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特開2024-45422磁化カテーテル、デバイス、磁化カテーテルの使用および使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045422
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】磁化カテーテル、デバイス、磁化カテーテルの使用および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/095 20060101AFI20240326BHJP
【FI】
A61M25/095
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015837
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2021202493の分割
【原出願日】2017-05-23
(31)【優先権主張番号】15/170,505
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン カール バークホルツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ミン
(72)【発明者】
【氏名】シッダールタ シェヴゴーア
(72)【発明者】
【氏名】マーク ダブリュ.ヴァイマー
(57)【要約】
【課題】カテーテルおよび医療デバイスの向上した視覚化をもたらすために、デバイス、システム、および方法と共に使用することができるカテーテルを提供する。
【解決手段】ポリマーチューブを備えたカテーテルであって、前記ポリマーチューブの少なくとも一部が、透磁率μrの組織を通して距離xで知られている磁場Bを生成するように磁化された磁化部分を備え、知られている磁場の測定された強度および方向、ならびに選択された前記距離での前記知られている磁場と前記組織の前記透磁率との間の相関付けに基づいて、カテーテルの位置が磁力計によって検出可能であり、前記相関付けは、x=f(B,μr)として計算される、カテーテルを提供する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーチューブを備えたカテーテルであって、前記ポリマーチューブの少なくとも一部が、透磁率μrの組織を通して距離xで知られている磁場Bを生成するように、カテーテルの使用前に磁化された磁化部分を備え、知られている磁場の測定された強度および方向、ならびに選択された前記距離での前記知られている磁場と前記組織の前記透磁率との間の相関付けに基づいて、カテーテルの位置が磁力計によって検出可能であり、前記相関付けは、x=f(B,μr)として計算され、前記磁化部分が、ポリマー中に分散させた磁気材料を備えた磁化組成物を含み、
前記磁化部分は、前記ポリマーチューブの内面と外面との間に複数の磁化長手方向セグメントを形成し、前記複数の磁化長手方向セグメントは、複数の長手方向の磁化不能なセグメントによってカテーテルの長手方向に沿って分離される、カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、侵襲挿入処置中、血管アクセスデバイスの向上された視覚化をもたらす磁化ポリマーカテーテルに関する。そのようなカテーテルは、医療デバイス、システム、および方法においてカテーテルの視覚化のために使用することができ、このとき超音波技術と組み合わせられて皮下解剖学的構造ならびに平面内および平面外の配向におけるデバイスの位置の視覚化をもたらし、患者の解剖学的構造に対する挿入デバイスの位置の投影または予想を可能にし、それによって血管系にうまくアクセスする可能性を向上させる。
【背景技術】
【0002】
従来、カテーテル挿入中、針およびカテーテルチュービングが皮膚組織に貫通して静脈に到達することは、臨床医に見えない。この理由のため、彼らは、針挿入の彼らの直接的な経験と触感とを組み合わせて利用して静脈の場所をうまく特定しなければならない。これは、皮膚下の深い場所にある小さい静脈にアクセスしようとする場合、困難な作業となり、患者に対する過剰な疼痛および/または負傷を引き起こすリスクを増大させる可能性がある。
【0003】
