(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045407
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】身体試料中の実体を検出する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20240326BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G01N33/49 H
G01N33/48 M
G01N33/49 G
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015207
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021157849の分割
【原出願日】2016-09-15
(31)【優先権主張番号】62/219,889
(32)【優先日】2015-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】518076469
【氏名又は名称】エス.ディー.サイト ダイアグノスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】エシェル,ヨチャイ シュロモ
(72)【発明者】
【氏名】レズミー,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】グルック,ダン
(72)【発明者】
【氏名】フーリー ヤフィン,アルノン
(72)【発明者】
【氏名】ポラック,ジョセフ ヨエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】身体試料中の実体の検出、特に、画像処理および分類を使った病原体の自動的検出を提供する。
【解決手段】1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム(11)、出力装置(34)、および少なくとも1つのコンピュータープロセッサー(28)を含む装置および方法が記載される。コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの要素を病原体候補であるとして特定し、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出する。コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡システム及び少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを備える装置であって、
前記顕微鏡システムは、身体試料であって、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、及び/又は主に赤血球を含む希釈した試料を含む、身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得するように構成され、かつ
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは以下の処理を実行するように構成される:
前記1つ又は複数の顕微鏡画像中において、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定する処理aであって、前記所定の実体は、血小板、白血球、異常白血球、循環性腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体、病原体、及び原虫病原体である、処理a;
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、前記所定の実体の候補と関連する、少なくとも1つの候補として情報価値の高い特徴を抽出する処理b;
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する処理c;
前記候補として情報価値の高い特徴を、前記試料として情報価値の高い特徴と組合わせて処理することにより、前記要素が前記所定の実体である可能性を判定する処理d;及び
それに少なくとも部分的に応じて、前記身体試料における血球数の測定を実行する処理e
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーが、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記候補に関連する少なくとも1つの候補として情報価値の高い特徴を抽出するように構成され、
前記候補として情報価値の高い特徴は、前記候補のサイズ、前記候補の形状、前記候補の動作、前記候補の強度、前記身体試料中の前記候補の位置、前記候補と重なり合う細胞の性質、前記候補の色、前記候補のテクスチャ、及び/又は前記候補の境界の鮮明度である
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーが、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出するように構成され、
前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴は、前記身体試料中の非候補成分のサイズ、前記身体試料中の非候補成分の形状、前記身体試料中の非候補成分の強度、及び/又は前記身体試料中の所定の細胞型の細胞の量を含む
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは以下の処理を実行するように構成される:
前記1つ又は複数の顕微鏡画像において、複数の要素を、前記所定の実体の候補であるとして特定する処理;及び
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する処理であって、前記抽出する処理は、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、閾値を超える前記所定の実体である確率を有する、指標の複数の候補を抽出する処理である
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは以下の処理を実行するように構成される:
前記1つ又は複数の顕微鏡画像において、複数の要素を、前記所定の実体の候補であるとして特定する処理;及び
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する処理であって、前記抽出する処理は、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、前記所定の実体である前記候補の可能性の指標を抽出する処理である
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記顕微鏡システムは、染料によって染色された身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得することによって、前記身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得するように構成され、かつ
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーが、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記染料による前記身体試料の染色の質を指標として、前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出することにより、全体として前記身体試料の特性を示す前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出するように構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーが、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記身体試料に存在する異物を指標として、前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出することにより、全体として前記身体試料の特性を示す前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出するように構成される
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンピュータープロセッサーが、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出するように構成され、
前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴は、前記身体試料に存在する赤血球のサイズ、前記身体試料中のハウエルジョリー小体の存在、前記身体試料中の血小板の濃度、前記身体試料中における網状赤血球の数と成熟赤血球の数との関連性、及び/又は前記身体試料中の網状赤血球の濃度を含む
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
身体試料を分析する方法であって、前記身体試料は、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、及び/又は主に赤血球を含む希釈した試料を含み、前記方法は以下の工程を包含する:
顕微鏡システムを用いて前記身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得する工程A;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを用いて、
前記1つ又は複数の顕微鏡画像中において、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定する工程Bであって、前記所定の実体は、血小板、白血球、異常白血球、循環性腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体、病原体、及び原虫病原体である、工程B;
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、前記所定の実体の候補と関連する、少なくとも1つの候補として情報価値の高い特徴を抽出する工程C;
前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する工程D;
前記候補として情報価値の高い特徴を、前記試料として情報価値の高い特徴と組合わせて処理することにより、前記要素が前記所定の実体である可能性を判定する工程E;及び
それに少なくとも部分的に応じて、前記身体試料における血球数の測定を実行する工程E
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前項工程Cは、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記候補に関連する少なくとも1つの候補として情報価値の高い特徴を抽出する工程を包含し、
前記候補として情報価値の高い特徴は、前記候補のサイズ、前記候補の形状、前記候補の動作、前記候補の強度、前記身体試料中の前記候補の位置、前記候補と重なり合う細胞の性質、前記候補の色、前記候補のテクスチャ、及び/又は前記候補の境界の鮮明度である
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記工程Dは、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する工程を包含し、
前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴は、前記身体試料中の非候補成分のサイズ、前記身体試料中の非候補成分の形状、前記身体試料中の非候補成分の強度、及び/又は前記身体試料中の所定の細胞型の細胞の量を含む
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記工程Bは、前記1つ又は複数の顕微鏡画像において、複数の要素を、前記所定の実体の候補であるとして特定する工程を含み、
前記工程Dは、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する工程であって、前記抽出する工程は、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、閾値を超える前記所定の実体である確率を有する、指標の複数の候補を抽出する工程を含む
請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記工程Bは、前記1つ又は複数の顕微鏡画像において、複数の要素を、前記所定の実体の候補であるとして特定する工程を含み、
前記工程Dは、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、全体として前記身体試料の特性を示す、少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する工程であって、前記抽出する工程は、前記1つ又は複数の顕微鏡画像から、前記所定の実体である前記候補の可能性の指標を抽出する工程を含む
請求個9に記載の方法。
【請求項14】
前記工程Aは、染料によって染色された身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得することによって、前記身体試料の1つ又は複数の顕微鏡画像を取得する工程を含み、かつ
前記工程Dは、前記1つまたは複数の顕微鏡画像から、前記染料による前記身体試料の染色の質を指標として、前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出することにより、全体として前記身体試料の特性を示す前記少なくとも1つの試料として情報価値の高い特徴を抽出する工程を含む
請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記工程Dにおいて、前記試料として情報価値の高い特徴は、前記身体試料に存在する異物を指標とする試料として情報価値の高い特徴、前記身体試料に存在する赤血球のサイズ、前記身体試料中のハウエルジョリー小体の存在、前記身体試料中の血小板の濃度、前記身体試料中における網状赤血球の数と成熟赤血球の数との関連性、及び/又は前記身体試料中の網状赤血球の濃度を含む
請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年9月17日に出願された、Eshelによる「Methods of detecting a pathogen in a bodily sample and system thereof」と題する米国特許仮出願第62/219,889号からの優先権を主張する。この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態の分野
本明細書で開示の主題のいくつかの用途は、一般に、身体試料中の実体の検出、特に、画像処理および分類を使った病原体の自動的検出に関する。
【背景技術】
【0003】
身体試料(例えば、血液試料)中の特定の病原性感染の検出の主な方法は、身体試料の顕微鏡検査、および病原体の存在および濃度の目視確認である。顕微鏡検査の前の染料または色素による身体試料の染色は、多くの場合、顕微鏡画像のコントラストを高め、特定の生物学的構造を有する細胞を視覚的に強調するために使用される。特に、いくつかの蛍光色素は、細胞中の核酸に親和性がある。適切な波長の蛍光により励起されると、核酸は蛍光を発する。したがって、顕微鏡下での検出のために、蛍光色素を使って、細胞の部分の差次染色が行われることもある。例えば、青色光で励起されると、DNAに結合した蛍光色素アクリジンオレンジは、緑色光を発光し、RNAに結合すると、赤色光を発光する。アナプラズマ・マジナーレ、ヘモバルトネラ属、トリパノソーマ類、プラスモジウム属菌種、バベシア属菌種などの血液病原体は全て、アクリジンオレンジで検出されてきた。
【0004】
病原体を検出する主な方法は、顕微鏡の明視野像による目視特定のままであるが、頻度はより少ないにしても、蛍光顕微鏡も同様に使用されてきた。しかし、両方のケースで、マニュアル特定による病原体の病原性感染の検出は、次の2つの主な欠点:多くの環境では(特に地方で)、試験を行う態勢が整っていないこと、および結果の精度が試料を検査する人の技能と試料中の病原体の量の両方に依存していること、が存在する。したがって、身体試料中の病原体の検出を自動化する試みを行った。
【発明の概要】
【0005】
