IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日本印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電池用包装体及び電池 図1
  • 特開-電池用包装体及び電池 図2
  • 特開-電池用包装体及び電池 図3
  • 特開-電池用包装体及び電池 図4
  • 特開-電池用包装体及び電池 図5
  • 特開-電池用包装体及び電池 図6
  • 特開-電池用包装体及び電池 図7
  • 特開-電池用包装体及び電池 図8
  • 特開-電池用包装体及び電池 図9
  • 特開-電池用包装体及び電池 図10
  • 特開-電池用包装体及び電池 図11
  • 特開-電池用包装体及び電池 図12
  • 特開-電池用包装体及び電池 図13
  • 特開-電池用包装体及び電池 図14
  • 特開-電池用包装体及び電池 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045369
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】電池用包装体及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/105 20210101AFI20240326BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20240326BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240326BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240326BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240326BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240326BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/124
H01M10/04 Z
H01M50/121
H01M10/0562
H01M10/0585
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024013111
(22)【出願日】2024-01-31
(62)【分割の表示】P 2017233705の分割
【原出願日】2017-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高萩 敦子
(72)【発明者】
【氏名】山下 力也
(57)【要約】
【課題】歩留り及び容積効率を向上できる電池用包装体及びそれを備えた電池を提供する。
【解決手段】上面に開口部20aを有して電池素子40を収納する本体部20と、開口部20aを塞ぐ蓋部30とを備えた電池用包装体10において、本体部20は、矩形状の底面板21と、底面板21の4辺から折曲されて夫々立設する側面板22a~22dと、隣りあう側面板22a~22d間を連結する連結部24a~24dと、側面板22a~22cの上端から外側に折曲されるフランジ板23a~23cとを有し、蓋部30は、側面板22dの上端から折曲してフランジ板23a~23cに接着され、連結部24a~24dは底面板21の角部から上方に向かって外側に傾斜して延びる第1折り線11上で谷折りにより二つ折りして接着される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、バリア層と、最内層に配される熱融着性樹脂層とを備える積層体から構成され、上面に開口部を有して電池素子を収納する本体部と、前記開口部を塞ぐ蓋部とを備えた電池用包装体において、
前記本体部は、矩形状の底面板と、前記底面板の4辺から折曲されて夫々立設する側面板と、隣りあう前記側面板間を連結する第1連結部と、3枚の前記側面板の上端から外側に折曲されるフランジ板と、前記フランジ板の両端に配置される第2連結部とを有し、
前記蓋部は、前記フランジ板が未連設の前記側面板の上端から折曲して前記フランジ板に接着され、
前記第1連結部は、前記底面板の角部から上方に向かって外側に傾斜して延びる第1折り線で前記熱融着性樹脂層側の谷折りにより二つ折りして接着され、
前記第2連結部は前記熱融着性樹脂層側を山折り又は谷折りされる第2折り線を介して前記第1連結部の上端に連結され、
前記フランジ板の端部が前記熱融着性樹脂層側の谷折りにより傾斜して折り返して接着され、前記フランジ板の端部に隣りあう前記第2連結部がその上に重ねて配されることを特徴とする電池用包装体。
【請求項2】
前記第1折り線が鉛直方向に対して45°傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電池用包装体。
【請求項3】
前記側面板と前記底面板との連設部における前記バリア層の厚みに対して前記側面板の高さ方向における中間位置の前記バリア層の厚みの割合が100±10%以下となることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池用包装体。
【請求項4】
少なくとも正極、負極及び電解質を備える電池素子が、請求項1~請求項3のいずれかに記載の電池用包装体の前記本体部内に収納されたことを特徴とする電池。
【請求項5】
少なくとも正極及び負極を備えるとともに固体電解質と一体化された電池素子が、請求項1~請求項3のいずれかに記載の電池用包装体の前記本体部内に収納されたことを特徴とする電池。
【請求項6】
前記蓋部を連設した前記側面板に隣りあう前記側面板の上端の前記フランジ板と前記蓋部との間から前記正極及び前記負極の金属タブが突出し、前記蓋部を連設した前記側面板に対向する前記側面板の上端から前記フランジ板が下方に折曲されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用包装体及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電池用包装体は特許文献1に開示されている。この電池用包装体は、金属箔からなるバリア層と、最内層に配して熱接着性樹脂からなる熱融着性樹脂層とを少なくとも積層した積層体から構成される。
【0003】
電池用包装体は積層体の折曲により重ねられる本体部と蓋部とを有している。本体部及び蓋部は対向面上に開口部を開口して電池素子を収納する収納部と、開口部の周縁から外側に延びるフランジ部とを有する。収納部は積層体をプレス成形(絞り加工)して形成される。
【0004】
本体部の収納部に収納された電池素子上に蓋部の収納部を被せて閉蓋し本体部及び蓋部のフランジ部が熱接着される。これにより、電池用包装体の内部に電池素子を密封する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-229888号公報(第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の電池用包装体によると、プレス成形により収納部を形成する際に積層体が延伸し、バリア層の一部が薄肉化する場合やバリア層が割れる場合がある。このため、電池用包装体の歩留りが低下する問題があった。一方、プレス成形する金型の各コーナーの曲率半径を大きくするとバリア層の薄肉化及び割れを防止できるが、電池用包装体の容積効率が低下する問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑み、歩留り及び容積効率を向上できる電池用包装体及びそれを用いた電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、少なくとも、バリア層と、最内層に配される熱融着性樹脂層とを備える積層体から構成され、上面に開口部を有して電池素子を収納する本体部と、前記開口部を塞ぐ蓋部とを備えた電池用包装体において、
前記本体部は、矩形状の底面板と、前記底面板の4辺から折曲されて夫々立設する側面板と、隣りあう前記側面板間を連結する第1連結部と、3枚の前記側面板の上端から外側に折曲されるフランジ板と、前記フランジ板の両端に配置される第2連結部とを有し、
前記蓋部は、前記フランジ板が未連設の前記側面板の上端から折曲して前記フランジ板に接着され、
前記第1連結部は、前記底面板の角部から上方に向かって外側に傾斜して延びる第1折り線で前記熱融着性樹脂層側の谷折りにより二つ折りして接着され、
