(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045368
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】成分決定装置、成分決定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20240326BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013094
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2020509853の分割
【原出願日】2019-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2018066021
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】児玉 美幸
(72)【発明者】
【氏名】久保 彬子
(72)【発明者】
【氏名】中谷 春菜
(72)【発明者】
【氏名】保田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷田 千里
(72)【発明者】
【氏名】市橋 徹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用者の健康状態に応じて的確に栄養成分を決定する成分決定装置、成分決定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】成分決定装置を含む生成装置を有する体組成測定装置において、成分決定装置が利用者に対して提供される飲食物の栄養成分を決定する方法は、利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と、当該利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標と、を取得し(S1)、前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記栄養成分を決定する(S2)。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対して提供される飲食物の栄養成分を決定する成分決定装置であって、
利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と、当該利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標と、を取得する取得手段と、
前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記栄養成分を決定する決定手段と、
を含むことを特徴とする成分決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成分決定装置であって、
前記決定手段は、前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記利用者の体型を管理するのに必要となる前記栄養成分を算出する、
成分決定装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の成分決定装置であって、
所定の体型タイプごとに、前記利用者の体型を管理するのに必要となる前記栄養成分を対応付けて保持する保持手段をさらに含み、
前記決定手段は、
前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記所定の体型タイプの中から前記利用者の体型が属する体型タイプを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された体型タイプに基づいて、前記保持手段を参照し、当該体型タイプに対応付けられた前記栄養成分を算出する算出手段と、を含む、
成分決定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記栄養成分は、脂肪が蓄積するのを抑制する抑制成分と、前記利用者の活力を活性化する活性化成分と、を含み、
前記決定手段は、前記脂肪指標が大きくなるほど、前記抑制成分を増加させるとともに、前記活性化成分を減少させる、
成分決定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記栄養成分は、筋肉を健やかに保つ健全化成分と、筋肉を増やす増量成分と、を含み、
前記決定手段は、前記筋肉指標が大きくなるほど、前記健全化成分を増加させるとともに、前記増量成分を減少させる、
成分決定装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記利用者が目標とする目標体型を示す体型情報を受け付ける受付手段をさらに含み、
前記決定手段は、前記利用者の体型から前記目標体型までの乖離度に基づいて、前記栄養成分を補償する補償栄養成分を決定する補償手段をさらに含む、
成分決定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の成分決定装置であって、
前記補償手段は、前記乖離度の脂肪指標成分が第1の閾値を下回る場合には、脂肪が蓄積するのを抑制する抑制成分が含まれるように、前記補償栄養成分を決定する、
成分決定装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の成分決定装置であって、
前記補償手段は、前記乖離度の筋肉指標成分が第2の閾値を上回る場合には、筋肉を増やす増量成分が含まれるように、前記補償栄養成分を決定する、
成分決定装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記栄養成分は、糖質を含み、
前記補償手段は、前記乖離度の筋肉指標成分が大きくなるほど、前記糖質の補償量を増加させる、
成分決定装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記筋肉指標は、前記利用者の筋肉量又は当該筋肉量と相関するパラメータであり、
前記脂肪指標は、前記利用者の脂肪率である、
成分決定装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記決定手段は、所定の生活習慣病のリスクを特定する生体指標に基づいて、前記栄養成分として当該生体指標についての改善成分を決定する、
成分決定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の成分決定装置であって、
前記生体指標は、前記利用者の基礎代謝と内臓脂肪と骨量とのうち少なくとも一つを含み、
前記基礎代謝についての改善成分は、前記基礎代謝が活性化する成分と、血行が促進する成分とのうち少なくとも一つを含み、
前記内臓脂肪についての改善成分は、抗酸化成分と、脂肪を分解する成分と、脂質の代謝が促進する成分とのうち少なくとも一つを含み、
前記骨量についての改善成分は、骨を形成する成分と、骨の代謝を補助する成分とのうち少なくとも一つを含む、
成分決定装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の成分決定装置であって、
前記決定手段は、前記利用者の呼気、活動量及び睡眠のうち少なくとも一つの評価値に基づいて、他の栄養成分として、さらに体の調子を整える調整成分を決定する、
成分決定装置。
【請求項14】
飲食物の栄養成分の配合を決定する成分決定方法であって、
利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と、当該利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標と、を取得するステップと、
前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記栄養成分と当該栄養成分の成分量とを決定するステップと、
を含むことを特徴とする成分決定方法。
【請求項15】
飲食物の栄養成分の配合を決定するコンピュータに、
利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と、当該利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標と、を取得するステップと、
前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記栄養成分と当該栄養成分の成分量とを決定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して提供される飲食物の栄養成分を決定する成分決定装置、成分決定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
JP2004-272618Aには、入力手段に利用者の症状が入力されると、症状ごとに必要とされる栄養素を示すデータと、サプリメントごとに含まれる栄養素を示すデータとを参照し、利用者の症状を改善可能なサプリメントを決定するシステムが開示されている。
【発明の概要】
【0003】
しかしながら、上述のシステムは、利用者の自覚症状又は目的に応じてサプリメントを決定する構成であるため、本来、利用者の体に必要となる栄養成分が異なる人達であっても、同じような考え又は感じ方の人達であれば、同種のサプリメントが提供されてしまうことを、発明者らは認識した。このようなシステムでは、健康状態が異なる利用者に対し、同じような栄養成分を有する飲食物が提供されてしまうことが懸念されることを、発明者らは認識した。
【0004】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、利用者の健康状態に応じて的確に栄養成分を決定する成分決定装置、成分決定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、利用者に対して提供される飲食物の栄養成分を決定する成分決定装置は、利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と当該利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標とを取得する取得手段と、前記筋肉指標と前記脂肪指標とに基づいて前記栄養成分を決定する決定手段と、を含む。
【0006】
この態様によれば、利用者の健康状態が反映されやすい体組成のうち、互いに相関性の低い二つの指標を用いることにより、利用者の健康状態に合わせて栄養成分を的確に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態における栄養食品提供システムの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、生成装置に備えられた成分決定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、利用者の筋肉指標及び脂肪指標によって特定される体型タイプの分類例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、体型タイプごとにその体型の管理に必要となる栄養成分の一例を示す観念図である。
