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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045295
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】防災連動システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20240326BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G08B25/04 F
G08B17/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024008448
(22)【出願日】2024-01-24
(62)【分割の表示】P 2019231122の分割
【原出願日】2019-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】火災報知システムの非火災報に連動した入退出管理システムの一斉解錠を低減して、火災受信に対し一斉解錠するシステム連動を有効に活用する。
【解決手段】火災報知システムに入退出管理システムを連動する防災連動システムとして、火災受信機14が火災警報を出力した場合に高感度に設定変更した設定感度に基づき火災を判断して入退出制御盤26に移報信号を送信し、入退出制御盤26が電気錠30を解錠する。或いは、火災受信機14が火災警報を出力した場合に移報信号を送信して入退出制御盤26がセキュリティの優先度の低いエリアの電気錠30を解錠し、火災現場の確認に必要な時間経過後も入退出制御盤26が移報信号を受信する場合にはセキュリティの優先度の高いエリアの電気錠30を解錠する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災感知器からの火災信号を火災受信機で受信し、設定感度に基づき火災を判断した場合に火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの情報を入退出制御装置で受信して登録情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
前記火災受信機は、前記火災警報を出力した場合、前記設定感度より高感度に設定変更し、当該設定変更した高感度に基づき火災を判断した場合に移報信号を前記入退出制御装置に送信し、
前記入退出制御装置は、前記火災受信機が送信した移報信号を受信した場合に、電気錠を解錠させることを特徴とする防災連動システム。
【請求項2】
火災感知器による火災信号を火災受信機で受信して火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの情報を入退出制御装置で受信して登録情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
前記火災受信機は、前記火災警報を出力した場合に第1移報信号を前記入退出制御装置に送信し、前記第1移報信号の送信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても前記火災信号の受信が継続している場合に第2移報信号を前記入退出制御装置に送信し、
前記入退出制御装置は、前記第1移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの前記電気錠を解錠させ、前記第2移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の高いエリアの前記電気錠を解錠させることを特徴とする防災連動システム。
【請求項3】
火災感知器による火災信号を火災受信機で受信して火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの情報を入退出制御装置で受信して登録情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
前記火災受信機は、前記火災警報を出力した場合に移報信号を前記入退出制御装置に送信し、
前記入退出制御装置は、前記移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの前記電気錠を解錠させ、前記移報信号の受信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても前記移報信号が停止していない場合に、セキュリティの優先度の高いエリアの前記電気錠を解錠させることを特徴とする防災連動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災を監視する火災報知システムと利用者の入退出を認識して電気錠を制御する入退出システムを連動して動作させる防災連動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルなどの施設にあっては、火災感知器からの火災信号を受信機で受信して火災警報を出力すると共に移報信号を出力する火災報知システムを設置して火災を監視しており、また、扉外側に設置したカードリーダ等の読取端末で読み取った利用者ID情報を入退出制御装置で受信して予め登録した登録利用者ID情報との一致を判別した場合に扉の電気錠を解錠する入退出管理システムを設置して関係者以外の第三者が施設内に入らないように管理している。
【0003】
ところで、施設に設置している扉の電気錠を制御する入退出管理システムは、火災が発生した場合に避難行動や消防活動の障害となる恐れがある。このため火災報知システムの受信機が火災信号を受信して警報した場合に出力する移報信号を入退出管理システムに送って全ての電気錠を一斉解錠するシステム連動を行い、避難行動や消防活動を妨げることがないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-037438号公報
【特許文献2】特開2004-310629号公報
【特許文献3】特開平10-63961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかながら、このような従来の火災報知システムからの移報信号により入退出管理システムで電気錠の一斉解錠を制御するようにした連動システムにあっては、火災以外の原因による火災感知器の火災信号を火災受信機が受信して警報する非火災報を出力した場合にも、移報信号により入退出管理システムで電気錠の一斉解錠が行われ、入退出管理システムによる施設のセキュリティが損なわれてしまう問題がある。
【0006】
