IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社石垣の特許一覧

特開2024-4540脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法
<>
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図1
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図2
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図3
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図4
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図5
  • 特開-脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004540
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/147 20190101AFI20240110BHJP
【FI】
C02F11/147 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104156
(22)【出願日】2022-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】末次 康隆
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA05
4D059BE54
4D059BE62
4D059BJ09
4D059BK11
4D059DA51
4D059DA70
(57)【要約】
【課題】不織布等の製造過程から発生する繊維物を解繊機で解繊して形成された脱水助材を圧縮空気にて圧送し、汚泥と混合撹拌することで、廃棄予定の繊維物を脱水助材として有効利用することができる脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法を提供する。
【解決手段】
汚泥に脱水助材を添加混合する装置において、繊維物を解繊し脱水助材を形成する解繊機と、解繊機に接続し圧縮空気により脱水助材を圧送する連通部と、連通部を接続し供給された圧縮空気によって流動する汚泥を脱水助材とともに混合撹拌する汚泥混合槽と、を備えることで、別途大型の撹拌装置を設置せずに汚泥と脱水助材を均一に混合できる。

【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥に脱水助材を添加混合する装置において、
繊維物を解繊し脱水助材を形成する解繊機(5)と、
解繊機(5)に接続し圧縮空気により脱水助材を圧送する連通部(7)と、
連通部(7)を接続し供給された圧縮空気によって流動する汚泥を脱水助材とともに混合撹拌する汚泥混合槽(6)と、
を備える
ことを特徴とする脱水助材添加装置。
【請求項2】
前記解繊機(5)は、乾式解繊機であり、
他方を汚泥混合槽(6)の下方に接続した連通部(7)に接続するとともに、
連通部(7)に供給する圧縮空気を発生させる送風翼(17)を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の脱水助材添加装置。
【請求項3】
前記汚泥混合槽(6)は、下方に内設し連通部(7)と連通した散気管(9)と、
底部および頂部に所定の隙間を設けて上方に延びる仕切板(8)と、
散気管(9)から供給された圧縮空気によって循環流動する汚泥が供給される汚泥供給部(15)と、を備え、
汚泥供給部(15)と非対向の位置に散気管(9)の噴出孔(20)を形成した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脱水助材添加装置。
【請求項4】
前記解繊機(5)に脱水助材の一部を返送する返送部(12)を連通部(7)に接続した
ことを
特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の脱水助材添加装置。
【請求項5】
汚泥に脱水助材を添加混合する脱水助材添加方法において、
繊維物を解繊し脱水助材を形成した後、
圧縮空気にて脱水助材を汚泥混合槽(6)に圧送し、
