(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045331
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】血液ポンプハウジングコンポーネント
(51)【国際特許分類】
A61M 60/242 20210101AFI20240326BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20240326BHJP
A61M 60/414 20210101ALI20240326BHJP
A61M 60/81 20210101ALI20240326BHJP
A61M 60/806 20210101ALI20240326BHJP
【FI】
A61M60/242
A61M60/174
A61M60/414
A61M60/81
A61M60/806
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010097
(22)【出願日】2024-01-26
(62)【分割の表示】P 2022180718の分割
【原出願日】2015-05-13
(31)【優先権主張番号】61/992,835
(32)【優先日】2014-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コーベット スコット シー.
(72)【発明者】
【氏名】キ チョンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー カー
(57)【要約】
【課題】血液ポンプアセンブリ、ならびに、血液ポンプアセンブリを製造しかつ作動させる方法の提供。
【解決手段】該血液ポンプアセンブリは、ポンプと、該ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードとを備える。該血液ポンプアセンブリはまたポンプハウジングコンポーネントも備え、該ポンプハウジングコンポーネントは、体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつ該ポンプに連結されている。該ポンプハウジングコンポーネントは、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含む。該周壁は、周壁内面および周壁外面を含む。該周壁はまた、1つまたは複数の排血用アパーチャも含む。該1つまたは複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャは、アパーチャ内縁部およびアパーチャ外縁部によって画定される。各アパーチャ内縁部は、該周壁内面と該周壁外面との間で面取りされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプと、
該ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードと、
体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつ該ポンプに連結されている、ポンプハウジングコンポーネントであって、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、
内面、
外面、ならびに
各排血用アパーチャが内縁部および外縁部によって画定されている、複数の排血用アパーチャ
を有し、
複数の支柱の各々が、第一の内縁部および第二の内縁部ならびに第一の外縁部および第二の外縁部を有し、該第一の内縁部および該第二の外縁部が、周壁内面と周壁外面との間で面取りされており、該第一の内縁部と該第二の外縁部とが隣接していない、該複数の支
柱、ならびに
1つまたは複数の排血用アパーチャの各々が、該複数の支柱の対の間に配置されている、該2つまたは複数の排血用アパーチャ
を備える、血液ポンプアセンブリ。
【請求項2】
各内縁部が約45°の面取り部を含む、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項3】
前記ポンプハウジングコンポーネントが電解研磨されている、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項4】
前記インペラブレードが少なくとも部分的に前記ポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされている、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項5】
前記ポンプハウジングコンポーネントが、第一の端部において前記ポンプに連結されており、かつ、該ポンプハウジングコンポーネントが、該第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレコンポーネントに連結されている、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項6】
前記カニューレコンポーネントが血液インレットマニホールドを含む、請求項5に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項7】
前記血液インレットマニホールドに連結されたピグテール延長部をさらに備える、請求項6に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項8】
該第一の内縁部と該第二の外縁部とが隣接していない、請求項1に記載の血液ポンプアセンブリ。
【請求項9】
インペラブレードをポンプに回転可能に連結する段階と、
該ポンプをポンプハウジングコンポーネントに連結する段階であって、該ポンプハウジングコンポーネントは、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、該インペラブレの回転軸に対して内周面と、内周面の半径方向外側に位置する外周面とを含み、
前記周壁に複数の排血用アパーチャを形成し、各排血用アパーチャは、内縁部と外縁部によって画定され、該内縁部は、丸み付け縁部分および面取り縁部分のうち1つを含む、段階と、
前記ポンプハウジングコンポーネントが、第一の端部において前記ポンプに連結されており、かつ、該ポンプハウジングコンポーネントが、該第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレコンポーネントに連結されていることを含む、
血液ポンプアセンブリの製造方法。
【請求項10】
前記カニューレコンポーネントが血液インレットマニホールドを含む、請求項9に記載の血液ポンプアセンブリの製造方法。
【請求項11】
ピグテール延長部を前記血液インレットマニホールドに連結することを含む、請求項10に記載の血液ポンプアセンブリの製造方法。
【請求項12】
前記ポンプハウジングコンポーネントを電解研磨することを含む、請求項9に記載の血液ポンプアセンブリの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)に基づいて、2014年5月13日に提出され参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第61/992,835号による優先権の恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は血液ポンプアセンブリに関する。より具体的には、本開示は血液ポンプアセンブリのハウジングコンポーネントに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
