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特開2024-45280ポリ二フッ化ビニリデンの粒子のコポリマーまたはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーの粒子の集団を生産する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045280
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ポリ二フッ化ビニリデンの粒子のコポリマーまたはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーの粒子の集団を生産する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/14 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
C08J3/14 CEW
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024007499
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2020551916の分割
【原出願日】2019-03-26
(31)【優先権主張番号】18164395.8
(32)【優先日】2018-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシェ,マクシミリアン アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】クロース,ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ポイカート,ヴォルフガング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリ二フッ化ビニリデン(=PVDF)またはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーの粒子の集団を生産する方法を提供する。
【解決手段】ポリマーは、16.6MPa1/2~25MPa1/2の範囲にある全ハンセン溶解度パラメータを有するジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、アセチルトリブチルシトラート、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルフタラート、イソアミルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、イソブチルアセタート、エチルベンゾアート、エチルシンナマート、n-ヘキシルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、n-ブチルアセタート、およびプロピルアセタートから選択される有機溶媒に加熱溶解され、ポリマー粒子が形成されるまで溶液を冷却し、該粒子を分離する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの粒子の集団を生産する方法であって、前記ポリマーは、ポリ二フッ化ビニリデン(=PVDF)またはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーであり、ここでポリマーは、有機溶媒に溶解され、前記溶媒の分子は、3~22個の炭素原子、ヘテロ原子として1個以上の酸素原子、および、炭素原子を含む最大1個の炭素環式または複素環式残基を含むか、またはそれらからなり、その炭素環式または複素環式残基が芳香族残基であり、ここで炭素環式または複素環式残基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子から取られ、ここで1個以上の酸素原子が、
少なくとも1つのカルボン酸エステル基またはカルボニル基の一部であり、前記カルボン酸エステル基およびカルボニル基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子のうちの1つである、または/および
少なくとも1つのエーテル基および最大で3つのヒドロキシル基の一部であり、前記少なくとも1つのヒドロキシル基が存在する場合、エーテル基の数が、常にヒドロキシル基の数を超え、
ここで炭素原子が3つのみ存在する場合、分子は、追加で少なくとも1つの擬ハロゲン、または追加で、ハロゲン、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を含み、以下のステップ:
a)少なくともポリマーが完全に溶解するまで、溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーを加熱すること、
b)ポリマー粒子が形成されるまで溶液を冷却すること、および
c)ステップb)の間に形成された粒子を溶液から、またはステップb)の間に形成されたゲルから分離すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
ポリマーの重量が、溶媒およびポリマーの総重量に対して、0.01wt.%~50wt.%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶液の混濁が開始するまで冷却が行われ、前記冷却は、濁りがさらに増加しなくなるまで少なくとも継続され、前記冷却は、混濁の発生後、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において継続され、または溶液の冷却が、混濁の発生において少なくとも5分間停止され、および次いで、溶液は、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において冷却され、または溶液の冷却は、混濁の発生後、最大3℃まで継続され、および次いで、少なくとも5分間停止され、および次いで、溶液が、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において冷却される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)における冷却が、別々の手順において前に決定された温度である混濁が開始する温度よりも12℃~0.01℃高い温度で、少なくとも5分間中断される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
冷却の中断が、5分~150分の範囲にある時間維持される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
溶媒および/または溶液が、ステップa)およびb)の間、撹拌される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
溶液の主要な部分において層流が形成され、その層流が、少なくともステップb)の実施の主要な時間にわたって維持されるように、溶液がステップb)の間、撹拌される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
