(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045390
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンの予知保全
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20240326BHJP
G01S 17/08 20060101ALI20240326BHJP
A63B 69/00 20060101ALI20240326BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/08
A63B69/00 C
A63B71/06 M
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014255
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2020120572の分割
【原出願日】2020-07-14
(31)【優先権主張番号】1951221-9
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(71)【出願人】
【識別番号】323014155
【氏名又は名称】ルモス ホールディングス ユーエス アクイジョン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデシュ リンゲ
(72)【発明者】
【氏名】イェンス リュードベリ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク ベントソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モニタリング装置は、飛行時間(Time-of-Flight:ToF)センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知する方法を実行する。
【解決手段】方法は、エクササイズマシンの所定の操作条件においてToFセンサー(20)から測定信号を取得する工程を含む。測定信号に基づいて、前記方法により、エクササイズマシンにおけるToFセンサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離が算出される。測定距離は、ToFセンサー(20)上の付着物(30)の蓄積に反応を示すことが分かっているため、前記方法により評価することで清掃の必要性が検知される。したがって、前記方法により予防保全が可能となる。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知する方法であって、
前記エクササイズマシン(10)の所定の操作条件において、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を取得する工程(301)と、
前記測定信号に基づいて、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離(Dc)を算出する工程(302)と、
前記メンテナンスの必要性を検知するために、前記測定距離(Dc)を評価する工程(304、305)と、を含む方法。
【請求項2】
前記評価する工程(303~305)は、基準距離(Dr)に対して前記測定距離(Dc)をチェックする工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エクササイズマシン(10)が前記所定の操作条件にある基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された測定信号を受信する工程と、前記基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された前記測定信号の関数として前記基準距離(Dr)を算出する工程(303)と、をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記取得する工程(301)は、前記飛行時間センサー(20)の第1の範囲設定について前記測定信号を取得する工程を含み、前記方法は、前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件において前記飛行時間センサー(20)の第2の範囲設定であって、前記第1の範囲設定とは異なる第2の範囲設定について前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信する工程と、前記第2の範囲設定について前記飛行時間センサー(20)からの前記測定信号に基づいて前記基準距離(Dr)を算出する工程(303)と、をさらに含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準距離(Dr)は、前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件に関連付けられた所定の距離である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記メンテナンスの必要性は、前記測定距離(Dc)と前記基準距離(Dr)の差が閾値を超えると検知される、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)の少なくとも1つは、前記エクササイズマシン(10)の使用中に移動可能であり、前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)が静止している状態を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)と前記反射素子(15)の間の最大距離又は最小距離に対応する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件を示す信号に反応して前記取得する工程(301)を実行する工程をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記メンテナンスは、前記飛行時間センサー(20)の信号伝達面(25)を清掃する工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記飛行時間センサー(20)は、出射信号と入射信号の位相差の関数として前記測定信号を生成するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記メンテナンスの必要性を示す出力信号を供給する工程(306)をさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記エクササイズマシン(10)は1つ以上の可動ウエイト(11)を備え、前記飛行時間センサー(20)又は前記反射素子(15)は前記1つ以上の可動ウエイト(11)上に配置され、前記エクササイズマシン(10)を使用中の前記飛行時間センサー(20)の前記測定信号は前記1つ以上の可動ウエイト(11)の動きを示す、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
プロセッサ(42)により実行されると、前記プロセッサ(42)に請求項1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピューター命令(44)を含むコンピューター可読媒体。
【請求項15】
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置であって、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信するための入力部(46)と、論理回路(41、43)とを備え、
前記論理回路(41、43)は、
前記エクササイズマシン(10)の所定の操作条件において、前記飛行時間センサー(20)により生成される前記測定信号を、前記入力部(46)を介して取得し、
前記測定信号に基づいて、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離(Dc)を算出し、
前記メンテナンスの必要性を検知するために、前記測定距離(Dc)を評価するように構成される、装置。
【請求項16】