心臓内血液ポンプアセンブリなどの血液ポンプアセンブリは、心臓から動脈に血液を送達するために心臓内に導入される。血液ポンプアセンブリは心臓の左心室から血液を引いて血液を大動脈に駆出する。血液ポンプアセンブリは、心臓治療手技の際に、血管系を通じて経皮的に導入されることがある。具体的には、このポンプアセンブリは、カテーテル手技によって、大腿動脈から上行大動脈を通り、弁を越えて左心室に挿入されることがある。血液ポンプアセンブリによる血液のポンピングは、血液が血液ポンプアセンブリを通って引かれる際に、血液に損傷を与えることまたは溶血を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書に説明されるデバイスおよび製造の方法、ならびに実施形態は、溶血および血液の損傷を減少させるように設計されたハウジングコンポーネントを有する血液ポンプアセンブリを提供する。血液ポンプハウジングは、血液を駆出するように設計された排血用アパーチャを含む。排血用アパーチャは、面取り部または丸みによって丸くされた内縁部を有する。アパーチャの内縁部を丸くすることは、溶血を大幅に減少させる。面取りした内縁部を排血用アパーチャに用いることによって、血液は、角張っているかまたは丸くされていない縁部を通るフローと比べて剪断応力が低下しうるフローパターンをたどることが可能となる。これにより、血液がカニューレを通りそして血液ポンプハウジングから出る際に破裂する赤血球が減少し、その結果、溶血が少なくなる。例えば、面取りしたアパーチャ内縁部を血液ポンプハウジングに用いると、標準的なアパーチャ縁部と比べて、溶血のマーカーを50%超減少させることができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、血液ポンプハウジングの、隣接していない内縁部および外縁部が面取りされる。このことは、血液ポンプハウジングを出ていく血液の方向に対して垂直である、血液ポンプハウジングコンポーネントの支柱のプロフィルを減少させる。このような面取り構成は、アパーチャを出ていく血液中に引き起こされる剪断応力を大幅に低下させるとともに、ポンプハウジングの支柱によって血流中に引き起こされる後流のエリアを減少させる。これらの効果は、血液ポンプハウジングを通る血流の溶血を減少させうる。
【0006】
いくつかの実施形態において、面取り縁部は、45°の面取り部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、面取り縁部は、10°、20°、30°、40°、50°、50°超、または他の任意の好適な角度の面取り部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、面取り内縁部は、2つの縁部が支柱上で互いに対向して位置するように、アパーチャを通る血流に実質的に平行である2つの面取り縁部を有する、代替の面取り部を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アパーチャの内縁部は、面取りされる代わりにまたは面取りされることに加えて、丸み付けされていてもよいか、または代替的に面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、丸み付け縁部は、40マイクロメートル~105マイクロメートルの半径を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アパーチャ縁部は、一部の場所においてのみ丸み付けされていてもよい。
【0007】
種々の実施形態が、血液ポンプアセンブリ、および血液ポンプアセンブリを製造する方法を提供する。1つの局面において、血液ポンプアセンブリは、ポンプと、ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードとを含む。血液ポンプアセンブリはまたポンプハウジングコンポーネントも含み、該ポンプハウジングコンポーネントは、体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつポンプに連結されている。ポンプハウジングコンポーネントは、内面と外面とを有する周壁を含む。周壁は、1つまたは複数の排血用アパーチャを含む。各排血用アパーチャは、内縁部および外縁部によって画定される。排血用アパーチャの各内縁部は、内面と外面との間の面取り部分を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、血液ポンプアセンブリは、約45°の面取り部を含む内縁部を含む。他の実施形態において、血液ポンプアセンブリは、壁内面と外面との間で丸み付けされた外縁部を含む。特定の実施形態において、丸み付け外縁部は40マイクロメートルまたは40マイクロメートル超の半径を有する。他の実施形態において、丸み付け外縁部は105マイクロメートルまたは105マイクロメートル超の半径を有する。いくつかの実施形態において、血液ポンプアセンブリは、全体が丸み付けされた外縁部を有する。血液ポンプアセンブリは、電解研磨、機械的研磨、または他の任意の好適な手法で研磨されてもよい。いくつかの実施形態において、血液ポンプアセンブリは、第一の面取り角度を有する第一の面取り部分と、第一の面取り角度より大きい第二の面取り角度を有する第二の面取り部分とを有する、内縁部を含んでいてもよい。血液ポンプアセンブリは、少なくとも部分的にポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされたインペラブレードを含んでいてもよい。第一の端部においてポンプに連結されており、かつ、第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレに連結されている、ポンプハウジングコンポーネントを、血液ポンプアセンブリは含んでいてもよい。カニューレコンポーネントは血液インレットマニホールドを含む。いくつかの実施形態において、血液ポンプアセンブリはまた、血液インレットマニホールドに連結されたピグテール延長部も含む。
【0009】
別の局面において、血液ポンプアセンブリは、ポンプと、ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードとを含む。血液ポンプアセンブリはまたポンプハウジングコンポーネントも含み、該ポンプハウジングコンポーネントは、体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつポンプに連結されている。ポンプハウジングコンポーネントは、内面と外面とを有する周壁を含む。周壁は複数の支柱を含む。各支柱は、第一の内縁部および第二の内縁部、ならびに第一の外縁部および第二の外縁部を有する。各々の第一の内縁部および第二の外縁部は、内面と外面との間で面取りされており、第一の内縁部と第二の内縁部とは隣接していない。周壁はまた、1つまたは複数の排血用アパーチャも含む。各排血用アパーチャは、複数の支柱の対の間に配置されている。
【0010】
いくつかの実施形態において、複数の支柱の各第一の内縁部および各第二の外縁部は、約45°の面取り角度を有する。血液ポンプアセンブリは、電解研磨、機械的研磨、手動研磨、または任意の好適な方法で研磨されてもよい。血液ポンプアセンブリは、少なくとも部分的にポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされたインペラブレードを含む。ポンプハウジングコンポーネントは、第一の端部においてポンプに連結されている。ポンプハウジングコンポーネントは、第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレコンポーネントに連結されている。いくつかの実施形態において、カニューレコンポーネントは血液インレットマニホールドを含む。血液ポンプアセンブリは、血液インレットマニホールドに連結されたピグテール延長部を含んでいてもよい。
【0011】
