCR6、CCR7、KLRG-1またはこれらの組み合わせの発現および/または発現増加を含む、[17]に記載の方法。
[20]
細胞内表現型変化が、IL-1竅AIL2、IL4、IL6、IL12、IL15、IL21、IFN瘁AIFN縺ATNF瘁ATGF竅ACD107およびGM-CSFの発現および/または発現増加を含む、[17]に記載の方法。
[21]
前記生物学的測定が、前記培養物を前記個々の病原体/抗原に曝露した後、少なくとも15分後に行われる、[13]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[22]
前記生物学的測定が、前記培養物を前記個々の病原体/抗原に曝露した後72時間以内に行われる、[13]~[20]のいずれか一項に記載の方法。
[23]
病原体またはがん細胞の所与の抗原に対する複数の個体の中のレスポンダーの百分率は、前記T細胞培養物中の前記細胞の生物学的測定値と関係のない標的の生物学的測定値との数学的関係によって決定されうる、[13]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24]
病原体またはがん細胞の所与の抗原に対するレスポンダーの前記百分率は、前記T細胞培養物中の前記細胞の生物学的測定値を関係のない標的の生物学的測定値で割ることによって決定されうる、[23]に記載の方法。
[25]
病原体またはがん細胞の所与の抗原に対する複数の個体の中のレスポンダーの百分率は、前記T細胞培養物中の前記細胞の生物学的測定値と未操作T細胞対応物の生物学的測定値との数学的関係によって決定することができる、[13]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[26]
病原体の所与の抗原に対するレスポンダーの前記百分率を、前記T細胞培養物中の前記細胞の前記生物学的測定値を未操作T細胞対応物の前記生物学的測定値で割ることによって決定することができる、[25]に記載の方法。
[27]
前記未操作T細胞対応物が、PBMCを含む、[25]または[26]に記載の方法。
[28]
前記複数の中の個体が、決定された前記数学的関係結果が1以上であった場合、レスポンダーとみなされる、[23]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29]
前記複数の中の個体が、決定された前記数学的関係結果が1未満であった場合、ノンレスポンダーとみなされる、[23]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[30]
集団内のレスポンダー対ノンレスポンダーを決定するための閾値が、ELIspotアッセイで測定されるIFN緕Y生が前記生物学的測定値であった場合、2ラ10
5インプット細胞あたり20超のSFCである、[23]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31]
集団内のレスポンダー対ノンレスポンダーを決定するための閾値が、ELIspotアッセイで測定されるグランザイムB産生が前記生物学的測定値であった場合、2ラ10
5インプット細胞あたり10超のSFCである、[23]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[32]
病原体の抗原の階層の確立が、血清反応陽性個体からの10以上の試料を評価することにより、前記生物学的測定値の大きさと病原体の抗原に対する応答の百分率とを組み合わせることによって達成される、[13]~[31]のいずれか一項に記載の方法。
[33]
レスポンダーの百分率および大きさと生物学的測定値の関係が、数式で表される、[13]~[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34]
前記数式が、
である、[33]に記載の方法。
[35]
前記式の積により病原体またはがんに存在する異なる抗原の各々に対するスコアが得られる、[33]に記載の方法。
[36]
前記スコアが、前記病原体またはがんの抗原の1つ以上の免疫優性階層の確立に用いられる、[35]に記載の方法。
[37]
免疫優性の前記階層が、1つ以上の抗原を標的として選択するために使用される、[36]に記載の方法。
[38]
1つ以上の抗原の選択が、
a)前記階層における1位の抗原;
b)前記階層における1位と2位の抗原;
c)前記階層における1位と3位の抗原;
d)前記階層における1位と4位の抗原;
e)前記階層における1位と2位および3位の抗原;または
f)前記階層における1位と2位および4位の抗原の選択を含む、[36]または[37]に記載の方法。
[39]
前記病原体が、ウイルス、真菌または細菌である、[13]~[38]のいずれか一項に記載の方法。
[40]
前記ウイルスが、PIV3またはhMPVである、[39]に記載の方法。
[41]
前記病原体が、hMPVであり、前記標的抗原が、FとNの組み合わせである、[40]に記載の方法。
[42]
前記病原体が、PIV3であり、前記標的抗原選択が、
a)F;
b)FおよびN;
c)FおよびM2-1;
d)FおよびM;
e)F、N、およびM2-1;または
f)F、NおよびMのうちの1つである、[40]に記載の方法。
[43]
免疫優性の前記階層において同定された前記抗原または抗原の組み合わせが治療に使用される、[36]~[42]のいずれか一項に記載の方法。
[44]
前記治療が、ワクチン、モノクローナル抗体、BiTE、腫瘍溶解性ウイルス、養子細胞療法、またはこれらの組み合わせを含む、[43]に記載の方法。
[45]
1つ以上の選択された抗原を標的にするT細胞を産生することが、少なくとも1名の健常な血清反応陽性ドナーまたは患者からのT細胞の抽出を含む、[13]~[44]のいずれか一項に記載の方法。
[46]
T細胞のex vivo操作が、抗原特異的T細胞のin vitro増殖を含む、[45]に記載の方法。
[47]
前記抗原特異的T細胞が、病原体またはがん細胞の免疫優性の前記階層における1位の抗原を認識する、[46]に記載の方法。
[48]
前記抗原特異的T細胞が、病原体またはがん細胞の免疫優性の前記階層における1位および2位の抗原を認識する、[46]に記載の方法。
[49]
抗原特異的T細胞が、病原体またはがん細胞の免疫優性の前記階層における1位、2位および3位の抗原を認識する、[46]に記載の方法。
[50]
抗原特異的T細胞が、病原体またはがん細胞の免疫優性の前記階層における1位、2位、3位および4位の抗原を認識する、[46]に記載の方法。
[51]
抗原特異的T細胞を増殖させることが、目的の抗原(複数可)を発現する抗原提示細胞
(APC)の刺激を含む、[46]~[50]のいずれか一項に記載の方法。
[52]
前記抗原(複数可)が、組換えタンパク質、重複ペプチド/ペプチドライブラリー、前記抗原(複数可)をコードするDNA、前記抗原(複数可)をコードするRNA、または前記抗原をコードするウイルスベクターを含む、[51]に記載の方法。
[53]
抗原刺激に使用されるAPCが、自家または同種異系ドナーから選択または増殖されるB細胞、T細胞、マクロファージ、単球、PBMCまたは樹状細胞を含む、[51]に記載の方法。
[54]
APCおよび抗原(複数可)が、単独で使用される、または1つ以上のサイトカインと併用される、[51]~[53]に記載の方法。
[55]
前記1つ以上のサイトカインが、IL2、IL4、IL7、IL12、IL15、および/またはIL21を含む、[54]に記載の方法。
[56]
