(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045324
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】焼結材料、及びそれを用いる接着方法
(51)【国際特許分類】
B22F 7/08 20060101AFI20240326BHJP
B22F 1/05 20220101ALI20240326BHJP
B22F 3/02 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B22F7/08 C
B22F1/05
B22F3/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009864
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2021210036の分割
【原出願日】2015-06-12
(31)【優先権主張番号】2873/CHE/2014
(32)【優先日】2014-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シャミック・ゴシャール
(72)【発明者】
【氏名】サティシュ・ブイ・クマール
(72)【発明者】
【氏名】パヴァン・ビシュワナート
(72)【発明者】
【氏名】ランジット・エス・パンサー
(72)【発明者】
【氏名】レミャ・チャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】スタパ・ムカジー
(72)【発明者】
【氏名】シウリ・サルカール
(72)【発明者】
【氏名】バワ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ラビンドラ・モハン・バトカル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】各種コンポーネントを接着(接合)するための方法を提供する。
【解決手段】フリップチップなどのマルチチップ及び単一コンポーネントのダイ接着のための方法であって、基板の上又はダイの裏側に焼結ペーストをプリントすることを含むことができる。プリンティングは、ステンシルプリンティング、スクリーンプリンティング、又はディスペンシングプリンティングを含むことができる。ペーストは、ダイシングの前に全ウェハの裏側にプリントすることができる、又は個々のダイの裏側にプリントすることができる。また、焼結膜は、作成後、ウェハ、ダイ、又は基板に転写することができる。ポスト焼結工程は、スループットを上げることができる。
【選択図】
図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粒子の膜を製造するための方法であって、
約0.001~約10μmのd50範囲を有する金属粉末を含む材料を基板の上に適用することと、
前記基板の上の前記材料を乾燥し、前記膜を形成することと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つ以上の態様が、一般に、各種コンポーネントを接着(接合)するための方法に関し、より詳細には、そのような接着に用いられる焼結材料及び技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のはんだの代替技術として、焼結が利用されている。焼結は、通常、アセンブリの各種コンポーネントを接着するために、高温、高圧プロセスを伴う。
【発明の概要】
【0003】
1つ以上の実施形態によれば、組成物は、約0.001~約10μmのd50範囲を有し、ペーストの約30~約95wt%の金属粉末と、約50~約170℃の軟化点を有し、ペーストの約0.1~約5wt%のバインダーと、少なくとも前記バインダーを溶解させるのに十分な量の溶媒とを含む。
【0004】
幾つかの実施形態においては、前記金属粉末は、金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、銀パラジウム合金、又は金パラジウム合金を含むことができる。前記金属粉末は、銀粒子を含むことができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、前記金属粉末は、ナノ粒子を含むことができる。前記金属粉末は、被覆金属粒子を含むことができる。幾つかの実施形態においては、前記組成物は、1つ以上の機能性添加剤を更に含むことができる。
【0005】
1つ以上の実施形態によれば、膜(film)は、約0.001~約10μmのd50範囲を有し、ペーストの約30~約95wt%の金属粉末と、約50~約170℃の軟化点を有し、ペーストの約0.1~約5wt%のバインダーと、少なくとも前記バインダーを溶解させるのに十分な量の溶媒とを含む組成物の層を含むことができる。幾つかの実施形態においては、前記膜は、約5~約300ミクロンの乾燥厚みを有することができる。
【0006】
幾つかの実施形態においては、前記組成物の前記層は、高分子、ガラス、金属、又はセラミック基板の上にある。高分子基板は、ポリエステルを含むことができる。高分子基板は、剥離コーティングを含むことができる。
【0007】
1つ以上の実施形態によれば、金属粒子の膜を製造するための方法は、約0.001~約10μmのd50範囲を有する金属粉末を含む材料を基板の上に適用することと、前記基板の上の前記材料を乾燥し、前記膜を形成することとを含むことができる。
【0008】
幾つかの実施形態においては、前記基板は、高分子基板を含むことができる。前記材料を適用する工程は、前記材料をプリンティング又はキャスティングすることを含むことができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、前記材料は、連続層としてプリントすることができる。他の実施形態においては、前記材料は、不連続形状のアレイを形成するようにプリントすることができる。幾つかの実施形態においては、前記方法は、前記材料を調製することを更に含むことができる。
【0009】
1つ以上の実施形態によれば、金属粒子の層をコンポーネントに適用するための積層プロセスは、高分子基板の上に前記金属粒子の層を含む膜の上に、前記コンポーネントを載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに、約50~約175℃の範囲で熱を印加することと、前記アセンブリに、約0.05~約3MPaの範囲で圧力を印加することと、前記アセンブリから前記コンポーネントを剥離し、前記金属粒子の層を前記コンポーネントの上に残存させ、前記高分子基板から分離させることとを含むことができる。幾つかの実施形態においては、前記膜は、前記コンポーネントと実質的に同一のサイズであることができる。
【0010】
1つ以上の実施形態によれば、接着のための方法は、金属粒子の膜を基板の上に適用することと、前記膜の上にダイを載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに約40MPa未満の圧力を印加することと、約175~約400℃の温度で約0.25秒間~約30分間、前記アセンブリを焼結することとを含むことができる。
【0011】
幾つかの実施形態においては、約0.5~約20MPaの圧力を印加することができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、約2.0~約10MPaの圧力を印加することができる。
【0012】
1つ以上の実施形態によれば、接着のための方法は、金属粒子の膜をウェハの裏側に適用することと、前記ウェハをダイシングして、複数のダイを形成することと、少なくとも1つのダイを基板の上に載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに約40MPa未満の圧力を印加することと、約175~約400℃の温度で約0.25秒間~約30分間、前記アセンブリを焼結することとを含むことができる。幾つかの実施形態においては、約2.0~約10MPaの圧力を印加することができる。
【0013】
1つ以上の実施形態によれば、接着のための方法は、金属粒子の膜をダイの裏側に適用することと、前記ダイを基板の上に載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに約40MPa未満の圧力を印加することと、約175~約400℃の温度で約0.25秒間~約30分間、前記アセンブリを焼結することとを含むことができる。幾つかの実施形態においては、約2.0~約10MPaの圧力を印加することができる。
【0014】
1つ以上の実施形態によれば、金属粒子の膜を製造するための方法は、約0.001~約10μmのd50範囲を有する金属粉末を含む材料を基板の上に適用することと、前記基板の上の前記材料を乾燥し、前記膜を形成することとを含むことができる。
【0015】
1つ以上の実施形態によれば、金属粒子の層をコンポーネントに適用するための積層プロセスは、高分子基板の上に前記金属粒子の層を含む膜の上に、前記コンポーネントを載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに、約50~約200℃の範囲で熱を印加することと、前記アセンブリに、約0.05~約10MPaの範囲で圧力を印加することと、前記アセンブリから前記コンポーネントを剥離し、前記金属粒子の層を前記コンポーネントの上に残存させ、前記高分子基板から分離させることとを含むことができる。
【0016】
