(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024045424
(43)【公開日】2024-04-02
(54)【発明の名称】マルチエネルギX線撮影装置の仮想出力を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240326BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20240326BHJP
【FI】
A61B6/00 533
A61B6/42 500Q
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015887
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2021517883の分割
【原出願日】2019-06-10
(31)【優先権主張番号】62/682,540
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520479571
【氏名又は名称】ケイエイ イメージング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カリム、カリム エス.
(72)【発明者】
【氏名】ロペス マウリーノ、セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ガンバールザデー、シナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチエネルギX線装置の仮想出力を決定するための方法およびシステム。
【解決手段】本発明によるマルチエネルギX線撮影装置のための少なくとも1つの仮想出力を決定する方法は、マルチエネルギX線撮影装置から、複数の異なるX線吸収スペクトルによって生成された複数の出力を受信し、マルチエネルギX線撮影装置の用途、マルチエネルギX線撮影装置の物理的特性、またはX線源の露光設定に基づいて一般的なアルゴリズムを決定し、パラメータを決定してマルチエネルギX線撮影装置および決定された用途のための仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力として複数の出力を一般的なアルゴリズムへ代入し、仮想出力アルゴリズムと、X線スペクトル特性に基づく少なくとも1つの入力とを利用して少なくとも1つの仮想出力を生成する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチエネルギX線撮影装置のための少なくとも1つの仮想出力を決定する方法であって、
前記マルチエネルギX線撮影装置から、複数の異なるX線吸収スペクトルによって生成された複数の出力を受信し、
前記マルチエネルギX線撮影装置の用途、前記マルチエネルギX線撮影装置の物理的特性、またはX線源の露光設定に基づいて一般的なアルゴリズムを決定し、
パラメータを決定して前記マルチエネルギX線撮影装置および前記決定された用途のための仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力として前記複数の出力を前記一般的なアルゴリズムへ代入し、
前記仮想出力アルゴリズムと、X線スペクトル特性に基づく少なくとも1つの入力とを利用して前記少なくとも1つの仮想出力を生成する、方法。
【請求項2】
前記マルチエネルギX線撮影装置は、シングルショット多層X線撮影装置であり、
前記マルチエネルギX線撮影装置から受信された前記複数の出力が、前記シングルショットX線撮影装置の一部または全ての層から得られ、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マルチエネルギX線撮影装置から受信された前記複数の出力が、異なるX線源の露光設定で撮影された2つ以上のX線露光から得られ、
前記マルチエネルギX線撮影装置は、マルチショットX線撮影装置である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記X線源の露光設定が、線源電圧、線源電流、または線源フィルタを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一般的なアルゴリズムを決定することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置が使用されているX線用途を決定することと、
前記決定された用途に基づいて前記一般的なアルゴリズムを選択することとを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして、多層X線撮影装置に対して
【数1】
(ここで、a、b、cはパラメータ、s
iは各層の信号、l
iは定義された層番号である)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして、多層X線撮影装置に対して
【数2】
(ここで、bとcはパラメータ、s
iは各層の信号、l
iは定義された層番号である)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして多層X線撮影装置に対して
【数3】
(ここで、bとcはパラメータ、
【数4】
は各層のシンチレータの事前濾過の厚さ、t
iは層のシンチレータの厚さである)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記一般的なアルゴリズムを決定することは、
前記一般的なアルゴリズムとして最小化アルゴリズムを選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記仮想出力アルゴリズムを利用することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置から得られる仮想出力よりも小さいノイズ成分を持つ前記出力を得ることを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記仮想出力アルゴリズムを利用することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置から得られる仮想出力よりも小さい物体散乱線成分を有する前記出力を得ることを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想出力アルゴリズムによって生成された前記少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、前記シングルショット多層X線撮影装置の1つまたは複数のセンサ層における欠陥のあるアレイピクセル、ライン、または領域の補正に使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想出力アルゴリズムによって生成された前記少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、骨塩密度または骨塩面積密度の測定値を得るために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記X線撮影システムのための少なくとも1つの仮想出力を決定するためのX線撮影システムであって、
X線源と、
少なくとも1つのセンサ層を含むマルチエネルギX線撮影装置と、
前記マルチエネルギX線撮影装置から、複数の異なるX線吸収スペクトルによって生成された複数の入力を受信し、前記マルチエネルギX線撮影装置の少なくとも1つの仮想出力を決定するためのプロセッサであって、前記プロセッサは、実行された場合に、前記プロセッサに、
前記マルチエネルギX線撮影装置の用途、前記マルチエネルギX線撮影装置の物理的特性、および/または前記X線源の露光設定に基づいて、一般的なアルゴリズムを決定させ、