前記第2連結部は前記熱融着性樹脂層側を山折り又は谷折りされる第2折り線を介して前記第1連結部の上端に連結され、
前記フランジ板の端部が前記熱融着性樹脂層側の谷折りにより傾斜して折り返して接着され、前記フランジ部の端部に隣りあう前記第2連結部がその上に重ねて配されることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の電池用包装体において、前記第1折り線が鉛直方向に対して45°傾斜していると好ましい。
【0010】
また本発明は、上記構成の電池用包装体において、前記側面板と前記底面板との連設部における前記バリア層の厚みに対して前記側面板の高さ方向における中間位置の前記バリア層の厚みの割合が100±10%以下となると好ましい。
【0011】
また本発明の電池は、少なくとも正極、負極及び電解質を備える電池素子が、上記各構成の電池用包装体の前記本体部内に収納されたことを特徴としている。
【0012】
また本発明の電池は、少なくとも正極及び負極を備えるとともに固体電解質と一体化された電池素子が、上記各構成の電池用包装体の前記本体部内に収納されたことを特徴としている。
【0013】
また本発明は上記構成の電池において、前記蓋部を連設した前記側面板に隣りあう前記側面板の上端の前記フランジ板と前記蓋部との間から前記正極及び前記負極の金属タブが突出し、前記蓋部を連設した前記側面板に対向する前記側面板の上端から前記フランジ板が下方に折曲されると好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、電池用包装体の本体部が底面板、側面板及びフランジ板を有し、一の側面板の上端から折曲される蓋部がフランジ板上に接着される。また、隣りあう側面板間を連結する第1連結部が傾斜した第1折り線で谷折りにより二つ折りして接着される。これにより、隣りあう側面板の隙間のバリア性の低下を防止し、電池用包装体を積層体の折曲により形成することができる。従って、電池用包装体の歩留り及び容積効率を向上することができる。また、一の側面板上から蓋部が折曲されるため矩形状の電池の一辺にフランジ板が形成されないので、複数の電池の収納容積を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る電池の斜視図。
図2】本発明の第1実施形態に係る電池の電池用包装体の斜視図。
図3】本発明の第1実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図4】本発明の第1実施形態に係る電池用包装体の層構成を示す断面図。
図5】本発明の第1実施形態に係る電池の電池用包装体の変形例を示す展開図。
図6】本発明の第2実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図7】本発明の第3実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図8】本発明の第4実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図9】本発明の第4実施形態に係る電池の電池用包装体の変形例を示す展開図。
図10】本発明の第5実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図11】本発明の第5実施形態に係る電池の電池用包装体の変形例を示す展開図。
図12】本発明の第6実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図13】本発明の第7実施形態に係る電池の電池用包装体の展開図。
図14】本発明の実施例に係る電池の電池用包装体の上面図。
図15図14中のX-X線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態に係る電池1の斜視図であり、図2は第1実施形態に係る電池1の電池用包装体10の斜視図である。
【0017】
電池1は電池用包装体(以下、包装体と略す)10の内部に電池素子40を密封収納する。電池1は一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、二次電池がより好ましい。また、二次電池の種類については、特に限定されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛畜電池、ニッケル・水素畜電池、ニッケル・カドミウム畜電池、ニッケル・鉄畜電池、ニッケル・亜鉛畜電池、酸化銀・亜鉛畜電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシターなどが挙げられる。これらの二次電池の中でも、本実施形態の電池1の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
【0018】
電池素子40は包装体10から突出する正極の金属タブ41a及び負極の金属タブ41bを備えている。金属タブ41a、41bは包装体10の外側に突出させた状態で後述するフランジ板23cと蓋部30により挟持されて接着される。また、電解質が液体の場合には電池素子40とは別に包装体10の内部に電解液が充填され、電解質が固体の場合には固体電解質は電池素子40と一体化される。
【0019】
なお、図1において金属タブ41a、41bは同一方向に突出させているが、金属タブ41a、41bは同一方向に突出させなくてもよく、例えば、金属タブ41aをフランジ板23c側から突出させ、金属タブ41bをフランジ板23a側から突出させてもよい。
【0020】
包装体10は後述する積層体から成る包装材100(図4参照)を箱形状に折曲して形成される。包装体10は電池素子40を収納する本体部20と本体部20を覆う蓋部30とを有する。
【0021】
本体部20は矩形状の底面板21の4辺から矩形状の側面板22a~22dを立設され、上面に開口部20aを有する。また、3辺の側面板22a~22cの上端には外側に折曲される矩形状のフランジ板23a~23cが連設されている。1辺の側面板22dの上端には矩形状の蓋部30が連設される。蓋部30を本体部20側に折曲して蓋部30の外周部とフランジ板23a~23cとを当接させて後述する熱接着層(熱融着性樹脂層)103(図4参照)により熱接着する。これにより開口部20aの周縁が蓋部30によって封止される。
【0022】
また、隣りあう側面板22a~22dは二つ折りして内面を熱接着される連結部(第1連結部)24a~24d(図3参照)により連結されている。フランジ板23a~23cの両端には連結部(第1連結部)24a~24dに連結される連結部(第2連結部)26a~26fが夫々設けられている(図3参照)。連結部26a、26d~26fは二つ折りして内面を熱接着される。
【0023】
図3は包装体10を構成する包装材100の展開図を示している。包装材100は所定位置に一点鎖線で示す谷折り線11及び破線で示す山折り線12が設けられる。谷折り線11は内面の熱接着層103(図4参照)側を谷折りされ、山折り線12は内面の熱接着層103(図4参照)側を山折りされる。
【0024】
矩形状の底面板21の4辺には矩形状の側面板22a~22dが谷折り線11を介してそれぞれ連設される。3辺の側面板22a~22cの各上辺には矩形状のフランジ板23a~23cが山折り線12を介してそれぞれ連設される。1辺の側面板22dの上辺には矩形状の蓋部30が谷折り線11を介して連設される。蓋部30は後述する連結部24c及び連結部24dに隣りあうように側面板22dよりも図中、左右方向に突出する。
【0025】
隣りあう側面板22a~22dの側辺はそれぞれ破線のハッチングで示す正方形の連結部(第1連結部)24a~24dを介して連結される。なお、連結部24aは側面板22aに山折り線12を介して連結され、側面板22bに折り線を介さずに連結されている。
【0026】
同様に、連結部24bは側面板22cに山折り線12を介して連結され、側面板22bに折り線を介さずに連結されている。連結部24cは側面板22cに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。連結部24dは側面板22aに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。
【0027】
