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特開2024-45417偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
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  • 特開-偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045417
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】偏光子保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240326BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240326BHJP
   B29C 55/08 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
B29C55/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015522
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2022072042の分割
【原出願日】2014-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2013187191
(32)【優先日】2013-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】向山 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 靖
(57)【要約】
【課題】2枚の偏光板をクロスニコル環境下に配置した場合でも、光の漏れを抑制することができるポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムを提供する。
【解決手段】フィルム流れ方向又は幅方向に対する熱収縮率の傾きの絶対値が15度以下であるポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルム。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム流れ方向又は幅方向に対する熱収縮率(85℃、30分間水中で加熱処理したときの熱収縮率)が最大となる方向の傾きの絶対値が15度以下であり、
5度間隔で360度測定したときの熱収縮率の最大値と最小値の差が0.1%を超えるポリエステルフィルムを有する偏光子保護フィルム。
【請求項2】
前記熱収縮率の最大値が1%以下である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
【請求項3】
前記ポリエステルフィルムのリタデーションが4000nm以上30000nm以下であり、Nz係数が1.7以下であり、面配向度が0.104を超え0.130以下である、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
【請求項4】
前記ポリエスエルフィルムの面配向度が0.117以上である、請求項3に記載の偏光子保護フィルム。
【請求項5】
前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に易接着層を有する、請求項1に記載の偏光子保護フィルム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の偏光子保護フィルムと偏光子を含む偏光板。
【請求項7】
請求項6に記載の偏光板を含む液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置内の偏光板に用いる偏光子保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)に使用される偏光板は、通常ポリビニルアルコール(PVA)等にヨウ素を染着させた偏光子を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成であり、偏光子保護フィルムとしては通常トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが用いられている。近年、LCDの薄型化に伴い、偏光板の薄層化が求められるようになっている。しかし、このために保護フィルムとして用いられているTACフィルムの厚みを薄くすると、充分な機械強度を得ることが出来ず、また透湿性が悪化するという問題が発生する。また、TACフィルムは非常に高価であり、安価な代替素材が強く求められている。
【0003】
そこで、偏光板の薄層化のため、偏光子保護フィルムとして厚みが薄くても高い耐久性が保持できるよう、TACフィルムの代わりにポリエステルフィルムを用いることが提案されている(特許文献1~3)。
【0004】
ポリエステルフィルムは、TACフィルムに比べ耐久性に優れるが、TACフィルムと異なり複屈折性を有するため、これを偏光子保護フィルムとして用いた場合、光学的歪みにより画質が低下するという問題があった。すなわち、複屈折性を有するポリエステルフィルムは所定の光学異方性(リタデーション)を有することから、偏光子保護フィルムとして用いた場合、斜め方向から観察すると虹状の色斑が生じ、画質が低下する。そのため、特許文献1~3では、ポリエステルとして共重合ポリエステルを用いることで、リタデーションを小さくする対策がなされている。
【0005】
また、特許文献4には、バックライト光源として白色発光ダイオードを用い、更に偏光子保護フィルムとして一定のリタデーションを有する配向ポリエステルフィルムを用いることで、虹状の色むらを解決できることが開示されている。
【0006】
特許文献5には、偏光子保護フィルムは、偏光板の製造時、あるいは得られた偏光板を液晶セルと複合させる工程など、多くの熱処理工程を通過するため、良好な寸法安定性を有すること具体的には120℃×30分の非拘束熱処理後のポリエステルフィルムの収縮率が、フィルムMD方向、TD方向のいずれにおいても5%以下であることが好ましいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-116320号公報
【特許文献2】特開2004-219620号公報
【特許文献3】特開2004-205773号公報
【特許文献4】WO2011-162198
【特許文献5】特開2010-277028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の通り、偏光子保護フィルムとして用いられるポリエステルフィルムは、種々の観点から改良が重ねられているが、本発明者らは、更なる改善の余地があることを見出した。即ち、本発明者らは、これまでに改良されたポリエステルフィルムを偏光子保護フィル
ムとして採用した偏光板をもう一つの偏光板とクロスニコルの関係となるように配置した場合に、僅かに光の漏れが生じ、視認性が悪化する場合があるという、新規な課題の存在を発見した。そこで、本発明は、上述の僅かな光の漏れを抑制することが可能な、ポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリエステルフィルムの熱収縮率が最大となる方向とそのポリエステルフィルムの流れ方向又は幅方向とが成す角(即ち、フィルム流れ方向又はフィルム幅方向に対する熱収縮率が最大である方向の傾き)の絶対値が15度以下となるように制御することにより上記課題が解決されることを見出した。斯かる知見に基づき、更なる検討を重ね、下記に代表される発明が提供される。
項1.
フィルム流れ方向又は幅方向とフィルムの熱収縮率が最大となる方向とが成す角の絶対値が15度以下であるポリエステルフィルムである偏光子保護フィルム。
項2.
ポリエステルフィルムのリタデーションが4000~30000nmであり、Nz係数が1.7以下である、項1に記載の偏光子保護フィルム。
項3.
ポリエステルフィルムの面配向度が0.13以下である、項1又は2に記載の偏光子保護フィルム。
項4.
偏光子の両側に偏光子保護フィルムを積層した構成からなり、
少なくとも片側の偏光子保護フィルムが項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、偏光板。
項5.
偏光子の片側に項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムが積層された偏光板。
項6.
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は連続した発光スペクトルを有する白色光源であり、
前記偏光板は偏光子の両側に偏光子保護フィルムを積層した構成であり、
入射光側に配される偏光板の偏光子保護フィルムの少なくとも一方、及び出射光側に配される偏光板の偏光子保護フィルムの少なくとも一方が、項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、液晶表示装置。
項7.
前記入射光側に配される偏光板の入射光側の偏光子保護フィルム及び前記出射光側に配される偏光板の出射光側の偏光子保護フィルムが、項1~3のいずれかに記載の偏光子保護フィルムである、項6に記載の液晶表示装置。
項8.
