(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045418
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】ロボットシステム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240326BHJP
【FI】
A61B34/35
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015538
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2019202762の分割
【原出願日】2019-11-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康彦
(57)【要約】
【課題】ロボットを使用した効率的な手術を可能にする手術システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】手術システムは、手術器具が設けられる器具マニピュレータを有するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、指令の入力を受け付け前記制御装置に出力する操作入力装置とを備え、前記制御装置は、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する動作処理部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術器具が設けられる器具マニピュレータを有するロボットと、
前記ロボットを制御する制御装置と、
指令の入力を受け付け前記制御装置に出力する操作入力装置とを備え、
前記制御装置は、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する動作処理部を含む
手術システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ロボットに自動で所定の手術動作をさせるための情報である自動運転情報を記憶する記憶部をさらに含み、
前記動作処理部は、前記自動運転情報に従って前記自動動作指令を生成する
請求項1に記載の手術システム。
【請求項3】
前記動作処理部は、
前記自動動作指令に従って自動で手術動作をしている前記ロボットの動作を修正するための操作情報である修正操作情報を、前記操作入力装置から受け付け、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットを制御し、
前記ロボットが前記修正動作を行うための情報を前記自動運転情報として前記記憶部に記憶させる
請求項2に記載の手術システム。
【請求項4】
前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された最新の前記自動運転情報を用いて生成された前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する
請求項3に記載の手術システム。
【請求項5】
前記記憶部には複数の前記自動運転情報が記憶されており、
前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された前記複数の自動運転情報の中から、前記自動動作指令の生成に用いる前記自動運転情報を決定する
請求項2~4のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項6】
前記記憶部には複数の前記自動運転情報が記憶されており、
前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された前記複数の自動運転情報を用いて、新たな自動運転情報を生成する
請求項2~5のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項7】
前記制御装置は、
第1機械学習モデルと、
前記ロボットの動作情報と、前記ロボットの手動動作又は前記ロボットの自動動作に対して行われた修正動作を示す第1情報とを記憶する記憶部とをさらに含み、
前記第1機械学習モデルは、前記動作情報と、前記動作情報に対応する前記第1情報とを用いて機械学習し、
学習後の前記第1機械学習モデルは、前記動作情報を入力データとし且つ前記動作情報に対応する対応動作指令を出力データとし、
前記動作処理部は、前記第1機械学習モデルの前記対応動作指令に基づき前記自動動作指令を生成する
請求項1~6のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
第2機械学習モデルと、
前記ロボットの手術動作での処理の対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記ロボットの動作を示す第2情報とを記憶する記憶部とをさらに含み、
前記第2機械学習モデルは、前記対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記第2情報とを用いて機械学習し、
学習後の前記第2機械学習モデルは、前記画像データを入力データとし且つ前記画像データに対応する対応動作指令を出力データとし、
前記動作処理部は、前記第2機械学習モデルの前記対応動作指令に基づき前記自動動作指令を生成する
請求項1~7のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項9】
内視鏡カメラが設けられる内視鏡マニピュレータを前記ロボットにさらに備え、
前記第2機械学習モデルは、前記内視鏡カメラによって撮像された画像データを、前記対象部分の画像データとして用いる
請求項8に記載の手術システム。
【請求項10】
前記動作処理部は、前記ロボットが自動で手術動作をする起点及び終点を指定するための指令の入力を、前記操作入力装置から受け付け、前記起点と前記終点との間の部位を前記ロボットに自動で手術動作をさせる
請求項1~9のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項11】
手術対象領域を撮像するカメラをさらに備え、
前記制御装置は、
前記カメラによって撮像された前記手術対象領域の画像を処理することで、前記手術対象領域を特定する画像処理部と、
前記画像処理部によって特定された前記手術対象領域における手術動作の起点及び終点を決定する決定部とを含み、
前記動作処理部は、前記起点と前記終点との間の部位を前記ロボットに自動で手術動作をさせる
請求項1~10のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項12】
前記動作処理部は、
前記ロボットを手動操作により手術動作をさせるための操作情報である手動操作情報を、前記操作入力装置から受け付け、前記手動操作情報に従って前記ロボットを動作させるための手動動作指令を生成し、前記手動操作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御し、
前記自動動作指令に従った前記ロボットの制御の前及び後の少なくとも一方において、前記手動操作情報を受け付け、前記手動動作指令に従った前記ロボットの制御を行う
請求項1~11のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項13】
複数の前記操作入力装置を備え、
前記動作処理部は、前記複数の操作入力装置のうちの選択された1つの前記操作入力装置から、前記ロボットを手動操作により手術動作をさせるための操作情報である手動操作情報を受け付け、前記手動操作情報に従って前記ロボットを動作させるための手動動作指令を生成し、前記手動操作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する
請求項1~12のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項14】
複数の前記ロボットと、
複数の前記操作入力装置とを備え、
前記制御装置は、
前記複数のロボットの1つと前記複数の操作入力装置の1つとを選択して接続する接続制御部と、
手術中における前記ロボットと前記操作入力装置との組み合わせと、前記組み合わせの実行順序とを記憶する記憶部とをさらに含み、
前記接続制御部は、前記記憶部に記憶された前記組み合わせ及び前記組み合わせの実行順序に従って、前記複数のロボットの選択された1つと前記複数の操作入力装置の選択された1つとを接続する
請求項1~13のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項15】
複数の前記ロボットと、
複数の前記操作入力装置とを備え、
前記制御装置は、前記複数のロボットの1つと前記複数の操作入力装置の1つとを選択して接続する接続制御部をさらに含み、
前記接続制御部は、手術中における前記ロボットと前記操作入力装置との組み合わせと、前記組み合わせの実行順序とを指定するための指令の入力を、前記複数の操作入力装置の少なくとも1つから受け付け、前記複数のロボットの選択された1つと前記複数の操作入力装置の選択された1つとを接続する
請求項1~14のいずれか一項に記載の手術システム。
【請求項16】
手術動作を行うロボットの制御方法であって、
前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、
前記自動動作指令に従って前記ロボットに手術動作をさせる
制御方法。
【請求項17】
記憶部に記憶され且つ前記ロボットに自動で所定の手術動作をさせるための情報である自動運転情報に従って前記自動動作指令を生成する
請求項16に記載の制御方法。
【請求項18】
前記自動動作指令に従って自動で手術動作をしている前記ロボットの動作を修正するための操作情報である修正操作情報を、操作入力装置から受け付け、
受け付けた前記自動操作情報に基づき、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットに動作させ、
前記ロボットが前記修正動作を行うための情報を前記自動運転情報として前記記憶部に記憶させる
請求項17に記載の制御方法。
【請求項19】
第1機械学習モデルに、前記ロボットの動作情報を入力データとして入力させ、前記ロボットの対応動作指令を出力データとして出力させ、
前記対応動作指令に基づき、前記自動動作指令を生成させ、
前記第1機械学習モデルに、操作入力装置を用いて前記ロボットの手動動作又は前記ロボットの自動動作に対して行われた修正動作を示す第1情報と、前記第1情報に対応する前記動作情報とを用いて機械学習させ、
前記第1機械学習モデルによって出力される前記対応動作指令は、前記ロボットの動作情報に対応する指令である
請求項16~18のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項20】
第2機械学習モデルに、前記ロボットの手術動作での処理の対象部分の画像データを入力データとして入力させ、前記ロボットの対応動作指令を出力データとして出力させ、
前記対応動作指令に基づき、前記自動動作指令を生成させ、
前記第2機械学習モデルに、前記対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記ロボットの動作を示す第2情報とを用いて機械学習させ、
前記第2機械学習モデルによって出力される前記対応動作指令は、前記ロボットの動作情報に対応する指令である
請求項16~19のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手術システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、外科手術を支援するためにロボットが用いられている。例えば、特許文献1は、手術器具が器具マニピュレータアームの遠位端に設けられる器具マニピュレータを備える外科手術システムを開示している。この外科手術システムは、外科医の指令を受け付ける操作具が受け付けた手術器具の並進量及び回転量に所定の倍率値を乗算した実並進量及び実回転量に対応して、手術器具を動作させる。並進量の倍率値と回転量の倍率値とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されるように、従来、外科手術を支援するロボットは、外科医等の術者により操作具に入力される操作に対応する動作を行うように構成される。このため、施術結果は、ロボットの術者の施術能力又はロボットを操作する能力に大きく依存する。