抗原刺激が、1回以上行われる、[51]~[55]に記載の方法。
[57]
抗原刺激が、抗原特異的T細胞産物を得るために少なくとも1回行われる、[37]~
[56]に記載の方法。
[58]
前記T細胞産物の臨床値を決定するステップであって、前記決定が、式
を含む、[13]~[57]のいずれか一項に記載の方法。
[59]
RTBが、[(Tbio-P)+1]/[(Tbio-U)+1]からなり、1の場合は
RTB値が1であることに相当する、[58]に記載の方法。
[60]
RTBが、[(Tbio-P)+1]/[(Tbio-U)+1]からなり、<1の場合は
RTB値が0であることに相当する、[58]に記載の方法。
[61]
RTKが、[(TSpec-P)/(TCSpec)]からなり、1の場合は
RTK値が1であることに相当する、[58]に記載の方法。
[62]
RTKが、[(TSpec-P)/(TCSpec)]からなり、<1の場合は
RTK値が0であることに相当する、[58]に記載の方法。
[63]
Tbio-Pが、in vitro T細胞産物の1つ以上の生物学的特性を含む、[59]~[60]のいずれか一項に記載の方法。
[64]
Tbio-Uが、未操作PBMCまたは無関係の対照の1つ以上の生物学的特性を含む、[59]~[60]のいずれか一項に記載の方法。
[65]
前記1つ以上の生物学的特性が、同種抗原での刺激時に評定される1つ以上のサイトカインもしくはエフェクター分子の産生および/または1つ以上の細胞表面マーカーの発現増加を含む、[63]~[64]に記載の方法。
[66]
前記サイトカイン/エフェクター分子が、IFNy、IL2、GMCSF TNF瘁AグランザイムB、および/またはパーフォリンである、[65]に記載の方法。
[67]
前記細胞表面マーカーが、CD25、CD45、CD27、CD28、CD69および/またはCD107である、[65]に記載の方法。
[68]
特異的殺滅が、関係のない抗原を発現する標的細胞の非特異的殺滅の百分率を減算した後の、同種抗原を発現する溶解されたHLA適合標的細胞の百分率を含む、[61]に記載の方法。
[69]
前記関係のない抗原が、目的の病原体またはがん細胞内に存在しない抗原を含む、[68]に記載の方法。
[70]
個体への前記T細胞の投与が、式
の関数で、その値が1である場合、T細胞が個体に投与され、式中のThが、産物と患者間の共有アレル数である、[43]~[58]に記載の方法。
[71]
個体への前記T細胞の投与が、式
の関数で、その値が<1である場合、T細胞が個体に投与されない、請求項43~58に記載の方法。
[72]
Th=HLAP対HLAPt、であり、1の場合はTh値が1であることに相当する、[70]および[71]に記載の方法。
[73]
Th=HLAP対HLAPt、であり、<1の場合はTh値が0であることに相当する、[70]および[71]に記載の方法。
[74]
HLAPが、前記産物のHLA型である、[72]および[73]に記載の方法。
[75]
HLAPtが、前記患者のHLA型である、[72]および[73]に記載の方法。
【0020】
他のおよびさらなる目的、特徴および利点は、本明細書の続きを読むこと、およびその
一部を構成する添付の図面、または本開示のために与える本発明の現在好ましい実施形態
の任意の例を参照することによって明らかになり、ひいてはより容易に理解されることに
なる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、多数の抗原へのPBMCの曝露、続いて再抗原処理し、そして閾値の決定、そしてレスポンダーおよびノンレスポンダーの同定を含む、例示的なウイルスXの免疫原性抗原同定の例を示す図である。
【0022】
【
図2】
図2は、
図1における各抗原の免疫原性を順序付けるための数式および抗原階層同定の例を提供する図である。
【0023】
【
図3】
図3は、
図2における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0024】
【
図4】
図4は、
図2における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0025】
【
図5】
図5は、
図2における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0026】
【
図6】
図6は、多数の抗原へのPBMCの曝露、続いて再抗原処理し、そして閾値の決定、そしてレスポンダーおよびノンレスポンダーの同定を含む、例示的な細菌Yの免疫原性抗原同定の例を示す図である。
【0027】
【
図7】
図7は、
図6における各抗原の免疫原性を順序付けるための数式および抗原階層同定の例を提供する図である。
【0028】
【
図8】
図8は、
図7における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0029】
【
図9】
図9は、
図7における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0030】
【
図10】
図10は、
図7における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0031】
【
図11】
図11は、多数の抗原へのPBMCの曝露、続いて再抗原処理し、そして閾値の決定、そしてレスポンダーおよびノンレスポンダーの同定を含む、例示的な腫瘍Zの免疫原性抗原同定の例を示す図である。
【0032】
【
図12】
図12は、
図11における各抗原の免疫原性を順序付けるための数式および抗原階層同定の例を提供する図である。
【0033】
【
図13】
図13は、
図12における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0034】
【
図14】
図14は、
図12における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0035】
【
図15】
図15は、
図12における抗原階層に基づく具体的な抗原の選択の一例を示す図である。
【0036】
【
図16】
図16は、3’-N-P-M-F-M2-SH-G-L-5’を含む、HMPV分子およびその遺伝子産物を示す図である。
【0037】
【
図17】
図17は、hMPVへのT細胞応答の一例を示す図である。
【0038】
【
図18】
図18は、抗原階層を含む、hMPVへのT細胞応答の一例を示す図である。
【0039】
【
図19】
図19は、hMPVランキングに対応するT細胞スコアの例示的なものを提供する図である。
【0040】
【
図20】
図20は、N-P-M-F-HN-Lを含む、PIV3分子およびその遺伝子産物を示す図である。
【0041】
【
図21】
図21は、PIV3へのT細胞応答の一例を示す図である。
【0042】
【
図22】
図22は、抗原階層を含む、PIV3へのT細胞応答の一例を示す図である。
【0043】
【
図23】
図23は、PIV3ランキングに対応するT細胞スコアの例示的なものを提供する図である。
【0044】
【
図24】
図24は、病原体に対する免疫応答の特性解析のためにグランザイムBを使用してレスポンダーのノンレスポンダーに対する百分率を決定する例を示す図である。
【0045】
【
図25】
図25は、155日目と162日目の間で特定の高まりを示す、抗原MおよびNを標的にするPIV3特異的T細胞の出現頻度を示す図である。
【0046】
【
図26】