汚泥混合槽(6)に供給された圧縮空気によって流動する汚泥を脱水助材とともに混合撹拌することを
特徴とする脱水助材添加方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場で発生する難脱水汚泥を効果的に脱水するための脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水処理場で発生する余剰汚泥や消化汚泥等の難脱水性汚泥は繊維分が少なく、脱水性が悪い。余剰汚泥は生物処理によって汚泥中の有機物(繊維分等)が微生物に転換したものであり、消化汚泥は嫌気性消化処理によって汚泥中の有機物(繊維分等)が嫌気性細菌の働きにより分解されたものである。そのため、脱水前の難脱水性汚泥は繊維分が僅かしか含まれていない。汚泥中の繊維分は凝集の核として機能するとともに、脱水時に凝集フロック内に水路を形成する効果を有するため、繊維分が減少している汚泥は、適切な凝集や脱水を行うことができず、脱水性が悪くなる。そこで、減少した繊維分を補うために繊維状物又はおがくずや籾殻等の植物素材を脱水助材として混合して脱水する方法が提案されている。繊維状物を脱水助材として用いると、少量の添加で安定して低含水率の脱水ケーキが得られ、且つ加圧脱水の場合には脱水ケーキの剥離性を改善させることが知られている。
【0003】
特許文献1には、不織布の製造用素材等の繊維状脱水助材を圧縮空気によってホッパーに投入した後、汚泥貯留槽等の処理槽に供給し槽内の汚泥と混合する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、脱水助剤等の粉粒体を加圧空気によるエゼクタ作用で圧送した後、ノズルによって粉粒体と加圧空気を加圧噴射し、供給される汚泥とともに混合部内で混合する技術が開示されている。
【0005】
特許文献3には、古紙を乾式で解繊した後、空気とともに搬送し、汚泥焼却灰と混合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-179336号公報
【特許文献2】特公平01-10255号公報
【特許文献3】特開平06-63528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の植物素材を脱水助材として用いる場合、脱水助材は軽量であるため、脱水前の水分を多く含んだ汚泥と混合させるためには撹拌装置が必要となる。特に、大型の汚泥貯留槽に供給する際は、大型の撹拌装置を必要とし、別途混合槽にて混合する場合には専用の混合槽および撹拌・輸送装置、設置スペース等が必要となる。また、汚泥貯留槽内に滞留する汚泥が腐敗し、後段に設けた脱水設備の脱水効率が低下するという課題があった。
【0008】
特許文献1は、ホッパーがサイクロン式であるため、ホッパー内の脱水助材は下方へ沈降した後、汚泥貯留槽等の処理槽へ供給される。しかし、脱水助材を送給した圧縮空気は中央のセパレーターから上方へ排出するため、処理槽へは脱水助材のみが供給され、圧縮空気のエネルギーを脱水助材の撹拌に使用することはない。
【0009】
特許文献2は、混合部内に粉粒体を供給するノズルを設けているため、供給された汚泥がノズル内に逆流し、密閉輸送管の閉塞を引き起こす恐れがある。さらに混合槽内にはノズルに加え、断面積が変化する乱流発生器を配設しているため装置の構造が複雑である。
【0010】
特許文献3は、解繊した繊維を汚泥焼却灰と混合した後、撹拌槽に供給して撹拌翼にて混合するものであり、解繊機内に内蔵された送風翼より得られる空気を利用して撹拌する技術ではない。
【0011】
本発明は、不織布等の製造過程で生じる端材(繊維物)を解繊し、解繊後の解繊物を脱水助材として再利用するとともに、圧縮空気にて圧送される解繊物を汚泥に添加した後、均一に混合させる脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、汚泥に脱水助材を添加混合する装置において、繊維物を解繊し脱水助材を形成する解繊機と、解繊機に接続し圧縮空気により脱水助材を圧送する連通部と、連通部を接続し供給された圧縮空気によって流動する汚泥を脱水助材とともに混合撹拌する汚泥混合槽と、を備えることで、汚泥と脱水助材を効率よく混合できるため、脱水助材が均一に混合された混合汚泥を生成できる。
【0013】