1つ以上の実施形態によれば、接着のための方法は、金属粒子の膜を基板の上に適用することと、前記膜の上にダイ又はウェハを載置し、アセンブリを形成することと、前記アセンブリに約40MPa未満の圧力を印加することと、約160~約400℃の温度で約0.25秒間~約120分間、前記アセンブリを焼結することとを含むことができる。
【0017】
これらの例示的態様及び実施形態の更に他の態様、実施形態、及び利点を、以下に詳述する。本明細書に開示される実施形態は、本明細書に開示される原理の少なくとも1つに則した任意の方法で他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態(an embodiment)」、「幾つかの実施形態」(some embodiments)」、「代替実施形態(an alternate embodiment)」、「各種実施形態(various embodiments)」、「1つの実施形態(one embodiment)」などの記載は、必ずしも互いに排他的ではなく、記載される具体的な特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを示すことを意図している。本明細書における係る用語の使用は、必ずしも同一の実施形態に言及している訳ではない。
【0018】
以下、添付の図面を参照して、少なくとも1つの実施形態の各種態様について述べるが、図面は、一定の縮尺率で描かれていることを意図しない。図面は、各種態様及び実施形態の説明及び更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ且つその一部を構成するが、本発明の外延を定義することを意図しない。図面、詳細な説明、又は請求項における技術的特徴が、参照符号を伴う場合、この参照符号は、図面及び明細書の明瞭性を高めるためだけに含まれているに過ぎない。図面において、各種図面に示される同一又は略同一のコンポーネントは、それぞれ同一番号で表される。明確化のために、各図において、コンポーネントの全部には標示していない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】
図1Aは、1つ以上の実施形態に係る基板に適用される組成物の非限定的な例を示す。
【
図1B】
図1Bは、1つ以上の実施形態に係る基板に適用される組成物の非限定的な例を示す。
【
図1C】
図1Cは、1つ以上の実施形態に係る基板に適用される組成物の非限定的な例を示す。
【
図1D】
図1Dは、1つ以上の実施形態に係る基板に適用される組成物の非限定的な例を示す。
【
図2】
図2は、1つ以上の実施形態に係るスタンピングプロセスを示す。
【
図3】
図3は、1つ以上の実施形態に係るスタンピングプロセスを示す。
【
図4】
図4は、1つ以上の実施形態に係るスタンピング箔の例を示す。
【
図5】
図5は、1つ以上の実施形態に係るダイ積層プロセスを示す。
【
図6】
図6は、1つ以上の実施形態に係るダイ接着アプローチを模式的に示す。
【
図7A】
図7Aは、1つ以上の実施形態に係る堆積技術の非限定的な例を示す。
【
図7B】
図7Bは、1つ以上の実施形態に係る堆積技術の非限定的な例を示す。
【
図8】
図8は、1つ以上の実施形態に係るダイの裏側でのプリンティングのプロセスを示す。
【
図9】
図9は、1つ以上の実施形態に係る
図8のプロセスによって接着されるダイの例を示す。
【
図11】
図11は、1つ以上の実施形態に係る膜を転写するためのプロセスを示す。
【
図13】
図13は、実施例1に記載する1つ以上の実施形態に係るナノ銀ペーストでプリントしたリードフレームを示す。
【
図14】
図14は、実施例1に記載する1つ以上の実施形態に係るプロセス温度プロファイルを模式的に示す。
【
図15】
図15は、実施例1に記載する1つ以上の実施形態に係るダイが接着されたリードフレームを示す。
【
図16】
図16は、実施例1に記載する1つ以上の実施形態に係る接合部の断面図を示す。
【
図17】
図17は、実施例1に記載する1つ以上の実施形態に係る音響顕微鏡像データを示す。
【
図18】
図18は、実施例2に記載する1つ以上の実施形態に係るプロセスによって接着されたダイを示す。
【
図19】
図19は、実施例2に記載する1つ以上の実施形態に係るプロセスによって接着されたダイを示す。
【
図20A】
図20Aは、実施例3に記載する1つ以上の実施形態に係る積層プロセスを示す。
【
図20B】
図20Bは、実施例3に記載する1つ以上の実施形態に係る積層プロセスを示す。
【
図20C】
図20Cは、実施例3に記載する1つ以上の実施形態に係る積層プロセスを示す。
【
図21】
図21は、実施例4に記載する1つ以上の実施形態に係るダイシェア試験データを示す。
【
図22A】
図22Aは、実施例6に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図22B】
図22Bは、実施例6に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図23A】
図23Aは、実施例6に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図23B】
図23Bは、実施例6に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図24】
図24は、1つ以上の実施形態に係るフリップチップに関する方法の模式図を示す。
【
図25】
図25は、1つ以上の実施形態に係るフリップチップに関する方法の模式図を示す。
【
図26】
図26は、実施例7に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図27】
図27は、実施例7に記載する1つ以上の実施形態に係るデータを示す。
【
図32】
図32は、1つ以上の実施形態に係る加工方法の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1つ以上の実施形態によれば、第1のコンポーネントを第2のコンポーネントに高い信頼性で接着することができる。幾つかの実施形態は、従来の焼結プロセスに比べて、比較的低い圧力及び比較的低い温度で焼結することを含むことができると共に、実質的に同じ結果を達成することができる。幾つかの実施形態においては、電子コンポーネントを接着することができる。他の実施形態においては、非電子コンポーネントを接着することができる。高い信頼性とフレキシブルなボンドライン厚みとを有する、高い熱及び電気伝導性結合を提供することができる。1つ以上の実施形態は、焼結後の実質的に均一なボンドライン厚みを促進することができる。気孔率、熱及び機械的性質も、実質的に均一であることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約2ミクロン~約100ミクロンの範囲の厚みを有するボンドラインを達成することができる。ボンドライン厚みの制御及び均一性は、大面積及び小面積の両方で達成することができる。幾つかの実施形態においては、加工中の材料の損失を低減することができ、その結果、従来の接着プロセスに比べて、少なくとも約15%~約20%、全体的コストを削減することができる。また、実施形態は、より低い資本コストに関する場合がある。有利なことに、有機残渣を低減することができ、ポストクリーニングの必要をなくすことができる。幾つかの実施形態においては、金属間化合物(intermetallics)なしで無鉛ボンドが形成される。高収率、高スループット製造プロセスを可能とする1つ以上の実施形態によれば、加工の容易性も認めることができる。圧力及び熱を印加するための各種プロセスが可能である。1つ以上の実施形態に係る焼結材料及び技術は、各種産業にその利用性を見い出すことができ、このような産業としては、ハイブリッド電気自動車、風力発電、太陽光発電(太陽電池を含む)、輸送、工業用途、消費者家電、及び電気通信などが挙げられる。
【0021】
1つ以上の実施形態によれば、焼結材料を用いて、各種コンポーネントの接着を促進することができる。前記焼結材料は、各種形態で用いることができる。幾つかの実施形態においては、焼結材料は、例えば、インク又はペーストとして直接用いることができる。他の実施形態においては、焼結材料は、焼結膜の形成に用いることができる。焼結膜は、従来の焼結ペーストに代えて用いることができる。幾つかの実施形態においては、流体焼結組成物を基板に適用した後、前記基板上の前記組成物を乾燥することによって、焼結膜を製造することができる。後に、積層プロセスによって前記膜を転写し、コンポーネントの接着を促進することができる。
【0022】
1つ以上の実施形態によれば、任意の形態で使用するための焼結材料は、通常、金属粉末と、バインダーと、溶媒とを含むことができる。意図する用途に応じて、各種金属を用いることができる。接着する1つ以上のコンポーネントの性質、又は実施される接着プロセスに関連する1つ以上のプロセス条件(例えば、温度及び圧力など)が、組成物の金属粉末の選択に影響を及ぼし得る。銀、金、銅、パラジウム、及びアルミニウムは、使用可能な金属粉末の非限定的な例の一部である。幾つかの実施形態においては、金属の混合物、例えば、銀パラジウム合金及び金パラジウム合金なども用いることができる。幾つかの実施形態においては、金属、合金、又は金属及び合金の混合物を用いることができる。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、金属粉末の粒子サイズは、意図する用途のための組成物の所望の特性によって変わり得る。幾つかの実施形態においては、約0.001~約100μmのd50範囲を有する金属粉末を用いることができる。ある実施形態においては、約0.001~約10μmのd50範囲を有する金属粉末を用いることができる。1つ以上の実施形態においては、約0.001~約0.01μmのd50範囲を有する金属粉末を用いることができる。幾つかの実施形態においては、金属粉末の粒子サイズは、ナノスケールであることができる。幾つかの実施形態においては、前記粒子サイズは、約10~約100nmであることができる。更に他の実施形態においては、前記粒子サイズは、約10~約60nmであることができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、前記粒子サイズは、約20nmであることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、ナノ銀粒子を用いることができる。