図26は、ウイルス感染症を抑えるようなPIV3 T細胞の臨床的関連性の例であって、骨髄移植(BMT)後の活動性感染症を有する代表患者においてPIV3特異的T細胞の出現頻度の増加に感染症の症状およびウイルス検出との逆相関があった例を示す図である。
【0047】
【
図27】
図27は、異なるhMPV抗原に対する免疫T細胞応答の臨床的関連性を示す図である。
【0048】
【
図28】
図28は、ウイルスXの最上位の標的が抗原源として同定されるランキングの治療応用を示す図である。
【0049】
【
図29】
図29は、細菌Yの最上位の標的が抗原源として同定されるランキングの治療応用を示す図である。
【0050】
【
図30】
図30は、腫瘍Zの最上位の標的が抗原源として同定されるランキングの治療応用を示す図である。
【0051】
【0052】
【
図32】
図32は、抗原MおよびHNについての細胞内サイトカイン染色により検出されたCD4+およびCD8+の抗原特異性を示す図である。
【0053】
【
図33】
図33は、hMPV T細胞製造の一例を示す図である。
【0054】
【0055】
【0056】
【
図36】
図36は、HMPV標的細胞が漸減する結果となる、HMVP特異的T細胞との培養の結果を提供する図である。
【0057】
【
図37】
図37は、
図35における細胞が、関連抗原についての細胞内サイトカイン染色による検出に従って抗原特異性であったことを示す図である。
【0058】
【
図38】
図38は、T細胞の産物を定義するための数学的関係の一例を示す図である。
【0059】
【
図39】
図39は、培養物の特異性および細胞溶解能力をアデノウイルス特異性T細胞について0、10および20日目に評定したことを示す図である。
【0060】
【
図40】
図40は、培養物の特異性および細胞溶解能力をBKウイルス特異性T細胞について0、10および20日目に評定したことを示す図である。
【0061】
【
図41】
図41は、培養物の特異性および細胞溶解能力をCMV特異性T細胞について0、10および20日目に評定したことを示す図である。
【0062】
【
図42】
図42は、末梢血または白血球アフェレーシス産物から生成された抗原特異的T細胞の患者への投与を示す図である。
【0063】
【
図43】
図43は、特異的T細胞のオフザシェルフ使用を示す図である。
【0064】
【
図44】
図44は、T細胞の産物を患者に与えるときまたは与えないときの数学的例を提供する図である。
【0065】
【
図45】
図45は、
図44における数学的例によって定義されたCMV特異的T細胞産物で処置された活動性CMV感染症を有する患者の臨床成績を示す図である。
【0066】
【
図46】
図46は、
図44における数学的例によって定義されたEBV特異的T細胞産物で処置された活動性EBV感染症を有する患者の臨床成績を示す図である。
【0067】
【
図47】
図47は、
図44における数学的例によって定義されたBKV特異的T細胞産物で処置された活動性BKV感染症を有する患者の臨床成績を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本願で使用される「a」および「an」という語は、本特許請求の範囲および/または
本明細書において「含むこと」という用語とともに使用される場合、「1つ」を意味する
ことがあるが、「1つ以上」、「少なくとも1」および「1または1を超える」の意味と
も一致する。本発明の一部の実施形態は、本発明の1つ以上の要素、方法ステップ、およ
び/もしくは方法からなることもあり、またはそれらから本質的になることもある。本明
細書に記載の任意の方法または組成物を、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物
に関して実行することができると考えられる。
【0069】
本明細書で使用される用語「生物学的活性」は、例えば、IFNガンマ、グランザイム
B、IL2、TNFアルファなどのエフェクター分子の産生、標的細胞の特異的溶解、ま
たはCD25、CD69、CD27、CD28もしくはCD107a/bなどの細胞表面
分子の発現の生物学的変化と定義される。
【0070】
I.一般的実施形態
【0071】
本開示の一部の実施形態において、個体は、本開示の方法および/または組成物を必要
としている。特定の実施形態において、個体は、易感染性である(例えば、免疫系で感染
性疾患と闘う能力が何らかの理由で損なわれているまたは完全に存在しない個体と定義さ
れ得る)。特定の実施形態において、易感染性個体は、幹細胞移植を受けたことがあった
、臓器移植を受けたことがあった、などである。別の特定の実施形態において、個体は、
がんを有するか、またはがんを発症するリスクがある。
【0072】
本開示の実施形態は、病原体またはがんの免疫優性の階層の確立に関し、代表的な事例
では、病原体は、例えば、PIV(少なくともPIV3を含む)、hMPV、サイトメガ
ロウイルス、BKウイルス、ヒトヘルペスウイルス6、アデノウイルス、エプスタイン・
バーウイルス、BKウイルス、RSV、インフルエンザ、パラインフルエンザ、ボカウイ
ルス、コロナウイルス、LCMV、流行性耳下腺炎、麻疹、メタニューモウイルス、パル
ボウイルスB、ロタウイルス、ウエストナイルウイルス、JC、またはHHV7である。
がん抗原は、肺、乳房、脳、結腸、皮膚、前立腺、膵臓、子宮内膜、腎臓、卵巣、精巣、
骨、脾臓、肝臓、胆嚢、甲状腺、食道、腸、膀胱、直腸、肛門、胃、頭頸部、喉、下垂体
のがん、または多発性骨髄腫もしくはリンパ腫からのものであり得る。特定の実施形態に
おいて、病原体がウイルスである場合、レスポンダーとノンレスポンダーを区別するため
の活性の閾値の例は、ELIspotアッセイにおける20IFNガンマスポット形成細
胞(SFC)/(2×105インプット細胞)または10グランザイムB SFC/(2
×105インプット細胞)より上の値である。これらが、活性の閾値を定義するために使
用される生物学的活性の例の代表であることは、当業者には理解される。しかし、生物学
的活性を定義するための数値的閾値の例は、生物学的活性を測定するために使用されるア
ッセイ/ツールによって変わることがある。
【0073】
特定の実施形態では、1つ以上の定量的生物学的応答が、病原体からの抗原の免疫原性
のランクの決定に用いられる。特定の実施形態では、応答は、レスポンダー対ノンレスポ
ンダーを決定するために使用することができるレベルを含む、T細胞活性の重要なレベル
を同定するために用いられる。ある一定の実施形態において、定量的生物学的応答は、特
定の標的の認識に基づくT細胞からの化合物の産生(例えば、細胞からの分泌型産生)ま
たは発現(例えば、細胞上での膜結合型発現)である。特定の実施形態において、化合物
は、IL1α、IL1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-
9、IL-10、IL-12(p35+p40)、IL-13、IL-14、IL-15
、IL-16、IL-17a、IL-17B、IL-17F、IL-18、IL-19、
IL-20、IL-21、IL-22、IL-23(p90+p43)、IL-25、I
L-26、IL-27(p28+EBI3)、IL-28A/B/IL29A、IL-3
0(IL-27のp28サブユニット)、IL-31、IL-32、IL-33、IL-
35(p35+EBI3)、TNFα、LTα、LTβ、LIGHT、OX40L、CD
25、CD45、CD40L、FASL、CD27L、CD30L、4-1BBL、TR