このため火災報知システムからの移報信号により入退出管理システムで電気錠の一斉解錠を制御するように連動していても、実際の運用においては、火災報知システムからの移報信号による入退出管理システムの一斉解錠の制御機能を停止する移報停止操作を行うことで非火災報に対処するような運用を行う可能性が高く、火災報知システムから移報信号により入退出管理システムの電気錠を一斉解錠するシステム連動により避難行動や消防活動を妨げないようにする機能が活用されない問題がある。
【0007】
本発明は、火災報知システムの非火災報に連動した入退出管理システムの一斉解錠を低減して、火災信号の受信に対し一斉解錠するシステム連動を有効に活用可能とする防災連動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(第2発明:火災受信機の感度変更後の火災信号受信により移報して一斉解錠)
本願の第2発明は、火災感知器からの火災信号を火災受信機で受信し、設定感度に基づき火災を判断した場合に火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの情報を入退出制御装置で受信して登録識別情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
火災受信機は、火災警報を出力した場合、設定感度より高感度に設定変更し、当該設定変更した高感度に基づき火災を判断した場合に移報信号を入退出制御装置に送信し、
入退出制御装置は、火災受信機が送信した移報信号を受信した場合に、電気錠を解錠させることを特徴とする。
【0009】
(第3発明:優先度による一斉解錠制御)
本願の第3発明は、火災感知器の火災信号を火災受信機で受信して火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの識別情報を入退出制御装置で受信して登録識別情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
火災受信機は、火災警報を出力した場合に第1移報信号を入退出制御装置に送信し、第1移報信号の送信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても火災信号の受信が継続している場合に第2移報信号を入退出制御装置に送信し、
入退出制御装置は、第1移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの電気錠を解錠させ、第2移報信号を受信した場合にセキュリティの優先度の高いエリアの電気錠を解錠させることを特徴とする。
【0010】
(第4発明:優先度による一斉解錠制御の別形態)
本願の第4発明は、火災感知器による火災信号を火災受信機で受信して火災警報を出力する火災報知システムと、
読取端末からの識別情報を入退出制御装置で受信して登録情報との一致を判別した場合に電気錠を解錠する入退出管理システムと、
を連動させる防災連動システムに於いて、
火災受信機は、火災警報を出力した場合に移報信号を入退出制御装置に送信し、
入退出制御装置は、移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの電気錠を解錠させ、移報信号の受信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても移報信号が停止していない場合にセキュリティの優先度の高いエリアの電気錠を解錠させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
(第2発明による効果)
本願の第2発明によれば、火災受信機は、設定感度に基づき火災感知器から受信した火災信号から火災を判断して火災警報を出力した場合、設定感度より高感度に設定変更し、当該設定変更した高感度に基づき火災を判断した場合に移報信号を入退出制御装置に送信し、入退出制御装置は、火災受信機が送信した移報信号を受信した場合に、電気錠を解錠させるようにしたため、設定感度に基づき火災感知器の火災信号から火災を判断して警報した段階では移報信号を入退出制御装置に送信しないことから、非火災報に対し電気錠を解錠することを確実に防止し、火災報知システムで非火災報があっても入退出管理システムのセキュリティが損なわれることがない。
【0012】
また、火災を判断して警報した場合、それまでの設定感度より高感度に変更して再度火災を判断しており、実火災による火災信号であれば、変更した高感度に基づき確実に再度火災が判断され、移報信号の送信により入退出制御装置による電気錠の一斉解錠を迅速に行って、避難行動や消防活動に適切に対処可能とする。
【0013】
一方、非火災報の場合は、高感度に変更してから再度火災を判断する間に一過性の火災以外の原因が解消し、高感度に変更しても火災が判断されず、移報信号の送信がないことで、非火災報に連動した一斉解錠を確実に防止可能とする。
【0014】
(第3発明による効果)
本願の第3発明によれば、火災受信機は、火災感知器による火災信号を受信して火災警報を出力した場合に第1移報信号を入退出制御装置に送信し、第1移報信号の送信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても火災信号の受信が継続している場合に第2移報信号を入退出制御装置に送信し、入退出制御装置は、火災受信機が送信した第1移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの電気錠を解錠させ、火災受信機が送信した第2移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の高いエリアの電気錠を解錠させるようにしたため、火災以外の原因による火災感知器の発報による火災信号を受信して警報する非火災報では、第1移報信号の送信によりセキュリティの優先度の低いエリアに設置している電気錠だけが一斉解錠され、セキュリティの優先度の高いエリアに設置している電気錠は一斉解錠されず、第2移報信号が送信されるまでの間に現場確認により非火災報であれば火災受信機の復旧操作により第1移報信号の送信が停止し、これによりセキュリティの優先度の低いエリアに設置している全ての電気錠の一斉解錠をリセットして一斉施錠し、火災報知システムで非火災報があっても入退出管理システムのセキュリティが損なわれることがない。
【0015】
また、火災感知器が火災により発報した場合には、第1移報信号から火災現場の確認に必要な時間経過後に第2移報信号が送信されてセキュリティの優先度の高いエリアに設置している電気錠の一斉解錠も行われ、避難行動や消防活動に適切に対処可能とする。
【0016】
(第4発明による効果)