溶媒が、16.6MPa1/2~25MPa1/2の範囲にある全ハンセン溶解度パラメータを有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粒子の集団中の少なくとも96%の粒子が、5μm~200μmの範囲にある粒子サイズを有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子のハウスナー比が、1.00~1.25であり、および/または、粒子の50%が、10μm~150μm以下である等体積球相当径(=VESD)を有し、および/または粒子のスパンが、1.0~1.75の範囲にあり、ここでスパンは、粒子集団の90%が下にあるVESD(=x90,3)と粒子集団の10%が下にあるVESD(=x10,3)との差と、粒子集団の50%が下にあるVESD(=x50,3)との比として定義される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶媒および溶媒に浸漬される固体ポリマーが、ステップa)において、174℃未満の温度まで加熱される、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溶媒の分子が、ハロゲン、O、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個の追加のヘテロ原子を含むか、または少なくとも1つの擬ハロゲンまたはさらなる擬ハロゲン、とりわけ-CN、-N、-OCN、-NCO、-CNO、-SCN、-NCS、-SeCNから選択される擬ハロゲンを含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらなるヘテロ原子および追加のヘテロ原子が、N、B、PおよびSから選択される、請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、アセチルトリブチルシトラート、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルフタラート、イソアミルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、イソブチルアセタート、エチルベンゾアート、エチルシンナマート、n-ヘキシルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、n-ブチルアセタート、またはプロピルアセタート、およびとりわけ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、アセトフェノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチルシンナマートベンズアルデヒド、ジメチルフタラート、エチルベンゾアート、n-ヘキシルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、イソアミルアセタート、アセチルトリブチルシトラートまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートである、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
焼成シリカ、焼成金属酸化物またはカーボンブラックおよび/または色素、帯電防止剤、難燃剤、熱安定化剤、抗酸化剤および/またはポリソルベートが、ステップa)において溶媒に、または、ポリマー粒子が形成される前にステップa)またはステップb)の間に溶液に添加される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップc)において溶液またはゲルから分離された粒子が、洗浄および/または乾燥および/または解凝集される、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれか一項に記載の方法に従って生産される粒子の集団。
【請求項18】
付加製造、とりわけポリマーの、選択的レーザー焼結(=SLS)、選択的レーザー融解(=SLM)、粉末床融合プロセスまたはレーザービーム融解のための、またはラッカーの生産における添加剤としての、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法に従って生産される粒子の集団の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーの粒子の集団を生産する方法であって、ここでポリマーは、ポリ二フッ化ビニリデン(=PVDF)またはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーであり、ここで集団中の少なくとも96%の粒子は、5μm~200μmの範囲にある粒子サイズを有し得る、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DE 26 26 358 A1は、ポリエステルを分解または劣化することなく、ポリエステル含有材料に含有されるポリエステルを回収する方法を開示している。該方法は、材料のポリエステル含有量が減少しないように選択された条件下で、上昇した温度においてポリエステルを極性溶媒に溶解することを含む。その結果得られる高温の溶液は、溶液に含有されるポリエステルが結晶化し始める温度まで冷却される。冷却速度は、ポリエステルの沈殿粒子のサイズを制御するために調整される。
【0003】
EP 0 742 251 A1は、混合ポリマーリサイクルストリームからPETを含有する混合ポリマーをリサイクルするためのプロセスを開示している。該プロセスは、混合ポリマーリサイクルストリームを、ポリエステルを選択的に溶解する溶媒と接触させ、PETを含有する選択溶媒を残余混合ポリマーから分離し、選択溶媒を冷却してポリエステルを沈殿させ、ポリエステルを分離し、それによって回収することを含む。
【0004】
EP 0 850 982 A2は、混合ポリマーリサイクルストリームから微細多孔性固体としてポリエステルポリマーを回収するためのプロセスを開示している。該方法は、上昇した温度において、混合ポリマーリサイクルストリームを、ポリエステルポリマーが可溶性であり、リサイクルストリーム中に存在する他のポリマーが実質的に不溶性である選択溶媒と接触させて、選択溶媒中のポリエステルポリマーの溶液を形成することを含む。前記溶液中のポリエステルの濃度が35wt.%未満である場合、それはその値を超えるまで増大する。選択溶媒溶液は、冷却され、ポリエステルポリマーに富む固体ポリマードメインの相互接続相(interconnected phase)と、選択溶媒に富む溶媒ドメインの相とを有する固体材料を形成する。選択溶媒は、固体材料から抽出されて、微細多孔性固体を形成する。
【0005】
EP 0 376 653 A2は、結晶化可能なポリエステル、ポリカルボナートまたはポリアミドポリマーまたはそれらのブレンドの微粒子を作製するための非摩擦的方法であって、ポリマーにとって適度な溶媒中の場合、ポリマーの混合物を適度な溶媒中でポリマーの融点超の温度まで加熱すること、および次いで、冷却するとすぐ粒子が混合物から再結晶することを含む、前記方法を開示する。
【0006】
Nichols, M. E. and Robertson, R. E, Journal of Polymer Science: Part B: Polymer Physics, Vol. 32, 573-577 (1994)から、ビスフェノール-Aエポキシのジグリシジルエーテル中の溶液からの結晶化による、小さなポリ(ブチレンテレフタタート)球の調製が知られている。PBTは、230℃においてこのエポキシに溶解した。次いで、PBTの溶液を特定の温度まで冷却し、様々な時間、典型的には、155℃で20分間、PBTが溶液から沈殿する時間、保持した。次いで、アセトンで繰り返し洗浄することにより、PBT粒子を液体エポキシ樹脂から分離した。粒子をオーブン内で50℃で4時間乾燥させ、いずれの残余溶媒も除去した。乾燥した粒子はおおよそ23μmの直径を有していた。
【0007】
JP H03128940 Aから、圧力容器内でポリ二フッ化ビニリデン樹脂をメチルグリコールに熱溶解し、その結果得られる溶液を撹拌下で約70℃まで冷却して、50μm以下の粒子直径を有する粉末を沈殿させることにより、微細粉末状ポリ二フッ化ビニリデン樹脂を生産することが知られている。樹脂と溶媒との重量比を(1:8)~(1:12)の間で変化させることにより、粒子直径分布は30μmの範囲内で変化する。
【0008】