本発明のいくつかの用途では、顕微鏡システムの顕微鏡を使って、身体試料(例えば、血液試料)の1つまたは複数の顕微鏡画像が取得される。コンピュータープロセッサーは、画像内で、少なくとも1つの要素を病原体候補(すなわち、病原体であり得、したがって、病原体としての候補であることを示す特性を示す、試料内の構成要素)として特定する。例えば、画像は、試料内でDNAおよび/またはRNAを染色するように構成されている染料または色素により試料が染色されている間に、取得された血液試料の画像であってよく、またコンピュータープロセッサーは、画像中の染色した要素(例えば、蛍光を発している要素)を検出することにより候補を特定し得る。コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴および少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出する。候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料の病原性感染症に感染している可能性を分類する。分類に対応した出力は通常、出力装置上に生成される。
【0006】
いくつかの用途に対しては、候補としての情報価値の高い特徴に対応して、コンピュータープロセッサーは、病原体候補の病原体としての可能性を分類する、第1の分類を実施する。第1の分類に対応して、試料としての情報価値の高い特徴を組み合わせて、コンピュータープロセッサーは、身体試料が病原性感染を含む可能性を分類する、第2の分類を実施する。いくつかの用途に対しては、第1の分類(ここでは、病原体候補の病原体としての可能性が分類される)が、試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて、候補としての情報価値の高い特徴に対応して実施される。いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料中の病原性感染を所定の種類の病原性感染(例えば、マラリア原虫、マラリア原虫の所定の菌株、および/または所定の成熟度または成熟範囲のマラリア原虫)として分類する。
【0007】
いくつかの用途に対しては、候補としての情報価値の高い特徴は、病原体候補のサイズ(例えば、寸法、長さ、円周、最小幅、最大幅、面積、および/または他の候補または実体に対する候補の相対サイズ)、病原体候補の形状、病原体候補の動き、病原体候補の強度、病原体候補の身体試料内の位置(他の候補または実体に対する候補の近接度、隣接、および/または重なりを含む)、病原体候補と重なり合う細胞の性質、病原体候補の色(強度および染色パターンを含む)、病原体候補のテクスチャ(例えば、輪郭)、および/または病原体候補の境界の鮮明度を含む。候補としての情報価値の高い特徴のさらなる非限定的例は、例えば、Bacheletによる米国特許出願公開第2012/0169863号、および/またはPollakによる米国特許出願公開第2015/0037806号に記載されている。これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0008】
いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴は、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分のサイズ、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分の形状、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分の強度、身体試料中の所定の細胞型の細胞量、身体試料中の所定の細胞型の細胞の分布、および/または身体試料中の病原体候補の分布を含む。
【0009】
したがって、本発明のいくつかの用途では、次記を含む装置が提供される:
1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム;
出力装置;および
次記を行うように構成された少なくとも1つのコンピュータープロセッサー;
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を病原体候補であるとして特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を、試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料の病原性感染症に感染している可能性を分類すること、および
それに対応した出力を出力装置上に生成すること。
【0010】
いくつかの用途では:
顕微鏡システムは、染料で染色されている身体試料の1つまたは複数の顕微鏡画像を取得するように構成され、および、
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、少なくとも1つの要素が染色されていることを特定して少なくとも1つの要素を病原体候補として特定することにより、少なくとも1つの要素を病原体候補として特定するように構成される。
【0011】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、次記を行うことにより、候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理するように構成される:
候補としての情報価値の高い特徴に対応して、病原体候補の病原体としての可能性を分類する、第1の分類を実施すること、および
第1の分類に対応して、試料としての情報価値の高い特徴を組み合わせて、身体試料が病原性感染を含む可能性を分類する、第2の分類を実施すること。
【0012】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、次記を行うことにより、候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理するように構成される:
候補としての情報価値の高い特徴に対応して、試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて、病原体候補の病原体としての可能性を分類する、第1の分類を実施すること、および
第1の分類に少なくとも部分的に対応して、身体試料が病原性感染を含む可能性を分類する、第2の分類を実施すること。
【0013】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、病原体候補のサイズ、病原体候補の形状、病原体候補の動き、病原体候補の強度、身体試料中の病原体候補の位置、病原体候補と重なり合う細胞の性質、病原体候補の色、病原体候補のテクスチャ、および病原体候補の境界の鮮明度からなる群より選択される特徴であり、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出することにより、1つまたは複数の画像から少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出するように構成される。
【0014】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分のサイズ、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分の形状、身体試料中の1つまたは複数の非病原体候補成分の強度、身体試料中の所定の細胞型の細胞の量、身体試料中の所定の細胞型の細胞の分布、および身体試料中の病原体候補の分布からなる群より選択される少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0015】
いくつかの用途では:
顕微鏡システムは、染料で染色されている身体試料の1つまたは複数の顕微鏡画像を取得することにより、身体試料の1つまたは複数の顕微鏡画像を取得するように構成され、および、
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、染料により身体試料の染色の品質を示す特徴を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0016】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料中に存在する異物を示す特徴を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0017】
いくつかの用途では、身体試料は、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料からなる群より選択される身体試料を含み、顕微鏡システムは選択身体試料の1つまたは複数の画像を取得するように構成される。
【0018】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中に存在する1つまたは複数の赤血球のサイズを抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0019】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中のハウエルジョリー小体の存在の指標を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0020】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中の血小板の濃度を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0021】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、候補に関連する網状赤血球の数と、候補に関連する成熟赤血球の数との関連性を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0022】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中の網状赤血球体の濃度を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。
【0023】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、身体試料内の網状赤血球体の濃度に基づいて、病原性感染の陽性判定の閾値を調節することにより、身体試料の病原性感染症に感染している可能性を分類するように構成される。
【0024】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、候補としての情報価値の高い特徴を、試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料中の病原性感染を1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類するように構成される。
【0025】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、病原性感染を、マラリア原虫、マラリア原虫の所定の菌株、所定の成熟度のマラリア原虫、および所定の成熟範囲のマラリア原虫からなる群より選択される1つまたは複数の病原体カテゴリーを含むとして分類することにより、身体試料中の病原性感染を1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類するように構成される。
【0026】
いくつかの用途では:
身体試料は、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料からなる群より選択される身体試料を含み;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、候補に関連する網状赤血球の数と、候補に関連する成熟赤血球の数との関連性を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成され;および
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、候補に関連する網状赤血球の数と、候補に関連する成熟赤血球の数との間の関連性に少なくとも部分的に基づいて、所定の種類の病原体を含むとして身体試料中の病原性感染を分類することにより、身体試料中の病原性感染を1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類するように構成される。
【0027】
いくつかの用途では:
身体試料は、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料からなる群より選択される身体試料を含み;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中の赤血球の形状を抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成され、および
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、身体試料中の赤血球の形状に少なくとも部分的に基づいて、身体試料中の病原性感染を所定の種類の病原性感染として分類することにより、身体試料中の病原性感染を所定の種類の病原体を含むとして分類するように構成される。
【0028】
いくつかの用途では:
身体試料は、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料からなる群より選択される身体試料を含み;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、身体試料中の赤血球のサイズを抽出することにより、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成され、および
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、身体試料中の赤血球のサイズに少なくとも部分的に基づいて、身体試料中の病原性感染を所定の種類の病原性感染として分類することにより、身体試料中の病原性感染を所定の種類の病原体を含むとして分類するように構成される。
【0029】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む方法がさらに提供される:
顕微鏡を使って、1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得すること;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを使って:
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を病原体候補であるとして特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料の病原性感染症に感染している可能性を分類すること;および
それに対応した出力を生成すること。
【0030】
本発明のいくつかの用途では、身体試料、出力装置、および1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システムと共に使用するためのコンピューターソフトウェア製品がさらに提供され、該コンピューターソフトウェア製品は、プログラム命令が保存されている非一時的コンピューター可読媒体を含み、該命令は、コンピューターにより読み取られる場合、コンピューターに次のステップを実行させる:1つまたは複数の画像で、少なくとも1つの要素を病原体候補であるとして特定するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、病原体候補に関連する特徴を抽出するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するステップ;候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料の病原性感染症に感染している可能性を分類するステップ;およびそれに対応した出力を出力装置上に生成するステップ。
【0031】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む装置がさらに提供される:
1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム;
出力装置;および
次記を行うように構成された少なくとも1つのコンピュータープロセッサー:
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
抽出した試料としての情報価値の高い特徴に少なくとも部分的に基づいて、
試料キャリア中に配置された身体試料に関連する欠陥が存在することを特定すること、および
欠陥源を分類すること、および
それに対応した、欠陥源を示す出力を出力装置上に生成すること。
【0032】
