(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045388
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 19/105 20140101AFI20240326BHJP
H04N 19/186 20140101ALI20240326BHJP
H04N 19/70 20140101ALI20240326BHJP
【FI】
H04N19/105
H04N19/186
H04N19/70
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014222
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2021530947の分割
【原出願日】2019-03-14
(31)【優先権主張番号】62/790,795
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本出願の実施形態は、画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体を提供する。
【解決手段】画像デコーディング方法は、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得することと、ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することと、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にすることと、を含み、プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像デコーディング方法であって、
現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得することと、
前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することであって、前記ビットストリームを解析してから、前記ビットストリーム内のシーケンスパラメータセット(SPS)から前記制御識別子を取得することを含むことと、
前記制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を有効にすること、
を含み、
前記プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられ、前記画像コンポーネントは、2つの画像コンポーネントを含み、前記2つの画像コンポーネントはいずれも彩度コンポーネントである、
ことを特徴とする画像デコーディング方法。
【請求項2】
前記制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、前記プリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、前記方法は、
DM(direct mode)にしたがって前記現在のビデオ画像をデコードすることをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1の記載の方法。
【請求項3】
前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得してから、前記方法は、
前記制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、DMは無効になることをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得
することは、
前記ビットストリームを解析してから、前記ビットストリーム内の画像パラメータセッ
ト(PPS)から制御識別子を取得することを含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することは、
前記ビットストリームを解析してから、前記ビットストリーム内の補足拡張情報(SEI)から制御識別子を取得することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
デコーダであって、取得部分、解析部分及び有効化部分を含み、
前記取得部分は、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得するために用いられ、
前記解析部分は、前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得するために用いられ、前記解析部分は、具体的には、前記ビットストリームを解析してから、前記ビットストリーム内のシーケンスパラメータセット(SPS)から前記制御識別子を取得するために用いられ、
前記有効化部分は、前記ビットストリームを解析して、前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得してから、前記制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、前記プリセットクロスデコーディング機能を有効にするために用いられ、前記プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられ、前記画像コンポーネントは、2つの画像コンポーネントを含み、前記2つの画像コンポーネントはいずれも彩度コンポーネントである、
ことを特徴とするデコーダ。
【請求項7】
前記デコーダは、デコーディング部分をさらに含み、
前記デコーディング部分は、前記制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、前記プリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、DMにしたがって前記現在のビデオ画像をデコードするために用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のデコーダ。
【請求項8】
前記無効化部分は、さらに、前記ビットストリームを解析して前記現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、前記制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、DMが無効になるようにするために用いられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のデコーダ。
【請求項9】
デコーダであって、プロセッサと、前記プロセッサによって実行され得るコマンドを格納するメモリと、通信インターフェースと、前記プロセッサ、前記メモリ及び前記通信インターフェースを接続するために用いられるバスと、を含み、前記コマンドが前記プロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするデコーダ。
【請求項10】
プログラムを格納するために用いられるコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ可読記憶媒体はデコーダに適用され、前記プログラムが前記プロセッサによって実行されると、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法を実現する、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ画像のコーディング技術分野に関し、さらに具体的に、画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代ビデオコーディング標準H.266又は多用途ビデオコーディング(versatile video coding,VVC)では、クロスコンポーネント依存性の存在を許可する。従って、CCLM(cross-component linear model prediction)及びDM(direct mode)によって、輝度値から彩度値への予測、又は彩度値間の予測を実現することができる。