別の局面において、血液ポンプアセンブリを製造する方法は、インペラブレードをポンプに回転可能に連結する段階を含む。該方法はまた、ポンプをポンプハウジングコンポーネントに連結する段階も含む。ポンプハウジングコンポーネントは、プロペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含む。周壁は、内面と、インペラの回転軸に対して放射方向で内面の外側に位置する外面とを含む。該方法はまた、周壁に複数の排血用アパーチャを形成する段階も含む。各排血用アパーチャは内縁部および外縁部によって画定される。排血用アパーチャの内縁部は、丸み付け縁部分と面取り縁部分とを含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、ポンプをポンプハウジングコンポーネントに連結する方法は、ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードを、少なくとも部分的にポンプハウジングコンポーネント内に位置決めする段階を含む。いくつかの実施形態において、複数の排血用アパーチャを形成する段階は、タンブリング加工によって外縁部を形成することを含む。特定の実施形態において、外縁部は、ローリング加工によって、または直角の縁部を除去することによって、形成される。いくつかの実施形態において、複数の排血用アパーチャを形成する段階は、内面と外面との間でアパーチャ外縁部の全体を丸み付けすることを含む。特定の実施形態において、内縁部は、タンブリング加工、ローリング加工、または直角の縁部を除去するための他の任意の好適な方法によって、丸み付けまたは面取りされる。いくつかの実施形態において、ポンプハウジングコンポーネントは、ポンプハウジングコンポーネントの第一の端部においてポンプに連結されており、かつ、カニューレコンポーネントは、第一の端部と反対側の、ポンプハウジングコンポーネントの第二の端部に連結されている。カニューレコンポーネントは血液インレットマニホールドを含む。いくつかの実施形態において、血液インレットマニホールドにピグテール延長部が連結されてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプハウジングコンポーネントは電解研磨される。
【0013】
別の局面において、血液ポンプアセンブリを作動させる方法は、ポンプハウジングコンポーネントによってカニューレ部分に連結されたポンプモーターを用いて血液インレットマニホールドにおいて血液ポンプアセンブリのカニューレ部分に血液を引き入れるため、回転軸の周りでインペラを回転させる段階、および、周壁の複数の排血用アパーチャを介して血液ポンプアセンブリから血液を駆出する段階を含む。ポンプハウジングコンポーネントは、インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含む。周壁は、周壁内面と、回転軸に対して放射方向で周壁内面の外側に位置する周壁外面とを含む。複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャは、アパーチャ内縁部およびアパーチャ外縁部によって画定され、アパーチャ内縁部は、周壁内面と周壁外面との間で面取りされた面取り縁部分を含む。いくつかの実施形態において、インペラブレードは、少なくとも部分的にポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされる。特定の実施形態において、血液インレットマニホールドは、複数のインレット開口部を含む。いくつかの実施形態において、該方法は、ピグテール延長部を血液インレットマニホールドに連結する段階をさらに含む。
【0014】
当業者には、本開示の検討後にバリエーションおよび修正が想起されるであろう。開示されている特徴は、本明細書に説明されている1つまたは複数の他の特徴とともに、任意の組み合わせおよび下位の組み合わせ(複数の従属的な組み合わせおよび下位の組み合わせを含む)において実施されてもよい。以上に説明または例示されている種々の特徴は、それらの任意の構成要素も含めて、他のシステムに組み合わされるかまたは統合されてもよい。さらに、特定の特徴は省略されてもよく、または実施されなくてもよい。
[本発明1001]
ポンプと、
該ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードと、
体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつ該ポンプに連結されている、ポンプハウジングコンポーネントであって、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、
内面、
外面、ならびに
各排血用アパーチャが内縁部および外縁部によって画定されている、1つまたは複数の排血用アパーチャ
を有し、
各内縁部が、該内面と該外面との間で面取りされている、
ポンプハウジングコンポーネントと
を備える、血液ポンプアセンブリ。
[本発明1002]
各内縁部が約45°の面取り部を含む、本発明1001の血液ポンプアセンブリ。
[本発明1003]
各外縁部が前記内面と前記外面との間で丸み付けされている、本発明1001または1002の血液ポンプアセンブリ。
[本発明1004]
各丸み付け外縁部が、約40マイクロメートルまたは約40マイクロメートル超の半径を有する、本発明1001~1003のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1005]
各丸み付け外縁部が、約105マイクロメートルまたは約105マイクロメートル超の半径を有する、本発明1001~1004のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1006]
各外縁部の全体が丸み付けされている、本発明1001~1005のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1007]
前記ポンプハウジングコンポーネントが電解研磨されている、本発明1001~1006のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1008]
各内縁部が、第一の面取り角度を有する第一の面取り部分と、該第一の面取り角度より大きい第二の面取り角度を有する第二の面取り部分とを含む、本発明1001~1007のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1009]
前記インペラブレードが、少なくとも部分的に前記ポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされている、本発明1001~1008のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1010]
前記ポンプハウジングコンポーネントが、第一の端部において前記ポンプに連結されており、かつ、該ポンプハウジングコンポーネントが、該第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレコンポーネントに連結されている、本発明1001~1009のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1011]
前記カニューレコンポーネントが血液インレットマニホールドを含む、本発明1001~1010のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1012]
前記血液インレットマニホールドに連結されたピグテール延長部をさらに備える、本発明1001~1011のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1013]
ポンプと、
該ポンプに回転可能に連結されたインペラブレードと、
体腔を通過するようにサイズ決めされており、かつ該ポンプに連結されている、ポンプハウジングコンポーネントであって、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、
内面、