連結部24a~24dには底面板21の角部から連結部24a~24dを線対称に横断する谷折り線(第1折り線)11が形成されている。この谷折り線11は底面板21の各辺に対して45°傾斜している。つまり、底面板21を水平面に載置したときに鉛直方向に対して45°傾斜している。
【0028】
この時、連結部24a~24d上の谷折り線11は、側面板22a~22cとフランジ板23a~23cとの間の山折り線12の延長上まで延びて形成される。これにより、側面板22a~22dを立設した際に、連結部24a~24d上の谷折り線11の上端は側面板22a~22dと同じ高さに配される。
【0029】
フランジ板23a~23cの両端部にはそれぞれドットのハッチングで示す正方形の連結部(第2連結部)26a~26fが設けられる。連結部26a~26fはフランジ板23a~23cと連結部24a~24dとを連結する。連結部26aはフランジ板23a及び連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0030】
同様に、連結部26dはフランジ板23c及び連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26eはフランジ板23c及び連結部24cに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26fはフランジ板23a及び連結部24dに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0031】
また、連結部26bはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26cはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。つまり、山折り線(第2折り線)12は連結部24a~24dと連結部26a~26fとを連結する折り線である。
【0032】
また、連結部26a、26d、26e、26fには側面板22a、22cの角部から連結部26a、26d、26e、26fを横断する谷折り線11が形成されている。この谷折り線11は連結部26a、26d、26e、26fと連結部24a~24dとを連設する山折り線(第2折り線)12に対して45°傾斜している。
【0033】
側面板22a~22dの幅W1(包装体10を組立てた際の深さ)はフランジ板23a~23cの幅W2と同じに形成される。これにより、包装体10を組立てた際に蓋部30の側端とフランジ板23a、23cの開放端とを一致させることができ、包装体10をコンパクトに形成することができる。
【0034】
図4は包装材100の層構成を示す断面図である。包装材100は、基材層101、バリア層102、熱接着層103が順に積層された積層体から成る。基材層101とバリア層102とは接着剤層104を介して接着されている。バリア層102と熱接着層103とは接着層105を介して接着されている。
【0035】
包装材100の厚みは特に限定されないが、強度の観点から50μm以上とすることができる。また、成形性及び電池1の小型化の観点から包装材100は薄い方が望ましく、包装材100の厚みを例えば200μm以下とすることができる。包装材100の厚みを好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは80μm以下とすることができる。
【0036】
基材層101及び熱接着層103の表面には滑剤が配されていることが好ましい。なお、滑剤は基材層101及び熱接着層103の表面に塗布してもよい。また、塗布する以外に、基材層101又は熱接着層103を構成する樹脂中に滑剤を含ませて加熱し、基材層101及び熱接着層103の表面に滑剤をブリードアウトさせてもよい。滑剤の種類としては、特に限定されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。
【0037】
基材層101は包装体10の外面側に配されており、絶縁性を有する。基材層101を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート、及びこれらの混合物や共重合物などが挙げられる。これらの中でも、基材層101はポリエステル又はポリアミドにより形成された層を含むことが好ましい。
【0038】
基材層101は樹脂フィルムにより形成してもよく、上記の素材をバリア層102上にコーティングして形成してもよい。基材層101を樹脂フィルムにより形成する場合は一軸延伸フィルムが望ましく、二軸延伸フィルムがより望ましい。延伸フィルムは配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層101として好適に使用される。このため、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルムを好適に用いることができ、特に二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをより好適に用いることができる。
【0039】
また、基材層101は耐ピンホール性や絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルムを複数積層化(多層構造化)してもよい。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造、ナイロンフィルムを複数積層させた多層構造、ポリエステルフィルムを複数積層させた多層構造などが挙げられる。
【0040】
基材層1が多層構造である場合、2軸延伸ナイロンフィルムと2軸延伸ポリエステルフィルムの積層体、2軸延伸ナイロンフィルムを複数積層させた積層体、2軸延伸ポリエステルフィルムを複数積層させた積層体が好ましい。
【0041】
例えば、基材層1を2層の樹脂フィルムから形成する場合、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂を積層する構成、ポリアミド樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成、又はポリエステル樹脂とポリアミド樹脂を積層する構成にすることが好ましい。
【0042】
また、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを積層する構成、ナイロンとナイロンを積層する構成、又はポリエチレンテレフタレートとナイロンを積層する構成にすることがより好ましい。
【0043】
また、ポリエステル樹脂は、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、当該積層構成においては、ポリエステル樹脂が最外層に位置するように基材層1を積層することが好ましい。基材層1を多層構造とする場合、各層の厚さとして、好ましくは2~25μm程度が挙げられる。また、異なる素材の樹脂をフィルムにコーティングしてもよい。
【0044】
基材層101の厚みは包装体10の厚みを薄くしつつ、形状安定性を向上するために例えば4μm以上に形成される。基材層101の厚みを好ましくは10μm以上75μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下とすることができる。
【0045】
接着剤層104は好ましくは2液硬化型接着剤又は1液硬化型接着剤から成る。接着剤は特に限定されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型などのいずれであってもよい。
【0046】
接着剤層104の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系接着剤、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、尿素樹脂、アミノ樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート、ゴム、などが挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、ポリウレタン系接着剤がより好ましい。また、接着剤層104には黒鉛や金属酸化物などの顔料や、後述する添加物等を添加してもよい。
【0047】
接着剤層104の厚みは、接着層としての機能を発揮すれば特に限定されないが、例えば、1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下とすることができる。
【0048】
