(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045311
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】島細胞製造組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240326BHJP
A61K 35/39 20150101ALI20240326BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
C12N5/071
A61K35/39
A61P3/10
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009376
(22)【出願日】2024-01-25
(62)【分割の表示】P 2020545037の分割
【原出願日】2018-11-15
(31)【優先権主張番号】62/586,808
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/669,170
(32)【優先日】2018-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598032106
【氏名又は名称】バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ティール,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ヤースィーン,ジハード
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,エバレット
(72)【発明者】
【氏名】パリュウカ,フェリシア,ジェイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】糖尿病患者の死滅した又は機能不全のβ細胞を置換することができ、糖尿病を治癒させることができる、幹細胞由来β細胞を産生するための組成物及び方法を提供する。
【解決手段】Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップを含み、クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して最大約30%のCHGA陽性細胞及び最大約30%のCDX2陽性細胞を含む、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するための方法を提供する。
【選択図】
図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するための方法であって、
Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップを含み、前記クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して最大約30%のCHGA陽性細胞および最大約30%のCDX2陽性細胞を含む、方法。
【請求項2】
前記PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞をPDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記インスリン陽性内分泌細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含み、
非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子との前記接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する、方法。
【請求項7】
前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な集団のものより少なくとも約3倍高い、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
(a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含み、
非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子との前記接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターと比較してより高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、方法。
【請求項16】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す、請求項6~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す、請求項6~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す、請求項6~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、請求項6~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い、請求項6~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記非ネイティブ膵臓β細胞が、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す、請求項6~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記非ネイティブ膵臓β細胞が、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す、請求項6~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、請求項6~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、請求項6~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記BMPシグナル伝達経路の前記阻害剤が、DMH-1、その誘導体、類似体または変異体を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、約0.25μMのDMH-1を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
TGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子が、アクチビンAを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、少なくとも約5ng/mLまたは少なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む、請求項33または34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、約20ng/mLのアクチビンAを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で分化させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成する方法。
【請求項39】
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約40%、最大約30%、最大約20%、または最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項38~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項38~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子をさらに含む、請求項38~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
(a)原始腸管細胞を含む細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と、ヒト血清アルブミン(HSA)とを含む培養培地中で培養することによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含む方法。
【請求項46】
フローサイトメトリーによって測定して、少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、最大約30%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞、および最大約30%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスター。
【請求項47】
フローサイトメトリーによって測定して最大約25%前記CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、請求項46に記載の細胞クラスター。
【請求項48】
フローサイトメトリーによって測定して最大約20%前記CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、請求項46に記載の細胞クラスター。
【請求項49】
フローサイトメトリーによって測定して最大約25%前記CHGA陽性細胞を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項50】
フローサイトメトリーによって測定して最大約10%前記CHGA陽性細胞を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項51】
フローサイトメトリーによって測定して最大約5%前記CHGA陽性細胞を含む、請求項46~48のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項52】
フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む、請求項46~51のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項53】
フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約65%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む、請求項46~51のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項54】
前記細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約50%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞と30%より多くの前記クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞または30%より多くの前記CDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる、請求項46~53のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項55】
請求項46~54のいずれか一項に記載の細胞クラスターと、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物。
【請求項56】
BMPシグナル伝達経路の前記阻害剤が、DMH-1またはその誘導体を含む、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
約0.25μMのDMH-1を含む、請求項56に記載の組成物。
【請求項59】
TGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子が、アクチビンAを含む、請求項55~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
少なくとも約5ng/mLまたは少なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
約20ng/mLのアクチビンAを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの増殖因子、ソニックヘッジホグ(SHH)経路阻害剤、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびRho関連プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、請求項55~62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
前記細胞クラスターが、培養培地中にある、請求項55~63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)をさらに含む、請求項55~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
約0.05%(w/v)HSAをさらに含む、請求項55~64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞および最大約40%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスター。
【請求項68】
フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約70%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む、請求項67に記載の細胞クラスター。
【請求項69】
フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約85%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む、請求項67に記載の細胞クラスター。
【請求項70】
フローサイトメトリーによって測定して最大約30%前記CDX2陽性細胞を含む、請求項67~69のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項71】
フローサイトメトリーによって測定して最大約20%前記CDX2陽性細胞を含む、請求項67~69のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項72】
フローサイトメトリーによって測定して最大約15%前記CDX2陽性細胞を含む、請求項67~69のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項73】
前記細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と40%より多くの前記CDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる、請求項67~72のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項74】
ヒト血清アルブミンを含む培養培地中の請求項67~73のいずれか一項に記載の細胞クラスターを含む組成物。
【請求項75】
前記培養培地が、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)HSAを含む、請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、請求項74または75に記載の組成物。
【請求項77】
原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、前記原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、前記接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多い1立方マイクロメートル当たりの前記非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する細胞クラスター。
【請求項78】
前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6倍多い、1立方マイクロメートル当たりの前記非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する、請求項77に記載の細胞クラスター。
【請求項79】
原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、前記原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、前記接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す細胞クラスター。
【請求項80】
前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌を示す、請求項79に記載の細胞クラスター。
【請求項81】
前記比較可能な細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す、請求項79または80に記載の細胞クラスター。
【請求項82】
前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、請求項79~81のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項83】
前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い、請求項79~81のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項84】
前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、請求項81~83のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項85】
前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、請求項84に記載の細胞クラスター。
【請求項86】
前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、請求項84に記載の細胞クラスター。
【請求項87】
前記非ネイティブ膵臓β細胞が、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す、請求項77~86のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項88】
前記非ネイティブ膵臓β細胞が、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す、請求項77~87のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項89】
前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、請求項77~87のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項90】
前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、請求項77~87のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
【請求項91】
請求項1~45のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスター。
【請求項92】
請求項1~45のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含む医薬組成物。
【請求項93】
請求項77~90のいずれか一項に記載の細胞クラスターを含む医薬組成物。
【請求項94】
請求項46~90のいずれか一項に記載の細胞クラスターまたは請求項1~45のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含むデバイスであって、対象に植え込まれたときインスリンを産生および放出するように構成されているデバイス。
【請求項95】
半透膜をさらに含み、前記半透膜が、細胞を前記デバイス内に保持するように、および前記細胞により分泌されるインスリンの透過を可能にするように構成されている、請求項94に記載のデバイス。
【請求項96】
前記細胞が、前記半透膜によりカプセル化されている、請求項95に記載のデバイス。
【請求項97】
前記半透膜が、多糖またはポリカチオンで製造されている、請求項95または96に記載のデバイス。
【請求項98】
前記半透膜が、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、アガロースとゼラチン、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸
セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料で製造されている、請求項95~97のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項99】
前記半透膜が、アルギネートを含む、請求項95~98のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項100】
前記細胞クラスターが、前記半透膜により包囲されたアルギン酸コアを含むマイクロカプセルに封入されている、請求項95~99のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項101】
対象を処置する方法であって、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞、請求項46~90のいずれか一項に記載の細胞クラスター、請求項92もしくは93に記載の医薬組成物、または請求項94~100のいずれか一項に記載のデバイスを前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項102】
前記対象が、代謝障害を有するかまたは代謝障害を発症するリスクが高い、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記対象が、I型糖尿病、II型糖尿病、および1.5型糖尿病からなる群から選択される糖尿病を有する、請求項101または102に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001]本願は、2017年11月15日に出願した米国特許仮出願第62/586,808号、および2018年5月9日に出願した米国特許仮出願第62/669,170号の利益を主張するものであり、前記仮出願の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]糖尿病は、世界的に大きな医療問題である。2015年に国際糖尿病連合(International Diabetes Federation)により報告されたように、世界中で4億人を超える人々が糖尿病およびその(tis)合併症で苦しんでいる。彼らのうち、5千万人より多くの人々が、インスリン注射を必要とする。異常なインスリン分泌をもたらす、膵島における膵臓β細胞の死滅または機能不全は、糖尿病の原因となり得る。幹細胞由来β細胞の生成は、糖尿病の治療的処置を行うことができる可能性がある、島および膵臓臓器の生成に向けての潜在的に有用な一歩になり得る。幹細胞由来組織によって処置可能であり得る急増している疾患の1つが、糖尿病である。I型糖尿病は、膵島におけるβ細胞の自己免疫性破壊の結果として起こり得る。II型糖尿病は、末梢組織インスリン抵抗性およびβ細胞機能不全の結果として起こり得る。糖尿病患者、特に、I型糖尿病の罹患者は、新しいβ細胞の移植によって治癒され得る可能性がある。ヒト死体の島が移植された患者は、この戦略によって5年以上にわたって独立してインスリンを生産することができるが、この手法は、ドナー島の希少性および質のため制限される。幹細胞からのヒトβ細胞の無制限の供給の生成は、この治療を何百万人もの新たな患者に拡大することができ、幹細胞生物学を診療所に移すための重要なテストケースになり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003]一部の態様では、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するための方法であって、Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップを含み、クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して最大約30%CHGA陽性細胞および最大約30%のCDX2陽性細胞を含む、方法が、本明細書で開示される。
【0004】
[0004]一部の実施形態では、方法は、PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む。
[0005]一部の実施形態では、方法は、PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を、PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップをさらに含む。
【0005】
[0006]一部の実施形態では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップをさらに含む。
[0007]一部の実施形態では、方法は、インスリン陽性内分泌細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む。
【0006】
[0008]一部の態様では、(a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細
胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および(b)PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップを含み;非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターが、BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子との接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する、方法が、本明細書で開示される。
【0007】
[0009]一部の実施形態では、細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な集団のものより少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、GSIS刺激指数は、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約10~約50mMであり、第2のグルコース濃度は、約1mM~5mMである。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約20mMであり、第2のグルコース濃度は、約2.8mMである。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して比較可能な細胞クラスターより高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して比較可能な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む。
【0008】
[0010]一部の態様では、(a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および(b)PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップを含み;非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して、BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子との接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターと比較してより高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む、方法が、本明細書で開示される。
【0009】
[0011]一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して比較可能な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの非ネイティブ膵臓β細胞を含む。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスター
と比較してより高いGSIS刺激指数を示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、GSIS刺激指数は、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約10~約50mMであり、第2のグルコース濃度は、約1mM~5mMである。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約20mMであり、第2のグルコース濃度は、約2.8mMである。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞は、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞は、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路の阻害剤は、DMH-1、その誘導体、類似体または変異体を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.25μMのDMH-1を含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、アクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも約5ng/mLまたは少なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、約20ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む。
【0010】
[0012]一部の態様では、Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で分化させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップを含む方法が、本明細書で開示される。
【0011】
[0013]一部の実施形態では、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター中の細胞の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約85%は、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である。一部の実施形態では、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター中の細胞の少なくとも約85%は、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である。一部の実施形態では、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター中の細胞の最大約40%、最大約30%、最大約20%、または最大約15%は、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である。一部の実施形態では、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター中の細胞の最大約15%は、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である。一部の実施形態では、培
養培地は、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む。一部の実施形態では、培養培地は、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子をさらに含む。
【0012】
[0014]一部の態様では、(a)原始腸管細胞を含む細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と、ヒト血清アルブミン(HSA)とを含む培養培地中で培養することによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および(b)PDX1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップを含む方法が、本明細書で開示される。
【0013】
[0015]一部の態様では、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、最大約30%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞、および最大約30%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスターが、本明細書で開示される。
【0014】
[0016]一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約25%CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約20%CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約25%CHGA陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約10%CHGA陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約5%CHGA陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約65%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む。
【0015】
[0017]一部の実施形態では、細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞と30%より多くのクロモグラニンA(CHGA)陽性細胞または30%より多くのCDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる。
【0016】
[0018]一部の態様では、本明細書で開示される細胞クラスターと、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物が、本明細書で開示される。一部の実施形態では、BMPシグナル伝達経路の阻害剤は、DMH-1またはその誘導体を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.25μMのDMH-1を含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、アクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも約5ng/mLまたは少
なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、約20ng/mLのアクチビンAを含む。一部の実施形態では、組成物は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの増殖因子、ソニックヘッジホグ(SHH)経路阻害剤、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびRho関連プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、培養培地中にある。一部の実施形態では、組成物は、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)をさらに含む。一部の実施形態では、組成物は、約0.05(w/v)HSAをさらに含む。
【0017】
[0019]一部の態様では、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞および最大約40%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスターが、本明細書で開示される。
【0018】
[0020]一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約70%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約85%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約30%CDX2陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約20%CDX2陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、フローサイトメトリーによって測定して最大約15%CDX2陽性細胞を含む。
【0019】
[0021]一部の実施形態では、細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と40%より多くのCDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる。
【0020】
[0022]一部の態様では、ヒト血清アルブミンを含む培養培地中の本明細書で開示される細胞クラスターを含む組成物が、本明細書で開示される。一部の実施形態では、培養培地は、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)HSAを含む。一部の実施形態では、培養培地は、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む。
【0021】
[0023]一部の態様では、原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多い1立方マイクロメートル当たりの非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する細胞クラスターが、本明細書で開示される。
【0022】
[0024]一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6倍多い、1立方マイクロメートル当たりの非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する。
【0023】
[0025]一部の態様では、原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経
路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す細胞クラスターが、本明細書で開示される。
【0024】
[0026]一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターのGSIS刺激指数は、比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、GSIS刺激指数は、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約10~約50mMであり、第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである。一部の実施形態では、第1のグルコース濃度は、約20mMであり、第2のグルコース濃度は、約2.8mMである。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞は、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞は、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。
【0025】
[0027]一部の態様では、本明細書で開示される方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターが、本明細書で開示される。
[0028]一部の態様では、本明細書で開示される方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含む医薬組成物が、本明細書で開示される。
【0026】
[0029]一部の態様では、本明細書で開示される細胞クラスターを含む医薬組成物が、本明細書で開示される。
[0030]一部の態様では、本明細書で開示される細胞クラスターまたは本明細書で開示される方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含むデバイスであって、対象に植え込まれたときにインスリンを産生し、放出するように構成されているデバイスが、本明細書で開示される。
【0027】
[0031]一部の実施形態では、デバイスは、半透膜をさらに含み、半透膜は、細胞をデバイス内に保持するように、および細胞により分泌されるインスリンの透過を可能にするように構成されている。一部の実施形態では、細胞は、半透膜によりカプセル化されている。一部の実施形態では、半透膜は、多糖またはポリカチオンで製造されている。一部の実施形態では、半透膜は、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、アガロースとゼラチン、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料で製造されている。一部の実施形態では、半透膜は、アルギネートを含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、半透膜により包囲されたアルギン酸コアを含むマイクロカプセル内に封入されている。
【0028】
[0032]一部の態様では、対象を処置する方法であって、本明細書で開示される方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞、本明細書で開示される細胞クラスター、本明細書で開示される医薬組成物、または本明細書で開示されるデバイスを対象に投与するステップを含む方法が、本明細書で開示される。
【0029】
[0033]一部の実施形態では、対象は、代謝障害を有するかまたは代謝障害を発症するリスクが高い。一部の実施形態では、対象は、I型糖尿病、II型糖尿病、および1.5型糖尿病からなる群から選択される糖尿病を有する。
【0030】
[0034]一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含む組成物であって、細胞が、グルコースでの誘導時に分泌されるインスリンの量と比較してより多い量のインスリンをKClでの誘導時に分泌する、組成物が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団は、グルコースでの誘導時に分泌されるインスリンの量と比較して少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍多い量のインスリンをKClでの誘導時に分泌する。一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団は、とある量のシグナル伝達因子と接触される。
【0031】
[0035]一部の実施形態では、シグナル伝達因子は、シグナル伝達因子と接触されない対応組成物と比較してインスリン産生の増加をもたらすのに十分な量で提供される。一部の実施形態では、増加は、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6または7倍増加である。
【0032】
[0036]一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含む組成物であって、細胞が、KClおよび/またはグルコースでの誘導時に、シグナル伝達因子の非存在下の比較可能な細胞と比較してより多い量のインスリンをシグナル伝達因子の存在下で分泌する、組成物も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、細胞は、高グルコースの存在下ではより多量のインスリンを分泌するが、低グルコースの存在下では分泌しない。
【0033】
[0037]一部の実施形態では、フローサイトメトリーによって判定して少なくとも60%膵臓β細胞を含む、分化膵臓前駆細胞の集団も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、集団は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、または90%膵臓β細胞を含む。
【0034】
[0038]一部の実施形態では、集団は、所定の基礎培地成分と接触させると、基礎培地成分と接触させていない比較可能な集団と比較してより高いパーセンテージの膵臓β細胞を含む。
【0035】
[0039]一部の実施形態では、インスリン産生細胞を含むデバイスを対象に植え込むステップを含む方法であって、デバイスが対象の血糖値の低下に十分な量のインスリンを放出
する、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、インスリン産生細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞である。一部の実施形態では、対象における血糖値の低下の結果として、グルコースの量が糖尿病閾値より低くなる。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。一部の実施形態では、哺乳動物対象は、ヒトである。一部の実施形態では、グルコースの量は、植え込みから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日後に糖尿病閾値より低い値に低下される。
【0036】
[0040]一部の実施形態では、前駆細胞の集団をin vitroで膵臓β細胞の集団に分化させる方法であって、基礎培地成分を含む培養培地中で、浮遊状態で、前駆細胞の集団を培養するステップを含み、分化後の膵臓β細胞の集団のパーセンテージが、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%である、方法も、本明細書で提供される。一部の実施形態では、前駆細胞の集団は、胚性幹細胞の集団である。一部の実施形態では、前駆細胞の集団は、Oct4発現細胞の部分集団を含む。一部の実施形態では、Oct4発現細胞の部分集団のパーセンテージは、少なくとも90%である。一部の実施形態では、膵臓β細胞の集団は、幹細胞由来β細胞の集団である。一部の実施形態では、培養培地は、0.1L、0.5L、または3Lの培地を含む。一部の実施形態では、分化後の膵臓β細胞の集団は、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0以上の刺激指数を有する。一部の実施形態では、刺激指数は、シグナル伝達因子を含む条件で決定される。
【0037】
[0041]一部の実施形態では、本開示の方法に従って産生された、単離された膵臓β細胞の組成物が、本明細書で提供される。本開示の方法に従って産生された、単離された膵臓β細胞の医薬組成物が、本明細書で提供される。対象を処置する方法であって、本開示の方法に従って産生された、単離された膵臓β細胞を、対象に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0038】
[0042]一部の実施形態では、少なくとも約20%、30%、40%、または50%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを含む組成物も、本明細書で開示される。一部の実施形態では、細胞の集団または細胞クラスターは、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、または85%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の集団または細胞クラスターは、少なくとも約30%、40%、50%、または55%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、細胞の集団または細胞クラスターは、少なくとも約40%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、または95%CHGA+細胞を含む。
【0039】
[0043]一部の態様では、本開示は、島細胞産生を規模拡大するための組成物および方法に関する。一部の実施形態では、幹細胞の培養を、最大0.1Lに、最大0.2Lに、最大0.5Lに、最大1Lに、最大1.5Lに、最大2Lに、最大2.5Lに、最大3Lに、最大3.5Lに、最大4Lに、最大4.5Lに、または最大5Lに規模拡大することができる。一部の実施形態では、幹細胞の培養を最大6L、7L、8L、9Lまたは10Lに規模拡大することができる。
【0040】
[0044]本開示のさらなる態様および利点は、本開示の単に説明に役立つ実施形態が示され、記載される下記の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになる。実現されることになる場合、本開示は、他のおよび異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、様々な明らかな点での変更が、すべて本開示を逸脱しない範囲で可能である。したがって、図面および説明は、本来、説明に役立つものと見なすべきであり、制限的なものと見
なすべきではない。
【0041】
参照による組込み
[0045]本明細書中で言及されるすべての公表文献、特許および特許出願は、個々の公表文献、特許または特許出願の各々が参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
[0046]本開示の新規特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に示される。本開示の特徴および利点のよりよい理解は、本開示の原理が用いられる、説明に役立つ実施形態を示す以下の詳細な説明、および付属の図面を参照することにより、得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】[0047]島細胞集団についての3つの例示的な候補細胞株を表す。
【
図2A】[0048]
図2Aは、胚性幹細胞(ESC)の例示的な2D培養物の形態を表す。