外面、
複数の支柱の各々が、第一の内縁部および第二の内縁部ならびに第一の外縁部および第二の外縁部を有し、該第一の内縁部および該第二の外縁部が、周壁内面と周壁外面との間で面取りされており、かつ、該第一の内縁部と該第二の外縁部とが隣接していない、該複数の支柱、ならびに
1つまたは複数の排血用アパーチャの各々が、該複数の支柱の対の間に配置されている、該1つまたは複数の排血用アパーチャ
を含む、
ポンプハウジングコンポーネントと
を備える、血液ポンプアセンブリ。
[本発明1014]
前記複数の支柱の各第一の内縁部および各第二の外縁部が約45°の面取り角度を有する、本発明1013の血液ポンプアセンブリ。
[本発明1015]
前記ポンプハウジングコンポーネントが電解研磨されている、本発明1013または1014の血液ポンプアセンブリ。
[本発明1016]
前記インペラブレードが、少なくとも部分的に前記ポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされている、本発明1013~1015のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1017]
前記ポンプハウジングコンポーネントが、第一の端部において前記ポンプに連結されており、かつ、該ポンプハウジングコンポーネントが、該第一の端部と反対側の第二の端部においてカニューレコンポーネントに連結されている、本発明1013~1016のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1018]
前記カニューレコンポーネントが血液インレットマニホールドを含む、本発明1013~1017のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1019]
前記血液インレットマニホールドに連結されたピグテール延長部をさらに備える、本発明1013~1018のいずれかの血液ポンプアセンブリ。
[本発明1020]
インペラブレードをポンプに回転可能に連結する段階;
該ポンプをポンプハウジングコンポーネントに連結する段階であって、該ポンプハウジングコンポーネントが、該インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、内面と、該インペラの該回転軸に対して放射方向で該内面の外側に位置する外面とを含む、段階;ならびに
複数の排血用アパーチャを該周壁に形成する段階であって、該複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャが内縁部および外縁部によって画定され、該内縁部が、丸み付け縁部分および面取り縁部分のうち1つを含む、段階
を含む、血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1021]
前記ポンプを前記ポンプハウジングコンポーネントに連結する段階が、該ポンプに回転可能に連結された前記インペラブレードを、少なくとも部分的に該ポンプハウジングコンポーネント内に位置決めすることを含む、本発明1020の血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1022]
前記複数の排血用アパーチャを形成する段階が、タンブリング加工によって前記外縁部を形成することを含む、本発明1020または1021の血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1023]
前記複数の排血用アパーチャを形成する段階が、ローリング加工によって前記外縁部を形成することを含む、本発明1020~1022のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1024]
前記複数の排血用アパーチャを形成する段階が、直角の縁部を除去することによって前記外縁部を形成することを含む、本発明1020~1023のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1025]
前記複数の排血用アパーチャを形成する段階が、前記内面と前記外面との間で前記外縁部の全体を丸み付けすることを含む、本発明1020~1024のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1026]
前記ポンプハウジングコンポーネントが、該ポンプハウジングコンポーネントの第一の端部において前記ポンプに連結されており、かつ、前記方法が、カニューレコンポーネントを、該第一の端部と反対側の、該ポンプハウジングコンポーネントの第二の端部に連結する段階をさらに含む、本発明1020~1025のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1027]
前記カニューレコンポーネントが血液インレットマニホールドを含む、本発明1020~1026のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1028]
ピグテール延長部を前記血液インレットマニホールドに連結する段階をさらに含む、本発明1020~1027のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1029]
前記ポンプハウジングコンポーネントを電解研磨する段階をさらに含む、本発明1020~1028のいずれかの血液ポンプアセンブリを製造する方法。
[本発明1030]
ポンプハウジングコンポーネントによって血液ポンプアセンブリのカニューレ部分に連結されたポンプモーターを用いて血液インレットマニホールドにおいて該カニューレ部分に血液を引き入れるため、回転軸の周りでインペラを回転させる段階であって、該ポンプハウジングコンポーネントが、インペラブレードの該回転軸の周りに伸びている周壁を含み、該周壁が、周壁内面と、該回転軸に対して放射方向で該周壁内面の外側に位置する周壁外面とを含む、段階;ならびに
該周壁の複数の排血用アパーチャを介して該血液ポンプアセンブリから血液を駆出する段階であって、該複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャが、アパーチャ内縁部およびアパーチャ外縁部によって画定され、該アパーチャ内縁部が、該周壁内面と該周壁外面との間で面取りされた面取り縁部分を含む、段階
を含む、血液ポンプアセンブリを作動させる方法。
[本発明1031]
前記インペラブレードが、少なくとも部分的に前記ポンプハウジングコンポーネント内に位置決めされている、本発明1030の血液ポンプアセンブリを作動させる方法。
[本発明1032]
前記血液インレットマニホールドが複数のインレット開口部を含む、本発明1030または1031の血液ポンプアセンブリを作動させる方法。
[本発明1033]
ピグテール延長部を前記血液インレットマニホールドに連結する段階をさらに含む、本発明1030~1032のいずれかの血液ポンプアセンブリを作動させる方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者は、添付の図面が、主として例示を目的としたものであり、本明細書に説明される内容の範囲を制限することを意図していないことを理解するであろう。図面は必ずしも縮尺が一律でなく、場合によっては、異なる特徴の理解を助けるため、本明細書に開示される内容のさまざまな局面が、図面において誇張または拡大して示されることもある。図面において、同様の参照記号は、概して同様の特徴を指す(例えば、機能的に類似した要素かつ/または構造的に類似した要素など)。
【
図1】例示的実施形態に従って、面取り縁部を含む血液ポンプハウジングコンポーネントの斜視図を示している。
【
図2】例示的実施形態に従って、丸み付け縁部と面取り縁部とを含むインペラの上面断面図を提供する。
【
図3】異なる断面幾何学形状を有するポンプハウジング支柱を通過している血液に関連する剪断応力を示している。