WO2007 / 133912 A2は、レーザー焼結プロセスにおけるフルオロポリマー、とりわけポリフッ化ビニリデンおよびそのコポリマー、またはポリクロロトリフルオロエチレンおよびそのコポリマーの粉末の使用を開示している。この文献によれば、フルオロポリマー粉末は、噴霧乾燥、凍結乾燥、および粉末形成の他の方法の使用により、エマルションまたは懸濁重合から直接的に粉末を形成することができる。粉末の平均粒子サイズは100ミクロン未満であり、典型的には40ミクロン~80ミクロンの範囲にある。粒子サイズは、極低温粉砕やふるい分けおよび/または分類(classifying)などの既知の手段によって、レーザー焼結プロセスのために調整および最適化することができる。
【0009】
発明の概要
本発明により解決されるべき課題は、PVDFの粒子またはPVDFを含むコポリマーの粒子を生産するための代替の方法を提供すること、その方法により生産された粒子およびその方法に従って生産された粒子の使用を提供することである。粒子は、とりわけ選択のプロセスを適用することなく、相対的に球状である、および/または、相対的に狭い範囲の粒子サイズを有する。
問題は、本発明の請求項1、17および18の主題により解決される。本発明の態様は、請求項2~16の主題である。
【0010】
本発明に従って、ポリマーの粒子の集団を生産する方法であって、ここでポリマーは、ポリ二フッ化ビニリデン(=PVDF)またはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーである、前記方法が提供される。ポリマーは、有機溶媒に溶解される。溶媒の分子は、3~22個の炭素原子、ヘテロ原子として1個以上の酸素原子、および炭素原子を含む最大1個の、すなわち0または1つの炭素環式または複素環式残基(その炭素環式または複素環式残基は芳香族残基である)を含む、またはそれらからなる。炭素環式または複素環式残基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子から取られる炭素原子である。1個以上の酸素原子は、
少なくとも1つのカルボン酸エステル基またはカルボニル基、ここでカルボン酸エステル基およびカルボニル基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子のうちの1つである、または/および
少なくとも1つのエーテル基および最大で3つ、すなわち0、1、2または3つのヒドロキシル基、ここで少なくとも1つのヒドロキシル基が存在する場合、エーテル基の数は、常にヒドロキシル基の数を超える、
の一部である。
【0011】
カルボニル基は、アルデヒド基中に存在していてもよい。3個の炭素原子のみが存在する場合、分子は、追加で少なくとも1つの擬ハロゲン、または追加で、ハロゲン、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を含む。さらなるヘテロ原子がS原子である場合、それは、任意に、スルホン残基の一部ではない。擬ハロゲンは、-CN、-N、-OCN、-NCO、-CNO、-SCN、-NCS、-SeCNから選択されてもよい。用語「溶媒の分子」は、溶媒が、水でないか、少なくとも完全に水を含まない場合、通常、溶媒のすべての分子または溶媒の主要な部分の分子を意味する。炭素環式または複素環式残基が芳香族残基であるという特色は、PVDFを溶解することができないか、または球状粒子をもたらさないラクタム、ラクトン、およびシクロペンタノンおよびシクロヘキサノンなどの非芳香族環状ケトンを具体的に除外する。
【0012】
10~22個の炭素原子、ヘテロ原子としての1個以上の酸素原子、および炭素原子を含む、最大でも1つ、すなわち0または1つの炭素環式または複素環式残基(その炭素環式または複素環式残基は芳香族残基である)からなる溶媒の分子は、1種類の分子のみ、または様々な種類の分子からなってもよい。それが様々な種類の分子からなっている場合、溶媒は溶媒の混合物である。上で定義された溶媒は、25℃超、とりわけ50℃超、とりわけ75℃超、とりわけ100℃超の溶媒の温度でのみポリマーを完全に可溶化する。これは、溶媒が、25℃以下の温度、とりわけ50℃以下の温度、とりわけ75℃以下の温度、とりわけ100℃以下の温度で、ポリマーを完全に可溶化しないか、または少なくとも完全に可溶化しないことを意味する。
【0013】
本発明に従った方法は、以下のステップ:
a)溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーを、少なくともポリマーが完全に溶解するまで加熱すること、すなわち、溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーを、少なくとも第1の温度まで加熱すること、ここでポリマーは、第1の温度において完全に溶解する、ここで、第1の温度は、結果として得られる溶液が濁りを示さないことにより示される、
b)ポリマー粒子が形成されるまでステップa)から得られる溶液を冷却すること、すなわち、溶液を第2の温度または温度範囲まで冷却すること、ここで第2の温度は、冷却した際に、ポリマー粒子が形成される温度であり、ここで温度範囲は、冷却した際に、ポリマー粒子が形成される温度範囲である、および
c)ステップb)の間に形成された粒子を、溶液から、またはステップb)の間に溶液から形成されたゲルから分離すること、
を含む。
【0014】
第1の温度は、結果として得られる溶液が濁りを示さなくなるまで、溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーを加熱すること、および濁りが完全に消失する温度を測定することにより決定される。濁度は光散乱を測定することにより測定されてもよい。ステップa)およびb)間の溶媒および/または溶液の混合は、とりわけ、消極的な対流により、または溶媒および/または溶液を積極的に撹拌することにより、例として、かき混ぜることにより、ステップa)およびb)の各々のいずれかについて、独立して、行われてもよい。ある態様において、ステップb)の間、溶液の主要な部分、とりわけ60%超、とりわけ70%超、とりわけ80%超、とりわけ85%超において、層流が形成され、層流が、少なくともステップb)の実施の主要な時間、ステップb)の実施の主要な時間のとりわけ60%超、とりわけ70%超、とりわけ80%超、とりわけ85%超、とりわけ100%、維持されるように、溶液は撹拌される。小さな乱流は層流の液体に接触する表面で常に発生するため、溶液の100%での層流は不可能である。溶液の主要な部分の層流は、極めて均一で球状の粒子の形成をもたらす。
【0015】
第2の温度または温度範囲において、ポリマー粒子は形成される。第2の温度は、冷却した際にポリマー粒子が形成される、または形成し始める温度であり、温度範囲は、冷却した際にポリマー粒子が形成し始める温度および冷却した際に粒子がさらに形成されない温度内の範囲である。ステップb)における冷却は、第2の温度または温度範囲においてポリマー粒子が形成されるまで実施されてもよい。しかしながら、第2の温度に到達したときにポリマー粒子が自発的に形成されず、溶液がこの第2の温度でしばらく維持された場合にのみ形成されることもあり得る。粒子の形成は、溶液の粘度を測定することによって、とりわけ溶液を攪拌する攪拌器の電力入力を測定することによって、または光学的に、とりわけ溶液中の光散乱を測定することによって、または当技術分野で知られている他の物理的方法によって観察されてもよい。
【0016】
粒子の集団において、少なくとも96%、とりわけ少なくとも97%、とりわけ少なくとも98%、とりわけ少なくとも99%、とりわけ100%の粒子は、5μm~200μmの範囲にある粒子サイズを有し得る。粒子サイズは、等体積球相当径(=VESD)であるものとして、理解される。この粒子サイズは、静的光散乱、レーザー回折、顕微鏡、とりわけ光学顕微鏡、これに続く画像分析、堆積物分析、およびディスク遠心分離の使用により決定され得る。
コポリマーは、50wt.%超、とりわけ60wt.%超、とりわけ70wt.%超、とりわけ80wt.%超、とりわけ85wt.%超、とりわけ90wt.%超、とりわけ95wt.%超のPVDFを含むコポリマーであってもよい。
【0017】