AIL、RANKリガンド、GM-CSF、IFNγ、LIF、MIF、TGFβ1、T
GFβ2、および/またはTGFβ3である。特定の実施形態において、化合物は、IL
2、IFNγ、グランザイムB、CD25、パーフォリン、GM-CSF、および/また
はTNFαである。一部の実施形態において、生物学的応答は、同種抗原、例えば、CD
25、CD27、CD28、CD45、CD69および/またはCD107での刺激に基
づく1つ以上のマーカーの発現増加である。
【0074】
SFCという用語が、目的の特定の化合物を発現または分泌する細胞を同定する酵素結
合免疫吸着スポット(ELIspot)技術に関して用いられることは、当業者には理解
される。この技術は、好適な膜上に固定化された標的タンパク質特異的抗体の使用を用い
る。様々な密度で播種された目的の細胞によって産生される化合物を、その化合物を認識
する一次抗体によって捕捉し、次いで、同じくその化合物に対して特異的である標識され
た二次標識抗体によって可視化する。この反応の列記が、本明細書において開示する、あ
る一定の方法のバイオマーカーである。
【0075】
II.免疫原性抗原の同定およびその有効性の順序
【0076】
本開示の特定の実施形態は、1タイプ以上の免疫療法の作出および/または該免疫療法
における利用に特に好適である免疫原性抗原(複数可)の同定に関する方法および組成物
を提供する。特定の実施形態では、抗原のコレクションにおいて、該収集物から1つ以上
の抗原が他の抗原(複数可)より免疫原性が高いと同定される。抗原のコレクションは、
同じ実体からの多数の抗原、例えば、同じ病原体からの多数の抗原、または同じがん型か
らの多数の抗原(腫瘍抗原を含む)であり得る。一部の事例では、抗原のコレクションは
、病原体またはがんからの可能性のある抗原の一部または大部分を含み、ある一定の事例
では、抗原のコレクションは、病原体またはがんからの可能性のあるすべての抗原を含む
。病原体は、例えば、ウイルス、細菌または真菌であり得る。
【0077】
一般的な実施形態では、病原体またはがんからの様々な抗原についての一連の免疫原性
は、T細胞に対する抗原での少なくとも初回または2回目の抗原処理後に順序付けされ、
その後、T細胞の応答の有効性を表す数値が決定され、この決定は、2回目またはその後
の抗原処理後に行われる。例として、個体からのT細胞は、抗原のコレクションを用いて
in vitroで抗原処理され、この初回刺激は、T細胞への曝露のためにプールされ
た異なる抗原、またはT細胞への曝露のために分離された異なる抗原のいずれかを用いて
行うことができる。この刺激は、ある一定の事例では、Th1極性化サイトカインの存在
下で行われることもあり、その存在下で行われないこともある。好適な時間(例えば、2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12日)後、T細胞は、2回目の抗原
処理に付されるが、2回目の抗原処理では、T細胞は、分離された形の(プールされたも
のでない)異なる抗原に曝露される。好適な時間(例えば、15分~72時間)の後、T
細胞の1つ以上の生物学的応答が、評価される、例えば、定量的なやり方で評価される。
例えば、生物学的応答として、1つ以上の特定の化合物(例えば、細胞から産生および分
泌されるもの、または細胞表面発現のために産生されるものを含む)の産生を、T細胞の
活性の尺度として評定することができる。この測定は、T細胞の2回目またはその後の抗
原処理後、ある一定の時間(例えば、15分~72時間)の後に行われ得る。
【0078】
特定の抗原についての方法の定量的出力は、1、2、またはそれを超える値の関数とし
て特徴づけることができる。特定の実施形態において、定量的出力は、1)T細胞子孫が
特定の抗原を有効に認識するドナーの数、および2)T細胞応答の大きさ(例えば、ある
一定のインプットT細胞数あたりのSFCの数)を含む。
【0079】
特定の実施形態では、T細胞が抗原に応答しているか否かの定性的判定を設定する閾値
。活性の閾値を定義するためのパラメータは、上記の通り定義され、無関係の標的(目的
の病原体もしくは腫瘍によって発現されない抗原)に対するまたは未操作のPBMCに対
する生物学的応答を測定することによる非特異的応答レベルの決定を含む。そのとき、こ
の非特異的応答レベルによって、レスポンダーとノンレスポンダーとを判別するためのベ
ースラインが確立される。したがって、ある一定の実施形態では、生物学的応答の定量出
力を閾値量と比較して、1つの抗原に対して特異的である複数のT細胞各々からの応答の
有効性および大きさを判定する。少なくとも一部の事例では、有効性は、閾値量を超える
生物学的応答を有する集団内の個体の百分率を包含する。閾値より大きい応答の大きさを
有する細胞は、レスポンダーと見なされるのに対して、閾値未満の応答値を有するものは
、ノンレスポンダーと見なされる。
【0080】
特定の実施形態では、抗原に対するT細胞の応答の大きさの定量的判定により確立され
る閾値。非特異的応答は、無関係の標的(目的の病原体もしくは腫瘍によって発現されな
い抗原)に対するまたは未操作のPBMCに対する生物学的活性に基づいて判定され得る
。これにより、レスポンダーをノンレスポンダーと区別するための閾値が確立される。応
答が、確立された非特異的応答を超えた場合、レスポンダーを示す。ノンレスポンダーは
、確立された非特異的応答を超えない応答で示される。したがって、ある一定の実施形態
では、生物学的応答の定量アウトプットを閾値量と比較して、1つの抗原に対して特異的
である複数のT細胞各々からの応答の有効性および大きさが判定される。少なくとも一部
の事例では、有効性は、閾値量を超える生物学的応答を有する集団内の個体の百分率を包
含する。閾値より大きい応答規模を有する細胞は、レスポンダーと見なされるのに対して
、閾値未満の応答値を有するものは、ノンレスポンダーと見なされる。
【0081】
T細胞応答の定量は、培養下の細胞についての細胞内で、分泌されて、または細胞表面
で同定される1つ以上の変化などの、任意の好適な測定基準によって測定され得る。可溶
性であるか、または不溶性である、分泌されるか、または分泌されない、ある一定の化合
物の産生が測定され得る。そのような化合物は、いかなる種類のものであってもよいが、
特定の実施形態では、それらはサイトカインである。測定する具体的化合物の例としては
、IL1α、IL1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9
、IL-10、IL-12(p35+p40)、IL-13、IL-14、IL-15、
IL-16、IL-17a、IL-17B、IL-17F、IL-18、IL-19、I
L-20、IL-21、IL-22、IL-23(p90+p43)、IL-25、IL
-26、IL-27(p28+EBI3)、IL-28A/B/IL29A、IL-30
(IL-27のp28サブユニット)、IL-31、IL-32、IL-33、IL-3
5(p35+EBI3)、TNFα、LTα、LTβ、LIGHT、OX40L、CD4
0L、FASL、CD27L、CD30L、4-1BBL、TRAIL、RANKリガン
ド、GM-CSF、IFNγ、LIF、MIF、TGFβ1、TGFβ2、TGFβ3、
およびこれらの組み合わせが挙げられる。細胞表面表現型変化を評価する場合、例えば、
CD11a、CD11c、CD16、CD25、CD27、CD28、CD31、CD3
8、CD40L、CD43、CD44、CD45、CD49d、CD62L、CD69、