【
図4】異なる断面幾何学形状を有するポンプハウジング支柱を通過している血液に関連する剪断応力を示している。
【
図5】異なる断面幾何学形状を有するポンプハウジング支柱を通過している血液に関連する剪断応力を示している。
【
図6】異なる断面幾何学形状を有するポンプハウジング支柱を通過している血液に関連する剪断応力を示している。
【
図7】面取りされたハウジングコンポーネントに関連する溶血の減少を示したボックスプロットを示している。
【
図8】例示的実施形態に従って血液ポンプアセンブリの斜視図を示している。
【
図9】例示的実施形態に従って、血液ポンプアセンブリを製造する方法を図示している。
【0016】
本明細書に開示される本発明の概念の特徴および利点は、これら図面とともに以下の説明を読むことによって、より明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下は、血液ポンプアセンブリを提供する本発明のシステムおよび方法に関するさまざまな概念、および、本発明のシステムおよび方法の実施形態についての、より詳細な説明である。開示される概念は、実施形態のいかなる特定の様式にも限定されることはなく、したがって、上記で概説されそして以下により詳しく述べられるさまざまな概念は、多数あるうちの任意の手法で実施されてもよいことが理解されるべきである。特定の実施形態および用途の例は、主として例示の目的で提供される。
【0018】
本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法は、血液ポンプを通る血流によって生じる溶血および類似の血液損傷を減少させる。設計上の様々な局面の中でも特に、血液ポンプハウジングのアパーチャ縁部を調整することによって、または、適切な位置決めを確実にするようハウジングに追加の調整を行うことによって、血液ポンプアセンブリの使用により溶血の発生が減少する。
【0019】
図1は、例示的実施形態に従って、面取り内縁部105 c~fを含む血液ポンプハウジングコンポーネント102の図を示している。ポンプハウジングコンポーネントは、上流端部110と、下流端部111と、周壁115と、内面107と、外面108と、内面107と外面108との間にわたる複数のアパーチャ周囲表面104と、排血用アパーチャ103 a~fを画定する内縁部116および外縁部118と、支柱106 a~fとを含む。ポンプハウジングコンポーネント102の下流端部111はポンプ(図には示していない)に連結するように構成され、かつ、上流端部110はカニューレ(図には示していない)に連結するように構成される。いくつかの実施形態において、ポンプハウジングコンポーネント102は、ポンプを封入し、かつ、回転可能にポンプに連結されたインペラを収容するように構成される。ポンプハウジングコンポーネント102の周壁115は、実質的に円柱形であり、かつ、下流端部111から上流端部110まで軸101の周りに伸びている。いくつかの実施形態において、軸101は、ポンプハウジングコンポーネント102に連結されたマイクロ軸流ポンプに回転可能に連結されかつポンプハウジングコンポーネント102内に位置決めされたインペラの回転軸である。排血用アパーチャ103 a~fは、ポンプと、ポンプに連結されたインペラとによって、ポンプハウジングコンポーネントに連結されたカニューレに引き入れられた血液を、駆出するように構成される。図には6つのアパーチャが示されているが、任意の好適な数(例えば、1、2、3、4、5、7、8、10、10超、または任意の好適な数)のアパーチャが含まれていてよい。排血用アパーチャ103 a~fは、丸み付けコーナー部112 a~fを有するアパーチャを含むが、いくつかの実施形態において、アパーチャは、丸みのあるアパーチャ、円形のアパーチャ、または任意の好適な形状のアパーチャを含んでいてもよい。排血用アパーチャ103 a~fは、内面107から外面108まで、ポンプハウジングコンポーネント102の周壁115を通って伸びている。排血用アパーチャ103 a~fのアパーチャ周囲表面104 a~fは、それぞれ、丸み付け縁部分105 a~fを含む。丸み付け縁部分105 a~fは、内面107とアパーチャ周囲表面104 a~fとによって形成された内縁部116を含んでいてもよい。丸み付け縁部分105 a~fは、内縁部116を含む代わりに、またはこれに加えて、外面108とアパーチャ周囲表面104 a~fとによって形成された外縁部118を含んでいてもよい。丸み付け縁部分105 a~fは、内面107から外面108まで伸びていてもよい。排血用アパーチャ103 a~fの内縁部116または外縁部118は、面取りされて、面取り表面105 c~fを形成する。特定の実施形態において、面取り表面105 c~fは、片側または両側をラークスタン(lark's tongue)117によって境界付けされる。いくつかの実施形態において、アパーチャ周囲表面104 a~fは、内縁部116または外縁部118の全体に沿って丸み付けされる。特定の実施形態において、アパーチャ周囲表面104 a~fは、内縁部116または外縁部118の一部分のみに沿って丸み付けされる。支柱106 a~fは、アパーチャ周囲表面104 a~fの一部分に沿って、排血用アパーチャ103 a~fの間に位置する。いくつかの実施形態において、排血用アパーチャ103 a~fの間に位置する支柱106 a~fは、排血用アパーチャ103 a~fと、排血用アパーチャ103 a~fの丸み付けまたは面取り縁部105 c~fとの、サイズ、数、および分布によって、幾何学形状がさまざまである。支柱106の幾何学形状はまた、内縁部116および外縁部118の曲率または面取りの変更によってさまざまになってもよい。
【0020】
ポンプハウジングコンポーネント102は金属から構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプハウジングコンポーネント102は電解研磨される。アパーチャ周囲表面104 a~fの丸み付け縁部分105 a~fは、内面107と外面108との間の領域において少なくとも部分的にアパーチャ周囲表面104 a~fが丸み付けされるように、タンブリング加工、ローリング加工、機械加工、または他の任意の好適な材料除去加工によって形成されてもよい。内縁部116または外縁部118の一部分を丸み付けする前に、アパーチャ周囲表面104 a~fと内面107または外面108とが、面取りされているかまたは90度の角度に構成されている縁部を含んでいてもよい。したがって、アパーチャ周囲縁部は、直角の縁部を除去するために丸み付けまたは面取りされてもよい。
【0021】
図2は、例示的実施形態に従って、丸み付け縁部を含む血液ポンプハウジングコンポーネント102の上面断面図を提供する。
図1に示されているように、断面において支柱206 a~fによって画定される排血用アパーチャは、面取り内縁部209 a~fと、丸み付け外縁部205 a~fとを含む。例示的実施形態において、内縁部と外縁部とが両方とも面取りされるか、両方とも丸み付けされるか、または、内縁部が丸み付けされてもよくかつ外縁部が面取りされていてもよい。いくつかの実施形態において、内縁部は、非限定的に40マイクロメートルを含む半径を有していてもよい。いくつかの実施形態において、外縁部は、非限定的に105マイクロメートルを含む半径を有していてもよい。
【0022】
図3~6は、異なる断面幾何学形状を有する支柱の周りの血流に関連する剪断応力のコンピュータ試験の結果を示している。各図は、
図3~6の見え方が、
図2に図示されている断面図の一部分に対応するように、排血用アパーチャ103を通り支柱106を通過して血液ポンプハウジング102の内部から出る血液の流れを図示している。各図において、血液の流れは概ね左から右、血液ポンプハウジングの内部から外部への流れである。図示されているように、血液は血液ポンプハウジングの内部から純粋に放射方向に排出されるのではなく、接線方向の速度成分もかなり有している。各点で感知される血流および剪断応力の方向は矢印によって各図に図示されている。各点における剪断応力の大きさは矢印の陰影によって示されている。より明るい陰影は低い剪断応力、より暗い陰影は高い剪断応力を示す。