【0005】
本開示は、ロボットを使用した効率的な手術を可能にする手術システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る手術システムは、手術器具が設けられる器具マニピュレータを有するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、指令の入力を受け付け前記制御装置に出力する操作入力装置とを備え、前記制御装置は、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する動作処理部を含む。
【0007】
本開示によれば、ロボットを使用した効率的な手術が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る手術システムの構成の一例を示す図
【
図2】実施の形態に係る制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図
【
図3】実施の形態に係る手術システムの手動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図4】実施の形態に係る手術システムの第1自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図5】実施の形態に係る手術システムの第2自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図6】実施の形態に係る手術システムの第3自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図7】実施の形態に係る手術システムの第1自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図8】実施の形態に係る手術システムの第2自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図9】実施の形態に係る手術システムの第2自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図10】実施の形態に係る手術システムの第3自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【
図11】実施の形態に係る手術システムの第3自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本開示の各態様例を説明する。本開示の一態様に係る手術システムは、手術器具が設けられる器具マニピュレータを有するロボットと、前記ロボットを制御する制御装置と、指令の入力を受け付け前記制御装置に出力する操作入力装置とを備え、前記制御装置は、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御する動作処理部を含む。上記態様によると、ロボットの手術動作が自動化されるため、ロボットを使用した効率的な手術が可能になる。
【0010】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記制御装置は、前記ロボットに自動で所定の手術動作をさせるための情報である自動運転情報を記憶する記憶部をさらに含み、前記動作処理部は、前記自動運転情報に従って前記自動動作指令を生成してもよい。上記態様によると、予め記憶部に記憶された自動運転情報に従った動作である自動動作をロボットにさせることで、ロボットの手術動作の自動化が可能になる。
【0011】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記動作処理部は、前記自動動作指令に従って自動で手術動作をしている前記ロボットの動作を修正するための操作情報である修正操作情報を、前記操作入力装置から受け付け、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットを制御し、前記ロボットが前記修正動作を行うための情報を前記自動運転情報として前記記憶部に記憶させてもよい。上記態様によると、術者の操作により、予め記憶部に記憶された自動運転情報に従った自動動作を修正することで、術者の手術技術が反映されたより適切な自動運転情報を生成することができる。よって、手術システムへの術者の技能伝承が可能になる。
【0012】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された最新の前記自動運転情報を用いて生成された前記自動動作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御してもよい。上記態様によると、術者は、自動運転情報に従ったロボットの自動動作の修正を繰り返していくに従い、術者の目的とする手術動作にロボットの自動動作を近づけることができる。
【0013】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記記憶部には複数の前記自動運転情報が記憶されており、前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された前記複数の自動運転情報の中から、前記自動動作指令の生成に用いる前記自動運転情報を決定してもよい。上記態様によると、手術動作に対応して適切な自動運転情報が選択され得るため、適切な自動動作をロボットに実行させることができる。
【0014】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記記憶部には複数の前記自動運転情報が記憶されており、前記動作処理部は、前記記憶部に記憶された前記複数の自動運転情報を用いて、新たな自動運転情報を生成してもよい。上記態様によると、例えば、複数の自動運転情報の長所を強調し且つ複数の自動運転情報の短所を補った新たな自動運転情報の生成が可能になる。よって、目的とする手術動作の実現により近い自動運転情報の生成が可能になる。
【0015】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記制御装置は、第1機械学習モデルと、前記ロボットの動作情報と、前記ロボットの手動動作又は前記ロボットの自動動作に対して行われた修正動作を示す第1情報とを記憶する記憶部とをさらに含み、前記第1機械学習モデルは、前記動作情報と、前記動作情報に対応する前記第1情報とを用いて機械学習し、学習後の前記第1機械学習モデルは、前記動作情報を入力データとし且つ前記動作情報に対応する対応動作指令を出力データとし、前記動作処理部は、前記第1機械学習モデルの前記対応動作指令に基づき前記自動動作指令を生成してもよい。
【0016】
上記態様によると、第1機械学習モデルは、ロボットの動作情報の入力を受けると、当該動作情報のロボットに対する次の自動動作指令を生成するために、対応動作指令を出力する。よって、手術システムは、ロボットの動作情報に基づき、当該動作情報のロボットが次に実行する動作を決定し、ロボットに自動動作させる。第1機械学習モデルの機械学習を進めることによって、第1機械学習モデルの出力データの精度、つまり、ロボットが次に実行する動作の精度が向上する。また、第1情報は、術者によって操作されるロボットの動作を示す。このため、第1機械学習モデルは、第1情報を用いた機械学習を行うことで術者の手術技術を学習し、学習後の第1機械学習モデルは、学習した様々な手術技術に基づく最適な出力データを出力することができる。よって、手術システムへの術者の技能伝承が可能になる。
【0017】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記制御装置は、第2機械学習モデルと、前記ロボットの手術動作での処理の対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記ロボットの動作を示す第2情報とを記憶する記憶部とをさらに含み、前記第2機械学習モデルは、前記対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記第2情報とを用いて機械学習し、学習後の前記第2機械学習モデルは、前記画像データを入力データとし且つ前記画像データに対応する対応動作指令を出力データとし、前記動作処理部は、前記第2機械学習モデルの前記対応動作指令に基づき前記自動動作指令を生成してもよい。
【0018】
上記態様によると、第2機械学習モデルは、対象部分の画像データの入力を受けると、当該画像データの対象部分に対するロボットへの次の自動動作指令を生成するために、対応動作指令を出力する。よって、手術システムは、対象部分の画像データに基づき、当該画像データの状態の対象部分に対してロボットが次に実行する動作を決定し、ロボットに自動動作させる。第2機械学習モデルの機械学習を進めることによって、第2機械学習モデルの出力データの精度、つまり、ロボットが次に実行する動作の精度が向上する。また、第2情報は、術者によって操作されるロボットの動作を示す。このため、第2機械学習モデルは、第2情報を用いた機械学習を行うことで術者の手術技術及び画像の識別技術を学習し、学習後の第2機械学習モデルは、学習した様々な手術技術及び画像の識別技術に基づく最適な出力データを出力することができる。よって、手術システムへの術者の技能伝承が可能になる。
【0019】
本開示の一態様に係る手術システムは、内視鏡カメラが設けられる内視鏡マニピュレータを前記ロボットにさらに備え、前記第2機械学習モデルは、前記内視鏡カメラによって撮像された画像データを、前記対象部分の画像データとして用いてもよい。上記態様によると、ロボットの手術動作での処理の対象部分の画像データの取得に、内視鏡カメラを利用することができるため、新たなカメラを設ける必要がない。
【0020】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記動作処理部は、前記ロボットが自動で手術動作をする起点及び終点を指定するための指令の入力を、前記操作入力装置から受け付け、前記起点と前記終点との間の部位を前記ロボットに自動で手術動作をさせてもよい。上記態様によると、起点及び終点が術者によって指定されるため、起点及び終点の決定処理が簡易であり、且つ、決定された起点及び終点の位置の精度が高い。
【0021】
本開示の一態様に係る手術システムは、手術対象領域を撮像するカメラをさらに備え、前記制御装置は、前記カメラによって撮像された前記手術対象領域の画像を処理することで、前記手術対象領域を特定する画像処理部と、前記画像処理部によって特定された前記手術対象領域における手術動作の起点及び終点を決定する決定部とを含み、前記動作処理部は、前記起点と前記終点との間の部位を前記ロボットに自動で手術動作をさせてもよい。上記態様によると、起点及び終点の決定の手順の自動化が可能になる。
【0022】
本開示の一態様に係る手術システムにおいて、前記動作処理部は、前記ロボットを手動操作により手術動作をさせるための操作情報である手動操作情報を、前記操作入力装置から受け付け、前記手動操作情報に従って前記ロボットを動作させるための手動動作指令を生成し、前記手動操作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御し、前記自動動作指令に従った前記ロボットの制御の前及び後の少なくとも一方において、前記手動操作情報を受け付け、前記手動動作指令に従った前記ロボットの制御を行ってもよい。上記態様によると、1つの手術対象部分に対して、手動操作指令に従ったロボットの動作である手動動作での処置と、ロボットの自動動作での処置とを施すことが可能である。例えば、ロボットの手動動作及び自動動作のそれぞれに適した処置を、手術対象部分に施すことが可能になる。
【0023】