前記解繊機は、乾式解繊機であり、他方を汚泥混合槽の下方に接続した連通部に接続するとともに、連通部に供給する圧縮空気を発生させる送風翼を備えたことで、解繊機内で生じた圧縮空気を脱水助材の圧送及び汚泥と脱水助材の混合撹拌に流用できるため、別途圧縮空気を発生させるための圧縮空気供給源を設ける必要がない。
【0014】
前記汚泥混合槽は、下方に内設し連通部と連通した散気管と、底部および頂部に所定の隙間を設けて上方に延びる仕切板と、散気管から供給された圧縮空気によって循環流動する汚泥が供給される汚泥供給部と、を備え、汚泥供給部と非対向の位置に散気管の噴出孔を形成したことで、汚泥混合槽内で汚泥と脱水助材をエアリフト撹拌できるため、脱水助材と汚泥の混和性が向上し、汚泥の脱水性を高めることが可能となる。
【0015】
前記解繊機に脱水助材の一部を返送する返送部を連通部に接続したことで、脱水助材を繰り返し解繊できるため解繊効率が向上するとともに、圧縮空気を循環できるため後段設備への圧縮空気の過剰な供給を防ぎ、常時適量供給できる。
【0016】
汚泥に脱水助材を添加混合する脱水助材添加方法において、繊維物を解繊し脱水助材を形成した後、圧縮空気にて脱水助材を汚泥混合槽に圧送し、汚泥混合槽に供給された圧縮空気によって流動する汚泥を脱水助材とともに混合撹拌することで、脱水工程の前段で脱水助材が均一に混合された混合汚泥を生成できるため、脱水機での脱水効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法は、繊維物を解繊機で解繊して形成された脱水助材を汚泥混合槽内の汚泥と混合撹拌して混合汚泥を生成するものであり、槽内の汚泥を解繊機から得られる圧縮空気で流動させるため、撹拌機を備えた大型の混合槽が不要である。これにより、設置面積やランニングコスト等を削減できるため、コンパクトで安価な装置を提供できる。加えて、解繊後の脱水助材を圧縮空気で随時圧送するため、塊状にならず、連通部の閉塞を防止できるため脱水助材を汚泥混合槽に連続供給できる。連通部には逆止弁を設けており流体の流れを一定方向に保っているため、汚泥が逆流せず運転を継続して行うこともできる。また、汚泥貯留槽内の汚泥は、供給された圧縮空気によって常時流動するため底部に滞留しない。圧縮空気を供給する際に酸素が取り込まれることで汚泥貯留槽が曝気槽としての役割を果たすため汚泥が腐敗しない。そして酸素が取り込まれた汚泥中の微生物はリンを取り込み、リンの再溶出を防止するため脱水機から排出される脱水ろ液中のリン濃度の低減も可能となる。さらに、解繊する繊維物は、不織布の端材等の廃棄予定のものを使用するため、資源のリサイクルにもつながる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る汚泥処理方法のフロー図である。
図2】同じく、脱水助材添加装置の概略構成図である。
図3】同じく、解繊機の一部断面正面図である。
図4】同じく、解繊機の縦断側面図である。
図5】同じく、正面から見た汚泥混合槽を示す説明図である。
図6】同じく、図5に示す矢印の方向から見た汚泥混合槽を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明にかかる汚泥処理方法のフロー図である。
本実施形態では、下水処理場に流れ込んだ流入水を無終端循環水路内で循環流動させつつ曝気撹拌して生物処理する反応槽1と、反応槽1から供給される処理水を沈降分離し上澄み液を消毒した後、河川等へ放流する最終沈殿池2と、最終沈殿池2から供給される余剰汚泥に脱水助材を添加混合する脱水助材添加装置3と、脱水助材が添加混合された混合汚泥を脱水して脱水ケーキを生成する脱水機4と、からなる。なお、破線で示すように、直接脱水法を用いて反応槽1内の活性汚泥を直接、脱水機4に供給する場合も同様に、脱水機4の前段に脱水助材添加装置3を設ける。
【0020】
本実施形態では、流入水を無終端水路形状の反応槽1内で流入水と活性汚泥を曝気装置により混合循環させるOD法(オキシデーションディッチ法)を用いた処理場で発生する余剰汚泥に脱水助材を添加混合しているが、消化汚泥のような難脱水性汚泥や、混合生汚泥のような易脱水性汚泥にも適用できる。
【0021】
図2は脱水助材添加装置の概略構成図である。
脱水助材添加装置3は、解繊機5と汚泥混合槽6とこれらを連結する連通部7で構成している。解繊機5は、塊状の繊維物を解し、絡みが解けた短繊維に近い状態の解繊物を形成するものである。本実施形態では、不織布等の製造過程で発生する端材(繊維物)を解繊して解繊物を形成し、形成された解繊物を脱水助材として用いる。繊維物の解繊効率を高めるために、解繊機5前段に定量供給機(図示しない)を設置し、繊維物を解繊機5に定量供給するのが望ましい。