【0023】
図3は、角張ったコーナー部303 a~dを有し、幅306の後流304を生じさせる支柱断面302を示している。支柱断面302は、応力が比較的高い領域308を血流内に作り出す。
図4は、面取りコーナー部403 a~bと、角張ったコーナー部403 c~dとを有する支柱断面402を示している。支柱断面402は、幅406の後流404を生じさせ、応力が比較的高い領域408を血流内に作り出す。
図5は、丸み付けコーナー部503 a~dを有し、幅506の後流504を生じさせる支柱断面502を示している。支柱断面502は、応力が比較的高い領域508を血流内に作り出す。
図6は支柱を示しており、該支柱は、コーナー部 603 a と 603 b とが隣接するコーナー部ではない面取りコーナー部603 a~bと角張ったコーナー部603 c~dとを有する、断面602を有する。支柱断面602は、幅606の後流604を生じさせる。支柱断面602は、剪断応力が上昇した領域608を血流内に作り出す。
図3~6に図示されているように、支柱の断面形状は、排血用アパーチャから出る血液の流れの剪断応力および方向に影響を与える。これは、血液ポンプハウジングの内側から血液ポンプハウジングの外側へと流れる血液が、支柱に直面して支柱の周りを流れなくてはならないからである。この結果、血液が支柱の周りに別れる際に、応力の大きなエリア308、408、508、608が生じる。加えて、このことは、支柱の後ろに後流304、404、504、および604を引き起こす。各後流のサイズは、各支柱の幾何学形状によって誘発されるフローパターンの崩壊に対応することができる。血液ポンプハウジングから出る赤血球の剪断応力が小さくなると、フローパターンの外傷性が低くなり、ゆえに血球の損傷および破裂(例えば溶血など)の可能性が低下する。このことは、細胞破裂なしで血球がその形状および弾性を維持することを可能にすることもできる。
【0024】
図3~6に図示されているように、異なる支柱幾何学形状は、異なるフローパターンおよび関連応力を引き起こす。支柱断面302は、その直角のコーナー部303 a~dによって、比較的大きなフロー崩壊を引き起こす。支柱断面302の下縁部に沿った高応力領域308は、圧力が高いエリアを示しており、このエリアにおいて、血液は、血液ポンプハウジングの内部において支柱の長辺に沿って移動し、そして支柱302の角張ったコーナー部303 dを回って排血用アパーチャを通る際に、力を受けてその経路からそれる。血液ポンプハウジングの外側において、支柱の後ろの後流304は、支柱302のサイズと比較して大きい。丸み付けコーナー部503 a~dを有する支柱断面502も、血液が支柱を回りそして排血用アパーチャから外に流れる際に、同様の、応力が比較的高い領域508を有する。血液ポンプハウジングの外側において、丸みのある支柱504の後ろの後流は、幅が支柱302のそれより小さい。面取りされた支柱402は、応力が高いエリア408と、支柱404の後ろの比較的大きな後流とを有し、このことは、この幾何学形状が血流に比較的大きな妨害をもたらすことを示している。
【0025】
支柱断面602は、引き起こすフロー妨害がより少なく、その結果、支柱断面302、402、および502と比較して剪断応力が低い(例えば、10%低いか、20%低いか、30%低いか、またはそれより低いなど)。血液が支柱を回りそして排血用アパーチャを通って移動する際に、血液ポンプハウジングの内部に向けられた角張ったリーディングエッジ603 cと、血液ポンプハウジングから出る血液の流れに実質的に平行である面取り縁部603 a~bとによって、剪断応力が上昇した比較的小さなエリア608ができる。支柱602の下流の後流604は比較的小さく(例えば、後流304のサイズの約50%、30%、20%、または20%未満)、比較的小さなフロー崩壊エリアを伴うのみである。このように、支柱604の面取り幾何学形状は、もたらすフロー崩壊が比較的小さく、このことは、支柱断面302、402、および502と比較して溶血を減少させうる。
【0026】
図7は、標準的な直角の排血用アパーチャ縁部704を有する血液ポンプアセンブリと、支柱の断面幾何学形状が
図4に図示した幾何学形状に類似しているように面取りされたアパーチャ内縁部707を有する血液ポンプアセンブリとの、溶血試験の結果を比較したボックスプロット700を示している。直角の排血用アパーチャ縁部を有する血液ポンプアセンブリは電解研磨された。機械加工によって作成された面取り縁部を有する血液ポンプアセンブリは、電解研磨およびタンブリング加工された。これら血液ポンプアセンブリは、排血用アパーチャの幾何学形状およびそれら幾何学形状を形成する方法を除いて、すべての点において同一であった。直角の排血用アパーチャを有する血液ポンプアセンブリと、面取りされた排血用アパーチャを有する血液ポンプアセンブリとは、同一のHemolysis Mock Loops、部品番号0046-6667内に取り付けられた。このループは、恒温槽によって37℃±2℃に加温された主貯血槽から血液を引く。血液は、圧力差が維持されたまま、血液ポンプによって、血液ポンプハウジングを通ってポンピングされる。試験のために選択される条件は、デバイスの作動中に生じると予測される最悪の条件を表すように選択される。溶血試験はASTM Standard F 1841-97 (2005)に従って行われた。シアノヘモグロビン法に従って、試験の開始時および終了時に血漿遊離ヘモグロビン濃度およびヘマトクリットを評価した。y軸702は修正溶血指数(MIH)を示しており、これは、血漿中に放出されたヘモグロビン量を、デバイスを通ってポンピングされた血液の総量に含まれるヘモグロビンで正規化したものである。ボックスプロット700は、標準的な直角の排血用アパーチャと比較して、面取り縁部の使用によって平均MIHが50%より大きく低下したことを示している。このように、インペラブレードの幾何学形状またはポンプ設計の他の局面を変更しなくても、面取りされたアパーチャ設計の使用によって、溶血が大幅に減少する。
【0027】
前述の血液ポンプハウジングコンポーネントは、血液ポンプアセンブリに組み込まれていてもよい。
図8は、特定の実施形態に従って、そのような血液ポンプアセンブリ800を示している。血液ポンプアセンブリ800は、血液ポンプ801と、ハウジングコンポーネント802と、インペラブレード803と、カニューレ804と、血液インレットマニホールド805と、ピグテール延長部806とを含む。血液ポンプ801はハウジングコンポーネント802を介してカニューレ804に連結される。ハウジングコンポーネントの特徴は、それぞれ
図1および2のハウジングコンポーネント102および202の特徴と類似している。ハウジングコンポーネント802は、内縁部116と外縁部118とを有する1つまたは複数のアパーチャ103を含む。いくつかの実施形態において、内縁部116および外縁部118のいずれかまたは両方が、溶血の減少を助ける、丸み付け縁部分または面取り縁部分105を含んでいてもよい。いくつかの実施形態に従って、丸み付け縁部分または面取り縁部分は、面取り部もしくは半径を機械加工することによって、または、タンブリング加工を介して、得られてもよい。面取り縁部分は、対称的な面取り部または非対称的な面取り部を含んでいてもよい。面取り部は、非限定的に45°の面取り部を含んでいてもよい。
【0028】