いくつかの用途では、少なくとも1つのコンピュータープロセッサーは、発生源を、試料キャリア、試料キャリアの所定の部分、身体試料、および試料を希釈した希釈剤からなる群より選択される少なくとも1つの発生源であるとして分類することにより、欠陥源を分類するように構成される。
【0033】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む方法がさらに提供される:
顕微鏡を使って、試料キャリア中に配置された1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得すること;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを使って:
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
抽出した試料としての情報価値の高い特徴に少なくとも部分的に基づいて、
試料キャリア中に配置された身体試料に関連する欠陥が存在することを特定すること、および
欠陥源を分類すること、および
それに対応した、欠陥源を示す出力を生成すること。
【0034】
本発明のいくつかの用途では、身体試料、出力装置、および1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システムと共に使用するためのコンピューターソフトウェア製品がさらに提供され、該コンピューターソフトウェア製品は、プログラム命令が保存されている非一時的コンピューター可読媒体を含み、該命令は、コンピューターにより読み取られる場合、コンピューターに次のステップを実行させる:1つまたは複数の画像から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するステップ;抽出した試料としての情報価値の高い特徴に少なくとも部分的に基づいて、試料キャリア中に配置された身体試料に関連する欠陥が存在することを特定し、欠陥源を分類するステップ;およびそれに対応した、欠陥源を示す出力を出力装置上に生成するステップ。
【0035】
本発明のいくつかの用途では、身体試料を分類する装置がさらに提供され、該装置は、次記を含む:
1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム;
出力装置;および
次記を行うように構成された少なくとも1つのコンピュータープロセッサー;
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、特定した要素に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理すること、および
それに対応した出力を出力装置に生成すること。
【0036】
いくつかの用途では、身体試料は、血液を含む試料を含み、コンピュータープロセッサーは、少なくとも1つの要素を血液中の所定の実体の候補であるとして特定することにより、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定するように構成される。
【0037】
いくつかの用途では、コンピュータープロセッサーは、少なくとも1つの要素を病原体候補として特定することにより、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定するように構成される。
【0038】
本発明のいくつかの用途では、身体試料を分類する方法がさらに提供され、該方法は、次記を含む:
顕微鏡を使って、1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得すること;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを使って:
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、特定した要素に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理すること、および
それに対応した出力を生成すること。
【0039】
いくつかの用途では、身体試料は、血液を含む試料を含み、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補として特定することは、少なくとも1つの要素を血液中の所定の実体の候補として特定することを含む。
【0040】
いくつかの用途では、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定することは、少なくとも1つの要素を病原体候補として特定することを含む。
【0041】
本発明のいくつかの用途では、身体試料、出力装置、および1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システムと共に使用するためのコンピューターソフトウェア製品がさらに提供され、該コンピューターソフトウェア製品は、プログラム命令が保存されている非一時的コンピューター可読媒体を含み、該命令は、コンピューターにより読み取られる場合、コンピューターに次のステップを実行させる:1つまたは複数の画像で、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、特定した要素に関連する特徴を抽出するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するステップ;候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理するステップ;およびそれに対応した出力を出力装置上に生成するステップ。
【0042】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む装置がさらに提供される:
1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム;
出力装置;および
次記を行うように構成された少なくとも1つのコンピュータープロセッサー;
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を所定の実体の候補として特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理すること、および
それに対応して、次記からなる群より選択される動作を行うこと:身体試料中の感染の存在を、十分な信頼度で決定し得ないことを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料は、再撮像する必要があることを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料は異なる設定を使って再撮像する必要があることを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料の再撮像をするように顕微鏡システムを操作すること、異なる設定を使って一部の試料の再撮像をするように顕微鏡システムを操作すること、および顕微鏡システムが顕微鏡画像を取得するフレームレートを調節すること。
【0043】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む方法がさらに提供される:
顕微鏡を使って、1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得すること;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを使って:
1つまたは複数の画像中の少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出すること、
1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理すること、および
それに対応して、次記からなる群より選択される動作を行うこと:身体試料中の感染の存在を、十分な信頼度で決定し得ないことを示す出力を生成すること、一部の試料は、再撮像する必要があることを示す出力を生成すること、一部の試料は異なる設定を使って再撮像する必要があることを示す出力を生成すること、一部の試料の再撮像をするように顕微鏡を操作すること、異なる設定を使って一部の試料の再撮像をするように顕微鏡を操作すること、および顕微鏡により顕微鏡画像を取得するフレームレートを調節すること。
【0044】
本発明のいくつかの用途では、身体試料、出力装置、および1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システムと共に使用するためのコンピューターソフトウェア製品がさらに提供され、該コンピューターソフトウェア製品は、プログラム命令が保存されている非一時的コンピューター可読媒体を含み、該命令は、コンピューターにより読み取られる場合、コンピューターに次のステップを実行させる:1つまたは複数の画像で、少なくとも1つの要素を所定の実体の候補であるとして特定するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出するステップ;1つまたは複数の画像から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するステップ;候補としての情報価値の高い特徴を試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理するステップ;およびそれに対応して、次記からなる群より選択される動作を行うステップ:身体試料中の感染の存在を、十分な信頼度で決定し得ないことを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料は、再撮像する必要があることを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料は異なる設定を使って再撮像する必要があることを示す出力を出力装置上に生成すること、一部の試料の再撮像をするように顕微鏡システムを操作すること、異なる設定を使って一部の試料の再撮像をするように顕微鏡システムを操作すること、および顕微鏡システムが顕微鏡画像を取得するフレームレートを調節すること。
【0045】
本発明のいくつかの用途では、次記を含む装置がさらに提供される:
1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システム;
出力装置;および
次記を行うように構成された少なくとも1つのコンピュータープロセッサー;
画像セットの1つまたは複数の画像中で、要素を1つまたは複数の所定の実体の候補として特定すること、
1つまたは複数の画像から、候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴から、2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い、身体試料に関連する特徴を抽出すること、
2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い特徴を処理することにより、身体試料の特性を決定すること、および
それに対応した出力を生成すること。
【0046】
いくつかの用途では、身体試料は、血液を含む身体試料を含み、コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、血液中の病原体候補に関連する特徴を抽出し、1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、血液中の血小板に関連する特徴を抽出することにより、候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出するように構成される。
【0047】
いくつかの用途では、身体試料は、血液を含む身体試料を含み、コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、血液中の病原体候補に関連する特徴を抽出し、1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、血液中の網状赤血球に関連する特徴を抽出することにより、候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出するように構成される。
【0048】
いくつかの用途では:
身体試料は、血液を含む身体試料を含み、
コンピュータープロセッサーは、要素を病原体候補として特定することにより、画像セットの1つまたは複数の画像中で、要素を1つまたは複数の所定の実体の候補として特定するように構成され、および
コンピュータープロセッサーは、候補としての情報価値の高い特徴から、試料中の病原体候補の数、試料中の病原体候補の種類、バックグラウンド輝度に対する候補の輝度、候補の病原体である確率、閾値を超える病原体である確率を有する候補の数、閾値を超える所定の種類の病原体である確率を有する候補の数、試料中の血小板の数、血小板の輝度、試料中の網状赤血球の数、試料中の病原体に感染した網状赤血球の数、候補の赤血球への近接度、および試料中の赤血球の数、からなる群より選択される2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い特徴を抽出することにより、候補としての情報価値の高い特徴から、2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い、身体試料に関連する特徴を抽出するように構成される。
【0049】
本発明のいくつかの用途では、身体試料を分類する方法がさらに提供され、該方法は、次記を含む:
顕微鏡を使って、身体試料の1組の顕微鏡画像を取得すること;
少なくとも1つのコンピュータープロセッサーを使って:
画像セットの1つまたは複数の画像中で、要素を1つまたは複数の所定の実体の候補として特定すること、
1つまたは複数の画像から、候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出すること、
候補としての情報価値の高い特徴から、2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い、身体試料に関連する特徴を抽出すること、
該2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い特徴を処理することにより、身体試料の特性を決定すること、および
それに対応した出力を生成すること。
【0050】
本発明のいくつかの用途では、身体試料、出力装置、および1つまたは複数の身体試料の顕微鏡画像を取得するように構成された顕微鏡システムと共に使用するためのコンピューターソフトウェア製品がさらに提供され、該コンピューターソフトウェア製品は、プログラム命令が保存されている非一時的コンピューター可読媒体を含み、該命令は、コンピューターにより読み取られる場合、コンピューターに次のステップを実行させる:画像セットの1つまたは複数の画像中で、要素を1つまたは複数の所定の実体の候補であるとして特定するステップ;1つまたは複数の画像から候補としての情報価値の高い、候補に関連する特徴を抽出するステップ;候補としての情報価値の高い特徴から2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い、身体試料に関連する特徴を抽出するステップ;2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い特徴を処理することにより、身体試料の特性を決定するステップ;およびそれに対応した出力を出力装置上に生成するステップ。
【0051】
本発明は、下記の図面と合わせた、次記のより詳細な実施形態の記載から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】本発明のいくつかの用途による一般化した病原体検出システムの機能図である。
【
図2】本発明のいくつかの用途による一般化した実施ステップのフローチャートである。
【
図3】本発明のいくつかの用途による解析される画像情報の非限定的例である。
【
図4】本発明のいくつかの用途によるRNA染色領域およびDNA染色領域の相対位置の非限定的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1を参照すると、これは、本発明のいくつかの用途による病原体検出システム10の機能図である。病原体検出システム10は、記憶装置30に、例えば、コミュニケーションバス31により、動作可能に接続されたプロセッサー28を含む。特定の実施形態では、病原体検出システム100は、所望により顕微鏡システム11を含め得るか、または顕微鏡システム11に動作可能に接続され得る。顕微鏡システム11は通常、撮像モジュール14、合焦変動モジュール16、試料キャリア18および自動焦点システム20を含むデジタル顕微鏡である。いくつかの用途に対しては、顕微鏡システム11は通常、Greenfieldによる米国特許出願公開第2014/0347459号に記載の顕微鏡システムに類似である。この特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