【0003】
CCLMなどのようなクロスコンポーネント依存性コーディングモード(すなわち、エンコード/デコード)はコーディング効率を向上させることができるが、高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して、クロスコンポーネント依存性コーディングモードは並列コーディングに効果的に使用できず、複雑さが高いという欠点がある。
【発明の概要】
【0004】
本出願の実施形態は、画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体を提供し、高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。
【0005】
本出願の実施形態の技術的解決策は次のとおりである。
【0006】
本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法は、
現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得することと、
ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することと、
制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にすることと、
を含み、
プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。
【0007】
本出願の実施形態は、画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体を提供する。デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。同時に、これらのシナリオにおいて、コーディングユニット(coding unit,CU)層で、デコーディングは画像コンポーネント間の依存性に基づかないことを示すビットを省略して、このシナリオでのコーディング効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、ビデオエンコーディングシステムの構造を示す図である。
【
図2】
図2は、ビデオデコーディングシステムの構造を示す図である。
【
図3】
図3は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第一フローチャートである。
【
図4】
図4は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第二フローチャートである。
【
図5】
図5は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第三フローチャートである。
【
図6】
図6は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第四フローチャートである。
【
図7】
図7は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第五フローチャートである。
【
図8】
図8は、本出願の実施形態に係わるデコーダの第一構造図である。
【
図9】
図9は、本出願の実施形態に係わるデコーダの第二構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。本明細書に記載された具体的な実施形態は、関連する出願を説明するために用いられ、本出願を限定するものではないことは理解できる。なお、説明を容易にするために、関連する出願に関連する部分のみを図面に示している。
【0010】
ビデオをエンコードすることは、各画像をエンコードすることである。同様に、ビデオのエンコーディングと圧縮によって取得されたビデオビットストリームをデコードすることは、各画像のビットストリームをデコードすることである。ほとんど、全てのビデオ画像エンコーディングの国際規格では、1フレームの画像をエンコードする場合、1フレームの画像を複数のブロック、即ちM×Mピクセルのサブイメージに分割することを必要とする。各ブロックはコーディングユニット(coding unit,CU)と呼ばれ、CUを基本コーディングユニットとして、サブイメージを1ブロックずつエンコードする。Mの値は、通常4、8、16、32、64である。従って、1つのビデオ画像シーケンスをエンコードすることは、各画像の各コーディングユニット、即ち各コーディングユニットを順次にエンコードすることであり、1つのビデオ画像シーケンスのビットストリームをデコードすることは、各画像の各コーディングユニットを順次にデコードすることであり、最後にビデオ画像シーケンス全体を再構築する。
【0011】
ビデオ画像では、一般的に第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントでコーディングブロックを示す。第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントは、それぞれ、輝度コンポーネント、青彩度コンポーネント及び赤彩度コンポーネントである。具体的には、輝度コンポーネントは一般的に記号Yで示し、青彩度コンポーネントは一般的に記号Cbで示し、赤彩度コンポーネントは一般的に記号Crで示す。
【0012】
本出願の実施形態において、第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントは、それぞれ、輝度コンポーネントY、青彩度コンポーネントCb及び赤彩度コンポーネントCrである。例えば、第一画像コンポーネントは輝度コンポーネントYであり、第二画像コンポーネントは赤彩度コンポーネントCrであり、第三画像コンポーネントは青彩度コンポーネントCbであり、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。
【0013】
H.266では、コーディング性能及びコーディング効率をさらに向上させるために、クロスコンポーネント予測(cross-component prediction,CCP)を拡張及び改善した。H.266では、CCLMは、第一画像コンポーネントから第二画像コンポーネントへ、第一画像コンポーネントから第三画像コンポーネントへ、及び第二画像コンポーネントと第三画像コンポーネントとの間の予測を実現する。換言すると、CCLM予測モードは、輝度コンポーネントを介して彩度コンポーネントを予測する方法(即ち、第一画像コンポーネントを介して第二画像コンポーネントを予測するか、又は第一画像コンポーネントを介して第三画像コンポーネントを予測する方法)を除いて、2つの彩度コンポーネント間の予測方法(第二画像コンポーネントと第三画像コンポーネントとの間の予測方法)も含む。本出願の実施形態において、第二画像コンポーネントと第三画像コンポーネントとの間の予測方法は、Cbコンポーネントを介してCrコンポーネントを予測することができ、Crコンポーネントを介してCbコンポーネントを予測することもできる。
【0014】
ビデオコーディング標準において、クロスコンポーネント依存性の存在を許可するCCLM及びDMなどの技術に対して、3Dビデオやポイントクラウドなどの将来のメディアコーディングはこのようなツールに係わることができる。これらの技術において、輝度コンポーネントを使用して彩度コンポーネント、コーディングモード及び残差などの情報を予測することができ、彩度コンポーネント間の予測も可能であるので、コーディング効率を大幅に向上させることができる。ただし、クロスコンポーネント依存性は、並列コーディングに挑戦をもたらす。すなわち、いくつかのシナリオにおいて、コーディング過程の複雑さを下げるために、輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネントの間、又は異なる色コンポーネントの間の依存性を使用しないことを必要とする。