血液ポンプアセンブリ801は、血液ポンプ801に連結されたカテーテル807を含む。いくつかの実施形態において、血液ポンプ801はモーターを含む。そのような場合、カテーテル807は、ポンプモーターを1つまたは複数の電気式コントローラまたは他のセンサーに連結している導線を収容していてもよい。特定の実施形態において、血液ポンプは、患者の体外のポンプ部分によって(例えば可撓性のドライブシャフトを介して)駆動される。カテーテル807はまた、例えばパージ用流体コンジット、またはガイドワイヤを受けるように構成された他のコンジットなど、他の構成要素も収容していてもよい。ハウジングコンポーネント802は、カニューレ804に引き入れられた血液を血液ポンプアセンブリ800の外に駆出または排出するように構成された、1つまたは複数のアパーチャまたは開口部を含む。いくつかの実施形態において、ハウジングコンポーネント802は血液ポンプ801を封入する。いくつかの実施形態において、血液ポンプ801は、5L/分と2.5L/分の範囲を非限定的に含むポンピング能力を有するマイクロ軸流ポンプを含む。いくつかの実施形態において、血液ポンプ801は、21Fr~10Frの範囲を非限定的に含む直径を有するマイクロ軸流ポンプを含む。
【0029】
血液ポンプ801は、血液ポンプ801に回転可能に連結されたインペラブレード803を含む。カニューレ804は、細長い可撓性のホース部分を含んでいてもよく、例えばニチノールコイルなどの形状記憶コイルを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、カニューレ804は、少なくとも部分的に、ポリウレタン材料から構成される。いくつかの実施形態において、カニューレ804は、12Fr~9Frの範囲を非限定的に含む直径を有する。いくつかの実施形態において、カニューレ804は45°の曲がり部を含む。カニューレ804は、血流を血液ポンプアセンブリ800内に受けるため、カニューレ804の近位端においてカニューレ804に連結された血液インレットマニホールド805を含む。血液インレットマニホールド805は、インレットマニホールド805内に位置する、1つまたは複数の血液インレット開口部を含む。血液インレットマニホールド805はピグテール延長部806をカニューレ804に連結している。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部は6Frの直径を有する。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部は4~8Frの範囲の直径を有する。
【0030】
ピグテール延長部806は、血液ポンプアセンブリ800を安定化するのをおよび左心室内の正しい位置に位置決めするのを補助する。いくつかの実施形態において、血液ポンプアセンブリ800は、大腿動脈を通りそして左心室内へと経皮的に挿入される。適切に位置している場合、血液ポンプアセンブリ800は、左心室の内側にある血液インレットマニホールド805のインレットエリアから、カニューレ804を通り、上行大動脈内に位置決めされたハウジングコンポーネント802のアウトレット開口部へと、血液を送達する。
【0031】
いくつかの実施形態に従って、ピグテール延長部806は、まっすぐな構成から、部分的にカーブした構成まで、構成可能である。したがって、ピグテール延長部806は、少なくとも部分的に、可撓性材料から構成されていてもよい。いくつかの実施形態に従って、ピグテール延長部806は二重剛性を有していてもよい。より具体的には、いくつかの実施形態において、ピグテール延長部806は、ピグテール延長部806の近位部808より柔らかいかまたは剛性が低い材料から構成された遠位部810を含む。近位部は、血液インレットマニホールド805およびカニューレ804と異なる材料から構成されていてもよく、かつこれらと異なる構造を有していてもよい。近位部808は、近位部808の座屈を実質的に防ぐように充分剛性であってもよく、これによって、血液インレットマニホールド805の血液インレット開口部を心室尖部の外に保ちつつ、ハウジングコンポーネント802の血液アウトレット開口部または排血用アパーチャが心臓の大動脈弁の中または心室の中に移動する可能性を減少させてもよい。ピグテール延長部806の遠位部810は、心室壁と接触するための非外傷性先端を提供しかつガイドワイヤの装填を可能にするため、近位部808に対して可撓性である。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部の近位部808と遠位部810とは、異なる剛性を有する異なる材料から構成される。いくつかの実施形態において、ピグテール延長部の近位部108と遠位部810とは、異なる剛性を有する同じ材料から構成される。
【0032】
図9は、特定の実施形態に従って血液ポンプアセンブリを製造するための方法900を図示している。方法900は、前述の任意の実施形態で血液ポンプアセンブリ800を製造するために実施されてもよく、これ実施形態には、丸み付けされた丸くなった縁部、面取りされた丸くなった縁部、またはそれらの何らかの組み合わせである丸くなった縁部を有する排血用アパーチャを有し、アパーチャ周囲表面と内面とによって、アパーチャ周囲表面と外面とによって、またはその両方によって形成された縁部が丸くされていてもよい、血液ポンプアセンブリが非限定的に含まれる。方法900は、周囲縁部および内面もしくは外面の周り全体かまたはいくつかの部分だけが面取りまたは丸み付けされた、面取りまたは丸み付け縁部を有する排血用アパーチャを有する血液ポンプアセンブリを製造するために実施されてもよい。方法900は、任意の数およびサイズの排血用アパーチャを有する血液ポンプアセンブリを製造するために実施されてもよい。段階902において、インペラブレード803などのインペラブレードが、ポンプ801などの血液ポンプに回転可能に連結される。段階904において、血液ポンプが、ポンプハウジング802などのポンプハウジングに連結される。ポンプハウジングは、インペラブレードの回転軸の周りに伸びている周壁を含み、周壁は、内面と、インペラの回転軸に対して放射方向で内面の外側に位置する外面とを含む。段階906において、排血用アパーチャ803などの排血用アパーチャがいくつか、血液ポンプハウジング802の壁に形成される。複数の排血用アパーチャの各排血用アパーチャはアパーチャ内縁部およびアパーチャ外縁部によって画定され、アパーチャ内縁部は、丸み付け縁部分および面取り縁部分のうち1つを含む。実施形態に従って、ポンプハウジングコンポーネントは金属から構成されていてもよい。いくつかの実施形態において、ポンプハウジングコンポーネントは電解研磨される。アパーチャ周囲表面の面取り縁部分は、内縁部または外縁部の領域において少なくとも部分的にアパーチャ周囲表面が丸み付けされるように、タンブリング加工、ローリング加工、機械加工、もしくは材料除去加工、または他の任意の好適な製作加工によって形成されてもよい。内縁部または外縁部の一部分を丸み付けする前に、アパーチャ周囲表面と内面または外面108とが、面取りされているかまたは90度の角度に構成されている縁部を含んでいてもよい。したがって、内縁部または外縁部は、直角の縁部を除去するために丸み付けまたは面取りされてもよい。
【0033】
本明細書において使用される場合、「およそ」、「約」、「実質的に」、および類似の用語は、本開示の内容が属する技術分野の当業者により受け入れられている一般的な用法と調和する、広い意味を持つことが意図されている。本開示を検討する当業者に理解されるべきこととして、これらの用語は、説明される特定の特徴を記述することを可能にするが、提供される精密な数値範囲にそれらの特徴を限定するわけではないことが意図されている。したがって、これらの用語は、説明される内容に対する非実質的または非重要な修正または変更は本開示の範囲内に入るとみなされることを示しているとして解釈されるべきである。
【0034】
本開示の目的に関して、「連結された」という用語は、2つの部材を直接的または間接的に互いに接続することを意味する。そのような接続は、その性質が静止または可動式であってもよい。そのような接続は、それら2つの部材か、もしくは、2つの部材と、互いに単一の単位体として一体式に形成された任意の追加的中間部材とによって、または、それら2つの部材か、もしくは、2つの部材と、互いに取り付けられた任意の追加的中間部材とによって、実現されてもよい。そのような接続は、永久的な性質のものであってもよいか、または、取り外しもしくは解放可能な性質のものであってもよい。