バリア層102は包装体10の強度向上の他、電池1の内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層102はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタンなどの金属箔により形成され、特にアルミニウム合金箔やステンレス鋼箔が好ましい。
【0049】
ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系のステンレス鋼箔、フェライト系のステンレス鋼箔などが挙げられる。ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
【0050】
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
【0051】
ステンレス鋼箔の厚さについては、特に制限されないが、好ましい上限としては85μm以下、50μm以下、40μm以下、25μm以下が挙げられる。好ましい範囲としては10~85μm程度、10~50μm程度、15~25μm程度が挙げられる。
【0052】
また、包装材100の製造時にバリア層102にしわやピンホールが発生することを防止するため、例えば、焼きなまし処理済みの軟質アルミニウム合金箔により形成してもよい。
【0053】
バリア層102の厚みは、水蒸気バリア性を発揮すれば特に限定されないが、例えば、10μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上55μm以下、より好ましくは10μm以上38μm以下とすることができる。
【0054】
バリア層102の接着の安定性、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が下地被膜層を備えていることが好ましい。下地被膜層は、例えば、バリア層102の表面に化成処理を施して形成される。
【0055】
化成処理としては、例えばクロメート処理、リン酸クロメート処理などが挙げられる。リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を施すことでも下地被膜層は形成できる。また、耐食性の下地皮膜層上にカチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。本発明のバリア層102の表面に下地皮膜層が形成されている場合、バリア層102には下地皮膜層が含まれる。
【0056】
また、バリア層102は製造過程におけるMD(Machine Direction)とTD(Transverse Direction)を判別することができる。例えば、バリア層102がアルミニウム合金箔により構成されている場合、アルミニウム合金箔の圧延方向(RD:Rolling Direction)には、アルミニウム合金箔の表面に、いわゆる圧延痕と呼ばれる線状の筋が形成されている。圧延痕は、圧延方向に沿って伸びているため、アルミニウム合金箔の表面を観察することによって、アルミニウム合金箔の圧延方向を把握することができる。
【0057】
また、包装材100の製造過程においては、通常、積層体のMDと、アルミニウム合金箔のRDとが一致するため、積層体のアルミニウム合金箔の表面を観察し、アルミニウム合金箔の圧延方向(RD)を特定することにより、積層体のMDを特定することができる。また、積層体のTDは、積層体のMDとは垂直方向であるため、積層体のTDについても特定することができる。
【0058】
熱接着層103は最内層に配され、包装体10の組み立て時に熱接着層103同士が熱融着する。熱接着層103に使用される樹脂成分については、熱融着可能であれば特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。
【0059】
また、熱接着層103は1種の樹脂成分単独で形成してもよいが、2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱接着層103は1層のみで形成してもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成してもよい。
【0060】
熱接着層103の厚みは熱融着性を発揮すれば特に限定されないが、好ましくは約100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは60μm以下とすることができる。
【0061】
接着層105は接着剤層104で例示した接着剤と同様の接着剤を用いることができる。また、接着層105を熱接着層103で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂を用いることもできる。なお、バリア層102と熱接着層103との密着性に優れる観点から、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
【0062】
また、包装体10の厚みを薄くしつつ、形状安定性を向上させるために、接着層105は、酸変性ポリオレフィン及び硬化剤を含む樹脂組成物が好適に用いられる。酸変性ポリオレフィンとして、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどが挙げられる。硬化剤は特に限定されないが、例えば、エポキシ系硬化剤、多官能イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤などが挙げられる。
【0063】
接着層105の厚みの好ましい範囲としては2μm以上50μm以下が挙げられる。また、接着剤層104で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは2μm以上10μm以下、より好ましくは2μm以上5μm以下とすることができる。また、熱接着層103で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上40μm以下とすることができる。
【0064】
また、基材層101の上面(基材層101のバリア層102とは反対側の面)に意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、表面被覆層(不図示)を設けてもよい。表面被覆層は電池1を組立てた時に最外層に位置する層であり、表面被覆層を設ける場合、表面被覆層の表面に滑剤を配してもよい。
【0065】
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などにより形成することができる。また、表面被覆層は包装体10の表面の耐電解液性をより一層高める観点から、ウレタン樹脂とアクリル樹脂などを組み合わせた混合樹脂により形成してもよい。これらの中でも表面被覆層を2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0066】
また、表面被覆層には添加剤を配合してもよい。添加剤として、例えば、粒径が0.5nm以上5μm以下の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に限定されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物などが挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に限定されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状などが挙げられる。また、表面被覆層には黒鉛や金属酸化物などの顔料を添加してもよい。また、例えば、表面被覆層の表面に凹凸を形成するマット化剤を表面被覆層に添加してもよい。このとき、表面が凹凸に形成された表面被覆層はマット層として機能させることができる。マット化剤としては、上記で示した添加剤を用いることができる。
【0067】
包装材100は例えば、ロール状の積層体を打抜き加工によって所定形状に打ち抜いて形成される。このとき、押罫により谷折り線11及び山折り線12が形成されることが好ましい。谷折り線11は包装材100の熱接着層103側からプレスした押罫により形成される。山折り線12は包装材100の基材層101側からプレスした押罫により形成される。押罫を設けることにより、包装材100を谷折り線11及び山折り線12に沿って確実に折曲することができる。
【0068】