通常、撮像モジュール14は、光学ユニット22および画像センサーユニット24を含む。光学ユニット22は、焦点面36と画像平面を共役させることにより、身体試料12(例えば、血液試料)の拡大画像を形成するように構成される。画像センサーユニット24は通常、画像センサー、例えば、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、および/または拡大画像を検知するように光学ユニット22の画像平面中に配置されたマトリックスセンサーを含む。
【0055】
コンピュータープロセッサー28は通常、画像を受け取り、処理する。コンピュータープロセッサーは記憶装置30と通信し、画像は記憶装置を介してプロセッサーにより受け取られる。ユーザーインターフェース32を介して、使用者(例えば、検査室技術者)はコンピュータープロセッサーに命令を送る。いくつかの用途に対しては、ユーザーインターフェースには、キーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン装置(例えば、スマートフォンまたはタブレットコンピューター)、タッチパッド、トラックボール、音声操作インターフェース、および/または当技術分野で既知の他のタイプのユーザーインターフェースが含まれる。通常、コンピュータープロセッサーは、出力装置34を介して出力を生成する。さらに典型的には、出力装置は、モニターなどのディスプレイを含み、出力はディスプレイ上に表示される出力を含む。いくつかの用途に対しては、プロセッサーは、様々な種類の目視、テキスト、グラフィックス、 触知、音声、および/またはビデオ出力装置、例えば、スピーカー、ヘッドフォン、スマートフォン、またはタブレットコンピューター上に出力を生成する。いくつかの用途に対しては、ユーザーインターフェース32は、入力インターフェースおよび出力インターフェースの両方として機能、すなわち、入力/出力インターフェースとして機能する。いくつかの用途に対しては、プロセッサーは、ディスク、または携帯型USBドライブなどのコンピューター可読媒体(例えば、非一時的コンピューター可読媒体)上に、出力を生成するか、および/または印刷機上に出力を生成する。
【0056】
特定の実施形態では、顕微鏡システム11は、顕微鏡システム11の少なくとも一部のプロセス、例えば、画像取得および/または病原体検出システム10の他の構成要素および病原体検出システム10の外部の構成要素を含む他の構成要素との通信を制御するローカルプロセッサーを含み得る。特定のその他の実施形態では、プロセッサー28は、顕微鏡システム11の1つまたは複数の、例えば、画像取得および/または通信を含むプロセスを制御し得る。必要に応じて、病原体検出システム10は、複数のデジタル顕微鏡を含み得る、またはそれに動作可能に接続され得る。必要に応じて、複数のデジタル顕微鏡中のそれぞれのデジタル顕微鏡は、それ自体のローカルプロセッサーを有する。
【0057】
特定の実施形態では、
図2を参照して以下で詳述されるように、記憶装置30は、画像情報、プログラムデータおよび/または身体試料中の病原体検出用実行可能プログラム命令を保存するように構成され得る。記憶装置30は、例えば、揮発性記憶装置または不揮発性記憶装置であり得る。特定の実施形態では、記憶装置30は、不揮発性記憶装置、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリー、などである。
【0058】
いくつかの用途に対しては、顕微鏡システム11は、1つまたは複数の身体試料の高倍率デジタル画像を取得するように構成される。必要に応じて、1つまたは複数のデジタル画像には、身体試料の異なる部分を含む画像が挙げられる。必要に応じて、画像は重なり合わない(または5%未満だけ、または1%未満だけ重なり合う)。必要に応じて、画像は、重なり合い画像を含み、異なる焦点深度、および/または異なる照明条件で取得される。必要に応じて、1つまたは複数のデジタル画像は、重なり合わない(または5%未満または1%未満だけ重なり合う)画像のセットを含むがそれぞれのセットは、異なる照明条件で取得された別のセットの画像を含む。特定の実施形態では、顕微鏡システム11は、以下でさらに詳述されるように、例えば、明視野、青色光、および紫外線を含む複数の照明条件下で画像を取得するように構成される。
【0059】
いくつかの用途では、身体試料12(例えば、血液試料)は、身体試料の複数の部分が撮像されるように、顕微鏡システムにより走査される。いくつかの用途に対しては、身体試料の1つまたは複数の部分から複数の画像が取得され、それぞれの複数の画像は、それぞれの撮像条件下で取得される。例えば、身体試料の部分の2つの画像は、それぞれ、細胞の検出を可能とする撮像条件(例えば、明視野)および染色物の可視化を可能とする撮像条件(例えば、適切な蛍光照射)を使って取得され得る。
【0060】
画像センサーユニット24は、取得デジタル画像を出力装置34(ディスプレイを含み得る)および/または自動焦点システム20に出力し得る。合焦変動モジュール16は、光学ユニット22の焦点面36と試料キャリア18との間の距離を変えるように構成し得る。合焦変動モジュール16は、例えば、試料キャリア18の位置を光学ユニット22の光軸Zに沿って変更し得る、メカニカルインターフェースを介して、マニュアルで、または自動的に操作され得る。あるいはまたはさらに追加して、合焦変動モジュール16は、自動焦点システム20により命令され得る。例えば、合焦変動モジュール16は、(1)光学ユニット22の位置を光軸Zに沿って変更することにより、(2)試料キャリア18の位置を光軸Zの位置に沿って変更することにより(例えば、試料キャリアが置かれているステージを動かすことにより)、(3)焦点面の位置を変更することにより、例えば、光学ユニット22の焦点距離を変えることにより、またはこれらの組み合わせにより、試料キャリア18と焦点面の間の距離を変え得る。
【0061】
試料キャリア18は、プレートを含み得る。試料キャリア18は、身体試料12を収容するように構成され得る。キャリアは、生物試料を保持するために当該技術分野において既知の任意のキャリアであってよい。必要に応じて、キャリアの底面は、相互接触状態の細胞が顕微鏡の焦点面からほぼ同じ距離になるのを可能とするように、実質的に平坦である。例には、キャリアスライド、検査室容器、ディッシュ、プレート、マルチウェルプレート、試験チューブ(例えば、平底を有する)、マイクロ流体セル、カートリッジなどが挙げられる。
【0062】
自動焦点システム20は、自動焦点計算モジュール38および自動焦点適応モジュール39を含み得る。自動焦点計算モジュールは、撮像モジュール14により取得された画像を受け取るように、画像センサーユニット24に接続し得る。自動焦点適応モジュールは、合焦変動モジュール16に接続し得、例えば、上述のように、合焦変動モジュール16に命令するように構成され得る。
【0063】
いくつかの用途に対しては、プロセッサー28は、1つまたは複数の機能モジュール、例えば、特徴抽出モジュール、候補分類器、試料分類器、および診断モジュールなどを含む。いくつかの用途に対しては、プロセッサー28は、画像情報中に含まれる特徴を抽出することにより、画像情報を処理するように構成される。通常、プロセッサーは、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴および少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴を抽出するように構成される。いくつかの用途に対しては、以降でさらに詳述されるように、プロセッサーは、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を処理してコンテキスト情報を得るように、および少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴を処理して候補データを得るようにさらに構成される。
【0064】
通常、プロセッサーは、少なくとも部分的に少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴に基づいて、候補(すなわち、病原体であり得、したがって、病原体の候補であることを示す特性を示す試料中の構成要素)が病原体である可能性を分類するように構成される。さらに通常は、プロセッサーは、少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴を、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、身体試料が病原性感染症に感染している可能性を分類するように構成される。
【0065】
いくつかの用途に対しては、プロセッサーは、分類および/または機械学習アルゴリズム、例えば、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、単純ベイズアルゴリズム、などを使って、候補が病原体である可能性を分類するように、および/または試料が病原性感染症に感染している可能性を分類するようにプログラムされる。プロセッサーにより使用できる分類および/または機械学習アルゴリズムの種類の追加の例は、Bacheletによる米国特許出願公開第2012/0169863号、および/またはPollakによる米国特許出願公開第2015/0037806号に記載されている。これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、身体試料の分析での使用に先立って、身体試料の訓練画像を使って訓練される。
【0066】
いくつかの用途に対しては、身体試料が病原性感染症に感染していることが分かっている場合は(または身体試料が病原性感染症に感染している可能性が閾値を超えることが分かっている場合は)、コンピュータープロセッサーは、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴に少なくとも基づいて、病原性感染症についての診断情報を抽出するようにさらに構成される。
【0067】
本明細書で開示の主題の教示は、
図1に関連して記載された特定の病原体検出システムに限定されるものではないことに留意されたい。等価および/または修正機能を別の方法に統合または分割でき、ソフトウェア、ファームウェアおよびハードウェアの任意の適切な組み合わせに実装することができる。プロセッサーは、適切にプログラムされたコンピューターとして実装することができる。
【0068】
図2を参照すると、これは、本発明のいくつかの用途による、身体試料(例えば、血液試料)中の病原性感染の検出方法の一般化したフローチャートを示す。
【0069】
第1のステップ200では、身体試料の1つまたは複数の画像が顕微鏡システム11により取得される。1つまたは複数の画像、1つまたは複数の画像の情報を与えてくれるデータ、または1つまたは複数の画像に由来するデータ(本明細書においては、まとめて、「画像情報」と称する)が通常、記憶装置30に保存される。その後、本明細書の以降でさらに詳細に記載されるように、画像情報はプロセッサー28により解析される。本出願では、コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像からの特徴の抽出として記載されることに留意されたい。この用語は、1つまたは複数の画像の情報を与えてくれるデータ、または1つまたは複数の画像由来のデータから特徴を抽出することを含むとして解釈されるべきであり、1つまたは複数の画像それら自体から直接に特徴を抽出することに限定されると解釈されるべきではない。
【0070】
いくつかの用途に対しては、画像情報は、情報を与えてくれる試料の少なくとも1つの高倍率顕微鏡像である。あるいはまたはさらに追加して、画像情報は、例えば、試料の異なる部分の画像、異なる焦点深度でおよび/または異なる照明条件で、および/または異なる時間に取得した試料の同じ部分の画像を含む、情報を与えてくれる複数の画像である。
【0071】
身体試料は、任意の生きている動物由来であってよいが、温血動物由来であるのが好ましい。通常、身体試料は血液試料である。試料は、1つまたは複数の赤血球を含む、任意の血液試料またはその一部であり得る。場合により、試料は、主に赤血球を含む(すなわち、試料中の大部分の細胞(例えば、細胞の少なくとも60%)は赤血球である)。必要に応じて、試料はまた、血小板および白血球の内の少なくとも1種を含む。必要に応じて、血液試料は希釈される。必要に応じて希釈が行われるか、またはそれ以外の試料は、撮像される表面上の細胞の濃度が平方ミリ当たり3,000~30,000個の細胞(例えば、赤血球)となるように調製される。必要に応じて、血液試料は染色溶液で希釈される。
【0072】
必要に応じて、試料または染色溶液は、1つまたは複数の好適する色素または染料(必要に応じて、1種または複数の蛍光色素を含む)を含む。いくつかの実施形態では、血液試料は、全血試料、赤血球試料、軟膜試料、血漿試料、血清試料、いずれか他の血液画分由来の試料、またはこれらの任意の組み合わせから選択される。
【0073】
必要に応じて、試料は試料キャリア18の表面上に単一層を形成する。本開示においては、細胞の単一層に言及する場合、少なくとも50%(時には、少なくとも60%、70%、80%あるいは90%)の細胞がキャリアの底表面と直接接触しており、20%以下(時には、10%以下あるいは5%以下)の細胞が相互に重ね合わさっている(すなわち、上述の%以下の細胞が、部分的にまたは完全に相互の上に位置する)、実質的に単層としての表面上の細胞分布を包含すると理解されたい。さらに、単一層に言及する場合、少なくとも5%(時には、少なくとも10%あるいは少なくとも20%)の細胞が底面上で相互に接触していることを理解されたい。いくつかの用途に対しては、単一層は、Pollakによる米国特許出願公開第9,329,129号に記載の技術により、形成される。この特許は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
いくつかの用途に対しては、撮像の前に、身体試料は1つまたは複数の好適な色素または染料で染色される。必要に応じて、1種または複数の好適な色素または染料は、1種または複数の蛍光色素または染料を含み、染色試料は、1つまたは複数の病原体の検出に好適な照明条件で励起される。本明細書で使用される場合、「好適な色素または染料」という用語は、目的の病原体の検出に有用な、任意の好適な蛍光色素または染料を含む任意の色素または染料を含むように広く解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「好適な蛍光色素または染料」は、1つまたは複数の種類の核酸(例えば、DNAのみ、RNAのみ、DNAとRNAの両方、など)に選択的に結合でき、1つまたは複数の特定の照明条件下で蛍光を発し、それにより、身体試料中の1つまたは複数の種類の核酸を識別可能とする色素または染料を含むように広く解釈されるべきである。好適な蛍光色素または染料には、例えば、DNAに結合するがRNAに結合しない色素または染料、RNAに結合するがDNAに結合しない色素または染料、およびDNAとRNAの両方に結合する色素または染料を含み得る。好適な蛍光色素または染料の非限定的例には、例えば、アクリジンオレンジ、ヘキスト染料、などが挙げられる。
【0075】
特定の好適な蛍光色素または染料に蛍光を発光させる特定の照明条件は、本明細書においては「好適な照明条件」と呼ばれ、これは、特定の蛍光色素または染料を励起するために使用する場合、蛍光色素または染料の蛍光を発光させる照明条件を含むように広く解釈されるべきである。特定の実施形態では、励起された色素または染料により発光される蛍光は、所定の波長帯内の蛍光を識別可能にする1つまたは複数の異なる光フィルターの使用により識別可能であり得る。したがって、このようなフィルターを考慮して、好適な照明条件を使用し得る。好適な照明条件の非限定的例には、例えば、明視野、青色光、および紫外線が含まれる。好適な蛍光色素または染料および好適な照明条件の追加の非限定的例は、Bacheletによる米国特許出願公開第2012/0169863号、およびPollakによる米国特許出願公開第2015/0037806号に記載されている。これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