入力として前記マルチエネルギX線撮影装置の複数の出力を前記一般的なアルゴリズムへ代入して前記マルチエネルギX線撮影装置および前記決定された用途のための仮想出力アルゴリズムのパラメータを決定させ、
前記仮想出力アルゴリズムと、X線スペクトル特性に基づく少なくとも1つの入力とを利用して前記少なくとも1つの仮想出力を生成させる
命令が格納されたコンピュータ可読媒体をさらに含むプロセッサとを
備える、X線撮影システム。
【請求項15】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
一連のセンサ層を
備える、請求項14に記載のX線撮影システム。
【請求項16】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
少なくとも2つのセンサ層を
備える、請求項15に記載のX線撮影システム。
【請求項17】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
前記少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間にある少なくとも1つの中間フィルタ層を
さらに備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項18】
前記中間フィルタ層が、金属材料フィルタ、光伝導体層、またはシンチレータ層を備える、請求項17に記載のX線撮影システム。
【請求項19】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
前記少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間に少なくとも1つのアンチグリッド層を
さらに備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセンサ層のそれぞれが
光伝導体層またはシンチレータ層を
備える、請求項15に記載のX線撮影システム。
【請求項21】
隣接するセンサ層の光伝導体またはシンチレータ層が互いに隣接している、請求項20に記載のX線撮影システム。
【請求項22】
前記センサ層の少なくとも1つが、シンチレータ注入されたガラス基板層を備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項23】
前記センサ層のうちの少なくとも1つが、可撓性基板層およびX線吸収体を備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月8日に出願された米国仮出願第62/682,540号からの優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、X線撮影、より具体的には、マルチエネルギX線撮影装置の仮想出力を決定するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
医用画像の品質、ひいてはツールとしてのその価値は、撮影されている患者の解剖学的構造を医師などの観察者にどれだけうまく伝えることができるかにのみ依存する。解剖学的構造がよく理解されればされるほど、医師が決定を下さなければならないより正確な情報が得られる。
【0004】
X線撮影では、画質を低下させることが多い大きなノイズ源は解剖学的ノイズである。これは、三次元(3D)患者の二次元(2D)投影から生じる通常の解剖学的構造の重ね合わせによって引き起こされる。このノイズは、撮影されている組織を不明瞭にしたり、解剖学的異常と誤解されたりする可能性がある。この簡単な例としては、肺の解剖学的構造を評価する目的で得られた胸部X線写真があり、得られた画像では肋骨が必然的に邪魔になる。この場合、肋骨は対象の解剖学的構造ではないため、解剖学的ノイズの主な原因である。
【0005】
解剖学的ノイズを低減するために提案された手法は、二重エネルギ(DE)撮影である。この手法は、X線と物質の相互作用の基本的な特性を利用するが、組織タイプが異なれば、診断エネルギ範囲にわたって質量減衰係数(μ/ρ(E))が異なるだけでなく、これらの係数の変化率も異なるであろう。
【0006】
DE撮影の1つの課題は、2つの別々の低エネルギ画像と高エネルギ画像とを得る必要があることである。これを実現するには、検出器で吸収されるX線スペクトルを、低エネルギ(LE)画像の診断範囲の下限と高エネルギ(HE)画像の上限で大きく重み付けする必要がある。DE撮影は、患者の投影を軟組織のみの画像と硬組織のみの画像とに分解することができる。LEおよびHE入力からこれらのDE画像を得るためのいくつかの数学的方法が存在するが、中でも注目すべきは対数減算と基底分解である。
【0007】
実際には、特定の組織タイプを完全にキャンセルすることは、一般的には不可能である。いくつかの要因が、数学的手法では捉えることができない非理想的なシナリオの形成に寄与している。これらには、数学的解析で使用される理想的な線源とは対照的に、各画像の形成につながるX線フルエンスのスペクトルが広いこと、重み付け係数を計算するときに使用する必要がある正確な値を決定することを不可能にする、キャンセルされる組織の密度または質量減衰係数の不均一性、ランベルトベールの法則では説明されていない、撮影されている物体と検出器の両方からのX線散乱がある。これらの非理想性はまた、重み付け係数の理論値が可能な範囲で最良のキャンセルを提供しない可能性があることも意味し、観察者は実験的または定性的にこれらの理想値を計算する必要がある。
【0008】
実際に、このスペクトル分離を実現するには、2つの根本的に異なる方法があり、即ち、2つの画像に対して線源スペクトルが異なる方法(以下、マルチショットDE撮影と呼ぶ)か、検出器がより広いスペクトルの異なる部分を選択的に吸収して各画像を形成する方法(以下、シングルショットDE撮影と呼ぶ)である。使用する方法に拘わらず、高品質の組織選択的な画像を得るには、2つのスペクトルを大きく分離することが不可欠である。
【0009】
異なるエネルギで画像を得るための1つのアプローチは、撮影システムの一部ではなく、X線管が生成するスペクトルを変化させて、時間的に順次取得することである。これは、マルチショット撮影(kVpスイッチングと呼ばれることもある)の背後にある概念であり、第1の画像は低X線管kVpを使用して撮影され、直後に第2の画像が高kVpで得られる。低kVpビームおよび高kVpビームの有効エネルギは異なるため、結果として得られる2つの画像には、主にX線診断スペクトルのローエンドとハイエンドでそれぞれ得られた情報が含まれる。代替的に、露光間で線源のkVpを変更する代わりに、スペクトルフィルタをビーム経路の内外に素早く移動することにより、線源濾過を変更することができる。これは、線源濾過のエネルギスペクトル全体で選択的な性質がある場合、2つの異なるスペクトルを検出器に与える効果がある。
【0010】
このアプローチはまた、異なるkVp値または線源フィルタで複数の連続画像を得ることにより、マルチエネルギ画像に拡張することもでき、これにより、より多くのスペクトル情報を得ることができ、次いで、改良された画像をアルゴリズム的に生成することができる。
【0011】
残念ながら、この手法に固有の時間的分離により、最終画像にモーションアーチファクトを発生させ、それを解釈する放射線科医または観察者にとって大きな課題となる可能性がある。これらのアーチファクトは、連続画像の解剖学的構造のわずかなずれによって引き起こされる画像の顕著な歪みであり、一般的には、画像取得中および画像の取得と取得との間に発生する患者または物体の動きに起因する。
【0012】