【
図2B】[0049]
図2Bは、例示的な2D培養物の細胞表面マーカーSox17またはOct4を発現するESCのパーセンテージを表す。
【
図3A】[0050]
図3Aは、オンターゲットおよびオフターゲット前駆細胞についてのフローサイトメトリーデータ例を表す。
【
図3B】
図3Bは、オンターゲットおよびオフターゲット前駆細胞についてのフローサイトメトリーデータ例を表す。
【
図4】[0051]
図4Aは、3つの異なるプロトコールを使用して産生した例示的な幹細胞由来β(SC-β)細胞の比較を表す。
図4Bは、3つの異なるプロトコールを使用して産生された例示的な幹細胞由来β(SC-β)細胞の比較を表す。
【
図5】[0052]例示的なSC-β細胞および天然膵島細胞の画像を表す。
【
図6A】[0053]
図6Aは、本明細書で開示される例示的な方法を使用して分化させたステージ4細胞に対する例示的な分化因子(LDN)の効果を表す。
【
図6B】
図6Bは、本明細書で開示される例示的な方法を使用して分化させたステージ4細胞に対する例示的な分化因子(DMH-1およびアクチビンA)の効果を表す。
【
図6C】
図6Cは、例示的な因子(DMH-1およびアクチビンA)の漸増濃度で産生されたSC-β細胞を使用するグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)アッセイの結果の例を表す。
【
図7】[0054]低または高グルコース刺激での天然島細胞のインスリン分泌と例示的なSC-β細胞のインスリン分泌の比較を表す。
【
図8】[0055]SC-β細胞産物についてのプロセス開発目標を表す。
【
図9A】[0056]
図9Aは、SC-β細胞の例示的な0.1L培養の細胞画像を表す。
【
図9B】[0057]
図9Bは、SC-β細胞の例示的な0.5L培養の細胞画像を表す。
【
図9C】[0058]
図9Cは、SC-β細胞の例示的な3.0L培養の細胞画像を表す。
【
図9D】[0059]
図9Dは、SC-β細胞の例示的な0.1L、0.5Lおよび3L培養の拡大倍数を表す。
【
図9E】[0060]
図9Eは、SC-β細胞の例示的な0.1L、0.5Lおよび3L培養におけるOct4発現細胞のパーセンテージを表す。
【
図10】[0061]凍結保存SC-β細胞のインスリン分泌と新鮮なSC-β細胞のインスリン分泌の比較を表す。
【
図11】[0062]移植したSC-島移植片の6ヶ月の時点での画像を表す。
【
図12】[0063]動物モデルにおけるSC-β細胞植え込み前または後およびSC-β細胞外植前または後の血糖値の結果の例を表す。
【
図13】[0064]例示的な分化細胞集団の比較を表す。
【
図14】[0065]カプセル化前およびマウスへの植え込みから3ヶ月後の例示的なSC-島細胞の画像を表す。
【
図15】[0066]例示的なBMPシグナル伝達経路阻害剤LDN193189(図中の「LDN」)およびDMH-1の効果の一例を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[0067]以下の説明および例は、本開示の実施形態を詳細に例証するものである。本開示が、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されず、したがって変わることがあることを、理解されたい。本開示には本開示の範囲内に包含される非常に多くの変形形態および修飾形態があることは、当業者には理解されるであろう。
【0045】
[0068]すべての用語は、当業者によって理解されるように理解されることを意図したものである。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての専門および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0046】
[0069]本明細書で使用される節の見出しは、単に構成のためのものであり、記載される主題を限定すると見なすべきでない。
[0070]本開示の様々な特徴は、単一の実施形態に関連して説明されることがあるが、それらの特徴が別々に、または任意の好適な組合せで提供されることもある。逆に、本開示は、明確にするために別々の実施形態に関連して本明細書で説明されることがあるが、本開示が単一の実施形態で実行されることもある。
【0047】
定義
[0071]以下の定義は、当技術分野における定義を補うものであり、本願に関するものであり、いずれかの関連および非関連ケースに、例えば、いずれかの所有者共通の特許および出願に、帰属するものではない。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料を本開示の試験の実施に使用することができるが、好ましい材料および方法が本明細書に記載される。したがって、本明細書で使用される用語法は、特定の実施形態の説明を目的にしたものに過ぎず、限定となることを意図したものではない。
【0048】
[0072]本願では、単数形の使用は、別段の記述がない限り、複数形を含む。本明細書で使用される場合、文脈による別段の明白な指図がない限り、単数形「a」、「an」および「the」が複数の指示対象を含むことに、留意しなければならない。
【0049】
[0073]用語「含む(動名詞形、including)」、ならびに他の語形、例えば、「含む(動詞一般形、indlude)」、「含む(動詞三人称単数現在形、indludes)」および「含む(分詞形、included)」の使用は、限定的でない。
【0050】
[0074]本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(動名詞形、comprising)」(ならびに含む(動名詞形)の任意の語形、例えば、「含む(動詞一般形、comprise)」および「含む(動詞三人称単数現在形、comprises)」)、「有する(動名詞形、having)」(ならびに有する(動名詞形)の任意の語形、例えば、「有する(動詞一般形、have)」および「有する(動詞三人称単数現在形、has)」)、「含む(動名詞形、including)」(ならびに含む(動名詞形)の任意の語形、例えば、「含む(動詞三人称単数現在形、includes)」および「含む(動詞一般形、include)」)、または「含有する(動名詞形、containing)」(ならびに含有する(動名詞形)の任意の語形、例えば、「含有する(動詞三人称単数現在形、contains)」および「含有する(動詞一般形、contain)」)という語は、包括的または非限定的であり、追加の、述べられていない要素
および方法ステップを除外しない。本明細書で論じられる任意の実施形態を本開示の任意の方法または組成物に関して実行することができること、および逆に、本開示の任意の方法または組成物を本明細書で論じられる任意の実施形態に関して実行することができることが企図される。さらに、本開示の組成物を使用して、本開示の方法を果たすことができる。
【0051】
[0075]本明細書で使用される場合の参照数値およびその文法的等価表現に関する「約」という用語は、その数値自体、およびその数値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値を含むことができる。
【0052】
[0076]「約」または「おおよそ」という用語は、当業者により決定されるような特定の値についての許容可能な誤差範囲内を意味し、この誤差の範囲は、値が測定または決定される方法、例えば、測定システムの限界に、ある程度、依存することになる。例えば、「約」は、当技術分野での実務に従って、1以内の標準偏差を意味することもあり、または1より大きい標準偏差を意味することもある。あるいは、「約」は、所与の値の20%以下、10%以下、5%以下、または1%以下の範囲を意味することもある。別の例では、「約10」という量は、10と、9~11の任意の量とを含む。さらに別の例では、参照数値に関して「約」という用語は、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値も含むことができる。あるいは、特に生体系または生物学的プロセスに関して、「約」という用語は、値の1桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特定の値が、本願および特許請求の範囲に記載されている場合、別段の記述がない限り、特定の値についての許容可能な誤差範囲内を意味する「約」という用語を想定すべきである。
【0053】
[0077]本明細書で使用される場合の「糖尿病」という用語およびその文法的等価表現は、長期間にわたる高い血糖値を特徴とする疾患を指すことができ、そのような疾患である。例えば、本明細書で使用される場合の「糖尿病」という用語およびその文法的等価表現は、1型、2型、嚢胞性線維症関連、外科的、妊娠糖尿病、およびミトコンドリア糖尿病を含む、すべてのまたは任意の型の糖尿病を指すことができる。一部のケースでは、糖尿病は、遺伝性糖尿病の一形態であり得る。
【0054】
[0078]「内分泌細胞」という用語は、特に明記されていない場合、「島」、「島細胞」、「島等価物」、「島様細胞」、「膵島」およびそれらの文法的等価表現などの、生物の膵臓に存在するホルモン産生細胞を指すことができる。ある実施形態では、内分泌細胞を膵臓前駆細胞または先駆体から分化させることができる。島細胞は、膵臓α細胞、膵臓β細胞、膵臓δ細胞、膵臓F細胞、および/または膵臓ε細胞を含むがこれらに限定されない、種々の型の細胞を含むことができる。島細胞は、細胞群、細胞クラスターなども指すことができる。
【0055】
[0079]「前駆」細胞および「先駆」細胞という用語は、本明細書では同義で使用され、それが分化によって生じさせることができる細胞と比べて原始的である(例えば、完全分化細胞になるよりも前の発生経路または進行段階にある)細胞表現型を有する細胞を指すことができる。多くの場合、前駆細胞は、有意なまたは非常に高い増殖能も有することができる。前駆細胞は、発生経路に依存して、および細胞が発生し、分化する環境に依存して、複数の明確に異なる分化細胞型を生じさせることもあり、または単一の分化細胞型を生じさせることもある。
【0056】
[0080]インスリン陽性内分泌細胞に関する用語としての「その先駆体」は、例えば、多能性幹細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、膵臓前駆細胞または内分泌前駆細胞を含む、インスリン陽性内分泌細胞に分化することが、先駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞へ
の分化に好適な条件下で培養されたとき可能である、任意細胞を指すことができる。
【0057】
[0081]「幹細胞由来β細胞」、「SC-β細胞」、「機能性β細胞」、「機能性膵臓β細胞」、「成熟SC-β細胞」という用語、およびそれらの文法的等価表現は、膵臓β細胞を示唆する少なくとも1つのマーカー(例えば、PDX-1またはNKX6.1)を提示し、インスリンを発現し、内在性成熟β細胞に特有のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を示す、細胞(例えば、非ネイティブ膵臓β細胞)を指すことができる。一部の実施形態では、本明細書で使用される場合の「SC-β細胞」および「非ネイティブβ細胞」という用語は、置き換え可能である。一部の実施形態では、「SC-β細胞」は、成熟膵臓細胞を含む。本開示の方法は、任意の細胞を出発点として使用して任意のインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体からSC-β細胞を誘導することが可能であるので、SC-β細胞が幹細胞に(例えば、直接)由来する必要がない(例えば、本発明はこのように限定されることを意図したものではないので、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、前駆細胞、部分的にリプログラミングされた体細胞(例えば、人工多能性幹細胞とそれが得られた元の体細胞との間の中間状態に部分的にリプログラミングされた体細胞)、複能性細胞、全能性細胞、前述の細胞のいずれかの分化転換バージョンを使用することができる)ことを理解されたい。一部の実施形態では、SC-β細胞は、複数回のグルコース負荷(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、または少なくとも3回以上の逐次的グルコース負荷)に対して応答を示す。一部の実施形態では、応答は、複数回のグルコース負荷に対する内在性島(例えば、ヒト島)の応答に似ている。一部の実施形態では、SC-β細胞の形態は、内在性β細胞の形態に似ている。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内在性β細胞のGSIS応答に似ているin vitro GSIS応答を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内在性β細胞のGSIS応答に似ているin vivo GSIS応答を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、内在性β細胞のGSIS応答に似ているin vitroおよびin vivo GSIS応答を示す。SC-β細胞のGSIS応答を、SC-β細胞の宿主(例えば、ヒトまたは動物)への移植から2週間以内に観察することができる。一部の実施形態では、SC-β細胞は、分泌顆粒内にパッケージングされる。一部の実施形態では、SC-β細胞は、カプセル化された結晶性インスリン顆粒を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1より大きい刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1.1より大きい刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、2より大きい刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、サイトカインに応答してサイトカイン誘導アポトーシスを示す。一部の実施形態では、SC-β細胞からのインスリンの分泌は、公知の抗糖尿病薬(例えば、分泌促進物質)に応答して増進される。一部の実施形態では、SC-β細胞は、単ホルモン性である。一部の実施形態では、SC-β細胞は、グルカゴン、ソマトスタチンまたは膵臓ポリペプチドなどの、他のホルモンを異常に共発現しない。一部の実施形態では、SC-β細胞は、低い複製速度を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、グルコースに応答して細胞内Ca2+を増加させる。
【0058】
[0082]本明細書で使用される場合、「インスリン産生細胞」という用語およびその文法的等価表現は、インスリンを分泌する膵臓前駆体、またはその先駆体、から分化した細胞を指すことができる。インスリン産生細胞は、本明細書でその用語が説明される通りの膵臓β細胞はもちろん、構成的または誘導性方式でインスリンを合成する(例えば、インスリン遺伝子を転写する、プロインスリンmRNAを翻訳する、およびプロインスリンmRNAを修飾してインスリンタンパク質にする)、発現する(例えば、インスリン遺伝子が有する表現型形質を現す)または分泌する(例えば、インスリンを細胞外空間に放出する)、膵臓β様細胞(例えば、インスリン陽性内分泌細胞)も含むことができる。例えば、本開示の方法に従ってインスリン陽性の内分泌細胞またはその先駆体をSC-β細胞に分化させることにより産生される、インスリン産生細胞の集団は、膵臓β細胞であることもあり、または内在性β細胞の特徴を示しているβ様細胞(例えば、少なくとも1つ、もし
くは少なくとも2つ最低限2つを有する細胞)であることもあり、内在性成体β細胞に似ているグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を示すことができる。例えば、本明細書で開示の方法により産生される、インスリン産生細胞の集団は、成熟膵臓β細胞またはSC-β細胞を含むことができ、非インスリン産生細胞(例えば、インスリンを産生も分泌もしないことを除いて細胞様表現型の細胞)を含有することもできる。
【0059】
[0083]「インスリン陽性β様細胞」、「インスリン陽性内分泌細胞」という用語、およびそれらの文法的等価表現は、膵臓β細胞を示唆する少なくとも1つのマーカーを示す、およびまたインスリンを発現するが、内在性β細胞に特有のグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答を欠く、細胞(例えば、膵臓内分泌細胞)を指すことができる。
【0060】
[0084]「β細胞マーカー」という用語は、膵臓β細胞に特異的に発現されるまたは存在する、タンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多形、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、エレメントならびに他の分析物を、限定ではないが、指す。例示的なβ細胞マーカーとしては、膵臓および十二指腸ホメオボックス1(Pdx1)ポリペプチド、インスリン、c-ペプチド、アミリン、E-カドヘリン、Hnf3β、PCI/3、B2、Nkx2.2、GLUT2、PC2、ZnT-8、Isl1、Pax6、Pax4、NeuroD、1 Inf1b、Hnf-6、Hnf-3ベータ、およびMafA、ならびにZhangら、Diabetes.50(10):2231~6(2001)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
[0085]「膵臓内分泌マーカー」という用語は、膵臓内分泌細胞に特異的に発現されるまたは存在する、タンパク質、ペプチド、核酸、タンパク質および核酸の多形、スプライス変異体、タンパク質または核酸の断片、エレメントならびに他の分析物を、限定ではないが、指す。例示的な膵臓内分泌細胞マーカーとしては、Ngn-3、NeuroD、およびIslet-1が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
[0086]「膵臓前駆体」、「膵臓内分泌前駆体」、「膵臓先駆体」、「膵臓内分泌先駆体」という用語、およびそれらの文法的等価表現は、本明細書では同義で使用され、膵臓内分泌細胞、膵臓外分泌細胞または膵管細胞を形成することが可能な膵臓ホルモン発現細胞になることが可能である幹細胞を指すことができる。これらの細胞は、少なくとも1つの型の膵臓細胞、例えば、インスリンを産生するβ細胞、グルカゴンを産生するα細胞、ソマトスタチンを産生するδ細胞(もしくはD細胞)、および/または膵臓ポリペプチドを産生するF細胞への分化が決定している。そのような細胞は、次のマーカーのうちの少なくとも1つを発現することができる:NGN3、NKX2.2、NeuroD、ISL-1、Pax4、Pax6、またはARX。
【0063】
[0087]本明細書で使用される場合の「Pdx1陽性膵臓前駆体」という用語は、膵臓β細胞などのSC-β細胞に分化する能力がある膵臓内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。Pdx1陽性膵臓前駆体は、マーカーPdx1を発現する。他のマーカーとしては、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6またはNRx2.2が挙げられるが、これらに限定されない。Pdx1の発現は、当業者に公知の任意の方法、例えば、抗Pdx1抗体を使用する免疫化学的検査または定量的RT-PCRによって評定することができる。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1の発現を欠く。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、それがNKX6.1の発現を欠くことから、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と言われることもある。
【0064】
[0088]本明細書で使用される場合の「Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆体」という用語は、膵臓β細胞などのインスリン産生細胞に分化する能力がある膵臓内胚葉(PE)細胞である細胞を指すことができる。Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆体は
、マーカーPdx1およびNKX6.1を発現する。他のマーカーとしては、Cdcp1、またはPtf1a、またはHNF6またはNRx2.2が挙げられるが、これらに限定されない。NKX6.1の発現は、当業者に公知の任意の方法、例えば、抗NKX6.1抗体を使用する免疫化学的検査、または定量的RT-PCRによって評定することができる。一部のケースでは、NKX6.1タンパク質または遺伝子は、「NKX6-1」タンパク質または遺伝子と言われることもある。
【0065】
[0089]本明細書で使用される場合の「Ngn3陽性内分泌前駆体」という用語は、転写因子ニューロゲニン-3(Ngn3)を発現する膵臓内分泌細胞の先駆体を指すことができる。前駆細胞は、複能性幹細胞より多く分化されており、少数の細胞型にしか分化することができない。詳細には、Ngn3陽性内分泌前駆細胞には、5つの膵臓内分泌細胞型(α、β、δ、εおよびPP)に分化する能力がある。Ngn3の発現は、当業者に公知の任意の方法、例えば、抗Ngn3抗体を使用する免疫化学的検査、または定量的RT-PCRによって評定することができる。
【0066】
[0090]「NeuroD」および「NeuroD1」という用語は、同義で使用され、膵臓内分泌前駆細胞に発現されるタンパク質およびそれをコードする遺伝子を特定するものである。
【0067】
[0091]「分化(した)細胞」という用語またはその文法的等価表現は、天然の形態では、本明細書でその用語が定義される通りの多能性でない、任意の初代細胞を意図したものである。別の言い方をすると、「分化(した)細胞」という用語は、細胞の分化プロセスであまり特殊化していない細胞型の細胞(例えば、人工多能性幹細胞などの幹細胞)から誘導された、より特殊化した細胞型の細胞を指すことができる。理論に制限されることを望まないが、通常の個体発生過程では、多能性幹細胞は、膵臓細胞を形成することが可能な内胚葉細胞および他の内胚葉細胞型に先ず分化することができる。内胚葉細胞のさらなる分化は膵臓経路につながり、この経路で細胞の約98%が外分泌、細管またはマトリックス細胞になり、約2%が内分泌細胞になる。初期内分泌細胞は、島前駆体であり、後にこの島前駆体は、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチンまたは膵臓ポリペプチドを分泌するインスリン産生細胞(例えば、機能性内分泌細胞)にさらに分化することができる。内胚葉細胞もまた、内胚葉起源の他の細胞、例えば、肺、肝臓、腸、胸腺などに分化することができる。
【0068】
[0092]本明細書で使用される場合、「体細胞」という用語は、生殖系列細胞の対語として、生物の身体を形成する任意の細胞を指すことができる。哺乳動物の場合、生殖系列細胞(「配偶子」としても公知)は、受精中に融合して接合子と呼ばれる細胞を産生する精子および卵子であり、全哺乳動物胚は、この細胞から発生する。哺乳動物の身体のあらゆる他の細胞型-精子および卵子、それらが作られる細胞(生殖母細胞)、ならびに未分化幹細胞は別として-は、体細胞である:内臓、皮膚、骨、血液および結合組織は、すべて体細胞で構成されている。一部の実施形態では、体細胞は、「非胚性体細胞」であり、「非胚性体細胞」とは、胚に存在も胚から得られもしない体細胞であって、そのような細胞のin vitroでの増殖の結果として生じない体細胞を意味する。一部の実施形態では、体細胞は、「成体体細胞」であり、「成体体細胞」とは、胚もしくは胎児以外の生物に存在する細胞、またはそのような生物から得られる細胞、またはそのような細胞のin
vitroでの増殖の結果として生じる細胞を意味する。別段の指示がない限り、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体を、インスリンを産生するグルコース応答性の細胞に変換するための方法を、in vivoとin vitroの両方で行うことができる(この場合、in vivoは、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体が対象体内に存在するときに実施され、in vitroは、培養で維持されている分離された少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその
先駆体を使用して実施される)。
【0069】
[0093]本明細書で使用される場合、「成体細胞」という用語は、胚の発生後に体中に見られる細胞を指すことができる。
[0094]本明細書で使用される場合の「内胚葉細胞」という用語は、極初期胚における3つの一次生殖細胞層のうちの1つ(他の2つの生殖細胞層は、中胚葉および外胚葉である)からの細胞を指す。内胚葉は、三層の最内層である。内胚葉細胞は、分化して先ず胚性腸を生じさせ、次いで、気道、消化管(例えば、腸)、肝臓および膵臓の内層を生じさせる。
【0070】
[0095]本明細書で使用される場合の「内胚葉起源の細胞」という用語は、内胚葉細胞から発生または分化した任意の細胞を指すことができる。例えば、内胚葉起源の細胞は、肝臓、肺、膵臓、胸腺、腸、胃および甲状腺の細胞を含む。理論により拘束されることを望まないが、肝臓前駆体および膵臓前駆体(pancreas progenitor)(膵臓前駆体(pancreatic progenitor)とも言われる)は、胚性前腸の内胚葉細胞から発生する。肝臓および膵臓前駆体は、それらの特殊化の直後に、著しく異なる細胞機能および再生能力を急速に獲得する。これらの変化は、脊椎動物間で高度に保存される誘導シグナルおよび遺伝子調節因子によって惹起される。臓器の発生および再生への関心は、肝不全およびI型糖尿病の治療的処置における肝細胞および膵臓β細胞に対する強い要求によって強められてきた。多様なモデル生物およびヒトにおける研究によって、肝臓および膵臓細胞の分化を惹起する、進化的に保存された誘導シグナルおよび転写因子ネットワークが解明されてきており、多様な幹細胞および前駆細胞型からの肝細胞およびβ細胞分化を促進する方法の指針が得られている。
【0071】
[0096]本明細書で使用される場合の「胚体内胚葉」という用語は、内胚葉細胞から分化した細胞であって、SC-β(例えば、膵臓β細胞)に分化され得る細胞を指すことができる。胚体内胚葉細胞は、マーカーSox17を発現することができる。胚体内胚葉細胞に特有の他のマーカーとしては、MIXL2、GATA4、HNF3b、GSC、FGF17、VWF、CALCR、FOXQ1、CXCR4、Cerberus、OTX2、グースコイド、C-Kit、CD99、CMKOR1およびCRIP1が挙げられるが、これらに限定されない。詳細には、本明細書での胚体内胚葉細胞は、Sox17を発現し、一部の実施形態ではSox17およびHNF3Bを発現するが、有意なレベルのGATA4も、SPARCも、APFも、DABも発現しない。胚体内胚葉細胞は、マーカーPdx1に対して陽性でない(例えば、それらは、Pdx1陰性である)。胚体内胚葉細胞には、肝臓、肺、膵臓、胸腺、腸、胃および甲状腺のものを含むもの細胞に分化する能力がある。Sox17および胚体内胚葉の他のマーカーの発現は、当業者に公知の任意の方法、例えば、免疫細胞化学的検査、例えば抗Sox17抗体を使用する免疫化学的検査、または定量的RT-PCRによって評定することができる。
【0072】
[0097]「膵臓内胚葉」という用語は、膵臓β細胞を含む複数の膵臓系列への分化が可能であるが、もはや非膵臓系列に分化する能力がない、内胚葉起源の細胞を指すことができる。
【0073】
[0098]本明細書で使用される場合の「原始腸管細胞」または「腸管細胞」という用語は、内胚葉細胞から分化した細胞であって、SC-β(例えば、膵臓β細胞)に分化され得る細胞を指すことができる。原始腸管細胞は、次のマーカーのうちの少なくとも1つを発現する:HNP1-β、HNF3-βまたはHNF4-α。原始腸管細胞には、肺、肝臓、膵臓、胃および腸のものを含む細胞に分化する能力がある。HNF1-βおよび原始腸管の他のマーカーの発現は、当業者に公知の任意の方法、例えば、免疫細胞化学的検査、例えば抗HNF1-β抗体を使用する免疫化学的検査によって評定することができる。
【0074】
[0099]本明細書で使用される場合の「幹細胞」という用語は、増殖およびより多くの前駆細胞を生じさせることが可能である、未分化細胞を指すことができ、前駆細胞には多数の母細胞を生成する能力があり、そしてまたこれらの母細胞は、分化したまたは分化可能な娘細胞を生じさせることができる。娘細胞自体を、増殖するように、および後に1つまたは複数の成熟細胞型に分化するが親の発生能を有する1つまたは複数の細胞を保持もする子孫を産生するように、誘導することができる。「幹細胞」という用語は、特定の状況下では、より特殊化または分化した表現型に分化する能力または潜在能力を有し、ある特定の状況下では、実質的に分化せずに増殖する能力を保持する、前駆体のサブセットを指すことができる。一実施形態では、幹細胞という用語は、末裔(子孫)が、胚細胞および組織の漸進的多様化の中で起こるように分化によって、例えば、完全に個別の特徴を獲得することによって、多くの場合異なる方向に、特殊化する、天然に存在する母細胞を一般に指す。細胞の分化は、多くの細胞分裂によって通常は起こる複雑なプロセスである。分化細胞は、自体が複能性細胞に由来する複能性細胞などに由来することもある。これらの複能性細胞の各々が幹細胞と見なされることもあるが、各々が生じさせることができる細胞型の範囲は、かなり異なり得る。一部の分化細胞は、より発生能が高い細胞を生じさせる能力も有する。そのような能力は、天然であることもあり、または様々な因子での処置によって人工的に誘導されることもある。多くの生物学的事例では、幹細胞は、1つより多くの明確に異なる細胞型の子孫を産生することができるため、「複能性」でもあるが、これは「幹細胞性」には必要でない。自己複製は、幹細胞の定義の他の古典的部分であるが、本文書で使用される場合には不可欠である。理論上は、自己複製は、2つの主要機序のどちらかによって起こり得る。幹細胞は、非対称に分裂することがあり、一方の娘は、幹状態を保持し、他方の娘は、何らかの明確に異なる他の特異的機能および表現型を発現する。あるいは、集団内の幹細胞の一部は、2つの幹へと対称に分裂することができ、したがって、全体として集団内に一部の幹細胞を維持するが、集団内の他の細胞は、分化した子孫のみを生じさせる。形式的には、幹細胞として始まる細胞は、分化した表現型へと進行し得るが、その後、「逆戻り」して幹細胞表現型を再発現すること(当業者によって「脱分化」または「再プログラミング」または「逆分化」と言われることが多い用語)が可能である。本明細書で使用される場合、「多能性幹細胞」という用語は、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、胎盤幹細胞などを含む。
【0075】
[00100]本明細書で使用される場合の「多能性」という用語は、異なる条件下で、1つ
より多くの分化細胞型に分化する、好ましくは、3つすべての生殖細胞層に特有の細胞型に分化する能力を有する、細胞を指すことができる。多能性細胞は、例えば、ヌードマウス奇形腫形成アッセイを使用して、1つより多くの細胞型に、好ましくは3つすべての胚葉に分化するそれらの能力によって主として特徴付けられる。多能性は、胚性幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明されるが、多能性についての好ましい試験は、3つの胚葉の各々の細胞に分化する能力を実証することである。そのような細胞を培養するだけではそれらの細胞が自然に多能性にならないことに留意されたい。リプログラミングされた多能性細胞(例えば、本明細書でその用語が定義される通りのiPS細胞)は、培養で限られた回数だけ分裂する能力を一般に有する初代細胞親と比べて、増殖能を失わずに長期間継代可能であるという特徴も有する。
【0076】
[00101]本明細書で使用される場合、「iPS細胞」および「人工多能性幹細胞」とい
う用語は、同義で使用され、非多能性細胞、通常は成体体細胞から、例えば、1つまたは複数の遺伝子の強制発現を誘導することによって、人工的に得られる(例えば、誘導される、または完全な逆戻りによる)多能性幹細胞を指すことができる。
【0077】
[00102]「表現型」という用語は、実際の遺伝子型に関係なく、一連の特定の環境条件
および因子のもとで細胞または生物を規定する1つまたは多数の総合的な生物学的特徴を
指すことができる。
【0078】
[00103]「対象」、「患者」、または「個体」という用語は、本明細書では同義で使用
され、細胞を得ることができる、および/または本明細書に記載の細胞での、予防的処置を含む、処置が施される、動物、例えばヒトを指すことができる。ヒト対象などの特定の動物に特異的である感染症、状態または病態の処置の場合、対象という用語は、その特定の動物を指すことができる。本明細書において同義で使用される場合の「非ヒト動物」および「非ヒト哺乳動物」は、哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ウサギ、ヒツジ、ネコ、イヌ、乳牛、ブタおよび非ヒト霊長類を含む。「対象」という用語はまた、哺乳類、爬虫類、両生類および魚類を含むがこれらに限定されない、任意の脊椎動物を包含する。しかし、有利には、対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、または他の哺乳動物、例えば、飼育哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウマなど、もしくは生産哺乳動物、例えば乳牛、ヒツジ、ブタなどである。「それを必要とする患者」または「それを必要とする対象」は、疾患または障害、例えば、糖尿病に限定されないが、糖尿病を有すると診断されたまたは有する疑いがある患者と、本明細書では言われる。
【0079】
[00104]本明細書で使用される「投与すること」は、本明細書に記載される1つまたは
複数の組成物を患者または対象に提供することを指すことができる。例として、限定でなく、組成物投与、例えば注射は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、または筋肉内(i.m.)注射によって行うことができる。1つまたは複数のそのような経路を利用することができる。非経口投与は、例えば、ボーラス注入法によることもあり、または長期にわたって徐々に灌流することによることもある。代替的に、または同時に、投与は、経口経路によることがある。加えて、投与はまた、細胞のボーラスまたはペレットの外科的堆積によることもあり、または医療デバイスの留置によることもある。ある実施形態では、本開示の組成物は、本明細書に記載される核酸配列を発現する操作された細胞もしくは宿主細胞、または本明細書に記載される少なくとも1つの核酸配列を含むベクターを、増殖性障害の処置または予防に有効である量で含むことができる。医薬組成物は、本明細書に記載の細胞集団を、1つまたは複数の薬学的にまたは生理的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と組み合わせて含むことができる。そのような組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロースまたはデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチドまたはアミノ酸、例えばグリシン;抗酸化剤;キレート剤、例えば、EDTAまたはグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);ならびに保存剤を含むことができる。
【0080】
[00105]単離された細胞に適用される場合の「処置する」、「処置すること」、「処置
」という用語、およびそれらの文法的等価表現は、細胞を任意の種類のプロセスもしくは条件に付すこと、または細胞に対する任意の種類の操作もしくは手順を行うことを含む。対象に適用される場合、これらの用語は、個体に医療的または外科的注意、ケアまたは管理を施すことを指すことができる。個体は、通常は、病気であるか、損傷しているか、または集団の平均的メンバーと比べて病気になるリスクが上昇しており、そのような注意、ケアまたは管理を必要とする。
【0081】
[00106]本明細書で使用される場合、「処置すること」および「処置」は、対象が疾患
の少なくとも1つの症状の軽減、または疾患の好転、例えば、有益なもしくは所望の臨床結果を有する(as)ために有効な量の組成物を、対象に投与することを指すことができる。本発明では、有益なまたは所望の臨床結果は、検出可能であるか検出不能であるかを問わず、1つまたは複数の症状の軽減、疾患の程度の低下、安定した(例えば、悪化しない)病態、疾患進行の遅延または緩徐化、病態の改善または緩和、および寛解(部分寛解であるか完全寛解あるかを問わず)を含むが、これらに限定されない。処理することは、
処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することも指すことができる。したがって、当業者は、処置が、疾患の完全治癒でないこともあるが、疾患状態を改善し得ることが分かる。本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、発症予防を含む。あるいは、処置は、疾患の進行が抑制または停止される場合、「有効」である。「処置」は、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することを意味することもある。処置を必要とする者は、ある心臓の状態を有すると既に診断された者はもちろん、遺伝的感受性、または体重、食事、健康状態などの他の要因に起因して、ある心臓の状態を発症する可能性が高い者も含む。
【0082】
[00107]「治療有効量」、「治療量」という用語、またはその文法的等価表現は、必要
な投薬量で、必要な期間にわたって、所望の治療結果を達成するために有効な量を指すことができる。治療有効量は、個体の病状、年齢、性別および体重、ならびに1または複数の対象において所望の応答を惹起する本明細書に記載される組成物の能力などの、要因によって変わり得る。投与すべき本開示の組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、腫瘍のサイズ、感染または転移の程度、および状態の個体差を考慮して、医師により決定され得る。
【0083】
[00108]あるいは、患者または対象への本明細書に記載される1つまたは複数の組成物
の投与の薬理学的および/または生理学的効果は、「予防的」であることがあり、例えば、効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防する。「予防有効量」は、必要な投薬量で、必要な期間にわたって、所望の予防結果(例えば、疾患発症の予防)を達成するために有効な量を指すことができる。
【0084】
[00109]至る所で開示される一部の数値は、例えば、「Xは、少なくとももしくは少な
くとも約100;または200[または任意の数値]である」と言われる。この数値は、その数自体、および下記のすべてを含む:
i)Xは、少なくとも100である;
ii)Xは、少なくとも200である;
iii)Xは、少なくとも約100である;および
iv)Xは、少なくとも約200である。
【0085】
[00110]これらの異なる組合せすべてが、至る所で開示される数値により包含される。
開示されるすべての数値は、それが治療剤の投与を指すにせよ、日、月、年、重量、投薬量などを指すにせよ、特に反対の指示がない限り、この要領で解釈されたい。
【0086】
[00111]至る所で開示される範囲は、例えば、「Xは、1~2;もしくは2~3日目[
もしくは任意の数値範囲]に、または約1~2;もしくは2~3日目[もしくは任意の数値範囲]に投与される」と言われることもある。この範囲は、これらの数自体(例えば、範囲の終点)、および下記のすべてを含む:
i)1日目~2日目の間に投与されるX;
ii)2日目~3日目の間に投与されるX;
iii)約1日目~2日目の間に投与されるX;
iv)約2日目~3日目の間に投与されるX;
v)1日目~約2日目の間に投与されるX;
vi)2日目~約3日目の間に投与されるX;
vii)約1日目~約2日目の間に投与されるX;および
viii)約2日目~約3日目の間に投与されるX。
【0087】
[00112]I.大要
[00113]島細胞の植え込みは、糖尿病患者の死滅したまたは機能不全のβ細胞を置換す
ることができ、糖尿病を治癒させることができる可能性がある。植え込みに使用される幹細胞由来β細胞を産生するための組成物および方法が、本明細書で提供される。
【0088】
[00114]本開示の態様は、原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓β細胞に分化させる方法に
関する。一部のケースでは、方法は、原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と、接触させるステップを含む。一部のケースでは、組成物は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの増殖因子、ソニックヘッジホグ(SHH)経路阻害剤、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC(PKC)活性化因子、およびRho関連プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の追加の分化因子をさらに含む。
【0089】
[00115]一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の
集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む第1の組成物と接触させることにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを生成するステップを含み、原始腸管細胞は、Pdx1陽性、NKX6.1陽性(postive)膵臓前駆細胞に分化される。一部のケースでは、接触は、約1日、2日、または3日間行われる。一部のケースでは、接触は、約1日行われる。一部のケースでは、原始腸管細胞は、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることにより、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞に分化される。一部のケースでは、生成するステップは、Pdx1陽性(postive)、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子およびROCK阻害剤を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の分化因子を含む第2の組成物と接触させることにより、Pdx1陽性(postive)、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞をPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させることをさらに含む。一部のケースでは、第2の組成物は、BMPシグナル伝達経路阻害剤を含まない。
【0090】
[00116]一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の
集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、最大約30%、最大約25%、最大約20%、最大約15%、最大約10%、最大約5%、最大約4%、最大約3%、最大約2%、または最大約1%CHGA陽性細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、フローサイトメトリーによって測定して最大約最大約25%、最大約20%、最大約15%、または最大約10%CDX2陽性細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、最大約30%CHGA陽性細胞と最大約30%CDX2陽性細胞とを含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、最大約20%CHGA陽性細胞と最大約5%CDX2陽性細胞とを含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、最大約15%CHGA陽性細胞と最大約3%CDX2陽性細胞とを含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。
【0091】
[00117]一部のケースでは、本明細書で提供されるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、
DMH-1、その誘導体、類似体または変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、DMH-1を含む。一部の実施形態では、方法は、原始腸管細胞を約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1と接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、原始腸管細胞を約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.42、0.45、0.48、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1、1.2、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、2.0、4.0、6.0、8.0、または10μMと接触させるステップを含む。一部の実施形態では、方法は、原始腸管細胞を約0.25μMと接触させるステップを含む。一部のケースでは、原始腸管細胞を分化させる際に使用される場合のBMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189を含まない。
【0092】
[00118]一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の
集団を、DMH-1またはその誘導体、類似体もしくは変異体と接触させることにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを生成するステップを含む。
【0093】
[00119]特定の理論により拘束されることを望まないが、本明細書で開示される方法の
一部の実施形態では、原始腸管細胞のPdx1陽性膵臓前駆細胞への分化中の、BMPシグナル伝達経路の阻害は、オフターゲット細胞、例えば、腸系列の細胞、またはCDX2遺伝子発現に対して陽性の細胞の生成の低減の一因になり得る。その一方で、一部のケースでは、原始腸管細胞のPdx1陽性膵臓前駆細胞またはPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化中の、II型受容体媒介TGF-βシグナル伝達経路の活性化は、単ホルモン性である、例えば、インスリンのみを分泌するがソマトスタチンまたはグルカゴンのような他の膵臓ホルモンを分泌しない成熟SC-β細胞ではなく、多ホルモン性細胞の生成を、一部のケースでは、もたらし得るニューロゲニン3(Ngn3)またはクロモグラニンA(CHGA)の、早期誘導の低減の一因に、一部のケースでは、なり得る。BMPシグナル伝達経路とTGF-βシグナル伝達経路の間にクロストークがあり得る。一部のケースでは、BMPシグナル伝達経路の阻害剤は、副作用、例えば、数ある中でも特にII型受容体媒介TGF-βシグナル伝達経路の遮断を有し得る。例えば、比較的低選択的なBMPシグナル伝達経路阻害剤LDN193189による、
図15に示されているような、II型受容体媒介TGF-βシグナル伝達経路の阻害は、早期NGN3/CHGA誘導をもたらすことがあり、それによって多ホルモン性細胞が生成される。ある特定の理論により拘束されることを望まないが、一部のケースでは、高選択的BMPシグナル伝達経路阻害剤、例えば、DMH-1またはその誘導体、類似体または変異体は、II型受容体媒介TGF-βシグナル伝達経路に対してより低い阻害効果を有し得る。一部の他のケースでは、特定の理論により拘束されることを望まないが、BMPシグナル伝達経路阻害剤と一緒にTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とコインキュベーションすることで、比較的高い活性レベルのII型受容体媒介TGF-βシグナル伝達経路を維持しつつ、BMPシグナル伝達経路の選択的阻害を生じさせることができる。一部のケースでは、BMPシグナル伝達経路阻害剤と一緒にTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とコインキュベーションすることで、オフターゲット細胞、例えばCDX2陽性細胞の生成を低減させることができ、例えば、原始腸管細胞から分化した細胞におけるNG
N3またはCHGAの早期誘導の結果としての多ホルモン性細胞の生成を低減させることもできる。
【0094】
[00120]本開示の態様は、膵臓β細胞、例えばSC-β細胞を生成する方法であって、
ゼノフリー培養培地中で前駆細胞(例えば、iPSC細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、またはインスリン陽性内分泌細胞のような、幹細胞)を分化させるステップを含む方法に関する。動物起源の細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物からの産物を有することができない。一部のケースでは、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いかなる非ヒト動物からの産物も有することができない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎仔血清(FBS)またはウシ血清アルブミン(BSA)ではなく、ヒト血清アルブミン(HSA)またはヒト血小板溶解物(PLT)を含むことができる。
【0095】
[00121]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、血清アルブミンを欠く培
養培地中で前駆細胞(例えば、iPSC細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、またはインスリン陽性内分泌細胞のような、幹細胞)を分化させることにより、膵臓β細胞、例えばSC-β細胞を生成するステップを含む。一部のケースでは、培養培地中に血清アルブミンを使用しないまたはHSAを使用する本明細書で提供される方法により生成された膵臓β細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターは、代わりにBSAを使用することを除いて他の点では同一の方法により生成された膵臓β細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターと比較して、有意な改善を有することができる。この改善は、得られる最終細胞集団中のより高いパーセンテージの膵臓β細胞、より高いGSIS応答(例えば、グルコース負荷に応答してより多いインスリン放出)、より高いGSIS刺激指数、生成された細胞クラスター中の膵臓β細胞の分布のより高い均一性、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0096】
[00122]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(H