上記で詳述したように、特定の実施形態では、試料は、試料中のRNAとDNAの間で区別を可能とする1つまたは複数の色素または染料で染色し得る(すなわち、分染)。分染は、例えば、1つまたは複数の標的特異的色素または染料で試料を染色することにより達成できる。本明細書で使用される場合、標的特異的色素または染料(例えば、RNA特異的またはDNA特異的)は、選択条件下で、その他の細胞成分の存在下で検出し得るように、標的部分を検出可能に染色する色素または染料である。これに関して、標的を検出可能に染色することは、色素または染料が標的にその他の細胞成分より高い親和性で結合すること、および/またはそれが標的と結合した場合、より強力なシグナル(例えば、蛍光)を与えることを意味し得る。いくつかの色素または染料は、2つ以上の標的を染色し得るが、例えば、発光蛍光の波長、および/または色素または染料の励起に使用される波長に基づいて区別し得ることを留意されたい。いくつかの実施形態では、標的特異的色素または染料は、標的に結合時に、その発光波長を元の周波数帯からシフト周波数帯に移動させる蛍光色素または染料である。このような場合には、標的はシフト周波数帯中の発光波長を検出するように構成されたシステムにより検出され得る。
【0077】
実施例1に関連して下記で詳述のように、分染を使ってDNAおよびRNAの相対的位置を決定し得る。必要に応じて、単一色素または染料(例えば、アクリジンオレンジ)を異なる照明条件下で使用して、分染を提供し得る。必要に応じて、任意の核酸(DNAおよびRNA)を検出するように構成された、1つまたは複数のDNA特異的色素または染料(例えば、ヘキスト試薬)および1つまたは複数のその他の色素または染料(例えば、アクリジンオレンジ)を含む、色素または染料の組み合わせが使用される。
【0078】
いくつかの用途に対しては、画像情報は、情報を与えてくれる身体試料の1つまたは複数の視野である。本明細書で使用される場合、「視野」は、身体試料の撮像される一部である。通常、これは、試料を保持する試料キャリアの底部の領域に対応する。画像が高倍率で取得される場合、一回で、全体血液試料の一部のみが撮像できる。したがって、病原体検出システム10は、撮像領域を実質上複数の視野に再分割し、それぞれの視野は別々に撮像され、それにより、情報を与えてくれる身体試料の複数の画像、それぞれの視野の情報を与えてくれるそれぞれの画像が得られる。必要に応じて、撮像視野は重なり合わない、またはそれらの重複度は、領域の5%未満、もしくは1%未満である。特定の実施形態では、撮像されるそれぞれの視野は、1つまたは複数の異なる照明条件下で撮像される。必要に応じて、それぞれの視野の画像は、異なる照明条件で複数回取得される。例えば、視野は、RNA関連蛍光を検出する照明条件で少なくとも1回、DNA関連蛍光を検出する照明条件で少なくとも1回、および明視野で少なくとも1回、撮像され得る。
【0079】
図3を参照すると、これは、非限定的例であるが、本出願のいくつかの用途による、1つまたは複数の好適な蛍光色素で染色し、好適な照明条件下で励起した血液試料の視野からなる画像情報300を示す。観察されるように、色素(単一または複数)に起因して、構成要素302は蛍光を発し、それにより、試料中の他の非蛍光発光構成要素304(この場合、これは赤血球を含む)より明るく見え(または、いくつかの事例では、異なる色)、試料中の染色した領域の識別が可能となり、いくつかのその特徴は、試料中のいくつかの特定の細胞型の情報価値があり得る。
【0080】
特定の実施形態では、画像情報は、候補(すなわち、病原体であり得、従って、病原体の候補であることを示す特性を示す構成要素)および非候補を含む1つまたは複数の試料構成要素の情報を与えてくれる。いくつかの用途に対しては、試料が好適な蛍光色素または染料で染色され、例えば、Bacheletによる米国特許出願公開第2012/0169863号、および/またはPollakによる米国特許出願公開第2015/0037806号(これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の好適な照明条件により励起される場合、要素は、蛍光発光が現れている要素に基づいて候補として特定される。あるいはまたはさらに追加して、要素は、そのサイズ、形状、色、その他の要素に対する近接度などの他の判定基準に基づいて候補として特定され得る。本明細書で使用される場合、「非候補」という用語は、候補ではない試料の構成要素を含むように広く解釈されるべきである。
【0081】
図2を再度参照すると、ステップ201で、プロセッサー28は、1つまたは複数の画像から、画像情報から、および/またはそれらの一部から、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す、身体試料の1つまたは複数の試料としての情報価値の高い特徴を抽出する。通常、複数の試料としての情報価値の高い特徴が抽出される。本明細書で使用される場合、「試料としての情報価値の高い特徴」は、特定の候補を対象とせず、また、試料中の病原性感染の存在、可能性、または特性を決定するのに使用でき、いくつかの実施形態では、特定の候補の分類を含む、コンテキスト情報を提供するのに使用できる身体試料の特徴を含む。非限定的例であるが、試料としての情報価値の高い特徴には、例えば、試料中に非候補成分に関連する特徴、または試料中の所定の種類の細胞の量および/または分布に関連する特徴を挙げることができる。試料中の非候補成分に関連する特徴には、例えば、1つまたは複数の非候補のサイズ関連特性(予測サイズ、または1つまたは複数の他の細胞の観察サイズに比較した相対サイズを含む)、1つまたは複数の非候補の形状関連特性(予測形状、または1つまたは複数の他の要素の観察形状に比較した相対的形状を含む)、および1つまたは複数の非候補の強度関連特性(予測強度、または1つまたは複数の他の要素の観察強度に比較した相対的強度を含む)を挙げることができる。本明細書で使用される場合、「予測」値(例えば、サイズ、形状および/または強度の予測値)は、所定の試料に関する画像情報の分析に先立って既知であり得るような値である。このような値には、例えば、既知であるか、または、必要に応じて、特定の条件(例えば、高度、身体試料の処理、など)に応じて、計算できる(例えば、全ての人および/またはその任意のサブグループに対する、例えば、年齢、性別、人種、民族、などを基準に)母集団統計値が挙げられる。
【0082】
いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴には、試料またはその部分中の候補または病原体の分布に関連する特徴が含まれる。例えば、所定の画像(または画像の部分もしくは試料の連続部分を含む画像群)で見つかる候補または病原体の数が、同じ試料の他の部分で見つかる候補または病原体の数よりかなり高い場合には、これは、試料の一部で見つかる高濃度の候補または病原体が、試料の診断に影響を与えるべきではない局所効果の結果である可能性があることを示し得る。例えば、試料の1つの部分では存在するが他の部分では存在しない高濃度の候補または病原体(例えば、赤血球と重なり合う高濃度の候補)は、例えば、調査中の試料に入った別の試料からの血液の落下に由来する汚染を示す可能性がある。
【0083】
いくつかの用途に対しては、例えば、所定の判定基準(例えば、輝度、焦点、など)で測定して、いくつかの画像情報が不十分な品質であるかどうかを判断するために、前処理段階でステップ201の一部または全てが実施され、不十分な品質の場合には、画像情報のいくつかの部分がさらなる処理から排除され得る(例えば、実施例6に関連して後述するように)。
【0084】
ステップ202では、コンピュータープロセッサー28は、試料内の1つまたは複数の構成要素を病原体の候補として特定する。本明細書で上記したように、試料が好適な蛍光色素で染色され、例えば、Bacheletによる米国特許出願公開第2012/0169863号、および/またはPollakによる米国特許出願公開第2015/0037806号(これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の好適な照明条件により励起される場合、要素は、蛍光発光が現れている要素に基づいて候補として特定され得る。あるいはまたはさらに追加して、要素は、形状、サイズ、その他の要素(例えば、赤血球、またはその他の候補)に対する近接度などの他の判定基準に基づいて候補として特定され得る。
【0085】
ステップ203で、コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、画像情報から、および/またはそれらの一部から、1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、1つまたは複数の特定された候補に関連する特徴を抽出する。通常、それぞれの候補に対して、複数の候補としての情報価値の高い特徴が抽出される。本明細書で使用される場合、「候補としての情報価値の高い特徴」は、候補(または、いくつかの事例では、以下で詳述されるように、候補に極めて近接した構成要素)の、所定の候補が病原体または病原体の一部である可能性を決定する情報を提供するのに使用可能な特徴を含む。
【0086】
非限定的例であるが、候補としての情報価値の高い特徴は、次記に関連する特徴を含み得る:候補のサイズ、候補の形状、候補の動き(例えば、少なくとも2種の少なくとも部分的に重なり合う順々に取得された画像の比較に基づいて)、および/または候補の強度。
【0087】
いくつかの用途に対しては、候補としての情報価値の高い特徴は、候補のその他の試料成分(例えば、赤血球)に対する相対的位置を含む。あるいはまたはさらに追加して、候補としての情報価値の高い特徴は、少なくとも部分的に候補と重なり合う細胞(例えば、赤血球)の、性質(および、必要に応じて、重なり合いの量も)、例えば、候補と重なり合う細胞のサイズまたは形状を含む。いくつかの用途に対しては、候補と重なり合う細胞の寸法および形状に関連する特徴は、予測サイズまたは予測形状と比較した重なり合う細胞の相対的サイズおよび相対的形状を含む。本明細書で使用される場合、画像情報中で、少なくとも一部の細胞が、少なくとも一部(例えば、候補の少なくとも20%または少なくとも25%)の候補と同じ場所に配置されるように見えると、細胞は、候補と少なくとも部分的に重なり合うと見なされる。
【0088】
必要に応じて、候補としての情報価値の高い特徴は、候補に極めて近接して見つかる他の構成要素(例えば、病原体候補および/または病原体)の特徴を含み得る。これに関して、「極めて近接」は、任意の好適な尺度に従って、あらかじめ定義できる。例えば、候補に極めて近接している成分は、候補から最大2X離れた距離内に位置する成分を含み得る。ここで、Xは、予測(例えば、平均)赤血球の直径である。したがって、いくつかの実施形態では、候補としての情報価値の高い特徴(候補の特徴、候補と重なり合う細胞の特徴、および/またはその他の成分の特徴を含む)は、候補に近接した距離内の特徴を含み得るか、またはそのような特徴に限定され得る。
【0089】
いくつかの用途に対しては、画像情報またはその一部は、候補としての情報価値の高い特徴の抽出のために、前処理段階で、少なくとも部分的に処理される。特定の実施形態では、前処理段階は、試料としての情報価値の高い特徴を抽出してコンテキスト情報を得ること、および得られたコンテキスト情報に従って候補としての情報価値の高い特徴を抽出するために使用される画像情報を決定することを含み得る。いくつかの用途に対しては、候補としての情報価値の高い特徴を抽出するために使用される一部の画像情報および試料としての情報価値の高い特徴を抽出するために使用される一部の画像情報は、部分的にまたは完全に重なり合う。
【0090】
ステップ201、202および203は、任意の順序で実施できることに留意されたい。いくつかの用途では、ステップ201、202および203は、単一ステップとして実施されるおよび/または相互に組み合わせられる。いくつかの用途では、ステップ201、202および203の一部または全ては、複数の別々のステップとして実施される。
【0091】
通常、試料としての情報価値の高い特徴(単一または複数)と組み合わせた、候補としての情報価値の高い特徴(単一または複数)に基づいて、コンピュータープロセッサー28は、身体試料が病原性感染症に感染している可能性を分類する。いくつかの用途に対しては、病原性感染は、
図2に示す追加のステップを実装することにより検出される。
【0092】
いくつかの用途に対しては、少なくともいくつかの候補としての情報価値の高い特徴が抽出されると、ステップ205で、プロセッサー28は、それぞれの候補に対し得た候補データに従って、それぞれの候補が病原体である可能性を分類する。本明細書で使用される場合、「病原体である可能性」という用語は、2値判定(例えば、病原体または非病原体)またはスカラー判定(例えば、所定の候補が病原体であるという推定可能性を反映する数、値)を含むように広く解釈されるべきである。特定の実施形態では、プロセッサー28は、候補としての情報価値の高い特徴と組み合わせて、抽出した試料としての情報価値の高い特徴(例えば、ステップ201で抽出した特徴)を使って、それぞれの候補が病原体である可能性を分類する。これについては、例えば、実施例1および2に関連して、以降でさらに詳述される。これは、ステップ201をステップ205に連結する点線の矢印で示されており、ステップ201がステップ205への任意入力であることを示す。
【0093】
通常、候補分類(すなわち、ステップ205)の後に、ステップ207で、プロセッサー28は、身体試料が病原性感染症に感染している可能性を分類する。本明細書で使用される場合、「身体試料が感染している可能性」という用語は、2値判定(例えば、感染または非感染)またはスカラー判定(例えば、所定の試料が感染しているという推定可能性を反映する数、値)を含むように広く解釈されるべきである。いくつかの用途に対しては、プロセッサー28は、試料としての情報価値の高い特徴(ステップ201で抽出)と組み合わせて、候補(ステップ205で抽出)の分類に基づいて、試料を分類する。これについては、例えば、実施例1および3に関連して、以降でさらに詳述される。
【0094】
いくつかの用途に対しては、ステップ209で、プロセッサー28は、1つまたは複数の抽出した試料としての情報価値の高い特徴および/または候補としての情報価値の高い特徴に従って、病原性感染を、1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類する。
【0095】
病原性感染を1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類することは、ステップ201、203、205、および207の1つまたは複数のステップで得られた情報および/または特徴を使って、および/または1つまたは複数の特徴抽出および分類の追加のステップを実施することにより、実施し得る。いくつかの用途に対しては、病原性感染を分類するために、(a)候補が所定の種類の病原体として分類され、および(b)全体の病原性感染が個々の候補の分類に基づいて分類される。いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴が、個々の候補を所定の種類の病原体として分類するために、および/または全体の感染を所定の種類の病原体を含むとして分類するために、使用される。
【0096】
いくつかの用途に対しては、例えば、実施例4および5に関して以降でさらに詳述されるように、病原性感染を1つまたは複数の所定の種類の病原体を含むとして分類することは、例えば、試料中に含まれる病原体の種または菌株を決定するために病原性感染を分類することを含む。このような決定は病原体を単一の種もしくは菌株、またはいくつかの可能な種もしくは菌株の群に分類すること(これらの少なくとも1つは試料中に含まれる)、および/または所定の種または菌株を除外すること(試料中に含まれない種として)を含み得るまたはそれに限定し得る。いくつかの用途では、プロセッサー28は、病原性感染を1つまたは複数のマラリア原虫、マラリア原虫の所定の菌株、所定の成熟度のマラリア原虫、および/または所定の成熟範囲のマラリア原虫を含むとして分類する。
【0097】
いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、使用者に出力を生成し(例えば、出力装置に)、試料が病原体に感染しているか否かを示し、感染の分類を示す。いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーが、身体試料中の感染の存在は十分な信頼度で決定されない可能性があることを示す、一部の試料は再撮像の必要があることを示す、および/または一部の試料は異なる設定を使って(例えば、異なる照明を使って、異なる染料を使って、異なるまたは新しい試料調製法を使って、および/または異なる顕微鏡設定を使って)再撮像する必要があることを示す出力を生成する。いくつかの用途に対しては、身体試料中の感染の存在は、十分な信頼度で決定されない可能性があるという判断に対応して、コンピュータープロセッサーは、使用者は適切な使用者による対策をとる必要がある(例えば、新しい試料を調製する、および/または独自の方法を使って試料を試験する、など)ことを示す出力を生成する。あるいはまたはさらに追加して、コンピュータープロセッサーは、一部の試料を再撮像するように顕微鏡システムを自動的に操作する、異なる設定(例えば、異なる焦点、または異なる視野サイズ)を使って一部の試料を再撮像するように顕微鏡システムを操作する、および/または顕微鏡システムが顕微鏡画像を取得するフレームレートを調節する。