本開示の一態様に係る手術システムは、複数の前記操作入力装置を備え、前記動作処理部は、前記複数の操作入力装置のうちの選択された1つの前記操作入力装置から、前記ロボットを手動操作により手術動作をさせるための操作情報である手動操作情報を受け付け、前記手動操作情報に従って前記ロボットを動作させるための手動動作指令を生成し、前記手動操作指令に従って前記ロボットの手術動作を制御してもよい。上記態様によると、複数の操作入力装置のうちの選択された1つを用いたロボットの手動動作が実行される。
【0024】
本開示の一態様に係る手術システムは、複数の前記ロボットと、複数の前記操作入力装置とを備え、前記制御装置は、前記複数のロボットの1つと前記複数の操作入力装置の1つとを選択して接続する接続制御部と、手術中における前記ロボットと前記操作入力装置との組み合わせと、前記組み合わせの実行順序とを記憶する記憶部とをさらに含み、前記接続制御部は、前記記憶部に記憶された前記組み合わせ及び前記組み合わせの実行順序に従って、前記複数のロボットの選択された1つと前記複数の操作入力装置の選択された1つとを接続してもよい。上記態様によると、1つの手術対象部分に対して、ロボット及び操作入力装置の複数の組み合わせを用い且つ組み合わせの実行順序に従って、手術動作を行うことが可能になる。よって、各組み合わせに当該組み合わせに適した手術動作を自動的に担当させることができ、それにより、適切な手術の実行が可能になる。
【0025】
本開示の一態様に係る手術システムは、複数の前記ロボットと、複数の前記操作入力装置とを備え、前記制御装置は、前記複数のロボットの1つと前記複数の操作入力装置の1つとを選択して接続する接続制御部をさらに含み、前記接続制御部は、手術中における前記ロボットと前記操作入力装置との組み合わせと、前記組み合わせの実行順序とを指定するための指令の入力を、前記複数の操作入力装置の少なくとも1つから受け付け、前記複数のロボットの選択された1つと前記複数の操作入力装置の選択された1つとを接続してもよい。上記態様によると、1つの手術対象部分に対して、ロボット及び操作入力装置の複数の組み合わせを用い且つ組み合わせの実行順序に従って、手術動作を行うことが可能になる。操作入力装置を用いた組み合わせ及び実行順序の決定が可能である。よって、術者によるみ合わせ及び実行順序の決定及び変更が可能になる。
【0026】
本開示の一態様に係る制御方法は、手術動作を行うロボットの制御方法であって、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットに手術動作をさせる。上記態様によると、本開示の一態様に係る手術システムと同様の効果が得られる。
【0027】
本開示の一態様に係る制御方法において、記憶部に記憶され且つ前記ロボットに自動で所定の手術動作をさせるための情報である自動運転情報に従って前記自動動作指令を生成してもよい。
【0028】
本開示の一態様に係る制御方法において、前記自動動作指令に従って自動で手術動作をしている前記ロボットの動作を修正するための操作情報である修正操作情報を、操作入力装置から受け付け、受け付けた前記自動操作情報に基づき、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットに動作させ、前記ロボットが前記修正動作を行うための情報を前記自動運転情報として前記記憶部に記憶させてもよい。
【0029】
本開示の一態様に係る制御方法において、第1機械学習モデルに、前記ロボットの動作情報を入力データとして入力させ、前記ロボットの対応動作指令を出力データとして出力させ、前記対応動作指令に基づき、前記自動動作指令を生成させ、前記第1機械学習モデルに、操作入力装置を用いて前記ロボットの手動動作又は前記ロボットの自動動作に対して行われた修正動作を示す第1情報と、前記第1情報に対応する前記動作情報とを用いて機械学習させ、前記第1機械学習モデルによって出力される前記対応動作指令は、前記ロボットの動作情報に対応する指令であってもよい。
【0030】
本開示の一態様に係る制御方法において、第2機械学習モデルに、前記ロボットの手術動作での処理の対象部分の画像データを入力データとして入力させ、前記ロボットの対応動作指令を出力データとして出力させ、前記対応動作指令に基づき、前記自動動作指令を生成させ、前記第2機械学習モデルに、前記対象部分の画像データと、前記画像データの前記対象部分に対する前記ロボットの動作を示す第2情報とを用いて機械学習させ、前記第2機械学習モデルによって出力される前記対応動作指令は、前記ロボットの動作情報に対応する指令であってもよい。
【0031】
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0032】
[手術システムの構成]
実施の形態に係る手術システム100の構成を説明する。
図1は、実施の形態に係る手術システム100の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、手術システム100は、ロボット1と、コンソール7と、制御装置3とを備える。制御装置3は、第1制御装置31及び第2制御装置32を含む。本実施の形態では、ロボット1は、腹腔鏡下手術を行うロボットであるが、いかなる手術を行うロボットであってもよく、例えば、それぞれに手術器具を備える複数のアームを備える型式等のいかなる型式のロボットであってもよい。
【0033】
本実施の形態では、手術システム100は、マスタースレーブ方式のロボット1を利用したシステムである。コンソール7はマスター機を構成し、ロボット1はスレーブ機を構成する。手術システム100では、外科医等の術者Sはコンソール7の操作入力装置71を操作し動作させて操作入力装置71に指令を入力し、ロボット1は当該指令に対応した動作を行い、手術動作を行うことができる。また、手術システム100では、ロボット1は、術者Sによる操作入力装置71を用いた操作を受けずに、所定の手術動作を自動で行うこともできる。
【0034】
本実施の形態では、手術システム100は、ロボット1に「手動運転モード」、「自動運転モード」及び「修正自動運転モード」での手術動作を実行させることができる。「手動運転モード」、「自動運転モード」及び「修正自動運転モード」は、ロボット1に手術動作を教える教示(「ティーチング」とも呼ばれる)動作を含まないものとする。
【0035】
手動運転モードは、操作入力装置71を介して入力された指令に従って、ロボット1を動作させる運転モードである。例えば、ロボット1は、術者Sによって操作入力装置71に入力される操作である手動操作に従った動作、つまり、当該手動操作をトレースした動作を実行する。ロボット1は、術者Sによって手動運転される。
【0036】
自動運転モードは、予め設定されたタスクプログラムに従ってロボット1を動作させる運転モードである。ロボット1は、そのタスクプログラムに従って自動で所定の手術動作を実行する自動運転をする。所定の手術動作の例は、切開、縫合、切削、切除、及び組織片の採取等である。自動運転モードは、ロボット1の自動運転中、操作入力装置71の操作がロボット1の動作に反映されないという点で、後述する修正自動運転モードと区別される。
【0037】
さらに、自動運転モードは、3つの運転モードを含む。第1自動運転モードは、教示情報等の予め設定された情報である自動運転情報に従って、ロボット1に自動で手術動作をさせる運転モードである。自動運転情報は、修正自動運転モードの実行により、新たな自動運転情報に更新される場合がある。つまり、最新の自動運転情報が生成される。
【0038】
第2自動運転モードは、第1機械学習モデルが出力する指令である対応動作指令に従って、ロボット1に自動で手術動作をさせる運転モードである。第1機械学習モデルは、操作入力装置71を用いて行われた手動運転でのロボット1の手動動作又はロボット1の自動運転中の動作に対して操作入力装置71を用いて修正された動作を示す第1情報と、第1情報に対応するロボット1の動作情報とを用いて機械学習する。さらに、学習後の第1機械学習モデルは、ロボット1の動作情報を入力データとし且つ当該動作情報に対応する対応動作指令を出力データとする。
【0039】
第3自動運転モードは、第2機械学習モデルが出力する対応動作指令に従って、ロボット1に自動で手術動作をさせる運転モードである。第2機械学習モデルは、ロボット1の手術動作での処理の対象部分の画像データと、当該画像データの対象部分に対するロボット1の動作情報とを用いて機械学習する。さらに、学習後の第2機械学習モデルは、対象部分の画像データを入力データとし、対応動作指令を出力データとする。
【0040】
修正自動運転モードは、ロボット1が自動で手術動作をしている途中に、操作入力装置71に入力された操作をロボット1の自動動作に反映させて、自動で行うことになっていた動作を修正する運転モードである。つまり、ロボット1は、操作入力装置71を介して入力された指令を反映可能な状態で、自動運転する。よって、修正自動運転モードでは、自動で手術動作をしているロボット1の動作を修正することができる。修正自動運転モードは、修正対象の自動運転として、第1自動運転モードの自動運転が用いられるケースと、第2自動運転モードの自動運転が用いられるケースと、第3自動運転モードの自動運転が用いられるケースとを含む。
【0041】
なお、手術システム100は、上記運転モードの全てを実行できるように構成されてもよく、一部のみを実行できるように構成されてもよい。例えば、後者の場合、手術システム100は、手動運転モードと、第1~第3自動運転モードの1つと、当該自動運転モードを用いた修正自働運転モードとを実行できるように構成されてもよい。
【0042】
[ロボットの構成]
ロボット1の構成の一例を説明する。なお、ロボット1の構成は、以下に説明する構成に限定されず、手術動作を行うことができる構成であればよい。
図1に示すように、ロボット1は、手術システム100と患者Pとのインタフェースを構成する。例えば、ロボット1は、滅菌野である手術室内において患者Pが横たわる手術台の傍らに配置される。ロボット1は、ロボット本体2と第1制御装置31とを備える。ロボット本体2は、複数の手術マニピュレータ20と、単一のエントリーガイド9と、患者Pに対して手術マニピュレータ20及びエントリーガイド9を位置決めするポジショナ10とを含む。
【0043】
エントリーガイド9は、患者Pの体表に留置されたカニューレ(図示略)に取り付けられる。エントリーガイド9は、複数の手術マニピュレータ20を案内する部材であり、複数の手術マニピュレータ20はエントリーガイド9の孔を通る。ポジショナ10は、水平多関節型マニピュレータ12と、支持部材12bと、垂直多関節型マニピュレータ13と、支持フレーム14とを含む。水平多関節型マニピュレータ12は台車11に支持される。支持部材12bは、台車11を起点とした水平多関節型マニピュレータ12の遠位端部に設けられる。垂直多関節型マニピュレータ13は、支持部材12bを介して水平多関節型マニピュレータ12に支持される。支持フレーム14は、支持部材12bを起点とした垂直多関節型マニピュレータ13の遠位端部に設けられる。なお、ポジショナ10の構成は、上記構成に限定されず、エントリーガイド9を目標位置(姿勢を含む)へ精度よく位置決めできる構成であればよい。
【0044】
支持フレーム14は、間隔をあけて互いに対向する対向部14a及び14bを含む。エントリーガイド9は対向部14bに配置され支持される。複数の手術マニピュレータ20を纏めて支持する支持ブロック15が、対向部14aに配置され支持される。複数の手術マニピュレータ20は対向部14a及び14bの間に位置する。複数の手術マニピュレータ20は、手術器具(図示略)を有する器具マニピュレータ20a(
図2参照)と、内視鏡カメラ(図示略)を有する内視鏡マニピュレータ20b(
図2参照)とを含む。
【0045】
手術器具は、患者Pの腹腔における手術部位に挿入され、手術部位における目標組織の所望の処理又は医療機能を実行するために腹腔の外側から駆動可能な実際の被操作部を意味する。例えば、手術器具は、一対のジョウを備える。手術器具は、鉗子、把持器、鋏、ステープラ、針保持器、及び電気メス等の外科器具であってもよい。また、手術器具は、電子外科電極、トランスデューサ、センサ等の電気的に駆動される機器であってもよい。また、手術器具は、吸入、ガス注入、洗浄、処理流体、アクセサリ導入、生検摘出などのための流体を供給するノズルであってもよい。また、例えば、内視鏡カメラの構成は、対物レンズ及びライトガイド等を含む構成であってもよい。
【0046】
[第1制御装置の構成]