前記論理回路(41、43)は、基準距離(Dr)に対して前記測定距離(Dc)をチェックすることにより、前記メンテナンスの必要性を検知するために前記測定距離(Dc)を評価するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記論理回路(41、43)は、前記エクササイズマシン(10)が前記所定の操作条件にある基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された測定信号を受信し、前記基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された前記測定信号の関数として前記基準距離(Dr)を算出するように、さらに構成される、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記論理回路(41、43)は、前記飛行時間センサー(20)の第1の範囲設定について前記測定信号を取得するように構成され、前記論理回路(41、43)は、前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件において前記飛行時間センサー(20)の第2の範囲設定であって、前記第1の範囲設定とは異なる第2の範囲設定について、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信し、前記第2の範囲設定について前記飛行時間センサー(20)からの前記測定信号に基づいて前記基準距離(Dr)を算出するように、さらに構成される、請求項16又は17に記載の装置。
【請求項19】
前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)の少なくとも1つは、前記エクササイズマシン(10)の使用中に移動可能であり、前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)が静止している状態を含む、請求項15~18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)と前記反射素子(15)の間の最大距離又は最小距離に対応する、請求項15~19のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、おおむね、エクササイズマシンに関し、より詳細には、飛行時間センサーを備えたエクササイズマシン及びそのようなエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エクササイズ及びフィジカルフィットネスは、人気を着実に獲得し続けている。フィジカルフィットネスへの関心の増大は、増え続けるジムの数に反映され、公的及び民間施設の両方で見られる。
【0003】
エクササイズマシンは、フィジカルエクササイズのために多く利用され、例えば、積み重なったウエイトプレートが重力の作用に抗してユーザーによって持ち上げられるウエイトマシンである。従来から、ユーザーは、マシンで行ったエクササイズの内容及び各エクササイズの成果の記録を、手入力で残さなければならなかった。
【0004】
最近は、自動モニタリングシステムが開発され、ユーザーがエクササイズマシンに関する進捗を追跡及び記録するのを支援するようになっている。WO2019/147174に開示されている一例では、エクササイズマシンが、エクササイズデータ及びマシン識別データをサーバーに保管するために送信するように配置され、該サーバーは、ユーザーがそのエクササイズデータにアクセスして、例えば、トレーニングの進捗を評価できるように配置されている。各エクササイズマシンは、積み重なったウエイトプレートに配置されたセンサー装置を使って該プレートの動きを検知してエクササイズデータを生成するよう構成される。これにより、センサー装置は、行った反復回数及び持ち上げられたウエイトプレートの数に関するデータを、提示することができる。そのようなデータは、信号を送信し該送信信号の反射を受信することによりエクササイズマシンにおける距離を測定する1つ以上の飛行時間(Time-of-Flight:ToF)センサーの出力データから、少なくとも部分的に得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動モニタリングシステムの1つの課題は、長期間にわたって各エクササイズマシンにおけるセンサー装置の運用性を確保することである。塵、埃、油、汗などの付着物による汚れが、エクササイズ環境では生じやすく、こうした環境では、顕著な人の動きや発汗などは付きものである。ToFセンサーは、汚れの影響を受けやすく、時々清掃する必要がある。各エクササイズマシンに蓄積される付着物の量は、ジムにおけるその位置、換気システムの種類、清掃方法、清掃頻度などによって左右されることがある。一般的に、ジムにおける全てのエクササイズマシンが、個々のエクササイズマシンの実際の汚れの程度に関わらず、定期的に清掃されなければならず、大きな労力を要する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
目的は、先行技術の1つ以上の制限を、少なくとも部分的に克服することである。
【0007】
さらなる目的は、1つ以上の飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンの予知保全を可能にすることである。
【0008】
よりさらなる目的は、エクササイズマシンにおける飛行時間センサーの清掃の現時点又は今後の必要性を検知する技術を提供することである。
【0009】
これらの目的の1つ以上は、以下の記載から生じるさらなる目的と同様に、第1及び第2の主要実施形態に係る飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知するための方法、コンピューター可読媒体、及び装置により、少なくとも部分的に達成される。
【0010】
第1の主要実施形態は、飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知する方法を含む。上記方法は、エクササイズマシンの所定の操作条件において飛行時間センサーからの測定信号を取得する工程と、前記測定信号に基づき、前記エクササイズマシンにおける前記飛行時間センサーと反射素子の間の測定距離を算出する工程と、メンテナンスの必要性の検知のために前記測定距離を評価する工程と、を含む。
【0011】
第1の主要実施形態は、プロセッサにより実行されると、第1の主要実施形態の前記方法を前記プロセッサに実行させるコンピューター命令を含むコンピューター可読媒体をさらに含む。
【0012】
第1の主要実施形態は、飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置をさらに含み、前記装置は、前記飛行時間センサーからの測定信号を受信するための入力部と、論理回路とを備え、前記論理回路は、前記エクササイズマシンの所定の操作条件において飛行時間センサーにより生成される前記測定信号を、前記入力部を介して取得し、前記測定信号に基づいて前記エクササイズマシンにおける前記飛行時間センサーと反射素子の間の測定距離を算出し、メンテナンスの必要性を検知するために前記測定距離を評価するように構成される。
【0013】
第2の主要実施形態は、飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知する方法を含み、前記方法は、測定期間中に前記飛行時間センサーにより、前記エクササイズマシンにおける前記飛行時間センサーと反射素子の間の測定距離を示す複数の測定値であって、前記飛行時間センサーにより発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を取得する工程と、前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーターを計算する工程と、メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーターを評価する工程と、を含む。
【0014】
第2の主要実施形態は、プロセッサにより実行されると、第2の主要実施形態の前記方法を前記プロセッサに実行させるコンピューター命令を含むコンピューター可読媒体をさらに含む。
【0015】
第2の主要実施形態は、飛行時間センサーを備えたエクササイズマシンのメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置をさらに含み、前記装置は、前記飛行時間センサーからの測定信号を受信するための入力部と、論理回路とを備え、前記論理回路は、前記エクササイズマシンにおける前記飛行時間センサーと反射素子の間の距離を示す複数の測定値であって、測定期間中に前記飛行時間センサーにより発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を、前記入力部を介して取得し、前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーターを計算し、メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーターを評価するように構成される。