本願の第4発明によれば、火災受信機は、火災感知器による火災信号を受信して火災警報を出力した場合に移報信号を入退出制御装置に送信し、入退出制御装置は、火災受信機が送信した移報信号を受信した場合に、セキュリティの優先度の低いエリアの電気錠を解錠させ、移報信号の受信から火災現場の確認に必要な時間を経過しても移報信号が停止していない場合に、セキュリティの優先度の高いエリアの電気錠を解錠させるようにしたため、火災以外の原因による火災感知器の発報による火災信号を受信して警報する非火災報では、移報信号の送信によりセキュリティの優先度の低いエリアに設置している電気錠だけが一斉解錠され、火災現場の確認に必要な所定時間を経過するまでは、セキュリティの優先度の高いエリアに設置している電気錠は一斉解錠されず、その間に現場確認により非火災報であれば火災受信機の復旧操作により移報信号の送信が停止し、これによりセキュリティの優先度の低いエリアに設置している全ての電気錠の一斉解錠をリセットして一斉施錠し、火災報知システムで非火災報があっても入退出管理システムのセキュリティが損なわれることがない。
【0017】
また、火災感知器が火災により発報した場合には、移報信号の受信から火災現場の確認に必要な時間経過後にセキュリティの優先度の高いエリアに設置している電気錠の一斉解錠も行われ、避難行動や消防活動に適切に対処可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】火災報知システムに入退出管理システムを連動する防災連動システムの概略を示した説明図
図2】第1発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図
図3図2のシステム連動動作を信号形式で示したタイムチャート
図4図2のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャート
図5】蓄積受信を行う図2のシステム連動動作を信号形式で示したタイムチャート
図6】蓄積受信を行う図2のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャート
図7】第2発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図
図8図7のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャート
図9】第3発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図
図10図9のシステム連動動作を信号形式で示したタイムチャート
図11】第4発明におけるシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
[防災連動システムの概要]
図1は火災報知システムに入退出管理システムを連動する防災連動システムの概要を示した説明図である。
【0020】
(火災報知設備の概要)
図1に示すように、火災報知システム10は火災受信機14を備え、火災受信機14から警戒区域毎に感知器回線L1~Lnを引き出し、コモン線Cとの間に、感知器回線L1に代表して示すように、火災感知器16を接続している。
【0021】
火災感知器16は所謂オンオフ型の煙感知器又は熱感知器等であり、火災に伴う煙や熱等の物理現象の変化を検出して発報し、火災信号を火災受信機14に送信する。火災受信機14は感知器緯線L1~Ln単位に火災を監視する所謂P型の火災受信機であり、火災感知器16からの火災信号を受信すると火災警報を出力する。
【0022】
火災受信機14の火災警報動作は、火災感知器16からの火災信号を受信した場合、火災代表灯を点灯又は点滅して火災警報音を出力すると共に火災発報のあった感知器回線に対応した地区表示灯を点灯又は点滅して火災発生区域を示し、また、地区音響警報の出力制御等を行う。
【0023】
また、火災受信機14は火災感知器16からの火災信号を受信して火災警報を出力した場合、火災以外の原因による火災感知器16からの火災信号を受信して火災警報を出力する非火災報か、実火災により火災感知器16からの火災信号を受信して火災警報を出力する火災報かを確認するため、所定の処理動作を行い、実火災による火災報を確認した場合は入退出管理システム12に移報信号を送信して連動動作を行わせ、一方、非火災報を確認した場合は入退出管理システム12に対し移報信号を送信せずに非連動とする制御を行う。
【0024】
(入退出管理システムの概要)
図1に示すように、入退室管理システム12は、通信制御装置20、管理室等に配置するウェブサーバ機能を備えたセンタ装置22、センタ装置22にアクセス可能なクライアント24、各部屋の近傍等に配置する入退出制御盤26、各部屋の扉の出口側に配置するカードリーダ28、および、各扉に配置する電気錠30等で構成している。
【0025】
通信制御装置20はセンタ装置22をRS422等のシリアル伝送回線21で接続し、また入退出制御盤26をRS485等のシリアル伝送回線25で接続し、更に、火災受信機14とRS232等の移報用に使用するシリアル伝送回線18で接続し、センタ装置22と入退出制御盤26の間で相互にデータ伝送や制御伝送を可能とし、更に、火災受信機14からセンタ装置22を経由して入退出制御盤26に移報信号を伝送可能としている。クライアント24はイーサネット(登録商標)などのLAN回線23によりセンタ装置22に接続し、センタ装置22にアクセスしてまた入退出管理情報の参照や閲覧を可能としている。
【0026】
入退室管理システム12の運用に際しては、各部屋に出入りすることが許される利用者の利用者ID情報(利用者識別情報)をセンタ装置22に事前設定し、この利用者ID情報を入退出制御盤26にアップロードして登録する。
【0027】
利用者が各部屋に出入りする場合、自己の利用者ID情報を記録した接触型又は非接触型のカードをカードリーダ28に通したり近接させたりすると、カードリーダ28で読み取られた利用者ID情報が入退出制御盤26に送信され、登録した利用者ID情報との照合が行われる。入退出制御盤26は利用者ID情報の一致を判別した場合には、電気錠30を解錠して利用者の入室を可能とし、利用者ID情報が一致しない場合には、電気錠30を施錠状態のまま保持して利用者の入室を拒否する。
【0028】
また、入退出制御盤26は、センタ装置22を経由して火災受信機14が送信した移報信号を受信した場合、電気錠30の全て又は事前設定した特定の電気錠30の全てを解錠する一斉解錠制御を行う。
【0029】
[第1発明の実施形態]
図2は本願の第1発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図である。
【0030】
(火災受信機の構成)