PVDFは、二フッ化ビニリデンの重合によって生産される熱可塑性フルオロポリマーである。本発明による方法を実施するために、ステップa)で溶解されるポリマーは、例として、市販の顆粒または粉末として、またはPVDFバーまたは別の半製品のPVDF製品から切り取ることにより得られた、ポリマーの小片の形態で存在していてもよい。溶液の冷却は、例として、熱交換器の使用により、または周囲との通常の温度交換により溶液をクールダウンすることにより、積極的に実施されてもよい。
【0018】
溶媒の分子は、ハロゲン、O、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個の追加のヘテロ原子を含んでいてもよく、または少なくとも1つの擬ハロゲン、または ―擬ハロゲンが分子中に既に存在する場合― 少なくとも1のさらなる擬ハロゲンを含んでいてもよい。擬ハロゲンまたはさらなる擬ハロゲンは、-CN、-N、-OCN、-NCO、-CNO、-SCN、-NCS、-SeCNから選択されてもよい。追加のヘテロ原子がS原子である場合、それは、任意に、スルホン残基の一部ではない。ある態様において、溶媒の分子は、最大でも4個、3個または2個の追加のヘテロ原子を含む。
【0019】
ある態様において、さらなるヘテロ原子および追加のヘテロ原子は、N、B、PおよびSから選択され、すなわち、さらなるヘテロ原子および追加のヘテロ原子は、ハロゲンではない。多くの場合、ハロゲンを含む溶媒は、有毒である。これらの溶媒の取り扱いは困難であり、使用に伴う環境負荷のためにそれらの使用は問題があり、結果として生じる粒子は有毒な溶媒の残留物を含有する可能性がある。
【0020】
ステップa)において、ポリマーが溶解され得る好適な溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、アセチルトリブチルシトラート、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルフタラート、イソアミルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、イソブチルアセタート、エチルベンゾアート、エチルシンナマート、n-ヘキシルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、n-ブチルアセタート、またはプロピルアセタート、とりわけジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートまたはアセチルトリブチルシトラート、とりわけジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートである。
【0021】
JP H03128940Aから溶媒として知られているメチルグリコールの沸点は124℃である。PVDFはこの温度 -おそらく125~135℃の範囲の温度- を超えると溶解するので、圧力容器を使用してそれをこの溶媒に溶解する必要がある。JP H03128940 Aから知られている方法とは対照的に、この方法で使用される溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、アセトフェノン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチルシンナマートベンズアルデヒド、ジメチルフタラート、エチルベンゾアート、n-ヘキシルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、イソアミルアセタート、アセチルトリブチルシトラートまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートなどのメチルグリコールよりも高い温度で沸騰する溶媒である場合、これは本発明による方法では必要とされない。これらの溶媒は、沸騰せずにPVDFを溶解することができる。
【0022】
さらにまた、化学物質の登録、評価、認可および制限(REACH)と呼ばれる欧州連合の規制によれば、上記のすべての溶媒は、長時間または繰り返し暴露することにより、生殖能力を損傷させ、胎児に損傷を与え、臓器に損傷を与える可能性があり、可燃性があり、飲み込んだり、皮膚に接触したり、吸入したりすると有害であることを特徴とするメチルグリコールよりも問題が少なく危険が少ない。メチルグリコールを使用することから生じる安全性の問題の他にも、メチルグリコール溶液から得られる粒子中の残留溶媒は、上記の問題のある危険な特徴を粒子に負わせる。
【0023】
溶媒としてイソブチルアセタートまたはプロピルアセタートを用いて実施される本発明による方法の具体的な利点は、その結果得られる粒子が、メチルグリコールから沈殿した粒子よりもはるかに少ない溶媒を含有することである。したがって、ポリマーの選択的レーザー焼結(=SLSまたはLS)または選択的レーザー溶融(=SLM)、粉末床溶融プロセス、またはレーザービーム溶融(=LBM)に使用した場合、それらの収縮ははるかに少なくなる。この特色により、本発明の方法において、溶媒としてイソブチルアセタートまたはプロピルアセタートから沈殿した粒子を用いた場合、メチルグリコールから沈殿させた粒子を用いた場合よりもより高い精度で製品を生産することができる。
【0024】
本発明による方法の利点は、この方法によって生成される粒子の集団が相対的に狭い範囲の粒子サイズを有すること、すなわち、該方法は、該方法からすぐさま生じる極めて狭い粒子サイズ分布をもたらすことである。多くの出願のための特定のサイズを有する粒子の追加の選択、例としてふるい分けが、要求されない。さらにまた、該方法から生じる粒子は、相対的に球状である。粉砕により生産される不均一な形状の粒子とは対照的に、これは、粒子の、高い充填密度およびかさ密度、ならびに優れた流動性をもたらす。これらの特色により、該方法で生産された粒子の集団は、ポリマーの選択的レーザー焼結(=SLS)、選択的レーザー溶融(=SLM)、粉末床溶融プロセス、またはレーザービーム溶融などの付加製造(additive manufacturing)における使用に理想的である。粒子の均一性およびそれらの良好な流動性に起因して、微細構造が生成され得、それは粒子の最大直径と同じくらい薄い壁厚を有する。さらにまた、上記の特色は、ラッカーの生産における添加剤として粒子を極めて好適にする。とりわけ、相対的に球状な形態および良好な流動性は、ラッカーの保管中にラッカーにおける懸濁粒子の凝集を防ぐ。これとは対照的に、不均一な形状の粒子は、凝集する傾向にある。
【0025】
溶媒およびポリマーの総重量に対するポリマーの重量は、0.01wt.%~50wt.%の範囲、とりわけ0.1wt.%~45wt.%の範囲、とりわけ0.2wt.%~40wt.%の範囲、とりわけ0.25wt.%~35wt.%の範囲、とりわけ0.5wt.%~30wt.%の範囲、とりわけ0.75wt.%~25wt.%の範囲、とりわけ1wt.%~15wt.%の範囲にあってもよい。略語「wt.%」は、「重量パーセント」を意味する。適切なポリマー濃度を選択することにより、粒子のより球状である形態および/またはより狭い粒子サイズ分布を実現することができる。
【0026】
冷却は、溶液の混濁が開始するまで、すなわち、第3の温度に到達するまで(第3の温度において溶液の混濁が開始する)実施されてもよい。「混濁」は、濁りの形成を意味する。次いで、少なくとも濁りがさらに増加しなくなるまで、すなわち、第4の温度に到達するまで(第4の温度において濁りがさらに増加しない)、冷却を継続することができる。結果として、第3の温度は、冷却した際に溶液の混濁が開始する温度であり、第4の温度は、冷却した際に濁りがさらに増加しない温度である。溶媒または溶液の濁度または光散乱は測定されてもよく、第1、第2、第3および第4の温度のそれぞれ、ならびに温度範囲は、粒子が生成される手順の間に、または手順とは別々の手順で決定してもよい。第1、第2、第3および第4の温度のそれぞれは、他の温度とは独立して決定することができる。
【0027】
別々の手順は、本発明による方法を実施する場合に、第1、第2、第3および/または第4の温度の夫々が既知であるように、1回のみ実施してもよい。別々の手順は、本発明に従って実施される方法と、ポリマーが同じ濃度で同じ溶媒に溶解される実験であり得る。この別々の手順はまた、夫々の温度が決定された、これまでに実施された本発明による方法であってもよい。