【0016】
さらに別の目的が、特徴、実施形態、態様、及び技術的効果と同様に、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び図面から分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下に、添付の概略図を参照して実施形態をより詳細に説明する。
【0018】
【
図1A】
図1Aは、反復検知のためのToFセンサーを備えたエクササイズマシンを示す図である。
【
図1B】
図1Bは、反復検知のためのToFセンサーを備えたエクササイズマシンを示す図である。
【
図1C】
図1Cは、反復検知のためのToFセンサーを備えたエクササイズマシンを示す図である。
【
図2A】
図2Aは、ToFセンサーの電気光学モジュールの断面図であり、前面窓に付着物が無い場合と有る場合の出射信号及び入射信号の経路を示した図である。
【
図2B】
図2Bは、ToFセンサーの電気光学モジュールの断面図であり、前面窓に付着物が無い場合と有る場合の出射信号及び入射信号の経路を示した図である。
【
図2C】
図2Cは、ToFセンサーの中に配置された電気光学モジュールの概略図である。
【
図3】
図3は、第1の主要実施形態に係る検知方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は、ToFセンサーについて、時間の関数として測定距離の値の例を示すグラフである。
【
図5】
図5は、ToFセンサーについて、時間の関数として測定距離の値の例を示すグラフである。
【
図6】
図6は、第2の主要実施形態に係る検知方法のフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、前面窓に付着物が無い場合と有る場合の、測定期間中にToFセンサーにより発信された一連の出射信号パルスについて計算されたToF値の分布を例示する図である。
【
図7B】
図7Bは、前面窓に付着物が無い場合と有る場合の、測定期間中にToFセンサーにより発信された一連の出射信号パルスについて計算されたToF値の分布を例示する図である。
【
図8A】
図8Aは、様々な実施形態に係るモニタリング装置へのToFセンサーからのデータ送信の例を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、様々な実施形態に係るモニタリング装置へのToFセンサーからのデータ送信の例を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、様々な実施形態に係るモニタリング装置へのToFセンサーからのデータ送信の例を示す図である。
【
図8D】
図8Dは、様々な実施形態に係るモニタリング装置へのToFセンサーからのデータ送信の例を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係るモニタリング装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して実施形態をより十分に説明する。そこでは、全てではないが、いくつかの実施形態を示す。実際には、本開示の主題は、多くの様々な形態で実現することができ、以下に示す実施形態に限定して解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、該当する法的要件を本開示が満たすことができるよう、提供される。全体を通して同一の参照符号は同一の要素を示す。
【0020】
また、当然のことながら、本明細書で説明及び/又は検討される実施形態の効果、特徴、機能、装置、及び/又は、操作態様のいずれのものも、本明細書で説明及び/又は検討されるその他の実施形態のいずれのものに含まれてもよく、その逆であってもよい。さらに、可能であれば、本明細書において単数形で表現されたいずれの用語も、明確に述べられていない限り、複数形をも含むことを意味し、その逆も同様である。本明細書で用いるように、「少なくとも1つの」は、「1つ以上」を意味するものであり、これらの言い回しは入れ替え可能である。したがって、句の「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」が本明細書で用いられていても、冠詞の「a」及び/又は「an」もまた「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味する。本明細書で用いられるように、特定の言葉又は必要な意味合いの結果として文脈が別の方法で要求する箇所以外は、単語「comprise(~を備える/~からなる/~を含む)」やその派生語の「comprises」又は「comprising」は、包含される意味合いで用いられ、すなわち、述べた特徴が存在することを示すが、様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在や追加を排除するものではない。用語「compute(~を計算する)」及びその派生語は、従来の意味で用いられ、コンピューターを用いるなどにより、1つ以上の算術演算を含む計算を実行して結果を生成することを含むとみることができる。
【0021】
さらに当然のことながら、本明細書において第1、第2などの用語が各種要素を説明するために用いられる場合があるが、これらの要素はこれらの用語に限定されない。これらの用語は、1つの要素を他の要素と区別するために用いられているに過ぎない。例えば、本開示の範囲を逸脱しない範囲で、第1の要素を第2の要素と呼ぶこともでき、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶこともできる。本明細書で用いられているように、用語「及び/又は」は、1つ以上の関連する列挙項目の任意の組み合わせ及び全ての組み合わせを含む。
【0022】
図1Aは、複数のウエイト11を有するスタックウエイトエクササイズマシン(stacked weight exercise machine)10の等角図である。
図1B~1Cに、ウエイト11の配置をさらに詳細に示す。エクササイズマシン10は、リフティング機構12と、多数の積み重なったウエイトをリフティング機構12に選択的に係合するための係合部材(「セレクターピン」)13と、を備える。リフティング機構12は、当業者に公知の方法で、1つ以上のケーブル、ベルト、棒などを介して、1つ以上の把持部材又は押付部材に連結されてもよい。図に示す例では、リフティング機構12は、複数のウエイト11のそれぞれの穴を垂直に貫通するよう構成された棒状部を有する支持部材を備える。また、支持部材12は、固定された上端のウエイトなどの最上部をさらに備えてもよい。センサー装置は、複数のウエイト11と組み合わせられ、ToFセンサー20と反射素子(「反射板」)15とを備える。図に示す例では、ToFセンサー20は、積み重なったウエイト11の上端に配置され、マシン10でユーザーがエクササイズを行うのに伴って動く。反射板15は、複数のウエイト11の上端から間を開けた固定位置に設置される。例えば、反射板15は、マシン10のフレーム又はその一部に取り付けられてもよい。図示しない変形例において、ToFセンサー20と反射板15の位置を逆にしてもよい。
【0023】
積み重なったウエイトを備えたエクササイズマシンにおいて、一般的に、複数のウエイトのうちの1つにセレクターピン13を挿入することにより、エクササイズにおいていくつのウエイトを使用するか、すなわち係合させるかを、ユーザーは選択できる。次に、エクササイズの間、ユーザーが選択したウエイトを持ち上げると、
図1Cに例示するように、積み重なったウエイトのうちの選択部分11aが残り部分11bに対して持ち上げられる。トレーニングは、選択したウエイトを持ち上げる回数(反復の回数)と、必要に応じて、持ち上げようと選択したウエイトの数とをモニタリングすることにより、追跡することができる。
【0024】
エクササイズマシン10は、ユーザーがマシン10に力を加えないときは「静止状態」になる。
図1B及び1Cの例では、静止状態(
図1B)のときは、ToFセンサー20と反射板15の間が最大距離(「静止距離」)Drとなる。静止状態ではないときは、マシン10は、最大距離Drよりも距離が小さい負荷状態(
図1C)となる。エクササイズマシンは、個別のユーザーのトレーニングスケジュール次第で、反復の間に静止状態に到達してもしなくてもよい。