図2に示すように、火災受信機14は制御部32を備え、制御部32は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0031】
制御部32に対しては受信部34、復旧部36、操作部42、表示部44、警報部46及び移報部48を設けている。
【0032】
受信部34は、感知器回線L1~Lnに対応して設け、火災感知器16からの火災信号を受信して出力する。復旧部36は感知器回線L1~Lnに対する電源供給を一時的に遮断して発報した火災感知器16を復旧させる。
【0033】
操作部42には、主音響停止スイッチ、地区音響停止スイッチ、移報停止スイッチ等を設けている。表示部44には、火災代表灯、地区表示灯等の火災監視に必要な各種の表示灯やディスプレイ等の表示器を設けている。
【0034】
警報部46はスピーカを備え、主音響による火災警報を出力すると共に、スイッチ操作に伴う操作音や各種のガイダンスの音声出力を行う。
【0035】
移報部48は、RS232等のシリアル伝送回線18を介して入退出管理システム12側に移報信号を送信して電気錠の一斉解錠制御を行わせる。
【0036】
制御部32は、感知器回線L1~Lnに対応した受信部34の何れかによる火災信号の受信出力から火災発報を検出した場合、表示部44及び警報部46に指示して代表火災表示や火災地区表示を行うと共に火災警報音を出力させる制御を行う。
【0037】
また、制御部32は、火災感知器16の発報による火災信号を受信して火災警報を出力した場合、復旧タイマを起動して所定時間T1を経過したときに、発報した火災感知器16を接続している感知器回線に対応して設けた復旧部36を制御して一時的に電源供給を遮断し、発報した火災感知器16をリセットして復旧し、復旧した後に火災感知器16の再発報による火災信号を受信した場合に移報部48に指示して移報信号を入退出制御システム12に送信する制御を行う。
【0038】
なお、説明を簡単にするため、通信制御装置20からのシリアル伝送回線25に1台の入退出制御盤26を接続した場合を示しているが、実際には図1のように、必要に応じて複数台の入退出制御盤26を接続している。また、入退出制御盤26にカードリーダ28と電気錠30を1台ずつ接続した場合を示しているが、実際には図1に示したように、その複数組を必要に応じて接続している。
【0039】
(入退出制御盤の構成)
図2に示すように、入退出制御盤26は制御部50を備え、制御部50は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。
【0040】
制御部50に対しては通信制御装置20を接続する伝送部52、カードリーダ28を接続する伝送部54、及び電気錠30を接続する駆動部56を設けている。
【0041】
制御部50は、利用者ID情報をセンタ装置22からアップロードして登録しており、伝送部54を介してカードリーダ28から利用者カードの読取による利用者ID情報を受信した場合、これと登録した利用者ID情報とを照合し、照合一致を判別した場合は電気錠30を解錠し、照合不一致を判別した場合は、電気錠30を施錠状態のまま保持する制御を行う。
【0042】
また、制御部50は、通信制御装置20からセンタ装置22を経由して、若しくは通信制御装置20から直接に、火災受信機14が送信した移報信号を伝送部52により受信した場合、駆動部56に指示して電気錠30のソレノイドに通電して解錠する解錠制御を行う。
【0043】
火災受信機14からの移報信号を受信した場合の制御部50による電気錠30の解錠制御は、シリアル伝送回線25に接続している全ての入退出制御盤26で行われ、このため入退出管理システム12を全体としてみると、火災受信機14からの移報信号により全ての電気錠30を一斉解錠する制御を行うことになる。
【0044】
(移報信号による一斉解錠の制御動作)
図3図2のシステム連動動作を信号形式で示したタイムチャートであり、図3(A)~(F)に分けて、火災感知器16の動作、復旧部36の動作、復旧タイマの動作、火災警報の動作、移報部48の動作、及び一斉解錠の動作を示している。なお、図3の各動作は、非動作状態を0、動作状態を1の2値で示している。
【0045】
図3(A)の時刻t1で火災感知器16が発報して火災信号を送信すると、これを火災受信機14が受信して図3(D)のように火災警報を出力する。また、火災信号の受信に伴い図3(C)の復旧タイマを起動し、所定の設定時間T1を経過した時刻t2で図3(B)に示す復旧部36を動作して発報している火災感知器16に対する電源供給を一時的に遮断し、時刻t3で電源を供給する復旧動作を行う。
【0046】
この復旧部36による復旧動作により、火災感知器16が実火災を検出して発報していれば、時刻t2の電源遮断でリセット停止した火災感知器16は、時刻t3の電源投入に伴う動作の再開で、再度発報して火災信号を火災受信機14に送信する。
【0047】
火災受信機14は、火災感知器16の復旧動作に続く火災信号の再受信に基づき、図3(E)に示すように、移報部48から移報信号を入退出管理システム12に送信し、図3(F)に示すように、電気錠30の一斉解錠を行う。
【0048】
一方、火災以外の一過性の原因、例えば喫煙による煙や調理による水蒸気による非火災報の場合には、所定時間T1を経過したときに復旧部36により発報した火災感知器16を復旧しても、そのときには火災以外の原因がなくなっており、火災感知器16は再発報しないために火災受信機14による移報信号の送信は行われず、入退出管理システムの電気錠30が一斉解錠制御されることはない。
【0049】
図4図2のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャートであり、火災受信機の動作に伴う入退出制御盤の動作を示している。
【0050】
図4に示すように、火災受信機14はステップS1(以下「ステップ」は省略)で火災感知器16の火災信号の受信を検出すると、S2に進んで火災警報を出力する。続いてS3で復旧タイマを起動し、S4で復旧タイマによる所定時間T1の経過を検出するとS5で火災感知器16の復旧動作を行う。
【0051】
S5の火災感知器16の復旧動作に対しS6で火災感知器16の再発報による受信を検出するとS7に進み、入退出制御盤26に対し移報信号を送信する。入退出制御盤26は火災受信機14からの移報信号を受信するとS8で電気錠30のソレノイドに通電して一斉解錠制御を行う。
【0052】
一方、S5の火災感知器16の復旧動作に対しS6で火災感知器の再発報による受信を検出しない場合は、S7の移報信号の送信をスキップしてS9に進み、電気30錠の一斉解錠は行わない。
【0053】