【0035】
他の例示的な実施形態に従って、さまざまな要素の配向が異なっていてもよいこと、および、そのようなバリエーションは本開示によって包含されると意図されていることに注意されたい。開示される実施形態の特徴は、開示される他の実施形態に組み込まれてもよいことが認識される。
【0036】
重要な点として、さまざまな例示的実施形態に示されている、装置またはその構成要素の構造および配置は、実例的なものにすぎないことに注意されたい。本開示においては少数の実施形態を詳しく説明したのみであるが、開示内容の新規の教示および利点から著しく逸脱することなく多数の変更(例えば、種々の要素のサイズ、寸法、構造、形状、および割合、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きなどのバリエーション)が可能であることが、本開示を検討する当業者には容易に理解されるであろう。例えば、一体式に形成されるとして示されている要素が複数の部品または要素として構築されてもよく、要素の位置が逆転またはその他変更されてもよく、かつ、別個の要素または位置の性質または数が修正または変更されてもよい。任意のプロセスまたは方法の段階の順序は、代替の実施形態に従って変更または並び替えされてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな例示的実施形態の設計、作動条件、および配置に対して、他の代用、修正、変更、および省略を行うことも可能である。
【0037】
本発明のさまざまな実施形態を本明細書に説明および例示したが、当業者には、本明細書に説明されている機能を行うための、ならびに/または、本明細書に説明されている結果および/もしくは本明細書に説明されている利点のうち1つもしくは複数を得るための、他のさまざまな機構ならびに/または構造が容易に想像できるものと考えられ、そのようなバリエーションならびに/または修正の各々は、本明細書に説明されている発明の実施形態の範囲内に入るものと考えられる。より一般的には、本明細書に説明されているパラメータ、寸法、材料、および構成は、特に断りのない限り、いずれも例示的なものであると意図されていること、ならびに、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が用いられる具体的な用途によって異なることが、当業者に容易に理解されるであろう。当業者は、本明細書に説明されている本発明の具体的な実施形態に対する多数の同等物を、ルーチンの実験のみを用いて、認識するかまたは確認できるであろう。したがって、上記の実施形態は例としてのみ提示されていること、ならびに、具体的に説明および特許請求されている以外にも、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において発明の実施形態が行われうることが、理解されるべきである。本開示の発明の実施形態は、本明細書に説明されている個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のうち2つまたはそれ以上の任意の組み合わせは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに相反しないのであれば、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【0038】
また、本明細書に説明されている技術は、その少なくとも1つの実施例が上記に提供されている方法として実施されてもよい。方法の一部として行われる行為は、特に断りがない限り、任意の好適なやり方で順序付けされてもよい。したがって、実施形態は、例示と異なる順序で行為が行われるように構築されてもよく、これには、例示的実施形態においては逐次的な行為として示されているものであっても、いくつかの行為を同時に行うことも含まれうる。
【0039】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確な断りがない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または・もしくは」は、上記で定義されているように「および・ならびに/もしくは・または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、列挙中の項目を分ける際に、「または・もしくは」または「および・ならびに/もしくは・または」は、包括的、すなわち少なくとも1つを含むが、複数の要素のうちまたは要素の列挙のうち2つ以上も含み、かつ任意で、列挙されていない追加的項目も含むと解釈されるべきである。そうでないことが明記されている用語、例えば「~のうち1つのみ」または「~のうち厳密に1つ」などのみが、複数の要素または要素の列挙のうち厳密に1つの要素のみを含むことを意味する。全体として、本明細書において使用される「または・もしくは」という用語は、「いずれか」、「~のうち1つ」、「~のうち1つのみ」、または「~のうち厳密に1つ」など、排他的な用語が先行している場合にのみ、排他的なもの(すなわち「一方または他方であるが両方ではない」)を示すものと解釈されるべきである。
【0040】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つまたは複数の要素に関する「少なくとも1つ」という句は、その要素列挙内の要素のうち任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素列挙内に具体的に列挙されている各々の要素のうち少なくとも1つを必ずしも含むわけではなく、かつ、要素列挙内の要素の任意の組み合わせを除外するわけではないことが、理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」の句が指す要素の列挙内に具体的に特定されている要素と関係していてもしていなくても、具体的に特定されているそれら要素と異なる要素が任意で存在しうることも可能にする。ゆえに、非限定的な例として、「AおよびBのうち少なくとも1つ」(または、同等である「AまたはBのうち少なくとも1つ」、または、同等である「Aおよび/またはBのうち少なくとも1つ」)は、1つの実施形態において、Bがない(かつ任意でB以外の要素を含む)、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのAを指すことができ;別の実施形態において、Aがない(かつ任意で、A以外の要素を含む)、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのBを指すことができ;また別の実施形態において、2つ以上を含む少なくとも1つのAと、任意で2つ以上を含む少なくとも1つのB(かつ任意で、他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0041】
特許請求の範囲においてならびに上記の明細書において、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「~から構成される」などのすべての移行句は、制約的でない、すなわち、含むがそれに限定されるわけではないことを意味すると理解されるべきである。
【0042】
特許請求の範囲は、その旨の記述がない限り、説明されている順序または要素に限定されるものとして読まれるべきでない。添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって形態および詳細にさまざまな変更が行われうることが、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲およびその同等物の精神および範囲に入るすべての実施形態が特許請求される。