【
図5】
図5は、体型タイプごとに対応付けられた複数の栄養成分の比率を特定する体型管理テーブルの一例を示す観念図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態における利用者の目標体型に基づいて栄養成分の補償量を算出する手法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、利用者の体型から目標体型までの目標ベクトルから栄養成分の補償量を特定する目標体型補償デーブルの一例を示す観念図である。
【
図8】
図8は、目標体型を達成した利用者の外観を表わした表示画像の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態における健康リスクを予防する栄養成分を特定する生活習慣病予防テーブルの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、利用者に対するサプリメントの提供形態の一例を示す観念図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における栄養成分を決定する方法の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、
図11に示した方法に含まれる成分決定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における栄養食品提供システム100の外観を例示する概略図である。
【0010】
栄養食品提供システム100は、利用者の健康状態に応じて一又は複数の栄養成分を配合した飲食物を提供するシステムである。栄養成分を配合した飲食物としては、野菜サラダ、スナック菓子及びジュース等があり、本実施形態では、栄養補助食品であるサプリメントが飲食物として提供される。
【0011】
栄養食品提供システム100は、例えば、薬局、フィットネスクラブ、及び公衆浴場等に配置される。栄養食品提供システム100は、利用者の体組成を測定する体組成測定装置10と、体組成測定装置10からの測定結果に基づいてサプリメントを生成する生成装置20とを備える。
【0012】
体組成測定装置10は、体組成測定装置10に電力供給を行うための電源スイッチ1と、体組成測定装置10の載台面2aに乗った利用者の体重を測定するための体重測定部2と、利用者の生体インピーダンスを測定するための体組成測定装置10の載台面2aに配置される電極部3及び電極部4とを備える。さらに体組成測定装置10は、利用者が把持するためのハンドル15及びハンドル16と、ハンドル15及びハンドル16にそれぞれ配置される電極部5及び電極部6と、表示操作装置7と、通信装置8と、印刷装置9とを備える。
【0013】
体組成測定装置10の載台面2aには、載台面2aに乗った利用者の右足と接触する電極部3と、載台面2aに乗った利用者の左足と接触する電極部4と、がそれぞれ配置されている。さらに、利用者が右手で把持可能なハンドル15と、利用者が左手で把持可能なハンドル16と、がそれぞれ体組成測定装置10上に設置される。ハンドル15には、利用者が右手で把持したときに利用者の右手と接触する電極部5が配置され、ハンドル16には、利用者が左手で把持したときに利用者の左手と接触する電極部6が配置される。電極部3、4、5及び6は、それぞれ二つの電極を備え、各二つの電極の一方は電流印加用電極(以下、電流電極ともいう。)であり、他方は電圧測定用電極(以下、電圧電極ともいう)である。
【0014】
体組成測定装置10は、不図示の電流印加経路決定部によって四つの電流電極のうち二つの電流電極を決定し、不図示の電流印加部によって、電流印加経路決定部が決定した二つの電流電極間に電流を印加する。その結果、電流印加経路決定部によって決定された二つの電流電極で形成される利用者の身体における経路に電流が流れる。
【0015】
そして体組成測定装置10は、不図示の測定電極決定部によって四つの電圧電極のうち二つの電圧電極を決定し、不図示の電圧検出部によって、測定電極決定部が決定した二つの電圧電極間の電圧降下を検出する。このとき、測定電極決定部は、電流印加経路決定部によって決定された二つの電流電極で形成される利用者の身体における経路の少なくとも一部を、二つの電圧電極で形成される利用者の身体における経路に含むように、二つの電圧電極を決定する。
【0016】
体組成測定装置10は、不図示のインピーダンス算出部によって、電流印加部が出力する電流値と電圧検出部が検出する電圧値とからインピーダンスを算出する。すなわち、体組成測定装置10は、利用者の身体における、二つの電流電極で形成される経路と二つの電圧電極で形成される経路とが互いに重なる部分の、インピーダンスを算出する。
【0017】
このように、体組成測定装置10は、利用者の身体における部位のうち任意の部位のインピーダンスを測定するために、電流印加経路決定部及び測定電極決定部を用いて適切な二つの電流電極及び二つの電圧電極を決定する。そして体組成測定装置10は、電流印加部及び電圧検出部を用いて任意の部位のインピーダンスを算出する。
【0018】
表示操作装置7は、利用者の入力操作により利用者の基礎生体情報の入力を受け付けたり、利用者に対して体組成の測定結果を表示したりする。基礎生体情報としては、例えば、利用者の身長、年齢、及び性別等が挙げられる。表示操作装置7は、例えば、タッチパネル式、又は押しボタン式の液晶表示装置等により構成される。
【0019】
通信装置8は、生成装置20又は不図示の外部端末との間で通信を行う。例えば、通信装置8は、近距離無線通信又は携帯電話網等を介して生成装置20又は外部端末と通信を行う。本実施形態の通信装置8は、利用者の測定結果を生成装置20に送信したり、利用者についての過去の測定結果等を含む生体データを外部端末から受信したりする。
【0020】
このように、体組成測定装置10は、利用者の体重を測定するとともに利用者の右脚、左脚、右腕及び左腕等の各部位の生体インピーダンスを測定し、これらの測定値を所定の回帰線又は回帰式に適用して利用者の体組成を算出する。
【0021】
利用者の体組成としては、全身及び各部位の脂肪率、脂肪量、除脂肪量、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル、内臓脂肪面積、皮下脂肪量、筋肉量、骨量、体水分率、体水分量、細胞内液量、及び細胞外液量等が挙げられる。
【0022】
体組成測定装置10は、算出した体組成の各数値を示す体組成情報を、利用者の測定結果として生成装置20に送信する。ただし、体組成測定装置10は、体格指数であるBMI(Body Mass Index)と、上述の体組成から計算される基礎代謝量とを併せて送信してもよい。
【0023】
生成装置20は、複数の容器21を備え、各容器21は、サプリメント用材料を収容する。生成装置20は、容器21ごとに任意の分量だけサプリメント用材料を抽出し、抽出したサプリメント用材料を配合することによって、サプリメント21aを生成する。容器21ごとに異なる栄養成分のサプリメント用材料が収容されることによって、生成装置20は、サプリメント21aに含まれる栄養成分を調整することができる。
【0024】
本実施形態において、生成装置20は、利用者の体内の健康状態に応じて利用者の体に必要となる栄養成分を決定する成分決定装置30を含み、成分決定装置30で決定された栄養成分に従って、一又は複数のサプリメント用材料で構成されるサプリメント21aを皿22に配置する。
【0025】
例えば、生成装置20には、サプリメント用材料に関する栄養成分データが記憶される。この栄養成分データには、容器21ごとに、サプリメント用材料に含有する成分と、この成分についてのサプリメント用材料の単位重量当たりの含有量と、がそれぞれ示されている。この場合には、生成装置20は、成分決定装置30から、栄養成分及びその成分量の指示を受けると、栄養成分データを参照し、五つの容器21のそれぞれから必要となる分量のサプリメント用材料を抽出し、これらを配合することによってサプリメント21aを生成する。
【0026】
あるいは、上述の栄養成分データは、サプリメント用材料に含有する成分のみが容器21ごとに示されたものであってもよい。この場合には、生成装置20は、成分決定装置30から栄養成分の指示を受けると、栄養成分データを参照し、五つの容器21の中から、指示された栄養成分を有する一定量のサプリメント用材料を抽出する。そして成分決定装置30は、抽出したサプリメント用材料を配合することによってサプリメント21aを生成する。
【0027】
図2は、本実施形態における成分決定装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
成分決定装置30は、利用者の体に補給すべき栄養成分及びその成分量を利用者の体組成情報に基づいて決定する成分決定処理を実行するコンピュータである。成分決定装置30で実行される成分決定処理のことを以下では、サプリメント決定処理という。
【0029】
成分決定装置30は、操作部110と、体組成情報取得部120と、体型データ保持部130と、表示部140と、栄養成分決定部150と、栄養成分指令部160と、記憶部170と、制御部180と、を備える。
【0030】
操作部110は、タッチセンサ、押しボタン、又はダイヤル等で構成され、利用者の入力操作を受け付ける受付手段を構成する。操作部110は、生成装置20の電源スイッチをON又はOFFに切り替える操作を受け付けたり、サプリメントを直接指定する操作を受け付けたりする。
【0031】
本実施形態の操作部110は、利用者からサプリメント決定処理の実行を指示する操作を受け付ける。また、操作部110は、サプリメント決定処理に必要となる基礎生体情報又は体組成情報を入力する操作を受け付けることも可能である。さらに操作部110は、利用者が目標とする目標体型を示す目標体型情報の入力操作を受け付ける。なお、目標体型情報については、体組成測定装置10で受け付けられたものを体組成情報取得部120から受信してもよい。
【0032】
体組成情報取得部120は、利用者の日常生活上の習慣である生活習慣を特定するために、利用者の脂肪、骨、筋肉及び水分量等の体組成を示す体組成情報を取得する。本実施形態の体組成情報取得部120は、利用者の体組成情報のうち、利用者の脂肪の程度を示す脂肪指標と、利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標とを取得する取得手段を構成する。
【0033】