SA)を含む培養培地中で幹細胞、例えばhESまたはiPS細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、幹細胞は、胚体内胚葉細胞に分化される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で胚体内胚葉細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、胚体内胚葉細胞は、原始腸管細胞に分化される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で原始腸管細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、原始腸管細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞(例えば、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞またはPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)に分化される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中でPdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞は、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中でPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、インスリン陽性内分泌細胞に分化される。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中でインスリン陽性内分泌細胞を含む細胞の集団を分化させるステップを含む。一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞は、膵臓β細胞、例えば、SC-β細胞に分化される。
【0097】
[00123]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約0.001%(w/v
)~約5%(w/v)、約0.005%(w/v)~約4%(w/v)、約0.01%(w/v)~約3%(w/v)、約0.02%(w/v)~約2.5%(w/v)、約0.03%(w/v)~約2%(w/v)、約0.04%(w/v)~約1%(w/v)、約0.045%(w/v)~約0.5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.1%(w/v)HSAを含む培養培地の使用を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約0.001%、0.002%、0.0025%、0.005%、0.0075%、0.01%、0.0125%、0.015%、0.0175%、0.02%、0.0225%、0.025%、0.0275%、0.03%、0.0325%、0.035%、0.0375%、0.04%、0.0425%、0.045%、0.0475%、0.05%、0.0525%、0.055%、0.575%、0.06%、0.0625%、0.065%、0.0675%、0.07%、0.0725%、0.075%、0.0775%、0.08%、0.085%、0.09%、0.1%、0.12%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、または4%、5%(w/v)HSAを含む培養培地の使用を含む。「w/v」という用語は、重量/体積のまたは単位体積当たりの重量のパーセンテージの省略である。例えば、100mLの培養培地中の1mgのHSAは、1%(w/v)の濃度を有する。
【0098】
[00124]一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の
集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、または少なくとも約95%Pdx1陽性細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される方法は、原始腸管細胞を含む細胞の集団を、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターに分化させることにより、最大約60%、最大約50%、最大約40%、最大約35%、最大約30%、最大約25%、最大約22%、最大約20%、最大約18%、最大約15%、最大約14%、最大約13%、最大約11%、最大約12%、最大約10%、または最大約5%CDX2陽性細胞を含む細胞の集団または細胞クラスターを得ることができる。
【0099】
[00125]本開示の態様は、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆
体(例えば、iPS細胞、hESC、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、PDX1陽性膵臓前駆細胞、PDX1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞など)から幹細胞由来β(SC-β)細胞(例えば、成熟膵臓β細胞)を生成するための組成物および方法、ならびに細胞治療、アッセイ(例えば、薬物スクリーニング)および様々な処置方法における使用のためのそれらの組成物および方法により産生されたSC-β細胞に関する。
【0100】
[00126]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を産生するための幹細胞を選択する
ための方法および基準を提供する。一部の実施形態では、幹細胞は、胚性幹細胞(ESC)である。一部の実施形態では、幹細胞は、Oct4を発現する細胞である。一部の実施形態では、出発幹細胞培養物は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%のパーセンテージのOct4発現細胞を含む。
【0101】
[00127]一部の態様では、本開示は、選択可能なマーカーを利用する必要なく、形態学
的基準に基づいて、ならびにインスリンを発現する、1回または複数回のグルコース負荷に応答してインスリンを分泌する、成熟GSIS応答を示す、および膵臓においてin
vivoで島を構築する能力などの、機能的特徴に基づいて、検出可能であり、通常は、直径約9~15nmの小さい紡錘状の細胞を有する、SC-β細胞の同定方法に関する。
【0102】
[00128]一部の態様では、本開示は、幹細胞分化のための基礎培地成分を同定する方法
に関する。一部の実施形態では、基礎培地成分は、分化効率を上昇させることができる。一部の実施形態では、基礎培地成分は、オンターゲット前駆細胞集団(例えば、SC-β細胞集団)のパーセンテージを増加させることができる。一部の実施形態では、本開示の方法により産生されるオンターゲット前駆細胞集団のパーセンテージは、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または~100%である。一部の実施形態では、本開示の方法により産生されるSC-β細胞集団のパーセンテージは、60%~70%、70%~80%、80%~90%、または~100%である。一部の実施形態では、本開示の方法により産生されるSC-β細胞集団のパーセンテージは、cである。
【0103】
[00129]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞を産生する組成物および方法であっ
て、当技術分野において公知の標準的方法と比較してSC-β細胞のパーセンテージが1.2~3倍増加する結果となる、組成物および方法に関する。一部の実施形態では、増加倍数は、1.2~1.5、1.5~2、または2~2.5である。産生されるSC-β細胞は、内在性(例えば、天然)β細胞に匹敵する活性を示すことができ、凍結保存後に安定性を示すことができる。
【0104】
[00130]一部の態様では、本開示は、SC-β細胞活性(例えば、グルコースを感知す
るおよびインスリンを分泌する能力)を向上させることができるシグナル伝達因子を同定する方法に関する。候補小分子のスクリーニングを行って、有用なシグナル伝達因子を同定することができる。シグナル伝達因子を試験するために使用することができるアッセイの一例は、GSISアッセイである。一部の実施形態では、SC-β細胞は、シグナル伝達因子の存在下で少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0以上の刺激指数を示す。
【0105】
[00131]II.SC-β細胞
[00132]本開示のSC-β細胞は、正常なβ細胞機能にとって重要であるβ細胞の多く
の特有の特徴を共有する。一部の実施形態では、SC-β細胞は、グルコース刺激インスリン分泌(GSIS)応答をin vitroで示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、GSIS応答をin vivoで示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、in vitroおよびin vivo GSIS応答を示す。一部の実施形態では、GSIS応答は、内在性成熟膵臓β細胞のGSIS応答に似ている。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも1回のグルコース負荷に対してGSIS応答を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも2回の逐次的グルコース負荷に対してGSIS応答を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも3回の逐次的グルコース負荷に対してGSIS応答を示す。一部の実施形態では、GSIS応答は、複数回のグルコース負荷に対する内在性ヒト島のGSIS応答に似ている。一部の実施形態では、GSIS応答は、ヒトまたは動物への細胞の移植の直後に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、ヒトまたは動物への細胞の移植からおおよそ24時間以内に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、ヒトまたは動物への細胞の移植からおおよそ1週間以内に観察される。一部の実施形態では、GSIS応答は、ヒトまたは動物への細胞の移植からおおよそ2週間以内に観察される。一部の実施形態では、低グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンと比較した高グルコース濃度に応答して分泌されるインスリンの比により特徴付けられるような細胞の刺激指数は、内在性成熟膵臓β細胞の刺激指数と類似している。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1より大きい刺激指数を示す
。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1以上の刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1.1より大きい刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1.1以上の刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、2より大きい刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、1以上の刺激指数を示す。一部の実施形態では、SC-β細胞は、少なくとも2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、または5.0以上の刺激指数を示す。
【0106】
[00133]本開示の一部の実施形態は、SC-β細胞を含む、細胞培養物または細胞集団
などの、細胞組成物であって、SC-β細胞が、少なくとも1つのインスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体から誘導された、細胞組成物に関する。一部の実施形態では、細胞組成物は、インスリン陽性内分泌細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、NKX6.1-膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、PDX1-膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、原始腸管細胞を含む。一部の実施形態では、細胞組成物は、胚体内胚葉細胞を含む。
【0107】
[00134]ある特定の実施形態に従って、化学的に誘導されたSC-β細胞は、哺乳動物
細胞であり、好ましい実施形態では、そのようなSC-β細胞は、ピューマSC-β細胞である。一部の実施形態では、インスリン陽性内分泌細胞は、胚体内胚葉細胞、例えば、ヒト胚体内胚葉幹細胞から誘導された。ある特定の実施形態に従って、化学的に誘導されたPDX1陽性膵臓前駆体は、哺乳動物細胞であり、好ましい実施形態では、そのようなPDX1陽性膵臓前駆体は、ヒトPDX1陽性膵臓前駆体である。
【0108】
[00135]本開示の他の実施形態は、本明細書で開示の方法により産生されたSC-β細
胞を含む、単離された細胞集団または細胞培養物などの、組成物に関する。本開示の一部の実施形態は、本明細書で開示の方法により産生された、化学的に誘導されたSC-β細胞を含む、単離された細胞集団または細胞培養物などの、組成物に関する。そのような実施形態では、SC-β細胞は、SC-β細胞集団中の全細胞の約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約12%未満、約10%未満、約8%未満、約6%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満を構成する。一部の実施形態では、組成物は、細胞集団中の全細胞の約90%より多くを構成するSC-β細胞の集団を含み、例えば、細胞集団中の全細胞の約少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも約99%、または約少なくとも100%は、SC-β細胞である。
【0109】
[00136]本開示のある特定の他の実施形態は、SC-β細胞と、SC-β細胞が誘導さ
れた元のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体との組合せを含む、単離された細胞集団または細胞培養物などの、組成物に関する。一部の実施形態では、SC-β細胞が誘導される元のインスリン陽性内分泌細胞は、単離された細胞集団または培養物中の全細胞の約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満を構成する。
【0110】
[00137]本開示のさらなる実施形態は、本明細書に記載のプロセスにより産生された、
単離された細胞集団または細胞培養物などの、組成物であって、化学的に誘導されたSC-β細胞を多数派細胞型として含む組成物に関する。一部の実施形態では、本明細書に記載される方法およびプロセスは、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも
約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、少なくとも約90%、少なくとも約89%、少なくとも約88%、少なくとも約87%、少なくとも約86%、少なくとも約85%、少なくとも約84%、少なくとも約83%、少なくとも約82%、少なくとも約81%、少なくとも約80%、少なくとも約79%、少なくとも約78%、少なくとも約77%、少なくとも約76%、少なくとも約75%、少なくとも約74%、少なくとも約73%、少なくとも約72%、少なくとも約71%、少なくとも約70%、少なくとも約69%、少なくとも約68%、少なくとも約67%、少なくとも約66%、少なくとも約65%、少なくとも約64%、少なくとも約63%、少なくとも約62%、少なくとも約61%、少なくとも約60%、少なくとも約59%、少なくとも約58%、少なくとも約57%、少なくとも約56%、少なくとも約55%、少なくとも約54%、少なくとも約53%、少なくとも約52%、少なくとも約51%または少なくとも約50%SC-β細胞を含む、単離された細胞培養物および/または細胞集団を産生する。
【0111】
[00138]別の実施形態では、細胞(または細胞培養物)の単離された細胞集団または組
成物は、ヒトSC-β細胞を含む。他の実施形態では、本明細書に記載の方法およびプロセスは、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%または少なくとも約1%SC-β細胞を含む、単離された細胞集団を産生することができる。好ましい実施形態では、単離された細胞集団は、ヒトSC-β細胞を含み得る。一部の実施形態では、細胞培養物または集団中のSC-β細胞のパーセンテージは、培養物に残存するフィーダー細胞を顧慮せずに計算される。
【0112】
[00139]本開示のさらに別の態様は、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少な
くとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%または少なくとも約1%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む細胞(または細胞培養物)の細胞集団または組成物に関する。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約20%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約40%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約50%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約17.9%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約41.5%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約50.6%NKX6.1+/C-ペプチド+細胞を含む。
【0113】
[00140]一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成
物は、少なくとも約90%、少なくとも約89%、少なくとも約88%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約6
5%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%または少なくとも約1%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約40%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約60%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約85%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約36.9%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約63.4%NKX6.1+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約89.5%NKX6.1+細胞を含む。
【0114】
[00141]一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成
物は、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%または少なくとも約1%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約30%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約55%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約26.8%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約57.7%C-ペプチド+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約55.2%C-ペプチド+細胞を含む。
【0115】
[00142]一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成
物は、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約89%、少なくとも約88%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約24%、少なくとも約23%、少なくとも約22%、少なくとも約21%、少なくとも約20%、少なくとも約19%、少なくとも約18%、少なくとも約17%、少なくとも約16%、少なくとも約15%、少なくとも約14%、少なくとも約13%、少なくとも約12%、少なくとも約11%、少なくとも約10%、少なくとも約9%、少なくとも約8%、少なくとも約7%、少なくとも約6%、少なくとも約5%、少なくとも約4%、少なくとも約3%、少なくとも約2%または少なくとも約1%クロモグラニンA(CHGA)+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約40%CHGA+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提
供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約85%CHGA+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、少なくとも約95%CHGA+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約37.7%CHGA+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約87.5%CHGA+細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される場合の細胞の細胞集団または組成物は、約96.4%CHGA+細胞を含む。
【0116】
[00143]本開示のさらに他の実施形態は、SC-β細胞と、SC-β細胞が分化された
元のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体との混合物を含む、単離された細胞集団または細胞培養物などの、組成物に関する。例えば、約95個のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体につき少なくとも約5個のSC-β細胞を含む細胞培養物または細胞集団を、産生することができる。他の実施形態では、約5個のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体につき少なくとも約95個のSC-β細胞を含む細胞培養物または細胞集団を、産生することができる。さらに、SC-β細胞のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体に対する他の比を有する細胞培養物または細胞集団が、企図される。例えば、約1,000,000個、または少なくとも100,000個の細胞、または少なくとも10,000個の細胞、または少なくとも1000個の細胞または500個、または少なくとも250個または少なくとも100個または少なくとも10個のインスリン陽性内分泌細胞またはそれらの先駆体につき、少なくとも約1個のSC-β細胞を含む組成物を、産生することができる。
【0117】
[00144]一部の態様では、本開示は、少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1
陽性膵臓前駆細胞と、最大約30%、28%、26%、25%、24%、22%、20%、18%、16%、14%、12%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、または2%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞と、最大約30%、28%、26%、25%、24%、22%、20%、18%、16%、または15%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターを提供する。一部のケースでは、細胞クラスターは、最大約20%CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む。一部のケースでは、細胞クラスターは、最大約5%CHGA陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、最大約20%CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞、および最大約5%CHGA陽性細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも約60%、62%、64%、65%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、または95%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも約65%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む。
【0118】
[00145]一部の実施形態では、少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵
臓前駆細胞と、最大約30%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞と、最大約30%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターは、約30%より多くのクロモグラニンA(CHGA)陽性細胞または約30%より多くのCDX2陽性細胞を有する比較可能な細胞クラスターと比較して、特定の機能的特徴を有することができる。例えば、一部のケースでは、少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞と、最大約30%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞と、最大約30%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞と30%より多くのクロモグラニンA(CHGA)陽性細胞または30%より多くのCDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる。
【0119】
[00146]一部の態様では、本開示は、少なくとも約60%、62%、64%、65%、
68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、または90%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と、最大約40%、38%、36%、34%、32%、30%、28%、26%、25%、24%、22%、20%、18%、16%、15%、14%、12%、または10%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターを提供する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、少なくとも約85%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む。一部の実施形態では、細胞クラスターは、最大約15%CDX2陽性細胞を含む。一部のケースでは、細胞クラスターは、少なくとも約85%Px1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞、および最大約15%CDX2陽性細胞を含む。
【0120】
[00147]一部の実施形態では、少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵
臓前駆細胞と、最大約40%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターは、約40%より多くのCDX2陽性細胞を有する比較可能な細胞クラスターと比較して、特定の機能的特徴を有することができる。例えば、一部のケースでは、少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と最大40%CDX2陽性細胞とを含む細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と40%より多くのCDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる。
【0121】
[00148]一部の態様では、本開示は、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを
提供する。一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞クラスターは、原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることによる、原始腸管細胞の分化から得られる。一部の実施形態では、細胞クラスターは、接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な第2の細胞クラスターと比較してより多い1立方マイクロメートル当たりの非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な第2の細胞クラスターと比較して、少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6倍多い、1立方マイクロメートル当たりの非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する。
【0122】
[00149]一部のケースでは、本明細書で開示される非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞
クラスターは、BMPシグナル伝達経路阻害剤またはTGF-βファミリーからの増殖因子との接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な第2の細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な第2の細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターのGSIS刺激指数は、第2の細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、細胞クラスターのGSIS刺激指数は、第2の集団のものより少なくとも約3倍高い。一部の実施形態では、GSIS刺激指数は、20mMグルコース負荷に応答してのインスリン分泌の、2mMグルコース負荷に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞は、グルコース負荷に曝露されたときにin v
itroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す。一部のケースでは、非ネイティブ膵臓β細胞は、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な第2の細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。一部の実施形態では、細胞クラスターは、比較可能な第2の細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す。
【0123】
[00150]一部のケースでは、本明細書で開示される細胞集団または細胞クラスターは、
細胞選別プロセスを経ていない未選別の、例えば、単離された細胞集団または細胞クラスターである。一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞クラスターは、所与の環境で、例えば3D浮遊培養で、培養された細胞の自己凝集により形成される細胞クラスターを指すことができる。一部の実施形態では、本明細書で開示される細胞クラスターは、本明細書に記載の分化プロセスの間に形成される中間細胞クラスターである。一部のケースでは、中間細胞クラスター、例えば、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター(例えば、ステージ3細胞クラスター)、またはPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスター(例えば、ステージ4細胞クラスター)は、細胞選別に付されない。一部のケースでは、細胞選別を受ける細胞集団は、本明細書で開示される中間細胞クラスターを形成できないことがある。例えば、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、細胞選別を受けた後、本明細書で開示の細胞クラスターを形成できないことがある。
【0124】
[00151]本明細書に記載の細胞選別は、細胞サイズ、形状(形態)、表面タンパク質発
現、内因性シグナルタンパク質発現、またはこれらの任意の組合せの差異を頼りに複数の細胞から細胞の一群を単離するプロセスを指すことができる。一部のケースでは、細胞選別は、細胞をフローサイトメトリーに付すことを含む。フローサイトメトリーは、レーザーまたはインピーダンスに基づく生物物理的技術である。フローサイトメトリー中に、細胞を流体流に浮遊させ、それらを電子検出装置に通すことができる。細胞の光学的特性の1つまたは複数のパラメーター(例えば、レーザー励起時の発光波長)に基づくフローサイトメトリーの1つのタイプ、蛍光活性化細胞選別(FACS)では、フローサイトメトリーを使用して、目的の細胞を物理的に分離し、それによって精製することができる。本明細書に記載の未選別の細胞クラスターは、活性細胞選別プロセス、例えばフローサイトメトリーに付されていない複数の細胞によって形成される細胞クラスターであり得る。一部のケースでは、本明細書で論じられる場合のフローサイトメトリーは、細胞に発現された1つまたは複数のシグナルペプチドに基づくこともある。例えば、細胞クラスターは、シグナルペプチド(例えば、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)またはtdTomato)を発現する細胞を含むことができる。一部のケースでは、シグナルペプチドは、細胞におけるインスリン発現の指標として発現される。例えば、細胞クラスターは、インスリンプロモーターの制御下にあるGFPをコードする外来性核酸配列を保有する細胞を含むことができる。インスリンプロモーターは、内在性プロモーターであることもあり、または外来性プロモーターであることもある。一部のケースでは、これらの細胞におけるGFPの発現は、細胞におけるインスリン発現を示すことができる。したがって、GFPシグナルは、膵臓β細胞のマーカーであり得る。一部のケースでは、本明細書に記載の細胞選別は、磁性抗体または他のリガンドが、異なる細胞型を標識するために使用され、磁気特性の差異が細胞選別に使用され得る、磁気活性化フローサイトメトリーを含むことができる。
【0125】
[00152]本明細書に記載される、Pdx1、NKX6.1、インスリン、NGN3また
はCHGAのような、1つまたは複数の特定のマーカーを発現する細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーアッセイのような技法を使用して検出されるパーセンテージ値であり得る。一部のケースでは、フローサイトメトリーアッセイ中に、本明細書で論じられる細胞集団または細胞クラスターは、トリプシンまたはTrypLE(商標)Expressのような消化酵素中でのインキュベーションによって分散されて単個細胞浮遊液になる。分散された細胞をPBSのような好適な緩衝液で洗浄し、遠心分離し、次いで4%PFAのような固定緩衝液に再懸濁させることができる。次いで、目的の細胞マーカーに対する一次抗体とのインキュベーションを行うことができ、その後、二次抗体とのインキュベーションを行うことができる。抗体インキュベーション後、細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによる分離に付すことができる。フローサイトメトリー以外の技法を使用して、本明細書に記載される細胞を特徴付けること、例えば、細胞パーセンテージを決定することもできる。細胞特徴付け方法の非限定的な例としては、遺伝子シーケンシング、顕微鏡技法(蛍光顕微鏡法、原子間力顕微鏡法)、核型分析、アイソエンザイム分析、DNA特性、ウイルス感受性が挙げられる。
【0126】
[00153]一部の態様では、本開示は、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含
む組成物であって、細胞が、グルコースでの誘導時に分泌されるインスリンの量と比較してより多い量のインスリンをKCl(例えば、約20~約50mM、例えば約30mM)での誘導時に分泌する、組成物に関する。一部の実施形態では、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団は、グルコースでの誘導時に分泌されるインスリンの量と比較して少なくとも1.5倍、2倍、2.5倍、3倍多い量のインスリンをKClでの誘導時に分泌する。
【0127】
[00154]一部の態様では、本開示は、グルコース応答性インスリン分泌細胞の集団を含
む組成物であって、細胞が、KClおよび/またはグルコースでの誘導時に、シグナル伝達因子の非存在下の比較可能な細胞と比較してより多い量のインスリンをシグナル伝達因子の存在下で分泌する、組成物に関する。一部の実施形態では、細胞は、高グルコースの存在下ではより多量のインスリンを分泌するが、低グルコースの存在下では分泌しない。一部の実施形態では、高グルコース濃度は、約10~20mMである。一部の実施形態では、低グルコース濃度は、約2~5mMである。
【0128】
[00155]一部の態様では、本開示は、分化膵臓前駆細胞の集団を含む組成物であって、
集団が、フローサイトメトリーによって判定して少なくとも60%膵臓β細胞を含む組成物に関する。一部の実施形態では、集団は、少なくとも65%、70%、75%、80%、85%、または90%膵臓β細胞を含む。一部の実施形態では、集団は、所定の基礎培地成分と接触させると、基礎培地成分と接触させていない比較可能な集団と比較してより高いパーセンテージの膵臓β細胞を含む。
【0129】
[00156]本明細書に記載される本開示の方法に従って生成される、in vitroで
成熟した、SC-β細胞(例えば、膵臓β細胞)は、多くの利点を明示し、例えば、それらは、グルコース刺激インスリン分泌をin vitroで行い、遺伝子発現および微細構造の点でヒト島β細胞に似ており、マウスに移植されたときにヒトインスリンを分泌して高血糖症を改善し、細胞治療(例えば、追加のおよび/または機能性のβ細胞を必要とする対象への移植)、薬物スクリーニング(例えば、インスリン産生/分泌、生存率、脱分化などについて)、研究(例えば、正常β細胞と糖尿病β細胞間の機能の相違を判定する)および組織工学(例えば、島を再構築する際に第1の細胞型としてSC-β細胞を使用する)のための新たなプラットフォームを提供する。
【0130】
[00157]III.幹細胞およびリプログラミング
[00158]SC-β細胞(例えば、成熟膵臓β細胞もしくはβ様細胞)またはその先駆体
を産生するための幹細胞の使用が、本明細書で提供される。ある実施形態では、米国特許出願公開第20150240212号および同第20150218522号に記載されているのと同様のプロトコールを使用して、生殖細胞を幹細胞の代わりにまたは幹細胞とともに使用して少なくとも1つのSC-β細胞を得ることができ、参考特許文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。好適な生殖細胞は、例えば、最終月経期の約8~11週間後に採取されたヒト胎児材料に存在する始原生殖細胞から、調製することができる。実例となる生殖細胞調製方法は、例えば、Shamblottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998および米国特許第6,090,622号に記載されている。
【0131】
[00159]SC-β細胞(例えば、膵臓β細胞)を生成する組成物および方法が、本明細
書で提供される。一般に、本明細書で開示される方法に従って産生される少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体、例えば、膵臓前駆体は、異なる細胞の混合物または組合せ、例えば、例えば、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆体、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆体、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、β様細胞)および/または他の多能性もしくは幹細胞などの細胞の混合物を含むことができる。
【0132】
[00160]少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体を任意の好適な培養プロトコ
ールに従って産生して、幹細胞または多能性細胞を所望の分化ステージに分化させることができる。一部の実施形態では、少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体は、少なくとも1つの多能性細胞が少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体に分化するのに好適な期間、それに好適な条件下で、少なくとも1つの多能性細胞を培養することにより産生される。
【0133】
[00161]一部の実施形態では、少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体は、S
C-β細胞またはその先駆体の実質的に純粋な集団である。一部の実施形態では、SC-β細胞またはその先駆体の集団は、多能性細胞または分化細胞の混合物を含む。一部の実施形態では、集団SC-β細胞またはその先駆体は、胚性幹細胞または多能性細胞またはiPS細胞を実質的に含まないまたは欠いている。
【0134】
[00162]一部の実施形態では、体細胞、例えば、線維芽細胞を、対象から、例えば、組
織検体、例えば皮膚検体などとして単離し、さらなる分化のために人工多能性幹細胞へとリプログラミングして、本明細書に記載の組成物および方法での使用のための少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体を産生することができる。一部の実施形態では、体細胞、例えば、線維芽細胞は、当業者に公知の方法により培養で維持され、一部の実施形態では、増やされた後、本明細書で開示の方法によりSC-β細胞に変換される。
【0135】
[00163]一部の実施形態では、少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体は、当
業者に公知の方法により培養で維持され、一部の実施形態では、増やされた後、本明細書で開示の方法によりSC-β細胞に変換される。
【0136】
[00164]さらに、少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体、例えば、膵臓前駆
体は、いずれの哺乳動物種からのものであってもよく、非限定的な例としては、マウス、ウシ、サル、ブタ、ウマ、ヒツジまたはヒト細胞が挙げられる。明確かつ簡潔にするために、本明細書における方法の記載は、哺乳動物の少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体に言及するが、本明細書に記載される方法のすべてを少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体の他の細胞型に容易に適用することができることは理解されるはずである。一部の実施形態では、少なくとも1つのSC-β細胞またはその先駆体は、ヒト個体から採取される。
【0137】
[00165]幹細胞
[00166]本開示の実施形態は、膵臓β細胞またはそれらの先駆体の生成のための幹細胞
の使用に関係し得る。本明細書で使用される場合の「幹細胞」という用語は、自己複製と分化細胞型の生成の両方を行う能力を有する細胞(例えば、植物幹細胞、脊椎動物幹細胞)を指すことができる(Morrisonら、(1997)Cell 88:287~298)。細胞個体発生に関して、形容詞「分化(した)(differentiated)」、または「分化(する)(differentiating)」は、相対語である。「分化(した)細胞」は、比較されている細胞よりも発生経路のさらに先に進んだ細胞であり得る。したがって、多能性幹細胞は、系列限定前駆細胞(例えば、中胚葉幹細胞)に分化することができ、そしてまたこれらの前駆細胞は、さらに限定された細胞(例えば、ニューロン前駆体)に分化することができ、これらのさらに限定された細胞は、分化が完了した細胞(例えば、最終分化細胞、例えば、ニューロン、心筋細胞など)に分化することができ、これらの細胞は、ある特定の組織型において特有の役割を果たし、さらに増殖する能力を保持することもあり、または保持しないこともある。幹細胞は、特異的マーカー(例えば、タンパク質、RNAなど)の存在と特異的マーカーの非存在の両方を特徴とし得る。幹細胞を、in vitroおよびin vivo両方の機能性アッセイ、特に、複数回分化した子孫を生じさせる幹細胞の能力に関するアッセイによって同定することもできる。ある実施形態では、宿主細胞は、成体幹細胞、体性幹細胞、非胚性幹細胞、胚性幹細胞、造血幹細胞、人工多能性幹細胞(an include pluripotent stem cells)、および栄養膜幹細胞である。
【0138】
[00167]本明細書で提供される方法に使用することができる幹細胞は、多能性幹細胞(
PSC)を含み得る。本明細書で使用される場合の「多能性幹細胞」または「PSC」という用語は、生物のすべての細胞型を産生することが可能な幹細胞を指すことができる。したがって、PSCは、生物のすべての胚葉(例えば、脊椎動物の内胚葉、中胚葉、および外胚葉)の細胞を生じさせることができる。多能性細胞は、奇形腫を形成すること、および生存生物における外胚葉、中胚葉または内胚葉組織に寄与することが可能であり得る。植物の多能性幹細胞は、植物のすべての細胞型(例えば、根、茎、葉などの細胞)を生じさせることが可能であり得る。
【0139】
[00168]本開示の実施形態は、膵臓β細胞またはそれらの先駆体の生成のためのPSC
の使用に関係し得る。動物のPSCを多数の異なる方法で得ることができる。例えば、胚性幹細胞(ESC)は、胚の内部細胞塊から誘導することができる(Thomsonら、Science.1998年11月6日;282(5391):1145~7)が、人工多能性幹細胞(iPSC)は、体細胞から誘導することができる(Takahashiら、Cell.2007年11月30日;131(5):861~72;Takahashiら、Nat Protoc.2007;2(12):3081~9;Yuら、Science.2007年12月21日;318(5858):1917~20.Epub 2007年11月20日)。PSCという用語は、多能性幹細胞をそれらの起源に関係なく指すことができるため、PSCという用語は、ESCおよびiPSCという用語はもちろん、PSCのもう1つの例である胚性生殖幹細胞(EGSC)という用語も包含し得る。PSCは、樹立細胞株の形態であることもあり、PSCを一次胚組織から直接得ることができ、またはPSCを体細胞から誘導することができる。
【0140】
[00169]本開示の実施形態は、膵臓β細胞またはそれらの先駆体の生成のためのESC
の使用に関係し得る。「胚性幹細胞(ESC)」とは、胚から、通常は胚盤胞の内部細胞塊から、単離されるPSCを意味し得る。ESC株、例えば、hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(E
S Cell International);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、HSF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation(WiCell Research Institute))は、NIH Human Embryonic Stem
Cell Registryに収載されている。目的の幹細胞は、他の霊長類からの胚性幹細胞、例えば、アカゲザル幹細胞およびマーモセット幹細胞も含む。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる(Thomsonら(1998)Science 282:1145;Thomsonら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci USA 92:7844;Thomsonら(1996)Biol.Reprod.55:254;Shamblottら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998)。培養で、ESCは、大きい核-細胞質比、規定された境界および顕著な核小体を有する、扁平コロニーとして増殖することができる。加えて、ESCは、SSEA-3、SSEA-4、TRA-1-60、TRA-1-81、およびアルカリホスファターゼを発現することができるが、SSEA-1を発現することができない。ESCを生成する方法および特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許第7,029,913号、米国特許第5,843,780号、および米国特許第6,200,806号において見つけることができ、前記参考特許文献の各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。未分化形態のhESCを増殖させる方法は、WO99/20741、WO01/51616、およびWO03/020920に記載されており、前記参考特許文献の各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
[00170]「胚性生殖幹細胞」(EGSC)または「胚性生殖細胞」または「EG細胞」
とは、生殖細胞および/または生殖細胞前駆体、例えば、始原生殖細胞、例えば、精子および卵子になることができるものから誘導される、PSCを意味し得る。胚性生殖細胞(EG細胞)は、上記の胚性幹細胞と同様の特性を有すると考えられる。EG細胞を生成する方法およびEG細胞を特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許第7,153,684号;Matsui,Y.ら(1992)Cell 70:841;Shamblott,M.ら(2001)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:113;Shamblott,M.ら(1998)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:13726;およびKoshimizu,U.ら(1996)Development、122:1235において見つけることができ、前記参考文献の各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