CD95、CD122、CD127、CXCR3、CCR5、CCR6、CCR7および
/またはKLRG-1の発現レベルを測定することができる。一部の事例では、細胞内お
よび細胞外変化が評定され、そのような変化は、例えば、IL-1β、IL2、IL4、
IL6、IL12、IFNγ、TNFα、TGFβ、CD107および/またはGM-C
SFの産生/発現を含み得る。
【0082】
特定の実施形態において、レスポンダーの百分率とノンレスポンダーの百分率は、生物
学的応答を惹起するためのものである所望の薬剤への曝露に応答してのものであった生物
学的活性の大きさとの数学的関係に用いられ、前記生物学的活性は、特定の実施形態では
IFNガンマSFCの測定値を表し得る。特定の事例では、数学的関係は、レスポンダー
の百分率と応答の大きさの積のノンレスポンダーの百分率に対する比として含む。特定の
事例では、数学的関係は、1を加えたレスポンダーの百分率と応答の大きさを掛けたもの
を1を加えたノンレスポンダーの百分率で割ったものである。
【0083】
特定の実施形態において、レスポンダーの百分率およびノンレスポンダーの百分率は、
生物学的活性の大きさとの数学的関係(特定の実施形態ではIFNガンマの測定値を表し
得る)に用いられる。特定の事例では、数学的関係は、ノンレスポンダーの百分率に対す
る比としての、レスポンダーの百分率と応答の大きさの積を含む。特定の事例では、数学
的関係は、ノンレスポンダーの百分率+1で割った、(レスポンダーの百分率+1)と応
答の規模の積である。
【0084】
特定の実施形態において、特定の生物学的測定値についてのレスポンダーの百分率と応
答の大きさの数学的関係は、数式で表される。1つより多くの式が適用可能であり得るが
、特定の実施形態における式は、次の通りである:
【0085】
【0086】
この数学的関係からの値を各抗原について決定したら、各抗原についての値を比較し、
階層、例えば、有効性が最も高い抗原から有効性が最も低い抗原への階層に順序付けるこ
とができる。この免疫原性スペクトラムは、最も好適な抗原(複数可)、例えば、免疫療
法で使用されることになる最も好適な抗原(複数可)を選択する必要があるユーザーに情
報を提供する。特定の実施形態では、この方法の使用に従って、免疫療法に抗原(複数可
)として使用されることになる可能性のある抗原のコレクションから、最も有効な抗原の
うちの1、2、3、またはそれより多くを選択することができる。特定の実施形態では、
前記方法の出力に従って最も免疫原性の高い抗原のみを選択するが、他の事例では、前記
方法の出力に従って2、3、4以上の最も免疫原性の高い抗原を選択することもある。特
定の事例では、前記方法の出力に従って最も免疫原性の高い抗原を、前記方法の出力に従
って2番目に免疫原性の高い抗原、前記方法の出力に従って3番目に免疫原性の高い抗原
、および/または前記方法の出力に従って4番目に免疫原性の高い抗原などに加えて、選
択することもある。本開示の方法で同定される最も有効な抗原(複数可)を用いる免疫療
法は、ワクチン、免疫原性組成物、養子T細胞移植などをはじめとする、いかなる種類の
ものであってもよい。
【0087】
ある一定の実施形態では、病原体に関連する病状を有する個体、または病原体に対して
血清反応陽性である個体、またはがんを有するもしくはがんのリスクがある個体に、本明
細書に記載の免疫原性抗原を特徴づける方法に基づいて設計された免疫療法の治療有効量
を与えることができる。
【0088】
例示的病原体の免疫原性抗原の同定およびそれらの免疫原性/有効性の順序付けについ
ての具体的な例は、後段の実施例セクションで提供する。
【0089】
III.免疫細胞とそれらの臨床的有効性との数学的および他の相関
【0090】
本開示の特定の実施形態には、ある一定の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞または
NK T細胞の有効性を判定するために用いられる方法および組成物がある。前記細胞は
、上で説明したような抗原免疫優性の階層の判定に基づいて改変されることもあり、また
はされないこともある。特定の実施形態において、細胞産物の生物学的特徴は、臨床的有
効性をはじめとする有効性と相関している。
【0091】
特定の実施形態において、T細胞は、抗原、例えば、病原性またはがん(腫瘍を含む)
抗原(複数可)での初回および/または2回目またはその後の刺激に基づいて産生される
。T細胞の特異性および細胞傷害性を測定して、ある一定の複数の抗原特異的T細胞につ
いての臨床的有効性の見通しを得てもよい。その際、T細胞についての1つ以上の生物学
的測定値、例えば、細胞からの分泌化合物の量および/または細胞上の細胞表面マーカー
の量が評定される。1つ以上の生物学的測定値は、細胞内のものであってもよく、または
細胞表面でのものであってもよい。測定は、1回以上の刺激へのT細胞の曝露後、ある一
定の時間の後、例えば、1回以上の刺激後72時間以内だが約15分以内に行われ得る。
【0092】
特定の実施形態において、そのようなT細胞の生物学的測定値は、関係のない実体、例
えば、関係のないまたは無関係の標的(例えば、目的の特定の病原体またはがんに存在し
ない抗原)についての値と比較され得る。少なくともある一定の例において、関係のない
実体は、未操作のPBMCを含む、未操作の細胞である。少なくともある一定の事例にお
いて、所与の抗原に対するレスポンダーの百分率は、問題のT細胞についての生物学的測
定値と未操作の細胞対応物の値の比を使用して決定される。特定の事例において、所与の
抗原に対するレスポンダーの百分率は、細胞についての生物学的測定値を、未操作の細胞
対応物の生物学特性の値で割ることによって決定される。少なくとも一部の実施形態では
、そのような計算により、結果が1以上であった場合、T細胞がその方法で検定された個
体はレスポンダーと見なされ、計算結果が1未満であった場合には、T細胞がその方法で
検定された個体はノンレスポンダーと見なされる。
【0093】
T細胞に対する特異性に関して、抗原への細胞の曝露後に、例えば、抗原への少なくと
も2回の別々の曝露に伴ってある一定の化合物を産生する細胞の能力を検定することがで
きる。特定の実施形態において、特異的病原体またはがんのすべての抗原に指向された化
合物産生スポット形成細胞(SFC)の合計が、測定されることになる細胞の化合物の産
生によって決まる、SFC/(2×105インプット細胞)のある一定の値以上である場
合、細胞は特異的と見なされる。例えば、IFNγ産生については応答を測定するための
ベースラインは、≧20SFC/(2×105インプット細胞)であるが、グランザイム
Bについては応答を測定するためのベースラインは、≧10SFC/(2×105インプ
ット細胞)である。
【0094】
細胞の細胞傷害性の測定に関して、細胞傷害性は、共培養アッセイ、抗原負荷/発現標
的の非放射性および放射性標識を含む標準的な殺滅アッセイによって判定され得る。1つ
の特定の実施形態は、クロム放出アッセイを含み、このアッセイでは、T細胞がエフェク
ターとして利用され、標的が問題の抗原をパルスしたクロム標識自家PHAブラストであ
る。エフェクター対標的比は、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30
:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1;60:1、65:1、70
:1、75:1、80:1、85:1、90:1、または95:1などであり得る(また