【0024】
ある実施形態においては、前記粒子は、高度に改変することができる。幾つかの実施形態においては、前記金属粉末の前記粒子は、被覆又はキャップすることができる。コーティングの幾つかの非限定的な例としては、脂肪酸、脂肪族アミン(fatty amines)、及びデンプンが挙げられる。コーティングの量は、前記組成物の約0.1~約20重量%であることができる。幾つかの実施形態においては、前記コーティングは、前記組成物の約1重量%未満であることが好ましい場合がある。少なくとも幾つかの非限定的な実施形態においては、前記コーティングは、前記組成物の約0.5~約0.8重量%であることができる。他の実施形態においては、前記金属粉末の粒子は、被覆もキャップもしなくてよい。前記金属粉末の金属粒子は、各種技術で形成することができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、前記組成物に用いる金属粉末は、その開示内容全体を参照により本明細書に援用する米国特許第7,968,008号(Parasharら)の記載に従って製造することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記金属粉末は、前記組成物の約30~約95重量%であることができる。少なくとも1つの具体的な実施形態においては、前記金属粉末は、前記組成物の約80重量%であることができる。
【0025】
1つ以上の実施形態によれば、バインダーは、強度と可撓性を、乾燥後の前記膜に提供することができる。また、前記バインダーは、前記組成物の、それが堆積される基板への接着を提供し、膜形成を促進することができる。更に、前記バインダーは、膜の、それが積層プロセスによって転写される基板への接着を提供することができる。幾つかの実施形態においては、各種樹脂又はロジンをバインダーに用いることができる。用いる積層及び接着プロセスに関連する条件及びパラメータは、バインダーの選択に影響を及ぼし得る。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記バインダーは、約50℃~約170℃の軟化点を有することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約90℃の軟化点を有するバインダーを用いることができ、例えば、Foralyn(登録商標)E(Eastmanから入手可能な部分水素添加ロジンエステル)が挙げられる。少なくとも1つの実施形態においては、前記バインダーは、前記組成物の約0.5~約5重量%であることができる。
【0026】
1つ以上の実施形態によれば、前記組成物は、1つ以上の機能性添加剤も含むことができる。添加剤は、通常、前記材料の基板に対する接着と焼結挙動を改善することができる。添加剤の非限定的な例としては、有機酸類、アミン類、塩素化又は臭素化ジオール類又は有機金属化合物類(例えば、銀有機金属化合物類など)を挙げることができる。その他、当業者に通常知られたものとすることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、機能性添加剤は、前記組成物の約0.1~約2重量%であることができる。
【0027】
1つ以上の実施形態によれば、各種溶媒を用いて、前記組成物中に存在する前記バインダー及び任意の添加剤を溶解させることができる。アルコール類、ジオール類、グリコール類、又はこれらの組合せなどの各種溶媒を用いることができるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態においては、テルピネオールが好ましい溶媒である場合がある。他の非限定的な実施形態においては、テルピネオールとブチルカルビトールの混合物を用いることができる。更に他の非限定的な実施形態においては、テルピネオールと、ブチルカルビトールと、イソプロパノールとの混合物を用いることができる。存在する溶媒の量は、得られる組成物の所望の性質(例えば、粘度)に応じて変わることがある。望ましい粘度は、意図する用途によって異なり、例えば、選択した堆積技術によって異なる。例えば、プリンティングアプローチは、前記組成物が、インクに典型的な1つ以上の特性を示すことができるように、より低い粘度を必要とする場合がある。噴霧もまた、より低い粘度に関する場合がある。タイプキャスティングなどの他の堆積技術は、通常、より高い粘度の組成物に関する場合がある。幾つかの実施形態においては、より高い粘度の組成物は、ペーストに典型的な1つ以上の特性を示すことができる。前記組成物から焼結膜を形成することが望ましい実施形態においては、粘度をそれに応じて調整して、そのプロセスを促進することができる。通常、前記溶媒系に関して、前記金属粉末、バインダー、及び/又は添加剤の投入を調整して、粘度又は他の物理的特性を調整することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記組成物の粘度は、約10~約200,000cPの範囲であることができる。少なくとも1つの特定の非限定的実施形態においては、前記粘度は、25℃で約800cPであることができる。
【0028】
1つ以上の実施形態によれば、前記組成物は、前記成分を混合することにより調製することができる。当業者に知られた各種混合装置及び技術を実施することができ、例えば、プラネタリーミキサ、オービタルミキサ、又は超音波ミキサを用いることができる。また、幾つかの実施形態においては、例えば、所望のテクスチャとなるように、粉砕も行うことができる。幾つかの実施形態においては、前記組成物は、焼結プロセスに直接用いることができる。例えば、前記組成物をコンポーネントに直接適用することができる。他の実施形態においては、前記組成物は、焼結膜の前駆体であることができる。膜は、焼結アセンブリプロセスにおいてペーストの代替物として用いることができる。
【0029】
1つ以上の実施形態によれば、前記組成物は、バッキング層又は基板に適用した後、乾燥して膜を形成することができる。前記基板は、通常、簡単且つ信頼できる取扱いのために、乾燥膜に対する適切な接着及び支持を提供する必要がある。前記基板は、剛直又は可撓性であることができる。前記基板の厚みは、様々になり得る。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記基板は、厚みが約35ミクロン~約75ミクロンであることができる。また、前記基板は、例えば、積層プロセス中などにおいて、前記膜の剥離が容易である必要がある。前記基板は、通常、前記組成物中の溶媒による影響を受けないものである必要があり、膜の乾燥及び後続の積層温度に対して安定である必要がある。幾つかの実施形態においては、前記基板は、高分子基板であることができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、前記基板は、ポリエステル基板であることができる。他の実施形態においては、ガラス、金属、紙、又はセラミック基板を用いることができる。幾つかの実施形態においては、前記基板は、剥離層又はコーティングを有することができる。幾つかの実施形態においては、シリコーン又はアルミニウムなどの材料を、基板又は基板コーティングとして用いることができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、前記基板は、Saint-Gobainから入手可能なシリコーン剥離コーティングを有するポリステル膜であることができる。幾つかの実施形態においては、前記基板は、アセンブリ操作中のテープ&リールディスペンシングを促進することが意図されていてもよい。
【0030】
1つ以上の実施形態によれば、前記組成物は、当業者に知られた各種技術を用いて、膜形成のために、前記基板に適用することができる。幾つかの実施形態においては、プリンティング技術を用いることができる。プリンティング技術の非限定的な例としては、インクジェット、パッド、スクリーン、ステンシル、テープキャスター、グラビア、及びオフセットプリンティングを挙げることができる。他の堆積方法としては、リキャスティング(recasting)及び噴霧技術を挙げることができる。上述したように、前記組成物の1つ以上の物理的性質を、意図する堆積技術に応じて調整することができる。前記組成物の堆積は、前記基板の実質的に表面全体に亘って連続的であってもよいし、基板表面に関して不連続な形状であってもよい。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記組成物を、得られる膜を用いて接着されるコンポーネント(例えば、ダイなど)の寸法に対応する形状及び/又はサイズで前記基板の上に適用することができる。任意のジオメトリ及び任意の寸法が可能である。基板に適用される前記組成物の幾つかの非限定的な実施形態を、
図1A~