バックライト光源、2つの偏光板、及び前記2つの偏光板の間に配された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記バックライト光源は連続した発光スペクトルを有する白色光源であり、
前記偏光板が項5に記載の偏光板である、液晶表示装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2枚の偏光板をクロスニコルの関係で配置した場合に、従来生じていた僅かな光の漏れを抑制することができる。また、好適な一実施形態に従えば、薄型化に適し、虹斑が生じないだけでなく、当該光の漏れに起因した視認性の悪化が軽減された、優れた視認性を有する液晶表示装置の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、フィルムの熱収縮率をフィルムの流れ方向を0度として5度間隔で360度測定した結果の例を示す。この例では、熱収縮率が最大となる各は約15度である。
図2図2は、5度間隔で測定した熱収縮率から、1度間隔又はそれ以上の精度で熱収縮率が最大となる角を求めるために、角度をX軸とし、熱収縮率をY軸としてプロットした図である。
図3図3は、熱収縮率の傾きの低減方法1で利用するクリップの間隔を模式的に示す。
図4図4は、熱収縮率の傾きの低減方法4で利用できるテンター長手方向の距離とテンター温度との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.偏光子保護フィルム
本発明の偏光子保護フィルムは、ポリエステルフィルムであり、フィルムの流れ方向又は幅方向に対する熱収縮率が最大となる方向の傾き(以降、熱収縮率の傾きと簡略化して呼ぶことがある)の絶対値が15度以下であることが好ましい。前記熱収縮率の傾きの絶対値は、好ましくは12度以下であり、より好ましくは10度以下であり、さらにより好ましくは8度以下であり、更に好ましくは6度以下であり、特に好ましくは4度以下、最も好ましくは2度以下である。熱収縮率の傾きの絶対値は小さいほど好ましいことから下限は0度である。
【0013】
上述する僅かな光の漏れが生じる正確なメカニズムは解明されていないが、次のように考えられる。通常、液晶表示装置の中には、2枚の偏光板がクロスニコルの関係となるように配置されている。2枚の偏光板をクロスニコル関係で配置すると、通常、光は2枚の偏光板を通過しない。しかし、偏光子保護フィルムが熱処理によって収縮すると、それに伴って偏光子にも収縮又は反り返りが僅かに生じ、結果として完全なクロスニコルの関係が崩れ、光りが漏れてしまうと考えられる。このような原理から、光の漏れは、偏光子保護フィルムの熱収縮率が最も大きい方向が、フィルム流れ方向又はフィルム幅方向に対して斜め方向である場合に顕著となる。尚、偏光子保護フィルム流れ方向は、通常、偏光子の偏光軸と並行又は垂直である。
【0014】
特許文献5には、MD方向、TD方向のいずれにおいても熱収縮率が5%以下であるポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムが開示されている。しかし、上述したメカニズムから明らかなように、MD方向の熱収縮率及びTD方向の熱収縮率が小さくても、熱収縮率が最大となる方向がフィルム流れ方向又はフィルム幅方向に対して傾いている場合は、前記偏光の漏れの問題が生じる。
【0015】
また、特許文献5は、フィルム両端の部位についてもフィルム面内遅相軸とフィルムTD方向とのなす角度及びそのばらつきを小さくし、液晶ディスプレイの色シフト及び色斑を防止することも開示する。しかし、フィルム面内遅相軸の向きと熱収縮率の傾きとは必ずしも並行ではないため、たとえフィルム面内遅相軸を制御したフィルムであったとしても、前記偏光の漏れの問題は生じる。
【0016】
本発明の偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムは、任意のポリエステル樹脂から得ることができる。ポリエステル樹脂の種類は、特に制限されず、ジカルボン酸とジオールとを縮合させて得られる任意のポリエステル樹脂を使用することができる。
【0017】
ポリエステル樹脂の製造に使用可能なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル
酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3-ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等が挙げられる。
【0018】
ポリエステル樹脂の製造に使用可能なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。
【0019】
ポリエステル樹脂を構成するジカルボン酸成分とジオール成分は、いずれも1種又は2種以上を用いることができる。ポリエステルフィルムを構成する好適なポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられ、より好ましくはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを挙げることができるが、これらは更に他の共重合成分を含んでも良い。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱的、機械的特性にも優れており、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。特に、ポリエチレンテレフタレートは固有複屈折が大きく、フィルムの厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られるので、最も好適な素材である。
【0020】
(熱収縮率)
ポリエステルフィルムの熱収縮率は全方向において5%以下であることが好ましい。ポリエステルフィルムの全方向における熱収縮率は以下のようにして測定される。
【0021】
ポリエステルフィルムを一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置する。このポリエステルフィルム上にその中央を中心とする直径80mmの円を描き、二次元画像測定機(例えば、MITUTOYO製QUICK IMAGE)を使用して、フィルムの流れ方向を0度として5度間隔で直径を測定する。ここで、フィルム流れ方向を0度として、テンター内でフィルムを上面から見た際に時計回り(右回り)を正の角度、反時計回り(左回り)を負の角度とする。-90度~85度の範囲で測定すれば全方位についての直径が測定できる。
【0022】
次いで、ポリエステルフィルムを85℃で30分間、水中で加熱処理した後、フィルム表面に付着した水分を拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置する。その後、上記と同様に円の直径を5度間隔で測定する。熱処理前の直径をLo、熱処理後の同方向の直径をLとし、下記の式に従って、各方向の熱収縮率が求められる
【0023】
熱収縮率(%)=((L- L)/ L)×100
【0024】
5度間隔で360度測定した熱収縮率をグラフで表示すると、例えば、図1のようになる。図1では、円の中心は熱収縮率0%であり、円の中心からの距離が長くなるに従い熱収縮率は大きくなることを示す。また、円周はフィルム流れ方向を0度とした角度を示す
。よって、90度はフィルム幅方向と平行する。
【0025】
上記の測定方法で求められる熱収縮率は、その最大値が5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、さらにより好ましくは1%以下、最も好ましくは0.5%以下である。熱収縮率の下限は特に制限されないが、例えば0.01%以上である。
【0026】
(熱収縮率の傾き)
上記の通り、熱収縮率は、5度間隔で測定されるが、熱収縮率が最大となる方向は、次の手順に従って、1度の精度で求められる。即ち、熱収縮率の測定結果(-90度~85度の範囲の熱収縮率の結果)を図2のように横軸をフィルム流れ方向を0度とした角度、縦軸をその角度における熱収縮率としてプロットする。この際、-180度~-95度、及び90度~175度の値も補間する(-90度の熱収縮率が90度の熱収縮率に対応し
、0度の熱収縮率が-180度の熱収縮率に対応する)。次に、各プロットを結ぶ近似曲
線を引き、熱収縮率が最大となる方向を精度1度で読み取り、これをαと定義する。なお
、-90度≦α≦90度である。
【0027】
熱収縮率が最大となる方向αが-45度~45度の範囲にある場合は、その値を熱収縮率の傾きとする。また、熱収縮率が最大となる方向αが45度以上及び-45度以下の場合は、フィルム流れ方向ではなく、フィルム幅方向を基準に傾いていると解し、α-90度(αが45度以上の場合)、90度+α(αが-45度以下の場合)を熱収縮率の傾きとする。熱収縮率の最大値と最小値との差が0.1%以下の場合には、全ての方向で熱収縮
率がほぼ等しく、熱収縮率に傾きが存在しないため、熱収縮率の傾きは0度とみなす。
【0028】
(光漏れ評価方法)
光漏れは、2枚の偏光板をクロスニコルの関係で配置し、これらを透過する550nm~600nmの波長の光の最大透過率を測定する。光の透過率の測定は、任意の分光光度計を用いて行うことができる。測定される最大透過率は、好ましくは、0.02%以下であり、より好ましくは0.015%以下である。