【0028】
第3の温度における混濁の開始は、液体-液体相分離を指す。相分離の間、前者の均一なポリマー溶液は、2相に分離する。第3の温度において、ポリマーに富んだ相の液滴は、ポリマーに乏しい外相のマトリックスにおいて形成する。液滴中のポリマーの濃度は、冷却プロセスを開始する場合の総ポリマー濃度よりも高い。本発明者らは、相対的に均一で球状の粒子の生成のための理由は、第3の温度に到達した後に冷却を停止することまたはゆっくりとのみクールダウンすることであり、マトリックスから液滴への残余ポリマーの拡散により、およびオストワルド熟成により、および合体により、第3の温度において溶液の混濁が開始する際に形成される極めて小さい液滴が、より大きな液滴の形成を可能にすることを推測した。本発明者らは、液滴の大分部の成長は、液滴中のポリマーの結晶化の開始により停止することをさらに推定した。液滴内でのポリマーの結晶化は、第3の温度において維持されるイソ熱において、またはさらなる冷却の際に、開始し得る。溶液中の均一な温度プロファイルは、すべての液滴において、相対的に同時に開始する結晶化をもたらす。これは、サイズにおいて相対的に均一で、相対的に球状の粒子を導く。均一な温度プロファイルは、第3の温度に到達した後ゆっくりと冷却することより、または少なくとも5分間、第3の温度または第3の温度よりも最大3℃低い温度において溶液を維持することにより、支持される。このことから、第2の温度と第3の温度が同一であり得ることは明らかである。
【0029】
混濁の発生後、すなわち、第3の温度に到達した後、冷却は、0.05℃/分~5℃/分、とりわけ0.1℃/分~2℃/分、とりわけ0.4℃/分~1.6℃/分、とりわけ0.6℃/分~1.5℃/分の範囲の速度で継続することができ、または溶液の冷却は、混濁の発生時に停止することができ、または溶液の冷却は、混濁の発生時後、最大3℃で継続し、次いで停止することができ、すなわち、溶液は、第3の温度、または第3の温度より最大3℃低い温度で維持することができる。冷却の停止または第3の温度または第3の温度未満の温度を維持することは、少なくとも5分間、とりわけ少なくとも10分間、とりわけ少なくとも20分間、とりわけ少なくとも30分間維持することができ、次いで、溶液は、0.05℃/分~5℃/分、とりわけ0.1℃/分~2℃/分、とりわけ0.4℃/分~1.6℃/分、とりわけ0.6℃/分~1.5℃/分の範囲の速度において冷却することができる。この場合において、0.05℃/分~5℃/分、とりわけ0.1℃/分~2℃/分、とりわけ0.4℃/分~1.6℃/分、とりわけ0.6℃/分~1.5℃/分の範囲を超える冷却速度を防ぐために、または少なくとも5分間、とりわけ少なくとも10分間、とりわけ少なくとも20分間、とりわけ少なくとも30分間、第3の温度において溶液を維持するために、ステップb)の間、溶液を加熱することが要求されてもよい。
【0030】
本発明の態様において、冷却は、停止されるか、または溶液は、5分~150分、とりわけ10分~130分、とりわけ20分~115分、とりわけ30分~100分、とりわけ40分~90分、とりわけ50分~75分、とりわけ55分~70分の範囲にある時間、第3の温度において維持される。冷却が停止される、または溶液が第3の温度において維持される時間の延長は、粒子の均一性および/またはサイズを増加させ得る。
【0031】
ステップb)における冷却が、少なくとも5分間、とりわけ少なくとも10分間、とりわけ少なくとも15分間、12℃~0.01℃、とりわけ11.5℃~1℃、とりわけ11℃~2℃、とりわけ10℃~3℃、とりわけ8℃~4℃の温度、混濁が開始する温度超(その温度は、別々の手順において、前に決定される)において中断される場合、真球度、均一性および/または粒子サイズの狭い範囲は、増大し得る。これは、ステップb)における冷却が第5の温度で中断されることを意味し、ここで第5の温度は、12℃~0.01℃、とりわけ11.5℃~1℃、とりわけ11℃~2℃、とりわけ10℃~3℃、とりわけ8℃~4℃、第3の温度超の範囲の任意の温度であり、ここで溶液は、少なくとも5分間、とりわけ少なくとも10分間、とりわけ少なくとも15分間、前記第5の温度で維持され、ここで第3の温度は、別の手順で前に決定される。別々の手順は、第5の温度において冷却が中断される手順と同じ濃度において同じ溶媒にポリマーが溶解される実験であり得る。この別々の手順において、濁りは、連続的なクールダウンの間、例として、1分あたり1~5℃の速度において測定され、第3の温度は、混濁が開始する温度として決定される。別々の手順はまた、これまでに実施された本発明に従った方法であってもよい。
【0032】
クールダウンの中断または第5の温度までのみの冷却の効果についての理由は、溶液の混濁が観察または測定さえされ得る前に、極めて小さいポリマーに富んだ液滴が形成され得ることである。これらの極めて小さい液滴において、核形成が開始され得る。このプロセスの間に形成された核は、とりわけ第3の温度において、および第3の温度未満であるが、第5の温度において、粒子を形成する不均一な核形成のための構造の開始として役割を果たし得る。第5の温度で粒子が形成される場合、第2の温度と第5の温度は同一である。
【0033】
冷却の中断は維持されてもよく、すなわち溶液は、5分~150分、とりわけ10分~120分、とりわけ15分~60分、とりわけ15分~35分、とりわけ20分~30分の範囲の時間、第5の温度で維持されてもよい。
好適な有機溶媒の選択に関して、全ハンセン溶解度パラメータが用いられ得る。全ハンセン溶解度パラメータδは、式δT 2 = δD 2 + δP 2 + δH 2に従って、またはDr. techn. Charles M. Hansen, Jens Bornoesvej 16, 2970 Hoersholm, Denmarkから入手可能なHSPiPソフトウェアの使用により、またはwww.hansen-solubility.comを介して、計算され得、ここでδD、δPおよびδHは、Dr. techn. Charles M. Hansenにより開発された方法に従って、経験的に決定され、www.hansen-solubility.comにおいて説明されている。全ハンセン溶解度パラメータδの例は、以下の表に与えられる。
【0034】
【表1】
【0035】
ヒルデブランド溶解度パラメーターは、Polymer Handbook, 4th Edition, J. Brandrup, ISBN-10: 0471479365; ISBN-13: 978-0471479369から入手可能である。
好適な溶媒は、16.6MPa1/2~25MPa1/2の範囲、とりわけ17MPa1/2~25MPa1/2、とりわけ17.1MPa1/2~25MPa1/2、とりわけ17.2MPa1/2~24.9MPa1/2の範囲、とりわけ17.4MPa1/2~24.8MPa1/2の範囲にある全ハンセン溶解度パラメータを有する溶媒であってもよい。
【0036】
粒子の均一性およびそれらの球状の形状により、それらは、相対的に高いノック密度を有する。これは、ハウスナー比として表すことができる。ハウスナー比は、自由に積もった粉末のかさ密度と粉末のタップされたかさ密度との比である。ハウスナー比は、粉体の流動性と相関する。ハウスナー比は、材料の絶対的な特性ではない。その値は、それを決定するために使用される方法論によって異なる場合がある。本発明の目的のために、ハウスナー比は、ERWEKA GmbH, Heusenstamm, Germanyから購入した市販のタッピング装置SVM10の、2mmの振幅および4Hzのストローク周波数を有する100ストロークでの使用により決定される。
【0037】
粒子のハウスナー比は、1.00~1.25、とりわけ1.00~1.15、とりわけ1.00~1.10であり得る。
粒子の50%は、10μm~150μm以下、とりわけ30μm~90μm以下、とりわけ35μm~90μm以下、とりわけ40μm~90μm以下、とりわけ45μm~90μm以下である等体積球相当径(=VESD)を有していてもよい。
【0038】