侵襲処置の視覚化を向上するための処置ガイダンスシステムは、磁場源を有する侵襲デバイスを利用する。これは、磁石をデバイス上の知られている位置に埋め込むことによって、または外部から印加された磁場を使用して挿入前に侵襲デバイスの一部分を磁化することによって達成することができる。磁化の標的となる侵襲デバイスの部分は、通常、侵襲デバイスの挿入中に使用される金属カニューレである。
【0004】
血管アクセスデバイスの場合、金属カニューレを磁化することは、この方法が血管の解剖学的構造に対するカテーテル先端部、に関する正確な場所情報をもたらさないため、かなりの限界がある。したがって、カニューレの取り外し前にカテーテルが静脈の内側に適切に存在することを確実にすることは難しい。さらに、カニューレが取り外されると、デバイスの内在期間中、ガイダンスシステムを使用してカテーテルチュービングの場所を決定することはできなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第20140257080号明細書
【特許文献2】国際公開第2013034175号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カテーテルおよび医療デバイスの向上した視覚化をもたらすために、デバイス、システム、および方法と共に使用することができるカテーテルを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、ポリマー材料を含むカテーテルであって、ポリマーチュービングの少なくとも一部分は、外部から印加された磁場によって磁化された磁化組成物を含み、磁化組成物は、ポリマー内に分散された磁気材料を含む、カテーテルに関する。特定の実施形態では、磁気組成物は、チュービングを形成するポリマー材料内に分散される。特有の実施形態では、磁化組成物は、カテーテル管腔を取り囲む内側層と、磁化不能なポリマー材料、たとえばポリマーの外側層とを含む。代替の特有の実施形態では、磁化組成物の層は、磁化不能なポリマーの内側層を取り囲む外側層である。1つまたは複数の実施形態では、磁化組成物は、磁化不能なポリマー材料の長手方向セグメントによって分離されたカテーテルの長手方向セグメントを形成する。
【0008】
カテーテルの前述の実施形態のいずれにおいても、磁化組成物は、不透過性成分をさらに含むことができる。あるいは、前述の実施形態のいずれにおいても、カテーテルの非磁化部分は、不透過性成分を含むことができる。
【0009】
別の態様は、前述の実施形態のいずれかによるポリマーカテーテルを備える血管アクセスデバイスを対象とする。特有の実施形態では、血管アクセスデバイスは、末梢静脈カテーテル挿入デバイス、または磁化部分を有するポリマーカテーテルおよびポリマーカテーテル内に配設された針カニューレを含むシリンジであり、ポリマーカテーテルの磁化部分は、磁力計によって検出可能である磁場を有する。
【0010】
別の態様は、患者の血管系内に挿入されたカテーテル、たとえばポリマーカテーテルを位置特定するための方法であって、方法はa)前述の実施形態のいずれかによるカテーテルを磁化して、知られている透磁率の組織を通る選択された距離において知られている磁場を有する磁化カテーテルを提供するステップと、b)患者の体の外側で磁力計を使用して、挿入されたカテーテルによって生み出された磁場の強度および方向を測定するステップと、c)測定された強度および方向、ならびに選択された距離における知られている磁場と組織透磁率との間の相関付けに基づいて、カテーテルの場所を決定するステップとを含む、方法を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、方法は、ポリマーカテーテルを位置特定する前に超音波撮像システムを使用してカテーテル内に含まれた針またはカニューレの配置を検出するステップをさらに含む。
【0011】
別の態様は、患者の血管系内のカテーテルを位置特定するための、磁化カテーテル、たとえばポリマーカテーテルの使用であって、カテーテルは、カテーテルの前述の実施形態のいずれかに記載されるようなものであってよく、患者の血管系内のカテーテルによって生み出された磁場の強度および方向は、患者の体の外側の磁力計を用いて測定される、使用を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、使用は、ポリマーカテーテルを位置特定する前に超音波撮像システムを使用してカテーテル内に含まれた針またはカニューレの配置を検出することをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図1B図1Aのカテーテルの端面図である。