【0029】
次に、虹斑抑制の観点から、ポリエステルフィルムのリタデーション、及びNz係数、及び面配向度について説明する。
【0030】
(リタデーション)
偏光子保護フィルムに用いられるポリエステルフィルムは、4000~30000nmのリタデーションを有することが好ましい。リタデーションが4000nm以上であれば、液晶表示装置を斜め方向から観察したとき生じ得る虹斑が抑えられ、良好な視認性を確保することができる。ポリエステルフィルムの好ましいリタデーションは4500nm以上、より好ましくは5000nm以上、更に好ましくは6000nm以上、より更に好ましくは8000nm以上、一層好ましくは10000nm以上である。ここで、4000~30000nmとは、下限値として4000nmを含み、上限値として30000nmを含むことを意味するが、含まない範囲も想定される。
【0031】
ポリエステルフィルムのリタデーションの上限は、特に制限されないが、例えば、30000nmである。それ以上のリタデーションを有するポリエステルフィルムを用いても更なる視認性の改善効果は実質的に得られず、リタデーションの上昇に伴ってフィルムの厚みも相当に厚くなり、工業材料としての取り扱い性が低下する恐れがあるためである。
【0032】
配向ポリエステルフィルムのリタデーションの値は、次の手順で求められる。分子配向計(例えば、王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求める。配向軸方向の屈折率(ny)及び配向軸方向とフィルム面内で直
交する方向の屈折率(nx)を測定波長589nmで測定する。これら二軸方向の屈折率の差(異方性)の絶対値(|ny-nx|)を求め、それにフィルムの厚みを掛けて、リタデーションの値は求められる。フィルムのリタデーションは、例えば、KOBRA-21ADH(王子計測機器株式会社)等の市販の自動複屈折測定装置を用いて測定することができる。また、フィルムの屈折率は、例えば、アッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T)等の市販される測定器を用いて測定できる。
【0033】
(Nz係数)
偏光子保護フィルムに用いるポリエステルフィルムは、上述のリターデーションの範囲であることに加えて、|ny-nz|/|ny-nx|で表されるNz係数が1.7以下であることが好ましい。Nz係数は次のようにして求めることができる。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向とこれに直交する方向の二軸の屈折率(ny、nx、但しny>nx)、及び厚さ方向の屈折率(nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)によって求める。こうして求めたnx、ny、nzを、|ny-nz|/|ny-nx|で表される式に代入して、Nz係数を求めることができる。
【0034】
ポリエステルフィルムのリタデーションが4000nm~30000nmであっても、Nz係数が1.7を超えると、一対の偏光板の両方においてポリエステルフィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合に(例えば、入射光側に配される偏光板の入射光側の偏光子保護フィルム及び出射光側に配される偏光板の出射光側の偏光子保護フィルムがポリエステルフィルムである場合)、液晶表示装置を斜め方向から観察した際に、依然として、角度によっては虹斑が生じる場合がある。このような虹斑の発生を抑制するという観点からNz係数はより好ましくは1.65以下、さらに好ましくは1.63以下である。Nz係数の下限値は、1.2である。これは、1.2未満のフィルムを得ることは製造技術的に難しいためである。また、フィルムの機械的強度を保つためには、Nz係数の下限値は1.3以上が好ましく、より好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.45以上である。
【0035】
(面配向係数)
ポリエステルフィルムのリタデーション値及びNz係数を上記の特定範囲に制御することに加え、(nx+ny)/2-nzで表される面配向係数を特定値以下にすることにより、より確実に一対の偏光板の両方に偏光子保護フィルムとしてポリエステルフィルムを用いた場合の虹斑を解消することができる。ここで、nx、ny及びnzの値は、Nz係数と同様の方法で求められる。配向ポリエステルフィルムの面配向度は0.13以下が好ましく、より好ましくは0.125以下、さらに好ましくは0.12以下である。面配向度を0.13以下にすることで、液晶表示装置を斜め方向から観察した場合に角度によって観察される虹斑を完全に解消することができる。面配向度は0.08以上が好ましく、より好ましくは0.1以上である。面配向度が0.08未満では、フィルム厚みが変動し、リタデーションの値がフィルム面内で不均一になる場合がある。
【0036】
(リタデーション比)
ポリエステルフィルムは、そのリタデーション(Re)と厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.6以上である。上記リタデーションと厚さ方向リタデーション(Rth)の比(Re/Rth)が大きいほど、複屈折の作用は等方性を増し、観察角度による虹状の色斑の発生が生じ難くなるためである。完全な1軸性(1軸対称)フィルムでは上記リタデーションと厚さ方向リタデーションの比(Re/Rth)は2となる。しかし、後述するように完全な1軸性(1軸対称)フィルムに近づくにつれ配向方向と直行する方向の機械的強度が著しく低下する。そこで、リタデーションと厚さ方向のリタデーション
の比(Re/Rth)の上限は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1以下である。観察角度による虹状の色斑発生を完全に抑制するためには、上記リタデーションと厚さ方向のリタデーションの比(Re/Rth)が2である必要は無く、1.2以下で十分である。また、上記比率が1.0以下であっても、液晶表示装置に求められる視野角特性(左右180度、上下120度程度)を満足することは十分可能である。
【0037】
(厚み斑)
ポリエステルフィルムのリタデーションの変動を抑制する為には、フィルムの厚み斑が小さいことが好ましい。この観点から、ポリエステルフィルムの厚み斑は5%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましく、4%以下であることがよりさらに好ましく、3%以下であることが特に好ましい。フィルムの厚み斑は、次の手順で測定することができる。フィルムロールからTD方向にフィルムを40mm幅に切出す。切り出したサンプルをアンリツ製接触式連続厚み計(送り出し速度:1.5m/min、サンプリング周期:100ms)により連続的にTD方向の厚みを測定し、平均値、最大値、最小
値を求める。厚みムラは、以下の式で算出した値の絶対値とした。
厚み斑=((測定結果の最大値)-(測定結果の最小値))/(測定結果の平均値)×1
00(%)
【0038】
(フィルム厚み)
ポリエステルフィルムの厚みは、特に制限されないが、通常15~300μmであり、好ましくは15~200μmである。フィルム厚みが15μm未満では、フィルムの力学特性の異方性が顕著となり、裂け、破れ等を生じる場合がある。特に好ましい厚みの下限は25μmである。一方、偏光子保護フィルムの厚みの上限は、300μmを超えると偏光板の厚みが厚くなりすぎてしまい好ましくない。偏光子保護フィルムとしての実用性の観点から、厚みの上限は200μmが好ましい。特に好ましい厚みの上限は一般的なTACフィルムと同等程度の100μmである。
【0039】
(光透過率)
ポリエステルフィルムは、偏光子に含まれるヨウ素色素等の光学機能性色素の劣化を抑制する観点から、波長380nmの光線透過率が20%以下であることが望ましい。380nmの光線透過率は15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下が特に好ましい。前記光線透過率が20%以下であれば、光学機能性色素の紫外線による変質を抑制することができる。光線透過率は、フィルムの平面に対して垂直方法に測定したものであり、分光光度計(例えば、日本分光製分光光度計V-7100)を用いて測定することができる。
【0040】
配向ポリエステルフィルムの波長380nmの透過率は、配合する紫外線吸収剤の種類及び濃度、並びにフィルムの厚みを適宜調節することで20%以下に制御することができる。本発明で使用される紫外線吸収剤には、公知の紫外線吸収剤を適宜選択して使用することができる。具体的な紫外線吸収剤としては、有機系紫外線吸収剤と無機系紫外線吸収剤が挙げられるが、透明性の観点から有機系紫外線吸収剤が好ましい。
【0041】
有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、及び環状イミノエステル系等、並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが特に限定されない。耐久性の観点からはベンゾトアゾール系、又は環状イミノエステル系が特に好ましい。2種以上の紫外線吸収剤を併用した場合には、別々の波長の紫外線を同時に吸収させることができるので、より紫外線吸収効果を改善することができる。