【0015】
本出願の実施形態は、ビットストリームに異なる画像コンポーネント間のクロスコーディングを許可するか否かを示す制御識別子を追加することにより、CCLMやDMなどの技術の使用を制御することができ、コーデックは並列コーディングに効果的に使用でき、コーディングの複雑さが高いという欠点を克服することができる。
図1は、ビデオエンコーディングシステムの構造を示す図である。
図1に示されたように、ビデオエンコーディングシステム200は、変換及び量子化ユニット201、イントラ推定ユニット202、イントラ予測ユニット203、動き補償ユニット204、動き推定ユニット205、逆変換及び逆量子化ユニット206、フィルタ制御分析ユニット207、フィルタリングユニット208、エントロピーコーディングユニット209、及び現在のビデオ画像バッファユニット210などを含む。フィルタリングユニット208は、デブロッキングフィルタリング及びサンプル適応オフセット(sample adaptive offset,SAO)フィルタリングを実現することができ、エントロピーコーディングユニット209は、ヘッダー情報エンコーディングとCABAC(context-based adaptive binary arithmetic coding)を実現することができる。
【0016】
入力された元のビデオ信号に対して、予備分割によってコーディングツリーユニット(coding tree unit,CTU)を取得することができ、1つのCTUに対してコンテンツ適応分割を実行してCUを取得することができる。CUは、通常、1つ又は複数のコーディングブロック(coding block,CB)を含む。次に、イントラ予測(intra prediction)又はインター予測(inter prediction)後に取得した残差ピクセル情報に対して、変換及び量子化ユニット201によってコーディングブロックを変換し、残差情報をピクセルドメインから変換ドメインに変換し、ビットレートをさらに下げるために、得られた変換係数を量子化することを含む。イントラ推定ユニット202及びイントラ予測ユニット203は、ビデオコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために用いられる。明らかに説明すると、イントラ推定ユニット202及びイントラ予測ユニット203は、ビデオコーディングブロックをエンコードするために用いられるイントラ予測モードを確定するために用いられる。動き補償ユニット204及び動き推定ユニット205は、時間予測情報を提供するために、1つ又は複数の参照フレーム内の1つ又は複数のブロックに対して、受信されたビデオコーディングブロックのフレーム間予測コーディングを実行するために用いられる。動き推定ユニット205によって実行される動き推定は動きベクトルを生成するプロセスであり、動きベクトルはコーディングブロックの動きを推定することができる。動き補償ユニット204は、動き推定ユニット205によって確定された動きベクトルに基づいて動き補償を実行するために用いられる。イントラ予測モードを確定してから、イントラ予測ユニット203は、さらに選択されたイントラ予測データをエントロピーコーディングユニット209に提供するために用いられ、動き推定ユニット205は、計算された動きベクトルデータをエントロピーコーディングユニット209に送信するために用いられる。逆変換及び逆量子化ユニット206は、コーディングブロックを再構成するために用いられる。残差ブロックはピクセル領域で再構成され、再構成された残差ブロックのブロックネスアーティファクト(blockiness artifacts)はフィルタ制御分析ユニット207及びフィルタリングユニット208を介して除去され、それから再構成された残差ブロックは現在のビデオ画像バッファユニット210のフレーム内の1つの予測ブロックに追加されて、再構築されたビデオコーディングブロックを生成するために用いられる。エントロピーコーディングユニット209は、様々なエンコーディングパラメータ及び量子化された変換係数をエンコードするために用いられる。CABACに基づくエンコーディングアルゴリズムにおいて、コンテキストは隣接するコーディングブロックに基づくことができ、エントロピーコーディングユニット209を使用して確定されたイントラ予測モードを示す情報をエンコードし、ビデオ信号のビットストリームを出力することができる。現在のビデオ画像バッファユニット210は、予測参照のために、再構成されたコーディングブロックを格納するために用いられる。ビデオ画像のエンコーディングが進行することにつれて、新しい再構成されたコーディングブロックが絶えずに生成され、これらの再構成されたコーディングブロックは全て現在のビデオ画像バッファユニット210に格納される。
【0017】
図2は、ビデオデコーディングシステムの構造を示す図である。
図2に示されたように、ビデオデコーディングシステム300は、エントロピーデコーディングユニット301、逆変換及び逆量子化ユニット302、イントラ予測ユニット303、動き補償ユニット304、フィルタリングユニット305、現在のビデオ画像バッファユニット306などを含む。エントロピーデコーディングユニット301は、ヘッダー情報デコーディング及びCABACを実現することができ、フィルタリングユニット305は、デブロッキングフィルタリング(debockingfiltering)及びSAOフィルタリングを実現することができる。入力されたビデオ信号はエンコードされた後(
図2に示されたように)、ビデオ信号のビットストリームを出力する。ビットストリームは、ビデオデコーディングシステム300に入力される。先ず、エントロピーデコーディングユニット301を介してデコードされた変換係数を取得する。デコードされた変換係数は逆変換及び逆量子化ユニット302によって処理されて、ピクセル領域で残差ブロックを生成する。イントラ予測ユニット303は、確定されたイントラ予測モード及び現在のフレーム又は画像の前のデコードされたブロックからのデータに基づいて、現在のコーディングブロックの予測データを生成するために用いられることができる。動き補償ユニット304は、動きベクトル及び他の関連する構文要素を分析することによりコーディングブロックの予測情報を確定するために用いられ、且つ予測情報を使用してデコードされているコーディングブロックの予測ブロックを生成する。逆変換及び逆量子化ユニット302からの残差ブロックと、イントラ予測ユニット303又は動き補償ユニット304によって生成された対応する予測ブロックとを合計することによって、デコードされたビデオブロックを形成する。デコードされたビデオ信号のブロックネスアーティファクト(blockiness artifacts)はフィルタリングユニット305を介して除去され、ビデオの品質を改善することができる。次に、デコードされたビデオブロックは、現在のビデオ画像バッファユニット306に格納される。現在のビデオ画像バッファユニット306は、後続のイントラ予測又は動き補償に使用される参照画像を格納するために用いられ、ビデオ信号を出力するためにも用いられ、即ち復元された元のビデオ信号を取得する。
【0018】
以下、本出願の実施形態の図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を明確且つ完全に説明する。
【0019】
1つの実施形態において、本出願の実施形態は画像デコーディング方法を提供する。
図3は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第一フローチャートである。
図3に示されたように、本出願の実施形態において、デコーダによって実行される画像デコーディング方法は、以下のステップを含むことができる。
【0020】
ステップ101、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得する。
【0021】
本出願の実施形態において、デコーダは、先ず現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得することができる。