上述の脂肪指標と筋肉指標とは、利用者の体型を特定するために用いられる。脂肪指標は、体内に占める脂肪量の割合を示す指標であり、例えば、全身又は各部位についての脂肪率、脂肪量又は皮下脂肪量、若しくは、内臓脂肪量、内臓脂肪レベル又は内臓脂肪面積等が挙げられる。本実施形態では脂肪指標として、全身の脂肪率が用いられる。
【0034】
筋肉指標は、筋肉量を示す指標又は筋肉量に対して相関する指標であり、脂肪指標に対しては相関性が低い指標である。筋肉指標としては、例えば、全身又は各部位についての筋肉量、除脂肪量又は骨量、若しくは、BMI又は基礎代謝量等が挙げられる。本実施形態では筋肉指標として、全身の筋肉量を身長で除した筋肉量スコアが用いられる。
【0035】
体組成情報取得部120は、体組成測定装置10、利用者が所持する携帯端末、又は、利用者の体組成情報を管理する管理サーバ等の外部装置から、利用者の体組成情報を受信する。体組成情報取得部120は、操作部110から利用者の体組成情報を取得してもよく、あるいは、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部装置から、利用者の体組成情報を取得してもよい。
【0036】
なお、体組成情報取得部120は、体組成測定装置10から、利用者の体重及び各部位の生体インピーダンスを受信し、これらの測定値に基づいて体組成情報を生成してもよい。このように、体組成情報取得部120は、通信回路、インターフェース回路、又は体組成演算回路等により構成される。
【0037】
体型データ保持部130は、あらかじめ定められた体型タイプごとに、脂肪指標の数値と筋肉指標の数値との関係を示す体型データを保持する。体型データに示される各体型タイプには、その体型タイプに属する利用者の体型を健康的に管理するのに必要となる栄養成分及びその成分量が対応付けられている。
【0038】
上述の体型を健康的に管理するとは、健康を害する可能性が高い体型(例えば、脂肪又は筋肉が多すぎる体型又は少なすぎる体型)の場合には、健康を害する可能性が低下するように、利用者の体型を変化させることである。また、利用者が、健康を害する可能性が低い体型である場合には、その体型を維持することである。
【0039】
例えば、体型データ保持部130には、年齢ごと及び性別ごとに生成された体型データが保持される。これにより、利用者の体型を年齢及び性別に適した体型タイプに分類することが可能となる。なお、体型タイプの詳細については
図3を参照して後述し、利用者の体型管理に必要となる栄養成分の詳細については
図4を参照して後述する。
【0040】
表示部140は、例えば、タッチパネル式、又は押しボタン式の液晶表示装置等により構成される。表示部140は、利用者に提供可能なサプリメントを表示したり、上述のサプリメント決定処理の要否を選択可能な画面を表示したりする。
【0041】
例えば、表示部140は、操作部110にてサプリメント決定処理の実行を指示する操作が受け付けられると、利用者の体組成情報に基づいて、利用者の体型又は所定の体型タイプのうち利用者の体型が属する体型タイプを表示する。さらに表示部140は、操作部110にて目標体型情報の入力操作が受け付けられると、その目標体型情報に基づいて、利用者が目標とする目標体型、又は所定の体型タイプのうち目標体型が属する体型タイプを表示する。
【0042】
栄養成分決定部150は、利用者の体型を特定する脂肪指標及び筋肉指標に基づいて、利用者の体に必要となる栄養成分を決定する決定手段を構成する。具体的には、栄養成分決定部150は、利用者の脂肪指標及び筋肉指標に基づいて、利用者の体に必要となる栄養成分の種類のみ、又は、栄養成分の種類及び成分量を決定する。
【0043】
本実施形態の栄養成分決定部150は、利用者の脂肪指標及び筋肉指標に基づいて、利用者の体型の管理に必要となる栄養成分を算出する。栄養成分決定部150は、体型選択部151と、栄養成分算出部152と、目標体型補償部153と備える。
【0044】
体型選択部151は、利用者の脂肪指標と筋肉指標とに基づいて所定の体型タイプの中から利用者の体型が属する体型タイプを選択する。本実施形態の体型選択部151は、体組成情報取得部120から利用者の脂肪指標と筋肉指標とを取得すると、体型データ保持部130を参照し、取得した各数値に対応付けられた体型タイプを利用者の体型として選択する。
【0045】
栄養成分算出部152は、体型選択部151で選択された利用者の体型タイプに基づいて、体型データ保持部130を参照し、その利用者の体型タイプに対応付けられた栄養成分及びその成分量を算出する。栄養成分算出部152は、その栄養成分の成分量を示す成分決定情報を栄養成分指令部160に出力する。
【0046】
目標体型補償部153は、操作部110から利用者の目標体型情報を取得すると、その目標体型情報に基づいて、目標体型への変化の実現に必要となる栄養成分を補償する。本実施形態では、目標体型補償部153は、目標体型情報に基づいて利用者の体型と目標体型との乖離度を求め、その乖離度に基づき、その乖離度を小さくするために必要となる栄養成分及びその成分量を補償する。目標体型補償部153は、補償される栄養成分の成分量を示す栄養補償情報を、成分決定情報として栄養成分指令部160に出力する。
【0047】
栄養成分指令部160は、栄養成分決定部150からの成分決定情報に示された栄養成分の種類に基づいて、その栄養成分を有するサプリメント用材料を収容する容器21を選択する。さらに栄養成分指令部160は、成分決定情報に示される栄養成分の成分量に基づいて、選択した容器21ごとにサプリメント用材料の個数を指示する。これにより、
図1に示したように、生成装置20により生成されたサプリメント21aが皿22に提供される。
【0048】
記憶部170は、不揮発性メモリ(ROM;Read Only Memory)及び揮発性メモリ(RAM;Random Access Memory)等により構成される。記憶部170には、成分決定装置30を制御するための制御プログラムが格納されている。すなわち、記憶部170は、本実施形態の機能を実現するプログラムを格納する記録媒体である。
【0049】
制御部180は、中央演算処理装置(CPU)、入出力インターフェース、及び、これらを相互に接続するバスにより構成される。制御部180は、記憶部170に記憶された制御プログラムを読み出してCPUに実行させることにより、入出力インターフェースを介して成分決定装置30の各部位を制御する。
【0050】
制御部180は、上述のように、操作部110、体組成情報取得部120、体型データ保持部130、表示部140、栄養成分決定部150、栄養成分指令部160及び記憶部170の各部位を制御する。なお、制御部180を構成するCPUが、成分決定装置30の各部位の機能を実行してもよい。
【0051】
また、制御部180以外の各部位の処理についても、全部又は一部をASIC(application specific integrated circuit)等の専用のハードウェアにより実現してもよい。このように、成分決定装置30の各部位の処理は、ソフトウェア(プログラム)又はハードウェアによって実装可能であり、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって実装されてもよい。
【0052】
次に、利用者の脂肪指標及び筋肉指標に基づいて利用者の体型タイプを決定する手法について
図3を参照して説明する。
【0053】
図3は、体型データ保持部130に保持される体型データの一例を示す観念図である。
【0054】
この例では、横軸が筋肉指標として筋肉量スコア(MM/H)を示し、縦軸が脂肪指標として脂肪率(FAT/Wt)を示す。筋肉量スコアは、身長H(Height)に対する筋肉量MM(Muscle Mass)の比率であり、脂肪率は、体重Wt(Weight)に対する全身の脂肪量(FAT)の割合である。
【0055】
図3に示すように、脂肪率ごとに利用者の体型が分類される。この例では、脂肪率について、「平均的」の範囲、この範囲に対して「少なめ」の範囲及び「多め」の範囲の三つの範囲が設定されている。「平均的」の範囲は、複数の人達の脂肪率についての統計データ又は集団データに基づいてあらかじめ定められる。
【0056】
さらに本実施形態では、脂肪率に加え、筋肉量スコアごとに利用者の体型が分類される。この例では、筋肉量スコアについて、「平均的」の範囲、その範囲に対して「少なめ」の範囲及び「多め」の範囲の三つの範囲が設定されている。筋肉量スコアの「平均的」の範囲は、脂肪率と同様、複数の人達の筋肉量スコアについての統計データ又は集団データに基づいてあらかじめ定められる。
【0057】
そして、脂肪率が少なめの範囲であって、筋肉量スコアが少なめ、平均的、多めの範囲には、利用者の体型の類型として、それぞれ「痩せ」、「細身筋肉質」、「超筋肉質」を示す体型タイプが体型データに対応付けられている。
【0058】
同様に、脂肪率が平均的な範囲であって筋肉量スコアの各範囲には、それぞれ「運動不足」、「標準」、「筋肉質」を示す体型タイプが体型データに対応付けられている。さらに、脂肪率が多めの範囲であって筋肉量スコアの各範囲には、それぞれ「隠れ肥満」、「肥満」、「固太り」を示す体型タイプが体型データに対応付けられている。
【0059】
したがって、体型選択部151は、上述の体型データを参照することにより、九つの体型タイプの中から、利用者の脂肪率及び筋肉量スコアの数値に対応する体型タイプを選択することができる。
【0060】
このように、生活習慣の影響が反映されやすい身体の脂肪率に加え、その脂肪率に対して相関性の低い筋肉量スコアを用いて利用者の体型を分類することで、利用者の体型が一つの体型タイプに偏り難くなり、きめ細かな分類を実現することができる。
【0061】
次に、利用者の身体に必要となる栄養成分を決定する手法について、
図4及び
図5を参照して説明する。
【0062】
図4は、
図3に示した体型タイプごとに利用者の体型を健康的に管理するのに必要となる栄養成分及びその成分量についての傾向を説明するための図である。
【0063】
まず、脂肪率の数値に応じて選択される栄養成分及びその成分量について説明する。
【0064】
利用者の脂肪率の数値が、
図3に示した「多め」の範囲に属する場合には、脂肪率の増加を抑制するために、
図4に示す脂肪蓄積抑制成分が選択される。そして脂肪率が大きくなるほど、選択された脂肪蓄積抑制成分の成分量が増やされる。
【0065】
上述の脂肪蓄積抑制成分とは、脂肪が蓄積することを抑制(阻害)するのに必要となる栄養成分のことである。脂肪蓄積抑制成分は、例えば、糖質の吸収を抑制する糖質吸収抑制成分と、脂質の吸収を抑制する脂質吸収抑制成分とのうち少なくとも一つの栄養成分を含む。糖質吸収抑制成分及び脂質吸収抑制成分としては主に食物繊維等が挙げられる。なお、脂肪蓄積抑制成分として脂肪の燃焼を促進する脂肪燃焼成分が含まれてもよく、この脂肪燃焼成分としては例えばアリシン等が挙げられる。
【0066】
利用者の脂肪率の数値が、
図3に示した「平均的」の範囲に属する場合には、この範囲に属する利用者の体型を健康的に維持するために、