【0042】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びアクリロニトリル系紫外線吸収剤としては、例えば、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロ
イルオキシメチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-5’-(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2,2’-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール等が挙げられる。環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジノン-4-オン)、2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-ブチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、2-フェニル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
ポリエステルフィルムに紫外線吸収剤を配合する場合、配向ポリエステルフィルムを3層以上の多層構造とし、フィルムの最外層以外の層(即ち、中間層)に紫外線吸収剤を添加することが好ましい。
【0044】
(その他の成分等)
配向ポリエステルフィルムには、紫外線吸収剤以外に、本発明の効果を妨げない範囲で、各種の添加剤を含有させることも好ましい様態である。添加剤として、例えば、無機粒子、耐熱性高分子粒子、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、リン化合物、帯電防止剤、耐光剤、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、ゲル化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。また、高い透明性を奏するためにはポリエステルフィルムに実質的に粒子を含有しないことも好ましい。「粒子を実質的に含有させない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。
【0045】
(易接着層)
本発明においては、偏光子との接着性を改良のために、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリアクリル樹脂の少なくとも1種類を主成分とする易接着層を有することが好ましい。ここで、「主成分」とは易接着層を構成する固形成分のうち50質量%以上である成分をいう。易接着層の形成に用いる塗布液は、水溶性又は水分散性の共重合ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂の内、少なくとも1種を含む水性塗布液が好ましい。これらの塗布液としては、例えば、特許第3567927号公報、特許第3589232号公報、特許第3589233号公報、特許第3900191号公報、特許第4150982号公報等に開示された水溶性又は水分散性共重合ポリエステル樹脂溶液、アクリル樹脂溶液、及びポリウレタン樹脂溶液等が挙げられる。
【0046】
易接着層は、上記塗布液を未延伸フィルム又は縦方向の1軸延伸フィルムの片面又は両面に塗布した後、100~150℃で乾燥し、さらに横方向に延伸して得ることができる。最終的な易接着層の塗布量は、0.05~0.2g/mに管理することが好ましい。塗布量が0.05g/m未満であると、得られる偏光子との接着性が不十分となる場合がある。一方、塗布量が0.2g/mを超えると、耐ブロッキング性が低下する場合がある。ポリエステルフィルムの両面に易接着層を設ける場合は、両面の易接着層の塗布量は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して上記範囲内で設定することができる。
【0047】
易接着層には易滑性を付与するために粒子を添加することが好ましい。微粒子の平均粒径は2μm以下であることが好ましい。粒子の平均粒径が2μmを超えると、粒子が被覆層から脱落しやすくなる。易接着層に含有させる粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等の無機粒子や、スチレン系、アクリル系、メラミン系、ベンゾグアナミン系、シリコーン系等の有機ポリマー系粒子等が挙げられる。これらは、単独で易接着層に添加されてもよく、2種以上を組み合わせて添加することもできる。
【0048】
粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で粒子の写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2~5mmとなるような倍率で、300~500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を計算して得ることができる。
【0049】
塗布液は、公知の方法を用いて塗布することができる。例えば、リバースロール・コート法、グラビア・コート法、キス・コート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法等が挙げられる。これらの方法を単独であるいは組み合わせて行うことができる。
【0050】
ポリエステルフィルムには、偏光子との接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
【0051】
(機能層)
ポリエステルフィルムの偏光子が配置される面とは反対側の面に、写り込み防止やギラツキ抑制、キズ抑制等を目的として、種々の機能層、すなわちハードコート層、防眩層、反射防止層、低反射層、低反射防止層、及び反射防止防眩層、帯電防止層からなる群より選択される1種以上の機能層を配向ポリエステル表面に設けることも好ましい様態である。種々の機能層を設けるに際して、配向ポリエステルフィルムはその表面に易接着層を有することが好ましい。その際、反射光による干渉を抑える観点から、易接着層の屈折率を、機能層の屈折率と配向ポリエステルフィルムの屈折率の相乗平均近傍になるように調整することが好ましい。易接着層の屈折率の調整は、公知の方法を採用することができ、例えば、バインダー樹脂に、チタンやジルコニウム、その他の金属種を含有させることで容易に調整することができる。
【0052】
(ポリエステルフィルムの製造方法)
偏光子保護フィルムとして用いるポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。一軸延伸フィルムでも、二軸延伸フィルムであっても良い。
【0053】
(熱収縮率の傾き低減)
フィルム流れ方向又は幅方向に対する熱収縮率が最大となる方向の傾きの絶対値を15度以下に制御する手段は特に制限されないが、次の点に留意することが好ましい。即ち、テンター内の熱処理工程後の冷却区間では、熱固定で除去しきれなかった延伸に伴う収縮応力と冷却に伴う熱応力が存在する。また、端部のフィルムはクリップで拘束されているのに対して中央部のフィルムは比較的伸縮可能であることから、冷却区間でフィルム流れ方向と幅方向における応力の分布に偏りが存在する。これらが主な原因となり、熱収縮率の傾きが発生する。このような事情を踏まえ、以下に熱収縮率の傾きを低減する具体的な手段を例示する。
【0054】
(熱収縮率の傾きの低減方法1)
熱固定後の冷却区間で、クリップ間隔をフィルム流れ方向に狭め、テンター冷却区間でのフィルムの流れ方向の応力を均一にでき、熱収縮率の傾きを低減することが出来る。よって、熱収縮率の傾きを低減するには、クリップ間隔を狭める温度帯を適切に調整することが好ましい。フィルム組成やフィルム製造条件によって異なるため、特に限定されないが、温度が高すぎる場合、流れ方向に対して左側端部(フィルムを上から見た場合)のフィルムは熱収縮率の傾きが正の方向に大きくなる(右側端部は負の方向に大きくなる)。また、温度が低すぎる場合、フィルムの熱収縮量が小さ過ぎ、平面性不良となるため好ましくない。このように、クリップ間隔を狭める温度を適正な範囲に設定することでテンター冷却区間での流れ方向の応力を均一にして、熱収縮率の傾きを低減させることが出来る。
【0055】
熱収縮率の傾きを低減するには、フィルム流れ方向にクリップ間隔を狭める緩和率も重要である。フィルム組成やフィルム製造条件によって異なるため、特に限定されないが、緩和率は、0.01~3%が好ましく、0.05~1.5%がより好ましい。緩和率が高すぎる場合、フィルムが縮みきらず、平面性不良となるため好ましくない。また、緩和率が低すぎる場合、熱収縮率の傾きの低減効果が低くなる。ここにおける緩和率とは、図3に示すようなクリップの中心間距離を用いて、下記の式で計算することが出来る。
緩和率=(((緩和前のクリップ間距離)―(緩和後のクリップ間距離))/(緩和前のクリップ間距離))×100(%)
幅方向の熱収縮率が高すぎる場合には、熱収縮率の傾きが大きくなる傾向がある。そのため、テンターレールパターンを調整し、フィルム幅方向にクリップ間隔を狭める緩和率と温度を適切に調整することがより好ましい。このように、クリップ間隔をフィルム流れ方向に狭める温度帯と緩和率を適当な範囲に設定すること、及び、必要に応じてテンターレールパターンを幅方向の収縮率が大きくなり過ぎないように適切に調整することでテンター冷却区間での流れ方向の応力を均一にして、熱収縮率の傾きを低減させることが出来る。