図1Dに示す。幾つかの非限定的な実施形態においては、約0.1~約500mmの直径を有する円を堆積することができる。他の非限定的な実施形態においては、約0.1~約500mmの長さ又は幅を有する長方形を、前記基板の上に堆積することができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、前記組成物を、パターン状に前記基板の上に適用することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、基板に適用される形状及びサイズは、アセンブリ操作中のテープ&リールディスペンシングを促進することが意図されていてもよい。
【0031】
堆積後、例えば、バッチ式又は連続式オーブン内で、適用した組成物を前記基板上で乾燥することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、堆積された組成物を、約130℃の温度で約30分間乾燥することができる。得られた膜の乾燥厚みは、堆積技術及び意図する用途に応じて変わり得る。1つ以上の非限定的な実施形態によれば、乾燥厚みは、約5~約1000ミクロンであることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、膜は、約5~約300ミクロンの乾燥厚みを有することができる。幾つかの実施形態においては、膜は、自立性であることができる。例えば、1つ以上の非限定的な実施形態によれば、約100~約300ミクロンの乾燥厚みを有する膜を基板から取り除き、自立性膜として後続の積層及び接着に用いることができる。他の実施形態、及び比較的薄い膜の場合においては、前記基板は、積層プロセス中での除去まで、前記膜に関してインタクトなままであることができる。
【0032】
1つ以上の実施形態によれば、膜は、焼結アセンブリプロセスにおいてペーストの代替物として用いることができる。幾つかの実施形態においては、膜を用いることにより、アセンブリプロセス、例えば、焼結プロセスにおいて、熱及び圧力を印加するための各種プロセスが可能となる場合がある。少なくとも幾つかの実施形態においては、膜を用いることにより、アセンブリプロセスにおける少なくとも1つのプロセス工程を省くことができる。以下に記載するように、焼結膜を加工側(workside)又は基板側に適用し、アセンブリを促進することができる。前記加工側に関して、1つ以上の実施形態によれば、ウェハを積層した後、ダイシングして、複数の積層ダイを形成することができる。他の実施形態においては、まず、ウェハをダイシングして、続いて、個々のダイを積層する。
【0033】
1つ以上の実施形態によれば、接着プロセスにおける第1の工程は、コンポーネント又は基板への膜の積層であることができる。積層中、焼結膜を、ダイ、デバイス、ウェハ、基板、直接接合銅(DBC)、リードフレーム、金属ディスク、又は他の要素に適用することができる。続いて、積層コンポーネントを基板に接着することができる。続いて、積層基板は、1つ以上のコンポーネントを受容することができる。膜形成に関して上述したように、膜をバッキング層に接着させ、積層を促進することができる。幾つかの実施形態においては、前記膜は、積層される要素に比べて寸法が遥かに大きいブランケット膜であることができる。他の実施形態においては、前記膜は、通常、積層される要素と実質的に同一サイズ又はこれより小さいサイズになるようにパターニングすることができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、前記膜は、特定用途に用いられ、積層により転写される特定パターン状に位置する1つ以上の堆積物を含むことができる。通常、積層は、転写又はスタンピングプロセスにより行うことができる。通常、積層中は、膜の焼結を避けることが望ましい。
【0034】
転写アプローチにおいては、膜は、後に1つ以上のコンポーネントを受容する基板に積層することができる。転写アプローチ中、膜は、直接接合銅(DBC)基板、シリコンウェハ基板、ヒートスプレッダ、又は圧電性基板などの基板に載置することができる。前記膜は、ローラ又は他の適切な装置(例えば、プレスラミネータなど)を用いてプレスし、アセンブリを形成することができる。続いて、熱及び圧力を印加することができる。熱及び圧力は、同時に又は順次印加することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記アセンブリは、約50℃~約175℃の温度に付すことができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、約130℃の温度を用いることができる。熱は、各種技術を用いて印加することができ、例えば、赤外、誘導、伝導、対流、照射、及び超音波が挙げられる。幾つかの非限定的な実施形態においては、加熱された配置ツール又は加熱されたプラテン(platen)を用いることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記アセンブリは、約0.05~約3MPaの圧力に付すことができる。少なくとも1つの実施形態においては、約0.2~約1MPaの圧力を用いることができる。前記熱及び圧力は、通常、比較的短い時間(例えば、1分間未満)印加することができる。幾つかの具体的な実施形態においては、熱及び圧力は、約10~約60秒間印加することができる。
【0035】
スタンピングアプローチにおいては、膜は、種々のサイズのウェハ又はダイなどのコンポーネントに適用することができる。スタンピングプロセスを
図2に示す。ダイ配置装置などの当業者に知られた装置を用いて、積層を促進することができる。少なくとも幾つかの非限定的な実施形態においては、前記膜は、前記コンポーネントの裏側に接着することができる。次に、前記範囲の熱及び圧力を、比較的短い時間印加することができる。1つの非限定的な実施形態においては、第1及び第2のプラテンを約130℃で加熱することができる。約1MPaの圧力を印加することができる。ダイのサイズは、印加される所望の力に影響を及ぼし得る。ドゥエル時間(dwell time)は、前記アセンブリ全体を加熱するのに要する時間に依存し得る。幾つかの非限定的な実施形態においては、ドゥエル時間は、約3分間であることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、ドゥエル時間は、約20~約100ミリ秒間であることができる。
【0036】
スタンピングプロセス中に支持体を用いて、積層を促進することができる。ラバーパッド、エッチングされた箔、キャビティを有する構造体、又は他の材料を支持体に用いることができる。幾つかの実施形態においては、前記支持構造体が、カッティング作用を発揮し、バッキング層から前記膜の一部分を打ち抜くことができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、ステンレス鋼製のキャビティがエッチングされた箔を、スタンピング支持体として用いることができる。前記箔は、残存する膜の良好な反復性(repeatability)及び強度を保証できる、任意の所望厚みと、キャビティ間の任意の所望空間とを有することができる。
図3は、一例として、スタンピング箔を用いるスタンピング支持体の概念図を示す。
図4は、それぞれ1mm及び2mm離間されたキャビティを有する箔の例を示す。他の実施形態においては、シリコーンラバーパッドなどのラバーパッドを、スタンピング支持体として用いることができる。前記パッドの厚みは、様々であり、幾つかの非限定的な実施形態においては、約3mmの厚みであることができる。更に他の実施形態においては、エポキシ又はプラスチック又は金属板などの固い基板を支持体として用いることができる。前記支持体は、また、加工中、前記アセンブリを保護する及び/又は装置への接着を避けるように機能することができる。最適な道具類は、ダイ面積及び他の因子に依存し得る。例えば、ラバー又は箔支持体が、1つの用途において、他のものよりも良い場合がある。スタンピング中、前記膜を保持するシステムを用いて、操作を促進することができ、このシステムの使用は、操作中に前記膜の保護を助けることができる。
【0037】
ダイ積層のためのスタンピングプロセスの、Datacon 2200 EVOダイボンダを用いる非限定的な例を
図5に示す。前記ボンダは、ダイホルダ又はダイシングテープからダイをピックアップする。ダイ保持具は、約130℃に加熱される。次に、前記ダイを、約50Nの力で銀膜の上に載置する。その結果、前記ダイと実質的に同一の寸法を有する前記膜の一部分が、前記ダイの裏側に積層される。次に、積層されたダイを、焼結などによるDBC基板又はリードフレームへの更なる接着のために、ワッフルパックに回収する。
【0038】
幾つかの実施形態においては、積層されたコンポーネントをベークして、積層プロセスを完了することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、積層されたコンポーネントを、約130℃で約1時間ベークすることができる。転写又はスタンピングプロセスなどの積層プロセスの完了時に、前記膜が接着されたバッキング層を除去することができる。このとき、積層された構造体又はコンポーネントは、金属粒子の堆積膜を含むことができる。幾つかの具体的な実施形態においては、前記膜は、ナノ金属粒子の膜であることができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、前記膜は、ナノ銀粒子の膜であることができる。上述したように、1つ以上の実施形態、例えば、比較的厚い膜を用いる実施形態によれば、積層に先立ち、前記バッキング層を除去して自立性の膜を製造することもできる。
【0039】