図4に示す代謝活性化成分と肌荒れ予防成分とが選択される。代謝活性化成分とは、代謝を活性化するのに必要となる栄養成分のことであり、例えばL-カルニチン等が挙げられる。肌荒れ予防成分とは、肌荒れを予防するのに必要となる栄養成分のことであり、例えばビタミンC等が挙げられる。
【0067】
利用者の脂肪率の数値が、
図3に示した「少なめ」の範囲に属する場合には、この範囲に属する利用者に生じやすい症状を軽減するために、
図4に示す活力活性化成分が選択される。そして脂肪率が小さくなるほど、選択された活力活性化成分の成分量が増やされる。
【0068】
上述の活力活性化成分とは、活力の減退を抑制するのに必要となる栄養成分のことであり、特に脂肪量が少ない人が不足しやすい栄養成分である。活力活性化成分は、例えば、疲労を軽減する抗疲労成分と、若さを維持する抗加齢成分とのうち少なくとも一つの栄養成分を含む。抗疲労成分としては、例えばクエン酸、ビタミンC、及びビタミンB郡等が挙げられ、抗加齢成分としては、例えばビタミンE、及びコエンザイムQ10等が挙げられる。
【0069】
図4に示す例では、人の脂肪率の平均値、中央値又は最頻値等によって定められる標準値から、利用者の脂肪率の数値が大きくなるほど、脂肪蓄積抑制成分を増量させ、利用者の脂肪率の数値が標準値から小さくなるほど、抗加齢成分及び抗疲労成分を増量させる。さらに、利用者の脂肪率の数値にかかわらず、肌荒れ予防成分及び抗加齢成分を追加する。
【0070】
このように、利用者の脂肪率の数値に基づいて、脂肪蓄積抑制成分、代謝活性化成分、肌荒れ予防成分、抗加齢成分、及び抗疲労成分の中から、利用者の体型管理に必要となる栄養成分及びこれらの成分量が決定される。
【0071】
続いて、筋肉量スコアの数値に応じて決定される栄養成分及びその成分量について説明する。
【0072】
利用者の筋肉量スコアの数値が
図3に示した「少なめ」の範囲に属する場合には、この範囲に属する利用者の筋肉量のさらなる減少を抑制するために、
図4に示す筋肉増量成分が選択される。そして筋肉量スコアが小さくなるほど、選択された筋肉増量成分の成分量が増やされる。ここにいう筋肉増量成分とは、筋肉量を増やすのに必要となる栄養成分のことであり、主にロイシン等が挙げられる。
【0073】
利用者の筋肉量スコアの数値が
図3に示した「多め」の範囲に属する場合には、この範囲に属する利用者の筋肉を健やかに保つために、
図4に示す筋肉健全化成分が選択される。そして筋肉量スコアが大きくなるほど、選択された筋肉健全化成分の成分量が増やされる。
【0074】
上述の筋肉健全化成分とは、筋肉を健やかに保つのに必要となる栄養成分のことであり、筋肉健全化成分は、筋肉の代謝を促進する代謝促進成分等を含み、代謝促進成分としては主にビタミン等が挙げられる。ここにいう筋肉の代謝とは、トレーニング等によって筋線維が破壊されて筋線維に微小な傷が生じた際に、その傷を修復すること、すなわち修復を促進することをいう。このように、筋線維の破壊と修復とが繰り返されることによって筋肉の増加(筋肥大)が生じる。
【0075】
利用者の筋肉量スコアの数値が
図3に示した「平均的」の範囲に属する場合には、この範囲内に利用者の筋肉が維持されるよう、筋肉量スコアに応じて筋肉健全化成分の成分量が調整される。具体的には、筋肉量スコアが大きくなるほど、筋肉健全化成分の成分量が増やされ、筋肉量スコアが小さくなるほど、筋肉健全化成分の成分量が減らされる。
【0076】
このように、利用者の筋肉量スコアの数値に基づいて、筋肉増量成分及び筋肉健全化成分の中から、利用者の体型管理に必要となる栄養成分及びその成分量が決定される。
【0077】
図5は、利用者の体型タイプと栄養成分の成分量との関係を示す体型管理テーブル131の一例を示す図である。
【0078】
図5に示すように、体型管理テーブル131には、体型テーブルに示された体型タイプごとに、その体型タイプに属する利用者の体型を管理するのに必要となる栄養成分と、その栄養成分の成分量との比率が対応付けられている。比率2については成分量が普通であり、比率3については成分量が普通よりも多く、比率1については成分量が普通よりも少ないことを意味する。
【0079】
例えば、体型管理テーブル131の「隠れ肥満」には、脂肪について脂肪蓄積抑制成分と活力活性化成分との比率が「3:1」に設定され、筋肉については筋肉増量成分と筋肉健全化成分との比率も「3:1」に設定されている。
【0080】
一方、体型管理テーブル131の「標準」には、脂肪について脂肪蓄積抑制成分と活力活性化成分との比率が「2:2」に設定され、筋肉については筋肉増量成分と筋肉健全化成分との比率も「2:2」に設定されている。
【0081】
このように、体型管理テーブル131では、利用者の脂肪率が大きくなるほど、脂肪蓄積抑制成分の成分量が増加するとともに活力活性化成分の成分量が減少する。一方で、利用者の脂肪率が小さくなるほど、脂肪蓄積抑制成分の成分量が減少するとともに活力活性化成分の成分量が増加する。
【0082】
これに加えて、利用者の筋肉量スコアが大きくなるほど、筋肉健全化成分の成分量が増加するとともに筋肉増量成分の成分量が減少する。一方で、利用者の筋肉量スコアが小さくなるほど、筋肉健全化成分の成分量が減少するとともに筋肉増量成分の成分量が増加する。
【0083】
したがって、体型管理テーブル131を用いることにより、栄養成分算出部152は、利用者の体型タイプに応じて、利用者の体型管理に必要となる栄養成分の成分量を適切に算出することができる。
【0084】
例えば、栄養成分算出部152は、利用者の体型が「運動不足」タイプに属すると判定した場合には、体型管理テーブル131の「運動不足」に対応付けられた栄養成分として、脂肪蓄積抑制成分と活力活性化成分との比率と、筋肉増量成分と筋肉健全化成分との比率と、を特定する。
【0085】
図5では、脂肪蓄積抑制成分と活力活性化成分との比率は「2:2」であるため、栄養成分算出部152は、双方の成分量として、あらかじめ定められた基本量を設定する。さらに、筋肉増量成分と筋肉健全化成分との比率は「3:1」であるため、栄養成分算出部152は、所定の基本量を1.5倍した値を筋肉増量成分の成分量として算出し、その基本量を0.5倍した値を筋肉健全化成分として算出する。
【0086】
この例では、体型管理テーブル131により、体型管理に必要となる栄養成分として、脂肪蓄積抑制成分と活力活性化成分と筋肉増量成分と筋肉健全化成分とが選定されたが、いずれの体型にも代謝活性化成分と肌荒れ予防成分とを追加するようにしてもよい。あるいは、選定された栄養成分に対して代謝活性化成分と肌荒れ予防成分とが主成分となるように配合してもよい。
【0087】
次に、第1実施形態の作用効果について詳しく説明する。
【0088】
第1実施形態によれば、飲食物に配合される栄養成分を決定する成分決定装置30は、利用者の筋肉量の程度を示す筋肉指標と、その利用者の脂肪量の程度を示す脂肪指標と、を取得する取得手段として体組成情報取得部120を備える。
【0089】
ここで、栄養成分を配合する飲食物としては、例えば、サプリメント、飲料、スナック菓子、又は野菜サラダ等が挙げられる。さらに筋肉指標としては、例えば、BMI、全身又は特定の身体部位の筋肉量、その筋肉量の身長に対する比率、全身又は特定の身体部位の骨量、除脂肪量又は基礎代謝量等が挙げられる。脂肪指標としては、例えば、全身又は特定の身体部位の脂肪率、その脂肪量の体重に対する比率等が挙げられる。
【0090】
そして成分決定装置30は、取得された利用者の筋肉指標と脂肪指標の数値に基づいて利用者の体に必要となる栄養成分を決定する決定手段として栄養成分決定部150を備える。
【0091】
上述の筋肉指標と脂肪指標とは、体を構成する主要な要素についての健康状態を表す客観的な指標であり、これらを用いることで、利用者の主観を取り除きつつ、利用者の体にとって客観的に必要となる栄養成分を的確に決定することができる。
【0092】
さらに筋肉指標と脂肪指標とは利用者の生活習慣の影響を反映しやすい指標であり、これらを用いることによって、長期間に亘って形成された体内の健康状態を特定することが可能となる。したがって、利用者の生活習慣を反映した体内の根本的な症状を把握できるので、利用者の体にとって重要性の高い栄養成分を提供することが可能となる。
【0093】
これに加え、体組成情報取得部120によって取得される利用者の筋肉指標と脂肪指標とは互いに相関性が低いことから、利用者の体内の健康状態を互いに異なる観点で詳細に把握することが可能となる。したがって、利用者の体にとって必要となる栄養成分をきめ細かく決定することができる。
【0094】
このように、本実施形態によれば、利用者の体内の健康状態が反映されやすい体組成のうち互いに相関性の低い二つの指標を用いることで、利用者の健康状態に合わせて的確に栄養成分を決定することができる。
【0095】
また、本実施形態によれば、栄養成分決定部150は、利用者の筋肉指標と脂肪指標とに基づいて利用者の体型を管理するのに必要となる栄養成分を算出する。このように、利用者の筋肉指標と脂肪指標とに基づき利用者の体型を特定することによって、利用者の体型管理に必要となる栄養成分が求められるので、利用者の生活習慣を考慮した栄養成分を飲食物に配合することができる。また、求められた栄養成分について、その成分量も利用者の体型に合わせて変更することによって、よりきめ細かな配合を実現することができる。
【0096】
また、本実施形態によれば、成分決定装置30は、
図3に示したような所定の体型タイプごとに、利用者の体型を管理するのに必要となる栄養成分を対応付けて保持する保持手段として体型データ保持部130をさらに備える。
【0097】
そして、栄養成分決定部150は、利用者の筋肉指標と脂肪指標とに基づいて所定の体型タイプの中から利用者の体型が属する体型タイプを選択する選択手段として体型選択部151を備える。さらに栄養成分決定部150は、体型選択部151により選択された利用者の体型タイプに基づいて、体型データ保持部130を参照し、利用者の体型タイプに対応付けられた栄養成分を算出する算出手段として栄養成分算出部152を備える。
【0098】
利用者の筋肉指標と脂肪指標とで特定される利用者の体型は、利用者の生活習慣の影響によって形成されたものである。そのため、選択された利用者の体型タイプに合わせて、その体型タイプを管理するのに必要となる栄養成分の成分量を算出することにより、利用者の体型に適した栄養成分とその成分量を決定することができる。したがって、利用者の生活習慣の影響によって形成された体型を考慮した栄養成分を利用者に対して提供することが可能となる。
【0099】
さらに、相関性の低い二つの指標に基づいて利用者の体型タイプの判定がなされるので、多数の利用者に対して異なる体型タイプが割り当てられやすくなる。したがって、利用者の一人ひとりに対して同じような栄養成分を提供するという事態を回避することができる。
【0100】
また、本実施形態によれば、飲食物に配合される栄養成分としては、脂肪が蓄積するのを抑制する脂肪蓄積抑制成分と、利用者の活力を活性化する活力活性化成分とが用いられる。脂肪蓄積抑制成分としては、例えば、糖質及び脂質のうち少なくとも一方の吸収を抑制する吸収抑制成分が挙げられ、活力活性化成分としては、例えば、疲労を軽減する抗疲労成分と、若さを維持する抗加齢成分との少なくとも一方が挙げられる。