【0022】
さらに、本出願の実施形態において、ビットレートは、データレートであり、ビデオファイルが単位時間で消費するデータトラフィック(data traffic)を指し、ビデオエンコーディングの画質管理の重要な部分である。
【0023】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、エンコーダは、現在のビデオ画像をエンコードした後、対応するビットストリームを生成して保存又は送信することができる。従って、デコーダは、現在のビデオ画像をデコードするとき、先ず現在のビデオ画像に対応するビットストリームを受信することができる。
【0024】
ステップ102、ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得する。
【0025】
本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得した後、ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することができる。
【0026】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、制御識別子は、現在のビデオ画像に対応する異なる画像コンポーネント間の関係を示すために用いられることができる。具体的には、本出願の実施形態において、現在のビデオ画像に対応する異なる画像コンポーネント間の関係は、互いに依存することができ、互いに独立してもよい。
【0027】
さらに、エンコーダは、現在のビデオ画像をエンコードするとき、現在のビデオ画像内の異なる画像コンポーネント間の関係に基づいて制御識別子を確定することができる。例えば、エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードする過程で異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用しない場合、即ち輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用しない場合、エンコーダはビットストリーム内の制御識別子を0として確定する。エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードする過程で異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用する場合、即ち輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用する場合、エンコーダはビットストリーム内の制御識別子を1として確定する。
【0028】
同様に、デコーダが現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析するとき、解析によって取得されたビットストリーム内の制御識別子が1である場合、デコーダは、ビデオ画像をデコードする過程で異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用する必要があると判断し、即ち輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用する必要がある。解析によって取得されたビットストリーム内の制御識別子が0である場合、デコーダは、ビデオ画像をデコードする過程で異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用する必要がないと判断し、即ち輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用する必要がない。
【0029】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、現在のビデオ画像に対応する異なる画像コンポーネントは、第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネント、即ちY、Cb及びCrの3つの画像コンポーネントを含むことができる。従って、デコーダが制御識別子によって現在のビデオ画像に対応する異なる画像コンポーネント間の関係を示す場合、制御識別子によって第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネント間の相互依存関係又は相互独立関係を示すことができ、制御識別子によって第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントのうちの少なくとも2つの画像コンポーネント間の相互依存関係又は相互独立関係を示すこともできる。さらに、本出願の実施形態において、デコーダが現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析した後、解析後に取得した制御識別子は、ビットストリーム内のシーケンスパラメータセット(sequence parameter set,SPS)、画像パラメータセット(picture parameter set,PPS)、補足拡張情報(supplemental enhancement information,SEI)、コーディングツリーユニット及びコーディングユニットのうちの1つ又は複数に位置することができる。
【0030】
H.264/AVCビデオコーディング標準において、システムフレームワーク全体は、ネットワーク抽象化レイヤー(network abstraction layer,NAL)とビデオコーディングレイヤー(video coding layer,VCL)の2つのレイヤーを含む。VCLは、ビデオデータのコンテンツを効果的に示すことを担当し、NALは、データが様々なチャネル及びストレージメディアでの送信に適するように、データのフォーマットとヘッダー情報の提供を担当する。
【0031】
さらに、H.264標準プロトコルは様々な異なるNALユニットタイプを規定し、異なるNALユニットは異なるデータを格納する。H.264ビットストリームの第一NALユニットはSPSであり、H.264ビットストリームの第二NALユニットはPPSであり、H.264ビットストリームの第三NALユニットは瞬時デコーディングリフレッシュ(instantaneous decoding refresh,IDR)である。
【0032】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、SPSとPPSを除いて、ビデオ画像に対応する各フレームデータはNALユニットである。
【0033】
さらに、本出願の実施形態において、SPSの情報は非常に重要であり、SPS内のデータを失うか、又はエラーが発生すると、デコーディングが失敗する可能性がある。具体的には、SPSは、iOSのVideoToolBoxなどのプラットフォームのビデオ処理フレームワークで一般的にデコーダーインスタンスの初期化情報として使用される。
【0034】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、1グループのエンコードされたビデオシーケンスのグローバルパラメータがSPSに格納される。エンコードされたビデオシーケンスとは、元のビデオの各画像のピクセルデータがエンコードされてから構成されるシーケンスを指す。各画像のエンコードされたデータが依存するパラメータはPPSに保存される。
【0035】
さらに、SPS及びPPSのNALユニットは、通常、ビットストリーム全体の先頭に位置する。ただし、一部の特殊なケースでは、例えば、デコーダがビットストリームの中間でデコーディングを開始する必要があるか、又はエンコーダがエンコーディング過程でビットストリームのパラメーター(画像の解像度など)を変更する場合、前記2つの構造がビットストリームの中央に位置する場合もある。
【0036】
ステップ103、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディングを行うために用いられる。