【0025】
センサー装置は、センサー20と反射板15の間の測定距離を示すセンサーデータを提示するように構成される。これにより、センサーデータは、反復回数を測定することができる。例えば、測定距離が静止距離から所定量だけ変化した場合は、選択部分11aが特定距離だけ持ち上げられたことに対応しており、及び/又は、測定距離が減少した後に増加し始めた場合は、選択部分11aが持ち上げられてから最初の位置に向かって戻ることに対応しており、反復が検知されてもよい。
【0026】
エクササイズマシンを、ユーザーがエクササイズマシンで行ったエクササイズを定量化するエクササイズデータに、ユーザーがアクセスできるようにするエクササイズモニタリングシステムに接続してもよい。エクササイズモニタリングシステムの構造及び機能性、及びエクササイズマシンからのデータの通信については、本開示の範囲外である。エクササイズの間の実際の時間において、又はセッション完了後に、上記のセンサーデータを、必要に応じてさらに処理してから、任意の適切な有線及び/又は無線の通信チャンネルを介してエクササイズマシンから送信してもよい。実施形態によっては、ユーザーは、エクササイズマシン上又はエクササイズモニタリングシステムに接続された手持ち又はウェアラブルユーザー装置上のユーザーインタフェースを介して、エクササイズモニタリングシステムにデータを入力できるようにしてもよい。
【0027】
当然のことながら、センサー装置は、さらなるセンサーデータ、例えば、選択されたウエイトを示すセンサーデータを提示するように構成された1つ以上のさらなるセンサー(図示せず)を備えてもよい。例えば、WO2015/113162及びWO2017/178048に開示されているように、そのようなさらなるセンサーを配置して、選択されたウエイトを測定距離が示すように位置決めされた基準点とセレクターピン13の間の距離を測定してもよい。また、このセンサーはToFセンサーであってもよく、セレクターピン13より上の選択部分11a上の(例えば、積み重なったウエイトの上端の)基準点とセレクターピン13の間の距離、又は、セレクターピン13より下の固定された基準点とセレクターピン13の間の距離を測定してもよい。あるいは、ユーザーが、上記ユーザーインタフェースを介して、選択したウエイトを手入力してもよい。
【0028】
ToFは、距離測定(「距離計などによる距離測定」又は「測距」)のための確立された技術であり、発信源により供給された信号の目標に対する往復時間の測定を含み、距離は、往復時間の半分に信号の伝播速度を掛けることにより得られる。信号は、一般的には電磁信号であり、例えば、紫外線、可視、又は赤外線波長範囲の光信号である。光信号は、レーザー又はLEDによって生成されてもよい。
【0029】
往復時間を算出するための2つの主要な原理があり、本明細書では「直接法」と「間接法」と呼ぶ。直接法では、信号がパルスとして発信され、往復時間は、出射信号パルスとそれに対応する入射(反射)信号パルスとの時間差により与えられる。直接法は、出射信号パルス及び入射信号パルスのタイムスタンプを記録する工程と、対応するタイムスタンプ間の差を計算する工程とを含んでもよい。変形例では、直接法は、(例えば、いわゆる、ゲート検出器を用いることにより)入射信号パルスの検知を出射信号パルスの生成と同期させて、入射信号の検出信号強度が距離に比例するように設定する工程を含んでもよい。距離は、単一のパルスによって与えられてもよいが、SNRを改善するために、複数の単一パルス測定を組み合わせることで測定距離を算出してもよい。間接法では、変調信号が発信され、往復時間は、出射信号と入射(反射)信号の位相差により与えられる。変調信号は、例えば、正弦波信号である。変調周波数により、ToFセンサー20の最大範囲、すなわち、測定され得る最大距離が設定される。信号間の位相差を検出するために、どのような種類の位相検出器を用いてもよい。
【0030】
図2Aに、
図1のエクササイズマシン10において用いられるToFセンサー20内のToFモジュール21の例を示す。モジュール21は、出射信号を発信するための発信源22と、出射信号が反射板15で反射されることにより生成される入射信号を検出するための検出器23と、を備える。図に示す例では、モジュール21は、出射信号を表す電気信号を提示するよう配置された基準検出器24をさらに備える。ToFセンサー20は、モジュール21及びその損傷を受けやすい構成部品を保護しつつ、出射信号及び入射信号を伝達するよう配置された、フロントパネル25をさらに備える。
図2Aに示すように、フロントパネル25により、発信源22と検出器23の間の内部信号経路が、発信源22から反射板15を介して検出器23に至る外部信号経路と共に、構成される。内部信号経路は、クロストークとして知られており、距離測定においてノイズを生じさせる。
図2Bは、
図2Aに対応しているが、フロントパネル25上に付着物30がある状況を示している。付着物30は、
図2Bにおける灰色矢印で模式的に示すように、出射信号を拡散させるため、クロストークが増加する。このため、付着物30により測定ノイズが増加し、測定精度が低下することとなり、最終的には全く信頼性のない距離測定となる。
【0031】
図2Cに、例えば、
図1A~1Cに示すようなエクササイズマシン10で使用するToFセンサー20の構成例を模式的に示す。図に示す例では、ToFモジュール21が、フロントパネル25を備えた保護筐体の中に配置される。ToFセンサー20は、ToFモジュール21の動作を制御し、センサー23、24により供給される電気信号を処理して反射板15までの測定距離を算出するように構成された処理装置26を、さらに備える。また、処理装置26は、有線又は無線データ送信のために配置された出力インタフェース27を介して、測定信号を出力するように構成される。
【0032】
本明細書で用いられるように、「距離」は長さの単位に限定されないが、長さの単位と同等の他のいかなる単位で与えられていてもよい。例えば、ToFセンサー20で測定される距離は、長さの単位の代わりに、上記の往復時間、往復時間の半分、又は往復時間から導き出される他のいかなる量で与えられてもよい。
【0033】
図3は、第1の主要実施形態に係る検知方法300のフローチャートである。方法300は、ToFセンサー20(
図2Cの処理装置26を参照)により、ToFセンサー20からの測定信号に基づいた別個のモニタリング装置(
図8A~8Dにおける40)により、又はそれらの組み合わせにより、実行されてもよい。検知方法300は、ToFセンサー20、特にそのフロントパネル25の清掃の必要性を検知することを目的とする。直観的には、センサー23における測定信号強度でToFセンサー20の汚れが表現できると思われる。しかし、そのような汚れ(
図2Bの付着物30を参照)では、一般的に、検出器23における信号強度の顕著な低下が起きるというよりは、ToFセンサー20の外部信号経路から内部信号経路に信号が再分配されることが分かった。第1の主要実施形態は、実際は一定距離であるのに対し、ToFセンサー20による測定距離がフロントパネル25の汚れの増加に伴って減少するという、驚くべき発見にむしろ基づいている。そのため、時間の経過とともに測定距離を評価することにより、ToFセンサー20からの測定信号がエクササイズマシンで行われるトレーニングを誤って表示する状況になる前に、清掃の必要性を推測できる。現在、第1の主要実施形態は、間接法により動作するToFセンサー20の予知保全に特に有効であると考えられている。
【0034】
方法300は、エクササイズマシン20の所定の操作条件におけるToFセンサー20の測定信号を現時刻において取得するステップ301を含む。このため、現時刻は、エクササイズがこの所定の操作条件にあるときの任意の時点である。所定の操作条件において、エクササイズマシン10は、ToFセンサー20と反射板15の間の実際の一定距離に達する。このため、実際の距離は、エクササイズマシンにおける物理的距離であり、時間が経過しても全く一定である。一実施形態において、所定の操作条件は、マシン10がその静止状態にあるとき、又はほぼその静止状態にあるときなどのウエイトスタック11が静止している状態を含む。
図1B及び1Cに示す例では、静止状態は、ToFセンサー20と反射板15の間の最大距離に対応する。他の実施態様において、静止状態は、例えば、距離がセレクターピン13の下の基準点とセレクターピン13の間で測定される場合の最小距離に対応していてもよい。
【0035】