【0101】
そして、栄養成分決定部150は、上述の栄養性成分のうち、脂肪指標が大きくなるほど、脂肪蓄積抑制成分を増加させるとともに活力活性化成分を減少させる。
【0102】
これにより、標準的な人に比べて脂肪量が多い利用者に対しては、脂肪の増加を抑制するのに必要となる栄養成分を提供することができる。一方、脂肪量が少ない人は、一般的に、疲れやすかったり、老けやすかったりする傾向がある。このため、脂肪量が多い利用者に対しては抗疲労成分及び抗加齢成分等の栄養成分を減らし、脂肪量が少ない利用者に対しては、抗疲労成分及び抗加齢成分等の栄養成分を増やすことができる。
【0103】
また、本実施形態によれば、飲食物に配合される栄養成分として、筋肉を健やかに保つ筋肉健全化成分と、筋肉を増やす筋肉増量成分とが用いられる。筋肉健全化成分としては、例えば、筋肉の代謝を促進する代謝促進成分が挙げられる。そして栄養成分決定部150は、栄養成分のうち、筋肉指標が大きくなるほど、筋肉健全化成分を増加させるとともに筋肉増量成分を減少させる。
【0104】
これにより、標準的な人に比べて筋肉量が多い利用者に対し、筋肉健全化成分が増やされる一方で、必要性の低い筋肉増量成分が減らされるので、筋肉を管理するのに適切な栄養成分を配合することができる。
【0105】
また、本実施形態によれば、筋肉指標として、利用者の筋肉量、又はその筋肉量に対して相関するパラメータが用いられ、脂肪指標として、利用者の脂肪率が用いられる。筋肉量と相関するパラメータは、体組成情報から算出される算出結果であり、このパラメータとしては、例えば、代謝量、骨量又は体水分量等の体内指標が挙げられる。
【0106】
このように、脂肪指標として体に占める脂肪量の割合を示す脂肪率を用いることによって、利用者の身長又は体重等の身体全体の大きさに対する脂肪量の大小関係が特定されるので、利用者の体に必要となる栄養成分を的確に決定することができる。また、筋肉指標としては、筋肉量に基づいて算出される指標を筋肉量に代えて用いることが可能であり、このような指標が用いられたとしても、筋肉量と同様、利用者の体型をきめ細かく分類することが可能となる。
【0107】
上述の実施形態では、利用者の体型管理に必要となる栄養成分を決定する例について説明したが、利用者が目標(理想)とする体型への変化を実現するのに必要となる栄養成分を追加してもよい。
【0108】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態で決定された栄養成分に加え、この栄養成分を補償する栄養成分である補償栄養成分をさらにサプリメントに配合する例について説明する。この例では、補償栄養成分として、利用者の目標体型への変化の実現に必要となる栄養成分がサプリメントに配合される。
【0109】
本実施形態の成分決定装置については、基本構成が第1実施形態の成分決定装置30と同じであるため、以下では
図2に示した成分決定装置30の構成と同一の符号を付して説明する。
【0110】
図6は、利用者の体型Bu及び目標体型Btを表示した表示画像141の一例を示す図である。利用者の体型Buは、
図2に示した体型選択部151によって選択された利用者の現在の体型を示す。
【0111】
表示画像141は、利用者の脂肪率の判定結果を示す体脂肪率判定領域141aと、利用者の筋肉量スコアの判定結果を示す筋肉量判定領域141bと、利用者の体型タイプを表示する体型表示領域141cと、により構成される。
【0112】
体脂肪率判定領域141aには、脂肪率の判定内容として、脂肪率の平均値を中心とし脂肪率の高い順に「多め」、「平均的」、「少なめ」の類型が示されている。
【0113】
筋肉量判定領域141bには、筋肉量スコアの判定内容として、筋肉量スコアの平均値を中心とし、筋肉量の低い順に「少なめ」、「平均的」、「多め」の類型が示されている。
【0114】
体型表示領域141cには、利用者の脂肪率及び筋肉量スコアの二つの指標で特定される九つの体型タイプが示されている。筋肉量スコアが「少なめ」の範囲に属する体型には、脂肪率の高い順に「隠れ肥満」、「運動不足」、「痩せ」という体型タイプが割り当てられる。
【0115】
そして、筋肉量スコアが「平均的」の範囲に属する体型には、脂肪率の高い順に「肥満」、「標準」、「細身筋肉質」という体型タイプが割り当てられる。さらに筋肉量スコアが「多め」の範囲に属する体型には、脂肪率の高い順に「固太り」、「筋肉質」、「超筋肉質」という体型タイプが割り当てられる。
【0116】
この例では、体型選択部151によって利用者の体型Buが「運動不足」の体型タイプに属するとの判定がなされる。そして、栄養成分算出部152によって、体型タイプが「運動不足」に該当する人の健康状態を管理するのに必要となる栄養成分の種類が選定されるとともにその栄養成分の成分量が算出される。
【0117】
上述の栄養成分及びその成分量の算出処理に加え、本実施形態では、利用者が目標とする目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分及びその成分量の算出処理がさらに実行される。すなわち、本実施形態では、利用者の体型を管理するのに必要となる栄養成分を補償する補償栄養成分が決定される。
【0118】
具体的には、利用者は、
図2に示した操作部110に対し、体型表示領域141cに示される体型タイプの中から利用者の目標体型Btを選択して入力する。これにより、操作部110は、利用者の目標体型Btを特定するための目標体型情報を受け付ける。表示部140は、受け付けられた目標体型情報に基づいて、
図6に示すように、利用者の目標体型Btを表示画像141に表示する。
【0119】
これに加え、目標体型補償部153は、利用者の目標体型情報に基づいて、利用者の体型Buから目標体型Btまでの乖離度を示す目標ベクトルVを求め、その目標ベクトルVを、脂肪率の乖離度Aと筋肉量スコアの乖離度Bとに分解する。そして目標体型補償部153は、その脂肪率の乖離度A及び筋肉量スコアの乖離度Bの双方の大きさ及び向きに基づいて、目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分を補償する。
【0120】
上述の脂肪率の乖離度Aは、目標ベクトルVの脂肪指標成分であり、目標体型Btへの変化の実現に必要となる脂肪率の目標乖離度を示す。そして筋肉量スコアの乖離度Bは、目標ベクトルVの筋肉指標成分であり、目標体型Btへの変化の実現に必要となる筋肉量スコアの目標乖離度を示す。
【0121】
次に、利用者の目標体型Btへの変化を実現するのに必要となる栄養成分及びその補償量の算出手法について
図7を参照して説明する。
【0122】
図7は、目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分の補償量Co1及びCo2を示す目標体型補償テーブル132の一例を示す図である。目標体型補償テーブル132は、例えば、
図2に示した体型データ保持部130に記録される。
【0123】
目標体型補償テーブル132には、脂肪指標I1の乖離度Aごとに、その乖離度Aを補償する栄養成分の補償量Co1が対応付けられ、筋肉指標I2の乖離度Bごとに、乖離度Bを補償する栄養成分の補償量Co2が対応付けられている。
【0124】
この例では、脂肪指標I1は脂肪率であり、筋肉指標I2は筋肉量スコアである。また、脂肪率の乖離度Aに対する栄養成分の補償量Co1は、脂肪蓄積抑制成分の成分量であり、筋肉量スコアの乖離度Bに対する栄養成分の補償量Co2は、筋肉増量成分の成分量と、糖質の成分量とを含む。
【0125】
乖離度A及び乖離度Bについては、
図6に示した縦軸の距離と横軸の距離とが互いに同じ長さである場合に、乖離度Aの絶対値と乖離度Bの絶対値とが互いに同じ値に設定される。そして乖離度A及びBの絶対値は、Va1、Va2、Va3、Va4の順に大きくなる。
【0126】
脂肪指標I1については、脂肪率の乖離度Aに応じて脂肪蓄積抑制成分が補償される。乖離度Aの向きが脂肪率を増やす方向(+方向)である場合には、脂肪蓄積抑制成分の成分量が「0」に設定され、脂肪率を減らす方向(-方向)である場合には、脂肪蓄積抑制成分の成分量が「0」よりも大きな値に設定される。
【0127】
乖離度Aの向きが脂肪率を減らす方向(-方向)である場合には、乖離度Aの絶対値が大きくなるほど、脂肪蓄積抑制成分の成分量が増加する。この例では、乖離度Aが「0」から「-Va4」に近づくほど、基礎代謝量BM[kcal/day]に乗算する係数が大きくなるとともに切片が大きくなるよう、補償量Co1の計算式が設定されている。
【0128】
一方、筋肉指標I2については、筋肉量スコアの乖離度Bに応じて、筋肉を増やす筋肉増量成分と、利用者に対してエネルギーを補給する糖質とが補償される。
【0129】
一般的に、筋肉を増やす量を大きくするほど、ハードなトレーニングが必要になる。このため、トレーニングで消費されるエネルギーの供給源としては、筋肉量を増やすタンパク質よりも糖質の方が好ましい。ただし、糖質を過剰に摂取してしまうと、脂肪の蓄積を促進させてしまうため、ここでは、筋肉増量成分と比較して糖質の方が、筋肉指標の乖離度の増加に対する補償量の増加の程度が小さくなるよう設定されている。
【0130】
糖質の補償量Co2については、筋肉量スコアの乖離度Bが大きくなるほど、糖質の成分量が増加する。この例では、乖離度Bが「0」から「+Va4」に近づくほど、基礎代謝量BMに乗算する係数が大きくなるとともに切片が大きくなるよう、糖質の補償量Co2の計算式が設定されている。
【0131】
さらに筋肉増量成分の補償量Co2については、乖離度Bの向きが筋肉量を減らす方向(-方向)である場合には、筋肉増量成分の成分量が「0」に設定される。そして、乖離度Bの向きが筋肉量を増やす方向(+方向)である場合には、筋肉増量成分の成分量が「0」よりも大きな値に設定される。
【0132】
乖離度Bの向きが筋肉量を増やす方向(+方向)である場合には、乖離度Bが大きくなるほど、筋肉増量成分の成分量が増加する。この例では、乖離度Bが「+Va4」に近づくほど、基礎代謝量BMに乗算する係数が大きくなるとともに切片が大きくなるよう、筋肉増量成分の補償量Co2の計算式が設定されている。
【0133】
このように、目標体型補償テーブル132は、乖離度A及びBの絶対値、すなわち
図6に示した縦軸及び横軸の距離が大きくなるにつれて、脂肪蓄積抑制成分、糖質、筋肉増量成分の順に、補償量の増量の程度が大きくなるように設定されている。
【0134】
乖離度A及びBの絶対値が大きくなるにつれて補償量の増量の程度を大きくする理由は、筋肉量を増やす方が、脂肪量を減らすよりも難しいからである。詳細には、脂肪量の減少は、脂肪蓄積の要因となる成分が体内に吸収されるのを妨げるだけで達成することができる。これに対して筋肉量の増加は、筋肉増強を促進する成分を吸収させるだけでは不十分であり、トレーニング等を行うことで筋肉を発達させるための反応を起こすことも必要となるからである。