また、火災受信機14は、火災の鎮火確認に基づく火災復旧操作の受付けをS9で検出すると、S10に進んで移報信号の送信を停止し、これを受けて入退出制御盤26はS11に進み、S8で一斉解錠した電気錠のソレノイドに対する通電を停止して、一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0054】
(蓄積受信を行うシステム連動動作)
図2に示した火災受信機14の制御部32は、蓄積受信の制御機能を備える場合がある。制御部32による蓄積受信は、非火災報を抑制するため、火災感知器16の発報による火災信号を受信しても火災警報を出力せず、所定の蓄積時間Tsに亘り火災信号を継続して受信する蓄積受信をした後に、火災を確定して火災警報を出力する制御を行う。
【0055】
また、制御部32は、蓄積受信により火災を確定して火災警報を出力した場合にも、復旧タイマを起動して所定時間T1を経過した場合に、発報した火災感知器16を接続している感知器回線に対応して設けた復旧部36を制御して一時的に電源供給を遮断し、発報した火災感知器16をリセットして復旧し、復旧した後に火災感知器16の再発報による火災信号を受信した場合に、移報部48に指示して移報信号を入退出管理システム12に送信する制御を行う。それ以外の構成及び機能は図2の蓄積受信を行わない場合と同様である。
【0056】
(蓄積受信と移報信号による一斉解錠の制御動作)
図5は蓄積受信を行う図2のシステム連動動作を信号形式で示したタイムチャートであり、図5(A)~(G)に分けて、火災感知器16の動作、復旧部36の動作、蓄積タイマの動作、復旧タイマの動作、火災警報の動作、移報部48の動作、及び一斉解錠の動作を示している。なお、図5の各動作は、非動作状態を0、動作状態を1の2値で示している。
【0057】
図5(A)の時刻t1で火災感知器16が発報して火災信号を送信すると、これを火災受信機14が受信して図5(C)の蓄積タイマを起動する。なお、蓄積タイマによる蓄積中は表示部44に設けた蓄積中灯を点灯して報知する。
【0058】
時刻t1で起動した蓄積タイマによる蓄積時間Tsを経過した時刻t2に達すると、図5(B)に示すように、復旧部36を動作して発報している火災感知器16に対する電源供給を一時的に遮断し、時刻t3で電源を再度供給する復旧動作を行う。この復旧部36による復旧動作により、火災感知器16が実火災を検出して発報していれば、時刻t2の電源供給でリセットした火災感知器16は、時刻t3の電源再投入に伴い再度発報して火災信号を火災受信機14に送信する。この蓄積受信により火災受信機14は火災を確定し、図5(E)に示すように、火災警報を出力する。
【0059】
火災受信機14は、蓄積受信による火災確定に伴い時刻t3で図5(D)の復旧タイマを起動し、所定の設定時間T1を経過した時刻t4で、図5(B)に示すように、復旧部36を動作して発報している火災感知器16に対する電源供給を一時的に遮断し、時刻t5で電源を供給する復旧動作を行う。この復旧部36の復旧動作により、火災感知器16が実火災を検出して継続して発報していれば、時刻t5の電源投入に伴い再度発報して火災信号を火災受信機14に送信する。
【0060】
火災受信機14は、火災感知器16の復旧動作に続く火災信号の再受信に基づき、図5(F)に示すように、移報部48から移報信号を入退出管理システム12に送信し、図5(G)に示すように、電気錠30の一斉解錠を行う。
【0061】
一方、火災以外の一過性の原因、例えば喫煙による煙や調理による水蒸気による非火災報の場合には、万一、火災受信機14が蓄積受信により火災を確定しても、続く復旧タイマによる所定時間T1を経過したときの復旧部36の復旧動作により電源を一時的に遮断して火災感知器16を復旧した場合、このとき火災以外の原因がなくなっていることで火災感知器16は再発報せず、移報信号の送信は行われず、入退出管理システムでの電気錠が一斉解錠制御されることはない。
【0062】
図6は蓄積受信を行う図2のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャートであり、火災受信機の動作に伴う入退出制御盤の動作を示している。
【0063】
図6に示すように、火災受信機14はS21で火災感知器16からの火災信号の受信を検出すると、S22に進んで蓄積タイマを起動し、S23で蓄積タイマによる蓄積時間Tsの経過を検出するとS24で火災感知器16の復旧動作を行い、この復旧動作に伴いS25で火災感知器16の再発報による受信を検出すると火災を確定し、S26で火災警報を出力する。
【0064】
続いてS27で復旧タイマを起動し、S28で復旧タイマによる所定時間T1の経過を検出するとS29で火災感知器16の復旧動作を行う。S29の火災感知器16の復旧動作に対しS30で火災感知器の再発報による受信を検出するとS31に進み、入退出制御盤26に対し移報信号を送信する。入退出制御盤26は火災受信機14からの移報信号を受信するとS32で電気錠30のソレノイドに通電して一斉解錠制御を行う。
【0065】
一方、S29の火災感知器16の復旧動作に対しS30で火災感知器の再発報による受信を検出しない場合は、S31の移報信号の送信をスキップしてS33に進み、電気錠30の一斉解錠は行わない。
【0066】
また、火災受信機14は、火災の鎮火確認に基づく火災復旧操作の受付けをS33で検出すると、S34に進んで移報信号の送信を停止し、これを受けて入退出制御盤26はS35に進み、S32で一斉解錠した電気錠30のソレノイドに対する通電を停止して、一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0067】
このような蓄積受信により火災を確定した後に復旧動作を行って再発報に基づき移報信号を送信する制御は、移報信号を送信するために、火災発報に対する復旧動作を2回連続して行っていることと実質的に同じであり、実質的に2回の復旧動作を繰り返して火災を検出した場合に移報信号を送信することで、非火災報による移報信号の送信をより確実に抑止可能とする。
【0068】
また、第1発明の実施形態では、1回の復旧動作による再発報で火災を検出した場合に移報信号を送信しているが、非火災報による移報信号の送信を更に確実に回避するため、2回以上となる複数回に亘り復旧動作を繰り返し、最後の復旧動作に対し火災を検出した場合に移報信号を送信することで、非火災報による移報信号の送信を更に確実に抑止可能とする。
【0069】
[第2発明の実施形態]
図7は本願の第2発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図である。
【0070】
(火災受信機の構成)
図7に示すように、火災報知システム10の火災受信機14から引き出された伝送線SL,SC間にはアナログ感知器62を接続し、火災受信機14は所謂R型受信機としての機能を備える。