【0056】
(熱収縮率の傾きの低減方法2)
熱固定後の冷却区間で、フィルム端部をクリップから分離し、クリップによる拘束から開放してテンター冷却区間での幅方向の応力を均一にすることができる。また、巻き取り工程の張力を適正な値に調整することにより、テンター冷却区間での流れ方向の応力を均一にすることができる。このようにして、テンター冷却区間での流れ方向の応力を均一にすることにより熱収縮率の傾きを低減することが出来る。
【0057】
フィルム端部をクリップから分離する方法は特に限定されないが、従来公知である方法を用いれば良い。具体的には、クリップからフィルムを切断する方法、及び、クリップを開放する方法を挙げることができる。グリップからフィルムを切断する方法は、任意であり、例えば、シェア刃を用いた切断又はレーザーを用いた溶断を挙げることができる。これらの方法を組み合わせて実施することもできる。クリップからフィルムを切断する場合は、フィルム両端のクリップに近接する位置で行うことが望ましい。
【0058】
フィルム端部をクリップから分離する際のフィルム温度は、50℃~300℃であることが望ましい。フィルムの融点Tmに対してフィルム温度が高い程、フィルムの平面性を維持することが難しく、また、フィルムのガラス転移温度Tgに対してフィルム温度が低すぎる場合、熱収縮率の傾きが低減し難くなる。そのため、(ガラス転移温度Tg-20℃)よりも高く、(融点Tm-10℃)よりも低い温度でフィルムをクリップから切断分離することが望ましい。ここでのフィルム温度は、放射温度計による測定値である。
【0059】
フィルム端部をクリップから分離する場合には巻き取り工程での張力を適切に調整することが好ましい。適切な張力はフィルム組成、厚み、及びフィルム製造条件によって異なるため、特に限定されないが、0.01~3kg/mmが好ましく、より好ましくは0.1~2kg/mmである。張力が高すぎる場合、流れ方向に対して左側端部のフィルムは熱収縮率の傾きが正の方向に大きくなる(右側端部は負の方向に大きくなる)。また、張力が低すぎる場合、流れ方向に対して左側端部のフィルムは熱収縮率の傾きが負の方向に大きくなる(右側端部は正の方向に大きくなる)。ただし、これら傾向は流れ方向を基準に角度を評価した場合であって、幅方向を基準とした場合は正負が逆の傾向となる。
【0060】
幅方向の熱収縮率が高すぎる場合、熱収縮率の傾きは大きくなる。そのため、フィルム端部をクリップから分離する前のレールパターンを調整し、上述のようにフィルム幅方向にクリップ間隔を狭める緩和率及び温度を調整することが好ましい。このように、張力を適当な範囲に設定することでテンター冷却区間での流れ方向の応力を均一にして、熱収縮率の傾きを低減させることが出来る。
【0061】
(熱収縮率の傾きの低減方法3)
低減方法2と同様の考え方で、テンター出口のフィルム温度を所定温度(即ち、ガラス転移温度Tg-20℃)よりも高く、且つ、所定温度(融点Tm-70℃)よりも低くすることでも熱収縮率の傾きを低減することが出来る。この場合、効果が室温に左右されるため、室温を制御することが望ましい。
【0062】
(熱収縮率の傾きの低減方法4)
テンター熱固定後の冷却工程の温度設定を調整することでも熱収縮率の傾きを低減可能である。例えば、図4に示すように熱固定温度~テンター出口温度を、テンター長手方向に沿って、-15/X~-100/X(℃/m)となるようなに設定することが好ましい。ここで、Xはテンター出口幅(m)を示す。よって、例えば、テンター出口幅が2mの場合は、テンター長手方向に1m進むごとに、-7.5℃~-50℃の範囲で温度降下させることが好ましい。上記温度は、テンター出口幅あたりの温度を示すため、以下、これを単位幅あたりの温度設定と呼ぶ。
【0063】
また、テンター出口温度は通常Tg以下に設定することが好ましい。単位幅あたりの温度設定が、長手方向に-100/X(℃/m)以下の場合、熱収縮率の傾きが15度を超
えるため好ましくなく、-15/X(℃/m)以上の場合、熱収縮率の傾きは十分に低減
出来るものの、テンター設備投資が過大となるため好ましくない。
【0064】
(熱収縮率の傾きの低減方法5)
熱収縮率の傾きがあるフィルムでも、一度巻き取ったロールを、例えば、80℃~120℃、10秒~90分間、オフラインアニール処理することで、熱収縮率の傾きを低減することが出来る。オフラインアニール処理の場合、アニール処理の温度、時間を十分確保して調節することが好ましい。また、従来公知のテンター出口~巻き取りロールの間でインラインアニール処理をすることも望ましい。この場合も、上記オフラインアニール処理と同様にアニール処理の温度、時間を十分確保することが好ましく、エアーキャンロールを使用することは、熱処理効率や平面性維持の点でより望ましい。
【0065】
これらの低減方法1~5は、いずれかの方法を単独で実施してもよいし、組み合わせて実施しても構わない。これらの方法により、熱収縮率の傾きを15度以下にすることができる。
【0066】
ポリエステルフィルムは、縦延伸、横延伸された後、熱処理工程を経て、両縁部を裁断してミルロールにし、必要に応じてスリットすることでスリットロールとなる。両縁部と
は、フィルムの幅全体の長さを100%とし、フィルム両端から好ましくは1%~10%の範囲、より好ましくは1%~5%の範囲のことである。なお、ここでいう両端とは、上記低減方法2について説明した切断前のフィルム両端と同じである。このうち、ミルロールを3等分した際の両側の領域は、は、特に熱収縮率の傾きの絶対値が大きくなる傾向にあるため、この領域の熱収縮率の傾きの絶対値を15度以下に制御することが好ましい。
【0067】
上述する特定のリタデーション及びNz係数を有する配向ポリエステルフィルムは、製膜時の条件(例えば、延伸倍率、延伸温度、フィルムの厚み等)を調節することにより得ることができる。例えば、延伸倍率が高いほど、延伸温度が低いほど、フィルムの厚みが厚いほど高いリタデーションが得られ易い。一方、延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、フィルムの厚みが薄いほど、低いリタデーションが得られ易い。
【0068】
具体的な製膜条件としては、例えば、縦延伸温度及び横延伸温度は、80~145℃が好ましく、より好ましくは90~140℃である。縦延伸倍率は1.0~3.5倍が好ましく、より好ましくは1.0倍~3.0倍である。また、横延伸倍率は2.5~6.0倍が好ましく、より好ましくは3.0~5.5倍である。
【0069】
リタデーションを上述する特定の範囲に制御するためには、縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましい。縦横の延伸倍率の差が小さすぎるとリタデーションを高くすることが難しくなり好ましくない。また、延伸温度を低く設定することもリタデーションを高くする上では好ましい。続く熱処理の温度は、100~250℃が好ましく、より好ましくは180~245℃である。
【0070】
Nz係数を上述の特定の値にするためには、縦延伸倍率と横延伸倍率の比率を制御することが好ましく、一軸延伸フィルムとすることが好ましい。また、Nz係数を下げるためには、ポリマーの分子量を上げる、結晶性を下げるために共重合成分を添加することも好ましい。更に、フィルムのNz係数を特定の範囲に制御するためには、トータル延伸倍率、延伸温度を適宜設定することにより行うことが出来る。例えば、トータル延伸倍率が低いほど、延伸温度が高いほど、低いNz係数を得ることが出来る。
【0071】
面配向度を上述の特定値にするためは、トータル延伸倍率を制御することが好ましい。トータル延伸倍率が高すぎると、面配向度が高くなりすぎるため好ましくない。また延伸温度を制御することも面配向度を低くする上では好ましい。縦延伸倍率と横延伸倍率の差を大きくし、トータル延伸倍率を低く設定し、延伸温度を高く設定することで、Nz係数、面配向度を特定の値以下とすることが可能となる。
【0072】
延伸温度及び延伸倍率はフィルムの厚み斑に大きな影響を与えることから、厚み斑の観点からも製膜条件の最適化を行うことが好ましい。特にリタデーションを高くするために縦延伸倍率を低くすると、縦厚み斑が悪くなることがある。縦厚み斑は延伸倍率のある特定の範囲で非常に悪くなる領域があることから、この範囲を外したところで製膜条件を設定することが望ましい。
【0073】
配向ポリエステルフィルムへの紫外線吸収剤の配合は、公知の方法を組み合わせて実施できる。例えば、混練押出機を用いて、乾燥させた紫外線吸収剤とポリマー原料とをブレンドして予めマスターバッチを作製し、フィルム製膜時に所定の該マスターバッチとポリマー原料を混合する方法等によって配合することができる。
【0074】
上記マスターバッチの紫外線吸収剤濃度は紫外線吸収剤を均一に分散させ、且つ経済的に配合するために5~30質量%の濃度にするのが好ましい。マスターバッチを作製する条件としては混練押出機を用い、押し出し温度はポリエステル原料の融点以上、290℃
以下の温度で1~15分間で押し出すことが好ましい。290℃以上では紫外線吸収剤の減量が大きく、また、マスターバッチの粘度低下が大きくなる。1分以下の押し出しでは紫外線吸収剤の均一な混合が困難となる。この時、必要に応じて安定剤、色調調整剤、帯電防止剤を添加しても良い。
【0075】