理想的には、1回の露光が終了すると直ぐに次の露光を開始できるように、線源管の電圧を瞬時に変更できるということもあり得る。しかし、現在市販されている線源では、連続した露光と露光の間隔として少なくとも150ミリ秒~200ミリ秒が必要である。これは、画像の理想的な相対強度を得るためには、電圧の変化だけでなく、管電流の変化も必要となるためである。この間隔は、ほとんどの患者が大きな動きを控えることができるほど十分に短いが、心臓の動き、呼吸器の動き、および小さな筋肉の動きは、その間ずっと発生するはずである。これらの動きに起因してモーションアーチファクトが発生するが、これは、心臓の存在感が大きいために心肺撮影に特に支障をきたすことがある。さらにまた、マルチエネルギ撮影においてより多くの画像取得が追加されると全取得時間が長くなり、患者の動きがより多くなり、この問題は深刻になるだろう。
【0013】
マルチエネルギ画像を得るための代替方法が存在し、これは一般にシングルショット撮影と呼ばれる。この方法は、マルチショット撮影とは逆のアプローチを取り、線源においてではなく検出器内でスペクトル分離を実現するものである。これは、2つのセンサ層を垂直に積み重ねて、サンドイッチ構成と呼ばれる2層検出器を形成することで実現される。最上層などの1つの層は主にLE X線を吸収し、一方、第2の層または最下層はHE X線を吸収する。したがって、LEとHEの両方のX線をカバーする大きなスペクトルを可能にするために、より高いkVpで行われるこの手法では、必要な露光は1回だけである。その後、この方法は、後続の積層体で有効エネルギが増加した複数の画像を得ることができる多層検出器に拡張されている。
【0014】
シングルショットアプローチで発生する実際的な問題は、層間の理想的かつ効果的なエネルギ分離を得るために、高感度材料-シンチレータであれ直接変換材料であれ-質量負荷(または同等に、それらの厚さ)を特定の組織タイプと患者の解剖学的構造に合わせて調整しなければならないということである。商業レベルでは、いくつかの特定の構成を構築することしか実現可能ではないため、目標とする用途および患者タイプの全てに最も良く適合する妥協したソリューションが唯一の実用的なソリューションとして残されている。
【0015】
したがって、上記の撮影方法および撮影装置の少なくとも1つの欠点を緩和または克服するための新規の方法および装置が提供される。
【発明の概要】
【0016】
本開示の一態様において、異なるX線スペクトルによって生成されたマルチエネルギ撮影装置からの複数の出力を受信することを含む、マルチエネルギX線撮影装置のための少なくとも1つの仮想出力を決定し、X線撮影装置の用途、X線撮影装置の物理的特性、またはX線源の露光設定に基づいて一般的なアルゴリズムを決定し、パラメータを決定し、マルチエネルギX線撮影装置および決定された用途のための仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力として前記複数の出力を一般的なアルゴリズムに代入し、少なくとも1つの仮想出力を生成するための仮想出力アルゴリズムを利用する方法が提供されている。
【0017】
別の態様では、マルチエネルギX線撮影装置から受信された複数の出力は、マルチエネルギX線撮影装置の一部の層または全ての層から得られ、マルチエネルギX線撮影装置は、シングルショット多層X線撮影装置である。さらなる態様では、マルチエネルギX線撮影装置から受信された複数の出力は、異なるX線源の露光設定で撮影された2つ以上のX線露光から得られ、マルチエネルギX線撮影装置は、マルチショットX線撮影装置である。別の態様では、X線源の露光設定には、線源電圧、線源電流、または線源濾過が含まれる。さらに別の態様では、一般的なアルゴリズムを決定することは、マルチエネルギX線撮影装置が使用されているX線用途を決定すること、および決定された用途に基づいて一般的なアルゴリズムを選択することを含む。
【0018】
別の態様では、一般的なアルゴリズムを選択することには、一般的なアルゴリズムとして多層X線撮影装置に対して
【数1】
(ここでa、b、cはパラメータ、s
iは各層の信号およびl
iは定義された層番号である)を選択することが含まれる。別の態様では、一般的なアルゴリズムを選択することには、一般的なアルゴリズムとして多層X線撮影装置に対して
【数2】
(ここで、bおよびcはパラメータ、
【数3】
は各層のシンチレータ事前濾過の厚さおよびt
iは層のシンチレータの厚さである)を選択することが含まれる。別の態様では、一般的なアルゴリズムを決定することには、一般的なアルゴリズムとして最小化アルゴリズムを選択することが含まれる。
【0019】
さらに別の態様では、仮想出力アルゴリズムを利用することには、マルチエネルギX線撮影装置から得られる出力よりも小さいノイズ成分を有する仮想出力を得ることが含まれる。一態様では、仮想出力アルゴリズムを利用することには、マルチエネルギX線撮影装置から得られる出力よりも小さい物体散乱線成分を有する仮想出力を得ることが含まれる。一態様では、仮想出力アルゴリズムによって生成された少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、多層X線撮影装置の1つまたは複数のセンサ層における欠陥のあるアレイピクセル、ラインまたは領域の補正に使用される。さらに別の態様では、仮想出力アルゴリズムによって生成された少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、骨塩密度または骨塩面積密度の測定値を得るために使用される。
【0020】
本開示の別の態様では、X線源と、少なくとも1つのセンサ層を含むマルチエネルギX線撮影装置と、X線撮影装置から複数の入力を受信し、X線撮影装置の少なくとも1つの仮想出力を決定するためのプロセッサであって、当該プロセッサは、実行された場合に、当該プロセッサに、X線撮影装置の用途、前記X線撮影装置の物理的特性、および/または前記X線源の露光設定に基づいて一般的なアルゴリズムを決定させ、入力として前記マルチエネルギX線撮影装置の前記複数の出力を前記一般的なアルゴリズムへ代入して前記X線撮影装置および前記決定された用途のための仮想出力アルゴリズムのパラメータを決定させ、前記仮想出力アルゴリズムを利用して前記少なくとも1つの仮想出力を生成させる命令が格納されたコンピュータ可読媒体をさらに含むプロセッサとを含む、X線撮影システムの少なくとも1つの仮想出力を決定するためのX線撮影システムが提供される。
【0021】
別の態様では、マルチエネルギX線撮影装置は、一組のセンサ層を含む。さらに別の態様では、マルチエネルギX線撮影装置は、少なくとも2つのセンサ層を含む。さらに別の態様では、マルチエネルギX線撮影装置は、少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間に少なくとも1つの中間フィルタ層をさらに含む。さらに別の態様では、中間フィルタ層は、金属材料フィルタ、光伝導体層、またはシンチレータ層を含む。さらに別の態様では、マルチエネルギX線撮影装置は、少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間に少なくとも1つのアンチグリッド層をさらに含む。
【0022】
一態様では、少なくとも1つのセンサ層のそれぞれは、光伝導体層またはシンチレータ層を含む。別の態様では、隣接するセンサ層の光伝導体またはシンチレータ層は互いに隣接している。さらなる態様では、センサ層のうち少なくとも1つは、シンチレータが注入されたガラス基板層を含む。さらに別の態様では、センサ層のうち少なくとも1つは、可撓性基板層およびX線吸収体を含む。
【0023】
本開示の実施形態は、添付の図を参照して、例としてのみ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2a】多層X線撮影装置の概略図であり、2つ以上の層を有するX線撮影装置を表す。
【
図2b】マルチショットX線撮影装置の概略図であり、異なる線源電圧、電流、および/または濾過で2つ以上の露光が得られるX線撮影システムを表す。
【
図3a】マルチエネルギX線撮影装置の仮想画像出力を決定する方法を概説するフローチャートである。
【
図3b】多層X線撮影装置の仮想層出力を決定する方法を概説するフローチャートである。