上記構成の包装材100を谷折り線11及び山折り線12で折曲して包装体10が形成される。即ち、側面板22a~22dが底面板21の周縁から谷折りして立設される。この時、連結部24a~24dが谷折り線11(第1折り線)上で二つ折りされ、内面の熱接着層103により熱接着される。これにより、二つ折りされた連結部24a、24bは側面板22bに沿って配され、二つ折りされた連結部24c、24dは側面板22dに沿って配される。
【0069】
次に、フランジ板23a~23cが側面板22a~22cの上端から山折りされ、連結部26a~26fが連結部24a~24dの上端から山折りされる。この時、連結部26a、26d~26fが谷折り線11上で二つ折りされ、内面の熱接着層103により熱接着される。
【0070】
これにより、連結部24aを挟んで隣りあう連結部26a、26bの一方が折り畳まれ、連結部24bを挟んで隣りあう連結部26c、26dの一方が折り畳まれる。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26b、26cが連結されたU字状のフランジF(図2参照)が開口部20aの周囲に形成される。また、連結部26e、26fが折り畳まれ、蓋部30がフランジ板23a、23cに隣接する。
【0071】
次に、本体部20内に電池素子40が収納される。この時、例えば、フランジ板23c上に金属タブ41a、41bが配される。電池素子40を収納すると蓋部30が側面板22dの上端から谷折りされ、蓋部30の外周部とフランジ板23a~23cとが一部に未シール部を残して熱接着層103により熱接着される。そして、未シール部から電解液が注入された後に未シール部が熱接着層103により熱接着され、電池1が形成される。このとき、電池1は底面板21を水平面に載置したときに蓋部30が底面板21の上方に配される。
【0072】
なお、上記電解液の注入方法は一例であり、この方法に限定されない。例えば、フランジ板23cの一辺を未シール部として残してもよい。この場合、他のフランジ板23a、23bの二辺を熱溶着し、未シール部から電解液が注入された後に未シール部のフランジ板23cの一辺を熱溶着する。
【0073】
包装体10を包装材100の折曲により形成するため、バリア層102の薄肉化及び割れを防止することができる。また、側面板及びフランジ板の折曲時の曲率半径を小さくすることができる。従って、包装体10の歩留り及び容積効率を向上することができる。
【0074】
また、バリア層102の厚みは側面板22a~22dの高さ(深さ)の中間位置におけるバリア層102の厚みをBとし、側面板22a~22dと底面板21との連設部におけるバリア層102の厚みをCとしたとき、(B/C)×100で計算されるCに対するBの厚みの割合(%)が100±10%以下となることによりバリア層102の厚みを高さ方向に略同一にして強度の低下を防止しながら容積効率の高い包装体10を形成することができる。さらに、Cに対するBの厚みの割合(%)は100±5%以下が好ましく、100±2%以下がより好ましい。
【0075】
また、連結部24a~24dが谷折り線11で二つ折りして熱接着されるため、隣りあう側面板22a~22dの隙間のバリア性が低下するのを防止できる。この時、二つ折りされた連結部24a~24d上の谷折り線11は上方に向かって外側に傾斜し、谷折り線11の上端は側面板22a~22dの上端と同じ高さに配されている。このため、連結部24a~24dの上端部に包装材100の外形端面が露出せず、熱接着層103を介して本体部20内に水蒸気等が侵入することを防止できる。
【0076】
また、連結部26bはフランジ板23bとともに蓋部30に熱接着され、連結部24aとフランジ板23aとの間に配した連結部26aは二つ折りして熱接着される。このため、隣りあう側面板22aと側面板22bとの間の稜線の上端に隙間が形成されることを防止できる。同様に、連結部26c~26fによって隣りあう側面板22a~22d間の上端に隙間が形成されることを防止できる。従って、バリア性の低下をより確実に防止できる。
【0077】
本実施形態によると、包装体10の本体部20が底面板21、側面板22a~22d及びフランジ板23a~23cを有し、一の側面板22dの上端から折曲される蓋部30がフランジ板23a~23c上に接着される。また、隣りあう側面板22a~22d間を連結する連結部24a~24d(第1連結部)が傾斜した谷折り線11(第1折り線)上で谷折りにより二つ折りして接着される。
【0078】
これにより、隣りあう側面板22a~22dの隙間のバリア性の低下を防止し、包装体10を積層体から成る包装材100の折曲により形成することができる。従って、包装体10の歩留り及び容積効率を向上することができる。
【0079】
また、一の側面板22d上から蓋部30が折曲されるため、矩形状の包装体10の1辺の側面板22d上にフランジ板が形成されない。このため、側面板22dを下方にして立設した複数の電池1をスタック状に並設することができ、複数の電池1の収納容積を削減することができる。
【0080】
なお、蓋部30が連設される側面板22dに対向する側面板22b上のフランジ板23bを下方に折曲すると、電池1の収納容積をより削減することができる。これにより、複数の電池1を並設して大型化した場合に各電池1の収納容積を削減して電池全体の体積エネルギー密度を向上することができる。なお、金属タブ41a、41bを配したフランジ板23cに対向するフランジ板23aを下方に折曲してもよい。
【0081】
また、フランジ板23a~23cの両端に連結部(第2連結部)26a~26fが設けられ、連結部(第2連結部)26a~26fは連結部(第1連結部)24a~24dの上端に山折り線(第2折り線)12を介して連結される。これにより、隣りあう側面板22a~22d間の稜線の上端におけるバリア性の低下を防止することができる。
【0082】
また、連結部(第2連結部)26b、26cにそれぞれ隣りあう連結部(第2連結部)26a、26dが谷折りにより二つ折りされて接着される。これにより、U字型に連続するフランジFを容易に形成することができる。
【0083】
また、二つ折りされた連結部24c、24dを挟んで蓋部30に隣りあう連結部(第2連結部)26e、26fが谷折りにより二つ折りされて接着される。これにより、U字型のフランジF上に重ねられる蓋部30を容易に形成することができる。
【0084】
また、連結部24a~24d上の谷折り線(第1折り線)11の上端が側面板22a~22dの上端と同じ高さに配されている。これにより、二つ折りにされた連結部(第1連結部)の上端部に包装材100の外形端面が露出せず、熱接着層103を介して本体部20内に水蒸気等が侵入することを防止できる。
【0085】
また、側面板22a~22dと前記底面板21との連設部における前記バリア層102の厚みに対して前記側面板22a~22dの高さ方向における中間位置の前記バリア層102の厚みの割合が100±10%以下となることによりバリア層102の厚みを高さ方向に略同一にして強度の低下を防止しながら容積効率の高い包装体10を形成することができる。
【0086】
なお、図5は本実施形態の包装体10の変形例を示す展開図である。側面板22a~22dの幅W1をフランジ板23a~23cの幅W2よりも小さく形成してもよい。この場合、連結部26a、26d、26e、26fに形成された谷折り線11は連結部26a、26d、26e、26fと連結部24a~24dとを連設する山折り線12に対して45°傾斜している。
【0087】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図1図4に示した第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は第1実施形態に対し、連結部24a~24dの形状が異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0088】
側面板22a~22dの幅W1はフランジ板23a~23cの幅W2より大きく形成される。フランジ板23a~23cの幅W2が小さいため、電池1を小型化して容積効率を向上することができる。
【0089】
また、底面板21と側面板22a、22cとを連設する谷折り線11の延長線と蓋部30の外周との距離W3がフランジ板23a~23cの幅W2と同じに形成される。これにより、蓋部30をフランジF上に配した際に蓋部30の外縁とフランジ板23a、23c及び連結部26b、26cの外縁とを一致させることができる。この時、連結部24a~24d(第1連結部)は実線のハッチングで示す矩形状の切欠きK1を角部に設けたL字状に形成される。