【0022】
汚泥混合槽6は、解繊機5にて形成された脱水助材(解繊物)を図1に示す余剰汚泥や活性汚泥等と混合撹拌し、混合汚泥を生成するものである。汚泥混合槽6の下方には、多数の噴出孔20を有する散気管9を設けてあり、槽内に供給された汚泥及び脱水助材を噴出孔20から噴出される空気によって混合撹拌できるように構成している。汚泥混合槽6は、従来の汚泥貯留槽を用いており、汚泥の貯留及び混合を行う。
【0023】
解繊機5と汚泥混合槽6の間には、一端を解繊機5に接続し、他端を汚泥混合槽6に接続した供給管(連通部7)を設けてあり、解繊機5で形成された脱水助材を汚泥混合槽6に供給できるようにしている。連通部7には、逆止弁10を介装してあり、汚泥混合槽6内からの逆流を防止する。
【0024】
汚泥混合槽6に接続された連通部7の他端は、槽内の散気管9と連通してあり、連通部7より供給される脱水助材及び脱水助材を圧送する圧縮空気が噴出孔20から供給される。
【0025】
連通部7には、一端を繊維物供給部11に接続した返送部12を接続してあり、解繊後の繊維物を解繊機5に返送できる構成としている。これにより繊維物を繰り返し解繊できるため、所望の大きさの脱水助材を形成でき、汚泥混合槽6内での汚泥との混和性を向上できる。これに伴い、脱水機前段に配置した凝集混和槽(図示しない)内での汚泥の凝集性及び脱水機での脱水効率を高めることができる。
【0026】
なお、本実施形態における連通部7は供給管を用いており、解繊機5及び汚泥混合槽6それぞれに接続する構成としたが、解繊機5と汚泥混合槽6をユニット化し、供給管を用いずに両者を連通させる構成であってもよい。また、解繊して脱水助材を形成する繊維物は、不織布の端材に限定されず、古着や使用済みのろ布、自動車表皮材の裁断屑等の端材等であってもよい。一般的に廃棄予定のものを再利用することで環境に配慮できるため、廃棄物等を有効利用することが望ましい。
【0027】
図3は解繊機の一部断面正面図であり、図4は解繊機の縦断側面図である。
図3に示すように、解繊機5は矩形状のケーシング14内に解繊室13を有しており、解繊室13の供給口22(図3奥側及び図4右側)から供給した繊維分を解繊室13にて解繊した後、脱水助材(解繊物)をケーシング14側面に接続された連通部7より排出されるように構成してある。解繊室13内には、駆動機16にて駆動される送風翼17を収納してあり、駆動機16を駆動することで送風翼17を高速回転できる。
【0028】
解繊室13の内壁には周方向に解繊歯18を連続形成しており、送風翼17を高速回転させた際に回転方向に生じる高速ジェット気流(圧縮空気)によって繊維物が解繊歯18に接触しながら解繊される。解繊歯18は、図4に示すように鋸歯形状であり、高速ジェット気流(圧縮空気)によって解繊室13内を旋回する塊状の繊維物を衝突させながら長繊維を切断し、短繊維に近い状態まで解す。解繊室13にて形成された脱水助材は、高速ジェット気流(圧縮空気)によって連通部7に向かって圧送され、連通部7に連通させた散気管9内に供給される。なお、実施条件に応じて適宜、解繊歯の形態を変更し解繊の程度を調整することで所望の脱水助材を得ることができる。
【0029】
本実施形態で用いた解繊機5は乾式解繊機であり、自ら発生する気流によって供給口22から供給された繊維物に物理的衝撃を与えながら解繊処理して形成された脱水助材を連通部7に向かって圧送するものであるが、繊維物を解繊及び圧送できるものであれば本実施形態の機構に限定されない。他の実施形態として、例えば、内部に風発生機構を有さない解繊機を用いて繊維物を解繊した後、繊維物供給部11に接続したブロア等の風発生機構にて脱水助材の搬送を行ってもよい。風発生機構を外部に設置する場合、風発生機構から得られる圧縮空気を圧搾工程やケーキブロー工程等にも併用できる。
【0030】
図5は正面から見た汚泥混合槽を示す説明図であり、図6図5に示す矢印の方向から見た汚泥混合槽を示す説明図である。
図5に示すように、汚泥混合槽6は下方に汚泥供給部15を接続するとともに、上方に汚泥排出部19を接続してある。本実施形態では、下方より供給した汚泥を槽内で混合撹拌した後、上方より排出する構成としている。
【0031】
汚泥混合槽6は、汚泥供給部15の接続部21(汚泥の供給口)より下方に位置するように槽内に散気管9を延設している。散気管9は、多数の噴出孔20を形成するとともに、連通部7に連通させてあり、連通部7から圧送される脱水助材及び圧縮空気を噴出孔20より噴出できるようにしている。