【
図3c】マルチショットX線撮影装置の仮想エネルギ出力を決定する方法を概説するフローチャートである。
【
図4a】全信号対シンチレータ濾過の例を概説するグラフである。
【
図4b】3層検出器のサンプル出力にフィットする例示的方程式のグラフである。
【
図5】間接n層X線撮影装置および直接n層X線撮影装置の概略図である。
【
図6a】間接2層X線撮影装置および直接2層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図6b】間接2層X線撮影装置および直接2層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図7a】間接3層X線撮影装置および直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図7b】間接3層X線撮影装置および直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図9】二次元アクティブマトリックス撮影アレイ構造を示す。
【
図10a】層間に中間フィルタを備えた間接n層X線撮影装置、および層間に中間フィルタを備えた直接n層X線撮影装置の概略図である。
【
図10b】いくつかの層間に中間フィルタを備えた間接3層X線撮影装置、およびいくつかの層の間に中間フィルタを備えた直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図10c】いくつかの層間に中間フィルタを備えた間接3層X線撮影装置、およびいくつかの層の間に中間フィルタを備えた直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図11a】層間に散乱防止グリッドを備えた間接n層X線撮影装置、および層間に散乱防止グリッドを備えた直接n層X線撮影装置の概略図である。
【
図11b】いくつかの層間に散乱防止グリッドを備えた間接3層X線撮影装置、およびいくつかの層の間に散乱防止グリッドを備えた直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【
図11c】いくつかの層間に散乱防止グリッドを備えた間接3層X線撮影装置、およびいくつかの層の間に散乱防止グリッドを備えた直接3層X線撮影装置の異なる実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、マルチエネルギX線撮影装置の仮想出力を決定するための方法および装置に関する。一実施形態では、本方法は、多層X線撮影装置の層から実際の出力を受信し、次に、該出力を処理して、あたかもX線撮影装置内の実際の物理的な層であるかのように、多層X線撮影装置内の他の存在しない層の出力を決定する。別の実施形態では、本方法は、マルチショット撮影装置から得られた異なるスペクトル/エネルギ露光から実際の出力を受信し、次に、該出力を処理して、他の得られていないスペクトル/エネルギ露光の出力を決定する。
【0026】
図8は、X線撮影環境の一般的な図を示す。図示の通り、X線源10は、X線検出器システム(RDS)14による撮影のために、物体12、例えば、患者の手に向けて送信されるX線ビーム、即ち、X線11を生成する。X線露光の結果は、コンピュータまたはプロセッサ16上で見ることができる。間接撮影システムと見なしてもよい現在の実施形態では、X線検出器システム14は、シンチレータ15を含む。直接撮影システムでは、X線11は、X線検出器システム14内で電荷を生成し、シンチレータ15の必要はない。
【0027】
いくつかのX線検出器システム14では、X線源10と、衝突するX線ビーム11をサンプリングしているX線検出器システム14との間で正確なタイミングを得るために同期化ハードウェア18が必要である。本開示では、X線検出器システム14は、物体12の撮影を実現するためのアクティブマトリックス技術に基づいた大面積フラットパネル検出器を含む。
【0028】
一般に、撮影される物体12は、X線源10とX線検出器システム14との間に配置される。物体12を通過するX線11は、X線検出器システム14と相互作用する。間接撮影では、X線11は、構造化ヨウ化セシウム(Csl)、オキシ硫化ガドリニウム(GOS)、酸化タングステンカルシウム(CaWO4)などの蛍光体スクリーンまたはシンチレータ15を通過するときに光子を生成する。次に、これらの間接的に生成された光子は、X線検出器システム14内でさらに電荷を生成する。
【0029】
図9は、X線検出器システム14の概略図である。RDS14は、ピクセル要素の二次元マトリックスを有するアクティブマトリックスピクセルアレイ20を含み、入射X線によって直接的または間接的に生成された電荷がピクセル要素で感知および記憶される。各ピクセルで蓄積された電荷にアクセスするために、ゲートライン21は、通常、行スイッチング制御22によって順次駆動され、1つの行の全てのピクセルに、その蓄積された電荷を、各アクティブマトリックスピクセルアレイ20の列の端部で電荷増幅器24に結合されたデータライン23に出力させる。電荷増幅器24は、ピクセル電荷データをアナログ-デジタル変換器(A/D)26に送信し、そこでアナログ信号がデジタル表現に変換される。次に、該デジタル表現は、制御論理29によって決定された時間に、コンピュータ16への送信を待つメモリ28に格納される。電荷増幅器はまた、その増幅機能に加えてマルチプレクス機能も実行できる。
【0030】
図1を見ると、多層X線撮影検出器要素または装置の概略図が示されている。本実施形態では、検出器要素14は、最上層102、中間層、または中央層104、および最下層106として見られる3つの異なるセンサ層を含む。理解されるように、好ましい実施形態では、最上層102、中間層104、および最下層106のそれぞれは、互いに同じである。センサ層のそれぞれは、多層X線検出器要素または撮影用検出器の個々の層として見ることができる。一実施形態では、各層は、シンチレータ層に結合されたアモルファスシリコン(a-Si)フラットパネルセンサ層であってもよい。代替的に、任意のタイプの間接または直接変換X線検出層を個々の層に使用してもよい。
図2aに示される他の実施形態では、検出器は、それぞれがその間接的または直接的な変換材料を備えた、任意の数の積層センサ層(全て102aから102nとしてラベル付けされ、nは任意の数であり得る)を含むことができる。動作中、各層は、さらなる仮想出力を得るために本開示の方法によって使用することができる出力を生成する。
【0031】
代替的に、X線撮影装置は、マルチショット撮影システムの一部であってもよい。この場合、検出器には1つのセンサ層のみを含むが、X線源の特性(例えば、kVpおよび/または濾過などであるが、これらに限定されない)を変化させて再露光することにより、複数の画像が得られる。これらの画像のそれぞれは、検出器からの出力と見なすことができ、次いで、提示された方法で使用して、他の線源特性を表すさらなる仮想出力を得ることができる。マルチショット撮影システムで使用するためのX線撮影検出器の概略図を
図2bに示す。
【0032】
図3aを見ると、本開示の方法の基本的なステップと、それをマルチエネルギX線撮影装置またはシステムで使用して少なくとも1つの仮想出力を生成する方法とを概説したフローチャートが示されている。
図3bは、少なくとも1つの仮想層の出力を決定する方法を概説するフローチャートである。この実施形態では、この方法を、2つ以上のセンサ層を有するX線検出器要素またはX線撮影装置に使用してもよい。一実施形態では、本開示の方法および装置により、X線吸収体の厚さが異なるX線検出器撮影装置を使用するという課題が克服される。一実施形態では、本方法は、より汎用性が高くかつ改善されたマルチエネルギ撮影機能を有する、より単純な多層検出器の設計を可能にする可能性がある。
【0033】