【0071】
アナログ感知器62には1回線当り例えば最大255アドレスの内の所定のアドレスを予め設定しており、火災受信機14から例えば1分の所定周期で送信される一括AD変換コマンドの受信に基づき、煙濃度又は温度などのアナログデータを検出して保持し、続いて火災受信機14から送られてくる自己アドレスを指定したポーリングコマンドに対しアナログデータを応答送信する。
【0072】
またアナログ感知器62は検出したアナログデータが所定の火災レベルを超えた場合、火災受信機14に対し信号ビットをオール1とするような火災割込信号を送信する機能を備えている。
【0073】
火災受信機14は制御部64を備え、制御部64は例えばプログラムの実行により実現される機能であり、ハードウェアとしてはCPU、メモリ、各種の入出力ポート等を備えたコンピュータ回路等を使用する。制御部64に対しては伝送部60、操作部42、表示部44、警報部46及び移報部48を設けている。
【0074】
伝送部60は、アナログ感知器62との間で各種のコマンドやデータを所定の信号形式により送受信する。この場合、伝送部60はアナログ感知器62に対する下り信号を電圧パルス列による電圧モードで送信し、また、アナログ感知器62から送信された電流パルス列による電流モードの上り信号を受信する。
【0075】
操作部42、表示部44、警報部46及び移報部48は図2の実施形態と同様であり、このうち移報部48は、RS232等のシリアル伝送回線18を介して入退出管理システム12側に移報信号を送信して電気錠の一斉解錠制御を行わせる。
【0076】
制御部64は、伝送部60に指示して、例えば1分周期で一括AD変換コマンドを送信し、また、一括AD変換コマンドの空き時間の間に255アドレスを順次指定したポーリングコマンドをアナログ感知器62に送信して、その応答タイミングでアナログ感知器62からのアナログデータを受信して処理する制御を行う。
【0077】
また、制御部64は、アナログ感知器62からの火災割込信号を受信した場合、所定のグループアドレスを順次指定したグループ検索コマンドを送信して火災割込みを行ったアナログ感知器62のアドレスを検出し、検出したアドレスのアナログ感知器62に対し集中的にAD変換コマンドとポーリングコマンドを送信してアナログデータを収集して火災を判断する制御を行う。
【0078】
また、制御部64は、火災割込みを行ったアナログ感知器62のアナログデータを収集し、予め設定している所定の設定感度に基づき火災を判断した場合、火災警報を出力すると共に、それまでの設定感度を高感度に設定変更し、所定時間を経過した後に、設定変更した高感度に基づき火災を判断した場合に移報部48に指示して移報信号を送信する制御を行う。
【0079】
この高感度への設定変更を具体的に説明すると、制御部64は例えば煙濃度データが所定の設定感度となる所定の火災判断レベル以上となることで火災を判断した場合、火災警報を出力すると共に、所定の火災判断レベルを高感度となるそれより低い所定の火災判断レベルに設定変更し、所定時間を経過した後に、設定変更した高感度の火災判断レベルに基づき火災を判断した場合に移報部48に指示して移報信号を送信する制御を行う。
【0080】
(入退出制御盤の構成)
図7に示すように、入退出制御盤26は制御部50を備え、制御部50に対しては通信制御装置20を接続する伝送部52、カードリーダ28を接続する伝送部54、及び電気錠30を接続する駆動部56を設けており、その構成及び機能は図2の実施形態と同様である。
【0081】
(移報信号による一斉解錠の制御動作)
図8図7のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャートであり、火災受信機の動作に伴う入退出制御盤の動作を示している。
【0082】
図8に示すように、火災受信機14はS41において1分周期で一括AD変換コマンドを送信して同じ伝送回線に接続している全てのアナログ感知器62で煙濃度検出信号又は温度検出信号をDA変換してアナログデータとして保持させ、続いて感知器アドレスを順次指定したポーリングコマンドを送信し、その応答タイミングでアナログ感知器62から送信されたアナログデータを受信して保持する感知器データの収集を行っている。
【0083】
続いてS42に進み、アナログ感知器62が送信した火災割込信号の受信を検出するとS43に進み、グループ検索コマンドを送信して火災割込みを行ったアナログ感知器62のアドレスを検索する。続いてS44で検索したアナログ感知器62のアドレスを指定してアナログデータを繰り返し検出するデータ収集を行い、S45で所定の設定感度に基づき火災を検出するとS46に進み火災警報を出力する。S44で所定の時間に亘りデータを収集し、S45で所定の時間分のデータに基づき火災を検出し、S46で火災警報を出力するように、蓄積受信を用いてもよい。
【0084】
続いてS47で現在の設定感度を所定の高感度に変更し、S48で発報したアナログ感知器62のデータ収集を行い、S47で高感度に変更してから、S49で所定時間を経過したことを検出するとS50に進み、設定変更した高感度に基づき火災か否かを検出する。S50で高感度に基づき火災を検出した場合はS51に進み、入退出制御盤26に対し移報信号を送信する。入退出制御盤26は火災受信機14からの移報信号を受信するとS52で電気錠30のソレノイドに通電して一斉解錠制御を行う。
【0085】
一方、S50で高感度に基づき火災を検出しない場合は、S51の移報信号送信をスキップしてS53に進み、電気錠30の一斉解錠は行わない。
【0086】
また、火災受信機14は、火災の鎮火確認に基づく火災復旧操作の受付けをS53で検出すると、S54に進んで移報信号の送信を停止し、これを受けて入退出制御盤26はS55に進み、S52で一斉解錠した電気錠30のソレノイドに対する通電を停止して、一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0087】
[第3発明の実施形態]
図9は本願の第3発明における火災受信機と入退出制御盤の機能構成を示したブロック図であり、本実施形態にあっては、電気錠の一斉解錠を優先度により分けて段階的に行うことを特徴とする。
【0088】
(火災受信機の構成)
図9に示すように、火災受信機14は制御部32を備え、制御部32に対しては受信部34、復旧部36、操作部42、表示部44、警報部46及び移報部48を設けており、制御部32及び移報部48による移報信号の送信制御以外の構成及び機能は図2の実施形態と同じになる。
【0089】