第1制御装置31は、ロボット本体2全体の動作を制御する。例えば、第1制御装置31は、コンピュータ装置である。
図1に示すように、第1制御装置31は、コンソール7と通信可能に接続されている。第1制御装置31は、コンソール7が受け付けた指令に応答してロボット本体2を各運転モードで動作させる。第1制御装置31は、コンソール7で内視鏡カメラの内視鏡画像を表示すること、及び、コンソール7にロボット本体2の動作に対応した動作を行わせること等のために、コンソール7に情報を送信する。
【0047】
第1制御装置31は、エントリーガイド9を所定の位置及び姿勢に位置決めするように、ポジショナ10の動作を制御するポジショナ制御機能を有する。ポジショナ10の水平多関節型マニピュレータ12及び垂直多関節型マニピュレータ13は、各関節に駆動装置を備える。各駆動装置は、関節を駆動する電気モータの一例であるサーボモータと、関節の回転量を検出するエンコーダ等の回転センサと、サーボモータの駆動電流を検出する電流センサと、サーボモータの駆動力を関節へ伝達する減速機等の動力伝達機構とを含む(いずれも図示略)。
【0048】
第1制御装置31は、各器具マニピュレータ20aの動作を制御する手術器具制御機能を有する。第1制御装置31は、手術器具の動作を制御する機能と、手術器具を指令と対応する位置及び姿勢とさせるように器具マニピュレータ20aの動作を制御する機能とを有する。各器具マニピュレータ20aは複数の関節を含み、各関節に駆動装置を備える。各駆動装置は、関節を駆動する電気モータの一例であるサーボモータと、関節の回転量を検出するエンコーダ等の回転センサと、サーボモータの駆動電流を検出する電流センサと、サーボモータの駆動力を関節へ伝達する減速機等の動力伝達機構とを含む(いずれも図示略)。
【0049】
第1制御装置31は、内視鏡マニピュレータ20bの動作を制御する内視鏡制御機能を有する。第1制御装置31は、内視鏡カメラの動作を制御する機能と、内視鏡カメラを指令と対応する位置及び姿勢とさせるように内視鏡マニピュレータ20bの動作を制御する機能とを有する。内視鏡マニピュレータ20bは複数の関節を含み、各関節に駆動装置を備える。各駆動装置は、関節を駆動するサーボモータ等の電気モータと、関節の回転量を検出するエンコーダ等の回転センサと、サーボモータの駆動電流を検出する電流センサと、サーボモータの駆動力を関節へ伝達する減速機等の動力伝達機構とを含む(いずれも図示略)。
【0050】
第1制御装置31は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、コンソール7を含む他の装置との情報、データ及び指令等の送受信を行う。演算器は、各種センサからの検出信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0051】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。演算器の機能の一部又は全部は、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって実現されてもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。なお、第1制御装置31は単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0052】
また、第1制御装置31は、例えば、マイクロコントローラ、MPU(Micro Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)、システムLSI、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で構成されてもよい。第1制御装置31の複数の機能は、個別に1チップ化されることで実現されてもよく、一部又は全てを含むように1チップ化されることで実現されてもよい。また、回路はそれぞれ、汎用的な回路でもよく、専用の回路でもよい。LSIとして、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続及び/又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサ、又は、特定用途向けに複数の機能の回路が1つにまとめられたASIC(Application Specific Integrated Circuit)等が利用されてもよい。
【0053】
[コンソールの構成]
コンソール7の構成を説明する。
図1に示すように、コンソール7は、手術システム100と術者Sとのインタフェースを構成し、ロボット本体2を操作するための装置である。コンソール7は、手術室内において手術台の傍らに又は手術台から離れて、或いは、手術室外に設置される。
【0054】
コンソール7は、術者Sからの指令の入力を受け付けるための操作入力装置71と、内視鏡カメラで撮像された画像を表示するディスプレイ装置73と、第2制御装置32とを含む。操作入力装置71は、左右一対の操作マニピュレータ72L及び72Rと操作用ペダル75とを含む。操作マニピュレータ72L及び72Rは、ロボット本体2を手動操作するために用いられる装置である。第2制御装置32は、第1制御装置31と同様に、コンピュータ装置等で構成されてよい。
【0055】
操作マニピュレータ72L及び72Rはそれぞれ、遠位端部に操作部(図示略)を有し、術者Sからの操作力を操作部に受けるように構成されている。本実施の形態では、操作マニピュレータ72L及び72Rは、内視鏡カメラ及び手術器具の位置及び姿勢の移動指令等を受け付ける操作具である。操作用ペダル75は、例えば、内視鏡カメラのズーム、制御モードの切り替え、運転モードの切り替え、操作マニピュレータ72L及び72Rと対応付けられる器具マニピュレータの切り替え等の指令を受け付ける操作具である。操作入力装置71は、手術器具の体腔挿入指令の入力を受け付ける操作具、マニピュレータ復帰指令の入力を受け付ける操作具等をさらに含む。これらの操作具は、操作マニピュレータ72L及び72Rと操作用ペダル75とのうちの一方によって兼用されてもよく、レバー、ボタン、タッチパネル、ジョイスティック、モーションキャプチャ等の公知の追加の操作具が設けられることによって実現されてもよい。操作入力装置71は、術者Sの操作力に対する反力を操作部に与えるための駆動機構(図示略)を有していてもよい。
【0056】
ロボット本体2の手動操作の際、術者Sは、ディスプレイ装置73に表示された内視鏡画像で患部を確認しながら、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部を直接的に動かすことによって、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタの移動を指令する。ロボット本体2の上記マニピュレータは、例えば、操作用ペダル75の操作によって操作マニピュレータ72L及び72Rと対応づけられた器具マニピュレータ20a又は内視鏡マニピュレータ20bであり、エンドエフェクタは、手術器具又は内視鏡カメラである。
【0057】
[第2制御装置の構成]
第2制御装置32は、コンソール7全体の動作を制御する。例えば、第2制御装置32は、第1制御装置31と同様に、コンピュータ装置である。
図1に示すように、第2制御装置32は、第1制御装置31と通信可能に接続されている。例えば、第2制御装置32は、操作入力装置71において受け付けられた情報及び指令等を、第1制御装置31に送信する。また、第2制御装置32は、第1制御装置31から受け取る情報、データ及び指令等に基づき、操作マニピュレータ72L及び72R等に行わせる動作、及びディスプレイ装置73の画像表示動作等を制御する。第2制御装置32の機能の一部又は全部は、CPU、RAM及びROM等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。なお、第2制御装置32は単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。第2制御装置32及び第1制御装置31は、単一のコンピュータ装置に含まれてもよい。
【0058】
第2制御装置32の機能的構成を説明する。
図2は、実施の形態に係る制御装置3の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、第2制御装置32は、画像処理部321と、入力処理部322と、動作指令生成部323と、位置指令生成部324と、動作制御部325とを機能的構成要素として含む。上記機能的構成要素の機能は、CPU等によって実現される。なお、上記機能的構成要素の全てが必須ではない。
【0059】
画像処理部321は、内視鏡カメラによって撮像された画像データを第1制御装置31から受け取り、当該画像データをディスプレイ装置73に出力し表示させる。画像処理部321は、画像データに変換処理等を加えてディスプレイ装置73に出力してもよい。
【0060】
入力処理部322は、操作マニピュレータ72L及び72Rの各関節に設けられた回転センサの検出値から各関節の回転量を検出し、各関節の回転量から操作部の位置及び速度(移動速度)を検出する。動作指令生成部323は、入力処理部322によって検出された操作部の位置及び速度に基づき、ロボット本体2のマニピュレータに対する位置及び速度等を指令する移動指令を生成する。なお、操作マニピュレータ72L及び72Rに加えられる力を検出する力センサが設けられ、入力処理部322は、力センサの検出値から力の大きさ及び方向等の力の検出値を検出し、動作指令生成部323は、力の検出値に基づき、ロボット本体2のマニピュレータが対象物に加える力の大きさ及び方向等を指令する力指令を生成してもよい。入力処理部322は、上記移動指令及び上記力指令等を含む操作動作指令を第1制御装置31に送信する。
【0061】
位置指令生成部324は、第1制御装置31から位置指令を受け取る。位置指令は、ロボット本体2のマニピュレータの位置及び姿勢等の指令を含み、例えば、マニピュレータの各関節の位置及び姿勢等の指令を含む。位置指令生成部324は、受け取った位置指令と移動指令とに基づき、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部の位置及び姿勢がロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタと対応するように、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部の位置及び姿勢等を指令する操作位置指令を生成する。操作位置指令は、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部に与える反力を含んでもよい。位置指令生成部324は、操作マニピュレータ72L及び72Rの各関節に設けられた回転センサの検出値から各関節の位置を検出する。動作制御部325は、操作位置指令と操作マニピュレータ72L及び72Rの各関節の位置とから各関節の駆動トルクを決定し、対応する関節のサーボモータに駆動トルクに対応する電流を供給する。その結果、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部の位置及び姿勢がロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタの位置及び姿勢と対応して移動する。
【0062】
[第1制御装置の機能的構成]
第1制御装置31の機能的構成を説明する。
図2に示すように、第1制御装置31は、画像取得部311と、情報処理部312と、動作指令生成部313と、動作制御部314と、記憶部315とを機能的構成要素として含む。記憶部315を除く機能的構成要素の機能はCPU等によって実現され、記憶部315の機能はメモリによって実現される。なお、上記機能的構成要素の全てが必須ではない。画像取得部311、情報処理部312、動作指令生成部313及び動作制御部314は、動作処理部の一例である。
【0063】
記憶部315は、種々の情報の格納つまり記憶することができ、且つ、格納した情報の読み出しを可能にする。例えば、記憶部315は、教示情報等の自動運転情報を記憶することができる。記憶部315は、第1機械学習モデルと、第1機械学習モデルが学習に使用するために蓄積された学習データである第1学習データとを記憶することができる。記憶部315は、第2機械学習モデルと、第2機械学習モデルが学習に使用するために蓄積された学習データである第2学習データとを記憶することができる。