一例では、ステップ301を、ジムの閉店時間中などマシン10が静止位置にあると分かっている時点において、実行してもよい。別の例では、ユーザーが、エクササイズマシンでのトレーニングセッションを始める前に上記のエクササイズモニタリングシステムにチェックインし、またトレーニングセッションが終わった後にチェックアウトする必要がある場合、ステップ301をチェックインと次のチェックインの間に実行してもよい。さらなる例では、所定の操作条件を示す信号に反応して、ステップ301を実行してもよい。そのような信号は、ToFセンサー20、ウエイトスタック11、セレクターピン13、又はリフティング機構12に取り付けられた、又は含まれるモーションセンサーによって供給されてもよい。
図2Cで28として例示されているモーションセンサーは、加速度計や振動センサーなどを含んでもよい。あるいは、上記信号は、上記マシン上又はマシン管理システムにおけるスイッチにより供給されてもよく、該スイッチを操作者(例えば、ジムの責任者)が作動させて、1台以上のエクササイズマシンでステップ301を始動させてもよい。
【0036】
ステップ302では、測定信号に基づいて測定距離が算出される。このため、測定距離は、所定の操作条件におけるToFセンサー20と反射板15の間の感知距離である。
【0037】
ステップ303~305では、エクササイズマシン10のメンテナンスの必要性を検知するために、測定距離が評価される。図に示す例では、ステップ303により基準距離303が得られ、ステップ304により、基準距離に対して測定距離が、例えばこれらの距離を比較することでチェックされ、ステップ305により、ステップ304の結果に基づいてメンテナンスの必要性があるか否かが決定される。ステップ305でメンテナンスの必要性が無いと検知された場合、方法300は前に戻り、次の時点で(すなわち、新たな「現時刻」において)ステップ301を実行してもよい。ステップ305でメンテナンスの必要性が有ると検知された場合、該方法は、ステップ306に進み、出力信号を生成してメンテナンスの必要性を表示してもよい。この特定のマシンのメンテナンスの必要性は、例えば、エクササイズマシンに設けられたフィードバック部(図示せず)へ可聴及び/又は可視表示によって局所的に通知してもよく、又は、電子メールやマシン管理システムなどにおける警告により、マシンを提供するジムの責任者などの提供者に一元的に通知してもよい。
【0038】
図1B及び1Cの例では、所定の操作条件がマシン10の静止状態である場合、基準距離は
図1Bにおける距離Drとなる。
【0039】
検知方法300の一実施形態において、ステップ303により基準距離がメモリーから読み出される。メモリー内の基準距離は、エクササイズマシン用に事前に定義されてもよく、例えば、公称値により与えられたり、マシン生産時の校正により設定されたりしてもよい。
【0040】
あるいは、メモリー内の基準距離は、方法300により、エクササイズマシン10が所定の操作条件にある、より早い時(「基準時間」)にToFセンサー20により生成された測定信号を受信し(ステップ301に対応)、測定信号の関数として基準距離を算出する(ステップ302に対応)ことにより決定されていてもよい。このため、ToFセンサー20は基準時間において実質的に汚れていないと想定して、基準距離を基準時間における測定距離によって与えてもよい。一例では、基準時間をToFセンサー20の清掃直後に設定してもよい。したがって、操作者が任意の適切な手段によって清掃が終了したことを通知するたびに、方法300により基準距離を決定してもよい。基準時間がある期間に及ぶことも、また、基準距離がこの期間中に算出された複数の測定距離の集計値(平均値、中心値、他)として与えられることも考えられる。一例を
図4に示す。灰色の点は、
図1のエクササイズマシンにおける時間の関数として測定距離401の値を示している。基準距離Drは、基準時間における期間Δt内の複数の測定距離に基づいて計算される。また、
図4は、現時刻tcにおいて算出された測定距離Dcも示している。例えば、DrとDcの差が所定の閾値を超える場合、方法300のステップ304及び305によりメンテナンスの必要性が検知されてもよい。閾値は、予防保全を考慮に入れて設定されてもよい。ステップ304及び305では、メンテナンスの必要性を検知する前に、閾値を超えるのに複数回の差分が必要になる場合もある。
【0041】
なお、ステップ303~305における評価は、基準距離に対して行われる代わりに、又は行われるのに加えて、測定距離401の経過の傾向分析に基づいて、例えば、現時刻までの測定距離の統計的分析によって、現時刻までの測定値に適合させた曲線の導関数の分析によって、また現時刻までの測定値の外挿などによって、メンテナンスの必要性を検知してもよい。
【0042】
図5に例示した方法300の代替的な実施態様では、ステップ303により現時刻tcにおける基準距離が得られるが、ステップ301で用いられる範囲設定と比べてToFセンサー20の範囲設定が異なっている。範囲設定により、ToFセンサー20が測定できる最大距離(最大範囲)が定義される。市販で最も入手可能なToFセンサー20には、範囲設定を変える選択肢がある。測定距離と比較して、汚れに対する感度は、範囲設定によって変化することが分かっている。
図5の例では、灰色の点は、ToFセンサー20の第1の範囲設定を用いた時間の関数として測定距離501を表し、曲線502は、ToFセンサー20の第2の範囲設定を用いた測定距離を模式的に表している。この例では、第2の範囲設定は、第1の範囲設定よりも大きい最大範囲を有する。ステップ303は、第2の範囲設定に設定されたときエクササイズマシン10の所定の操作条件においてToFセンサー20によって生成された測定信号を受信する工程(ステップ301に対応)と、測定信号の関数として基準距離を算出する工程(ステップ302に対応)とを含んでもよい。ステップ304及び305は、
図3に示すように、基準距離に対して測定距離を、例えばこれらの距離を比較することでチェックするステップ304により、さらに、ステップ304の結果に基づいてメンテナンスの必要性があるか否かを決定するステップ305により、実行されてもよい。例えば、DrとDcの差が所定の閾値を超える場合、方法300のステップ304及び305によりメンテナンスの必要性が検知されてもよい。閾値は、予防保全を考慮に入れて設定されてもよい。ステップ304及び305では、メンテナンスの必要性を検知する前に、閾値を超えるのに複数回の差分が必要になる場合もある。
【0043】
図5に示す例では、測定距離及び基準距離が全く同じ時点で決まるが、これは必須ではない。一般的に、測定距離及び基準距離の変化がこれらの時点間で小さければ、測定距離及び基準距離を異なる時点で取得してもよい。
【0044】
なお、2つ以上の範囲設定をステップ303で用いてもよく、また、ステップ304は、(対応する数の第2の範囲設定のための)2つ以上の基準距離に対して(第1の範囲設定のための)測定距離を評価する工程を含んでもよい。
【0045】
図5に例示された実施形態では、実質的に汚れていないToFセンサーを表す基準距離を決定して記憶する必要がなくなるため、方法300の導入が簡略化される。さらに、現在、
図5に例示された実施形態は、汚れに対する感度が高くなってもよいと考えられている。例えば、
図5においてtcで示されるように、第1の範囲設定における測定距離が汚れによって実質的に影響されていない場合でも、汚れが検知されてもよい。
【0046】
なお、
図4及び
図5を参照して例示された実施形態は組み合わせてもよく、例えば、ステップ304及び305における評価で、(例えば、
図4におけるΔtに対して決定される)実質的に汚れていないToFセンサーを表す第1の基準距離と第2の範囲設定について決定される第2の基準距離の両方に対する第1の範囲設定について決定される測定距離を評価することによって、組み合わせてもよい。
【0047】
図6は、第2の主要実施形態に係る検知方法600のフローチャートである。方法600は、ToFセンサー20(
図2Cの処理装置26参照)により、ToFセンサー20からの測定信号に基づいた独立したモニタリング装置(
図8A~8Dの40)により、又はそれらの組み合わせにより、実行されてもよい。検知方法600の目的は、検知方法300と同じだが、それとは異なる種類の測定データ及び異なる評価に基づいている。方法600は、ToFセンサー20の距離測定期間中に発信された個々の信号パルスについてToFセンサー20によって内部で計算されたToF値(「測定値」)に影響を与える。距離測定期間には、こうしてToF値の関数として算出された測定距離の1つの値が得られる。個々のToF値を、往復時間や距離などで表してもよい。距離測定期間中に得られるToF値の分布は、ToFセンサー20の汚れが増すにつれて変化することが分かっている。本明細書で用いられるように、「分布」は様々なToF値の頻度を表す。現在、第2の主要実施形態は、信号パルスを発信するように構成されたToFセンサー20、すなわち、少なくとも直接法により動作するToFセンサーの予知保全に有効であると考えられている。