火災受信機14の制御部32は、火災感知器16の発報による火災信号を受信して火災警報を出力した場合に、移報部48に指示して、セキュリティの優先度の低いエリア向けの第1移報信号を入退出管理システム12に送信し、第1移報信号の送信から火災現場の確認に必要な所定時間を経過しても火災信号の受信が継続している場合に、セキュリティの優先度の高いエリア向けの第2移報信号を入退出管理システム12に送信する。
【0090】
また、制御部32は、火災信号を受信して移報部48から第1移報信号を送信してから所定時間を経過するまでの間に、操作部42に設けた復旧スイッチによる復旧操作の受付けを検出した場合、第1移報信号の送信を停止する制御を行う。
【0091】
(入退出制御盤の構成)
図9に示すように、入退出制御盤26は制御部50を備え、制御部50に対しては通信制御装置20を接続する伝送部34、及び電気錠30を接続する駆動部56を設けている。なお、制御部50に対しては、図2に示したと同様に、伝送部52を介して電気錠30との組をなすカードリーダ28を接続しているが、図9ではこれを省略している。
【0092】
入退出制御盤26に駆動部56を介して接続した電気錠30は、セキュリティの重要度に応じ、比較的低いセキュリティを許容できる低優先度エリアA1と、高いセキュリティを必要とする高優先度エリアA2にグループ分けしており、制御部50には各電気錠30が低優先度エリアA1か高優先度エリアA2かを示す優先度情報を予め記憶している。
【0093】
制御部50は、火災受信機14が送信したセキュリティの優先度の低いエリア向けの第1移報信号を受信した場合に、予め設定した低優先度エリアA1に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に解錠させる制御行う。
【0094】
また、制御部50は、火災受信機14が送信したセキュリティの優先度の高いエリア向けの第2移報信号を受信した場合に、予め設定した高優先度エリアA2に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に解錠させる制御を行う。
【0095】
また、制御部50は、火災受信機14から第1移報信号を受信して低優先度エリアA1に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に解錠させた後に、第2移報信号を受信することなく、第1移報信号の停止を検出した場合、一斉解錠した低優先度エリアA1に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に施錠復旧させる制御を行う。
【0096】
(移報信号の優先度に応じた一斉解錠の制御動作)
図10図9のシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャートであり、火災受信機の動作に伴う入退出制御盤の動作を示している。
【0097】
図10に示すように、火災受信機14はS61で火災感知器16の火災信号受信を検出すると、S62に進んで火災警報を出力し、続いてS63で第1移報信号を入退出制御盤26に送信する。
【0098】
入退出制御盤26は火災受信機14からの第1移報信号を受信するとS64で低優先度エリアA1の扉に設置している全ての電気錠30を一斉解錠する制御を行う。
【0099】
一方、火災受信機14はS63で第1移報信号を送信した後にS65で現場確認に必要な所定時間が経過したか否か検出しており、所定時間を経過するまではS66で担当者が現場に出向いて非火災を確認した場合に行う復旧操作の受付けによる火災復旧の有無を監視している。
【0100】
S65で現場確認に必要な所定時間の経過を検出すると、S67に進んで第2移報信号を入退出制御盤26に送信する。入退出制御盤26は火災受信機14からの第2移報信号を受信するとS68で高優先度エリアA2の扉に設置している全ての電気錠30を一斉解錠する制御を行う。
【0101】
一方、S66で担当者が現場に出向いて非火災を確認した場合に行う復旧操作による火災復旧を検出すると、第2移報信号を送信するためのS67、S69をスキップし、高優先度エリアA2に設置している電気錠30の一斉解錠は行わない。
【0102】
また、火災受信機14は、火災の鎮火確認に基づく火災復旧操作の受付けをS69で検出すると、S63で第1移報信号を送信している場合はこの送信をS70で停止し、第1移報信号の受信停止を検出した入退出制御盤26はS71で低優先度エリアA1に設置している電気錠30を一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0103】
また、火災受信機14がS63で第1移報信号を送信すると共にS67で第2移報信号を送信していた場合は、S70で第1移報信号と第2移報信号の送信を停止し、第1移報信号と第2移報信号の受信停止を検出した入退出制御盤26はS71で低優先度エリアA1及び高優先度エリアA2に設置している電気錠30を一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0104】
このように火災受信機14が非火災報を出力した場合は、第1移報信号の送信により低優先度エリアA1に設置している電気錠30だけが一斉解錠され、高優先度エリアA2に設置している電気錠30は一斉解錠されず、また、第2移報信号が送信されるまでの所定時間の間に現場確認により非火災報であれば火災受信機14の復旧操作により第1移報信号の送信を停止して低優先度エリアA1に設置している電気錠30の一斉解錠をリセットして一斉施錠し、火災報知システムの非火災報による移報信号で入退出管理システムのセキュリティを損なわれてしまうことを抑制する。
【0105】
また、火災感知器16の火災発報が継続した場合には、第1移報信号の送信から所定時間後に第2移報信号が送信され、高優先度エリアA2に設置している扉の電気錠30の一斉解錠も行われ、避難行動や消防活動に適切に対処可能とする。
【0106】
なお、火災受信機14の制御部32が蓄積受信を行う場合には、図6のS21~S26に示したと同じ蓄積受信に基づく火災警報を行った後に、図10のS63~S71の動作を行うことになる。
【0107】
[第4発明の実施形態]
本実施形態にあっては、第3の発明とは別の実施形態にて、優先度により電気錠をグループ分けし、火災受信機からの移報信号に対し、優先度に応じて電気錠の一斉解錠を段階的に行うようにしたことを特徴とする。
【0108】
(火災受信機の構成)
本実施形態の火災受信機は、図9に示した火災受信機14と同様であり、火災受信機14の制御部32に対しては受信部34、復旧部36、操作部42、表示部44、警報部46及び移報部48を設けており、制御部32は、火災感知器16の発報による火災信号を受信して火災警報を出力した場合に、移報部48に指示して移報信号を入退出管理システム12に送信し、その後、復旧操作の受付を検出した場合に移報信号の送信を停止する制御を行う点で相違し、それ以外の構成及び機能は図9の実施形態と同様になる。