は少なくとも前記比であってもよく、または前記比以下であってもよい)。細胞は、関連
抗原をパルスしたPHAブラストの特異的溶解の百分率が、無関係のT細胞産物または未
操作PBMCによって媒介される溶解より高い場合、特定の病原体または腫瘍抗原に対し
て細胞傷害性であると見なされ得る。一部の状況では、このアッセイにおける活性の閾値
は、(例えば、関係のないペプチド(例えば、目的の病原体にも目的の腫瘍にも存在しな
いペプチド)を発現する標的細胞の非特異的殺滅の百分率を減算した後)40:1のエフ
ェクター対標的比で10%特異的溶解と考えることができる。
【0095】
特定の複数の抗原特異的T細胞についての臨床的有効性は、抗原特異性および/または
細胞傷害性の関数として数学的に決定され得る。特定の実施形態において、細胞の有効性
の定量的値は、抗原特異的T細胞および未操作の対照細胞、例えば未操作のPBMC、に
ついての生物学的測定値を用い、かつ特異的殺滅についての値を用いる、数学的関係によ
って得られる。
【0096】
抗原特異性および細胞傷害性を考慮する具体的な数式の一例として、次のものが挙げら
れる:
【0097】
【0098】
- 式中、RTBは、[(Tbio-P)+1]/[(Tbio-U)+1]と定義さ
れ、この式が≧1の場合、RTB値は1に相当し、<1の場合、RTB値は0に対応し;
および
【0099】
-
RTKは、[TSpec-P/TCSpec]と定義され、この式が≧1の場合、
RTK値は1に相当し、<1の場合、
RTK値は0に対応する(
図38を参照されたい)
。
【0100】
Tbio-Pは、in vitro T細胞産物の生物学的特性(複数可)と定義され
、Tbio-Uは、未操作のPBMCまたは無関係の抗原の生物学的特性(複数可)であ
る。TSpec-P、すなわち、in vitro T細胞産物の特異的殺滅能力は、予
め定義されたエフェクター対標的比(例えば、40:1 エフェクター対標的比)で同種
抗原を発現する溶解されたHLA適合標的細胞の百分率であって、無関係のペプチド、す
なわち、予め定義されたエフェクター対標的比で目的の病原体内にも目的の腫瘍内にも存
在しない抗原またはマーカー、を発現する標的細胞の未操作のPBMCによる非特異的殺
滅の百分率(TCSpec)を減算した後の百分率と定義される。
【0101】
特定の実施形態において、上で言及した式について(RTB)+(RTK)の計算が1
以上である場合には、検定しているT細胞の集団は、臨床的に効果があることになる。そ
のような細胞を、治療有効量で、それを必要とする個体に投与してもよい。上で言及した
式について(RTB)+(RTK)の計算が1未満である場合、検定しているT細胞の集
団は、臨床的に効果がないことになる。そのような細胞を、治療有効量で、それを必要と
する個体に投与しなくてもよい。
【0102】
改変免疫細胞とそれらの臨床的有効性との数学的相関の具体的な例は、後段の実施例セ
クションで提供する。
【0103】
最後に、多数の産物が、式(RTB)+(RTK)≧1による定義に従って臨床用途に
利用可能である場合には、バイナリ出力への変換前に生数値データ(RTBおよび/また
はRTK)を使用して産物をランク付けすることができる。あるいは、補足式α(RTB
)+β(RTK)=φを適用することもできる。この補足式中、ファイは、臨床的有効性
変数と定義される(この値が高いほど「良好な」産物である)。
【0104】
【0105】
式中、RTBは、[(Tbio-P)+1]/[(Tbio-U)+1]から得られる
値と定義される
【0106】
式中、RTKは、[(%TSpec-P)/TCSpec]から得られる値と定義され
る
【0107】
式中、αおよびβは、変数に依存する重み付け係数と定義され、前記変数には、治療応
用、製造プロセス、ペプチド混合物、細胞株などが含まれるが、これらに限定されない
【0108】
式中、φは、治療用産物間の臨床的有効性のランキングを決定するために使用され得る
臨床有効性値と定義される
【0109】
IV.抗原特異的T細胞を生成する方法
【0110】
特定の実施形態において、本開示は、病原体(ウイルス、細菌もしくは真菌を含む)か
らの少なくとも1つの抗原を標的にする、または腫瘍抗原を含む他の疾患関連抗原を標的
にする、抗原特異的T細胞の発生に関する。本開示のある一定の態様において、本開示は
、例えば、少なくとも1つのウイルスからの抗原を標的にする抗原特異的T細胞の発生に
関する。
【0111】
一実施形態では、健常ドナーが試料、例えば、血液試料、またはロイコパックの白血球
アフェレーシス産物を提供する。PBMCが採取され、病原体全体または病原体の1つ以
上の部分に曝露される。細胞は、1つ以上のサイトカインに曝露されることもある。培養
下で少なくとも48時間後、細胞は、多数のチューブに分割され、個々の抗原で再抗原処
理される。細胞は、1つ以上のサイトカインに曝露されることもある。
【0112】
本開示の実施形態は、1つ以上の病原体またはがん抗原に対する特異性を有する抗原特
異的T細胞株の生成に関する。ある一定の実施形態において、そのような特異的を有する
抗原特異的T細胞の生成は、そのような株の調製には樹状細胞を用いないが、代替実施形
態では、樹状細胞を標準的な方法で用いる。一部の事例では、抗原は、該抗原の一部また
はすべてにわたる1つ以上のペプチドの形態で、PBMCに提示される。抗原特異的ペプ
チドは、pepmixと呼ばれることもあるペプチド混合物のライブラリーの状態でPB
MCに供給されることもある。本開示の他の実施形態では、抗原特異的T細胞の調製にお
いて、本開示により様々なpepmixをプールすることが可能になる。
【0113】
本開示の一部の実施形態では、本明細書に含まれているような抗原選択方法に続いて、
1つ、2つ、またはそれを超えるウイルスからの少なくとも1つ、2つ、またはそれを超
える抗原を標的にする抗原特異的T細胞を生成する方法があり、この方法は、複数の末梢
血単核細胞と、特定のウイルス抗原に対応するペプチドを各々が含む少なくとも2つのペ
プチドライブラリーとを接触させるステップ;および1つ以上のサイトカインの存在下で
前記複数の細胞を増殖させるステップを含む。特定の実施形態において、前記方法は、抗
原特異的T細胞を増殖させるステップの前に、単離されたペプチドパルス樹状細胞にライ
ブラリーを曝露するステップが存在しない状態で行われる。ある一定の実施形態において
、1つ以上のサイトカインは、IL4、IL7、IL12、IL21、IL15、IL6
およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。一部の実施形態において、ペプチ
ドは、ウイルス抗原の一部またはすべてにわたるような配列が重複しているペプチドとさ
らに定義される。例えば、ある一定の態様において、ペプチドは、少なくとも3、4、5
または6つのアミノ酸が重複しており、一部の実施形態において、ペプチドは、長さが少
なくとも6、7、または8アミノ酸以上である。
【0114】
本開示の少なくとも一部の方法において、該方法によって生成される抗原特異的T細胞
は、個体、例えば、易感染性個体に投与される。一部の事例では、個体は、自家幹細胞移
植を受けたことがある。特定の実施形態において、細胞は、例えば、静脈内、筋肉内、皮
内、皮下、腹腔内注射などのような、注射によって投与される。一部の実施形態において
、個体は、リンパ腫または白血病を有する。一部の実施形態において、抗原特異的T細胞