粒子サイズ分布の幅についての測定は、スパンである。スパンは、粒子集団の90%が下にあるVESD(=x90,3)と粒子集団の10%が下にあるVESD(=x10,3)との差と、粒子集団の50%が下にあるVESD(=x50,3)との比として定義され、すなわち、スパンは、((x90,3-x10,3)/x50,3)である。
粒子のスパンは、1.0~1.75の範囲、とりわけ1.0~1.5の範囲、とりわけ1.0~1.35の範囲、とりわけ1.0~1.25の範囲であってもよい。
【0039】
ある態様において、溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーは、ステップa)において、174℃未満の温度まで加熱され、すなわち第1の温度は、PVDFの融点より低い温度である。PVDFの融点は約175℃である。ステップa)においてポリマーが溶解される溶媒は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートであってもよい。溶媒の選択がその結果得られる粒子の真球度およびその結果得られる粒子の集団の粒子サイズ分布に影響を与えることを、本発明者らは見出した。前述の溶媒は、狭い範囲の粒子サイズを有する粒子の集団において特に球状の粒子をもたらす。
【0040】
さらにまた、本発明者らは、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートが、ポリマーの融点のはるかに下の、相対的に低い温度において、ポリマーが溶解することを認識していた。この溶液温度は、請求項1に記載の第1の温度である。これは、溶媒および溶媒中のポリマーの濃度に依存する。ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートについて、それは、126℃~135℃の範囲にある。
【0041】
ポリマー粒子が形成される前に、すなわち、第2の温度に到達する前のステップa)またはステップb)の間に溶液に、またはステップa)の溶媒に、少なくとも1つの添加剤を加えることは可能である。添加剤は、核形成を支持するための添加剤、または最終的な粒子の流れを支持する添加剤であってよい。両方の場合において、この添加剤は、焼成シリカ、特に疎水性焼成シリカ、焼成金属酸化物またはカーボンブラックであってもよい。カーボンブラックは、The Cary Company, Addison, IL 60101, USAから購入したPRINTEX(登録商標)U粉末であってもよい。焼成金属酸化物は、Evonik Resource Efficiency GmbH, Rodenbacher Chaussee 4, 63457 Hanau-Wolfgang, Germanyから購入したAeroxide(登録商標)Alu C、Aeroxide(登録商標)Alu 65、Aeroxide(登録商標)Alu 130、Aeroxide(登録商標)Alu C 805;Aeroxide(登録商標)TiO2 P25、Aeroxide(登録商標)TiO2 P90、Aeroxide(登録商標)TiO2 T 805およびAeroxide(登録商標)TiO2 NKT 90であってもよい。疎水性焼成シリカは、Evonik Resource Efficiency GmbH, Rodenbacher Chaussee 4, 63457 Hanau-Wolfgang, Germanyから購入したAerosil(登録商標)R 106またはAerosil(登録商標)R 812、またはWacker Chemie AG, Munich, Germanyから購入した、HDK(登録商標)20またはHDK(登録商標)30などの、疎水性HDK(登録商標)焼成シリカであってもよい。
【0042】
さらにまた、添加剤は、ポリソルベート、とりわけポリソルベート85などの形成されたポリマーに富んだ液滴を安定化させるための添加剤であってもよい。ポリソルベート85は、例として、Merck KgaA, Darmstadt, Germanyによって、商品名Tween(登録商標)85として流通している。
【0043】
添加剤の各々は、0.01wt.%~3wt.%、とりわけ0.05wt.%~2wt.%、とりわけ0.1wt.%~1wt.%の濃度範囲で添加されてもよい。これらの添加剤の効果は、きわめて微細な粒子の生成が防止されること、および粒子の集団の流動特性が改善されることである。さらにまた、得られる粒子の多孔性を低減することができ、得られる粒子の真球度を、添加剤、とりわけポリソルベートによって増大させることができる。言及した添加剤の代わりに、またはそれに加えて、顔料、例として、レーザーエネルギー吸収を支持するための顔料としての二酸化チタンまたはすす、および/または熱安定化、帯電防止効果または難燃効果などの特定の機能を提供する任意の他の添加物を添加することもまた可能である。添加剤はまた、抗酸化剤などの粒子の安定化のための添加剤であってもよい。抗酸化剤は、粒子を熱酸化分解から保護する。それは、一級抗酸化剤、とりわけ、二級芳香族アミンまたはフェノール系抗酸化剤、とりわけ、立体障害のある一級フェノール系抗酸化剤、とりわけIrganox(登録商標)1010の商標名の下でBASF Corporationから購入することができる、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナートであってもよい。抗酸化剤はまた、一級抗酸化剤と共に二級抗酸化剤でもあり得る。二級抗酸化剤は、チオエーテル、有機硫化物、または有機オルガノ-ホスファイト、例えば、Irgafos(登録商標)12の商標名の下でBASF Corporationから購入することができる、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミンであり得る。帯電防止効果を有する添加剤は、スルホン酸アルキルでありってもよい。難燃効果を有する添加剤は、メラミンポリホスファート(MPP)と組み合わせたアルミニウムジエチルホスフィナート(AlPi)であってもよい。
【0044】
ステップc)において溶液またはゲルから分離された粒子は、洗浄および/または乾燥および/または解凝集されてもよい。乾燥は、例として、真空乾燥オーブン中で、約24時間、45℃で、約600mbarの圧力で行ってもよい。解凝集は、乾燥の間または後に、撹拌により達成されてもよい。例えば、解凝集は、すべての粒子がふるい、とりわけ、最大粒子サイズのメッシュ、例として、200μmメッシュを有するふるいを通過するまで、ふるい内で凝集粒子を攪拌することによって達成することができる。残余粒子はふるいに残らないので、ふるい分けは選択的プロセスではない。
【0045】
本発明は、本発明の方法に従って生産される粒子の集団にさらに関する。該粒子の集団は、とりわけ選択のプロセスを粒子の集団に適用しない場合において、粒子の相対的に球状の形態、および集団における粒子サイズ分布の極めて狭い範囲により、既知の粒子の集団と異なる。
本発明は、ラッカーの生産における添加剤としての、またはポリマーの選択的レーザー焼結(=SLS)、選択的レーザー融解(=SLM)、粉末床融合プロセスまたはレーザービーム融解などの、付加製造のための、本発明の方法に従って生産される粒子の集団の使用にさらに関する。ラッカーは、2以上の層に適用される被覆システムの一部であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
以下において、本発明は、例を用いて説明される:
図1図1は、種々の濃度におけるジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートに溶解されたPVDFについての、第1の温度(=溶液温度)および第3の温度(=濁りの終了)を示す。
図2図2a~2cは、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート中の種々のPVDF濃度を有するPVDFの溶液から沈殿したPVDF粒子の走査電子顕微鏡(=SEM)写真を示す。
図3図3は、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート中の種々のPVDF濃度を有するPVDFの溶液から沈殿したPVDF粒子の集団の粒子サイズ分布を示す。