【0098】
いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴は、必ずしも画像から直接的に得られないことに留意されたい。例えば、試料としての情報価値の高い特徴は、試料中の候補および/またはその他の実体に関する統計情報またはその他の情報、および/または試料の一般的特性を含み得る。一般に、本出願の範囲は、試料を2つのレベルに関し分析することを含み、その1つ目は候補毎のレベル、および2つ目は全体として試料の特性を示す、より一般的なレベルである。
【0099】
いくつかの用途に対しては、候補レベルの特徴に基づいて、2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い、身体試料に関連する特徴が抽出され、身体試料の特性は、2つまたはそれを超える試料としての情報価値の高い特徴を処理することにより決定される。通常、少なくとも一部の候補は、病原体候補であり、病原体候補に関連する候補としての情報価値の高い特徴が抽出される。いくつかの用途に対しては、網状赤血球および/または血小板などの実体の候補が追加で特定され、これらの候補に関する候補としての情報価値の高い特徴が抽出される。いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴は、試料中の病原体候補の数、試料中の病原体候補の種類、バックグラウンド輝度に対する候補の輝度、候補の病原体である確率、閾値を超える病原体である確率を有する候補の数、閾値を超える所定の種類の病原体である確率を有する候補の数、試料中の血小板の数、血小板の輝度、試料中の網状赤血球の数、試料中の病原体に感染した網状赤血球の数、候補の赤血球に対する近接度、および/または試料中の赤血球の数、を含む。
【0100】
本明細書で開示の主題の実施形態では、
図2に示したものより少ない、多いおよび/またはそれとは異なる段階を実行し得る。本明細書で開示の主題の実施形態では、
図2に示した段階の1つまたは複数の段階を異なる順に実行し得、および/または1つまたは複数の段階群を同時に実行し得る。
【0101】
開示主題をさらによく理解するために、上記で詳述した本方法の特定の非限定的用途の詳細を示す多くの実施例を以降で提供する。
【0102】
実施例1:候補を分類するための、および/または病原性感染を分類するための、試料としての情報価値の高い特徴としての網状赤血球の濃度の使用
上記で詳述したように、特定の実施形態では、試料は、試料中のDNAおよびRNAのそれぞれの位置を識別するために染色される。このような染色としては、例えば、少なくとも1種のDNA特異的色素および少なくとも1種のRNA特異的色素の使用、または少なくとも1つの標的(DNAまたはRNA)特異的色素およびDNAおよびRNAの両方を染色する少なくとも1種の色素が挙げられる。いくつかの用途に対しては、候補が病原体である可能性を分類するために(ステップ205)、病原体の予測パターン(単一または複数)に対応する染色パターン(単一または複数)であるかどうかを判定するために、RNAおよびDNA染色の試料中のそれぞれの位置がプロセッサーにより使用される。
【0103】
図4は、候補400aおよび400bを模式的に示し、それぞれの候補は、RNAに対して染色された領域(RNA部分402)およびDNAに対し染色された領域(DNA部分404)を示す。RNA部分402およびDNA部分404は、それぞれの特定の染色領域の境界を識別するために、例えば、異なる色素および/または異なる照明を使って区別を付けて染色し得る。
図4に示すように、候補400aでは、DNA部分404は、RNA部分402と完全に重なり合うが、候補400bでは、DNA部分404は、RNA部分402に部分的に重なり合う。
【0104】
少なくとも部分的に重なり合ったDNAおよびRNAを有するように見える候補は、病原体である可能性がある。しかし、重なり合ったRNAおよびDNAの染色領域のこの外観は、例えば、異なる細胞型、または相互の上に位置するように見える2つの別の物(この内の1つはDNAを含み、もう一方はRNAを含む)を含む異なる実体または複数実体によっても引き起こされ得る。
【0105】
成熟赤血球は検出可能なDNAまたはRNAを有せず、したがって、核酸用として染色した場合、蛍光発光しない。対照的に、マラリア原虫トロホゾイト(病原体の1種)は赤血球中のDNA含有およびRNA含有物として検出し得る。したがって、いくつかの用途に対しては、病原体を含む赤血球を特定するために、DNAおよびRNAの両方を染色させる染色物質(例えば、アクリジンオレンジ)が使われる。あるいはまたはさらに追加して、DNAのみを染色する染料(例えば、ヘキスト染料)が使われる。
【0106】
ハウエルジョリー小体は、いくつかの不健康な状態の赤血球中で見つかり得るDNA含有物である。いくつかの事例では、試料中のハウエルジョリー小体の存在は、病原体感染の擬陽性判定の確率を高め得る。DNAおよびRNA両方を染色する染料と共にDNA特異的染料が使われる場合でも、ハウエルジョリー小体は病原体感染の擬陽性判定を生ずる場合がある。したがって、いくつかの実施形態では、ハウエルジョリー小体含有赤血球と、病原体含有赤血球との間の識別は有益であり得る。
【0107】
網状赤血球と呼ばれる若い赤血球が血液中で見つかることがある。これらの細胞は、RNA体のみを含む。赤血球中のハウエルジョリー小体の存在と、正常な量より多い網状赤血球との間の正の相関が知られている。したがって、いくつかの用途に対しては、試料としての情報価値の高い特徴は、血液試料中の網状赤血球の濃度を示す特徴を含む。(マラリア原虫感染もまた、患者の網状赤血球数を上昇させることに留意されたい。しかし、この増加(例えば、約5%の)は通常、高いハウエルジョリー小体数(約10倍の多さであり得る)を有する典型的な患者の増加より遥かに少ない。したがって、高網状赤血球数の判定の閾値は、ヒト(またはその所定の亜集団)の平均値より典型的にはわずかに高い)。
【0108】
高濃度の網状赤血球の特定に基づいて、病原体候補がハウエルジョリー小体である可能性が増加する。さらには、候補が病原体である可能性が減少し、試料が感染している可能性が減少する。したがって、いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、網状赤血球の濃度に基づいて、感染の陽性判定の閾値を調節する。例えば、同時に少ない寄生虫血(例えば、200未満の寄生生物/マイクロリットル血液)を有すると検出された多くの網状赤血球は、擬陽性の高い確率を示す(すなわち、試料は非感染である)と解釈し得る。
【0109】
あるいはまたはさらに追加して、網状赤血球の濃度に基づいて、候補が病原体である可能性を分類する(
図2のステップ205)ために、プロセッサーは、単純に赤血球中のDNAおよび/またはRNAの存在にではなく、所定の赤血球候補中のDNAおよび/またはRNAの相対位置に、より多くの重みを割り付ける。あるいはまたはさらに追加して、網状赤血球の濃度に基づいて、試料が感染している可能性を分類する(
図2のステップ207)ために、プロセッサーは、細胞内のマラリア原虫候補(これは、ハウエルジョリー小体である可能性がある)にではなく、細胞外のマラリア原虫候補に、より多くの重みを割り付ける。
【0110】
実施例2:候補を分類するための、試料としての情報価値の高い特徴としての、試料中の候補の分布の使用
試料中の候補は、均一に分布していると想定されている。したがって、いくつかの用途に対しては、予測均一分布とは大きく異なる試料中の候補の分布が試料としての情報価値の高い特徴として使用される。例えば、大きな候補クラスターが存在する場合、クラスターは、血液試料の一部ではなく、試料キャリアに関連する外来物であり得るか、または異なる感染試料が解析する試料を汚染した(例えば、試料キャリア上で隣接するチャンバーから溢れることにより)ことを示し得る。候補の不均一分布を検出したことに対応して、局在型クラスター内にある候補は、より低いスコアを与えられる(すなわち、それらは、病原体である可能性が低いとして分類され得る)可能性がある。例えば、試料としての情報価値の高い特徴が候補のクラスター形成を示す場合は、プロセッサーは、任意の所定の候補のクラスター中心(単一または複数)からの距離を候補分類用の特徴として使用し得る。
【0111】
実施例3:試料を感染しているとして分類するための、試料としての情報価値の高い特徴としての血小板濃度
血小板は通常、小さい細胞外RNA体として現れるが、いくつかの血小板は、試料が撮像される場合、それらは細胞の上または下に配置されるので、細胞と重なり合っているように見える場合がある。通常濃度の血小板は通常、150,000~400,000個の血小板/全血マイクロリットルである。
【0112】
血小板の濃度は、マラリア原虫感染、その重症度およびマラリア原虫の種、ならびにその他の無関係の条件(医学的状態、処置および薬物を含む)により影響を受け得ることが知られている。したがって、いくつかの用途に対しては、試料中の血小板の数および/または濃度が試料としての情報価値の高い特徴として使用され、また、例えば、試料が感染している可能性の分類における入力として使用し得る。
【0113】
実施例4:病原体の種の情報を与えてくれる、試料としての情報価値の高い特徴としての血小板濃度
実施例3に関連して述べたように、血小板の数および/または濃度は、病原体の特定の種と相関し得る。例えば、低血小板数は、三日熱マラリア原虫感染より極めて大きな程度で、熱帯熱マラリア原虫感染と相関することが示されている。いくつかの用途に対しては、
図2のステップ209に従って、血液試料中の血小板の数および/または濃度は、所定の種類の病原体を含むとしての病原性感染の分類のための入力として使用される。
【0114】
実施例5:試料としての情報価値の高い特徴としての赤血球サイズおよび形状
いくつかの病原体は感染細胞の形態を変化させる。例えば、いくつかの病原体(例えば、三日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫の比較的成熟したトロホゾイト)は、感染赤血球を、時には、非感染細胞の約2倍にまでの拡大を引き起こす。その他の病原体(例えば、四日熱マラリア原虫)は、感染赤血球のサイズを低減させる。さらに他の病原体(例えば、熱帯熱マラリア原虫)は、感染細胞を拡大することも、サイズを低減させることもない。いくつかの用途に対しては、血液試料中で感染していると思われる赤血球のサイズが、感染している試料を示す(例えば、
図2のステップ207)、および/または病原体の固有の性質を示す(例えば、
図2のステップ209)、試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0115】
例えば、三日熱マラリア原虫および/または卵形マラリア原虫に感染している血液試料は、大きく拡大された感染赤血球を含むことが予測される。他方で、四日熱マラリア原虫により感染した血液試料は、サイズが大きく縮小した感染赤血球を含むことが予測される。したがって、いくつかの用途に対しては、このような拡大および/または縮小細胞の検出が、感染している試料を示す(例えば、
図2のステップ207)、および/または病原体の固有の性質を示す(例えば、
図2のステップ209)、試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0116】
別の例では、卵形マラリア原虫は、感染赤血球を、丸く見える傾向がある非感染赤血球より楕円形にし得る。したがって、1つまたは複数の次の試料としての情報価値の高い特徴は、試料が感染しているおよび/または卵形マラリア原虫に感染していることを示すとして解釈され得る:試料中の楕円形赤血球の存在、楕円形赤血球の予測比率より高い存在、および/または楕円形に見える感染赤血球の存在および/または量。
【0117】
楕円形(単一または複数)の特徴(例えば、高さ対幅)を、重み付けする方法での分類に使用し得る。例えば、予測値に近い楕円形特徴に付与される重みを、値が非感染赤血球に対する予測値に近い場合、または感染赤血球に対する予測値より極めて異常である値の場合(例えば、楕円形がロッド状に見える場合)より高くし得る。
【0118】
感染赤血球(または感染赤血球群)、または感染の可能性のある赤血球は、いずれかの所定の性質(例えば、サイズ、形状、など)が赤血球母集団とは異なる(または非感染細胞とは異なる)という判定、および/またはこのような差異の程度の判定は通常、任意の許容され得る統計を使用して行われることに留意されたい。例えば2つの群の平均サイズを使用し得る、および/または1つの群の平均サイズを、他の群の所定の百分位数に対して、使用し得る。必要に応じて、複数の統計が使用される。必要に応じて、赤血球に対する(または非感染赤血球に対する)1つまたは複数の値が母集団またはそのサブグループの既知の統計から求められる。いくつかの実施形態では、非感染赤血球のみを使用するのではなく、試料中(またはその一部)の全ての赤血球の1つまたは複数の統計を使用し得る。例えば、これは、試料中の一部の感染赤血球が十分に少ない場合に使用し得る。
【0119】
必要に応じて、感染または感染の可能性のある赤血球の任意の所定の性質(例えば、サイズ、形状、など)が異なるまたは相対的に異なるという判定は、感染赤血球または感染の可能性のある赤血球の所定の性質を、試料中の1つまたは複数の非感染赤血球の性質と比較することよりなされる。従って、1つまたは複数の非感染赤血球の性質はまた、候補が病原体であるという可能性を判定するために、試料が感染している可能性を判定するために、および/または病原体の種を分類するために、試料としての情報価値の高い特徴として使用し得る。
【0120】
赤血球の特徴(例えば、赤血球のサイズおよび/または形状に関連する特徴)は、予測値と比較する場合、候補の分類(例えば、
図2のステップ205で使用される候補としての情報価値の高い特徴として)にも使用し得ることに留意されたい。非限定的例であるが、予測値よりも相対的に大きいまたは小さい、または予測形状とは異なる形状(例えば、丸の代わりに楕円)を有する赤血球の内部にある(または、それと同じ場所に配置されている)ように見える候補は、病原体である可能性がより高い。
【0121】
また、試料中の赤血球の特徴(例えば、赤血球のサイズおよび/または形状に関連する特徴)は、試料の分類にも使用し得る(例えば、
図2のステップ207で使用される試料としての情報価値の高い特徴として)ことにも留意されたい。非限定的例であるが、このような特徴は、試料中の赤血球の群に対して適用される統計を含む(例えば、試料中の感染しているように見える赤血球のための統計、試料中の非感染赤血球のための統計、および/または一般的に、試料中の赤血球のための統計)。1つの非限定的例には、試料中の感染しているように見える赤血球(例えば、サイズ)の統計を、予測値(例えば、ヒト赤血球の平均サイズ)に、または一般的に、試料中の赤血球のための対応する統計と比較することが挙げられる。感染しているように見える赤血球が比較値より大きいまたは小さいことが明らかになる場合には、これは、試料が感染しているという指標として使用し得る。
【0122】
棘状赤血球は、間隔を置いて対称的に配置した多くの小さいとげのある突起を有する、異常な細胞膜を有する赤血球である。有棘赤血球はまた、とげのある異常な突起を有するが、それらは不規則で非対称である。
【0123】
いくつかの事例では、マラリア原虫感染は、棘状赤血球または有棘赤血球の外観を生ずる。このような形状の他の原因は、その他の病態であり得、また、一部の溶液(例えば、色素溶液)への長期曝露の場合でもあり得る。さらに、いくつかのマラリア原虫菌株は、他の菌株より大きな変形を生ずる。例えば、三日熱マラリア原虫は通常、熱帯熱マラリア原虫より大きく変形し、一方、三日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫のそれぞれは通常、四日熱マラリア原虫および熱帯熱マラリア原虫のそれぞれより大きく変形する。したがって、いくつかの用途に対しては、試料中のこのような形状の存在は、感染している試料を示す(例えば、
図2のステップ207)、および/または病原体の固有の性質を示す(例えば、
図2のステップ209)、試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0124】
マラリア原虫のいくつかの菌株では、赤血球変形の程度と、感染病原体の成熟度との間に正の相関が存在する。したがって、いくつかの用途に対しては、試料中のこのような形状の存在は、検出した病原体の成熟度を示す(例えば、
図2のステップ209)試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0125】
実施例6:試料としての情報価値の高い特徴としての染色品質の使用