【0135】
上述のように設定された目標体型補償テーブル132を用いることにより、
図2に示した目標体型補償部153は、脂肪指標I1の乖離度Aが「0」を示す第1の閾値を下回る場合には、脂肪蓄積抑制成分を補償する。脂肪指標I1の乖離度Aが第1の閾値を下回るとは、乖離度Aが減少する方向であることを意味する。この場合において目標体型補償部153は、乖離度Aが第1の閾値よりも小さくなるほど、脂肪蓄積抑制成分の補償量Co1を増加させる。
【0136】
一方、脂肪指標I1の乖離度Aが第1の閾値以上である場合、すなわち乖離度Aが増加する方向である場合には、目標体型補償部153は、脂肪蓄積抑制成分の補償を抑制する。
【0137】
これに加え、目標体型補償部153は、筋肉指標I2の乖離度Bが「0」を示す第2の閾値を上回る場合には、筋肉増量成分及び糖質を補償する。筋肉指標I2の乖離度Bが第2の閾値を上回るとは、乖離度Bが増加する方向であることを意味する。この場合において目標体型補償部153は、乖離度Bが第2の閾値よりも大きくなるほど、筋肉増量成分及び糖質の補償量Co2を増加させる。
【0138】
一方、筋肉指標I2の乖離度Bが第2の閾値以下である場合、すなわち乖離度Bが減少する方向である場合には、目標体型補償部153は、筋肉増量成分及び糖質の両者の補償を抑制する。
【0139】
このように、目標体型補償部153は、脂肪指標I1の乖離度Aと筋肉指標I2の乖離度Bとに基づいて、目標体型補償テーブル132に対応付けられた栄養成分の補償量Co1及びCo2を算出する。これにより、脂肪指標I1の乖離度Aと筋肉指標I2の乖離度Bとで特定される目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分を補償することができる。
【0140】
この例では、第1及び第2の閾値は「0」に設定されているが、これらの閾値は「0」近傍の値であってもよく、これらの閾値が互いに異なる値であってもよい。このように第1及び第2の閾値を調整することにより、脂肪量を減らす必要性が低い範囲があれば、その範囲において脂肪蓄積抑制成分の補償を抑制することができ、筋肉量を減らす必要性が低い範囲があれば、同様に筋肉増量成分及び糖質の補償を抑制することができる。
【0141】
また、乖離度Aの各範囲についての補償量Co1の計算式、及び、乖離度Bの各範囲についての筋肉増量成分及び糖質の補償量Co2の計算式は一例であり、これに限られるものではない。ただし、乖離度Aが第1の閾値以上となった場合、及び乖離度Bが第2の閾値以下となった場合において、乖離の程度が大きくなるにつれて大きくなる補償量の増量の程度は、脂肪蓄積抑制成分、糖質、筋肉増量成分の順に大きくなることが好ましい。
【0142】
また、脂肪の減量の方が筋肉の増量に比べて効果が現れやすく、その効果は見た目にも現れやすい。このため、サプリメント21aを継続して摂取する継続期間の初期には、筋肉の増量に比べて脂肪の減量を優先するよう補償量Co1を増やしてもよい。これにより、利用者は、サプリメント21aの摂取を開始した当初の高いモチベーションを維持しやすくなる。
【0143】
次に、目標の体型の実現に向けて上述の栄養成分を摂取する利用者に対して、栄養成分の摂取を促す手法について
図8を参照して簡単に説明する。
【0144】
図8は、目標体型Btを実現したときの利用者の輪郭を抽象的に表示した表示画像142の一例を示す図である。表示画像142は、例えば表示部140により表示される。
【0145】
表示画像142は、利用者の体型Buの輪郭を表示する領域142aと、目標体型Btの輪郭を表示する領域142bと、利用者の体型Buから目標体型Btに達成するまでの目標達成期日を表示する領域142cと、により構成される。
【0146】
このように、利用者に対して目標体型Btを達成した人の輪郭を表示することにより、利用者は、体型の改善に意欲的になり、生成装置20により生成されるサプリメントを継続して摂取するようになることが期待される。
【0147】
また、利用者が継続的に自己の体組成を測定している状況において成分決定装置30が、その利用者の体組成情報を継続的に取得できるような場合には、利用者が以前選択した目標体型Btを再度選択することなく維持してもよい。これにより、利用者が目標体型Btを選択した時点での利用者の体型Buから目標体型Btまでの乖離度を用いて栄養成分が決定されるので、目標の達成度合いに応じた栄養成分を決定することができる。
【0148】
また、成分決定装置30は、利用者の体組成情報について、前回値の取得時点から今回値の取得時点までの継続期間と、この継続期間での体組成の変化とを求め、これらを用いてサプリメント21aの効き目を判定し、その効き目に応じて補償量を補正してもよい。これにより、サプリメント21aが効き過ぎている場合は、サプリメント21aの成分量を減らすことができ、一方、サプリメント21aの効き目が悪い場合は、サプリメント21aの成分量を増やすことができる。このため、
図8に示した目標体型期日までに、利用者の体型を目標体型Btに近づけることが可能となる。
【0149】
さらに成分決定装置30は、上述の継続期間と利用者の体組成の変化とを用いて、脂肪指標及び筋肉指標の各々に対し、サプリメント21aの効果を評価し、その評価値に応じて脂肪指標及び筋肉指標に関する補償量をそれぞれ補正してもよい。
【0150】
例えば、成分決定装置30は、サプリメント21aの効果の評価値が閾値よりも大きい場合、すなわちサプリメント21aが効いている場合は、その指標に関する補償量を減少させる。一方、サプリメント21aの効果の評価値が閾値よりも小さい場合、すなわちサプリメント21aが効いていない場合は、その指標に関する補償量を増加させる。これにより、利用者の体質等の個人差に起因する各成分に対する効果の現れやすさを考慮して、栄養成分を決定することができる。
【0151】
また、本実施形態では利用者の現在の筋肉量及び脂肪量に基づいて目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分の補償量Co1及びCo2を算出したが、これに限られるものではない。例えば、利用者の筋肉量の増加及び減少の傾向、体脂肪率の増加及び減少の傾向を特定し、その特定した傾向に応じて栄養成分の補償量Co1及びCo2に重み付けをしてもよい。
【0152】
また、本実施形態では利用者が操作部110に目標体型情報として体型タイプを入力する例について説明したが、目標体型情報の入力はこれに限られるものではない。例えば、目標体型情報として、利用者の現在の体型Buに対する脂肪指標及び筋肉指標の双方について各指標の増加量又は減少量を入力してもよい。あるいは、目標体型情報として、脂肪指標及び筋肉指標の各数値を直接入力してもよく、利用者の体型Buから目標体型Btへの方向及び程度のうち、少なくとも目標体型Btへの方向を入力してもよい。
【0153】
次に、第2実施形態の作用効果について説明する。
【0154】
第2実施形態によれば、成分決定装置30は、利用者が目標とする目標体型Btを示す目標体型情報を受け付ける受付手段として操作部110をさらに含む。そして栄養成分決定部150は、利用者の体型Buから目標体型Btまでの乖離度を示す目標ベクトルVに基づいて、利用者の体型Buを管理するのに必要となる栄養成分を補償する補償栄養成分を決定する補償手段として目標体型補償部153をさらに含む。補償栄養成分としては、目標体型Btへの変化の達成に必要となる栄養成分が挙げられる。
【0155】
これにより、利用者の脂肪指標と筋肉指標とで特定される体型Buを管理するのに必要となる栄養成分に加え、目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分を配合することができる。このため、利用者の体内の健康状態に合わせて、利用者が理想とする体型を実現するうえで有効性の高い栄養成分を的確に提供することが可能となる。さらに成分決定装置30は、目標ベクトルVに基づいて補償栄養成分の成分量を決定してもよく、この場合にはよりきめ細かい配合を実現することができる。
【0156】
また、本実施形態によれば、
図7に示したように、目標体型補償部153は、目標ベクトルVの脂肪指標成分である脂肪指標の乖離度Aが第1の閾値を下回る、すなわち減少方向であるか否かを判断する。そして目標体型補償部153は、脂肪指標の乖離度Aが第1の閾値を下回る場合には、脂肪が蓄積するのを抑制する脂肪蓄積抑制成分を補償する。ここにいう第1の閾値は、利用者が脂肪蓄積抑制成分を摂取することによって目標体型Btへの変化の達成が阻害されることを抑制するように定められる。第1の閾値は、例えば「0」に設定される。
【0157】
このように目標体型補償部153は、利用者の目標体型Btに基づいて利用者の脂肪量を減らす必要があるか否かを判断し、脂肪量を減らす必要があると判断した場合には、脂肪蓄積抑制成分を利用者に提供することができる。これにより、利用者の体内の状態を考慮して、利用者の体型Buを目標体型Btに近づけることが可能となる。
【0158】
また、本実施形態によれば、
図7に示したように、目標体型補償部153は、目標ベクトルVの筋肉指標成分である筋肉指標の乖離度Bが第2の閾値を上回る、すなわち増加方向である場合には、筋肉を増やす筋肉増量成分を補償する。第2の閾値は、利用者が筋肉増量成分を摂取することで目標体型Btへの変化の達成が阻害されることを抑制するように定められる。第2の閾値は、例えば「0」に設定される。
【0159】
このように、目標体型補償部153は、利用者の目標体型Btに基づいて利用者の筋肉量を増やす必要があるか否かを判断し、筋肉量を増やす必要があると判断した場合には、筋肉増量成分を利用者に提供することができる。これにより、利用者の体内の状態を考慮して、利用者の体型Buを目標体型Btに近づけることが可能となる。
【0160】
また、本実施形態によれば、サプリメントに配合される栄養成分として糖質が用いられる。そして目標体型補償部153は、筋肉指標の乖離度Bが大きくなるほど、糖質の補償量を増加させる。これにより、筋肉増量成分に加え、トレーニングで消費されるエネルギーを補給するための糖質が利用者に提供されるので、単に筋肉量を増やすためのタンパク質を提供する場合に比べて利用者の筋肉を増量しやすくなる。
【0161】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、第1実施形態で決定された栄養成分に加え、生活習慣病を回避するための栄養成分を追加する例について以下に説明する。なお、本実施形態の成分決定装置の基本構成は第1実施形態の成分決定装置30の構成と同じである。
【0162】
図9は、生活習慣病のリスクを低減するように定められた生活習慣病予防テーブル133の一例を示す図である。この生活習慣病予防テーブル133は、例えば体型データ保持部130に記録される。
【0163】
生活習慣病予防テーブル133には、生活習慣病にかかるリスクを特定する生体指標ごとに、生活習慣病の予防に必要となる栄養成分の種類とその栄養成分の成分量とがそれぞれ対応付けられている。本実施形態では、四つの生体指標の判定テーブルT1乃至T4が設定されている。