[00171]本開示の実施形態は、膵臓β細胞またはそれらの先駆体の生成のためのiPS
Cの使用に関係し得る。「人工多能性幹細胞」または「iPSC」とは、PSCでない細胞から(例えば、PSCよりも分化されている細胞から)誘導されるPSCを意味する。iPSCを、最終分化細胞を含む複数の異なる細胞型から誘導することができる。iPSCは、大きい核-細胞質比、規定された境界および顕著な核を有する、扁平コロニーとして増殖する、ES細胞様形態を有することができる。加えて、iPSCは、アルカリホスファターゼ、SSEA3、SSEA4、Sox2、Oct3/4、Nanog、TRA160、TRA181、TDGF 1、Dnmt3b、FoxD3、GDF3、Cyp26a1、TERT、およびzfp42を含むがこれらに限定されない、当業者に公知の1つまたは複数の肝要な多能性マーカーを、発現することができる。iPSCを生成する方法および特徴付ける方法の例は、例えば、米国特許出願公開第20090047263号、同第20090068742号、同第20090191159号、同第20090227032号、同第20090246875号、および同第20090304646号において見つけることができ、前記参考特許文献の各々は、その全体が本明細書に組み込まれる
。一般に、iPSCを生成するために、体細胞に、多能性幹細胞になるように体細胞をリプログラミングするための当技術分野において公知のリプログラミング因子(例えば、Oct4、SOX2、KLF4、MYC、Nanog、Lin28など)が供給される。
【0143】
[00172]本開示の実施形態は、膵臓β細胞またはそれらの先駆体の生成のための体細胞
の使用に関係し得る。「体細胞」とは、実験操作の非存在下で生物のすべての細胞型を通常は生じさせることができない、生物の任意の細胞を意味し得る。言い換えると、体細胞は、身体の3つすべての胚葉、例えば、外胚葉、中胚葉および内胚葉の細胞を天然に生成することができない、十分に分化された細胞であり得る。例えば、体細胞は、ニューロン前駆体と神経前駆体の両方を含むことができ、後者の神経前駆体は、中枢神経系のすべてのまたは一部の細胞型を天然に生じさせることができるが、中胚葉系列の細胞も内胚葉系列の細胞も生じさせることができない。
【0144】
[00173]ある特定の例では、幹細胞は、本明細書で開示の方法による少なくとも1つの
分化因子または組成物への曝露前は未分化(例えば、特定の系列に決定されていない細胞)であり得るが、他の例では、幹細胞を本明細書に記載される少なくとも1つの分化因子または組成物の曝露前に1つまたは複数の中間細胞型に分化させることが望ましいこともある。ある特定の例では、幹細胞が増殖することおよび必要に応じて分化することができるように、好適な栄養素および必要に応じて他の細胞の存在下で、幹細胞を培養することができる。例えば、胚性線維芽細胞または線維芽細胞様細胞が、幹細胞の増殖を支援するために培養物に存在し得る。線維芽細胞は、幹細胞増殖の1ステージの間、存在し得るが、必ずしもすべてのステージに存在し得るとは限らない。例えば、線維芽細胞は、第1の培養ステージで幹細胞培養物に添加されることがあるが、1または複数の後続の培養ステージでは幹細胞培養物に添加されないことがある。
【0145】
[00174]本発明のすべての態様で使用される幹細胞は、任意の種類の組織(例えば、胚
組織、例えば、胎児もしくは前胎児組織、または成体組織)に由来する任意の細胞であることができ、これらの幹細胞は、適切な条件下で異なる細胞型の子孫、例えば、3つの胚葉(内胚葉、中胚葉、および外胚葉)のうちの少なくとも1つのすべての誘導体を産生することが可能であるという特徴を有することができる。これらの細胞型を樹立細胞株の形態で用意することができ、またはそれらを一次胚組織から直接得て、分化に直接使用することができる。NIH Human Embryonic Stem Cell Registryに収載されている細胞、例えば、hESBGN-01、hESBGN-02、hESBGN-03、hESBGN-04(BresaGen,Inc.);HES-1、HES-2、HES-3、HES-4、HES-5、HES-6(ES Cell International);Miz-hES1(MizMedi Hospital-Seoul National University);HSF-1、FISF-6(University of California at San Francisco);およびH1、H7、H9、H13、H14(Wisconsin Alumni Research Foundation(WiCell Research Institute))が、含まれる。一部の実施形態では、成熟、インスリン陽性細胞への化学的に誘導された分化に使用されるヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源は、ヒト胚の破壊を伴わなかった。一部の実施形態では、成熟、インスリン陽性細胞への化学的に誘導された分化に使用されるヒト幹細胞または多能性幹細胞の供給源は、ヒト胚の破壊を伴わない。
【0146】
[00175]別の例では、幹細胞を、固形組織を含む組織から単離することができる。一部
の実施形態では、組織は、皮膚、脂肪組織(fat tissue)(例えば、脂肪組織(adipose tissue))、筋肉組織、心臓または心組織である。他の実施形態では、組織は、例えば、臍帯血、胎盤、骨髄、または軟骨のものであるが、これらに限
定されない。
【0147】
[00176]本明細書で提供される方法に使用することができる幹細胞は、Thomson
ら、(1998)Science 282:1145により記載されたようなヒト胚性幹(hES)細胞;他の霊長類からの胚性幹細胞、例えば、アカゲザル幹細胞(Thomsonら(1995)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:7844);マーモセット幹細胞(Thomsonら(1996)Biol.Reprod.55:254);およびヒト胚性生殖(hEG)細胞(Shambloftら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:13726、1998)によって例示される、様々な型の胚細胞も含むことができる。分化系列が決定されている幹細胞、例えば、中胚葉幹細胞および他の初期心臓形成細胞(early cardiogenic cells)(Reyesら、(2001)Blood 98:2615~2625;EisenbergおよびBader(1996)Circ Res.78(2):205~16などを参照されたい)も、本明細書で提供される方法に適用可能であり得る。幹細胞は、任意の哺乳動物種、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、齧歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスター、霊長類などから得ることができる。一部の実施形態では、ヒト胚は、本明細書で開示の方法および組成物で使用される多能性幹細胞の供給源のため破壊されなかった。一部の実施形態では、ヒト胚は、本明細書で開示の方法および組成物で使用される多能性幹細胞の供給源のため破壊されない。
【0148】
[00177]内皮、筋肉および/または神経幹細胞の好適な供給源からの細胞の混合物は、
本開示のために哺乳動物ドナーから採取することができる。好適な供給源は、造血性微小環境である。例えば、循環末梢血、好ましくは、動員される(例えば、補充される)ものは、対象から除去され得る。ある実施形態では、幹細胞は、リプログラミングされた幹細胞、例えば、体細胞または分化細胞から誘導された幹細胞であり得る。そのような実施形態では、脱分化幹細胞は、例えば、新生物細胞、腫瘍細胞およびがん細胞、または代替的に、リプログラミング誘導細胞、例えば、人工多能性幹細胞またはiPS細胞であり得るが、これらに限定されない。
【0149】
[00178]一部の実施形態では、本明細書に記載の膵臓β細胞は、有毛細胞、ケラチノサ
イト、性腺刺激ホルモン産生細胞、副腎皮質刺激ホルモン産生細胞、甲状腺刺激ホルモン産生細胞、成長ホルモン産生細胞、乳腺刺激ホルモン分泌細胞、クロム親和性細胞、傍濾胞細胞、グロムス細胞、メラニン形成細胞、神経細胞、メルケル細胞、象牙芽細胞、セメント芽細胞、角膜実質細胞、網膜ミュラー細胞、網膜色素上皮細胞、ニューロン、膠細胞(例えば、乏突起膠細胞、星状膠細胞)、上衣細胞、松果体細胞、肺細胞(例えば、I型肺細胞、およびII型肺細胞)、クララ細胞、杯細胞、G細胞、D細胞、ECL細胞、胃主細胞、壁細胞、小窩細胞、K細胞、D細胞、I細胞、杯細胞、パネート細胞、腸細胞、小襞細胞、肝細胞、肝星細胞(例えば、中胚葉からのクッパ-細胞)、胆嚢細胞、腺房中心細胞、膵臓星細胞、膵臓α細胞、膵臓β細胞、膵臓δ細胞、膵臓F細胞(例えば、PP細胞)、膵臓ε細胞、甲状腺(例えば、濾胞細胞)、副甲状腺(例えば、副甲状腺主細胞)、好酸性細胞、尿路上皮細胞、骨芽細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋芽細胞、筋細胞、筋衛星細胞、腱細胞、心筋細胞、脂肪芽細胞、脂肪細胞、カハール介在細胞、血管芽細胞、内皮細胞、メサンギウム細胞(例えば、糸球体内メサンギウム細胞および糸球体外メサンギウム細胞)、傍糸球体細胞、緻密斑細胞、ストロマ細胞、間質細胞、テロサイト、単純上皮細胞、有足細胞、腎臓近位尿細管刷子縁細胞、セルトリ細胞、ライディッヒ細胞、顆粒膜細胞、栓細胞、生殖細胞、精子、卵細胞、リンパ球、骨髄性細胞、内皮前駆細胞、内皮幹細胞、血管芽細胞、中胚葉性血管芽細胞、周皮細胞、壁細胞、脾細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、樹状細胞、ミクロファージ、白血球)、栄養膜幹細胞のうちの1つまたは複数、またはこれらの任意の組合せから誘導され得る。
【0150】
[00179]リプログラミング
[00180]本明細書で使用される場合の「リプログラミング」という用語は、体細胞の分
化状態を変更するまたは逆戻りさせるプロセスを指すことができる。細胞は、リプログラミング前に、部分的に分化していることもあり、または最終分化していることもある。リプログラミングは、体細胞の分化状態の多能性細胞への完全な逆戻りを包含し得る。分化のそのような完全な逆戻りは、人工多能性(iPS)細胞を生じさせることができる。本明細書で使用される場合のリプログラミングは、細胞の分化状態の部分的な逆戻り、例えば、複能性状態への部分的な逆戻り、または多能性でも複能性でもない体細胞であって、それが生じる元の分化細胞の1つまたは複数の特異的特徴を喪失した細胞である体細胞への部分的な逆戻り、例えば、異なる体細胞型への分化細胞の直接リプログラミングも、包含し得る。リプログラミングは、接合子が成体に発達するときの細胞の分化中に起こる核酸修飾(例えば、メチル化)、クロマチン凝集、後成的変化、ゲノムインプリンティングなどの遺伝的パターンの少なくとも一部の変更、例えば、逆戻りを伴い得る。
【0151】
[00181]本明細書で使用される場合、「リプログラミング因子」という用語は、細胞が
異なる細胞型または表現型に変わるような細胞「リプログラミング」、すなわち、分化および/または脱分化および/または分化転換に関連する分子を指すことができる。リプログラミング因子は、一般に、細胞分化、脱分化および/または分化転換に関連する遺伝子の発現に影響を与える。転写因子は、リプログラミング因子の例である。
【0152】
[00182]本明細書で使用される場合の「分化」という用語およびそれらの文法的等価表
現は、あまり特殊化していない細胞(例えば、分化能がより高い、よりナイーブな細胞)が、より特殊化した細胞型(例えば、分化能がより低い、あまりナイーブでない細胞)になるプロセスを指すことができ;「脱分化」という用語は、より特殊化した細胞が、あまり特殊化していない細胞型(例えば、分化能がより高い、よりナイーブな細胞)になるプロセスを指すことができる。
【0153】
[00183]本開示の一部の実施形態では、方法は、小分子でないリプログラミング因子の
使用を除外する。しかし、方法が、「通例の」組織培養成分、例えば、培養培地、血清、代用血清、サプリメント、抗生物質など、例えば、RPMI、腎上皮基礎培地(REBM)、ダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、MCDB131培地、CMRL 1066培地、F12、ウシ胎仔血清(foetal calf serum)(FCS)、ウシ胎仔血清(foetal bovine serum)(FBS)、ウシ血清アルブミン(BSA)、D-グルコース、L-グルタミン、GlutaMAX(商標)-1(ジペプチド、L-アラニン-L-グルタミン)、B27、ヘパリン、プロゲステロン、プトレシン、ラミニン、ニコチンアミド、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、セレン、エタノールアミン、ヒト上皮増殖因子(hEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、ヒドロコルチゾン、エピネフリン、ノルマシン(normacin)、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシンおよびアンホテリシンなどを利用することがあることは、理解されるであろう。これらの典型的な組織培養成分(および組織培養に常例的に使用される他の類似の組織培養成分)が、本開示では小分子リプログラミング分子でないことを、理解されたい。これらの成分は、本明細書で定義される通りの小分子でなく、および/または本明細書で定義される通りのリプログラミング因子でない。
【0154】
[00184]したがって、ある実施形態では、本開示は、1つまたは複数の外来性ポリヌク
レオチドまたはポリペプチドリプログラミング因子を用いる細胞の培養ステップを含まない。したがって、ある実施形態では、本開示の方法は、例えば、誘導β細胞を産生することまたは、そうでなければ、本開示の細胞を分化、脱分化および/もしくは分化転換するように誘導することに関与する、トランスポゾン、ウイルス遺伝子導入ベクター(例えば
、レトロウイルスベクター)、プラスミド、mRNA、miRNA、ペプチドまたはこれらの分子のうちのいずれかの断片を導入することによる、1つまたは複数の外来性ポリヌクレオチドまたはポリペプチドリプログラミング因子の導入を含まない。
【0155】
[00185]すなわち、ある実施形態では、方法は、1つまたは複数の外来性ポリヌクレオ
チドまたはポリペプチドリプログラミング因子の非存在下で行われる。したがって、ある実施形態では、本開示の方法は、ポリペプチド転写因子;分化、脱分化および/もしくは分化転換の誘導に特に関連する他のポリペプチド因子;ポリペプチド転写因子をコードするポリヌクレオチド配列;分化、脱分化および/もしくは分化転換の誘導に特に関連する他のポリペプチド因子をコードするポリヌクレオチド配列;mRNA;干渉RNA;マイクロRNA、ならびにこれらの断片の添加を伴わずに、小分子(例えば、HDAC阻害剤)を利用して細胞をリプログラミングすることを、理解されたい。
【0156】
[00186]IV 膵臓β細胞を生成する方法
[00187]一部のケースでは、本明細書に記載の膵臓β細胞(例えば、非ネイティブ膵臓
β細胞もしくはSC-β細胞)または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、任意の出発細胞集団からin vitroで生成される。例えば、出発細胞としては、限定ではないが、インスリン陽性内分泌細胞(例えば、Ngn3陽性内分泌細胞)またはそれらの任意の先駆体、例えば、Nkx6.1陽性膵臓前駆細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、原始腸管細胞、胚体内胚葉細胞、多能性幹細胞、胚性幹細胞、および人工多能性幹細胞を挙げることができる。一部のケースでは、方法は、リプログラミングされた細胞、部分的にリプログラミングされた細胞(例えば、体細胞、例えば、人工多能性細胞とそれが誘導された元の体細胞との間の中間状態で存在するように部分的にリプログラミングされた線維芽細胞)、分化転換細胞の、分化を含む。一部のケースでは、本明細書で開示される膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターを、インスリン陽性内分泌細胞またはその先駆体からin vitroで分化させることができる。一部のケースでは、膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞からin vitroで分化される。一部のケースでは、膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞からin vitroで分化される。一部のケースでは、膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、原始腸管細胞からin vitroで分化される。一部のケースでは、膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、胚体内胚葉細胞からin vitroで分化される。一部のケースでは、膵臓β細胞または膵臓β細胞を含む細胞クラスターは、多能性前駆細胞からin vitroで分化される。一部のケースでは、多能性幹細胞は、胚性幹細胞および人工多能性幹細胞からなる群から選択される。上述のように、非ネイティブ膵臓β細胞は、それらを幹細胞からin vitroで誘導することができるので、幹細胞由来β細胞(SC-β細胞)と呼ばれることもある。一部のケースでは、SC-β細胞、またはSC-β細胞が誘導される元の多能性幹細胞は、ヒトのものである。一部のケースでは、SC-β細胞は、ヒトのものである。
【0157】
[00188]本開示の一態様は、幹細胞、例えば、ES細胞または多能性幹細胞、例えばi
PS細胞を増やす方法に関する。一部のケースでは、幹細胞を、好適な培養培地、例えば、RPMI、腎上皮基礎培地(REBM)、ダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)、MCDB131培地、またはCMRL 1066培地中で培養し、増やすことができる。
【0158】
[00189]本開示の一部の態様は、膵臓β細胞、例えば非ネイティブ膵臓β細胞、または
膵臓β細胞を含む細胞クラスターを生成する方法を提供する。一部のケースでは、方法は、現在利用可能なプロトコール、例えば、米国特許出願第14/684,129号および同第14/684,101に記載されているものであり得、前記参考特許文献の各々は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0159】
[00190]本開示の態様は、胚体内胚葉細胞を含む。本明細書で使用の胚体内胚葉細胞を
、任意の供給源から採取することができ、または任意の好適なプロトコールに従って生成することができる。一部の態様では、多能性幹細胞、例えば、iPSCまたはhESCは、内胚葉細胞に分化される。一部の態様では、内胚葉細胞(ステージ1)は、例えば、原始腸管細胞(ステージ2)、Pdx1陽性膵臓前駆細胞(ステージ3)、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞(ステージ4)、またはNgn3陽性内分泌前駆細胞もしくはインスリン陽性内分泌細胞(ステージ5)にさらに分化され、その後、SC-β細胞(ステージ6)へと誘導または成熟される。
【0160】
[00191]一部のケースでは、胚体内胚葉細胞は、集団内の少なくとも一部の多能性細胞
を胚体内胚葉細胞に、例えば、多能性幹細胞の集団をi)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子およびii)WNTシグナル伝達経路活性化因子と接触させて胚体内胚葉細胞への多能性幹細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、胚体内胚葉細胞は、胚体内胚葉に特有の少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0161】
[00192]多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化するように誘導することが可能なTGF
-βスーパーファミリーからの増殖因子を(例えば、単独で、またはWNTシグナル伝達経路活性化因子と組み合わせて)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、アクチビンAを含む。一部のケースでは、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、増殖分化因子8(GDF8)を含む。多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化するように誘導することが可能な、任意のWNTシグナル伝達経路活性化因子を(例えば、単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子と組み合わせて)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、WNTシグナル伝達経路活性化因子は、CHIR99Q21を含む。一部のケースでは、WNTシグナル伝達経路活性化因子は、Wnt3a組換えタンパク質を含む。
【0162】
[00193]一部のケースでは、集団内の少なくとも一部の多能性細胞を胚体内胚葉細胞に
分化させることは、多能性細胞の集団を、i)アクチビンA、およびii)CHIR99021と、胚体内胚葉細胞への集団内の多能性細胞の少なくとも一部の分化を誘導するのに好適な期間、例えば、約2日、約3日、約4日、または約5日間、接触させることにより達成され、この場合、胚体内胚葉細胞は、胚体内胚葉に特有の少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0163】
[00194]一部の例では、方法は、多能性細胞の集団を、TGF-βスーパーファミリー
からの増殖因子(例えば、アクチビンA)の好適な濃度、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLと接触させることにより、多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部のケースでは、方法は、多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約100ng/mLのアクチビンAの使用を含む。一部のケースでは、方法は、多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約200ng/mLのアクチビンAの使用を含む。
【0164】
[00195]一部の例では、方法は、多能性細胞の集団を、WNTシグナル伝達経路活性化
因子(例えば、CHIR99021)の好適な濃度、例えば、約0.01μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.
5μM、約2μM、約2.5μM、約3μM、約3.5μM、約4μM、約5μM、約8μM、約10μM、約12μM、約15μM、約20μM、約30μM、約50μM、約100μM、または約200μMと接触させることにより、多能性細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップを含む。一部のケースでは、方法は、多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約2μMのCHIR99021の使用を含む。一部のケースでは、方法は、多能性細胞の胚体内胚葉細胞への分化のための約5μMのCHIR99021の使用を含む。
【0165】
[00196]一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は
、ノーダル、Tmprss2、Tmem30b、St14、Spink3、Sh3gl2、Ripk4、Rab1S、Npnt、Clic6、Cldn5、Cacna1b、Bnip1、Anxa4、Emb、FoxA1、Sox17、およびRbm35aからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現し、少なくとも1つのマーカーの発現は、胚体内胚葉細胞が誘導された元の多能性幹細胞と比べて胚体内胚葉細胞において統計的に有意な量に増加される。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は、それが誘導された元の多能性幹細胞と比べて統計的に有意な量で、Gata4、SPARC、AFPおよびDab2からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現しない。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は、それが誘導された元の多能性幹細胞と比べて統計的に有意な量で、Zic1、Pax6、Flk1およびCD31からなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを発現しない。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は、それが誘導された元の多能性幹細胞と比べて統計的に有意な量で、Smad2のより高いリン酸化レベルを有する。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は、in vivoで腸管を形成する能力を有する。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞は、腸細胞に特有の形態を有する細胞に分化することができ、腸細胞に特有の形態を有する細胞は、FoxA2および/またはクローディン6を発現する。一部のケースでは、本明細書で開示の方法により産生される胚体内胚葉細胞を、内胚葉起源の細胞にさらに分化させることができる。
【0166】
[00197]一部のケースでは、多能性幹細胞の集団は、いずれかの分化の前に、または分
化の第1ステージの間、少なくとも1つのβ細胞分化因子の存在下で培養される。任意の多能性幹細胞、例えば、ヒト多能性幹細胞、またはヒトiPS細胞、または本明細書で論じられるような多能性幹細胞のいずれか、または他の好適な多能性幹細胞を使用することができる。一部のケースでは、本明細書に記載のβ細胞分化因子は、多能性幹細胞の集団の培養培地中に存在することができ、または多能性幹細胞の集団の増殖(例えば、複製する、または増やすこと)中にボーラスでもしくは定期的に添加されることもある。ある特定の例では、多能性幹細胞の集団を、いずれかの分化の前に少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露することができる。他の例では、多能性幹細胞の集団を、分化の第1ステージの間、少なくとも1つのβ細胞分化因子に曝露することもある。
【0167】
[00198]本開示の態様は、原始腸管細胞を含む。本明細書で使用の原始腸管細胞を、任
意の供給源から採取することができ、または任意の好適なプロトコールに従って生成することができる。一部の態様では、胚体内胚葉細胞は、原始腸管細胞に分化される。一部の態様では、原始腸管細胞は、例えば、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞に、さらに分化され、その後、SC-β細胞へと誘導または成熟される。
【0168】
[00199]一部のケースでは、原始腸管細胞は、集団内の少なくとも一部の胚体内胚葉細
胞を原始腸管細胞に、例えば、胚体内胚葉細胞を線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させて原始腸管細胞への胚体内胚葉細胞の少な
くとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、原始腸管細胞は、原始腸管細胞に特有の少なくとも1つのマーカーを発現する。
【0169】
[00200]胚体内胚葉細胞を原始腸管細胞に分化するように誘導することが可能なFGF
ファミリーからの任意の増殖因子を(例えば、単独で、または他の因子と組み合わせて)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)を含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF2を含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF8Bを含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF 10を含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF21を含む。
【0170】
[00201]一部のケースでは、原始腸管細胞は、集団内の少なくとも一部の胚体内胚葉細
胞を原始腸管細胞に、例えば、胚体内胚葉細胞をKGFとある特定の期間、例えば、約1日、約2日、約3日、または約4日間接触させて原始腸管細胞への胚体内胚葉細胞の少なくとも一部分の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができる。
【0171】
[00202]一部のケースでは、方法は、胚体内胚葉細胞を、FGFファミリーからの増殖
因子(例えば、KGF)の好適な濃度、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLと接触させることにより、胚体内胚葉細胞を原始腸管細胞に分化させるステップを含む。一部のケースでは、方法は、胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化のための約50ng/mLのKGFの使用を含む。一部のケースでは、方法は、胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化のための約100ng/mLのKGFの使用を含む。
【0172】
[00203]本開示の態様は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を含む。本明細書で使用のPdx
1陽性膵臓前駆細胞を、任意の供給源から採取することができ、または任意の好適なプロトコールに従って生成することができる。一部の態様では、原始腸管細胞は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞に分化される。一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、Ngn3陽性内分泌前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞に、さらに分化され、その後、SC-β細胞へと誘導または成熟される。
【0173】
[00204]一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の原
始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をi)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、iv)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、vi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびvii)ROCK阻害剤と接触させてPdx1陽性膵臓前駆細胞への原始腸管細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1を発現する。
【0174】
[00205]一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の原
始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をi)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、iii)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、iv)少なくとも1つの
SHH経路阻害剤、v)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、およびvi)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子と接触させてPdx1陽性膵臓前駆細胞への原始腸管細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1を発現する。
【0175】
[00206]一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の
原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をi)少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、およびv)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子と接触させてPdx1陽性膵臓前駆細胞への原始腸管細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1を発現する。
【0176】
[00207]一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の
原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をi)少なくとも1つのSHHシグナル伝達経路阻害剤、ii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、およびiii)少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子と接触させることにより、分化させることによって得ることができ、この場合、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1を発現する。
【0177】
[00208]一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の
原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびii)少なくとも1つのレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子と接触させてPdx1陽性膵臓前駆細胞への原始腸管細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより、分化させることによって得ることができ、この場合、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1を発現する。
【0178】
[00209]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能な任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を(例えば、単独で、またはTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、LDN1931189)のとある濃度、例えば、約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMと接触させるステップを含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1)のとある濃度、例えば、約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.5μM、約0.8μM、約1μM、約1.2μM、約1.5μM、約1.75μM、約2μM、約2.2μM、約2.5μM、約2.75μM、約3μM、約3.25μM、約3.5μM、約3.75μM、約4μM、約4.5μM、約5μM、約8μM、約10μM、約15μM、約20μM、約30μM、約40μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0179】
[00210]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能なTGF-βスーパーファミリーからの任意の増殖因子を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、TGF-βファミリーからの増殖因子は、アクチビンAを含む。一部のケースでは、TGF-βファミリーからの増殖因子は、アクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子(例えば、アクチビンA)のとある濃度、例えば、約5ng/mL、約7.5ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、約20ng/mL、約21ng/mL、約22ng/mL、約23ng/mL、約24ng/mL、約25ng/mL、約26ng/mL、約27ng/mL、約28ng/mL、約29ng/mL、約30ng/mL、約35ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、または約100ng/mLと接触させるステップを含む。
【0180】
[00211]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能なFGFファミリーからの任意の増殖因子を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)を含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF2、FGF8B、FGF 10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、FGFファミリーからの増殖因子(例えば、KGF)のとある濃度、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLと接触させるステップを含む。
【0181】
[00212]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能な任意のSHH経路阻害剤を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、SHH経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、SHH経路阻害剤(例えば、Sant1)のとある濃度、例えば、約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1
μM、約2μM、または約5μMと接触させるステップを含む。
【0182】
[00213]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能な任意のRAシグナル伝達経路活性化因子を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのプロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、RAシグナル伝達経路活性化因子は、レチノイン酸を含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、RAシグナル伝達経路活性化因子(例えば、レチノイン酸)のとある濃度、例えば、約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0183】
[00214]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能な任意のPKC活性化因子を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、PKC活性化因子は、PdBUを含む。一部のケースでは、PKC活性化因子は、TPBを含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、PKC活性化因子(例えば、PdBU)のとある濃度、例えば、約10μM、約20μM、約50μM、約75μM、約80μM、約100μM、約120μM、約140μM、約150μM、約175μM、約180μM、約200μM、約210μM、約220μM、約240μM、約250μM、約260μM、約280μM、約300μM、約320μM、約340μM、約360μM、約380μM、約400μM、約420μM、約440μM、約460μM、約480μM、約500μM、約520μM、約540μM、約560μM、約580μM、約600μM、約620μM、約640μM、約660μM、約680μM、約700μM、約750μM、約800μM、約850μM、約900μM、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、または約5mMと接触させるステップを含む。
【0184】
[00215]原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化するように誘導することが可
能な任意のROCK阻害剤を(例えば、単独で、または少なくとも1つのBMPシグナル伝達経路阻害剤、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、PKC活性化因子、および少なくとも1つのRAシグナル伝達経路活性化因子の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、ROCK阻害剤は、Y-27632、ファスジル/HA1077、またはH-1152を含む。一部のケースでは、ROCK阻害剤は、Y-27632を含む。一部の例では、方法は、原始腸管細胞を、ROCK阻害剤(例えば、Y-27632)のとある濃度、例えば、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM
、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0185】
[00216]一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の
原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をレチノイン酸、KGF、Sant1、LDN193189、PdBU、Y-27632、およびアクチビンAと好適な期間、例えば、約1日、約2日、約3日、または約4日間、接触させることにより、分化させることによって得ることができる。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、集団内の少なくとも一部の原始腸管細胞をPdx1陽性膵臓前駆細胞に、例えば、原始腸管細胞をレチノイン酸、KGF、Sant1、LDN193189、PdBU、Y-27632、およびアクチビンAと約2日間接触させることにより、分化させることによって得ることができる。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、少なくとも一部の原始腸管細胞をS3培地中で分化させることにより得ることができる。
【0186】
[00217]本開示の態様は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む。本明細書で使用のN
KX6.1陽性膵臓前駆細胞を、任意の供給源から採取することができ、または任意の好適なプロトコールに従って生成することができる。一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化される。一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、例えば、Ngn3陽性内分泌前駆細胞またはインスリン陽性内分泌細胞に、さらに分化され、その後、SC-β細胞へと誘導または成熟される。
【0187】
[00218]一部の態様では、Pdx1陽性膵臓前駆細胞からNKX6.1陽性膵臓前駆細
胞を産生する方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団(例えば、細胞クラスター化を促進するおよび/または細胞生存を促進する条件下にある)を、a)線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、b)ソニックヘッジホグ経路阻害剤、および必要に応じてc)低濃度のレチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子を含む、少なくとも2つのβ細胞分化因子と接触させて、集団内の少なくとも1つのPdx1陽性膵臓前駆細胞のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞への分化を誘導するステップを含み、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、NKX6.1を発現する。
【0188】
[00219]一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx
1陽性膵臓前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化因子と接触させて、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞へのPdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより得られ、この場合、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx1およびNKX6.1を発現する。
【0189】
[00220]一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、Pdx
1陽性膵臓前駆細胞を、i)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ならびに必要に応じてiii)低濃度のRAシグナル伝達経路活性化因子、iv)ROCK阻害剤、およびv)TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させて、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞へのPdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部の分化を誘導することにより得られる。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、細胞クラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞を、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と接触させることにより得られる。
【0190】
[00221]一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、多能性細胞の集団から産生
される。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、iPS細胞の集団から産生される。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、ESC細胞の集団から産生される。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、胚体内胚葉細胞の集団から産生される。一部のケースでは、Pdx1陽性膵臓前駆細胞は、原始腸管細胞の集団から産生される。
【0191】
[00222]Pdx1陽性膵臓前駆細胞をNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化するように
誘導することが可能なFGFファミリーからの任意の増殖因子を(例えば、単独で、または少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、および少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子の任意の組合せとともに)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)を含む。一部のケースでは、FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF2、FGF8B、FGF 10、およびFGF21からなる群から選択される。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、FGFファミリーからの増殖因子(例えば、KGF)のとある濃度、例えば、約10ng/mL、約20ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約110ng/mL、約120ng/mL、約130ng/mL、約140ng/mL、約150ng/mL、約175ng/mL、約180ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLと接触させるステップを含む。
【0192】
[00223]Pdx1陽性膵臓前駆細胞をNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化するように
誘導することが可能な任意のSHH経路阻害剤を(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのレチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子の任意の組合せとともに)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、SHH経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、SHH経路阻害剤(例えば、Sant1)のとある濃度、例えば、約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMと接触させるステップを含む。
【0193】
[00224]Pdx1陽性膵臓前駆細胞をNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化するように
誘導することが可能な任意のRAシグナル伝達経路活性化因子を(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、ROCK阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、RAシグナル伝達経路活性化因子は、レチノイン酸を含む。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、RAシグナル伝達経路活性化因子(例えば、レチノイン酸)のとある濃度、例えば、約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.