生物試料の染色は、時間依存性プロセスであることが知られている。細胞が色素に曝露されると、色素が細胞に侵入し、細胞内の標的部位(単一または複数)に到達するには時間を要する。この期間中に、染色は、よりシャープに、および/またはよりシャープな強度勾配を伴ってより局在型になり得る(試料が撮像前に洗浄されない場合は特に)。通常、このプロセスは、飽和曲線に従う。第1期では、染色は、ある程度の染色が得られるまで比較的高速で増える(すなわち、高速染色期)。その後、品質はまだ向上するが、別の期間の間、比較的ゆっくりと、である(すなわち、低速染色期)。その後、染色品質は、例えば、光退色(蛍光色素中の)に起因して、および/または標的(単一または複数)から離れて、試料を通ってゆっくり拡散する色素に起因して劣化し得る。
【0126】
いくつかの用途に対しては、血液試料などの身体試料の複数の視野(例えば、200またはそれを超える視野、少なくともその一部は2回以上撮像され得る)の撮像は、数分を要し得る(例えば、2~3分以上)。ヘキスト染色(例えば、マラリア原虫感染の検出に使用される)では、高速染色期は、30分以上を要する場合がある。
【0127】
したがって、複数の視野の撮像が、上述の時間尺度で実施される場合、視野間の染色品質のかなりの変動が存在する可能性がある。この変動は、診断結果に影響を与える(例えば、感染の強度値、強度勾配および/または閾値を変化させることにより)可能性がある。いくつかの用途に対しては、染色品質の変動を考慮に入れるために、本明細書で記載の技術に従って、試料の染色品質が、試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0128】
いくつかの用途に対しては、平均値と比較した画像の相対的染色品質に基づいて、複数の画像にわたる平均染色品質が決定され、また、各イメージに対する染色品質パラメーターが決定される。染色品質パラメーターは、例えば、染色が充分に診断用の情報を与えてくれない場合に、あまりにも早期にまたはあまりにも遅くに取得した画像を、さらなる分析に使用される画像から廃棄するために、試料としての情報価値の高い特徴として使用され得る。あるいはまたはさらに追加して、染色品質パラメーターを使用して、異なる視野または視野群に対する1つまたは複数の閾値を、染色品質パラメーターに基づいて調節し、および/または染色品質パラメーターを候補の分類に導入し、それにより、異なる染色品質を有する複数の視野由来の候補を比較し得る。例えば、候補分類は染色品質を使用して正規化し得る。
【0129】
いくつかの用途に対しては、染色品質パラメーターに対応して、身体試料の画像が取得されるフレームレートが調節される。例えば、染色が低品質であるという検出に対応して、画像をより多くのフレームレートで取得し得る。逆もまた同様である。あるいはまたはさらに追加して、染色品質パラメーターに対応して、それぞれの視野が撮像される回数が調節される。一般に、本発明の範囲は、試料としての情報価値の高い特徴を、画像を取得するフレームレートの調節のために、および/またはそれぞれの撮像視野が撮像される回数を調節するために、使用される画像からいくつかの画像を廃棄するための入力として使用することを含む。
【0130】
必要に応じて、2種またはそれを超える染料を使用する場合、染色品質変動は、染料間で異なり得る。例えば、ヘキスト染色がまだ高速染色期にあるとき、アクリジンオレンジ染色は完了していることがある。したがって、いくつかの用途に対しては、染色品質パラメーターは、それぞれの染料に対し、別々に処理される、および/または染料間の相対的染色品質は、染色品質パラメーターとして使用し得る。
【0131】
実施例7:網状赤血球に対する、試料としての情報価値の高い特徴としての候補の親和性の使用
三日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫は、成熟赤血球に対するよりも感染網状赤血球に対する高い親和性を有する。逆に、熱帯熱マラリア原虫は、全ての赤血球に等しく感染し、一方、四日熱マラリア原虫は成熟赤血球に対し親和性を有する。したがって、いくつかの用途に対しては、網状赤血球に関連する病原体候補の数と、成熟赤血球に関連する候補の数との間の関連性が決定され、これは、試料としての情報価値の高い特徴として使用される。
【0132】
本明細書で上記したように、いくつかの用途に対しては、
図2のステップ209に従って、プロセッサーは、病原体を所定の種類の病原体を含むとして分類する。いくつかの用途に対しては、試料が感染していると判定されると、プロセッサーは、感染赤血球推定成熟度に基づいて、および/または網状赤血球に関連する病原体候補の数と、成熟赤血球に関連する候補の数との間の関連性に基づいて、病原体を所定の種類の病原体を含むとして分類する。例えば、病原体が網状赤血球に親和性を有する場合、これは、検出した病原体が三日熱マラリア原虫である指標として使用し得る。あるいは、全ての成熟度の赤血球(異なる成熟度の赤血球の相対存在量に比例する)中の病原体の実質的に均一分布は、検出した病原体が熱帯熱マラリア原虫である指標として使用し得る。
【0133】
実施例8:試料としての情報価値の高い特徴としての汚染の検出の使用
血液試料の画像は、診断に無関係であり、例えば、血液試料の調製または保持に使用した溶液またはツール(例えば、希釈溶液および/または試料の収容に使用した試料チャンバー)中のごみまたは欠陥に起因し得る異物を含む場合がある。このような対象物は、病原体に似ているように見える対象物および/または病原体に似ていない対象物を含み得る。
【0134】
本発明のいくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、1つまたは複数の画像から、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出するように構成される。抽出した試料としての情報価値の高い特徴に少なくとも部分的に基づいて、コンピュータープロセッサーは、試料キャリア中に配置された身体試料に関連する欠陥が存在することを特定し、欠陥源を(例えば、試料キャリア、試料キャリアの所定の部分、試料それ自体、および/または試料を希釈した希釈剤として)分類する。コンピュータープロセッサーは、出力装置上に欠陥源を示す出力を生成する。
【0135】
例えば、このような出力は、試料内の異物の存在を示す、試料としての情報価値の高い特徴に基づいて生成され得る。異物源は、試料の異物の濃度および分布に影響を与えると予測される。例えば、発生源が血液試料それ自体の場合、検出される異物の量は通常、試料の量に比例する。いくつかの用途に対しては、この特性を有する検出異物に対応して、診断のための閾値が調節される。例えば、試料を感染していると見なすのに十分な試料中の病原体数の閾値は、試料中の異物の濃度と、赤血球の濃度との関連性の関数であり得る。
【0136】
いくつかの用途に対しては、プロセッサーは、異物源は、所定のチャンバー、所定のチャンバーセット、所定の視野、または所定の視野セットに限定されることを決定するように構成される。このような事例では、コンピュータープロセッサーは、より低い重みを、影響を受けたチャンバーまたは視野で検出される特徴に割り付け得る、および/または他のチャンバーまたは視野からのデータを、影響を受けたチャンバーおよび視野で検出された特徴を解析するための入力として使用し得る。
【0137】
いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、異物源が試料を希釈した希釈剤(例えば、複数の試料および/またはチャンバーに共通の特性を有する異物の検出に対応して)であることを検出するように構成される。このような場合には、プロセッサーは、可能性のある異物源を示す出力を生成し得る。いくつかの用途に対しては、コンピュータープロセッサーは、チャンバー間の相互汚染を検出するように、およびこれがその場合に該当することを示す出力を生成するように構成される。
【0138】
身体試料中の病原体感染の検出に関して、本発明のいくつかの用途を記載してきたが、本発明の範囲は、身体試料中の他の成分または実体の特定に関する類似の技術を実施することを含むことに留意されたい。例えば、本明細書で記載のものと類似の技術は、(a)1つまたは複数の候補としての情報価値の高い、所定の実体の候補である要素に関連する特徴を抽出すること、(b)1つまたは複数の試料としての情報価値の高い、身体試料に関連するコンテキスト情報を示す特徴を抽出すること、および(c)候補としての情報価値の高い特徴を、試料としての情報価値の高い特徴と組み合わせて処理することにより、血液試料中の所定の実体の濃度の検出に使用し得る。いくつかの用途に対しては、試料は、血液を含む試料であり、候補は、血小板、白血球、異常白血球、循環性腫瘍細胞、赤血球、網状赤血球、ハウエルジョリー小体、などの血液中の実体の候補である。いくつかのこのような用途に対して、血球数(例えば、全血球数)は、このような候補を特定し、本明細書に記載のような技術を行うことにより、実施される。
【0139】
いくつかの用途に対しては、試料は、異なる身体試料であり、本明細書で記載の技術は、試料中の病原体感染を特定するために使用される。例えば、本明細書で記載の技術を使って、喀痰試料中の結核菌を特定し得る。あるいはまたはさらに追加して、試料は異なる身体試料であり、本明細書で記載の技術は、試料中の異常細胞を特定するために使用される。例えば、本明細書で記載の技術を使って、PAPスメア中のまたは尿試料中の癌細胞を特定し得る。
【0140】
一般に、血液試料に関連して本発明のいくつかの用途が記載されてきたが、本発明の範囲は、本明細書で記載の装置および方法を種々の試料に適用することを含むことに留意されたい。いくつかの用途に対しては、試料は、血液、唾液、精液、汗、喀痰、膣液、便、母乳、管支肺胞洗浄液検査、胃洗浄、涙および/または鼻汁などの身体試料である。身体試料は、任意の生きている動物由来であってよいが、通常は、温血動物由来である。いくつかの用途に対しては、身体試料は、哺乳動物由来、例えば、人体由来試料である。いくつかの用途に対しては、試料は、限定されないが、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシおよびヒツジを含む任意の飼育動物、動物園の動物および家畜から採取される。あるいはまたはさらに追加して、身体試料は、シカまたはラットを含む病原媒介物としての役割を果たす動物から採取される。
【0141】
いくつかの用途に対しては、本明細書で上記したものに対する類似の技術が非身体試料に適用される。いくつかの用途に対しては、試料は、水(例えば、地下水)試料、表面スワブ、土壌試料、空気試料、またはこれらの任意の組み合わせなどの環境試料である。いくつかの実施形態では、試料は、肉試料、酪農試料、水試料、洗液試料、飲料試料、およびこれらの任意の組み合わせなどの食品試料である。
【0142】
本明細書で記載の本発明の用途は、コンピュータープロセッサー28などのコンピューターまたは任意の命令実行システムによりまたはそれに接続して使用するためのプログラムコードを提供する、コンピューターで使用可能なまたはコンピューター可読媒体(例えば、非一時的コンピューター可読媒体)からアクセス可能なコンピュータープログラム製品の形態を取ることができる。この説明においては、コンピューターで使用可能なまたはコンピューター可読媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスにより、またはそれに接続して使用するためのプログラムを収納し、保存し、伝達し、適用し、または移送することができる任意の装置とすることができる。媒体は、電子、磁気、光学、電磁的、赤外、もしくは半導体システム(または装置もしくはデバイス)または伝搬媒体とすることができる。通常、コンピューターで使用可能なまたはコンピューター可読媒体は、非一時的コンピューターで使用可能なまたはコンピューター可読媒体である。
【0143】
コンピューター可読媒体の例には、半導体または固体記憶装置、磁気テープ、取り外し可能なコンピューターディスケット、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、リジッド磁気ディスクおよび光学的ディスクが挙げられる。現用光学ディスクの例には、読取専用コンパクトディスク記憶装置(CD-ROM)、リード/ライトコンパクトディスク(CD-R/W)およびDVDが挙げられる。
【0144】
プログラムコードの保存および/または実行に好適するデータ処理システムには、記憶素子(例えば、記憶装置29)にシステムバスを介して直接または間接的に接続された少なくとも1つのプロセッサー(例えば、コンピュータープロセッサー28)が含まれる。記憶素子には、実際のプログラムコードの実行中に用いられるローカルメモリー、大容量記憶装置、および実行中に大容量記憶装置からコードを取り出す回数を減らすために、少なくとも一部のプログラムコードの一時的記憶を提供するキャッシュメモリーを含むことができる。システムは、プログラム記憶装置上の本発明の命令を読み出し、これらの命令に従って本発明の実施形態の方法を実施することができる。
【0145】
ネットワークアダプターは、プロセッサーに接続して、プライベートまたはパブリックネットワークを介してプロセッサーがその他のプロセッサーまたはリモート印刷機または記憶装置に接続するのを可能とし得る。モデム、ケーブルモデムおよびイーサネットカードは、ごくわずかの現在利用可能な種類のネットワークアダプターである。
【0146】
本発明の操作を実行するためのコンピュータープログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語およびCプログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書いてよい。
【0147】
図2に示すフローチャートのブロックおよびフローチャートのブロックの組み合わせは、コンピュータープログラム命令により実装できることは理解されよう。これらのコンピュータープログラム命令を、汎用コンピューター、専用コンピューター、またはその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーに適用して、専用機械を生成し、それにより、コンピューター(例えば、コンピュータープロセッサー28)またはその他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサーを介して実行する命令が、フローチャートに指定された機能/作業および/または本出願に記載したアルゴリズムを実装するための手段を作り出し得る。これらのコンピュータープログラム命令はまた、コンピューターまたはその他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能するように指示することができ、それにより、コンピューター可読媒体中に保存された命令は、フローチャートブロックで指定された機能/作業およびアルゴリズムを実装した命令手段を含む製品を生成するコンピューター可読媒体(例えば、非一時的コンピューター可読媒体)に保存し得る。また、コンピュータープログラム命令を、コンピューターまたはその他のプログラム可能データ処理装置にロードし、一連の操作ステップをコンピューターまたはその他のプログラム可能装置に実行させて、コンピューターまたはその他のプログラム可能装置で実行する命令がフローチャートで指定された機能/作業および/または本出願で記載したアルゴリズムを実装するためのプロセスを提供するように、コンピューター実装プロセスを生成し得る。
【0148】
コンピュータープロセッサー28は通常、コンピュータープログラム命令でプログラムされて専用コンピューターを生成するハードウェアデバイスである。例えば、
図2に関連して記載されたアルゴリズムを実施するようにプログラムされる場合、コンピュータープロセッサー28は通常、試料解析専用コンピュータープロセッサーとして機能する。通常、コンピュータープロセッサー28により実施される本明細書で記載の操作は、現実の物理的物品である記憶装置30の物理的状態を、使用される記憶装置の技術に応じて、異なる磁気極性、電荷、などを有するように変換する。
【0149】
特に別段の定めのない限り、本明細書での考察から明らかなように、本明細書の考察全体を通して使用される、「処理」、「実行」、「取得」、「判定」、「分類」、「保存」、「選択」などの用語は、データを他のデータへと操作するおよび/または変換するコンピューターの作業(単一または複数)および/または処理(単一または複数)を意味し、前記データは、電気的などの物理的な量として表されおよび/または前記データは、物理的な対象物を表す。用語の「コンピューター」および「プロセッサー」は、非限定的例であるが、本出願で開示のシステムを含む任意の種類のデータ処理能力を有するエレクトロニクスデバイスを含むように広く解釈されるべきである。
【0150】
用語の「非一時的」は、一過性の伝搬しているシグナルを除くが、それ以外の、本明細書で開示の主題に好適する任意の揮発性または不揮発性のコンピューター記憶技術を含むように本明細書では使用されると理解されたい。
【0151】