は、さらに、ポリクローナルCD4+およびCD8+抗原特異的T細胞と定義される。P
BMCは、個体にとって同種異系のものであってもよく、または個体にとって自家のもの
であってもよい。
【0115】
個体における感染症(または感染症のリスク、または感染症に対する易罹患性)は、い
かなる種類の病原体からのものであってもよいが、特定の実施形態において、感染症は、
1つ以上のウイルスの結果である。病原性ウイルスは、いかなる種類のものであってもよ
いが、特定の実施形態では、次の科のうちの1つからのものである:アデノウイルス科、
ピコルナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ヘパドナウイルス科、フラビウイルス科、レ
トロウイルス科、オルトミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、パポーバウイルス科
、ポリオーマウイルス、ラブドウイルス科、アレナウイルス科(Arenavirida
e)、カリシウイルス科(calciviridae)、コロナウイルス科(coron
aviridae)、パルボウイルス科(parvoviridae)、レオウイルス科
(reoviridae)、ポックスウイルス科(poxviridae)またはトガウ
イルス科。一部の実施形態において、ウイルスは、免疫優性もしくは準優性である抗原を
産生するか、または両方の種類を産生する。特定の事例では、ウイルスは、EBV、CM
V、アデノウイルス、BKウイルス、HHV6、RSV、インフルエンザ、パラインフル
エンザ、ボカウイルス、コロナウイルス、LCMV、流行性耳下腺炎、麻疹、メタニュー
モウイルス、パルボウイルスB、ロタウイルス、ウエストナイルウイルス、スペイン風邪
、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0116】
一部の態様において、感染症は、病原性細菌の結果であり、本開示は、あらゆるタイプ
の病原性細菌に適用可能である。例示的な病原性細菌としては、少なくとも、例えば、炭
疽菌、セレウス菌、ヘレンセラ菌、塹壕熱菌、百日咳菌、ボレリア・ブルグドルフェリ、
ボレリア・ガリニ、ボレリア・アフゼリ、回帰熱ボレリア、ウシ流産菌、イヌ流産菌、ヤ
ギ流産菌、ブタ流産菌、ジェジュニ菌、肺炎クラミジア、トラコーマクラミジア、オウム
病クラミジア、ボツリヌス菌、ディフィシル菌、ウルシュ菌、破傷風菌、ジフテリア菌、
エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、大腸菌、野兎病菌、インフルエンザ菌、
ピロリ菌、在郷軍人病菌、レプトスピラ・インターロガンス、レプトスピラ・サンタロサ
イ、レプトスピラ・ウェイリイ、レプトスピラ・ノグチイ、リステリア菌、らい菌、結核
菌、マイコバクテリウム・ウルセランス、肺炎マイコプラズマ、淋菌、髄膜炎菌、緑膿菌
、ロッキー山紅斑熱リケッチア、チフス菌、ネズミチフス菌、ソンネ菌、黄色ブドウ球菌
、表皮ブドウ球菌、腐性ブドウ球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、肺炎球菌、化
膿性連鎖球菌、梅毒トレポネーマ、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、コレラ菌、ペスト
菌、腸炎エルシニア、または偽結核菌が挙げられる。
【0117】
一部の態様において、感染症は、病原性真菌の結果であり、本開示は、あらゆるタイプ
の病原性真菌に適用可能である。例示的な病原性真菌としては、少なくとも、カンジダ属
(Candida)、コウジカビ属(Aspergillus)、クリプトコッカス属(
Cryptococcus)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ニューモ
シスチス属(Pneumocystis)、スタキボトリス属(Stachybotry
s)、ブラストミセス属(Blastomyces)、コクシジオイデス属(Cocci
dioides)、クラドスポリウム属(Cladosporium)、エクスセロフィ
ルム属(Exserohilum)、ペニシリウム・マルネッフェイ(Penicill
ium marneffei)、ムコール真菌類(mucormycetes)、スポロ
トリクス属(Sporothrix)、または白癬(Tinea)が挙げられる。
【0118】
本開示の一部の実施形態において、個体は、がんのリスクがあることもあり、またはが
んを有することもあり、本開示は、あらゆる型のがんに適用可能である。がんは、いかな
る種または起源のものであってもよいが、特定の実施形態では、次の型のものである:癌
腫、肉腫、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、黒色腫、脳および脊髄腫瘍、胚細胞腫瘍、
芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、カルチノイド腫瘍および良性腫瘍。特定の事例では、がんは
、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、副腎
皮質がん、AIDS関連がん、カポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、原発性CNSリンパ
腫、肛門がん、虫垂がん、星細胞腫、非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管
がん、膀胱がん、骨がん(ユーイング肉腫および骨肉腫および悪性線維性組織球腫を含む
)、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、消化管カルチノイド腫瘍、カルチノイド
腫瘍、心(心臓)腫瘍、胚芽腫、胚細胞腫瘍、リンパ腫、子宮頸がん、胆管細胞癌、脊索
腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性腫瘍
、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胚芽
腫、子宮内膜がん、上衣腫、食道のもの、感覚神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外
胚細胞腫瘍、卵管がん、骨線維性組織球腫、悪性のもの、および骨肉腫、胆嚢がん、胃(
Gastric)(胃(Stomach))がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質
腫瘍(GIST)、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、卵巣がん、精巣がん、妊娠性
絨毛性疾患、神経膠腫、ヘアリー細胞白血病、頭頸部がん、心臓腫瘍、肝細胞がん、ラン
ゲルハンス細胞組織球症、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、膵島細胞腫瘍
、膵神経内分泌腫瘍、膵がん、カポジ肉腫、喉頭がん、喉頭乳頭腫症、白血病、口唇およ
び口腔がん、肝がん、肺がん、非ホジキンリンパ腫、骨悪性線維性組織球腫、骨肉腫、黒
色腫、眼球内黒色腫、メルケル細胞癌、皮膚がん、中皮腫、悪性中皮腫、原発不明転移性
扁平上皮性頸部がん、NUT遺伝子が関与する正中線上の癌、口のがん-頭頸部がん、多
発性内分泌腫瘍症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、
骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、慢性骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、鼻
腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺がん
、口腔内がん、口唇および口腔がん、中咽頭がん、口腔がん、骨肉腫、膵がん、乳頭腫症
、傍神経節腫、副鼻腔および鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、褐色細胞腫
、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、原発性中枢神経系(CNS)
リンパ腫、腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、結腸直腸がん、腎細胞(腎)がん、網膜芽
細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、唾液腺腫瘍、肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、子宮肉腫、
子宮がん、血管腫瘍、セザリー症候群、皮膚がん、小細胞肺がん、小腸がん、軟部組織肉
腫、扁平上皮癌、扁平上皮性頸部がん、胃(Stomach)(胃(Gastric))
がん、皮膚T細胞リンパ腫、精巣がん、喉のがん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、甲状腺
腫瘍、腎盂および尿管の移行上皮がん、尿道がん、子宮がん、子宮内膜、子宮肉腫、膣が
ん、血管腫瘍、外陰がん、ワルデンストレームマクログロブリン血症(非ホジキンリンパ
腫)ならびにウィルムス腫瘍からなる群から選択される。
【0119】
本開示の一部の実施形態において、ペプチドのライブラリーは、抗原特異的T細胞を最
終的に生成するためにPBMCに供給される。ライブラリーは、特定の事例では、同じ抗
原の一部またはすべてにわたるペプチドの混合物(「pepmix」)を含む。本開示に
おいて用いられるpepmixは、市販のペプチドライブラリー、例えば、ある一定の態
様では、15アミノ酸長であり、11のアミノ酸が互いに重複している、ペプチドで構成
されている市販のペプチドライブラリーからのものであり得る。場合により、それらを商
業的に入手してもよく、または合成により生成してもよい。例としては、JPT Tec
hnoloties(バージニア州、スプリングフィールド)またはMiltenyi
Biotec(カリフォルニア州、オーバーン)からのものが挙げられる。特定の実施形
態において、ペプチドは、例えば、長さが少なくとも7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
、27、28、29、30、31、32、33、34または35アミノ酸以上であり、特
定の実施形態では、例えば、長さが少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、
25、26、27、28、29、30、31、32、33または34アミノ酸の重複があ
る。異なるペプチドの混合物は、いかなる比の、異なるペプチドを含んでいてもよいが、
一部の実施形態では、特定のペプチド各々が混合物中に別の特定のペプチドと実質的に同
数で存在する。
【0120】
特定の実施形態において、本開示に関する任意の種類の細胞を単独の好適な培地におい
て培養してもよく、またはサイトカインが補足された好適な培地において培養してもよく
、およびガス透過性培養デバイス(例えば、G-Rex10(Wilson Wolf
Manufacturing Corporation、ミネソタ州、ニューブライトン
)、他の培養装置、バイオリアクターもしくはシステムまたは組織培養プレート)で培養
してもよい。培地および/またはサイトカインを補充してもよく、培養物を好適な期間の
後、分割してもよい。特定の実施形態では、例えばIL7、IL4、IL15、IL12
、IL21および/またはIL2を含む、1つ以上の特定のサイトカインが用いられる。
【0121】
T細胞を調製する実施形態は、複数の末梢血単核細胞を1つ、2つ、またはそれを超え
るペプチドライブラリーと接触させるステップであって、前記ペプチドライブラリー(単
数または複数)の各々が、1つ以上の特定の抗原に対応するペプチドを含むものである、
ステップと;前記複数の細胞を、1つ以上のサイトカイン、任意選択的にIL4、IL1
5、IL21、IL12、IL6および/またはIL7の存在下で増殖させるステップと
を含み得る。
【0122】
V.本開示のキット
【0123】
本明細書に記載のいずれの組成物も、キットに含まれることがある。非限定的な例では
、細胞、サイトカイン、試料抽出器具、細胞培養培地、細胞培養フラスコ、ペプチド、タ
ンパク質、ウイルスおよび/または他の試薬がキットに含まれることがある。
【0124】
キットは、本開示において用いられる適切に小分けされた組成物を含み得る。キットの
組成物は、水性培地中に入っている状態または凍結乾燥形態のいずれかで包装され得る。
キットの容器手段は、成分を入れること、好ましくは、適切に小分けすることができる、
少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、瓶、注射器または他の容器手段を一般に
含むことになる。キット内に1つより多くの成分が存在する場合、キットは、追加の成分
を別々に入れることができる第2の、第3のまたは他の追加の容器も一般に含むことにな
る。しかし、成分の様々な組み合わせがバイアルに含まれることもある。本開示のキット
は、商業販売のために厳重に密封された状態で組成物を収容する手段も概して含むことに
なる。そのような容器としては、所望のバイアルが保持される射出またはブロー成形プラ
スチック容器を挙げることができる。特定の実施形態において、キットは、血液細胞およ
び/または骨髄細胞を採取するための1つ以上の手段を含む。
【0125】
キットの成分が1つおよび/またはそれを超える溶液の状態で備えられている場合、そ
の溶液は、水溶液であり、滅菌水溶液が特に好ましい。組成物は、注射用組成物に製剤化
されることもある。その場合、容器手段自体が、注射器、ピペットおよび/または他のそ
のような器具であってもよく、それ(それら)から製剤を身体の患部に適用すること、動
物に注射すること、ならびに/またはさらにはキットの他の成分に適用および/もしくは
キットの他の成分と混合することができる。しかし、キットの成分は、乾燥粉末(複数可
)として備えられていることもある。試薬および/または成分が乾燥粉末として備えられ
ている場合、粉末を好適な溶媒の添加によって再構成することができる。前記溶媒が別の
容器手段に備えられてもよいことが想定される。
【実施例0126】
本明細書で提供する実施例は、本開示の特定の実施形態を実証するために含めるもので
ある。以下の実施例において開示する技術が、本発明の実施に当たってよく機能すること
を本発明者が見いだした技術の代表であること、したがって、その実施の好ましい方式に
相当すると考えることができることは、当業者には理解されるはずである。しかし、本開
示の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示する特定の実施形態に多くの変更を加え
、なお同様のまたは類似の結果を得ることができることは、本開示にかんがみて当業者に
は理解されるはずである。