3層以上の多層構造を有する配向ポリエステルフィルムの中間層への紫外線吸収剤の配合は、次のよう手法で実施することができる。外層用としてポリエステルのペレット単独、中間層用として紫外線吸収剤を含有したマスターバッチとポリエステルのペレットを所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、キャスティングロール上で冷却固化せしめて未延伸フィルムを作る。すなわち、2台以上の押出機、3層のマニホールド又は合流ブロック(例えば角型合流部を有する合流ブロック)を用いて、両外層を構成するフィルム層、中間層を構成するフィルム層を積層し、口金から3層のシートを押し出し、キャスティングロールで冷却して未延伸フィルムを作る。
【0076】
光学欠点の原因となる、原料のポリエステル中に含まれている異物を除去するため、配向ポリエステルフィルムの製造過程において、溶融押し出しの際に高精度濾過を行うことが好ましい。溶融樹脂の高精度濾過に用いる濾材の濾過粒子サイズ(初期濾過効率95%)は、15μm以下が好ましい。濾材の濾過粒子サイズが15μmを超えると、20μm以上の異物の除去が不十分となりやすい。
【0077】
1.偏光板
偏光板は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール系フィルム等からなる偏光子の両側を2枚の偏光子保護フィルムで挟んだ構成であり、前記2枚の偏光子保護フィルムのうち少なくとも一方が、熱収縮率の傾きの絶対値が特定範囲のポリエステルフィルムであることが好ましい。また、一実施形態において、偏光板は、偏光子の一方の面に偏光子保護フィルムが積層された構成であることが好ましい。偏光子と偏光子保護フィルムは接着剤を介して積層され、通常、70℃~120℃の範囲で10分~60分ほど熱処理して偏光板が得られる。
【0078】
(偏光子保護フィルムの配置)
液晶表示装置では、上記特定のポリエステルフィルムが、一対の偏光板の両方の偏光子保護フィルムとして使用されることが好ましい。一対の偏光板とは、液晶に対して入射光側に配置される偏光板と液晶に対して出射光側に配置される偏光板との組み合わせを意味する。即ち、当該ポリエステルフィルムは、入射光側の偏光板と出射光側の偏光板の両方の偏光板に用いられることが好ましい。当該ポリエステルフィルムは、各偏光板を構成する偏光子の少なくとも一方の面に積層されていれば良い。
【0079】
好適な一実施形態において、当該ポリエステルフィルムは、入射光側の偏光板の入射光側の偏光子保護フィルムとして使用され、且つ、出射光側の偏光板の出射光側の偏光子保護フィルムとして使用される。偏光板を構成する偏光子の一方の面のみに当該配向ポリエステルフィルムが積層される場合、他方の面には任意の偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム等)を使用すること、又は、偏光子保護フィルムを設けないことが可能である。入射光側に配される偏光板の液晶セル側の偏光子保護フィルム及び出射光側に配される偏光板の液晶セル側(即ち、入射光側)の偏光子保護フィルムとして当該ポリエステルフィルムを採用すると、液晶セルの偏光特性を変化させてしまう可能性があるため、これらの位置の偏光子保護フィルムは、当該ポリエステルフィルム以外の偏光子保護フィルム(例えば、TACフィルム、アクリルフィルム、ノルボルネン系フィルムに代表されるような複屈折が無いフィルム)を用いることが好ましい。これらのフィルムも熱収縮率の傾きの絶対値は小さいほうが好ましい。
【0080】
2.液晶表示装置
一般に、液晶表示装置は、バックライト光源に対向する側から画像を表示する側(視認側又は出射光側)に向かう順に、後面モジュール、液晶セル及び前面モジュールから構成されている。後面モジュール及び前面モジュールは、一般に、透明基板と、その液晶セル側表面に形成された透明導電膜と、その反対側に配置された偏光板とから構成されている。ここで、偏光板は、後面モジュールでは、バックライト光源に対向する側に配置され、前面モジュールでは、画像を表示する側(視認側又は出射光側)に配置されている。
【0081】
(バックライト光源)
液晶表示装置は少なくとも、バックライト光源、2つの偏光板、及び2つの偏光板の間に配された液晶セルを構成部材として含む。本発明の液晶表示装置は、これら以外の他の構成部材、例えば、カラーフィルター、レンズフィルム、拡散シート、反射防止フィルム等を適宜有しても構わない。
【0082】
バックライトの構成は、導光板や反射板等を構成部材とするエッジライト方式であっても、直下型方式であっても構わない。バックライト光源は、連続した幅広い発光スペクトルを有する白色光源であることが好ましい。ここで、連続した幅広い発光スペクトルとは、少なくとも450nm~650nmの波長領域、好ましくは可視光の領域において光の強度がゼロになる波長が存在しない発光スペクトルを意味する。このような連続した幅広い発光スペクトルを有する白色光源としては、例えば、白色LEDを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0083】
本発明で使用可能な白色LEDには、蛍光体方式、すなわち化合物半導体を使用した青色光、もしくは紫外光を発する発光ダイオードと蛍光体を組み合わせることにより白色を発する素子や、有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)等が含まれる。蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系の黄色蛍光体やテルビウム・アルミニウム・ガーネット系の黄色蛍光体等を挙げることができる。白色LEDの中でも、化合物半導体を使用した青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色発光ダイオードは、連続的で幅広い発光スペクトルを有していると共に発光効率にも優れるため、本発明のバックライト光源として好適である。白色LEDは消費電力が小さいため、それを利用した本発明の液晶表示装置は、省エネルギー化にも資する。
【0084】
従来からバックライト光源として広く用いられている冷陰極管や熱陰極管等の蛍光管は、発光スペクトルが特定波長にピークを有する不連続な発光スペクトルを有する。よって、虹斑を抑制する効果を得ることは困難であるため、本発明の液晶表示装置の光源としては好ましくない。
【実施例0085】
以下、実施例を参照して本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されず、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0086】
実施例における物性の評価方法は以下の通りである。
(1)熱収縮率とその傾き
スリットロールの各切り出し部から切り出されたポリエステルフィルムを一辺21cmの正方形状に切り出し、23℃、65%RHの雰囲気で2時間以上放置した。このポリエステルフィルムの中央を中心とする直径80mmの円を描き、二次元画像測定機(MIT
UTOYO製QUICK IMAGE)を使用して、フィルムの流れ方向を0度として5間隔で直径を測定した。ここで、フイルム流れ方向を0度として、フィルム上面において時計回り(右回り)を正の角度、反時計回り(左回り)を負の角度と設定した。直径を測定したため、-90度~85度の範囲の測定で、全方向について測定された。次いで、このポリエステルフィルムを85℃で30分間、水中で加熱処理した後、フィルム表面に付着した水分を拭き取り、風乾してから23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した。その後、上記と同様に円の直径を5度間隔で測定した。熱処理前の直径をLo、熱処理後の同方向の直径をLとし、下記の式に従って、各方向の熱収縮率を求めた。
【0087】
熱収縮率(%)=((L- L)/ L)×100
【0088】
(熱収縮率の最大値)
全方向での熱収縮率のうち最大となる値を最大熱収縮率とする。各スリットロール(L、C、R)についてフィルム幅方向に3点サンプリング(中央、両端部の3点)して同様の評価を行い、3つの最大熱収縮率の平均値を熱収縮率の最大値として表1に記載した。なお、今回の実施例ではいずれのスリットロールも中央と両端部の3点とも最大熱収縮率は5%以下であった。
【0089】
(熱収縮率の最大方向(α)の読み取り)
全方向の熱収縮率を求めた結果から、熱収縮率の傾きを次の通り測定した。得られた測定値(-90度~85度)を図2のように横軸を角度、縦軸をその角度に対応する熱収縮率としてプロットし、-180度~-95度、90度~175度の値を補間した。(-9
0度の熱収縮率が90度の熱収縮率に対応し、0度の熱収縮率が-180度の熱収縮率に対応する。) 次に、プロットを結ぶ近似曲線を引き熱収縮率が最大となる方向を精度1度で読み取り、αと定義した。但し、-90度≦α≦90度である。
【0090】
(熱収縮率の傾き)
熱収縮率が最大となる方向αが-45度~45度の範囲にある場合には、その値を熱収縮率の傾きとした。また、熱収縮率が最大となる方向αが45度以上及び-45度以下の場合には、フィルム流れ方向ではなく、フィルム幅方向を基準に傾いていると解し、α-90度(αが45度以上の場合)、90度+α(αが-45度以下の場合)を熱収縮率の傾きとした。以上の測定を各スリットロール(L、C、R)についてフィルム幅方向に3点サンプリング(中央、両端部の3点)して同様に行い、3つの熱収縮率の傾きの絶対値の平均を熱収縮率の傾きとして表1に記載した。尚、今回の実施例では、中央と両端部の3点とも熱収縮率の傾きの絶対値が15度以下となっていた。