5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0194】
[00225]Pdx1陽性膵臓前駆細胞をNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化するように
誘導することが可能な任意のROCK阻害剤を(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、およびTGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、ROCK阻害剤は、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、または14-1152を含む。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、ROCK阻害剤(例えば、Y-27632)のとある濃度、例えば、約0.2μM、約0.5μM、約0.75μM、約1μM、約2μM、約3μM、約4μM、約5μM、約6μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約9μM、約10μM、約11μM、約12μM、約13μM、約14μM、約15μM、約16μM、約17μM、約18μM、約19μM、約20μM、約21μM、約22μM、約23μM、約24μM、約25μM、約26μM、約27μM、約28μM、約29μM、約30μM、約35μM、約40μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0195】
[00226]Pdx1陽性膵臓前駆細胞をNKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化するように
誘導することが可能なTGF-βスーパーファミリーからの任意の活性化因子を(例えば、単独で、またはFGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、少なくとも1つのSHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、およびROCK阻害剤の任意の組合せとともに)、使用することができる。一部のケースでは、TGF-βスーパーファミリーからの活性化因子は、アクチビンAまたはGDF8を含む。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、TFG-βスーパーファミリーからの増殖因子(例えば、アクチビンA)のとある濃度、例えば、約0.1ng/mL、約0.2ng/mL、約0.3ng/mL、約0.4ng/mL、約0.5ng/mL、約0.6ng/mL、約0.7ng/mL、約0.8ng/mL、約1ng/mL、約1.2ng/mL、約1.4ng/mL、約1.6ng/mL、約1.8ng/mL、約2ng/mL、約2.2ng/mL、約2.4ng/mL、約2.6ng/mL、約2.8ng/mL、約3ng/mL、約3.2ng/mL、約3.4ng/mL、約3.6ng/mL、約3.8ng/mL、約4ng/mL、約4.2ng/mL、約4.4ng/mL、約4.6ng/mL、約4.8ng/mL、約5ng/mL、約5.2ng/mL、約5.4ng/mL、約5.6ng/mL、約5.8ng/mL、約6ng/mL、約6.2ng/mL、約6.4ng/mL、約6.6ng/mL、約6.8ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約20ng/mL、約30ng/mL、または約50ng/mLと接触させるステップを含む。一部の例では、方法は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、TFG-βスーパーファミリーからの増殖因子(例えば、アクチビンA)のとある濃度、例えば、約5ng/mLと接触させるステップを含む。
【0196】
[00227]一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、細胞ク
ラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞を、KGF、Sant1、およびRAと5日間にわたって接触させることにより得られる。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、細胞クラスター化を促進する条件下にある
Pdx1陽性膵臓前駆細胞を、KGF、Sant1、RA、Y27632、およびアクチビンAと5日間にわたって接触させることにより得られる。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、細胞クラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞を、KGFと5日間にわたって接触させることにより得られる。一部のケースでは、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、S3培地中のPdx1陽性膵臓前駆細胞を接触させることにより得られる。
【0197】
[00228]本開示の態様は、インスリン陽性内分泌細胞を含む。本明細書で使用のインス
リン陽性内分泌細胞を任意の供給源から採取することができ、または任意の好適なプロトコールに従って生成することができ、一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞は、インスリン陽性内分泌細胞に分化され、一部の態様では、これらのインスリン陽性内分泌細胞が、例えば、SC-β細胞への誘導または成熟により、さらに分化される。
【0198】
[00229]一部の態様では、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞からインスリン陽性内分泌細
胞を産生する方法は、NKX6-1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞の集団(例えば、細胞クラスター化を促進する条件下にある)を、a)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤およびb)甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子と接触させて、集団内の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞(ceil)は、インスリンを発現する。一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞は、Pdx1、NKX6.1、NKX2.2、Mafb、glis3、Sur1、Kir6.2、Znt8、SLC2A1、SLC2A3および/またはインスリンを発現する。
【0199】
[00230]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導す
ることが可能な任意のTGF-βシグナル伝達経路阻害剤を(例えば、単独で、または他のβ細胞分化因子、例えば、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子と組み合わせて)、使用することができる。一部のケースでは、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-β受容体I型キナーゼシグナル伝達を含む。一部のケースでは、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、Alk5阻害剤IIを含む。
【0200】
[00231]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導す
ることが可能な任意の甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子を(例えば、単独で、または他のβ細胞分化因子、例えば、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤と組み合わせて)、使用することができる。一部のケースでは、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子は、トリヨードチロニン(T3)を含む。
【0201】
[00232]一部のケースでは、方法は、細胞(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)
の集団を少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。一部のケースでは、方法は、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化因子、iii)γセクレターゼ阻害剤、iv)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、および必要に応じてv)プロテインキナーゼ阻害剤のうちの、少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0202】
[00233]一部のケースでは、方法は、細胞(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)
の集団を少なくとも1つの追加の因子と接触させるステップを含む。一部のケースでは、方法は、Pdx1陽性NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、i)SHH経路阻害剤、ii)RAシグナル伝達経路活性化因子、iii)γセクレターゼ阻害剤、iv)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、およびv)少なくとも1つの骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤のうちの、少なくとも1つと接触させるステップを含む。
【0203】
[00234]集団内のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化
を誘導することが可能である任意のγセレクターゼ阻害剤(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)。一部のケースでは、γセクレターゼ阻害剤は、XXIを含む。一部のケースでは、γセクレターゼ阻害剤は、DAPTを含む。一部の例では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、γセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI)のとある濃度、例えば、約0.01μM、約0.02μM、約0.05μM、約0.075μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.7μM、約0.8μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約2.9μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.2μM、約5.4μM、約5.6μM、約5.8μM、約6μM、約6.2μM、約6.4μM、約6.6μM、約6.8μM、約7μM、約8μM、約9μM、約10μM、約20μM、約30μM、または約50μMと接触させるステップを含む。
【0204】
[00235]集団内のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化
を誘導することが可能なEGFファミリーからの任意の増殖因子を(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)、使用することができる。一部のケースでは、EG Fファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ベータセルリンを含む。一部のケースでは、EGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、EGFを含む。一部の例では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、EGFファミリーからの増殖因子(例えば、ベータセルリン)のとある濃度、例えば、約1ng/mL、約2ng/mL、約4ng/mL、約6ng/mL、約8ng/mL、約10ng/mL、約12ng/mL、約14ng/mL、約16ng/mL、約18ng/mL、約20ng/mL、約22ng/mL、約24ng/mL、約26ng/mL、約28ng/mL、約30ng/mL、約40ng/mL、約50ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL、約150ng/mL、約200ng/mL、約250ng/mL、または約300ng/mLと接触させるステップを含む。
【0205】
[00236]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導す
ることが可能な任意のRAシグナル伝達経路活性化因子を(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)、使用することができる。一部のケースでは、RAシグナル伝達経路活性化因子は、RAを含む。一部の例では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、RAシグナル伝達経路活性化因子(例えば、レチノイン酸)のとある濃度、例えば、約0.02μM、約0.1μM、約0.2μM、約0.25μM、約0.3μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.55μM、約0.6μM、約0.65μM、約0.7μM、約0.75μM、約0.8μM、約0.85μM、約0.9μM、約1μM、約1.1μM、約1.2μM、約1.3μM、約1.4μM、約1.5μM、約1.6μM、約1.7μM、約1.8μM、約1.9μM、約2μM、約2.1μM、約2.2μM、約2.3μM、約2.4μM、約2.5μM、約2.6μM、約2.7μM、約2.8μM、約3μM、約3.2μM、約3.4μM、約3.6μM、約3.8μM、約4μM、約4.2μM、約4.4μM、約4.6μM、約4.8μM、約5μM、約5.5μM、約6μM、約6.5μM、約7μM、約7.5μM、約8μM、約8
.5μM、約9μM、約9.5μM、約10μM、約12μM、約14μM、約15μM、約16μM、約18μM、約20μM、約50μM、または約100μMと接触させるステップを含む。
【0206】
[00237]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導す
ることが可能な任意のSHH経路阻害剤を(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)、本明細書で提供される方法に使用することができる。一部のケースでは、SHH経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の例では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、SHH経路阻害剤(例えば、Sant1)のとある濃度、例えば、約0.001μM、約0.002μM、約0.005μM、約0.01μM、約0.02μM、約0.03μM、約0.05μM、約0.08μM、約0.1μM、約0.12μM、約0.13μM、約0.14μM、約0.15μM、約0.16μM、約0.17μM、約0.18μM、約0.19μM、約0.2μM、約0.21μM、約0.22μM、約0.23μM、約0.24μM、約0.25μM、約0.26μM、約0.27μM、約0.28μM、約0.29μM、約0.3μM、約0.31μM、約0.32μM、約0.33μM、約0.34μM、約0.35μM、約0.4μM、約0.45μM、約0.5μM、約0.6μM、約0.8μM、約1μM、約2μM、または約5μMと接触させるステップを含む。
【0207】
[00238]NKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導す
ることが可能な任意のBMPシグナル伝達経路阻害剤を(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)、使用することができる。一部のケースでは、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189またはDMH-1を含む。一部の例では、方法は、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を、BMPシグナル経路阻害剤(例えば、LDN1931189)のとある濃度、例えば、約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、約100nM、約110nM、約120nM、約130nM、約140nM、約150nM、約160nM、約170nM、約180nM、約190nM、約200nM、約210nM、約220nM、約230nM、約240nM、約250nM、約280nM、約300nM、約400nM、約500nM、または約1μMと接触させるステップを含む。
【0208】
[00239]一部のケースでは、細胞の集団は、必要に応じてプロテインキナーゼ阻害剤と
接触される。一部のケースでは、細胞の集団は、プロテインキナーゼ阻害剤と接触されない。一部のケースでは、細胞の集団は、プロテインキナーゼ阻害剤と接触される。集団内のNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導することが可能である任意のプロテインキナーゼ阻害剤(例えば、単独で、またはTGF-βシグナル伝達経路阻害剤および/または甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のいずれかと組み合わせて)。一部のケースでは、プロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンを含む。
【0209】
[00240]一部のケースでは、方法は、細胞(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)
の集団を、XXI、Alk5i、T3、RA、Sant1、およびベータセルリンと7日間にわたって接触させて、集団内の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現する。一部のケースでは、方法は、細胞(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)の集団を、XXI、Alk5i、T3、RA、Sant1、ベータセルリン、およびLDN193189と7日間にわたって接触させて、集団内の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステ
ップを含み、インスリン陽性内分泌細胞(ceil)は、インスリンを発現する。一部の実施形態では、1つまたは複数の分化因子は、ステージ5の一部分、例えば、ステージ5の期間の最初の1、2、3、4、5もしくは6日のみ、またはステージ5の期間の最後の1、2、3、4、5もしくは6日に添加される。一例では、細胞は、SHHシグナル伝達経路阻害剤とステージ5の最初の2、3、4または5日間のみ接触され、その後、SHHシグナル伝達経路阻害剤は、培養培地から除去される。別の例では、細胞は、BMPシグナル伝達経路阻害剤とステージ5の間の最初の1、2または3日間のみ接触され、その後、BMPシグナル伝達経路阻害剤は、培養培地から除去される。
【0210】
[00241]一部のケースでは、方法は、細胞(例えば、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞)
の集団をBE5培地中で培養して、集団内の少なくとも1つのNKX6.1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を誘導するステップを含み、インスリン陽性内分泌細胞は、インスリンを発現する。
【0211】
[00242]本開示の態様は、膵臓ベータ細胞(例えば、非ネイティブ膵臓β細胞)を生成
することを含む。非ネイティブ膵臓β細胞は、一部のケースでは、内在性成熟β細胞と形態および機能の点で似ているが、それにもかかわらず、ネイティブβ細胞とは明確に異なる。
【0212】
[00243]一部のケースでは、本明細書で提供される方法を使用して生成されたインスリ
ン陽性内分泌細胞は、単独で、または他の細胞型、例えば、その先駆体、例えば、幹細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、もしくはNKX6.1陽性膵臓前駆細胞と一緒に、細胞クラスターを形成することができる。
【0213】
[00244]一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団を、いかなる外
来性分化因子(例えば、TGF-βシグナル伝達経路の阻害剤、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子、PKC活性化因子、TGF-βスーパーファミリー、FGFファミリーもしくはEGFファミリーからの増殖因子、SHHシグナル伝達経路阻害剤、γセクレターゼ阻害剤、ROCK阻害剤、またはBMPシグナル伝達経路阻害剤)も添加することなく、SC-β細胞に成熟するように直接誘導することができる。
【0214】
[00245]一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞集団をSC-β細胞
に成熟するように、インスリン陽性内分泌細胞を分化因子と接触させることにより、直接誘導することができる。分化因子は、本明細書に記載のTGF-βシグナル伝達経路の少なくとも1つの阻害剤および甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子を含むことができる。一部のケースでは、SC-β細胞を、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞の集団をAlk5iおよびT3と接触させることにより得ることができる。
【0215】
[00246]一部の例では、インスリン陽性内分泌細胞をNS-GF培地、MCDB131
培地、DMEM培地、またはCMRL培地中で成熟させることができる。一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞を、10%FBSを補充したCMRL培地中で成熟させることができる。一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞を、1%HSAを補充したDMEM培地中で成熟させることができる。他のケースでは、SC-β細胞は、2%BSAにより補完され得るMCDB131培地中でインスリン陽性内分泌細胞を含有する細胞の集団を培養することによって得ることができる。一部のケースでは、SC-β細胞へのインスリン陽性内分泌細胞の成熟のための2%BSAを含有するMCDB131培地は、本明細書に記載の小分子因子を含まないことがある。一部のケースでは、SC-β細胞へのインスリン陽性内分泌細胞の成熟のための2%BSAを含有するMCDB131培地は、血清を含まない(例えば、FBSを含まない)ことがある。
【0216】
[00247]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であ
って、a)多能性幹細胞をTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化因子と3日間にわたって接触させることにより、集団内の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと;b)胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間にわたって接触させるプロセスにより、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原始腸管細胞に分化させるステップと;c)原始腸管細胞をi)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤(例えば、DMH-1またはLDN193189)、v)PKC活性化因子、およびvi)ROCK阻害剤と接触させるプロセスにより、原始腸管細胞の少なくとも一部をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと;d)細胞クラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)RAシグナル伝達経路活性化因子、ならびに必要に応じてiv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞がPdx1およびNKX6.1を発現する、ステップと;e)Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化因子、v)γセクレターゼ阻害剤、必要に応じてvi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、および必要に応じてvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と5日~7日の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと;f)外来性分化因子を含有しない培地(例えば、NS-GF培地、BSAを補充したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日の間の期間にわたって1日おきにPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を培養して、SC-β細胞へのPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のin vitro成熟を誘導するプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞がGSIS応答をin vitroおよび/またはin vivoで示す、ステップとを含む方法を、提供する。一部のケースでは、GSIS応答は、内在性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0217】
[00248]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であ
って、a)多能性幹細胞をTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化因子と3日間にわたって接触させることにより、集団内の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと;b)胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間にわたって接触させるプロセスにより、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原始腸管細胞に分化させるステップと;c)原始腸管細胞をi)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)BMPシグナル伝達経路阻害剤、v)PKC活性化因子、vi)ROCK阻害剤、およびvii)TGFβスーパーファミリーからの増殖因子と2日間にわたって接触させるプロセスにより、原始腸管細胞の少なくとも一部をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと;d)細胞クラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)RAシグナル伝達経路活性化因子、ならびに必要に応じてiv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間にわたって
1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部分をPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞がPdx1およびNKX6.1を発現する、ステップと;e)Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化因子、v)γセクレターゼ阻害剤、必要に応じてvi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、および必要に応じてvii)BMPシグナル伝達経路阻害剤と5日~7日の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと;f)外来性分化因子を含有しない培地(例えば、NS-GF培地、BSAを補充したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日の間の期間にわたって1日おきにPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を培養してSC-β細胞へのPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のin vitro成熟を誘導するプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞がGSIS応答をin vitroおよび/またはin vivoで示す、ステップとを含む方法を、提供する。一部のケースでは、GSIS応答は、内在性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0218】
[00249]一部の態様では、本開示は、多能性細胞からSC-β細胞を生成する方法であ
って、a)多能性幹細胞をTGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子およびWNTシグナル伝達経路活性化因子と3日間にわたって接触させることにより、集団内の多能性幹細胞を胚体内胚葉細胞に分化させるステップと;b)胚体内胚葉細胞をFGFファミリーからの少なくとも1つの因子と3日間にわたって接触させるプロセスにより、胚体内胚葉細胞の少なくとも一部を原始腸管細胞に分化させるステップと;c)原始腸管細胞をi)レチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子、ii)FGFファミリーからの少なくとも1つの因子、iii)SHH経路阻害剤、iv)PKC活性化因子、およびv)ROCK阻害剤と接触させるプロセスにより、原始腸管細胞の少なくとも一部をPdx1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップと;d)細胞クラスター化を促進する条件下にあるPdx1陽性膵臓前駆細胞をi)FGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子、ii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、および必要に応じてiii)RAシグナル伝達経路活性化因子、ならびに必要に応じてiv)ROCK阻害剤およびv)TGFβスーパーファミリーからの少なくとも1つの因子と5日間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部分をPdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップであって、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞がPdx1およびNKX6.1を発現する、ステップと;e)Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をi)TGF-βシグナル伝達経路阻害剤、ii)THシグナル伝達経路活性化因子、iii)少なくとも1つのSHH経路阻害剤、iv)RAシグナル伝達経路活性化因子、v)γセクレターゼ阻害剤、および必要に応じてvi)上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子と5日~7日の間の期間にわたって1日おきに接触させるプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞の少なくとも一部をPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップと;f)外来性分化因子を含有しない培地(例えば、NS-GF培地、BSAを補充したMCDB培地、MCDB131培地、またはDMEM/F12培地)中で7~14日の間の期間にわたって1日おきにPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞を培養して、SC-β細胞へのPdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部のin vitro成熟を誘導するプロセスにより、Pdx1陽性、NKX6.1陽性、インスリン陽性内分泌細胞の少なくとも一部をSC-β細胞に分化させるステップであって、SC-β細胞がGSIS応答をin vitro
および/またはin vivoで示す、ステップとを含む方法を、提供する。一部のケースでは、GSIS応答は、内在性成熟β細胞のGSIS応答に似ている。
【0219】
[00250]第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養するために使用される培地は、
ゼノフリーであり得る。動物起源の細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、他の動物からの産物を有することができない。一部のケースでは、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、いかなる非ヒト動物からの産物も有することができない。例えば、ヒト細胞および/または細胞クラスターを培養するためのゼノフリー培地は、ウシ胎仔血清(FBS)ではなく、ヒト血小板溶解物(PLT)を含むことができる。例えば、培地は、約1%~約20%、約5%~約15%、約8%~約12%、約9%~約11%血清を含むことができる。一部のケースでは、培地は、約10%の血清を含むことができる。一部のケースでは、培地は、小分子および/またはFBSを含まないこともある。例えば、培地は、2%BSAが補充されたMCDB131基礎培地を含むことができる。一部のケースでは、培地は、無血清である。一部の例では、培地は、外来性小分子、またはシグナル伝達経路アゴニストもしくはアンタゴニスト、例えば、線維芽細胞増殖因子ファミリーからの増殖因子(FGF、例えば、FGF2、FGF8B、FGF 10、もしくはFGF21)、ソニックヘッジホグアンタゴニスト(例えば、Sant1、Sant2、Sant4、Sant4、Cur61414、フォルスコリン、トマチジン、AY9944、トリパラノール、シクロパミン、もしくはそれらの誘導体)、レチノイン酸シグナル伝達アゴニスト(例えば、レチノイン酸、CD1530、AM580、TTHPB、CD437、Ch55、BMS961、AC261066、AC55649、AM80、BMS753、タザロテン、アダパレン、もしくはCD2314)、Rho関連コイルドコイル含有プロテインキナーゼ(ROCK)の阻害剤(例えば、チアゾビビン、Y-27632、ファスジル/HA1077、もしくは14-1152)、プロテインキナーゼC(PKC)の活性化因子(例えば、ホルボール12,13-ジブチレート(PDBU)、TPB、ホルボール12-ミリステート13-アセテート、ブリオスタチン1、もしくはそれらの誘導体)、TGFβスーパーファミリーのアンタゴニスト(例えば、Alk5阻害剤II(CAS 446859-33-2)、A83-01、SB431542、D4476、GW788388、LY364947、LY580276、SB505124、GW6604、SB-525334、SD-208、SB-505124、もしくはそれらの誘導体)、骨形成タンパク質(BMP)1型受容体の阻害剤(例えば、LDN193189もしくはその誘導体)、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子(例えば、T3もしくはその誘導体)、ガンマセクレターゼ阻害剤(例えば、XXI、DAPT、もしくはそれらの誘導体)、TGF-βシグナル伝達経路の活性化因子(例えば、WNT3aもしくはアクチビンA)、上皮増殖因子(EGF)ファミリーからの増殖因子(例えば、ベータセルリンもしくはEGF)、広域キナーゼ(例えば、スタウロスポリンもしくはその誘導体)、非必須アミノ酸、ビタミンもしくは抗酸化剤(例えば、シクロパミン、ビタミンD、ビタミンC、ビタミンA、もしくはそれらの誘導体)、または他の追加物、例えば、N-アセチルシステイン、硫酸亜鉛もしくはヘパリンを、含まないこともある。一部のケースでは、再凝集培地は、外来性細胞外マトリックス分子を含まないことがある。一部のケースでは、再凝集培地は、Matrigel(商標)を含まない。一部のケースでは、再凝集培地は、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビンおよびRetroNectinならびにこれらの混合物などの、他の細胞外マトリックス分子または材料も、溶解細胞膜調製物も、含まない。
【0220】
[00251]当業者には、培地に補充される血清アルブミンの濃度が様々であり得ることは
理解されるであろう。例えば、培地(例えば、MCDB131)は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%