【0037】
本出願の実施形態において、デコーダがビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にすることができる。
【0038】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。すなわち、デコーダが現在のビデオ画像をデコードするとき、プリセットクロスデコーディング機能はコンポーネント間の依存関係を許可する。すなわち、デコーダはCCLM又はDMを介して現在のビデオ画像をデコードすることができる。
【0039】
さらに、本出願の実施形態において、デコーダは解析によってビットストリーム内の制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式を確定することができる。具体的には、制御識別子に対応するデコーディング方式は、画像コンポーネントの独立デコーディング又は画像コンポーネントのクロスデコーディングである。
【0040】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントの独立デコーディングである場合、デコーダは異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用してデコードすることができなく、即ちデコーダは一種の画像コンポーネントに応じて独立デコーディング処理を行うことを必要とする。例えば、デコーダの解析によって取得されたビットストリーム内の制御識別子が0である場合、エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードするとき、輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用しないと見なすことができ、従って制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントの独立デコーディングである場合、デコーダも輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用せずに現在のビデオ画像をデコードする。
【0041】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、デコーダが制御識別子を使用して現在のビデオ画像に対応する異なる画像コンポーネント間の関係を示す場合、制御識別子によって第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネント間の相互依存関係又は相互独立関係を示すことができ、制御識別子によって第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントのうちの少なくとも2つの画像コンポーネント間の相互依存関係又は相互独立関係を示すこともできる。従って、制御識別子に対応するデコーディング方式は、3つの画像コンポーネント間の画像コンポーネント独立デコーディング及び3つの画像コンポーネント間の画像コンポーネントクロスデコーディングを含むことができ、任意の2つの画像コンポーネント間の画像コンポーネント独立デコーディング及び任意の2つの画像コンポーネント間の画像コンポーネントクロスデコーディングを含むこともできる。例えば、制御識別子がY、Cb及びCrの3つの画像コンポーネント間の関係を示す場合、ビットストリーム内の制御識別子が1である場合、エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードするとき、輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用すると見なすことができ、従ってデコーダはY、Cb及びCrの3つの異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用することができる。制御識別子がCb及びCrの2つの画像コンポーネント間の関係を示す場合、ビットストリーム内の制御識別子が0である場合、エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードするとき、異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用していないと見なすことができ、従ってデコーダはCb及びCrの2つの異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用しないが、YとCbの2つの画像コンポーネント間の依存関係、YとCrの2つの画像コンポーネント間の依存関係を使用する。
【0042】
本出願の実施形態において、さらに、
図4は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第二フローチャートである。
図4に示されたように、デコーダがビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、即ち、ステップ102の後に、デコーダによって実行される画像デコーディング方法は、さらに以下のステップを含むことができる。
【0043】
ステップ104、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を有効にする。
【0044】
本出願の実施形態において、デコーダがビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を有効にすることができる。
【0045】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、デコーダがビットストリームを解析して制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダは、異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用してデコードすることができ、即ちCCLM又はDMなどの方式を介して現在のビデオ画像をデコードすることができる。例えば、デコーダの解析によって取得されたビットストリーム内の制御識別子が1である場合、エンコーダが現在のビデオ画像をエンコードするとき、輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用すると見なすことができ、従って制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングであると確定することができ、デコーダは輝度コンポーネントと彩度コンポーネントの間、及び異なる彩度コンポーネント間の依存関係を使用して、現在のビデオ画像をデコードする。
【0046】
本出願の実施形態において、さらに、
図5は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第三フローチャートである。
図5に示されたように、デコーダがビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、即ち、ステップ102の後に、デコーダによって実行される画像デコーディング方法は、さらい以下のステップを含むことができる。
【0047】
ステップ105、制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、DMは無効になる。
【0048】
本出願の実施形態において、デコーダがビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、デコーダはDMが無効になるようにすることができる。
【0049】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、ビットストリーム内の制御識別子は、DM技術を「使用する」又は「使用しない」ことを示すことができる。具体的には、制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、デコーダは現在のビデオ画像をデコードするときにDMを無効にする必要がある。制御識別子に対応するデコーディング方式がDM許可である場合、デコーダは現在のビデオ 画像をデコードするときにDMを有効にする必要がある。