【0064】
ここで、第1機械学習モデル及び第2機械学習モデルは、機械学習するモデルであり、学習データを用いて学習することによって、入力データに対する出力データの精度を向上する。第1機械学習モデル及び第2機械学習モデルは、ニューラルネットワーク(Neural Network)、Random Forest、Genetic Programming、回帰モデル、木モデル、ベイズモデル、時系列モデル、クラスタリングモデル、アンサンブル学習モデル等の学習モデルで構成される。本実施の形態では、第1機械学習モデル及び第2機械学習モデルは、ニューラルネットワークで構成される。
【0065】
ニューラルネットワークは、入力層及び出力層を含む複数のノード層で構成される。ノード層には、1つ以上のノードが含まれる。ニューラルネットワークが、入力層、中間層及び出力層で構成される場合、ニューラルネットワークは、入力層のノードに入力された情報について、入力層から中間層への出力処理、中間層から出力層への出力処理を順次行い、入力情報に適合する出力結果を出力する。なお、1つの層の各ノードは、次の層の各ノードと接続されており、ノード間の接続には、重み付けがされている。1つの層のノードの情報は、ノード間の接続の重み付けが付与されて、次の層のノードに出力される。
【0066】
また、ニューラルネットワークは、リカレントニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network)(「回帰型ニューラルネットワーク」とも呼ばれる)であってもよい。リカレントニューラルネットワークは、時系列情報を扱う。リカレントニューラルネットワークの入力データは、現在時刻でのデータと、現在時刻よりも前の過去時刻でのリカレントニューラルネットワークにおける中間層の出力データとを含む。リカレントニューラルネットワークは、時系列情報を考慮したネットワーク構造を有している。このようなリカレントニューラルネットワークは、入力データの経時的な挙動を考慮した出力をするため、出力データの精度を向上することができる。第1機械学習モデル及び第2機械学習モデルは、時系列データを扱うため、リカレントニューラルネットワークであることが好ましい。
【0067】
画像取得部311は、内視鏡カメラによって撮像された画像データを取得して第2制御装置32へ送信する。また、画像取得部311は、上記画像データを情報処理部312に出力する場合がある。
【0068】
情報処理部312は、第2制御装置32から移動指令及び力指令等を受け取り、動作指令生成部313に出力する。情報処理部312は、移動指令及び力指令等に処理を施し動作指令生成部313に出力する場合もある。情報処理部312は、第2制御装置32から受け取る運転モードの指令等に基づき、記憶部315から自動運転情報を読み出し、動作指令生成部313に出力する。情報処理部312は、自動運転情報に処理を施し動作指令生成部313に出力する場合もある。
【0069】
情報処理部312は、動作指令生成部313からロボット本体2のマニピュレータの動作情報を受け取り、当該動作情報を第1機械学習モデルに入力し、第1機械学習モデルの出力データである対応動作指令を動作指令生成部313に出力する。
【0070】
情報処理部312は、画像取得部311から内視鏡カメラによって撮像された画像データを受け取り、当該画像データを第2機械学習モデルに入力し、第2機械学習モデルの出力データである対応動作指令を動作指令生成部313に出力する。情報処理部312は、画像データに画像処理を施して動作指令生成部313に出力するように構成されてもよい。
【0071】
ここで、ロボット本体2のマニピュレータの動作情報は、動作データを含む。動作データは、動作時におけるマニピュレータ及びエンドエフェクタの位置を表す位置データと、エンドエフェクタが対象物に加える力を表す力データとのうちの少なくとも1つを含む。位置データは、3次元空間内の位置と3次元空間内の姿勢とを含んでもよい。力データは、力の大きさと3次元空間内の力の方向とを含んでもよい。位置データ及び力データは、各位置及び各力の発生時刻と関連付けられた時系列データであってもよい。
【0072】
また、動作情報は、動作データ以外の情報として、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタが作用を加える対象物の撮像データ、エンドエフェクタで発生する振動データ、衝撃データ、光データ、音データ、温度データ、湿度データ、気圧などの圧力データ等を含んでもよい。本実施の形態で扱われる動作情報は、少なくとも動作データを含む。
【0073】
また、情報処理部312は、動作指令生成部313から位置指令を受け取り、当該位置指令を第2制御装置32に送信する。
【0074】
動作指令生成部313は、情報処理部312から受け取る移動指令、自動運転情報又は対応動作指令から、動作指令を生成する。動作指令は、位置指令を含み、さらに、力指令を含んでもよい。位置指令には、予め設定された移動範囲の制限及び移動速度の制限等が適用されてもよい。
【0075】
ここで、位置指令は、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタ及び/又は各関節等の位置、姿勢、並びに、位置及び姿勢の速度の目標値又は修正値(補正値)を指示する指令を含み得る。上記位置及びその速度は、3次元空間内の位置及び速度を表し、上記姿勢及びその速度は、3次元空間内の姿勢及び速度を表してもよい。本明細書及び特許請求の範囲において、「位置」とは、3次元空間内の位置、位置の速度、姿勢及び姿勢の速度のうちの少なくとも3次元空間内の位置を含むことを意味する。力指令は、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタが対象物に加える力の大きさ及び方向の目標値又は修正値(補正値)を指示する指令を含む。力の方向は、3次元空間内の方向を表してもよい。
【0076】
動作制御部314は、ロボット本体2のマニピュレータの各関節を駆動するサーボモータに電流を供給する。具体的には、動作制御部314は、ロボット本体2のマニピュレータの各関節のサーボモータに設けられた回転センサ及び電流センサから回転量及び電流の検出値をフィードバック情報として受け取る。さらに、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタに力センサが設けられる場合、動作制御部314は、当該力センサから力の検出値をフィードバック情報として受け取る。動作制御部314は、ロボット本体2のマニピュレータの各関節の回転量の検出値から各関節の位置を検出し、動作指令の位置指令と各関節の位置とから各関節の駆動量及び駆動速度を決定する。また、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタの力の検出値と動作指令の力指令とから、各関節の駆動トルクを決定する。動作制御部314は、電流の検出値に基づき、上記駆動量、駆動速度及び駆動トルクに対応して各サーボモータに駆動させるための電流値を決定し、当該電流値の電流を各サーボモータに供給する。これにより、例えば、ロボット本体2のマニピュレータは、移動指令に従って動作する場合、操作マニピュレータ72L及び72Rの操作部の動きと対応して動作する。
【0077】
[手術システムの動作]
[手動運転モード]
患者に手術を行うときの実施の形態に係る手術システム100の手動運転モードでの動作を説明する。
図3は、実施の形態に係る手術システム100の手動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75を用いて手動運転モードの実行の指令を入力する。第2制御装置32は、手動運転モードの実行指令を受け付け、当該指令を第1制御装置31に送信する(ステップS101)。
【0078】
次いで、第1制御装置31は、術者Sが操作入力装置71の操作マニピュレータ72L及び72Rに与える操作に従ってロボット本体2を動作させる制御を実行する(ステップS102)。
【0079】
次いで、第2制御装置32は、術者Sが操作マニピュレータ72L及び72Rに与える操作に対応する操作動作指令を生成し、第1制御装置31に送信する(ステップS103)。次いで、第1制御装置31は、操作動作指令に基づく動作指令である手動動作指令を生成する(ステップS104)。さらに、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得する(ステップS105)。さらに、第1制御装置31は、動作情報をフィードバック情報として用いて、手動動作指令に対応した動作をロボット本体2に実行させるための動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する(ステップS106)。これにより、ロボット本体2が動作制御指令に従って動作する。
【0080】
さらに、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得し第2制御装置32に送信する(ステップS107)。次いで、第2制御装置32は、上記動作情報と、第1制御装置31に送信した操作動作指令とに基づき、操作位置指令を生成し、当該操作位置指令に従って操作マニピュレータ72L及び72Rを動作させる。つまり、第2制御装置32は、ロボット本体2からの動作情報のフィードバックを操作マニピュレータ72L及び72Rに付与する(ステップS108)。
【0081】
次いで、第2制御装置32は手動運転モードでのロボット本体2の操作が完了したか否かを判定し(ステップS109)、完了済みの場合(ステップS109でYes)、一連の処理を終了し、未完了の場合(ステップS109でNo)、ステップS103に戻る。
【0082】
[自動運転モード]
患者に手術を行うときの実施の形態に係る手術システム100の自動運転モードでの動作を説明する。まず、第1自動運転モードでの動作を説明する。
図4は、実施の形態に係る手術システム100の第1自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
図4に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第1自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第2制御装置32は、第1自動運転モードの実行指令及び対象手術の情報を受け付け、当該指令及び情報を第1制御装置31に送信する(ステップS201)。対象手術の情報は、手術の対象部位の種別、手術の内容、ロボット本体2が行う手術動作の内容等の情報を含んでもよい。
【0083】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される自動運転情報を探索し、対象手術の情報に対応する自動運転情報を読み出し取得する(ステップS202)。
【0084】
術者Sは、操作入力装置71の操作マニピュレータ72L及び72Rを操作し、ロボット本体2のマニピュレータを動作させることで、手術対象領域を指定する入力を行う。手術対象領域は、ロボット本体2が手術動作を行う対象の領域である。第1制御装置31は、当該入力に基づき手術対象領域の位置及び範囲を決定する(ステップS203)。例えば、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタが、手術対象領域の起点及び終点のそれぞれに位置するときに、術者Sが操作入力装置71への入力を行うと、第1制御装置31は、当該エンドエフェクタのそれぞれの位置を手術対象領域の起点及び終点に決定してもよい。例えば、手術動作が切開又は縫合等である場合、上記起点及び終点は、切開又は縫合等の起点及び終点である。
【0085】
なお、術者Sは、操作入力装置71の操作マニピュレータ72L及び72Rを操作し、ロボット本体2の内視鏡マニピュレータ20bの内視鏡カメラに手術対象領域を撮像させ、ディスプレイ装置73に表示される画像上で手術対象領域、起点及び終点を指定する入力を、操作入力装置71を用いて行ってもよい。又は、第1制御装置31が、上記画像を画像処理することで、手術対象領域、起点及び終点を特定してもよい。手術対象領域の指定方法は、上記方法に限定されず、いかなる方法であってもよく、手術対象領域が予め設定され記憶部315等に記憶されていてもよい。