図2A】一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図2B図2Aのカテーテルの端面図である。
図3A】一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図3B図3Aのカテーテルの端面図である。
図4A】一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図4B図4Aのカテーテルの端面図である。
図5A】一実施形態によるカテーテルの斜視図である。
図5B図5Aのカテーテルの端面図である。
図6】一実施形態による血管アクセスデバイスの斜視図である。
図7】一実施形態による超音波システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本開示は、後続の説明に記載する構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、さまざまな方法で実践または実施されることが可能である。
【0014】
本開示の実施形態は、多様な血管アクセスデバイスと共にさまざまな方法およびシステムにおいて使用することができるカテーテルを提供する。1つまたは複数の実施形態では、カテーテルは、磁化可能な成分を含む材料、たとえばポリウレタンを含む。1つまたは複数の実施形態では、カテーテルおよび血管アクセスデバイスは、カテーテルを実時間で追跡および視覚化できるように、超音波撮像システムと共に利用することができる。1つまたは複数の実施形態では、磁化成分を含むカテーテルに金属カニューレを挿入することで、超音波で案内される針配置が可能になり、それによって挿入プロセスの視覚化ならびにカニューレおよび静脈両方の位置の位置特定を可能にして最初の試みにおける針挿入の成功率を向上させる。磁化カテーテルまたはデバイスの場所は、磁力計を使用して磁場の強度およびその方向を特定することによって決定され得る。1つまたは複数の実施形態によれば、カテーテルチュービングは、カニューレが取り外された後、撮像システムによって依然として見ることができ、それにより、必要とされる場合、静脈内のチュービングのさらなる調整を行うことができる。
【0015】
1つの態様は、ポリマーチュービングを備えるカテーテルであって、ポリマーチュービングの少なくとも一部分は、カテーテルチュービングを患者に挿入する前に外部から印加された磁場によって磁化された磁化組成物を含み、磁化組成物は、ポリマー内に分散された磁気材料を含む、カテーテルに関する。1つのそのような実施形態が、図1Aおよび図1Bに示される。図1Aおよび図1Bを参照すると、ポリマーチュービングを含むことができるカテーテル10が示され、カテーテル10の少なくとも一部分は、ポリマーであってよいカテーテル材料内に分散された磁気材料を含む磁化組成物13を含む。磁化組成物13は、カテーテルを患者に挿入する前に外部から印加された磁場によって磁化されている。図示する実施形態では、カテーテル10は、細長いチュービングによって画定され、このチュービングは、ポリマー内に分散された磁化組成物13を取り囲む外面19と、管腔15を画定する内面21とを有する。
【0016】
図2Aおよび図2Bに示す特有の実施形態では、磁化組成物113は、カテーテル110の管腔115を取り囲む磁化内側層114内に提供され、この磁化内側層114は、磁化不能なポリマーを含むことができる磁化不能な外側層117を備えたポリマーチュービングを含むことができる。この実施形態では、ポリマーチュービングによって画定されたカテーテル110の管腔115は、ポリマー内に分散された磁化可能な組成物113を含む磁化内側層114をもたらし、そしてカテーテル110の磁化不能な外側層117は、磁化不能である。したがって、カテーテル110は、磁化不能な外面119と、磁化内面121とをこうして含む。
【0017】
図3Aおよび図3Bに示す別の特有の実施形態では、磁化組成物213は、ポリマーチュービングを含むことができるカテーテル210の、磁化不能な内側層214を取り囲む磁化外側層217内にある。この実施形態では、カテーテル210の管腔215は、磁化不能なポリマーを含む磁化不能な内側層214によって取り囲まれ、磁化外側層217は、ポリマー内に分散された、磁化組成物213を含む。したがって、カテーテル210は、磁化外面219と、磁化不能な内面221とをもたらす。
【0018】