BSAを含むことがある。他のケースでは、培地は、約0.01%、0.05%、0.1%、1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、または約15%HSAを含むことがある。使用される培地(例えば、MCDB131培地)は、旧来の基礎培地に見られない成分、例えば、微量元素、プトレシン、アデニン、チミジン、ならびにより高レベルの何らかのアミノ酸およびビタミンを含有することもある。これらの追加物は、培地への非常に低レベルの血清または規定成分の補充を可能にし得る。培地は、タンパク質および/または増殖因子を含まないこともあり、培地にEGF、ヒドロコルチゾンおよび/またはグルタミンが補充されることがある。培地は、1つまたは複数の細胞外マトリックス分子(例えば、細胞外タンパク質)を含むこともある。培地に使用される非限定的な例示的細胞外マトリックス分子としては、コラーゲン、胎盤マトリックス、フィブロネクチン、ラミニン、メロシン、テネイシン、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、アグリカン、ビグリカン、トロンボスポンジン、ビトロネクチン、およびデコリンを挙げることができる。一部のケースでは、培地は、LN-332などのラミニンを含む。一部のケースでは、培地は、ヘパリンを含む。
【0221】
[00252]培養中に、培地を、例えば、培地中の細胞に最適な環境を提供するために、定
期的に交換することができる。再凝集のために第1の細胞クラスターから解離した細胞を培養する場合、培地を少なくともまたは約4時間、12時間、24時間、48時間、3日または4日おきに交換することができる。例えば、培地を48時間おきに交換することができる。
【0222】
[00253]一部のケースでは、細胞を動的条件下で(例えば、細胞が浮遊培養中に定常的
な運動または撹拌に付される条件下で)培養することができる。動的細胞培養の場合、細胞を容器(例えば、非接着性容器、例えば、スピナーフラスコ(例えば、200ml~3000ml、例えば、250mlのもの;100mlのもの)、または125mlエルレンマイヤー)内で培養することができ、容器は、制御ユニットと接続することができ、したがって、制御された培養システムを提供することができる。一部のケースでは、細胞を、それらの増殖能を保ちつつ、非動的条件下で培養(例えば、静置培養)することができる。非動的細胞培養の場合、細胞を接着性培養容器内で培養することができる。接着性培養容器を、細胞外マトリックス(ECM)などの細胞接着用の任意の基質でコーティングして、細胞への容器表面の接着性を向上させることができる。細胞接着用の基質は、幹細胞またはフィーダー細胞(使用される場合)を接着することを目的とする任意の材料であり得る。細胞接着用の基質は、コラーゲン、ゼラチン、ポリ-L-リシン、ポリ-D-リシン、ビトロネクチン、ラミニン、フィブロネクチン、PLOラミニン、フィブリン、トロンビンおよびRetroNectin、およびこれらの混合物、例えばMatrigel(商標)、ならびに溶解細胞膜調製物を含む。
【0223】
[00254]動的細胞培養容器(例えば、スピナーフラスコ)内の培地を撹拌することがで
きる(例えば、撹拌機により)。回転速度は、再凝集した第2の細胞クラスターのサイズと相関し得る。回転速度を、第2の細胞クラスターのサイズが内在性膵島と同様になり得るように、制御することができる。一部のケースでは、回転速度は、第2の細胞クラスターのサイズが約75μm~約250μmになり得るように制御される。動的細胞培養容器(例えば、スピナーフラスコ)の回転速度は、約20回転毎分(rpm)~約100rpm、例えば、約30rpm~約90rpm、約40rpm~約60rpm、約45rpm~約50rpmであり得る。一部のケースでは、回転速度は、約50rpmであり得る。
【0224】
[00255]本明細書で提供される場合のステージ6細胞は、本明細書に記載の解離および
再凝集プロセスに付されることもあり、または付されないこともある。一部のケースでは、インスリン陽性内分泌細胞を含む細胞クラスターを再凝集させることができる。細胞クラスターの再凝集は、インスリン陽性内分泌細胞を濃縮することができる。一部のケース
では、細胞クラスター中のインスリン陽性内分泌細胞をさらに膵臓β細胞に成熟させることができる。例えば、再凝集後、第2の細胞クラスターは、ネイティブ膵島に似ているin vitro GSISを示すことができる。例えば、再凝集後、第2の細胞クラスターは、in vitro GSISを示す非ネイティブ膵臓β細胞を含むことができる。一部の実施形態では、再凝集プロセスは、PCT出願PCT/US2018/043179の開示に従って行うことができ、前記参考特許文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0225】
[00256]一部の実施形態では、本開示は、本明細書で提供される方法を使用して得られ
た非ネイティブ膵臓β細胞またはその先駆体の凍結保存に関する。一部の実施形態では、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞集団を凍結保存によって保管することができる。例えば、非ネイティブ膵臓β細胞、例えば一部のケースではステージ6細胞を含む細胞集団を解離させて細胞浮遊液、例えば、単個細胞浮遊液にすることができ、その細胞浮遊液を凍結保存することができ、例えば、凍結保存溶液中で凍結させることができる。細胞の解離は、本明細書で提供される技法のいずれかにより、例えば、酵素的処理により、行うことができる。細胞を最高-20℃、最高-30℃、最高-40℃、最高-50℃、最高-60℃、最高-70℃、最高-80℃、最高-90℃、最高-100℃、最高-110℃、最高-120℃、最高-130℃、最高-140℃、最高-150℃、最高-160℃、最高-170℃、最高-180℃、最高-190℃、または最高-200℃の温度で凍結させることができる。一部のケースでは、細胞は、約-80℃の温度で凍結される。一部のケースでは、細胞は、約-195℃の温度で凍結される。電気冷凍庫、固体二酸化炭素および液体窒素などの、しかしこれらに限定されない、任意の冷却方法を、凍結保存に必要な低温を提供するために使用することができる。一部のケースでは、特注の溶液と市販の溶液の両方を含む、当業者が入手できる任意の凍結保存溶液を、低温で保管するための細胞のインキュベーションに使用することができる。例えば、抗凍結剤を含有する溶液を使用することができる。抗凍結剤は、凍結損傷から細胞を保護するように構成されている薬剤であり得る。例えば、抗凍結剤は、凍結保存溶液のガラス転移温度を低下させることができる物質であり得る。使用することができる例示的な抗凍結剤としては、DMSO(ジメチルスルホキシド)、グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールおよびグリセロール)、デキストラン(例えば、デキストラン-40)、およびトレハロースが挙げられる。他の効果のために追加の薬剤を凍結保存溶液に添加することができる。一部のケースでは、市販の凍結保存溶液、例えば、FrostaLife(商標)、pZerve(商標)、Prime-XV(登録商標)、Gibco Synth-a-Freeze Cryopreservation Medium、STEM-CELLBANKER(登録商標)、CryoStor(登録商標)Freezing Media、HypoThermosol(登録商標)FRS Preservation Media、およびCryoDefend(登録商標)Stem Cells Mediaを、本明細書で提供される方法に使用することができる。
【0226】
[00257]V.分化因子
[00258]本開示の態様は、例えば、SC-β細胞(例えば、成熟膵臓β細胞)へのイン
スリン陽性内分泌細胞の成熟または他の前駆細胞の分化を誘導するために、前駆細胞(例えば、幹細胞、例えば、iPS細胞、胚体内胚葉細胞、原始腸管細胞、Pdx1陽性膵臓前駆細胞、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、インスリン陽性内分泌細胞)をβ細胞分化因子と接触させることに関する。一部の実施形態では、分化因子は、多能性細胞(例えば、iPSCまたはhESC)の胚体内胚葉細胞への分化を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、胚体内胚葉細胞の原始腸管細胞への分化を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、原始腸管細胞のPdx1陽性膵臓前駆細胞への分化を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。一
部の実施形態では、分化因子は、Pdx1陽性膵臓前駆細胞のNKX6-1陽性膵臓前駆細胞への分化を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、NKX6-1陽性膵臓前駆細胞のインスリン陽性内分泌細胞への分化を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。一部の実施形態では、分化因子は、インスリン陽性内分泌細胞のSC-β細胞への成熟を、例えば、本明細書に記載される方法に従って、誘導することができる。
【0227】
[00259]本明細書に記載される少なくとも1つの分化因子を本明細書で開示の方法に従
って単独でまたは他の分化因子(differentiation actors)と組み合わせて使用してSC-β細胞を生成することができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の分化因子が、SC-β細胞を生成する方法に使用される。
【0228】
[00260]トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)スーパーファミリー
[00261]本開示の態様は、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)スーパー
ファミリーからの増殖因子の分化因子としての使用に関する。「TGF-βスーパーファミリー」は、公知のTGFβファミリーメンバーの構造的および機能的特徴を有するタンパク質を意味する。タンパク質のTGFβファミリーは、タンパク質のTGFβシリーズ、インヒビン(インヒビンAおよびインヒビンBを含む)、アクチビン(アクチビンA、アクチビンB、およびアクチビンABを含む)、MIS(ミュラー管抑制因子)、BMP(骨形成タンパク質)、dpp(デカペンタプレジック)、Vg-1、MNSF(モノクローナル非特異的抑制因子)などを含むことができる。タンパク質のこのファミリーの活性は、様々な細胞型のある特定の受容体への特異的結合に基づき得る。このファミリーのメンバーは、それらの機能と相関する配列同一性の領域を、特にC末端に、共有し得る。TGFβファミリーは、百を超える明確に異なるタンパク質を含むことができ、これらのタンパク質のすべてが少なくとも1つのアミノ酸配列同一性領域を共有する。本明細書で開示される方法に使用することができるファミリーのメンバーは、それらのGenBank受託番号により識別されるような以下のタンパク質を、これらに限定されないが、含むことができる:P07995、P18331、P08476、Q04998、P03970、P43032、P55102、P27092、P42917、P09529、P27093、P04088、Q04999、P17491、P55104、Q9WUK5、P55103、O88959、O08717、P58166、O61643、P35621、P09534、P48970、Q9NR23、P25703、P30884、P12643、P49001、P21274、O46564、O19006、P22004、P20722、Q04906、Q07104、P30886、P18075、P23359、P22003、P34821、P49003、Q90751、P21275、Q06826、P30885、P34820、Q29607、P12644、Q90752、O46576、P27539、P48969、Q26974、P07713、P91706、P91699、P27091、O42222、Q24735、P20863、O18828、P55106、Q9PTQ2、O14793、O08689、O42221、O18830、O18831、O18836、O35312、O42220、P43026、P43027、P43029、O95390、Q9R229、O93449、Q9Z1W4、Q9BDW8、P43028、Q7Z4P5、P50414、P17246、P54831、P04202、P01137、P09533、P18341、O19011、Q9Z1Y6、P07200、Q9Z217、O95393、P55105、P30371、Q9MZE2、Q07258、Q96S42、P97737、AAA97415.1、NP-776788.1、NP-058824.1、EAL24001.1、1 S4Y、NP-001009856.1、NP-1-032406.1、NP-999193.1、XP-519063.1、AAG17260.1、CAA40806.1、NP-1-0
01009458.1、AAQ55808.1、AAK40341.1、AAP33019.1、AAK21265.1、AAC59738.1、CAI46003.1、B40905、AAQ55811.1、AAK40342.1、XP-540364.1、P55102、AAQ55810.1、NP-990727.1、CAA51163.1、AAD50448.1、JC4862、PN0504、BAB17600.1、AAH56742.1、BAB17596.1、CAG06183.1、CAG05339.1、BAB17601.1、CAB43091.1、A36192、AAA49162.1、AAT42200.1、NP-789822.1、AAA59451.1、AAA59169.1、XP-541000.1、NP-990537.1、NP-1-002184.1、AAC14187.1、AAP83319.1、AAA59170.1、BAB16973.1、AAM66766.1、WFPGBB、1201278C、AAH30029.1、CAA49326.1、XP-344131.1、AA-148845.1、XP-1-148966.3、148235、B41398、AAH77857.1、AAB26863.1、1706327A、BAA83804.1、NP-571143.1、CAG00858.1、BAB17599.1、BAB17602.1、AAB61468.1、PN0505、PN0506、CAB43092.1、BAB17598.1、BAA22570.1、BAB16972.1、BAC81672.1、BAA12694.1、BAA08494.1、B36192、C36192、BAB16971.1、NP-034695.1、AAA49160.1、CAA62347.1、AAA49161.1、AAD30132.1、CAA58290.1、NP-005529.1、XP-522443.1、AAM27448.1、XP-538247.1、AAD30133.I、AAC36741.1、AAH10404.1、NP-032408.1、AAN03682.1、XP-509161.1、AAC32311.1、NP-651942.2、AAL51005.1、AAC39083.1、AAH85547.1、NP-571023.1、CAF94113.1、EAL29247.1、AAW30007.1、AAH90232.1、A29619、NP-001007905.1、AAH73508.1、AADO2201.1、NP-999793.1、NP-990542.1、AAF19841.1、AAC97488.1、AAC60038.1、NP989197.1、NP-571434.1、EAL41229.1、AAT07302.1、CAI19472.1、NP-031582.1、AAA40548.1、XP-535880.1、NP-1-037239.1、AAT72007.1、XP-418956.1、CAA41634.1、BAC30864.1、CAA38850.1、CAB81657.2、CAA45018.1、CAA45019.1、BAC28247.1、NP-031581.1、NP-990479.1、NP-999820.1、AAB27335.1、S45355、CAB82007.1、XP-534351.1、NP-058874.1、NP-031579.1、1REW、AAB96785.1、AAB46367.1、CAA05033.1、BAA89012.1、IES7、AAP20870.1、BAC24087.1、AAG09784.1、BAC06352.1、AAQ89234.1、AAM27000.1、AAH30959.1、CAGO1491.1、NP-571435.1、1REU、AAC60286.1、BAA24406.1、A36193、AAH55959.1、AAH54647.1、AAH90689.1、CAG09422.1、BAD16743.1、NP-032134.1、XP-532179.1、AAB24876.1、AAH57702.1、AAA82616.1、CAA40222.1、CAB90273.2、XP-342592.1、XP-534896.1、XP-534462.1、1LXI、XP-417496.1、AAF34179.1、AAL73188.1、CAF96266.1、AAB34226.1、AAB33846.1、AAT12415.1、AA033819.1、AAT72008.1、AAD38402.1、BAB68396.1、CAA45021.1、AAB27337.1、AAP69917.1、AATI2416.1、NP-571396.1、CAA53513.1、AA033820.1、AAA48568.1、BAC0
2605.1、BAC02604.1、BAC02603.1、BAC02602.1、BAC02601.1、BAC02599.1、BAC02598.1、BAC02597.1、BAC02595.1、BAC02593.1、BAC02592.1、BAC02590.1、AAD28039.1、AAP74560.1、AAB94786.1、NP-001483.2、XP-528195.1、NP-571417.1、NP-001001557.I、AAH43222.1、AAM33143.1、CAG10381.1、BAA31132.1、EAL39680.1、EAA12482.2、P34820、AAP88972.1、AAP74559.1、CAI16418.1、AAD30538.1、XP-345502.1、NP-1-038554.1、CAG04089.1、CAD60936.2、NP-031584.1、B55452、AAC60285.1、BAA06410.1、AAH52846.1、NP-031580.1、NP-1-036959.1、CAA45836.1、CAA45020.1、Q29607、AAB27336.1、XP-547817.1、AAT12414.1、AAM54049.1、AAH78901.1、AA025745.1、NP-570912.1、XP-392194.1、AAD20829.1、AAC97113.1、AAC61694.1、AAH60340.1、AAR97906.1、BAA32227.1、BAB68395.1、BAC02895.1、AAWS1451.1、AAF82188.1、XP-544189.1、NP-990568.1、BAC80211.1、AAW82620.1、AAF99597.1、NP-571062.1、CAC44179.1、AAB97467.1、AAT99303.1、AAD28038.1、AAH52168.1、NP-001004122.1、CAA72733.1、NP-032133.2、XP-394252.1、XP-224733.2、JH0801、AAP97721.1、NP-989669.1、S43296、P43029、A55452、AAH32495.1、XP-542974.1、NP-032135.1、AAK30842.1、AAK27794.1、BAC30847.1、EAA12064.2、AAP97720.1、XP-525704.1、AAT07301.1、BAD07014.1、CAF94356.1、AAR27581.1、AAG13400.1、AAC60127.1、CAF92055.1、XP-540103.1、AA020895.1、CAF97447.1、AAS01764.1、BAD08319.1、CAA10268.1、NP-998140.1、AAR03824.1、AAS48405.1、AAS48403.1、AAK53545.1、AAK84666.1、XP-395420.1、AAK56941.1、AAC47555.1、AAR88255.1、EAL33036.1、AAW47740.1、AAW29442.1、NP-722813.1、AARO8901.1、AAO15420.2、CAC59700.1、AAL26886.1、AAK71708.1、AAK71707.1、CAC51427.2、AAK67984.1、AAK67983.1、AAK28706.1、P07713、P91706、P91699、CAG02450.1、AAC47552.1、NP-005802.1、XP-343149.1、AW34055.1、XP-538221.1、AAR27580.1、XP-125935.3、AAF21633.1、AAF21630.1、AAD05267.1、Q9Z1 W4、NP-1-031585.2、NP-571094.1、CAD43439.1、CAF99217.1、CAB63584.1、NP-722840.1、CAE46407.1、XP-1-417667.1、BAC53989.1、BAB19659.1、AAM46922.1、AAA81169.1、AAK28707.1、AAL05943.1、AAB17573.1、CAH25443.1、CAG10269.1、BAD16731.1、EAA00276.2、AAT07320.1、AAT07300.1、AAN15037.1、CAH25442.1、AAK08152.2、2009388A、AAR12161.1、CAGO1961.1、CAB63656.1、CAD67714.1、CAF94162.1、NP-477340.1、EAL24792.1、NP-1-001009428.1、AAB86686.1、AAT40572.1、AAT40571.1、AAT
40569.1、NP-033886.1、AAB49985.1、AAG39266.1、Q26974、AAC77461.1、AAC47262.1、BAC05509.1、NP-055297.1、XP-546146.1、XP-525772.1、NP-060525.2、AAH33585.1、AAH69080.1、CAG12751.1、AAH74757.2、NP-034964.1、NP-038639.1、042221、AAF02773.1、NP-062024.1、AAR18244.1、AAR14343.1、XP-228285.2、AAT40573.1、AAT94456.1、AAL35278.1、AAL35277.1、AAL17640.1、AAC08035.1、AAB86692.1、CAB40844.1、BAC38637.1、BAB16046.1、AAN63522.1、NP-571041.1、AAB04986.2、AAC26791.1、AAB95254.1、BAA11835.1、AAR18246.1、XP-538528.1、BAA31853.1、AAK18000.1、XP-1-420540.1、AAL35276.1、AAQ98602.1、CAE71944.1、AAW50585.1、AAV63982.1、AAW29941.1、AAN87890.1、AAT40568.1、CAD57730.1、AAB81508.1、AAS00534.1、AAC59736.1、BAB79498.1、AAA97392.1、AAP85526.1、NP-999600.2、NP-878293.1、BAC82629.1、CAC60268.1、CAG04919.1、AAN10123.1、CAA07707.1 AAK20912.1、AAR88254.1、CAC34629.1、AAL35275.1、AAD46997.I、AAN03842.1、NP-571951.2、CAC50881.1、AAL99367.1、AAL49502.1、AAB71839.1、AAB65415.1、NP-624359.1、NP-990153.1、AAF78069.1、AAK49790.1、NP-919367.2、NP-001192.1、XP-544948.1、AAQ18013.1、AAV38739.1、NP-851298.1、CAA67685.1、AAT67171.1、AAT37502.1、AAD27804.1、AAN76665.1、BAC11909.1、XP-1-421648.1、CAB63704.1、NP-037306.1、A55706、AAF02780.1、CAG09623.1、NP-067589.1、NP-035707.1、AAV30547.1、AAP49817.1、BAC77407.1、AAL87199.1、CAG07172.1、B36193、CAA33024.1、NP-1-001009400.1、AAP36538.1、XP-512687.1、XP-510080.1、AAH05513.1、1KTZ、AAH14690.1、AAA31526.1。
【0229】
[00262]本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βスーパーファミリ
ーからの増殖因子は、天然に得られることもあり、または組換えであることもある。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、アクチビンAを含む。「アクチビンA」という用語は、アクチビンAの断片および誘導体を含むことができる。例示的なアクチビンAの配列は、米国特許出願公開第2009/0155218号(’218公報)に配列番号1として開示されている。アクチビンAの他の非限定的な例は、’218公報の配列番号2~16に提供されており、アクチビンAをコードする核酸の非限定的な例は、’218公報の配列番号33~34に提供されている。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、’218公報の配列番号1と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含むことができる。
【0230】
[00263]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、増殖
分化因子8(GDF8)を含む。「GDF8」という用語は、GDF8の断片および誘導体を含むことができる。GDF8ポリペプチドの配列は、当業者には入手可能である。一
部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、ヒトGDF8ポリペプチド配列(GenBank受託EAX10880)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0231】
[00264]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、GD
F8と密接に関連している増殖因子、例えば、増殖分化因子11(GDF11)を含む。一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子は、ヒトGDF11ポリペプチド配列(GenBank受託AAF21630)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0232】
[00265]一部の実施形態では、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子を、TG
F-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子を模倣する作用因子に置き換えることができる。TGF-βスーパーファミリーからの少なくとも1つの増殖因子を模倣する例示的な作用因子としては、限定ではないが、IDE1およびIDE2が挙げられる。
【0233】
[00266]骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤
[00267]本開示の態様は、BMPシグナル伝達経路阻害剤のβ細胞分化因子としての使
用に関する。BMPシグナル伝達ファミリーは、TGF-βスーパーファミリーの多様なサブセットである(Sebaldら Biol.Chem.385:697~710、2004)。20を超える公知のBMPリガンドが、3つの明確に異なるII型(BMPRII、ActRIIa、およびActRIIb)および少なくとも3つのI型(ALK2、ALK3、およびALK6)受容体によって認識される。二量体リガンドは、受容体ヘテロマーの集合を助長し、それによって構成的に活性なII型受容体セリン/トレオニンキナーゼがI型受容体セリン/トレオニンキナーゼをリン酸化することが可能になる。活性化されたI型受容体は、BMP応答性(BR-)SMADエフェクター(SMAD1、5および8)をリン酸化して、TGFシグナル伝達を同様に助長するco-SMADであるSMAD4との複合体での核内移行を助長する。加えて、BMPシグナルは、SMAD非依存的様式でMAPK p38などの細胞内エフェクターを活性化することができる(NoheらCell Signal 16:291~299、2004)。可溶性BMPアンタゴニスト、例えば、ノギン、コーディン、グレムリンおよびフォリスタチンは、リガンド隔離によりBMPシグナル伝達を制限する。
【0234】
[00268]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMP
シグナル伝達経路阻害剤は、DMH-1、またはその誘導体、類似体もしくは変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、下記の化合物、または下記の化合物の誘導体、類似体もしくは変異体を含む:
【0235】
【0236】
[00269]
[00270]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMP
シグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189(LDN193189、1062368-24-4、LDN-193189、DM 3189、DM-3189としても公知;IUPAC名:4-[6-(4-ピペラジン-1-イルフェニル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-イル]キノロン)を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMPシグナル伝達経路阻害剤は、下記の化合物、または下記の化合物の誘導体、類似体もしくは変異体を含む:
【0237】
【0238】
[00271]
[00272]一部のケースでは、DMH-1は、LDN193189と比較してより選択的
であり得る。本開示の一部の実施形態では、DMH-1は、本明細書で提供される方法に特に有用であり得る。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、LDN193189の使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、原始腸管細胞からPdx1陽性膵臓前駆細胞を生成するためのLDN193189またはその誘導体、類似体もしくは変異体の使用を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物は、原始腸管細胞からPdx1陽性膵臓前駆細胞を生成するためのDMH-1またはその誘導体、類似体もしくは変異体の使用に関する。
【0239】
[00273]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMP
シグナル伝達経路阻害剤は、LDN193189の類似体または誘導体、例えば、LDN193189の塩、水和物、溶媒、エステルまたはプロドラッグを含む。一部の実施形態
では、LDN193189の誘導体(例えば、塩)は、LDN193189塩酸塩を含む。
【0240】
[00274]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるBMP
シグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2011/0053930号からの式Iの化合物を含む。
【0241】
[00275]TGF-βシグナル伝達経路阻害剤
[00276]本開示の態様は、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤のβ細胞分化因子として
の使用に関する。
【0242】
[00277]一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路は、TGF-β受容体I型
キナーゼ(TGF-β RI)シグナル伝達を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤II(CAS 446859-33-2;TGF-B RIキナーゼのATP競合的阻害剤;RepSoxとしても公知;IUPAC名:2-[5-(6-メチルピリジン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-1,5-ナフチリジン)を含む。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、ALK5阻害剤IIの類似体または誘導体である。
【0243】
[00278]一部の実施形態では、ALK5阻害剤II(別名「ALK5i」)の類似体ま
たは誘導体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0021519号に記載の式Iの化合物である。
【0244】
[00279]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF
-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2010/0267731号に記載されているTGF-β受容体阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2009/0186076号および同第2007/0142376号に記載されているALK5阻害剤を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、A 83-01でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、A 83-01を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 431542でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、SB 431542を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、D 4476でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、D 4476を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、GW 788388を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 364947でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、LY 364947を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、LY 580276でない。一部の実施形態では、本明細書に
記載される組成物および方法は、LY 580276を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 525334でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、SB 525334を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SB 505124でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、SB 505124を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、SD 208でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、SD 208を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW
6604である。一部の実施形態では、TGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 6604でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、GW
6604を除外する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるTGF-βシグナル伝達経路阻害剤は、GW 788388でない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、GW 788388を除外する。
【0245】
[00280]上記の化合物の一群からの以下のものは、様々な供給元から得ることができる
:Sigma、P.O.Box 14508、St.Louis、Mo.、63178-9916から入手可能なLY-364947、SB-525334、SD-208、およびSB-505124;Calbiochem(EMD Chemicals,Inc.)、480 S.Democrat Road、Gibbstown、N.J.、08027から入手可能な616452および616453;GlaxoSmithKline、980 Great West Road、Brentford、Middlesex、TW8 9GS、United Kingdomから入手可能なGW788388およびGW6604;Lilly Research、Indianapolis、Ind.