最初に、X線撮影装置は、各層からの出力が、読出しアレイなどの読出し電子機器によってプロセッサに読み出されるようなX線源に曝されるが、これに限定されない。言い換えれば、システムは、異なるX線吸収スペクトルによって生成されたものとして分類されてもよいマルチエネルギ撮影装置からの入力(層出力として見られる)を受信する(200)。
【0034】
次に、X線撮影装置が使用されている用途に基づいて、プロセッサは、好ましくは、所定の、または予め選択された一般的なアルゴリズムまたは方程式に入力するか、または入力を代入して、X線装置のための仮想出力アルゴリズムを決定することができる(204)。これは、一般的なアルゴリズムのためのパラメータを計算または決定することを意味する。一般的なアルゴリズムは、X線撮影装置の用途、X線撮影装置またはシステムの物理的特性、および/または1つまたは複数の露光で使用される特定のX線源の設定のいずれかに基づいて選択してもよい。一旦、これらのパラメータが計算されると、これらは、仮想出力アルゴリズムを決定または生成するために、一般的なアルゴリズムに入力されるか、または一般的なアルゴリズムで使用されてもよい。次に、仮想出力アルゴリズムを使用して、X線撮影装置の他の仮想層について、画像などの期待される(または仮想の)出力を計算することができる(204)。
【0035】
この方法の理解を助けるために、この方法の例示的な実施形態を提供する。X線ビームが物体を通過した後に、無限に厚い単一のシンチレータに吸収されて残留している信号の量の概要を提供する。ビーム経路内の任意の点に残留している信号量は、
【数4】
と定義され、ここで、φ(E)は残留ビームのスペクトルであり、
【数5】
は平均シンチレータゲイン関数で、一般的な無機シンチレータの場合は通常
【数6】
の形式になる。
【0036】
図4aに示されているように、この信号は、この吸収体を通り抜けるにつれて指数関数的に減衰する。同じシンチレータ材料と厚さの層を備えた多層検出器の実施形態を検討することにより、各層で得られた信号(s
i)を使用して、その傾向を記述する方程式を生成することができる。各層の信号は指数関数的に減少し、指数関数的な減少率はビーム内の信号量が減少するにつれて変化すると予想される。これは、各層の信号が、
図4aに示す曲線上の2点の値の差になるためである。したがって、この例で選択した方程式は
【数7】
であり、ここで、この式中の値l
iは層番号と呼ばれる。数学的には、層番号は各層のシンチレータの全厚さに対応する。しかし、パラメータa、b、およびcがフィットする場合、簡単にするために、l
iは層の厚さに正規化され、これによりl
i=1,2,3となる。理解されるように、これは単に単純化のためのものであり、この方法には必要ではない。実際には、l
iの値については、シンチレータ以外の検出器要素でのX線損失およびその他の非理想性を考慮して修正してもよい。受信した出力を上記の一般の方程式またはアルゴリズムに代入することにより、仮想出力方程式のパラメータを決定して、検出器の任意の仮想層を生成するために使用できる仮想出力方程式を提供できる。
図4bは、一旦、このフィッティング方程式のパラメータが発見されると、これを使用して仮想層の値を近似できる方法の例を示す。
【0037】
一旦、フィットすると、各ピクセルについて発見されたパラメータを使用して、任意に選択された厚さでかつ任意に選択された事前濾過量を備えた仮想検出器層の画像を生成できる。このように、X線撮影装置のための仮想出力アルゴリズム、およびX線撮影装置が使用されている用途を見つけ出すことができ、次いで、仮想層の値を計算するために使用することができる。例えば、無限に厚い下層は
【数8】
で計算でき、または半分の厚さの上層は
【数9】
を用いて計算できる。仮想出力方程式は、検出器を構築したものと同じ厚さの層の信号を直接与えるとしても、この方程式を知的に使用することにより、任意の所望の厚さの層の値を間接的に得ることが可能であることに注意すべきである。
【0038】
したがって、本開示の利点は、任意の厚さの任意の数の層を有する仮想多層検出器要素の計算を、さらに重畳層または無限に厚い層などの物理的に不可能な検出器構成の計算を容易にできることである。これは、二重エネルギ手法-ここで仮想的な厚さを調整して、可能な限り最高の組織除去画像を生成できる-とデジタルX線撮影手法-ここで、非実用的に厚い単一の仮想層を生成することによって、またはより複雑なフィッティング方法を用いてノイズを知的に低減することによって、画質を改良してもよい-の両方にとって恩恵または利点になる可能性がある。
【0039】
図3bを見ると、多層X線撮影装置の仮想層出力を決定する方法を概説するフローチャートが示されている。最初に、(X線源に曝されている多層X線検出器からの出力などの)入力は、多層撮影装置の各層から受信される(206)。次に、これらの入力(または出力)は、仮想出力アルゴリズムのためのパラメータを決定して仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力としてピクセル毎に一般的なアルゴリズムへ代入される(208)。次に、仮想出力アルゴリズムを使用して、仮想層によって生成されるであろう完全または部分的な画像を生成することができる(210)。
【0040】
図3cを見ると、マルチショットX線撮影装置の仮想エネルギ出力を決定する方法の概要を示すフローチャートが示されている。最初に、マルチショット撮影装置の各露光からの出力が受信される(212)。次に、これらの出力が、仮想出力アルゴリズムのためのパラメータを決定して仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力として各ピクセル毎に一般的なアルゴリズムに代入される(214)。次に、仮想出力アルゴリズムを使用して、仮想露光の完全または部分的な画像を決定できる(216)。
【0041】
信号変化を説明するいくつかの数学的な実装または方程式が
図3a、
図3bまたは
図3cに関して開示されているが、任意の数の方程式またはアルゴリズムを一般的なアルゴリズムとして使用してもよい。これらの一般的な方程式またはアルゴリズムは、異なる数のフィッティングパラメータを必要とする場合があり、フィットの質が異なる場合がある。入力信号に正確にフィットするものもあるが、信号を参照として使用して新しい信号曲線を近似してもよい。しかし、これらは全て、検出器の物理的情報およびその運用、例えば、層シンチレータの厚さや材料、または使用される異なる線源電圧や濾過などだけでなく、異なる層の出力またはエネルギ露光を入力または信号として受信するという点で類似している。
【0042】
さらにまた、開示された実施形態は、必要なフィットを得るために全て等しい吸収体を備えた多層検出器を使用することを論じているが、様々なセンサのタイプおよび厚さの他の構成が検討され、該構成により、フィットの精度が改善され、より洗練されたフィッティングアルゴリズムが可能になる可能性があることに留意すべきである。
図3bのフローチャートの方法は、2つの層のみが使用される場合でも有益であり得る。同様に、
図3cのフローチャートの方法を、
図2bに示すマルチショットスイッチング検出器システムに使用してもよく、ここで、異なる線源電圧、電流、および/または濾過における任意の数の露光を、仮想露光画像を生成できるアルゴリズムへの入力として使用してもよい。
【0043】
層が少なく、したがって一般的なアルゴリズムで使用される出力が少ない多層検出器では、アルゴリズムのフィッティング精度が低くなる可能性がある。しかし、これは、例えば、既知の材料を中間フィルタとして使用して検出器層間のビームスペクトルをスペクトル的に分離し、アルゴリズムへの信号のスペクトル範囲を広げることで改善できる。検出器装置の物理的構成が既知である限り、任意の構成に対応し、仮想層信号の計算を可能にする適切な仮想出力アルゴリズムを生成するために、一般的なアルゴリズムを適応させてもよい。同様に、露光設定(電圧、電流、濾過など)がマルチショット撮影システムにおいて既知である限り、選択されたパラメータに対応し、仮想露光信号の計算を可能にする仮想出力アルゴリズムを生成するように、一般的なアルゴリズムを選択することができる。