1つまたは複数の代替的実施形態では、磁化組成物は、ポリマーからなることができる長手方向の磁化不能なセグメントによって分離されたカテーテル上またはカテーテル内に、長手方向のセグメントまたは「ストライプ」を形成する。図4Aおよび図4Bに示す特有の実施形態では、磁化組成物を含む磁化長手方向セグメント313は、ポリマーチュービングを備えるカテーテル310の内面321および外面319を有する磁化不能なセグメント317によって取り囲まれる。1つまたは複数の実施形態では、磁化組成物を含む各々の磁化長手方向セグメント313は、カテーテル310の壁内の磁化不能なセグメント317によって取り囲まれる。代替的実施形態では、磁化長手方向セグメント317は、細長い磁化要素、たとえば、カテーテルチュービングと共成形(たとえば共押出)することができる、細長い磁化ワイヤ314を含むことができ、磁化ワイヤ314は、カテーテルを患者に挿入する前に印加された外部磁場によって磁化され得る。図4Bに示す実施形態では、複数の磁化ワイヤ314が、各長手方向セグメント313内に示される。他の構成、すなわちより少ないワイヤが各長手方向セグメント313内に含まれた構成、または単一の磁化ワイヤ314が長手方向セグメント内に設けられる構成も可能である。したがって、カテーテル310の管腔315は、非磁化ポリマーによって取り囲まれ、磁化不能である内面321および磁化不能である外面319をもたらす。このカテーテルの磁化の結果、長手方向の磁化「ストライプ」または長手方向の磁化セグメントが、カテーテル310の壁内に得られる。
【0019】
図5Aおよび図5Bに示すさらに別の特有の実施形態では、カテーテル410は、管腔415を画定するポリマーチュービングから構成され得るカテーテル410の内面から外面419まで延びる、磁化組成物を含む磁化長手方向セグメント413を含む。そのような構造体は、カテーテル410の対応する磁化内面423および磁化外面427をもたらす。磁化長手方向セグメント427は、ポリマーを含むことができる磁化不能な長手方向セグメント417によって分離され、この長手方向セグメントは、磁化長手方向セグメント427を分離するカテーテル410の対応する磁化不能な内面425および磁化不能な外面429をもたらす。
【0020】
図1A~Bから図5A~Bに関して説明したカテーテルの前述の実施形態のいずれにおいても、カテーテルの磁化組成物または磁化部分は、不透過性成分または不透過性材料をさら含むことができる。本明細書に説明するさまざまな実施形態によれば、不透過性成分または不透過性材料は、1つまたは複数の実施形態ではポリマーを含むチュービングを構成する材料内に均一に分散され得る。例として、カテーテルの磁化部分は、不透過性成分を含むことができる。不透過性成分は、放射線を透過させず、x線写真および/または蛍光透視法(x線透視法)下で見ることができる。1つまたは複数の実施形態では、不透過性成分は、たとえば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、三酸化ビスマス、タングステンおよびそれらの混合物から選択される。
【0021】
あるいは、カテーテルの前述の実施形態のいずれにおいても、ポリマーチュービングの磁化不能な部分は、不透過性成分を含むことができる。本明細書に説明するさまざまな実施形態によれば、不透過性成分は、カテーテルを形成する材料の内側の磁化不能な層内に分散され得る。あるいは、不透過性成分は、カテーテルを形成する材料の外側の磁化不能な層内に分散され得る。他の実施形態では、不透過性成分は、カテーテルを形成する材料の長手方向の磁化不能なセグメント内に分散され得る。ポリマーチュービングの磁化不能な部分が不透過性成分を含む実施形態では、不透過性成分は、たとえば、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、オキシ塩化ビスマス、三酸化ビスマス、タングステンおよびそれらの混合物から選択され得る。
【0022】