【0086】
次いで、第1制御装置31は、自動運転情報を用いて、自動動作指令を生成する(ステップS204)。さらに、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得し(ステップS205)、動作情報をフィードバック情報として用いて自動動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する(ステップS206)。
【0087】
次いで、第1制御装置31は、自動運転情報に従ったロボット本体2の全ての動作が完了したか否かを判定し(ステップS207)、完了済みの場合(ステップS207でYes)、一連の処理を終了し、未完了の場合(ステップS207でNo)、ステップS204に戻る。
【0088】
次いで、第2自動運転モードでの動作を説明する。
図5は、実施の形態に係る手術システム100の第2自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第2自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第2制御装置32は、第2自動運転モードの実行指令及び対象手術の情報を受け付け、当該指令及び情報を第1制御装置31に送信する(ステップS301)。
【0089】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される第1機械学習モデルを探索し、対象手術の情報に対応する第1機械学習モデルを読み出し取得する(ステップS302)。
【0090】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによる操作入力装置71への入力に基づき、手術対象領域の位置及び範囲を決定する(ステップS303)。次いで、術者Sは、操作入力装置71の操作マニピュレータ72L及び72Rを操作し、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタを手術対象領域の起点に移動させる(ステップS304)。起点への移動完了後、術者Sは、操作入力装置71に手術動作の実行の指令を入力し、第1制御装置31は当該指令を受け取る。
【0091】
次いで、第1制御装置31はロボット本体2から動作情報を取得する(ステップS305)。さらに、第1制御装置31は、第1機械学習モデルに、手術対象領域の位置及び範囲等を含む手術対象領域の情報と、ロボット本体2の動作情報とを入力する(ステップS306)。第1機械学習モデルは、当該動作情報に対応する対応動作指令を出力する。対応動作指令は、当該動作情報の状態のロボット本体2に実行させる手術動作を示す指令である。例えば、ステップS306の処理は、第1制御装置31の情報処理部312によって実行される。
【0092】
次いで、第1制御装置31は、対応動作指令に基づき、自動動作指令を生成する(ステップS307)。さらに、第1制御装置31は、ステップS305で取得された動作情報をフィードバック情報として用いて自動動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する(ステップS308)。
【0093】
次いで、第1制御装置31は、手術対象領域に対するロボット本体2の手術動作の全てが完了したか否かを判定し(ステップS309)、完了済みの場合(ステップS309でYes)、一連の処理を終了し、未完了の場合(ステップS309でNo)、ステップS305に戻る。例えば、第1制御装置31は、ステップS305~S309の一連の処理を、所定の時間周期毎に繰り返してもよい。これにより、第1制御装置31は、所定の時間周期毎のロボット本体2の動作情報に対応する第1機械学習モデルの出力データに基づき、ロボット本体2の動作状態に対応した手術動作をロボット本体2に実行させることができる。
【0094】
次いで、第3自動運転モードでの動作を説明する。
図6は、実施の形態に係る手術システム100の第3自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第3自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第2制御装置32は、第3自動運転モードの実行指令及び対象手術の情報を受け付け、当該指令及び情報を第1制御装置31に送信する(ステップS401)。
【0095】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される第2機械学習モデルを探索し、対象手術の情報に対応する第2機械学習モデルを読み出し取得する(ステップS402)。
【0096】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによる操作入力装置71への入力に基づき、手術対象領域の位置及び範囲を決定する(ステップS403)。次いで、術者Sは、操作入力装置71の操作マニピュレータ72L及び72Rを操作し、ロボット本体2のマニピュレータのエンドエフェクタを手術対象領域の起点に移動させる(ステップS404)。起点への移動完了後、術者Sは、操作入力装置71に手術動作の実行の指令を入力し、第1制御装置31は当該指令を受け取る。
【0097】
次いで、第1制御装置31は、ロボット本体2の内視鏡マニピュレータ20bの内視鏡カメラに手術対象領域を撮像させる(ステップS405)。さらに、第1制御装置31は、内視鏡カメラによって撮像された画像に画像処理を行う(ステップS406)。画像処理の内容は、特に限定されず、手術対象領域、手術対象領域の患部の状態、及び適用される手術動作等に応じて設定されてもよい。例えば、画像処理は、画像の各画素に写し出される被写体の3次元位置を検出する処理であってよい。また、画像処理は、画像へのフィルタ処理であってもよい。フィルタ処理は、画素値のノイズを除去する処理、及び画素値の差異の強調する処理等であってもよい。また、画像処理は、画素値を変更することで画像の色調を変更する処理であってもよい。このような画像処理により、手術対象領域の3次元化、及び患部の強調等が可能になる。第1制御装置31は、1つ以上の画像処理を行い、画像処理毎に処理済みの画像データを生成してもよい。例えば、ステップS406の処理は、情報処理部312によって実行される。
【0098】
次いで、第1制御装置31は、第2機械学習モデルに、ステップS406での処理済みの画像データを第2機械学習モデルに入力する(ステップS407)。第2機械学習モデルは、処理済みの画像データに対応する対応動作指令を出力する。対応動作指令は、処理済みの画像データの状態の手術対象領域に対してロボット本体2に実行させる手術動作を示す指令である。例えば、ステップS407の処理は、第1制御装置31の情報処理部312によって実行される。
【0099】
次いで、第1制御装置31は、対応動作指令に基づき、自動動作指令を生成する(ステップS408)。さらに、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得する(ステップS409)。さらに、第1制御装置31は、上記動作情報をフィードバック情報として用いて自動動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する(ステップS410)。
【0100】
次いで、第1制御装置31は、手術対象領域に対するロボット本体2の手術動作の全てが完了したか否かを判定し(ステップS411)、完了済みの場合(ステップS411でYes)、一連の処理を終了し、未完了の場合(ステップS411でNo)、ステップS405に戻る。例えば、第1制御装置31は、ステップS405~S411の一連の処理を、所定の時間周期毎に繰り返してもよい。これにより、第1制御装置31は、所定の時間周期毎の手術対象領域の状態に対応する第2機械学習モデルの出力データに基づき、手術対象領域の状態に対応する手術動作をロボット本体2に実行させることができる。
【0101】
[修正自動モード]
[第1自動運転モードでの修正自動運転モード]
患者に手術を行うときの実施の形態に係る手術システム100の修正自動運転モードでの動作について、第1自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードでの動作を説明する。
図7は、実施の形態に係る手術システム100の第1自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
【0102】
図7に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第1自動運転モードでの修正自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第1自動運転モードでの修正自動運転モードの実行は、第1自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードの実行である。第2制御装置32は当該指令及び情報を受け付け第1制御装置31に送信する(ステップS501)。
【0103】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される自動運転情報を探索し、対象手術の情報に対応する自動運転情報を読み出し取得する(ステップS502)。
【0104】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによる操作入力装置71への入力に基づき、手術対象領域の位置及び範囲を決定する(ステップS503)。
【0105】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによって操作入力装置71へ操作が入力されたか否かを判定する(ステップS504)。具体的には、第1制御装置31は、術者Sの操作に対応する操作動作指令を第2制御装置32から受け取ったか否かを判定する。第1制御装置31は、操作の入力がある場合、つまり、操作動作指令を受け取った場合(ステップS504でYes)にステップS505に進む。第1制御装置31は、操作の入力がない場合、つまり、操作動作指令を受け取っていない場合(ステップS504でNo)にステップS506に進む。
【0106】
ステップS505において、第1制御装置31は、操作動作指令に基づき手動動作指令を生成し、ステップS507に進む。つまり、第1制御装置31は、自動運転情報に基づく自動動作指令を、操作動作指令に基づく手動動作指令に置き換えることで修正し、修正動作指令を生成する。
【0107】
ステップS506において、第1制御装置31は、自動運転情報を用いて、自動動作指令を生成し、ステップS507に進む。
【0108】
次いで、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得し(ステップS507)、動作情報をフィードバック情報として用いて動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する(ステップS508)。
【0109】
次いで、第1制御装置31は、動作制御指令が修正動作指令を用いて生成された指令であるか否かを判定する(ステップS509)。第1制御装置31は、修正動作指令が用いられている場合(ステップS509でYes)、ステップS510に進み、修正動作指令が用いられていない場合(ステップS509でNo)、ステップS511に進む。
【0110】
ステップS510において、第1制御装置31は、ステップS507で取得された動作情報を用いて、第1制御装置31が用いている自動運転情報を修正することで、新たな自動運転情報を生成する。具体的には、第1制御装置31は、自動運転情報における上記動作情報に対応する情報を修正する。なお、第1制御装置31は、上記動作情報の代わりに、修正動作指令を用いて自動運転情報を修正してもよい。例えば、ステップS510の処理は、情報処理部312によって実行される。
【0111】