図4図4は、溶解したPVDF粒子試料のゲル浸透クロマトグラフィー測定の結果を示す。
図5図5は、本発明による方法における種々の好適な溶媒を用いて、およびメチルグリコールを用いて、得られた粒子を表に示す。
図6図6は、相対的に球状の粒子を生産するために好適でない溶媒を表に示す。
【0047】
ポリマーの粒子の集団を生産するための一般的な実験手順:
40gまたは100gの総重量を有する調製物をオートクレーブで加熱および撹拌した。温度を、感熱素子の使用により継続的に測定した。さらにまた、濁度を光度計の使用により常時測定した。濁度はまた、視覚的にも決定することができる。第1の温度に到達した後、この温度を15分間維持した。次いで、攪拌と加熱を停止した。その後、溶液をクールダウンし、温度と濁度を常時測定し、クールダウンを制御した。溶液が約50℃の温度に到達した後、オートクレーブを開き、溶液またはゲル中に形成された粒子を吸引フィルターの使用により溶液から、およびゲルが形成された場合には、ゲルからの粒子を洗浄し、次いで洗浄液を吸引フィルターに通過させることによりゲルから、分離した。フィルター上の粒子をエタノールの使用により洗浄した。次いで、粒子を約24時間、約600mbar、45℃の真空オーブンで乾燥させた。得られた粉末を、粒子の解凝集を達成するために200μmメッシュのふるいの使用によりふるいにかけた。代替的に、乾燥の間、粒子を攪拌することにより、凝集物の形成を防ぐことができた。
少なくとも1つの添加剤を添加する場合、ポリマーを溶解する前に添加剤を溶媒に添加した。
【0048】
特定の例:
PVDFスライスは、直径1cmを有するPVDFバーからスライスを切り取ることによって生産され、このバーは、Erwin Telle GmbH, Sigmundstrasse 176, 90431 Nuremberg, Germanyから購入した。第1の例において、2gのこれらのPVDFスライスを、38gのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートと一緒にオートクレーブに入れた。第2の例において、4gのPVDFスライスを36gのジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートと一緒にオートクレーブに入れた。したがって、調製物中のPVDF含量は、第1の例では5wt.%、第2の例では10wt.%であった。両方の例において、オートクレーブを閉じ、調製物を500rpmで撹拌した。調製物を200℃に加熱した。PVDFをジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタートに完全に溶解するために、200℃を15分間~30分間維持した。次いで、加熱および撹拌を停止し、溶液を0.8℃/分の速度で約50℃までクールダウンした。濁度は、PVDFを同じ濃度で同じ溶媒に溶解する別々の手順で測定した。図1は、PVDFの種々の濃度を有する溶液について、溶液温度、すなわち、溶液を加熱する場合に、溶媒中のポリマーが完全に溶解した結果として、溶液の濁りが消失する温度を示す。図1は、溶液の濁りが開始する温度、すなわち、これらの溶液について、第3の温度をさらに示す。5wt.%PVDFの濃度を有する溶液について、第3の温度は約106℃であった。図1は、第1の温度と第3の温度がポリマー濃度に依存することを示す。
【0049】
約50℃の温度に到達した後、オートクレーブを開き、濾紙を含むブフナー漏斗の形の吸引フィルターを使用する吸引分離によって、形成された粒子を溶液から分離した。濾紙上の粒子をエタノールで洗浄した。その後、粒子を真空乾燥オーブン中で約24時間、約600mbarの圧力および45℃で乾燥させた。乾燥中に攪拌が生じなかったため、プロセスの間に形成された凝集物は破壊されなかった。解凝集のために、凝集した粒子を、ふるい上に残余物が残らなくなるまで、200μmメッシュのふるいで攪拌した。
【0050】
第1の例から得られた粒子の走査顕微鏡(=SEM)写真を図2aに示し、第2の例から得られた粒子のSEM写真を図2bおよび2cに示す。図2a~2cから、粒子が相対的に球状であることを理解することができる。
【0051】
得られた粒子サイズ分布を、図3に示す。Q(x)およびq(x)の意味は、以下のとおりである:
(x):粒子サイズxの体積累積分布、ここで、粒子サイズは、すべての粒子の累積体積の値1に対して正規化された等体積球相当径(VESD)として定義される。Q(x)が0.5である場合、すべての粒子の半分は、その値に対応するVESDを有する粒子の体積と等しいか、それよりも小さい体積を有する。この直径は、x50,3または平均直径として指定される。VESDを、Malvern Panalytical GmbH, Kassel, Germanyから購入したMastersizer 2000を用いたレーザー回折により決定した。VESDは、粒子が5wt.%溶液から得られた場合、湿性懸濁液から、粒子が10wt.%溶液から得られた場合、乾燥した粒子から決定される。
(x):特定のVESDを有する粒子の頻度を示す頻度分布。
【0052】
図3は、5wt.%および10wt.%ポリマー濃度についてのQ(x)およびq(x)値を示す。5wt.%PVDF含有溶液から得られた粒子の平均VESDは、約37μmであり、スパン((x90,3-x10,3)/x50,3)は、約1.2であった。10wt.%PVDF含有溶液から得られた粒子の平均VESDは、約65μmであり、スパン((x90,3-x10,3)/x50,3)は、約1.4であった。
【0053】
モル質量分布を測定するために、ジ(エチレングリコール)モノブチルエーテルアセタート(=DEGBEA)、メチルグリコール(=2-メトキシエタノール)、ジメチルフタラート(=DMP)、n-ペンチルアセタートおよびエチルシンナマートから沈殿させたPVDF粒子の試料を、60℃において、ジメチルアセトアミド(=DMAc)に溶解した。その結果得られる溶液を、溶離液としてDMAcおよび臭化リチウムの混合物を用いて、屈折率計、粘度計、光散乱検出器を備えたトリプル検出ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(Viscotek TDA 305, Malvern Panalytical Ltd, United Kingdom)を使用して分析した。測定値は、分子量が定義された種々のポリスチレン標準で校正された。したがって、PVDFの測定された分子量は、等価ポリスチレン分子量で示される。図4は、ポリスチレンで校正されたPVDF粒子試料のモル重量の関数としての、PVDF粒子試料の正規化されたポリスチレン校正モル重量分布密度を示す、これらのGPC測定の結果を示す。測定は、試験された溶媒が粒子中のPVDFの分子量に影響を与えないこと、すなわち、溶媒がPVDFの劣化を引き起こさないこと、を示す。
【0054】
図5は、PVDF粒子を生産するための当技術分野で知られているメチルグリコールを含む、首尾よく試験された、溶媒およびこれらの溶媒の詳細を表に示す。図4および5にその結果が示されるすべての試験は、4gのPVDFスライスを36gの所与の溶媒と一緒にオートクレーブに入れ、これに続いて撹拌し、200℃に加熱することによって実施した。200℃は15分間~30分間維持された。次いで、加熱と攪拌を停止し、PVDFが溶解していない溶液または溶媒を0.8℃/分の速度で約50℃までクールダウンした。約50℃の温度に到達した後、オートクレーブを開き、形成された粒子または未溶解のPVDF片を上記のように溶液から分離した。
【0055】
図5による表は、分子式、δ、δおよびδの値、および結果として得られる全ハンセン溶解度パラメーターδ、構造式、およびほとんどの溶媒について、夫々の溶媒での本発明による方法によって得られた粒子の電子顕微鏡画像を含む。これらのすべての溶媒は、相対的に球形の粒子をもたらすが、画像は、粒子の形態および表面が溶媒の関数として互いに逸脱していることを示す。
【0056】