【0164】
判定テーブルT1には、生活習慣病のリスクを特定する生体指標の一つとして基礎代謝量Wが対応付けられている。基礎代謝量Wは、利用者の筋肉量、年齢及び性別等に基づいて算出される。基礎代謝量Wが低下するほど、代謝異常等になるリスクが高くなる。
【0165】
さらに判定テーブルT1には、基礎代謝量Wを改善するのに必要となる栄養成分として代謝活性化成分と血行促進成分とが対応付けられている。代謝活性化成分は、基礎代謝が活性化する栄養成分であり、主にアルギニン等が挙げられる。血行促進成分は、血行が促進する栄養成分であり、例えばアルギニン及びマカ等が挙げられる。
【0166】
そして代謝活性化成分及び血行促進成分の各成分量について、基礎代謝量Wの標準範囲には、中量の添加量A2が対応付けられ、標準範囲に対して高い範囲及び低い範囲には、それぞれ少量の添加量A1及び多量の添加量A3が対応付けられている。添加量A1乃至A3は、あらかじめ定められた値である。
【0167】
本実施形態では、栄養成分決定部150が、判定テーブルT1を参照し、基礎代謝量Wが標準範囲を下回る場合には、生活習慣病にかかるリスクを抑えるための栄養成分として代謝活性化成分と血行促進成分とを選定し、それぞれを増量する。これにより、利用者の基礎代謝量Wが上昇しやすくなるので、基礎代謝量Wの低下に起因する代謝異常等の生活習慣病にかかるリスクを予防することができる。
【0168】
判定テーブルT2には、生活習慣病のリスクを特定する生体指標の一つとして内臓脂肪量Xが対応付けられている。内臓脂肪量Xが増加するほど、メタボリックシンドローム等にかかるリスクが高くなる。
【0169】
さらに判定テーブルT2には、内臓脂肪量Xを改善するのに必要となる栄養成分として抗酸化成分と脂肪分解成分と脂質代謝促進成分とが対応付けられている。抗酸化成分は、酸化を抑制するのに必要となる栄養成分であり、主にポリフェノール等が挙げられる。脂肪分解成分は、脂肪を分解するのに必要となる栄養成分であり、例えば食物繊維等が挙げられる。脂質代謝促進成分は、脂質の代謝が促進する栄養成分であり、例えば、食物繊維及びレシチン等が挙げられる。
【0170】
そして三つの栄養成分の各成分量について、内臓脂肪量Xの標準範囲には、中量の添加量B2が対応付けられ、標準範囲に対して少ない範囲及び多い範囲には、それぞれ少量の添加量B1及び多量の添加量B3が対応付けられている。添加量B1乃至B3は、あらかじめ定められた値である。
【0171】
本実施形態では、栄養成分決定部150が、判定テーブルT2を参照し、内臓脂肪量Xが標準範囲を上回る場合には、生活習慣病にかかるリスクを抑制するための栄養成分として抗酸化成分と脂肪分解成分と脂質代謝促進成分とを選定し、それぞれを増量する。これにより、利用者の内臓脂肪量Xが減少しやすくなるので、内臓脂肪量Xの増加に起因する動脈硬化等の生活習慣病にかかるリスクを予防することができる。
【0172】
判定テーブルT3には、生活習慣病のリスクを特定する生体指標の一つとして骨量Yが対応付けられている。骨量Yが減少するほど、骨粗しょう症等にかかるリスクが高くなる。
【0173】
さらに判定テーブルT3には、骨量Yを改善するのに必要となる栄養成分として骨形成成分と骨代謝補助成分とが対応付けられている。骨形成成分は、骨を形成するのに必要となる栄養成分であり、主にカルシウム等が挙げられる。骨代謝補助成分は、骨の代謝を補助する栄養成分であり、例えば、マグネシウム及びビタミンD等が挙げられる。
【0174】
そして二つの栄養成分の各成分量について、骨量Yの標準範囲には、中量の添加量C2が対応付けられ、標準範囲に対して多い範囲及び少ない範囲には、それぞれ少量の添加量C1及び多量の添加量C3が対応付けられている。添加量C1乃至C3は、あらかじめ定められた値である。
【0175】
本実施形態では、栄養成分決定部150が、判定テーブルT3を参照し、骨量Yが標準範囲を下回る場合には、生活習慣病にかかるリスクを抑えるための栄養成分として骨形成成分と骨代謝補助成分とを選定し、それぞれを増量する。これにより、利用者の骨量Yが増加しやすくなるので、骨量Yの減少に起因する骨粗しょう症等の生活習慣病にかかるリスクを予防することができる。
【0176】
判定テーブルT4には、生活習慣病のリスクを特定する生体指標の一つとして体水分バランスZが対応付けられている。体水分バランスZは、細胞内液と細胞外液とのバランスを評価した値である。体水分バランスZが悪化するほど、高血圧等になるリスクが高くなる。
【0177】
さらに判定テーブルT4には、体水分バランスZを改善するのに必要となる栄養成分として排出促進成分と血流円滑成分とが対応付けられている。排出促進成分は、過剰な体水分又は塩分の排出を促す栄養成分であり、主にカリウム等が挙げられる。血流円滑成分は、血流又はリンパ液の流れが滞ることを抑制するのに必要となる栄養成分であり、例えばメリロート等が挙げられる。
【0178】
そして二つの栄養成分の各成分量について、体水分バランスZの標準範囲には、中量の添加量D2が対応付けられ、標準範囲に対して良い範囲及び悪い範囲には、それぞれ少量の添加量D1及び多量の添加量D3が対応付けられている。添加量D1乃至D3は、あらかじめ定められた値である。
【0179】
本実施形態では、栄養成分決定部150が、判定テーブルT4を参照し、体水分バランスZが標準範囲を下回る場合には、生活習慣病にかかるリスクを抑えるための栄養成分として排出促進成分と血流円滑成分とを選定し、それぞれを増量する。これにより、利用者の体水分バランスZが良い状態に近づくので、体水分バランスZの悪化に起因する高血圧等の生活習慣病にかかるリスクを予防することができる。
【0180】
この生活習慣病予防テーブル133を用いることにより、栄養成分決定部150は、基礎代謝量W、内臓脂肪量X、骨量Y及び体水分バランスZの少なくとも一つの生体指標に基づき、その改善成分の添加量を決定することができる。改善成分としては、上述のように、代謝活性化成分、血行促進成分、抗酸化成分、脂肪分解成分、脂質代謝促進成分、骨形成成分、骨代謝補助成分、排出促進成分及び血流円滑成分等が挙げられる。
【0181】
このように、本実施形態の栄養成分決定部150は、所定の生活習慣病のリスクを特定する生体指標に基づいて、その生体指標についての改善成分を決定する。
【0182】
次に、各実施形態で決定された栄養成分の成分量を配合したサプリメントの提供手法について
図10を参照して簡単に説明する。
【0183】
図10は、生成装置20により皿22に配置されたサプリメント21aの一例を示す図である。
【0184】
図10に示すように、生成装置20から皿22に提供されるサプリメント21aは、破線で示された基本成分Iと、一点鎖線で示された補償成分IIと、二点鎖線で示された健康リスク予防成分IIIと、により構成されている。
【0185】
基本成分Iは、第1実施形態で決定された栄養成分を有するサプリメントであり、
図4に示したように利用者の体型Buの管理に必要となる栄養成分が含まれている。
【0186】
本実施形態でも、栄養成分決定部150により、利用者の脂肪指標と筋肉指標とに基づいて、脂肪蓄積抑制成分、活力活性化成分、筋肉増量成分、筋肉健全化成分の中から、利用者の体型管理に必要となる栄養成分が選択され、その栄養成分の成分量が決定される。
【0187】
補償成分IIは、第2実施形態で決定された栄養成分を有するサプリメントであり、
図7に示したように利用者の目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分が含まれている。
【0188】
本実施形態でも、栄養成分決定部150により、利用者の脂肪指標の乖離度Aと筋肉指標の乖離度Bとに基づいて、脂肪蓄積抑制成分、筋肉増量成分、及び糖質の中から、目標体型Btへの変化の実現に必要となる栄養成分が選択され、その栄養成分の成分量が補償される。
【0189】
健康リスク予防成分IIIは、第3実施形態で決定される栄養成分を有するサプリメントであり、
図9に示したように利用者の生活習慣病を予防するのに必要となる栄養成分が含まれている。
【0190】
本実施形態では、生活習慣病にかかるリスクを特定する生体指標として、基礎代謝量W、内臓脂肪量X、骨量Y及び体水分バランスZが用いられる。これらの生体指標に基づいて、代謝活性化成分、血行促進成分、抗酸化成分、脂肪分解成分、脂質代謝促進成分、骨形成成分、及び骨代謝補助成分の中から、利用者の生体指標の改善に必要となる栄養成分が選択され、その栄養成分の成分量が決定される。
【0191】
このように、利用者の体型Buの管理に必要となる基本成分Iと、利用者の目標体型Btへの変化の達成に必要となる補償成分IIと、利用者の生活習慣病の予防に必要となる健康リスク予防成分IIIと、を有する飲食物が生成装置20から利用者に提供される。
【0192】
次に、本実施形態における成分決定装置30の動作について
図11及び
図12を参照して説明する。なお、成分決定装置30は、第1実施形態のみ備えるものであってもよいし、第2実施形態及び第3実施形態のうち少なくとも一方のみを備えるものであってもよい。
図12については、すべての実施形態を備える成分決定装置30の動作の一例が示されている。
【0193】
図11は、本実施形態における栄養成分を決定する方法の処理手順例を示すフローチャートである。
【0194】
ステップS1において体組成情報取得部120は、体組成測定装置10の通信装置8から、利用者の脂肪指標と筋肉指標とを含む体組成情報を取得する。
【0195】
ステップS2において栄養成分決定部150は、取得された利用者の脂肪指標と筋肉指標とに基づいてサプリメントの栄養成分を決定する成分決定処理を実行する。この成分決定処理の詳細については
図12を参照して後述する。栄養成分指令部160は、栄養成分決定部150で決定された栄養成分の成分量を生成装置20に指示する。
【0196】
ステップS3において生成装置20は、栄養成分指令部160により指示された栄養成分の成分量に基づいてサプリメント21aを皿22に提供する。具体的には、生成装置20は、指示された栄養成分に基づいて、複数の容器21の中からその栄養成分を有するサプリメント用材料を収容した容器を選択する。そして生成装置20は、指示された栄養成分の成分量に基づいて、選択した容器の各々から所定の数のサプリメント用材料を取り出すことによってサプリメント21aを生成し、生成したサプリメント21aを提供する。
【0197】
ステップS3の処理が終了すると、制御部180は、栄養成分決定方法の一連の処理手順を終了させる。
【0198】
図12は、ステップS2で実行される成分決定処理の処理手順例を示すフローチャートである。
【0199】
ステップS21において体型選択部151は、体組成情報取得部120により取得された利用者の筋肉指標と脂肪指標とに基づいて利用者の体型Buを判定する。本実施形態では、