【0048】
方法600は、距離測定期間中にToFセンサー20によって、ToFセンサー20と反射板15の間の測定距離を示す複数のToF値を取得するステップ601を含み、ToF値のそれぞれは、ToFセンサー20により発信される各信号パルスに対応する。ステップ602では、評価パラメーターデータが、複数のToF値の関数として計算される。評価パラメーターデータは、1つ以上の評価パラメーターを含んでもよい。ステップ603及び604では、メンテナンスの必要性を検知するために評価パラメーターデータが解析される。ステップ604でメンテナンスの必要性が検知されない場合、方法600は前に戻り、次の時点で距離測定期間についてステップ601を実行してもよい。ステップ604によりメンテナンスの必要性が検知された場合、方法はステップ605に進み、方法300のステップ306と同様にしてもよい。
【0049】
ToF値の分布における変化の例を、ToF値の模式的度数分布図である
図7A及び7Bに示す。各度数分布図において、ToF値の全範囲が(ビンとしても知られている)一連の重なりのない間隔に分割されている。縦軸は、各ビンの範囲内にあるToF値の数(「カウント」)を表す。
図7Aは、汚れていないToFセンサー20についての分布を例示しており、ToF値はカウントCpでピークとなる。ToF値のピークの位置は、ToFセンサー20と反射板15の間の測定距離に対応する。
図7Bは、フロントパネル25に多少汚れが付いたToFセンサー20についての分布を例示している。見ての通り、ピーク(カウントCp)の大きさは減少し、小さいToF値の数が増加している。これは、
図2Bに示すように、外部信号経路から内部信号経路に信号が再分配されるためである。
【0050】
当然のことながら、
図7A及び7Bに示す分布の変化を表すために、ステップ602において様々な評価パラメーターを計算してもよい。1つの限定されない例では、ステップ602により、ToFセンサー20の全測定範囲のうちの所定の小範囲内における距離を示すToF値の総数が算出される。所定の小範囲は、距離区間に対応し、内部信号経路から始まるToF値の少なくとも一部分を含むように選択される。このため、所定の小範囲は、ToFセンサー20の全測定範囲の下端部に適切に位置決めされる。
図7A及び7Bでは、距離区間はΔDで示され、ΔDの範囲内にあるビンが黒で示される。ステップ603及び604により、ΔDの範囲内のToF値の総数のみに基づいてメンテナンスの必要性を検知してもよいが、例えばピーク値に対して総数を評価することによりステップ603による解析にピーク値Cpも含めることによって、検知の特異性を改善してもよい。1つの限定されない例では、ToFセンサーの汚れの程度を、ピーク値と総数の比率又は差に基づいて評価してもよい。別の実施形態では、ステップ602は、基準分布に対してToF値の分布の全て又は一部を評価する工程を含んでもよい。例えば、基準分布は、汚れていないToFセンサー(
図7A)の分布によって与えられてもよく、また評価パラメーターは、現在の分布と基準分布の差を表すように計算されてもよい。
【0051】
図7A及び7Bから分かるように、いくつかの実施形態において、測定距離が距離区間ΔDから間を開けるように、検知方法600が実行される。これは、ToFセンサー20と反射板15の間で達成できる最小距離が距離区間ΔDにおける距離を超えるように構成されていれば、エクササイズマシンに固有のこととしてもよい。それ以外の場合は、ToFセンサー20と反射板15の間の距離が距離区間ΔDの外側に位置すると分かった時点で、ステップ601を選択的に実行してもよい。例えば、第1の主要実施形態と同様に、例えば、静止状態にあるマシン10の所定の操作条件において、ステップ601を実行してもよい。
【0052】
以上例示した検知方法を、例えば、
図8A~8Dに示すように、ToFセンサー20から物理的に離れているモニタリング装置40により、実行してもよい。図示していないが、モニタリング装置40は、1つ以上の場所にある複数のエクササイズマシンのToFセンサーからの測定信号を受信するように接続されてもよい。各測定信号を、有線及び/又は無線により、また必要に応じて任意の種類の1つ以上のネットワークを介して、モニタリング装置に伝達してもよい。
図8A~8Dには、エクササイズマシン10及び/又はToFセンサー20の一意的識別子に加えて、ToFセンサー20からの測定信号に含まれ得る異なる種類のデータが示されている。
図8Aでは、モニタリング装置40が方法300を実行してもよい。測定信号は、各時間における測定距離Dcを含む(ステップ301参照)。このため、各時間における測定距離は、ToFセンサー20内で計算される。
図8Bでは、モニタリング装置40が方法300を実行してもよい。測定信号は、ToFセンサー20の第1の範囲設定における測定距離Dcと、ToFセンサー20の第2の範囲設定における基準距離Drとを含む(ステップ301、303参照)。
図8Cでは、モニタリング装置40が方法300、600のいずれかを実行してもよい。測定信号は、上述の距離測定期間の間に個々の信号パルスについてToFセンサー20により計算された一連のToF値[Dc]を含む。方法300を実行する際は、モニタリング装置40は、任意の適切な集約アルゴリズムにより測定距離Dcを一連のToF値の関数として算出することにより、ステップ301を完了してもよい。方法600を実行する際は、モニタリング装置40は、ステップ602に従って一連のToF値に基づいて評価パラメーターデータを計算してもよい。
図8Dでは、モニタリング装置40が方法600を実行してもよい。測定信号は評価パラメーターデータを含む。このため、ステップ602における評価パラメーターデータの計算は、ToFセンサー20により少なくとも部分的に実行される。
【0053】
ToFセンサー20とモニタリング装置40の間のデータ転送は、プッシュ方式、プル方式、又はそれらの組み合わせにより実行されてもよい。一例では、ToFセンサー20は、例えば、1時間毎に、測定信号をモニタリング装置40に繰り返し送信するように構成されており、モニタリング装置40は適切な測定信号を選択して解析する。例えば、モニタリング装置40は、ジムの閉店時間中に取得されるデータを含む測定信号を選択して、各エクササイズマシンが静止状態にあることを確認してもよい。別の例では、モニタリング装置40は、選択された時間において各ToFセンサー20からの測定信号を積極的に要求するように構成されてもよい。
【0054】
図8A~8Dの実施形態の代替案では、モニタリング装置40は、エクササイズマシン10上に配置されてもよく、又はToFセンサー20と一体化していてもよい。
【0055】
図9は、モニタリング装置40の例示的構造のブロック図である。一般的に、モニタリング装置40は、ソフトウェア及びハードウェア回路の組み合わせにより、又は専用のハードウェア回路だけにより、本明細書に記載の方法のいずれか又はその一部を実行するように構成されてもよい。
図9では、モニタリング装置40は、モニタリング装置40の全動作に関与する制御回路41を備える。図に示すように、制御回路41は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)、グラフィックス処理装置(Graphics Processing Unit:GPU)、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサ、ASIC、FPGA、又はその他の専用又は汎用の処理装置である、あるいはこれを含む、処理装置すなわちプロセッサ42を備えてもよい。プロセッサ42は、モニタリング装置40の動作を制御するために、メモリー43などの別個のメモリー及び/又は制御回路41の内部メモリー(図示せず)に格納された命令44を実行してもよい。命令44は、プロセッサ42により実行されると、モニタリング装置40に、本明細書に記載の方法のいずれか又はその一部を実行させてもよい。命令44は、有形の(非一時的)製品(例えば、磁気媒体、光ディスク、読み出し専用メモリー、フラッシュメモリー、他)又は伝播信号であってもよいコンピューター可読媒体50を介して、モニタリング装置40に供給されてもよい。また、