【0090】
連結部24a~24dがL字状のため、連結部24a~24d上の谷折り線11は側面板22a~22cとフランジ板23a~23cとの間の山折り線12の延長上に到達しない。このため、側面板22a~22dを立設した際に、連結部24a~24d上の谷折り線11の上端は側面板22a~22dよりも低くなっている。
【0091】
<第3実施形態>
図7は第3実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図1図4に示した第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は連結部26a~26dに対して谷折り線11及び山折り線12の配置が第1実施形態と異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0092】
隣りあう側面板22a~22dの側辺はそれぞれ正方形の連結部(第1連結部)24a~24dを介して連結している。なお、連結部24aは側面板22bに山折り線12を介して連結され、側面板22aに折り線を介さずに連結されている。
【0093】
同様に、連結部24bは側面板22bに山折り線12を介して連結され、側面板22cに折り線を介さずに連結されている。連結部24cは側面板22cに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。連結部24dは側面板22aに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。
【0094】
また、連結部26bはフランジ板23b及び連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26cはフランジ板23b及び連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26eはフランジ板23c及び連結部24cに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26fはフランジ板23a及び連結部24dに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0095】
また、連結部26aはフランジ板23aに折り線を介さずに連結され、連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26dはフランジ板23cに折り線を介さずに連結され、連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0096】
また、連結部26b、26c、26e、26fには側面板22b、22c、22aの角部から連結部26b、26c、26e、26fを横断する谷折り線11が形成されている。この谷折り線11は連結部26b、26c、26e、26fと連結部24a~24dとを連設する山折り線(第2折り線)12に対して45°傾斜している。
【0097】
フランジ板23a~23cが側面板22a~22cの上端から山折りされ、連結部26a~26fが連結部24a~24dの上端から山折りされる。この時、連結部26b、26c、26e、26fが谷折り線11上で二つ折りされ、内面の熱接着層103により熱接着される。
【0098】
これにより、連結部24aを挟んで隣りあう連結部26a、26bの一方が折り畳まれ、連結部24bを挟んで隣りあう連結部26c、26dの一方が折り畳まれる。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26a、26dが連結されたU字状のフランジFが開口部20aの周囲に形成される。また、連結部26e、26fが折り畳まれ、蓋部30がフランジ板23a、23cに隣接する。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
本実施形態において、第2実施形態と同様に連結部24a~24dをL字状に形成してもよい。
【0100】
<第4実施形態>
図8は第4実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図1図4に示した第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は連結部26a、26d、26e、26f及びフランジ板23a、23cに対して、谷折り線11の配置が異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0101】
フランジ板23a、23cの両側部には側面板22a、22cの角部から互いに近づく方向に延びてフランジ板23a、23cを斜めに横断する一対の谷折り線11が形成されている。この谷折り線11はフランジ板23a、23cと側面板22a、22cとを連結する山折り線12に対して45°傾斜している。
【0102】
フランジ板23a、23cと連結部26a、26d、26e、26fとを連設する山折り線12を折曲するとともに、フランジ板23a、23cを斜めに横断する谷折り線11を折曲してフランジ板23a、23cの両側部を折り畳んで内面の熱接着層103により熱接着する。このとき、連結部26a、26dがフランジ板23a、23cの一側部に夫々重なる。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26a~26dが連結されたU字状のフランジFが開口部20aの周囲に形成される。また、連結部26e、26fがフランジ板23a、23cの他側部に夫々重なり、蓋部30がフランジ板23a、23cに隣接する。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
また、フランジ板23a、23cは連結部24a、24bと折り線を介して連設されていない。このため、谷折りして熱接着されるフランジ板23a、23c及び連結部24a、24bが隣りあわないため、フランジ板23a、23c及び連結部24a、24bを夫々別工程で容易に熱接着することができる。
【0104】
本実施形態において、第2実施形態と同様に連結部24a~24dをL字状に形成してもよい。
【0105】
なお、図9は本実施形態の包装体10の変形例を示す展開図である。フランジ板23a、23cの両側部には側面板22a、22cの角部から互いに近づく方向に延びてフランジ板23a、23cを斜めに横断する一対の山折り線12が形成されている。また、フランジ板23a、23cと連結部26a、26d、26e、26fとは谷折り線11を介して連設されている。
【0106】
フランジ板23a、23cと連結部26a、26d、26e、26fとを連設する谷折り線11を折曲するとともに、フランジ板23a、23cを斜めに横断する山折り線12を折曲してフランジ板23a、23cの両側部を折り畳んで連結部26a、26d、26e、26fと夫々熱接着層103により熱接着する。このとき、連結部26a、26dがフランジ板23a、23cの一側部に夫々重なる。従って、本変形例においても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0107】
<第5実施形態>
図10は第5実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図8に示した第4実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は連結部26a~26f及びフランジ板23a~23cに対して、谷折り線11及び山折り線12の配置が異なる。その他の部分は第4実施形態と同様である。
【0108】
フランジ板23bの両側部には側面板22bの角部から互いに近づく方向に延びてフランジ板23bを斜めに横断する一対の谷折り線11が形成されている。この谷折り線11はフランジ板23bと側面板22bとを連結する山折り線12に対して45°傾斜している。
【0109】
また、連結部24aは側面板22bに山折り線12を介して連結され、側面板22aに折り線を介さずに連結されている。同様に、連結部24bは側面板22bに山折り線12を介して連結され、側面板22cに折り線を介さずに連結されている。連結部24cは側面板22cに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。連結部24dは側面板22aに山折り線12を介して連結され、側面板22dに折り線を介さずに連結されている。