【0044】
上に提示された実施形態は、この手法を説明するのに役立つ例である。前述の通り、本開示の方法の実施形態の詳細は、特定の用途において、または特定の検出器システムが与えられた場合に、より良い結果を得ることができるように変更することができる。提供された例に対して最も簡単な変更は、一般的な方程式またはアルゴリズムを、
【数10】
などの指数関数的に減少する別の方程式に変更することである。
【0045】
別の例は、同じまたは異なる厚さのシンチレータを備えた多層検出器を使用して、吸収された信号ではなくビーム内の信号量にフィットさせることにより、
図4aの曲線をフィッティング方程式で近似し、各層の信号は該曲線の定積分であると仮定することで、例えば、一般的なアルゴリズムを以下の通り得ることができ、
【数11】
ここで、
【数12】
は各層のシンチレータ事前濾過の厚さであり、t
iは層のシンチレータの厚さである。
【0046】
さらにまた、本開示の方法は、異なる材料および厚さの両方のシンチレータを有する多層検出器で使用するために修正することができる。この場合、各ピクセルでの入力X線スペクトルはパラメータ化された関数にフィットする可能性がある。これが可能なのは、各層の信号は、各層に残留するスペクトルと層の吸収効率の積に比例することが分かっているからである。
【0047】
別の実施形態では、2つ以上の層の多層検出器を使用してもよく、得られた信号を使用して、
【数13】
に最も良くフィットするパラメータを見つける。
【0048】
さらなる実施形態において、2層検出器は、同じシンチレータ材料で作られた中間フィルタと共に使用されてもよく、信号を方程式
【数14】
にフィットさせるが、上層および下層信号に対して、それぞれl
i=1,5を使用する。これにより、s
iは実質的に2層の厚さに正規化されたままになる。この場合もやはり、l
i値は、他の検出器要素を考慮して実際に変更される可能性があることに注意すべきである。この実施形態は、各層の信号はフィットパラメータを有する曲線の定積分であると仮定する前述の実施形態に拡張できるが、ビーム経路内のこの中間フィルタ以降の層の積分限界に中間シンチレータ材料の厚さを加えることによって、積分限界の選択において中間シンチレータ材料を考慮することができる。これは、s
iに関する異なるパラメータ化された方程式を利用することによって、さらに拡張できる。
【0049】
別の実施形態では、4層検出器を使用して、信号を前述の一般方程式のいずれかに、または
【数15】
などの4つのパラメータを有する新しい方程式にフィットさせてもよい。さらに別の実施形態では、モンテカルロ最小化アルゴリズムの形式のように、最小化アルゴリズムなどのより複雑で一般的なアルゴリズムも可能である。
【0050】
これらの例を通して、仮想層信号を生成するために、異なるタイプの数学的方法を任意の多層X線検出器と組み合わせて使用できることは明らかである。本開示の方法は、マルチショット撮影システムを含むがこれらに限定されない任意のマルチエネルギ検出器システムに拡張することができ、別々の画像露光が異なる線源電圧、電流、および/または濾過で行われる。この方法は、異なる入力スペクトル間の傾向にフィットできるため、他の入力線源電圧への外挿が可能になり、撮影されている材料のさらなる理解が可能になる。明らかなように、本開示の方法によって採用されたアプローチは、マルチスペクトル3Dコンピュータ断層撮影またはリアルタイム撮影などのさらなる用途においても同様に有効である。
【0051】
さらにまた、本開示の方法は、局所的なコントラストを維持しながら、層間または露光間で情報をアルゴリズム的に転送するために使用することができる。これにより、欠陥のあるアレイピクセル、ライン、または領域の修正、電子ノイズまたは量子ノイズの低減など、X線撮影で通常発生する他の問題の修正が可能になる。アレイの欠陥修正により、個々のセンサ層の低欠陥密度または最小欠陥密度の要件を緩和することが可能になる。ノイズ低減についても同様の改善が得られ、複数の層または複数の露光からのデータにより、真の信号の測定の不確かさを低減できる。
【0052】
本開示の方法を使用して、多層X線検出器装置の個々のセンサ層内の欠陥のあるアレイピクセル、ラインまたは領域を補正するための1つの方法は、最初に、1つのセンサ層内の個々の欠陥のあるピクセル、または欠陥のあるラインまたは領域に属する全てのピクセルを識別すること、多層検出器装置内の他の全てのセンサ層からこれらのピクセルまたは領域に対応する出力を得ることにより、ここで、1つの層からの出力は、それらの値が撮影されている物体の同様の部分に対応する場合、別の層の出力に対応しており、さらに、これらの出力を一般的なアルゴリズムにフィットさせて仮想出力アルゴリズムを生成すること、仮想アルゴリズムを使用して、元のセンサ層の物理的特性に一致する全ての欠陥のあるピクセルまたは領域の仮想出力を得ること、元のセンサ層内の欠陥のあるピクセルの値を仮想出力で置き換えることによる。この方法は、多層検出器装置の一部または全ての層から全ての欠陥のあるピクセル値を除去するために、個々のセンサ層毎に再現できることは明らかである。
【0053】
センサ出力データのノイズ低減を、本開示の方法を利用することによって実現してもよい。これは、多層撮影装置の層数またはマルチショット撮影システムの露光よりも少ないフィッティングパラメータを必要とする一般的なアルゴリズムを選択して、または全ての出力データを均等に重み付けしないアルゴリズムを選択して行ってもよい。一旦、この一般的なアルゴリズムの仮想出力アルゴリズムが見つかると、装置出力の1つと同じまたは類似の物理的特性を持つ仮想出力層または露光を生成できる。選択された一般的なアルゴリズムの性質により、この仮想出力は、元の装置出力と同様の局所コントラストを有するが、ノイズ成分が小さくなる可能性がある。より良い結果を達成するために、元の出力の特定の領域または空間周波数成分のみを置き換えることも可能な場合がある。
【0054】
本開示の方法の1つのさらなる適用例は、二重エネルギX線吸収測定法による骨塩密度の測定である。仮想出力アルゴリズム用に特定されたパラメータ、または生成された仮想層または露光画像のいずれかを、X線撮影装置、使用される露光設定、またはX線システム構成に関する追加情報と組み合わせて、撮影された骨の一部または全ての領域における密度または面密度を計算するために使用してもよい。
【0055】
本開示のこの方法のさらなる適用は、物体散乱補正である。X線放射は通常、撮影されている物体から散乱され、全体的に画質が低下する原因になる。典型的な物体散乱線のスペクトル特性の違いは、本開示の方法によって最終出力画像からそれを分離し、したがってそれを除去するために利用することができ、それによって画質を改善することができる。
【0056】
本開示の方法で使用することができる異なる多層検出器を、間接シンチレータベースのX線検出器および直接光伝導体ベースのX線アプローチの両方について、
図5(n層)、
図6aおよび
図6b(2層アプローチ)、および
図7aと
図7b(3層アプローチ)に概略的に示す。使用される材料の性質を考慮すると、検出器を露光した場合、ある層から別の層へある程度の散乱または蛍光放射(ここでは第1の用語のもとにグループ化)が存在するであろうし、それによって各層からの信号出力が変化し、本明細書に提示された仮想出力を決定する方法に影響を与える可能性があると予想される。
【0057】
図5に示されるように、検出器14は、「n」個のセンサ層500a、500b、…、500nを含む。理解されるように、「n」は任意の数を表す。直接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、光伝導体層502および基板層504を含む。間接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、シンチレータ層506および基板層508を含む。