【0032】
図6に示すように、噴出孔20は、散気管9の下部に形成された開口であり、散気管9内に供給された脱水助材及び圧縮空気は下方に向かって噴出される。散気管9を汚泥供給部15の供給口21より下方に配置するとともに、散気管9に形成した噴出孔20を下方に向けたことにより、汚泥が噴出孔20に向かって供給されないため汚泥供給部15より供給される汚泥によって噴出孔20が閉塞しない。このように、汚泥供給部15と非対向の位置に散気管9の噴出孔20を形成することが望ましい。
【0033】
脱水助材及び圧縮空気は、下方に向かって噴出された後、上方に向かって流動する。このとき、散気管9の上方から供給された汚泥は、下方から供給される圧縮空気によって、上方へと流動しながら脱水助材と混合撹拌される。汚泥は、脱水助材と均一に混合された後、混合汚泥となり、汚泥排出部19より排出される。
【0034】
本実施形態では、槽内の汚泥の流動性を高めるために、汚泥貯留槽6内に所定の厚みを有する仕切板8を設置している。これにより、下方に設けた散気管9から供給される圧縮空気によって槽内の汚泥をエアリフト撹拌できる。具体的には、仕切板8を汚泥貯留槽6の底部及び頂部に所定の隙間を設けて上方に延びるように設置しており、汚泥供給部15より供給された汚泥が底部及び頂部の所定の隙間を通って仕切板8の周囲を循環流動できるようにしてある。つまり、槽内に仕切板8を設置することで槽内の汚泥が上下方向に循環流動できる。供給された汚泥が仕切板8の周囲(矢印の流れ方向)を流動することで、下方より供給された脱水助材が流動する汚泥中に取り込まれながら混合されるため、脱水助材が均一に混合された混合汚泥を生成できる。本実施形態では、OD法により得られた濃度が低く流動性が高い余剰汚泥が供給されるため、槽の底部に滞留することなく、仕切板8の周囲を効率よく循環流動できる。
【0035】
仕切板8を設けた汚泥混合槽6の内部は、仕切板8を境として、区域Aと区域Bに区画されており、区域Aは、汚泥供給部15から供給される汚泥及び連通部7から供給される脱水助材及び圧縮空気が供給される区域である。一方、仕切板8によって区画された区域Bは、槽内に生じるエアリフト作用によって生成された混合汚泥が排出される区域である。
【0036】
供給された汚泥を脱水助材とともに混合撹拌できる構成としたことで、汚泥が槽の底部で長時間滞留することがないため、腐敗を防止できる。このとき、脱水助材とともに噴出される圧縮空気は、解繊機5内の送風翼17の回転にて生じる圧縮空気を用いているため、別途、外部にブロア等の風発生機構を設置する必要がないうえ、大型の機械撹拌装置を設置する必要もない。
【0037】
なお、噴出孔20や仕切板8の位置や数、形状等は設計条件に応じて適宜決定する。汚泥供給部15と汚泥排出部19の接続位置も限定されない。汚泥供給部15を槽の上方に接続するとともに汚泥排出部19を槽の下方に接続し、上方より供給した汚泥を下方から排出する構成としてもよい。噴出孔20の閉塞を防止するために汚泥供給部15を槽の下部に接続するとともに汚泥供給部15の供給口21の上方に、上部に噴出孔20を形成した散気管9を配設する構成としてもよい。連通部7の接続位置に関しても同様に汚泥混合槽6の形態に合わせて適宜設定する。また、効率よくエアリフト撹拌を行うために、圧縮空気供給管を汚泥貯留槽6に別途接続し、圧縮空気の供給量を増やしてもよい。
【0038】
本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の脱水助材添加装置及び脱水助材添加方法は、不織布等の製造工程で生じる端材等の廃棄予定の繊維物を解繊機にて解繊し、解繊された解繊物を脱水助材として利用するものであり、廃棄予定の繊維物を有効活用できる。本製品を稼働する地域で生じた廃棄物を脱水助材として有効活用することで、地域が抱える廃棄物処理問題を解決できる。解繊機にて解繊された脱水助材は解繊機内の送風翼にて生じる圧縮空気を用いて圧送するため、別途、風発生機構等のエネルギー発生源を設ける必要がなく、環境にも配慮した装置である。
【符号の説明】
【0040】
5 解繊機
6 汚泥混合槽
7 連通部
8 仕切板
9 散気管
12 返送部
15 汚泥供給部
17 送風翼
20 噴出孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6