1つ以上の実施形態によれば、例えば、膜又はペーストなどの焼結材料の層を、ダイ側に堆積することができる。他の実施形態においては、焼結材料の層を基板側に堆積することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記焼結膜又はペーストは、銀ナノ粒子などの銀粒子を含むことができる。例えば、ナノ銀材料は、約130℃を超える温度で焼結を開始することができる。焼結材料は、例えば、基板と、ダイ、デバイス、又は他の物体などの要素との間に、信頼性の高い結合を作るように機能することができる。圧力は、熱と同時又は焼結温度までの加熱前に印加することができる。圧力を加熱後に印加する場合には、焼結材料の1つ以上の利点、例えば、低圧焼結、早い焼結時間、又は信頼性のある結合を形成する能力、などが失われる場合がある。少なくとも幾つかの実施形態においては、マルチチップデバイスの場合、チップ配置及び焼結を2つの異なるプロセス工程で行うことができる。焼結材料を基板に適用することは、単一ダイパッケージ及びマルチチップパッケージのためのプロセスに制限を与える。例えば、前記基板は、圧力及び熱の印加前は、焼結温度未満に維持する必要がある。高速製造のために、前記基板の高速加熱が望ましい場合がある。通常、前記基板が最大の熱質量となり得ることを考慮すると、これは、プロセスサイクル時間を遅らせる場合がある。1つ以上の実施形態によれば、焼結材料を前記アセンブリのダイ側に適用することにより、前記基板を焼結温度に加熱することができ、プロセスサイクル時間を短縮することができる。前記基板が焼結温度にある状態で、配置及び焼結を1つのプロセス工程で行うことができる。1つ以上の実施形態によれば、電子及び非電子コンポーネントを接着させることができる。
【0040】
1つ以上の実施形態によれば、積層されたコンポーネントを基板に結合又は接着させることができる。積層されたコンポーネントは、例えば、ダイ、デバイス、ウェハ、又は他の要素であることができる。前記基板は、例えば、DBC、リードフレーム、金属ディスク、又は他の要素であることができる。通常、ボンディング中、積層されたコンポーネントを前記基板に接触させて、アセンブリを形成することができる。前記コンポーネントと前記基板との間に結合を形成するのに十分な時間、前記アセンブリに熱及び圧力を印加することができる。通常、前記結合は、例えば、強度、均一性、及びボンドライン厚みに関する特性など、1つ以上の所望の特性を有する必要がある。幾つかの非限定的な実施形態においては、印加される熱及び圧力は、約0.25秒間~約30分間維持することができる。幾つかの実施形態においては、このような時間は、従来の焼結プロセスよりも4倍超速いプロセス又はサイクル時間に関する場合がある。1つ以上の非限定的な実施形態においては、約0.5MPa~20MPaの圧力を印加することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約5~約10MPaの焼結圧力を用いることができる。このような圧力は、従来の焼結圧力よりも25倍低い圧力と同程度とすることができ、有利なことに、コンポーネント、基板、及びプロセス装置に対するストレスを低減することができる。1つ以上の非限定的な実施形態においては、約175℃~400℃の温度を印加することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約230℃~約260℃の焼結温度を用いることができる。幾つかの実施形態においては、コンポーネントを配置する、保持する、又は配置保持するために用いられる配置ツール、ウェイト、ばね、又は物体を加熱することにより、前記熱を印加することができる。他の実施形態においては、熱を、連続式又はバッチ式オーブンで印加することができる、又は、基板の下若しくはコンポーネントの上に位置するプラテンを加熱することにより印加することができる。幾つかの実施形態においては、配置ツールと、前記アセンブリの上及び/又は下に位置するプラテン又は複数のプラテンとの両方を加熱することができる。熱は、赤外、誘導、伝導、対流、照射、超音波、又は他の技術によって印加することができる。複数の積層されたコンポーネントを1つの基板又は複数の基板に、直列又は平行アプローチで結合することができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、焼結は、約200℃で約15分間行うことができる。
【0041】
1つ以上の実施形態によれば、積層された基板にコンポーネントを結合又は接着させることができる。前記コンポーネントは、例えば、ダイ、デバイス、ウェハ、又は他の要素であることができる。前記積層された基板は、例えば、DBC、リードフレーム、金属ディスク、又は他の要素であることができる。通常、ボンディング中、前記コンポーネントを前記積層された基板に接触させて、アセンブリを形成することができる。前記コンポーネントと前記基板との間に結合を形成するのに十分な時間、前記アセンブリに熱及び圧力を印加することができる。通常、前記結合は、例えば、強度、均一性、及びボンドライン厚みに関する特性など、1つ以上の所望の特性を有する必要がある。幾つかの非限定的な実施形態においては、印加される熱及び圧力は、約0.25秒間~約30分間維持することができる。1つ以上の非限定的な実施形態においては、約0.5MPa~20MPaの圧力を印加することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約5~約10MPaの焼結圧力を用いることができる。このような圧力は、従来の焼結圧力よりも25倍低い圧力と同程度とすることができ、有利なことに、コンポーネント、基板、及びプロセス装置に対するストレスを低減することができる。1つ以上の非限定的な実施形態においては、約175℃~400℃の温度を印加することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、約230℃~約260℃の焼結温度を用いることができる。幾つかの実施形態においては、コンポーネントを配置する、保持する、又は配置保持するために用いられる配置ツール、ウェイト、ばね、又は物体を加熱することにより、前記熱を印加することができる。他の実施形態においては、熱を、連続式又はバッチ式オーブンで印加することができる、又は、基板の下若しくはコンポーネントの上に位置するプラテンを加熱することにより印加することができる。幾つかの実施形態においては、配置ツールと、前記アセンブリの上及び/又は下に位置するプラテン又は複数のプラテンとの両方を加熱することができる。熱は、赤外、誘導、伝導、対流、照射、超音波、又は他の技術によって印加することができる。複数のコンポーネントを1つの積層された基板又は複数の積層された基板に、直列又は平行アプローチで結合することができる。少なくとも1つの非限定的な実施形態においては、焼結は、約200℃で約15分間行うことができる。
【0042】
幾つかの実施形態においては、複数のコンポーネントの接着のための装置は、例えば、油圧式又は空気式プレスであることができ、例えば、Carver Inc.製のものなどがある。典型的なプレスは、多数の基板を収容する大きな加熱プラテンを有することができる。前記プラテンは、約200~約300℃の熱を提供することができ、前記プレスは、接着されたコンポーネントに対して約1~約20MPaの圧力を生成するのに十分な力を提供することができる。そのようなプレスの一例は、Carver MH3891プレスである。1つのダイ又はコンポーネントの接着の場合、ESECソフトソルダーダイボンダSSI2009などの装置を用いることができる。前記ボンダは、約100Nのボンディング力と、最大約400℃の熱とを印加することができる。
【0043】
1つ以上の実施形態によれば、焼結プロセスは、焼結材料中の金属粒子をバルク金属に変換することができる。何ら特定の理論に拘束されることを望むものではないが、焼結プロセスが開始すると、圧力を印加しなくても、温度上昇及び時間経過に伴う結晶成長及び高密度化により、ナノ粒子がミクロン粒子に変わり、続いて、バルク金属に変わる。バルク金属に匹敵する強度を有する高密度金属膜を形成することができる。
【0044】
1つ以上の実施形態によれば、上述の焼結プロセスのいずれかにしたがって、アセンブルした部品をオーブンで、例えば、約300℃で約5~10分間、ポスト処理することができる。このようなポスト焼結により、アセンブリの接合部の強度を改善することができる。また、ポスト焼結を用いることにより、全体的なプロセス焼結時間を最小限にし、焼結プレスのスループットを挙げることができる。
【0045】
1つ以上の実施形態によれば、得られた結合が、高い熱及び電気伝導性に関する場合がある。銀ボンドラインの非限定的な例は、約250W/m°Kの範囲の熱伝導性を有することができる。銀ボンドラインの幾つかの非限定的な例は、約85~約95%のバルク銀密度を有することができる。また、結合は、ダイボンド寿命の延長に貢献し得る高いヒートショック耐性に関する場合がある。幾つかの実施形態においては、結合は、220℃での2000回を超えるサイクルに亘って、40MPa超の結合強度(ダイシェア)を示すことができる。少なくとも幾つかの実施形態においては、220℃での800回のヒートショックサイクル後においても、剥離が生じない場合がある。
【0046】
1つ以上の実施形態によれば、高温パッキング用途においては、その高い電気及び熱伝導性、低酸化感受性、及び高い動作温度に耐えるのに十分な融点から、銀が適切である場合がある。幾つかの実施形態においては、銀ボンドが、はんだよりも5倍超信頼性がある場合がある。
【0047】
1つ以上の実施形態によれば、焼結材料及び技術が、Si、SiC、GaN、又は他の半導体デバイスの接着において有用である場合がある。
【0048】
1つ以上の非限定的な実施形態によれば、半導体デバイスなどのコンポーネントは、膜ではなく金属ペーストを用いて基板に接着することができる。