通常、コンピュータープロセッサーは、出力装置34上に出力を生成する。出力は、処理ユニットからの処理データを受け、得られた構造的特徴に関連する情報および/または存在および必要に応じて病原性感染の固有の性質を決定する関連値を、リスト、表、グラフなどを使って表示するために、制御ユニットのモニター上に、または使用者のスマートフォンディスプレイ上に表示されるグラフ、図形またはテキスト、プリントアウト、音声メッセージを含む任意の許容される形態で提供し得る。出力装置は、出力を印刷するための印刷機に接続されたモニターを含み得る。
【0152】
特に、検査した身体試料に関するデータ(例えば、発生源、日付、場所、など)、システム操作の制御条件、使用した色素の種類、取得すべき画像数、画像間の時間間隔、などを入力することを含む、ユーザーインターフェース32を使って、システム10および/またはコンピュータープロセッサー28の操作を制御し得る。
【0153】
時には、コンピュータープロセッサーによる画像解析は、試料の染色の度合いに基づいて画像輝度の調節または正規化を伴う場合がある。これらは、例えば、画像または画像セット(例えば、特定の試料に対応する)中の1つまたは複数の最高輝度のおよび/または最も薄暗いピクセル値、最高輝度のおよび/または最も薄暗い領域の平均輝度、および/または画像ヒストグラムと特定することに基づき得る。このような特徴は、代表的画像から(正規化されている画像とは限らない)または複数の画像中の統計分析から抽出し得る。正規化のために使用する特徴は、単一または複数画像を基準にしてよく、これは、異なる励起波長を使って取得してもよい(例えば、アクリジンオレンジは、異なる照明波長下では異なる色を与える)。画像輝度は、その他の制御手段、例えば、画像取得成分の暴露時間および/または照射の輝度を使って調節することも可能である。
【0154】
顕微鏡システム11の条件は、例えば、1つまたは複数の色素または染料を用いて十分なインキュベーション時間を可能とするための画像取得タイミングならびに種々の色または蛍光スペクトルでの染色試料を撮像するための、励起および/または発光波長の異なる光学的構成での操作の制御などであり得る。
【0155】
病原体検出システムの構成要素、すなわち、撮像モジュール14、コンピュータープロセッサー28、出力装置34などは、相互に直接接続され得る(例えば、有線で直接)か、または1つまたは複数の構成要素は、1つまたは複数の他の構成要素から遠隔操作され得る。例えば、撮像モジュールは、イントラネット経由でまたはインターネット経由でコンピュータープロセッサー28にデータを送信し、遠隔地で処理を可能とし得る。
【0156】
本開示の技術の実施に使われ得るシステムの例は、Bacheletによる国際公開第2012/090198号、およびGreenfieldによる米国特許出願公開第2014/0347459号に記載されている。これら両出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0157】
したがって、本発明のいくつかの用途に従って、次の発明概念が提供される:
【0158】
発明概念1.下記を含む身体試料の病原性感染を検出する方法:
身体試料に関する画像情報を記憶装置に保存し、少なくとも一部の画像情報が試料中の1つまたは複数の病原体候補の情報を与えてくれること、
記憶装置に動作可能に接続されたプロセッサーにより、画像情報の第1の部分の第1の処理を提供し、該第1の処理が、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出し、抽出した少なくとも1つの、試料としての情報価値の高い特徴を処理すること、および試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、画像情報の第2の部分の第2の処理を提供し、該第2の処理が、試料中の少なくとも1つの病原体候補を特定すること;少なくとも1つの、候補としての情報価値の高い、特定された候補に関連する特徴を抽出すること、および少なくとも1つの抽出した、候補としての情報価値の高い特徴を処理して、少なくとも1つの候補の分類特性を示す候補データを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、第1の分類を提供し、該第1の分類が、少なくとも1つの特定された候補を、少なくとも得られた候補データに従って病原体または非病原体として分類することを含むこと、
プロセッサーにより、第2の分類を提供し、該第2の分類が、少なくとも第1の分類の結果および得られたコンテキストデータに従って試料を感染または非感染として分類することを含むこと。
この場合身体試料中の病原性感染は、第2の分類の結果に基づいて判定される。
【0159】
発明概念2.第1の分類が、得られたコンテキストデータにさらに従って実施される、発明概念1に記載の方法。
【0160】
発明概念3.第2の分類が、少なくとも1つの特定された候補に対する得られた候補データにさらに従って実施される、発明概念に記載1の方法。
【0161】
発明概念4.プロセッサーにより、少なくとも得られたコンテキストデータに従って、試料中の少なくとも1つの病原体を分類することを提供することをさらに含む、発明概念1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
発明概念5.少なくとも1つの病原体を分類することが、少なくとも1つの病原体の種を決定することを含む、発明概念4に記載の方法。
【0163】
発明概念6.少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴が、候補のサイズ、候補の形状、候補の動き、候補の強度、試料中の候補の位置、および候補と重なり合う細胞の性質、に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
発明概念7.細胞が赤血球であり、性質が、サイズ関連性質および形状関連性質の内の少なくとも1つを含む、発明概念6に記載の方法。
【0165】
発明概念8.少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴が、試料中の1つまたは複数の非候補成分のサイズ、形状、または強度、所定の細胞型の細胞の量、所定の細胞型の細胞の分布、および候補の分布に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
発明概念9.身体試料が、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料から選択される、発明概念1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
発明概念10.下記を含む身体試料中の病原体を検出する方法:
身体試料に関する画像情報を記憶装置に保存し、少なくとも一部の画像情報が試料中の1つまたは複数の病原体候補の情報を与えてくれること、
記憶装置に動作可能に接続されたプロセッサーにより、画像情報の第1の部分の第1の処理を提供し、該第1の処理が、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出し、抽出した少なくとも1つの、試料としての情報価値の高い特徴を処理すること、および試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、画像情報の第2の部分の第2の処理を提供し、該第2の処理が、試料中の少なくとも1つの病原体候補を特定すること;少なくとも1つの、候補としての情報価値の高い、特定された候補に関連する特徴を抽出すること、および少なくとも1つの抽出した、候補としての情報価値の高い特徴を処理して、少なくとも1つの候補の分類特性を示す候補データを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、第1の分類を提供し、該第1の分類が、少なくとも1つの特定された候補を、少なくとも得られた候補データおよび得られたコンテキストデータに従って病原体または非病原体として分類することを含むこと。
【0168】
発明概念11.プロセッサーにより、第2の分類を提供することをさらに含み、該第2の分類が、少なくとも得られた候補データに従って試料中の少なくとも1つの病原体を分類することを含む、発明概念10に記載の方法。
【0169】
発明概念12.第2の分類が、少なくとも1つの病原体の種を決定することを含む、発明概念11に記載の方法。
【0170】
発明概念13.プロセッサーにより、画像情報を前処理することを提供し、該前処理が、画像情報が第1の部分および第2の部分の内の少なくとも1つに含まれることを判定することを含み、該前処理が画像情報から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出すること、および抽出された少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を処理して、試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含み、該判定することが得られたコンテキストデータに従って行われることをさらに含む、発明概念10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
発明概念14.少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴が、候補のサイズ、候補の形状、候補の動き、候補の強度、試料内の候補の位置、および候補と重なり合う細胞の性質に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念10~13のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
発明概念15.細胞が赤血球であり、性質が、サイズ関連性質および形状関連性質の内の少なくとも1つを含む、発明概念14に記載の方法。
【0173】
発明概念16.少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴が、試料中の1つまたは複数の非候補成分のサイズ、形状、または強度、所定の細胞型の細胞の量、所定の細胞型の細胞の分布、および候補の分布に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念10~15のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
発明概念17.身体試料が、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料から選択される、発明概念10~16のいずれか1つに記載の方法。
【0175】
発明概念18.下記を含む身体試料の病原性感染を検出するシステム:
デジタル顕微鏡に動作可能に接続され、デジタル顕微鏡により取得された画像情報を保存するように構成された記憶装置であって、該画像情報は身体試料に関連し、画像情報の少なくとも一部が試料中の1つまたは複数の病原体候補の情報を与えてくれる、記憶装置、および
記憶装置に動作可能に接続され、下記を行うように構成されたプロセッサー:
少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出すること、および抽出した少なくとも1つの、試料としての情報価値の高い特徴を処理し、試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含む第1の処理において、画像情報の第1の部分を処理する、
試料中の少なくとも1つの病原体候補を特定すること;少なくとも1つの、候補としての情報価値の高い、特定された候補に関連する特徴を抽出すること、および少なくとも1つの抽出した、候補としての情報価値の高い特徴を処理して、少なくとも1つの候補の分類特性を示す候補データを得ることを含む、第2の処理において、画像情報の第2の部分を処理する、
第1の分類において、少なくとも1つの特定された候補を、少なくとも得られた候補データに従って病原体または非病原体として分類する、
第2の分類において、少なくとも第1の分類の結果および得られたコンテキストデータに従って試料を感染または非感染として分類する。
この場合身体試料中の病原性感染は、第2の分類の結果に基づいて判定される。
【0176】
発明概念19.第1の分類が、得られたコンテキストデータにさらに従って実施される、発明概念18に記載のシステム。
【0177】
発明概念20.第2の分類が、少なくとも1つの特定された候補に対する得られた候補データにさらに従って実施される、発明概念18または19のいずれか1つに記載のシステム。
【0178】
発明概念21.プロセッサーが第1と第2の処理に先立って、画像情報を前処理するようにさらに構成され、該前処理が、画像情報が第1の部分および第2の部分の内の少なくとも1つに含まれることを判定することを含み、該前処理が画像情報から少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出すること、および抽出された少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を処理して、試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含み、該判定することが得られたコンテキストデータに従って行われる、発明概念18~20のいずれか1つに記載のシステム。
【0179】
発明概念22.プロセッサーが、少なくとも得られたコンテキストデータに従って、試料中の病原体を分類するようにさらに構成される、発明概念18~21のいずれか1つに記載のシステム:
【0180】
発明概念23.少なくとも1つの候補としての情報価値の高い特徴が、候補のサイズ、候補の形状、候補の動き、候補の強度、試料内の候補の位置、および候補と重なり合う細胞の性質に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念18~22のいずれか1つに記載のシステム。
【0181】
発明概念24.細胞が赤血球であり、性質が、サイズ関連性質および形状関連性質の内の少なくとも1つを含む、発明概念23に記載のシステム。
【0182】
発明概念25.少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴が、試料中の1つまたは複数の非候補成分のサイズ、形状、または強度、所定の細胞型の細胞の量、所定の細胞型の細胞の分布、および候補の分布に関連する特徴からなる群から選択される、発明概念18~24のいずれか1つに記載のシステム。
【0183】
発明概念26.身体試料が、血液試料、希釈した血液試料、主に赤血球を含む試料、および主に赤血球を含む希釈した試料から選択される、発明概念18~25のいずれか1つに記載のシステム。
【0184】
発明概念27.下記を含む、コンピューターに身体試料中の病原性感染を検出する方法を実施させるように組み込まれた、コンピューター可読プログラムコードを有する非一時的コンピューターで使用可能な媒体に実装されたコンピュータープログラム製品:
身体試料に関する画像情報を、コンピューターに含まれるか、またはそれに動作可能に接続された記憶装置に保存し、少なくとも一部の画像情報が試料中の1つまたは複数の病原体候補の情報を与えてくれること、
コンピューターに含まれるか、またはそれに動作可能に接続され、および記憶装置に動作可能に接続されたプロセッサーにより、画像情報の第1の部分の第1の処理を提供し、該第1の処理が、少なくとも1つの試料としての情報価値の高い特徴を抽出し、抽出した少なくとも1つの、試料としての情報価値の高い特徴を処理し、試料に関連するコンテキスト情報を示すコンテキストデータを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、画像情報の第2の部分の第2の処理を提供し、該第2の処理が、試料中の少なくとも1つの病原体候補を特定すること;少なくとも1つの、候補としての情報価値の高い、特定された候補に関連する特徴を抽出すること、および少なくとも1つの抽出した、候補としての情報価値の高い特徴を処理して、少なくとも1つの候補の分類特性を示す候補データを得ることを含むこと、
プロセッサーにより、第1の分類を提供し、該第1の分類が、少なくとも1つの特定された候補を、少なくとも得られた候補データに従って病原体または非病原体として分類することを含むこと、および
プロセッサーにより、第2の分類を提供し、該第2の分類が、少なくとも第1の分類の結果および得られたコンテキストデータに従って試料を感染または非感染として分類することを含むこと。
【0185】
当業者なら、本発明が上記で具体的に示し、説明してきたものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲には、上記のさまざまな特徴の組み合わせおよび副組み合わせの両方が含まれ、さらに、当業者が前述の説明を読むことによって思いつくと思われる、先行技術にはないこれらの変形例および修正例も含まれる。