次いで、第1制御装置31は、自動運転情報に従ったロボット本体2の全ての動作が完了したか否かを判定し(ステップS511)、完了済みの場合(ステップS511でYes)、ステップS512に進み、未完了の場合(ステップS511でNo)、ステップS504に戻る。
【0112】
ステップS512において、第1制御装置31は、修正済みの新たな自動運転情報を記憶部315に記憶させる。例えば、ステップS512の処理は、情報処理部312によって実行される。ステップS504~S511の処理が繰り返されることによって、自動運転情報の修正が1回以上行われる場合がある。修正済みの新たな自動運転情報は、このような1回以上の修正を反映した情報である。そして、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される自動運転情報を、新たな自動運転情報で置き換える、つまり更新してもよい。なお、自動運転情報の修正が行われなかった場合、第1制御装置31は、記憶部315への記憶を実行しない。ステップS512の完了後、第1制御装置31は一連の処理を終了する。
【0113】
なお、第1制御装置31は、修正済みの自動運転情報と修正前の自動運転情報とを用いて新たな自動運転情報を生成してもよく、例えば、修正済みの自動運転情報と修正前の自動運転情報とを組み合わせて新たな自動運転情報を生成してもよい。
【0114】
[第2自動運転モードでの修正自動運転モード]
第2自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードでの手術システム100の動作を説明する。
図8及び
図9は、実施の形態に係る手術システム100の第2自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
【0115】
図8及び
図9に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第2自動運転モードでの修正自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第2制御装置32は、当該指令及び情報を受け付け第1制御装置31に送信する(ステップS601)。
【0116】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される第1機械学習モデルを探索し、対象手術の情報に対応する第1機械学習モデルを読み出し取得する(ステップS602)。
【0117】
次いで、第1制御装置31は、ステップS603~S606の処理を、第2自動運転モードでのステップS303~S306の処理と同様に実行する。
【0118】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによって操作入力装置71へ操作が入力され、第2制御装置32から操作動作指令を受け取ったか否かを判定する(ステップS607)。第1制御装置31は、操作の入力がある場合(ステップS607でYes)にステップS608に進み、操作の入力がない場合(ステップS607でNo)にステップS609に進む。
【0119】
ステップS608において、第1制御装置31は、操作動作指令に基づき手動動作指令を生成し、対応動作指令に基づく自動動作指令を手動動作指令に置き換えることで修正動作指令を生成し、ステップS610に進む。
【0120】
ステップS609において、第1制御装置31は、対応動作指令に基づき自動動作指令を生成し、ステップS610に進む。
【0121】
ステップS610において、第1制御装置31は、ステップS605で取得された動作情報をフィードバック情報として用いて動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する。
【0122】
次いで、第1制御装置31は、動作制御指令が修正動作指令を用いて生成された指令であるか否かを判定する(ステップS611)。第1制御装置31は、修正動作指令が用いられている場合(ステップS611でYes)、ステップS612に進み、修正動作指令が用いられていない場合(ステップS611でNo)、ステップS613に進む。
【0123】
ステップS612において、第1制御装置31は、ステップS605で取得された動作情報とステップS608で生成された修正動作指令とを関連付け、第1機械学習モデルの学習データとして記憶部315に記憶させる。例えば、ステップS612の処理は、情報処理部312によって実行される。
【0124】
次いで、ステップS613において、第1制御装置31は、修正自動運転モードでのロボット本体2の動作の全てが完了したか否かを判定し、完了済みの場合(ステップS613でYes)、ステップS614に進み、未完了の場合(ステップS613でNo)、ステップS605に戻る。
【0125】
ステップS614において、第1制御装置31は、ステップS612において記憶部315に記憶された学習データを用いて、第1機械学習モデルに機械学習を実行させる。例えば、ステップS614の処理は、情報処理部312によって実行される。第1機械学習モデルは、動作情報を入力データとし、当該動作情報と関連付けられた修正動作指令を教師データとして機械学習を行う。なお、第1制御装置31は、修正動作指令を対応動作指令と同様の形式の指令に変換し、変換後の指令を教師データとしてもよい。ステップS605~S613の処理が繰り返されることによって、動作情報と修正動作指令との複数の組み合わせが生成される場合がある。第1機械学習モデルは複数の組み合わせを用いて機械学習を行う。ステップS614の完了後、第1制御装置31は一連の処理を終了する。
【0126】
なお、第1制御装置31は、上記例のように修正自動運転モードでの自動運転が終了する毎に機械学習を実行してもよく、複数回の修正自動運転モードでの自動運転が終了すると機械学習を実行してもよい。また、第1制御装置31は、所定の時間、所定の日数、所定の週数、及び所定の月数等の所定の時間的なタイミングに従って機械学習を実行してもよい。修正自動運転モードでの自動運転が終了する毎に機械学習が実行されることで、第1機械学習モデルの出力精度を修正自動運転モードでの自動運転が終了する毎に向上させることができる。このことは、以下に説明する第3自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードでも同様である。
【0127】
また、ステップS605~S613の処理の中で、操作入力装置71への操作の入力がある場合、第1制御装置31及び第2制御装置32は、手動運転モードのステップS107~S108の処理と同様の処理を実行し、ロボット本体2からの動作情報のフィードバックを操作マニピュレータ72L及び72Rに付与してもよい。
【0128】
[第3自動運転モードでの修正自動運転モード]
第3自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードでの手術システム100の動作を説明する。
図10及び
図11は、実施の形態に係る手術システム100の第3自動運転モードの自動運転を用いた修正自動運転モードを実行する動作の一例を示すフローチャートである。
【0129】
図10及び
図11に示すように、術者Sは、患者に手術を行うとき、操作入力装置71の操作用ペダル75等を用いて、第2自動運転モードでの修正自動運転モードの実行指令と、対象手術の情報とを入力する。第2制御装置32は、当該指令及び情報を受け付け第1制御装置31に送信する(ステップS701)。
【0130】
次いで、第1制御装置31は、記憶部315に記憶される第2機械学習モデルを探索し、対象手術の情報に対応する第2機械学習モデルを読み出し取得する(ステップS702)。
【0131】
次いで、第1制御装置31は、ステップS703~S707の処理を、第3自動運転モードでのステップS403~S407の処理と同様に実行する。
【0132】
次いで、第1制御装置31は、術者Sによって操作入力装置71へ操作が入力され、第2制御装置32から操作動作指令を受け取ったか否かを判定する(ステップS708)。第1制御装置31は、操作の入力がある場合(ステップS708でYes)にステップS709に進み、操作の入力がない場合(ステップS708でNo)にステップS710に進む。
【0133】
ステップS708において、第1制御装置31は、操作動作指令に基づき、手動動作指令を修正動作指令として生成し、ステップS711に進む。
【0134】
ステップS709において、第1制御装置31は、対応動作指令に基づき自動動作指令を生成し、ステップS711に進む。
【0135】
ステップS711において、第1制御装置31は、ロボット本体2から動作情報を取得する。さらに、ステップS712において、第1制御装置31は、動作情報をフィードバック情報として用いて動作指令に対応する動作制御指令を生成し、ロボット本体2に出力する。
【0136】
次いで、第1制御装置31は、動作制御指令が修正動作指令を用いて生成された指令であるか否かを判定する(ステップS713)。第1制御装置31は、修正動作指令が用いられている場合(ステップS713でYes)、ステップS714に進み、修正動作指令が用いられていない場合(ステップS713でNo)、ステップS715に進む。
【0137】
ステップS714において、第1制御装置31は、ステップS706で生成された画像処理済みの画像データとステップS709で生成された修正動作指令とを関連付け、第2機械学習モデルの学習データとして記憶部315に記憶させる。例えば、ステップS714の処理は、情報処理部312によって実行される。
【0138】
次いで、ステップS715において、第1制御装置31は、修正自動運転モードでのロボット本体2の動作の全てが完了したか否かを判定し、完了済みの場合(ステップS715でYes)、ステップS716に進み、未完了の場合(ステップS715でNo)、ステップS705に戻る。
【0139】
ステップS716において、第1制御装置31は、ステップS714において記憶部315に記憶された学習データを用いて、第2機械学習モデルに機械学習を実行させる。例えば、ステップS716の処理は、情報処理部312によって実行される。第2機械学習モデルは、画像処理済みの画像データを入力データとし、当該画像データと関連付けられた修正動作指令を教師データとして機械学習を行う。なお、第1制御装置31は、修正動作指令を対応動作指令と同様の形式の指令に変換し、変換後の指令を教師データとしてもよい。ステップS705~S715の処理が繰り返されることによって、画像処理済みの画像データと修正動作指令との複数の組み合わせが生成される場合がある。第2機械学習モデルは複数の組み合わせを用いて機械学習を行う。ステップS716の完了後、第1制御装置31は一連の処理を終了する。
【0140】
また、ステップS705~S715の処理の中で、操作入力装置71への操作の入力がある場合、第1制御装置31及び第2制御装置32は、手動運転モードのステップS107~S108の処理と同様の処理を実行し、ロボット本体2からの動作情報のフィードバックを操作マニピュレータ72L及び72Rに付与してもよい。
【0141】
[第1機械学習モデルの機械学習]
本実施の形態に係る第1機械学習モデルは、ニューラルネットワークで構成される。第1機械学習モデルは、ロボット本体2の動作情報を入力データとし、当該動作情報の状態のロボット本体2に実行させる手術動作を示す対応動作指令を出力データとして出力する。また、機械学習において、第1機械学習モデルは、ロボット本体2の動作情報を学習用入力データとし、当該動作情報の状態のロボット本体2を動作させるために生成された情報である動作対応情報を教師データとする。さらに、第1機械学習モデルに学習用入力データを入力したときの出力データと、教師データとの間でこれらを一致又は誤差を最小化等するように、後ろ向き演算によってニューラルネットワークのノード間の重みを調節される。これにより、第1機械学習モデルの最適化が図られる。
【0142】
第1機械学習モデルが使用する学習データは、種々のデータであり得る。例えば、学習データは、操作入力装置71を用いて操作されたロボット本体2の動作に関連するデータである。例えば、学習データの1つは、手動運転モードでのロボット本体2の手動運転中に取得されるロボット本体2の動作情報及び動作対応情報である。また、学習データの1つは、第1自動運転モードを用いた修正自動運転モードにおいて、ロボット本体2に加えられた修正動作に対応するロボット本体2の動作情報及び動作対応情報である。また、学習データの1つは、第2自動運転モードを用いた修正自動運転モードにおいて、ロボット本体2に加えられた修正動作に対応するロボット本体2の動作情報及び動作対応情報である。また、学習データは、他のロボットの運転において取得される上記動作情報及び動作対応情報であってもよい。