図9に示すように、メモリー43は、プロセッサ42で使用するための、例えば、1つ以上の基準距離、1つ以上の基準分布などのデータ45を格納してもよい。メモリー43は、1つ以上のバッファー、フラッシュメモリー、ハードドライブ、リムーバブルメディア、揮発性メモリー、不揮発性メモリー、ランダムアクセスメモリー(Random Access Memory:RAM)、又はその他の適切なデータ記憶装置を含んでもよい。例示的構成では、メモリー43は、長期間のデータ保存のための不揮発性メモリーと、制御回路41用のシステムメモリーとして機能する揮発性メモリーとを含む。メモリー43は、データバスを介して、制御回路41とデータを交換してもよい。また、メモリー43と制御回路41の間に、付属の制御線及びアドレスバスがあってもよい。メモリー43は、不揮発性コンピューター可読媒体と見なされる。モニタリング装置40は、有線又は無線通信のための任意の従来の通信インタフェースを含んでもよい入力部46をさらに備えてもよい。入力部46は、1つ以上のToFセンサー20から測定信号を受信するように配置される。
【0056】
現在最も実用的と考えられる実施形態に関して本開示の主題を説明したが、当然のことながら、本開示の主題は上記実施形態に限定されない。それどころか、添付の特許請求の範囲に記載される技術思想や範囲に含まれる様々な変形及び同等の構成を包含するものである。
【0057】
さらに、複数の動作が特定の順序で図面に示されているが、所望の結果を得るために、示された特定の順序又は一連の順序で動作が実行され、又は図示された動作が全て実行されることを要求するものではないことを理解すべきである。
【0058】
本明細書で説明した方法及び装置は、ウエイトスタックエクササイズマシンやウエイトの上下の動きに限定されず、距離測定のための少なくとも1つのToFセンサーを備えた任意のエクササイズマシンに適用可能である。そのような種類のエクササイズマシンとして、プレートロード式マシン、エリプティカルトレーナー、定置式エクササイズ自転車、ステッパーマシン、ローイングマシン、クロスカントリースキーマシンなどが挙げられる。
【0059】
以下に、先に開示したようにいくつかの側面と実施形態をまとめるために、項目を列挙した。
【0060】
(項目1)
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知する方法であって、
前記エクササイズマシン(10)の所定の操作条件において、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を取得する工程(301)と、
前記測定信号に基づいて、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離(Dc)を算出する工程(302)と、
前記メンテナンスの必要性を検知するために、前記測定距離(Dc)を評価する工程(304、305)と、を含む方法。
【0061】
(項目2)
前記評価する工程(303~305)は、基準距離(Dr)に対して前記測定距離(Dc)をチェックする工程を含む、項目1に記載の方法。
【0062】
(項目3)
前記エクササイズマシン10が前記所定の操作条件にある基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された測定信号を受信する工程と、前記基準時間(Δt)において前記飛行時間センサー(20)により生成された前記測定信号の関数として前記基準距離(Dr)を算出する工程(303)と、をさらに含む、項目2に記載の方法。
【0063】
(項目4)
前記取得する工程(301)は、前記飛行時間センサー(20)の第1の範囲設定について前記測定信号を取得する工程を含み、前記方法は、前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件において前記飛行時間センサー(20)の第2の範囲設定であって、前記第1の範囲設定とは異なる第2の範囲設定について、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信する工程と、前記第2の範囲設定について前記飛行時間センサー(20)からの前記測定信号に基づいて前記基準距離(Dr)を算出する工程(303)と、をさらに含む、項目2又は3に記載の方法。
【0064】
(項目5)
前記基準距離(Dr)は、前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件に関連付けられた所定の距離である、項目2に記載の方法。
【0065】
(項目6)
前記メンテナンスの必要性は、前記測定距離(Dc)と前記基準距離(Dr)の差が閾値を超えると検知される、項目2~5のいずれか1項に記載の方法。
【0066】
(項目7)
前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)の少なくとも1つは、前記エクササイズマシン(10)の使用中に移動可能であり、前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)及び前記反射素子(15)が静止している状態を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の方法。
【0067】
(項目8)
前記所定の操作条件は、前記飛行時間センサー(20)と前記反射素子(15)の間の最大距離又は最小距離に対応する、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
【0068】
(項目9)
前記エクササイズマシン(10)の前記所定の操作条件を示す信号に反応して前記取得する工程(301)を実行する工程をさらに含む、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
【0069】
(項目10)
前記メンテナンスは、前記飛行時間センサー(20)の信号伝達面(25)を清掃する工程を含む、項目1~9のいずれか1項に記載の方法。
【0070】
(項目11)
前記飛行時間センサー(20)は、出射信号と入射信号の位相差の関数として前記測定信号を生成するように構成される、項目1~10のいずれか1項に記載の方法。
【0071】
(項目12)
前記メンテナンスの必要性を示す出力信号を供給する工程(306)をさらに含む、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
(項目13)
前記エクササイズマシン(10)は1つ以上の可動ウエイト(11)を備え、前記飛行時間センサー(20)又は前記反射素子(15)は前記1つ以上の可動ウエイト(11)上に配置され、前記エクササイズマシン(10)を使用中の前記飛行時間センサー(20)の前記測定信号は前記1つ以上の可動ウエイト(11)の動きを示す、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
(項目14)
プロセッサ(42)により実行されると、前記プロセッサ(42)に項目1~13のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピューター命令(44)を含むコンピューター可読媒体。
【0074】
(項目15)
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置であって、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信するための入力部(46)と、論理回路(41、43)とを備え、
前記論理回路(41、43)は、
前記エクササイズマシン(10)の所定の操作条件において、前記飛行時間センサー(20)により生成される前記測定信号を、前記入力部(46)を介して取得し、
前記測定信号に基づいて、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離(Dc)を算出し、
前記メンテナンスの必要性を検知するために、前記測定距離(Dc)を評価するように構成される、装置。
【0075】
(項目16)
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知する方法であって、
測定期間中に前記飛行時間センサー(20)により、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離を示す複数の測定値であって、前記飛行時間センサー(20)により発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を取得する工程(601)と、
前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーター(EPD)を計算する工程(602)と、
前記メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)を評価する工程(603、604)と、を含む方法。