前述の実施形態のいずれにおいても、磁気成分または磁気材料は、カテーテルを形成するポリマー材料(たとえば、シリコーンゴム、ニチノール、ナイロン、ポリウレタン、フルオロエチレンポリマー(FEP)、ポリテトラフルオロエチレンポリマー(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ラテックス、および熱可塑性エラストマー)に付加されて組成物をもたらし、この組成物は、磁気成分または磁気材料がポリマー材料に付加され、組成物を磁化するために磁場が印加されたときに磁化される。前述の実施形態のいずれにおいても、磁化組成物中の磁気材料は、粉末状鉄、酸化鉄磁性体、酸化チタン磁性体、粉末状鉄磁性体、鉄合金磁性体、常磁性または強磁性化合物であってクロム、マグネシウム、またはモリブデンを含むもの、およびそれらの混合物から選択され得る。特有の実施形態では、鉄合金磁性体は、ニッケル、亜鉛、および/または銅を含む合金である。他の特有の実施形態では、磁気材料は、フェライトや、たとえばネオジム磁石(Neodymium-Iron-Boron)およびサマリウムコバルト(Samarium-Cobalt)などの希土から選択される。フェライトの異方性粉末は、すぐれたコスト/パフォーマンス比と、低い電気抵抗とを有する。希土は、これより高い磁気パフォーマンス、サービス温度、電気抵抗およびコストを有する。
【0023】
前述の実施形態のいずれにおいても、磁化組成物中の磁気材料は、カテーテルを形成する材料の1%から15%(w/w)の範囲内であってよい。特有の実施形態では、磁化組成物中の磁気材料は、カテーテルを形成する材料の1%から10%(w/w)の範囲内である。別の特有の実施形態では、磁化組成物中の磁気材料は、カテーテルを形成する材料の0.5%から5%(w/w)の範囲内である。磁気成分または磁気材料は、バージン樹脂または成形された部分の元の物理特性を大きく変更せずに低レベルの磁化しやすさを付与する。ポリマーまたはエラストマー部分のサイズおよび厚さ、バージン材料の密度およびバージン材料のタイプもまた、所望の検出可能な信号を得るために必要とされる添加物の量に影響を与え得る。
【0024】
磁気成分または磁気材料は、製造中、ポリマーまたはエラストマーに化合され得てポリマーまたはエラストマーをわずかに磁化して、これらを磁化しやすくし、金属検出器またはx線システムによって検出されるようにすることができる。そのような磁気成分または磁気材料は、常磁性または強磁性であってよい。磁気ポリマーは、成形中、二次作業としてさらに磁化または分極化され得る。磁気成分または磁気材料の非限定的な例が、上記で提供される。体と接触する医療デバイスの場合、添加物の毒性もまた、考慮事項であり、したがって、クロム、マグネシウム、モリブデンなどの必須金属を含む常磁性または強磁性の要素または化合物が使用されてもよい。たとえば、クロム、必須金属、およびかなり強磁性のものを粉末形態でポリマーに化合し、押し出し成形してカテーテルチューブを形成することができる。
【0025】
別の態様は、前述の実施形態のいずれかによるカテーテルを備える血管アクセスデバイスを対象とする。血管アクセスデバイスは、薬剤または流体を患者に投与するために末梢静脈内に置かれるようにサイズ設定され構成されたカテーテルを備える。挿入後、カテーテルは、血液を引き出すために使用することもできる。そのような血管アクセスデバイスは通常、ポリマーカテーテル内に金属針(カニューレ)を含んで、カテーテルを血管系内に置くことを容易にする。カニューレはその後、カテーテルを所定場所に残して引き出される。本開示は、血管アクセスデバイスの金属カニューレを磁化するための追加のオプションまたは代替策を提供する。1つまたは複数の実施形態によれば、磁化カテーテルは、長期的な場所の検出のために患者の血管系内に留まり、その一方で、カテーテルを置いた後で金属カニューレが取り外されたとき、カニューレの場所を検出する能力は失われる。1つまたは複数の実施形態によれば、血管アクセスデバイスは、中心静脈カテーテル、末梢挿入中心カテーテル、末梢静脈カニューレ、動脈カテーテル、またはミッドライン(mid-line)カテーテルであってよい。
【0026】
図1A~Bから図5A~Bに対して説明した前述の実施形態のいずれかによるカテーテルを含む血管アクセスデバイス500の例示的な実施形態が、図6に示される。図6に示す血管アクセスデバイス500は、カテーテルアダプタ518を備え、磁化特徴512を含むポリマーカテーテル510は、本明細書において説明するような磁化材料を含む磁化組成物を含む。磁化部分512は、外部から印加された磁場を印加することによって磁化される。ポリマーカテーテル510の磁化部分512を外部から印加された磁場によって磁化することにより、磁化部分512の領域内に磁場514が作りだされる。磁場514は、患者内に置いた後でポリマーカテーテル510から針カニューレ511を取り外した後でも、依然として検出可能である。
【0027】