【0143】
上記のような動作対応情報は、操作入力装置71への操作の入力に対応して第1制御装置31及び第2制御装置32が生成する情報及び指令であってもよく、例えば、操作動作指令、手動動作指令及び修正動作指令等であってもよい。
【0144】
上記のような第1機械学習モデルは、過去に取得された学習データを用いて機械学習できる。さらに、第1機械学習モデルは、他のロボットにおいて取得された学習データを用いて機械学習できる。さらに、第1機械学習モデルは、ロボット本体2が実際の手術等のために稼働することで取得される学習データを用いて機械学習できる。
【0145】
[第2機械学習モデルの機械学習]
本実施の形態に係る第2機械学習モデルは、ニューラルネットワークで構成される。第2機械学習モデルは、手術対象領域の画像データを入力データとし、当該画像データの状態の手術対象領域に対してロボット本体2に実行させる手術動作を示す対応動作指令を出力データとして出力する。また、機械学習において、第2機械学習モデルは、手術対象領域の画像データを学習用入力データとし、当該画像データの手術対象領域に対してロボット本体2を動作させるために生成された画像データ対応情報を教師データとする。さらに、第2機械学習モデルに学習用入力データを入力したときの出力データと、教師データとの間でこれらを一致又は誤差を最小化等するように、後ろ向き演算によってニューラルネットワークのノード間の重みを調節される。これにより、第2機械学習モデルの最適化が図られる。
【0146】
入力データとしての画像データは、本実施の形態では、第1制御装置31での画像処理後の画像データである。しかしながら、画像処理の処理層を含むようにニューラルネットワークを構築することで、第1制御装置31での画像処理の省略が可能である。
【0147】
第2機械学習モデルが使用する学習データは、種々のデータであり得る。例えば、学習データは、操作入力装置71を用いて操作されたロボット本体2の動作に関連するデータである。例えば、学習データの1つは、手動運転モードでのロボット本体2の手動運転中に取得される手術対象領域の画像データ及び画像データ対応情報である。また、学習データの1つは、第3自動運転モードを用いた修正自動運転モードにおいて、ロボット本体2に修正動作が加えられたときの手術対象領域の画像データ及び画像データ対応情報である。また、学習データは、他のロボットの運転において取得される上記画像データ及び画像データ対応情報であってもよい。
【0148】
上記のような画像データ対応情報は、操作入力装置71への操作の入力に対応して第1制御装置31及び第2制御装置32が生成する情報及び指令であってもよく、操作入力装置71への操作の入力に対応して動作したロボット本体2の動作情報であってもよい。例えば、上記情報及び指令は、操作動作指令、手動動作指令及び修正動作指令等であってもよい。
【0149】
上記のような第2機械学習モデルは、過去に取得された学習データを用いて機械学習できる。さらに、第2機械学習モデルは、他のロボットにおいて取得された学習データを用いて機械学習できる。さらに、第2機械学習モデルは、ロボット本体2が実際の手術等のために稼働することで取得される学習データを用いて機械学習できる。
【0150】
<その他の実施の形態>
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0151】
例えば、実施の形態では、ロボット1の運転モードが個別に実行されるものとして記載されていたが、これに限定されない。例えば、第1制御装置31は、1つの手術対象部分に対して複数の運転モードを順に実行してもよい。例えば、第1制御装置31は、自動動作指令に従ってロボット1を制御する自動運転モードの前及び後の少なくとも一方において、手動動作指令に従ってロボット1を制御する手動運転モードを実行するように構成されてもよい。又は、第1制御装置31は、修正自動運転モードの前及び後の少なくとも一方において、手動運転モードを実行するように構成されてもよい。
【0152】
また、実施の形態に係る手術システム100は、1つのロボット1と1つのコンソール7とを含むように構成されていたが、これに限定されない。手術システム100は、1つ以上のロボット1と1つ以上のコンソール7とを含むように構成されてもよい。
【0153】
例えば、手術システム100は、複数のロボット1と、複数のコンソール7とを備え、制御装置3は、複数のロボット1の1つと複数のコンソール7の1つとを選択して接続するように構成されてもよい。さらに、記憶部315に、手術中におけるロボット1とコンソール7との組み合わせと、組み合わせの実行順序とが記憶されていてもよい。制御装置3は、記憶部315に記憶された組み合わせ及び組み合わせの実行順序に従って、複数のロボット1の選択された1つと複数のコンソール7の選択された1つとを接続するように構成されてもよい。
【0154】
又は、制御装置3は、手術中におけるロボット1とコンソール7との組み合わせと、組み合わせの実行順序とを指定するための指令の入力を、複数のコンソール7の少なくとも1つから受け付けるように構成されてもよい。そして、制御装置3は、上記入力に従って、複数のロボット1の選択された1つと複数のコンソール7の選択された1つとを接続してもよい。
【0155】
また、手術システム100は、複数のロボット1と、複数のコンソール7とを備える場合、ロボット1毎に実行する運転モードが設定されてもよい。例えば、1つの手術対象部分に対して、手動運転モードを実行するロボット1と、第1~第3自動運転モードの1つ又は第1~第3自動運転モードの1つを用いた修正自動運転モードを実行するロボット1とが設定されもよい。さらに、各ロボット1は、1つの手術対象部分に対して、自身の運転モードでの動作及び/又は手動操作する術者Sの能力等に適した手術動作を行うように設定されてもよい。
【0156】
また、実施の形態に係る手術システム100において、制御装置3は、記憶部315に、手術対象領域において手術器具が侵入することができない領域である侵入不可領域の情報を格納していてもよい。そして、制御装置3は、いずれの運転モードにおいても、侵入不可領域に手術器具が侵入しないようにロボット本体2を制御してもよい。なお、侵入不可領域の3次元位置は、予め記憶部315に記憶されていてもよい。又は、制御装置3は、内視鏡カメラによって撮像された手術対象領域の画像を画像処理することで、侵入不可領域を検出し、さらに、侵入不可領域の3次元位置を検出してもよい。
【0157】
また、本開示の技術は、制御方法であってもよい。例えば、本開示に係る制御方法は、手術動作を行うロボットの制御方法であって、前記ロボットに自動で手術動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットに手術動作をさせる。この制御方法によれば、上記手術システム100と同様の効果が得られる。このような制御方法は、CPU、LSIなどの回路、ICカード又は単体のモジュール等によって、実現されてもよい。
【0158】
また、本開示の技術は、上記制御方法を実行するためのプログラムであってもよく、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0159】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0160】
また、機能ブロック図におけるブロックの分割は一例であり、複数のブロックを一つのブロックとして実現する、一つのブロックを複数に分割する、及び/又は、一部の機能を他のブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数のブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【符号の説明】
【0161】
1 ロボット
2 ロボット本体
3 制御装置
7 コンソール
31 第1制御装置
32 第2制御装置
71 操作入力装置
100 手術システム
315 記憶部
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットと、
手動運転モード及び修正自動運転モードで前記ロボットを制御する制御装置と、
指令の入力を受け付け前記制御装置に出力する操作入力装置とを備え、
前記制御装置は、前記手動運転モードでは、前記操作入力装置に入力される、前記ロボットの位置及び姿勢の少なくとも1つを指令する手動操作に従って動作させるように前記ロボットの動作を制御し、前記修正自動運転モードでは、前記ロボットに自動で動作をさせるための自動動作指令を生成し、前記自動動作指令に従って前記ロボットの動作を制御する動作処理部と、
前記ロボットに自動で所定の動作をさせるための情報である自動運転情報を記憶する記憶部とを含み、
前記修正自動運転モードでの前記動作処理部は、
前記自動運転情報に従って前記自動動作指令を生成することと、
前記自動動作指令に従って自動で動作をしている前記ロボットの動作を、前記ロボットの位置及び姿勢の少なくとも1つを指令する手動操作に従って修正するための操作情報である修正操作情報を、前記操作入力装置から受け付け、前記修正操作情報に基づき、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットを制御することと、
前記修正動作での前記ロボットの位置及び姿勢のデータを含む動作情報を用いて、前記自動運転情報における前記動作情報に対応する情報を修正することで、新たな自動運転情報を生成することと、
前記新たな自動運転情報で、前記記憶部に記憶される前記自動運転情報を更新することとを行う
ロボットシステム。
【請求項2】
ロボットを制御する回路の制御方法であって、
手動運転モードにおいて、前記ロボットの位置及び姿勢の少なくとも1つを指令する手動操作に従って前記ロボットに動作させるための操作情報である手動操作情報を、操作入力装置から受け付けることと、
前記手動運転モードにおいて、受け付けた前記手動操作情報に対応する動作を行うように前記ロボットに動作させることと、
修正自動運転モードにおいて、記憶部に記憶され且つ前記ロボットに自動で所定の動作をさせるための情報である自動運転情報に従って、前記ロボットに自動で動作をさせるための自動動作指令を生成することと、
前記修正自動運転モードにおいて、前記自動動作指令に従って前記ロボットに動作をさせることと、
前記修正自動運転モードにおいて、前記自動動作指令に従って自動で動作をしている前記ロボットの動作を、前記ロボットの位置及び姿勢の少なくとも1つを指令する手動操作に従って修正するための操作情報である修正操作情報を、前記操作入力装置から受け付けることと、
前記修正自動運転モードにおいて、受け付けた前記修正操作情報に基づき、前記自動動作指令に従った動作から修正された動作である修正動作を行うように前記ロボットに動作させることと、
前記修正自動運転モードにおいて、前記修正動作での前記ロボットの位置及び姿勢のデータを含む動作情報を用いて、前記自動運転情報における前記動作情報に対応する情報を修正することで、新たな自動運転情報を生成することと、
前記修正自動運転モードにおいて、前記新たな自動運転情報で、前記記憶部に記憶される前記自動運転情報を更新することとを含む
制御方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0133
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0133】
ステップS709において、第1制御装置31は、操作動作指令に基づき、手動動作指令を修正動作指令として生成し、ステップS711に進む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0134】
ステップS710において、第1制御装置31は、対応動作指令に基づき自動動作指令を生成し、ステップS711に進む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】