【0110】
また、連結部26bはフランジ板23b及び連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26cはフランジ板23b及び連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26eはフランジ板23c及び連結部24cに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。連結部26fはフランジ板23a及び連結部24dに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0111】
また、連結部26aはフランジ板23aに折り線を介さずに連結され、連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26dはフランジ板23cに折り線を介さずに連結され、連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0112】
フランジ板23bと連結部26b、26cとを連設する山折り線12を折曲するとともに、フランジ板23bを斜めに横断する谷折り線11を折曲してフランジ板23bの両側部を折り畳んで内面の熱接着層103により熱接着する。このとき、連結部26b、26cがフランジ板23bの両側部に夫々重なる。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26a~26dが連結されたU字状のフランジFが開口部20aの周囲に形成される。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0113】
また、フランジ板23bは連結部24a、24bと折り線を介して連設されていない。このため、谷折りして熱接着されるフランジ板23b及び連結部24a、24bが隣りあわないため、フランジ板23b及び連結部24a、24bを夫々別工程で容易に熱接着することができる。
【0114】
本実施形態において、第2実施形態と同様に連結部24a~24dをL字状に形成してもよい。
【0115】
なお、図11は本実施形態の包装体10の変形例を示す展開図である。フランジ板23bの両側部には側面板22bの角部から互いに近づく方向に延びてフランジ板23bを斜めに横断する一対の山折り線12が形成されている。また、フランジ板23bと連結部26b、26cとは谷折り線11を介して連設されている。
【0116】
フランジ板23bと連結部26b、26cとを連設する谷折り線11を折曲するとともに、フランジ板23bを斜めに横断する山折り線12を折曲してフランジ板23bの両側部を折り畳んで連結部26b、26cと夫々熱接着層103により熱接着する。このとき、連結部26b、26cがフランジ板23bの両側部に夫々重なる。従って、本変形例においても本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0117】
<第6実施形態>
図12は第6実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図1図4に示した第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は連結部26a、26d、26e、26fに対して、谷折り線11及び山折り線12の配置が異なる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0118】
連結部26a、26d、26e、26fには側面板22a、22cの角部から連結部26a、26d、26e、26fを横断する山折り線12が形成されている。この山折り線12は連結部26a、26d、26e、26fと連結部24a~24dとを連設する折り線に対して45°傾斜している。
【0119】
また、連結部26aはフランジ板23aに折り線を介さずに連結され、連結部24aに谷折り線(第2折り線)11を介して連結される。同様に、連結部26dはフランジ板23cに折り線を介さずに連結され、連結部24bに谷折り線(第2折り線)11を介して連結される。
【0120】
また、連結部26bはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26cはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0121】
また、連結部26eはフランジ板23cに谷折り線11を介して連結され、連結部24cに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26fはフランジ板23aに谷折り線11を介して連結され、連結部24dに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0122】
フランジ板23a、23cと側面板22a、22cとを連設する山折り線12に沿って折曲するとともに、山折り線12に沿って連結部26a、26dを折曲する。次に、二つ折りされた連結部26a、26dをフランジ板23bの両側部に配される連結部26b、26cにそれぞれ重ねて熱接着層103により熱接着する。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26a~26dが連結されたU字状のフランジFが開口部20aの周囲に形成される。
【0123】
また、連結部26e、26fを山折り線12に沿って折曲するとともにフランジ板23a、23cの一側部にそれぞれ重ねて熱接着層103により熱接着する。その結果、蓋部30がフランジ板23a、23cに隣接する。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、連結部26a、26dは山折りして熱接着されており、谷折りして熱接着される連結部24a、24bと折り線を介して連設される領域で谷折りして熱接着される領域はない。このため、連結部26a、26d及び連結部24a、24bを夫々別工程で容易に熱接着することができる。
【0125】
本実施形態において、第2実施形態と同様に連結部24a~24dをL字状に形成してもよい。
【0126】
<第7実施形態>
図13は第6実施形態の電池1の包装体10の展開図を示している。説明の便宜上、前述の図12に示した第6実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は連結部26a~26fに対して、谷折り線11及び山折り線12の配置が異なる。その他の部分は第6実施形態と同様である。
【0127】
連結部26b、26cには側面板22bの角部から連結部26b、26cを横断する山折り線12が形成されている。この山折り線12は連結部26b、26cと連結部24a、24bとを連設する折り線に対して45°傾斜している。
【0128】
また、連結部26aはフランジ板23aに折り線を介さずに連結され、連結部24aに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26dはフランジ板23cに折り線を介さずに連結され、連結部24bに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0129】
また、連結部26bはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24aに谷折り線(第2折り線)11を介して連結される。同様に、連結部26cはフランジ板23bに折り線を介さずに連結され、連結部24bに谷折り線(第2折り線)11を介して連結される。
【0130】
また、連結部26eはフランジ板23cに谷折り線11を介して連結され、連結部24cに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。同様に、連結部26fはフランジ板23aに谷折り線11を介して連結され、連結部24dに山折り線(第2折り線)12を介して連結される。
【0131】
フランジ板23bと側面板22bとを連設する山折り線12に沿って折曲するとともに、山折り線12に沿って連結部26b、26cを折曲する。次に、二つ折りされた連結部26b、26cをフランジ板23a、23cの一側部に配される連結部26a、26dにそれぞれ重ねて熱接着層103により熱接着する。その結果、フランジ板23a~23c及び連結部26a~26dが連結されたU字状のフランジFが開口部20aの周囲に形成される。
【0132】