血管アクセスデバイス500は、横方向アクセスポート556を含むことができ、IV流体源とポリマーカテーテル510との間に流体連通を確立するために延長チューブ560のセクションに連結され得る。1つまたは複数の実施形態では、延長チューブ560は内蔵されて、挿入部位における操作を解消することによって汚染および機械的静脈炎を低減する。1つまたは複数の実施形態では、延長チューブ560は、高圧注射に適合される。1つまたは複数の実施形態では、延長チューブ560は、患者の静脈内にカテーテルを前進させる間、血管アクセスの連続的な確認を提供する。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、針ハブ組立体550の針は、ポリマーカテーテル510の管腔(図示せず)内に挿入される。針ハブ組立体550は、さまざまな挿入技術を容易にするために針ハブ組立体550の側部に位置決めされた指グリップ584を含むものとして示される。1つまたは複数の実施形態では、隆起部が指グリップ上に存在し得て、針の取り外しのためにユーザがデバイスを把持できるところを示すことができる。1つまたは複数の実施形態では、ゆるやかな凸面を有する親指パッド585が、針ハブ組立体550の近位端部に設けられる。ゆるやかな凸面を有するフランジ586が、ハブ組立体の近位端部に設けられて指パッドを提供する。ウイング部材570、親指パッド585、およびフランジ586は、挿入中、ユーザが利用することができ、ユーザが使用するべき挿入技術を選ぶことを可能にする。
【0029】
1つまたは複数の実施形態では、針ハブ組立体550は、針シールド580を含む。針シールド580は、使用後に針の先端部をシールド内に固定するように適合された設計であってよい。1つまたは複数の実施形態では、針シールド580は、受働的に作動され得る。針先端部は、固定された位置において針シールド580によって完全に覆われる。1つまたは複数の実施形態では、フェルール、クリンプ、または他の構造が、特定の用途において針シールドと係合するために先端部近くに含まれてよい。
【0030】
プッシュタブ581が、挿入中のカテーテルの前進を容易にするために設けられ得る。プッシュタブ581はまた、片手または両手による前進も可能にする。1つまたは複数の実施形態では、プッシュタブ581は、針シールド580と共に取り外される。クランプ582もまた、延長チュービング上に含まれて、アクセスポートを交換するときに血液が流れるのを防止することができる。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、血管アクセスデバイス500は、延長チューブ560と流体連通する第1のルアーアクセス部572および第2のルアーアクセス部573と、第1のルアーアクセス部572に関連づけられる血液制御スプリットセプタム574と、第2のルアーアクセス部573に関連づけられるるエアベント576とをさらに含む。スプリットセプタム574は、非制限の流れおよび真っ直ぐな流路をもたらしながら、カテーテル関連血流感染(CRBSI)を低減することを可能にし、血液制御セプタムとして機能する。1つまたは複数の実施形態では、スプリットセプタム574は、カテーテルアダプタの内部空洞内またはカテーテルアダプタの遠位端部上に位置することができる。さらに別の実施形態では、スプリットセプタム574は、延長チューブ560の遠位端部上に位置することができる。エアベント576は、挿入中、空気がシステムから逃げることを可能にし、挿入中のシステムからの血液の漏出を防止しながら血管アクセスの連続的な確認を提供する。1つまたは複数の実施形態では、エアベント576は、延長チューブ560の遠位端部にあってよい。
【0032】
磁気材料は、製造中、粉末形態でポリマーに化合され得て、ポリマーをわずかに磁化し、ポリマーを磁化しやすくすることができる。磁気材料は、常磁性または強磁性であってよい。あるいは、磁気材料は、細長い磁化可能な要素、たとえば、押し出し成形プロセス中などにチュービングと共成形され得る磁化可能なワイヤなどを構成することができる。磁化ポリマーの磁気材料は、成形中、二次作業としてさらに磁化または分極化され得る。ポリマーチュービングの製造中、強磁性粒子による安定した分散を形成するために、湿潤剤および乳化剤またはその組み合わせを使用することができる。
【0033】
本開示の実施形態による有用なポリマー樹脂は、溶液流延法、押し出し成形などを含む従来の熱可塑性製作技術によってチュービングになるように製作され得る。樹脂は、その中に、所望に応じて従来の安定剤および他の添加物を組み込むことができる。これらの材料の量は、ポリマーの用途に応じて変化するが、これらは通常、ポリマーの約0.2から50重量パーセントの範囲の量で存在する。