図6は、低温及び低圧を用いるダイ接着の1つの非限定的アプローチの模式図を示す。このプロセスにおいては、金属ペーストを基板にプリントすることができる。各種ペーストを用いることができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記金属ペーストは、ナノ銀ペーストなどのナノ金属ペーストであることができる。1つの非限定的な実施形態においては、Alpha Metals Inc.から入手可能な銀ペースト、例えば、銀ナノ粉末及び有機ビヒクルを含有するペーストを用いることができる。各種基板を用いることができる。例えば、ベアカッパーリードフレーム、又は銀若しくは金コーティングを含むカッパーリードフレームを用いることができる。また、セラミック基板及びDBCも用いることができる。シリコン、シリコンカーバイド、又は他のチップ若しくはデバイスを含むダイなど、各種ダイを用いることができる。
【0049】
1つ以上の実施形態によれば、ダイ接着プロセスは、リードフレームの上などの基板の上でのプリンティングを含むことができる。幾つかの実施形態においては、基板の上でのペーストのプリンティングは、ステンシル/スクリーンプリンティングなどの各種技術によって、又はディスペンシングによって達成することができる。基板は、任意の所望の材料であることができ、例えば、銅ベース材料又は金属化セラミック(DBCなど)であることができる。
図6に示す接着プロセスは、次の非限定的な工程を含むことができる。すなわち、基板の上にペーストをプリンティングする工程、前記ペーストを、例えば、130℃で乾燥する工程、前記プリンティングされたダイを載置する工程、前記ダイ-基板アセンブリを加熱ステージの上に載置する工程、圧力を印加する工程、温度を約250℃~約300℃に上げる工程、及び圧力と温度を約30~約90秒間維持する工程、である。
【0050】
1つ以上の実施形態によれば、ダイ接着プロセスは、標準的なソフトダイボンダ装置を用いることができる。ピックアップツールは、ダイシングテープからダイをピックアップし、前記ダイを、加熱された基板の上に力をかけて載置することができる。銀ペーストなどのペーストを、基板の上又は個々のダイ、ウェハ全体の裏側にプリントすることができる、又は膜として適用することができる。堆積は、プリントによって行うことができる、又は膜として積層によって適用することができる。1つ以上の実施形態に係る非限定的なプロセスの例を、
図7A及び
図7Bに模式的に示す。
図7Aは、基板の上でのプリンティングを示し、
図7Bは、コンポーネントの裏側でのプリンティングを示す。
【0051】
1つ以上の実施形態によれば、ダイ接着プロセスは、ディスペンシングプリンティングによる基板の上でのプリンティングを含む。ナノ銀ペーストなどの銀ペーストを、リードフレーム上にディスペンスすることができ、次に、上述した方法と同様の方法で、接着を行うことができる。ディスペンシング技術は、ステンシル又はスクリーンプリンティングによって生成される面に匹敵する、実質的に平坦な面を生成しない場合がある。各種ディスペンシング装置が、産業用途及び実験室用途で利用可能である。
【0052】
1つ以上の実施形態によれば、ダイ接着プロセスは、ダイ、例えば、ウェハなどの裏側にプリンティングすることを含むことができる。1つ以上の実施形態によれば、ナノ銀ペーストなどのペーストをウェハの裏側に種々の方法で適用することができる。幾つかの実施形態においては、ナノ銀ペーストをウェハ全体の裏側に適用することができ、次に、前記ウェハを個々のチップにダイシングすることができる。他の実施形態においては、まず、前記ウェハをダイシングすることができ、次に、ペーストを個々のチップの裏側に適用することができる。
【0053】
1つ以上の実施形態によれば、ペーストは、ウェハ全体の裏側に適用することができる。前記ペーストは、適用後に乾燥することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、前記ペーストは、約130℃で約30~90分間乾燥することができる。強化溶液を、噴霧又はスピンコーティングなどによって適用することができる。次に、ダイシングテープの上に前記ウェハを載置することができ、前記ウェハをダイシングすることができる。前記テープの上のダイシングされたウェハをソフトダイボンダに導入することができる。個々のダイをピックアップし、例えば、約5~10MPaの圧力を生成するのに十分な力で基板の上に載置することができる。熱を、例えば、約250℃~400℃の温度で印加することができる。例えば、焼結のために、前記圧力を約0.5~1秒間保持することができる。また、約250~300℃の温度で約10~30分間、ポスト焼結を行うことができる。
【0054】
1つ以上の実施形態によれば、接着プロセスにおける重要な因子は、プリントされたペースト層の、ダイシング及びピックアッププロセスに対してダメージなく耐える能力である。焼結を行わないと、プリントされた銀層は、わずかに強くなるだけで、ウェハの裏側への接着は、弱くなることがある。適切な強度がないと、銀層は、ダイシングによって及び/又はダイピックアップ工程中に破壊される場合がある。プリンティング及び乾燥後の銀層を強化するために、ポリマー又は樹脂を含有する溶液を、銀層の上に噴霧又はスピンコートすることができる。乾燥後、このオーバーコートは、銀層強度及びウェハへの接着を保証することができる。前記ポリマー及び/又は樹脂は、焼結された銀層の性質に対する残渣の影響を最小限にするために、後続の焼結工程で分解することが望ましい。用いることができるポリマー及び樹脂の非限定的な例としては、PMMA、PVP、Joncryl 682、及び水素添加ロジンなどを挙げることができる。幾つかの実施形態においては、ある種の樹脂、例えば、水素添加ロジン又は類似の材料を、銀ペーストの組成物に含有させることができる。そのような材料をペースト組成物に含有させているかどうかに拘わらず、強化溶液の適用は、任意とすることができる。
【0055】
1つ以上の実施形態によれば、銀を、連続膜ではなくバンプとしてプリントすることができる。バンピングは、従来、メモリ又はプロセッサを含む半導体チップなどの各種デバイスで用いられている。適用されるバンプは、通常、直径が約80~150ミクロンの範囲であり、はんだで形成される。1つ以上の実施形態によれば、高い熱伝導性と熱放散のために、はんだに代えて銀を用いることができる。
【0056】
1つ以上の実施形態によれば、ペーストは、個々のダイの裏側にプリントすることができる。このプロセスの1つの非限定的な実施形態を
図8に模式的に示す。ダイシングテープからダイをピックアップすることができ、ステンシルホルダに載置することができる。前記ステンシルホルダの厚みは、通常、ダイの厚みとプリンティング厚みとの合計に等しくすることができる。前記ホルダを反転させて(flipped)、ダイの裏側を露出させることができる。次に、ナノ銀ペーストを前記裏側にプリントすることができる。前記ペーストを、例えば、130℃で約30分間乾燥することができる。次に、前記ステンシルホルダを、反転させて、ダイの上側を露出させることができる。次に、ダイをそれぞれピックアップし、基板の上に載置することができる。前記基板は、例えば、約400℃の温度まで、予め加熱することができる。幾つかの実施形態においては、前記ダイは、約5~20MPaの圧力を生成するのに十分な力で載置することができる。少なくとも1つの実施形態においては、前記圧力は、約0.5~2秒間保持することができる。
図9は、
図8のプロセスによるダイ接着の例を示す。
図10は、接着の断面図であり、完全に焼結された銀層であって、ダイと金属製基板の上の金属化と接続される層を示す。
【0057】
1つ以上の実施形態によれば、膜を作製し、ウェハ、ダイ、又は基板に転写することができる。ナノ銀膜は、特別な組成のナノ銀インク、ペースト、又は分散物を用いて作製することができる。このような組成物は、ナノ銀粉末、溶媒、及びバインダーを含むことができる。膜は、前記組成物を基板に堆積し、前記組成物を室温又は高温で乾燥することによって作製することができる。典型的な基板は、ポリマー、マイラ(mylar)、紙、及びアルミニウム箔を含むことができる。前記膜は、プリンティング、ドクターブレード、又は噴霧を用いて基板に堆積することができる。前記膜は、連続的であってもよい及び/又は所望のジオメトリにパターン化されていてもよい。前記膜は、可撓性又は剛直な担体の上に堆積することができる。プリントされた膜は、通常、オーブン内で、例えば、約70℃~130℃で約10~40分間乾燥することができる。次に、前記担体を除去し、自立性膜を生成することができる。作成された膜を、転写プロセスを用いて、熱及び圧力を印加することにより、ウェハ、ダイ、又は基板に転写することができる。印加される圧力は、通常、約0~2MPa以上の範囲であることができ、印加される温度は、室温~約150℃の範囲であることができる。次に、前記ウェハ、ダイ、又は基板を、上述の接着プロセスなどの任意の知られた焼結技術を用いて接着することができる。膜をウェハに転写するためのプロセスの非限定的な例を、
図11に模式的に示す。
図12A及び
図12Bは、プリントされた膜の例を示し、
図12Cは、自立性ナノ膜を示す。
【0058】
上述のプロセス条件下で、膜を、個々のダイ、コンポーネント、又はヒートスプレッダに転写することができる。コンポーネントは、共通のピック及び配置ツールを介して、連続膜又はパターン化膜に導入することができる。前記膜は、前記コンポーネントの裏側に接着することができ、続いて、前記コンポーネントを最終焼結プロセスに導入することができる。連続膜の場合、転写される膜の一部分は、通常、前記コンポーネントの寸法に等しい。複数のダイを同時に焼結するためには、適用された膜を含むダイ又はコンポーネントを、一時的に基板に留めた後、上述の方法で焼結することができる。ナノ膜は、任意のナノ金属粉末を用いて形成することができる。ナノ膜は、各種機能性添加剤を含んで、所望の物理的及び/又は機械的性質を改善することができ、「複合」ナノ膜と考えることができる。