46285から入手可能なLY580276;ならびにBiogen Idec、P.O.Box 14627、5000 Davis Drive、Research Triangle Park、N.C.、27709-4627から入手可能なSM16。
【0246】
[00281]WNTシグナル伝達経路
[00282]本開示の態様は、WNTシグナル伝達経路の活性化因子のβ細胞分化因子とし
ての使用に関する。
【0247】
[00283]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるWNT
シグナル伝達経路活性化因子は、CHIR99021を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化因子は、CHIR99021の誘導体、例えば、CHIR99021の塩、例えば三塩酸塩、CHIR99021の塩酸塩を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるWNTシグナル伝達経路活性化因子は、Wnt3a組換えタンパク質を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるWNTグナル伝達経路活性化因子は、グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)阻害剤を含む。例示的なGSK3阻害剤としては、限定ではないが、3F8、A 1070722、AR-A 014418、BIO、BIO-アセトキシム、FRATide、10Z-ヒメニアルジシン、インジルビン-3’オキシム、ケンパウロン、L803、L803-mts、炭酸リチウム、NSC 693868、SB 216763、SB 415286、TC-G
24、TCS 2002、TCS 21311、TWS 119、およびこれらのいずれかの類似体または誘導体が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、WNTシグナル伝達経路活性化因子を除外する。
【0248】
[00284]線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリー
[00285]本開示の態様は、FGFファミリーからの増殖因子のβ細胞分化因子としての
使用に関する。
【0249】
[00286]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるFGF
ファミリーからの増殖因子は、ケラチノサイト増殖因子(KGF)を含む。KGFのポリペプチド配列は、当業者には入手可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの増殖因子は、ヒトKGFポリペプチド配列(GenBank受託AAB21431)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0250】
[00287]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるFGF
ファミリーからの増殖因子は、FGF2を含む。FGF2のポリペプチド配列は、当業者には入手可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの増殖因子は、ヒトFGF2ポリペプチド配列(GenBank受託NP_001997)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0251】
[00288]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるFGF
ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF8Bを含む。FGF8Bのポリペプチド配列は、当業者には入手可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの増殖因子は、ヒトFGF8Bポリペプチド配列(GenBank受託AAB40954)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0252】
[00289]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるFGF
ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF10を含む。FGF10のポリペプチド配列は、当業者には入手可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの増殖因子は、ヒトFGF10ポリペプチド配列(GenBank受託CAG46489)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0253】
[00290]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるFGF
ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、FGF21を含む。FGF21のポリペプチド配列は、当業者には入手可能である。一部の実施形態では、FGFファミリーからの増殖因子は、ヒトFGF21ポリペプチド配列(GenBank受託AAQ89444.1)と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%、またはそれを超えて同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
【0254】
[00291]ソニックヘッジホグ(SHH)シグナル伝達経路
[00292]本開示の態様は、SHHシグナル伝達経路阻害剤のβ細胞分化因子としての使
用に関する。
【0255】
[00293]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHH
シグナル伝達経路阻害剤は、Sant1を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT2を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT3を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、SANT4を含む。一部の実施形態では、SHHシグナル伝達経路阻害剤は、Cur61414を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、フォルスコリンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トマチジンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、AY9944を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、トリパラノールを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、化合物Aまたは化合物B(米国特許出願公開第2004/0060568号に開示されているような)を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるSHHシグナル伝達経路阻害剤は、米国特許出願公開第2006/0276391号に開示されているようなヘッジホッグシグナル伝達に拮抗するステロイド系アルカロイド(例えば、シクロパミンまたはその誘導体)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、SHHシグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0256】
[00294]レチノイン酸シグナル伝達経路
[00295]本開示の態様は、レチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターのβ細胞分化因
子としての使用に関する。
【0257】
[00296]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるレチノ
イン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の活性化因子を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化因子は、レチノイン酸を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるRAシグナル伝達経路活性化因子は、レチノイン酸受容体アゴニストを含む。本明細書で提供される方法および組成物における例示的なレチノイン酸受容体アゴニストとしは、限定ではないが、CD 1530、AM 580、TTNPB、CD 437、Ch 55、BMS 961、AC 261066、AC 55649、AM 80、BMS 753、タザロテン、アダパレン、およびCD 2314が挙げられる。
【0258】
[00297]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるレチノ
イン酸シグナル伝達のモジュレーターは、レチノイン酸シグナル伝達の阻害剤を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEAB(IUPAC名:2-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-3-プロパ-2-エニルベンズアルデヒド)を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤は、DEABの類似体または誘導体を含む。
【0259】
[00298]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるレチノ
イン酸シグナル伝達経路阻害剤は、レチノイン酸受容体アンタゴニストを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるレチノイン酸受容体アンタゴニストは、(E)-4-[2-(5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-フェニル-2-ナフタレニル)エテニル]安息香酸、(E)-4-[[(5,6-ジヒドロ-5,
5-ジメチル-8-フェニルエチニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸、(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(2-ナフタレニル)-2-ナフタレニル]エテニル]-安息香酸、および(E)-4-[2-[5,6-ジヒドロ-5,5-ジメチル-8-(4-メトキシフェニル)-2-ナフタレニル]エテニル]安息香酸を含む。一部の実施形態では、レチノイン酸受容体アンタゴニストは、BMS 195614(CAS#253310-42-8)、ER 50891(CAS#187400-85-7)、BMS 493(CAS#170355-78-9)、CD 2665(CAS#170355-78-9)、LE 135(CAS#155877-83-1)、BMS 453(CAS #166977-43-1)、またはMM 11253(CAS#345952-44-5)を含む。
【0260】
[00299]ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは
、レチノイン酸シグナル伝達のモジュレーターを除外する。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路活性化因子を除外する。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、レチノイン酸シグナル伝達経路阻害剤を除外する。
【0261】
[00300]プロテインキナーゼC
[00301]本開示の態様は、プロテインキナーゼC活性化因子のβ細胞分化因子としての
使用に関する。プロテインキナーゼCは、プロテインキナーゼ酵素の最大ファミリーの1つであり、様々なアイソフォームで構成されている。従来のアイソフォームとしては、α、βI、βII、γが挙げられ、新規アイソフォームとしては、δ、ε、η、θが挙げられ、非定型アイソフォームとしては、ξ、およびι/λが挙げられる。PKC酵素は、主として細胞質性であるが、活性化されると膜に移行する。細胞質中で、PKCは、他のキナーゼによりリン酸化されるか、または自己リン酸化する。活性化されるために、一部のPKCアイソフォーム(例えば、PKC-ε)は、ジアシルグリセロール(「DAG」)結合部位またはホスファチジルセリン(「PS」)結合部位に結合するための分子を必要とする。他のものは、二次結合メッセンジャーが全くなくても活性化され得る。DAG部位に結合するPKC活性化因子としては、ブリオスタチン、ピコログ(picologue)、ホルボールエステル、アプリシアトキシン、およびグニジマクリンが挙げられるが、これらに限定されない。PS部位に結合するPKC活性化因子としては、多価不飽和脂肪酸およびこれらの誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。SC-β細胞への少なくとも1つのインスリン産生内分泌細胞またはその先駆体の分化を誘導することが、単独で、または1つもしくは複数のβ細胞分化因子との組合せで、可能である、任意のプロテインキナーゼC活性化因子を、本明細書に記載される方法、組成物およびキットにおいて使用することができると企図される。
【0262】
[00302]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC
活性化因子は、PdbUを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC活性化因子は、TPBを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC活性化因子は、WIPO公開番号WO/2013/071282に記載されているような、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸、シクロプロパン化多価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化一価不飽和脂肪アルコール、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸硫酸エステル、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸硫酸エステル、シクロプロパン化多価不飽和脂肪酸リン酸エステル、シクロプロパン化一価不飽和脂肪酸リン酸エステル、大環状ラクトン、DAG誘導体、イソプレノイド、オクチルインドラクタムV、グニジマクリン、イリパリダール、インゲノール、ナフタレンスルホンアミド、ジアシルグリセロールキナーゼ阻害剤、線維芽細胞増殖因子18(FGF-18)、インスリン増殖因子、ホルモン、および
増殖因子活性化因子を含む。一部の実施形態では、ブリオスタチンは、ブリオスタチン-1、ブリオスタチン-2、ブリオスタチン-3、ブリオスタチン-4、ブリオスタチン-5、ブリオスタチン-6、ブリオスタチン-7、ブリオスタチン-8、ブリオスタチン-9、ブリオスタチン-10、ブリオスタチン-11、ブリオスタチン-12、ブリオスタチン-13、ブリオスタチン-14、ブリオスタチン-15、ブリオスタチン-16、ブリオスタチン-17、またはブリオスタチン-18を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、プロテインキナーゼC活性化因子を除外する。
【0263】
[00303]γセクレターゼ阻害剤
[00304]本開示の態様は、γセクレターゼ阻害剤のβ細胞分化因子としての使用に関す
る。
【0264】
[00305]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるγセク
レターゼ阻害剤は、XXIを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるγセクレターゼ阻害剤は、DAPTを含む。本明細書で提供される方法および組成物における追加の例示的なγセクレターゼ阻害剤は、限定ではないが、米国特許第7,049,296号、同第8,481,499号、同第8,501,813号、およびWIPO公開番号WO/2013/052700に記載されているγセクレターゼ阻害剤を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、γセクレターゼ阻害剤を除外する。
【0265】
[00306]甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子
[00307]本開示の態様は、甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子のβ細胞分化因
子としての使用に関する。
【0266】
[00308]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物における甲状腺
ホルモンシグナル伝達経路活性化因子は、トリヨードチロニン(T3)を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物における甲状腺ホルモンシグナル伝達経路活性化因子は、T3の類似体または誘導体を含む。本明細書で提供される方法および組成物におけるT3の例示的な類似体としては、選択的および非選択的甲状腺ホルモン模倣薬、TRβ選択的アゴニスト-GC-1、GC-24,4-ヒドロキシ-PCB 106、MB07811、MB07344、3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DITPA);選択的TR-βアゴニストGC-1;3-ヨードチロナミン(T(1)AM)および3,3’,5-トリヨードチロ酢酸(Triac)(ホルモンチロキシン(T(4))の生物活性代謝物);KB-2115およびKB-141;チロナミン;SKF L-94901;DIBIT;3’-AC-T2;テトラヨードチロ酢酸(Tetrac)およびトリヨードチロ酢酸(Triac)(チロキシン[T4]およびトリヨードチロニン[T3]アラニン鎖の酸化的脱アミノ化および脱カルボキシル化による)、3,3’,5’-トリヨードチロニン(rT3)(T4およびT3脱ヨウ素化による)、3,3’-ジヨードチロニン(3,3’-T2)および3,5-ジヨードチロニン(T2)(T4、T3、およびrT3脱ヨウ素化による)、ならびに3-ヨードチロナミン(T1AM)およびチロナミン(T0AM)(T4およびT3脱ヨウ素化およびアミノ酸脱カルボキシル化による)、ならびにTH構造類似体については、例えば、3,5,3’-トリヨードチロプロピオン酸(Triprop)、3,5-ジブロモ-3-ピリダジノン-1-チロニン(L-940901)、N-[3,5-ジメチル-4-(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルフェノキシ)-フェニル]-オキサミド酸(CGS 23425)、3,5-ジメチル-4-[(4’-ヒドロキシ-3’-イソプロピルベンジル)-フェノキシ]酢酸(GC-1)、3,5-ジクロロ-4-[(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェノキシ)フェニル]酢酸(KB-141)、および3,5-ジヨードチロプロピオン酸(DIT
PA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0267】
[00309]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物における甲状腺
ホルモンシグナル伝達経路活性化因子は、T3のプロドラッグまたはプロホルモン、例えば、T4甲状腺ホルモン(例えば、チロキシンまたはL-3,5,3’,5’-テトラヨードチロニン)を含む。
【0268】
[00310]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物における甲状腺
ホルモンシグナル伝達経路活性化因子は、米国特許第7,163,918号に記載されているヨードチロニン組成物である。
【0269】
[00311]上皮増殖因子(EGF)ファミリー
[00312]本開示の態様は、EGFファミリーからの増殖因子のβ細胞分化因子としての
使用に関する。
【0270】
[00313]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGF
ファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、ベータセルリンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、EGFを含む。上皮増殖因子(EGF)は、大きい膜内在性タンパク質先駆体からタンパク質分解により切断される53アミノ酸サイトカインである。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの増殖因子は、変異体EGFポリペプチド、例えば、米国特許第7,084,246号に開示されているような、ヒト野生型EGFポリペプチド配列に対して少なくとも90%のアミノ酸同一性を有する単離された上皮増殖因子ポリペプチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの増殖因子は、米国特許第8,247,531号に開示されているような、EGF受容体に結合し、作動させる、操作されたEGF突然変異体を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの少なくとも1つの増殖因子は、EGFファミリーにおけるシグナル伝達経路を活性化する作用因子に置き換えられる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるEGFファミリーからの増殖因子は、EGFを模倣する化合物を含む。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、EGFファミリーからの増殖因子を除外する。
【0271】
[00314]プロテインキナーゼ阻害剤
[00315]本開示の態様は、プロテインキナーゼ阻害剤のβ細胞分化因子としての使用に
関する。
【0272】
[00316]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるプロテ
インキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、スタウロスポリンの類似体を含む。本明細書で提供される方法および組成物におけるスタウロスポリンの例示的な類似体としては、限定ではないが、Ro-31-8220、ビスインドリルマレイミド(Bis)化合物、10’-{5”-[(メトキシカルボニル)アミノ]-2”-メチル}-フェニルアミノカルボニルスタウロスポリン、スタラログ(staralog)(例えば、Lopezら、「Staurosporine-derived inhibitors broaden the scope of analog-sensitive
kinase technology」、J.Am.Chem.Soc.2013;135(48):18153~18159を参照されたい)、およびcgp41251が挙げられる。
【0273】
[00317]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるプロテ
インキナーゼ阻害剤は、PKCβの阻害剤である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるプロテインキナーゼ阻害剤は、下記の構造を有するPKCβの阻害剤、または下記の化合物の誘導体、類似体もしくは変異体である:
【0274】
【0275】
[00318]
[00319]一部の実施形態では、PKCβの阻害剤は、下記の構造を有するGSK-2化
合物、または下記の化合物の誘導体、類似体もしくは変異体である:
【0276】
【0277】
[00320]
[00321]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC
の阻害剤は、ビスインドリルマレイミドである。例示的なビスインドリルマレイミドとしては、限定ではないが、ビスインドリルマレイミドI、ビスインドリルマレイミドII、ビスインドリルマレイミドIll、塩酸塩、またはそれらの誘導体、類似体もしくは変異体が挙げられる。
【0278】
[00322]一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC
阻害剤は、プソイドヒペリシン、またはその誘導体、類似体もしくは変異体である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法および組成物におけるPKC阻害剤は、インドルブリン-3-モノオキシム,5-ヨード(indorublin-3-monoximc,5-Iodo)、またはその誘導体、類似体もしくは変異体である。ある特定の実施形態では、本明細書で開示される方法、組成物およびキットは、プロテインキナーゼ阻害剤を除外する。
【0279】
[00323]VI.医薬組成物
[00324]一部のケースでは、本開示は、疾患(例えば、糖尿病)の処置のための様々な
方法に非ネイティブ膵臓β細胞(ベータ細胞)集団ならびに細胞成分および産物を用いる
ことができる医薬組成物を提供する。ある特定のケースは、生細胞(例えば、単独でのまたは他の細胞型と混合された非ネイティブ膵臓β細胞)を含む医薬組成物を包含する。他のケースは、非ネイティブ膵臓β細胞成分(例えば、細胞溶解物、可溶性細胞画分、馴化培地、ECM、もしくは前述のもののいずれかについての成分)または産物(例えば、非ネイティブ膵臓β細胞により、もしくは非ネイティブ膵臓β細胞からの遺伝子修飾、馴化培地によって、産生された栄養因子および他の生物学的因子)を含む医薬組成物を包含する。どちらのケースでも、医薬組成物は、他の活性薬剤、例えば、当業者に公知の抗炎症剤、外来性小分子アゴニスト、外来性小分子アンタゴニスト、抗アポトーシス剤、抗酸化剤および/または増殖因子をさらに含むことがある。
【0280】
[00325]本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される担体(例えば、培地または賦形剤
)を用いて製剤化された非ネイティブ膵臓β細胞またはその成分もしくは産物を含むことができる。生物学的に適合性の担体または培地という用語と同義で使用され得る、薬学的に許容される担体(または培地)という用語は、治療的に投与される細胞および他の薬剤と適合性であるばかりでなく、人間および動物の組織と接触する使用に好適でもあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の合併症を伴わない、試薬、細胞、化合物、材料、組成物および/または剤形を指すことができる。好適な薬学的に許容される担体としては、水、塩類溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール、油、ゼラチン、および炭水化物、例えばラクトース、アミロースまたはデンプン、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンを挙げることができる。そのような調製物を滅菌することができ、必要に応じて補助剤、例えば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、および着色剤と混合することができる。細胞の成分および産物を含むが生細胞を含まない医薬組成物を、液体として製剤化することができる。生存非ネイティブ膵臓β細胞を含む医薬組成物を、液体、半固体(例えば、ゲル、ゲルカプセル、もしくはリポソーム)または固体(例えば、マトリックス、足場など)として製剤化することができる。
【0281】
[00326]ここで使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、正当な医学的
判断の範囲内で、人間および動物の組織と接触する使用に好適であり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応または他の問題もしくは合併症を伴わず、妥当な損益比に見合っている、化合物、材料、組成物および/または剤形を指すことができる。
【0282】
[00327]ここで使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、ある臓器
または体部から別の臓器または体部への対象化合物の運搬または輸送に関与する、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、製造助剤(例えば、滑沢剤、タルク、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムもしくは亜鉛、またはステアリン酸)、または溶媒封入材を指すことができる。各担体は、製剤の他の成分と適合性であり、患者に有害でないという意味で、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体としての機能を果たすことができる材料の一部の例としては、(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプン;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、および酢酸セルロース;(4)粉末トラガカント:(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルク;(8)賦形剤、例えば、カカオ脂および坐薬ワックス;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコール;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG);(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸
化アルミニウム;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝溶液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物;(22)増量剤、例えば、ポリペプチドおよびアミノ酸;(23)血清成分、例えば、血清アルブミン、HDLおよびLDL;(22)C2~C12アルコール、例えばエタノール;ならびに(23)医薬製剤に利用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、着香剤、芳香剤、保存剤および抗酸化剤も、製剤に存在することがある。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などのような用語は、本明細書では同義で使用される。
【0283】
[00328]細胞の集団に関して本明細書で使用される場合の「治療有効量」という表現は
、細胞、例えばSC-β細胞もしくは成熟膵臓β細胞、の集団内の、または本開示のSC-β細胞を含む組成物中の、対象とする細胞の量であって、任意の医学的処置に適用可能な妥当な損益比で動物体内の細胞の少なくとも部分集団において何らかの所望の治療効果を生じさせるのに有効である量を意味する。例えば、グリコシル化ヘモグロビンレベル、空腹時血糖値、高インスリン血症などの、1型、1.5型または2型糖尿病についての少なくとも1つの症状の統計的に有意な、測定可能な変化を生じさせるのに十分である、対象に投与されるSC-β細胞の集団の量。治療有効量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。一般に、治療有効量は、対象の病歴、年齢、状態、性別、ならびに対象の病状の重症度およびタイプ、ならびに他の薬学的に活性な薬剤の投与によって変わり得る。
【0284】
[00329]医薬組成物は、当業者に周知であるような補助成分を含むことができる。例え
ば、それらは、抗酸化剤を、使用される抗酸化剤の種類に依存して変わる範囲で含有することができる。一般に使用される抗酸化剤についての妥当な範囲は、単位体積当たり約0.01重量%~約0.15重量%のEDTA、単位体積当たり約0.01重量%~約2.0重量%(% weight volume)の亜硫酸ナトリウム、および単位体積当たり約0.01重量%~約2.0重量%のピロ亜硫酸ナトリウムである。当業者は、上記の各々について単位体積当たり約0.1重量%の濃度を使用することができる。他の代表的な化合物としては、メルカプトプロピオニルグリシン、N-アセチルシステイン、β-メルカプトエチルアミン、グルタチオンおよび類似の種が挙げられるが、腎投与に好適な他の抗酸化剤、例えばアスコルビン酸、およびその塩、または亜硫酸塩、またはピロ亜硫酸ナトリウムも利用することができる。
【0285】
[00330]標的組織における刺激を最小限に抑えるために、緩衝剤を使用して製剤のpH
を約4.0~約8.0の範囲内に維持することができる。直接腹腔内注射の場合、製剤は、pH7.2~7.5、好ましくはpH7.35~7.45であるべきである。組成物は、腎臓への投与に好適な等張化剤も含むことがある。それらの中でも、塩化ナトリウムは、製剤を血液とほぼ等張にするのに好適である。
【0286】
[00331]ある特定のケースでは、医薬組成物は、増粘剤を用いて製剤化される。例示的
な薬剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、およびポリビニルピロリドンである。医薬組成物は、必要に応じて添加される共溶媒を有することもある。好適な共溶媒としては、グリセリン、ポリエチレングリコール(EPG)、ポリソルベート、プロピレングリコール、およびポリビニルアルコールを挙げることができる。保存剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、酢酸もしくは硝酸フェニル水銀、チメロサール、またはメチルもしくはプロピルパラベンも挙げることができる。
【0287】
[00332]細胞、細胞成分または細胞産物を含む、医薬組成物は、当技術分野において公
知のいくつかの送達方法のうちの1つまたは複数で患者の腎臓に送達することができる。
一部のケースでは、組成物は、腎臓に(例えば、腎被膜上におよび/または腎被膜下に)送達される。別の実施形態では、組成物を、腎臓内の様々な位置に、定期的な腹腔内または腎内注射によって送達することができる。あるいは、組成物を、当業者に公知の他の剤形、例えば、既成のまたは生体内原位置で形成されるゲルまたはリポソームで、適用することができる。
【0288】
[00333]半固体または固体担体中の生細胞を含む医薬組成物は、腎被膜上または下への
外科的植え込み用に製剤化される/され得る。液体組成物も外科手技により投与することができることは、理解されるはずである。特定のケースでは、半固体または固体医薬組成物は、非生分解性であることもあり、または生分解性であることもある、半透性ゲル、格子、細胞足場などを含むこともある。例えば、ある特定のケースでは、外来性細胞をそれらの周囲から隔離し、それにもかかわらずそれらの細胞による周囲細胞または血流への生体分子(例えばインスリン)の分泌および送達を可能にすることが、望ましいことまたは適切であることもある。これらのケースでは、細胞を、移植された細胞を宿主組織から物理的に離隔する非生分解性の選択的透過性バリアにより包囲されている、生存非ネイティブ膵臓β細胞、または非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞集団を含む、自律植え込み物として製剤化することができる。そのような植え込み物は、薬理学的に誘導される免疫抑制の非存在下で免疫細胞および巨大分子が移植された細胞を死滅させるのを防止する能力を有するので、「免疫保護的」と言われることもある。
【0289】
[00334]他のケースでは、様々な分解性ゲルおよびネットワークを本開示の医薬組成物
に使用することができる。例えば、徐放性製剤に特に好適な分解性材料は、生体適合性ポリマー、例えば、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲンなどを含む。
【0290】
[00335]他のケースでは、細胞を生分解性の、好ましくは生体再吸収性または生体吸収
性の、足場またはマトリックス上または内に送達することが、望ましいことまたは適切であることがある。これらの通常は三次元の生体材料は、足場に接着している、足場内に分散されている、または足場内に捕捉されている細胞外マトリックス内に組み込まれている、生存細胞を含有する。身体の標的領域に植え込まれると、これらの植え込み物は、宿主組織と一体化し、その宿主組織内で移植された細胞が徐々に樹立される。
【0291】
[00336]本開示で使用され得る足場またはマトリックス(「フレームワーク」と総称さ
れることもある)材料の例としては、不織マット、多孔質フォーム、または自己集合ペプチドが挙げられる。例えば、不織マットは、グリコール酸と乳酸の合成吸収性コポリマー(PGA/PLA)、フォームおよび/またはポリ(イプシロン-カプロラクトン)/ポリ(グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマーを含む、繊維を使用して形成され得る。
【0292】
[00337]別の実施形態では、フレームワークは、生体吸収性材料、例えばPGA、PL
A、PCLコポリマーもしくはブレンドまたはヒアルロン酸から製造されたマルチフィラメント糸で構成され得る、フェルトである。糸は、捲縮、切断、カード処理およびニードリングからなる標準的な布地加工技法を使用してフェルトにされる。別の実施形態では、細胞は、複合構造であり得るフォーム足場上に播種される。上述のケースの多くにおいて、フレームワークを有用な形状に成形することができる。さらに、非ネイティブ膵臓β細胞を、既成の非分解性外科用または植え込み可能デバイスを用いて培養することができることは、理解されるであろう。
【0293】
[00338]マトリックス、足場またはデバイスを、細胞の接種前に、細胞接着を増強する
ために処理することができる。例えば、接種前に、ナイロンマトリックスを0.1モルの
酢酸で処理し、ポリリシン、PBSおよび/またはコラーゲンとともにインキュベートしてナイロンにコーティングすることができる。硫酸を使用して、ポリスチレンを同様に処理することができる。フレームワークの外面を、例えば、フレームワークのプラズマコーティングにより、または1つまたは複数のタンパク質(例えば、コラーゲン、弾性繊維、細網繊維)、糖タンパク質、グリコサミノグリカン(例えば、ヘパリン硫酸、コンドロイチン-4-硫酸、コンドロイチン-6-硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸)、細胞マトリックス、ならびに/もしくは他の材料、数ある中でも、例えば、これらに限定されないが、ゼラチン、アルギネート、寒天、アガロースおよび植物ゴムの付加により、細胞の接着または増殖および組織の分化を向上させるように修飾することもできる。
【0294】
[00339]一態様では、本開示は、少なくとも1つの膵臓β細胞を含む細胞クラスターを
含むデバイスを提供した。本明細書で提供されるデバイスを、対象に植え込まれたときにインスリンを産生し、放出するように、構成することができる。デバイスは、少なくとも1つの膵臓β細胞、例えば非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含むことができる。デバイス内の細胞クラスターは、in vitro GSISを示すことができる。デバイスは、半透膜をさらに含むことができる。半透膜を、デバイス内に細胞クラスターを保持し、細胞クラスターにより分泌されるインスリンの通過を可能にするように、構成することができる。デバイスの一部のケースでは、細胞クラスターを半透膜によりカプセル化することができる。カプセル化は、当業者に利用可能な任意の技法より行うことができる。半透膜はまた、当業者によって理解され、検証されるような、任意の好適な材料で製造することができる。例えば、半透膜を多糖またはポリカチオンで製造することができる。一部のケースでは、半透膜を、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、および他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、アガロースとゼラチン、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、またはそれらの任意の組合せで製造することができる。一部のケースでは、半透膜は、アルギネートを含む。一部のケースでは、細胞クラスターは、半透膜により包囲されたアルギン酸コアを含むマイクロカプセルに封入されている。一部のケースでは、アルギン酸コアは、例えば、RGD配列(アルギニン、グリシン、アスパラギン酸)を有するオリゴペプチドと共有結合でコンジュゲートしているアルギン酸コアを含む足場を生成するように、修飾されている。一部のケースでは、アルギン酸コアは、例えば、安定性が増強された化学酵素的に改変されたアルギネートを有する共有結合によって強化されたマイクロカプセルを生成するように、修飾されている。一部のケースでは、アルギン酸コアは、例えば、アクリレート官能化リン脂質の生体内原位置での重合により構築される膜様フィルムを生成するように、修飾されている。一部のケースでは、マイクロカプセルは、エピメラーゼを使用して酵素的に修飾されたアルギネートで構成されており、一部のケースでは、マイクロカプセルは、マクロカプセル膜の隣接する層の間に共有結合性連結を含む。一部の実施形態では、マイクロカプセルは、フェノール部分とカップリングしたアルギネートを含む、サブシーブサイズカプセルを含む。一部のケースでは、マイクロカプセルは、アルギネート-アガロースを含む足場を含む。一部のケースでは、SC-β細胞は、アルギネートの中にカプセル化される前にPEGで修飾されている。一部のケースでは、細胞、例えばSC-β細胞、の単離された集団は、光反応性リポソームおよびアルギネートの中にカプセル化される。マイクロカプセルに利用されるアルギネートを、ポリエチレングリコール(PEG)、キトサン、ポリエステル中空繊維、コラーゲン、ヒアルロン酸、デキストランとROD、BHDおよびポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA)
、ポリ(MPC-co-メタクリル酸n-ブチル-co-4-ビニルフェニルボロン酸)(PMBV)およびポリ(ビニルアルコール)(PVA)、アガロース、アガロースとゼラチン、ならびにこれらが多層になったケースを、限定ではないが含む他の好適な生体材料に置き換えることができることは、理解されるはずである。一部のケースでは、本明細書で提供されるデバイスは、体外セグメント、例えば、デバイスが対象に植え込まれたときに対象の身体の外部に存在し得るデバイスの部分を含む。体外セグメントは、本明細書で提供される細胞または細胞クラスターを伴うまたは伴わない、デバイスの任意の機能性成分を含むことができる。
【0295】
[00340]VII.処置方法
[00341]対象の疾患を処置または予防するための方法が、さらに本明細書で提供される
。本明細書で提供される、または本明細書で提供される方法に従って生成された、細胞クラスターまたは細胞を含む組成物を、対象に投与して、対象における膵臓機能の程度を回復させることができる。例えば、内在性膵島に似ている細胞クラスター、または内在性膵臓β細胞(例えば、非ネイティブ膵臓β細胞もしくはSC-β細胞)に似ている細胞もしくはそれらの先駆体を対象に移植して、糖尿病を処置することができる。
【0296】
[00342]方法は、本願で開示される細胞クラスターまたは細胞を対象、例えば、それを
必要とする対象に、移植するステップを含むことができる。「移植する(こと)」という用語は、対象への細胞または細胞クラスター、それらの細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分、またはそれらの細胞、細胞クラスターもしくは任意の部分を含む任意の組成物の留置であって、導入された細胞または細胞クラスターの所望の部位への少なくとも部分的な局在をもたらす方法または経路による留置を指すことができる。細胞または細胞クラスターを、膵臓に直接植え込むことができ、または代替的に、植え込まれた細胞(複数)の少なくとも一部分もしくは植え込まれた細胞(単数)が依然として生存可能である対象体内の所望の位置への送達をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。対象への投与後の細胞または細胞クラスターの生存期間は、数時間、例えば24時間、~数日のような短い期間から、数年のような長い期間までであり得る。一部の事例では、細胞もしくは細胞クラスター、またはそれらの細胞もしくは細胞クラスターの任意の部分を、非膵臓位置に、例えば、肝臓内にまたは皮下的に、例えば、カプセル(例えば、マイクロカプセル)でトランス投与して、植え込まれた細胞または細胞クラスターを植え込み位置に維持し、遊走を回避することもできる。
【0297】
[00343]本明細書で使用される場合、「処置すること」および「処置」は、対象が疾患
の少なくとも1つの症状の軽減、または疾患の好転、例えば、有益なもしくは所望の臨床結果を有するために有効な量の組成物(例えば、細胞クラスターまたはそれらの一部分)を、対象に投与することを指すことができる。本開示では、有益なまたは所望の臨床結果は、検出可能であるか、検出不能であるかを問わず、1つまたは複数の症状の軽減、疾患の程度の低下、安定した(例えば、悪化しない)病態、疾患進行の遅延または緩徐化、病態の改善または緩和、および寛解(部分寛解または完全寛解)を含むが、これらに限定されない。処置することは、処置を受けない場合に予想される生存期間と比較して生存期間を延長することも指すことができる。したがって、当業者は、処置が、疾患の完全治癒でないこともあるが、疾患状態を改善し得ることが、分かる。本明細書で使用される場合、「処置」という用語は、発症予防を含む。
【0298】
[00344]例示的な投与方法としては、注射、注入、点滴、吸入、または摂取が挙げられ
るが、これらに限定されない。「注射」は、限定ではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、脳室内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳脊髄内および胸骨内注射および注入を含む。好ましい実施形態では、組成物は、静脈内注射または注入により投与される。
【0299】
[00345]疾患または障害の「処置」、「予防」または「改善」とは、疾患または障害の
発症を遅延させることまたは予防すること、そのような疾患または障害に関連する状態の進行を、進行または重症度の憎悪また悪化を、反転させること、軽減すること、改善すること、抑制すること、緩徐化することまたは停止させることを意味する。一実施形態では、疾患または障害の症状は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%軽減される。
【0300】
[00346]糖尿病の処置は、標準的な医療方法により決定される。糖尿病処置の目標は、
糖値を安全にできる限り正常に近い値にすることである。一般に設定される目標は、食前の80~120ミリグラム毎デシリットル(mg/dl)および就寝時の100~140mg/dlである。個々の医師は、他の要因、例えば、患者が低血糖反応を示す頻度に依存して、患者のための異なる目標を設定することができる。有用な医学的検査としては、血糖値を判定するための患者の血液および尿に関する検査、グリコシル化ヘモグロビンレベル(HbA1c;過去2~3ヶ月にわたっての平均血糖値の測定、正常範囲は4~6%である)についての検査、コレステロールおよび脂肪レベルについての検査、ならびに尿中タンパクレベルについての検査が挙げられる。そのような検査は、当業者に公知の標準的検査である(例えば、American Diabetes Association、1998を参照されたい)。処置プログラムの成功は、より少数の患者を、糖尿病に関連する合併症、例えば、眼の疾患、腎疾患または神経疾患に関するプログラムに入れることにより判定することもできる。
【0301】
[00347]対象における糖尿病の発症を遅延させることは、糖尿病の少なくとも1つの症
状、例えば、高血糖症、低インスリン血症、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、失明、記憶喪失、腎不全、心血管疾患(冠動脈疾患、末梢動脈疾患、脳血管疾患、アテローム動脈硬化症、および高血圧症を含む)、ニューロパチー、自律神経障害、高血糖性高浸透圧性昏睡またはこれらの組合せの発症の、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも30年、少なくとも40年以上にわたっての遅延を指し、対象の全生涯を含み得る。
【0302】
[00348]一部の態様では、本開示は、本明細書で提供される方法または細胞クラスター
(例えば、インスリン産生細胞)を含むデバイスを対象に植え込むステップを含む方法であって、デバイスが、対象の血糖値の低下に十分な量のインスリンを放出する、方法に関する。一部の実施形態では、インスリン産生細胞は、グルコース応答性インスリン産生細胞である。
【0303】
[00349]一部の実施形態では、細胞もしくは細胞クラスターの移植または本明細書で提
供されるデバイスにより誘導されるような、対象の血糖値の低下の結果として、グルコースの量が糖尿病閾値より低くなる。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物対象である。一部の実施形態では、哺乳動物の対象は、ヒトである。一部の実施形態では、グルコースの量は、植え込みから1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10日後に糖尿病閾値より低い値に低下される。