図3に示したように、体型選択部151が、利用者の脂肪率の数値と筋肉量スコアの数値とに基づいて、九つの体型タイプの中から利用者の体型Buが属する体型タイプを選択する。
【0200】
ステップS22において栄養成分算出部152は、利用者の体型Buが属する体型タイプに基づいて、利用者の体型Buの管理に必要となる栄養成分である基本成分Iの成分量を算出する。本実施形態では、栄養成分算出部152は、
図5に示した体型管理テーブル131を参照し、利用者の体型Buが属する体型タイプに対応付けられた基本成分Iの比率を特定し、その比率に基づいて基本成分Iの成分量を算出する。
【0201】
ステップS23において操作部110は、利用者の入力操作により、利用者の目標体型Btを特定する目標体型情報を受け付ける。
【0202】
ステップS24において目標体型補償部153は、目標体型情報に基づいて、利用者の体型Buから目標体型Btまでの乖離度を示す目標ベクトルVを算出する。
【0203】
ステップS25において目標体型補償部153は、利用者の目標ベクトルVに基づいて目標体型Btへの変化の達成に必要となる栄養成分である補償成分IIの補償量を算出する。
【0204】
本実施形態では、目標体型補償部153は、利用者の目標ベクトルVを、脂肪率の乖離度Aと筋肉量スコアの乖離度Bとに分解する。目標体型補償部153は、
図7に示した目標体型補償テーブル132を参照し、分解した脂肪率の乖離度Aに対応付けられた補償成分IIの補償量Co1を算出するとともに、分解した筋肉量スコアの乖離度Bに対応付けられた補償成分IIの補償量Co2を算出する。
【0205】
ステップS26において体組成情報取得部120は、利用者の生活習慣病にかかるリスクを特定する生体指標を取得する。本実施形態では、
図9に示したように、体組成情報取得部120は、利用者の基礎代謝量W、内臓脂肪量X、骨量Y及び体水分バランスZのうち少なくとも一つの生体指標を取得する。
【0206】
ステップS27において栄養成分決定部150は、体組成情報取得部120からの生体指標に基づいて、生活習慣病にかかるリスクを抑制するのに必要となる栄養成分である健康リスク予防成分IIIの添加量を算出する。
【0207】
本実施形態では、
図9に示したように、栄養成分決定部150は、基礎代謝量Wが低いと判定した場合には、健康リスク予防成分IIIとして代謝活性化成分と血行促進成分とを選定し、それぞれの添加量を増量する。また、栄養成分決定部150は、内臓脂肪量Xが多いと判定された場合には、健康リスク予防成分IIIとして抗酸化成分と脂肪分解成分と脂質代謝促進成分とを選定し、それぞれの添加量を増量する。さらに栄養成分決定部150は、骨量Yが少ないと判定された場合には、健康リスク予防成分IIIとして骨形成成分と骨代謝補助成分とを選定し、それぞれの添加量を増量する。そして栄養成分決定部150は、体水分バランスZが悪いと判定された場合には、健康リスク予防成分IIIとして排出促進成分と血流円滑成分とを選定し、それぞれの添加量を増量する。
【0208】
ステップS28において栄養成分決定部150は、上述の栄養成分の算出結果を成分決定情報として栄養成分指令部160に出力する。
【0209】
具体的には、栄養成分決定部150は、ステップS22で算出された基本成分Iの成分量と、ステップS25で算出された補償成分IIの補償量と、ステップS27で算出された健康リスク予防成分IIIの添加量とを示す成分決定情報を生成して出力する。栄養成分指令部160は、その成分決定情報に基づいて、基本成分Iの成分量と補償成分IIの補償量と健康リスク予防成分IIIの添加量との配合を指示する。
【0210】
そしてステップS28の処理が終了すると、制御部180は、成分決定処理のサブルーチンを終了させて、
図11に示した栄養成分決定方法のメインルーチンに戻る。なお、ステップS23乃至S27の処理を省略してもよいし、ステップS23乃至S25の処理、並びにステップS26及びS27の処理のうちいずれか一方の処理を省略してもよい。
【0211】
本実施形態では生活習慣病のリスクを特定できる生体指標を用いて健康リスク予防成分IIIを決定する例について説明したが、栄養成分決定部150は、他の栄養成分として、他の測定装置の測定結果を用いて体の調子を整える調整成分IVを決定してもよい。
【0212】
例えば、他の測定装置としては、利用者の呼気中のアセトンを測定してその測定値に基づき脂質代謝評価値を算出する呼気測定装置が用いられてもよい。この場合、体組成情報取得部120が呼気測定装置から利用者の脂質代謝評価値を受信し、栄養成分決定部150は、その脂質代謝評価値に基づいて、例えば、抗酸化成分、脂肪分解成分及び脂質代謝促進成分等のうち少なくとも一つの調整成分IVの添加量を算出する。
【0213】
または、他の測定装置として、利用者の活動量を測定し、測定した前日又は先週等の活動量を評価した活動評価値を算出する活動量測定装置が用いられてもよい。この場合、体組成情報取得部120が活動量測定装置から利用者の活動評価値を受信し、栄養成分決定部150は、その活動評価値に基づいて、例えば代謝活性化成分及び血行促進成分等のうち少なくとも一つの調整成分IVの添加量を算出する。
【0214】
あるいは、他の測定装置として、利用者の睡眠状態を測定し、その測定値に基づき睡眠の質を評価した睡眠評価値を算出する睡眠測定装置が用いられてもよい。この場合、体組成情報取得部120が睡眠測定装置から利用者の睡眠評価値を受信し、栄養成分決定部150は、その睡眠評価値に基づいて、例えば抗疲労成分等の調整成分IVの添加量を算出する。
【0215】
また、他の実施形態として、第1実施形態から第3実施形態までのいずれか一つの実施形態の栄養成分決定部150が、上述のような他の測定装置の測定結果を用いて調整成分IV及び調整成分IVの成分量をさらに決定してもよい。すなわち、栄養成分決定部150は、基本成分Iの成分量、補償成分IIの補償量、及び健康リスク予防成分IIIの添加量のうち少なくとも一つの栄養成分の成分量に加えて、調整成分IVの成分量を決定する。
【0216】
上述の実施形態では体組成情報取得部120が体組成情報に基づいて栄養成分及びその成分量を決定する例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、体組成情報取得部120は、食事で摂取される栄養成分及びその成分量を予測し、その予測される栄養成分及びその成分量を、上述の実施形態で決定した栄養成分の成分量から差し引いてもよい。この場合には、栄養成分決定部150は、決定した栄養成分の成分量から、食事で摂取されることが予測される栄養成分の成分量を差し引いた栄養成分の成分量をサプリメントの栄養成分及びその成分量として決定する。
【0217】
食事で摂取されることが予測される栄養成分及びその成分量は、一定のものでもよく、あるいは、食事に関する質問の回答によって予測されるものでもよいし、食事管理アプリ等の他のデータから取得又は分析によって予測されるものであってもよい。
【0218】
次に、第3実施形態の作用効果について説明する。
【0219】
第3実施形態によれば、栄養成分決定部150は、所定の生活習慣病のリスクを特定する生体指標の数値に基づいて、その生体指標を改善するのに必要となる改善成分の添加量を決定する。このように、生活習慣病にかかるリスクの高さに応じて改善成分の添加量が決定されるので、利用者の生活習慣病にかかるリスクを低減することが可能となる。なお、栄養成分決定部150は、改善成分の種類のみ決定してもよい。この場合であっても利用者の生活習慣病にかかるリスクを低減することが可能である。
【0220】
また、本実施形態によれば、
図9に示したように、生活習慣病のリスクを特定する生体指標として、利用者の基礎代謝量W、内臓脂肪量X、骨量Y及び体水分バランスZのうち少なくとも一つの体内指標が用いられる。
【0221】
そして基礎代謝量Wについての改善成分としては、基礎代謝が活性化する代謝活性化成分と、血行が促進する血行促進成分とのうち少なくとも一つの栄養成分が用いられる。また、内臓脂肪量Xについての改善成分としては、抗酸化成分と、脂肪を分解する脂肪分解成分と、脂質の代謝が促進する脂質代謝促進成分とのうち少なくとも一つの栄養成分が用いられる。さらに骨量Yについての改善成分としては、骨を形成する骨形成成分と、骨の代謝を補助する骨代謝補助成分とのうち少なくとも一つの栄養成分が用いられる。
【0222】
このように、利用者の基礎代謝量Wの低下に応じて代謝活性化成分と血行促進成分とが増量されるので、利用者が代謝異常になるリスクを予防するこができる。また、利用者の内臓脂肪量Xの増加に応じて抗酸化成分と脂肪分解成分と脂質代謝促進成分とが増量されるので、利用者がメタボリックシンドロームになるリスクを抑制することができる。すなわち、脂質異常症、血圧高値、空腹時高血糖等の健康リスクを低減することができる。さらに利用者の骨量Yの減少に応じて骨形成成分と骨調整成分とが増量されるので、骨粗しょう症になるリスクを予防することができる。
【0223】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述の実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述の実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0224】
上述の実施形態では利用者の体内の健康状態に応じて利用者の体に必要となる栄養成分を決定する成分決定装置30の実施形態として、栄養成分の種類及び成分量を決定する態様を説明したが、栄養成分の種類のみを決定するものであってもよい。
【0225】
上述の実施形態では生成装置20が容器21の各々から任意の分量だけ抽出したサプリメント用材料を配合することによってサプリメント21aを生成する例について説明したが、生成装置20はこれに限定されなるものではない。例えば、生成装置20の複数の容器21の各々には、カプセル状、錠剤状、タブレット状、又はその他の形状のサプリメントが収容されており、容器21ごとに異なる種類のサプリメントが収容されていてもよい。この場合には、生成装置20は、成分決定装置30によって決定された成分及び成分量に応じて、複数の容器21の中から所定の容器を選択することによってサプリメントの組み合わせを提供してもよい。
【0226】
また、生成装置20は、サプリメント21aを提供する際に、金銭又は電子マネーでの決済処理を実行し、決済が完了した場合にサプリメント21aを提供するものであってもよい。
【0227】
本願は、2018年3月29日に日本国特許庁に出願された特願2018-066021に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【符号の説明】
【0228】
10 体組成測定装置
20 生成装置
30 成分決定装置
110 操作部(受付手段)
120 体組成情報取得部(取得手段)
130 体型データ保持部(保持手段)
150 栄養成分決定部(決定手段)
151 体型選択部(選択手段)
152 栄養成分算出部(算出手段)
153 目標体型補償部(補償手段)
170 記憶部(プログラム)