【0059】
1つ以上の実施形態によれば、ナノ銀及び/又は他の金属をダイ接着に用いることができる。ペーストの連続膜は、ステンシル又はスクリーンプリンティングすることができる。スピンコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレーディング、又はキャスティングも用いることができる。幾つかの実施形態においては、銀を、50~200ミクロンのサイズで、バンプとしてプリントすることができる。前記膜又はバンプは、転写することができる。ナノ銀ペーストの膜は、ダイシングの前にウェハ全体に適用することができる。膜は、ダイシングにおける工程として適用することができる、又はウェハ作製が完了した後に適用することができる。ペースト及び粒子は、ウェハに対する接着、ダイシング膜に対する接着、及び粒子間の凝集を促進するように、特定の組成及び性質を有する組成物にすることができる。また、組成物は、適用に必要な焼結プロセス及びボンディングプロセスを阻害せずに、乾燥及び保存を促進することができる。ダイシングを促進するために、プリントされたナノ銀層に圧力を印加して、凝集とウェハに対する接着を向上させることができる。ダイシングは、のこ歯用ダイシングカーフを生成するためのステンシルを用いると共に、ダイシング中のダイシングテープに対するダイ接着を補強することによって行うことができる。焼結は、対流、照射、誘導、及びマイクロ波などの任意の形態の熱を用いて行うことができる。高速焼結(例えば、1分間未満)を行うことができる。低速焼結、及び拡散と組み合わせた焼結も用いることができる。ダイ側への銀ペーストの適用により、ラバー側からの温度制限を殆ど又は全くなくすことができ、且つ基板側からの温度制限を殆ど又は全くなくすことができる。ダイ側への銀ペーストの適用は、また、固いツールによって行われる接着を可能にし、通常、幅広いプロセスウィンドウを提供することができる。幾つかの実施形態においては、ウェハ・ツー・ウェハボンディング及び他のボンディングによる適用を行うことができ、他のボンディングとしては、ワイヤボンディング、リボンボンディング、気密シーリング、lldシーリング(lld sealing)、メタル・ツー・メタルボンディング、メタル・ツー・ガラスボンディング、一般的なボンディング、各種高分子材料に対するボンディングなどが挙げられる。
【0060】
1つ以上の実施形態によれば、銀ペーストなどの焼結されたペーストは、あらゆるタイプのフリップチップデバイス及びアセンブリと共に用いることができる。粉末及びペーストなどに用いる材料を、フリップチップ用途のために具体的に設計して、組成物とすることができる。幾つかの実施形態においては、ファインフィーチャ(fine feature)プリント可能且つ焼結可能ペーストは、ナノ又はミクロンスケールの、例えば、Ag、AgCu、AgMo、AgNi、及びAgSn粒子を、1つ以上の金属有機化合物及びレオロジー改質剤を共に含んで又は含まずに含有することができる。
【0061】
1つ以上の実施形態によれば、銀膜を、フリップチップデバイスに適用することができる。これらの技術は、通常、担体シートの上にプリントされたファインフィーチャパターンを伴うことができる。前記担体シートは、例えば、マイラ又はポリエステルなどの材料から形成することができる。パターン化された膜は、ダイの裏側に転写することができる。或いは、前記パターンを、ダイシングしたウェハの裏側に直接ステンシルプリントすることができる。いずれのプロセスも、通常、ファインフィーチャプリント可能焼結ペーストを伴うことができる。1つ以上の実施形態によれば、焼結のために圧力を用いなくてもよい。代わりに、圧力は、配置中にのみ印加することができる。有利なことに、適用された膜又はペーストパターンを画定するための、ダイ又はパッドのシャープエッジが不要である。
【0062】
図24に示される1つ以上の具体的な実施形態によれば、方法は、以下の工程を含むことができる。
・適切なステンシルを用いて、ペーストをプリントし、担体シートの上に膜を形成する工程
・前記膜を乾燥し、溶媒を全て蒸発させる工程
・前記膜を、厚いシリコーンパッドの上に載置する工程
・ウェハからダイをピックアップする工程
・前記担体シート上で、ダイパッドを、プリント、乾燥されたペースト堆積物に合わせて配列する工程
・前記ダイを押圧し、これをリフティングして、前記ペースト堆積物を前記ダイパッドに転写させる工程
・選択した温度で、適切な配置力を用いて、前記ダイを基板の上に載置する工程
・得られたアセンブリをオーブン内で所定時間、所定温度にて焼結する工程
【0063】
図25に示される1つ以上の具体的な実施形態によれば、方法は、以下の工程を含むことができる。
・適切なステンシルを用いて、ペーストをプリントし、担体シートの上に膜を形成する工程
・前記膜を乾燥し、溶媒を全て蒸発させる工程
・前記膜を、厚いシリコーンパッドの上に載置する工程
・ダイシングしたウェハを、パターン化膜の上に載置し、ダイパッドをペースト堆積物に合わせて配列させる工程
・加圧及び加熱を行い、前記ペースト堆積物を前記膜から前記ダイシングしたウェハに転写させる工程
【0064】
エレクトロニクス産業においては、基板に対する半導体デバイスの相互接続は、デバイスパッケージングの重要な部分である。現在、ダイ接着及び相互接続に用いられている材料の大部分は、特に、低動作温度のため好適ではない低融点はんだである。銀ペーストは、その高い電気及び熱性能のため、マイクロエレクトロニックパッケージによく用いられる。しかしながら、銀の高コストがその使用を制限している。
【0065】
1つ以上の実施形態によれば、コアシェル構造ナノ粒子は、プリントエレクトロニクスにおいて、相互接続材料のための新たな可能性を開いている。したがって、コア-シェル構造又は複合体として銀と共に含有される銅/ニッケル/モリブデンのナノ粒子は、コスト及び有用性の観点から、潜在的に有用な伝導材料になると期待されている。以下の表は、1つ以上の実施形態に係る、プリンティング用途に用いることができる各種コアシェル構造ナノ粒子の幾つかの例の非限定的な一覧を提供する。
【表1】
【0066】
スクリーン/ステンシルプリンティングは、プリントエレクトロニクス及び太陽電池の金属化に広く用いられている技術である。この技術は、通常、ステンシルから基板へのパターン転写を用いる。1つ以上の実施形態によれば、各種組成のAgシェルCuコア、AgシェルMoコア、及びAgシェルNiコアペーストを、これらのタイプの用途に用いることができる。コア金属(Cu、Mo、Niなど)に対するAgシェルのパーセンテージ組成物の幾つかの非限定的な例を、以下に示す。
(10~90)wt% Agシェル及び(90~10)wt% Cu/Niコア
(10~90)wt% 金属シェル及び(90~10)wt% 金属コア
【0067】
以下の実施例から、これら及び他の実施形態の機能及び利点が、よりよく理解されよう。これらの実施例は、元来、例示を意図しており、本明細書に記載する実施形態の範囲を限定すると考えられるべきではない。
【0068】
実施例1
図13は、100ミクロン厚ステンシルを用いて、ナノ銀ペーストでプリントしたリードフレームの例を示す。ステンシル厚は、通常、ボンドライン厚みを決める。プリンティング後、リードフレームを、130℃で30分間オーブンで乾燥した。プロセスの実施に用いた装置として、ESEC(スイス)から入手可能なソフトソルダーダイボンダを用いた。標準的な装置を改造して、ピックアップアームに加熱オプションを設けた。
図14は、リードフレームの温度を150℃未満に維持した各領域で用いた温度設定を示す。加熱領域1~6における温度は、ペーストを過熱及び予焼結しないように、150℃未満に設定した。接着プロセスを行った領域7における温度は、約300℃~約400℃に設定し、領域8は、同一の温度に設定した。プリントされたリードフレームを、加熱領域に割り当てる(indexed)機器に、0.5~1秒間のボンディング時間を与える速度で投入した。
図15は、接着されたダイを有するリードフレームを示す。ソフトソルダーボンダにおけるダイの接着後、リードフレームの一部を、300℃で約10分間、オーブンで加熱処理(ポスト焼結)し、リードフレームに対するダイ接着を向上させた。典型的なダイシェア力は、約20MPaであった。
【0069】
図16は、作製した接合部の典型的な断面を示す。接合部の信頼性を、リキッド・ツー・リキッドサーマルショックテスト(liquid-to liquid thermal shock test)で試験した。温度設定は、6分間のサイクル時間で-50℃~+125℃とした。音響顕微鏡像から、接合部の形態には、変化が全くない又はごく僅かな変化しかないことが示された。このことは、
図17に示されるように、リードフレームに対するダイの接続の信頼性が良好であることを示している。
【0070】
実施例2
1つ以上の実施形態によれば、ディスペンシングによるダイ接着プロセスは、ダイサイズ及び装置によって変わり得る。第1のプロセスにおいては、ペーストをディスペンスし、続いて、非粘着性表面(例えば、テフロン(登録商標)パッドなど)を用いて平坦化することができる。次に、前記ペーストを、例えば、約130℃で約30分間、乾燥することができる。次に、前記ダイを載置して、約250℃~300℃の温度で焼結することができる。第2のプロセスにおいては、ペーストをディスペンスすることができ、ダイを、濡れた表面の上に最小限の力で載置することができる。次に、前記ペーストを、例えば、約130℃で約20~30分間、乾燥することができる。次に、前記ダイを載置して、約250℃~300℃の温度で焼結することができる。