【0109】
(入退出制御盤の構成)
本実施形態の入退出制御盤は、図9に示した入退出制御盤26と同様であり、入退出制御盤26は制御部50を備え、制御部50に対しては通信制御装置20を接続する伝送部52、及び電気錠30を接続する駆動部56を設け、また、制御部50に対しては、図2に示したと同様に、伝送部54を介して電気錠30と組をなすカードリーダ28を接続しているが、図示を省略している。
【0110】
入退出制御盤26に駆動部56を介して接続した電気錠30は、セキュリティの重要度に応じ、比較的低いセキュリティを許容できる低優先度エリアA1と、高いセキュリティを必要とする高優先度エリアA2にグループ分けし、制御部50には各電気錠30が低優先度エリアA1か高優先度エリアA2かを示す優先度情報を予め記憶している。
【0111】
制御部50は、火災受信機14が送信した移報信号を受信した場合に、予め設定した低優先度エリアA1に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に解錠させる制御行う。
【0112】
また、制御部50は、火災受信機14が送信した移報信号の受信から火災現場の確認に必要な所定時間を経過しても移報信号の受信が継続している場合には、実火災と判断し、高優先度エリアA2に設置している全ての扉の電気錠30を一斉に解錠させる制御を行う。
【0113】
また、制御部50は、火災受信機14から移報信号を受信して低優先度エリアA1に設置している全ての電気錠30を一斉に解錠させた後に、火災現場の確認に必要な所定時間を経過する前に移報信号の停止を検出した場合、一斉解錠した低優先度エリアA1に設置している全ての電気錠30を一斉に施錠復旧させる制御を行う。
【0114】
(電気錠の優先度に応じた一斉解錠の制御動作)
図11は第4発明の実施形態におけるシステム連動動作をフロー形式で示したタイムチャートであり、図9の機能構成を対象に火災受信機の動作に伴う入退出制御盤の動作を示している。
【0115】
図11に示すように、火災受信機14はS81で火災感知器16の火災信号受信を検出すると、S82に進んで火災警報を出力し、続いてS83で移報信号を入退出制御盤26に送信する。
【0116】
入退出制御盤26は火災受信機14からの移報信号を受信すると、S84で低優先度エリアA1の扉に設置している全ての電気錠30を一斉解錠する制御を行う。続いて入退出制御盤26はS85で低優先度エリアA1の一斉解錠から火災受信機14側で現場確認に必要な所定時間が経過したか否か検出しており、所定時間を経過するまではS86で担当者が現場に出向いて非火災を確認した場合に行う復旧操作の受付による移報信号の受信停止の有無を監視している。
【0117】
S85で現確認に必要な所定時間の経過を検出すると、S87に進んで高優先度エリアA2に設置している全ての電気錠30を一斉解錠する制御を行う。
【0118】
一方、火災受信機14がS88で、現場に出向いて非火災を確認した場合に担当者が行う復旧操作による火災復旧を検出すると、S89で移報信号の送信を停止する。このため入退出制御盤26はS86で移報信号の受信停止を検出するとS90に進み、S84で低優先度エリアA1の電気錠30を一斉解錠している場合は、S90で低優先度エリアA1の電気錠30を一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0119】
また、S84で低優先度エリアA1の電気錠30を一斉解錠すると共にS87で高優先度エリアA2の電気錠30を一斉解錠している場合には、S90で低優先度エリアA1及び高優先度エリアA2の電気錠30を一斉施錠する施錠復旧制御を行う。
【0120】
このように火災受信機14が非火災報を出力した場合には、移報信号の送信により低優先度エリアA1に設置している電気錠30だけが一斉解錠され、高優先度エリアA2に設置している電気錠30は一斉解錠されず、また、非火災報であれば現場確認に必要な所定時間を経過する前に、火災受信機14の復旧操作により移報信号の受信が停止し、これにより火災報知システムで非火災報があっても入退出管理システムのセキュリティが損なわれてしまうことを抑制する。
【0121】
また、火災感知器16の火災による発報が継続した場合には移報信号の受信が継続し、現場確認に必要な所定時間を経過した後に、高優先度エリアA2に設置している扉の電気錠30の一斉解錠が行われ、避難行動や消防活動に適切に対処可能とする。
【0122】
なお、火災受信機14の制御部32が蓄積受信を行う場合には、図6のS21~S26に示したと同じ蓄積受信に基づく火災警報を行った後に、図11のS83,S88,S89の動作を行うことになる。
【0123】
[本発明の変形例]
(火災受信機)
上記の第1発明、第3発明及び第4発明の実施形態に示した火災受信14は、回線単位に火災を検知して警報するP型の火災受信機を例にとるものであったが、第2発明の実施形態に示した火災感知器にアドレスを設定して感知器単位に火災を検知して警報するR型の火災受信機についても同様に適用できる。
【0124】
(電気錠システム)
上記の実施形態は、火災報知システムからの移報信号により入退出管理システムの電気錠を一斉解錠する場合を例にとっているが、電気錠制御盤の操作により扉に設けた電気錠を遠隔的に制御する電気錠システムについても、上記の実施形態による火災報知システムからの移報信号の送信により電気錠を一斉解錠するようにしても良い。
【0125】
(セキュリティゲートシステム)
上記の実施形態は、火災報知システムからの移報信号により入退出管理システムの電気錠を一斉解錠する場合を例にとっているが、施設の出入口にゲートを設置しカードの読取認証により開閉を制御する適宜のセキュリティゲートシステムについても、上記の実施形態による火災受信機からの移報信号の送信によりゲートを一斉開放するようにしても良い。
【0126】
(その他)
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0127】
10:火災報知システム
12:入退出管理システム
14:火災受信機
16:火災感知器
18,21,25,:シリアル伝送回線
23:LAN回線
20:通信制御装置
22:センタ装置
24:クライアント
26:入退出制御盤
28:カードリーダ
30:電気錠
32,50,64:制御部
34:受信部
36:復旧部
48:移報部
52,54,60:伝送部
62:アナログ感知器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11