また、連結部26e、26fを山折り線12に沿って折曲するとともにフランジ板23a、23cの一側部にそれぞれ重ねて熱接着層103により熱接着する。その結果、蓋部30がフランジ板23a、23cに隣接する。従って、本実施形態でも第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0133】
また、連結部26b、26cは山折りして熱接着されており、谷折りして熱接着される連結部24a、24bと折り線を介して連設される領域で谷折りして熱接着される領域はない。このため、連結部26b、26c及び連結部24a、24bを夫々別工程で容易に熱接着することができる。
【0134】
本実施形態において、第2実施形態と同様に連結部24a~24dをL字状に形成してもよい。
【0135】
なお、第1~第7実施形態の連結部26a~26f及びフランジ板23a~23cの一部を他の実施形態の連結部26a~26f及びフランジ板23a~23cに替え、連結部26a~26f及びフランジ板23a~23c上の谷折り線11及び山折り線12の配置を組み合わせてもよい。
【0136】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において矩形状とは略矩形及び矩形の意味である。同様に、連結部(第1連結部)24a~24dは略正方形でもよい。また、45°傾斜する谷折り線11は誤差の範囲で若干ズレてもよい。
【0137】
また、幅W1、幅W2及び距離W3の大きさも誤差の範囲で若干ずれてもよい。例えば、第1実施形態において、側面板22a~22dの幅W1(包装体10を組立てた際の深さ)はフランジ板23a~23cの幅W2と誤差の範囲で若干ずれてもよい。また、底面板21と側面板22a、22cとを連設する谷折り線11の延長線と蓋部30の外周との距離W3はフランジ板23a~23cの幅W2と誤差の範囲で若干ずれてもよい。
【実施例0138】
以下、実施例を用いて本発明の効果をさらに詳細に説明する。
【0139】
実施例1~実施例7は第1実施形態の包装体10であり、1枚の包装材100を押罫により形成された谷折り線11及び山折り線12に沿って折曲して包装体10を形成した。本体部20の開口部20aを100mm×240mmとし、底面板21と側面板22a~22dとの連設部分の曲率半径を0.5mmとした。また、側面板22a~22dとフランジ板23a~23cとの連設部分の曲率半径を0.5mmとした。また、実施例1~実施例7は包装体10の深さH(図3中の幅W1に相当)をそれぞれ3mm、4mm、5mm、6mm、10mm、15mm、20mmとした。
【0140】
包装材100の基材層101はポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み12μm)と延伸ナイロンフィルム(厚み15μm)とをドライラミネート接着剤(厚み3μm)を介して接着した。バリア層102はアルミニウム合金箔(厚み40μm)を用いた。接着剤層104にはドライラミネート接着剤(厚み3μm)を用いてアルミニウム合金箔と延伸ナイロンフィルムとを接着した。熱接着層103はポリプロピレンフィルム(厚み40μm)を用いた。接着層105は酸変性ポリプロピレン(厚み40μm)を用いた。
【0141】
また、比較例1~比較例4は実施例1~実施例7の包装材100と同じ積層体を冷間プレス成形して実施例1~実施例7と同様の容積のトレイを形成した。具体的には、比較例1~比較例4は包装材100を長方形(150mm×300mm)に裁断して雄型と雌型の成形金型を用いて冷間プレス成形によりトレイを形成した。なお、裁断された包装材100は短辺が包装材100のMD(流れ方向)に一致し、長辺が包装材100のTD(幅方向)に一致する。
【0142】
また、雌型の成形金型は開口部が矩形状(100mm×240mm)であり、JIS B 0659-1:2002の「附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2」に規定される最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmの金型から成る。また、雌型の成形金型のコーナーは0.5mmであり、稜線は0.5mmである。これらの値は、プレス成形後の側面板とフランジ板との連設部分の曲率半径に相当する。
【0143】
また、雄型の成形金型はJIS B 0659-1:2002の「附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2」に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmの金型から成る。また、雄型の成形金型のコーナーは0.5mmであり、稜線は0.5mmである。これらの値は、プレス成形後の底面板と側面板との連設部分の曲率半径に相当する。また、雄型の成形金型と雌型の成形金型とのクリアランスは、0.3mmとした。
【0144】
また、雌型の成形金型の開口部を覆うように包装材100を載置して雄型の成形金型で冷間プレス成形する。このとき、包装材100のMDを成形金型の開口部の短辺に一致させ、包装材100のTDを成形金型の開口部の長辺に一致させて雄型の成形金型側に熱接着性樹脂層が当接するように包装材100を雌型の成形金型に載置してプレス成形する。
【0145】
また、比較例1~比較例4は成形深さ(トレイの深さH)をそれぞれ3mm、4mm、5mm、6mmとなるよう成形した。
【0146】
図14は包装体10の上面図であり、図15図14中のX-X線断面図である。なお図15は包装体100の層構成を示している。実施例1~実施例7及び比較例1~4で成形された包装体について、図14に示すように、開口部20aを上方から平面視して連結部26bの角部P1と開口部20aの角部P2とを通過する直線Lに沿って、ミクロトーム(大和光機工業株式会社製 品番:REM-710リトラトーム)を用いて厚み方向に裁断して包装体を2分割し、得られた断面をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製 品番:VK-9700)で観察してバリア層102の厚みを測定し、結果を表1に示す。
【0147】
なお、バリア層102の厚みは側面板とフランジ板との連設部(表1中、Aで示す)、側面板の高さの中間位置(表1中、Bで示す)、側面板と底面板との連設部(表1中、Cで示す)でそれぞれ測定した。また、実施例1~実施例7の包装体10はバリア層102の厚みは連結部24aと連結部26bとの連設部(表1中、Aで示す)、連結部24aの高さの中間位置(表1中、Bで示す)、連結部24aと底面板21との連設部(表1中、Cで示す)でそれぞれ測定した。
【0148】
また、測定された各位置の厚みA~Cから、Cに対するAの厚みの割合(%)を(A/C)×100により計算し表1にまとめた。また、Cに対するBの厚みの割合(%)を(B/C)×100により計算し表1にまとめた。また、成形後のバリア層102の割れの有無を暗室で光を当てて目視により確認した。10個のサンプルについて割れの有無を確認し、全てのサンプルにおいて割れが確認されない場合を「○」、いずれかのサンプルにおいて割れが確認された場合を「×」で表している。
【0149】
【表1】
【0150】
表1から明らかなように、包装体10を押罫により形成された谷折り線11及び山折り線12に沿って形成することにより、本体部20の深さを大きく形成して包装体10の容量を増やすことができる。また、Cに対するAの厚みの割合及びCに対するBの厚みの割合(%)が100±2%以下であり、バリア層102の厚みを高さ方向に略同一にして強度の低下を防止しながら容積効率の高い包装体10を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、電池素子を包装する電池用包装体に利用可能である。
【符号の説明】
【0152】
1 電池
10 電池用包装体(包装体)
11 谷折り線
12 山折り線
20 本体部
20a 開口部
21 底面板
22a~22d 側面板
23a~23c フランジ板
24a~24d 連結部(第1連結部)
26a~26f 連結部(第2連結部)
30 蓋部
40 電池素子
41a、41b 金属タブ
100 包装材
101 基材層
102 バリア層
103 熱接着層
104 接着剤層
105 接着層
K1 切欠き
F フランジ
P 角部
L 直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15