【0034】
本開示の別の態様は、患者の血管系内に挿入されたカテーテルを位置特定するための方法であって、a)前述の実施形態のいずれかによるポリマーカテーテルを磁化して、知られている透磁率の組織を通る選択された距離において知られている磁場を有する磁化ポリマーカテーテルを提供するステップと、b)患者の体の外側で磁力計を使用して、挿入されたポリマーカテーテルによって生み出された磁場の強度および方向を測定するステップと、c)測定された強度および方向、ならびに選択された距離における知られている磁場と組織透磁率との間の相関付けに基づいて、ポリマーカテーテルの場所を決定するステップとを含む、方法に関する。1つまたは複数の実施形態では、方法は、ポリマーカテーテルを位置特定する前に超音波撮像システムを使用してポリマーカテーテル内に含まれた針の配置を検出するステップをさらに含む。
【0035】
磁化カテーテル/血管アクセスデバイスの場所は、磁力計を使用して磁場の強度およびその方向を決定することによって達成され得る。侵襲カテーテルまたは血管アクセスデバイスが磁化されて、透磁率μrの組織を通る所与の距離xにおいて知られている磁場Bを生み出す場合、2つの、すなわちx=f(B,μr)間の数学的相関を導出することができる。一実施形態によれば、3つの異なる磁力計が3次元格子配列で互いに直交して配置されて使用され、3次元(3D)相関付けを導出することができ、この場合I=f(Bi,μr)であり、式中3本の軸に沿って、i=xまたはyまたはzである。そのような相関付けは、3次元(3D)磁力計の配列まで広げて、3D磁力計の配列から磁化カテーテルまたは血管アクセスデバイスまでの正確な距離を得ることができる。3D磁力計の配列の場所が、超音波センサを参照して知られている場合、超音波センサに対する磁化デバイスの正確な場所を算出することができる。デバイスの赤外線画像が、次いで作りだされ、超音波画像上に重ね合わされ、表示され得る。磁力計と、数学関数の代わりにルックアップテーブルとを使用して、体の外側で磁力計を用いて測定された磁場強度から磁化侵襲デバイスの場所を決定する、例示的な磁気感知方法が、特許文献1に示され説明されている。特許文献1に説明される方法を、本明細書に説明するように適合させることができ、たとえば、3次元(3D)相関付けは、数学的関数からのものであり、この相関付けは、1つが患者の体の外側にある3次元(3D)磁力計の配列まで広げられて、3D磁力計の配列から磁化カテーテルまたは血管アクセスデバイスまでの正確な距離を得る。超音波プローブに対して磁力計を参照する別の例示的な方法が、PCT特許出願公開公報の特許文献2において説明され、これは、本明細書に説明するように適合させることができる。たとえば、図7に示すように、ポリマーカテーテル510を含む超音波システム700が示され、このポリマーカテーテルは、患者の体600の内側で示される、本明細書において説明するような磁化材料を含む磁化組成物を含む磁化部分512を含む。(図示しない、超音波システムのプローブ内に収容することができる)磁力計720の配列を含む磁力検出器712を使用して、ポリマーカテーテル510からの磁場514を地磁界および任意の他の背景磁場と共に検出することができる。磁力検出器712は、磁力検出器712に対するポリマーカテーテル510の位置および配向を検出された場から決定するように適合された超音波プロセッサ730と通信する。この磁気的に検出された位置は、次いで、超音波画像と共にディスプレイ750上に表示される。
【0036】
超音波システム700は、磁力検出器712を設けることによって改変された、標準的な超音波プローブを備えた標準的な2次元Bモード超音波システムとすることができる。ケーブル735を介して超音波プローブに接続することができる超音波プロセッサ730は、電気信号を磁力検出器712に送ってこれに超音波パルスを発生させ、磁力検出器712を収容する変換器プローブから受け取られた、患者の体からのエコーを示す生データを解釈して、これを患者の組織の画像に組み入れる。
【0037】