【0091】
(2)光漏れ評価方法
PVAフィルムからなる偏光子の片側に、トリアセチルセルロースフィルム(富士フイル
ム(株)社製、厚み80μm)を張り合わせ、もう一方の面に後述する方法で作製したポリエステルフィルムを貼り合せた。張り合わせには接着剤を使用しオーブンで85℃30分間加熱処理をして、偏光板を製造した。なお、偏光子の偏光軸と、ポリエステルフィルムの主配向軸が互いに垂直になるように貼り合せた。こうして得られた2枚の偏光板を、クロスニコルに配置した。この際、2枚の偏光板を、それぞれのポリエステルフィルムが偏光子よりも外側に位置するように配置した。そして、日本分光製分光光度計V7100を用いて、当該2枚の偏光板を透過する550nm~600nmの波長の光の最大光線透過率を測定した。測定結果について、下記の通り評価した。
○ :最大光線透過率が0.02%以下
× :最大光線透過率が0.02%以上
【0092】
(3)リタデーション(Re)
リタデーションとは、フィルム上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|nx-ny|)とフィルム厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性及び異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)を用いてフィルムの配向軸方向を求め、配向軸方向が長辺となるように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(nx,ny)、及び厚さ方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR-4T、測定波長589nm)を用いて測定し、前記二軸の屈折率の差の絶対値(|nx-ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。フィルムの厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)とフィルムの厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、リタデーション(Re)を求めた。
【0093】
(4)Nz係数
|ny-nz|/|ny-nx|で得られる値をNz係数とした。ただし、ny>nxとなるように、ny及びnxの値を選択した。
【0094】
(5)面配向度(△P)
(nx+ny)/2-nzで得られる値を面配向度(△P)とした。
【0095】
(6)厚さ方向リタデーション(Rth)
厚さ方向リタデーションとは、フィルム厚さ方向断面から見たときの2つの複屈折△Nxz(=|nx-nz|)、△Nyz(=|ny-nz|)にそれぞれフィルム厚さdを掛けて得られるリタデーションの平均を示すパラメーターである。リタデーションの測定と同様の方法でnx、ny、nzとフィルム厚みd(nm)を求め、(△Nxz×d)と(△Nyz×d)との平均値を算出して厚さ方向リタデーション(Rth)を求めた。
【0096】
(7)虹斑観察
PVAとヨウ素からなる偏光子の片側に後述する方法で作成したポリエステルフィルムを偏光子の偏光軸とポリエステルフィルムの配向主軸が垂直になるように貼り付け、その反対側の面にTACフィルム(富士フィルム(株)社製、厚み80μm)を貼り付けて偏光板を作成した。得られた偏光板を液晶を挟んで両側に一枚ずつ、各偏光板がクロスニコルの関係になるよう配置して液晶表示装置を作製した。各偏光板は、前記ポリエステルフィルムが液晶とは反対側(遠位)となるように配置された。液晶表示装置の光源には、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット系黄色蛍光体とを組み合わせた発光素子からなる白色LEDを光源(日亜化学、NSPW500CS)に用いた。このような液晶表示装置の正面、及び斜め方向から目視観察し、虹斑の発生有無について、以下のように判定した。
A: いずれの方向からも虹斑の発生無し。
A’:斜め方向から観察したときに、角度によって極薄い虹斑が観察される。
B: 斜め方向から観察したときに、角度によって薄い虹斑が観察される。
C: 斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
D: 正面方向及び斜め方向から観察したときに、虹斑が観察される。
【0097】
(8)引裂き強度
東洋精機製作所製エレメンドルフ引裂試験機を用いて、JIS P-8116に従い、各フィルムの引裂き強度を測定した。引裂き方向はフィルムの配向主軸方向と平行となるように行ない、以下のように判定した。なお、配向主軸方向の測定は分子配向計(王子計測器株式会社製、MOA-6004型分子配向計)で測定した。
【0098】
○:引裂き強度が50mN以上
×:引裂き強度が50mN未満
【0099】
(製造例1-ポリエステルA)
エステル化反応缶を昇温し200℃に到達した時点で、テレフタル酸を86.4質量部及びエチレングリコール64.6質量部を仕込み、撹拌しながら触媒として三酸化アンチモンを0.017質量部、酢酸マグネシウム4水和物を0.064質量部、トリエチルアミン0.16質量部を仕込んだ。ついで、加圧昇温を行いゲージ圧0.34MPa、240℃の条件で加圧エステル化反応を行った後、エステル化反応缶を常圧に戻し、リン酸0.014質量部を添加した。さらに、15分かけて260℃に昇温し、リン酸トリメチル0.012質量部を添加した。次いで15分後に、高圧分散機で分散処理を行い、15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、280℃で減圧下重縮合反応を行った。
【0100】
重縮合反応終了後、95%カット径が5μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、ノズルからストランド状に押出し、予め濾過処理(孔径:1μm以下)を行った冷却水を用いて冷却、固化させ、ペレット状にカットした。得られたポリエチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度は0.62dl/gであり、不活性粒子及び内部析出粒子は実質上含有していなかった。(以後、PET(A)と略す。)
【0101】
(製造例2-ポリエステルB)
乾燥させた紫外線吸収剤(2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンズオキサジノン-4-オン)10質量部、粒子を含有しないPET(A)(固有粘度が0.62dl/g)90質量部を混合し、混練押出機を用い、紫外線吸収剤含有するポリエチレンテレフタレート樹脂(B)を得た。(以後、PET(B)と略す。)
【0102】
(製造例3-接着性改質塗布液の調整)
常法によりエステル交換反応及び重縮合反応を行って、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)テレフタル酸46モル%、イソフタル酸46モル%及び5-スルホナトイソフタル酸ナトリウム8モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコール50モル%の組成の水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。次いで、水51.4質量部、イソプロピルアルコール38質量部、n-ブチルセルソルブ5質量部、ノニオン系界面活性剤0.06質量部を混合した後、加熱撹拌し、77℃に達したら、上記水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂5質量部を加え、樹脂の固まりが無くなるまで撹拌し続けた後、樹脂水分散液を常温まで冷却して、固形分濃度5.0質量%の均一な水分散性共重合ポリエステル樹脂液を得た。さらに、凝集体シリカ粒子(富士シリシア(株)社製、サイリシア310)3質量部を水50質量部に分散させた後、上記水分散性共重合ポリエステル樹脂液99.46質量部にサイリシア310の水分散液0.54質量部を加えて、撹拌しながら水20質量部を加えて、接着性改質塗布液を得た。
【0103】
(偏光子保護フィルム1)
基材フィルム中間層用原料として粒子を含有しないPET(A)樹脂ペレット90質量部と紫外線吸収剤を含有したPET(B)樹脂ペレット10質量部を135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機2(中間層II層用)に供給し、また、PET(A)を常法により乾燥して押出機1(外層I層及び外層III用)にそれぞれ供給し、285℃で溶解した。この2種のポリマーを、それぞれステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、2種3層合流ブロックにて、積層し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸フィルムを作った。この時、I層、II層、
III層の厚さの比は10:80:10となるように各押し出し機の吐出量を調整した。
【0104】
次いで、リバースロール法によりこの未延伸PETフィルムの両面に乾燥後の塗布量が0.08g/mになるように、上記接着性改質塗布液を塗布した後、80℃で20秒間乾燥した。
【0105】