【0304】
[00350]上に詳細に記載されているように、本開示の医薬組成物は、固体または液体形
態での投与のために特別に製剤化することができ、(1)経口投与、例えば、水薬(水性もしくは非水性溶液もしくは懸濁液)、トローチ剤、糖衣丸、カプセル、丸剤、錠剤(例えば、頬側、舌下および全身性吸収を対象としたもの)、巨丸剤、粉末、顆粒、舌への適用のためのペースト;(2)例えば、皮下、筋肉内、静脈内もしくは硬膜外注射による、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または徐放製剤としての、非経口投与;(3)例えば
、皮膚に適用するための、クリーム、軟膏、もしくは徐放性パッチ、もしくはスプレーとしての、局所適用;(4)例えば、ペッサリー、クリームまたはフォームとして、膣内にもしくは直腸内に;(5)舌下に;(6)眼に;(7)経皮的に;(8)経粘膜的に;または(9)経鼻的に適しているものを含む。加えて、薬物送達システムを使用して、化合物を患者に植え込むことまたは注射することができる。例えば、Urquhartら、Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.24:199~236(1984);Lewis編「Controlled Release of Pesticides and Pharmaceuticals」(Plenum Press、New York、1981);米国特許第3,773,919号、および米国特許第35 3,270,960号を参照されたい。
【0305】
[00351]本明細書における方法により処置することができる対象は、ヒトであることも
あり、または非ヒト動物であることもある。一部のケースでは、対象は、哺乳動物であり得る。対象の例としては、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、バンブー、またはヒトが挙げられるが、これらに限定されない。一部のケースでは、対象は、ヒトである。対象は、イヌ、ネコ、ウマ、乳牛、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどを含むがこれらに限定されない、非霊長類動物であることもある。一部のケースでは、処置を受ける対象は、それを必要とする対象、例えば、それを必要とするヒトである。
【0306】
[00352]ある特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、霊長類、例えばヒトで
ある。「患者」または「対象」という用語は、本明細書では同義で使用される。好ましくは、対象は、哺乳動物である。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、または乳牛であるが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳動物は、有利には、1型糖尿病、2型糖尿病または前糖尿病状態の動物モデルを表す対象として使用することができる。加えて、本明細書に記載される方法を使用して、飼育動物および/またはペットを処置することができる。対象は、男性であることもあり、または女性であることもある。対象は、糖尿病(例えば、1型もしくは2型)、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態と過去に診断されたことがある、あるいはそれに罹患しているまたはそれを有すると同定されたことがある者であって、場合によっては、必ずしもそうでなくてもよいが、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態の処置をまだ受けていない者であることがある。対象は、糖尿病にも前糖尿病状態にも罹患していない者であることもある。対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態と診断されたことがある、あるいはそれに罹患していると同定されたことがあるが、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態についての1つまたは複数の処置を受けた結果として公知糖尿病リスク因子の改善を示す者であることもある。あるいは、対象は、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態を有すると過去に診断されたことがない者であることもある。例えば、糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態の1つまたは複数のリスク因子を示す者であることもあり、あるいは糖尿病のリスク因子を示さない対象、あるいは糖尿病、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態について無症状である対象であることもある。対象は、糖尿病もしくは前糖尿病状態に罹患しているまたはそれを発症するリスクがある者であることもある。対象は、本明細書で定義される通りの糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態と診断されたことがある、あるいはそれに罹患していると同定されたことがある者であることもあり、あるいは対象は、糖尿病に関連する1つもしくは複数の合併症、または前糖尿病状態と過去に診断されたことも、それを有すると同定されたこともない者であることもある。
【0307】
[00353]方法は、当技術分野における任意の手段を使用して細胞クラスターを対象に移
植するステップを含むことができる。例えば、方法は、細胞クラスターを腹腔、腎被膜下
、腎被膜、網、皮下腔経由で、または膵床注入によって移植するステップを含むことができる。例えば、移植することは、被膜下移植すること、筋肉内移植すること、または門脈内移植すること、例えば門脈内注入であり得る。免疫保護的なカプセル化を実行して、細胞クラスターに免疫保護を与えることができる。一部のケースでは、本明細書で提供される処置方法は、移植片拒絶反応または植え込み物(例えば、細胞もしくはデバイス)に対する他の免疫応答をモジュレートまたは低減するための免疫応答モジュレーターを投与するステップを含むことができる。方法に使用することができる免疫応答モジュレーターの例としては、プリン合成阻害剤、例えばアザチオプリンおよびミコフェノール酸、ピリミジン合成阻害剤、例えばレフルノミドおよびテリフルノミド、葉酸代謝拮抗薬、例えばメトトレキサート、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、アベチムス、グスペリムス、レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド、PDE4阻害剤、アプレミラスト、アナキンラ、シロリムス、エベロリムス、リダホロリムス、テムシロリムス、ウミロリムス、ゾタロリムス、抗胸腺細胞グロブリン抗体、抗リンパ球グロブリン抗体、CTLA-4、その断片、ならびにその融合タンパク質、例えばアバタセプトおよびベラタセプト、TNF阻害剤、例えばエタネルセプトおよびペグスネルセプト、アフリベルセプト、アレファセプト、リロナセプト、補体成分5に対する抗体、例えばエクリズマブ、抗TNF抗体、例えばアダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴル、ゴリムマブ、インフリキシマブおよびネレリモマブ、インターロイキン5に対する抗体、例えばメポリズマブ、抗IgE抗体、例えばオマリズマブ、抗インターフェロン抗体、例えばファラリモマブ、抗IL-6抗体、例えばエルシリモマブ(Elsilimomab)、IL-12およびIL-23に対する抗体、例えばレブリキズマブおよびウステキヌマブ、抗IL-17A抗体、例えばセクキヌマブ、抗CD3抗体、例えばムロモナブ-CD3、オテリキシズマブ、テプリズマブおよびビシリズマブ、抗CD4抗体、例えばクレノリキシマブ、ケリキシマブおよびザノリムマブ、抗CD11a抗体、例えばエファリズマブ、抗CD18抗体、例えばエルリズマブ、抗CD20抗体、例えばオビヌツズマブ、リツキシマブ、オクレリズマブおよびパスコリズマブ、抗CD23抗体、例えばゴミリキシマブおよびルミリキシマブ、抗CD40抗体、例えばテネリキシマブおよびトラリズマブ、CD62L/L-セレクチンに対する抗体、例えばアセリズマブ(Aselizumab)、抗CD80抗体、例えばガリキシマブ、抗CD147/ベイシジン抗体、例えばガビリモマブ(Gavilimomab)、抗CD154抗体、例えばルプリズマブ、抗BLyS抗体、例えばベリムマブおよびブリシビモド、抗CTLA-4抗体、例えばイピリムマブおよびトレメリムマブ、抗CAT抗体、例えば、ベルチリムマブ、レルデリムマブ(Lerdelimumab)およびメテリムマブ(Metelimumab)、抗インテグリン抗体、例えばナタリズマブ、インターロイキン6受容体に対する抗体、例えばトシリズマブ、抗LFA-1抗体、例えばオデュリモマブ(Odulimomab)、IL-2受容体/CD25に対する抗体、例えばバシリキシマブ、ダクリズマブおよびイノリモマブ、Tリンパ球に対する抗体(ゾリモマブ・アリトクス(Zolimomab aritox))、例えばアトロリムマブ(Atorolimumab)、セデリズマブ、フォントリズマブ、マスリモマブ、モロリムマブ(Morolimumab)、ペキセリズマブ、レスリズマブ、ロベリズマブ、シプリズマブ、タリズマブ、テリモマブ・アリトクス(Telimomab aritox)、バパリキシマブ(Vapaliximab)、ならびにベパリモマブ(Vepalimomab)を挙げることができる。
【実施例0308】
[00354]これらの実施例は、例証を目的として提供するものに過ぎず、本明細書で提供
する請求項の範囲を限定するために提供するものではない。
実施例1
SC-β細胞産生のための細胞株の選択
[00355]胚性幹細胞(ESC)細胞株をSC-β細胞産生に使用することができる。E
SC細胞株選択の基準としては、2D培養システムでの一貫した拡大、3D培養への適応
、分化能、ならびにin vitroおよびin vivoでの機能を挙げることができる。細胞株の例を
図1に示す。
【0309】
実施例2
ESC細胞株の2D培養基準
[00356]選択したESC細胞株の形態および組成の例を
図2Aおよび2Bに示す。この
実施例では、非ESC細胞マーカーSox17およびESCマーカーOct4を発現する細胞をフローサイトメトリーによって検出した。90%を超えるESC細胞が、細胞集団において検出された。
【0310】
実施例3
ESC細胞株の分化プロトコール
[00357]この実施例は、本開示による例示的な基礎培養培地が、オンターゲットおよび
オフターゲット前駆体細胞により定量して向上した分化効率を有することができることを示す。
図3Aに示されているように、例示的成分を含有する基礎培地は、オンターゲット細胞のパーセンテージを増加させる一方で、オフターゲット細胞のパーセンテージを減少させることができる。
図3Bは、細胞を本開示による例示的な分化プロトコールに従って分化させたとき、基礎培養培地の例示的な成分であるヒト血清アルブミン(HSA)が、その代わりにウシ血清アルブミン(BSA)を含有する培養培地または血清アルブミンを有さない培養培地(「SAなし」)と比較して、ステージ3の終了時にPdx1陽性細胞(Pdx1+)のパーセンテージを有意に増加させたことを示す。同時に、HSAの存在は、BSAを含有する培養培地またはSAなしで分化させた細胞と比較して、ステージ3の終了時にオフターゲットCD2陽性(postiive)(CDX2+)細胞のパーセンテージを有意に減少させた。データは、Pdx1+およびCDX2+細胞のパーセンテージに対するHSAの濃度依存的効果も実証した。
【0311】
[00358]ここで例証する別の例は、原始腸管(PGT)細胞を、アクチビンA(20n
g/mL)とDMH-1(0.25μM)とを含有する培地中でのPGT細胞のインキュベーションにより、Pdx1陽性膵臓前駆細胞(ステージ3)に分化させることを含む、本開示による例示的な分化プロトコール(v10プロトコール)が、ステージ6分化の終了時にNKX6.1陽性、C-ペプチド陽性SC-β細胞のパーセンテージにより判定して、分化効率を有意に上昇させることができることを実証した。
図4Aおよび4Bに示されているように、SC-β細胞のパーセンテージは、プロトコールv10により、ステージ3でのアクチビンAとDMH-1の両方とのインキュベーションを伴わない他の例示的なプロトコール(v8およびv9)と比較して増加された。プロトコールv10を使用することにより、別の例示的なプロトコールと比較してNKX6.1陽性、C-ペプチド陽性SC-β細胞パーセンテージの1.5~2倍増加を達成した。
図4Bに示されているように、v10プロトコールにより生成した例示的な細胞クラスターは、35%を超えるNKX6.1陽性、C-ペプチド陽性SC-β細胞を含んだ。
【0312】
[00359]本明細書で提供する例示的な方法(例示的なプロトコール)を使用して分化さ
せたSC-β細胞は、天然の膵島細胞に似ている。
図5の画像データに示されているように、SC-β細胞は、天然の膵島細胞と同様の形態を有した。これらの画像は、β細胞特異的遺伝子およびインスリンを染色することにより生成した。
【0313】
実施例4
分化SC-β細胞の機能分析
[00360]本開示によるシグナル伝達因子(例えば、本明細書で開示する例示的な分化因
子、例えば、アクチビンA、DMH-1、LDN193189、またはAlk5i)は、本明細書で提供する例示的な方法を使用して生成したSC-β細胞のin vitro機
能を向上させることができる。
【0314】
[00361]一例では、フローサイトメトリー分析は、ステージ3でのLDN193189
の存在または非存在によって、本明細書で提供する1つの例示的な分化方法に従ってステージ4完了時に(例えば、ステージ4培養の完了時に)得られる細胞構成要素が変わることを示した。
図6Aに示されているように、この実施例では、PGT細胞(ステージ2細胞)とLDN193189のインキュベーション(図中の「LDN」)が、ステージ4完了時に得られる細胞集団中のCDX2陽性細胞のパーセンテージを明確に減少させた。その一方で、LDN193189はまた、ステージ4完了細胞におけるクロモグラニンA(CHGA)発現を促進した。
【0315】
[00362]別の実施例では、フローサイトメトリー分析は、PGT細胞(ステージ2細胞
)を含む細胞とある特定の例示的なシグナル伝達因子(例えば、アクチビンAおよびDMH-1)とのインキュベーションが、本明細書で提供する1つの例示的な分化方法に従ってステージ4完了時に(例えば、ステージ4培養の完了時に)得られる細胞構成要素に影響を与えることを示した。
図6Bに示されているように、この実施例では、
図6Aに示されているような他の実施例におけるLDN193189の効果と類似して、単独での0.5μMのDMH1のインキュベーションは、DMH1のインキュベーションなしと比較して、CDX2を発現する細胞のパーセンテージを減少させたが、CHGAを発現する細胞のパーセンテージを増加させた。しかし、0.5μMのDMH-1および20ng/mLのアクチビンA(図中の「AA」)のコインキュベーションは、DMH-1もアクチビンAも一切なしで得たステージ4完了細胞と比較して、CDX2陽性細胞のパーセンテージを減少させたが、低レベル下で、CHGA陽性細胞のパーセンテージを制御もした。
【0316】
[00363]別の実施例では、PGT細胞(ステージ2細胞)を含む細胞とある特定の例示
的なシグナル伝達因子(例えば、アクチビンAおよびDMH-1)とのインキュベーションは、SC-β細胞を含む、ステージ6で得た細胞集団のインスリン分泌を有意に向上させた。in vitroグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)アッセイを使用して、インスリン分泌におけるSC-β細胞の機能を定量した。
図6Cに示されているように、ステージ3での例示的なシグナル伝達因子(DMH-1およびアクチビンA)の添加は、低グルコース(2.8mM)、高グルコース(20mM)、またはKCl(30mMのKCl+2.8mMのグルコース)の存在下でのGSIS反応を向上させることが判明した。図により実証されるように、例示的なシグナル伝達因子(アクチビンAおよびDMH-1)は、高グルコース刺激に応答してのインスリン分泌量を低グルコース刺激に応答してのインスリン分泌量で割ることによって計算して、GSIS刺激を有意に増加させた。例えば、ステージ3で20ng/mLのアクチビンAおよび0.25μMのDMH-1を使用する例示的なプロトコールを用いて得たステージ6細胞の刺激指数は、ステージ3でアクチビンAもDMH-1も使用しない例示的なプロトコールを用いて得たステージ6細胞より少なくとも3倍高かった。その一方で、アクチビンAおよびDMH-1の添加はまた、KCl刺激に応答してのインスリン分泌を濃度依存的様式で有意に増加させた。例えば、ステージ3で20ng/mLのアクチビンAおよび0.25μMのDMH-1を使用する例示的なプロトコールを用いて得た例示的なステージ6細胞は、ステージ3でアクチビンAもDMH-1も使用しない例示的なプロトコールを用いて得たステージ6細胞と比較して少なくとも3倍多いインスリンをKCl刺激に応答して分泌した一方で、ステージ3で10ng/mLのアクチビンAおよび0.25μMのDMH-1を用いて得たステージ6細胞は、同じKCl刺激に応答して約2倍多いインスリンを分泌した。
【0317】
実施例5
大規模でのSC-β細胞の製造
[00364]SC-β細胞の産生を、大規模培養、例えば、
図9A~9Cに示されているよ
うな0.1L、0.5Lおよび3L培養で試験した。細胞の拡大倍数は、培養規模を増加させたとき、増加された。Oct4発現細胞の集団を各々の大規模培養で定量し、大規模培養の各々は、100%に近いOct4発現細胞を産生した。
【0318】
[00365]産生されたSC-β細胞は、凍結保存後、適切な機能(例えば、グルコースを
感知してインスリンを分泌する能力)をなお維持していた。
図10に示されているように、新鮮SC-β細胞および凍結保存SC-β細胞を、グルコースを感知してインスリンを分泌するそれらの能力の点で比較した。凍結保存SC-β細胞は、匹敵する活性を示した。
【0319】
実施例6
SC-β細胞での動物モデルの処置
[00366]SC-β細胞を、必要に応じて、デバイス内に配置し、そのデバイスを植え込
むことにより、動物モデル(例えば、糖尿病免疫不全マウス)に植え込んだ。組織試料を移植から6ヶ月後に採取した。組織試料の画像例を
図11に示す。移植したSC-β細胞移植片は、多数のαおよびβ細胞を含有した。C-ペプチド、グルカゴンおよびDAPIを使用して、画像を染色した。
【0320】
[00367]カプセル化SC-β細胞は、動物モデル(例えば、糖尿病免疫不全マウス)の
糖尿病を治癒させることができる。
図12に示されているように、マウスを、先ず、糖尿病を有するように誘導し、次いで、糖尿病を誘導した後にカプセル化SC-β細胞をマウスに植え込み、最後に、ある一定の時間後にSC-β細胞を外植した。全プロセスを通して血糖値をモニターした。糖尿病を誘導した後、血糖値は、糖尿病閾値よりはるかに高い値へと上昇した。SC-β細胞の植え込み後、血糖値は、糖尿病閾値より低い値に降下した。外植後、血糖値は上昇して高い値に戻った。
【0321】
[00368]別の実施例では、in vitroで発生させた例示的なSC-β細胞集団を
充填したデバイスをマウスに植え込んだ。
図14は、カプセルデバイスへの細胞の封入前の、in vitroで発生させたSC島の画像、およびマウスへの植え込みから3ヶ月後にデバイスから除去した細胞の画像を示す。C-ペプチドおよびグルカゴン免疫染色により実証されるように、これらのカプセル化SC島は、マウスへの植え込み後に多数の生存β細胞を示す。
【0322】
実施例7
分化SC-β細胞の構成要素分析
[00369]例示的な分化SC-β細胞集団をフローサイトメトリーによって調査してそれ
らの構成要素を分析した。本開示の一部の態様に従って、3つの分化集団を3つの異なるプロトコールにより生成した。それらのフローサイトメトリー分析結果を
図13に示す。細胞集団1は、従来のプロトコールを使用して生成したが、細胞集団2および3は、本明細書で提供する場合の例示的プロトコールを使用して生成した。
図13に示されているように、細胞集団1、2および3はすべて、異なるマーカー発現パターンによって示唆されるように、異なる細胞型の混合物である。注目すべきことに、細胞集団3は、最高のβ細胞集団(NKX6.1
+/C-ペプチド
+)を有した。
【0323】
[00370]本開示の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明したが、このような実施形
態が例として提供されていることは当業者には明白であろう。非常に多くの変形、変更および置換が、本開示から逸脱することなく、今や当業者の心に浮かぶことであろう。本明細書に記載する本開示の実施形態の様々な代替形態を、本開示を実施する際に用いることができることは、理解されるはずである。以下の請求項が本開示の範囲を規定すること、ならびにこれらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等法/均等物が以
下の請求項によってカバーされることを、意図している。
本明細書は本発明の下記の態様を包含する。
[1] Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するための方法であって、
Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップを含み、前記クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して最大約30%のCHGA陽性細胞および最大約30%のCDX2陽性細胞を含む、方法。
[2] 前記PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3] 前記PDX1陽性/NKX6.1陰性膵臓前駆細胞をPDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞に分化させるステップをさらに含む、[1]に記載の方法。
[4] 前記NKX6.1陽性膵臓前駆細胞をインスリン陽性内分泌細胞に分化させるステップをさらに含む、[3]に記載の方法。
[5] 前記インスリン陽性内分泌細胞を膵臓β細胞に分化させるステップをさらに含む、[4]に記載の方法。
[6] (a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含み、
非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子との前記接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する、方法。
[7] 前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、[6]に記載の方法。
[8] 前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な集団のものより少なくとも約3倍高い、[6]に記載の方法。
[9] 前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、[6]~[8]のいずれか一項に記載の方法。
[10] 前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、[9]に記載の方法。
[11] 前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、[9]に記載の方法。
[12] 前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、[6]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[13] 前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、[6]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[14] 前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能
な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、[6]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
[15] (a)Pdx1陽性、NKX6.1陽性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、BMPシグナル伝達経路阻害剤とTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物と接触させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性/NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含み、
非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して、前記BMPシグナル伝達経路阻害剤およびTGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子との前記接触なしで生成された比較可能な細胞クラスターと比較してより高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、方法。
[16] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより少なくとも約1.1倍、少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.4倍、または少なくとも約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、[15]に記載の方法。
[17] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、フローサイトメトリーによって測定して前記比較可能な細胞クラスターより約1.5倍高いパーセンテージの前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む、[15]または[16]に記載の方法。
[18] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す、[6]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す、[6]~[17]のいずれか一項に記載の方法。
[20] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す、[6]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、[6]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[22] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い、[6]~[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23] 前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、[20]~[22]のいずれか一項に記載の方法。
[24] 前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、[23]に記載の方法。
[25] 前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、[23]に記載の方法。
[26] 前記非ネイティブ膵臓β細胞が、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す、[6]~[25]のいずれか一項に記載の方法。
[27] 前記非ネイティブ膵臓β細胞が、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を
示す、[6]~[26]のいずれか一項に記載の方法。
[28] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、[6]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[29] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターが、前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、[6]~[27]のいずれか一項に記載の方法。
[30] 前記BMPシグナル伝達経路の前記阻害剤が、DMH-1、その誘導体、類似体または変異体を含む、[1]~[29]のいずれか一項に記載の方法。
[31] 前記組成物が、約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む、[30]に記載の方法。
[32] 前記組成物が、約0.25μMのDMH-1を含む、[30]に記載の方法。[33] TGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子が、アクチビンAを含む、[1]~[32]のいずれか一項に記載の方法。
[34] 前記組成物が、約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む、[33]に記載の方法。
[35] 前記組成物が、少なくとも約5ng/mLまたは少なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む、[33]または[34]に記載の方法。
[36] 前記組成物が、約20ng/mLのアクチビンAを含む、[33]に記載の方法。
[37] 前記組成物が、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、[1]~[36]のいずれか一項に記載の方法。
[38] Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で分化させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成する方法。
[39] 前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、[38]に記載の方法。
[40] 前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、[38]または[39]に記載の方法。
[41] 前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約40%、最大約30%、最大約20%、または最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、[38]~[40]のいずれか一項に記載の方法。
[42] 前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、[38]~[41]のいずれか一項に記載の方法。
[43] 前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、[38]~[42]のいずれか一項に記載の
方法。
[44] 前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、およびTGF-βスーパーファミリーからの増殖因子をさらに含む、[38]~[42]のいずれか一項に記載の方法。
[45] (a)原始腸管細胞を含む細胞の集団を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と、ヒト血清アルブミン(HSA)とを含む培養培地中で培養することによって、Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成するステップ;および
(b)前記PDX1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスターを、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターに分化させるステップ
を含む方法。
[46] フローサイトメトリーによって測定して、少なくとも約50%Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞、最大約30%クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞、および最大約30%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスター。
[47] フローサイトメトリーによって測定して最大約25%前記CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、[46]に記載の細胞クラスター。
[48] フローサイトメトリーによって測定して最大約20%前記CDX2陽性、NKX6.1陽性細胞を含む、[46]に記載の細胞クラスター。
[49] フローサイトメトリーによって測定して最大約25%前記CHGA陽性細胞を含む、[46]~[48]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[50] フローサイトメトリーによって測定して最大約10%前記CHGA陽性細胞を含む、[46]~[48]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[51] フローサイトメトリーによって測定して最大約5%前記CHGA陽性細胞を含む、[46]~[48]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[52] フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む、[46]~[51]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[53] フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約65%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞を含む、[46]~[51]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[54] 前記細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約50%前記Pdx1陽性、NKX6.1陽性膵臓前駆細胞と30%より多くの前記クロモグラニンA(CHGA)陽性細胞または30%より多くの前記CDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる、[46]~[53]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。[55] [46]~[54]のいずれか一項に記載の細胞クラスターと、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤と、形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子とを含む組成物。
[56] BMPシグナル伝達経路の前記阻害剤が、DMH-1またはその誘導体を含む、[55]に記載の組成物。
[57] 約0.01μM~約10μM、約0.05μM~約5μM、約0.1μM~約1μM、または約0.15μM~約0.5μMのDMH-1を含む、[56]に記載の組成物。
[58] 約0.25μMのDMH-1を含む、[56]に記載の組成物。
[59] TGF-βスーパーファミリーからの前記増殖因子が、アクチビンAを含む、[55]~[58]のいずれか一項に記載の組成物。
[60] 約0.5ng/mL~約200ng/mL、約1ng/mL~約100ng/
mL、約2ng/mL~約50ng/mL、または約5ng/mL~約30ng/mLのアクチビンAを含む、[59]に記載の組成物。
[61] 少なくとも約5ng/mLまたは少なくとも約10ng/mLのアクチビンAを含む、[59]に記載の組成物。
[62] 約20ng/mLのアクチビンAを含む、[59]に記載の組成物。
[63] 線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーからの増殖因子、ソニックヘッジホグ(SHH)経路阻害剤、レチノイン酸(RA)シグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびRho関連プロテインキナーゼ(ROCK)阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、[55]~[62]のいずれか一項に記載の組成物。
[64] 前記細胞クラスターが、培養培地中にある、[55]~[63]のいずれか一項に記載の組成物。
[65] 約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)をさらに含む、[55]~[64]のいずれか一項に記載の組成物。
[66] 約0.05%(w/v)HSAをさらに含む、[55]~[64]のいずれか一項に記載の組成物。
[67] フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞および最大約40%CDX2陽性細胞を含む細胞クラスター。
[68] フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約70%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む、[67]に記載の細胞クラスター。
[69] フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約85%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む、[67]に記載の細胞クラスター。
[70] フローサイトメトリーによって測定して最大約30%前記CDX2陽性細胞を含む、[67]~[69]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[71] フローサイトメトリーによって測定して最大約20%前記CDX2陽性細胞を含む、[67]~[69]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[72] フローサイトメトリーによって測定して最大約15%前記CDX2陽性細胞を含む、[67]~[69]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[73] 前記細胞クラスターのさらなる分化の結果として、非ネイティブ膵臓β細胞を含む第1の細胞クラスターであって、フローサイトメトリーによって測定して少なくとも約60%前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞と40%より多くの前記CDX2陽性細胞とを含む比較可能な細胞クラスターから分化した前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む第2の細胞クラスターより高いグルコース刺激インスリン分泌(GSIS)刺激指数を有する第1の細胞クラスターが生じる、[67]~[72]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[74] ヒト血清アルブミンを含む培養培地中の[67]~[73]のいずれか一項に記載の細胞クラスターを含む組成物。
[75] 前記培養培地が、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)HSAを含む、[74]に記載の組成物。
[76] 前記培養培地が、BMPシグナル伝達経路阻害剤、TGF-βスーパーファミリーからの増殖因子、FGFファミリーからの増殖因子、SHH経路阻害剤、RAシグナル伝達経路活性化因子、プロテインキナーゼC活性化因子、およびROCK阻害剤からなる群から選択される分化因子をさらに含む、[74]または[75]に記載の組成物。
[77] 原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、前記原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、前記接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多い1立方マイクロメートル当たりの前記非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する細胞クラスター。
[78] 前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、または1.6倍多い、1立方マイクロメートル当たりの前記非ネイティブ膵臓β細胞の数を有する、[77]に記載の細胞クラスター。
[79] 原始腸管細胞を、骨形成タンパク質(BMP)シグナル伝達経路阻害剤、および形質転換増殖因子β(TGF-β)スーパーファミリーからの増殖因子と接触させることにより、前記原始腸管細胞の分化から得られる、非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターであって、前記接触を伴わない原始腸管細胞の分化から得られた比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌をグルコース負荷に応答して示す細胞クラスター。
[80] 前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、または5倍多いインスリン分泌を示す、[79]に記載の細胞クラスター。
[81] 前記比較可能な細胞クラスターと比較してより高いGSIS刺激指数を示す、[79]または[80]に記載の細胞クラスター。
[82] 前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、または少なくとも約3倍高い、[79]~[81]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[83] 前記非ネイティブ膵臓β細胞を含む前記細胞クラスターの前記GSIS刺激指数が、前記比較可能な細胞クラスターのものより少なくとも約3倍高い、[79]~[81]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[84] 前記GSIS刺激指数が、第1のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌の、第2のグルコース濃度に応答してのインスリン分泌に対する比として計算される、[81]~[83]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[85] 前記第1のグルコース濃度が、約10~約50mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約1mM~5mMである、[84]に記載の細胞クラスター。
[86] 前記第1のグルコース濃度が、約20mMであり、前記第2のグルコース濃度が、約2.8mMである、[84]に記載の細胞クラスター。
[87] 前記非ネイティブ膵臓β細胞が、グルコース負荷に曝露されたときにin vitroグルコース刺激インスリン分泌応答を示す、[77]~[86]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[88] 前記非ネイティブ膵臓β細胞が、第1のK+濃度に応答してインスリン分泌を示す、[77]~[87]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[89] 前記比較可能な細胞クラスターと比較してより多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、[77]~[87]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[90] 前記比較可能な細胞クラスターと比較して少なくとも約1.2倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.2倍、少なくとも約2.4倍、少なくとも約2.8倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.2倍、少なくとも約3.4倍、少なくとも約3.6倍、少なくとも約3.8倍、少なくとも約4倍多いインスリン分泌を第1のK+濃度に応答して示す、[77]~[87]のいずれか一項に記載の細胞クラスター。
[91] [1]~[45]のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスター。
[92] [1]~[45]のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細胞クラスターを含む医薬組成物。
[93] [77]~[90]のいずれか一項に記載の細胞クラスターを含む医薬組成物。
[94] [46]~[90]のいずれか一項に記載の細胞クラスターまたは[1]~[45]のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞を含む細
胞クラスターを含むデバイスであって、対象に植え込まれたときインスリンを産生および放出するように構成されているデバイス。
[95] 半透膜をさらに含み、前記半透膜が、細胞を前記デバイス内に保持するように、および前記細胞により分泌されるインスリンの透過を可能にするように構成されている、[94]に記載のデバイス。
[96] 前記細胞が、前記半透膜によりカプセル化されている、[95]に記載のデバイス。
[97] 前記半透膜が、多糖またはポリカチオンで製造されている、[95]または[96]に記載のデバイス。
[98] 前記半透膜が、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、他のポリヒドロキシ酸、ポリ(カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、生分解性ポリウレタン、アルブミン、コラーゲン、フィブリン、ポリアミノ酸、プロラミン、アルギネート、アガロース、アガロースとゼラチン、デキストラン、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニルポリマーおよび他のアシル置換酢酸セルロースならびにそれらの誘導体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらの任意の組合せからなる群から選択される材料で製造されている、[95]~[97]のいずれか一項に記載のデバイス。
[99] 前記半透膜が、アルギネートを含む、[95]~[98]のいずれか一項に記載のデバイス。
[100] 前記細胞クラスターが、前記半透膜により包囲されたアルギン酸コアを含むマイクロカプセルに封入されている、[95]~[99]のいずれか一項に記載のデバイス。
[101] 対象を処置する方法であって、[1]~[45]のいずれか一項に記載の方法に従って産生された非ネイティブ膵臓β細胞、[46]~[90]のいずれか一項に記載の細胞クラスター、[92]もしくは93に記載の医薬組成物、または[94]~[100]のいずれか一項に記載のデバイスを前記対象に投与するステップを含む方法。
[102] 前記対象が、代謝障害を有するかまたは代謝障害を発症するリスクが高い、[101]に記載の方法。
[103] 前記対象が、I型糖尿病、II型糖尿病、および1.5型糖尿病からなる群から選択される糖尿病を有する、[101]または[102]に記載の方法。
Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞の最大約40%、最大約30%、最大約20%、または最大約15%は、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞の最大約15%は、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
Pdx1陰性、NKX6.1陰性原始腸管細胞を含む細胞の集団を、約0.01%(w/v)~約0.5%(w/v)ヒト血清アルブミン(HSA)を含む培養培地中で分化させることによって、Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む細胞クラスターを生成する方法。
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、請求項21に記載の方法。
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の少なくとも約85%が、フローサイトメトリーによって測定してPdx1陽性である、請求項21または22に記載の方法。
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約40%、最大約30%、最大約20%、または最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
前記Pdx1陽性、NKX6.1陰性膵臓前駆細胞を含む前記細胞クラスター中の細胞の最大約15%が、フローサイトメトリーによって測定してCDX2陽性細胞である、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。