図18は、この第2のプロセスによって接着されたダイを示す。第3のプロセスにおいては、ペーストをディスペンスし、続いて、一部を軟らかい状態に維持するように部分的に乾燥することができる。幾つかの非限定的な実施形態においては、部分乾燥は、約70℃で約5分間であることができる。次に、部分乾燥に続いて、前記ダイを載置して、約250℃~300℃の温度で焼結することができる。
図19は、この第3のプロセスによって接着されたダイを示す。
【0071】
実施例3
ウェハ積層プロセスを実施した。裏側が銀で金属化された円形のシリコーンウェハをアルミニウム板に載置した。焼結膜のシートを前記ウェハに載置し、シリコーンラバーパッドを前記焼結膜の上に載置した。次に、前記シリコーンラバーパッドをテフロン(登録商標)箔で被覆した。得られたアセンブリを、予加熱プラテン(130℃)間に載置し、約1MPaの圧力を3分間印加した。積層後のウェハと膜を
図20Aに示す。次に、
図20Bに示すように、焼結膜のシートを除去した。膜の円形部分を、シリコンウェハに積層し、前記シート上のバッキング層の一部を露出させ、焼結膜の残りの部分をバッキング層の上に残した。積層されたウェハを
図20Cに示す。次に、積層されたウェハを1時間約130℃でベークした。
【0072】
実施例4
1つ以上の実施形態にしたがって、ペースト及び膜の両方の形態で同じ焼結材料を用いて、ダイを基板に焼結した。前記ペースト及び膜による焼結のプロセス条件は、大気中10MPaで約250℃とした。焼結時間が約40秒間、60秒間、及び80秒間でデータを集めた。前記ペースト及び膜の両方を用いて形成された結合について、ダイシェアテストを行った。結果を
図21に示す。両形態において同等の結果が示されている。
【0073】
実施例5
以下の装置パラメータの各種組合せを用いて、1つ以上の実施形態に係る、焼結膜を用いるピックスタンププロセスを、小さいダイの場合と大きいダイの場合とで実施した。
装置変数
ダイ 5×5
12×12
バッキング箔 薄い(35μm)
厚い(75μm)
スタンピング支持体 ステンレス鋼製キャビティ箔
80ミクロン厚
120ミクロン厚
180ミクロン厚
シリコンラバー
PCB基板
【0074】
約10N~約50Nの印加力で試験を行った。ノズルによる圧力の印加間の遅れは、50ms~1000msの範囲であった。約130℃~約160℃の適用温度で試験を行った。
【0075】
小さいダイの場合、薄いバッキング箔で、PCB基板をスタンピング支持体として用いたときに、最も良い結果が得られた。大きいダイの場合、厚いバッキング箔で、120ミクロン厚のステンレス鋼製キャビティ箔をスタンピング支持体として用いたときに、最も良い結果が得られた。小さいダイの最適動作パタメータは、約2500グラムの力、約500msの遅れ、及び約145℃のノズル温度であった。大きいダイの最適動作パタメータは、約2500グラムの力、約1000msの遅れ、及び約150℃のノズル温度であった。小さいダイ及び大きいダイの両方において、2つのダイ間における1mmの最小距離を達成した。
【0076】
実施例6
1つ以上の実施形態にしたがって、焼結膜を有する金及びDBC基板にダイを接着した。曲げ試験の前の画像を
図22Aに示し、曲げ試験の後の画像を
図22Bに示す。曲げ試験から、金及びDBC基板からのダイの剥離がないことが示された。
図23Aは、サーマルショック前のCSAM画像を示す。
図23Bは、-50℃から165℃のリキッド・ツー・リキッドサーマルショック500サイクル後の音響顕微鏡画像を示す。剥離も結合劣化もないことが示され、このことは、結合の完全性を示す。
【0077】
実施例7
シリコン被覆ポリエステル膜/マイラの上にペーストを1ミルステンシルでプリントした。プリントされたパターンは、
図26に示すように、異なるピッチ範囲(60um~150um)を有する360ミクロン×60ミクロン寸法の2種類のパッドデザインとした。次に、ポリエステル/マイラシートの上にプリントされたパターンを60℃で3分間加熱することにより乾燥した。
【0078】
完全に乾燥したプリントパターンをダイ側(Au/Ni仕上げのシリコン)に、10MPaの圧力下で60℃にて(ツール加熱)スタンピングすることにより転写した。
図27に示すように、前記パターンのダイ側への完全な転写が観察された。前記ダイのAu/Ni被覆シリコンウェハへの接着を、基板(Au/Ag)とツールとを、10MPaで250ミリ秒間、それぞれ160℃と60℃とに加熱することにより行った。次に、ボックスオーブンで、アセンブリを160℃で30分間焼結した。
【0079】
上述のプロセスによれば、約35~50MPaの接合体強度が達成された。シェアサンプルは、バルク不良を示す。
【0080】
実施例8
図32に係るプロセスを行った。ペーストをステンシルでシリコン被覆ポリエステル膜/マイラの上にプリントした。次に、ポリエステル/マイラの上にプリントされたパターンを、60℃で3分間加熱することにより乾燥した。完全に乾燥したプリントパターンをダイ側(Au/Ni仕上げのシリコン)に、500グラムの圧力下で85℃にて(ツール加熱)スタンピングすることにより転写した。
【0081】
ダイの基板(Au/Ag)への接着を、前記基板(Au/Ag)とツールとを、1000グラムのボンディング圧力と200ミリ秒間のボンディング時間で、それぞれ200℃と85℃とに加熱することにより行った。次に、ボックスオーブンで、アセンブリを200℃で90分間焼結した。このプロセスから、
図29から分かるように、約50~70MPaのシェア強度が達成された。
図30から分かるように、シェアサンプルは、バルク不良を示す。
【0082】
ボンディング時間1秒間でプロセスを繰り返した。このプロセスから、
図29から分かるように、約50~85MPaのダイシェア強度が達成された。
図30から分かるように、シェアサンプルは、バルク不良を示す。相対結合強度を
図31に示す。
【0083】
実施例9
図32に係るプロセスを行った。ペーストをステンシルでシリコン被覆ポリエステル膜/マイラの上にプリントした。次に、ポリエステル/マイラの上にプリントされたパターンを、60℃で3分間加熱することにより乾燥した。完全に乾燥したプリントパターンをダイ側(Au/Ni仕上げのシリコン)に、500グラムの圧力下で120℃にて(ツール加熱)スタンピングすることにより転写した。
【0084】
ダイの基板(Au/Ag)への接着を、前記基板(Au/Ag)とツールとを、1000グラムのボンディング圧力と200ミリ秒間のボンディング時間で、それぞれ200℃と120℃とに加熱することにより行った。次に、ボックスオーブンで、アセンブリを200℃で90分間焼結した。
【0085】
このプロセスから、
図28から分かるように、約50~65MPaのダイシェア強度が達成された。
図30から分かるように、シェアサンプルは、バルク不良を示す。
【0086】
ボンディング圧力500グラム及びボンディング時間1秒間でプロセスを繰り返した。このプロセスから、
図28から分かるように、約45~65MPaのダイシェア強度が達成された。
図30から分かるように、シェアサンプルは、バルク不良を示す。
【0087】
ボンディング圧力1000グラム及びボンディング時間200ミリ秒間でプロセスを再度繰り返した。このプロセスから、
図28から分かるように、約40~60MPaのダイシェア強度が達成された。
図30から分かるように、シェアサンプルは、バルク不良を示す。
【0088】
本明細書に記載する方法及び装置の実施形態は、以下の説明において記載される、又は添付の図面において例示される構成要素の構造及び構成の詳細に用途が限定されないことが理解されるべきである。方法及び装置は、他の実施形態において実装され得、また様々な様式で実践又は実行され得る。特定の実装の例が例示のみを目的として本明細書において提供され、限定は意図されない。特に、任意の1つ以上の実施形態に関連して記載される動作、要素及び特徴は、任意の他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図しない。
【0089】
また、本明細書において使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定としてみなされるべきではない。単数形として言及される、本明細書におけるシステム及び方法の実施形態又は要素又は動作へのいかなる言及も、複数のこれらの要素を含む実施形態もまた包含し得、また、複数形としての本明細書における任意の実施形態又は要素又は動作へのいかなる言及も、ただ1つのみの要素を含む実施形態もまた包含し得る。本明細書における、「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、及びそれらの変化形の使用は、それ以降に列挙される項目及びそれらの均等物、並びに追加的な項目を包含することを意図する。「又は(or)」への言及は、「又は(or)」を使用して説明される任意の用語が、説明された用語の1つ、2つ以上、及び全てのいずれかを示し得るように、包含的なものとして解釈され得る。フロント及びバック、左及び右、頂部及び底部、上部及び下部、並びに垂直及び水平は、説明の利便性を意図しており、本発明のシステム及び方法、又はそれらの構成要素を任意の1つの位置的又は空間的方向に限定するものではない。
【0090】
少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様を上で説明してきたが、当業者は、様々な改変、変更、及び改善を容易に想到するであろうことが理解されるべきである。そのような改変、変更、及び改善は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であることが意図される。したがって、上記の説明及び図面は、例示のみを目的とする。