【0050】
さらに、本出願の実施形態において、ビットストリーム内の制御識別子は、画像コンポーネント間の依存性に基づく任意の技術又は表現方法を「使用する」又は「使用しない」ことを示すことができる。即ち、本出願の実施形態において、ビットストリーム内の制御識別子は、DM技術の使用を制御するために用いられるツールだけではなく、画像コンポーネント間の依存性に基づく他の技術の使用を制御するために用いられるツールであり、本出願は具体的に限定しない。
【0051】
本出願に係わる画像デコーディング方法において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。同時に、これらのシナリオにおいて、コーディングユニット(coding unit,CU)層で、デコーディングは画像コンポーネント間の依存性に基づかないことを示すビットを省略して、このシナリオでのコーディング効率を向上させることができる。
【0052】
上述した実施形態に基づいて、本出願の別の実施形態において、ステップ101~ステップ103の画像コンポーネントは、第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントを含むことができる。第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントは、それぞれ、輝度コンポーネントY、青彩度コンポーネントCb及び赤彩度コンポーネントCrである。例えば、第一画像コンポーネントは輝度コンポーネントYであり、第二画像コンポーネントは赤彩度コンポーネントCrであり、第三画像コンポーネントは青彩度コンポーネントCbであり、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。
【0053】
本出願の実施形態において、さらに、
図6は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第四フローチャートである。
図6に示されたように、上述したステップ101~ステップ105に記載された方法について、デコーダはビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することは、以下の内容を含むことができる。
【0054】
ステップ201、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のSPSから制御識別子を取得する。
【0055】
本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得してから、ビットストリームを解析して、ビットストリーム内のSPSから現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することができる。
【0056】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、デコーダが現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析してから、解析によって取得された制御識別子はSPSに位置することができる。具体的には、1グループのエンコードされたビデオシーケンスのグローバルパラメータがSPSに格納されるので、デコーダがビットストリーム内のSPSから制御識別子を取得する場合、制御識別子は現在のビデオ画像のすべての画像フレームに作用できる。
【0057】
さらに、本出願の実施形態において、デコーダがSPSから制御識別子を取得する場合、デコーダは、制御識別子にしたがって現在のビデオ画像のすべての画像フレームをデコードすることができる。例えば、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を有効にして、異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用してすべての画像フレームをデコードすることができ、即ちCCLM又はDMを介してすべての画像フレームをデコードすることができる。
【0058】
ステップ202、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のPPSから制御識別子を取得する。
【0059】
本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得してから、ビットストリームを解析して、ビットストリーム内のPPSから現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することができる。
【0060】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、デコーダが現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析してから、解析によって取得された制御識別子はPPSに位置することができる。具体的には、PPSは1フレームの画像のエンコードされたデータが依存するパラメータを格納するので、デコーダがビットストリーム内のPPSから制御識別子を取得する場合、制御識別子は現在のビデオ画像におけるPPSに対応する1フレームの画像に作用できる。
【0061】
さらに、本出願の実施形態において、デコーダがPPSから制御識別子を取得する場合、
デコーダは、制御識別子にしたがって現在のビデオ画像におけるPPSに対応する1フレームの画像をデコードすることができる。例えば、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を有効にして、異なる画像コンポーネント間の依存関係を使用して現在のビデオ画像におけるPPSに対応する1フレームの画像をデコードすることができ、即ちCCLM又はDMを介して現在のビデオ画像におけるPPSに対応する1フレームの画像をデコードすることができる。
【0062】
ステップ203、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のSEIから制御識別子を取得する。
【0063】
本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得してから、ビットストリームを解析して、ビットストリーム内のSEIから現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得することができる。
【0064】
説明しなければならないことは、本出願の実施形態において、デコーダが現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析してから、解析によって取得された制御識別子はSEIに位置することができる。具体的には、SEIは、デコーディング過程で補助的な役割を果たし、ビットストリームにビデオ情報を追加するために用いられるので、デコーダがビットストリーム内のSEIから制御識別子を取得する場合、制御識別子は現在のビデオ画像におけるSEIに対応する画像情報に作用できる。
【0065】
さらに、本出願の実施形態において、解析によって取得された制御識別子は、ビットストリーム内のSPS、PPS、SEI、コーディングツリーユニット及びコーディングユニットのうちの1つ又は複数に位置することができる。従って、デコーダは、現在のビデオ画像を処理するとき、ビットストリーム内の制御識別子の具体位置に基づいて、対応するビデオ画像情報に対して適応デコーディング処理を実行することができる。
【0066】
本出願に係わる画像デコーディング方法において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。
【0067】