【0058】
図6aに示されるように、検出器は、第1のセンサ層500a、中間フィルタ層510、および第2のセンサ層500bを含む。直接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、光伝導体層502および基板層504を含む。本実施形態では、中間フィルタ層510は、別の光伝導体層512であってもよい。間接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、シンチレータ層506および基板層508を含み、ここで、中間フィルタ層510は、別のシンチレータ層514であってもよい。
【0059】
図6bに示される実施形態は、
図6aの実施形態と同様であり、光伝導体層502および基板層504(直接)の位置、ならびにシンチレータ層506および基板層508(間接)の位置がセンサ層500内で切り替えられている。
【0060】
図7aに示されるように、検出器は、第1のセンサ層500a、第2のセンサ層500b、および第3のセンサ層500cを含む。直接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、光伝導体層502および基板層504を含む。間接多層X線検出器の場合、各センサ層500は、シンチレータ層506および基板層508を含む。
【0061】
図7bに示される実施形態は、
図7aの実施形態と同様であり、第2のセンサ層500bと第3のセンサ層500cとの間に中間フィルタ層が追加されている。理解されるように、中間フィルタ層はまた、第1のセンサ層500aと第2のセンサ層500bとの間に配置されてもよい。代替的に、中間フィルタ層510は、第1および第2のセンサ層と第2および第3のセンサ層の両方の間に配置されてもよい。
【0062】
X線吸収層によって散乱される放射線を低減または最小化するという課題を克服するために、様々な戦略を採用することができる。一つの戦略は、k-蛍光X線のエネルギが12keV未満であり、したがって遠くに移動しない低k吸収端を有する材料(アモルファスセレン光伝導体のような)を選択するか、または代替的に33keVの蛍光X線を有するCsIシンチレータを選択することであってもよい。また、選択したシンチレータと同じ材料で作られた中間フィルタを使用して、散乱線の影響を減らすことができる。さらにまた、センサ層の配向は、
図6a、
図7a、および
図7bに概略的に示されるように変更することができ、センサ層500aは、光伝導体層502(直接)またはシンチレータ層506(間接)との間の距離が最小になるように配向されて、X線k蛍光に関連する散乱距離が短縮する。
【0063】
層間での相互散乱を低減するために、さらなる手法を使用することができる。これには、
図11a、
図11b、および
図11cに示すように、前述したいずれかの構成のセンサ層の間に散乱防止グリッドを追加することが含まれ、これにより、散乱線が不均衡に吸収されるため、散乱に対応する層信号値の割合(散乱線量対一次線量比として知られている)が減少する。
【0064】
図11aは、複数のセンサ層500a、500b、…、500nを含む多層検出器500の概略図であり、「n」は任意の数であり得る。センサ層500の間に位置するのは、散乱防止グリッド層516である。前の実施形態と同様に、各直接センサ層は光伝導体層502および基板層504を含み、各間接センサ層はシンチレータ層506および基板層508を含む。
【0065】
図11bは、3つのセンサ層500a、500b、および500cと、第1のセンサ層と第2のセンサ層との間に単一の散乱防止グリッド層516とを含む多層検出器500の概略図である。
図11cは、3つのセンサ層500a、500b、および500cと、第2のセンサ層と第3のセンサ層との間に単一の散乱防止グリッド層516とを含む多層検出器500の概略図である。
【0066】
同様に、
図10a、
図10b、および
図10cに示すように、センサ層の間に中間フィルタを追加してもよく、これらは主に診断用X線スペクトルの低エネルギ端にあるため、散乱光子を不均衡に吸収するであろう。中間フィルタの特定の材料タイプについては、散乱エネルギ吸収を調整するように選択してもよい。一実施形態では、1つまたは複数の中間フィルタの材料の選択肢は、銅、アルミニウム、または銀などの金属である。
【0067】
図10aは、複数のセンサ層500a、500b、…、500nを含む多層検出器500の概略図であり、「n」は任意の数であり得る。センサ層500の間に位置するのは、中間フィルタ層518である。前の実施形態と同様に、各直接センサ層は光伝導体層502および基板層504を含み、各間接センサ層はシンチレータ層506および基板層508を含む。
【0068】
図10bは、3つのセンサ層500a、500b、および500cと、第1のセンサ層と第2のセンサ層との間にある単一の中間フィルタ層518とを含む多層検出器500の概略図である。
図11cは、3つのセンサ層500a、500b、および500cと、第2のセンサ層と第3のセンサ層との間にある単一の中間フィルタ層518とを含む多層検出器500の概略図である。
【0069】
別の手法は、可能な限り薄い基板を利用してX線吸収体層間の距離を縮小または最小化することであり、可撓性基板を使用してそれらの厚さを大幅に減らすことが可能である。最後に、シンチレータ注入基板の形で、基板層と吸収体層とを組み合わせることによってこの距離を完全に取り除くことができる。
【0070】
前述の説明では、説明の目的で、実施形態の完全な理解を提供するために多くの詳細が示されている。しかし、これらの特定の詳細が必要とされない場合があることは当業者には明らかであろう。他の実施例では、理解を曖昧にしないために、周知の構造をブロック図の形式で示してもよい。例えば、本明細書に記載の実施形態の要素が、ソフトウェアルーチン、ハードウェア回路、ファームウェア、またはこれらの組合せとして実装されるかどうかに関して、具体的な詳細は提供されない。
【0071】
本開示の実施形態またはその構成要素は、機械可読媒体(コンピュータ可読媒体、プロセッサ可読媒体、またはそこに具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ使用可能媒体とも呼ばれる)に格納されたコンピュータプログラム製品として提供または表現することができる。機械可読媒体は、ディスケット、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD-ROM)、メモリデバイス(揮発性または不揮発性)を含む磁気、光学、または電気記憶媒体、または同様の記憶メカニズムを含む、任意の適切な有形の非一時的媒体であり得る。機械可読媒体は、命令、コードシーケンス、構成情報、または他のデータの様々なセットを含むことができ、実行されると、プロセッサまたはコントローラに、本開示の一実施形態による方法のステップを実行させる。当業者は、説明された実施形態を実施するために必要な他の命令および操作もまた、機械可読媒体に記憶され得ることを理解するであろう。機械可読媒体に記憶された命令は、プロセッサ、コントローラ、または他の適切な処理デバイスによって実行することができ、説明されたタスクを実行するために回路とインタフェースすることができる。
【0072】
上記の実施形態は、単なる例であることを意図している。変更、修正、および変形は、本明細書に添付された特許請求の範囲によってのみ定義される範囲から逸脱することなく、当業者によって特定の実施形態にもたらされ得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチエネルギX線撮影装置のための少なくとも1つの仮想出力を決定する方法であって、
前記マルチエネルギX線撮影装置から、複数の異なるX線吸収スペクトルによって生成された複数の出力を受信することと、