【0076】
(項目17)
前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)は、前記複数の測定値の分布を表す、項目16に記載の方法。
【0077】
(項目18)
前記計算する工程(602)は、前記飛行時間センサー(20)の全測定範囲の小範囲である距離区間(ΔD)に含まれる距離を示す測定値のカウントを算出する工程を含む、項目17に記載の方法。
【0078】
(項目19)
前記距離区間(ΔD)は、前記飛行時間センサー(20)の前記全測定範囲の下端に位置する、項目18に記載の方法。
【0079】
(項目20)
前記計算する工程(602)は、前記複数の測定値の度数分布図におけるピーク値(Cp)を算出する工程をさらに含む、項目18又は19に記載の方法。
【0080】
(項目21)
前記評価する工程(603、604)は、前記ピーク値に対して前記カウントを評価する工程を含む、項目20に記載の方法。
【0081】
(項目22)
前記評価する工程(603、604)は、基準分布に対して前記分布を評価する工程を含む、項目17~21のいずれか1項に記載の方法。
【0082】
(項目23)
前記飛行時間センサー(20)と前記反射素子(15)の間の実際の距離が前記距離区間(ΔD)の外側に位置すると分かったときに、前記取得する工程(601)は実行される、項目16~22のいずれか1項に記載の方法。
【0083】
(項目24)
前記メンテナンスは、前記飛行時間センサー(20)の信号伝達面(25)を清掃する工程を含む、項目16~23のいずれか1項に記載の方法。
【0084】
(項目25)
前記飛行時間センサー(20)は、出射信号パルスと入射信号パルス間の時間差の関数として前記複数の測定値を生成するように構成される、項目16~24のいずれか1項に記載の方法。
【0085】
(項目26)
前記メンテナンスの必要性を示す出力信号を供給する工程(605)をさらに含む、項目16~25のいずれか1項に記載の方法。
【0086】
(項目27)
前記エクササイズマシン(10)は1つ以上の可動ウエイト(11)を備え、前記飛行時間センサー(20)又は前記反射素子(15)は前記1つ以上の可動ウエイト(11)上に配置され、前記エクササイズマシン(10)を使用中の前記飛行時間センサー(20)により供給される前記測定信号は前記1つ以上の可動ウエイト(11)の動きを示す、項目16~26のいずれか1項に記載の方法。
【0087】
(項目28)
プロセッサ(42)により実行されると、前記プロセッサ(42)に項目16~27のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピューター命令(44)を含むコンピューター可読媒体。
【0088】
(項目29)
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置であって、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信するための入力部(46)と、論理回路(41、43)とを備え、
前記論理回路(41、43)は、
前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の距離を示す複数の測定値であって、測定期間中に前記飛行時間センサー(20)により発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を、前記入力部(46)を介して取得し、
前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーター(EPD)を計算し、
前記メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)を評価するように構成された、装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知する方法であって、
測定期間中に前記飛行時間センサー(20)により、前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の測定距離を示す複数の測定値であって、前記飛行時間センサー(20)により発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を取得する工程(601)と、
前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーター(EPD)を計算する工程(602)と、
前記メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)を評価する工程(603、604)と、を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)は、前記複数の測定値の分布を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記計算する工程(602)は、前記飛行時間センサー(20)の全測定範囲の小範囲である距離区間(ΔD)に含まれる距離を示す測定値のカウントを算出する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記距離区間(ΔD)は、前記飛行時間センサー(20)の前記全測定範囲の下端に位置する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記計算する工程(602)は、前記複数の測定値の度数分布図におけるピーク値(Cp)を算出する工程をさらに含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記評価する工程(603、604)は、前記ピーク値に対して前記カウントを評価する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記評価する工程(603、604)は、基準分布に対して前記分布を評価する工程を含む、請求項2~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記飛行時間センサー(20)と前記反射素子(15)の間の実際の距離が距離区間(ΔD)の外側に位置すると分かったときに、前記取得する工程(601)は実行される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記メンテナンスは、前記飛行時間センサー(20)の信号伝達面(25)を清掃する工程を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記飛行時間センサー(20)は、出射信号パルスと入射信号パルス間の時間差の関数として前記複数の測定値を生成するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記メンテナンスの必要性を示す出力信号を供給する工程(605)をさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記エクササイズマシン(10)は1つ以上の可動ウエイト(11)を備え、前記飛行時間センサー(20)又は前記反射素子(15)は前記1つ以上の可動ウエイト(11)上に配置され、前記エクササイズマシン(10)を使用中の前記飛行時間センサー(20)により供給される測定信号は前記1つ以上の可動ウエイト(11)の動きを示す、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プロセッサ(42)により実行されると、前記プロセッサ(42)に請求項1~12のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピューター命令(44)を含むコンピューター可読媒体。
【請求項14】
飛行時間センサー(20)を備えたエクササイズマシン(10)のメンテナンスの必要性を検知するように構成された装置であって、前記飛行時間センサー(20)から測定信号を受信するための入力部(46)と、論理回路(41、43)とを備え、
前記論理回路(41、43)は、
前記エクササイズマシン(10)における前記飛行時間センサー(20)と反射素子(15)の間の距離を示す複数の測定値であって、測定期間中に前記飛行時間センサー(20)により発信された各信号パルスにそれぞれ対応する測定値を、前記入力部(46)を介して取得し、
前記複数の測定値の関数として1つ以上の評価パラメーター(EPD)を計算し、
前記メンテナンスの必要性を検知するために前記1つ以上の評価パラメーター(EPD)を評価するように構成された、装置。
【外国語明細書】