上述した実施形態に基づいて、さらに別の実施形態において、さらに、
図7は、本出願の実施形態に係わる画像デコーディング方法の第五フローチャートである。
図7に示されたように、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダがプリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、即ち、ステップ104の後に、デコーダによって実行される画像デコーディング方法は、さらい以下のステップを含むことができる。
【0068】
ステップ106、DMにしたがって現在のビデオ画像をデコードする。
【0069】
本出願の実施形態において、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダは、プリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、DMにしたがって現在のビデオ画像をデコードすることができる。
【0070】
さらに、本出願の実施形態において、DM方法は輝度コンポーネントから彩度コンポーネントへの予測を実現する場合、輝度コンポーネントと彩度コンポーネントとの間、異なる彩度コンポーネント間の冗長性を低減するために、H.266/VVC初期テストモデル(Joint Exploration Model,JEM)又はVVCテストモデル(VVC Test model,VTM)で、予測モードのコンポーネント間の代替表示方式を使用する。
【0071】
本出願の実施形態において、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、デコーダがプリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、即ち、ステップ104の後に、デコーダは、CCLM又はDMにしたがって現在のビデオ画像をデコードすることができるばかりではなく、画像コンポーネント間の依存性に基づく任意の技術を利用して、現在のビデオ画像をデコードすることができ、本出願は具体的に限定しない。
【0072】
本出願に係わる画像デコーディング方法において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。
【0073】
上述した実施例に基づいて、本出願のさらに別の実施形態において、
図8は、本出願の実施形態に係わるデコーダの第一構造図である。
図8に示されたように、本出願の実施形態に係わるデコーダ100は、取得部分101、解析部分102、無効化部分103、有効化部分104及びデコーディング部分105を含む。
【0074】
取得部分101は、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得するために用いられる。
【0075】
解析部分102は、ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得するために用いられる。
【0076】
無効化部分103は、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にするために用いられ、プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。
【0077】
さらに、本出願の実施形態において、有効化部分104は、ビットストリームを解析して、現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得してから、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を有効にするために用いられる。
【0078】
さらに、本出願の実施形態において、画像コンポーネントは、第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントのうちの少なくとも2つを含む。
【0079】
さらに、本出願の実施形態において、デコーディング部分105は、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネントのクロスデコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を有効にしてから、DMにしたがって現在のビデオ画像をデコードするために用いられる。
【0080】
さらに、本出願の実施形態において、無効化部分103は、さらに、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得した後、制御識別子に対応するデコーディング方式がDM禁止である場合、DMが無効になるようにするために用いられる。
【0081】
さらに、本出願の実施形態において、解析部分102は、具体的には、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のSPSから制御識別子を取得するために用いられる。
【0082】
さらに、本出願の実施形態において、解析部分102は、さらに具体的には、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のPPSから制御識別子を取得するために用いられる。
【0083】
さらに、本出願の実施形態において、解析部分102は、さらに具体的には、ビットストリームを解析してから、ビットストリーム内のSEIから制御識別子を取得するために用いられる。
【0084】
図9は、本出願の実施形態に係わるデコーダの第二構造図である。
図9に示されたように、本出願の実施形態に係わるデコーダ100は、さらに、プロセッサ106と、プロセッサ106によって実行され得るコマンドを格納するメモリ107と、通信インターフェース108と、プロセッサ106、メモリ107及び通信インターフェース108を接続するために用いられるバス109と、を含む。
【0085】
本出願の実施形態において、プロセッサ106は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、デジタル信号処理デバイス(Digital Signal Processing Device,DSPD)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGA)、中央処理装置(Central Processing Unit,CPU)、コントローラー、マイクロコントローラー及びマイクロプロセッサーのうちの少なくとも1つであることができる。異なるデバイスに対して、他の電子デバイスを使用して上記のプロセッサの機能を実現することができ、本出願の実施形態は具体的に限定しないことは理解されるべきである。デバイス1は、さらにメモリ107を含むことができ、メモリ107はプロセッサ106に接続されることができる。メモリ107は、実行可能なプログラムコードを格納するために用いられ、プログラムコードはコンピュータ操作命令を含む。メモリ107は高速ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことができ、非一時的メモリ、例えば、少なくとも2つのディスクメモリを含むこともできる。
【0086】
本出願の実施形態において、バス109は、通信インターフェース108、プロセッサ106及びメモリ107を接続するために用いられ、これらのデバイス間の相互通信を実現するために用いられる。
【0087】
本出願の実施形態において、メモリ107は、コマンド及びデータを格納するために用いられる。
【0088】
さらに、本出願の実施形態において、プロセッサ106は、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にするために用いられる。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。
【0089】