図6は、本発明による方法で試験された溶媒およびこれらの溶媒の詳細を表に示す。これらの溶媒はPVDFを可溶化できなかったか、平坦ではあるが球状ではない粒子をもたらした。図6の溶媒の構造式と図5の溶媒の構造式との比較は、カルボン酸エステル基、カルボニル基、またはエステル基の不在、1超の炭素環式芳香族残基、非芳香族環状ケトン、溶媒分子中にヒドロキシル基が存在する場合において、ヒドロキシル基よりも多くのエーテル基の不在は、本発明による方法のための溶媒の使用可能性を妨げることを明確にする。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図5-6】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーの粒子の集団を生産する方法であって、前記ポリマーは、ポリ二フッ化ビニリデン(=PVDF)またはポリ二フッ化ビニリデンを含むコポリマーであり、ここでポリマーは、有機溶媒に溶解され、前記溶媒の分子は、3~22個の炭素原子、ヘテロ原子として1個以上の酸素原子、および、炭素原子を含む最大1個の炭素環式または複素環式残基を含むか、またはそれらからなり、その炭素環式または複素環式残基が芳香族残基であり、ここで炭素環式または複素環式残基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子から取られ、ここで1個以上の酸素原子が、
少なくとも1つのカルボン酸エステル基またはカルボニル基の一部であり、前記カルボン酸エステル基およびカルボニル基中の炭素原子は、前記3~22個の炭素原子のうちの1つである、または/および
少なくとも1つのエーテル基および最大で3つのヒドロキシル基の一部であり、前記少なくとも1つのヒドロキシル基が存在する場合、エーテル基の数が、常にヒドロキシル基の数を超え、
ここで炭素原子が3つのみ存在する場合、分子は、追加で少なくとも1つの擬ハロゲン、または追加で、ハロゲン、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個のさらなるヘテロ原子を含み、以下のステップ:
a)少なくともポリマーが完全に溶解するまで、溶媒および溶媒中に浸漬した固体ポリマーを加熱すること、
b)ポリマー粒子が形成されるまで溶液を冷却すること、および
c)ステップb)の間に形成された粒子を溶液から、またはステップb)の間に溶液から形成されたゲルから分離すること、
を含み、
前記溶媒が、16.6MPa 1/2 ~25MPa 1/2 の範囲にある全ハンセン溶解度パラメータを有するものであり、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、アセチルトリブチルシトラート、アセトフェノン、ベンズアルデヒド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルフタラート、イソアミルアセタート、エチレングリコールn-ブチルエーテルアセタート、イソブチルアセタート、エチルベンゾアート、エチルシンナマート、n-ヘキシルアセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ペンチルアセタート、トリアセチン、n-ブチルアセタート、およびプロピルアセタートからなる群から選択される、前記方法。
【請求項2】
ポリマーの重量が、溶媒およびポリマーの総重量に対して、0.01wt.%~50wt.%の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶液の混濁が開始するまで冷却が行われ、前記冷却は、濁りがさらに増加しなくなるまで少なくとも継続され、前記冷却は、混濁の発生後、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において継続され、または溶液の冷却が、混濁の発生において少なくとも5分間停止され、および次いで、溶液は、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において冷却され、または溶液の冷却は、混濁の発生後、最大3℃まで継続され、および次いで、少なくとも5分間停止され、および次いで、溶液が、0.05℃/分~5℃/分の範囲の速度において冷却される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップb)における冷却が、別々の手順において前に決定された温度である混濁が開始する温度よりも12℃~0.01℃高い温度で、少なくとも5分間中断される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
冷却の中断が、5分~150分の範囲にある時間維持される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
溶媒および/または溶液が、ステップa)およびb)の間、撹拌される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
溶液の主要な部分において層流が形成され、その層流が、少なくともステップb)の実施の主要な時間にわたって維持されるように、溶液がステップb)の間、撹拌される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
粒子の集団中の少なくとも96%の粒子が、5μm~200μmの範囲にある粒子サイズを有する、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
粒子のハウスナー比が、1.00~1.25であり、および/または、粒子の50%が、10μm~150μm以下である等体積球相当径(=VESD)を有し、および/または粒子のスパンが、1.0~1.75の範囲にあり、ここでスパンは、粒子集団の90%が下にあるVESD(=x90,3)と粒子集団の10%が下にあるVESD(=x10,3)との差と、粒子集団の50%が下にあるVESD(=x50,3)との比として定義される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
溶媒と、溶媒に浸漬される固体ポリマーとが、ステップa)において、174℃未満の温度まで加熱される、請求項1からまでのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
溶媒の分子が、ハロゲン、O、N、B、PおよびSから選択される少なくとも1個の追加のヘテロ原子を含むか、または少なくとも1つの擬ハロゲンまたはさらなる擬ハロゲンを含む、請求項1から10までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
さらなるヘテロ原子および追加のヘテロ原子が、N、B、PおよびSから選択される、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
溶媒が、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、イソブチルアセタート、またはプロピルアセタートである、請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
焼成シリカ、焼成金属酸化物またはカーボンブラックおよび/または色素、帯電防止剤、難燃剤、熱安定化剤、抗酸化剤および/またはポリソルベートが、ステップa)において溶媒に、または、ポリマー粒子が形成される前にステップa)またはステップb)の間に溶液に添加される、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ステップc)において溶液またはゲルから分離された粒子が、洗浄および/または乾燥および/または解凝集される、請求項1から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法に従って生産される粒子の集団。
【請求項17】
付加製造のための、またはラッカーの生産における添加剤としての、請求項1から15までのいずれか一項に記載の方法に従って生産される粒子の集団の使用。
【外国語明細書】