この塗布層を形成した未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、その後、130℃まで冷却したフィルムをシェア刃で両端部から2%の位置で切断し、0.5kg/mmの張力で巻き取り、両縁部を裁断除去することによって、フィルム厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなるミルロールを得た。このミルロールを3等分して、3本のスリットロール(L,C,R)を得た。なお、フィルム流れ方向に対して左に位置するスリットロールをL、右に位置するスリットロールをR、中央をCとした。
【0106】
(偏光子保護フィルム2)
未延伸フィルムの厚みを変更することにより、厚み約100μmとすること以外は偏光子保護フィルム1と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0107】
(偏光子保護フィルム3)
熱固定後にシェア刃でカットしなかったこと以外は偏光子保護フィルム1と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0108】
(偏光子保護フィルム4)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、加熱されたロール群及び赤外線ヒーターを用いて105℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で走行方向に2倍延伸した後、偏光子保護フィルム1と同様の方法で幅方向に4.0倍延伸し、その後、140℃まで冷却したフィルムをシェア刃で両端部から2%の位置で切断し、0.65kg/mmの張力で巻き取り、未延伸フィルムの厚みを調整することによりフィルム厚み約50μmの二軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0109】
(偏光子保護フィルム5)
フィルムをクリップから分離する方法として、シェア刃でカットする方法からクリップを開放する方法に変更したこと以外は偏光子保護フィルム1と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0110】
(偏光子保護フィルム6)
偏光子保護フィルム1と同様の方法で、走行方向に1.0倍、幅方向に3.5倍延伸して、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0111】
(偏光子保護フィルム7)
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、未延伸フィルムの厚みを変更し、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135℃として、厚み約100μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0112】
(偏光子保護フィルム8)
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を3.8倍、延伸温度を135
℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0113】
(偏光子保護フィルム9)
熱固定後にシェア刃でカットしなかったこと以外は偏光子保護フィルム8と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0114】
(偏光子保護フィルム10)
偏光子保護フィルム1と同様の方法を用い、横延伸倍率を4.2倍、延伸温度を135℃として、厚み約50μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0115】
(偏光子保護フィルム11)
シェア刃で切断後の巻き取り張力を0.2kg/mmとした以外は偏光子保護フィルム10と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0116】
(偏光子保護フィルム12)
熱固定後にシェア刃でカットしなかったこと以外は偏光子保護フィルム10と同様にして一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0117】
(偏光子保護フィルム13)
偏光子保護フィルム4と同様の方法で、走行方向に1.8倍、幅方向に2.0倍延伸し、また、シェア刃で切断後の巻き取り張力を0.2kg/mmとしたフィルム厚み約275μmの二軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0118】
(偏光子保護フィルム14)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、90℃~70℃の温度区間で流れ方向に0.2%クリップ間隔を狭めて、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0119】
(偏光子保護フィルム15)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、90℃~70℃の温度区間で流れ方向に0.1%クリップ間隔を狭めて、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0120】
(偏光子保護フィルム16)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、110℃~70℃の温度区間で流れ方向に0.2%クリップ間隔を狭めて、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0121】
(偏光子保護フィルム17)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、150℃~100℃の温度区間で流れ方向に0.4%クリップ間隔を狭めて、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0122】
(偏光子保護フィルム18)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、単位幅あたりに-55℃/mの温度設定で冷却し、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0123】
(偏光子保護フィルム19)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、単位幅あたりに-35℃/mの温度設定で冷却し、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0124】
(偏光子保護フィルム20)
偏光子保護フィルム1と同様の方法により作製された未延伸フィルムを、テンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に3.5倍延伸し、次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、単位幅あたりに-120℃/mの温度設定で冷却し、フィルム厚み約75μmの一軸配向PETフィルムからなる3本のスリットロール(L,C,R)を得た。
【0125】
偏光子保護フィルム1~20について、熱収縮率の傾きの絶対値、熱収縮率の最大値、及び光漏れ評価の結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
表1において、「フィルム」とは、上記の偏光子保護フィルムを意味する。
【0128】
また、偏光子保護フィルム1~20を用いて上述するように作製した液晶表示装置について虹斑観察及び引裂き強度を測定した結果を以下の表2に示す。
【0129】
【表2】
【0130】
表1に示された結果から、熱収縮率の傾きの絶対値が15度以下であれば、2枚の偏光板がクロスニコルの関係になるように配置した場合の僅かな光の漏れを抑制することができることが示された。また、偏光子保護フィルム1~20の熱収縮率の最大値は全て1%未満であった。
【0131】
表2に示された結果から、配向ポリエステルフィルムのリタデーションが4000以上であり、且つ、そのNz係数が1.7以下である場合に、虹斑の発生が顕著に抑制されることが示された。また、この条件に加えて、配向ポリエステルフィルムの面配向度を0.
13以下に制御することによって、より効果的に虹斑の発生を抑制することが可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明によれば、2枚の偏光板をクロスニコルの関係になるように配置した場合に、僅かな光の漏れの発生が抑制され、優れた視認性を有する液晶表示装置を得るのに好適なポリエステルフィルムからなる偏光子保護フィルムを提供することができる。よって、本発明の産業上の利用可能性は極めて高い。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム流れ方向又は幅方向に対する熱収縮率(85℃、30分間水中で加熱処理したときの熱収縮率)が最大となる方向の傾きの絶対値が15度以下であり、
5度間隔で360度測定したときの熱収縮率の最大値と最小値の差が0.1%を超えるポリエステルフィルムを有し、
前記ポリエステルフィルムの面配向度が0.105以上0.130以下である、偏光子保護フィルム。