実際の応用では、メモリ107は、ランダムアクセスメモリ(Random-Access Memory,RAM)などの揮発性メモリであることができるか、又は読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive,HDD)又はソリッドステートドライブ(Solid-State Drive,SSD)などの不揮発性メモリであることができ、又は上記のメモリの組合せであることができ、プロセッサ106にコマンド及びデータを提供するために用いられる。
【0090】
また、本実施形態に係わる各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよく、各ユニットが単独に物理的に存在してもよく、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積してもよい。上記の集積ユニットは、ハードウェア又はソフトウェア機能ユニットの形式で実現することができる。
【0091】
集積ユニットは、ソフトウェアの機能ユニットとして実現され、かつ、独立の製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよい。この理解によれば、本出願の技術方案について、本質的な部分、又は従来技術に貢献できた部分、又は該技術方案の全部又は一部は、ソフトウェア製品として表現され得る。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されており、1つのコンピュータ(パソコン、サーバー、又はネットワークデバイスなどであってもよい)又はプロセッサに本出願の各実施例に係る方法の全部又は一部の過程を実行するための複数のコマンドが含まれている。前記した記憶媒体は、USB(ユニバーサルシリアルバス)フラッシュディスク、モバイルハードディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory,ROM、)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどの各種のプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0092】
本出願の実施形態に係わるデコーダによれば、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。同時に、これらのシナリオにおいて、コーディングユニット(coding unit,CU)層で、デコーディングは画像コンポーネント間の依存性に基づかないことを示すビットを省略して、このシナリオでのコーディング効率を向上させることができる。
【0093】
本出願の実施形態は、プログラムを格納するために用いられるコンピュータ可読記憶媒体を提供する。プログラムがプロセッサによって実行されると、上述した画像デコーディング方法を実現する。
【0094】
具体的には、本実施形態に係わる画像デコーディング方法に対応するプログラム命令は、光ディスク、ハードディスク及びUSBフラッシュディスクなどの記憶媒体に格納することができる。記憶媒体における画像デコーディング方法に対応するプログラム命令が電子デバイスによって読み取られて実行されると、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。
【0095】
当業者であれば、本出願の実施形態は、方法、システム、又はコンピュータプログラム製品を提供できることを理解されるべきである。従って、本出願は、ハードウェア実施形態、ソフトウェア実施形態、又はソフトウェアとハードウェアを結合した実施形態を採用することができる。さらに、本出願は、1つ又は複数のコンピュータ使用可能なプログラムコードを含む、コンピュータ使用可能な記憶媒体(磁気記憶装置、光メモリなどを含むが、これらに限定されない)に格納されたコンピュータプログラム製品の形態を採用することができる。
【0096】
本出願は、本出願の実施例に係わる方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して説明する。フローチャートの各フロー及び/又はブロック図の各ブロック、フローチャートのフロー及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現できることを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、組み込みプロセッサ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて機械を形成することができ、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサで命令を実行することによって、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックによって指定される機能を実現するためのデバイスを生成することができる。
【0097】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置が特定の方法で作動するように指示することができるコンピュータ可読メモリに格納されることもでき、従ってコンピュータ可読メモリに格納された命令は命令装置を含む製造品を生成することができ、命令装置はフローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックによって指定される機能を実現する。
【0098】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードすることもでき、従ってコンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置で一連のプロセスステップを実行して、コンピュータによって実行される処理を生成することができ、その結果、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置で実行される命令は、フローチャートの1つ又は複数のフロー及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックによって指定される機能を実現するためのステップを提供する。
【0099】
上述したのはあくまで本出願の好ましい実施形態であり、本出願の保護範囲を制限するために使用されるものではない。
【0100】
産業上の利用可能性
【0101】
本出願の実施形態は、画像デコーディング方法、デコーダ及びコンピューター記憶媒体を提供する。デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを取得し、ビットストリームを解析して現在のビデオ画像に対応する制御識別子を取得し、制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである場合、プリセットクロスデコーディング機能を無効にする。プリセットクロスデコーディング機能は、画像コンポーネント間の依存性に基づいてデコーディング処理を行うために用いられる。即ち、本出願の実施形態において、デコーダは、現在のビデオ画像に対応するビットストリームを解析して、画像コンポーネント間の依存性を許可するか否かを確定するために用いられる、ビットストリーム内の制御識別子を取得することができる。制御識別子に対応するデコーディング方式が画像コンポーネント独立デコーディングである(画像コンポーネント間の依存性を許可しない)場合、デコーダはプリセットクロスデコーディング機能を無効にする(デコーダは画像コンポーネント間の依存性に基づいて現在のビデオ画像をデコードしない)ことを必要として、従って高速処理又は高度な並列処理を必要とするシナリオに対して並列コーディングを実現することができ、コーディングの複雑さを下げることができる。同時に、これらのシナリオにおいて、コーディングユニット(coding unit,CU)層で、デコーディングは画像コンポーネント間の依存性に基づかないことを示すビットを省略して、このシナリオでのコーディング効率を向上させることができる。