前記マルチエネルギX線撮影装置の用途、前記マルチエネルギX線撮影装置の物理的特性、またはX線源の露光設定に基づいて一般的なアルゴリズムを決定することであって、前記一般的なアルゴリズムは、前記複数の異なるX線吸収スペクトルの出力を表す、決定することと、
パラメータを決定して前記マルチエネルギX線撮影装置および前記決定された用途のための仮想出力アルゴリズムを生成するために、入力として前記複数の出力を前記一般的なアルゴリズムへ代入することと、
前記仮想出力アルゴリズムと、X線スペクトル特性に基づく少なくとも1つの入力とを利用して前記少なくとも1つの仮想出力を生成することを含み、
前記少なくとも1つの仮想出力は、前記多層X線撮影装置内の存在しない層の出力を表し、
前記仮想出力アルゴリズムは、前記存在しない層に対する前記少なくとも1つの仮想出力を決定するために使用される、方法。
【請求項2】
前記マルチエネルギX線撮影装置は、シングルショット多層X線撮影装置であり、
前記マルチエネルギX線撮影装置から受信された前記複数の出力が、前記シングルショットX線撮影装置の一部または全ての層から得られ、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マルチエネルギX線撮影装置から受信された前記複数の出力が、異なるX線源の露光設定で撮影された2つ以上のX線露光から得られ、
前記マルチエネルギX線撮影装置は、マルチショットX線撮影装置である、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記X線源の露光設定が、線源電圧、線源電流、または線源フィルタを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一般的なアルゴリズムを決定することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置が使用されているX線用途を決定することと、
前記決定された用途に基づいて前記一般的なアルゴリズムを選択することとを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして、多層X線撮影装置に対して
【数1】
(ここで、a、b、cはパラメータ、s
iは各層の信号、l
iは定義された層番号である)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして、多層X線撮影装置に対して
【数2】
(ここで、bとcはパラメータ、s
iは各層の信号、l
iは定義された層番号である)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記一般的なアルゴリズムを選択することは、
前記一般的なアルゴリズムとして多層X線撮影装置に対して
【数3】
(ここで、bとcはパラメータ、
【数4】
は各層のシンチレータの事前濾過の厚さ、t
iは層のシンチレータの厚さである)を選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記一般的なアルゴリズムを決定することは、
前記一般的なアルゴリズムとして最小化アルゴリズムを選択することを
含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記仮想出力アルゴリズムを利用することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置から得られる仮想出力よりも小さいノイズ成分を持つ前記出力を得ることを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記仮想出力アルゴリズムを利用することは、
前記マルチエネルギX線撮影装置から得られる仮想出力よりも小さい物体散乱線成分を有する前記出力を得ることを
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記仮想出力アルゴリズムによって生成された前記少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、前記シングルショット多層X線撮影装置の1つまたは複数のセンサ層における欠陥のあるアレイピクセル、ライン、または領域の補正に使用される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記仮想出力アルゴリズムによって生成された前記少なくとも1つの仮想出力の一部または全てが、骨塩密度または骨塩面積密度の測定値を得るために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記X線撮影システムのための少なくとも1つの仮想出力を決定するためのX線撮影システムであって、
X線源と、
少なくとも1つのセンサ層を含むマルチエネルギX線撮影装置と、
前記マルチエネルギX線撮影装置から、複数の異なるX線吸収スペクトルによって生成された複数の入力を受信し、前記マルチエネルギX線撮影装置の少なくとも1つの仮想出力を決定するためのプロセッサであって、前記プロセッサは、実行された場合に、前記プロセッサに、
前記マルチエネルギX線撮影装置の用途、前記マルチエネルギX線撮影装置の物理的特性、および/または前記X線源の露光設定に基づいて、一般的なアルゴリズムを決定することであって、前記一般的なアルゴリズムは、前記複数の異なるX線吸収スペクトルの出力を表す、決定することと、
入力として前記マルチエネルギX線撮影装置の複数の出力を前記一般的なアルゴリズムへ代入して前記マルチエネルギX線撮影装置および前記決定された用途のための仮想出力アルゴリズムのパラメータを決定することと、
前記仮想出力アルゴリズムと、X線スペクトル特性に基づく少なくとも1つの入力とを利用して前記少なくとも1つの仮想出力を生成することを行わせる命令が格納されたコンピュータ可読媒体をさらに含むプロセッサとを
備え、
前記少なくとも1つの仮想出力は、前記多層X線撮影装置内の存在しない層の出力を表し、
前記仮想出力アルゴリズムは、前記存在しない層に対する前記少なくとも1つの仮想出力を決定するために使用される、X線撮影システム。
【請求項15】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
一連のセンサ層を
備える、請求項14に記載のX線撮影システム。
【請求項16】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
少なくとも2つのセンサ層を
備える、請求項15に記載のX線撮影システム。
【請求項17】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
前記少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間にある少なくとも1つの中間フィルタ層を
さらに備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項18】
前記中間フィルタ層が、金属材料フィルタ、光伝導体層、またはシンチレータ層を備える、請求項17に記載のX線撮影システム。
【請求項19】
前記マルチエネルギX線撮影装置が
前記少なくとも2つのセンサ層のうちの少なくとも2つの間に少なくとも1つのアンチグリッド層を
さらに備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセンサ層のそれぞれが
光伝導体層またはシンチレータ層を
備える、請求項15に記載のX線撮影システム。
【請求項21】
隣接するセンサ層の光伝導体またはシンチレータ層が互いに隣接している、請求項20に記載のX線撮影システム。
【請求項22】
前記センサ層の少なくとも1つが、シンチレータ注入されたガラス基板層を備える、請求項16に記載のX線撮影システム。
【請求項23】
前記センサ層のうちの少なくとも1つが、可撓性基板層およびX線吸収体を備える、請求項16に記載のX線撮影システム。