磁力検出器712は、超音波プローブに取り付けることができ、電池式であるか、または超音波システムから給電することができる。特有の実施形態では、位置決め要素が磁力検出器712上に設けられて、これがきちんと定められた同じ位置および配向に常に取り付けられることを確実にする。磁力検出器712は、無線接続によってベースユニット740に接続することができ、ベースユニット740は、超音波プロセッサ730およびディスプレイ750と無線または有線(たとえばUSB)通信する。ベースユニット740は、超音波プロセッサ730または磁力検出器712に組み込むことができ、またはこれらによってその機能の一部が実行されるようにできる。
【0038】
ベースユニット740は、磁力検出器712から正規化された測定値を受け取り、ポリマーカテーテル510の位置、または任意選択により位置および配向を算出する。ベースユニット740はまた、磁力検出器の電池の充電状態などの追加の情報を受け取ることもでき、構成情報などの情報を、ベースユニット740から磁力検出器712に送信することができる。ベースユニット740は、その算出の結果、すなわち位置、および任意選択により配向を超音波プロセッサ730に転送して、ポリマーカテーテル510の画像の表示された超音波画像内に含める。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、ベースユニット740は、超音波システム700に組み込むことができ、このとき超音波プロセッサ730および磁力検出器712は、無線リンクを介して、または同じ物理ケーブル735を使用して超音波システム700と直接通信する。
【0040】
したがって、1つまたは複数の実施形態では、磁化組成物は、カテーテルを患者に挿入する前に、針または医療デバイスを磁化する任意の適切なデバイスを使用して磁化されて、透磁率μの組織を通る距離xにおいて磁場Bを生み出し、その相関付けは、x=f(B,μr)として算出される。類似の相関付けを、y軸、z軸に対して、および相対角運動ωに対して算出することができ、たとえばy=f(B,μr)、z=f(B,μr)およびω=f(B,μr)となる。1つまたは複数の実施形態では、3つの磁力計720が互いに直交して置かれ、3次元相関付けI=f(Bi,μr)を導出するために使用され、式中、3本の軸に沿って、i=xまたはyまたはzである。特有の実施形態では、磁化ポリマーカテーテルから磁力計の3次元配列までの距離が算出される。別の特有の実施形態では、超音波撮像システムの超音波センサを参照する磁力計の配列の場所が使用されて、超音波センサに対するポリマーカテーテルの場所を算出する。別の特有の実施形態では、方法は、針の超音波画像の上に重ねられたポリマーカテーテルの画像を表示するステップを含む。
【0041】
本開示の別の態様は、患者の血管系内でカテーテルを位置特定するための磁化ポリマーカテーテルの使用であって、カテーテルは、前述の実施形態のいずれかにおいて記載されるようなものであってよく、患者の血管系内のポリマーカテーテルによって生み出された磁場の強度および方向は、患者の体の外側で磁力計を使用して測定される、使用を対象とする。1つまたは複数の実施形態では、使用は、ポリマーカテーテルを位置特定する前に、超音波撮像システムを使用してポリマーカテーテル内に含まれた針の配置を検出することをさらに含む。特有の実施形態では、使用は、針の超音波画像の上に重ねられたポリマーカテーテルの画像を表示することをさらに含む。
【0042】
本明細書において説明するカテーテルは、それだけに限定されないが、血管アクセス、局所麻酔、低侵襲外科手術、生検法、生体電気信号の検出、および筋骨格注射を含む、多様な医療処置に使用され得る。したがって、本明細書において説明するカテーテルは、医療デバイスを患者の体内の所望の位置まで案内し、および/または医療デバイスの位置を監視または追跡して、これが所望の場所に留まることを確認することが望まれる任意の処置に利用され得る。
【0043】
本明細書の開示は特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は本開示の原理および用途を示すにすぎないことを理解されたい。本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更(修正)および変形を本開示の方法および装置に加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本開示が付属の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある変更(修正)形態および変形形態を含むことが意図されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7